銀河帝国攻略戦⑤~『サウザンド』号を救え
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無数の巨大宇宙船が行き交う世界、猟兵達からは『スペースシップワールド』と呼ばれる世界。
その世界に今、大きな変革の時が訪れようとしている。巨大移民船『ヘロドトス』を巡る戦いの結果、遺失技術とされていた『ワープドライブ』が復活したのだ。
ヘロドトスの警備隊長であったフォースナイト・ミディアのユーベルコードにより、コアマシンに『ワープドライブ』を装着した宇宙船は、スペースシップワールド内を自由に行き来が出来る様になるのだという。
この事実が、何を生み出すのか。……銀河帝国に虐げられるばかりであった者達が、戦力を糾合し対抗することが可能になったという事なのだ。
猟兵とミディアの呼び掛けにより、帝国への反抗の意思を固めた宇宙船が集結してくる。やがてその勢力は、かの『解放軍』と呼ばれる者達の再来となるだろう。
だが、帝国軍がそうなる事を黙って見過ごす訳が、無い。
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船内の意見を反帝国陣営入りでまとめた宇宙船が、友軍と合流しようと先を急ぐ。船の名は『サウザンド』号。帝国の圧政に苦しめられ、漸く訪れた反旗の時にその士気は高い。
だが突然、目の前に現れるのは帝国軍の宇宙戦艦。解放軍入りを決めた船を狩り出し、沈める為に各地に分散していた艦に、捕捉されてしまったのだ。
迫る砲火、強襲する機動戦力を前にして、士気は高いが戦闘力は一段劣る宇宙船『サウザンド』号はあっという間に劣勢に立たされ……やがて、宇宙の塵と消えてしまうのだった。
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「そうさせない為に、皆さんに現場に赴いて頂く事になります」
集まる猟兵達の顔を真剣な面持ちで見つめるのは、グリモア猟兵ヴィクトリア・アイニッヒ(陽光の信徒・f00408)。
大きな戦いの気配に、その表情は張り詰めた物があった。集まる猟兵達の表情も、きっとそうだろう。
「『ヘロドトスの戦い』、そしてそこから始まったこの流れに関しては、既に皆さんご存知かと思います」
今回の戦いは、解放軍入りを決めた宇宙船の救出が目的だ。
ミディアの乗る宇宙船が襲われる宇宙船の救援に向かっている為、猟兵達はミディアの宇宙船を経由して、敵戦艦に直接乗り込む事になる。
敵戦艦に乗り込み、乗員である帝国兵を撃破。その後は帝国艦を何らかの方法で離脱し、破壊する所までが任務となっている。
「相手となる帝国兵は、重騎兵型のクローン兵となります。数と火力は相当な物ですから、ご注意下さい」
飛び抜けた能力を持つ者はいないが、相手の軍艦に乗り込んでの戦闘だ。油断は禁物だ。
乗り込んだ後の脱出手段や、艦の破壊手段に関しては各自の裁量に任せるとヴィクトリアは語る。
特に考えなくてもミディアの宇宙船が拾ってくれるし、帝国艦が無抵抗となれば『サウザンド』号が破壊してくれるだろうから、深い心配は無用だ。
「この戦いは、これから続く『スペースシップワールド』の未来を決める、重要な戦いの前哨戦となります。皆さんの奮戦を、期待します」
そう言って、集まる猟兵達にヴィクトリアは深く頭を下げて、見送るのだった。
月城祐一
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このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
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……まさか、こんな形になるとは。この海のリハk(ry)
どうも、月城祐一です。戦争シナリオ『銀河帝国攻略戦~『サウザンド』号を救え』をお送りいたします。
このシナリオは『⑤帝国戦艦迎撃指令』関連シナリオとなります。
上記の通り、1章完結型のシナリオとなりますので参加の際はご留意下さい。
相手となるのはクローン重騎兵、集団戦です。
描写は主に戦闘シーンとなります。脱出や艦の破壊に関しては大きくは扱いませんが、何かいい考えがある!という方はプレイングにどうぞ。
(ただし、拿捕等は行なえません。敵艦は必ず『破壊』されます)
それでは、第六猟兵初の戦争シナリオ。多くの方のご参加、お待ちしております!
第1章 集団戦
『クローン重騎兵』
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POW : インペリアル・フルバースト
【全武装の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : コズミックスナイプ
【味方との相互情報支援】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【狙撃用ビームライフル】で攻撃する。
WIZ : サイキッカー拘束用ワイヤー
【アームドフォートから射出した特殊ワイヤー】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
イヴ・クロノサージュ
▼超強気
引きこもりイヴちゃんは、戦艦の中では超強気!
突入は皆さんにお任せするよー!
▼保護
こちらでーす!
こちらの宇宙戦艦に乗り込んで下さいー!
解放軍入りの皆さんを保護しますー!
クロユニは271名まで収容できるんですよー!!
乗り込んだ後の脱出手段として、うちの戦艦がサポートにはいるよ!
大丈夫!この世界での活動は事前に調査してるし、私の庭みたいなものだから…!
技能:情報収集、世界知識、救助活動
▼主砲発射
救出を確認したら、派手にぶっぱなします!
重力波ビーム砲・クロノトロンブラスト
スタンバイ!
後ろの艦隊ごと……纏めて重力でぐしゃぐしゃになっちゃえー!!
技能:援護射撃、全力魔法、属性攻撃⇒重力、吹き飛ばし
満月・双葉
他の猟兵との連携を重視
地形を把握し死角を利用、援護射撃で撹乱して敵を掃討しやすくします
忍び足や目立たぬ動きで騙し討ち、早業による残像、多彩な攻撃で翻弄していきます
桜姫から衝撃波で薙ぎ払い、大鎌への変形で吸血し、生命力を吸収する2回攻撃を放ちます
パパ直筆の御札からは恐怖を与える呪詛、同士討ちを誘発する催眠術
薔薇の涙を投擲し傷口を抉り
大根で串刺し
スナイパーを用いお兄ちゃんの銃で遠くからまたはゼロ距離で射撃
敵の攻撃は第六感や野生の勘、視力、暗視等で見切り、見切れないものは盾受けや武器受け、オーラ防御で防ぎましょう。
集団戦の醍醐味ですので、敵を盾にして別の敵の攻撃を受け、防御も数減らしに役立てましょう
シホ・イオア
制圧の狙いは操舵室(艦橋)>機関室>格納庫
指揮系統はあるだろうし
リーダーっぽいのがいたら積極的に狙う
輝石解放、ルビー!愛の炎で敵を焼き尽くせ!
鎧無視攻撃で装甲を無視して焼いてやりましょう
最初は分散させた炎で逃げ道を無くし確実に当てていく
同時に何発当てれば倒せるかなど分析
分析がすんだら必要分の炎を集結させて効率よく撃破をねらう
敵の攻撃は残像と見切りで回避
帰りは拾ってもらいましょう
ベガ・メッザノッテ
あらあラ、アナタもワイヤー使いなのネ?
でもなんだか動きがぎこちないワ、芸術性が足りてないネ。
…そうダ! ウチの子たちがお手本をみせてあげるワ!
よぉくその無機質な目に焼き付けてネ〜!
相手のWIZ攻撃を【見切り】、態と喰らう…ように見せかけて『オペラツィオン・マカブル』を発動するノ。
機会人形も追いかけっ子くらい遊んだことあるかナ?…なラ、ルールは言わなくても良いよネ!
蜘蛛の撚金糸(装備品)を持つ傀儡・アルタイルとデネヴ(装備品)が敵たちを追尾して挟み討つワ。
オイシくなさそうなロボットたちハ、じゃんじゃん壊していっちゃオー!
●口調プレイングに合わせて下さい。
改変アドリブ連携、歓迎です。
クー・フロスト
▼クー・フロスト突貫ス
ミディアの宇宙船よりも先に潜入
敵戦艦に直接乗り込み
機関室を破壊し敵戦艦を減速させる事を目的とする
要は『サウザンド』号と接触させず
クローン重騎兵を他の猟兵と連携し
敵戦艦を破壊すればいい話であろう
イヴの広域サポートにより最短√で通る
何かハプニングがあれば
イヴの戦艦が救護してくれるだろうしな
どけ、雑兵共。我が道阻む理由無シ。
――斬り込む
▼戦闘
主要使用武装:イェーガーブレード
バーニアを噴かせながら射撃
技能:ダッシュ、先制攻撃、2回攻撃、属性攻撃⇒火器
バーニアを噴かせながら敵の攻撃を剣の衝撃波で斬り払い接近、剣を刺し撃破する
技能:ダッシュ、串刺し、衝撃波
目的地まで急ぐ
技能:迷彩
京条・響
今はまだ、あまり深くは考えなくてもよさそうだね。
ただクローンを倒して、戦艦を破壊する。
シンプルだね。
クローン戦は手数で行こう。
敵の群れの中心に向かってバイクで走りつつ、銃を乱射していくよ。
中心では【モーションアクター】を発動。
巨大なヒーローを召喚し横回転。手にした銃でクローンたちを殴りつけるよ!
クローン戦が終わったら、敵艦にも一発ぶっ放しておこうか。
ルヴァイド・レヴォルジニアス
【母艦】イヴ・クロノサージュの宇宙戦艦クロユニ
クー・フロストの機体として参戦
連携等は自由
基本的に我は言葉を発しない戦闘機械
発する時は『カタカナ』で
POW
▼共通項
目的は機関部、艦内なので陸戦フレームは有効
クー・フロストの行動に従う
使い捨ての如き、母艦よりワープ転送される武装
基本的にイェーガーブレードを使用する
本数は我の機体とクーの所持する数のみ
▼防御行動
損傷するが、鋼鉄のボディで痛みを感じない上、搭乗者を保護
技能:激痛耐性
クー・フロストが突破したいと感じた時
我の機能を全力で稼動させ、強引に突破が可能
技能:怪力、勇気、踏みつけ
敵も強いが、機械は使われると喜ぶ
▼脱出
イヴ・クロノサージュの指示に従う
アリア・ティアラリード
シェラフィールと連携
「…御苑・亞璃亜。帝国兵を殲滅」
《再起動:第一人格『御苑・亞璃亜』》
戦線に投入されるのはアリアお姉ちゃんではなく
戦闘マシーンである第一人格『御苑家の姫騎士:亞璃亜』
衣装も騎士科の学生服ではなく、正規重戦闘用ドレスのガーブ・オブ・ローズ
甲板、敵のど真ん中に転移
押し寄せる敵兵と堂々対峙!
【先制攻撃・衝撃波・範囲攻撃】からの飛櫻剣で数十、数百を一撃で吹き飛ばし
崩れ落ちる敵群をフォースグリップで掴み投げ捨て、フォーススパーキングで焼却
敵艦に対し【拠点防御・一斉発射・怪力】から虹色飛翔七連剣で
敵艦左舷もろとも機関部を【吹き飛ばし】
御苑の姫騎士の壮絶さは彼らに【恐怖を与える】だろうか
シェラフィール・ディー
アリアと連携
「ご随意に。お嬢様」
姉姫の出陣に【刻印呪眼:狂瀾庭園】にて変わらぬ侍従の姿で傍遣え。支援致します
呪眼にて召喚した触手群は重騎兵の火力に対し盾となるように配置
当然、シェフィ自身も狙われるでしょうが…離れるよりはお嬢様の傍の方がまだ安全でしょう
後は、行動の邪魔をする敵兵を払い、掴み。あるいはその道となるように
触手が焼かれたとて、どうせ痛むのはシェフィでは御座いません
「…とはいえ、少々制御には気を遣いますが…」
最低限の【残像】【見切り】で抜けた攻撃を回避
触手群の召喚、行動に多くのリソースを振り分けつつ…
…どうせ最後は無茶を為さるでしょう
今、ここで死なれてもその、困りますし。
秋月・信子
Wiz行動
「ここでは時代遅れの銃だけど…舐めないで!」
ボルトアクションライフルに【鎧砕き】と【鎧無視攻撃】らを魔弾化で増強させた徹甲弾を装填し、今まで培ってきた【戦闘知識】をもって【スナイパー】で狙撃していきます
(影よ…艦の中を這い進んで…H艦を破壊して)
応戦しながら隙を見て、ユーベルコード【影の追跡者の召喚】で影たちを呼び出します
隙間から影を艦内部に侵入させ隅々まで疾らせ、艦の制御装置や動力炉を重点にした【破壊工作】をやります…ッ!
(けど…途中で妨害されたら影が消えてしまうから…みんなに支援して貰うか…気付かれないように影の追跡者の召喚をして、自分の身は自分で守りきらないと…)
●先駆けを果たす者達
漆黒の宇宙を切り裂く閃光。帝国軍艦から放たれた砲火が、『サウザンド』号を掠めて消える。
襲撃を受け、救援要請を発して間もなく。既に形勢は帝国軍艦に傾いていた。遠からず、『サウザンド』号は宇宙の塵となる。
もはや、これまでか……『サウザンド』号の船長はじめスタッフ一同が覚悟を固めた、その時だった。
再び、宇宙を白く染める閃光が空間を走る。しかし、今の光の発射元は帝国軍艦でも、『サウザンド』号でも無い。今の光の発射元は……
「こちらは、《宇宙戦艦》クロノトロン=ユニット! 解放軍入りの皆さんを保護しますー!」
ミディアの宇宙船より先行して現れた、猟兵の駆る宇宙戦艦。全長275メートル。271名を収容し、多数の機動兵力を持つ、イヴ・クロノサージュ(《機械天使》花と自然を愛する機械人形・f02113)の《宇宙戦艦》クロノトロン=ユニットだ!
イヴは帝国艦と『サウザンド』号の間に割って入る様に強気な操艦を見せると、『サウザンド』号へ向けて保護する旨を伝えて……更にどこかへ通信を繋げる。
「さぁ、出番ですよ。準備は良いですか?」
『問題無い……ルートの案内は、任せるぞ』
通信に答えるのは、若い女性。その声に無駄な気負いは無い。イヴがモニターを確認すれば、バイタルの方も問題は無さそうだ。これなら、十分な成果を上げてくれるはずだろう。
「では……騎兵隊、出撃して下さい! オープン・コンバット!」
『了解! ……クー・フロスト、突貫する!』
出撃命令に答え、発艦していく鎧装騎兵達。 その数12機が、ある者は母艦を、ある者は『サウザンド』号の直衛に飛び回る。
そんな機兵達の中で、一際目立つ機体がある。宇宙に溶ける様な漆黒、巨大な翼と蛇のような鋭い眼。一般人が一目見たら慄くようなその機体は、グンッと加速。直線的な軌道を描きながら、帝国軍艦に迫る軌道を取った。
「敵戦艦に取り付き、機関室を破壊して脚を止める!」
乗り込む少女、クー・フロスト(《甦生氷姫》武人たる者、常に鍛えよ・f08503)が吼える。
任務は、敵艦に乗り込む敵兵の撃破。だがその前に、『サウザンド』号の安全を確実な物としなければならない。その為に必要な物として、クーは『敵艦の脚を奪う』事を考えたのだ。
幸い、この環境でなら母艦で管制作業を行うイヴの支援を受けられるし、クーが乗り込む『相棒』にとってもこの地はホームグラウンドだ。何憂うこと無く、全力を出し切る事が出来るはず。
「ルヴァイド! イェーガーブレード!!」
『……』
クーに声を掛けられた者、ルヴァイド……ルヴァイド・レヴォルジニアス(《黒龍鎧兵》高性能機械鎧兵・f08084)の姿は無い。声も無い。
それもそのはず、ルヴァイドとはクーが乗り込む鎧装騎兵そのもの。ウォーマシンの猟兵であり、他者が乗り込む事でその全力を発揮する事が出来るという猟兵なのだ。操作される機械としての役割に徹する彼は、今は言葉を発さず操縦者であるクーの意思に従っている。
そのクーの意思と指示に従い、母艦より近接兵器を転送……全長3メートルという巨大な剣を構えると、接近を阻もうとする帝国騎兵を一刀の下に切り捨てる。宇宙に二つ、爆炎が広がる。
「……どけ、雑兵共。我が道阻む理由無シ。──斬り込む!」
クーの強い意思を受けて、宇宙を駆ける黒竜が更に加速。止めようとする者達を強行突破し、戦艦に取り付くと……その大剣を、機関部に突き入れる!
大剣を引き抜き離脱した直後、機関部が爆発。クーの目論見通り、帝国艦の脚を奪う事に成功したのだ。
『サウザンド』号の危機は、先行した猟兵達の活躍により大きく減じた。だが、まだ敵兵は艦内に多く残っているはずだ。
敵を掃討し、前哨戦を完璧な形で勝利する為に……今、ミディアの駆る宇宙船がワープアウトし、残る猟兵達が現場に到着するのだった。
●艦の制御を奪え
機関部を破壊され混乱する帝国軍艦。だがその混乱も、指示を出す艦橋部が無事であれば遠からず収まってしまうだろう事は想像に難くない。そう考えた猟兵達の一部は、転送されるとすぐにそちらに踏み込んだ。
だが、頭脳を司るという事は防御機構や当てられる人材も相応に選抜されているものである。艦橋部、管制室を巡る戦いは、膠着状態に陥っていた。
「輝石解放、ルビー! 愛の炎で敵を焼き尽くせ!」
フェアリーの少女、シホ・イオア(フェアリーの聖者・f04634)が通路に炎を放つ。鎧を着込んでいた所で熱は防げまいと考えての一撃であるが……
次の瞬間、飛んできた光線とそれに交じる拘束用ワイヤーに炎は迎撃され、シホ本人も慌てて物陰に隠れるのが精一杯。
「むぅ……姿がしっかり見えれば、焼き尽くせるのに……」
「地の利は、相手……篭もられては、敵を盾にも出来ないか」
「扉も頑丈です。徹甲弾でも、中々貫けませんね……」
同じく物陰に隠れながら銃撃戦に徹する満月・双葉(星のカケラ・f01681)や秋月・信子(魔弾の射手・f00732)も、この状況には手を焼いていた。
通路は狭く、一本道だ。だがここを突破しなければ管制室の制圧は不可能。敵もそれは重々承知の上らしく、管制室に籠もって守備を固めつつ、僅かな隙間からこちらの攻撃に応射するに徹している。
もっと広い空間や遮蔽物の多い場所であるならば、奇襲も出来るかも知れない。多彩な攻撃も手段も期待出来るだろう。だが狭く明るい一本道の通路、守備を固めて籠城を決め込む相手に対しては、地形や死角を利用した奇襲は中々難しいと言わざるを得ない。
……飛び込めば、乱戦に持ち込めるのは間違いない。そうすれば個々の能力で勝る猟兵側が有利となるだろう。その為に、多少のダメージは覚悟して突っ込むしかないか。集まる者達が覚悟を固めた時だった。
「あらあラ、相手にもワイヤー使いがいるのネ!」
背後からの声に、双葉と信子がハッと振り向く。そこにいたのは、笑顔を浮かべるベガ・メッザノッテ(残夢紅華・f00439)と宇宙バイクに跨った京条・響(サウンドライダー・f00344)の二人の姿。
共にこの艦に乗り込んだ猟兵である事を確認すると、双葉と信子は警戒を解く。
合流した二人は現状の説明を受けると、通路の状況を確認して、フムと一つ頷く。
「ワイヤーの方は、私に任せテ! ウチの子たちがお手本をみせてあげるワ!」
「突破口は僕が作るよ。こういう時は、勢いとシンプルに、だね」
言葉と共に、二人が動く。まず先行したのはベガだ。いっそ無防備と言えるような足取りで通路に身を晒すと、ゆったりとした足取りで管制室へ向けて歩みを進める。
その姿に虚を突かれたのか、光線銃の光が止まる。だが即座に、捕縛用のワイヤーがベガの身に迫る。ワイヤーがベガの身に触れ、その身を縛る……瞬間、脱力して崩れ落ちながら、ベガが愛する傀儡が起動する。
(無機質な機械人形でも追いかけっ子くらいは遊んだことはあるかナ? ……なラ、ルールは言わなくても良いよネ!)
傀儡は迫るワイヤーを無力化し、逆に金糸を管制室に放つ。突然の小さな侵入者に、光線銃の狙いは定まらず。2体の傀儡は金糸を伝い、管制室に飛び込んでいく
ベガの意思を受け、積極的にクローン兵を捉えようと動く2体の傀儡。捕まったクローン兵は、断末魔を上げる事もなく破壊されていく。
情勢の変化に、管制室内の注意が僅かに逸れた。生み出されたその隙を見計らい、駆動音が通路に響き……ベガの頭上を、鋼鉄の塊が飛び越えていく。
「本業発揮といきますか……。変身!!」
愛用の鉄馬……宇宙バイクごと、管制室の扉に飛び込んで破壊するのは響。勢いそのままに室内へ飛び込むと、愛用の銃を乱射。突入直前に召喚した3メートル半はあろうヒーローと共に大暴れする。
方や能力を活かし、方や正面からのシンプルな力技。対照的な突入法であったが、だからこそ相手の虚を突けたのだと言えるだろう。
ベガと響の献身により出来た突破口に、シホと双葉、信子も負けじと突貫する。愛の炎が、大鎌や呪符、大根が、鎧を砕く徹甲弾が、篭もるクローン兵達を焼き、仕留め、砕き……
やがて、この場のクローン兵を殲滅した猟兵達は、手当たり次第に機材を破壊。艦をコントロール不能とする事に成功するのだった。
●甲板を蹂躙する者
艦の甲板に降り立ったのは、アリア・ティアラリード(エトワールシュバリエ・f04271)とシェラフィール・ディー(オニキスロード・f03454)の二人。
アリアの表情は常のほんわかとしたそれでは無く、戦闘機械の様な冷たさを感じる物。その纏う衣服も戦闘用ドレス姿。多重人格者である彼女に眠る、第一人格『御苑家の姫騎士:亞璃亜』が、アリアの身体を動かしているのだ。
そのアリア……いや、亞璃亜と連携をするように動くシェラフィールは、常と変わらぬ侍従姿。呪眼にて召喚した触手群を指揮しつつ、亞璃亜の側に付き従う。……使命感ではなく、保身の要素が強そうな判断ではあるが。
機関部から吹き出す爆炎。艦内から響く振動。既に艦のコントロールも失われ、ダメージは蓄積するばかり。最早この艦の未来は長くないのは明白だ。
ならば、帝国に最後の忠誠を示すまでと。生き残りのクローン兵達が、悠然とその姿を晒す二人の元に殺到する。せめて、一人、二人でも。帝国と皇帝陛下を阻む者を排除せねばならぬという強い意志を感じ取れるだろうか。
だが……そんな意思も、今の亞璃亜には、関係のないことだ。
「……御苑・亞璃亜。帝国兵を殲滅する」
「ご随意に。お嬢様」
淡々とした口調で告げ、跳躍する姉姫を見送る侍従である妹。
直後、亞璃亜が振るうフォースの刃が広範囲に拡散し、艦を穿ち、爆発。刃に裂かれ、爆炎に飲み込まれ、多くのクローン兵が宇宙の塵と消えていく。
そんな中でも生き残った兵が、ワイヤーで動きを封じようと足掻くが……そのワイヤーは、シェラフィールの喚び出した触手が絡め取り、姉妹の下へは届かない。
ならば、と。触手を薙ぎ払おうと武装を一斉射するクローン兵。それに対しては、触手が自ら焼かれる事で、召喚者であるシェラフィールは無傷なまま。
そしてシェラフィールに狙いが集中すれば……亞璃亜の剣が、艦ごとクローン兵達を切り刻み、爆炎の中に消していく。
「……そろそろ、潮時ですか。お嬢様、引き上げの時間ですよ」
「了解した……よっし、戻ろっかシェフィちゃん!」
受けた損害が許容範囲を超えたのか。到るところから爆炎を上げ始めた帝国軍艦から、姉妹が離脱する。
その二人を猟兵の駆る黒色の騎兵が拾い上げた瞬間、『サウザンド』号を保護していたクロノトロン=ユニットの主砲が放たれる。帝国軍艦は重力砲の光に飲まれ、圧壊しながら消えていくのだった。
●反撃の狼煙を、今。
『サウザンド』号にミディアの宇宙船が接舷し、人員が行き交う。これから『サウザンド』号に、遺失技術であった『ワープドライブ』が設置されるのだ。
……今後『サウザンド』号は、解放軍の戦力として、この宇宙を縦横無尽に駆け巡るだろう。猟兵達と共に並び立つ時も、あるかもしれない。
そんな戦いの未来を思い描きながら、帝国軍艦を撃破した猟兵達は『サウザンド』号の乗員たちの歓喜の声を浴びるのだった。
成功
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