雀鬼狂騒曲 ~TCG編~
●TCGに堕ちた雀牌達
キマイラフューチャーのとある闇のカードバトル空間。そこが悪の組織「堕悪苦(ダーク)TCG」のアジトだった。
首領、忌火起・レッカはカードゲーム怪人に改造した配下を呼び出し、卓に付いた。
彼は東家だった。他は白怪人、発怪人、中怪人、三体揃って雀牌戦闘員。
レッカは卓――麻雀卓のど真ん中にドンと手にしたブツを叩きつけた。麻雀牌ではない。そこに置かれていたのは一つのカードデッキ。
「貴様らが如何に雀牌だろうと、オレの配下である限りカードゲームからは逃れられねぇ。取りな」
一呼吸間を置き、発怪人がカードデッキに手を伸ばす。その手は少し震えているようで。
「さぁ行け! 街のゴッドペインター共を一人残らず掻っ攫え!!」
こうして雀牌戦闘員に指令が下ったのだった。
●キマイラフューチャー・4thラウンド
「キマイラフューチャーで危険なカードゲームが流行しているようです!」
ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は猟兵を集め、そう話し始めた。
「幹部猟書家による悪の組織の動きは色々ありますが……その中でも最近動きを見せ始めた『堕悪苦TCG』という組織が、究極のカードを描かせるためにゴッドペインターさん達に襲い掛かっているんです! カードゲームで!」
カードゲームで襲い掛かるとは――すなわち無理矢理勝負を挑み、負かした者達を強引に拠点へと連れ帰ろうとする、ということらしい。
「なので皆さんにはゴッドペインターさん達の救出と、怪人、首領の討伐をお願いしたいのですが、その場所では何でもカードゲームで決める空間になってしまっているようです! つまりですね、皆さんのユーベルコードとか装備とか技能とか、ありとあらゆる要素がカード扱いになってしまって、戦闘もカードゲームでしか決着がつけられなくなっているんです!」
何がどうしてそうなったのかはわからないが、とにかくそこはカードが支配する空間。足を踏み入れるからには、そのルールからは逃れられない。
「それで、暴れている怪人はですね……『雀牌戦闘員』という麻雀牌の怪人です! 麻雀牌がカードゲームやってます! 実はちょっと不服っぽい感じはあるんですが、首領の命令だから仕方ないみたいですね!」
麻雀卓をカードゲームで汚された恨みはいつか晴らされるのだろうか。しかし首領のレッカには、カードゲームである限り勝てない気もするが。
「カードゲームのルールがちょっと特殊なので、得意な人もそうでない人も頑張れば何とかなると思います! 宜しくお願いします!」
沙雪海都
沙雪海都(さゆきかいと)です。
カードゲームにはなんとなーく心得がありますが、遊ぶ相手がいなくてですね……。
●フラグメント詳細
第1章:集団戦『雀牌戦闘員』
麻雀牌です。敵よりルールの説明のほうが大事ですよね。
第2章:ボス戦『忌火起・レッカ』
首領です。謎のカードバトル空間に勝手に移動してカードバトルします。
●TCGのルール
キャラクターのユーベルコード、装備、技能が全てカードとして扱われます。
あなたはそれらのカードを駆使して、敵のユーベルコードを「弱体化」、「無効化」、「防御」、「反撃」等々ができるような組み合わせを作ってください。
手札は5枚です。すなわちユーベルコード1つにつけられる装備・技能は最大4つになります。また、あなたが装備・技能を付けた分だけ怪人も技能をつけてきます(以下参照)
「これとこれとこれを組み合わせたらこうできるから勝てる」みたいなことを言えると、より強くなります。
猟兵と怪人はそれぞれライフを11点持っています。例えば、大成功「🔵🔵🔵」だと怪人のライフが3点減ることになります。
●技能表(あなたが装備・技能をつけた時に怪人がつけてくる技能)
1枚:「変装」
2枚:「早業」「だまし討ち」
3枚:「おびき寄せ」「オーラ防御」「2回攻撃」
4枚:「逃亡阻止」「迷彩」「鎧無視攻撃」「地形破壊」
あなたが1枚何かをつけると、怪人は「変装」の技能をユーベルコードに絡ませてくる、という感じです。
全てが上手く噛み合うとは限らないので、そういう穴を突いてみるのもいいでしょう。
●MSのキャパシティ
合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
でも複数採用リプレイとかは気まぐれで書いたりするのでソロ希望の方は明記しておいてください。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 集団戦
『雀牌戦闘員』
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POW : 国士無双
予め【異なる顔の戦闘員が14人揃う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : 三元牌
【3人同時攻撃】による素早い一撃を放つ。また、【鳴く】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 立直
【相手の行動を読み、作戦通りの攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【狙いすました一発】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
イラスト:ケーダ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
片桐・公明
【POW】
UCに技能3枚つけて対応する
相手の『おびき寄せ』はこちらの近接UCを当てるために無視
「こっちだって攻撃しなきゃいけないのよ。なんで逃げる必要があるのよ。」
相手の『2回攻撃』は[オーラ防御]で対応する]
「ずいぶんぬるい攻撃ね。そんなんじゃ私に触らせてあげないわよ。」
相手の攻撃UCに合わせてこちらのUCをぶつける
こちらのUCに[貫通攻撃][スナイパー]を付けることで相手の『オーラ防御』を貫く
「ずいぶん貧弱な防御ね。そんなんじゃ子供の投石も防げやしないわよ。」
(絡み、アドリブ歓迎)
●カードバトル、開戦
「ゴッドペインター……待てえぇぇぇ!!」
雀牌戦闘員は半ばやけくそになってゴッドペインターを探していた。手にしたカードは握りが強すぎて少し歪んでしまっている。
「変なのが来たー!! たーすけてー!!」
雀牌戦闘員達の包囲網は今、確実にゴッドペインターを追い詰めている。
「捕まえたぞ!」
「いやー!!」
ついに追いつかれた。左右から雀牌戦闘員達がゴッドペインターの腕を掴み、バトルフィールドへ連行しようとしている――その時。
「待ちなさい!」
ひゅん、と手裏剣のように投げられたカードが雀牌戦闘員達の手に命中した。
「いてっ! 何者だ!」
雀牌戦闘員達はカードが飛んで来た方向を見上げる。遠くに見えるはモニュメント。そこには。
「私はしがないカードバトラー……そのゴッドペインターちゃんを連れていくつもりなら、まず私と勝負しなさい!」
片桐・公明(Mathemの名を継ぐ者・f03969)その人の姿があった。
バトルフィールド。そこは一見テニスコートのようだった。ネットは無いが、長方形の領域を二つに区切るように白線が引かれている。
その両サイドに公明と雀牌戦闘員達がそれぞれ立っていた。そしてフィールド内には、彼らの立体映像が投影されている。
カードの効果に応じて立体映像が動き、バトルが繰り広げられるようだ。
「先攻は譲ってあげるわよ」
「その余裕……命取りになるぜぇぇ!!」
公明の口元には自信の笑みが見える。雀牌戦闘員達の先攻、その手には5枚のカード。
「まずはユーベルコードをセット! さーらーに、3枚のカードを伏せて準備フェイズ終了だぁぁ!!」
雀牌戦闘員達は目の前のカード台へ計4枚のカードを伏せて準備フェイズを終え、公明に順番が回る。同じようにデッキから引いた5枚のカード、そこにどんなコンボを見出すか。
「私は……このユーベルコードをセット、そして同じく、3枚のカードを伏せておくわね」
1枚1枚丁寧にカード台へ並べる。これで互いの準備フェイズが終了した。
ここから行動フェイズ。雀牌戦闘員達が攻撃を仕掛けてくる。
「っしゃあ行動フェイズぅぅ!! 俺達のユーベルコードは国・士・無・双!! そして伏せカードを1枚オープン! 技能『おびき寄せ』だぁぁ!! この技能はお前のバトルスタイルを強制的に近接型に変えるぞぉぉ!」
相手キャラクターを自分のほうへ接近させる技能を使い、公明を異なる顔の戦闘員が14人揃う自分のフィールドへ引き付けようとした。立体映像の公明が動く――が、それは自ら戦地に向かうように駆け出していた。
「そんなことされなくたって、元々近接型。なんで逃げる必要があるのよ」
未だ伏せられている公明のユーベルコードは諸葛流舞闘術という体術。おびき寄せることの無意味さを突きつけて、雀牌戦闘員達のカードを1枚無効化していた。
「ぬぅぅぅ!! だが、これほどの数の攻撃を2倍にすれば、到底受け切れまい! 伏せカードオープン! 技能『2回攻撃』! 28連撃、受けやがれぇぇっっ!!」
14人の戦闘員が一斉に飛び掛かる。前方180度から飛び込んでくる拳が公明に降ってきた。
「カードオープン! 技能『オーラ防御』よ!」
明かした1枚、技能により拳の雨を受け止める。連打、連打、連打、押し寄せる波のように放たれた28連撃だが、鍛えられたオーラの防御は悉く拳を止めてみせた。
「ずいぶんぬるい攻撃ね。そんなんじゃ私に触らせてあげないわよ」
「ぬぅぅぅっっ!!」
「今度はこっちからよ! 私のユーベルコード、『諸葛流舞闘術』を受けてみなさい!」
ユーベルコードのカードが表向きになり、今度は公明の立体映像が攻撃に動く。舞踊のようなしなやかな身のこなしを武術に織り交ぜた独自の体術だ。
「こっちも技能『オーラ防御』で防がせてもらうぜえぇぇ!!」
「さぁ、それはどうかしらね」
雀牌戦闘員達はセットした手札をこれで使い切った。対し、公明にはまだ2枚のカードが残されている。
雀牌戦闘員達が守りを固めたところで、公明はその2枚を一気に切っていった。
「伏せカードフルオープン! 技能『貫通攻撃』、『スナイパー』! 一点集中で防御を打ち抜くわ!!」
雀牌戦闘員達が腕をクロスさせオーラ防御を張ってガードを固めるが、公明の拳は一点を狙う。ぐんと伸びた突きがオーラ防御に刺さると、オーラが弾けて掻き消えた。そして交差した腕をすり抜け、ぐぼんと拳が雀牌戦闘員達の喉元を突いていた。
「ぐぉぉぉっっ!! バカなぁぁっっ!」
「ずいぶん貧弱な防御ね。そんなんじゃ子供の投石も防げやしないわよ」
雀牌戦闘員達のカード台から、ユーベルコードのカードがぴんと弾き出された。ユーベルコードブレイク。これにより雀牌戦闘員達のライフに3点のダメージが与えられた。
第1ターンは公明の完勝で幕を閉じたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
城田・紗希
ダークTCG、手札だけだったり山札たくさんだったり、ルール複雑すぎない?(お前らが犯人だ、と言いたげな表情で戦闘員を睨んでる)
まぁいいけど。
まずカードを伏せて(カウンター技能)、UC「流水撃」を発動!
追加効果(範囲攻撃)を乗せるから、身代わり置こうが躱そうが、返す刀で切り刻むよ!
賽の目にして味噌に沈めるよ!!(豆腐にしか見えていない)
●国士無双コンボデッキかな?
「ダークTCG、手札だけだったり山札たくさんだったり、ルール複雑すぎない?」
城田・紗希(人間の探索者・f01927)は眉間に皺を寄せながらプレイヤーボックスに立った。ダークTCGはそれぞれの場所で独自の進化を遂げ、ルールが多種多様化している。
「そんなの知らねぇぜえぇぇ!! 俺達のターン! 今回のユーベルコードはこいつだ! さらに3枚カードを伏せて準備フェイズ終了!」
紗希に準備フェイズが回ってきた。手元にある5枚のカードをじーっと睨む。
「……1枚、2枚、3枚、伏せる。ユーベルコードは……これ」
伏せカードから先に並べ、最後にユーベルコードのカードを台にセット。これで準備フェイズを終える。
「俺達の行動フェイズぅぅ!! 俺達のユーベルコードはぁ……国士無双再びっ!! しかも技能『おびき寄せ』だあぁぁ!! 効果は分かってるよなぁ!? さぁ、来い! 来いぃぃぃ!!」
「うるさいな……呼ばれなくても、行くし」
立体映像の紗希は走り出していた。これまた、自ら向かっているように見える。
「こっちの伏せカード……1枚目、装備『紅時雨』。賽の目にして味噌に沈めるよ!!」
「おぉっとファンキー!! だが、俺達が止められるかぁ!? 技能『2回攻撃』だぁぁ!!」
雀牌戦闘員達は同じコンボを繰り出してきた。14人の戦闘員が繰り出す28の拳。紗希はそれを見て伏せカードに手を掛ける。
「技能『カウンター』発動!」
戦闘員が殴りかかってくるところを、紗希は最小限のステップで回避し反撃の薙ぎを放つ。1人の戦闘員を斬り裂くが、横からはまた別の戦闘員が迫っていた。
間髪入れずに戦闘員の拳が飛んでくる。それらを全てカウンターで返すのは至難の業だった。2人目、3人目と斬り捨てたが、4人目の戦闘員が繰り出す2連撃は避けきれず、刀の刃を盾にして拳を受けた。
このままでは袋叩きだ。ここぞとばかりに紗希はカードを切っていく。
「こっちのユーベルコードは『流水撃』! あと技能『範囲攻撃』! たくさんで襲ってきても、返す刀で切り刻むよ!」
ユーベルコードが発動されたことで紗希の動きのキレが増した。戦闘員達の続く連撃を流れる水の如くするりするりと回避し、裏へ回り込むと袈裟に斬って倒していく。
「うぉぉぉ!! 技能『オーラ防御』ぉぉぉ!!」
残された戦闘員にオーラ防御をかけて、雀牌戦闘員達は守りに入る。紗希は思い切り刀を振り下ろしていったが、がつんとオーラに阻まれてそれ以上の撃破はならなかった。
しかしそれでも、現れた戦闘員の半分以上は斬って捨てた。それにより雀牌戦闘員達のライフには2点のダメージ。猟兵側、紗希にも1点のダメージが入ったが、この調子でライフを削っていけば、先になくなるのは雀牌戦闘員達のほうだ。
紗希の活躍も上々の成果を出したと言えた。
成功
🔵🔵🔴
神海・こころ
▼脳筋少女にTCGをやらせた結果
説明を受けた複雑なルールに、目をぐるぐる
頭から、「「ぷしゅーーーっ!!」」と湯沸かし器並みに煙が出しています
『おぃおぃ大丈夫か?』
これくらい大丈夫ですことよ?
『大丈夫じゃねぇな』
まだ慣れないので先行はお譲りします
慣れない手つき落ち着かない動作、耳を真っ赤にさせながら俯き加減で
カードを選択
UCは『表裏交換』
『んっ?』
伏せカードは3枚
『( ,,`・ω・´)ンンン?』
俯いたままポソポソ使用宣言
人格交換!事象を食潰す!
早業・二回攻撃は激痛耐性(パワー)で受け
オーラ防御は怪力+気絶攻撃(パワー)で叩き潰す!!
『あのバカ!?ルールの記憶を代償に俺様と入れ替わりやがって!!』
●タイミング良くカードを出せ!
フェイズって何それ、おいしいの?
神海・こころ(心海に沈む・f31901)の理解が追いつかない。ルールは一通り説明されたのだがちんぷんかんぷん。ぷしゅーっと湯気が立つほどに頭はフル回転のオーバーヒート。如何せん知力にはステータスが振られていないのである。
『おぃおぃ大丈夫か?』
「これくらい大丈夫ですことよ?」
『大丈夫じゃねぇな』
内なるオウガ、シャー君は冷静だった。まだ長くないとは言え、共に過ごし、生きている。こころの態度やリアクションはおおよそ読めてきた。
「今度はお前が相手かああぁぁぁ!? カードゲームを舐めてもらっちゃ困るぜえぇぇぇ!!」
雀牌戦闘員達の挑発攻撃。効果は……不明、こころには反応する余裕もなかった。ぼんやりバトルフィールドを見つめながら、プレイヤーボックスへと入っていく。
「先攻は……お譲り、します……」
「っしゃああならいかせてもらうぜえぇ!! 俺達のユーベルコードはこれだあぁぁ! さらに3枚のカードを伏せて準備フェイズ終了ぅ!! さぁさぁさぁさぁ! お嬢ちゃんはカードをちゃんと引けるのかよぅぅぅ!!!?」
煽る、煽る。こころは必死に耐えていた。山札は動かないのに、手が震えてしまって覚束ない。それでもどうにか手札となる5枚のカードを引き終える。耳を真っ赤にして俯くこころは、虚ろな瞳でカードを撫でるように触っていた。
「ユーベルコードは……これ」
『んっ?』
こころの選択にシャー君が疑問を呈するが、動き出したこころの手はそのまま次のカードに向かう。
「伏せカードは……3枚」
『……んんん?』
もし傍らにシャー君が立っていたら、思わず覗き込んでいたことだろう。だが内なる者は傍観者以上の何者でもなかった。
「これで……終わり」
「なら早速行くぜえぇぇぇ!! 俺達のっ! カードはっ! こっくっしっむっそうっ!」
ぴらと開かれた雀牌戦闘員達のユーベルコードは三度目の正直、国士無双だった。立体映像にまたまたまたもやの14人の戦闘員。
相手の出方を伺う待機策もあったが、こころの動きは早かった。
一刻も早くユーベルコードを発動させて、そして――。
「アタシは……『表裏交換(バトンタッチ)』! 人格交換! 事象を食潰す!」
早口で宣言されたユーベルコードに従い、ずん、と意識が裏返し。
『あのバカ!? ルールの記憶を代償に俺様と入れ替わりやがって!!』
シャー君見参! とカッコつけている場合ではなかった。目の前に広がるバトルフィールド。そして真っ白な頭の中。
ルールは元々大して入っていなかったが、それでも残っていた一滴、それすら絞りきっての交代劇だ。
(……任せた)
『任せたじゃねぇぇぇぇ!!』
内への咆哮は外へも高らかに。しかし戦いは止まらない。
知っているのは伏せられた3枚のカード、その中身のみ。だが、消え去ったルール――リアルタイムアクティブバトルはその性質上、シャー君にとって都合がよかった。
『だあぁぁぁとりあえず技能「激痛耐性」発動! 攻撃してくんだろおめぇらよぉ!! 全部受けてやるってんだ!!』
鉄砲玉のように立体映像のこころの体は敵陣ど真ん中へと突っ込んでいく。これは雀牌戦闘員達にとって良く言えば思惑通り。悪く言えば、カードを1枚無駄にしている。
「技能『2回攻撃』で倍化だぁぁぁ!! 受け切れるかよぉぉぉ!?」
拳がぶんぶん飛んでくる。こころはぐっと腕を交差して身を固め、がつん、がつんと受け止め続けた。正面、左右と雹のように叩きつけてくる拳は骨をハンマーで殴られるようなきつい痛みだが、こころは歯を食いしばり、耐える。
そうして28回、殴られ続けたこころの体は――立っていた。呼吸は少々しんどそうだが、腕の奥の瞳の光は消えていない。
『好き勝手殴りやがって……今からたっぷり礼をしてやるから覚悟しな! 技能「怪力」と「気絶攻撃」の全乗せだオラァ!!』
ゆら、とこころが動き出す。両腕を一度はぶらんと垂らしたが、すぐにぎゅっと力を込めて拳を作る。
固い拳だ。それは鋼の如く、敵を砕く。
「技能『オーラ防御』だぜぇぇぇ!! こいつでどうだぁぁ!!」
戦闘員達はオーラ防御で貝のように固く体を閉ざす。そこへこころがゆら、ゆらと近づいて、拳を持ち上げた。
ぎちぎちと握り込まれる拳が、振り抜かれた。オーラ防御を飴細工のように叩き壊した拳はそのまま戦闘員の顔面にめぎょんとめり込んだ。
顔面の反発力で戦闘員の体は吹き飛び気絶する。一撃必殺。こころは次なる獲物を見据える。
「な、何ぃぃぃ!? 防御が何の役にも立たねぇだとおぉぉぉぅぅぅ!?」
『こちとら最近黄金バット振り回しまくってんだ! なめんじゃねぇ!!』
図らずも鍛え上げられつつある肉体。腕やら足やらが太くなっていないことを祈るばかりだが、こういう時には役に立つ。
バーサーカー。今のこころを見たカードゲーマーは、そんな形容をするかもしれない。
ぐぎゃん、めぎゃん、と戦闘員達が吹き飛んで、最後に立つのはこころだけ。
雀牌戦闘員達のカード台からユーベルコードが弾き出された。勝者、神海こころ。
『へっ、やってやったぜ。だけどよぉ……あんま無茶ぶりはするんじゃねぇぞ!?』
誇らしくも、最後はビシッと締めるシャー君だった。
大成功
🔵🔵🔵
叢雲・凪
「ドーモ ジンライ・フォックスです…」(軽やかにエントリーし決断的オジギ!)
「カードゲーム… 勝負事… なら つまり カラテだ!」(謎理論)
ボクが使うのは軽量速攻カラテ・ニンジャデッキ。
1枚目に【属性攻撃】を使用!黒雷を付与する。
そして2枚目に【ダッシュ】を発動!
「早業を切るか。早さ比べといこうじゃないか!」
変装でダミーを作り出すか。ならば【全て高速で殺せば良いだけの話】
「UC発動! 手札を1枚捨て【夜天九尾】を使用する!」
手札1枚をコストに発動! 光速を超えた速度で【変装した全員】を攻撃しよう! あるいは 変装する間すら与えないか…
「イヤッー!!!」(カラテシャウトをしつつ高速で駆け回る)
●サンゲンパイ・サン
叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)はプレイヤーボックスを仕切る柵を片手でひょいと跳び越えると、びしっと身なりを正し、
「ドーモ、ジンライ・フォックスです……」
カクン、と90度近くまで曲がって決断的オジギ! 礼儀のキワミであった。
「お、おぅ……おぉぉおぅ……っしゃすっ!」
雀牌戦闘員達は困惑していた。カードゲームはただただ勝者を決めるだけの殴り合い。それがここのルールであったが、凪の態度に少しだけ心を動かされていた。
「カードゲーム……勝負事……なら、つまり、カラテだ!」
「おぉおぅぶっ飛んじまったなぁおいぃぃぃ!? まぁいいぜぇぇぇ、お辞儀に免じて先攻はくれてやるぅぅぅ!!」
凪は自ら構築したデッキをセットする。構成は軽量速攻カラテ・ニンジャデッキ。少ないコストで最大の戦果を目指すスピードデッキだ。シャシャシャッと凪は5枚のカードを引いた。
ざっと一瞥し、ユーベルコードをセット。さらに2枚のカードを伏せる。
「そっちは2枚かぁぁぁ? ならこっちも2枚伏せてターンエンドだぁぁぁ!!」
準備フェイズが終わり、行動フェイズがやってくる。だが、凪は動く気配を見せない。
「そっちが来ねぇならこっちから行くぜぇぇぇ!! ユーベルコード発動! 三元牌だぜぇぇぇぇポォォォォン!!!」
フィールドの立体映像では、白怪人、発怪人、中怪人が一斉に走り出し凪へ迫る。一糸乱れぬ動きで繰り出される三体同時攻撃をさらに加速させるのは、
「技能『早業』そして『だまし討ち』だぁぁぁ行くぜぇぇぇやっふぅぅぅぅ!!」
三体の像が薄くなり、ふっと消えた。加速、加速、加速!! すでに魔の手が凪に迫るか――!?
だが、凪の手は決められた道筋を辿るかのように台の上を素早く動いた。
「『属性攻撃』で黒雷を付与! 続けて『ダッシュ』からのユーベルコード発動! 手札を1枚捨て『夜天九尾』を使用する!」
パパパッ、と3枚のカードが暴かれ、手札の1枚がピンとトラッシュへ弾き出される。
「早業を切るなら……速さ比べといこうじゃないか!」
凪は『黒雷外装【鳴雷】』を解き、黒雷の尻尾が生えた夜天九尾形態となると、ひゅっとその場から消えていた。一瞬、フィールドから全ての立体映像が消えて無の空間となる。
そして次の瞬間。
「イヤッー!!!」
バトルフィールドへ向けて放たれたカラテシャウトに呼応するかのように、空中に凪が出現した。突きの拳が怪人達の体へ重く刺さり、雷を浴びせて地面へと突き落とす。
「ぐおぉぉぉ速さで負けるかぁぁぁ!? だ、だがな……急所までは捉えきれなかったようだ……ぜ……」
一度はバトルフィールドの隅まで転がり滑っていた雀牌戦闘員達。しかし、痺れる体で足をがくがくと震わせながらも、立ち上がってくる。2枚目のカードが、凪の想定をわずかに上回っていたか。
だが、もはや虫の息。このまま押し切れ、猟兵よ――。
成功
🔵🔵🔴
ソルドイラ・アイルー
えっっっ麻雀やらないのですか!? 吾輩がマイ雀卓を持ち出した意味とは……早とちりって怖いですねえ
仕方がありません。これをプレイマット代わりにしましょう。え、だめ? そんなーであります
いやさて悪ふざけは程々に。使用カードは二枚にしましょうか
先ずは吾輩のUCを配置。超防御モードとなり、早業とだまし打ちを受け入れましょう
二枚目にはからくり人形である、コスパ最悪見た目最強の土屍龍オデエンアリヂを生成して置いておきます!
吾輩のデッキのコンセプトはロマン。ロマン砲は打つ為にあるのです。打って勝ちに
集団を蹴散らすデカッコイイドラゴンゾンビを出す為ならば、吾輩はいくらでも攻撃を受け入れますとも!!
●男なら撃てよロマン砲
この日、最も荷物が豪快だったのはソルドイラ・アイルー(土塊怪獣・f19468)かもしれない。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
ソルドイラが持ち込んだのは雀卓。マイ雀卓であった。雀牌戦闘員大歓喜。それは魂の咆哮だった。
だが――だが! ここはカードゲームのフィールド。それが絶対の掟。
「ジェントゥゥゥゥル!! ありがてぇ! ありがてぇんだが俺達は! カードゲームで決着をつけなきゃならねぇんだ! これはあれかぁ!? もっと早くに出会っていたら友達になれたかもしれないのにってやつかぁぁぁぁ!?」
「えっっっ麻雀やらないのですか!? 吾輩がマイ雀卓を持ち出した意味とは……早とちりって怖いですねえ」
「早とちりかぁぁぁぁ……顔に似合わずお茶目じゃねぇかチクショウ!!!」
死ぬならいっそ、カードゲームに溺れて死にたかった。それが最後の最後で、こよなく愛する麻雀を思い出すことになるとは……。天の戯れは恐ろしい。
「仕方がありません。これをプレイマット代わりにしましょう……おぉう?」
プレイヤーボックスに雀卓を運び込むと、肝心のカード台に手が届かない。
「ジェントゥゥゥゥル!! 気持ちはわかるが無茶はよしてくれぇぇぇい!! さすがにカード台が壊れちまうよぉぉぉ!!」
「だめ? そんなーであります」
泣く泣くソルドイラは雀卓をプレイヤーボックスの外に出してカードを手に取ることになった。
この一連の流れは余興みたいなものだった。ソルドイラは気を取り直してカードを選ぶ。ユーベルコードに伏せカードが2枚。
「終わりであります。ささ、そちらもどうぞ」
「おぅおぅ!! ジェントゥルは良い奴だと思うがカードバトルとなっちゃ手は抜けねぇ! 俺達のカードはこれだぁぁぁ!!」
バシッ、と台にカードを叩きつける。伏せカードは同じく2枚。
「ジェントゥル、お前の行動でバトルスタートだぜぇぇぃ!!」
「では、いきましょう……まずは伏せカードを1枚開きます……『無敵城塞』による超防御モードです!」
ソルドイラはガチンと鉄壁の守りを繰り出した。全く動けなくなるというデメリットを負って、あらゆる攻撃に対する耐性を手に入れる。
「そして、『土屍龍オデエンアリヂ』を生成……これでよいですよ」
ソルドイラも3メートルに届こうかという巨躯だが、それを超えるドラゴンゾンビが、ドンとバトルフィールドに配置された。それでバトルフィールドの半分以上を占めている。生成コストが極めて高く、実戦的な使用場面はなかなかお目に掛かれないのだが、此度はカードゲーム故、ロマンを求めて繰り出したのだ。
「守ってくるか……。お前の盾が勝つか、俺達の拳(けん)が勝つか……勝負だジェントゥゥゥゥル!! 俺達のユーベルコードは三元牌ッ!! そして技能『早業』と『だまし討ち』で不可避の合わせ技を食らえぇぇぇぃっ!!」
ひゅん、と三体の怪人の姿が風に乗って消え、直後にはソルドイラの頭上へ飛び出していた。三方から一斉の殴り下ろす一撃が寸分違わぬタイミングでソルドイラの顔面を打つ。
拳は固まったかのように動かない。鋼鉄を打ったような反動が怪人の手に返っていた。
「ぐおぉぉぉ……俺達の、ユーベルコードで、抜けねぇとはよぉ……」
「……さて、ロマン砲は撃ってこそ。そのためならいくらでも攻撃を受け入れますとも」
3人、3倍の同時攻撃を脱力状態で受け切った。ソルドイラのカード台の、本命のカードが開かれる。
オペラツィオン・マカブル――ドラゴンゾンビがぐわぁぁぁと口を開く。
そして吐き出した、三位一体の攻撃力をそのまま乗せたゾンビブレス。毒ガスのようなブレスがぶわっとバトルフィールドを呑み込んだ。
「ジェントゥル……最後に、お前と戦えて……よかった、ぜ……」
怪人の立体映像が全て消滅すると、雀牌戦闘員の本体もカード台に突っ伏すように倒れ、山札が巻き込まれ崩れていく。ユーベルコードのカードは宙に吐き出され、雀牌戦闘員のライフが尽きるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『忌火起・レッカ』
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POW : 来たぜ……オレの切り札がァッ!
無敵の【時と場合に応じた特殊効果付きのモンスター】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD : テメェ自身が放った呪文で自滅しなァ!
対象のユーベルコードに対し【その効果対象を別のものに変更する速攻魔法】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
WIZ : 時間を稼ぎやがれ、《爆弾人形(マネボム)》共ッ!
戦闘力のない、レベル×1体の【召喚者自身への攻撃を捨て身で守る爆弾人形】を召喚する。応援や助言、技能「【かばう】、【時間稼ぎ】、【捨て身の一撃】」を使った支援をしてくれる。
イラスト:すねいる
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠惑草・挧々槞」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●闇のゲームの始まり、始まり
「雀牌共を倒したからっていい気になるんじゃねぇゼ!」
猟兵達がいるバトルフィールドの景色がひゅっと変わる。そこは、宇宙空間を思わせるような広大なフィールド。無数の星の瞬きが戦いの場を照らしている。
猟兵達の前に姿を現したのは、堕悪苦(ダーク)TCGの首領、忌火起・レッカ。
「このオレが出てきたからには、タダでは帰さねぇ……覚悟しなァ!!」
突きつけるカードから溢れ出す邪気は、猟兵達を新たなるカードバトルに引き込んでいく――。
片桐・公明
【WIZ】
UCで敵UCごと焼き払う
そのために[貫通攻撃]で敵の群れを貫くようにして
[属性攻撃]で火属性を付与して誘爆を誘う。
敵の[逃亡阻止]は逃げつるつもりがないため意味が無い
「……いや、これから戦おうっていうのに逃亡も何もないでしょ。」
敵の[地形破壊]は安全圏からの遠距離攻撃になるため意味が無い
「悪路でも戦えこその猟兵ってね。」
敵の[迷彩]は[吹き飛ばし]を使用して無効化する
「隠れても無駄よ。私のこの一手で暴いてあげる。」
敵の[鎧無視攻撃]は[2回攻撃]の内1回を使用して相殺する
「防げないっていうなら、打ち消すだけよ。」
(絡み、アドリブ歓迎です。)
●意表を突くボムコンボ
「もちろん……『タダ』で帰るつもりはないわよ。あんたの『首』を頂くまではね」
「ハッ、言ってくれるゼ……なら遠慮はいらねぇなァ!! オレのターン!! ドロー!」
レッカは手札となる5枚のカードを山札から一気に持ってくると、すぐさまユーベルコードをセット、さらに残りの手札を全てカード台に叩きつけた。
躍動感のある動きでジャケットの裾が跳ねる。
「喜んでいいゼ、最初から全てのカードでぶっ潰す!」
「あら嬉しい。ならそれを潰せば、言い訳の余地もなく完敗ってことよね」
公明は1枚ずつカードを取りながら、レッカと言葉の応酬を繰り広げる。舌戦は互角――ならば決着はカードでつけるしかない。
「ユーベルコード、セット。あいにく、私も全力を出す準備はできているわよ」
「さっきの言葉、そっくり返すゼ。惨めな言い訳なんざ考える暇も与えねェ! 行動フェイズ! 時間を稼ぎやがれ、爆弾人形(マネボム)共ッ!」
レッカの立体映像の前に、無数の爆弾人形がずら、ずら、ずらりと並び立つ。マネキンのような体に火薬が詰め込まれ、ちょっとした衝撃でも即爆発。それがレッカの身を守る盾となった。
「へぇ……威勢のいいこと言ってた割に、時間稼ぎなんて姑息な手を使うのね」
「そう思うのは三流の証だゼ! 伏せカード発動! 技能『逃亡阻止』でまずは退路消去! 後で泣いても知らねぇゼ?」
「これから戦おうっていうのだから逃げるつもりはないし、敗走だってする気はないわよ。よってそのカードは無効同然……ご愁傷様」
レッカのカードに対し公明は素で対応し無効化する。手札を消費せずカードを打ち消したことで、状況は少し公明の有利に傾いた。
「爆弾人形共ッ! 囲んで潰せ! 技能『迷彩』、『地形破壊』、『鎧無視攻撃』で超強化だ! 行けェ!!」
爆弾人形達が百鬼夜行のように動き出した。レッカがつぎ込んだ技能のカードに加え、爆弾人形自身が捨て身の一撃という技能を所持している。それにより本来戦闘力がない爆弾人形達に凄まじい破壊力が付与された。
そして数の暴力。今、公明の目の前に存在する爆弾人形達が全て捨て身で爆発するようなことがあれば、たとえ元の火力が低くても無事では済まない。
だが公明は冷静だ。思考したイメージが立体映像に伝わり、公明はそれぞれ手にした二丁の銃を交差させて構える。
爆弾人形達は迷彩で周囲の景色に溶け込んで視認が難しくなっていた。辛うじて空間に一部、薄ら切れ目のような爆弾人形達の輪郭が見えなくもないが、そんなものを血眼になって探していたら勝負にならない。
「力の差というものを……教えてあげるわよ! 技能『吹き飛ばし』! マネキンに皮を被せたってところでしょうから、全部吹き飛ばすわよ!」
突風が爆弾人形達の迷彩を剥いでいく。不思議なカードバトル空間に再び現れた爆弾人形達だが、このカードバトルでは行動フェイズが始まれば一切止まることはない。公明との距離を詰め続けていた爆弾人形達はもう眼前に。そこからヘッドスライディングの要領で公明へと飛び掛かって来た。
鎧無視――全ての防具の効果を無効にする。雪崩のように押し寄せてくる爆弾人形達に、公明はついにユーベルコードを発動させた。
「ユーベルコード……紅蓮『赤壁乃業火』――母の歴史。父の知識。それを興すは私の能力。すべて焼き尽くす!! さらに技能『2回攻撃』! 防げないっていうなら、打ち消すだけよ!」
起点となるのは二丁の拳銃。銃口から至近に迫った爆弾人形達へ業火のごときエネルギー砲を発射した。彗星のような極太レーザーが爆弾人形達を着火させ、レーザーの中に真っ赤な爆発が生じる。爆風、爆炎――爆発の余波が広がるが、エネルギー砲が相殺したことで公明までは到達していなかった。
「そのまま誘爆して全部いなくなってしまえばいいわ! 技能『貫通攻撃』、そして『属性攻撃』による火属性付与!! はあぁぁっっ!!」
カード台を通じて公明が持てる気合を全てバトルフィールドに注ぎ込む。拳銃から放たれるエネルギーは大蛇のように太く燃え上がり、爆弾人形達を取り囲むように広がった。そのまま焔は締め上げるように爆弾人形達へと纏わりつく。
スドン、と一体が爆発すれば、密集した爆弾人形達は次から次へと誘爆し、消滅する。爆発地点はバトルフィールドが円形に抉れ亀裂が広がっていたが、公明はほとんど動くことなく焔を放ち続けているのだから地形破壊も意味を成さない。
レッカの想像力豊かなカードコンボは、公明の的確な対応により打ち崩される。バトルフィールドの全ての爆弾人形が無残に散ってしまった時、レッカのカード台からユーベルコードが弾き出された。
「クソッ! クソッ! クッソォォォォッッ!!」
両手をカード台にダンダンと叩きつけるレッカ。まだライフが3点削られただけではあるが、己の全力を余裕を持って上回られたことが殊の外悔しかった。
大成功
🔵🔵🔵
城田・紗希
貴様が犯人かー!(ブチギレついでに、空き缶だかペットボトルだかを投擲)
なんで前のレッカとルール違うの!山札ないから、トークンモンスター並べて時間稼ぎとかできないじゃない!
(意識とか知識が共有されない、という前提すっぽ抜けて憤慨)
いいよもう、全力で叩きのめすから!
まずは技能で威力を高めて(全力魔法、範囲攻撃、鎧破壊)、ウィザードミサイル発射!
爆弾は火気厳禁でしょ、こっちから着火してあげる!(中央線を突破される前に狙い撃ち)
そして残った矢を戦犯レッカになだれ込ませる!(怒りに満ちたせいか、火力強めの気がする)
●やり場のない怒りを受けよ
「貴様が犯人かー!」
紗希はこのバトルフィールドへ飛ばされる前に拾っていた空のペットボトルをぶんとレッカへ投げつける。
「おっと、盤外戦術はなしだゼェ」
くるくると飛んだペットボトルをレッカはパシッと正面で受け止めた。紗希が憤慨しているのを見て逆に落ち着いたのか、レッカはペットボトルをカード台の隅に置くと、使い切った手札を補充していく。
「なんで前のレッカとルール違うの! トークンモンスター並べて時間稼ぎとかできないじゃない!」
「ハァ? 言ってることがよくわからねェゼ? このカードゲームはこういうルールだろうが」
骸の海には過去の繋がりというものが存在しない。たとえ紗希が以前どこかでレッカと戦っていたとしても、それと今目の前にいるレッカは全くの別存在と考えたほうがいい。
「いいよもう、全力で叩きのめすから!」
紗希も手札を揃えたが、手札の中身よりも、レッカの顔をギロギロと睨みつけている。
「ンだよ……ほら、3枚のカードを伏せたゼ。そっちの番だ」
「こっちも3枚! ほら!」
紗希もレッカも、ユーベルコードに伏せカードが3枚。
「んじゃあこっちからいくゼ! 来い! 爆弾人形共!」
レッカのユーベルコードは再びの爆弾人形。バトルフィールドにマネキンが並んでいく。
「おらァ! 来いよ、技能『おびき寄せ』だぜェ!!」
「行くよ! 行けばいいんでしょ!!」
むきぃーっと怒鳴りながら紗希はずんずんマネキンの元まで進んでいく。だが、そのまま自爆に巻き込まれに行くわけではない。
「こっちは『ウィザードミサイル』! それに技能は『全力魔法』、『範囲攻撃』、『鎧砕き』! 爆弾は火気厳禁でしょ、こっちから着火してあげる!」
中央線付近まで突っ込んでくると、爆弾人形達が動き出す前に全力の炎の矢を生み出した。広く並ぶ爆弾人形達に、広く並んだ矢が向き合う。燃え盛る炎は紗希の怒りのように滾っていた。
「発射ぁっ!!」
「おっと、こっちも使わせてもらうぜ! 技能『オーラ防御』、『2回攻撃』! 爆弾人形共の二段構えだ!」
さらに一列、爆弾人形が追加され、その前にオーラの壁が張られた。炎の矢は壁に着弾し、ぼぅっと火の海が壁の上に広がっていく。
「むぐぐぐぐ……もっともっと、全力でっ!! うぁああぁぁぁっっっ!!」
「チッ、どこにそんな力が……!」
プレイヤーボックスに立っているレッカ本体も驚くほどの、腹の底からの叫び。それは紗希の体に眠る全ての魔力を呼び起こす。
魔力の暴走にも似た奔流が起こり、矢は炎の渦を纏ってなお放たれる。オーラの上の炎の海はさらに広がりを見せ、そして――。
「なっ――爆弾人形ゥゥゥゥゥ!!!!」
鋼鉄よりも強固だったものは、一つの亀裂から一気に破壊、炎がマネキン型の爆弾人形達に直撃して大爆発を起こした。その爆風がレッカを巻き込む中、追い討ちとばかりに紗希は余った炎の矢を束ね、全部纏めてレッカに撃ち込んだ。
立体映像のレッカが苦しむと、連動してレッカ本体も胸を押さえてカード台に突っ伏す。
「ガァァ……喉が、焼ける……!」
「ふん、いい気味!」
紗希は残った手札をカード台に叩きつけると、鼻息荒くガッツポーズをしてみせた。
大成功
🔵🔵🔵
アリステル・ブルー(サポート)
「この状況、さてどうしたもんかな」
僕は、周囲をよく見て状況を判断して行動するよ。
基本的に黒剣を細身の剣にして戦うね。
UCはその場の状況に合わせて、攻撃/回復問わずどれでも使うね!
でも人狼咆哮だけは味方や保護対象(NPC等)を巻き込まない様にします!出来るだけ使わない方がいいかな?
状況の好転とか、僕が有益だって判断すれば多少の怪我は厭わず、積極的に行動するよ。
もしも連携してくれる猟兵さんがいるならば、相手のサポート(UC発動までの時間を稼いだり、囮になったり)にまわるね。
仲間の誰かが指示を出してくれるなら、僕はそれが有益である限り従います。
(アドリブ連携すべておまかせします、お好きにどうぞ!)
●三度の正直、実るかどうか
「この状況、さてどうしたもんかな」
アリステル・ブルー(果てなき青を望む・f27826)は5枚の手札とにらめっこ。ユーベルコードと技能と装備、どれもあるが、有効そうな組み合わせを選び出すのに難儀していた。
「おいおい、まだかァ? 時間制限はねぇが……早く頼むゼ」
「すみませんね……では、これで」
アリステルはユーベルコードをセットしさらに1枚のカードを伏せる。
「じゃ、いくぜ……今日はこいつの働きが悪ぃが……オレはカードを信じる。爆弾人形だァッ!」
またもやマネキン型の爆弾人形達が並ぶ――だが、今回は装いが異なった。それぞれワンピースやらジャケットやらと、本物のマネキンのように衣服を着ている。
「驚いたか? コイツだよ……技能『変装』。この中には超強力な爆弾が内蔵された爆弾人形もあるぜェ……?」
軍隊のようにビシッと揃った足取りで爆弾人形達はじりじりアリステルの陣へと迫ってくる。爆破するにしても、当たりを引けば自陣全体がドカンだ。
「変装……では、僕の伏せカードが役に立ちそうかな?」
アリステルは指先で伏せられたユーベルコードと技能を開く。
『そのさえずりは深き眠りを誘い、蒼穹を舞う翼は僕の敵を翻弄する……お願い! 今ひとときだけ君たちの力を貸して!』
アリステルの周囲に鳥を模した剣が召喚される。幾何学模様を描き複雑に飛翔する剣が爆弾人形目掛けて飛んでいくが、それと共にアリステル自身も駆け出していく。
「僕のもう1枚のカードは技能『偵察』……これにより、最も危険な爆弾人形を見極めてあげるよ」
服装こそ様々に違えど、マネキンとしては大して差が無いように見える爆弾人形達。だが、わずかな体格の違い、動きの違いで危険なものを見極める。
「君達は、眠っておいてね」
剣の催眠が一部の爆弾人形を襲う。ガタ、ガタンと足首、膝、太腿の付け根が順に折れてフィールドに倒れた爆弾人形を見て、レッカは顔を青くする。
渾身の爆弾人形達が見破られ、行動不能にされた。残る爆弾人形に対してアリステルは、自陣を広く動き回りながら爆発に巻き込まれぬよう、剣で切り付け爆破していく。
「さて……お前を守る者は、もういないようだ」
アリステルはドスの利いた口調へと急変した。真に敵を見定めた時、アリステルは厳しさを湛えて敵に向かう。
剣はアリステルの頭上で小鳥のようにくるくると回転していた。アリステルが視線を動かすと、その視線の先にいるレッカへ向けて剣が飛翔し切り刻む。
立体映像が歪む。同時にレッカの体へ斬撃の激痛が走っていた。
「うぐぅぅぅぁあぁ!!」
痛みに堪えて握り締める手が、ぐしゃとカードを潰していた。
成功
🔵🔵🔴
アーレ・イーナ(サポート)
サイボーグの戦場傭兵×咎人殺し、20歳の女です。
普段の口調は「ボクっ娘(ボク、~君、~さん、だね、だよ、~かい?)」、敵には「冷酷(私、てめぇ、だ、だな、だろう、なのか?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
●二度目の正直
「ボクのユーベルコードはこれだ! さらに伏せカードを1枚、準備はこれでいいよ」
アーレ・イーナ(機械化歩兵・f17281)はそう宣言すると、二ッと自信ありげな笑みを見せる。
カードゲームでバトル。驚きもあったが、それ以上にワクワクしている。
このバトルフィールドでは、戦ってくれるのは立体映像。本人はこうしてカード台の前でカードを伏せ、めくり、宣言をしていれば良いのだ。諸々の事情により力加減が悩みの種だったアーレにとっては、普通に戦うよりもいいパフォーマンスが出せそうだった。
「なら、オレのカードはこいつだ。さらにカードを1枚伏せる。いいぜ、こいよ」
レッカは指をくいくいと曲げて挑発してきた。乗るか、乗らぬか。それはもちろん。
「じゃあ遠慮なく……ユーベルコードは『咎力封じ』だよ! さぁ、食らえっ!!」
アーレはユーベルコードをオープン。咎力封じは手枷、猿轡、拘束ロープを放って攻撃力を奪う、補助系統の力だ。アーレの立体映像が空からその三種の神器を取り出すと、レッカへ向けて手裏剣のように放った。
「ンなもん効かねェ! テメェ自身が放った呪文で自滅しなァ!」
その叫びがまさにレッカのユーベルコード。カードを開き、迎え撃つ。レッカに向かってきた三種の神器、その対象を変える速攻魔法をレッカは放つ。
淡い青色の光線が放たれた。飛来する三種の神器へ命中すると、それらは明後日の方向へ飛んでいく。
アーレの行動は不発に終わったかと思われたが、まだ決着はついていない。伏せられたカード、それに命運が懸かる。
「まだまだ! ボクの伏せカードは技能『2回行動』! もう一発、いくよっ!」
二投目があった。アーレは再び投擲する。今度こそ命中するか。
レッカの伏せカードは――。
「チィッ! こいつは攪乱系……うぐぅぅあぁぁっっ!!」
手枷がレッカの腕の自由を奪い、猿轡が会話の自由を、拘束ロープは足の自由を奪ってユーベルコードが封じられる。
伏せられたままのカードは技能「変装」。アーレの行動を深読みし過ぎたか――レッカはライフを削られることとなった。
成功
🔵🔵🔴
フルム・サーブル(サポート)
余裕があるときや敵に憐れみを感じる場合は基本通りの穏やかな口調
余裕がなかったり、敵がえげつなくて怒りを感じるような場合は
「敵には」の口調です
でもあまりキャラぶれは気にしないので
公序良俗に反しない限りは好きに扱ってください
技能は【力溜め】【怪力】【グラップル】【シールドバッシュ】【カウンター】など
セットされているもの(サバイバル等の事情でばらつきがあります)
を活用し、小さい体で戦場を飛び回りながら
優雅(自称)な戦いをします
どうみてもそのスタイルは脳筋です
武器は鍵(バトルアックス)や杖(バールのようなもの)をメインに使いますが
選択されたユーベルコードによっては拳一つでの戦いも可能です
●妖精さんは強い!
フルム・サーブル(森林の妖精さん・f03354)はどこか愛おしそうにカードに触れていた。
「カードゲームってねぇ……ほら、この年になるとなかなか触れる機会もないものだから」
5枚のカードを並べて見比べる。さてさて、どうしたものか、と悩みつつ。
「……うん、決まりだ。僕はユーベルコードに、伏せカードを3枚といこう」
フェアリーサイズのカードには設置されたカード台が大きすぎるが、立体映像が動くバトルフィールドを挟んでいるので相手に覗かれることもなく、フルムは自由にカードを動かしていた。
「よーし……あぁ、後がねぇなァ……」
レッカの残りライフは1。つまり、フルムを完封することができなければ、その場で敗北となる。
「だがな……オレはカードに愛されている。来たぜ……オレの切り札がァッ!」
ユーベルコードを開く。すると、レッカの前方に巨大なドラゴン様のモンスターが生み出された。
「こいつは『バージ・ドラッヘン』! ライフが3以下の時に限り召喚可能な特殊モンスターだ! そういうユーベルコードなんだよ、こいつはなァ! おいおいどうする? オレは無敵のモンスターを召喚しちまったぜェ?」
無敵。それは戦いにおいて不可侵の領域。何者も踏み込めない聖域に、レッカは到達したと言うのだ。
「いやあ、大きいね……だけど、無敵というのは幻さ。僕がそれを証明してみせよう。……大きければ大きいほど、倒し甲斐があるというものだ。ユーベルコードは『妖精さん大金星(フェアリージャイアントキリング)』――その巨体、仇にならないといいね」
フルムは全身を薔薇の舞い散る旋風で覆い、超々高速の飛翔能力を得ると、モンスターの腹へと一直線に突っ込んでいった。大きさは違えど、その様は相撲のつっぱり稽古のようだ。
「はっ、そんな体で何ができるってんだ」
「そういう時の技能、そういう時の伏せカード……ってところかい? タイミングとかよくわからないから、もう全部使っちゃうよ。『力溜め』、『怪力』、『グラップル』で一気に持ち上げちゃうよ」
ドン、ドン、ドン、と技能が上乗せされたフルムは途轍もない膂力を発揮した。それはおよそフェアリーサイズでは考えられないほどの――アリが鉄球を持ち上げるとか、そういうレベルの力だった。
モンスターにとってはフルムなどゴマ粒程度。だが今、そのフルムに巨体が持ち上げられている。
「なっ――なんだとォ!?」
今、自分は現実を見ているのか――レッカの頭は混乱していた。絶対無敵のモンスターが、たかがフェアリーに持ち上げられるなど――。
目の前の光景がレッカに疑念の感情を湧き上がらせる。それが無敵の力を崩壊させ、モンスターを一介の怪物へと貶めてしまう。
「いくよー! それっ!」
掛け声と同時に、モンスターの巨体は宙へ投げ飛ばされた。高々と浮き上がった巨体は、フルムがさっと避けた場所に垂直に落下し、バトルフィールドをその巨体で崩壊させた。すると綿菓子のように、ぶしゅうとモンスターの体が溶けていく。
「なあぁぁぁぁぁ!? ま、負けた……うっ、ぐぅぅぅぅぅ……ァァァアアアアアアッッッ!!!」
ライフが0になった途端、レッカは激しく苦しみ始めた。カードが全てを決める空間。それはライフが命と同等の意味を持つ。
猟兵達に敗北したレッカに待つのは死――。
レッカは己の願望のために作り上げた世界で、最も無残な死を遂げるのだった。
成功
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最終結果:成功
完成日:2021年02月06日
宿敵
『忌火起・レッカ』
を撃破!
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