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ヴィーナスヘアーはハートブレイクに慰めを

#キマイラフューチャー #猟書家の侵攻 #猟書家 #ミズ・ルチレイテッド #バーチャルキャラクター

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●宇宙船団ルチレイテッド
 その漆黒の漿船(クリスタルシップ)がキマイラフューチャーの地球へと迫っていた。
 言うまでもなく、その漿船はキマイラフューチャーのものではなく、スペースシップワールド由来のものであった。
「……美しい! 機械とリゾートに満ちた、なんと美しい星だ!」
 猟書家『ミズ・ルチレイテッド』は、彼女の素を知る者からすれば、芝居がかった言葉遣いに違和感を覚えたことだろう。

 それもそのはずである。
 今の彼女は猟書家『プリンセス・エメラルド』の麾下でありながら、同時に猟書家『キング・ブレイン』の傘下にあるのだ。
『ミズ・ルチレイテッド』に課せられた役目は一つ。
 スペースシップワールドにおける『帝国継承軍』の戦力拡充である。
 それにはまず『宇宙怪人』の存在が不可欠なのだ。強力な怪人を宇宙に適応した者へと改造する。そのための『スーパービーム』がこの『宇宙船団ルチレイテッド』には備えられている。
「なかでもあの、颯爽とランウェイを歩くアイドル達の美しさ! あの美しき者達が、まさか疑似生命体……バーチャルキャラクターだというのか?」
 芝居がかった口調は変えずに『ミズ・ルチレイテッド』は驚嘆する。
 綺羅びやかな衣装を自在に変化させ、時には明るく、時には妖艶に見る者を魅了して止まないバーチャルキャラクターたちの姿に彼女は驚きと、同時に『帝国継承軍』の戦力に変えるにふさわしいと判断したのだ。

「漿船よ、スーパービームを照射して彼らを『宇宙怪人に改造するのだ! 圧倒的な『美』によって、この星を征服してくれよう」
 彼女の目的は恐るべき物であった。
 バーチャルキャラクターたちは確かにキマイラフューチャーにおいて大きな人気を持っている。
 そんな彼らが宇宙パワーで洗脳され、邪悪なる洗脳ソングを歌ええば悪の組織連合による世界征服など容易い。

「アハハハ、アハハ、アハハハハ……!」
『ミズ・ルチレイテッド』の高笑いが漿船の中に響き渡るのだった――。

●漆黒の漿船来たりて、嫉妬の炎燃え盛る
 妬み、嫉み。
 それは言うまでもなく他者が存在するからこそ起こりうる感情の起伏であったことだろう。
 己より優れたるを持つ者。己より多きを持つ者。己より恵まれた者。
 それらに対する嫉妬の心は、どす黒い炎となって燃え上がる。
「バレンタインプレゼント……? 許せぬ……どうせ、俺は義理チョコが関の山よ……! 何故だ、何故なのだ! 何故俺には義理チョコしかないのだ! 本命チョコは何故……!」
 その怨嗟の声は凄まじい怨念が籠もっていた。
 あらゆる世界を燃やし尽くす漆黒の炎は情念の炎である。声の主、『ハートブレイク・チョコレート怪人』は嫉妬に駆られていた。

 いや、正確には溢れ出るコズミックなパワー、即ち宇宙パワーによって宇宙怪人へと変貌した『ハートブレイク・チョコレート怪人』である。
「バレンタインデー2021は中止、中止だ! 何がバレンタインプレゼントだ! 許せるものか! キマイラ共も騒ぎに乗じて、己たちばかりで楽しむつもりなのだろう! 俺には義理チョコしかないというのに……!」
 その情念の炎は凄まじい勢いで持って吹き上がり、そのコズミックなパワーを知らしめる。
「バレンタインデーを推進するバーチャルキャラクターたちも同罪だ! 『ミズ・ルチレイテッド』の目論見など知ったことか! やつらもスーパービームで洗脳してもらって、バレンタインデーなどめちゃくちゃにしてくれる!」
 お、雰囲気変わったなーと思った方々も多いだろう。

 言うまでもない。そういうやつである。
 毎度おさわがせします、しっちゃかめっちゃかな事件です――。

●一足早いバレンタインデー防衛戦
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
 彼女は何故か集まってきた猟兵達に小さな袋の包を手渡し始めていた。
「お集まりいただきありがとうございます。これをどうぞ」
 え、なになに。
 手渡された袋の中に入っていたのは小さなチョコレートであった。なんで今? と思った猟兵達を前にナイアルテは微笑む。

「いつもがんばってくださっている皆さんへのささやかなお礼……というわけではなく、今回の事件に関するものです」
 ナイアルテが言うには、今回の事件もまた猟書家の影があるのだという。
 予知した内容は、宇宙パワーによって洗脳、改造された怪人、即ち『宇宙怪人』である『ハートブレイク・チョコレート怪人』がバレンタインのキャンペーンを行っているバーチャルキャラクターを拐って、洗脳し邪悪な洗脳ソングを広めさせようとするのだという。

「幸いにバレンタインキャンペーンのバーチャルキャラクターを拐かそうとする『ハートブレイク・チョコレート怪人』が襲来するタイミングで転移できるのです」
 未だ犠牲者が出ていないことが幸いである。
 もしも、バーチャルキャラクターがさらわれて洗脳ソングを流されてしまえば、キマイラたちはあっという間に世界征服の礎にされてしまうだろう。
 そんなことがあっては猟書家の目論見通りである。
「ただ、今回の怪人は……その、なんといいますか……」
 ナイアルテにとってはあまり馴染みのない感情なのだろう。
 その強大なる嫉妬のエネルギーを持つ宇宙怪人の凄まじい感情のうねりに戸惑っているようだった。

「……バレンタインに対する並々ならぬ感情を持った怪人なのです。間一髪のところで助け出されたバーチャルキャラクターさんの応援があれば、宇宙怪人『ハートブレイク・チョコレート怪人』の嫉妬のエネルギーも中和されると思うのです」
 そんなにチョコレートがほしかったのでしょうか、とナチュラルに煽っていることに気が付かないナイアルテ。
 小首をかしげながら、それでも宇宙怪人がバーチャルキャラクターを誘拐することは防がねばならない。

 それがキマイラフューチャーを救うことにもなり、同時にバレンタインデーを楽しみにしているキマイラフューチャーのキマイラたちをも救うことになるのだ。
 故にナイアルテは微笑んで猟兵たちを送り出す。
 ささやかな甘い香りは、きっと彼女の手作りの成果だろう。甘い恋人たちの時間を護るため、後、宇宙怪人に共感しつつも、打倒しないといけない悲しみを背負って征け、猟兵――!


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はキマイラフューチャーにおける猟書家との戦いになります。
 スーパービームによるコズミックなパワーによって宇宙怪人へと変貌を遂げたバレンタイン憎し、イチャイチャするカップル憎しのパゥワーに目覚めた『ハートブレイク・チョコレート怪人』と猟書家『ミズ・ルチレイテッド』を打倒するシナリオとなっております。

 ※このシナリオは二章構成のシナリオです。

●第一章
 ボス戦です。
『ハートブレイク・チョコレート怪人』は、漿船からのスーパービームの照射によって宇宙のパワーを得た宇宙怪人です。
 その頭部ににはひび割れたハートの被り物がありますが、その色は赤ではなく宇宙空間のような銀河のようになっています。
 言うまでもなく、嫉妬のパワーとバレンタインへの憎悪で大変に大変な強い宇宙怪人となっています。

 が、残念ながらお察しの通りです。
 しっちゃかめっちゃかに煽るとブチ切れる煽り耐性ゼロなので、バーチャルキャラクターの応援があったりすると、面白いくらいに煽られます。

●第二章
 ボス戦です。
 宇宙怪人を打倒すると皆さんは光りに包まれ、甘いチョコレートの匂いが漂うバレンタイン仕様の謎の異空間へと転移されることになります。
 そこで待ち受ける猟書家『ミズ・ルチレイテッド』との決戦になります。

 ※プレイングボーナス(全章共通)……バーチャルキャラクターに応援される(ちなみに戦力はゼロです)。

 それではバレンタインにはまだ早いですが、嫉妬にかられ超パワーアップした宇宙怪人と猟書家を打倒し、バーチャルキャラクターを守護する物語の一片となれますようにいっぱいがんばります!
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第1章 ボス戦 『ハートブレイク・チョコレート怪人』

POW   :    ジェラシックフレイム
【チョコレートの頭部から噴き出す嫉妬の炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【嫉妬の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    センチメンタル・ギリチョコワールド
戦闘中に食べた【義理チョコ 】の量と質に応じて【過去の悲しみを糧として】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    ジェラシック・ラブイーター
【嫉妬 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【とろけるチョコの塊】から、高命中力の【愛を食らう触手】を飛ばす。

イラスト:烏鷺山

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠滝舘・穂刈です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「フハハハハ! 貴様はこれからバレンタインキャンペーンのバーチャルキャラクターではなく、バレンタイン撲滅キャンペーンのバーチャルキャラクターとなるのだ! 来いッ!」
 嫉妬に燃えるどす黒い炎となったオーラを迸らせながら、宇宙怪人『ハートブレイク・チョコレート怪人』はバレンタインデーが近いことをお知らせるする可憐なるバレンタイン衣装に身を包んだバーチャルキャラクターの女性の手首を掴み引っ張り上げていた。
 もはや、その瞳……いや、瞳どこあるかわかんないけど、まあ、なんとなく心眼的なやつは、どんより濁りに濁っていた。
 あらゆるイチャイチャする者達が許せない。
 手をつないでいるだけで敵認定である。
 腕を組んでいようものならば、物理的に引き裂きたく為るし、恋人握りなんてしようものなら公然猥褻物陳列罪にて、警察が裁かぬのならば己が裁くくらいの気概を持っていた。

 正直に言えば、嫉妬である。
 いや、むしろ嫉妬以外の何がある。

 羨ましい、妬ましい。
 生きとし生けるもの、すべてのイチャラブが妬ましい。なんだよ、本命チョコって。もらったことないわ! と『ハートブレイク・チョコレート怪人』は叫んだ。
 心の限り叫んだのだ。
 今、此処が、彼こそが世界の中心。
 愛がほしいのではない。
 本命チョコがほしいのだ!

「いやー! だれかー!」
 バーチャルキャラクターの悲鳴が絹を引き裂くようにキマイラフューチャーに響き渡る。
 このままではスーパービームのコズミックな、なんかみょんみょんしたパゥワーにて、彼女もまた洗脳電波ソングを歌うように洗脳されてしまう。
 バレンタイン中止! バレンタイン撲滅! チョコレートは没収!
 そんな具合にもうすぐに控えた楽しいイベントを木っ端微塵にしてやろうという宇宙怪人『ハートブレイク・チョコレート怪人』、ひいては猟書家『ミズ・ルチレイテッド』の目論見を成就させてしまう。

 故に猟兵たちよ。
 存分に己達の青春を見せつけ、煽りちらし、宇宙怪人のハートブレイクなハートをさらにビリビリに引き裂いてやるのだ!
 これは私怨ではない。
 恋人たちの、そしてこれからカップルになるかもしれない者たちを守るための聖戦なのである――!

 いや、格好良く言ってみただけである。
 要は嫉妬に駆られた怪人をぶちのめ! そういうことなのだ――!
カイ・オー
「そこまでだ!」
敵に声をかけ気を引くと同時に刀での斬撃を放ち、捕まっている人を引き離す。
バーチャルキャラクターの同輩達を背後に庇い「それ以上の乱暴は許さないぜ!みんな、後はこの美少年名探偵に任せな!」
と挑発。

炎を刀身に纏わせ【なぎ払い】による【切断】【属性攻撃】。【ブレイズフレイム】使用。
敵の放つ嫉妬の炎を己の炎で相殺し【火炎耐性】で防御。

モテないからって嫉妬はみっともないぜ。自棄になって暴れる暇があるなら自分を磨きな。そうすれば嫌でもモテるってもんだ。
そう、強く賢く美しい、この俺のようにな!

…まぁ、美しすぎてもかえってモテなくなるもんだがな。この俺のように。そいつは言わないでおいてやろう。



 キマイラフューチャーにバーチャルキャラクターの悲鳴が木霊する。
 宇宙パワーにより、宇宙怪人へと強化された『ハートブレイク・チョコレート怪人』はバーチャルキャラクターの手首を掴み、彼女を洗脳させ、凶悪な洗脳電波ソングを歌わせることに寄って世界を征服……否、バレンタインを滅ぼそうとしていた。
「どいつもこいつも浮かれおって! 何がバレンタインだ! 何がバレンタイン商戦だ! ふざけるな! お前達の金儲けのためにどれだけの心が痛めつけられたと思っている!」
『ハートブレイク・チョコレート怪人』の頭部からは嫉妬の炎が噴出し、揺らめいていた。
 凄まじい熱量。
 それは言うまでもなく嫉妬の情念が為せる業であった。

「まだ意中の相手にチョコレートを渡すだけならいい! そこに義理だと……!? その義理すら貰えなかった者はどうなる! この身を焦がす嫉妬の炎に狂ってしまいそうだろう……!」
「え、義理も貰えないなんて……」
 かわいそ、とバーチャルキャラクターが哀れみを持って呟いた。やめろ、それは大勢の男性に効く。
「貴様ぁ――!!」
 もうその言葉に『ハートブレイク・チョコレート怪人』は怒髪天を衝く勢いで嫉妬の炎を燃え上がらせた。

「そこまでだ!」
「誰だ――!」
 その言葉が響く。
 次の瞬間、『ハートブレイク・チョコレート怪人』がバーチャルキャラクターを掴んでいた手に強かに打ち据えられるは刀の斬撃。
 一瞬の攻防でバーチャルキャラクターは斬撃の主に引き寄せられ、見事に救出されていた。

「何者だ……!」
「これ以上の乱暴は許さないぜ! 後はこの美少年探偵に任せな!」
 それは、カイ・オー(ハードレッド・f13806)であった。
 バーチャルキャラクターの女性を背後にかばい、刀を突きつける。自分で美少年探偵と名乗るほどには彼の容姿は整っていた。
 まるでゲームかなにかに出てくる二枚目であった。
 それが『ハートブレイク・チョコレート怪人』の逆鱗に触れる。なんだそのうらやまけしからんキャラデザは!

「モテないからって嫉妬はみっともないぜ」
 挑発するようにカイがユーベルコード、ブレイズフレイムによって地獄の炎を刀身にまとわせ、嫉妬の炎と切り結ぶ。
 その嫉妬の炎は言うまでもなく、これまで宇宙怪人となった『ハートブレイク・チョコレート怪人』がハートブレイクしてきた経歴の重さを語るに等しいものであったことだろう。
「お前のような容姿端麗なるものに何が分かる! 俺の苦しみ、悲しみ! その一片でも理解できるものか!」
 嫉妬の炎が飛び、その度にカイは刀を振るい続ける。

「自棄になって暴れる暇があるなら、自分を磨きな。そうすれば嫌でもモテるってもんだ」
 カイの言葉は正論であった。 
 正論すぎて、色んな所に刺さる言葉の棘であった。それができたら苦労しないから正論でもあるのだが、カイのように整った容姿の者がいうと、さらに棘は鋭さをまして、『ハートブレイク・チョコレート怪人』の心に突き刺さる。

 実際の切った張ったよりも、ずっと効いてる。
 いいのかそれでというくらい、よろめく『ハートブレイク・チョコレート怪人』。正直、もう正論でボディーブローかまされているようなものである。
「そう、強く賢く美しい、この俺のようにな!」
「自分で言うな――!」
 だが、その言葉は遮られる。
 カイのはなった炎をまとう斬撃が『ハートブレイク・チョコレート怪人』の体を袈裟懸けに切り結ぶ。

 その一撃は、正論のボディーブローと共に『ハートブレイク・チョコレート怪人』の心身にダメージを与えつつ、カイは炎の残影と共に嘯くのだ。
「……まぁ、美しすぎてもかえってモテなくなるもんだがな。この俺のように」
 聞こえぬように呟いた言葉は、これまで以上の厳しい現実を示していた。ままらないね。
 それは言わぬが花というやつですね。わかります。
 ともあれ、カイの斬撃は、怪人にさらなるハートブレイクを齎したのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニコリネ・ユーリカ
ちょっと待ったー!
競合相手を阻む紅鯨團のノリで割り込み
みょんみょんビームを代わりに受ける

みょみょみょみょ……んんンンッ理解るわ!
独り身の寂しさが冬の寒さに耐えかねて嫉妬の炎と燃えるのよ!
私も恋人繋ぎとかちょっとエッチだなーって思うし!(同調)
でもバレンタインは花屋の稼ぎ時だから撲滅はナシ!(そして裏切り)

チョコが欲しいならあげるわ
はい、これ
転送前にナイアルテさんに戴いたの
本命だろうと義理だろうと美人さんから貰うと嬉しい筈
えっ本人からじゃないとドキドキしない?
ワガママさんなんだからー

私があげられるのは過酷な環境で耐え抜く心
UC解放、ラッコの石を手に殴りかかる!
罅割れハート(頭)を粉々に打ち砕くわ



 バレンタイン仕様のバーチャルキャラクターを奪われた宇宙怪人『ハートブレイク・チョコレート怪人』は、そのあまりの猟兵の救出劇に手際の良さに歯噛みした。
 さっそうと現れた美形。
 その手を取るバーチャルキャラクター。
 もうなんかロマンスが始まってもおかしくない展開である。
 しかし、未だ『ハートブレイク・チョコレート怪人』は嫉妬の炎を燃やし続けている。
 どこまでもイチャイチャ、イチャイチャする恋人たちを尻目にしょっかいら自作自演セルフ本命チョコをかじるのはもう飽き飽きなのである。
 悲しいのである。
 故に、バレンタイン撲滅は飽きられない。そう、こんなところでくじけてはおれぬのだ。
「ならば、直接宇宙のコズミックなパゥワーの照射を喰らえい!」
 照射されるコズミックパワー。
 それは恐るべき洗脳パワーを秘めている。バーチャルキャラクターがこれを受けてしまえば、洗脳電波ソングを歌う世界征服の徒となってしまう。

 そこに割り込むようにして庇ったのは、ニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)であった。
 金色の髪を振り乱し、けれど、その紫の瞳に決死の意志を宿して、なんかみょんみょんしたパワーからバーチャルキャラクターを庇ったのだ。
「ちょっと待ったー! ってあーッ!?」
 勢いよく庇ってみたものの、ニコリネを直撃したみょんみょんなコズミックパワーは凄まじかった。

 洗脳ビーム。
 それはみょんみょんしていた。どういうことだと思われるかもしれないが、ニコリネの瞳がぐるぐる渦を巻く。
「みょみょみょみょ……んんンンッ理解るわ!」
 カッ!
 洗脳ビームを受けてニコリネは開眼した。
 その瞳に宿るのは狂気。やべぇ。理解られてしまった。これは他の猟兵たちも想定外であり、『ハートブレイク・チョコレート怪人』にしてみれば、心強い味方が増えたも同然である。
 猟兵と言えど、ロンリーバレンタインには耐えられるものではないのだ。

「独り身の寂しさが冬の寒さに耐えかねて嫉妬の炎と燃えるのよ!」
「おおっ! 同志、わかってくれるか! この嫉妬の炎、共に絶やさずに奴等を根絶やしにしてやろう!」
 ニコリネと『ハートブレイク・チョコレート怪人』はガシッと理解を示す同志として固く手をつなぐ。
 ちょっと『ハートブレイク・チョコレート怪人』は女の人と、それも美人と手をつなげてラッキーというか、ドギマギしていたし、手汗すごかったらどうしようとか思っていたが、そういうことはおくびにも出せない。

「私も恋人つなぎとかちょっとエッチだなーって思うし!」
「だろう! あれこそ公然猥褻物陳列! 何だあの指の絡め方! どういう意味だ!」
 二人してやんややんやである。
 正直、ちょっと何言ってるかわかんないってバーチャルキャラクターも思っていたが、それでも彼女はニコリネの洗脳が解けるようにと応援してくれているのだ。
 健気であると言うか、猟兵はキマイラフューチャーにとって超絶かっこいいヒーローである。
 そんな彼らを応援することこそ、彼らの在る種娯楽なのだ。

「でもバレンタインは花屋の稼ぎ時だから撲滅はナシ!」
「――!?」
 そう、ニコリネは移動販売車にて花を売る個人事業主である。地代と家賃を支払うのが精一杯の駆け出しであるが、バレンタインは本当に助かるのだ。
 お花はいつもらっても嬉しいものであるし、バレンタインがなくなれば当然お返しのホワイトデーもなくなってしまう。
 そんなことになれば、収入減どころではないのだ。
 最後勝つのはお金である。色気ではないのだ!

 でもニコリネさんは突然の裏切りだけで終わるような人ではない。
 にこりとほほえみ、手にしていたのは――。
「そ、それはまさか……!」
 神々しいミルクチョコレート色のものが包装されたもの!『ハートブレイク・チョコレート怪人』は色めきだった。
 というか、もしかしてっていう思いから嫉妬の炎が消えた。
 めちゃくちゃしゅんって消えた。現金が過ぎる。

「チョコがほしいならあげるわ。はい、これ」
「えっと、これは……そのぉ、あなたから、ミーに?」
 口調が変になっているのは、モテない人特有のあれである。気にするな!
『ハートブレイク・チョコレート怪人』はドキマギしながらニコリネを見つめる。ここからはじまるロマンスもあるのではないだろうか。

「いいえ、転送前に頂いたものなの。よかったらと思って」
 にこり。
 そう、ロマンスなんて始まるわきゃねーのである。義理のさらに横流し品である。
『ハートブレイク・チョコレート怪人』は、さらにハートブレイクする。
 義理ですらないなんて!
「そんなもので……俺の心を弄んだのかー! 俺のドキドキを返せー!」
 びょいんと勢いよく飛び上がり、ニコリネに襲いかかる『ハートブレイク・チョコレート怪人』。名前長いな。略したい。

「ワガママさんなんだからー……でも、私が上げられるのは過酷な環境で耐え抜く心!」
 その瞳が輝くはユーベルコード。
 アレもほしい、これも欲しいでは厳しいこの世の中を渡ってはいけまい。
 変化したラッコの石を手にニコリネは第六猟虎(ラッコ)と化し、そのひび割れたハート型の頭部へと痛烈なる一撃を与え、傷心の『ハートブレイク・チョコレート怪人』の心身共に散々に砕く。

「周りがカップルだらけでも、心を強く持って! 貴方の笑顔が花やぎますようにと、他の誰かを祝福できるようになりなさーい!」
 さらにアッパーが炸裂し、ものすごい勢いで宇宙怪人は打ち上げられるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友だが。

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほ…ん?
武器:漆黒風

まず、バレンタインって何ですか?(戦国乱世出身)
ああー、なるほどねー。ええ、それだと独り身には寂しいですね。わかりますよ。

だって私、死ぬまで独身でしたし(四人の中で唯一独身)
独り身に冬って寒いんですよね。

あ、でも。(同性の『静かなる者』だけど)恋人いたことありますからねー。そのときは暖かかったですよー。

別れた原因?戦国乱世に跡継ぎ(『静かなる者』は嗣子だった)云々は十分な理由でしょうが(漆黒風を指定UC+風属性攻撃で投擲)。
うちの実家は、双子妹が跡継ぎ生むこと決まってたんだから。



『ハートブレイク・チョコレート怪人』の身体が宙を舞い、そのひび割れた頭部から真っ逆さまに地面へと落ちた時、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は、まずはバレンタインなるものが如何なるものかを猟兵達によって助けられたバーチャルキャラクターにたずねていた。
「バレンタイン、それは意中の殿方にチョコレートと共に思いを伝える日なのです。昨今では友チョコ、義理チョコ……色々な形がありますが、要はみんなで楽しく過ごしましょうというイベントです」
 もちろん、それでカップルになるきっかけにはなるのだから、やはり恋人たちのイベントと言っても差し支えないものだろう。

 そこにあったのは戦国時代には考えることもできなかったような甘酸っぱい青春の香りがしたに違いない。
『疾き者』は4つの魂が合わさった複合型悪霊の中の一柱であるが、中でも唯一の独身者である。
 他の者達は妻帯者であるがゆえに、まあ、ある程度の理解を示していたが、『疾き者』だけは、理解しているのかしていないのか判別に困るような笑顔を浮かべながら、頭から落ちた『ハートブレイク・チョコレート怪人』に近づく。

「ぐぬぅ……! オレはこんなところで負けるわけにはいかんのだ! バレンタインなどと言う浮ついた気分で世界を染めるイチャラブカップル共殲滅するために、力を手にしたのだから! 断じて羨ましいとか、妬ましいだけではないのだ!」
 ウソつけ、絶対嫉妬だぞ。
 それくらいになるまで、『ハートブレイク・チョコレート怪人』はこじらせていた。
 もうそれは捻じくれ曲がった嫉妬の情念がチョコレートの塊となって『疾き者』へと射出され、職種のようにその体へと飛ぶのだ。

 それをひらりと躱しながら『疾き者』はしたり顔で頷く。
「ああー、なるほどねー。ええ、それだと独り身には寂しいですね。わかりますよ」
 うんうん、と頷く。
 その様子に『ハートブレイク・チョコレート怪人』の顔がぱぁっと明るくなるのだ。
 ここにも同志がいたのだと、独り身なのは自分だけじゃないと励まされる思いであったのだろう。

「だって私、死ぬまで独身者でしたし。独り身に冬って寒いんですよね」
 人肌恋しいと思うのはいつの時代も変わらぬことであろう。
 うんうん。
「おお! 同志! やはり猟兵にもいるではないか! オレの気持ちのわかる者が! なればこそ、オレと共にバレンタインを……!」
 滅ぼそうではないか、お前も嫉妬怪人にならないか。
 そんな言葉を続けようとして、次の瞬間に『疾き者』が紡いだ言葉は、それをばっさりと気持ちいいくらい裏切る一言であった。

「あ、でも。恋人いたことありますからねー。その時は暖かったですよー」
 いろんな意味が含まれた言葉だった。
 それは正直、彼女居たこと無い歴いこーる年齢の『ハートブレイク・チョコレート怪人』にとって、凄まじい言葉の斬撃であった。
 違う。
 アイツは確かに独身者であったが、自分達のようなモンスターDではないのだ。Dは何かって尋ねられても私は答えない。答えないったら答えない!

「な……なんで?」
「あ、別れた原因? 戦国乱世に世継ぎ云々は十分な理由でしょうが」
 なにせ、戦国の世。 
 その理は、現代では理解し難い物が多かったであろう。それに何より、彼の生まれた家は双子の妹が世継ぎを産むことに決まっていたのだから。

 だからこそ、悲しい別れもある。
 だが、そんなところまで空気を読めないのが『ハートブレイク・チョコレート怪人』である。
「そういうことを聞いたわけじゃない! やはり貴様もリアルが充実している者! ちくしょうー!」
 天誅!
 と凄まじい嫉妬パワーで飛びかかる『ハートブレイク・チョコレート怪人』に、『疾き者』はなんでですかという冷ややかな視線のままに、ユーベルコードの輝きに満ちた棒手裏剣を投げ放つ。

 それは、連鎖する呪い。
 ただの一撃。
 けれど、その一撃は連鎖する不慮の事故によってオブリビオンを痛めつるユーベルコードである。
 棒手裏剣の一撃を受けて宙から置いた『ハートブレイク・チョコレート怪人』は、自らが生み出した嫉妬のチョコレートの塊の中に突っ込み、煮立つチョコまみれに成りながら怨嗟の声を響かせる。

 リア充死すべし滅ぶべし。

 その怨嗟の声を『疾き者』は呆れ顔で肩をすくめ、救いようがないとさじを投げるしかなかったのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレ・チカノ
アドリブ他諸々OK。
なるほど、何やらチョコレートを貰えるイベントがあるのですか。コレもチョコレートを頂く方向で参加したい物ですね。
え?貰える人と貰えない人がいるのですか、なかなか難しい物なのですね。

食欲は旺盛なのですが、基本的に食べる事以外には興味がないので、チョコレートを貰えるらしいという所以外に興味を持ちません。
「そこの人たち、コレが助けてあげますので私にチョコレートをくれますか?」
とりあえず報酬を確保してから敵の殲滅に入りましょう。
「コレはチョコレートを貰えます、あなた達はチョコレートを貰えません。これがコレとあなた達の差です」
ナチュラルに煽りながらポチ達に噛み付かせましょう。



 チョコまみれとなった身体で宇宙怪人へと変貌した『ハートブレイク・チョコレート怪人』は、立ち上がる。
 まだ敗けられない。
 世の中のリア充共を。
 世の中のバカップル共を。
 全て駆逐するまで己の体は朽ち果てる事は許されないのだと嫉妬のオーラをまといながら、正しく不死鳥のように立ち上がるのだ。
 正直、そのど根性を使うところを間違えているような気がしないでもないのだが、それでもオブリビオンである宇宙怪人を打倒せねばならない。
「オレは必ずやバレンタインを阻止してみせる! 全てのカップル共にバレンタインを満喫などさせてたまるものか!」

 ばしっと決めているが、言っていることは中々にしょうもないことである。
 拐かされそうになったバーチャルキャラクターは猟兵達によって既に保護されている。
 そんなバーチャルキャラクターの前に一人の白い肌に銀髪、赤い瞳の映える一人の少女が歩み寄る。
「なるほど、何やらチョコレートを貰えるイベントがあるのですか。コレもチョコレートを頂く方向で参加したいものですね」
 その少女、アレ・チカノ(草食系ヴァンパイア・f16064)は小首をかしげて、チョコレートの匂いに釣られるようにして戦場へと降り立つ。
 すでに彼女にはチョコレートの一袋を手渡していたのだが、すでに消費された後であったのだろう。

 話を聞いていたのか、それとも中途半端に理解していたのか、アレは転移さえすればチョコレートが手に入ると、吸血衝動が変わり果てた食欲に突き動かされてやってきたのだ。
「え、あの……多分、バレンタインのこと、言ってるんです、よね? なら、みんなもらえるとは限らないかなーって……」
 バーチャルキャラクターが恐る恐る言う。
 バレンタインに全員が平等にチョコレートがもらえるのであれば、嫉妬の権化である『ハートブレイク・チョコレート怪人』など存在しないのだ。
 だって、貰えない人がいるから、あんな感じになっているわけであるし。

「もらえる人と貰えない人が居るのですか、中々難しい物なのですね……ふむ。そこの人、コレが助けてあげますので、私にチョコレートをくれますか?」
 それはいわば取引にして報酬の確保であった。
 アレにとって食欲こそが生きる意味。
 満腹になるまで食べることができれば、それは即ち生きたという証明。故に、アレはそれが確約されなければ、敵と戦うことさえしないだろう。

「あげます! あげますから助けて下さい!」
 バーチャルキャラクターは勢いよく首を振る。
 後で相当な量のチョコレートを請求されそうだが、助けてもらえるのならば、それも安いものである。
 世の中には業務用チョコレートという量を極めたようなものだってあるのだ。コンコンすればいいしね!
「ならば、コレが助けましょう」
「何をちゃっかり取引成立したような顔をしている! くらえ、俺の嫉妬の触手を!」
 煮立つチョコの塊から愛喰らう触手がアレへと伸びていく。

 その触手でもってアレを叩きのめし、バーチャルキャラクターを洗脳すれば、『ハートブレイク・チョコレート怪人』は真に『チョコレート怪人』になれるのだ。
 それはそれで嫌だなと思うが、アレにとって、それはそれで美味しそうだなと思うまであったことだろう。
 触手をひらりとかわし、ユーベルコードのサイキックブラストが高圧電流となって、触手を感電させて動きを封じる。
「コレはチョコレート貰えます、貴方はチョコレートを貰えません。これがコレとあなたの差です」
 ははん、とアレは鼻で笑い、電流に拘束された宇宙怪人に一歩、また一歩と近づく。

 たくさんもらえるのですよ、とアレは勝ち誇った顔でくいっと顎を上げる。
 それは『ハートブレイク・チョコレート怪人』にとって許しがたい行為であった。オレがチョコレート貰えない? 一つも? 本命だけでなく、義理も? 冗談じゃねー! というやつである。
 煽りに煽られてやられっぱしでいられるか!
「不用心に近づいたな! オレの触手を喰らえい!」
 サイキックブラストの拘束を振りほどき、アレに飛びかかる触手。
 けれど、アレは冷静に手にしたポチ達を振るう。
 犬の頭が触手達に噛みつき、引きちぎっていく。それはあまりにも当然のような行いであった。
 別に煽りたくて煽ったわけではないのだ。

「触手というか……しらたき以下ですね。食べても美味しくなさそうです。せっかくなら普通のチョコレートがいいです」
 さらりとナチュラル煽りと共にアレは振るったポチの牙でもって、『ハートブレイク・チョコレート怪人』のお尻に歯型を刻み込むのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
私の故郷ではない風習ですね。
まずそんなことができるほど生活に余裕もありませんし。

私にチョコレートをあげる相手? いませんけれど。
……いえ、あなたと違って他の人を嫉んで襲ったり洗脳したりするつもりはないので、同類扱いはやめて欲しいのですが。
そうやって他人を嫉んで嫌がらせをする姿勢がチョコレートを貰えない原因なのでは?

ゆっくりとチョコレートを食べるのを待っておく義理はありません。
あちらがチョコレートを食べて戦闘力が増加する前に「フィンブルヴェト」を『クイックドロウ』、【絶対零度の射手】でチョコレートの頭を撃ち抜きます。



 世界が違えば文化も世俗も違う。
 土台と為るものが違うのだから、当然風習もまた違うものだろう。
 豊かな大地、豊富な資源。人が人として生きていくには十分すぎるほどの余暇がある世界、キマイラフューチャーは皮肉なことに人類の滅んだ後の世界である。
 そんな世界にあるキマイラたちは生きることに娯楽を求める。
 水や食料を確保するために働く必要がなく、暇が増えたがゆえに娯楽に飢える。人類が遺した文化の残滓を日々楽しく生きるために世襲していくのは当然の成り行きであった。

「私の故郷ではない風習ですね」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)にとって、バレンタインとは、そんな些細な思いを伝え合う風習であっても余裕のない故郷を思えば、あまりにも想像からかけ離れたものであったことだろう。
 まず、第一に彼女の故郷である世界ではそんなことができるほどの生活に余裕がない。
 吸血鬼に支配された世界。
 それを思えばこそ、このなんでもない輝ける日々を生きるキマイラたちは眩しいものであったかもしれない。
 故にそれを護るために彼女は戦うのだ。

 お尻に歯型がついた『ハートブレイク・チョコレート怪人』は、それでも立ち上がった。
「許せぬ! オレの、この心が嫉妬に燃える! お前達を倒して、チョコレートを渡せない残念バレンタインにしろと轟き叫ぶ!」
 今必殺のなんちゃらかんちゃらが放たれようとした瞬間、セルマはぼそりと呟いた。
「私にチョコレートをあげる相手はいませんけれど」
 ぴた。

『ハートブレイク・チョコレート怪人』の身体が止まる。
 ん?
 今なんて?
「ですから、いません。チョコレートを上げる相手」
 ぱぁっと明るくなる『ハートブレイク・チョコレート怪人』の顔、もといひび割れたハート型の頭。
「で、では! オレたちは同志ということだな! さあ、友よ、一緒にバレンタインを撲滅しようではないか!」
「……いえ、あなたと違って他の人を妬んで襲ったり洗脳したりするつもりはないので、同類扱いはやめてほしいのですが」
 凄まじい火の玉ストレート。
 ざっくり言葉のナイフが『ハートブレイク・チョコレート怪人』のハートに突き刺さる。

 ちょっとでも同志とか言って恥ずかしいのもあるけど。
「そうやって他人を嫉んで嫌がらせをする姿勢がチョコレートを貰えない原因なのでは?」
 セルマの言葉のボディーブローが決まる。
 ここがリングの上であったのならば、悶絶して立ち上がるどころではないくらいのド正論のボディーブロー。
 凄まじい言葉の一撃。
 もうこれユーベルコードとかいらないんじゃない? となるくらい痛烈なる一撃が『ハートブレイク・チョコレート怪人』の心を抉る。
「た、確かに……! だが、ここで納得しては宇宙怪人の名折れよ! そんなの関係あるかい! オレはチョコがほしいんだー!」
 手にした義理チョコを手に『ハートブレイク・チョコレート怪人』が叫ぶ。
 今まで本命だと思っていたけど、実は義理でしたっていう怨念と妄執の籠もった義理チョコを食すことに寄って、彼らは超絶に強化されるのだ。

 それは嫉妬パワーの為せる業であった。 
 だが、手にした義理チョコは無残にも砕け散った。
 へ?
「ゆっくりとチョコレートを食べるのを待っておく義理はありません」
 義理だけに。
 一瞬の銃撃であった。目にも留まらぬセルマの手にしたマスケット銃から放たれた氷の弾丸が『ハートブレイク・チョコレート怪人』が貰えたであろう貴重な義理チョコを砕いたのだ。
 魂の慟哭がキマイラフューチャーに響き渡る。

「こ、これが人のすることかー!」
「撃ち抜きます」
 あ、問答無用のやつですね。
 セルマの瞳がユーベルコードに輝いたのを『ハートブレイク・チョコレート怪人』は見た。
 そこにあったのは、絶対零度の射手(アブソリュート・シューター)。
 手にした銃から凄まじい勢いで超高速連続射撃に寄る氷の弾丸が飛び、『ハートブレイク・チョコレート怪人』の頭を強かに撃ち抜いていく。
 それは、悲哀に満ちた、悲鳴と共にキマフューに響くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
今年もこの季節がやって参りましたね…
(機械騎士、3度目のキマイラFバレンタイン)

怨嗟と嘆きの怪人…貴方達とは毎年激戦を繰り広げてきました
何故なら私は人々の安寧と幸福守護する騎士
その中には愛育む恋人達も含まれております

つまり…私と貴方は不倶戴天の敵同士!

他者の幸福妬むその怨嗟、真正面から受け止めて御覧に入れましょう!
その嘆きと苦しみ、全て吐き出すのです!

炎を盾で受け止め前進
ただ一振り
剣で炎両断
罅割れた彼の頭と心を大盾殴打で粉砕

心苦しい時にこそ、誰かへの優しさを胸に抱けたなら…
人がもっと強く在れたなら、世界はもっと優しかったのかもしれません…

さて、恒例行事も済ませました
同郷の猟書家に備えましょう



「今年もこの季節がやって参りましたね……」
 季節は巡る。
 同時にその季節ごと、世界にある風習もまた巡ってくるものである。それは変わらぬ世の流れであり、それこそがトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)にとって変えがたきものであったことだろう。
 三度目のキマイラフューチャーのバレンタイン。まだ来てないけど、もうすぐバレンタインなのである。

「怨嗟と嘆きの怪人……貴方達とは毎年激戦を繰り広げてきました」
 トリテレイアはものすごく神妙な言葉遣いで『ハートブレイク・チョコレート怪人』へと迫る。
 だが、残念ながら今の『ハートブレイク・チョコレート怪人』はお尻に歯型、頭はひび割れ、弾痕が刻まれている。
 まあ、嫉妬の因果応報というやつである。
「貴様……! 我ら嫉妬怪人を知っているようだな! ならば話は早い! オレたちの哀切! 怨嗟! 慟哭! それらを知っているのならば、貴様も宇宙怪人になれ!」
 その言葉にトリテレイアは頭を振った。
 アイセンサーが揺らめく。

 どれだけ哀れなる怪人たちであったとしても、機械人形は守護騎士たらんと希う(オース・オブ・マシンナイツ)のだ。
「いいえ。なりません。何故なら私は人々の安寧と幸福守護する騎士。その中には相育む恋人達も含まれております」
 その身がどれだけ鋼鉄でできた騎士であろうとも、トリテレイアは騎士である。
 なればこそ、愛を育む行為こそ大切に育てる姿を見守らなければならない。それが己の中に宿る騎士道精神であるからだ。

「つまり……私と貴方は不倶戴天の敵同士!」
「ぬかせ! 宇宙怪人になることを受け入れぬというのであれば、死あるのみ! 我が身を焦がすほどの嫉妬の情念を受けてとろけ落ちるがいい!」
 噴出するどす黒い嫉妬の炎を盾で受け止めながらトリテレイアは進む。
 ものすごいシリアスな場面であるが、理由が嫉妬である以上、なんとも締まらないものである。
「他者の幸福妬むその怨嗟、真正面から受け止めて御覧に入れましょう! その嘆きと苦しみ、全て吐き出すのです!」
「吐き出すものなどあるものかよ! これはオレがオレであるための原点! 尽きることのない嫉妬の炎! 妬ましい! バレンタインにチョコレートを渡し合って、照れてうつむく姿とか妬まし! 微笑ましいとかそんなことあるわけない! ただただ妬ましい!」

 その炎の勢いは思い出してさらに噴出する。
 なんという火力。
 手にした大盾が溶け落ちそうに為るほどの高温出逢ったが、トリテレイアの瞳が輝く。
 そこにあったのはユーベルコードの輝き。
 己の理想とする騎士としてのふさわしい行い。それを己がしているという自負がある。 
 だからこそ、トリテレイアは剣を振るう。
 その嫉妬の炎を、どす黒い炎を手にした剣で一刀のもとに両断せしめるのだ。
「心苦しい時こそ、誰かへの優しさを胸に抱けたなら……人がもっと強く在れたなら、世界はもっと優しかったのかもしれません……」

 トリテレイアは独白する。
 その独白は『ハートブレイク・チョコレート怪人』には届かなかったことだろう。
 だって、溶け落ちそうになった大盾でもって、その顔面を強打されていたからね!
 強烈なる一撃は『ハートブレイク・チョコレート怪人』にとって、さらなるハートブレイクを引き起こすものであったことだろう。
「ばかな! オレの嫉妬の炎が負けるだと――!?」
 だが、当然である。
 嫉妬の炎は確かに力強いものであったことだろう。

 けれど、今トリテレイアの胸に抱くは騎士としての本懐。
 それを抱えたトリテレイアに敵などいないのだ。まあ、ある意味毎年の如く現れる恒例行事を片付けたとも言えるのだが、それは言うのは野暮である。
 大盾の強打によって『ハートブレイク・チョコレート怪人』を打倒し、トリテレイアはさらなる敵を見据える。
「同郷の猟書家に備えましょう……嫉妬の炎よ、骸の海にて、その心を慰めるのですね――」

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィア・シュヴァルツ
「我、チョコ食いたい」(第一声

ふむ。巷ではバレンタインデーとやらか。
美味しいチョコが店頭に並ぶ時期だな。(色気より食い気な模様

幸い、我は不老不死。
いくら甘いものを食っても太らぬからな。
心の底からチョコを堪能できるというものよ。

……胸には少しくらい栄養が行ってもいいのだぞ?

「む、あそこにいるのは怪人か?
あんなにチョコを持っていて羨ましい」(嫉妬

くっ、なんだと!?
チョコの塊から触手が伸びてきただとっ!?
ヒロインである我が触手に襲われるエロスな展開かっ!

「……何も起こらんな?」

え、愛を食らう触手?
我には愛がないから効かなかった?
ほほう、我にケンカを売っているようだな!

「【極寒地獄】で凍りつけ!」



 それは欲望に塗れた第一声であった。
「我、チョコ食いたい」
 女の子は大体甘いものとスパイスと、なんか素敵なものでできているのが相場である。
 故に不老不死の悪魔であるフィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)がチョコを求めるのはあくまで当然の帰結であった。

 訪れたキマイラフューチャーではバレンタインデー一色であった。
 いいよね、バレンタイン。
 いろんなチョコレートが見れるし、見ているだけでワクワクするものである。誰かに上げたいと願うのであれば、他の人のよりも特別を願うものである。
 だからこそ、バレンタインは乙女の祭典である。
 楽しげな雰囲気。キャッキャウフフとした雰囲気は、まさに女の子ならではである。
「美味しいチョコが店頭に並ぶ時期だな」
 うん、とフィアは頷く。
 しまったこの魔女色気より食い気だ。しかし、チョコはそれなりにカロリーがあるものである。

 そう。
 端的に言うと肥えるのである。太るのである。むっちりしてしまうのである。
「幸い、我は不老不死。いくら甘いものを食っても太らぬからな。心の底からチョコを堪能できるというものよ」
 あ、それずっこい。
 全乙女が憧れるスレンダーなボディー。それをフィアはすでに得ているのだ。わたしぃ~、食べても太らない体質でぇ~とか言おうものなら、総バッシングもんである。

 だが、彼女にとっての目下の悩みは、まあ慎ましいその板……あ、すいません。膨らみでした。すいません。
 胸に少し位栄養が行ってもいいのだぞ、とフィアは思うのだが、不老不死の体はまったく成長を止めているため、この先にあったはずの未来を手に入れることができないのだ。
 しかし、今はそれどころではないのだ。『ハートブレイク・チョコレート怪人』は猟兵達に散々に言葉の正論やら、物理でメタメタにされつつも、嫉妬の炎を燃やしながら立ち上がっていた。
「何がバレンタインデーだ! 製菓業界に踊らされおって……! かくなる上は、隠し持っていた義理チョコの山で……!」
 
 彼が手にしていたのは無数の義理チョコ。所謂、四角くて小さい豊富な味のフレーバとやすさが売りの、権利の関係上名前を出すことの出来ないチョコがあった。
 完全に義理の更に義理。
 だが、もらえるだけで嬉しかった頃のあの頃のオレはもういないのである。
「む、あそこにいるのは怪人か? あんなにチョコを持っていて羨ましい」
 フィアはフィアでなんか別ベクトルの嫉妬を燃やす。
 いや、戦って欲しい。
 なんか確実に別のベクトルの戦いになっている。そういうやつじゃないからね、これ!?

「フハハハ! 猟兵、もう遅い! 義理チョコの塊から放たれるチョコ色の触手であれやこれどれやそれやという位、あーはーんな感じになってしまえ!」
 美少女と触手!
 これはまずいですよ! チョコ色よりピンク色になる展開じゃないですか!
 だが、触手はフィアに絡みつき、ヒロインである彼女が触手に襲われてエロスな展開に成るとフィア自身も覚悟した。

 いや、ある意味期待していたのかもしれないが、残念がならそういうことはまったく起こらなかった。
 それ以前に触手といっても愛を喰らう触手である。
 愛のエネルギーを食い漁って、バレンタインデー直前に燃え上がった愛の炎を鎮火させて、台無しにしてやろうっていうユーベルコードである。
「……何も起こらんな?」
「……もしかして、愛をお持ちでない?」
 あーなるほどなー。
『ハートブレイク・チョコレート怪人』は納得した。

 フィアの幼い容姿を見て納得したのだ。
 まだ恋だの、惚れた腫れたとは無縁の人生かーと。嫉妬の眼差しよりも、憐れみの視線がフィアに刺さる。
「……ほほう、我に喧嘩を売っているようだな! 買ったぞ、その喧嘩!」
 それは逆鱗であった。
 はー? 恋とか? 余裕ですし? え、なんスか疑ってるんスか? ってやつである。

 怒りを顕にしたフィアのユーベルコードは極大なる極寒地獄(コキュートス)。
 顕現した極寒の地獄の如き氷壁が『ハートブレイク・チョコレート怪人』を包み込む。
 それは絶対零度にして、決して解くことのできぬ氷獄。
「極寒地獄で凍りつけ! あとついでに、チョコは全部おいていけ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
おおっと?
ん?バレンタイン中止?
ん〜〜??
バレンタインの本当の価値を知らない愚か者かな??
確かに、確かに本命が貰えなかったりするのは悲しい!
私も貰えないなーって思ってたら送る側だったし!
何より…終わった後の安売りでちょっと良いチョコ食べる方が楽しい!

だけど君の言い分も分かる…要するにバレンタインに本命チョコが無くなれば良いんだね
よし、じゃあ一緒にバレンタインには本命煎餅を配るブームを作ろう!
新しいブームを作ってガッポガッポ儲けようじゃないか!
所詮世の中金なんだよ!

不満があるの?
もしかして単にモテない僻みだったの!?
【アームデバイス起動】
そんな愚か者は頭のチョコを掴んで、地面に叩きつけてあげる!



 嫉妬の炎が燃える。
 燃え上がる。バレンタインなどという浮ついたイベントが幅を利かせるなど在ってはならぬ暴挙。
『ハートブレイク・チョコレート怪人』は憤怒した。
『ハートブレイク・チョコレート怪人』にモテ道はわからぬ。今までモテた事がなかったゆえ。
 だが、彼は人一倍嫉妬深かったのだ。
「バレンタインは中止にしてやる! 何がチョコと共に貴方の思いを届けましょうだ! ふざけるなー!」
 燃え上がる嫉妬の炎はどす黒く、あらゆるものを溶かし尽くさんばかりの憎悪で持って世界に反逆する。

 オレが楽しくないのだから、お前らも楽しんではならぬという手前勝手な理屈をこね回して暴れ倒してやろうというその考えこそが間違っていると気づけぬ愚かなる者。それが怪人なのだ。
「おおっと? ん? バレンタイン中止? ん~~??」
 月夜・玲(頂の探究者・f01605)は、その燃え上がるどす黒い炎を見上げて、汚っ、と呆れ返る。
「バレンタインの本当の価値を知らない愚か者かな??」
 ん?
 もしかしてご存じない? と玲さんはナチュラルに煽る。相手にコレも知らないの? と知識マウントを取られてしまえば、沸点を越えてしまうのが、この手の類である。

「なんだとぅ! 貴様がバレンタインの何を知るというのか! お前は知らぬだろう! 本命チョコを貰えぬ悲しみ! 苦しみ! その全ての業を背負えるか!」
「確かに、確かに本命が貰えなかったりするのは悲しい!」
 おおっと、落ち着けよとばかりに玲さんは手で『ハートブレイク・チョコレート怪人』を制する。
 落ち着け、と相手の出鼻をくじくのだ。
 ここで感情の行き場を喪わせるのだ。まさに煽りのプロ。

「私も貰えないかなーって思ってたら送る側だったし!」
 わかるとも。
 その気持ち。もらえると思っていたものが貰えない悲しみ。それは女子ならではの悩みであろう。
 これ高いんだけど、送ってもこれだけの価値を相手が理解してくれるかなーお返しにしょっぱいのだと困るんだけど、そういうの理解してくれるかなーって心配にもなろう。
 だからこそ、玲は声を大にして言うのだ。

「何より……終わった後の安売りでちょっと良いチョコ食べる方が楽しい!」
 おっ、流れ変わったな?
 そんな雰囲気とともにBGMすらながれそうな勢いに『ハートブレイク・チョコレート怪人』はたじろいだ。
 己は今何を聞かされているのだ?
「だけど、君の言い分も分かる……要するにバレンタインに本命チョコがなくなれば良いんだね」
 ん?
 そういう話でしたっけ? いや、多分違……と『ハートブレイク・チョコレート怪人』がいいかけた瞬間、玲は高く宣言するのだ。

「よし、じゃあ一緒にバレンタインには本命煎餅を配るブームを作ろう! 新しいブームを作ってガッポガッポ儲けようじゃないか!」
 所詮世の中金なんだよ!
 玲さんは素直であった。
 お金で買えないものはあるけど、お金で大抵のものはどうにかなるし、お金で買えないものをどうにかするためのものをお金で買えばいいのだ。
 でも、『ハートブレイク・チョコレート怪人』のハートブレイクしたハートはお金では癒えないのだ。

「いや、でもそのぉ……やっぱり本命はチョコレートの方が……だってチョコレート怪人ですし、オレ……」
 しどろもどろである。
 正直、ちょっと可愛そうと言うか、完全にヤンキーに絡まれた子っぽくなっているのは気のせいだろうか。いや気のせいだ。玲さんがそんなヤンキーみたいなことするわけないだろ! いいかげんにしろ!

「不満があるの? もしかして単にモテない僻みだっったの!? あれだけ大口叩いてたのに!? え!? 単純に僻みだったの!?」
 えーないわー! それはないわーと、玲さんはアームデバイス起動(アームデバイスキドウ)によって召喚された屈強なるメカ副腕でもって、『ハートブレイク・チョコレート怪人』の頭をむんずと掴んだ。
 え、と思う暇もなく玲のアームデバイスが唸りを上げる。

「――そぉい!」
 そんな愚か者は頭を掴んで地面とキスするのがお似合いである。
 鈍い音がして『ハートブレイク・チョコレート怪人』の頭は、文字通りブレイクしてしまうのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、世に潜み…胸が目立ちすぎて潜めないとかそんなことないもん!!(お約束&ハトブレチョコ怪人にドロップキック

まずはチョコをもぐもぐパワー補充です(ナイアルテさんからもらったやつ
え?これですか?友チョコですよ(なおサージェの勝手な主観によります

ところで私の肌の色チョコ色だと思いませんか?
チョコに見えませんか?
というわけで私(チョコ)の気持ち(攻撃)
受け取ってください!
ダッシュでタックルかーらーのー【乾坤一擲】
えー炎で溶かしちゃうんですかー?
チョコ欲しくないのー?(うるうる目で攻撃回避)
あなたの敗因は嫉妬だったことです!(ずばーん

※アドリブ連携OK



 ごしゃ! と鈍い音がして『ハートブレイク・チョコレート怪人』は頭から地面に叩きつけられていた。
 うわー痛そう。
 そんな風に思えるだけの感性があったものは幸せである。いや、そうでもないかもしれない。
 さらにそこに追い打ちを駆けるように天から振ってきたドロップキック。

 ――ドロップキック?

 そう、その頭上にドロップキックの一撃をさらに叩き込んだのは、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)であった。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、世に潜み……胸が目立ちすぎて潜めないとかそんなことないもん!!」
 お約束の前口上をあげ、『ハートブレイク・チョコレート怪人』の頭を足場にして決めポースを決めたサージェ。
 正直言って、かなり奇天烈な光景である。
 だが、ここキマイラフューチャーにおいて猟兵とは超絶かっこいいヒーローである。バーチャルキャラクターも、そのヒーローである猟兵、サージェに黄色い声援を送る一人である。

「ぬぅ! 貴様何を……!」
 がばっ、と立ち上がった『ハートブレイク・チョコレート怪人』。その上からひらっと華麗に降り立ち、サージェはもぐもぐしていた。
 リスみたく頬を膨らませていた。
 ちょっと小動物みたいで可愛いなーとか思ったわけではないけど、可愛いから仕方ないね。
「な、なに食べてるの……?」
「え? これですか? 友チョコですよ」
 わけもなくサージェは言い放たって、もっ、もっ、もっ、とチョコを食べてパワーを補充している。
 どういうことなのと、思った諸兄。
 それは転移前にグリモア猟兵が手渡してくれた手作りチョコである! 友情パワーの源なのである。

 なにそれずっこい!
『ハートブレイク・チョコレート怪人』は義理も義理の義理チョコしかもらったことのない怪人である。
 友チョコ……そういうのもあるんだ……と羨ましいのである。
「許せぬ! 何が友チョコか! そんなもん配る暇があったら、オレに本命チョコを手渡すのが筋というものであろうがー」
 嫉妬のどす黒い炎が膨れ上がる。
 それはあまりにも強烈な炎であり、『ハートブレイク・チョコレート怪人』の執念の為せる業であった。
 
 噴射する炎がサージェを焼き尽くさんと迫る。
「ところで私の色、チョコ色だと思いませんか? チョコに見えませんか?」
 え、と『ハートブレイク・チョコレート怪人』が止まる。
 えー、たしかにぃ、そのぉ……大変に露出度の高い服装なのでぇ~……確かに。
 頷いた瞬間、サージェは突っ込んだ。
 いや、漫才の類のやつではない。ユーベルコードである。乾坤一擲(ヒッサツノイチゲキ)である。

 両手に構えたカタールを突き出し、まさに強撃を放つのだ。
「というわけで私のかっこチョコの気持ちかっこ攻撃受け取って下さい!」
 全部言った!
 あんに濁しておけばなんかいい感じのことになりそうだったのに、全部言った! サージェの一撃は見事に『ハートブレイク・チョコレート怪人』のみぞおちにヒットした。
 もうそれはめちゃんこ痛かったに違いない。
 けれど、ここで膝をおるわけにはいかない。敗けられんのだ! 全国のモテない本命チョコ貰えない者たちのためには!

 再び嫉妬の炎が燃え上がり、サージェを焼かんと放たれようとして、はたと目があったのだ。
「えー炎で溶かしちゃうんですか? チョコ欲しくないのー?」
 そのうるうる目での訴えは、先程の比喩と相まって別の意味にも聞こえなくもない! というか、絶対そういう意味に聞こえてしまう。
 わかっているのか『ハートブレイク・チョコレート怪人』! これハニトラだぞ! ハニートラップだぞ!

「え、えぇっと……」
「はい、隙ありー! くろすっ! いんぱくとーっ!!」
 ひどい! あんまりである。
 その一撃は油断した『ハートブレイク・チョコレート怪人』を穿ち、怨嗟の声と共に霧散していく。
 まさかの決着。
 誰もが脱力したかもしれない。けれど、それは紛れもない勝利なのだ。
 サージェはびしっと決めポーズを決め、高らかに言い放つのだ。

「あなたの敗因は嫉妬だったことです!」
 ずばーん!
 ばっちりと決めて、サージェはバーチャルキャラクターとしての役目を果たすのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ミズ・ルチレイテッド』

POW   :    インクルージョン・ウェポン
【掌から生成したルチルの弾丸】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    クロックパルス・イベイジョン
【水晶振動子を利用し、完璧なタイミングで】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    クリスタライズド・バレット
【10秒間の集中】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【透明化させたルチル弾】で攻撃する。

イラスト:+風

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠椎宮・司です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 宇宙怪人『ハートブレイク・チョコレート怪人』を打倒した猟兵たちとバーチャルキャラクターを包み込む光。
 その光が消え失せた時、彼らの瞳に映る光景は、何処とも知れぬ異空間であった。
 そこは甘い香りが充満し、言ってしまえばチョコレートだらけの空間だった。

「ふむふむ……これがかの名高き、ごっでぃーば。おっと、こちらはローイズですか……ふむふむ」
 もちゃもちゃとチョコレートを賞味しているのは、猟書家『ミズ・ルチレイテッド』であった。
 彼女は世界征服した暁に、お嬢様である『プリンセス・エメラルド』に、キマイラフューチャーのチョコレートを献上しようと見繕っていたのである。
 いや、単にチョコ試食会に夢中になっていたわけではない。

「――ハッ!? ごくんっ……」
 ようやく『ミズ・ルチレイテッド』は気がついた。
 宇宙怪人をあっさり倒して彼女が居座る異空間へと猟兵達が至ったことに。そして、何事もなかったかのように振り返り、チョコがついた口の端を拭うことなくクールに言い放つのだ。
「よく来ました、猟兵……私こそが猟書家『ミズ・ルチレイテッド』。貴方達を世界征服のため、バレンタイン阻止のために宇宙怪人を差し向けた親玉です。アハ、アハハハッ! どうでしたか、嫉妬に狂った炎は。さぞやあなた方を苦しめたに違いない……え、楽勝でした?」
 え、おかしいなぁ、と『ミズ・ルチレイテッド』は困った顔をした。
 チョコレート、口の端につけたまま。

 ほんと締まらない展開である!
 正直言ってもうぐだぐだしているが、相対するは猟書家である。
 とぼけた雰囲気がロールプレイを突き破って溢れているが、猟書家である。
 もう一度いう。
 彼女は猟書家である。油断はできぬ相手である。
「ふ、フン! や、役たたずのことは放っておいて、ここで貴方達を討てばいいのです。行きますよ、猟兵! 全てはお嬢様のために――!」
馬県・義透
引き続き『疾き者』のほほん

締まりませんねー。まあいいですけれど。
バーチャルキャラクターたちに応援頼みましてー。
呼び出した兵たちに援護射撃させましてー。私は近接攻撃しましょう。
回避予測は私だから成り立つわけでー…。


第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎

さて、間合いも攻め方も全く違うわしらに、その予測は答えられるのか?
炎属性攻撃のなぎ払いを、二回行おう。

…そういえば、行きがけにもらったチョコ。あとで楽しむとするか。



 水晶の輝きはそれだけで人の目を引くものであろう。
 透明なる石英の輝き。
 その中に含まれる糸状の金色。金紅石と呼ばれる所以である。
 言うまでもなくクリスタリアン。それが猟書家『ミズ・ルチレイテッド』であり、スペースシップワールドを狙う猟書家『プリンセス・エメラルド』が遣わした尖兵である。
「アハハハハッ! だいぶ私もこのロールプレイに慣れてきたというもの! これが悪の組織! なんという愉快な気分なのでしょう。さあ、行きますよ、猟兵ども。お嬢様のために貴方達を蹴散らし、このキマイラフューチャーの世界を征服してお嬢様の願いを成就させるのです」
 手にした懐中時計の蓋を閉じる。
 瞬間、それはユーベルコードであると感じることができる程度の時間でしかなかった、輝く。

「これこそが我がユーベルコード。攻撃を絶対予測し、あらゆる攻撃を躱すもの!」
 それは彼女の言葉を信じるのならば、凄まじい効果を持ったユーベルコードであった。
 けれど、口元にチョコレートがついていては微妙に締まらないものである。
 まだ気がついてない。マジか。
「締まりませんねー。まあいいですけれど」
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)、複合型悪霊の中の一柱『疾き者』が駆け抜ける。
 その姿は一陣の風のようであり、彼のその名を示すような速度であった。
 彼が掲げた手がユーベルコードに輝く。
 その光が影を落とせば、そこからそれは兵のように(ヘイニジョウセイナシ)現れる陣笠に数字の刻印された弓足軽たち。
 彼らはユーベルコードによって呼び出された援護射撃のための一兵である。

「応援よろしく頼みましてー」
『疾き者』ののほほんとした雰囲気で応援をお願いされては、そうでなくても超絶かっこいいヒーローである猟兵を応援するのは、キマイラフューチャーに生きる者たちにとって当然のことであった。
 まるでヒーローショーのような様相になっているが、それもまたキマイラフューチャーらしいと言えばらしかった。
「ふっ、どれだけ弾幕を張ろうが、無駄!」
 放たれた弓矢や『疾き者』の投げ放つ棒手裏剣を尽く躱す『ミズ・ルチレイテッド』。

 その圧電効果による水晶振動子から得られる攻撃予測は完璧であった。
「なるほど……その回避予測、対する私だからこそ成り立つわけですね」
「然り! すでに貴方の発する動きは私にとって、単調なもの! もはや如何なる攻撃も私には届かぬと知るが良いでしょう!」
 猟書家『ミズ・ルチレイテッド』は見誤っていた。
 確かに彼女のユーベルコードは強大である。攻撃予測。それは対する猟兵の個体としての振動子によって成り立つ未来予測とでも言うべき完璧なる攻撃のリズムの解析であった。

 けれど、それは一人の猟兵に対してのみである。
 ここに相対するは、4つの魂を複合した者。複合型悪霊である者たちである。なれば、そこにあるのは異なる波長の振動子。
「ならば、知るがいい。一つの器に異なる複数の魂を持つ者がいることを」
 がらりと雰囲気が変わる。
 手にした得物は黒色の槍。それを振り回し、放たれる攻撃の尽くを打ち払って瞬時に間合いを詰める。

 武の天才と呼ばれた『侵す者』。
 その勝負勘は凄まじいものであった。相対して即座に振動子を利用されることはない。今まさに『疾き者』の持つ振動子を覚え込んだ『ミズ・ルチレイテッド』にとって、それは驚愕なる光景であったことだろう。
「さて、間合いも攻め方も全く違うわしらに、その予測は答えられるのか?」
「振動子が変わった……! まさか、貴方は……いえ、貴方達は!」
「その通りだが、もう遅い!」
 答えは否である。
 突如として変化した振動子。

 それを理解し、即座に切り替えることは不可能であった。
 間合いの変わった槍の一撃は瞬時に二連撃。薙ぎ払った斬撃が『ミズ・ルチレイテッド』の胴をなぐ。
「ばか、な――、そんなことが!」
 驚愕に包まれながら、『ミズ・ルチレイテッド』は吹き飛ばされる。
 この異空間に漂う甘い匂い。
 それに釣られるようにして『侵す者』は懐から行きがけにもらったチョコレートを思い出す。

「……あれは後で楽しむとするか」
 こう甘い香りが漂っていると小腹が減る、と快活に笑うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
あのメイドもプリンセス・エメラルドをお嬢様と呼んでいましたね。
……やはり無理があるのでは?

透明な弾丸、ですか。
元よりこの距離では弾丸を見てからの対応では遅い、あまり気にし過ぎないでもいいでしょう。

この距離で撃ちあいをするなら、必要なのは発射される弾丸の回避は撃つタイミング、角度を見切り、発射されると同時かそれより前に対処をすること。

敵の発射タイミングと角度から弾丸の軌道を予測し、デリンジャーを『クイックドロウ』、【イージスの弾丸】で飛来する弾丸を撃ち落とします。

次弾の装填はさせません。敵の攻撃を防いだら「フィンブルヴェト」からの氷の弾丸で敵を撃ち抜きます。



 槍の連撃に寄って吹き飛ばされた猟書家『ミズ・ルチレイテッド』は呻くようにしながら立ち上がる。
 未だ猟書家という強大なるオブリビオンの力は健在である。
 シリアスな雰囲気、戦いの状況であるが、それは絵面的なものであって、異空間に漂う甘い匂いや、彼女の口元に拭われずに残っているチョコレートなどはそのままである。
 正直、締まらないのである。
「……やりますね、猟兵。ですが、私もお嬢様によってこの地へと遣わされた者。敗けて還るわけにはいかないのです」
 立ち上がる『ミズ・ルチレイテッド』の姿は未だ健在。
 その力の根源はお嬢様と呼ぶ『プリンセス・エメラルド』への忠誠心か。

「あのメイドもプリンセス・エメラルドをお嬢様と呼んでいましたね」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)はかつて戦った猟書家であるチーフメイド、アレキサンドライトのことを思い出していた。
 エルフの森焼きすぎ事件。
 いや、それはまた別の話であるので割愛させて頂くが、セルマは小首をかしげていた。
「……やはり無理があるのでは?」
 最長老でしょ、『プリンセス・エメラルド』。一番年上でしょ。プリンセスて。行き遅れてるとかそういう理由?
 という言外ににじみ出るセルマの言葉に激高したのは『ミズ・ルチレイテッド』であった。

「何処が無理ありますか! あの可憐なるお顔! エメラルドにかがやく玉のお肌! 何処をどう見てもお嬢様でしょうが!」
 信奉するお嬢様に対する侮辱! ゆるすまじ! と『ミズ・ルチレイテッド』の身体がユーベルコードにかがやく。
 その手に浮かぶは無色透明なる弾丸。
 ルチルの輝きは磨けば透明になる。それはいわば、そのユーベルコードの効果である。
 如何に猟兵と言えど、透明なる攻撃を防ぐことはできない。

 なにせ、どれだけ優れた反射神経であろうとも視覚として知覚できない弾丸を躱す方法などないのだから。
「死んでお詫びしていただきます!」
 放たれた弾丸がセルマに迫る。
 それを見ること無くセルマは感じていた。元よりこの距離では弾丸を見てからの反応では遅い。
 例え見えなくても、それに気を取られすぎていては相手の術中に嵌るというものである。

 故にセルマは理解する。
 刹那の瞬間に判断する。それはこれまで積み上げられてきた経験と知識が、今彼女に取らせる最適なる行動を導き出していた。
 簡単に身につくものではない。
 身を削るような思いをして獲得してきたセルマの練度。それが、今開花するように花開くのだ。
「――な……!? 何故、この距離で見えない弾丸を!」

『ミズ・ルチレイテッド』は驚愕していた。
 見えぬ透明なる弾丸。
 それは見えぬ以上躱しようのないものであった。だが、目の前のセルマは攻撃を躱していた。
 一撃も受けていなかった。
「簡単なことです。貴方は透明なる弾丸を放つゆえに狙いを絞っていない。必要だったのは、発射される弾丸のタイミング、角度。その手の動き。見てからでは遅い……ならば、動き始めるのは発射されると同時化、それより前……」
 その手にはデリンジャー。
 そう、セルマは打ち出された透明なる弾丸を前にして、角度と動きだけで弾丸の位置を見切り、デリンジャーによって打ち出した氷の弾丸で持って相殺させたのだ。

「私のクリスタライズド・バレットを、撃ち、落とす、だと……!?」
 それは超絶為る業。
 誰もが理解できたとしても、実行に移すことなどできぬ絶技。
 故に、それをイージスの弾丸(イージスノダンガン)と呼ぶのだ。超精密射撃を可能とするセルマのユーベルコード。
 その瞳は未だ輝きを喪っていない。

 あるのはスコープに見定めた得物のみ。
「――次弾の装填はさせません」
 手にしたマスケット銃『フィンブルヴェト』の引き金を躊躇いなく引く。
 それは次の瞬間氷の弾丸を放ち、驚愕に歪む『ミズ・ルチレイテッド』の胸を一撃の元の貫くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニコリネ・ユーリカ
まぁお口にチョコつけちゃって可愛い
教えてあげる
貴女がもちゃもちゃ食べてたのは
かの💔怪人が欲して止まなかったブランドチョコ
彼が一生かけても貰えなかった期間限定の特製品よ!
此処に彼を連れて来てあげたかった……!

さぁ弔戦よ!
私もチョコ貰えない身としてがんばる

ルチル弾は透明化して見えない
だけど無機物ならお花に変換できる筈
UCで花に可視化した後は早業で花束にまとめ
バレンタインにはお花もオススメですって宣伝しつつお渡しする
ミズに投げた瞬間にルチル弾に戻すの
ご自身の透明弾は受けられるかしら

ミズが怯んだ隙に追撃!
甲子園の土だって貰えるもの
ここのチョコレート、頂いていくわ
独り占めしないでわけなさーい!(くわっ



 猟兵の放った氷の弾丸が猟書家『ミズ・ルチレイテッド』の胸を貫く。
 氷の花が割くように炸裂し、傷口を蝕む氷結。
 けれど、それでもなお彼女は立っていた。恐るべきは猟書家たる強大なるオブリビオンである事実か。
 凄まじい存在感は今も尚健在である。

 しかし、しかしである。
 こんなシリアスな戦いのさなかであるのだかが、これまで誰も指摘してこなかったからアレなのであるが、未だ『ミズ・ルチレイテッド』の唇の端にはチョコレートが付いたままだったのだ――!
「ぐっ……ですが、私のクリスタライズド・バレットが完全に打ち破られたわけではありません……!」
 掌中に渦巻く弾丸。
 それはルチル、金紅石の特性のままに無色透明なる弾丸であった。如何に猟兵の視力が優れていたとしても、放たれる透明な弾丸を躱すことはできないはずだ。
 対策を講じられたのは驚愕であったが、それでもまだ全員がそれを為せるとは限らないのである。

「まぁお口にチョコつけちゃって可愛い」
 そんな風に、ニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)はにこやかに告げた。
 は? と『ミズ・ルチレイテッド』は口元を拭う。
 手には言わずと知れた茶色。まあ、チョコだよね。今までドシリアスに戦ってきたけど、ずーっと付いてたよね、チョコ。
 透明なるクリスタリアンたる肌が紅潮するのをみて、ニコリネはさらに可愛いなーって場違いなことを考えていたが、それとこれとは話が別なのである。

「教えてあげる。貴女がもちゃもちゃ食べてたのは――」
 ニコリネの瞳が見据える。
 それは一度はわかりあったはずの宇宙怪人。孤独に噎び、世界に対する怨嗟を炎ととして渦巻くことしかできなかった哀れなる嫉妬の怪人。
 その名は💔怪人! あ、めちゃくちゃ短い! 略され過ぎて一瞬なんのこっちゃであるが、名は体を表すっていうのを地で言っている!

 もっと早く気が付きたかった。その略し方……。
「そう、彼が欲して止まなかったブランドチョコ。彼が一生かけても貰えなかった期間限定の特製品よ!」
 そう、この異空間は『ミズ・ルチレイテッド』がキマイラフューチャーから集めた高級ブランドチョコ満載であった。
 甘い香りは芳醇なるカカオの香り。
 一粒でも板チョコ3~4枚は買えてしまうお値段が山程なのだ!
「此処に彼を連れて来てあげたかった……!」

 だが、彼はもう居ない!
 どこにも居ないのだ! いや、骸の海にはいるけど。とにかく、此処には居ないのだ!
「え、えぇ……」
 正直、『ミズ・ルチレイテッド』はドン引きしている。
 え、なんで? なんで宇宙怪人と仲良くなってるの? と思っていた。そんでもってぶっ飛ばしたんですよね? と聞いてみたかったが、聞いたら多分自分も同じような目に合うと本能的に知ったのだろう。
 口をつぐんだ。懸命であるが、多分結果は一緒である。

「さぁ、弔戦よ! 私もチョコ貰えない身としてがんばる」
 いや、まって。最後のほうが本音じゃないかなって誰かが呟いたが、ニコリネはたおやかに微笑んでスルーした。
「わけのわからないことを!」
 放たれたクリスタライズド・バレット。そのルチルの弾丸は無色透明。
 放たれてしまえば、躱すのは至難の業である。だが、ニコリネの瞳はユーベルコードにかがやく。
「Flowers don’t tell, they show.語らずとも示して見せるわ」

 そのユーベルコードの名は、Eureka(ユリイカ)。
 未知なる物を見つけるためのユーベルコード。彼女の周囲に在る無機物全てを花に還る。一瞬でよかったのだ。
 放たれるルチルの弾丸は無機物。故にニコリネのユーベルコードの範囲に入った瞬間、それらは見目麗しい花へと変わる。
 ふわりとニコリネの手の中に弾丸であった花が落ちる。それを手早く花束に変えた手際は、まるで魔法であった。
「バレンタインにはお花もオススメですっ! どうかしら、バーチャルキャラクターの貴女!」
 ちゃっかり宣伝している。
 流行りものが大好きなキマイラフューチャーの人々にとって、それは新しいムーヴメントとなるであろう。

 そうなれば、ニコリネの移動販売車は大人気である。
 しかも、販売しているのは猟兵であるよ。そうなれば、超絶かっこいいヒーローである猟兵が作ってくれた花束を意中の相手に手渡せば、恋愛成就のジンクスとして大流行間違いなしである。
 商魂たくましい。たくましすぎる。
「さあ、受け取って。ミズ」
 はい、と優しく花束を投げつけ、『ミズ・ルチレイテッド』は思わず手を伸ばした。彼女だって女の子である。きれいな花束があれば、ちょっとうれしくなってしまうのである。
 
 だが、忘れてはならない。
 今戦ってる最中だから。瞬間、ニコリネはユーベルコードを解除し、花から弾丸へと変わった瞬間に『ミズ・ルチレイテッド』が怯んだのを見逃さなかった。
「――これはっ、私のはなった弾が……!」
「甲子園の土だってもらえるもの! ここのチョコレート、頂いていくわ!」
 そういうのとはちょっと違う気がするんですが。
 でも、それでも此処に集められたチョコレートを💔怪人の手向けとしたいニコリネの気持ちは痛いほど伝わって……。

「独り占めしないでわけなさーい!」
 くわっ!
 あ、そういうやつじゃないんですね。わかります。ニコリネの痛烈なる一撃が、奇しくも💔怪人に見舞ったアッパーカットと同じ角度で『ミズ・ルチレイテッド』に叩き込まれ、彼女は宙高く打ち上げられるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アレ・チカノ
アドリブ他諸々OK。
なるほどチョコレートを食べるのですねわかりました、確かにそちらの方が重要です。あなたなかなかやりますね。
戦うより食べる方が重要なので、普通にその辺のチョコレートを食べようとしますが。
自分はチョコレートを食べているのにわたしが食べる邪魔をするのですか?
なるほどわかりました、あなたはわたしの敵です。

相手は集中が必要みたいなので、そんな暇は与えません。
一旦ポチ達で殴り付け、ドレスを翻しながら距離を取って雷撃で動きを封じてから
ポチ、噛み付きなさい。
ボコボコに殴り付けましょう。



 放たれた痛烈なる一撃は猟書家『ミズ・ルチレイテッド』の顎に見事に入り、その身体を宙に浮かせた。
 通常であれば、脳が揺さぶられ立ち上がることすら困難であったが、敵は強大なオブリビオン、猟書家である。
 そして、何よりも異空間に夥しい数のチョコレートの箱が山積している。
 まるで塔の高さを競うように積み上げられたチョコレートの箱はこれまで『ミズ・ルチレイテッド』が集めたお嬢様――『プリンセス・エメラルド』への献上品であったことだろう。
 正直に言って、世界征服よりもそちらの方に重きをおいていたのではないかと疑われても仕方のない光景であった。
「くっ……せっかく集めたお嬢様への献上品……! ここで喪うわけにはいきません。コンコンすれば無限に湧くシステムフラワー、それを手に入れるためには世界征服が手っ取り早いのです」

 もはや世界征服が手段であり、目的と手段がひっくり返っていることに気が付けない。もしかして、ちょろいのでは、この猟書家と猟兵達は思い始めていたが、それは思い違いである。
 こんな雰囲気であるがマジで強いのである。
「なるほどチョコレートを食べるのですね、わかりました。確かにそちらの方が重要です。あなたなかなかやりますね」
 絶対、アレ・チカノ(草食系ヴァンパイア・f16064)は違う意味で関心しているのだが、『ミズ・ルチレイテッド』は猟兵に対する警戒を強める。

 当然である。
 猟兵とは生命の埒外にある者。
 オブリビオンにとって、その姿がどれだけ幼い姿をしていたとして侮る理由にはなっていないのである。
「それではコレもチョコレートをいただき……」
 食欲の権化であるアレはその辺に置かれていたチョコレートの箱に手を伸ばした。
 そこへ打ち込まれたのは透明なる弾丸である。アレの鼻先をかすめた弾丸に彼女は視線を向ける。
「それはお嬢様のものです! 断じてあなたが食べていい代物ではない!」
 透明な弾丸。
 それが『ミズ・ルチレイテッド』のユーベルコード。
 透明な弾丸の軌跡は言うまでもなく回避することが難しい不可視の攻撃。

 しかし、アレにとって、食事の邪魔をすることこそが大罪である。
「自分はチョコレートをたべているのにコレが食べる邪魔をするのですか?」
 その瞳が真紅に輝く。
 それはユーベルコードの発現であった。サイキックブラスト……両手から高圧電流が迸る。
 見えぬ弾丸があるというのならば、己の全周を高圧電流で包めばいい。

「なるほどわかりました、あなたはわたしの敵です」
 駆け出すアレの速度は異常であった。
 手にするポチたち。犬の頭部を模したそれを振るう。
「ポチ、噛みつきなさい。あれはコレの敵です」
「勝手な理屈を! だから、あれはお嬢様の物ですってば!」
 集中はさせない。
 集中をさせてしまえば、またあの透明な弾丸が飛んでくる。故に畳み掛けるのだ。ドレスを翻し、サイキックブラストの高圧電流が迸る。

「この電流……! 私の動きを封じるつもりですか!」
「ポチ!」
 両手にした犬の頭部が咆哮するように大口を上げて牙を剥く。その一撃は『ミズ・ルチレイテッド』の腕に食らいつき、放つ弾丸のための集中を妨げるのだ。
 息をつかせぬ連続攻撃。
 殴りつけ、噛みつき、その連打はまさに怒涛の勢いであった。

 あのか細い身体の何処にあれだけの力が在るのか、『ミズ・ルチレイテッド』には理解できなかった。
 まさか本当にチョコレートを食べたいという一心で己に喰らいついているとでもいうのか。
「デタラメが過ぎますよ!」
 そう、デタラメが過ぎるのだ。これが生命の埒外にある存在。猟兵であると言わんばかりにアレは猛攻によって『ミズ・ルチレイテッド』を追い詰めていく。

 時折、その食欲の赴くままにチョコレートの箱が山積みにされた異空間で、手を伸ばしついでのようにチョコレートをもちゃもちゃやっている事以外を見れば、大変シリアスなのであった。
 しかし、残念ながら二人共口元にチョコレートがくっついている姿は、傍目に見て大変に締まらない戦いを繰り広げ続けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィア・シュヴァルツ
「ごっでぃーばにローイズのチョコ……
貴様、我に断りもなくチョコを独り占めとは許せん!」(私怨

猟書家だか何だか知らんが、我のチョコを奪うものには鉄槌をくださねばなるまい!(注:フィアのチョコではありません

「というわけで、我の大規模魔術で一気に片付けて……」

はっ、しまった、大規模魔術を使っては、我のチョコにも被害が!
おのれ、人質(チョコ質?)を取るとは卑怯な……

「爆裂魔術ではチョコが溶けるので論外として、氷魔術でチョコを冷凍しても味が落ちてしまう!
ミズ・ルチレイテッド、敵ながら何たる策士か!」

仕方がない。
ここは【リザレクト・オブリビオン】で死霊を召喚し……

「あっ、こらっ、我を透明弾で攻撃するな!」



 高級チョコレートブランド。
 その名も『ごっでぃーば』と『ローイズ』。
 それはキマイラフューチャーでコンコンして手に入れる食材を利用して戯れにキマイラたちが作り上げた高級チョコレートブランドである。
 どこかで聞いたことの在るような無いような名前であることを除けば、至って高級チョコである。マジで!
 フィア・シュヴァルツ(漆黒の魔女・f31665)は歯噛みした。
 許せないとさえ思っていた。

 何故なら、フィアもまた高級チョコレートブランドの名高いことを知る猟兵であったからだ。流石色気より食い気である。
「ごっでぃーばにローイズのチョコ……伊参、我に断りもなくチョコを独り占めとは許せん!」
 正しく私怨。
 ある意味嫉妬の炎より厄介なやつである。
 完全に言いがかりでしかないのだが、オブリビオンと猟兵は滅ぼし合う間柄である。是非も無し。

「猟書家だがなんだか知らんが、我のチョコを奪うものには鉄槌をくださねばなるまい!」
「いえ、普通に私勝手集めてきたんですけれど……」
 すごい冷静な猟書家『ミズ・ルチレイテッド』の返し。
 しかし、フィアは聞かないふりをした。
 この異空間にあるチョコレートはフィアのものではないことは一目瞭然であるが、毅然とした態度で所有権を主張する所がワルである。流石悪魔である。
 居直る気満々である。

「というわけで、我の大規模魔術で一気に片付けて……」
 輝くフィアの瞳。
 それはユーベルコードによる強大なる魔術に寄って『ミズ・ルチレイテッド』を叩きのめそうとしたものであったが、思い至る。
 そう、彼女の扱う大規模魔術は氷獄の魔術。
『ミズ・ルチレイテッド』はその強大な魔力の反応に身構えていた。
 しかし、フィアはいつまでたっても魔術を発動させようとはしない。え、なんで、なになに、と『ミズ・ルチレイテッド』は、ちょっとなにかの罠かなと考えるまでに至っていた。

 それくらい妙な間が空いていた。
 そう、フィアは先程も失敗していたのだ。
 氷漬けにしたチョコレート。冷凍したチョコは解凍されると風味が喪われるのである。そうなれば、せっかくの高級チョコレートが台無しである。
 ぐぬぬ。
「おのれ、チョコ質ならぬ人質を取るとは卑怯な……」
「えっ!? いやまってください。これ、私の集めたやつなんですが。おかしくないです?」
「卑劣な手段を取りおってからに! 爆裂魔術ではチョコが溶けるので論外として、氷魔術でチョコを冷凍しても味が落ちてしまう!」
「話聞いています!?」
 聞いてない。
 完全に聞いてないやつである。

「『ミズ・ルチレイテッド』、敵ながら何たる策士か!」
 いや、完全にフィアが一人で勝手に嵌ってる感じであるが、勢いが何もかも解決してくれる。
 こういう時に勝つのは勢いのある者である。
 正当性とかそんなのは勝てば後から勝手に付いてくるものである。

「仕方ない。ここはリザレクト・オブリビオンで死霊を召喚し……」
 召喚される死霊騎士と死霊蛇竜。
 しかし、それらを召喚する間に『ミズ・ルチレイテッド』はちゃんと集中して透明なる弾丸、ルチル弾をフィアに撃っていた。
 まるでお約束ができていない戦隊モノレベルの不意打ちであったが、正直フィアも話聞いてないから悪いと思うなとバーチャルキャラクターも思っていたが口に出さなかった。
 あとが怖い。

「あっ、こらっ、我を透明弾で攻撃するな!」
「やめろと言われてやめるやつがありますか! いい猟兵は私にやられる猟兵だけです!」
 そこからはもうわちゃわちゃした戦いであった。
 透明な弾丸から逃げ惑うフィア。そして召喚された死霊騎士と死霊蛇竜が『ミズ・ルチレイテッド』と死闘を繰り広げる。
 最後の最後まで締まらない戦いであったのだが、それでも『ミズ・ルチレイテッド』を消耗させ続け、フィアは逃げ回るついでのように懐に高級チョコレートを忍ばせつつ、ホクホクするのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カイ・オー
「真犯人の登場か。
あの男は、お前にそそのかされてあんな凶行に走ったんだな。
一人寂しくバレンタインデーを過ごす、無害で憐れな怪人を操り悪事を行わせるとは…許せん!」

【魔人探偵】のUCを使う。強く賢く美しい俺であっても、猟書家相手に微塵の油断も許されない。

「『すまなかった…俺の様な悲劇を繰り返させないでくれ』という彼の最期の言葉。忘れる事は出来ない!」

現実改変能力発動。聴衆を「そうだったかな…そうかも」という気分にさせる。

「彼の無念をはらす!
皆の応援がバーチャルキャラクターの力になる!奴を倒す為、俺に力を貸してくれ!」と応援を頼む。

弾丸をかわしつつ突撃、炎の【属性攻撃】を拳に込め全力で叩き込むぜ。



 今日もキマイラフューチャーに美少年探偵の推理が冴え渡る。
 嫉妬に狂った宇宙怪人。
『ハートブレイク・チョコレート怪人』。彼は嫉妬の炎を巻き上がらせながら、バレンタイン中止を訴えていたし、強硬手段も辞さぬ考えであった。
 彼はあまりにも純粋であった。
 本命チョコが欲しい。
 チョコが欲しすぎる。買えばいいじゃんっていう話であるが、そういう問題ではないのだ。
 誰かの嬉し恥ずかしな想いの籠もった本命チョコがほしかったのだ。

「真犯人の登場か。あの男は、お前に唆されてあんな凶行に走ったんだな。一人寂しくバレンタインデーを過ごす、無害で哀れな怪人を操り悪事を行わせるとは……許せん!」
 カイ・オー(ハードレッド・f13806)は肩を震わせながら、拳を握った。
 彼は確かに美少年探偵であった
 彼の言葉は、それ即ち現実改変能力の現れであり、あらゆる事件を問答無用で解決する力を持つ。

 故に彼は、こう呼ばれるのだ。

 ――魔人探偵(マジンタンテイ)と!

「いや、ちょっとまってください。確かに私はコズミックパワーでスーパービームの照射による怪人の宇宙怪人への改造を行いましたが、彼の嫉妬は、彼本来のものですよ? 私は別に唆しては……」
 猟書家『ミズ・ルチレイテッド』はたじろいだ。
 だって、カイの推理はあまりにもゴリ押しであったし、『ハートブレイク・チョコレート怪人』もわりとノリノリであったのだ。
 なんだか自分だけが悪いみたいな雰囲気にされてしまっているが、それはある意味冤罪である。
 いやまあ、世界征服しようとしている時点で冤罪もくそもないのであるが!

「『すまなかった……オレのような悲劇を繰り返させないでくれ』という彼の最後の言葉。忘れることは出来ない!」
 えぇ……。
 猟書家『ミズ・ルチレイテッド』は呆れた。
 呆れに呆れた。
 見てなかったけど、そんなこと言うかな、あの『ハートブレイク・チョコレート怪人』。絶対言わないでしょ、と思ったが、周囲の猟兵ならびにバーチャルキャラクターは頷いていた。
 あったあった。そんなことあった。

「――嘘でしょう!?」
 カイのユーベルコードによる現実改変能力によって、周囲の認識がすり替わっているのだ。
 みんな『そうだったかな……そうかも』という気分にさせてしまっているのだ。
 この場においてカイの言葉こそが現実である。
 故に『ミズ・ルチレイテッド』だけが現実から取り残されているのだ。

 そんなうろたえる『ミズ・ルチレイテッド』だけを残して勝手に話がどんどん進んでいく。
「彼の無念を晴らす! 皆の応援が、バーチャルキャラクターの力になる! 奴を倒すため、俺に力を貸してくれ!」
 美少年探偵のきらっとした笑顔が振りまかれる。
 今此処にバーチャルキャラクターは一人しか居ないが、ものすごい黄色い声援が飛ぶ。
 それが力となってカイの拳に炎が宿るのだ。

「わけのわからないことばかりを! こちらが勝てば私の現実が現実なのです!」
 もうわけがわからない。
 けれど、それでもここで抵抗をやめてしまえば、カイの現実改変能力によって『ミズ・ルチレイテッド』は怪人を唆した真犯人に仕立て上げられてしまう。
 それだけはどうあっても防がねばならないのだ!
 掌に生み出したルチル弾の弾丸を放ち、迫るカイを牽制するが、バーチャルキャラクターの応援を受けて力を増した彼を止めることは出来ない。

「これが! 俺の! 『ハートブレイク・チョコレート怪人』の想い! 届け――!」
 炎を込めた拳が『ミズ・ルチレイテッド』へと叩き込まれ、彼女の身体が吹き飛んでいく。
 傷みもそうであるが、『ミズ・ルチレイテッド』は思った。

「なんて理不尽な――!?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
…うーん、このキマイラフューチャー独特のなんとも言いがたい雰囲気……あ。高級ギフトならしゃん=ぽーる・えう゛ぁんもお勧めだよ…
さておき…現在『お嬢様』の部下を全員しばこうキャンペーンが私の中で開催されてるのでお前も殴るね…

…相手の能力は10秒間集中することによる透明弾での攻撃か…
…これは回避が困な…え、10秒は長くない…?
…集中をしている間に【鳴り止まぬ万雷の拍手】を発動…知覚に高度の負荷を掛けることで集中を乱すよ…ついでに目を潰すことで「視認」も困難に…
動けなくなっているところを黎明剣【アウローラ】に魔力を込めて光の刃を伸ばしてルチレイテッドを斬るとしよう…
…殴ってない?何のことやら…



 甘い香りが充満する異空間に転移したメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は、しげしげと周囲を見回した。
 辺りには甘い香りの元であろう高級チョコレートブランドの箱が山積している。
 みょんみょんと妙な音を立て続ける異空間。
 それらを見て、メンカルは頷く。
「……うーん、このキマイラフューチャー独特のなんとも言い難い雰囲気……」
 まさしくキマイラフューチャーであるとしか言いようのない異空間であった。
 猟書家『ミズ・ルチレイテッド』が生み出した異空間であり、山積した高級チョコレートブランドの箱は全てお嬢様、即ち『プリンセス・エメラルド』への捧げものであった。

「くっ……また新たな猟兵ですか! ですが、ここの高級チョコレートブランドは一切渡しません! 『ごっでぃーば』やら『ローイズ』やら! 買い集めるのは大変だったのですよ!」
 猟書家『ミズ・ルチレイテッド』は叫んだ。
 これまで散々な目にあってきたのだ。この高級チョコレートを諦めて変えるわけにはいかないのだ。
「あ。高級ギフトなら、しゃん=ぽーる・えゔぁんもオススメだよ」
 メンカルは頷く。
 あれ、もしかしてオススメギフトを教えてくれるとか、他の猟兵と違ってメンカルは話のわかる猟兵であるのかもしれないと『ミズ・ルチレイテッド』は思った。
 わりとマジで。
 これまでろくな目にあってなかったから心が緩んだのかも知れない。

「さておき……現在『お嬢様』の部下を全員しばこうキャンペーンが私の中で開催されてるのでお前も殴るね」
 全然違った!
 なにそれどんなキャンペーン!?
 むしろ、理不尽過ぎる理由である以上、これまで相対してきた猟兵達よりも質が悪い!
「え、意味がわからないのですが!? 何故!?」
 しかし、猟書家『ミズ・ルチレイテッド』も強大なるオブリビオンである。
 そんな理不尽をはいそうですかと受け入れるわけにはいかないのだ。

「理由を問うてもどうせ答えてくれないんでしょうから、先制ッ!」
 集中する。
 掌に生み出したルチル弾。
 それは集中することに寄って透明になり、不可視なる弾丸として放たれる。これまで猟兵たちとの戦いだけに集中していればよかったから、10秒コンセントレートなんて楽勝であったが、あまりに理不尽なこと、そしてしっちゃかめっちゃかな戦いの連続で彼女の集中は途切れていた。
 わりとマジで。

「……なるほど、集中10秒を要する透明な弾丸……これは回避が困な……え、10秒は長くない?」
 メンカルの言葉はもっともであった。
 けど、コンセントレートなしで透明な弾丸ブッパとか正直くそつよなのである。
 多分大人の事情である。
 故に突っ込んでは負であるが、そこを突くのは正しいことでもある。
 故にメンカルの行動はシンプルであった。
「観測せし虚像よ、沸け、轟け。汝は観客、汝は賞賛。魔女が望むは舞台を止めし大喝采」
 メンカルの詠唱とともに『ミズ・ルチレイテッド』の周囲に迸るは閃光と喝采に似た轟音の幻覚であった。

「ひゃん――!?」
 お、可愛い声。
『ミズ・ルチレイテッド』は飛び上がった。
 え、なになに。なんの音!? とびっくりした様子で周囲を見回している。
 だが、さらにまた鳴り止まぬ万雷の拍手(ショウ・ストッパー)の如き轟音が響きわたって、肩をすくめるほかない。
 そう、それがメンカルのユーベルコードである。
 対象の知覚に高度のフアを与えることにより、『ミズ・ルチレイテッド』の集中を阻害しているのだ。

 集中を要するのであれば、集中させなければいい。

 冗談みたいな話であるが、これが効果てきめんであった。
 集中しようとする度に轟音が響き、『ミズ・ルチレイテッド』が肩をすくめる。これはこれで面白いなと思った瞬間、メンカルが手にした黎明剣『アウローラ』に魔力を込め、極大なる魔力の刃を形成していた。
「あっ、あっ、それ、ずるい――!? なんですか、そのごん太魔力刃はー!?」
『ミズ・ルチレイテッド』の避難の声ももっともである。
 メンカルはユーベルコードを発動してから一歩も動いていない。

 殴る宣言しておきながら殴るって、あそういう意味……? となるような魔力刃を迸らせながら、『アウローラ』の斬撃の一撃を雑に振り下ろすのだ。
 それは狙い過たず『ミズ・ルチレイテッド』を打ち据え、鳴り止まぬ喝采と共に彼女を吹き飛ばすのだ。
「殴ってないじゃないですか、いやー!?」
「……何のことやら……」
 メンカルは知らぬ存ぜぬを貫いた。
 だって、お嬢様麾下のオブリビオンをしばくのには、些細な問題であったのだから――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
同郷の者に、これ以上この平和な世界を脅かさせはしません
騎士として立ち塞がらせて頂きます

…その前に、手鏡などを使ってお顔を拭いた方が宜しいかと
素手で拭ったお陰で頬にチョコが広がって…

騎士としてお待ちしますので…

……

では、改めまして…いざ!

弾丸の威力や連射力を上げてきましたか
ですが…

UC起動

センサーの情報収集と瞬間思考力で手の動きから射線を見切り弾丸を剣で武器受け
剣表面の力場で弾を絡めとり猟書家へ反射

初見という程でもないでしょう?
SSWのフォースナイトはブラスターをフォースセイバーで跳ね返すもの
ウォーマシンが真似を出来ても可笑しくはないでしょう

距離を詰めつつ反射弾丸で後退する脚を撃ち抜き、大盾殴打



 極太魔力刃による斬撃が猟書家『ミズ・ルチレイテッド』の身体を撃ち、吹き飛ばした。
 その光景をみやりながら、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)はこのしっちゃかめっちゃかな戦いの雰囲気に流されることなくアイセンサーをきらめかせていた。
「同郷の者に、これ以上平和な世界を脅かさせはしません」
 その決意は尊いものであった。
 正直に言えば、目の前で繰り広げられている猟兵と『ミズ・ルチレイテッド』の戦いはシリアスというにはあまりにもかけ離れたものであったのだが、トリテレイアにとっては、それは些細なことである。

「騎士として立ち塞がらせて頂きます」
「うぅ……ひどいめにあいました……ですが! わざわざ私が立ち上がるまで待っているその騎士としての気概は認めましょう!」
 びしっ、と互いに相対するトリテレイアと『ミズ・ルチレイテッド』。
 だが、トリテレイアは申し訳無さそうに小さな控え目の音声で彼女に告げる。
「……その前に、手鏡などを使ってお顔を拭いた方が宜しいかと」
「――は!?」
 ごしごしと口元を拭う『ミズ・ルチレイテッド』。さらに口元のチョコが広がって、透明なるルチルの顔に茶色の美味しそうな色が広がっていく。

「……騎士としてお待ちしますので……」
 トリテレイアの生ぬるいアイセンサーの視線が痛かった。
 これまでどれだけ猟兵に攻撃を受けても理不尽すぎた勢いでの攻撃ばかりであったので、その優しさが痛かった。
 どんな攻撃よりも『ミズ・ルチレイテッド』おハートにぶっ刺さっていた。
 ナチュラル騎士道。慇懃無礼。
 まさにこの事を言うのだと思われるほどにトリテレイアは律儀に『ミズ・ルチレイテッド』が口元を拭い終わるのを待っていた。

「……よく来ましたね! 猟兵! ですが、私達が世界征服を為すのに変わりはありません! いざ!」
 わぁ。
 まさかの仕切り直しである。今までのやり取り全部なかったことにした『ミズ・ルチレイテッド』。
 しかし、トリテレイアはそれを言わない。マジで野暮である。正直、炉心にある騎士道精神が空気を読んだ。
「では、改めまして……いざ!」
 トリテレイアと『ミズ・ルチレイテッド』の視線が交錯する。

 ここから見た諸兄はわからないとは思うけれど、『ミズ・ルチレイテッド』はこれまで散々なしっちゃかめっちゃかな目にあってました。 
 わりと理不尽な……まあ、いうなればギャグ的なやつである。
 それをなかったことのようにトリテレイアと『ミズ・ルチレイテッド』は弾丸と個人携帯用偏向反射力場発生装置 (リフレクション・シールド・ジェネレータ)を利用した偏向反射力場によって弾き返しながらの、激しい戦いを繰り広げていた。

 すごい。
 ここだけ別のシナリオみたい! となるほどに強大なるオブリビオンとトリテレイアの戦いは熾烈を極めた。
「偏向反射力場を利用していますか! こちらの弾丸をそのまま、自身の手数に加える! やる――!」
「初見という程でもないでしょう? スペースシップワールドのフォース無いとはブラスターをフォースセイバーで跳ね返すもの」
 手にした剣で無数に放たれる弾丸を跳ね返し、トリテレイアは凄まじい攻防を『ミズ・ルチレイテッド』と互角に繰り広げていた。

「ウォーマシンが真似をできてもおかしくはないでしょう」
「ですが、私にも意地がある! この! 高級チョコレートをお嬢様の元へと届けるという意地が! 誰にも私のチョコレートを奪わせはしません! 高かったんですから――!」
 あーだめだ。
 やっぱり持たなかった。
 トリテレイアは微妙な気分になりながらも剣をふるいながら、ちょっとがっくりしながらも弾き返した弾丸で『ミズ・ルチレイテッド』の足を撃つ。
 強かに打ち据えられた『ミズ・ルチレイテッド』が体制を崩した瞬間、スラスターを噴射させ、一気に距離を詰めた。

「騎士として貴女を討ち果たしましょう! チョコレートの件は別として!」
 放たれた大盾の一撃が『ミズ・ルチレイテッド』の顔面を捉え、強打して彼女を吹き飛ばす。
 吹き飛ばされていく『ミズ・ルチレイテッド』をみやりながら、トリテレイアは何とも言えない脱力感い襲われる。
 これがキマイラフューチャーのギャグ異空間。
 かの猟書家であっても逃れられぬ宿命にトリテレイアは哀悼の意を表するようにアイセンサーを揺らめかせるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
この残念具合…!
いやー久しぶりに、噂通りのミズ・ルチレイテッドさんでホッとしました!
では心置きなくチョコクノイチ参ります!
あ、でもまず女子会します?(今年限界チョコをじー

バーチャルキャラクターを狙う貴女は嫌いじゃありませんが
悲しいけど私たちは敵同士
戦うしかありません!

というわけで悲劇のヒロイン風の演技(素人)から
クノイチ必殺アンブッシュ!(【乾坤一擲】
相手執事服ですし配役に間違いはないはず

とはいえルチルの弾丸は舐めてかかるわけにはいきません
【VR忍術】足元から土壁形成の術でバッチリ防ぐとしましょう

貴女が敵じゃなかったら
美味しいチョコを一緒に食べたかった…!(悲劇のヒロイン風

※アドリブ連携OK



 あー!?
 と悲鳴を上げながら猟書家『ミズ・ルチレイテッド』が吹き飛ばされて、高級チョコレートブランドの箱の山へと突っ込んで倒れ伏す。
 正直これまでの戦いの経緯を察するに非常に残念な醜態を晒しているのだが、もはやカンストしている感じである。
 もうこれ以下はないっていうか、これ以上やったら『ミズ・ルチレイテッド』のハートの方がハートブレイクしちゃう! というやつである。
「この残念具合……! いやー久しぶりに、噂通りのミズ・ルチレイテッドさんでホッとしました!」
 サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は何故かよくわからない納得の仕方をしながら、異空間で吹き飛ばされた『ミズ・ルチレイテッド』を見下ろしていた。

 山積した高級チョコレートブランドの箱の上に立ち、睥睨する姿はまさしくクノイチ。
「では、心置きなくチョコクノイチ参ります! あ、でもまず女子会します?」
 ぬぅ! あれはクノイチ女子会!
 知っているのか! シリカ!
 というやり取りがあったかどうかは定かではないが、サージェの視線は今年限定チョコに注がれていた。
 わかっているかな? これ猟書家という強大なオブリビオンとの戦いである。女子会とかやってる暇はないというかぁ……。
「いいですね、女子会……ぜひお嬢様も含めてパジャパーを……」
 ぬぅ! あれはパジャマパーティー! という下りはもういいであろう。天丼である。
 ちょっとサージェと『ミズ・ルチレイテッド』は意気投合しそうになっていた。

 けれど、悲しい。
「バーチャルキャラクターを狙う貴女は嫌いじゃありませんが、悲しいけど私達は敵同士。戦うしかありません!」
 この落差である。
 仲良くなったのかなって思った次の瞬間にはこれである。急転直下もかくやというくらいの落差でもってサージェは悲劇のヒロイン風演技素人仕立てで、わざとらしく嘆いてみせた。
 この後シリカによる演技指導が入った。

「ええ、私と貴女は敵同士! オブリビオンと猟兵……立場が違いすぎるのです!」
 対する『ミズ・ルチレイテッド』もノリノリである。
 あの、戦いだってこと忘れてませんかね!?
「というわけでクノイチ必殺アンブッシュ!」
 まさかの背後からの不意打ちである。
 しかしそれを躱しながら、『ミズ・ルチレイテッド』はルチルの弾丸を掌から生成して撃ち放つ。
 それをサージェは土壁形成の術で生み出した防壁に寄って防ぎながら、カタールを握り直す。

 それは苦悩する演技であった。
 ちょっと大根かなーって思ったけど、割りと迫真の演技であった。
「貴女が敵じゃなかったら、美味しいチョコを一緒に食べたかった……!」
「私もですよ……ですが!」
 二人は戦う運命!
 後からここだけ切り取ってポスターにしたら、映画の宣伝的な効果が狙えるのではないかという位劇画調になったが、二人が濃くなっただけである。
 あんまり意味はない。

 斯くして二人の戦いは続く。
 弾丸を放つ『ミズ・ルチレイテッド』。それを防ぐサージェ。
 ここ異空間であるが、何故かバックに夕日が視える。
 いやマジで幻覚のたぐいかと思うほどに夕日が見え、互いの放った一撃がクロスカウンターのように叩き込まれる。
「悲劇のヒロインは私です――!」
 最後にぽろっと本音が出たサージェの乾坤一擲(ヒッサツノイチゲキ)の一撃が『ミズ・ルチレイテッド』を貫いていた。

 それはまさに何故二人が戦わなければならないのかという悲劇であった。
 親友であったのに。
 いや、そんな事実はない。なんかノリである。
 そうした方がなんかエモーショナルな感じがしたからである。ロールプレイの一環として『ミズ・ルチレイテッド』は付き合う、付き合いの良さがあった。
「……ふ、っ……次は、スターヴァで、まっちゃくりーむふらぺちーの、ぶれべみるくに変更、ノンシロップ、えくすとらぱうだー、チョコチップ追加、エクストラホイップ、チョコレートソース追加を飲みながら、語り合えたら良い、ですね……」

 ――なんて?

「危惧ですね、私も……バニラフラペチーノ、エクストラホイップ、インホイップ、モカシロップに変更、エクストラシロップ、チョコレートソース追加、エクストラソース、チョコチップ追加、アーモンドトフィーシロップ追加のエクストラシロップで乾杯したいものです」

 だからなんて?
 呪文のようなことを言いながら、二人は宿命のライバルというロールプレイをこなしながら、サージェの勝利で幕を閉じるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月夜・玲
バレンタイン死すべしな怪人を放流しておきながら自分は試食タイムとか…
いい度胸してるじゃない
彼も草葉の陰で泣いてるよ
そして私のお腹も鳴いてるよ
…チョコ余ってない?


《RE》IncarnationとBlue Birdを抜刀
完璧なタイミングで避けられるなら、タイミング関係ない攻撃でいけばいいだけ
その為にもまずは接近して斬りかかる!
2刀流による『2回攻撃』
避けられてもいい、注意がこの攻撃にいけば
その間に『エネルギー充填』開始
そして斬撃とタイミングを合わせて【エナジー解放】を起動
範囲攻撃で焼かれるといいよ

…敵はとったぜ、ハトブレ以下略怪人
君との友情は忘れない…!
必ずバレンタイン煎餅で一儲けしてみせるよ!



 なんかいい感じに青春群像劇のような雰囲気で終わるかに思えた猟書家『ミズ・ルチレイテッド』との戦い。
 しかし、それはあくまでロールプレイ、演技の中での話である!
 まだまだ『ミズ・ルチレイテッド』は終わらないのである! むしろ、ここで敗けたらお嬢様に何を言われるかわかったものではない。
 それにまだ高級チョコレートを献上していない!
「故に! 私はまだ負けてはいないのです! この程度の傷、高級チョコレートを食べれば……」
 高級チョコレートにオブリビオンを回復する効果はない。
 言っておく。単なる気のせいである。

「バレンタイン死すべしな怪人を放流しておきながら自分は試食タイムとか……」
 ギクッ!
『ミズ・ルチレイテッド』の背後に立っていたのは、月夜・玲(頂の探究者・f01605)であった。
 ゆらりと揺らめく闘気が彼女の猟兵としての実力を物語っていた。
「いい度胸してるじゃない。彼も草葉の陰で泣いてるよ。そして――」
 ぐぅ~と非常に可愛い音が玲さんのお腹から聞こえてくる! 
 そう、戦いってカロリーがいるのである。具体的に言えば糖である。長いこと戦っているとカロリーを燃やすためのカロリーがなくなるのである!
 故に!
 今、玲さんのお腹はチョコレートをご所望なのである。具体的には高級チョコレートブランドのチョコ!

「……こ、これは……」
 お嬢様への献上品で……という『ミズ・ルチレイテッド』の言葉を遮るような腹の虫。
「……チョコ余ってない?」
 余ってるよね?
 おう、さっさとチョコレートよこさんかい! というくらいの気迫で玲と『ミズ・ルチレイテッド』は唐突なる剣戟へと突入する。
 手にするは模造神器の二振り。
 その斬撃の鋭さは言うまでもない。お腹が空いて若干ご機嫌斜めなのかなっていうくらい玲の斬撃は鋭かった。
 しかし、水晶体振動子を利用した完璧なる回避予測を行う『ミズ・ルチレイテッド』の動きも、これまで猟兵達に消耗させられていたこと感じさせないほどに鮮やかなものであった。

「見事な太刀筋です! ですが! その攻撃……私には通用しません!」
『ミズ・ルチレイテッド』は勝ち誇っていた。
 これまでマジで理不尽な攻撃ばかり受けてきた彼女にとって、ここまで正統な斬撃を繰り出す玲は敵としてというより、剣士として素直に感心していた。
 こういうのですよ、こういうの。
 こういう戦いがしたかったんです。めちゃくちゃやられるなんて思ってなかったんです、と言外に言っているようなものであったが、残念である。
 これはそういうしっちゃかめっちゃかな戦いなのである。

「いやー……関心してくれているところ悪いんだどさ」
 すでに玲の手にした模造神器には十分すぎるほどのエネルギーが充填されていた。
 輝く青白いユーベルコードの輝き。
 それは、玲さんがマジで遊びを捨てた瞬間であった。二刀による斬撃はあくまで『ミズ・ルチレイテッド』のリズムを読み取るためである。
 水晶体振動子による攻撃予測。
 それは今までの単調なる攻撃で蓄積されたデータを裏切れない。

 故に、玲の放つエナジー開放(エナジーバースト)は回避すら間に合わぬ広範囲に及ぶエネルギーの投射である。
「エネルギー解放、広域放射! 広範囲で焼かれるといいよ――」
 放つは異空間の全てを白く染め上げるほどの奔流。
 それが広範囲に渡って放たれれば、それは回避などできぬ攻撃であった。

「そんな――!」
 迸るエネルギーの斬撃が『ミズ・ルチレイテッド』の胴を薙ぐ。
 一撃のもとに投射されたエネルギーは膨大な力でもって、猟書家『ミズ・ルチレイテッド』の身体を切り裂き、霧散させていく。
 消滅していく『ミズ・ルチレイテッド』は見ただろう。

「……敵はとったぜ、ハトブレ以下略怪人。君との友情は忘れない……!」
 鳩サブレみたいな言い方になっとる!
 どこか遠くを見つめ、玲はつかの間の友情を育んだ……育んでたかなぁ、あれ。
 まあ、そんないい雰囲気に押し流すように玲は決意を新たにするのだ。

「からずバレンタイン煎餅で一儲けしてみせるよ!」
 あ、それやっぱりやるんですね。
 がっぽがっぽのウハウハになるための宣言と共に玲は遠き骸の海にて沈むハートブレイク・チョコレート怪人あらため、ハトブレ以下略怪人、もしくは💔怪人に誓うのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月31日
宿敵 『ミズ・ルチレイテッド』 を撃破!


挿絵イラスト