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戦闘旗は天祐と共に

#クロムキャバリア #アザリア皇国 #イルジア大公国

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#クロムキャバリア
#アザリア皇国
#イルジア大公国


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●観戦武官
「戦艦、か」
 すらりと伸びた肢体をイルジア海軍の冬季軍装で包んだ女、アリューシャ・ケストナー中佐は、その相貌同様に細く美しい指で細巻きを口に運びながら、彼女の祖国には存在しない艦種の名をつぶやいた。
 長大な艦体、60センチを優に超えるであろう装甲、艦前方及び後方に鎮座する長砲身48センチ3連装砲。一度でも海軍の禄を食んだ者であれば誰しもが惹かれる力の象徴。海洋覇権を志す国家の意思そのものとも言える威容が彼女の眼前に存在している。
 アリューシャの佇んでいる施設は、祖国イルジアの小規模な軍港ではない。周辺諸国の中でも随一の海運国家であると同時に、分断国家である”二つのアザリア”の片割れ、アザリア皇国内に存在する大規模軍港である。
 あくまでも他国の軍人であるアリューシャがアザリアの軍港に赴くことになったのは、無論それなりの理由があった。
 分割されたアザリアのもう一方、ルーシェ誓約連合の勢力圏化にあるアザリア連邦共和国が、プラントが存在するエーゲル島を中心とした皇国の北方諸島に何の前触れもなく侵攻したのである。
 宣戦布告と同時に電撃的な侵攻を開始した連邦共和国海軍は、北方諸島に駐留していた部隊を異常な速度で排除し、エーゲル島を策源地として皇国本土への侵攻――連邦共和国側から見れば正当な権力主体による祖国統一行動――を実施する構えを見せていた。
 前述の事実のみであれば、実利を重んじるイルジアは、侵略者たる連邦共和国への非難とアザリア皇国への連帯の表明を行うのみであっただろう。
 しかし、連邦共和国の実質的な宗主国であると同時に、彼らの祖国統一行動において参戦が前提視されていたルーシェ誓約連合は、今なお沈黙を保っている。そればかりか、イルジアの諜報機関があらゆる手段によって入手した情報によれば、誓約連合中枢は全く混乱しているという有様であった。
 衝動的としか思えない連邦共和国の宣戦布告と、北方諸島にて確認された異常戦力。そして、ルーシェ誓約連合の混乱。この三つの事実からイルジアが導き出した結論は、精神汚染機体による国家単位での汚染であった。
 精神汚染機体によって首都の少なくない部分が灰燼に帰すことになったイルジア大公国の首脳は、精神汚染機体の危険性を骨髄に徹す程に認識していた。なにも道義上の理由ではなく、紛争の無秩序な拡大は、彼らの経済圏に深刻な打撃を与えるのだ。
 かくの如き理由によって、イルジア大公国は水面下で周辺諸国への政治工作を行うと同時に、義勇軍の派遣を含めた対アザリア皇国支援に乗り出すことを決定した。
 アザリア皇国在勤公国大使館附海軍武官アリューシャ・ケストナー中佐が、北方諸島奪還のため出撃するアザリア皇国艦隊に観戦武官として参加せよとの命令を受領したのは、そのような情勢下であった。

「いかがですか、我らのハルシュタインは」
 アリューシャの背後から、低く柔らかい声がかかる。振り向けば、そこにはアザリア皇国海軍の冬季軍装を身にまとった男が佇んでいた。背丈はアリューシャと同程度であるが、その雰囲気は潮気に満ちている。優し気な相貌の下にある襟章は、彼が海軍大佐であることを示していた。
「貴国を象徴するにふさわしい艦かと。大佐殿」
 完璧なイルジア海軍式の敬礼と共にアリューシャは応じる。辛辣さと配慮、そして若干の羨望が含まれた実にイルジア的な発言であった。
「どのような国家であれ、贅沢をせざるを得ない領域はあるという事だろう」
 戦艦「ハルシュタイン」の艦長たるエルウィン・ハルシュタイン大佐は、彼女のイルジア的発言を正しく理解したようであった。興味深げに眉を上げ微笑むと、見事なアザリア海軍式の敬礼をもって応じる。彼の指揮する戦艦は、周辺国において最も高名な海軍提督であった彼の曽祖父にちなんで命名されていた。
「経緯はどうあれ、友邦たるイルジアの客人を本艦に招けることを嬉しく思う」
「ありがたくあります。皇国海軍の戦いを間近で見られる機会を戴けたことは、海軍軍人にとって最上の喜びです」
 これは彼女にとっての本心であった。分断国家であったとしても、皇国海軍の武名は周辺諸国に轟いている。
 事務的な会話を交わした後、アリューシャはエルウィンにエスコートされる形で戦艦ハルシュタインへと足を踏み入れる。
 タラップを上りながら、アリューシャは近衛将校たる恋人のことをぼんやりと思い返していた。彼なら、この艦をみてどう思うのだろう。たぶん、キャバリアに乗っている方が良いと言うのだろうな。

●制海権
「状況を説明いたします」
 グリモアベースの一角。無機質なブリーフィングルームに、涼やかなソプラノが響く。声の主たる奉仕人形ティー・アラベリアは、銀の短杖を取り出すと、薄暗い室内に魔力で編まれた三次元地図を投影する。
「クロムキャバリアに存在する分断国家、アザリア皇国とアザリア連邦共和国との間で発生した国境紛争において、空戦型および陸戦型のオブリビオンマシンの投入が確認されました。今回の依頼は、二機存在するオブリビオンマシンのうち、空戦型の排除となります」
 ティーの概要説明に呼応する様に、三次元地図が作戦領域である皇国北方諸島の地形図――この場合はほぼ海図であった――を表示する。
 北方諸島の中心に存在するエーゲル島と呼ばれる島を中心に、オブリビオンマシンの影響下にある連邦共和国軍の陸海戦力が表示される。
 特筆すべきは、有力な海上戦力の存在であろう。北方諸島周辺海域には、連邦共和国海軍に属するであろう空母と戦艦を含む機動艦隊が赤い光点として表示されていた。
「エーゲル島周辺諸島を奪回するため、皇国海軍も空母及び戦艦を主力とした艦隊と強襲揚陸戦隊を当地に派遣しております。皆様には、揚陸作戦の第一段階として、皇国海軍と協同し敵海上戦力を撃滅。皇国艦隊迎撃に出現するであろう空戦型オブリビオンマシンの撃破をお願い致します」
 ティーは短杖を操り、虚空に敵艦の外形と性能諸元を表示していく。あるいは、戦艦と言う艦種に戸惑いを覚える猟兵も存在するかもしれない。
「殲禍炎剣という存在は、この古き良き艦種の価値を相対的に引き上げたようでございますね。その対空、対水上戦能力は決して侮れるものではございません。くれぐれもご留意くださいませ」
 今回の依頼に関わる敵味方の戦力を一通り説明し終えたティーは、三次元地図を戦況図からアザリア皇国を中心とした地域地図に切り替える。アザリアと言う同一の名を持つ二つの国家は、今回の作戦領域であるエーゲル島周辺諸島を境に分断されていた。
「繰り返しの説明になりますが、今回皆様に赴いていただくアザリア皇国とアザリア連邦共和国は、この地域に存在する地域覇権国、アルシェリア帝国とルーシェ誓約連合によって分断された国家となります。即ち、オブリビオンマシンに汚染された当紛争が無秩序に拡大すれば、大国を巻き込んだ大戦に発展する可能性がございます」
「この地域がどのような歴史を歩むにせよ、そこにオブリビオンマシンの傷跡を残すわけには参りません。皆様の力をお貸しいただければ幸いでございます」
 その言葉を最後に説明を締めくくると、ティーは相変わらず相貌に笑顔を張り付けたままグリモアを起動させる。
「それでは、良い戦場を。どうかご無事で帰還なされますよう」


あーるぐれい
 ごきげんよう皆さま。あーるぐれいでございます。
 今回は、強力な敵機動艦隊との艦隊戦と、味方艦隊を護る防空戦を繰り広げるシナリオとなります。
 戦場は海上ですが、味方艦隊に存在する空母や強襲揚陸艦には外付けの飛行ユニットが積載されており、飛行・潜水能力を持たないキャバリアでも航空戦闘が可能となっております。
 有力な敵艦隊と協同し、揚陸作戦の第一段階である制海権の確保を実現しましょう。
 キャバリアは勿論、生身での参戦も歓迎しております。

●第一章
 味方の艦隊と協同し、敵機動艦隊を撃破する事となります。
 殲禍炎剣によって戦闘距離が縮小した結果として、戦闘開始から早い段階で戦艦同士の砲撃戦が発生する事となるでしょう。
 敵の戦艦に正面から渡り合うもよし、味方の艦隊と協同するもよし、補助艦を撃破することで戦況全体を優位に導くもよし、猟兵の能力ならばどのような形であれ戦闘に貢献することができるでしょう。
 しかし、敵艦の強固な装甲と強大な火力にはくれぐれもご注意ください。

●第二章、第三章
 エーゲル島から飛来するオブリビオンマシン、及びオブリビオンマシンの影響下にある大型航空キャバリアとの戦闘になります。
 味方艦隊と協同し、防空戦闘を実施する事となるでしょう。
 上記状況を考慮したプレイングは、プレイングボーナスの対象となります。

●プレイング受付期間
 各章とも断章冒頭に記載されている日時からプレイング受付を開始いたします。
 各章にプレイング受付締め切りを設ける場合は、MSページにてご連絡いたします。
 また、プレイングの採用方針や記載方針等についても、同様にMSページをご確認いただければ幸いです。
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第1章 冒険 『敵艦隊を撃滅せよ』

POW   :    自らの装甲と火力を頼りに、敵艦隊へと突入する

SPD   :    速度と機動力を武器に、敵の迎撃網を突破する

WIZ   :    敵のデータリンクや索敵網を妨害し、敵の迎撃網を無力化する

👑7
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●プレイング受付期間:2/3(水)~2/5(金)
●作戦概略
(アザリア皇国統帥本部決定 北方諸島における対アザリア連邦反攻指令より抜粋)

 発:統帥本部
 宛:第一機動艦隊司令部
 アザリア皇国統帥本部決定 (北方諸島における対アザリア連邦反攻指令)

1.概略
 統帥本部は、皇主陛下の御名の元、皇国の藩屏たる陸海軍に対し以下の如く命令する。
 第一機動艦隊及び北方軍集団は、皇国の正当な領土たる北方諸島を侵犯するアザリア連邦共和国に対する反抗作戦を実施せよ。
 本作戦における最終目標は、北方諸島に展開するアザリア連邦共和国軍の掃討及び、プラントが存在するエーゲル島の奪還である

2.エーゲル島周辺に展開する敵戦力
 2ーa アザリア連邦共和国陸軍
  第三親衛装甲師団

 2ーb アザリア連邦共和国海軍
  強襲空母 二隻
  戦艦 三隻
  巡洋戦艦 二隻
  巡洋艦 六隻
  駆逐艦 八乃至十隻
  潜水艦 四乃至六隻

 2ーc 航空戦力
  航空キャバリア 一個旅団相当

 2-d 特殊戦力
  精神汚染機体 二機

3.艦隊及び上陸部隊指揮官への伝達
 本作戦の目的はアザリア連邦共和国が不当に占拠せしエーゲル島の奪還のみに留まらない。戦略要地たる北方諸島の確保とプラントの再奪取は、祖国統一に欠くべからざる手段であると最高統帥会議は認識している。
 また、敵精神汚染機体に対する対抗策として、本作成には外部戦力(以後猟兵と記載)が参加する。
 猟兵は通常兵器をもって対抗が困難な精神汚染機に対する極めて有効な戦力であり、艦隊艦隊及び上陸部隊指揮官は、以後皇国が猟兵との合同作戦を重視する事を了解事項として作戦の実施に当たられたし。
●前哨戦
 殲禍炎剣の災禍は、陸上だけでなく海上においても大きな影響を与えたことは論ずるまでもない。エルウィンの指揮下にある戦艦「ハルシュタイン」は、殲禍炎剣がクロムキャバリアに与えた歪みの象徴ともいえる存在であった。
 UDCアースの歴史と同じく、島国であるアザリア及び周辺諸国においても、長射程の対艦誘導弾や航空機を積載する航空母艦(これには航空キャバリア搭載型を含む)の登場によって、戦艦と言う艦種は戦場から姿を消しつつあった。
 しかし、高速飛翔体を無差別に迎撃する殲禍炎剣によって、戦艦の歴史的役割に終止符を打つべき存在であった誘導ミサイルと航空機はその射程距離と速度を著しく低下させる事になったのである。結果として、アザリア及び周辺諸国においては、海戦における戦闘距離が数千キロから百キロ以下にまで縮小することとなる。
 対艦ミサイルの打撃力低下と、高い運動性を誇る航空キャバリアの兵装に対する防御策として装甲の重要性が増した結果、個艦および艦隊防空、及び対艦戦闘における戦艦の価値が再び見直されることとなったのであった。

「早期警戒機より報告。敵艦隊進路変わらず、彼我の距離約110000。まもなく対艦ミサイル及び艦攻キャバリア攻撃可能圏内」
 対艦ミサイルや航空機の大幅な射程減を尻目に、艦載及びキャバリアに搭載されたレーダー及び各種戦術指揮システムは恐竜的進化を遂げている。皇国海軍及び連邦共和国海軍は、航空母艦から発艦した早期警戒機によって断続的に齎されるレーダー情報から互いの位置を把握し、馬上試合に臨む騎士の如く最大戦速で進出しつあった。
 如何に戦艦のレーダーマストが高所にあるとはいえ、水平線以遠の目標を探知することはできない。衛星からの情報も期待できないクロムキャバリアにあっては、空母から発艦する早期警戒機は艦隊の目であり盾となる存在としてより致命的な役割を果たしている。両艦隊は敵手が送り込んでくる早期警戒機に対して断続的に要撃を行っており、そういった意味では前哨戦はすでに始まっていると言えた。
「たかだか一個中隊にも満たぬ数で師団単位の戦力を潰走させるとは、猟兵とは凄まじいものですな」
 戦艦と言う大時代的な響きとは想像もつかぬほど未来的な光景が広がるCICの内にあって、エルウィンは傍らに控えるアリューシャに言葉を駆ける。その声色に疑いの響きはない。
「陸戦における彼らの戦闘力は疑うべくもありません。海戦においても、それが変わることはないでしょう」
 じりじりと迫る本格的な戦闘に対する自らの感情を能面の内に隠しながら、アリューシャは淡々と答える。彼女自身もまた、本国からの報告と直接猟兵と関わった人間からの情報を疑う習慣を持たなかった。
 エルウィンは微かに頷くと、軍帽のつば先に指を駆けた。艦長たるエルウィンの動きに呼応する様に、CIC内に警報が響き渡る。
「早期警戒機より警報! 敵艦隊、対艦ミサイルらしきものを多数発射。同時に艦攻キャバリア発艦を確認! 距離100000、急速接近」
 早期警戒機からの警報と同時に、機載レーダーから齎されるミサイルと敵艦載キャバリアの情報が大型ディスプレイ上にリアルタイムで表示される。ほぼ同時に、艦隊旗艦であると同時に艦隊防空調整官たる戦艦「ヴィルヘルム」より防空戦闘開始命令が下達される。
「よろしい。防空戦闘開始。対空レーダー使用自由。各防空担当艦に目標指示開始」
 エルウィンが矢継ぎ早に指示を下すと同時に、ハルシュタインに搭載された防空指揮システムが早期警戒機から伝達された情報を基に配下の駆逐艦及び巡洋艦に対して迎撃目標を分配していく。艦隊防空の要たる戦艦から目標情報を受信した各艦は、猛烈な勢いで迎撃用ミサイルを発射していく。
 連邦共和国海軍が放った対艦ミサイルの第一波は、ほぼ同数の戦力を持つ皇国海軍が放った迎撃ミサイルによって完全に迎撃されることとなる。両艦隊は対艦ミサイルと言う槍を交互に放ちながら、急速に距離を縮めつつあった。
 幾度目かの対艦ミサイルの応酬の後、戦艦ヴィルヘルムとハルシュタインを中心とした水上打撃群は、空母を中心とした防空陣形を解き、打撃陣形へと遷移する。両艦隊は互いに有効な損害を与えられぬまま、距離は80000まで接近していた。
「諸君、戦艦を擁する海軍とは如何なるものか、お客人方にご覧いただこうではないか」
 迫りくる艦攻キャバリアと、同様に水上打撃陣形を取りつつある敵前衛を前に、エルウィンの優し気な相貌には獰猛な笑みが浮かんでいた。
●MSより
誠に申し訳ございません……。非常に多くの参加者様にプレイングを戴いているため、一旦今頂いているプレイングをほぼ全てお返しすることになるかと思います。
再送期間は2/11(木)~12(金)にて設定させていただきます。
既に頂いているプレイングを基に書き進めてまいりますので、よろしければご対応いただければ幸いです。
また、再送期間を設けた上で非常に心苦しいのですが、全てのプレイングをリプレイとしてお返しできない可能性があることをご承知おき頂ければ幸いです。
ウィリアム・バークリー
このたびはお世話になりますと、「礼儀作法」を守って皇国艦艦長らに自己紹介の挨拶を。

さて、一大海戦というわけですね。まずは一番槍で共和国艦隊を引っかき回したいです。

「空中戦」で海面すれすれを「目立たない」ように飛行し、敵艦隊のおおよそ中央に達したと判断したら、「高速詠唱」「全力魔法」風と水の「属性攻撃」「範囲攻撃」「衝撃波」を乗せたDisasterを発動させます。
自身は、サバイバルマントで魔力の嵐を受け流して。

明確な敵意で襲いかかる大嵐と大渦巻。これで艦列は大きく乱れるはず。上手くいけば、艦船同士の衝突も起こせるかもしれませんね。

先手の役割は達成しました。本隊の皆さん、後をよろしくお願いします。



●一番槍
「さて、一大海戦というわけですね」
 敵のレーダーに感知されぬよう海面を這うように飛行しながら、ウィリアム・バークリーは微笑する。
 後に第二次エーゲル島沖海戦と呼ばれることとなる海上決戦において、連邦共和国艦隊に最初の痛撃を浴びせたのは戦艦でもキャバリアでもなく、生身で戦場を駆ける猟兵であった。
 狙うは敵艦隊中央。戦艦3隻と巡洋戦艦2隻を中心に、多数の防空担当艦を有する、極めて強力な水上打撃部隊の只中である。
 既に海上では連邦共和国海軍と皇国海軍の艦載キャバリアが熾烈な防空戦を繰り広げており、共和国海軍の索敵リソースはほぼすべて上空及び海中へ投じられている。 キャバリアや航空機程の熱源を伴わず、熟達した技量によってほぼ高度ゼロで飛行するウィリアムを捉えることは、優れた対空関知能力を持つ連邦共和国艦隊をもってしても叶わなかった。
「レーダーコンタクト! 方位0-2-5、距離500、高速飛翔体急速に近づく!」
 連邦共和国海軍がウィリアムを捉えたのは、彼が艦隊の懐深くに浸透した後であった。しかし、それでもなお連邦共和国艦隊の反応は迅速を極めた。
「対空戦闘!各艦、近接防御火器にて迎撃。敵の意図を挫け!」
 敵艦から放たれる猛烈な機関砲弾を生身だからこそ可能な戦闘機動によって回避し、時には自律的に稼働するダークネスクロークによって受け流しながら、ウィリアムは遂に艦隊中央へと至る。
「Elemental Power Critical...Liberate...Disaster!」
 連邦共和国艦隊旗艦「レムシャイト」の直上に遷移したウィリアムは、風と水の二属性をその身に集中させ、奥義たる大魔術を発動させる。
 それは、彼の魔力をもって制御された大嵐と大渦巻となって顕現し、明確な敵意を持った猛威として連邦共和国艦隊へと襲い掛かる。
 ウィリアムの魔力によって戦場に出現した大嵐は艦隊を飲み込み、周到な計画のもとに配置された艦列を千々に乱していくのだった。

「超常の力、これほどとはな」
 警報が響き渡る戦艦「レムシャイト」のCICの内にあって、連邦共和国艦隊の司令官たる男は独白する。その声と表情に焦燥の色はない。実際に彼が懐いた感情がどのようなものであれ、海軍軍人としての経験と彼自身の能力によって、身体の内へと抑え込んでいる。
 ディスプレイに目を向ければ、主力たる戦艦と巡洋戦艦は辛うじて陣形を保持していた。しかし、対空・対潜戦闘の手足となる補助艦艇はそうではない。彼女たちの殆は、超常の暴風と大波によって定位置から大幅に逸脱してしまっている。
 乱れ切った艦隊陣形を再編するには、連邦共和国海軍の練度をもってしても数十分の時間を要するだろう。そして、現代の海戦において、数十分という時間は永遠を意味する。
「所定位置を基準とした陣形再編は放棄する。現在位置を起点とした防空・対潜陣を立案しろ」
 艦隊司令たる彼にとって古なじみの参謀は、その命令を予測していたらしい。即座に頷くと、指令席の端末に既に起草させてあったらしい陣形案を転送する。
「よろしい、各艦に転送しろ」
「はッ!」
 皇国と同等の練度を誇る連共和国海軍は、超常の能力の前にあっても素早く状況に対応しつつある。艦艇の損害も軽微なものであった。
 しかし、ウィリアムの能力によって最適な対空・対潜陣形を乱された艦隊は、所々に隙のある陣形を用いての戦闘を強いられることとなる。
 大規模な艦隊、そして、オブリビオンマシンと猟兵達が介入する海上決戦において、最適な艦隊陣形の崩壊は、主力艦の喪失以上に致命的な損害と言えた。

「先手の役割は達成しました。本隊の皆さん、後をよろしくお願いします」
 自らの大魔術によって齎された惨禍を眼下に見下ろしながら、ウィリアムは悠々と戦場から離脱する。
 第二次エーゲル島沖海戦を俯瞰して見るものがあれば、口をそろえて答えるだろう。連邦共和国艦隊にもっとも致命的な損害を与えたのは、ウィリアムの能力によって発生した暴風と大渦巻であったのだと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
【星視】

ふふ、佳奈恵さん張り切ってますね。
ええ、わたしたちの実力をお見せしましょう!

海上戦力を無力化すればいいのでしたら、手はあります。
ただ、飛ばれるとちょっと面倒なので……こんな作戦は如何でしょうか。

佳奈恵さんのコードで航空戦を封じたら、わたしも【本気の闇の精霊さん】発動
半径96m以内に捕捉した敵機・敵艦を指定、かかる重力を100倍に引き上げてその悉くを水没させる
逆に全体が水中に浸ったものは(潜水艦含め)重力1%に軽減して強制的に浮かせ、それを繰り返して水面付近に磔にする
基本的に出来るだけ浸水による機能不全に留め、脱出の猶予は残すようにする

命までは取りません、諦めてください!


小和泉・佳奈恵
【星視】
イルジアの観戦武官さんも居るんやね。
これは恥ずかしい戦いは出来んばい、気合い入れていこう、ひかるちゃん!

とはいえセンチネルで長時間の航空戦闘はできんし、水上航行能力もなか。
ひかるちゃんの精霊さんに支援して貰えばどうにか……えっ、それより良か手がある?

オーケー乗ったよ、ぼくらは皇国の空母甲板上に展開しよう。
航空戦力には事前に退避要請! 友軍の航空部隊が後退し、敵が制空権を取りに来た時がチャンスだ!
XM-02弾頭を発射、戦域の飛翔体をすべて海に叩き落とす!
ひかるちゃん、空は掃除したよ。続きは任せる!



●防空戦闘
「今回はイルジアの観戦武官さんも居るんやね。これは恥ずかしい戦いは出来んばい、気合い入れていこう、ひかるちゃん!」
 イルジアからの観戦武官が座上する戦艦「ハルシュタイン」をメインカメラに映しながら決意を固めるは、かの国に縁を持つ小和泉・佳奈恵である。
「ふふ、佳奈恵さん張り切ってますね。ええ、わたしたちの実力をお見せしましょう!」
 そんな佳奈恵に呼びかけられた荒谷・ひかるもまた、僚友の奮起に微笑ましい物を感じながら、愛機たる「ステラ」の内で頷く。
 既に皇国艦隊と連邦共和国艦隊は、互いに艦載キャバリアによる攻撃隊を発艦させており、前方では激しい航空戦が展開されている。
 しかし、本来であれば艦隊防空を担っている筈の直掩機は彼女たちの頭上には存在しない。佳奈恵とひかるからの提案によって、一部を除く制空型艦載キャバリアは、艦隊直掩ではなく敵艦隊上空の航空優勢確保のため出撃しているのだった。
 即ち、今この時、主力たる水上打撃艦隊を空からの脅威から守るのは、各艦に装備されている防空兵装と彼女たちが操るキャバリアのみであった。

「右60度、艦攻キャバリア多数!急速接近!」
「全艦防空戦闘! 回避自由」
 事前の要請に従って邀撃機が後退した艦隊防空圏に、連邦共和国艦隊の航空母艦から発艦した攻撃機が殺到する。
 艦隊が設定した防空圏に入った攻撃機に対し、各艦から防空ミサイルが発射されると同時に、戦艦「ヴィルヘルム」の防空指揮システムから敵攻撃機隊の詳細な位置と速度情報がセンチネルへとリアルタイムで送信される。
「きたっ……! この瞬間を待っとったよ!」
 ヴィルヘルムからのデータリンクによって齎された目標位置に向けて、センチネルに搭載された多用途誘導弾発射装置から複数のミサイルが発射される。
 これが通常のミサイルであれば、艦隊に迫りくる数機のキャバリアを撃墜するにとどまっていたであろう。しかし、佳奈恵の放ったミサイルに搭載された弾頭は、UDCアース由来の思念兵装であった。
「空で押し潰すイメージ……全部、全部、何もかも!」
 艦隊に突入すべく急降下を始めたキャバリア編隊の前面で炸裂した「ジオアームズXM-02 ISWM」は、炸薬ではなく佳奈恵の想起するイメージを増幅した精神的な衝撃波を敵キャバリア部隊に叩きつける。
 自らの領域であったはずの空が自身を押しつぶすという、航空キャバリアのパイロットであれば本能的に嫌悪する感覚を叩きつけられたパイロットたちは、悉く錯乱し機体もろとも海中へと墜落し始める。
「よしっ、空は掃除したよ。ひかるちゃん、続きは任せる!」
「――了解です!」
 高高度から海面に叩きつけられれば、パイロット達の命はない。もはや戦意を喪失した彼らの命を救うべく、ひかるは愛機あるステラを通して闇の精霊たちに希う。
「お願い、闇の精霊さん。彼らを助ける力を貸して!」
 果たして闇の精霊たちは、盟友たるひかるの願いを聞き入れた。あわや海面へと接触寸前であった航空キャバリアは、闇の精霊たちが行った重力制御によって救い上げられ、海面へと軟着水していく。
「皆さん、命までは取りません、諦めてください!」
 精霊の力によって海底に沈むことなく、海面に磔にされた航空キャバリアのパイロットたちは、精神的な衝撃から立ち直ったとしても、もはやひかるの慈悲に縋る他ないことを悟るのであった。
 センチネルの放った思念兵器によって撃墜され、ひかるの操る闇の精霊によって海上に漂う鉄塊と化したキャバリアから、次々と乗員が脱出していく。
 もはや皇国艦隊上空に脅威はなく、艦隊決戦の只中とは思えぬほど穏やかな空が広がっていた。

 佳奈恵とひかると言う二人の猟兵の活躍によって、皇国艦隊に迫っていた艦攻キャバリアの脅威は排除されたのである。
 これによって、本来皇国艦隊が擁する主力の近接防空任務に当たる筈であった艦載キャバリア部隊は、その全力を敵艦隊上空の航空優勢確保に投入する事となる。
彼女達の活躍は、海上決戦において書くべからざる要素、航空優勢の確保に多大な貢献を果たしたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桐嶋・水之江
◆桐嶋技研
随分と穏やかじゃないお仕事ね
まあ、その分見返りがあるしワダツミと水之江キャノンを宣伝する良い機会でもあるのだけれど

初手で前衛を固めてる駆逐艦や巡洋艦を潰しましょうか
少数部隊の強みは機動力と柔軟性…艦隊の横に回り込むわ
さて、慌ただしくなるわね
ジャミングスタート
全砲門は迎撃準備
海面スレスレから対艦ミサイルが飛んでくるわよ
数秒間の最大戦速の後エンジンカットし慣性航行始め
艦首ハッチ開け
全動力を水之江キャノンに回すわ
艦載機は順次発進
射程に入り次第すぐ撃つから射線上には立たないように
拡散ハイパーメガビーム砲で大打撃を与えるわ
後はてんやわんやしてる所を押せるだけ押し込むわ


リジューム・レコーズ
◆桐嶋技研
オブリビオンマシンの影響がここまで大規模な軍同士の戦闘を引き起こすなんて…

ワダツミより出撃
敵航空キャバリアの迎撃に当たります
戦闘は常にワダツミとの距離を意識
離れ過ぎないようにしすぐに補給に戻れる状況を維持します
長期戦になるのは明白ですからね
主力武器はイグゼクターとマンティコアのプラズマキャノン
瞬間火力で圧倒して一機ごとの処理時間を短く済ませます
接近戦を挑む敵機はブレイクドライバーで叩き伏せた後アンカークローとマンティコアを刺突
パワーオブザ・シールを起動しエネルギーを吸い尽くします
これで補給の頻度も抑制できるでしょう
幾らでも来ればいい…ディナが全部喰い殺してやるッ!


亞東・霧亥
◆桐嶋技研
この規模で戦死者を少なく済ますには、戦闘中は人が居ないであろう貨物室を、極太レーザーで削り取り浸水から沈没させる。

【UC】
豆鉄砲じゃ話にならん。
全力で装甲を貫く。

・スナイパー、足場習熟
アークレイズに乗り、海面スレスレを駆け抜ける。
宙界の瞳の狙撃支援プログラムを起動。
宙界の瞳を右肩に固定して右目とリンク。
艫を正確に撃ち抜いていく。

「浮き輪を投げる暇は無いんでな。あとは自力でなんとかしてくれ。」


ダビング・レコーズ
◆桐嶋技研
始まりは誰も気に留めすらしない小さな歪みだったのでしょう
更に大きな歪みとなる前に事態は修正されなければならない

アークレイズで航空戦力として敵キャバリア部隊及び艦艇と交戦
ソリッドステート形態で亞東様のサブ・フライトシステムとします

ワダツミのハイパーメガビーム砲発射後の混乱に乗じ本格攻勢に移行
航行能力を残している敵艦艇に対し機体下部に懸架したサンダーボルトでプラズマグレネードを発射
着弾地点周辺の崩壊作用を持つこのUCで機関部や兵装を破壊
無力化を図ります
全ての攻撃は戦闘力を奪う程度に限定
猟兵としての作戦目標はあくまでオブリビオンマシンの撃破
不必要な人員殺傷は厳に慎まれるべきでしょう



●航空艦隊
「隋分と、穏やかではないわね」
 ワダツミの戦闘指揮所の内にあって戦況を見遣る桐嶋・水之江は、刻々と移り変わる状況を前に呟く。
 大規模な艦隊同士の決戦。確かに穏やかな話ではない。しかし、それは同時に、この戦場が彼女の開発した兵器の良いデモンストレーション会場である事を意味していた。
 
「レーダーコンタクト!航空艦らしき艦影接近しつつあり。方位0-9-0、高度100、距離20000」
 空を飛ぶ艦艇と言うクロムキャバリアの常識から外れた兵器に対し、連邦共和国艦隊司令官は即座に全力をもって迎撃する事を決断する。
「発射可能位置にある艦は対艦ミサイルにて迎撃。全弾射耗して構わん」
「接近中の航空艦に対し迎撃可能な艦は、直ちに迎撃を開始せよ。弾数制限なし、繰り返す、弾数制限なし!」
 旗艦から迎撃の命を受けた艦は、即座に各部ミサイル発射管から猛烈な勢いで対艦ミサイルを発射する。ワダツミによるシャミングによって妨害されながらも、連邦共和国艦隊によって放たれた対艦ミサイルの数は40発にも及んだ。
 ワダツミの概略位置を入力され発射された対艦ミサイルのうち、90%にあたる36発が正常に動作し、海面を這うようにワダツミへと迫る。
「防空戦闘開始、全火器使用自由」
 艦長たる桐嶋の命を受けて、ワダツミの戦闘AIは自らに接近する対艦ミサイルに向けて追尾用レーザーを発信し、位置と速度情報を分析。最適な迎撃タイミングを算出した火器管制システムの命令を受けた多連装ミサイル発射装置から、次々と防空ミサイルが発射される。
 ワダツミから発射された防空ミサイルは凡そ60発。その全てが正常に動作し、それぞれの迎撃対象となる対艦ミサイルに向けて猛然と飛翔する。
40もの目標に対する射撃誘導は、クロムキャバリアにおいては艦隊単位で実現させる能力である。それほどの能力を、優れた電脳魔術士にして技術者でもある桐嶋は、ワダツミ単艦で実現させていた。
 海面すれすれで飛行する対艦ミサイルは、ワダツミから発射された防空ミサイルによって次々に迎撃されていく。海面を照らす発生する火球の群れは徐々にワダツミに近づきながら炸裂し、おおよそ20秒余りで全弾が迎撃されることとなった。

「リジュームちゃん、ミサイルは片づけたわ。射撃位置につくまで、敵航空キャバリアの対処をお願い」
「承知いたしました、博士。リジューム・レコーズ、出撃します!」
 それらを迎撃するためワダツミから出撃するは、リジューム・レコーズの駆る「アークレイズ・ディナ」である。
「オブリビオンマシンの影響がここまで大規模な軍同士の戦闘を引き起こすなんて……」
 眼前で繰り広げられる大規模な戦闘を前に、リジュームは
上空を飛行するワダツミを重大な脅威と判断した連邦共和国海軍は、2個飛行隊18機艦載キャバリアをワダツミの邀撃に分配していた。
「一機一機に手をかけていられない……それなら!」
 自身とワダツミに迫りくる敵編隊に対して、リジュームはアークレイズ・ディナの主兵装たるRSイグゼクターを撃ち放つ。猛烈な連射速度をもって放たれた対キャバリア対キャバリア弾は編隊先頭に位置していたキャバリアの2機の主翼を撃ち抜き、撃墜することに成功する。
「……ッ! なんだあの火力と精度は!? 各機散開、ツーマンセルを維持しつつ敵機を押し込め!」
 敵編隊が散開する直前に放たれた空対空ミサイルをアークレイズ・ディナの機動力によって容易く振り切ったリジュームは、そのまま機体の高度を上げ、散開した敵部隊の上空に遷移するとRSイグゼクターを連射しながらテールアンカーたるRBXS-Bマンティコアを展開。自身を半包囲せんと散開した艦載キャバリアの出鼻を挫くようにプラズマキャノンを投射する。
 上空から打ち下ろされたプラズマキャノンに電子系統を焼かれたキャバリア数機が墜落するも、艦載キャバリア部隊の反応もまた迅速であった。
 リジュームに編隊の頭を押さえられる危険性を察した編隊長はすぐさま部隊を二つの役割に分割。片方の部隊には携行する対キャバリアライフルを使用した援護射撃を実施させ、自身が直卒する部隊は高度を上げリジュームの持つ優位性を崩しにかかった。
 しかし、どこまでも合理的な連邦共和国軍部隊の行動は、リジュームが想定する範囲内の行動でもあった。
 リジュームは自身が保持する高度を位置エネルギーへと変換し、高度を上げにかかる敵部隊へと急速に接近。RBXS-Bマンティコアから展開されるプラズマブレードを用いて周囲の敵を切り裂き、編隊長機に対してRXブレイクドライバーを打ち込んだのだ。
「幾らでも来ればいい……ディナが全部喰い殺してやるッ!」
 機構の単純さゆえに強靭な物掘削衝角剣槍に貫かれた編隊長機はリジュームとアークレイズ・ディナの能力によってその動力の悉くを吸収され、成す術もなく海面へと墜落していく。
 編隊長機を失った敵部隊を蹂躙し、リジュームは防空戦闘を完遂させつつあった。

「ビーム拡散偏向率修正良し……。ハイパーメガビーム砲を使用する、射線上の味方機に退避勧告を出しなさい」
 リジュームの活躍によって敵艦隊の防空網を突破したワダツミは、敵艦隊に向けての射撃位置確保に成功しつつあった。
 退避勧告を受けた味方部隊が退避した事を確認すると同時に桐嶋は連邦共和国海軍に向けて拡散ハイパーメガビーム砲を発射する。
 ワダツミの全動力を乗せて放たれたビームの奔流は、連邦共和国艦隊直前で拡散し、敵艦の舷側装甲板へと命中。重厚な装甲を持つ戦艦及び巡洋戦艦の装甲を貫徹する事こそ叶わなかったものの、随伴する巡洋艦や駆逐艦の装甲を融解、貫徹することに成功する。
 ビームによって生じた多数の破孔から浸水が発生し、もとより防御力の薄い駆逐艦などは大規模な傾斜を起こし、戦列から外れていく。運の悪い艦の中には、浸水によって生じた傾斜を復元できず、そのまま横転する物も生じていた。

「効果は上々ね。ダビング、亞東さん、後詰は任せたわ。押し込めるだけ押し込んで頂戴」
「任務了解した。アークレイズ、出撃する」
「了解した、博士。浮き輪をばらまく準備はしておいてくれよ」
 自らが開発した兵器の性能満足した桐嶋の言に応えるは、アークレイズを駆るダビング・レコーズと亞東・霧亥であった。
 ソリッドステート形態でワダツミから出撃したアークレイズは、その背に亞東を乗せ、圧倒的な推力をもって敵の防空圏を突破する。
「始まりは誰も気に留めすらしない小さな歪みだったのでしょう。更に大きな歪みとなる前に、事態は修正されなければならない」
 敵艦隊の懐に入り込んだダビングとアークレイズに向かって、連邦共和国艦隊からの対空砲火が襲い掛かる。猛烈な勢いで飛来する近接防御火器の弾幕を掻い潜りながら、ダビングはアークレイズを敵艦へと肉薄させ、対空兵装と機関部に狙いを定め荷電粒子榴弾を投射していく。
 或いは、彼の技量とアークレイズの兵装をもってすれば、駆逐艦や巡洋艦を轟沈させることも可能であったかもしれない。しかし、猟兵としての作成目的をオブリビオンマシンの撃破であると定義する彼は、無用な殺生を避ける道を選んだ。
 直撃寸前で炸裂した荷電粒子榴弾は、見事その危害半径の最外周に対空兵装や敵艦の舵を捉え、近接防御火器やミサイル発射管を無力化していく。
 超高速で機動を続けるアークレイズから針穴に糸を通すような攻撃を行う技能は、まさに超常的なものであると言えた。
「相変わらずすさまじい腕と感心してばかりもいられんな。俺も仕事をこなすとしよう」
 如何に駆逐艦や巡洋艦が相手とは言え、相手は装甲を張り巡らせた軍艦である。亞東は己が持つ全力で敵の装甲を貫くべく、兵装のリミッターを解除する。
「さて、無暗に人死にを出す趣味もない。だとすれば、狙うは……」
 自身の右目とリンクした宙界の瞳の狙撃補助システムを使用し、亞東は第一種臨界不測兵器の引金を絞る。投射された重粒子は敵艦の後部甲板から艦底までを易々と貫通し、ダビングの攻撃によって損傷していた舵を完全に破壊すると同時に、艦底に生じた破孔から致命的な損傷を発生させることとなる。
 しかし、武装がほぼ存在しない後部甲板に対する攻撃は、ミサイルや砲弾の誘爆と言った艦と人員にとって致命的な存在を与えることなく、ただ戦闘力だけを奪い取ることに成功していた。
 如何に宙界の瞳による狙撃補助があったとしても、高速機動を行うアークレイズから過たず後部甲板と舵を撃ち抜く技量は尋常なものではない。
「浮き輪を投げる暇は無いんでな。あとは自力でなんとかしてくれ」
 亞東もまた、猟兵としての任務と人命の尊重という困難な目的の両立を果たしたのであった。

 桐嶋、リジューム、ダビング、亞東という4人の猟兵の活躍は、連邦共和国艦隊の対空、対潜能力を支える駆逐艦、巡洋艦に対して多大な損害を与えることに成功した。
 水中と空に対する防御能力を著しく損なった連邦共和国艦隊は、以後空と水中からの脅威にさらされながら戦闘を継続する事を強いられることとなるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メリア・アルスト
リリー(f30386)さんと連携
グルヴェイグ(f30017)がサブパイロットとして同乗

ここなら自国の誰かに知られず思いっきり戦えるかな?

●初対面
あ、雑誌で見ことあるキャバリアがドッグに
えーと…確か傭兵の…
『バーサーク・ドクター』…?と思わず口にして、それをキッカケに知り合って一緒に戦うことに

●戦闘
グルヴェイグが『複座用の折りたたみ椅子』のシートベルトをしたら、レーヴァテインで出るよ
こちらは武装が少ない代わりに機動力と飛行能力があるから、敵艦に肉薄できると思う
このまま空に注意を向けてもらおう
私は【操縦】に集中してUCで性能を引き出しつつ移動と回避を
攻撃はグルヴェイグに任せる

アドリブアレンジOK


グルヴェイグ・ヴォルヴァ
メリア(f29925)に同行ですわ

あらその方は?
なるほど。リリーさん、わたくしはグルヴェイグですわ
よろしくお願いいたしますわね

●戦闘
操縦はメリア、その他がわたくし、と分けて最大効率を引き出しますの
古代魔法(サイキック)の【念動力】で機体の加速を補助したり敵の弾を反らす防御をしますわ
タイミングは『サイキックテレパス』で
そしてUCを撃ち込みまくりますわ!
射程内に砲手や観測手が入ったら『セイズ』による【催眠術】や【ジャミング】も試みますの
これだけ妨害と手数をバラ撒けば無視はできませんでしょう?

…お腹が空きましたわ
と、持参していた沢山のメロンパンと水で回復したら再び暴れますわ!

アドリブアレンジOK


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
※アドリブ絡み連携歓迎
最近『謎のサイキック系複座機』の噂を聞くね
確か乗り手は不思議系とお嬢様…ああ、アンタ達?
メリアさん(f29925)とグルヴェイグさん(f30017)か

うん、アタシが『バーサーク・ドクター』
リリー先生とか呼んでねっ
この『ナインス・ライン』が雑誌に…ふふっ♪

折角だしお二人さん、一緒にヤる?

14番【スタグネイト】起動
背部コンテナから潜水装備展開、装着で潜水艦風に変形して進水

ナノマシン入り煙幕弾散布、一帯『深海』化
陣営識別して敵は偽深海で徹底撹乱、アタシは【深海適応】で快適潜航っ

敵潜水艦が立て直す前に敵艦を2人と挟撃
ミサイル・ライフル・盾の機関砲など実弾メインに海中から攻めるよっ



●三人の魔女
 皇国海軍強襲空母「ヘルマン・ミュラー」から発艦したメリア・アルストとグルヴェイグ・ヴォルヴァが騎乗する複座型キャバリア「レーヴァテイン」は、メインパイロットのメリアによって引き出される猛烈な速度と機動力によって連邦共和国艦隊の防空圏を突破。打撃陣形の先頭に位置する戦艦「ブランデンブルク」に向けて突入機動をとりつつあった。
 メリアの巧妙な操縦によって海面すれすれを飛行していたレーヴァテインを連邦共和国艦隊が捕らえた時には、艦隊前衛からの距離が2000を切っていた。
 ミサイルによる迎撃が困難と判断したブランデンブルクの艦長は、即座に対空榴弾による迎撃を決意し、砲術長と命令する。
「接近する敵キャバリアに対し防空榴弾を使用する。一番及び二番砲塔対空射撃準備を為せ!」
「主砲一番二番、防空榴弾射撃準備よし!」
「射てッ!」
 レーヴァテインのコクピットにあって、メリアもまた敵戦艦の意図を看破していた。彼女は眼前で旋回する敵艦の主砲が自陣を指向していること察知すると、相棒たるグルヴェイグに向けて咄嗟に警告を発する。
「グルヴェイグ、戦艦の主砲が動いてる!多分対空射撃!」
「任されましたわ!」
 ブランデンブルクの46センチ砲から放たれた対空榴弾はグルヴェイグとメリアの駆るレーヴァテインの周辺で相次いで炸裂する。危害半径200メートルにも及ぶ大量の子弾と炸薬は並のキャバリアであれば塵一つ残さず消滅させるほどの猛威となってレーヴァテインへと襲い掛かる。
 しかし、かくの如き過剰な火力の投射を受けてなお、レーヴァテインは健在であった。グルヴェイグの念動力によって作り出された爆風と子弾の僅かな隙間に、天性の操縦センスを持つメリアが機体を潜り込ませることに成功したのだ。
 猛烈な爆風を引き裂いて、レーヴァテインはその美しい外観を損なうことなく空を飛翔する。
 虎の子の対空榴弾を突破されたブランデンブルクは、猶も近接防御火器の弾幕によってレーヴァテインを撃墜せんと試みるが、グルヴェイグの念動力によって補助され、メリアの操縦技能によって操られるレーヴァテインの機動力を捉えることはできず、大量の機関砲弾が虚しく空を引き裂く光景を生み出すだけであった。
「さぁ反撃ですわ! 炎はあらゆる魔術の基礎、たっぷりと味合わせて差し上げます」
 対空榴弾の猛威を逸らした消耗を、持参した大量のメロンパンと水で回復させたグルヴェイグは、レーヴァテイン周辺に炎の槍を形成し、ブランデンブルクに向けて投射していく。
 グルヴェイグの魔力によって生まれた灼熱は次々とブランデンブルクの対空火器やミサイル発射管へと命中し、兵装を融解させるだけではなく、機関砲弾やミサイルの誘爆によって副次的な損害を与えていった。
 グルヴェイグの魔力と自らの兵装の誘爆によって生じた火災に包まれながらも、ブランデンブルグはなおもレーヴァテインに向けて対空火器を浴びせかける。
 メリアによって引き出されるレーヴァテインの機動力とグルヴェイグの魔法攻撃は、ブランデンブルクの対空火力を引きつけ、連邦共和国艦隊の防空能力の一部を封じ込めることに成功しつつあった。
「これだけ引きつければ、リリーさんもやりやすくなるかな」
「えぇ、バーサーク・ドクターのお手並み、拝見いたしましょう」

「ふふっ♪お二人さんは順調みたいね」
 上空の騒乱を見やりながら愛機たる「ナインス・ライン」と共に海中を行くは、バーサーク・ドクターことリーゼロッテ・ローデンヴァルトであった。
 敵艦隊の目が上空のレーヴァテインに引きつけられる隙を利用して、彼女とナインス・ラインは海中から敵艦隊の懐に潜り込むことに成功していたのであった。
 しかし、水中には水中の脅威もまた存在する。ナインス・ラインを排除すべく、連邦共和国艦隊に随伴する潜水艦と潜水型キャバリアが眼前に待ち構えているのだ。
 艦隊に迫る脅威を押しつぶす決意を反映させるが如く、一斉に発信されたアクティブ・ソナーが次々にナインス・ラインを叩いていく。
「情報通りってことね。でも残念でした♪ アンタらには水底をプレゼントしてあげる」
 事前情報から待ち伏せを想定していたリーゼロッテの対応は、素早く、かつ悪辣であった。
 彼女はナインス・ラインに搭載されたDA-14:STAGNATEを起動し、アクティブ・ソナーの発信元に向けてナノマシン入り煙幕弾を一斉に散布する。
 煙幕弾の内に込められたナノマシンは指向性をもって敵のあらゆるセンサ情報を攪乱し、周辺環境が深海であるという欺瞞情報で満たしていく。光学的な情報を使用しえない水中での戦闘において、リーゼロッテが放った欺瞞は一時的にせよ潜水部隊の戦闘力を喪失させることに成功したのだ。
 混乱する敵潜水部隊が構築していた阻止線を悠々と突破したリーゼロッテとナインス・ラインは、メリアとグルヴェイグによって上空にくぎ付けになっているブランデンブルクに向けてミサイルを発射する。
 上空脅威への対応にリソースの大部分を投じていたブランデンブルクは、水中から発射されたミサイルに対応することに失敗した。
 喫水線付近に命中したミサイルによって生じた破孔は、大きな浸水をブランデンブルクに生じさせ、一時的に彼女の機体を傾斜させることに成功する。
 的確なダメージコントロールによって傾斜を復元したブランデンブルクであったが、その衝撃によって射撃管制レーダーの一部に異常が発生した他、彼女が発揮可能な最大戦速を36ノットから30ノットにまで低下させることになった。

 かくの如き3人の魔女による連携攻撃は、巨大な戦艦の戦闘力を著しく低下させることに成功したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

支倉・錫華
【ガルヴォルン+理緒さん】

空母や戦艦も怖いけど、海中戦力ってかなりやっかいなんだよね。
ということでセレーネ大佐に借りたキャバリアに【サラスヴァティ・ユニット】を装着して、海中からいこう。
【FdP CMPR-X3】は水中実弾モードで潜水艦を叩いていくよ。

できれば全部沈めたいけど、少なくともガルヴォルンのみんなや味方の船に攻撃できないくらいにはしたいかな。

「了解。支倉錫華、海中戦仕様で出るね。……大佐、わたしに当てないでね」

そういえば、燐火といっしょに作戦はじめてだね。
今回は大佐も指揮に集中な感じだし、フォロー任せてもいいかな?
余裕があったらわたしもしたいんだけど、ちょっとなさそうなんだよね。


菫宮・理緒
【ガルヴォルン】

海上戦となれば、やっぱり空母だよね。

戦場までは乗せていってもらうとして、
現地に到着したら【ネルトリンゲン】をだしてそちらに移乗、敵艦隊に対峙しよう。
いきなり戦闘艦が増えたら、相手も驚くよね♪

位置取り的には、味方の艦隊が攻撃を受けないよう前に出て、
相手を引き付けられたらって思ってるよ。

攻撃では、わたしの狙いのメインは敵空母と相手の連携。
【M.P.M.S】を対艦ミサイルモードで砲撃しながら、
【E.C.M】を発動させて相手の連携や誘導攻撃を阻害していきたいと思います。

こちらは空母だし、船上で戦うのもできそうだから、
こっちで戦いたい人がいたら、どんどん引き付けて戦っちゃってほしいな。


支倉・燐華
【ガルヴォルン+理緒様】

海戦ですか、ウォッグタイプの用意が出来ればよかったですが少々間に合いませんでしたね。
いま出せるのは、ギムレウスタイプですか。海上で使う機体ではないですが、仕方ありません。
支倉燐華、ギムレウス・カスタムで出ます

大佐のストライダーから理緒様のネルトリンゲンに移乗して、艦上で砲台を務めます
通常のギムレウスと違い、ミサイルやロケットランチャーを装備してますし、背部大型キャノン砲はそのままですから、それだけでも艦砲代わりには十分でしょう
大佐や理緒様に合わせて砲撃を行います
オールウェポンフリー、攻撃目標の指示を乞います
目標確認。理緒様、揺れますので注意を【ロングレンジファイア】です


セレーネ・ジルコニウム
【ガルヴォルン】(菫宮理緒さんも一緒でお願いします)

「オブリビオンマシンが絡んだ内紛とあれば、施設軍事組織ガルヴォルンの出番です。皆さん、行きましょう」

海上戦艦として戦線に加わる機動戦艦ストライダーの艦長席で、メンバーの理緒さん、錫華さん、燐華さんと通信します。
戦闘区域に到着次第、【ガルヴォルン・フォーメーション】で戦闘開始です。

「理緒さんはネルトリンゲンに移動を。
錫華さん、燐華さんはキャバリアで出撃をお願いします!
私はストライダーで敵戦艦と砲撃戦に移ります」

艦長席から、艦橋のクルーおよびAIのミスランディアに指示を出します。

「ストライダー、ミサイル発射!
味方艦隊および味方機を援護します!」



●もう一つの機動艦隊
 第二次エーゲル島沖海戦には、皇国艦隊と連邦共和国艦隊の他に、もう一つの機動艦隊が存在していた。
 その内訳は、空母1及び機動戦艦1。驚くべきことに、これは戦闘に参加した猟兵達の能力と持ち込んだ装備によって編成されたものであった。

「オブリビオンマシンが絡んだ内紛とあれば、私設軍事組織ガルヴォルンの出番です。皆さん、行きましょう」
 機動戦艦「ストライダー」の艦長席にあって戦友たる猟兵達に指示を出すは、私設軍事組織ガルヴォルンの長、セレーネ・ジルコニウムである。亡き両親の意思を継ぎ、オブリビオンマシンが介在する戦場に介入する彼女は、皇国艦隊と連邦共和国艦隊が相撃つ艦隊決戦の場に仲間と共に参陣していた。
「理緒さんはネルトリンゲンに移動を。錫華さん、燐華さんはキャバリアで出撃をお願いします! 私はストライダーで敵戦艦と砲撃戦に移ります」
 戦場に到着するや次々と指示出す彼女の姿は、まさに指揮官そのものであった。彼女の統率よろしきを得て、仲間たちも迅速に戦力展開を完了していくのだった。

「了解。支倉錫華、海中戦仕様で出るね。……大佐、わたしに当てないでね」
 セレーネの指示を受けて出撃するは支倉・錫華である。彼女は借り受けたキャバリアに水中戦用装備であるサラスヴァティ・ユニットを装備し、対潜戦闘の任務に当たる手はずとなっていた
「空母や戦艦も怖いけど、海中戦力ってかなりやっかいなんだよね」
 皇国艦隊前方に位置するガルヴォルン艦隊にとって、錫華の危惧は正鵠を得た物であった。
 事実として、連邦共和国艦隊が展開している水中戦力は、突如として皇国艦隊前方に出現した不明艦を排除すべく行動を開始していた。
 皇国艦隊が構築した対潜哨戒網の外周にあるガルヴォルン艦隊を護る水中の盾として、錫華は自身の駆るキャバリアを前方へと進出させていくのだった。

「海上戦となれば、やっぱり空母だよね」
 ボトルシップから展開されたミネルヴァ級戦闘空母「ネルトリンゲン」の戦闘指揮所に合って、菫宮・理緒は満足げに微笑む。戦場に突如として出現した有力な空母の存在は、敵のみならず味方の皇国海軍軍人たちをも大いに驚愕させた。
 理緒の操るネルトリンゲンはセレーネの駆るストライダーと共に皇国艦隊の前方に展開し、連邦共和国軍艦隊をその対艦ミサイルの射程へと捕らえつつあった。
「水上打撃システム、防空システム、各機関問題なし。戦闘準備完了だね。空母が前に出てきたら、相手はどんな顔をするかな」

「海戦ですか、ウォッグタイプの用意が出来ればよかったですが少々間に合いませんでしたね」
ネルトリンゲンの甲板上に、重厚な機体を鎮座させるは支倉・燐華の操る「ギムレウス・カスタム」である。
砲戦キャバリアの傑作機として名高いギムレウスタイプの改良型であるその機体は、最大の特徴である背部大型キャノン砲はそのままに、ミサイルやロケットランチャーを多数追加装備したまさに火力戦の申し子であった。
本来は水上戦に用いる機体ではないものの、空母であるネルトリンゲンの甲板上でならば十分に砲台の役目を果たすことが可能な性能であると言えた。

 ガルヴォルン艦隊にあって、最も早く敵へと接触したのは、錫華であった。
 敵潜水艦及び潜水キャバリア発見の報を皇国海軍の対潜哨戒機から受けた錫華は、サラスヴァティ・ユニットのウォータージェットを用いて敵水中戦力の概略位置へと急行する。
 16基ものウォータージェットが搭載されたサラスヴァティ・ユニットによって高い水中機動力を得た錫華の駆るキャバリアは、音もなく敵戦力に接触すると水中用弾頭を装填したFdP CMPR-X3を用いて射撃を開始する。
 潜水艦を直掩していた潜水キャバリアは即座に反応し、錫華を排除すべくアクティブ・ソナーを起動するが、水中を自在に機動する錫華を捉えることは叶わず次々と撃破されていく。
 苦も無く直掩部隊を突破した錫華は、ストライダーとネルトリンゲンを排除すべく進出した潜水艦へと狙いを定め、引き金を絞る。
 水中弾頭がもたらした浸水によって緊急浮上を余儀なくされた潜水艦の処理を味方部隊に任せ、錫華は次の目標へと機体を遷移させるのだった。

 錫華によって水中の脅威が排除された頃、ストライダーとネルトリンゲンは敵艦隊主力を対艦ミサイルの射程内へと捉えていた。
「理緒さん、燐華さん。理緒さんのE.C.M使用と同時に、敵艦隊に向けて対艦ミサイル攻撃及び砲撃を開始します。ストライダーから分配された目標に向かって一斉発射をお願いします!」
「了解しました、大佐。オールウェポンフリー、攻撃目標の指示を乞います」
「同じく了解! E.C.Mの使用準備も万端だよ」
 セレーネの指示と同時に、理緒の操るネルトリンゲンから強力なECMが投射され、連邦共和国艦隊の防空能力を一時的にマヒさせる。それと同時に、ストライダー、ネルトリンゲン、ギムレウス・カスタムのミサイル発射装置から一斉に対艦ミサイルが放たれ、数多のミサイルが連邦共和国艦隊に向けて飛翔していく。
 一時的に防空能力を喪失した連邦共和国艦隊であったが、その先頭をすすむ戦艦「ブランデンブルク」は艦隊における戦艦の本分を果たす行動をとった。
 迫りくるミサイルに対して脇腹を晒すような形で艦を回頭させ、生き残った自身の近接防御火器のほぼすべてをミサイル迎撃に使用可能とすると同時に、後続の無傷な戦艦群を護る盾として、ミサイルシーカーから探知される面積を著しく増大させたのである。
 半手動の照準も含めて行われたブランデンブルクの近接防御火器によって迎撃されたミサイルは20発。しかし、それと同数の対艦ミサイルが彼女の舷側へと命中した。
 立て続けに命中した複数のミサイルとギムレウス・カスタムから放たれる砲撃は、強固なブランデンブルクの防御を突き崩すことに成功する。
 ミサイルと砲撃によって生じた無数の破孔はダメージコントロールで対処できる限界を超えた浸水を発生させ、彼女の船体を復元不可能ほど大きく右へと傾斜させる。
 かねてより発生していた火災と傾斜による衝撃はブランデンブルクに積載されたミサイルや砲弾の誘爆を発生させ、猛烈な水柱と共に彼女の船体を二つにへし折ったのだ。
 その様は、まさに轟沈であった。誘爆によって二つに折れた船体は彼女の進路を海底へと変更させていく。
 第二次エーゲル島沖海戦における連邦共和国艦隊初の主力艦喪失は、4人の猟兵によって作り出されたもう一つの機動艦隊によって成し遂げられたものであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・つかさ
【竜鬼】

経緯はどうあれ、オブリビオンマシンに関わってしまったのが彼らの不運だったわね。
アレさえ無ければ、私達が出張ってくることも無かったんだもの。
ええ、作戦通りに。よろしく頼むわね、ファウナ。

私の役目は、最大目標に対する本命の一撃
時が来るまでは機竜の口腔内部にて、スルトに合身したまま待機
そして機竜の口が開いたならば、飛び出しつつ【竜巻旋風神薙刃】発動
自機をライフル弾の如く回転させ、機竜の竜気砲を推進力とし突撃
余剰エネルギーをも回転に巻き込むことで巨大な砲弾と化して、周辺を薙ぎ払いながら敵艦をぶち抜く

荒谷流剣闘術、奥義!
竜巻!
旋風!
神!
薙!
刃ッ!!!
撃ちなさい、ファウナ――ッッッ!!!


此衛・ファウナ
【竜鬼】
あれが連邦共和国海軍……
壮観ですわね。でも今は敵、なるべく人的被害を抑えつつ此を撃滅いたします。
行きますわよ、つかささん!

駆逐艦に匹敵する火力と装甲、そしてそれ以上の水上機動性を持つ機竜であれば艦隊と渡り合うも不可能ではありません。
高角砲と噴進弾で駆逐艦隊を撹乱しつつ敵艦隊に突入、敵戦艦を狙う好機を伺いましょう。
私と機竜の任は本命をその時まで守り抜き、正しく敵艦にそれを投入すること。
本命――機竜の口腔に隠し、頭蓋装甲で守ったつかささんを竜気砲の砲撃で敵主力戦艦に撃ち込みます。
後は任せましたわよ、つかささん!
目標敵戦艦! 砲撃姿勢、撃ち方――!



●水雷戦隊
「あれが、連邦共和国海軍……」
 自らの相棒たるD型重機竜に跨る此衛・ファウナは、眼前に広がる光景に感嘆を禁じえずにいた。
 強大な海軍国が国力と威信を賭して建設した機動艦隊同士の艦隊決戦。海軍軍人であれば一度は夢想し、そして同時に恐怖する戦場が、彼女の眼前に広がっている。
「壮観ですわね。でも今は敵、なるべく人的被害を抑えつつ此を撃滅いたします」
 彼女の、否、彼女たちの目的はただ一つ。最大の目標に対して、我の持つ最大の火力をぶつける事。
 ファウナは機竜に拍車をかけ、艦隊と艦隊がぶつかり合う煉獄へと相棒と共に突入する。
 駆逐艦に匹敵する装甲とそれ以上の水上機動性を持つ機竜とファウナの技量によって、レーダー技術が発達した現代においてはほぼ廃れてしまった戦法、小型艦による雷撃戦にも似た戦技を実現可能としていた。
 ファウナと機竜に気が付いた敵の駆逐艦を十六連多目的噴進砲の面制圧射撃によって牽制しながら、ファウナはただひたすら水上を駆ける。
 目指すはただ一点、水上打撃陣の中心に位置する連邦共和国戦艦であった。
 舷側から迫るファウナと機竜の存在に気が付いた戦艦「ハイデリンシュタット」は、一斉に副砲と近接防御火器を迫りくる挑戦者へと向け、阻止射撃を実施する。
 無数に発生する発砲煙と自陣の周囲に発生する水柱に怯むことなく突進するファウナと機竜は、ついに軸線砲発射最適位置に遷移することに成功する。
「目標敵戦艦! 砲撃姿勢、撃ち方――!」
 主たるファウナの命令に従い、D型重機竜はその顎を開き、八八式竜気砲をハイデリンシュタットへと向ける。しかし、竜気砲が投射するはレーザーカノンではなく、一人の猟兵とスーパーロボットである。
 ファウナと機竜が持つ最大の火力にして切り札。それは、荒谷・つかさと彼女が駆るスーパーロボット「スルト」であった。
「荒谷流剣闘術、奥義!」
 竜気砲の砲撃の勢いを利用して突撃するつかさとスルト。その手に携えられた剛剣は自らの回転と共に巨大な旋風と化し、周囲の海水を巻き込みながら巨大な弾丸としてハイデリンシュタットへと迫る。
「竜巻! 旋風! 神! 薙! 刃ッ!!!」
 衝突するスルトとハイデリンシュタット。その重量差は巨象と蟻を比較するようなものである。しかし、つかさとスルトの能力はその様な物理的な差を超越して見せた。
 スルトが衝突した一点を軸として、全長270メートルを誇る巨大な戦艦がわずかに海面から浮き上がると同時に、その重厚な装甲を貫徹したのだ。
 数十センチもの装甲を貫徹した剣圧の竜巻は、そのまま戦艦の竜骨を粉砕し、刺し貫く形でもう一方の舷側を貫通した。
 まさに横腹を剛剣にて刺し貫かれた巨象の如く、両減に巨大な破孔が生じ、竜骨が砕かれたハイデリンシュタットはダメージコントロールの余地すらなく、真っ二つに折れる様に海中へと沈みゆくことになるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルヴトー・シフトマン
──凄まじい景色ですね
俺の国じゃ、ここまで大規模な戦闘は無いですよ
そもそも海上戦が無いですからね
なので経験は殆ど無いんですが…上手くやります

装甲、そして火力
シンプルだけど厄介なストロングポイントです
手っ取り早く撃滅できる手段なら、ありますよ
「利用」してやればいいんです、向こうをね
飛行ユニット借りますよ

俺の感覚は、ズレてます
今戦場に立つこの時も……未来に
だから、弾道も…いつ着弾するかも、先に知ってる
故に成功するんです──砲弾を、『掴む』ってことが
掴んで投げ返すだけ、シンプルな話です
ご自慢の火力で装甲を砕かれる想定は出来てましたか?
幸いここはよく砲弾が飛ぶので

投げ返す弾の在庫は、困りそうも無い



●砲打撃戦
 距離60000まで迫った両艦隊は、本格的な水上打撃戦。即ち、戦艦と戦艦の主砲による殴り合いを開始していた。
 猟兵達による活躍によって、連邦共和国軍艦隊は既に戦艦2隻を損失しており、純粋な砲火力の面では皇国海軍が優位に戦闘を進めている。
 それでも、皇国海軍の被害が皆無であったわけではない。互いに高い練度を持つ両艦隊は、第三斉射の時点で既に挟夾を実現しており、第四斉射で命中弾を出していた。
 皇国海軍が放った初の命中弾は、戦艦「ハルシュタイン」の二番砲から放たれた砲弾であった。48センチ3連装砲から放たれた砲弾は、戦艦「レムシャイト」の前部甲板と一番砲塔前面装甲へと命中。最も強靭な砲塔前面装甲への命中弾は弾き返したものの、前部甲板へと命中した砲弾は装甲を貫徹し艦内部にて炸裂。強靭な装甲を大きく抉り取った。
 対する連邦共和国海軍が放たれた命中弾は、レムシャイトの一番砲から放たれた砲弾であった。皇国海軍の先頭に位置していたハルシュタインへと命中した砲弾は、右舷装甲に命中・貫徹し、その装甲板を大きくめくりあげた。
 その後も繰り返し行われる戦艦同士の斉射によって、両艦隊共に少なくない被害を発生させることとなる。
しかし、それでもなお戦艦と言う怪物たちは互いに砲火を交わし合い、両艦隊の戦意を象徴するかのようなぶつかり合いを続けていた。

「──凄まじい景色ですね」
 戦艦同士が互いに砲火を交える光景を目にしながら、戦場上空を飛行する「天狼」を駆るルヴトー・シフトマンは嘆息する。彼の国では起こりえない光景に瞠目しながらも、ルヴトーは冷静に現状を分析していた。
「装甲、そして火力。シンプルだけど厄介なストロングポイントです」
 ならば、それを利用してやればよいのだ。そして、ルヴトーにはそれを容易に実現する手段があった。
「俺の感覚は、ズレてます。今戦場に立つこの時も……未来に」
 連邦共和国艦隊に残った最後の戦艦レムシャイトから第9斉射が放たれる。発砲煙、そして轟音。物理法則に従って猛烈な勢いで飛翔する砲弾の弾道を、彼は自らの能力によって知っている。
 故に、彼は成功する。常人には近くすら困難な戦艦の主砲弾を「掴み」投げ返すことに。
 或いは、艦隊の防空体制が万全な物であれば、艦隊の懐にまで接近した彼のキャバリアを排除できたのやもしれない。
 或いは、戦艦の脇を固める補助艦艇が健在であったならば、彼のキャバリアをその能力の有効射程外まで遠ざけることができたのやもしれない。
 しかし、現在の連邦共和国艦隊には、不幸にもその両方が欠けていた。
 ルヴトーの能力によって掴まれ、投げ返されたレムシャイトの主砲弾は、彼女の第一砲塔基部に命中、貫通し、主砲砲塔内で炸裂した。
 炸裂した砲弾によって主砲砲塔内に存在した砲弾が連鎖的に誘爆し、第一砲塔及び第二砲塔をその基部ごと吹き飛ばすこととなる。
 わずか数秒の間に発生した破滅的な損害は、彼女から砲戦能力のほとんどを奪い取り、同時に発揮できる速度を大幅に低下させることとなった。
 それとほぼ同時に発砲されたハルシュタイン及び戦艦「ヴィルヘルム」から放たれた第10斉射は、ルヴトーの能力によって投げ返された砲台によって生じた被害個所に立て付けに命中し、彼女のヴァイタルパート内部にて炸裂。レムシャイトのCICにおいて艦隊指揮を執っていた艦隊司令官もろとも、連邦共和国艦隊の指揮中枢を吹き飛ばしてしまったのだった。
 ルヴトーが放った致命的な一撃と、ハルシュタイン及びヴィルヘルムから放たれた追撃によって、連邦共和国艦隊最後の戦艦たるヴィルヘルムは、急速に進路を前方から海中へと変針しつつあった。

 主力たる戦艦三隻と多数の補助艦艇、そして多くの艦載機を喪失したことによって、連邦共和国艦隊はその戦闘力をほぼ喪失した。
 後に第二次エーゲル島沖海戦と呼ばれる海上決戦は、ルヴトーをはじめとした多くの猟兵達の活躍によって、皇国艦隊の完勝という形で終結したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ガガンボ』

POW   :    バルディッシュ並列化偽演粒子コーティングソード
【ユーベルコードで強化した装甲斬撃剣】が命中した対象を切断する。
SPD   :    D2エンジン起動
【補助動力炉D2エンジンを起動する】事で【通常時とは比較にならない高機動戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    マイナーチェンジ
自身の【各部、兵装】を【対空迎撃用又は対地砲撃用キャノンパック】に変形する。攻撃力・攻撃回数・射程・装甲・移動力のうち、ひとつを5倍、ひとつを半分にする。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●断章投下予定 2/19~2/20
●プレイング受付 2/25~2/26
●艦隊防空
 皇国艦隊と連邦共和国艦隊、2つの強大な艦隊同士の決戦は、僅か30分にも満たぬ時間で実質的に終結した。
 連邦共和国艦隊は主力たる戦艦「ブランデンブルク」「ハイデリンシュタット」「レムシャイト」の3隻をはじめとして、多数の補助艦艇及び空母航空部隊を喪失し、その戦闘力を喪失した。
 その様な状況にあってなお、連邦共和国の軍人たちは勇敢であった。連邦共和国艦隊に残存した2隻の巡洋戦艦は、空母が戦闘海域から離脱する時間を稼ぐため、殿を務めるべく、皇国艦隊へと砲門を向ける。
しかし、48センチ砲を備えた戦艦3隻を前に、巡洋戦艦が何できるはずもない。互いに水平線上に姿を認め、主砲の射撃管制レーダーが使用可能となった時点で、殿として戦場に残った巡洋戦艦2隻は十数発の主砲弾を浴び、相次いで轟沈する事となる。
 無論、皇国艦隊も無傷と言うわけではない。先頭を切って敵戦艦と砲打撃戦を行った戦艦「ハルシュタイン」「ヴィルヘルム」「メクレンブルク」は数発の主砲弾を浴び、小破相当の損傷を負っている。しかしながら、大規模な艦隊同士の決戦を経てなお、主力たる戦艦群と空母航空隊はいずれも戦闘能力を残しており、エーゲル島への突入が可能であるという事実は、この戦闘に参加した猟兵達の純軍事的な価値の証明であると言えた。

「まさしく、天助と言うべきだろうな」
 ひと先ずの脅威を退けたハルシュタインのCICにあって、彼女の主たるエルウィン・ハルシュタイン大佐は自らに一瞬の気の緩みを許しながら、傍らに立つ観戦武官、アリューシャ・ケストナー中佐に声をかける。
「敵に回したくはない者たちです」
「まさにその通り。そして、彼らの敵手たる精神汚染機もまた」
「はい、同様に始末に負えません」
 激しい戦闘を目の当たりにした結果として生じた感情の波を努力して押さえつけながら、アリューシャは答える。
 先程までの戦闘においても、既に精神汚染機の影は戦場に表れ始めていた。連邦共和国空母から発艦した艦載キャバリアが、事前諜報以上の性能を発揮していた事は既に皇国艦隊司令部の知る所となっている。
「精神汚染機に近ければ近いほど、影響を受ける兵器の性能は向上するという報告を受けております」
「まさに、ここからが本番という事か」
 エルウィンは傍らにあるディスプレイに目を向ける。そこには、エーゲル島から出撃した航空キャバリアの群れが艦隊の早期警戒網に捕捉させつつある様が映し出されていた。
「諸君、第二幕だ。両舷対空戦闘用意。主砲、対空射撃準備を為せ」
「防空榴弾ですな」
「そうだ、砲雷長。我らが空母艦載機と猟兵達に、炎と鉄の花道を敷いてやろう」
 ハルシュタインをはじめとする皇国戦艦に搭載される防空榴弾は、皇国海軍が航空キャバリアと言う脅威に対して導き出した回答の一つである。
 その名の通り防空目的で使用される空中炸裂型の榴弾であるこの砲弾は、折畳み式の滑空翼を備え、主砲から発射された後艦隊が構築するレーダー網と連動。滑空翼による機動制御によって目標付近まで自らを誘導し、近接信管によって炸裂させることにより、炸裂点を中心とした危害半径内に存在するあらゆる目標に対して自己鍛造弾の雨を降らせる極めて悪辣な兵器であった。
 その破壊力故に、航空キャバリア同士の混戦が始まってしまえば使用することができない。強力ではあるが、使いどころの難しい兵器でもあった。
「全砲門、防空榴弾発射準備よし!」
「よろしい、射撃始め」
「射テェッ!」
 主砲発射を告げる特徴的なブザーが艦全体に響き渡る。短音が2回、長音が1回。そして轟音。
 エーゲル島を巡る皇国軍と連邦共和国軍の戦闘は、3隻の戦艦から放たれる対空榴弾の爆轟と共に幕を開けたのだった。
リジューム・レコーズ
◆桐嶋技研
存外早く済みましたね
十二分に余力を残せましたが油断して良い理由にはならない

敵の編隊は対空榴弾で大きく崩されていますから、1機ずつ迅速に各個撃破します
アサルトホリックを起動
マンティコアのプラズマキャノンの再発射時間をイグゼクターで埋める形で絶え間無い連続射撃を行います
そして距離を詰めてブレイクドライバーで叩き落とすかアンカークローで貫きます
あちらも強引に高速化を図るようですがこの程度じゃディナからは逃れられない
ですが1機に拘り過ぎないように
無理せずとも水之江博士のミサイルの支援もありますので
深追いし過ぎて殲禍炎剣に堕とされるなど論外中の論外ですからね


ダビング・レコーズ
◆桐嶋技研
オブリビオンマシンを確認
攻撃を開始します

航空戦闘適性が高いソリッドステート形態を主軸に交戦
急制動や急速反転が必要な状況であればキャバリア形態に変形し其々の優位性を最大限に活用

初動で複数目標を並列捕捉し機体後部に装備しているスレイプニルよりメテオリーテを連続発射
対空榴弾で乱れた戦列を更に崩す
SS・WMパッケージを換装
使用兵装は敵機の機動性に対する手段としてホーミングミサイル(命中率)を選択
水之江博士のデータリンクを仲介しリジュームが捕捉中の目標へ同時攻撃を行う
敵機が近接格闘戦を強行する場合はベルリオーズとヴェスタの弾幕の面で迎撃し速やかに撃墜する


桐嶋・水之江
◆桐嶋技研

へぇ、皇国軍も面白い武器を持ってるのね
楽が出来そうで大変結構
じゃあ早いところ仕事に取り掛かりましょうか

対空戦闘と言えば当然CIWSと迎撃ミサイルの出番よね
近接防御は自力でやれるからお構いなく
バリアだってあるしね
MLRSに対空ミサイルを装填
ロックオンが完了次第どんどん撃ちましょう
エイムは味方の機体を中継してやるわ
こっちで勝手に眼を借りるから気にしないでちょうだい
好都合な事にダビングもリジュームちゃんもマシンだから同期取りやすいのよね
私自身が戦術データリンクの中枢になるのよ
向こうは一応対艦爆装も出来るみたいだけれど、キャバリアとミサイルのお出迎えを潜り抜けてワダツミに辿り着けるのかしらね



●第二次攻撃の要を認む
 エーゲル島に配備された連邦共和国空軍は凡そ一個航空旅団、即ち300機近い航空キャバリアを有する極めて甚大な脅威である。
 敗退した連邦共和国艦隊から通報された皇国艦隊の作戦海域に対して出撃した第一次攻撃隊の機数は凡そ60機。そのうち半数は爆装を施さない制空機として、もう半数は爆装を施した攻撃機として出撃させていた。
 猟兵達の活躍によって、艦隊決戦を経てなおほぼ完全な形で保持されていた早期警戒網に捕捉された第一次攻撃隊は、大遠距離から放たれた防空榴弾によって10機近いキャバリアを損失。被害を極小化すべく散開を図る。
 攻撃機と護衛機の編隊が散開によって崩れる隙を突くように強襲するは、皇国艦隊に先行する形で空中に布陣していた強襲揚陸艦「ワダツミ」と、それを護る2機のキャバリアであった。
「へぇ、皇国軍も面白い武器を持ってるのね。楽が出来そうで大変結構」
 桐嶋・水之江は敵の編隊が乱れる様をレーダーで観測しつつ、ワダツミの高度な索敵装備から齎される情報を直掩機たる「アークレイズ」及び「アークレイズ・ディナ」を操るダビング・レコーズとリジューム・レコーズへと送信する。
「ダビング、リジュームちゃん、次の仕事にかかりましょうか。残敵は凡そ50機、爆装を施した攻撃機はいくらか削れているけど、護衛機は依然として健在よ。艦隊にたどり着く前に片づけてしましましょう」
「任務了解しました、博士。アークレイズ、敵攻撃隊に対して攻撃を開始します」
「同じく、了解しました。アークレイズ・ディナ、行きます!」

 先の戦闘からの補給を終え、ワダツミから出撃した2機のキャバリアは、攻撃隊が散開する隙を突いて敵編隊上空に遷移。直上から急降下する形で突入を開始した。
 それに対して、第一次攻撃隊の総指揮官は護衛機から邀撃部隊を抽出すると、それを2部隊に分け、襲撃者を包囲する形で展開した。
「邀撃機は引き受けます。そちらは攻撃機を!」
「了解した。突貫する」
 リジュームとダビングは短いやり取りで互いの役割を分担すると、迫りくる邀撃機編隊に対して一斉に武装を発射する。
 アークレイズ・ディナから放たれたプラズマキャノンとイグゼクターの対キャバリア徹甲弾、アークレイズから放たれたホーミングミサイルがほぼ同時に火力の雨と化して襲い掛かり、邀撃機編隊に散開を強要すると、その間隙を突く形でソリッドステート形態をとったアークレイズが突貫。一息に邀撃網を突破し、攻撃機と少数の護衛機が残った編隊へと迫る。
 アークレイズの機動から2人の猟兵の狙いを察知した邀撃機たちはアークレイズを追撃すべく機動を変更する。しかし、敵機が追撃のために補助動力に火を入れたタイミングを狙いすまし、リジュームは機動制圧ではなく撃破を目的としてイグゼクターの徹甲弾を主翼へと叩きこむ。補助動力から齎される推力を制御すべき翼を失った敵機は相次いで制御を失い、瞬く間に墜落していく。
 依然として上空に位置し続けているリジュームへの対応と、自らを突破し攻撃隊へと迫るアークレイズへの対応の双方を強いられ、編隊が乱れた邀撃機部隊に対してリジュームはアークレイズ・ディナを突入させる。
 リジュームは強力だが連射速度に間のあるプラズマキャノンの隙間をイグゼクターの瞬間火力で補いながら邀撃編隊へと肉薄し、近距離ではアンカークローとブレイクドライバーを、遠距離ではプラズマキャノンとイグゼクターを柔軟に使い分けることによって邀撃機編隊の大部分を拘束することに成功しつつあった。
 一方、攻撃機編隊へと突貫を仕掛けたダビングは、ソリッドステート形態を維持したまま攻撃機と制空機の連合編隊へと迫る。
 迎撃のため慌てて高度を上げた迎撃機をあざ笑うかのように高度を運動エネルギーへと変換し、あわや墜落は必定とも思える猛烈な速さで降下を続けるアークレイズは、迎撃機と攻撃機を置き去りにする形でさらに高度を下げ、海面が目前に迫ったタイミングで機体の形態をキャバリア形態へと変形させ、腰部大型ブースターを全力で逆噴射する。同時に肩部ベクタードスラスターを使用して機体を180度回転、即ち海面から敵編隊へと機体正面を向けると、残った誘導ミサイル全弾を上空で置き去りとなった攻撃機部隊へと発射する。
 高速落下からの形態変更と機体の姿勢変更。生半な機体と身体であれば重力によって分解される機動を軽々と実現したダビングとアークレイズという理不尽を前に、攻撃機と迎撃機に成す術はなかった。
 ワダツミから齎される情報をデータリンクによって取得し、それぞれに異なる目標をインプットされた誘導ミサイルの群れは、攻撃機編隊の中で次々と炸裂し、爆装によって機動力が削がれた攻撃機を次々と撃墜していったのだった。

 ダビングとリジュームによる苛烈な迎撃に晒されて尚、50機ものキャバリアを有した第一次攻撃隊の一部は辛うじて迎撃を突破し、母艦たるワダツミへと迫る。しかし、桐嶋が操るワダツミ自身もまた、SSWの技術によって作られた強力な戦闘艦であった。
 突撃隊形を取った攻撃機から放たれた対艦ミサイルは、ワダツミが装備する多数のミサイル発射管から放たれた対空ミサイルによって悉く迎撃され、空しく空を焦がす結果となる。
 しかし、誘導弾による攻撃が失敗してもなお、攻撃隊の戦意は衰えなかった。彼らは突撃陣形を維持したまま誘導爆弾と対艦近接兵装による攻撃を続行すべくワダツミに迫ったが、そのタイミングで皇国艦隊のCAP部隊がワダツミの戦闘空域へと到達する。
 ワダツミ自身の近接防御火器とデータリンクを受けた皇国艦隊の艦載キャバリアからの邀撃を受け、ついに第一次攻撃隊は戦闘空域からの離脱を決断する。
 散り散りとなった部隊をどうにかまとめ上げた第一次攻撃隊の総指揮官が、エーゲル島航空旅団本部に発信した通信は以下の通りであった。
「第一次攻撃失敗、我損害多数。第二次攻撃の要を認む」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メリア・アルスト
【ガルヴォルン】で連携
引き続きグルヴェイグと、二人乗り

疲れた…頭痛い
まあでも、敵勢力は削れたかな
でも引く様子無かったし、隠し玉は絶対あるよね
リリーさんも上がって来たし…私はちょと楽をさせてもらおっと

●戦闘
UCで味方の猟兵や、味方艦隊と連携
【情報収集】用のドローンを展開…っと
といっても、私はあくまで【索敵】した敵の動きの連絡と、射弾観測に留めるよ
【集団戦術】と【スナイパー】の知見が生きるかな
敵への攻撃はグルヴェイグに任せつつ【操縦】技術を生かして回避や防御がんばる
時々味方へ【援護射撃】

座標、標高、観目方位角、観目距離…

アドリブアレンジOKです


グルヴェイグ・ヴォルヴァ
【ガルヴォルン】で連携
引き続きメリアのキャバリアの補助席に同席

疲れましたわね
ですが、これはもう勝ったも同然ではないかしら?
と、のんびりおにぎりを食べていたら…
敵の航空部隊、多くありません!?
…ってメリア、あなたやる気ありませんわね!?

●戦闘
敵にデバフを、味方にバフをかけて援護ですわ!
さっきの戦いで脅威として見られていれば注目が集まるはず…その意識の向きを利用して『繋げ』ましょう
――わたくしの魔術を拡張いたします
UCによる【催眠術】の【範囲攻撃】で失敗の未来を見せて操作ミスや判断の遅れを誘いますの
同時に味方には成功の未来を見せて自信とやる気をアップですわ


アドリブアレンジOKです


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【ガルヴォルン】
アドリブ絡み連携歓迎

魔女とか煽てられて気分いいし浮上
アタシも空戦に混ぜてよ♪

ってアレはガルヴォルンのストライダーか
傭兵契約結んでるし、ここは皆で合流かね
『おーい、そっち順調ー?』
メリアさん達についてはアタシも事情説明っ

『スタグネイト』を背部コンテナに格納
『インパクト・ボルト』を着装・展開して
ティルトローター機のノリで高速離水

そしたらオペ22番【ヘヴンズ・ストーカー】開始(回数重視)
戦闘空域に翠のリフレクターチャフを濃密散布
後は『ドゥームズ・レイ』の光条を曲げて死角狙いっ

最優先は下降したり銃口向けてる艦艇狙いの奴
後は皆の技で動きが鈍った奴や
メリアさん指揮下の機体に迫る奴を優先かな


支倉・燐華
【ガルヴォルン】

対空戦闘ですか
ギムレウスにはあまり向いていないですが
対艦徹甲弾から弾種変更、対空散弾を装填します
艦隊戦では不要でしたが対空キャバリア戦ならば両手にマシンガンも持たせます
理緒様、ミサイルの補給もお願いいたします。対空ミサイルで

確かに対空戦闘は得意ではありませんが、足場であるネルトリンゲンと合わせれば弾幕には十分でしょう
それに向こうから近づいてくれるのならば背部大型キャノン砲の散弾に飛び込んできて来るようなものです
次弾装填中の隙はミサイルや両手のマシンガンで補えるでしょう。むしろ高速目標にはキャノン砲よりもこちらの方が狙いが付けやすくですね
だからこそ、キャノン砲では散弾なのですが


セレーネ・ジルコニウム
【ガルヴォルン】
「敵海上戦力には打撃を与えました。
次は航空戦力ですね。
今こそ万能戦艦ストライダーの真価を見せる時!
ストライダー、メインスラスター全開!
殲禍炎剣に注意しつつ飛行開始!」

艦長席で戦艦のクルーとAIミスランディアに指示を出し、ストライダーを空中戦艦として運用します。

知り合いのリリー先生たちを見かけて合流。

「皆さん、攻撃時の足場や緊急時の不時着用に甲板を使ってください!」

航空キャバリア同士の乱戦が始まり対空榴弾がやんだら、積極的に艦を前に出していきましょう。
もちろん、ストライダーもガルヴォルンのメンバーと連携して攻撃です。

「ガルヴォルン、全砲門開放、敵航空戦力に向かって全力攻撃です!」


支倉・錫華
【ガルヴォルン】

防空機ってことは、ここが最終防衛ラインかな?
機体は【フレキシブル・スラスター】に換装。再出撃しよう。

アミシア、ミスランディアとリンクして、
データホスティング、お願いできるかな。

メリアさんのサンプリングを共有して、行動予測。
こちらも集団戦で戦っていこう。

攻撃は【FdP CMPR-X3】をマシンガンモードで使用して、
【ディレイ・アタック】で機関部を狙っていこう。
攻撃力は低いけど破壊することはないしね、

なんだか命中する前に当たってるイメージが見えるけど……。
これが某エースの言っていた「動きが見える」ってことなのかな?

防衛対空は燐華に任せておけばよさそうだし、
わたしは攻撃に専念、だね。


菫宮・理緒
【ガルヴォルン】
緒戦の艦隊戦、勝ててよかった。
けど、次は防衛の空戦隊か。

大佐は空からいくみたいだし、
わたしは海上にままで。敵の目標を分散させよう。

【ネルトリンゲン】を前進させつつ、
機体の換装や補給が必要な人の前線基地になるね。

相手のパイロットさんとかも、できるかぎり収容したいし、
ガルヴォルンや皇国艦隊のみんなには、
コクピットへの直撃弾はなるべく避けてもらえると嬉しいな。

わたしも艦砲は対空ミサイルモード、
【M.P.M.S】はCIWSモードで起動。エンジンを狙って攻撃していくよ、

空母まできてもらうまでをがんばってもらえれば
スペースはいっぱいあるし、
パイロットさんの保護はしっかりさせてもらうね!



●第二次攻撃
 第一次攻撃の撃退から息をつく間もなく、皇国艦隊が展開した早期警戒網から悲鳴のような警報が艦隊に向けて発せられる。
「オウル07より全防空ユニットへ、赤色警報。エーゲル島より極めて大規模な敵キャバリア編隊出撃を探知、我が艦隊への攻撃意図は明確なり。方位0-3-0、距離80000、高度400。全防空ユニットは直ちにこれを迎撃せよ、繰り返す、直ちにこれを迎撃せよ!」
 オウル07より艦隊へ送信されたレーダー情報には、夥しい数の航空キャバリアが赤い光点として投影されていた。その数、凡そ120機。爆装を施していない制空用の機体が一定数存在するとはいえ、200発以上の対艦ミサイルを投射可能な極めて甚大な脅威であった。
 結論から言えば、現在残存する艦艇によって構築される皇国艦隊の防空能力であれば、たとえ敵航空キャバリア部隊からのミサイル飽和攻撃を受けたとしても、迎撃する事は可能であった。しかし、連邦共和国艦隊との交戦で射耗した防空ミサイルの残弾では、次の攻撃は防ぎきれない。
 エーゲル島に配備された航空キャバリア戦力から、最低でも第三次攻撃の可能性を考慮せざるを得ない皇国艦隊にとって、第二次攻撃はなんとしても艦載キャバリアの迎撃によって撃退しなければならない物であった。

 第二次攻撃に対して、皇国艦隊の前衛を務めるは、先の艦隊決戦において戦艦「ブランデンブルク」を撃沈に追い込んだ機動戦艦「ストライダー」及びミネルヴァ級戦闘空母「ネルトリンゲン」であった。彼女たちは皇国艦隊の防空陣の最前衛へと遷移し、第一次攻撃を迎撃したCAP部隊を収容、ネルトリンゲンと菫宮・理緒の能力によって持たされる異常な整備能力によってほぼすべての迎撃機を戦闘可能状態へと修復することに成功していた。
「第一戦隊は敵編隊が防空榴弾の射程に入り次第直ちに斉射開始。敵航空キャバリアの突撃隊形形成を阻止し、前衛部隊を支援せよ。友邦に対し、我ら共に防空射撃の誉れを見せん」
 第一戦隊及び皇国艦隊旗艦である戦艦「ヴィルヘルム」から発せられたこの命令は、この戦場にある皇国海軍から私設軍事組織ガルヴォルンのもとで戦う猟兵達への感情を如実に表していた。
 皇国艦隊第一戦隊、即ち3隻の戦艦は、彼女たちの持つ巨大な9門の主砲を迫りくる大編隊へと向けると、爆轟によって空を震わせながら相次いで防空榴弾を放つのだった。

「敵海上戦力には打撃を与えました。次は航空戦力ですね」
 ストライダーを艦隊の前衛となる位置へと進出させたセレーネ・ジルコニウムは、戦闘指揮所で迫りくる大編隊を確認し、直ちにクルーへ大気圏内航行部署を発令する。
「航法システム異常なし、大気圏内航行に支障なし」
「機関良好、大気圏内高加速準備よし」
「メイン及びサブスラスター、全力発揮可能」
「各部兵装大気圏戦闘に支障なし」
 艦長たるセレーネの命令と、機械知性体ユニット「ミスランディア」の支援の下、クルー達は迅速に離水シーケンスを実行していく。多岐にわたる確認と終えた各部署からの報告に頷くと、セレーネはストライダーへと飛翔を命じる。
「大変結構! 今こそ万能戦艦ストライダーの真価を見せる時! ストライダー、メインスラスター全開! 殲禍炎剣に注意しつつ飛行開始!」
 セレーネの命令の元、ストライダーのメインスラスターが全力稼働し、大量の海水を蒸発させながらその艦体を重力の軛から解放していく。膨大な推力によって海面から離れた彼女は、空中戦艦としてエーゲル島沖を飛翔していた。

「緒戦の艦隊戦、勝ててよかった。けど、次は防衛の空戦隊か」
 飛翔するストライダーをネルトリンゲンの艦橋から眺めながら、理緒は呟く。彼女が指揮するネルトリンゲンの格納庫では、着艦した航空キャバリアの最後の一機が、今まさに整備を終えようとしていた。
 通常、一度帰投した機体が再出撃可能となるまでには数時間単位の時間を要する。しかし、理緒の能力によって極限まで増幅されたネルトリンゲンの整備能力はその時間を僅か数十分単位にまで短縮し、第一次攻撃迎撃のために出撃した数十機のキャバリアのほぼすべてを再出撃可能状態に持っていくことに成功していた。
 これによって、第二次攻撃迎撃のために空母から発艦した迎撃機に、第一次攻撃への迎撃に参加した部隊が加わることが可能となり、皇国艦隊のCAP能力は著しく増大することとなる。
「艦長、補給と整備に感謝を。着艦機体全機、発艦可能であります」
 着艦したキャバリア部隊を代表して、皇国空母「ケストリッツ」の飛行部隊長が理緒へと報告する。
「了解しました。発艦を許可します。……それと、飛行長さん、一つお願いが。敵であっても、コクピットへの直撃弾は避けてほしいんです」
 理緒の願いを聞いたケストリッツの飛行長は、作りの粗い顔を驚いたように歪めるが、すぐに笑みを浮かべる。彼は、負傷し母艦への帰投は困難と目されていた部下をネルトリンゲンへの着艦によって救われていた。
「小官は、部下の命を貴女に救われました。その慈悲を同じアザリア人にかけていただく事を感謝こそすれ、断ることなどできましょうか」
 ケストリッツの飛行長は最善を尽くすと約束し、理緒に対して敬礼を行う。彼はすぐさま部下に対して訓示を行い、発艦準備を進めていく。
 敵であれ味方であれ、救える命は救いたい。そのように願う菫宮は、次々と発艦していくキャバリア達を見送りながら、ネルトリンゲンの戦闘準備と負傷者収容の準備を整えていくのだった。

 皇国艦隊戦艦群から放たれる防空榴弾を潜り抜け、所々編隊を崩しながらも、第二次攻撃隊は皇国艦隊へと迫る。艦隊が設定した防空圏へと侵入した第二次攻撃隊と、皇国艦隊のCAP部隊が次々と戦闘状態に突入していく。その只中に、私設軍事組織ガルヴォルンのもとで戦う猟兵達の姿もあった。
「敵艦隊も叩いて勝ったと思ったのですけど……敵の航空部隊、多くありません!?」
 のんびり持参したおにぎりを食べて小休止を取ろうとしていたグルヴェイグ・ヴォルヴァは、機体のレーダー上に表示される夥しい敵機の数に愕然と声を上げた。
「そりゃ、引く様子も無かったし、隠し玉は絶対あるよね。でもまぁ、リリーさんも上がって来たし、味方も多いし、私は楽させてもらうけど」
「メリア、あなたやる気ありませんわね!?」
 グルヴェイグの声に事も無げに応えるは、同乗者のメリア・アルストである。しかし、メリアは自らのセリフとは裏腹に、しきりにレーダーと情報収集ドローンから齎される情報を切り替え、味方部隊へと目標を指示していく。ともすれば混沌とした状況に陥りがちな大規模な航空戦の只中にあって、同じ空域に留まり管制を行う空中管制官の存在は、味方部隊にとって数十機の援軍以上に貴重な存在であった。
 メリアは敵部隊の高度、方位、そして機動から意図を分析し、味方部隊に対して随時目標を指示していく。
「なら、わたくしの役割はバフとデバフですわね!」
 メリアの動きから自らの役割を心得たグルヴェイグは、機体の内にあって魔力を練り上げる。
 先立っての艦隊決戦と、現在の航空戦における役割から、高脅威と目された「レーヴァテイン」に対して、必然的に敵の注目が集まる状況は危険ではあったが、グルヴェイグにとっては好機であった。
 グルヴェイグは自らに向けられた殺意を逆用し、敵パイロットに対して苦痛と絶望の幻影を叩きつける。
 思わぬ精神的な衝撃を叩きつけられた敵パイロットは大いに動揺し、その影響は機動の鈍化として形而上の世界に現出していく。パイロットが精神的な衝撃から立ち直るまでの時間は、航空戦においては致命的であった。

 空域に展開した皇国艦隊のCAP部隊は、メリアの管制とグルヴェイグの魔術によって齎される敵の動揺に付け入る形で、有利に迎撃を進めつつあった。そして、彼女たちが作り上げた状況を利用するのは公国軍部隊だけではない。
「なるほど、敵が見えるというのはいいことだね」
 高度を下げた一部の敵キャバリア部隊に対し、メリアの管制を受けて躍りかかるは、支倉・錫華の操るキャバリアであった。
 水中戦用の「サラスヴァティ・ユニット」を空中戦用の「フレキシブル・スラスター」に換装した彼女は、敵部隊の上空から急降下する形で突入する。
 錫華は、上空に向かって放たれる敵部隊からの迎撃砲火を高感度のアクチュエーターと各部に搭載されたスラスターによる細かな機動変更によって軽々と回避し、マシンガンモードに設定されたFdP CMPR-X3の射撃を加える。
 命中した部分に対してホログラフィックポインターが付与され、追尾照準が可能となる彼女の能力によって、FdP CMPR-X3の射撃はその連射性能からは考えられぬほどの収弾性能を発揮し、敵機体の機関部を的確に打ち抜いていく。
 機関からの出力が途絶し、急速に墜落していく機体からベイルアウトしていくパイロットたちを確認しつつ、錫華は各部のスラスターから齎される推力を利用して幾何学的な機動を描きながら、次々と敵の攻撃機を墜落させていくのだった。

 CAP部隊とメリア、グルヴェイグ、錫華の迎撃によって、主力への攻撃が困難と判断した第二次攻撃隊は、優先目標をストライダー及びネルトリンゲンに絞ることを決断する。
 辛うじて迎撃網を突破した攻撃隊は、対艦ミサイルによる同時攻撃を実現すべく突撃隊形を形成していく。
 しかし、その目的は突如として海中から出現した一機のキャバリアによって阻まれることとなる。即ち、リーゼロッテ・ローデンヴァルトが操る「ナインス・ライン」が突撃隊形を形成する隙を突く形で戦場に姿を現したのだ。
「魔女とか煽てられて気分いいし、アタシも空戦に混ぜてよ♪」
 キャバリア搬送用のヘリドローンであるインパクト・ボルトを展開し、急速に離水、上昇するナインス・ラインを操るリーゼロッテは、すぐさま密集した敵編隊の前面に対してOp.XXII:HEAVEN'S STALKERを起動する。
 敵編隊の周囲を取り囲む形で陽光を眩く反射させるリフレクターチャフが散布されると同時に、ナインス・ラインの脛部から大量の拡散パルスキャノン「ドゥームズ・レイ」が発射される。
 夥しい数の光芒はリフレクターチャフによって幾重にも反射され、敵機体の死角を突く形で次々と命中していく。
 これが突撃隊形を形成する前であれば、散開によって被害を極小化できたやも知れない。しかし、機械を確実に、或いは悪辣に捉えたリーゼロッテの攻撃によって、多くの攻撃機が編隊から脱落、或いは墜落する事となった。

 幾重にも張り巡らされた防空網を突破した30機の攻撃機は、辛うじて突撃隊形を維持したまま対艦ミサイルの射撃位置まで遷移し、60発以上の対艦ミサイル同時攻撃を空母であるネルトリンゲンに対して実行する。
 攻撃機から放たれたアザリア連邦共和国製の対艦ミサイルは、その95%が正常に動作し、水面すれすれの高度を保ってネルトリンゲンへと迫る。
 彼我の距離は凡そ20000メートル。ミサイルがネルトリンゲンへと到達するまでの時間は、数分にも満たない。
 それに対する最後の守りは、ネルトリンゲン自身の防空火器及び空中に展開する戦艦ストライダー、そして、ネルトリンゲン甲板上に展開する支倉・燐華が操る「ギムレウス・カスタム」であった。
「ガルヴォルン、全砲門開放、敵ミサイル及び航空戦力に向かって全力攻撃です!」
 セレーネの号令の元、同時発射されたミサイルと後続の攻撃機に向けて、ストライダーに搭載された対空ミサイルとレーザー兵装が一斉発射される。
 対艦ミサイルに向けて放たれた対空ミサイルは、直線的な機動を描く獲物に殺到し、対艦ミサイルの30%近くを撃破することに成功する。
 同時に放たれたレーザーはストライダーの機関から供給される圧倒的な出力を背景に後続編隊へと襲い掛かり、追加の対艦ミサイル発射を断念させることに成功したのだった。
 そして、ネルトリンゲンを護る最後の壁となったギムレウス・カスタムが行った対空射撃は、まさに砲撃キャバリアの精髄と言えるべきものであった。
 部隊単位での運用を前提としたギムレウスを単体運用可能な程に重武装化したギムレウス・カスタムはその機種を象徴する背部大型キャノン砲から散弾を急射し、直線的に迫る対艦ミサイルの群れをその破片によって次々に爆散させていく。
 そして、ギムレウス・カスタムが持つ武装は大型キャノン砲だけではない。機体各部に搭載されたミサイルランチャーから対空ミサイルを一斉に投射し、大量のミサイルに対して迎撃すべき目標を設定していく。
 さらに、散弾と対空ミサイルの迎撃網を掻い潜った対艦ミサイルに対しては、機体の積載レーダーと連動した大口径のガトリングによる猛射を加えていった。
 このように複雑かつ同時並行で行われる火器管制システムの制御は、優れたアンサーヒューマンである燐華だからこそ実現できる絶技であった。
 永遠にも思える数分間の間にあって、対艦ミサイルの火球が連続して海面を照らしていく。ネルトリンゲンに徐々に近づく形で炸裂し続ける火球は、彼女から約500メートルの位置で完全に途絶える。
 ネルトリンゲン、ストライダー、ギムレウス・カスタムが実施した熾烈な対空砲火は、60発以上にも及ぶ対艦ミサイル飽和攻撃を見事凌ぎきることに成功したのだった。

 辛うじて防空網を突破した攻撃機による対艦攻撃失敗を確認した第二次攻撃隊は、攻撃続行困難と判断し、次々と戦闘空域を離脱していく。
 猟兵達は、夥しい数の航空攻撃を、味方艦の損害無しという理想的な結果でしのぎ切ることに成功したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウィリアム・バークリー
艦隊戦の次は航空型キャバリアを相手の空中戦ですね。
敵機についてのブリーフィングでの感触としては、肩から生えた主翼か後背部にある推進器を使用不能に出来れば、それで墜とせる。
兵士とはいえ、オブリビオンマシンの精神汚染で動員された人たちです。無闇に生命を奪いたくはありません。

「空中戦」、始めましょう。この狭い空でも、いえ、だからこそ、制空権を確保しなければ。
空戦が行われる高度より一段上に「目立たない」ように位置取りし、「高速詠唱」風の「属性攻撃」「衝撃波」のChaostic Worldの魔力弾頭を敵機に向けて掃射します。

まあ気付きますよね。でも、突っ込んできていいんですか?
殲禍炎剣が牙を剥きますよ。



●第三次攻撃 1
 100機以上のキャバリアが投入された第二次攻撃が撃退されたのとほぼ同時刻。第二次攻撃隊を探知したオウル07とは別の包囲に展開していた早期警戒機であるオウル04より、第三次攻撃隊接近の報が皇国艦隊へともたらされる。
 第三次攻撃隊は、二度にわたる攻撃から皇国艦隊の早期警戒網の範囲を特定。それを迂回する形で航行し、第二次攻撃隊への迎撃へと最適化された皇国艦隊の迎撃網の隙を突く形で突入を開始したのであった。
 しかし、それは攻撃側である第三次攻撃隊にとっても危険の大きな賭けであった。航続距離が長くなることによる燃料の欠乏はCAPによる迎撃によって突撃隊形から脱落した機体が攻撃断念を余儀なくされる事態、即ちミッションキルのリスクを大幅に高めるものであった。
 現状を見れば、第三次攻撃隊は賭けに勝ったかのように見えた。皇国艦隊及び航空隊は第二次攻撃隊の迎撃に最適化された位置を取っており、第三次攻撃隊への対応には即応することができない。
 しかし、彼らの出鼻は一人の猟兵によって挫かれることになる。キャバリアに搭乗せず、最も身軽に戦場を駆けることができる猟兵。即ち、ウィリアム・バークリーが、即座に邀撃行動へと移った故に。
「"空中戦"、始めましょう。この狭い空でも、いえ、だからこそ、制空権を確保しなければ」
 艦隊の上空、空戦が行われている高度より一段上の高度で戦場を観察していたウィリアムは、その位置にあったが故に、不意打ちに近い形で戦場へと出現した第三次攻撃隊への邀撃を実施することが可能であった。
「狙うのは肩から生えた主翼か後背部にある推進器。それらを使用不能に出来れば、墜とせる」
 これまでの戦闘から攻撃機の弱点を見抜いたウィリアムは敵機を無力化するために最低限の損傷を与えるべく呪文の詠唱を開始する。
「駆け抜ける風よ、迅き雷よ。我が敵を虚無に還せ!」
 不意を打つ立場から打たれる立場へと追い込まれることになる攻撃機の編隊は、ウィリアムの詠唱を感知することはない。対艦及び対空戦闘を目的として出撃したキャバリアのレーダーは、対人レベルの目標を感知するほど繊細な設定を施されていなかったのである。
 上空から放たれた多属性の魔力弾をまともに受けることになった第三次攻撃隊の前衛は、その主翼を風属性の魔力によって引き裂かれ、或いは背部に搭載された推進器を電撃によって停止されることによって、次々と海面に向けて墜落していく。
 しかし、ウィリアムがあえて衝撃と電撃属性を中心とした魔力弾を放ったことにより、攻撃を受けて爆散する機体は皆無である。機体が行動不能となったパイロットたちは次々とベイルアウトし、呆然と上空を見上げながらゆっくりと降下していく。
 例え兵士であっても猟兵として無用な殺生を避けることを選んだウィリアムの目的は、彼の精密な魔力制御によって、見事に果たされたと言ってよい。
 不意を打たれた衝撃から第三次攻撃隊が復帰し、上空に位置する彼の存在を捕捉した時には、急遽空母から発艦した少数のCAP部隊が接近しつつあった。
 攻撃機の推力を最大発揮すれば、上空で身動きの取れないウィリアムを撃破することは可能であるかもしれない。しかし、それは自らを殲禍炎剣への生贄として差し出すことと同義であった。
 最終的に、第三次攻撃隊は攻撃機と制空機の一部を抽出し、ウィリアムとCAPへの迎撃に投入する事を余儀なくされる。
 第三次攻撃隊は、最も重要であった皇国艦隊への奇襲効果を、ウィリアムからの迎撃によって半減させることとなったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

小和泉・佳奈恵
【星視】
さて、と。
ぼくらは空母甲板から動かずに居ろう。
敵はあいも変わらず空から来る。なら、七面鳥撃ちに出来るってこと。

味方の迎撃網を突破した敵を掃討するよ。後詰はぼくの得意とするところやけんね、任せてくれてよか。
落ち着いて、狙いを付けて、敵機を一撃で撃墜できるよう急所目掛けてレーザーを照射する。ISWMに続いて一回限りの切り札、二枚目まで切る価値があったと思える戦果を出してみせるけん。
ひかるちゃん、その他のフォローよろしく。
このあとぼくとセンチネルはしばらく置物になるから攻撃どころか回避もできん。
そのうえセンチネルの装甲はペラペラやけん、きみが居らんと多分ぼくは死ぬ!


此衛・ファウナ
【竜鬼】
艦隊の次は航空部隊……
空の敵が相手ならば機竜では少し分が悪い戦いになりますわね。
だからこそ、空戦で相手取ることに意義がありますわ!
つかささん、機竜の上にお乗りなさい。
海戦兵器たる機竜とて竜の末裔、空を支配する力を持つはず!

機上のつかささんの希望するポジショニングを最優先に空中機動を展開しますわ。
人型機の機動性に機竜が追いつけない理屈はありません。そして敵に捉えられるはずもないのです。
高角砲で近接信管砲弾をばら撒きながら、機動戦に専念すると致しましょう。


荒谷・ひかる
【星視】

つまり、わたしの役目は盾役ということですね。
了解しました、佳奈恵さん。
安心してください、動かないものの護衛は得意ですので!

引き続きステラに搭乗、空母とセンチネルの護衛に付く
【闇の精霊さん】にお願いし、護衛対象の周辺に指向性マイクロブラックホールを多数生成
それらを敵の砲弾の弾道場に移動させることで、砲弾を吸い込んで無効化して守る
また状況に合わせて吸った砲弾を吐き出して迎撃にも活用
もし至近距離まで寄られたら二丁の精霊銃(スタン重視の凍結弾及び威力重視の爆炎弾)で迎撃

えっと、佳奈恵さんエネルギー切れです?
雷の精霊さん、ちょっと復帰のお手伝いに行ってあげてください!


荒谷・つかさ
【竜鬼】

実は正直な所、こういう海上戦闘って苦手なのよね。
(※スルトは陸戦型スーパーロボット)
だからええ、正直助かるわファウナ。
今この時は、共に竜騎士として空を駆けましょう!

ファウナの機竜に騎乗
空中での機動は任せ、こちらは攻撃に専念する
内蔵火器(眼部レーザー、側頭部機銃)で接近を牽制
群れていれば【轟烈鬼神熱破】の拡散モードで広域を薙ぎ払い
疎らであれば収束モードで一機ずつ撃ち落とす
機竜の防空を掻い潜ってきても「怪力」で殴って対処する
そもそもスルトの本領は近接戦闘、近づけばどうにかなると思うのは誤りよ



●第三次攻撃 Ⅱ
 皇国艦隊左後方から迫る第三次攻撃隊は、第二攻撃隊とほぼ同数の部隊を二つに分割し、両舷から高価値目標である空母を襲撃せんとしていた。
 第二次攻撃隊の迎撃に適合されすぎていた艦隊位置を間一髪のタイミングで修正した皇国艦隊は、防空輪形陣内部へと侵入しつつある敵編隊への迎撃を開始していた。
 しかし、あまりにも艦隊との距離が近すぎ、かつ、CAP部隊と敵部隊の交戦が開始しているため、第一戦隊に所属する戦艦群は防空榴弾を発射できずにあり、不完全ながらもミサイル発射位置についた駆逐艦及び巡洋艦が、戦艦群から分配された対空目標に対する射撃を開始しつつあるという状況であった。
 故に、此衛・ファウナは決断する。自らの半身である機竜に。再び空を支配する力を与える事を。
「海戦兵器たる機竜とて竜の末裔、空を支配する力を持つはず! ――つかささん!」
「ええ、助かるわファウナ。 今この時は、共に竜騎士として空を駆けましょう!」
 ファウナの意図を酌み取った荒谷・つかさは、愛機たるスーパーロボット「スルト」を機竜へと騎乗させる。その様は、まさに伝承で語られる勇壮な竜騎士そのものであった。
「翼をください。たとえ地に墜つるとも、今ひととき空を夢見るための翼を!」
 果たして、ファウナの半身たる機竜は、彼女の願いに応えた。数多の伝承から導き出された竜翼と、機竜の中に眠る祖先の記憶とが結合し、海を駆ける兵器であった機竜が、力強く空中へと飛翔したのであった。
 重力の軛から解き放たれた機竜は、その翼を十全に操り瞬く間に攻撃機と同等の高度まで上昇すると、反航戦の要領で敵編隊へと接近する。
「右対空戦闘、距離4000、仰角無し。射ェッ!」
 ファウナの指揮の元、機竜に搭載された五十口径十糎連装高角砲が敵編隊に向けて旋回し、仰角を付けない、即ち同一高度の目標に対して猛然と射撃を開始する。
 近接信管が搭載された砲弾は命中せずとも敵機周辺に達した時点で炸裂し、その破片によって敵機の主翼を叩き折り、或いは致命的な部位へと損傷を与え次々と墜落、爆散していく。
 そして、ファウナと機竜が持つ兵装だけではなく、今や竜機一体となったつかさとスルトからの火力も同時に敵編隊へと襲い掛かる。
「我が心、動かざること水鏡の如く……されど、我が魂は烈火の如く! 轟烈、鬼神熱破!」
 機竜と敵編隊がすれ違う瞬間にスルトの両手の間から放たれた轟烈鬼神熱破は、突撃隊形を取り密集した敵編隊中央で拡散、超高温の波動は攻撃機に搭載された弾薬及び対艦ミサイルの炸薬を誘爆させ、瞬く間に一個編隊分の火球を上空に出現させる。
 艦隊左舷から接近していた攻撃隊は瞬く間に発生した損害に戦慄し、制空機の全力をファウナとつかさに対する迎撃に投入する。
 機竜は人型機のそれをはるかに凌駕する機動性をもって制空機を翻弄し、翼から齎される有機的な機動によって反転すると、さらにもう一個編隊をその圧倒的な火力によって火球へと変換する。
 艦隊左舷から迫る脅威は、竜機一体となった猟兵達の活躍によって、その戦力を減らす事になったのである。

 ファウナとつかさの迎撃を辛うじて突破した攻撃機3個編隊は、突撃隊形を保ったまま、皇国艦隊空母「ケストリッツ」へと迫る。
 必殺の念と共に放たれ、正常に動作したた対艦ミサイルは凡そ60発。その他の対艦兵装を搭載した攻撃機に先んじる形で猛進する。
 発射された対艦ミサイルの内、15発は直掩の駆逐艦によって迎撃されたものの、依然として45発のミサイルが彼女へと迫りつつあった。
 ケストリッツの最後の砦として展開するは2機のキャバリア。小和泉・佳奈恵が操る「Type-01J センチネル」と荒谷・ひかるの操る「X-063C-2 Guardian Spirit改 ステラ」であった。
「敵はあいも変わらず空から来る。なら、七面鳥撃ちに出来るってこと。……ひかるちゃん、その後のフォローよろしく」
 きみが居らんと多分ぼくは死ぬ!という佳奈恵の切実なお願いに、ひかるは自身を込めた自信をもって応じる
「安心してください、動かないものの護衛は得意ですので!」
 ひかるの言を裏付ける様に、迫りくる対艦ミサイルは次々と虚空へと消えていく。ひかるが事前に空母周辺に設置していた闇の精霊が形成する指向性ブラックホールが、対艦ミサイルを時空の狭間へと吸い込んでいるのであった。
 それでも、マイクロブラックホールをすり抜け、或いはホップアップによって飛び越えた対艦ミサイル凡そ20発が空母の眼前へと迫る。もはや既知のいかなる兵装を以ても迎撃は不可能であるかのように見えた。
 しかし、次の瞬間、全ての対艦ミサイルが空母直前で火球へと変ずる。その爆発に時間差はなく、見えない壁に衝突したかの如くほぼ同時であった。
「……ISWMに続いて一回限りの切り札、二枚目まで切る価値はあったけんね」
 20発ものミサイルを一斉に迎撃した兵器の正体は、センチネルに搭載された「ジオアームズXM-03 高出力戦術防空レーザー砲」であった。
 センチネルのレーダーによって捕捉され、予備照射を受けていたミサイル群は、空母に命中する直前で防空レーザーの最大照射をうけた事によって、ミサイル内部の炸薬が誘爆。すべてのミサイルがほぼ同時に迎撃され、人工的な太陽として空母を照らすだけの存在と化したのであった。
 代償として、全電力を喪失したセンチネルは、攻撃どころか回避すらできない置物と化す。佳奈恵がひかるに頼んだ"その後のフォロー"とはつまりはそういう事であった。
「えっと、佳奈恵さんエネルギー切れです? ……雷の精霊さん、ちょっと復帰のお手伝いに行ってあげてください!」
 ひかるの願いに応えた雷の精霊が、センチネルの主機関に給電し、復旧を図る間、依然として空母には攻撃機が迫っている。
 しかし、それを挟撃するような形で、制空機の迎撃を制圧したファウナとつかさが後方から迫りつつあった。

 すんでの所で再起動を果たしたセンチネルと依然として完全な戦闘力を有するステラ。そして、後方から迫る竜機とスルト。4人の猟兵が操る兵器によって対艦ミサイルを失った攻撃機は瞬く間に追い散らされ、艦隊左舷から迫る脅威は排除されたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルヴトー・シフトマン
──これまた、とんでもないものを
こうも大盤振る舞いをされては、俺も半端な成果は出せませんね
さて…空中戦はあまり得意ではないので、狙撃でやらせてもらいます
狼だって、鳥を撃ち落とすこともあるんですよ

<飛天揺光>を拡張パーツでスナイパーライフルに
──時は未来にズレた。なら、どう動くか分かる
そこに弾丸を置いておくだけでいいんです…それだけで落ちる
さて、問題は換装からの砲撃ですが───『重圧』
この戦場の、何処にいようとも…獣はお前を視ている
下手に動けないでしょう?動いた瞬間、俺がそれを咎めるんですから
まぁ、別に動かなくても…落とすのには変わりありませんが
重圧に負けた時点で、退くか狩られるかの2択です



●第三次攻撃 Ⅲ
 二分された第三次攻撃隊の内、艦体左舷から迫る脅威は猟兵によって排除された。しかし、依然として右舷後方から迫る敵編隊は健在であった。
 完全な形で輪形陣の内側に入り込んだ前衛編隊は、熾烈な迎撃を受けながらも突撃隊形を保ち、対艦ミサイルを発射せんとする。前衛編隊の数は18機、その全てからミサイルが発射されれば、少なく見積もっても36発のミサイルが迎撃困難な距離で空母へと直進する事となる。
 差し迫った危機に対して、戦艦「ハルシュタイン」の艦長エルウィン・ハルシュタインは、唯一敵を砲撃可能な三番砲塔に対して咄嗟射撃を命じる。
「三番砲塔咄嗟射撃! 右170度、高度40。射撃準備完成後ただちに撃てッ!」
 旋回したハルシュタインの三番砲塔から、防空榴弾が斉射される。凄まじい勢いで滑空した防空榴弾は、対艦ミサイル発射位置への遷移が完了しつつあった攻撃機編隊正面で炸裂し、攻撃機の半数近くをミサイルごと撃墜することに成功する。
 しかし、それでもなお攻撃機の群れはあきらめなかった。高い練度と強靭な精神力を背景に突撃隊形を維持した攻撃機達は、友軍機の屍を乗り越え20発の対艦ミサイルを発射する。

 ルヴトー・シフトマンと、彼の愛機たる「WF-003 VTSD 天狼」の眼前で発生した光景は、そのようなものであった。
「──これまた、とんでもないものを。こうも大盤振る舞いをされては、俺も半端な成果は出せませんね」
 眼前で発生した意志と意志とのぶつかり合いを前に、彼もまた猟兵としての役目を果たすべく準備を整える。
 高威力長射程のハンドキャノンである飛天揺光をスナイパーライフルへと変形させ、ミサイルに向けて照準を絞る。
「──時は未来にズレた。なら、どう動くか分かる」
 未来視と組み合わせた正確な狙撃によって、空母に迫る対艦ミサイルは次々と迎撃されていく。空母直掩艦からの迎撃によって撃破されるミサイルを"視た"ルヴトーは、迎撃から漏れるミサイルのみを撃ち抜くことで、短時間で正確な迎撃を完遂することに成功する。
 しかし、対艦ミサイルを失った攻撃機はなおも自らの対艦兵装によって空母を攻撃すべく突入をやめない。
 空母とはきわめて強力であると同時に非常に脆い兵器である。アイランドに攻撃を受けただけで、その空母は艦載機の発艦が不能となり、作戦能力を喪失する。
 それを熟知しているが故に、連邦共和国軍のパイロットは、撃沈に至らずとも損害を加えるため、攻撃を中止することなく突進を続けるのだ。
 しかし、その意図は突如として襲い掛かってくる強烈なプレッシャーによって一時的に挫かれる。
 対艦兵装へと火器の切り替えを行う直前に、肉食獣から狙われているかのような本能的な恐怖を感じたパイロットたちは、一時的に機体の制御するだけで精いっぱいの状態にまで精神的に追い込まれることとなる。訓練とオブリビオンマシンの影響によって死への恐怖が麻痺しているパイロットをも慄かせるプレッシャーは尋常なものではない。
 果たして、それはルヴトーの能力によって放たれたものであった。彼が放ったプレッシャーは、攻撃機がつかみつつあった絶好の機会を逸しさせることに成功する。
 攻撃機のパイロットたちが辛うじて機体と自身の精神的な制御を回復したその瞬間、ハルシュタインの三番砲塔から防空榴弾の第二射が発射され、編隊中央で炸裂したのであった。

 ルヴトーによって実施された迎撃と、敵攻撃機に対する精神攻撃によって、皇国艦隊は辛うじて敵第一波を退けることに成功したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

玉兎姫・カグヤ
艦隊戦は決着がついたみたいね
次は航空戦か
私のヴォルパーティンガーは何処で戦っても十全な性能を発揮できる
頼もしい味方の支援もある
雑魚が群れていてもものの数じゃないわ
玉兎姫・カグヤ、出撃します!

UCを発動し敵の数が多めの戦場に移動し
殲禍炎剣の制限に気をつけながら常に相手の上を取って
リニアガンやビームサーベルで攻撃
遮蔽物がないので常に移動することを心がけます

速いけどヴォルパーティンガー程じゃないわ
性能と実力の差があるのよ、墜ちろ!


天音・優歌
(支援の様子を見つつ)
おおー、凄い光景だね
……あの中でどれだけの人が傷ついて死んでいるんだろう
早く終らせなきゃ
いくよ、メソテース

魔導書からサイキックキャバリアを召喚し乗り込みます
優しき歌より来たりて!无音の世界に……天からの音を降らせよ我が半身!汝、无に還す者!メソテース!

敵は対空装備あるいは対地装備……
なら空を飛びつつも相手より低い位置にいれば何とかならないかな?
敵に補足されないように海面すれすれを空中浮遊しながら
UCを発動し空から剣の雨を降らせ
自分は下から剣を用いて敵を攻撃
可能な限り手足や武装を狙って攻撃し無力化します
敵とはいえ殺したくないしね



●第三次攻撃 Ⅳ
 艦隊右舷後方から迫る第三次攻撃隊最後の戦爆連合は、空母を取り囲むように展開した駆逐艦や巡洋艦からの熾烈な迎撃を受けながらも、艦隊の防空輪形陣内部へと侵入する。
 空母を護衛するために配置された護衛艦は、彼女たちに搭載されたイルミネーターが許す限りの対空ミサイルを発射し、攻撃機編隊に近い艦は主砲及び対空火器を全力稼働させ、攻撃機編隊へと火力の雨を浴びせ続けている。
 しかし、それでもなお攻撃隊の意思と進路を挫くことは叶わない。続けざまに飛来する対空ミサイルによって僚機を撃墜されながらも、攻撃隊指揮官から突撃隊形命令を受け取った各攻撃機のパイロットたちは、互いの機体を接近させ、一直線に空母へと迫る。
 対空ミサイルと機体の爆散によって作り出される火球は、刻一刻と空母へと近づきつつあった。

「凄い光景だね。 ……あの中でどれだけの人が傷ついて死んでいるんだろう」
 近代的な海軍と航空機との死闘を眼前にして、天音・優歌は空母のアイランド上で呟く。
 空中で火球が炸裂するたびに、一人の人間の命が散っている。敵と味方と言う明確な立場の違いはあれど、彼女はその命に差をつけて区別する習慣をもたなかった。
 艦載機たちを一機でも多く緊急発進させるべく、喧騒を極める空母のアイランド上にあって、優歌は静かに魔導書を開き、召喚の呪文を紡ぐ。
「優しき歌より来たりて!无音の世界に……天からの音を降らせよ我が半身!」
 より高次の次元から形而下の世界に響く優歌の美しい詠唱は、様々な雑音がひしめき合うアイランド上にあっても、かき消されることなく人々の耳へと届く。彼女の詠唱が進むごとに、魔導書は淡く燐光し、優歌の白い肌と髪を照らしていく。
「汝、无に還す者!メソテース!」
 優歌の僕たるサイキックキャバリアの名と共に詠唱は結する。彼女の手の内にある魔導書が一際眩く光り、一瞬周囲の人間の視力を奪う。次の瞬間には、空母から離翔し海面を駆ける一機のキャバリアの姿があった。
「いくよ、メソテース。早く終らせなきゃ」
 優歌はメソテースを海面を這うように機動させ、突撃隊形を取りつつある攻撃機編隊の下方へと遷移させる。空母周辺に向けて積載レーダーを起動させていた攻撃隊のキャバリアは、一瞬メソテースの姿をレーダー上に捕らえていたものの、すぐに見失ってしまったのだった。
 敵から発見されていないことを確認した優歌は、すぐさまメソテースの装備する宝杖剣「フロネシス・スパーダ」を掲げ、その切っ先を攻撃機編隊へと向ける。
「剣戟の音を降らせよ。舞え、フロネシス・スパーダ!」
 彼女の詠唱と同時に、攻撃機編隊の合間を貫くように宝杖剣から一条の光が天へと舞い、空中で幾重にも拡散する。
 拡散した光から形成されるは、メソテースが持つ宝杖剣を象った光の刃であった。それらは複雑な機動を描きながら空を舞い、斬撃と化して攻撃機編隊へと襲い掛かる。
 ほぼ完全な不意打ちとして攻撃機へと襲い掛かった光の刃の群れは、彼らの武装や手足、補助翼等を刺し貫き、その火力と航行能力を奪っていく。ある機体は制御を失って墜落し、またある機体は不完全な発射位置であることを承知で対艦ミサイルを発射し、戦場から離脱を余儀なくされていったのであった。

 メソテースが放った光の刃に紛れる形で、攻撃機と制空機によって形成される編隊に突入していく一機のキャバリアの姿があった。
 白を基調とし、ウサギを思わせる特徴的な外観を持つそのキャバリアは、玉兎姫・カグヤの駆る「ヴォルパーティンガー」である。
 メソテースとほぼ同時にヴォルパーティンガーを空母から発艦させていたカグヤは、空戦用複合ブースターユニット「ツバクラメノコヤスガイ」を起動させていた。元来は大気圏離脱用のブースターとして設計されていたツバクラメノコヤスガイから齎されると推力を利用して一息に高度を稼ぐと、獲得した位置エネルギーを運動エネルギーへと変換し、高高度から奇襲する形で敵編隊へと襲い掛かったのだ。
「頼もしい味方の支援もある、雑魚が群れていてもものの数じゃないわ」
 光の刃と共に敵編隊へと突入したカグヤとヴォルパーティンガーは、彼女の意気込みに相違ない性能をいかんなく発揮する事となる。
 敵編隊内部へと突入したヴォルパーティンガーは「ホウライノタマノエ」と名付けられた複合兵器管理システムによって獲得したマルチロック機能を生かしてリニアガンを撃ち放ち、数機の制空キャバリアの主翼を撃ち抜くと、間を置かず対キャバリア用エネルギブレード「リュウノクビノタマ」を抜刀。すれ違いざまにその熱と光で形成された刃を振るい、一機の攻撃機を爆散させる。
「速いけど、ヴォルパーティンガー程じゃないわ」
 初撃での戦果を確認したカグヤは、乱数機動をとりながら敵の護衛機に攻撃機周辺での巴戦を強要し、ツバクラメノコヤスガイから齎される推力と、彼女自身の技量によって護衛機を翻弄しながら、一機、また一機と攻撃機を確実に撃ち減らしていく。
「性能と実力の差があるのよ、墜ちろ!」
 メソテースから放たれた光の刃と、ヴォルパーティンガーを操るカグヤの技量によって、第三次攻撃隊のおおよそ二個編隊、18機ものキャバリアがその役目を果たす前に撃墜、ないしは戦場からの離脱を余儀なくされるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アーテルス・フラット
「はわ~、良い景色なのです。」
此処は皇国戦艦ハルシュタインの艦首・・・の上。
【スカイステッパー】で飛び跳ねること67回。
一番見晴らしの良い場所を陣取った。

今正に、やってやろうと息巻く軍人達も、まさか頭上にそんなのが居るとは思うまい。

開戦を告げる砲撃が始まる前に超電磁砲サンダーイールを組み立てる。

・足場習熟、スナイパー、属性攻撃、多重詠唱、全力魔法
超電磁砲に紐付いたバッテリーに魔力を流して準備完了。
ついでにハルシュタインの修理用ハッチから電源ケーブルに接続、コッソリ電力を吸い上げて魔力消費を抑える事も忘れない。

「さあ、残らず撃ち落としてやるのです!」



●第三次攻撃 Ⅴ
 猟兵達の迎撃を辛くも潜り抜けた攻撃機隊は約一個編隊を残すのみであった。しかし、完全に輪形陣内部に入り込んだ9機の攻撃機には合計して18発の対艦ミサイルが搭載されており、それらが同時発射されれば迎撃は至難の業である。
 万難を排し、任務を果たしたかのように見えた攻撃機達の前に立ちはだかる最後の壁は、猟兵達が稼いだ時間で空母周辺への展開を完了した戦艦「ハルシュタイン」と、その艦橋直上に狙撃ポジションを確保したアーテルス・フラットであった。
 愛らしいネコの姿を持ったアーテルスは、文字通りネコ科動物の俊敏さでハルシュタインの高くそびえる上部構造物を駆けあがると、空中を見えざる足場として跳躍を繰り返し、さらに上空へと駆けあがっていく。
 艦橋に詰めていた見張り員が愕然としたさまで自身を見上げていることに気が付いたアーテルスは、悪戯っぽく微笑みながら、自身の常識と目の前の現実とをすり合わせている見張り員に手を振って見せる。
「ふふん、息巻いてる軍人さんたちも、頭上にわたしみたいなのがいるとは思わないはずです!」
 ぽかんと口をあけながらこちらを見上げている見張り員の様子から、アーテルスは自らの狙いが正しいことを確信する。
 彼女はハルシュタイン直上で手早く自身の武装たる超電磁砲「サンダーイール」を展開すると、ちゃっかりハルシュタインの修理用ハッチから伸ばしていた修理用ケーブルをサンダーイールへと接続する。
「はわ~、良い景色なのです……」
 武装の展開を終え、周囲を見渡せば、果てしない海原に空母を中心として展開する皇国海軍機動艦隊の姿が一望できる。北東に目線を向ければ、今回の作戦目標であるエーゲル島がうっすらと見えるかもしれない。
 しかし、その眺めは決して平穏なものではない。南東からは轟音と共に、空母を撃破せんとする意志をためた攻撃機達が、今まさに迫っていた。

「さあ、残らず撃ち落としてやるのです!」
 アーテルスは傍らに置いたサンダーモジュールへと魔力を通し、大量の電力を生成し、サンダーイールへと流し込む。サンダーモジュールから供給された電力にハルシュタインから拝借した電力を加え、サンダーイールの射撃準備を完了させると、彼女は迫りくる攻撃機に狙いを定め、続けざまに引金を絞る。
 大量の電力を消費するサンダーイールの電磁投射機構から放たれた弾丸は、猛烈な速度を伴って攻撃機へと命中し、その運動エネルギーによって主翼を叩き折ることに成功する。
 一息に放たれた三発の弾丸は、それぞれ迫りくる三機の攻撃機に命中し、海面へと叩き落すことに成功していた。空母に迫るキャバリア、残り6機。
「ただいまの射撃見事なり。続けて我の射撃をご覧あれ」
 若干の苦笑と共に、眼下のハルシュタインからアーテルスへと賛辞が届く。どうやら電力を拝借したことがばれたらしい。
 アーテルスに続くようにハルシュタインの48センチ砲から放たれた防空榴弾は、空母と攻撃機編隊の間の空間で炸裂し、さらに3機のキャバリアが撃墜される。しかし、それと同時に、生き残った攻撃機から6発の対艦ミサイルが発射される。
「私も負けていられないですよ!」
 殲禍炎剣による制約があるとはいえ、6発の対艦ミサイルの速度は尋常なものではない。しかし、超人的な動体視力によってミサイルを捉えたアーテルスはサンダーイールの引金を絞る。
 果たして、彼女の放った弾丸は、海面を滑るように飛行していた対艦ミサイルを全て捉えた。
 続けざまに放たれた弾丸が数秒の間をおいてミサイルへと着弾し、海面上に等間隔で炸薬で形成された花を咲かせる。
 アーテルスの射撃技能は、窮地に陥っていた空母を間一髪で救い。第三次攻撃隊最後の攻撃を阻止したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『ブラック・クロウ』

POW   :    駆け抜ける黒い嵐
自身に【バリアにもなるオーラ・フィールド 】をまとい、高速移動と【それによって生じる衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    鴉の鉤爪
【腕部及び脚部の鉤爪 】による素早い一撃を放つ。また、【装甲をパージする】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    黒羽乱舞
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【ウイングユニット 】から【黒い羽状の無数の遠隔誘導ユニット】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠エルシー・ナインです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●断章投下予定 3/9~3/10
●プレイング受付 3/11~3/12
●エーゲル島沖航空戦
 猟兵達の活躍によって、三度にわたる航空攻撃を凌ぎ切った皇国艦隊は、目標であるエーゲル島から80kmの位置にまで進出することに成功していた。
 既にエーゲル島上空では空母から発艦した艦載機が航空撃滅戦を展開しており、同島への揚陸に向けた航空優勢確保のため、残存した敵航空戦力と戦闘を繰り広げている。
 エーゲル島全域が皇国艦隊の擁する5隻の戦艦及び巡洋戦艦の主砲射程内に収まれば、飛行場への艦砲射撃によって連邦共和国航空部隊の作戦能力は失われ、揚陸作戦の第一段階である制海権及び航空優勢の確保は達せられるかに思われた。
「ヴィルヘルムより通信。第1戦隊及び第2戦隊は、これよりエーゲル島へと突入、敵航空基地を撃滅と、爾後揚陸部隊支援に当たるべし」
 戦艦「ハルシュタイン」の艦長エルウィン・ハルシュタインは、通信手からの報告に頷くと、傍らに立つ観戦武官アリューシャ・ケストナーに声をかける。
「我々の仕事もいよいよ大詰めであるようだ。しかし、気掛かりもある」
「事前諜報にあった、航空型の精神汚染機の存在でしょうか」
「先だっての航空攻撃には姿を現さなかったにしろ、このまま出現しないとも思えない。現れるとすれば、空母と我々が離れるこのタイミングだろう」
 果たして、エルウィンの懸念は的中する事となる。皇国艦隊第一戦隊及び第二戦隊、即ち戦艦と補助艦艇を主体とする打撃部隊が、エーゲル島への突入のため空母から離れたタイミングを突くように、エーゲル島を監視していた警戒機から警報が齎される。
「艦長、オウル07より赤色警報。エーゲル島上空にて制空戦闘を実施していた味方艦載機部隊がロスト。大型反応を含む航空キャバリア60機が、我々に向かって接近中」
「最後の正念場と言うわけだ。構わんから情報を猟兵達にも回してくれ。両舷対空戦闘用意、残った対空ミサイルと防空榴弾をすべて射耗しても構わん。我の持つ全力をもって猟兵を支援し、敵精神汚染機を撃滅する」
 艦長たるエルウィンの命令の元、ハルシュタインにおいて防空部署が発令され、戦闘配置を告げるブザー艦内へと響き渡る。
「対空戦闘用意!」
「戦術データリンクより目標情報受信」
「主砲、防空榴弾装填。各ミサイル発射管、対空戦闘用意よし!」
 自らの指揮する艦の戦闘準備が整ったことを確認したエルウィンは、艦長席に収まった通信機を手に取り、自ら戦場へと赴く猟兵達に通信を送る。
「ハルシュタイン艦長より猟兵諸君へ。聞いての通り、現在精神汚染機がエーゲル島より出撃、我々に向かって接近中である。随伴機は我々に任せ、諸君らは精神汚染機への攻撃に専念いただきたい。諸君らに別案あれば、我々は全力をもってこれを支援する。ともに本懐を遂げられるよう、諸君らの健闘を祈る」
 皇国艦隊が擁する戦艦群と共に、ついに猟兵達はオブリビオンマシンと対峙する。第二次エーゲル島沖海戦の最終幕が、いま始まろうとしていた。

 空戦型オブリビオンマシン「ブラック・クロウ」を操る男は、エーゲル島に展開した連邦共和国航空旅団の飛行指揮官である。
 彼は連邦共和国軍内で少数となりつつある、皇国がアザリアを統一していた時代を知る軍人であると同時に、ルーシェ誓約連合の航空キャバリアを12機撃墜した戦歴をもつ、連邦共和国のエースパイロットでもあった。
「防空榴弾、対空ミサイル、そのあとに艦載機による邀撃だ。間髪入れずに来るぞ、各機心得ているな? よろしい、散開!」
 眼前で皇国戦艦群が放った防空榴弾が炸裂し、彼らの編隊の周囲に高熱と自己形成弾の雨を降らせる。彼が自ら鍛え上げた精鋭は適切な散開機動を取るものの、確率論の微笑みを得られなかった機体が黒煙を吹き出し墜落していく。
 ヴィルヘルム、ハルシュタイン、メクレンブルク。20年前、このエーゲル島沖でルーシェ誓約連合の機動艦隊を叩き潰し、敗勢にあった皇国に最期の凱歌をもたらした誉れある娘たち。彼女らの砲身は、今や明確な殺意と共に自分へと向けられている。
 防空榴弾の斉射と飛来した対空ミサイルを乗機の性能と自身の操縦技能によって苦もなく回避した彼は、レーダー上に急速で接近する陰を捉え、列機へと声をかける。
「私が相手をすべき連中がきた。02、すまんが部隊を任せる」
 20年前の戦争から彼の列機をつとめ、現在は彼の率いる航空団の幕僚長を務める男は、酸素マスク内で雲った笑い声を響かせながら答えた。
「気になさらんでください、01。幸運は祈りませんよ」
「それらは君たちにこそ必要だろうからな。まことにありがとう、02。良い戦場を」
「ええ、良い戦場を。統一祖国万歳」
 統一祖国万歳。それがこの戦場にある連邦共和国軍の将兵を戦いの熱狂へと突き動かす言葉であった。
 そう、アザリアは、我々の祖国にたなびく旗は一つでなければならない。だが、私の祖国はどこにある。皇国人として生まれ、誓約連合と戦い、連邦共和国と言う奇怪な名を持つ国の英雄となった自分は、どちらを祖国と呼べば良い。
 機体が鳴動し、精神がざわめく。
「私を嗤うか。それも良い、私は嘲笑されて然るべき男だ」
「だが、私はお前達に感謝しているのだ。航空部隊指揮官として、一人のキャバリアパイロットとして、頃程の戦場に立てることを」
 そして、祖国は再び一つになる。たとえ、勝者がどちらになろうとも。
 戦闘に不要な思考を打ち切り、彼はスロットルレバーを操作し、エンジン出力を引き上げる。身体を押しつぶすような加速に耐えながら、武装の安全装置を解除していく。
 既に空母艦載機との交戦に移った随伴機を後方に残し、祖国を見失った男が、一人のキャバリアパイロットとして空を駆ける。
 迷いも、憂いもなく、ただ敵撃滅の念のみを抱いた恐るべきパイロットとして、彼は迫りくる猟兵達の前に立ちはだかるのであった。
亞東・霧亥
◆桐嶋技研
己の優位を過信して大空を舞う異形の鴉は、果たして自分より上を気にするだろうか?

【UC:Argus】
高速で飛翔する対象の軌道予測をリアルタイムで行い、コンマ一秒のズレも無く情報を共有する。
宙界の瞳を高高度に維持するため、戦闘は他に任せる。

「今回はやれる事を集中してやる。周りを気にする暇は無いから、攻撃組は宜しく頼む。」


アーテルス・フラット
◆桐嶋技研
「攻撃は任されたのです!」
レールガンの弾体を散弾に変える。
高速で飛翔する対象に驟雨の如く撃ち込むつもり。

モジュールを腰にセット、レールガンを背中に担いで、7機の宙界の瞳を足場にして共にぴょんぴょんと高高度へ。

【UC:スカイステッパー】
送られてくる軌道予測を参照しながら、レールガン(散弾)を速射。
一瞬下がる高度を保つために、撃った時の反動やジャンプを駆使する。

戦闘後は宙界の瞳に掴まるなり、ジャンプで高度を落としてから優雅に着地する。


桐嶋・水之江
◆桐嶋技研
さてさてラスボスは…あら、ブラッククロウ
あれってとんでもなくすばしっこいのよね
今回はイカルガを出しましょうか
私は天才だからキャバリアの操縦だって出来るのよ

足の速い相手に無理に合わせてあげる必要も無いわよね
追いかけっこは他に任せてサボ…じゃなくて腰を据えて火力支援よ
対空ミサイルをメインに隙あればビームスマートガンで狙い撃ち
方向転換のタイミングなりどうしたって動きが鈍る瞬間はあるわよ
鬱陶しいドローンの処理は…皇国艦隊さんにお願いしましょう
随伴機は任せてって言ってたし当然ブラッククロウが飛ばしてきたドローンも対象内よね?
ミサイルの誘導ぐらいはこっちでやるから適当に落として貰うわ


ダビング・レコーズ
◆桐嶋技研
こちらでも目標を確認しました
これより迎撃行動に移行します

リジュームと共に近接戦闘を主体に敵機へ対処
水之江博士の援護射撃の合間を突く形で一撃離脱攻撃を行う
先んじてスレイプニルを全弾とベルリオーズを1マガジン分斉射
面火力で圧倒した後ブレードホリックを起動
ソリッドステート形態で弾幕に紛れ接近し敵機直前でキャバリア形態に再変形
ルナライトでクロー攻撃を斬り払い続けて連続斬撃
即座にソリッドステート形態に変形し離脱
これらを一連の攻撃モーションとして実行
近距離での高速攻撃と遠距離からの火力投射で敵機の機動優位性を打消します


リジューム・レコーズ
来ましたか
了解です、奴の始末は…わたしが!

高速近接戦闘なら望むところです
ディナ!アサルトホリック!
迂闊な接近を後悔してももう遅い!逃げられると思うな!
そんな軽いクローの攻撃なんてEMフィールドで防ぎ切れる
こちらからもアンカークローとマンティコアで斬り返します
怯んだ様子を見せればブレイクドライバーで殴り伏せて貫き砕く
岩盤さえ抉り抜くこのドリルソードランス、超高速回転する刃に掠めたらどうなるか!痛みを以て知ればいい!
距離を離すつもりならスレイプニルを連続発射し追い詰めた先でイグゼクターの集中射撃
可能な限り友軍との十字砲火を意識して常時敵機が攻撃に晒され続ける状況を作ります



●連携技
 飛行場への砲撃を実施するためエーゲル島へと突入する皇国艦隊戦艦群に迫るオブリビオンマシン「ブラック・クロウ」を最初に捕捉したのは、強襲揚陸艦「ワダツミ」より発艦した猟兵達であった。
 猟兵達が最も早くオブリビオンマシンを捕捉しえたのは、偶然ではない。
 亞東・霧亥が展開した無人機「宙界の瞳」によって構成される索敵網「Argus」によって、猟兵達は敵機の高度・速度・予測針路と言った空戦において必要不可欠な情報をリアルタイムで得ることに成功していたが故の結果であった。
 一方で、如何に強力な機体とは言えオブリビオンマシンは単騎である。既に連邦共和国軍側の警戒網は消滅しており、データリンクによる支援も得られないブラック・クロウとそのパイロットは、自らの機体に搭載されているレーダーのみに頼らざるを得ない。
「己の優位を過信して大空を舞う異形の鴉は、果たして自分より上を気にするだろうか?」
 敵からは見えず、味方からは見える。この事実がどれほど強力なアドバンテージであるか、戦場に身を置く者であれば自らの経験によって理解することができるだろう。
 情報戦の場において敵を圧倒していた猟兵達は、理想的な伏撃の体勢を整えることに成功していたのであった。
「今回はやれる事を集中してやる。周りを気にする暇は無いから、攻撃組は宜しく頼む」
「はい! 攻撃は任されたのです!」
「ええ、この天才に任せておきなさい」
 索敵網の維持に集中する亞東に答えるは、宙界の瞳を飛び石代わりに戦場上空を駆けるアーテルス・フラットと、空戦能力に優れるイカルガ級キャバリアを操る桐嶋・水之江であった。
「この速度と軌道、やっぱり敵はブラック・クロウみたいね。イカルガを出して正解だったわ」
 桐嶋は高機動機体を相手取るため、座上艦であるワダツミではなく高機動機であるイカルガを操り参陣している。天才を自称するに違わぬセンスを持つ彼女は、キャバリアの操縦と言う分野であっても他の猟兵に引けを取ることはない。
「アーテルスさん、敵はまだこちらを探知していない様だから同時に行くわよ。 よろしい?」
「承知しましたです! いつでもどうぞ」
 高機動力が長所の相手の土俵にわざわざ乗ってやる義理もない。合理的な思考を基にミサイルランチャーの安全装置を解除した桐嶋は、Argusから齎される正確な目標位置を入力し対空ミサイルを発射する。
 軌道予測を踏まえたブラック・クロウの位置をインプットされた対空ミサイルは自らのブースターを起動しイカルガから十分な距離を取ると、先端部に搭載されたシーカーを起動し目標を捉える。
「ふむ、やはり気づかれているか」
 ブラック・クロウを操るパイロットが自らに対する攻撃を察知したのは、イカルガから発射されたミサイルが放ったレーダー波を、機体の警戒装置が探知したタイミングであった。
 歴戦のパイロットである彼はすぐさま機体を翻し回避機動に移るが、それを待ち構える様に狙いを定めていたアーテルスが、自身の相棒たる「サンダーイール」の引金を絞る。
 サンダーイールの電磁投射機構から打ち放たれた散弾は、音を超える速度で目標へと突き進み、鋭角的なブラック・クロウの装甲を穿つ。
 想定外の攻撃によって崩れた機体の体勢を即座に持ち直したパイロットは上空へと視線を向け、電磁投射機構が発砲時に発する光を捉える。
「上空からの狙撃とは恐れ入る。そして――!」
 ブラック・クロウは自らの鉤爪を立て、同時にウイングユニットから遠隔誘導ユニットを射出する。誘導ユニットの一部は上空の狙撃手へ、そしてもう一方は桐嶋が放ったミサイルと共に飛来する新たなる敵手に向けて。
「目標を確認。これより迎撃行動に移行します」
 ブラック・クロウが遠隔誘導ユニットの一部を差し向けた相手は、ダビング・レコーズが操る「アークレイズ」であった。
 ダビングは愛機のソリッドステート形態を維持したままミサイルと共にブラック・クロウの懐近くまで突入し、ミサイルコンテナである「スレイプニル」からマイクロミサイルを一斉に発射し、自身に迫る遠隔誘導ユニットを一掃すると、ミサイル回避機動をとるブラック・クロウに向けてベルリオーズの一斉射を放つ。
 半ば奇襲的な攻撃を寸前で察知したブラック・クロウのパイロットは、機体の各部に内蔵されたスラスターを起動させ、強引に機動を変化させることでリニアライフルの斉射を辛うじて回避し、腕部及び脚部の鉤爪を武器にダビングとアークレイズの突撃を迎撃する。
 ブラック・クロウに衝突する寸前でアークレイズをキャバリア形態に変形させたダビングは、すぐさまプラズマブレード「ルナライト」を起動し、その美しい刀身で敵機へと切りかかる。
 生半なパイロットであれば知覚する事すら困難な速度で斬りあうアークレイズとブラック・クロウ。伯仲した実力を持つ2機のキャバリアから繰り出される斬撃は、美しい光と化して曇天の空を照らす。
 永遠に続くかと思われた斬撃の応酬は、ブラック・クロウのコクピットに響く新たな近接警報で終わりを告げる。
「ディナ! アサルトホリック!」
 猟兵達にとっての最後の駒。リジューム・レコーズが操る「アークレイズ・ディナ」は、アークレイズとブラック・クロウが熾烈な格闘戦を繰り広げる只中へと急降下し、テールアンカーたる「マンティコア」からプラズマブレードを発振させ、有り余る運動エネルギーと共にブラック・クロウへと叩きつける。
「……! 素晴らしい連携だ、しかし――ッ!」
 あるいはパイロットとしての直感がオブリビオンマシンの能力によって増幅されたブラック・クロウのパイロットは、アークレイズの斬撃を受けた衝撃をスラスター噴射によって増幅することで機体を反転させ、リジュームとアークレイズ・ディナから繰り出された致命的な一撃を、辛うじて腕部の鉤爪によって受け止める事に成功する。
 しかし、不完全な体勢で猛烈な速度と推力で繰り出されたマンティコアを受け止めたブラック・クロウは、大きく体勢を崩す。そして、その隙を見逃すダビングとリジュームではなかった。
 ダビングは再度機体をソリッドステート形態に変形させ、白兵戦距離から離脱。リジュームとアークレイズ・ディナによって動きを固められたブラック・クロウに対して再度ベルリオーズによる斉射を実行する。
 目論見通り敵を味方の十字砲火に捕らえることに成功したリジュームは、このままの状態を維持することを目的として、次々と近接兵装をブラック・クロウに向けて叩きつける。
 連続して繰り出されるアンカークローと対物掘削衝角剣槍を辛うじて鉤爪で受け流し、飛来するリニアライフル弾を寸前で回避するという曲芸的な操縦を成しえても尚、ブラック・クロウとそのパイロットはどこまでも一人であった。
 自らが放った遠隔誘導ユニットは、その悉くが桐嶋と連携した皇国艦隊から放たれた対空ミサイルによって迎撃され、ダビングとリジュームによる連携とアーテルスの援護射撃によって防戦を強いられたブラック・クロウには、着実にダメージが蓄積していったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

菫宮・理緒
【ガルヴォルン】

「補給を終えた機体から発艦許可。皇国艦隊をお願いします。
負傷者は艦の中央へ移動を」

随伴機はともかくさすがはラスボス。
攻撃力がハンパじゃないね。

ここは一気に攻撃力を奪わせてもらおう。

「Set the timer to 95seconds」
『Ready』

艦のAIにお願いしてタイマーをかけたら、
【偽りの丘】を発動。
タイミングは、ボスが初撃を放ったところがいいかな。

固有結界にみんな(皇国艦隊含む)を引きずり込んだら、
敵の全攻撃を相殺して防御。その隙に攻撃を叩き込んでもらおう。

長くは保たないから、よろしく、ねー!
時間がきて固有結界を解いたら、
【M.P.M.S】での対空防御に切り替えるね。


支倉・錫華
【ガルヴォルン】

ボスは飛行型か。
このまま【フレキシブル・スラスター】でいくとしても、
正面からの空中戦はちょっと分が悪いかな?

アミシア、敵大型機をロック。
相手の軌道線上にカウンターショットをかけるから、
機動予測データを火器管制とリンクさせてサポートお願い。
『了解、錫華。演算終了予定まで2.8秒。……データ送ります』

アミシアから送られてくる演算データを元に
【アウェイキング・センシズ】で超予測。
マシンガンモードの【FdP CMPR-X3】で撃ち抜いていこう。

できれば【部位破壊】を使って、羽か駆動系を狙っていきたいな。
飛行型なら、機動力や飛行能力がいちばんの武器だもんね。

艦隊のほうには、行かせないよ。


支倉・燐華
【ガルヴォルン】

また空戦キャバリアですか、ギムレウスはどう足掻いても空を飛べませんのに
随伴も含めて60機とは数も多いですし、困りますね
今回も足場のネルトリンゲンと共に対空砲になっているしかありませんね

大型キャノン砲の弾種は変わらず対空散弾を選択、対空ミサイルとサブアームの散弾バズーカと共に発射!
え、丘?これは、すごいですね
では、弾種選択をAP弾に。動揺しているところに狙い撃ちます
空戦キャバリアにギムレウスの主砲は、直撃すれば如何にオブリビオンマシンといえど致命傷になるでしょう
仮に避けられても、鉤爪での突撃を狙う限りは散弾ならば当てられる目はあります
散弾の壁に自ら突っ込んできてくれるのですからね


リーゼロッテ・ローデンヴァルト
【POW】【ガルヴォルン】
アドリブ絡み連携歓迎

遂にボスのお出まし…む、鳥型か
メリアさん(f29925)達ー、散開する?
コレ多分、展開領域も広くなるしね

アタシは船団の上空で迎撃するんだけど
バリアフィールドと衝撃波纏っての突撃が凶悪
アレで船にブチ当たられたら流石にヤバいね

高機動には高機動っ…殲禍炎剣が来ない範囲で♪

オペ20番【ドラゴン・ダイブ】開始
まずは『アーリー・バード』を高速射出
翠の特殊粒子を纏った大剣で鳥を牽制

船から極力引き離したら本番っ
『インパクト・ボルト』格納して『アーリー・バード』に飛び乗り
『プロキオン』のビームガンとビームランスを使い分けて攻め立てるよ
仲間の攻撃範囲に追い込む形でねっ


セレーネ・ジルコニウム
【ガルヴォルン】
「敵機は高機動型の飛行機体ですね。
ストライダーでは対処しきれません。
……ここは、私もキャバリアで出ます!」

機動戦艦ストライダーの艦長席から立ち上がりつつ(なお、振動で転びそうになった)、クルーたちに艦を任せて格納庫に向かいます。

乗り込むのは自分も開発に関わった試作型キャバリア・スティンガーです。

「セレーネ大佐、スティンガーで発進します!」

鉤爪の攻撃による攻撃を回避しながら戦いますが……

「敵機、さらに加速!?
ミスランディア、機体のリミッターを解除してください!」

【オーバーブースト・マキシマイザー】で機体から高濃度圧縮粒子を放出し、高速で飛行しながら全武装の一斉射撃で敵を攻撃です!



●ガルヴォルンかく戦えり
 随伴機から離れ、猟兵達からの迎撃を受けながらも、オブリビオンマシン「ブラック・クロウ」は猛然と皇国艦隊戦艦群へと迫りつつあった。
 殲禍炎剣の迎撃条件を知り尽くしたパイロットに操られるブラック・クロウは、クロムキャバリアで許され得る速度の限界を維持しながら、鉛の様な雲に閉ざされた空を駆ける。
 その美しく鋭角的な装甲で大気を引き裂きながら迫りくるブラック・クロウを迎え撃つは、戦艦群に並走する形で展開していた私設軍事組織ガルヴォルンを中心とした猟兵達であった。
「敵機は高機動型の飛行機体ですね……」
 機動戦艦「ストライダー」の戦闘指揮所にて、行動を共にする空母「ネルトリンゲン」に接近しつつあるブラック・クロウを捉えたセレーネ・ジルコニウムは、その圧倒的とすら言える機動力に舌を巻きつつも、決然とした様子でその華奢な身体を艦長席から立ち上がらせる。
「あの機動力、ストライダーでは対処しきれません。 ……ここは、私もキャバリアで出ます!」
「アイ、マム。スティンガーの出撃準備、既に整えております」
 彼女の傍らに控えていた最も古参のクルーが、その年齢相応に低く重厚な声をもって答える。対オブリビオン戦闘に関しては、彼らもまたプロである。ガルヴォルンの一員として、想定され得る状況に対する備えに抜かりはなかった。
「ありがとう。皆さん、ストライダーを一時お任せします ――っとと!」
「ご武運を、艦長!」
 戦闘指揮所に詰めていたクルー達が、セレーネに対して一斉に敬礼を送る。軌道変更の衝撃で思わず体勢を崩しかけた彼女を笑うような不心得者は皆無であったことは言うまでもない。

 一方で、ガルヴォルンと行動を共にするもう一つの戦闘艦「ネルトリンゲン」は、エーゲル島での制空戦闘を繰り広げていた皇国軍艦載機の整備拠点として艦隊前方に展開していた。
 ネルトリンゲンの指揮所にあって皇国艦隊とのやり取りと艦載機整備の指揮に当たっていた菫宮・理緒は、整備を終えた艦載機を急ピッチで発艦させていく。
 多くの艦載機を抱え込んだ空母はそれ自体が極めて高価値な目標であることは論ずるまでもない。加えて、積載する機体の武装や燃料と言う存在は被弾時に誘爆するリスクが非常に大きく、高火力を誇るオブリビオンマシンにとっては格好の目標であるとも言えた。
「補給を終えた機体から発艦許可。皇国艦隊をお願いします。負傷者は艦の中央へ移動を」
 ネルトリンゲンの整備能力と理緒の統率よろしきを得て、整備が完了した皇国軍艦載機のほぼ全機が次々と発艦していく。彼らの迎撃目標はブラック・クロウが引き連れていた随伴機であり、本命の迎撃はあくまで猟兵達の領分であった。
「お客様の発艦は完了。みんな、そろそろ本命が来るよ。迎撃は手はず通りによろしくね」
「ギムレウス、戦闘準備整っております。いつでもどうぞ」
 ネルトリンゲンのアイランド上にあって、常に彼女を護り続けていたギムレウス・カスタムに騎乗する支倉・燐華は、巨大な砲身を敵の飛来予測方位に向けながら応える。
「ナインス・ライン、同じく準備万端。よろしくどうぞ♪」
「錫華機、問題なし」
「スティンガー、状態良好。いつでもいけますよ!」
 あらかじめネルトリンゲン上空に展開していた支倉・錫華とリーゼロッテ・ローデンヴァルト。そして、自らも開発に携わった愛機「スティンガー」を操り合流したセレーネが、3機編隊でブラック・クロウの邀撃へと向かう。
「空母1、護衛は3……いや、まだいるな。悪くはない」
 遮蔽物のない海上にあって、ブラック・クロウと猟兵達が互いの姿を目視で確認するに至るまで、そう時間はかからなかった。ネルトリンゲンの姿を視認したブラック・クロウのパイロットは、海軍航空キャバリア乗りの本能とも言える判断力に従い、攻撃目標をネルトリンゲンへと絞る。
 彼が突撃隊形作レの命令を送る列機はこの戦場には存在しない。しかし、自らの騎乗するブラック・クロウの性能は、それを補って余りあるものであった。
「敵の突撃機動を妨害します。大佐とリーゼロッテさんはその隙に攻撃を」
 列機を操る二人に通信を送った錫華は、自身のパートナーユニットたるアミシア・プロフェットに指示を下す。
「アミシア、敵大型機をロック。 相手の軌道線上にカウンターショットをかけるから、機動予測データを火器管制とリンクさせてサポートお願い」
「了解、錫華。演算終了予定まで2.8秒。……データ送ります」
 コクピット内で一つ息を吸い、錫華はFdP CMPR-X3の引金を絞る。
 攻撃を察知し、直前で強引な回避機動を取ったブラック・クロウであったが、アミシアのサポートによって極めて高精度な想定位置に向けて放たれた対キャバリア徹甲弾の群れは、その側翼の一部に損傷を与える事に成功していた。
 回避機動によって一時的に速度が鈍ったブラック・クロウに対する攻撃は終わらない。二の矢として、セレーネとリーゼロッテが息を合わせて突入を開始する。
 ナインス・ラインは自律型AIを搭載した大盾兼両刃剣「アーリー・バード」
展開・先行させ、ブラック・クロウの機動をネルトリンゲンから引き離しにかかる。
 同時に接近するスティンガーは、高濃度圧縮粒子を放出することによって得られる推進力を武器として、一機にブラック・クロウとの距離を詰める。
 受け身に立つ側であるブラック・クロウのパイロットであったが、彼もまた手練れであった。
 彼は躍りかかるアーリー・バードとスティンガーの斬撃をその鉤爪でいなしながら、オーラフィールドを展開。ナインス・ラインとスティンガーに突入する形で急加速を実施し、それによって生じた衝撃波を利用することで、2機の白兵戦距離からの離脱に成功する。
「敵機、さらに加速!? ミスランディア、機体のリミッターを解除してください!」
「アレで船にブチ当たられたら流石にヤバいね」
 即座に機体を立て直し、ブラック・クロウを追う3人の猟兵。一見すれば敵機に突破を許した形ではあるが、この状況もまた彼女たちが想定した戦闘推移の範囲内であった。

「さすがはラスボス。攻撃力は半端じゃないね。燐華さん、対空射撃、頼りにしているよ」
「また空戦キャバリアですか、ギムレウスはどう足掻いても空を飛べませんのに」
 少しすねたようにつぶやく燐華の様子に笑みを漏らしながら、理緒はネルトリンゲンのAIに命じ95秒間のタイマーをセットする。それが、彼女が発動せんとしている能力の使用限界であった。
 燐華はギムレウスの砲身に対空散弾を装填し、猛烈な勢いで迫りくるブラック・クロウに対して携行火器と併せた急射を開始する。
 海面上で弾ける爆轟と、降り注ぐ散弾によって細かな損傷を受けながらも、ブラック・クロウは突入機動を崩すことなく、猛烈な勢いでネルトリンゲンへと迫る。
 ブラック・クロウのパイロットは、機体のオーラフィールドを前面に集中展開し、ネルトリンゲンの側舷を貫通せんと禍々しい鉤爪を閃かせる。
 突入の成功を確信するブラック・クロウのパイロット。しかし、まさにそのタイミングで、理緒の能力が発動する。彼女の内面からあふれ出た心象風景は、一種の強力な結界として周囲の空間を包み込み、戦場を曇天下の海原から荒涼とした丘陵へと変貌させていく。
 心象風景によって塗り替えられた戦場にあって尚、ブラック・クロウの鉤爪は膨大な衝撃力と共にネルトリンゲンへと迫る。しかし、その刃は虚空から生成された自身の贋作によって阻まれることになる。
 寸分たがわぬ精度で複製されたブラック・クロウの贋作は、突入するブラック・クロウに同等の衝撃力をもって接触し、その突撃を頓挫させる。
 そのあまりにも超常的な迎撃手法は、ブラック・クロウに搭乗するパイロットの想定を超えていた。思わぬ迎撃に合い、衝撃力を殺され、咄嗟に離脱機動を取ったブラック・クロウ。しかし、その隙を逃す猟兵達ではなかった。
「え、丘? 凄い、この隙があれば……!」
 燐華は主砲に装填する弾種を徹甲弾に変更し、甘いマニューバを取った敵手に向けて引き金を絞る。轟音と共に放たれた大口径徹甲弾は、ブラック・クロウの左肩部へと命中し、左腕ごと引き千切ることに成功する。
 ギムレウスの砲声を合図とするように、追いすがってきたセレーネ、リーゼロッテ、錫華の3名もまた戦闘に参加する。
 高速で突入するスティンガーが先陣を切り、アーリー・バードに乗り込んだナインス・ラインは、大型ビームランス「プロキオン」を掲げ、騎兵突撃の如くブラック・クロウへと襲い掛かる。
 辛うじて機体を立て直し、反撃のための機動を取らんとするブラック・クロウであったが、その機先を制する形で行われる錫華機からの援護射撃によって、苦しい防戦を強いられることとなる。
 周到な計画と連携から成るガルヴォルンの戦闘は、オブリビオンマシンを確実に追い込むことに成功しつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

此衛・ファウナ
【竜鬼】
あれが敵の切り札ですのね。
であるならばわたくし達も切り札を見せるのが礼儀。
空中戦は海軍竜騎兵の領分ではありませんけれど、対応できずして何の誇りでしょう!

竜骨強制排除、脊椎直接接続……
痛みを堪えて、安全装置も全て停止! わたくしと機竜、ふたつで一つになれば彼の妖鳥にも追随できるでしょう。
出し惜しみなく全弾を斉射して制圧射撃、砲撃に交えて竜騎槍でランスチャージ……全てがわたくしにとっての本命必殺に等しい攻撃、なれどこの身の未熟がそれに及ばないことは誰よりもわたくし自身が承知のこと。
だからこそ必殺の一撃で必ずや隙を生みましょう。
――つかささん、貴女ならば必ず勝てると信じますわ!


荒谷・つかさ
【竜鬼】
空戦も高機動戦闘も、私とスルトの領分じゃないんだけど。
まあ、四の五の言ってられる状況でもないわよね。
ええ、大丈夫。領分じゃないだけで不可能ではないわ。

人型へ変形したファウナの機竜に懸架状態に
マニューバは彼女に一任、私は攻撃準備に専念
目まぐるしく飛び回るであろう敵機の位置をしっかり把握する
チャンスは一瞬、ランスチャージでの突撃時
交差の瞬間を狙いすまし【噴進式・螺旋鬼神拳】発動
ブースター付きドリルに変形した鉄拳でぶん殴り、バリアを突き破り装甲へと食らいつく
刺さってさえしまえばこっちのもの、そのまま風穴を開けてやるわ

お前にも味わわせてあげようじゃない……猟兵の恐ろしさってヤツをね!



●竜騎兵突撃ス
 猟兵達による迎撃を掻い潜り、損傷を負いながらも、なお強大な戦闘力を維持するオブリビオンマシン「ブラック・クロウ」に立ちはだかるは、海軍竜騎兵たる此衛・ファウナと、共にこの海戦を戦い抜いてきた荒谷・つかさであった。
「あれが敵の切り札ですのね。 であるならばわたくし達も切り札を見せるのが礼儀」
 自らの相棒である機竜と共にあって、静かに覚悟を固めるファウナ。空中戦は海軍竜騎兵の本領ではない。しかし、彼女は海軍竜騎兵にして猟兵でもある。猟兵として、そして、海軍竜騎兵として、この状況に対応できずして一体何を誇れようか。
「空戦も高機動戦闘も、私とスルトの領分じゃないんだけど。 ……ええ、大丈夫。領分じゃないだけで不可能ではないわ」
 ファウナと行動を共にするつかさとその愛機「スルト」にとっても、空中における高速戦闘は領分ではない。しかし、彼女もまた熟練の猟兵である。たとえ領分から外れた戦闘であろうと、やりようは幾らでもある。

「呼吸を重ねて、痛みに耐えて」
 ブラック・クロウの高速機動に対するファウナの切り札。それは、自らの相棒たる機竜と身心共に融合し、迫りくる妖鳥と同等の速度と機動力を得ることであった。
 自らと機竜とをつなぐと同時に、竜とヒトを分かつ楔である竜骨との接続を強制的に排除し、自身と機竜の脊椎を直接接続を実行するファウナ。あまりにも異なる存在である竜とヒトとが融合する反動は大きく、精神の混濁と激痛がファウナと機竜双方を襲う。
「嘆きも、歓喜も、全てを合わせて……ッ!わたくしは竜、人ならざるものなり!」
 かくの如くして、凄絶な痛みを耐え抜き、ファウナと機竜は真の意味で一体となり、決戦兵器「人型機竜」へと変貌を遂げる。
「――つかささん、貴女とならば必ず勝てると信じますわ!」
「ええ、共に征きましょう、ファウナ。成し遂げられるわ、貴女と私なら」
 巨大な翼を広げ、ファウナが海面を蹴れば、数十メートルの水柱と共にファウナ自身の身体とスルトが天高く舞い上がる。
 翼で風を切り裂き、迫りくるブラック・クロウと同等の高度を確保したファウナは、その手に竜騎槍を掲げながら、敵手に対し連装高角砲と多目的噴進砲による制圧射撃を実施しながら突撃を開始する。
「おお、見よ。泥濘に満ちた戦場に、光栄に満ちた輝きが舞い戻った」
 ブラック・クロウのコクピットにあって、迫りくるファウナとつかさを目にしたパイロットは、とある歌劇の一節を口ずさんだ。その表情には焦りもなく、怯懦もなく。ただ楽し気な笑みのみがあった。
 正面にオーラ・フィールドを展開し、同じく突入態勢を取ったブラック・クロウ。
 ブラック・クロウとファウナ、双方が持つ膨大な運動エネルギーを乗せた竜騎槍と鉤爪が衝突する。瞬間、衝突点を中心として衝撃波が球状に広がり、轟音と共に海面を震わせる。
 互いの動きが完全に止まるその一瞬。常人はおろか、生半な猟兵であれば反応困難なその一瞬の隙を突く形で、つかさとスルトは動いた。
「お前にも味わわせてあげようじゃない……猟兵の恐ろしさってヤツをね!」
 スルトの拳を覆う装甲が、ブースター付きの大型ドリルへと変形し、ファウナの突入によって生じた衝撃力にロケットブースターの推進力を加算した上で、ブラック・クロウへと叩きつけられる。
 その膨大な運動エネルギーによって分厚いオーラ・フィールドを貫通した噴進式・螺旋鬼神拳は、そのままブラック・クロウの右側腹部へと命中。装甲を紙屑の様に引き裂きながら貫通し、鋭角的な美しさを誇るブラック・クロウのフォルムに、隠しがたい損傷を与えたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

小和泉・佳奈恵
【星視】
空母艦隊と主力が別れるならぼくらも主力に合流しよう。
できることは相変わらず艦上の迎撃機銃程度やけど。
うん、追い込み? 了解、任せとって。

接近する敵航空編隊に対してステラを"護衛対象"にセンチネルを護衛配置。
親玉もビット兵器も、ぼくとセンチネルが見てるところで近寄らせはせんよ。
元々航空機関砲やしね。20mmでも火力は充分。地対空誘導弾と機関砲の弾幕で敵機を迎え撃つよ。
ひかるちゃんに攻撃が及ぶようなことがあれば盾で受けてかばう!
対空戦闘、護衛戦闘、どちらもセンチネルの得意分野! 優誠警備保障の底力ば見せてやるけんね!

――ところでひかるちゃん、なんか撃つなら射線空けるけん事前に声掛けt


荒谷・ひかる
【星視】
本命が来ましたか……
あの速度で飛び回られ続けると厄介ですね
佳奈恵さん、指定座標への追い込みをお願いできますか?
わたしに、いい考えがあるんです

引き続きステラに搭乗
センチネルの真後ろで守ってもらいながら、コードの詠唱を開始
佳奈恵さんの腕を信じ、兎に角詠唱に集中
完成したなら敵機へ向けて【星の息吹/世界の祝福】発動
敵味方識別する上に味方には祝福効果ありますから、目の前のセンチネルごとぶっぱします
恐らく初見であれば、わざわざ味方を巻き込んで撃ってくるとは思わない筈です

――命を育む星よ、汝が威を示し給え。いざ……!
(九属性入り乱れる極太波動ビームがぶっぱされる)



●敵を騙すには……
「本命が来ましたか……。あの速度で飛び回られ続けると厄介ですね」
 損傷を受けながらも艦隊に迫るブラック・クロウを迎撃すべく、荒谷・ひかると小和泉・佳奈恵が登場する「ステラ」と「センチネル」は、戦艦ハルシュタインの甲板上にあった。
「皆さん、指定座標への追い込みをお願いできますか? わたしに、いい考えがあるんです」
「うん、追い込み? 了解、任せとって。あー、艦長さん。支援をお願いしてもよかですか?」
「了解した。一部対空機銃を半自動照準に切り替える。座標の指示があり次第対応可能だ」
 佳奈恵の要請に応えるように、ハルシュタインの両舷に設置された多数の近接防御火器が半自動照準へと切り替わったことを示すように細かく旋回を開始する。
「ありがとうございます。これから詠唱に集中しますので、護衛はよろしくお願いします」
 ひかるはセンチネルとハルシュタイン双方に座標情報を送信すると、ステラのコクピット内で目を閉ざし、精神を集中させる。
 センチネルにとって、護衛と対空戦闘は双方ともにの得意分野である。佳奈恵は意気揚々と20mm機関砲を構えると、迫りくるブラック・クロウへと筒先を向ける。「優誠警備保障の底力ば見せてやるけんね!」
 如何にオブリビオンマシンと言えど、対空兵装の塊と化した戦艦に対して無策に突入すれば損害は免れない。先んじて対空兵装を無力化すべく、ブラック・クロウはウイングユニットから多数の遠隔操作ユニットを射出した後突入軌道へと移る。
 無数の遠隔ユニットがハルシュタインへと接近し、有効射程へと入り次第両舷に設置された近接防御火器が迎撃を開始する。
 センチネルもまた高い防空性能を武器に広い防空エリア内に侵入した遠隔操作ユニットを迎撃しながら、接近するブラック・クロウへと20mm砲弾と地対空ミサイルによる牽制射撃を仕掛ける。
 幾つかの防空火器が遠隔操作ユニットによる攻撃で沈黙するものの、ハルシュタインとセンチネルは共同して阻止火線を形成し、ブラック・クロウの突入ルートをひかるが指定した座標付近に誘導するに成功しつつあった。

「――命を育む星よ、汝が威を示し給え。いざ……!」
「ひかるちゃん! そろそろ指定座標に誘導が完了するけん、なんか撃つなら射線空けるけん事前に声掛け――」
 敵の誘導という目的を果たした佳奈恵は、幾許かの達成感と共に後ろを振り返る。

 ――その瞬間、佳奈恵の視界は閃光に包まれた。

 ひかるが指定した座標は、ステラとセンチネル、そしてブラック・クロウを同一直線状に結んだ地点であった。必然として、突如として放たれたひかるの大魔術、9属性の魔力を内包した波動砲はセンチネル諸共ブラック・クロウへと襲い掛かる。
 まさか友軍機を諸共にそのような大出力の攻撃を放つとは考えもしなかった、ある意味では順当な思考を持つブラック・クロウのパイロットは、後方に控えるステラの罠の存在を警戒しつつも、半ば不意打ちめいた形でひかるの大魔術を受けることとなる。
 辛うじて機体を逸らし、直撃自体は免れたものの、あまりにも強大な魔力の放流は掠めただけでブラック・クロウの装甲を融解させ、電子系統の一部を破壊するに至った。
 一度は艦隊に取り付くことに成功しかけたブラック・クロウであったが、佳奈恵の献身とひかるの奇策によって、離脱を余儀なくされたのであった。
 それはそれとして、ブラック・クロウの離脱から数分後。味方に対しては祝福の効果を発揮するとはいえ、あまりの事態から我に返った佳奈恵が、半ば涙目になりながら抗議したことは、また別の話ではあるけれども。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウィリアム・バークリー
遂にオブリビオンマシンの登場ですね。ここから先はいつも通りの討滅戦です。
皇国艦隊へ「これまでの支援感謝します」と通信を送り、「空中戦」を挑みます。

速度では敵の方が圧倒的に上。それなら「目立たない」ように雲に隠れ、こちらの射程内に入った瞬間を見逃さず、氷の「属性攻撃」のIcicle Edgeを連射して。
あの速度では、コクピットを狙わずに攻撃するなんて無理です。出来ればパイロットは生かして回収したいですけど、そんな余裕があるかどうか。

ばらまかれる遠隔誘導ユニットはIcicle Edgeで積極的に潰していきます。キャバリアと違って、一発当たればアウトですから。
魔法遣いの意地です。付き合ってください。


天音・優歌
連携アレンジ歓迎

あれが今回の元凶のオブリビオンマシン
あれを倒せばこの戦いは終わる
いくよ、メソテース!

詠唱しながら暴走や周りを可能な限り巻き込まないよう魔力制御に集中
少々のダメージなら無視して詠唱を続行
魔力制御のために集中しますので援護してくださると助かります
準備が出来たらUCを敵に向かって放ちます
速い、けどこのUCの攻撃範囲なら捕らえられるはず
遠隔誘導ユニット共々、一気に吹き飛ばす!


玉兎姫・カグヤ
速い……けど、その速さが命取りよ
ちょっと怖いけど、あの忌々しい空の檻の力を借りるわ
そのフィールドごと殲禍炎剣でぶち抜いてやる
高速移動を封じるだけでも味方への援護にはなる
玉兎姫・カグヤ、ヴォルパーティンガーいきます!

リニアライフルで牽制し衝撃波を避け、あるいは防御しながら
殲禍炎剣が反応しないギリギリぐらいまで上空に誘い出す
誘い出したら自分に近づかないよう友軍に警告しUCを使用
理性を削りながら殲禍炎剣に敵を砲撃させ自分も一気に攻勢に転じます
空の檻の絶対無比の砲撃……その身で味わいなさい



●鉄槌
 猟兵達の迎撃によって、皇国艦隊に対する最初の突撃に失敗したオブリビオンマシンは、体勢の立て直しを図るべく一度反転し戦艦群の防空火器射程外へと離脱を試みる。
 しかし、それを見逃す猟兵達ではない。オブリビオンマシンの速度や軌道から割り出された将来予測位置を艦隊のデータリンクから共有された猟兵達は、離脱を図るオブリビオンマシンを待ち構える形で布陣する。
「ウィリアムよりオウル07へ。邀撃位置への遷移、完了しました。皆さんに、これまでの支援に感謝いたしますとお伝えください」
「オウル07、感謝するのはむしろ我々の方だ。君たちのおかげで、多くの味方が死なずに済んだ。君も、どうか無事に帰還してくれ」
「ありがとうございます、オウル07。以上、通信終わり」
「幸運を、猟兵。通信終わり」
 通信を終えたウィリアム・バークリーは、眼下を見下ろす。
 幸運。それは自らだけでなく、敵手……オブリビオンマシンに搭乗するパイロットにこそ必要なものかもしれない。速度の面からみても、技量の面からみても、コクピットや致命的な部位を狙わずに攻撃できるとは、ウィリアムには思えなかった。
 そのような思案を打ち切るように、オブリビオンマシン「ブラック・クロウ」が彼の視界内に姿を表す。
 至る所に損傷こそ見受けられるが、その速度に衰えはなく、機動力が損なわれているようにも見えなかった。
「敵を目視で確認しました。仕掛けます」
「ヴォルパーティンガー、了解。そっちの攻撃と同時にレーダに火を入れるね。優歌さんはその隙に詠唱を」
「メソテース、了解です。頼りにしています」
 ウィリアムと共に伏撃に参加する「メソテース」及び「ヴォルパーティンガー」のパイロット、天音・優歌と玉兎姫・カグヤの応答に頷いたウィリアムは、一つ深呼吸したのち、魔力を氷の刃として形成し、ブラック・クロウに向けて撃ち放つ。
 生身の術者から放たれた魔法という、レーダーでは探知できない攻撃であるが故に、初撃数発をまともに浴びたブラック・クロウは大きく体勢を崩す。
 同時にコクピットに響き渡るレーダー照射警報から計画的な伏撃であると理解したブラック・クロウのパイロットは、すぐさま高度を稼ぐべく機体を上昇させながら、ウィングユニットから遠隔操作ユニットを放出する。
 ウィリアムから放たれた第二射の発射地点を太陽光の反射から見切ったブラック・クロウのパイロットは、射点に向けて遠隔操作ユニットを突進させ、ウィリアムとの射撃戦を開始させた。
 ウィリアムから放たれる夥しい数の氷の刃を迎撃するという目的に対して、ブラック・クロウは遠隔操作ユニットの操作に必要な電波帯域のほぼすべてを消費する事となる。

「さぁ、ついてきなさい!」
 ウィリアムの攻撃と同時に機載レーダーに火を入れ、意図的に自身の位置を露呈させたカグヤとヴォルパーティンガーは、上昇を続けるブラック・クロウを牽制するようにリニアライフル撃ち放つ。電磁投射機構から放たれる超音速弾は、たとえ命中せずともその存在だけで、ブラック・クロウの機動を牽制しうる威力を誇る。
 ブラック・クロウからつかず離れずの距離を維持し、敵機から放たれる衝撃波をやや強引な機動で回避し、続けざまにリニアライフルの射撃を浴びせかける。
 ヴォルパーティンガーとブラック・クロウの空戦は巴戦のような様相を示しながら、徐々にその高度を上げつつあった。

「あれが今回の元凶のオブリビオンマシン。あれを倒せばこの戦いは終わる……!」
 ウィリアムによる攻撃とカグヤとの巴戦によって機動を制約されたブラック・クロウに対して、優歌の操るメソテースは宝杖剣「フロネシス・スパーダ」を向ける。
 対オブリビオンマシン戦闘において、単機では発動の難しい魔術を打ち込むための条件が、この戦場においても揃いつつある。
 優歌は集中のために瞑目し、大魔術発動のための魔力を練り上げる。彼女の内で練られた魔力はメソテースへと流れ込み、その手に戴く宝杖剣を眩く燐光させる。
 膨大に蓄積された魔力は不可視のプレッシャーと化して戦場全体を包む。歴戦のパイロットであるブラック・クロウの搭乗者は、その経験故に攻撃を察知し、目視でメソテースの位置を特定することに成功するが、その時には既に優歌の詠唱は完成していた。
「其は開闢、其は終焉。全てが始まり、全てが終わり。全てが生まれ、全てが帰する。至尊の頂、究極の光――!」
 優歌とメソテースによる大魔術が完成し、宝杖剣が一際美しく輝く。それを合図として急速にウィリアムとヴォルパーティンガーが離脱すると同時に、ブラック・クロウを中心として大魔術「開闢と終焉の灼光」が発現する。
 その名に示される通り、筆舌にし難いまでのエネルギーと衝撃を一点に発生させる魔術は、ブラック・クロウが持つ強力なオーラ・フィールドの守りを超越し、大きな損傷を与えることに成功する。
 しかし、信じ難いことに機体とパイロットの闘志は未だに衰えてはいない。ブラック・クロウ魔術で形成されたエネルギーの奔流から辛うじて抜け出すと、大魔術を制御するため、一時的に動きが鈍った優歌とメソテースに向けて突進する。

「殲禍炎剣、アクセス。一時的同調開始……!」
 優歌を援護するため、カグヤは迷わずヴォルパーティンガーに備えられた安全装置を解除すると、殲禍炎剣へのアクセスを開始する。
「……ッ!」
 果たして、殲禍炎剣によって撃墜された航空キャバリアの成れの果てであるブラック・クロウは、忌まわしい衛星が自らを照準したことを理解した。
 オブリビオンとして復活したが故の本能からか、それまでは傷つきながらも洗練された機動を描いていたブラック・クロウのマニューバが著しく乱れる。
 通常であれば回避の可能性が存在したであろう上空からの砲撃に対して、乱れた回避機動を取った結果、ブラック・クロウの側翼に対し殲禍炎剣の砲撃が命中する。

 飛行のために必要な翼の一部を失ったブラック・クロウは、大きく高度を落としながらも辛うじて姿勢を回復し、戦域から離脱する。
 ウィリアムと優歌の魔術とカグヤが制御によって実施された殲禍炎剣の砲撃によって、ブラック・クロウはさらに大きな損害を負うことになったのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

メリア・アルスト
グルヴェイグ(f30017)と二人乗りで
いくらか休めたしそろそろかな
グルヴェイグもおやつ食べた?
食休みしなくて平気?
ん、じゃあ…休んだ分がんばろう

●戦闘
グルヴェイグのUCが発動したら合わせて私もUC使用
【リミッター解除】をしたレーヴァテインを【操縦】で乗りこなしその性能限界をさらに引き出して【空中戦】だ
遠隔誘導ユニットや鉤爪は爆発的に増大する反応速度で対応できないかな
要は戦闘不能にしたらいいんだ
とにかく速度で喰らいついて手数を叩きこもう

このヒリつく感じ、ゲーム大会の決勝戦みたいで嫌いじゃない
"勝ち"は譲らない
ソレは私のモノだ…!
【威圧】と共に勝ちを狙おう

アドリブアレンジOK


グルヴェイグ・ヴォルヴァ
メリア(f29925)と
引き続き補助席でサポートを
みなさんが敵を抑え込む最中、メリアの提案で先に休憩をとったのでエネルギー充填ですわ
ええ、もう大丈夫。戦いで消耗した力も少し戻りましたわ
ガルヴォルンの皆さまもがんばっていますし、わたくしたちもそろそろ働きませんとね

●戦闘
戦闘はメリアに全面的に任せますの
その代わりわたくしは、乗機のレーヴァテインへ意識を接続…さあ、わたくしに出来ることを行いましょう

システムに接続しました
同期完了、権限に基づき、制限の一時解除を行います
プロセスを要求
承認されました
解除プログラムを開始します
(UC発動)

加速のGの負担も【念動力】で打消せないかしら

アドリブアレンジOK



●戦闘旗は天祐と共に
 猟兵達の迎撃を掻い潜り、機体各部に対して重大な損傷を受けながらも、オブリビオンマシン「ブラック・クロウ」とそのパイロットは、再度艦隊への突入を図らんとしている。
 ひたすらに空を駆ける事に憑りつかれたブラック・クロウの狂気と、生粋の航空キャバリア乗りであるパイロットの精神は、幾度とない猟兵達との戦闘によって研ぎ澄まされ、今や一つの戦闘単位として完成に至っていた。
 数多の損傷を受けてなお、その戦闘力に衰えはなく、互いに適合し合った機体とパイロットは、より鋭敏な軌道を描きながら艦隊へと迫る。

「このヒリつく感じ、ゲーム大会の決勝戦みたいで嫌いじゃない」
 迫りくるブラック・クロウから発せられるプレッシャーを受けながら、複座型の魔装キャバリア「レーヴァテイン」を操るメリア・アルストは操縦桿を握る手に力を込める。
 互いの命を懸けた競い合い。生半なパイロットであれば怯懦の念を抱くであろう程に鮮烈なブラック・クロウとそのパイロットの殺気を受け、メリアは己の闘争心が沸き立つのを感じていた。
「グルヴェイグ、食休みはしなくても平気? ……といっても、向こうはやる気満々みたいだけど」
「ええ、もう大丈夫。戦いで消耗した力も少し戻りましたわ。レーヴァテインと私たちの力、見せてやりましょう!」
 メリアと共にレーヴァテインに乗り込むグルヴェイグ・ヴォルヴァもまた、迫りくるブラック・クロウのプレッシャーを前に、戦闘への意思を固める。
 艦隊戦とそれに続く航空邀撃戦で消耗した魔力を、他の猟兵たちが戦闘によって稼いだ時間によって回復させたメリアとグルヴェイグは、万全の状態でブラック・クロウへと相対する。相次ぐ戦闘によって研ぎ澄まされた二人の感覚もまた、ブラック・クロウのパイロットに引けを取るものではない。

 ブラック・クロウとレーヴァテインから発せられる戦気が、不可視の圧力となって曇天の空の元衝突する。それが、戦闘開始の合図となった。
(……さあ、わたくしに出来ることを行いましょう)
 グルヴェイグは自らの精神をレーヴァテインへと接続し、魔術的な意味において魔装キャバリアと一体となる。
「システムに接続。同期完了、権限に基づき、制限の一時解除を行います」
 グルヴェイグの精神と一体化することによって、レーヴァテインのリミッターが解除される。あらゆる意味において既存のキャバリアを超越した存在となったレーヴァテインは、メリアの操縦によって爆発的な加速を付けながらブラック・クロウへと迫る。
 リミッター解除下の戦闘可能時間は、凡そ70秒。しかし、メリアとグルヴェイグ、そして、その敵手たるブラック・クロウとそのパイロットにとって、雌雄を決するに十分な時間であった。
 レーヴァテインとブラック・クロウは、空戦において最も重要となる位置エネルギー、即ち高度的な優位を確保すべく、殲禍炎剣の制限いっぱいの高度まで上昇しながら、互いに牽制射撃の応酬を行う。
 レーヴァテインが背面から機体前方へと延びる荷電粒子砲「サイキックランチャー×2」を放つ。
 ブラック・クロウは迫りくる荷電粒子の奔流を最小限の軌道変更によって回避し、ウィングユニットから遠隔操作ユニットを射出する。
 レーヴァテインの死角を突くように旋回し、進路と退路双方を塞ぐ形で行われるオールレンジ攻撃を、メリアは機体と一体化したグルヴェイグからのサポートを基に回避し、進路を妨害する形で展開した遠隔操作ユニットをライフルの徹甲弾で撃ち抜いていく。
 生半なパイロットであれば知覚すら困難な速度で牽制と回避を行いながら高度上限に至ったレーヴァテインとブラック・クロウは、互いに稼いだ位置エネルギーを運動エネルギーに変換し、近接戦闘へと移行する。
 僅かに高度的な優位に立ったブラック・クロウはレーヴァテインの速度すら超越する速さで急降下し、機体に残された右腕及び両脚の鉤爪によって敵手を切り裂くべく襲い掛かる。
 対するレーヴァテインは、ブラック・クロウの速度を減衰させるべく弧を描く様な軌道をとりながら、荷電粒子砲の射撃を繰り返し、近接を拒絶する動きを見せる。
 ブラック・クロウは迫りくる射撃を回避し、時には絶妙な軌道変更を行うことで荷電粒子流を装甲によって受け流しながらレーヴァテインへと迫る。
 牽制射撃によってブラック・クロウの速度を減衰させることに成功したメリアは、サイキックエナジーの光剣「フォースセイバー」を抜き放ち、敵手の鉤爪を迎撃する。
 グルヴェイグのサポートによって出力が何倍にも高められた魔力の刃は、膨大な衝撃力と共に襲い来るブラック・クロウの鉤爪を受け止めることに成功する。
 パワー勝負では不利であることを察したメリアは、衝突の衝撃を利用してレーヴァテインをブラック・クロウの下へと潜り込ませると、背部から延びる荷電粒子砲を零距離で浴びせかける。
 果たして、ブラック・クロウのパイロットはメリアの超人的な操縦技能に驚愕しつつも、辛うじてそれに対応して見せた。荷電粒子流が人間では知覚困難な速度で装甲を融解させる中、機体の姿勢を強引に変更し、致命部位への損傷を回避すると、両脚の鉤爪でレーヴァテインの荷電粒子砲を引き裂き、使用不能に追い込むことに成功する。しかし、その代償として、ブラック・クロウは右脚部を荷電粒子流によって抉られ喪失することになる。
 数秒の合間にかくの如く壮絶な攻防を繰り広げ、互いに衝撃力を喪失したレーヴァテインとブラック・クロウは、白兵戦距離から離脱し、再び加速を得るために弧を描く様な軌道を取る。
 ブラック・クロウに残された鉤爪は右腕及び左脚。対してレーヴァテインは荷電粒子砲を失っている。
 次の接触で勝負が決まる。メリアとブラック・クロウのパイロットはほぼ同時に決断し、互いの機体に再度の突入機動を取らせる。
 ブラック・クロウは最後に残った遠隔操作ユニットを放出し、オールレンジ攻撃を実行しながらレーヴァテインへの迫る。
 メリアは全ての火器管制をグルヴェイグへと委譲し、自らは必殺の一撃をブラック・クロウへと与えるべく精神を研ぎ澄ます。
 メリアの信頼に応えるようにグルヴェイグは幾何学的な挙動を描きながら迫りくる遠隔操作ユニットを迎撃し、ライフルから放たれる弾丸によってその全てを迎撃することに成功する。
 そして、決着の瞬間は訪れた。
 アドレナリンによって極限まで間延びした時間の中で、ブラック・クロウは残存する全ての装甲をパージし、瞬間的な加速を得ると、レーヴァテインを上下から両断すべく残った鉤爪を振り上げる。
「"勝ち"は譲らない、ソレは私のモノだ……! グルヴェイグ!」
 衝突の瞬間、メリアは相棒の名を叫びながら機体の姿勢を変更し、ブラック・クロウの袈裟から右側部へと切り裂き形で機体を飛び込ませる。
 猛烈な加速の中でメリアが実施した機動変更は、通常であればパイロットを圧死させる極めて危険な挙動であった。しかし、グルヴェイグはメリアの意図を正確に理解し、念動力によって瞬間的な重力負荷を相殺し、メリアと自身の身体を護る。
 メリアとグルヴェイグの連携によって衝突直前に実施された機動変更は、ブラック・クロウとそのパイロットの技量を超越した。必殺の意思を込めて振り下ろされた鉤爪は空を切り、レーヴァテインが袈裟斬りの形で振り下ろした魔刃は、ブラック・クロウの致命部位、即ち左肩部から伸びる主翼を叩き切ることに成功する。
 互いに離脱し、再び距離を取るレーヴァテインとブラック・クロウ。しかし、その時勝敗は決していた。
 残身の姿勢をとりながら再び高度を取るレーヴァテインに対し、主翼を失ったブラック・クロウは飛行能力を喪失し、海面に向かって墜落していく。
 グルヴェイグとの接続によって限界を超え、メリアの超人的な操縦技能によって操られたレーヴァテインは、空の覇者として君臨するはずであったオブリビオンマシン「ブラック・クロウ」を討ち果たすことに成功したのであった。

「02、まだ生きているだろうな」
 主翼の片割れを失い、墜落の道を辿るブラック・クロウを制御しながら、パイロットはかつてのバディに通信を送る。
「当然です、01。どうやら、手荒く楽しんだようで」
「ああ、最後の飛行に相応しいものだった。敵手も、そして機体も」
 あらゆる警報が響くコクピットの内にあって、ブラック・クロウのパイロットは満足げに息を漏らす。一流の機体と一流の敵手。航空キャバリアパイロットとして、これ以上の幸福があろうか。
「攻撃失敗、貴様は残存機を統率し離脱しろ。損傷機がある場合は機体を捨てさせても構わん」
「……了解致しました。01、幸運を」
「あぁ、今度は私にこそそれが必要であるようだ。 以上、通信終わり」
 手慣れた手つきで制御を失いつつある機体を操り、パイロットは上空を見やる。
 自らが追われた大空には、猟兵達の操る美しい機体が、曇天を引き裂くように美しい機動を描きながら飛翔している。
「天祐、か」
 視界を上空から彼方へと移し、パイロットは呟く。
 視線の先には、かつて彼が祖国と呼んでいた国家の象徴が、戦闘旗をはためかせながら海原を進んでいた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年03月25日


挿絵イラスト