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終わらない拷問悪夢

#アリスラビリンス #猟書家の侵攻 #猟書家 #ドクター・ハデス #バロックメイカー

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●地獄のVR
 薄暗い、廃病院の如き建物の中、手術台に拘束されている一人の少女。
 彼女は薄い術衣の他に、何も纏ってはいなかった。手や足は台に固定され、動くことも叶わない。全身のあちこちに注射器の針が差し込まれ、その先端からは絶えず得体の知れない薬が彼女の中へと注入されている。
 だが、それにも増して奇妙なのは、彼女の頭部に装着されたゴーグルのようなマシンだった。一見してVRメットのようにも見えるが、ただのバーチャル機器でないことは明白であり。
「……ひぃっ! も、もうやめ……ぁぁぁぁっ!!」
 1分に一度、身体を激しく痙攣させて少女は泣き喚いた。その度に、部屋の中に醜悪な怪物が誕生し、その様子を白衣を纏った男が眺めていた。
「フハハハ! いい……実にいいぞ! その表情、叫び声、そして誕生する怪物達! だが……未だに程度の低いゴブリン如きしか作れないのでは、まだまだお仕置きが必要そうだな」
 少女の傍らに現れた小鬼を軽く踏み潰し、手にした注射器を躊躇いなく少女の胸に突き刺す男。すると、少女の身体は先程にも増して震え出し、絶叫と共に新たな怪物を呼び出した。
「い、いや、来ないで……もう、怪物なんて産みたく……ぁぁぁぁぁっ!!」
 言葉とは反対に、今度は薄気味悪い触手を生やした、動物とも植物ともつかない化け物が現れた。それを見た男は満足そうに頷くと、注射器の中に新しい薬を入れ。
「やはり、君は才能の塊だ。さあ、もっと素晴らしい夢を見せてあげよう。今度はどんな夢がいい? 屈強な男たちに殴り殺される夢かい? 魔物に慰み者にされる夢かい? それとも……腹の中から虫に食い破られる夢がいいかい?」
 そういうわけで、もう一本薬を追加してやろう。邪悪な笑みを浮かべる男。悪夢から逃れる術を失った少女は、ただ本能のままに泣き叫び、新たな怪物を作り出すことしかできなかった。

●永遠の悪夢
「アリスラビリンスで、猟書家の活動が確認されたわ。ぶっちゃけ、マジで胸糞な敵だから、ちょっと覚悟して聞いた方がいいわよ」
 いつになく真顔で、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)は猟兵達に、アリスラビリンスに現れた猟書家の起こす事件について語り出す。
 猟書家の名前はドクター・ハデス。世界征服の野望に燃える若きマッドサイエンティストであり、目的のためなら手段を択ばないイカれた男。
「ドクター・ハデスは、バロックメイカーの女の子を捕まえて、無理矢理にバロックレギオンを呼び出させているみたいね。メチャ強いバロックレギオンを呼び出すために、女の子に精神的拷問を加えているってわけ」
 捕まっている少女の名前はメリル。彼女はとにかく怖がりで、お化けや虫やモンスター、そして乱暴な男など、苦手なものがたくさんある。
 そんな彼女を怖がらせるため、ドクター・ハデスは身動きの取れないメリルに奇妙なマシンを装着させて、強制的に悪夢を見させているようなのだが。
「いくら怖くても、夢なら大丈夫とか思ってない? 言っておくけど……メリルが夢で見たこと、されたことは、全部現実の身体にも感覚として伝わるようにされてるの。おまけに、変な薬をブチ込まれて時間の概念も曖昧にされているわ」
 夢の中でメリルが1時間の拷問を体験しても、こちらの世界では1分しか経過していない。故に、彼女は1分に一度は泣き叫び、バロックレギオンを誕生させ続けているのだとか。
「1時間が1分ってことは、えぇと……1日が24時間だから……あぁ、面倒臭いわね! とにかく、こんな無茶苦茶な精神的拷問を受け続けたら、3日と持たずに廃人にされちゃうわよ!」
 そういうわけで、大至急、メリルを助けに向かって欲しい。場所は古びた廃病院のような施設で、内部にはメリルの呼び出したバロックレギオンが溢れ返り、こちらの行く手を阻んでくる。
「とにかく、まずはバロックレギオンをなんとかしないと進めないわ。不潔でキモグロイ化け物がたくさん出て来ると思うけど、ガンガン倒しちゃってOKだから」
 無事に地下室に辿り着ければ、ドクター・ハデスの魔の手から、メリルを助け出すこともできるだろう。
「メリルが何でそんなに怖がりなのか知らないけど、苦手なものに襲わせる夢を見させて拷問するなんて、マジでサイテーなんですけど! あのクソ眼鏡……粉々に粉砕しちゃっていいからね!」
 もはや、名前でさえ呼んでもらえないドクター・ハデス。怒りの感情を隠すこともなく、パトリシアは猟兵達を、ドクター・ハデスの隠れ家である廃病院へと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 このシナリオは、猟書家シナリオになります。
 集団戦→ボス戦の二部構成で完結するシナリオなので、参加される方はご注意ください。

●第一章
 バロックレギオンの群れを薙ぎ倒しつつ、少女の捕まっている地下室まで向かいましょう。
 バロックレギオンは、醜悪なモンスターや、いかにも悪人面した粗暴な男、見た目もグロテスクな巨大な虫といった姿をしています。
 戦闘の際、目の前にはいなくとも、少女に呼びかけるような行動をすると、良い効果があるかもしれません。

●第二章
 猟書家幹部『ドクター・ハデス』との戦いになります。
 ここでも、バロックメイカーの少女に声掛けをして恐怖心を和らげると、それだけ戦いでも有利になります。

●メリル(バロックメイカー)
 とても怖がりで泣き虫な少女。
 暗闇、お化け、虫、乱暴な男、醜悪なモンスター等は全て苦手でトラウマもあります。
 ドクター・ハデスに捕らえられ、奇妙な装置と薬の効果で、延々と悪夢を見せられ続けています。
 しかも、夢の中での1時間は現実世界での1分にしか該当しない上に、夢の中で受けた苦痛がそのまま体に痛みとして伝わるようにされています。
 放っておくと廃人化待ったなしなので、彼女を安心させる言葉をかけてあげることが重要です(彼女が安心できれば、その分だけ悪夢の内容が和らぎます)。
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第1章 冒険 『バロックレギオンと過去のトラウマ』

POW   :    バロックレギオンの攻撃を正面から受け止め、その過去のトラウマごと、バロックレギオンを殴り倒す

SPD   :    バロックメイカーのトラウマのヒントとなるような物を探しながら、バロックレギオンと戦う

WIZ   :    バロックレギオンの外見や言動、戦い方などから、過去のトラウマが何か推理しながら戦う

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ヴェル・フィオーネ
・心情
……えぇ、これは胸くそ悪いし許せないわね
絶対に、メリルちゃんを助け出すわ!

・行動
ユーベルコード『翔覚醒~白き姫騎士~』で、全速力で突撃するわ!
バロックレギオンの見た目?【狂気耐性】で耐えて、攻撃は【オーラ防御】と【カウンター】で退けて、【属性攻撃】を籠めた【ランスチャージ】でなぎ払う!

待っててね、メリルちゃん
『白馬の王子様』ならぬ、『白い姫騎士』だけど……必ず、あなたを悪夢から救い出すから!

・その他
アドリブ等は大歓迎よ!


稲宮・桐葉
アドリブ、アレンジ、連携歓迎!

何という下劣な輩じゃ!
理屈など要らぬ!急ぎ馳せ参じ、眼鏡を粉砕じゃ!

勇んで来たは良いが…
なにやら吐き気を催す胡乱な怪物も混じっておるな
メリルが恐れるモノが実体化したものなのかの?

ムラサマ『恐らくな。しかし妖刀の俺様が言うのもなんだが…SAN値にきやがるぜ。急がないと娘っ子がヤバイな』

さん…何?
いや問答しておる場合ではないな
一刻も早くメリルの許へ向かい、敵の大将を討たねば!

メリルよ、其方が恐怖に脅かされ産み出したもの、わらわ達が討ち払ってやるぞ!
決して倒せぬものではない、恐怖は克服できるのじゃ!
今暫しの辛抱じゃ!

機巧大狐ちゃんを駆り妖刀を振るい縦横無尽に駆け巡るぞ!



●悪夢払い
 怖がりの少女に終わらぬ悪夢を見せ、その肉体にも悪夢で受けた仕打ちと同様の感覚を与えることで、無限に怪物を生み出させるという所業。その、あまりに下劣で悪辣なやり方に、稲宮・桐葉(戦狐巫女・f02156)とヴェル・フィオーネ(ウィザード・オブ・アリスナイト・f19378)は、思わず怒りを露わにせずにはいられなかった。
「何という下劣な輩じゃ! 理屈など要らぬ! 急ぎ馳せ参じ、眼鏡を粉砕じゃ!」
「……えぇ、これは胸くそ悪いし許せないわね。絶対に、メリルちゃんを助け出すわ!」
 見れば、既に廃病院の中には、薄気味悪い怪物どもが溢れ返っている。アポカリプスヘルにでもいそうな、屈強な体躯をした粗暴な男。不快な体臭を撒き散らし、下品な笑いを繰り返すゴブリン。そして、謎の触手生物に、見た目も不快な毒虫達。
「勇んで来たは良いが……なにやら吐き気を催す胡乱な怪物も混じっておるな。メリルが恐れるモノが実体化したものなのかの?」
『恐らくな。しかし妖刀の俺様が言うのもなんだが……SAN値にきやがるぜ。急がないと娘っ子がヤバイな』
 桐葉の問いに、手にした妖刀が答えた。聞き慣れない言葉を耳にして思わず首を傾げる桐葉だったが、それについて尋ねようとする前に、ヴェルが動いた。
「待っててね、メリルちゃん……これが私の――『猟兵(アリス)』の力!!!」
 一瞬にして騎士鎧を身に纏い、ヴェルは駆けた。彼女を止めようと、粗野な男や醜悪なゴブリン達が一斉に襲い掛かるものの、その程度でヴェルは止まらない。
「さっさと退いて! あなた達に構ってる暇はないのよ!」
 本能のままに突撃して来る敵の数々を、ヴェルは紙一重で避けながら、槍の一撃で突き崩す。見た目に反して、そこまで強い相手ではないようだ。メリルの呼び出すバロックレギオンが、まだドクター・ハデスの要求する強さに至っていないからだろうか。
「グヘヘヘ……可愛がってやるぜ、姉ちゃ……ぶほっ!?」
「ブギィィィッ! グゲゲェェェェッ!?」
 巨漢やゴブリンどもは、いとも容易くヴェルの突進で蹴散らされた。ならば、と触手の化け物がヴェルに襲い掛かるも、身体に巻きつこうとした瞬間、彼女の全身から放たれる光の魔力弾で吹き飛ばされた。
「ふむ……問答しておる場合ではないな。一刻も早くメリルの許へ向かい、敵の大将を討たねば!」
 ヴェルだけに任せてはおけないと、桐葉もまた前に出る。まずは妖刀で一閃。ヴェルの討ち漏らした触手生物を斬り捨てると、続けて雪崩の如く迫って来た毒虫の大群へと立ちはだかり。
「夢か現か幻か……蒼炎煌めく、わらわの艶舞、篤と御照覧あれ……! 舞いの仕舞いには骨も灰へと焼き尽くしましょう……」
 焔の舞いが狐火を呼び、毒虫達を一匹残らず焼き尽くした。見た目おぞましい怪物であれど、勇気を持って果敢に立ち向かうことができれば、恐怖は必ず克服できる。
「メリルよ、其方が恐怖に脅かされ産み出したもの、わらわ達が討ち払ってやるぞ! 決して倒せぬものではない、恐怖は克服できるのじゃ! 今暫しの辛抱じゃ!」
 その言葉は、果たしてメリルにも届いていたのだろうか。先程までは奥から続々と湧いて来た怪物達の流れが、一瞬だけだが不意に途切れた。
「ふむ……これは好機じゃな」
「ええ、一気に走りぬけるわよ! 待っててね、メリルちゃん……『白馬の王子様』ならぬ、『白い姫騎士』だけど……必ず、あなたを悪夢から救い出すから!」
 互いに顔を見合わせ、桐葉とヴェルは廃病院の奥へと進んで行く。その先に待つ悪辣なマッドサイエンティストから、メリルを救い出すために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月守・咲凛
アドリブ他諸々OK
許せなメガネなのです。パリーンってするのです。
弱者への攻撃は許せない子なので、割る気満々で突撃します。
キモいのです!髪型変なのです!油分多すぎなのです!と、とりあえず見える敵になんかツッコミを入れながら、レーダーで確認したメリルさんの方へ、壁をビームチェーンソーでぶち抜いたりガトリングやミサイルで敵を蹴散らして最速で進んでいきます。
早く助ける事、しか考えていませんが、周囲の状況を把握できる程度には冷静なので敵の動きを見切りって躱せる物は躱します。
もう少しだけ待っててくださいね、私が助けるのですよ。



●近道は自分で開こう
 弱者を甚振り、恐怖させることで、己の目的を果たさんとするドクター・ハデス。その、あまりに悪辣非道な行為に、月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)は怒り心頭だった。
「許せなメガネなのです。パリーンってするのです!」
 どうせなら、眼鏡を徹底的に粉砕して、二度と再び使えなくしてやろう。だが、そのためにはまず、目の前にいるバロックレギオンの群れを何とかしなければ。
「ヒャッハァァァッ! 俺達が遊んでやるぜぇ、お嬢ちゃん!」
「ブヒヒ……女……女だぁ……」
 いかにもな悪人面をしたモヒカン男や、下劣なゴブリンが咲凛に迫る! それ以外にも、触手だの虫だの、他にも気持ちの悪い生き物がいっぱいだ。
「キモいのです! 髪型変なのです! 油分多すぎなのです!」
 とりあえず、近寄られるだけでも不快だったので、咲凛は挨拶代わりにガトリング砲とミサイルの雨をお見舞いした。いかに屈強な体躯を誇るモヒカン野郎や、生命力だけは強靭なモンスターであっても、近代兵器の一斉掃射には敵わない。
「どわぁぁぁっ!!」
「グェェェェッ!!」
 情けない悲鳴を上げながら、ある者はハチの巣にされ、また別の者は爆発で木っ端微塵に吹き飛ばされ、そのまま消滅して行った。
(「もう少しだけ待っててくださいね、私が助けるのですよ」)
 いつまでも雑魚の相手をしている場合ではないと、続けて咲凛は索敵モードに移行する。メリルの捕らえられている地下室。そこへ最短経路で辿り着くための道を探すために。
「索敵対象……捕獲されたアリス、レーダーアクティベート。周辺の探査を開始します」
 およそ1km圏内を余裕で探索できるレーダー波を発し、咲凛はメリルの居場所を探った。やはり、彼女は地下にいるようで、ここからではいくつもの部屋を越えて行かねばいけないようだが。
「少し、近道するのです。せぇぇぇいっ!!」
 壁を這い回る虫やら触手やらを、ビームチェーンソーで真っ二つ。そのまま勢いに任せて、ついでに壁も真っ二つ!!
「よし、道が開けました。さあ、どんどん行きますよ!」
 壁や扉が邪魔ならば、全てブチ壊して進めばよい。なんとも単純明快な解答に基づき、咲凛は次々と壁を破壊しながら、廃病院の奥へと進んで行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

袁・鶴
隠ちゃんf31450と

恐怖が生み出す化物か…こんな物迄作り出せるとか人間の想像力って凄いよね
食欲が失せるなあと周囲を見回しながらも、何処か苛立っている隠ちゃんを見れば首を傾がせつつ後を追うよ
隠ちゃん、どうしたの?君らしくないじゃない?

戦闘時は隠ちゃんに迫る敵へ『滑空』硬度を増した毒翼を広げ『なぎ払い』ながら【連鎖する呪い】
後は手にしたナイフで『部位破壊・目潰し』を試みるよ

隠ちゃんのタンチョウには思わず笑みを
ね、聞いてる君も隠ちゃんみたいな綺麗な物を作ればいいのに
きっと、君にも出来ると思うんだけどなあって…!隠ちゃん、危ないから先行かな…って、聞いてないでしょ!?
その後は慌てて後を追おうと思うよ


隠・小夜
袁(f31450)と
アドリブ歓迎、目の露出NG

うるさい
僕はいつも通りだけど?
大体、想像したくてしている訳じゃないから
凄くなんかない、寧ろこんな力なんか……何でもない
(苛立ちを落ち着かせるように深呼吸

こんな怪物なんか、生み出したくない
怖いものばかり見続けるのも
怖いものを自分が生み出すのも、辛くて苦しいよね
僕も似たようなものだから……
全く理解出来ない訳じゃない

君を助けるよ
出来る限り早く、そっちに向かう
痛いのも、怖いのも、元凶の男を倒して終わらせるから

UC:決意の証
憧れの象徴――名はレイン
それに……袁、しっかりついて来てよね

レインに乗り、真正面から突っ込んで
愛銃を至近距離で【クイックドロウ】



●望むもの、望まざるもの
 廃病院の中に跋扈する、見るもおぞましい様々な怪物。それらを遠くから眺めつつ、袁・鶴(東方妖怪の悪霊・f31450)は何気なく呟いた。
「恐怖が生み出す化物か……。こんな物迄作り出せるとか、人間の想像力って凄いよね」
 妖怪の自分には、理解できない感性だと言いたかったのだろうか。しかし、それを聞いた隠・小夜(怪異憑き・f31451)は、明らかに不機嫌な様子で勝手に先へ進んで行った。
「隠ちゃん、どうしたの? 君らしくないじゃない?」
「……うるさい。僕はいつも通りだけど? 大体、想像したくてしている訳じゃないから凄くなんかない。寧ろこんな力なんか……何でもない」
 感情のままに文句を言ってやろうとして、小夜はそれを途中で止めた。元より、人間と妖怪では常識も違うのだ。ここで怒りに任せて叫んだところで鶴には分からないだろうし、あれこれ説明している時間も惜しい。
 気持ちを落ち着かせるべく、軽く息を吸い込んで……それから、小夜は詠唱の言葉と共に吐き出した。
「……力を貸して」
 瞬間、現れたのは一羽の美しいタンチョウ。その背に乗ったまま敵陣へ飛び込み、愛銃を連射してバロックレギオンを蹴散らしてゆく。
「ね、聞いてる? 君も隠ちゃんみたいな綺麗な物を作ればいいのに」
 そんな中、鶴は囚われのメリルに問いかけるように、苦笑しつつも言葉を発した。だが、それを聞いているのかいないのか、メリルからの返事はなく、バロックレギオンも一向に減らず。
「きっと、君にも出来ると思うんだけどなあ……って、隠ちゃん! 危ないから先行かな……って、聞いてないでしょ!?」
 ふと、小夜の方へ目をやれば、随分と遠くまで行ってしまっている。慌てて追いかけるものの、彼には小夜が何故そこまで苛立っているのか、どうにも理解することはできなかった。
 仕方なく、鶴は小夜に近づく敵を排除するようにナイフを振るう。ナイフのダメージ自体は大したことのないものだが、むしろ本当の地獄はこれからだ。
「ヒャッハァァァ! 死ね……どわぁっ!?」
 襲い掛かろうとしたモヒカンの足元が急に崩れ、そのまま彼は真下に落下して見えなくなり。
「ブギィィィィ! 殺す! 殺……ぶげっ!?」
 哀れ、ゴブリンは崩落した天井の下敷きに。毒虫の放った毒液も、小夜や鶴に当たることなく明後日の方へと飛んで行き、たまたま着弾地点にいた触手生物に命中してドロドロに溶かしてしまった。
(「まあ、せいぜい勝手に自滅するといいよ」)
 鶴のナイフで傷つけられた者は、その存在に関係なく、見えない傷跡を付けられて呪われる。呪いの効果は絶対であり、偶然を装った様々な事故により、後は死ぬまで酷い目に遭うだけだ。
 これで、敵の追撃を心配する必要はなくなった。改めて先を急ぐ鶴と小夜。迫り来る敵を次々と射抜きながら、小夜もまたメリルへと問いかける。
「こんな怪物なんか、生み出したくない。怖いものばかり見続けるのも、怖いものを自分が生み出すのも、辛くて苦しいよね……」
 自分も似たような存在だ。だから、全く理解できないわけではないと小夜は告げ。「君を助けるよ。出来る限り早く、そっちに向かう。痛いのも、怖いのも、元凶の男を倒して終わらせるから……」
 その言葉は、想いは、遠く離れたメリルにも伝わっていたのだろうか。小夜の呼びかけが功を奏したのか、出現するバロックレギオンの数が、明らかに減少し始めている。
「何だ? 敵の数が減って……まあ、いいか。今の内に、さっさと進もう」
 これなら楽勝だと、鶴も余裕の表情で後を追った。狂った科学者に捕らえられた、哀れな少女。悪魔の研究から彼女を開放し、無事に救い出すために。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

高千穂・ましろ
「悪のマッドサイエンティストに捕まった少女ですね!
魔法少女として必ず助け出してみせます!」
『ましろが、なんだかフラグ立ててる気がするにゃあ』

魔法少女に変身して廃病院に向かいましょう!
向かってくる敵は【メテオストライク】で吹き飛ばして……

『って、ましろ、そんな魔法撃ったら捕まってる少女ごと建物が崩壊するにゃ!』
「ええっ、じゃあどうすればっ!?」

困惑している間に、乱暴な男性やゴブリンのようなモンスターに捕まってしまい……!?

『ましろ、抵抗せず男やモンスターを受け入れるのにゃ。
そうすれば、少女も怖がらなくなるにゃ!』
「うう……し、仕方ありません」
『おお、ましろがえっちな目にあってるにゃ!
眼福にゃ!』



●捕まった魔法少女
 悪の科学者が少女を捕らえ、拷問している。そんな話を耳にしてしまった以上、高千穂・ましろ(黒猫ノワールと契約した魔法少女・f29622)としても助けないわけにはいかない。
「悪のマッドサイエンティストに捕まった少女ですね! 魔法少女として必ず助け出してみせます!」
『ましろが、なんだかフラグ立ててる気がするにゃあ』
 やる気満々のましろの横で、相棒の黒猫であるノワールが何か呟いていたが、それはそれ。魔法少女に変身し、いざ廃病院へ突入すると……早速、気持ちの悪い生き物や、醜悪なゴブリンどもがお出迎え。
「現れましたね! ここは、メテオストライクで吹き飛ばして……」
 必殺の魔法を使おうと、ましろは魔法の杖を高々と掲げる。が、しかし、魔法を行使しようとした瞬間、ノワールが慌ててましろを止めた。
『……って、ましろ! そんな魔法撃ったら捕まってる少女ごと建物が崩壊するにゃ!』
「ええっ、じゃあどうすればっ!?」
 慌てて魔法をキャンセルするましろだったが、考えてみれば当然だ。この廃病院には、ましろ以外にも多くの猟兵が訪れている。巨大隕石など降らせたら最後、それらの仲間まで廃病院が崩れた瓦礫の下敷きにしてしまい兼ねない。
 何か他に良いアイデアはないだろうか。そんなことを考えていると、ましろはいつの間にか、屈強なモヒカン男や醜いゴブリンどもに取り囲まれていた。
「グヘへへ……お嬢ちゃん、こんな場所に遊びに来るなんて、イケない子だなぁ」
「そういう子には、お仕置きが必要だなぁ。さあ、可愛がってやるぜ……たっぷりとな!!」
 ましろが抵抗できないのを良いことに、まずは男達が四方八方から手を伸ばし、ましろのことを組み伏せた。それだけでなく、今度はゴブリンがましろのことを縛り上げると、そのまま廃病院の奥へと引きずって行った。

●束の間の代理
 モヒカンとゴブリンに捕まったましろが連れてこられたのは、メリルが捕らえられている、ドクター・ハデスの部屋だった。
「おや? ……フフフ、これは面白い。どうやら、お土産を持って来てくれたようですね」
 眼鏡の奥で、ドクター・ハデスの瞳が怪しく光る。何か、もの凄く残酷で、おぞましい考えが浮かんだ時に見せるそれだ。
「あ、あなたが悪のマッドサイエンティストですね! 早く、その女の子を解放しなさい!」
「ハハハハ! 寝言は自分の置かれた状況を理解してから言ってもらいたいものだね。それとも……代わりに君が、夢の中で彼女の代わりに乱暴されるかい?」
 ゴブリンに押さえつけられたましろの顔を、ドクター・ハデスが覗き込む。そして、彼女を無理矢理手術台に寝かせて拘束すると、後はゴブリンとモヒカンに全ての処遇を委ねてしまった。
「オォ……この女、俺達の好きにしてもいいのか?」
「ヒャッハァァァァッ! もう、我慢できねぇ!!」
 獲物を好きに扱って良いと言われ、興奮した様子で襲い掛かってくるバロックレギオンの群れ。哀れ、ましろは衣服を破かれ、身体を舐められ、完全に彼らの玩具にされている。
「いやぁぁぁ! や、やめて……やめてくださぁぁぁい!!」
 思わず泣き叫ぶましろだったが、誰も助けてはくれなかった。そんな時、攫われた彼女を追いかけてやってきたノワールが、ましろの置かれている状況を見るなり彼女に向かって叫んだ。
『ましろ、抵抗せず男やモンスターを受け入れるのにゃ。そうすれば、少女も怖がらなくなるにゃ!』
「えぇっ! で、でも、そんなこと……」
 さすがに、それはできないと、一瞬だけだが躊躇うましろ。だが、よくよく考えれば、隣で縛られているメリルは、こんな夢を1分おきに見せられているのだ。しかも、夢で経験した感覚が、全て現実の肉体でも感じてしまうように投薬されて。
「うう……し、仕方ありません」
 これで少しでもメリルの地獄が和らぐのなら。そう考えると、もはやましろに残された選択肢は一つしかなかった。
『おお、ましろがえっちな目にあってるにゃ! 眼福にゃ!』
 いや、そこの黒猫。見てないで、早く主を助けてやれよ。その場に誰かがいたのであれば、絶対にそんな突っ込みを入れたであろう。
「いやっ! そんな臭い舌で舐めな……んぐぅっ! ぶふぅ……がっ!? んぅっ……!!」
 一方のましろは、モヒカンとゴブリンによって蹂躙されるまま。口の中まで侵されて、だんだんと意識が遠のいて行き。
「フフフ……君が辱めを受けている時の記憶を取らせてもらうとするよ。この記憶を、そこのアリスの脳内に流して再現してやれば……もしかすると、凄いバロックレギオンが生まれるかもしれないねぇ」
 メリルに装着させていたVRマシンを取り外し、ドクター・ハデスは、それをましろへと装着させた。夢を見せるためではなく、ましろの受けている辱めを、新しい夢のネタとして記録するために。
「さあ、せいぜい可愛い声で泣き叫んで、苦しんでください。あなたが苦しんでいる間は、あの子は夢から解き放たれて、束の間の休息を得られるのですからね」
 辱められているましろの姿を見つめながら、ドクター・ハデスが不敵に笑う。だが、ましろが犠牲になったことで、メリルはしばし、束の間の休息を得ることができたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
何とも酷い、ですねぇ。
急いだ方が良さそうですぅ。

『F●S』全てを展開し【銀翼袍】を使用、『崩壊の波動』を放射しつつ飛行して向かいますねぇ。
敵全体に『ダメージ』を与えると共に『弱い認識阻害』を与えられますから、その状態で『高速で飛行する相手』の妨害は難しいでしょう。
それでも仕掛けて来る相手は『FRS』の[砲撃]と『FBS』の斬撃で排除、相手の攻撃は『FSS』と『FMS』で防御しますねぇ。

交戦中、メリルさんに「助けが来ました、終わりは見えています」と呼び掛けましょう。
引き延ばされた時間で『まだ来ない』と却って絶望しない様、徐々に近づいていることも、ですねぇ。



●歪む世界
 倒しても倒しても湧いて来る、見るもおぞましい醜悪な化け物。
 モヒカン、ゴブリン、触手に毒虫。報告には、それぞれ別の個体であると聞いていたが、しかし目の前に湧いている化け物どもは、それらが歪に混ざり合った何かに変わっていた。
「何とも酷い、ですねぇ。急いだ方が良さそうですぅ」
 吐き気を催すような存在に、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は少しばかりの危機感を抱いた。もしかすると、これはメリルの悪夢がより最悪な方に誘導され、呼び出されるバロックレギオンも、それに伴い強化されているのではないかと。
「グゲゲゲ……もけけけぇぇぇぇっ!」
「うぐ……あが……ごぶ……」
 言葉にならない奇声を発しながら、異形の化け物達が殺到して来る。下半身が触手と化したモヒカン野郎、複数の首を持ち、両手がムカデになっているゴブリンなど、正にホラー映画に登場するような怪物の大行進!
「大いなる豊饒の女神の使徒の名に於いて、その御印たる裳を此処に!」
 そんな連中に触れられるのも気色悪かったので、るこるは早々に切り札を発動させた。女神の衣を纏った状態で、ありったけの浮遊兵器を展開し、無差別に攻撃を仕掛けながら飛翔する。一発、一発の威力は大したことがないものの、本当の効果はこれからだ。
「……? んご?」
「……? グ……ギギギ……」
 早くも効果が表れ始めたのか、敵の動きが明らかに鈍り始めた。るこるの攻撃により繰り出される崩壊の波動。それは、単に相手の肉体を崩壊させるだけでなく、認識力までも崩壊させ、狙いを定めにくくする効果があるのだ。
「遊んでいる暇はありませんねぇ。……さて、お掃除の時間ですよぉ」
 どれだけ恐ろしい怪物でも、攻撃が当たらなければ意味はない。飛翔する戦輪で触手を切断し、浮遊砲台の一斉射で敵の集団を蹴散らせば、地下室への入り口は目の前だ。
「助けが来ました、終わりは見えています。もう少しの辛抱ですよ」
 敵陣の一角に穴が空いたところで、るこるはメリルに語り掛けた。その言葉が、きっと捕われの少女にも届くと信じて。残る敵を牽制しつつ、地下室へと続く階段目掛け、全速力で飛翔した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
「悪夢の滴」たる私の前で悪夢を弄ぶ愚かな猟書家よ
その傲慢と不遜、償ってもらいましょう、あなたの命でね

レギオンどもを「範囲攻撃」で舞わせた鎖で迎撃しながら
メリルさんにも「祈り」ましょう
私には人に誇れるような「優しさ」などはありませんが
それでも来ました、あなたの敵を滅ぼすものとして
いかなる悪夢も退ける、すべての人が持つ武器をあなたも持っているはず
その名は「希望」です
私の声が聞こえたのなら、それがすなわち
あなたの悪夢を打ち砕くために鳴り響く希望の鐘だと信じてください

さあ、手始めにこの化け物どもを始末してご覧に入れましょう
わが影はすでにレギオンどもを捉えています
あとは奈落の底へと引きずり込むのみ、ふふ



●悪夢狩り
 事態が進行するにつれ、より歪な形で現実を侵食し始めるメリルの悪夢。
 彼女のトラウマを利用し、バロックレギオンを生み出しているドクター・ハデスは、さぞご満悦なことだろう。もっとも、悪夢そのものと言っても過言ではない黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)にとっては、悪戯に悪夢を利用するマッドサイエンティストの所業など、実に下らないものだったが。
(「『悪夢の滴』たる私の前で悪夢を弄ぶ愚かな猟書家よ……その傲慢と不遜、償ってもらいましょう、あなたの命でね」)
 とりあえず、近づく敵を鎖で弾き飛ばしながら、魅夜はメリルへと祈りを捧げる。敵の見た目は気色悪くとも、戦闘力はそこまで高まっていないのが幸いだ。
「私には人に誇れるような『優しさ』などはありませんが、それでも来ました。あなたの敵を滅ぼすものとして」
 唸る鎖が異業と成り果てた巨漢やゴブリンの身体を打ち据える。だが、これはあくまで牽制でしかない。真に悪夢を打ち払う武器は、人の心の中にあるものだから。
「いかなる悪夢も退ける、すべての人が持つ武器をあなたも持っているはず」
 剣を持つことのできない子どもでも、既に力を失った老人でも、王子様に守られるだけの姫君であっても持っている武器。万人の心に宿る不変の刃。それは、メリルもまた持っているはずなのだと。
「その名は『希望』です。私の声が聞こえたのなら、それがすなわち、あなたの悪夢を打ち砕くために鳴り響く希望の鐘だと信じてください」
 死角から襲い掛かってきたバロックレギオンの群れを、魅夜は自らの身体を軸にして、鎖を回転させることで一蹴した。
 もっとも、これはほんの布石でしかない。むしろ、真の悪夢はこれから始まるのだとばかりに、不敵な笑みを顔に浮かべ。
「さあ、手始めにこの化け物どもを始末してご覧に入れましょう。わが影はすでにレギオンどもを捉えています」
 そう、魅夜が告げた時には、既にバロックレギオン達の足元に黒影が広がっていた。
「墜ちゆけ、沈め、奈落の底より深き場所、虚無の果てへと溺れゆけ」
 詠唱と共に、影より現れし鎖がバロックレギオン達に絡みついて拘束する。どれだけ力を込めて暴れようと離さない。全てを無に帰す闇の前では、純粋な力など無力に等しいのだ。
「あとは奈落の底へと引きずり込むのみ、ふふ……」
 最後に、魅夜が軽く指を鳴らせば、異形の怪物達は全て影の中へと飲み込まれてしまった。恐怖より生み出された望まれぬ怪物のいる場所は、深淵の底こそが相応しい。
 悪夢を以て悪夢を狩る。バロックレギオンを一掃したところで、魅夜はメリルの捕らえられている地下室への入り口を探すべく、改めて廃病院の奥へと歩を進めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
やれやれ…あの腐れ眼鏡まだ湧いてたんですか
先日の屈辱もありますしぶちのめすとしましょう
UC即発動
装甲半減
攻撃回数強化
18前後の銀髪銀眼の美少女に変身(愛称メルシー
「やる気になってるねご主人サマ♪今度こそあのパーデスをヤっちゃおうねー♪」(絶対にハデスと呼びたくない神機

【情報収集・視力・戦闘知識】
レギオンの群れの性質と何を以て嫌悪しているのかを推理
【二回攻撃・属性攻撃・瞬間思考・念動力・切断】
「安心して♪怖いのは皆メルシーがやっつけるよ♪」
メルシーと意識をリンクさせ念動光弾でレギオンを迎撃
僕も縮んだハルペーで切り裂き

何…こんな奴らは大した事はありません
立ち向かえばこんなにあっさり倒せますよ?


テラ・ウィンディア
あはははは…
そうかー…相変わらずのクソ眼鏡ぶりだな
嬉しいよ
今度こそ素粒子レベルまで消し去ってやる(壮絶笑顔

【戦闘知識】
病院内の構造把握と敵の状況を把握

ヘカテイアは黒ちび子猫モードで服の中に入れておくぞ

って虫もいる…(ふるふる

【属性攻撃】
炎属性を全身と武器に付与
UC発動

【見切り・第六感・残像・空中戦・武器受け】
高速で飛び回りながら襲い掛かるぞ
攻撃は避け切って
避け切れないのは剣で受け止め

【二回攻撃・串刺し・早業】
…メリルも怖いよなぁ…おれも虫は怖い!
だけど負けないぞ!もっと怖がってる子がいるのに負けられるかっ!
高速で炎の槍で串刺しにして焼き尽くす!

大丈夫だメリル!怖いのは皆やっつけてやるぞ!!



●外道、許すまじ
 骸の海より、現世を侵食するオブリビオン。彼らは自身に対して強い宿縁を持つ者に討たれない限り、何度でも骸の海から顕現する。猟書家達も例外ではなく、これまでも多くの猟兵達が、幾度となく同じ猟書家と戦ってきた。
 半永久的に湧き続ける過去の遺物。それを狩ることが猟兵の仕事だと分かってはいたが、それでもカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、敢えて辟易した様子で呟いた。
「やれやれ……あの腐れ眼鏡、まだ湧いてたんですか」
 何度潰してもゴキブリの如く復活されるのは、正直なところ気分の良いものではない。それはテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)にとっても同じだったのだが、彼女は何故か嬉々とした様子で廃病院の中へと乗り込んだ。
「あはははは……そうかー……相変わらずのクソ眼鏡ぶりだな、嬉しいよ! 今度こそ素粒子レベルまで消し去ってやる!」
 敵が嫌なやつであればあるほど、倒した時の爽快感も増すというもの。ましてや、雪辱戦ともなれば、力が入らないはずはない。
「先日の屈辱もありますし、ぶちのめすとしましょう」
「オッケー……って虫もいる……」
 もっとも、敵の姿を見るなり、テラは思わず躊躇ってしまった。
 ゲジゲジ、ムカデ、ゴキブリ……不快な姿をした害虫どもは、テラも苦手だ。それだけでも十分にお腹いっぱいだというのに、それらが人間やゴブリンと融合したようば化け物と戦わねばならないなんて。
「だ、大丈夫だ……。虫なんて……全部焼いちまえば問題ない……はず!!」
 こうなったら、もうヤケクソだ。全身に炎を付与した状態で、テラは敵陣へと突っ込んだ。虫は苦手だが、今はそんなことを言っている場合ではない。
「グランディアよ……全ての存在がもつ原初の力よ。我が身に宿り力と成せ……! グラビティフィールド……展開!」
 重力障壁で虫の接近を阻みつつ、凄まじいスピードで駆け抜ける。とりあえず、近づかなければ問題ない。後は、この醜悪な化け物ども、いかにして葬り去るかだけである。
「さて、僕達も行きましょうか」
「やる気になってるねご主人サマ♪ 今度こそ、あのパーデスをヤっちゃおうねー♪」
 神機を少女の姿で顕現させ、カシムもまた鎌剣を片手に敵の群れへと飛び込んだ。そのまま近づく敵を念動光弾で少女に迎撃させる間、敵の分析も忘れない。
(「それにしても……彼女は、何を恐れているのでしょうか?」)
 メリルの恐れる存在は、その多くが既に化け物だ。呼び出す虫も気色の悪い外観をしている種類が多く、巨漢に至っては純粋な暴力で、手当たり次第に自分の欲望を果たそうと暴れ回る。
 恐らくは、これらの化け物の大元となった存在に、酷い目に遭わされた過去があるのだろう。あるいは、何らかの創作物を通して、その心の内に恐怖を植え付けられたか。
「何……こんな奴らは大した事はありません。立ち向かえば、こんなにあっさり倒せますよ?」
「安心して♪ 怖いのは皆メルシーがやっつけるよ♪」
 襲い掛かってきた小鬼とも昆虫ともつかない化け物を、カシムは軽く斬り捨てる。見た目は不気味でも、戦ってみれば案外と簡単に倒せるものだ。
「……メリルも怖いよなぁ……おれも虫は怖い!」
 その一方で、テラは恐怖に立ち向かうだけでなく、己の中にある恐怖心を受け入れた。勿論、それで終わるはずもなく、流されるままに行動するようなことはしない。
「だけど負けないぞ! もっと怖がってる子がいるのに負けられるかっ!」
 炎の槍を高速で繰り出し、近づく者は全て串刺しにして焼き尽くす。跡形も残らない程に焼いてしまえば、後には灰しか残らない。
「大丈夫だメリル! 怖いのは皆やっつけてやるぞ!!」
 助けに向かうまで、今少しだけ辛抱して欲しい。そんな言葉と共に繰り出された槍の一撃が、地下室までの行く手を阻むバロックレギオンを貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ドクター・ハデス』

POW   :    行け、我が創造せし怪物よ!
無敵の【人造生命体】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    我がしもべに加えてやろう、光栄に思うがいい!
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【即席で改造し、意思なきしもべ】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ   :    進化し続けること、其れこそが我が天才たる所以!
【工具】が命中した対象を治療し、肉体改造によって一時的に戦闘力を増強する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アイ・リスパーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●狂える悪夢の終着点
 異業と成り果てた化け物の群れを突破して、猟兵達はついに廃病院の地下室へと辿り着いた。
「フハハハ! ようこそ、諸君! 既に先客もいるようだが、改めて歓迎しよう!」
 ドクター・ハデス。人々の恐怖を具現化させて、その力を利用し世界を征服せんとする狂気の科学者。
「それでは……とくと、お見せしよう! これが我が研究の成果! 人の恐怖を形にした、最高傑作だ!!」
 そう言うが早いか、ドクター・ハデスは謎のVRマシンを取り出して、それをメリルの顔に被せた。再び悪夢の世界に引き摺り込まれると知って暴れるメリルだったが、当然のことながら彼女の力では拘束を解くことなど不可能であり。
「さあ、飛び切りの悪夢に招待してあげよう! プールデータ、オーバーロード……フフフ、もう逃げられないぞ!!」
「い、いや……やめて! 私の中に入ってこな……ぁぁぁぁっ!!」
 抵抗空しく、メリルの意識は再び悪夢の中へと落されてしまった。それも、ただの悪夢ではない。現実世界で凌辱された者の記憶を、何倍もの速度で一度に頭の中で再生させられているのだ。
「あぐっ!? がっ……ごふっ……!? ひぎぃぃぃぃっ!!」
 もはや、少女としての声さえも発することができないまま、メリルは盛大に身体を痙攣させて苦悶の叫びを上げる他になかった。そして、その度に周囲には不気味な怪物が呼び出され、部屋の中を埋め尽くして行く。
「ああ、これだ、これだよ! なんて素晴らしい光景なんだ! 人の想像力は無限大! 恐怖一色に彩られても、それが尽きることはない!!」
 人間とモンスター、そして昆虫が合体したような異形の怪物が生まれる度に、歓喜の声を上げるドクター・ハデス。
 もう、これ以上は限界だ。狂気の科学者の企みを打ち破り、哀れな少女を終わらない悪夢の世界から救い出せ!

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●ドクター・ハデスの攻撃手段
 メリルの生み出したバロックレギオンを改造したり、それをベースに自ら新しい怪物を創造したりして攻撃して来ます。
 バロックレギオンの見た目は第一章以上にグロテスクなものになっていますが、メリルを安心させることができれば、その分だけ戦闘力が低下して行き、戦いを有利に運ぶことが可能となります。
純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ
邪神だから正義感なんて物はまっったく無いんだけど〜♪
ぴゅあは可愛い女の子がこの世の何より大好きで〜♪そんな女の子に酷い事する男の人が〜♪

……何より大嫌いなんだよねー?(単純に気に入らないから潰す)

こういう時の為のおしおき専用UC
悪夢の世界その物へ変化したぴゅあの中へ閉じ込めて化術肉体改造で相手をメリルちゃんの姿にし、バロックレギオン複製体達に襲わせる
本物のメリルちゃんから読心術でイメージを読み取って催眠術で偽メリルちゃん(敵)の脳に送り込んで神罰

夢を司る悪魔の邪神を怒らせちゃだめだよ〜?

本物メリルちゃんには催眠術で嫌な体験を消し去って、代わりに優しく甘々で百合百合で幸せな淫夢を見せてあげる〜♪



●邪神の見せる悪夢
 終わらぬ悪夢を見せ続けられるメリルを救うべく、地下室へと突入した猟兵達。果たして、どんな屈強な戦士が現れるのかと、ドクター・ハデスも多少は身構えていたのだが。
「ほぅ……どうやら、我の見込み違いだったか? まさか、君のような幼き少女が、このアリスを助けると言うつもりではなかろうな?」
 先陣を切って現れたのが桃色の髪をした童顔少女だったことで、聊か拍子抜けしたようだった。
 もっとも、見た目は少女であっても、彼女は普通の人間ではない。神、それも天地創造の神聖なる存在ではなく、どこまでも欲望に忠実な、純真邪神・幼淫魔姫ピュアニカ(永遠に無垢なる幼く淫らな魔貌の邪神姫【百合神淫魔】・f30297)だったのである。
「ん~、邪神だから正義感なんて物はまっったく無いんだけど〜♪」
 囚われたメリルと、その隣で怪物を侍らせているドクター・ハデスを交互に眺めながらピュアニカは告げる。
「ぴゅあは可愛い女の子がこの世の何より大好きで〜♪ そんな女の子に酷い事する男の人が〜♪ ……何より大嫌いなんだよねー?」
 瞬間、今まであどけなさに溢れていた顔が、一瞬にして憤怒と軽蔑の表情に変化した。天真爛漫な声色は、まるで氷結地獄を吹き荒ぶ風の如く冷め、鋭い視線がドクター・ハデスの身体を射抜き。
「貴方がこれまでに踏み躙って来た女の子達の恐怖と苦痛と屈辱を、その身に直接刻み込んであげる♪ 別に見たくないから後は勝手に楽しんで♪」
 そういうわけで、ここから先はお仕置きの時間だ。全身を悪夢そのものに変えたピュアニカは、周囲の空間に溶けて混ざり……それはドクター・ハデスの身体を毒霧となって包み込んだ。
「なるほど、それが君の切り札か。しかし、我を甘く見ないでもらいたいものだな。この程度の毒で、ドクターたる我を殺せると思ったか?」
 霧に包まれても平然とした様子で、ドクター・ハデスは工具を振るった。それらがバロックレギオンに命中する度に、醜悪な怪物の肉体が更に醜悪なものに変化して、戦闘力を増して行く。
「フフフ……毒霧で覆えば勝てると思ったようだが、甘かったな。我の力を以てすれば、バロックレギオンの肉体を、環境に合わせて改変するなど造作もない!」
 周囲の霧が猛毒であるなら、それに抵抗できるような怪物を作り出せばよいと、高笑いするドクター・ハデス。だが、それにしては、何かがおかしい。改造したばかりのバロックレギオン達の視線が、なぜかドクター・ハデス自身に注がれているような……。
「なっ……! こ、これは!? いったい、何が起きている!?」
 自分の視線がやけに低いことに気づき、両手をまじまじと見つめた時には遅かった。
 いつの間にか、ドクター・ハデスの肉体は、手術台に拘束されているメリルと同じものになっていたのだ。しかも、彼を取り囲む無数のバロックレギオン達は、完全にドクター・ハデスの方を獲物だと思っているようで。
「よ、よせ! 止めろ! 我こそが、お前達に力を与えた主人……ぐわぁぁぁぁっ!!」
 一度、暴走が始まってしまうと、そこから先は止まらなかった。怪物達はメリルの姿に変じたドクター・ハデスを抑え込み、代わる代わる凄惨な凌辱を始めたのだ。
「んぐっ……ごっ……がっ!? はぁ……むぐぅ……!!」
 四肢を四方に引っ張られたまま、衣服を破かれ、全身の穴という穴を犯される。それも、怪物の触手や不気味な粘液といった、およそ人間の肉体とは異なる代物で。
 地獄より酷い地獄があるとすれば、正にそれだ。もっとも、そんな彼の姿を眺めるピュアニカは、最後まで冷めた視線を変えることはなく。
「夢を司る悪魔の邪神を怒らせちゃだめだよ〜? まあ、せいぜい自分のやった分だけ、夢の中で苦しんでね~♪」
 ピュアニカの前で蹲るドクター・ハデスの姿は、白衣の男性のままである。今までのことは、全て悪夢と化したピュアニカの見せる夢。しかし、その大元はメリルの見せられた悪夢の記憶。つまり……ドクター・ハデスは自分がメリルに見せたはずの悪夢を、自らの身を以て体験させられているのだ。
「さて、後はメリルちゃんの方だね。大丈夫、もう怖いものなんてないからね♪」
 いくら本当に肉体を凌辱されたわけではないとはいえ、それでも化け物に身体を弄ばれた記憶など、さっさと消してしまうに限る。
 その代わり、彼女に見せるのは優しいお姉様が好きなだけ甘えさせてくれる百合の園。淫魔としては、狂った科学者のせいでエッチなことがトラウマになって、女の子が不幸になる未来は我慢できなかったから。
「あ……ぁぐ……ぅぅ……」
 両目を見開き、情けなく涎を垂らしているドクター・ハデスを横目に、ピュアニカはメリルを優しい夢の世界へと誘った。これでもう、彼女が何かを恐れることはない。少なくとも今だけは、新たなバロックレギオンを生み出すことはないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

稲宮・桐葉
アドリブ・連携歓迎じゃ

…しかし、ふと思ったのじゃが…メリルの創造物を利用するばかりじゃな
実は自分では無から怪物を作り出せぬとか…?
なるほど…自分の貧相な想像力では強力な怪物が作り出せぬから、メリルを利用しておるのかのう?

何はともあれ陰険眼鏡を粉砕じゃ!
手加減無用!さっさと片付けメリルを救うのじゃ!
ムラサマ!大狐ちゃん!全力全開じゃ!

VRマシンとやらを剥がせぬかの?
弓矢で…いや、得意とは言え、手元が狂えば危険か
隙を伺い一気に肉薄して引っぺがすのじゃ!

大狐ちゃんに大暴れさせて気を引いておいて…わらわが死角に回り込んでじゃな…

ムラサマ『逆のが良くね?桐ちゃん囮で、大狐が奪うの』
え?何…ちょ…やめっ!


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
猟書家にも個として敬意を払うに値する方もいましたが。
この方は違う様ですねぇ。

『FBS』を四肢に嵌め飛行、【崇卓】を使用しましょう。
指定する『現象』は、範囲を限定した『恒星フレア』の連鎖、太陽等に見られる恒星規模の爆発現象ですぅ。
『人造生命体』も、事前に『恒星フレア』に晒される想像と対策はしていないでしょうし、発動後では間に合いません。
また、仮に他の『想像』が或る程度効果を発揮しても『博士本人』は無敵ではないでしょう?
生物の脳で理解可能な範疇を超えた様々な『現象』の前に『想像』や『悪夢』は及びません。

メリルさん、あと少しだけお待ち下さいませ。
直ぐに原因を取り除きますので。


ヴェル・フィオーネ
・心情
何が最高傑作よ……こんな胸糞悪い悪夢なんか、すぐにぶっ壊してやるわ!
だからメリルちゃん、待っててね!

・戦闘
敵の人造生命体の攻撃は【オーラ防御】や【カウンター】で防ぎつつ、【属性攻撃】や【ランスチャージ】を叩き込んでいくわ!
そして、どうにかして隙が出来たらユーベルコード『標なき路を斬り開く剣』を発動して、ぶったぎる!!!

・その他
アドリブ等は大歓迎よ!!!



●新たなる狂気
 終わらぬ悪夢を見せ続け、少女から化け物を生み出そうとする狂気の所業。その全てを己に返されたドクター・ハデスは、辛うじて悪夢の世界から帰還した。
「はぁ……はぁ……。フフフ……ハハハハハッ!!」
 だが、先程まで悶絶を続けていたドクター・ハデスは、正気に戻るなり笑い始めた。あまりにショックで、気が触れてしまったのだろうか。いや、違う。こいつは元から狂っている。だとすれば、この笑いは痛みや苦しみから逃れるためのものではなく、彼がよりおぞましい狂気に至ったことを示している。
「いやぁ、実に貴重な体験をさせてもらったよ。やはり、どれだけ頭で理解しているつもりでも、実体験に勝るものはない!」
 人は何を恐れ、何に苦痛を感じ、どのようなものに嫌悪の感情を抱くのか。自らの目で見て、肉体の感覚に刻まれたからこそ、それが分かる。つまり……これからは今までメリルに見せて来た悪夢の中でも、特に恐ろしい悪夢だけを、ドクター・ハデスは選択して見せることができるのだ。
「猟書家にも個として敬意を払うに値する方もいましたが。この方は違う様ですねぇ……」
 自分が狂気の世界に落とされても、それを糧に新たな狂気へと覚醒する。あまりにイカれた価値観に、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は思わず顔を顰め。
「何が最高傑作よ……こんな胸糞悪い悪夢なんか、すぐにぶっ壊してやるわ!」
 怒りの感情のままに、ヴェル・フィオーネ(ウィザード・オブ・アリスナイト・f19378)は我慢の限界を迎えて飛び込んだ。
 敵は多数のバロックレギオン。状況としては多勢に無勢だが、そんなことは関係ない。未だ不完全な状態の怪物など、いくら数を集めたところで恐れるに足らずだ。
「待っててね、メリルちゃん! 今、あなたを怖がらせるものを、全部やっつけてあげるから!!」
 迫り来るバロックレギオンの数々を、ヴェルは華麗にいなしつつ反撃で仕留めて行った。が、その程度はドクター・ハデスも承知の上だったのだろう。余裕の表情で笑みを浮かべると、倒れたはずのバロックレギオンを即席で改造し、再びヴェルを攻撃させてくる。
「くっ……しつこいわね!!」
 戦闘力が落ちているとはいえ、これでは倒しても倒してもきりがない。ならば、粉々になるまで掃射してやればいいだろうと、るこるが援護に回るものの、ドクター・ハデスは新たに自らの創造力から怪物を誕生させた。
「フフフ……これこそ、我が最高傑作! この少女の恐怖を利用し、深淵を垣間見ることで作り上げた、我が理想とするバロックレギオン!!」
 なるほど、確かに今までの敵よりも、明らかに強そうだ。有象無象の雑魚とは違い、人間と化け物が絶妙な形でミックスされたその姿は、UDCアースの邪神に勝るとも劣らない生理的嫌悪を催すもの。
「気持ち悪いですねぇ……。正直、センスの欠片も感じません……」
 吐き気を堪えながら、るこるは呟いた。狂った人間の感性など、元より理解する気もない。だが、それでも視覚に訴える気色悪さは、見ているだけで不愉快だ。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その祭壇の理をここに」
 こんなものは早々に視界から消し去るべきだとばかりに、るこるは『現象』を選択した。本来であれば、宇宙空間でしか発生することのない、恒星の放つ光と熱の塊を。
「……ッ!!」
「……ほぅ、これは興味深い」
 出現と同時に、フレアに飲み込まれて消滅する怪物。しかし、それを見てもドクター・ハデスは、何ら狼狽することもなく。
「今のは恒星フレアの類かい? 限定的な空間で、宇宙でしか起こり得ない現象を引き起こすとは……これは、なかなか研究のし甲斐がありそうだよ」
 一瞬にして、るこるのユーベルコードの特性を見切り、再び怪物を呼び出そうとする。それも、今度はフレアにも耐えられる程の、凄まじい耐熱性を持った怪物を。
 さすがは狂っても科学者。マッドサイエンティストなだけあって、あらゆる科学的事象への知識を持っている。
「さあ、それでは続きを始めましょうか。終わらぬ悪夢の果てに、我が研究を完成させるために!」
 得体の知れない塊と化した怪物が、更に数を増やして迫り来る。歪んだ悪夢は更なる狂気を内に孕み、未だ終わりを見せずに広がって行く。

●想像を超える創造
 増殖する怪物に、拡散し伝染する最狂の悪夢。他の猟兵達が思わぬ苦戦を強いられる中、稲宮・桐葉(戦狐巫女・f02156)は少しばかり離れた場所から様子を窺いつつ考えた。
「……しかし、ふと思ったのじゃが……メリルの創造物を利用するばかりじゃな。実は自分では無から怪物を作り出せぬとか……?」
『科学者ってやつは、頭でっかちなやつも多いからな。自分の知ってる知識を組み合わせて何かを発明できても、ゼロから何かを閃くことはできないんじゃね?』
 手にした妖刀が、ドクター・ハデスを小馬鹿にしたような口調で言った。それは嫌味と皮肉を込めたものだったが、桐葉にはどこか思い当たる節があるようだった。
「なるほど……自分の貧相な想像力では強力な怪物が作り出せぬから、メリルを利用しておるのかのう? 何はともあれ陰険眼鏡を粉砕じゃ!」
 このままでは、いつまで経ってもドクター・ハデスに攻撃が届かない。早くメリルを悪夢から解放してやらねば、いつまで経ってもバロックレギオンを生産する母体にされたままだ。
「VRマシンとやらを剥がせぬかの? 弓矢で……いや、得意とはいえ、手元が狂えば危険か……」
 もっとも、問題なのはメリルを助けるための手段だと、桐葉はしばし考える。弓の腕には自信があるが、万が一にも矢が逸れて、メリルの頭にでも当たれば彼女は即死だ。
 そんなことは、絶対に避けなければならなかった。もっと堅実で、かつ安全な方法はないものか。そんな中、あれこれと思案する桐葉に向けて、妖刀が意味深な言葉を放ち。
『そういうことなら、俺に任せな。Dress up! Shinto shrine maiden!』
「な、なななっ、なんじゃこりゃーーーっ!?」
 妖刀の宿す怨嗟力が解放され、桐葉の姿が一瞬にして際どい巫女服姿に変化する。なんとも酷い切り札だが、それでも性能は折り紙つき。刀の性能をフルに発揮し、モノノケの加護で防御を固め、おまけに空まで飛べてしまうという優れもの!
「よ、よし……ここは大狐ちゃんに大暴れさせて気を引いておいて……わらわが死角に回り込んでじゃな……」
 専用バイクを巨大な狐メカに変形させ、桐葉はそれを突っ込ませようとした。が、彼女が大狐を繰り出そうとした矢先、手にした妖刀が、またしても勝手に喋り出し。
『逆のが良くね? 桐ちゃん囮で、大狐が奪うの』
「え? 何……ちょ……やめっ!」
 なんと、際どい巫女服姿の桐葉を引っ張る形で、自ら敵の群れに突っ込んで行くではないか!
「ウゥゥ……ォォォォ……」
 触手とゴブリンとムカデが合体したような、見るもおぞましいバロックレギオンが、一斉に桐葉に襲い掛かって来た。
 冗談じゃない。こんな化け物、触れられるのも御免だ。臭い、汚い、気持ち悪い。見事に3Kが揃ったゲテモノではないか!
「えぇい、不埒者どもめ! 寄るな、寄るな、寄らば斬る!!」
『うぇっ!? おいおい……あんまり変なもの斬らせるなって……ぐぇっ、気色悪っ!!』
 先程のお返しとばかり、桐葉は妖刀で敵の触手を斬りまくった。触手の粘液で妖刀がべたべたになって行くが、知ったことか! 斬れ味が悪くなったならば、今度は蟲の腹を貫く形で応戦だ。
『うぅ……臭ぇ! 早く抜いてくれぇ……!!
「えぇい、ごちゃごちゃ言う出ないわ! 自分から飛び込んでおいて、今さらじゃろうが!!」
 毒蟲の腹部を、敢えて刀でグチャグチャにかき混ぜながら桐葉は叫んだ。メチャクチャなチームワークだが、それはそれ。今は少しでも悪目立ちして、大狐がメリルの頭からVRマシンを外すための時間を稼がねば。
「くっ……これ以上、敵が復活したら……あ、あら?」
「これは……どうやら、種切れのようですねぇ」
 敵に囲まれていたヴェルとるこるが周囲の様子を見て何かを悟った。気がつくと、そこにいたのはVRマシンを咥えた大狐。桐葉が時間を稼いでいる間に、大狐は見事VRマシンを回収し、メリルを悪夢から救い出したのだ。
「……やってくれたね。でも、まだだ! まだ、我が創造力が生み出した怪物が残っている!!」
 それでも諦めず、今度は自らの創作物を嗾けて来るドクター・ハデス。恒星フレアにさえも耐える程に強化されたそれは、確かに無敵の存在に違いはなかったのかもしれないが。
「ここは、わらわ達に任せておけい!!」
「心に宿りし勇気の光よ! 剣となりて敵を討て!」
 るこるに襲い掛かろうとした怪物を、桐葉が妖刀で受け止め、そこへヴェルの輝く刃が振り下ろされる。今まで受けた攻撃の数々。それらを全て力に変えて放たれた斬撃には、さしもの怪物もたじろぐしかなく。
「メリルさん、あと少しだけお待ち下さいませ。直ぐに原因を取り除きますので」
 最後は、るこるが再び恒星フレアを発生させるが、その狙いは怪物ではなくドクター・ハデス本人だ。
「なっ……ぐぁぁぁぁっ! 背中がぁぁぁぁっ!!」
 死角から凄まじい熱を浴びせられ、ドクター・ハデスが悲鳴を上げて転げ回った。その瞬間、彼の創造力も弱まってしまったのか、無敵の怪物はヴェルの斬撃を押しこまれる形で斬り捨てられた。
「う……ぐぐ……おの……れぇ……」
 焼け焦げた白衣を脱ぎ捨てながら、立ち上がるドクター・ハデス。しかし、傷は決して浅くなく、焼け爛れた皮膚が赤く溶けている。
「生物の脳で理解可能な範疇を超えた様々な『現象』の前に、『想像』や『悪夢』は及びません。そして……いかに怪物が無敵でも、博士……あなた無敵ではありませんよねぇ?」
 敵の弱点を突いた、的確な反撃。るこるの一撃によって消耗させられたドクター・ハデスは、この戦いで力と手駒を大きく削がれることになってしまったようだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

隠・小夜
袁(f31450)と
アドリブ歓迎、目の露出NG

最高傑作?
自分の想像力が貧困だから
誰かに頼らないと研究の実証が出来ないんだ
本当に……外道に知恵を与えると救いようがないね【挑発】

助けに来たよ、メリル
怖い思いをする前に、止められなくてごめん
でも、終わらない悪夢なんてない
僕が……いや、僕と袁が終わらせてあげるから

協力くらいしてくれるんでしょ、袁
君好みの瞳は……まあ、無いか

UC:拒む意思
敵も、敵の前に立ち塞がる怪物も
踏み潰せ、蹴り飛ばせ、蹂躙してしまえ
素晴らしい?ふざけるな
僕は、こんな醜い化物を生み出す力なんか欲しくなかった
綺麗なんかじゃない
でも……メリルの痛みを知らしめてやるくらいは、出来るよ


袁・鶴
隠ちゃんf31450と

確かに人間の想像力って無限大だよねえ
でもハデス、君も人間の一種なんだって忘れてない?

隠ちゃんの言葉には当たり前だってば。でも…あの瞳は要らないかなあと声を
メリルちゃんは安心して。アレにもしっかり悪夢と苦痛を与えて君を助けてあげるから

挑発する隠ちゃんへ意識が向かうなら
【鴆の翼】で増やした翼にて『毒使い』敵へ毒を撒き散らしつつ『範囲攻撃・なぎ払い』ハデスへ迫る様『滑空』
手のナイフをハデスの右瞳に向け『不意打ちで目潰し・部位破壊』せんと振るおうと思うよ
研究者なら自分も痛みを知っておかないとじゃない?
避けられたとしても翼で『毒攻撃』
肉を蝕み溶かす激痛、存分に楽しんでよ、ね?



●正しき憎悪
 猟兵達の奮闘により、思わぬ痛手を食らったドクター・ハデス。おまけに、メリルに装着させていたVRマシンも解除されてしまい、これ以上は夢を見せることができなくなってしまった。
「まったく……やってくれたね。折角、我の最高傑作を生み出せると思ったのに、まさか途中でこんな邪魔が入るとはね」
 黒焦げになった白衣を完全に投げ捨て、ドクター・ハデスは苦々しい口調で呟いた。もっとも、その言葉は猟兵達の更なる怒りへと、火に油を注ぐ結果しか生まないのだが。
「最高傑作? 自分の想像力が貧困だから。誰かに頼らないと研究の実証が出来ないんだ」
 まったくもって、外道に知恵を与えると碌なことがない。隠・小夜(怪異憑き・f31451)が侮蔑の言葉を吐き捨てるも、ドクター・ハデスは何故か身体を小刻みに震わせて笑っていた。
「外道? フハハハ! それは褒め言葉として受け取っておくよ。我は研究のためならば、人の心など当に捨て去っているのだからな!」
 研究の果てに狂気へと至った科学者の頭には、もはやまともな感性など残っていないのだろうか。人の身でありながら、自ら人であることを否定して、ともすれば神や悪魔の如く振舞う行為。それはいかに人心への理解が疎い袁・鶴(東方妖怪の悪霊・f31450)にとっても、見るに堪えないものであり。 
「確かに人間の想像力って無限大だよねえ……。でもハデス、君も人間の一種なんだって忘れてない?」
「だからどうしたというのだ? まさか、人間らしい心を取り戻して、今さら慈愛や友愛を学べとでも語るつもりかい?」
 己がいかに狂っているのか。それに気付かせてやろうにも、この科学者には何も響かないのだろうか。否、もしかすると、狂ったことを承知の上で、敢えてそれを受け入れているのかもしれない。
「協力くらいしてくれるんでしょ、袁。君好みの瞳は……まあ、無いか」
「当たり前だってば。でも……あの瞳は要らないかなあ」
 拳銃を構え、小夜が言った。その言葉の意味を理解し、鶴もまた苦笑しつつ返す。
 罪人に審判を下し、罪に見合った苦痛を与えるのが獄卒の仕事。だが、目の前の男はあまりに性質が悪過ぎる。瞳に限らず、こんな男の肉体など、地獄の餓鬼でも食らうまい。
 もう、これ以上は限界だった。怒りのままにバロックレギオンを召喚し、小夜はそれを目の前に群がる全ての敵へと解き放った。
「……僕の視界から消え失せろ」
 深淵の底から湧き上がる、雄山羊を模した獰猛なバロックレギオン達。小夜の足元から、背後から、それらは無尽蔵とも思える数が湧いて現れ、目の前に群がる異形の化け物を駆逐して行く。
「おお、君もバロックメイカーなのか! それに、このバロックレギオン達……フフフ、なんと素晴らしい逸材なんだ!」
 だが、その光景に恐れを感じるどころか、ドクター・ハデスは更に興奮した様子で心の底から拍手を送っていた。
「さあ、もっと見せてくれ! 君の怪物の力を! 強さを! その全てを、我の創造の糧としてやろう!!」
 己が研究のためであれば、何であろうと利用する。異能故の痛みや苦しみ。そんなもの、この男には共感するだけの感性も持ち合わせていないのだろう。
「素晴らしい? ふざけるな! 僕は、こんな醜い化物を生み出す力なんか欲しくなかった!」
 怒りが更なるバロックレギオンを呼び覚まし、それらは目の前の怪物を無視して、一斉にドクター・ハデスへと向かっていった。しかし、ドクター・ハデスもまた怪物たちの身体に簡易的な治療を施すと共に、その姿を更に歪んだものへと変えて、小夜のバロックレギオンと拮抗させて来る。
「まったく……君は何も分かっていない。この娘が使い物にならなくなったら、次は君の身体を使って怪物を作るのも悪くないな」
 既にドクター・ハデスの興味は、完全に小夜へと移っていた。目の前の敵でさえ、研究材料としてしか見ることのできない狂った好奇心。確かに、科学者としては、ある意味では正しい姿勢なのかもしれないが。
「……っ!? な、なにっ!?」
 一瞬にして改造した怪物達が薙ぎ払われ、これにはさしものドクター・ハデスも呆気に取られた。
 これも、あの雄山羊型のバロックレギオンの力なのか。いや、違う。これは翼だ。それも、自分の知る限りでは存在しない、架空の世界における鳥の。
「翼が無い子には空の楽しさを、空を識る俺には便利さを……って、ね?」
 気が付くと、そこに立っていたのは鶴だった。彼の背中には、緑青にも似た色をした、美しくも毒々しい翼が生えており。
「研究者なら自分も痛みを知っておかないとじゃない?」
 それだけ言って、片手に握ったナイフを振るう。咄嗟に身を翻して避けたドクター・ハデスだったが、鶴の攻撃はそれで終わりではなかった。
「おっと、まだだよ。本命はこっちだ」
 背中の翼が、まるで鶴とは別の意識を持った生き物の如く伸びきって、そのままドクター・ハデスに突き刺さった。傷こそ浅いものだったが、むしろ本当の地獄はこれからだ。
「う……がぁぁぁっ! こ、これは……!?」
「ご名答。それも、ただの毒じゃない。肉を蝕み溶かす激痛、存分に楽しんでよ、ね?」
 古代中国の文献に記された、鴆という鳥がいる。その翼には毒があるとされ……鶴はそれと同じものを背中に生やし、その羽に宿るとされる猛毒を、相手の身体に注入したのだ。
 UDCアースを始めとした様々なアース世界。そこに現存する文献の中にありながら、しかし発見はされていない鳥。
 既に絶滅した希少生物なのか、それとも空想の産物に過ぎないのか。議論は今も尽きないが、重要なのは、その羽に含まれる毒もまた、人の世では確認されていないということだ。
 ドクター・ハデスがいかに優秀な科学者とはいえ、未知の毒を身体に受ければ、それを解毒するのには時間が掛かる。この男には、一瞬で地獄へ送ったところで物足りない。いや、むしろ楽に死なせてやることは、却って救いにしかならないかもしれない。
「うぐぐ……おのれぇ……。だが、我にはまだ、戦うための術はある!!」
 全身を猛毒に蝕まれながら、それでもドクター・ハデスは残る力を振り絞って、周囲に倒れている怪物達を復活させた。戦闘力は低下し、もはや己の意思さえ奪われた傀儡に過ぎないが、それでも数だけは多いので面倒だ。
「やれやれ、往生際の悪いことだ。でも、メリルちゃんは安心して。アレにもしっかり悪夢と苦痛を与えて、君を助けてあげるから」
 先程の毒は、挨拶代わり。これから先、真の地獄を見せてやると、鶴はメリルに呼びかけて。
「助けに来たよ、メリル。怖い思いをする前に、止められなくてごめん……。でも……」
 そこまで言って、小夜が言葉を切る。彼にとっては、現実こそが地獄である。だが、それでも喉まで出掛かった言葉を飲み込んで、敢えてメリルに向け言葉を続けた。
「でも……終わらない悪夢なんてない。僕が……いや、僕と袁が終わらせてあげるから」
 自分もまだ、手探りで暗闇の中から抜け出そうともがいている最中だ。だから、一緒にこの地獄から抜け出すための出口を探そう。明けない夜は存在せず、出口のないトンネルなど在り得ないのだから。
 復活した怪物達と、再び退治する小夜と鶴。勝負は振り出しに戻されたかのように思われたが、しかしそれでも、彼らの奥に宿る静かな闘志が潰えることは決してなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

カシム・ディーン
神機
…先日の雪辱を晴らしに来ましたよ
メルシー…今回はお前を一人で戦わせはしません

【視力・情報収集・戦闘知識】
異形の怪物の状態と陣形
メリルの位置とそこまでの突破の為のルートの捕捉

UC発動
ダイウルゴス&メルシー
5体は合体してメルシー(少女形態)を乗
残りは三体ずつ合体して強化
その上で戦力差も把握
【念動力・捕食・属性攻撃・二回攻撃】
部屋を埋め尽くす怪物に襲い掛かり喰らい尽くし捕食
念動力障壁で攻撃を防ぎながら光属性のレーザーブレスで怪物とハデスを焼き払
「君にその名前は相応しくないよ。パーデスに改名するんだね!」

カシム
【医術】
メリルの救出を優先
状態を確認
そいつらは怖くない!
ほら…今も簡単にやられてます!


テラ・ウィンディア
神機
…なぁ
教えてくれ
どうしてそんな酷い事が出来る…?

変わらぬ答えに
そうか(感情が消

【戦闘知識】
冷徹に敵の陣形を把握
ハデスへの突破口の捕捉
(実は完全にキレてる。虫も気にせず
特にメリルとハデスの位置と建物の構造を頭に叩き込

【属性攻撃】
獄炎を全身と武器に
【空中戦・見切り・第六感・残像・盾受け】
飛び回りながら回避に努め

メリルー!大丈夫だ!
安心しろ!おれ達が怖い奴も嫌な男も虫もそんな怖いの見せてる最低野郎も皆やっつけてやる!
終わったら美味しいケーキを食べよう!

【二回攻撃・早業・串刺し】
主としてハデスを狙
二刀による斬撃から槍に切り替えて串刺し

UC発動
お前のお望みはこういうのだろう
たっぷり味わえ!
殺到する黒



●外道、死すべし!
 おぞましき怪物の群れを潜り抜け、地下室まで辿り着いたカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)とテラ・ウィンディア(炎玉の竜騎士・f04499)の二人。彼らは目の前に立つ狂気の科学者を視界に捉えるなり、その瞳に侮蔑と憎悪の念を宿し、それでも敢えて彼に尋ねた。
「……なぁ、教えてくれ。どうしてそんな酷い事が出来る……?」
「酷い? いったい、何が酷いというのだ? 我の最高傑作を生みだすための糧となれることは、むしろ誉れなことではないか!」
 全ては自分が世界を征服するために。その目的を達成するためならば、誰の命がどれだけ消えようと構わない。
 何故なら、実験に犠牲はつきものだから。科学の発展に人の命を捧げるのは、至極当たり前のことだから。テラの問いに対して答えるドクター・ハデスの言葉は、己の狂気がさも世界の常識の如く語るようなものであり。
「……そうか」
 変わらぬ返答に、テラの瞳から感情が消えた。
 ああ、こいつはダメだ。もう、完全に狂ってしまって、人間らしい心など欠片も残していない。
「……先日の雪辱を晴らしに来ましたよ。メルシー……今回はお前を一人で戦わせはしません」
 少女形態になった愛機と共に、カシムもまたこれ以上は語るのを止めた。
 どうせ、目の前の男には、もう何を言っても無駄なのだ。あれは人の形をした、しかし人であることを捨てた何か。そんなものに、人間の怒りや悲しみ、そして苦しみを理解してもらうことなど、端から不可能なことだから。
 もはや、ここから先は語るための言葉も必要ない。全身に獄炎を纏い、まずはテラが真正面からドクター・ハデスの軍勢に斬り込んで行き。
「メリルー! 大丈夫だ! 安心しろ! おれ達が怖い奴も嫌な男も虫もそんな怖いの見せてる最低野郎も皆やっつけてやる! 終わったら美味しいケーキを食べよう!」
 敵の攻撃を華麗に避けつつ、反撃の斬撃をお見舞いする。苦手な虫も、今はなんのその。恐怖よりも怒りの方が優先されているのか、メリルに語り掛けながらも、その攻撃の手が休まることはなく。
「万物の根源よ……帝竜眼よ……文明を構成せしめし竜の力を示せ……!」
 その一方で、カシムが顕現させるのは、恐るべき力を持った帝竜の力。かつて、キマイラフューチャーを襲ったドラゴンテイマーが使役し、アックス&ウィザーズにおいても猛威を振るった漆黒の竜。
 帝竜ダイウルゴス。それを小型にしたような竜達が、互いに合体して力を増してゆく。一番強い個体には愛機のメルシーを乗せ、残る個体はそれに追従する形で散開を。四方八方から襲い掛かり、食らい尽くし、テラの行く手を阻む怪物を飲み込んでゆく。
「おのれ……やってくれるな……」
 手駒が瞬く間に減って行くのを前にして、さすがのドクター・ハデスにも多少の焦りが生じていた。
 悪夢を見せるためのVRマシンは、既にメリルから外されている。未だ意識を取り戻さない彼女ではあるが、それでも猟兵達の呼びかけによって恐怖が緩和されているのか、先程からバロックレギオンの供給が止まってしまっている。
 このままでは、敗北するのは必至だろう。だが、そんな状況下において、狂った科学者は最高に邪悪で悪辣な方法を閃いた。
「フフフ……確かに、君達の力は素晴らしい! だが……我には、こういう手段もあるのだよ!」
 そう言うが早いか、ドクター・ハデスはメリルの頭を工具で殴ると、なんと彼女の身体に簡易的な改造を施したのだ。
「フハハハ! 自分が嫌悪していた怪物に、自分がなってしまった気分はどうかな、お嬢さん? さあ、その力を以て、あの猟兵どもを蹴散らすがいい!!」
 拘束を外され、メリルが静かに起き上がる。その髪はメドゥーサの如き蛇の群れに変じ、それらは自在に伸びて、テラやカシムに襲い掛かる。
「なっ……てめぇ! なんてことしやがる!!」
 攻撃を捌きつつ、さすがにテラもメリルのことは斬り捨てることができなかった。これでは、いつまで経ってもドクター・ハデスを攻撃できない。仮に攻撃したところで、相手は容赦なくメリルの身体を、自分を守るための盾に使うだろう。
「どこまでも外道というわけか……。でも、君は勘違いをしているよ」
 今や、完全にドクター・ハデスの手駒となってしまったメリルに、カシムが静かに近づいて行く。敵の前で隙を見せる。その行動は、ともすれば無謀にしか思えないものだが。
「……っ! そいつらは……怖くない!」
 身体に蛇が嚙みつき、その牙から毒を送り込まれても、カシムは怯まなかった。ここで恐れれば、それだけメリルを怖がらせることになる。だから、彼は痛みや苦痛を顔に出さない。
「ほら……今も簡単にやられてます!」
 バロックレギオンの群れを蹴散らすテラを指さし、カシムは告げた。
 この悪夢は、自分達の手で終わらせる。たとえ、君がどんな姿になったとしても、見捨てることなく助け出すと。
「……ば、馬鹿な! そんな……我の最高傑作に至る者達……がっ!?」
 目の前の光景が信じられず、驚愕するドクター・ハデス。いったい、自分は何が悪かったのか。怪物になった少女を救わんと身を犠牲にする猟兵達の所業。それを理解するだけの心を持っていなかった彼の身体に……ついに、テラの持つ槍が追い付いた。
「う……ぐぅ……。い、いつの間に……」
 槍を抜こうと柄に手をかけるドクター・ハデスだったが、当然のことながら、その程度では抜くことなどできない。オブリビオン由来の無駄なタフさを備えてはいるが、それ以外の面において、この狂った科学者の肉体は、悲しいまでにどこまでも人間だ。
「……相転移出力……臨界……縮退圧……極大……重力崩壊臨界点……突破……消え失せろ……その存在全て……消し去ってやろう……!」
 怒りにままに、テラは全ての存在を圧壊するブラックホールを召喚する。それらはドクター・ハデスへと殺到し、その身体を時空諸共に食らい尽くし。
「お前のお望みはこういうのだろう? たっぷり味わえ!」
「う……ぐぉぉぉぉ……っ!!」
 空気が震え、空間が歪む。光さえも飲み込む漆黒の闇。剝き出しとなり、あらゆる存在を蝕む特異点の引き起こす重力崩壊。その現象からは、何人であろうと逃げ出すことは決して敵わず。
「君にその名前は相応しくないよ。パーデスに改名するんだね!」
 それでも自らを改造して、しぶとく生き足掻くドクター・ハデスへ、カシムの操るダイウルゴス達が光のブレスをお見舞いする。それらは重なり、一本の巨大な奔流となり……巨大な爆発を生んで、狂った科学者を吹き飛ばした。 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

高千穂・ましろ
「くっ、拘束されてしまって動けません……」

手術台に捕まったまま、何とかできないか考え……
そうです、ノワールがいました!

「ノワール、お願い、ドクター・ハデスをやっつけて!」

ノワールに魔力を注ぎ【ノワールの真の姿】に変身させます。

『へっ、任せときな、ましろ。
あんなヘナチョコ科学者、ボコボコにしてやるぜ』

人間の男の子の姿になったノワールが人造生命体をやっつけていきます!

「やりましたね、ノワール!
私をここから解放して……」
『ああん?
このオレが自ら戦ってやったんだ。
もちろん、ご褒美くれるんだろ?』
「やっ、ノワール、どこ触ってっ……!?」

ノワールに、さっきの魔物たちにされた行為を再現されてしまうのでした。



●魔法少女のお約束?
 自らの目的を果たすためなら手段を選ばない、卑劣なる悪の科学者、ドクター・ハデス。その野望を他の猟兵達が次々と打ち破り、彼に致命的な一撃を与えて行く中……高千穂・ましろ(黒猫ノワールと契約した魔法少女・f29622)は、未だ手術台に拘束された状態で、全く動くことができなかった。
「くっ、拘束されてしまって動けません……」
 衣服は既にボロボロで、しかし恥ずかしい場所を隠そうにも腕さえ自由に動かせない。おまけに、手術台の隣には先程まで自分を襲っていた屈強な怪物が控えており、ましろが何かをしないよう見張っていた。
 これがバロックレギオンの類であれば、メリルの恐怖が和らぐことで、勝手に消滅してくれたかもしれない。だが、残念なことに、この怪物はドクター・ハデスの創造から生まれた存在。故に、ドクター・ハデスが怪物の強さに疑念を持たない限り、殆ど無敵に近い強さを誇るという厄介な相手。
(「うぅ……このままじゃ、また酷い目に遭わされて……」)
 一瞬、先程まで怪物に凌辱されていた光景が、ましろの脳裏に蘇った。しかも、その記憶を全てVRマシンに記録された上、超高速再生させる形でメリルの脳内に流し込まれてしまったのだ。
 自分が凌辱された時の光景、感覚、恐怖、痛み……それら全てを、どこの誰とも知らない少女に全て赤裸々大公開させられてしまったとのと同じである。精神的辱めとしてはこれ以上にないものであり、正に生きていること自体が恥ずかしいレベル!
「ゆ、許せません……! でも、この状態じゃ……あっ! そうだ、ノワールがいるじゃないですか!」
 ここに来て、ましろはようやく、相棒の黒猫が無事なことに気が付いた。いつも、ましろが辱められる様を眺めているだけで、碌に役立ったこともないはずなのだが、果たして本当に戦力になるのだろうか?
「ノワール、お願い、ドクター・ハデスをやっつけて!」
 ただの猫に願うにしては、随分と無茶な注文であった。そう、あくまで、ただの猫の姿であれば。
『へっ、任せときな、ましろ。あんなヘナチョコ科学者、ボコボコにしてやるぜ』
 ましろの魔力を受け取って、黒猫の身体が大きく伸びる。それは、そのまま人の姿形となり、ノワールは人間の少年としての姿を取り戻した。
「ウゥ……ナンダ……貴様ハ……」
 ましろを見張っていた人造生物達も、どうやらノワールに気が付いたようだ。その本能から、ノワールを新たな獲物だと思い、一斉に襲い掛かって来た……のだが。
『オラァッ! 舐めんじゃねぇ!!』
 ましろの魔力を得て秘められたパワーに覚醒したノワールは、当然のことながら普通の少年などでは決してなかった。
 武器など持たず、徒手空拳だけで、無敵なはずの人造生物達を次々と薙ぎ倒して行く。猟兵達との度重なる戦いで、ドクター・ハデスが弱っており、彼の創造力が揺らいでいたことも幸いした。さすがに、武器もない状態で無双とまでは行かなかったが……それでも、猫の俊敏さと強靭な肉体、そして絶大なる魔力を併せ持った今のノワールは、猟兵に勝るとも劣らない戦闘力を得ているわけで。
『はぁ……はぁ……ったく、手こずらせやがって、このゲテモノどもめ……』
 幾度となく立ち上がってくる人造生物を、最後は細切れの再生不能な状態にまで叩きのめし、肩で息をしながらも勝利を収めた。
「やりましたね、ノワール! 私をここから解放して……」
 ようやく危機が過ぎ去ったと思い、安堵の溜息を吐きながらましろが言った。が、しかし、そんな彼女の言葉に反し、ノワールは実に不機嫌な様子で、彼女の顔の横に手を突いて。
『ああん? このオレが自ら戦ってやったんだ。もちろん、ご褒美くれるんだろ?』
「やっ、ノワール、どこ触ってっ……!?」
 なんど、そのまま本能のままに、ましろへと襲い掛かったではないか! 必死に抵抗するましろだったが、力関係では完全に逆転している上に、そもそも手足が動けないので、どうにもならない。
「ひゃぁっ! や、やめてください、ノワール! そんなとこ触っちゃダメ……んぅぅぅっ!!」
 哀れ、今のましろにできることは、一匹の獣と化したノワールの攻めに耐えることのみ! 唯一の救いは、他の猟兵達がメリルの救出とドクター・ハデスへの憎悪をぶつけることに集中していたので、誰もましろ達の方を見ていなかったことである。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒城・魅夜
愚か者よ
化け物を操ることができるのはあなただけではないと教えましょう

「闇にまぎれ」つつ「早業」でレギオンどもに次々襲い掛かり「吸血」
行動を支配して同士討ちをさせていきます
どれが敵やらわかりにくく
うかつにUCで強化もできなくなりましたね、猟書家

場が混乱しスキができたら
「スナイパー」で鎖を飛ばし猟書家へ攻撃
かすり傷でも構いません、それで相手が怯めば
メリルさんの近くに走り寄り、彼女にもそっと「吸血」し
安らぎとしての「精神攻撃」を与えます
非常手段ですが手を選んではいられませんから

そして先ほどのかすり傷で既に猟書家の末路は決まっています
メリルさんが受けた苦痛全て、いえそれ以上を
そのまま返してあげましょう



●永遠の苦痛
 歪んだ空間が元に戻り、捻じれた塊が残される。バロックレギオンの大半を失い、果ては己の創造した怪物さえも倒されてしまったドクター・ハデス。彼の身体は特異点によって蝕まれたことで、酷く歪んでしまっていた。
「あ……ぐぅ……ぁぁ……」
 それでも死ねず、片手を伸ばして自らの肉体を治療する。常人であれば、とっくに身体が千切れてもおかしくないだけの状態にされながら、苦痛を感じつつも楽には死ねない。
 オブリビオン故の出鱈目なタフさが、ドクター・ハデスを苦しめる枷となっていた。死にたい時に死ねないというのは、ある意味では地獄だ。もっとも、それは人の身体と心を弄び、他人をモルモット以下の存在としてしか考えなかった、狂った科学者の末路に相応しいのかもしれないが。
「お、おのれ……猟兵どもめ……。よくも、我の美しい最高傑作を……」
 ようやく立ち上がり、ドクター・ハデスは周囲の状況を見て改めて悟った。
 あれだけ大量に生み出されていたバロックレギオンは、もう大半が残ってはいない。それでも、辛うじて生存している個体に強化手術を施そうとするが……そうはさせぬと、最後の刺客が舞い降りる。
「愚か者よ。化け物を操ることができるのは、あなただけではないと教えましょう」
 黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)。悪夢そのものである彼女からすれば、悪夢より生まれし存在を操ることも、また容易い。所詮は手負いのバロックレギオン。一気に近づき、少し血を吸い取ってやれば、それだけで彼らはドクター・ハデスではなく魅夜の傀儡と化してしまう。
「さあ、これでどれが敵やらわかりにくく、うかつにUCで強化もできなくなりましたね、猟書家」
 同士討ちを始めたバロックレギオン達を横目に、魅夜は勝ち誇った様子でドクター・ハデスへと告げた。それでも、やはり最後まで、悪人というのは救い難い程に往生際もまた悪いのだろうか。
「フフフ……それはどうかな? 君達の行動原理は、実にシンプルだからね。そう、こんな風にするだけで、君はこちらを攻撃できない!」
 先の戦いで意識を奪われ、その身を改造されたメリルの身体を、ドクター・ハデスは自らの前に置いて盾とした。
 最後の最後まで、非道と卑劣を絵に描いたような行動。もはや、憤ることさえ馬鹿馬鹿しい。感情を無にして魅夜が鎖を投げ付ければ、それは不可思議な軌道を描き、メリルの身体を避けてドクター・ハデスの頬を掠めた。
「……っ! き、貴様……よくも!!」
 既に己の身体を回復するだけのリソースもないのか、ドクター・ハデスは怒りに震えることしかできない。仕舞には、ヤケクソになってメリルの頭に工具を振り降ろそうとしたが、それよりも魅夜が動く方が速かった。
「残念でしたね。もう、これ以上は、この娘をあなたの玩具にさせません」
 少女の身体を、記憶を、心を弄び、怪物を生み出す母体とした罪は重い。異形の姿と化したままのメリルの首筋に、魅夜はそっと噛みついて血を啜る。攻撃するためではなく、この悪夢を終わりにするために。彼女の心に安らぎを与え、ドクター・ハデスの枷から解放するために。
「ハ……ハハハ……無駄なことを……。そんなことをしても……その娘の身体は、元には戻らない……」
 ユーベルコードが解除されるには、丸一日程の時間を要する。苦し紛れに嫌味を放つドクター・ハデスだったが、魅夜からすれば、それは百も承知の上。
「……咎に抱かれて悪夢に消えよ、我、倶に天を戴かず」
 恐ろしく冷めた視線で貫きながら、魅夜は憎悪の感情を込めて詠唱した。
 先程の攻撃は、ほんのかすり傷しか与えていない。が、それで十分だ。少しでも傷を与えることができれば、それは怨念の刻印となり、怨みの強さに比例して心身を引き先続けるのだから。
「先程の攻撃を受けた時点で、あなたの結末は決まっています。メリルさんが受けた苦痛全て……いえそれ以上を、そのまま返してあげましょう」
「なっ……ぎゃぁぁぁっ!!」
 瞬間、凄まじい悲鳴と共に、ドクター・ハデスの身体が縦に裂けた。こんな状態になって、生きていられる人間など存在しない。それでも、即死する前に身体を繋ぎとめようとするドクター・ハデスだったが、辛うじて命を繋いだと思った矢先、今度は右手の指先が全て吹き飛び、左手は手首から引き裂かれて床に転がった。
「あ……ぁぁぁぁぁ!! ぐぁぁぁぁぁっ!!!」
 もはや、これでは肉体を治癒することさえ難しい。否、仮に治癒したところで、それを上回る速度で引き裂かれ、より苦痛を感じる時間が増すだけだ。
 重力崩壊を受けても死ななかった肉体。それは皮肉にも、ドクター・ハデスがメリルに与えていた苦しみを、彼自身にじっくりと体感させて殺すのに一役買っていた。改造に改造を繰り返して強化された肉体は、今となっては彼に安らかな死を与えることを拒み、無理やりにでも現世に留まらせようとする、呪われた楔にしかなっていなかった。
「せいぜい、苦しみ、のたうち回りなさい。どうせ、骸の海に還ったら、何事もなかったかのように復活するのでしょう?」
 ならば、骸の海が恋しくなる程、徹底的に苦痛を与えてから還ってもらおう。そして、再び現世に現れた際には、今以上の苦痛を与えて死んでもらおう。
「永遠に恨まれ、憎まれ、蘇る度に猟兵から痛めつけられるのが、あなたの宿命です。そう……あなたは、死にすら値しない」
 気絶したままのメリルを抱え、去り際に魅夜は、それだけ告げた。このまま放っておけば、ドクター・ハデスはいずれ死ぬ。1日かけてゆっくり休ませれば、メリルも異形の姿から、再び己の姿を取り戻すことだろう。
 薄暗い廃病院を背に、戦いを終えて去り行く猟兵達。だが、彼らが去った後も、身を裂かれ続ける苦痛に悶える男の叫びは、夜明け近くまで続いたという。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月03日


挿絵イラスト