銀河帝国攻略戦⑤~対戦車道、はじめましょう
フォースナイト・ミディアのユーベルコードによってもたらされたワープドライブは、スペースシップワールドの力関係を一変させるものであった。これによって、ワールド内のすべての宇宙船を集めることが理論上可能になったのだ。それは、まさしく『解放軍』の結成を意味していた。
もちろん、銀河帝国も手をこまねいてそれを見ているだけではなかった。同盟戦力として艦隊が動き出す前に、先んじてワープドライブを搭載した宇宙船を叩くという、きわめて簡単な作戦を開始したのだ。圧倒的な戦力を擁する銀河帝国だから、できる作戦であった。
艦隊に合流しようと準備を続ける宇宙船『ロルフ・シュタイナー号』のそばに、銀河帝国の艦船が出現したのもそのときである。これは、しかし、逆に孤立した帝国艦を撃退する、絶好のチャンスでもあった。
「聞いてくれ。とうとう戦争が始まった」
グリモアベースで、壇之浦・叢雲は猟兵達に、深刻な顔をして説明を始めた。スペースシップワールドの現状、銀河帝国の戦略、そしてワープドライブについて。
「反帝国戦力を集結させるため、ワープドライブを積んだ宇宙船を、帝国の襲撃から護るのが、今回の任務だ」
叢雲は作戦の説明を始めた。猟兵達は、宇宙船『ロルフ・シュタイナー号』の係留されている宙域に出現した、銀河帝国の揚陸艦内に直接、グリモアベースから叢雲が送り込む強襲作戦となっている。艦内には多数の兵器が、宇宙船『ロルフ・シュタイナー号』へ乗り移って主導権を奪うため、出撃を待っている。それを撃破して、揚陸艦を無力化することが今回の目標であった。
揚陸艦の格納庫には、侵入地点からハンガーエレベータをたどるか、タラップを通ることですぐに向かうことができる。艦を接近させないと襲撃できない帝国に対して、堂々と侵入し庫内での戦闘に集中できるのが、猟兵にとっての強みであった。そして、庫内の兵器を全て破壊したあとは、ミディアが別の宇宙船で迎えに来る手はずとなっていた。
そうして戦車の突入を防げば、宇宙船『ロルフ・シュタイナー号』は反撃の準備がじゅうぶんに整うだろう。そのあとは彼らに任せてしまえばよい。それまでの護衛を、猟兵は行うかたちであった。
「帝国艦に搭載しているのは、戦車だ。――”猟”兵の本領だな」
戦車対猟兵、すなわち狩り。叢雲は猟兵達を見渡すと、笑みを浮かべた。
「スペースシップワールドの命運は、貴殿らにかかっている。武運を祈るぞ」
ややばねねねや
●======
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●======
戦争が始まりました。「銀河帝国攻略戦」の⑤を取り扱うシナリオとなります。
今回は、猟兵達が敵艦の格納庫内に到達してから、戦車隊を全滅させるまでの描写となりますので、敵戦車をいかに格好良く撃破するかに集中していただいて構いません(敵艦の撃破は味方宇宙船が行います)。皆様の対戦車道の神髄を見せていただければと思います。
それでは、よろしくお願いいたします。
第1章 集団戦
『小型歩行戦車』
|
POW : インペリアルキャノン
【機体上部に装備されたビームキャノン】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : タンクデサント
【完全武装した銀河帝国歩兵部隊】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : サイキックナパーム
【機体後部から投射する特殊焼夷弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【搭乗者の念動力で操作できる】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
フォーネリアス・スカーレット
そうか、分かった。全員殺す。命などあっても無くてもオブリビオンに違いは無い。
四つ足の戦車か。懐に入ればガラ空きだ、解体は容易い。問題は懐に入るまでだがな。この丸盾は小さいが、頑丈だ。殴るのにも使うからな。それに射撃位置の予測ならいつもやっている。ビームだろうが魔法と大差はない。
丸盾を構えて射撃を防ぎ、竜の跳躍やフックロープを交えた立体軌道で射撃予測をかく乱。懐に入れば電磁居合斬りで一撃だ。
どうせ味方には派手な動きをする奴が居るだろう。精々囮に利用させてもらう。結果的に全員殺せればそれでいい。
「全員殺す。命などあってもなくても、オブリビオンに違いはない」
格納庫に先陣を切って突入したのはフォーネリアス・スカーレットだった。突然の猟兵の侵入に、帝国兵たちはほんの少し、浮き足だった。
しかし、フォーネリアスにはその短い時間だけでじゅうぶんであった。彼女はリニアブレードと剣闘士の丸盾を左右に構え、駐機してある戦車の群れに単身飛びかかっていった。
「懐に入ればガラ空きだ」
戦車兵が対応するその前に、フォーネリアスは最初の1台の懐に、いちはやく飛び込んだ。電磁加速する居合い刀の刀身がきらりと光ると、多足戦車の胴部はまるで大根のようにすっぱりと斬り落とされた。
ようやく、狙いを付けた別の戦車がフォーネリアスにキャノン砲を発射した。しかし、自分を狙っていると分かっていれば、彼女が砲撃を躱すのは朝飯前である。
追ってくる砲身を一瞥すると、次の砲撃は丸盾で受け流す。頑丈な盾を斜めに構え、砲の威力を削ぐ被弾径始の効果を狙ったのだ。
それから、フォーネリアスは砲弾のひとつもかすめることはなかった。次に彼女は、格納室の天井を走るパイプにフックロープをかけ、巻き上げ機構の力も借りてふわりと飛び上がった。
戦車は空の目標は苦手であった。仰角が足りず、砲がフォーネリアスに追いつけないうちに、彼女はリニアブレードを大上段から戦車にお見舞いした。
「解体は容易いな」
戦車が縦に真っ二つにされるのを、フォーネリアスは感情の伴わない目で見ていた。彼女の次の目標は、後続の猟兵に気を取られ、砲塔を背けている戦車だ。
これもまた、フォーネリアスの一刀の餌食となった。次々に爆発する戦車を尻目に、彼女は次の目標の算段に入った。獲物の戦車には、まだまだ事欠かない。
「どう斬ろうと、全員殺せればそれでいい」
フォーネリアスは、リニアブレードを掴む手にぐっと力を入れた。
大成功
🔵🔵🔵
ソーニャ・ロマネンコ
戦車だと…?
運が悪かったな貴様等…生憎私は傭兵上がりでな、現代戦には慣れている。
ユーベルコード【特殊弾装填】で威力重視の弾丸を装填し、後方から1匹ずつ戦車の装甲ごと対物狙撃銃でブチ抜くぞ。
【スナイパー】と【戦闘知識】で一定距離を維持しつつ立ち回り【援護射撃】で味方のキルアシストも行う…まぁ、撃たれた後で稼動する根性があればだがな?
さあ、狩りの時間だ。
格納庫に向かいながら、ソーニャ・ロマネンコは高揚を抑えられずにいた。何しろ、相手は戦車だ。傭兵上がりの彼女にとっては、慣れっこの相手であったのだ。
「運が悪かったな、貴様等は……」
床に伏せて対物狙撃銃に銃弾を装填しながら、ソーニャはつぶやいた。彼女が用意した弾丸は、口径こそ狙撃銃と呼ぶべきサイズであったが、貫徹能力に極めてすぐれた、硬く重い弾頭を備えていた。それは、地上用の主力戦車をも破壊できる能力があり、主力戦車と比べると紙ほどの装甲すら持たない宇宙用の帝国戦車は、もはやおもちゃ扱いであった。
ソーニャは敵戦車に接近せず、遠方から狙撃することを選んだ。遠方とはいえ、格納庫の中には変わりないから、スコープも不要の距離である。狙撃兵の存在にまだ気付いていない戦車を集団の中から見繕うと、ゆっくりと狙いを定め、彼女はやわらかく引き金をしぼった。
激しいマズルフラッシュがおこるのと、戦車に弾丸が到達するのは、ほぼ同時であった。まるで針のような弾頭が、戦車の装甲をいともたやすく穿孔し、内部へ侵入した。その際に、弾丸は砕け散って四方に分散する。その破片一つ一つが、戦車の内部構造をずたずたにする威力を持っているのだ。もちろん、それは乗員に対しても例外ではない。
命中した箇所の穴は小さいが、その裏では激しい破壊が起こっていた。戦車はあっという間に機能を停止し、炎上を始めた。一瞬の出来事だった。
「オーダーメイドの高級品だ……受け取れ……!」
槓桿をつまみ遊底を動かすと、ぴんと小気味よい音を立て薬莢が撥ねた。それは格納室の床に落ち、鋭い金属音を上げた。次の目標のサインである。ソーニャは、ふたたび弾丸を装填した。
場所を変え、ソーニャは狙いを定めなおした。彼女の目に映ったのは、猟兵を囲もうとしている戦車の一群であった。もちろん、彼女がこうして狙撃銃を構えていることに気付くよしもない。
「すぐにブチ抜いてやるからな……」
発射音とほぼ同時に爆発音があり、ややあって薬莢がはじけ、床に落ちる。このシークエンスが数度続くと、格納庫の一角にはがらくたの山ができていた。
ソーニャはまた、次の目標を探しはじめた。
狩りの時間が始まったのだ。
大成功
🔵🔵🔵
水島・可奈
戦車だったらクラッキング通じるよね?私でも、役に立てるなら、役に立ちたいし。
電脳魔術:信号掌握で同士討ちを狙ってみるよ。残りの数が少なくなってきたらルクス・ブレイカーで攻撃。
自分が撃たれたらおしまいだから遮蔽物に隠れながらこれらの行動をしていくよ。あと、撹乱用に反射銃撃も混ぜていく。
さあ、私の掌の上でせいぜい踊りあかしちゃって。こんなところで私たちは立ち止まるわけにいかないからね。
柱の裏や物資コンテナの隙間など、物陰から物陰へと、格納庫の中を素早く動く影があった。水島・可奈である。戦車の砲撃を警戒した彼女は、けっして自分が狙われないように、細心の注意を払っていた。戦闘においては最前線に出ることの少ない彼女だが、銀河帝国に抗おうとする人々の役に立ちたい気持ちが、その背中を後押ししていた。
「どれから攻めようかな……」
可奈は、電脳ゴーグルを起動する好機を待っていた。周囲では格納庫内にもかかわらず、多数の砲撃が飛び交っている。いまだ、戦闘を続ける敵戦車は、数を頼みにしていた。それは、遮蔽を利用して身を隠す彼女の戦法にも、いくばくかの綻びが生じる可能性を示唆していた。
可奈にとっては、しかし、それは想定内の事象である。このまま動いてはみずからの姿を晒すことになるであろう敵戦車に対し、愛銃パープルフォースの銃口を向けることなく、彼女はこっそりと引き金を引いた。打ち出された銃弾は、格納庫の壁に跳ね返り続け、そこらじゅうから派手な音を発したあと、ようやく戦車に命中した。周囲の戦車は一斉に反応したが、どこを見ればいいのか分からず、ただ砲塔を左右に揺らすだけだった。
今だ。可奈は電脳ゴーグルを起動し、出力を上げた。電脳魔術のユーベルコードであった。ゴーグルから発せられたクラッキング信号は、戦車の戦闘指揮システムを乗っ取り、戦車の意のままに操るものである。支配下に置いた戦車に、可奈は他戦車への攻撃、すなわち同士討ちを命じた。
「さあ、私の掌の上でせいぜい踊りあかしちゃって」
運用の全てをシステムに任せている戦車隊は、たちまちパニックに陥った。反撃のため放った砲の流れ弾が次々と戦車に命中し、可奈のいる格納庫内の一角は、戦車によるバトルロイヤルの様相を呈していた。
身を潜めたまま、可奈は勝者を待った。しばらくして、最後に残ったたった1輛の戦車が、敗者の間を縫うように動いているのを彼女は認めた。しかし、それは勝者と呼べるほどのものではない。砲塔ももはや回らず、車体の至る所から火花と煙を上げる戦車の前に、可奈は立ちはだかった。パープルフォースを堂々と構え、彼女は優勝賞品を進呈しようとした。むろんそれは、クー・デ・グラースのことである。
戦車は、使い物にならない主砲でなく、後部から焼夷弾を撃ちだそうとした。システムに依存せず、搭乗者の念動力で操作できるためだった。しかし、その努力もむなしく、焼夷弾より先に、可奈のルクス・ブレイカーが発動した。
「さようなら。こんなところで私たちは立ち止まるわけにいかないからね」
瞬く間に、勝者は敗者となった。
戦車隊の戦力は、崩壊しかけていた。
大成功
🔵🔵🔵
バレッタ・カノン
援軍がやられてしまえばこちらの敗北は濃厚になる
必ずこいつらは殲滅する、1匹残らず
まず1両接近したい
砲が脅威だが体勢を崩せば照準は合わせられまい
榴弾をやつらの足元へ【投擲】し爆風の【衝撃波】を食らわせる
そこでユーべルコード【ビルドロボット】で戦車と合体
ここから反撃開始だ
ビーム砲と対戦車徹甲弾の【投擲】で【援護射撃】を行う
接近されれば【怪力】でねじ伏せ、砲の照準を戦車の隊列に向けてやるのも良さそうだ
この日のために徹甲弾も榴弾もありったけ持ってきた
一両たりともここを通してやるものか
戦場の匂いだ
戦場の光りだ
戦場の振動だ
帰ってきた、これが我が家だ
1輛たりとも、ここを通してやるものか。
多数の敵戦車を前にして、バレッタ・カノンは、いやが上にも血が騒いでいた。戦車を撃破し、揚陸艦を沈めないことには、友軍であるロルフ・シュタイナー号は『解放軍』に合流することができない。それが積み重なってしまえば、猟兵側――スペースシップワールドの敗色は濃厚となるのだ。ひとつ残らず殲滅する、その意気込みで、バレッタは帝国艦の格納庫に足を踏み入れた。
敵戦車隊の残存兵力は、大きく低下していた。しかし、猟兵達との砲兵は依然として続いている。格納庫自体も戦闘によって大きく損傷してい、格納庫ごと艦が崩壊する危険性もはらんでいる。双方、これ以上戦闘は長引かせたくない状況となっていた。
戦場を見渡すと、バレッタは手近な1輛の戦車に接近した。そして、挨拶代わりの榴弾を、多足戦車の足元に投げつけた。彼女が用意している砲弾は、そのサイズからも分かるとおり、もともと戦車砲で撃つためのものであった。それを、彼女が投擲して使用できるように、特別に調整したのである。重くてかさばる砲自体を必要としないのが、最大のメリットであった。
バレッタの榴弾は、戦車の立つ目の前の床に着弾し、同時に内部の炸薬に点火された。実際の効果は、戦車砲で投射されたときとまったく変わらなかった。弾殻の破片が混じった爆風の衝撃波が、戦車を脚部を破壊し、擱座させた。ひとたび体勢を崩してしまえば、砲の照準がままならなくなった戦車を見捨て、乗員が脱出するのにはさほどの時間を要しなかった。
反撃開始の時間だった。バレッタは、ビルドロボットのユーベルコードを発動させた。戦車の機構が、装甲が、武装が彼女と一体化し、新たな二足歩行ロボットとして、かの猟兵は戦場に降臨した。
戦場の振動が、バレッタの身体をびりびりとふるわせた。
戦場の匂いが、格納庫内いっぱいに充満していた。
戦場の光が、バレッタの目の前で次々と現れは、あっという間に消えていった。
――それからは、戦場はバレッタのものとなった。
ロボットの武装である砲だけでなく、さらに怪力となった対戦車徹甲弾の投擲で、彼女は敵戦車を撃破していった。とくに徹甲弾は後方に羽根のついた、まさに矢のような尖った棒状で、やすやすと戦車の装甲に風穴を開けた。
近すぎる敵戦車には、バレッタはつかみかかり、砲身を無理矢理へし曲げた。あらぬ方向へ撃たれたビームキャノンは、格納庫にも味方にも襲いかかり、より一層、彼女の殲滅の速度を増す結果となった。
「帰ってきた……これが我が家だ」
感慨深く、バレッタが郷愁を口にしたときには、格納庫内の帝国軍戦車のうち動くものは、1輛も存在しなかった。はたして、猟兵達の戦闘は終結した。
艦の外では、ロルフ・シュタイナー号の攻撃準備が整っているはずだった。猟兵達は、もう艦から退避しなければならなかった。
バレッタは、久々の感傷との別れを惜しみつつ、次の戦場に思いをはせていた。
大成功
🔵🔵🔵