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正義の心よ、スロット拳を破れ!

#キマイラフューチャー #猟書家の侵攻 #猟書家 #ロンダリングラクーン #ヒーローマスク #宿敵撃破

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 キマイラフューチャー、僻地。
 そこに何時の間にか築かれた中華っぽい建物の中で、怪人たちが拳法の修行に励んでいた。
『われらが邪拳、唯一恐れるべきは決して折れぬ正義の心。
 ――そして、正義の種族ヒーローマスク』
 ずらりと居並ぶ高弟たちの間を行き来しながら喋るのは、「邪拳殿ラクーン」の首領にして、猟書家ロンダリングラクーンその人である。
『だがその熱き正義の心こそが隙。われらが悪事を働けば、奴らは必ず姿を現そう。この大役を果たす者はおるか』
『師父、ならば我々一派にお任せあれ!!』
『ほう』
 すぐさま名乗りを上げたのは、巨大なスロットマシンが拳法着を着込んだような姿をした怪人たちであった。
『我らが享楽を邪魔する憎きヒーローマスク、奴には恨みがあります!!』
『この手で返り討ちにして、師父に献上いたしましょう!!』
『奴が邪拳士に目覚めれば、あのゲームストリートは我らのもの!! コンコンを全てスロットゲーム式に改造し、世界征服の一助としましょう!!』
『ついでにスリーセブンを揃えない限り、生活必需品が出ないようにしてやります!!』
『もし当ててもメダルやホビーグッズしか出ないようにしてやりましょう!! うう、なんだか興奮して来ました!!』
 グルングルンと顔面のスロットを回し、勝手な事をまくし立てる怪人たちを見ていたロンダリングラクーンは、やがて静かに首肯する。
『良かろう。期待しておるぞ』
『『『『『ははー!!』』』』』
 ドスドスと足音を響かせながら、スロット怪人たちはカンフー場を去るのだった。


「キマイラフューチャーで、事件発生にござりまする」
 グリモアベースでそう報告したのは、四宮・かごめ(たけのこ忍者・f12455)だ。
「とある大型ゲームセンターに怪人達が押しかけ、迷惑行為を働いている真っ最中にござりまする」
 そこへ一体のヒーローマスクが飛来し、現場のバーチャルキャラクターと合体。
 怪人たちに勝負を挑んでいるが、劣勢に立たされているという。
「この怪人たちは猟書家『ロンダリングラクーン』の育て上げた邪拳士。着ているカンフー着が動かぬ証拠にござりまする」
 邪拳士が事件を起こせば、どこからともなく正義の怒りを感じたヒーローマスクが現れる。
 それを倒し、蘇らせることで、新たな邪拳士を生み出すというのが、悪の組織「邪拳殿ラクーン」の狙いだ。
「体格差を無に帰す邪拳と、決して揺るがぬ正義の心。この二つを備えた存在がオブリビオンとして蘇れば、恐ろしい存在となる事必定にございまする」
 そのような事態は、何としてでも阻止しなくてはならないだろう。

「まずは現場の怪人を蹴散らさなければなりませぬ」
 敵は『スロットマシン怪人』。享楽的でギャンブルを好む者が、生き延びる為に自らを怪人化した姿だ。その無責任で楽しい事好きな性質は今も引き継がれている。
 数と地の利でヒーローマスクを圧倒している彼らだが、その油断を突いて戦いに割り込める見込みが、今ならまだある。
「そうそう、ヒーローマスク達はその場に留まって応援してくれる筈にございまする」
 なにせ猟兵達は、キマイラフューチャーでは誰もが知るヒーローなのだ。普通に怪人たちを相手しても良いが、応援や協力を貰えれば優位に戦えるだろう。何なら、装着させて貰っても良いかも知れない。

 怪人たちを叩きのめせば、悪の組織の支部の場所を聞き出すことが出来るだろう。
「待ち受ける『ロンダリングラクーン』を倒せば、世界征服を企む『キング・ブレイン』に一矢報いるという目標に、少しだけ近付くことになりまするな。皆様どうかお気をつけて」
 準備の整った者から転送する旨を伝え終えると、かごめはぐるぐると肩を回すのだった。


白妙
 白妙と申します。
 今回の舞台はキマイラフューチャー。
 ヒーローマスクを狙う怪人たちと、猟書家幹部『ロンダリングラクーン』を倒すのが目的です。

 全2章で完結するシナリオとなります。

●第1章【集団戦】
 巨大なゲームセンターで暴れる『スロットマシン怪人』と交戦します。
 全員が拳法着とチャイナ帽子を着込んでおり、彼らがヒーローマスクを倒す寸前で割り込めます。

●第2章【集団戦】
 組織の支部に乗り込み、幹部『ロンダリングラクーン』との決戦を行います。

●ヒーローマスク『GGウェルプ』
 VRゴーグルのような形をしたヒーローマスク。
 相棒のバーチャルキャラクターはゲーム仲間。
 使用UCはジャスティス・ペインとバトルキャラクターズ。
 1章開始時点では中程度の傷を負った状態です。

●プレイングボーナス(全章共通)
 ヒーローマスクに応援される(戦力はそこそこあります)

 1章、2章ともにプレイング受付は断章投下後となります。宜しくお願いします。
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第1章 集団戦 『スロットマシン怪人』

POW   :    プレジャー・プリーズ
自身の【刹那的な楽しみ】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    スリーセブン・スラッシャー
【頭部のスロットをフル回転しての連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    ロスト・ロケット
自身の装備武器に【遺失技術製のロケットエンジン】を搭載し、破壊力を増加する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「「うわぁ!!」」
 怒涛が如きグルグルパンチを食らい、強化ガラスを割ってクレーンゲームに突っ込んだのは、バーチャルキャラクターの少年と、その相棒であるヒーローマスクだ。
 たまたま訪れていたゲームセンターに集団で押しかけた怪人たち。
 彼らのマナーの悪さを前に正義の心を燃え立たせ、二人が合体を果たしたのが、つい数分前。
『弱い弱い!! 正義のヒーローもこの程度かァァァァァ!!!』
 あっという間に叩きのめされた二人は、いつもより気持ちテカテカしている『スロットマシン怪人』達により包囲されてしまったのだ。
『放逸!! 放縦!! 勝手気儘!! 遊べば遊ぶほど強くなる!! 無責任の心から生み出される回転の力こそ我らが射倖神拳(しゃこうしんけん)の真髄ィィィィ!!』
「く、くっそぉ……!」
 悔しさに歯噛みするヒーローマスクと少年。だが申し訳程度に頭に乗せたチャイナ帽子を激しく揺らし、今も下品な笑い声と共に筐体に取り付く彼らは事実、二人の『ジャスティス・ペイン』を同系統のユーベルコードで押し返して見せた。
『この場は――いや、エンタメだらけのこの星は元来我らが独壇場!! 片や享楽に水差す正義の心なぞ無用の長物!! それでは、グッドゲェムゥゥゥゥゥ!!!!』
「「もう駄目だ……!」」
 ぐわりと振り上げられたレバーの拳。だがそこに割って入るのは――!
レパル・リオン
あきらめないで!
怪人とヒーローの間に割り込み、体を張って攻撃を受け止めるわ!

燃える拳は闘志の証!正義の心が虹になる!
魔法猟兵!イェーガー・レパル参上!

邪拳殿ラクーン!この星に息づく正義の心を、侵略の道具にはさせないわ!

怪人の連続攻撃と、あえて真っ向勝負!
激しく打ち合うことで、あたし自身の気合パワーを高めるわ!

オーラを纏うあたしの拳をも削り潰してしまいそうな、怪人の猛ラッシュ!
でも、これに打ち勝ってこそ、ヒーローに、人々に勇気を与えられるってもんよ!

拳を激しく打ち出し、怪人の体をぶち抜くっ!
ぶつかり合いが雷になり、悪を貫く杭になる!
必殺!ポジトロンッ!バンカァァーッ!



『死ねエエェェェェィィ!!』
 『スロットマシン怪人』の拳が、ヒーローマスクと少年に迫る。
「もう駄目だ……!」
 絶望的な光景を前に、二人が目を閉じる……直前。
「――あきらめないで!!」
 力強い声と共に――視界に何者かが割り込む。
 ズン、と衝撃音。
「……!」
 恐る恐る二人が目を開けた時、そこには敵の重撃を受け止める、一人のキマイラの背中があった。
『き、貴様は!!』
「――ふっ!」
 少女が蹴りを繰り出せば、ルーンで増幅されたキック力がオブリビオンを大きく後退させる。
「燃える拳は闘志の証! 正義の心が虹になる! 魔法猟兵! イェーガー・レパル参上!」
 ビシッ! とポーズを決め名乗りを上げたのは、レパル・リオン(魔法猟兵イェーガー・レパル・f15574)。鍛えた体と目覚めた魔法(気合)でオブリビオンと戦う、心熱きスーパーヒーローである。
『やはり猟兵! おのれ……!』
 レパルの宣戦布告に対し、よろけながらもオブリビオン達は臨戦態勢を取る。
「邪拳殿ラクーン! この星に息づく正義の心を、侵略の道具にはさせないわ!」
「――!」
 片や、後ろの二人の瞳は輝きを取り戻していた。自分達が目指してやまない正義のヒーロー。その理想形が目の前にいたからだ。
『ぬうう、ならばお前からだ!!』
 軽く前傾姿勢を取ったオブリビオンは……剥き出しにした顔面のスロットを高速回転させ始めた。
『奥義、スリーセブン・スラッシャーッッッ!!』
「やってみなさいよ!」
 ドスドスと地響きを立てて接近するオブリビオンに、レパルは怯まず真っ向勝負の姿勢を見せる。
 次の瞬間、両者衝突。ゲームセンターにぶわりと起こる風に乗りオーラの燐光が舞う。
「はぁぁぁっ!!」
『うわはははは!! 切り刻んでくれる!!』
 激しい拳の乱打を繰り出し、敵の突進を食い止めるレパル。だがいつ終わるとも知れぬ敵の連続攻撃は、レパルの纏うオーラをギャリギャリと容赦なく削っていく。
 一瞬でも気を抜けば、たちまちレパルの拳を握りつぶしてしまうだろう。だが。
(「これに打ち勝ってこそ、ヒーローに、人々に勇気を与えられるってもんよ!」)
 レパルは背中に注がれる熱い視線を感じ取っていた。それは、守るべき人であると同時に共に戦う仲間からの、確かな応援メッセージであった。
「――!」
 レパルがラッシュの速度を上げた。同時にその桃色の体毛の上で、稲妻が爆ぜる。
『お?』
 激しいぶつかり合いは凄まじい熱量を生み出し、それらは超圧縮された電気エネルギーとしてレパルの拳に収束していく。やがて臨界に達した時。
「必殺!!! ポジトロンッ!!! バンカァァーッ!!!!!」
 掛け声と共に、一際激しく打ち出される拳。纏う紫電が、直撃と共に閃光の杭と化してオブリビオンの巨体を貫く。
『アガァ―――ッ!!!』
 駆け抜ける衝撃にオブリビオンが絶叫を挙げたかと思えば――爆発。
 周囲の仲間をも巻き込み、その体を跡形も無く四散させたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パトリシア・パープル
コンコンコンを改造しようなんて許せないわね

まずは敵の集団に『禁断の香りの香水』を投擲
臭いに悶絶してる間にヒーローマスクを助け出すわ
「大丈夫? ここから先は、わたしに任せて……ってことで、応援よろしく!

同時に、相棒のリッキー・ジョーを密かに放って、臭いでパニック状態の怪人達にこっそり妖怪メダルを貼り付けさせる
「スロットって言ったら、やっぱメダルっしょ?

これで準備は完了
メダルのせいで相手の行動は全部嘘、要するに強制キャンセルされるから、攻撃も回避もなかったことになるしw
あ、自分達でメダル剥がそうとしても、それも嘘になるから無駄よ

後はヨーヨー攻撃の連打でトドメ!
回転攻撃なら、こっちも負けないのよ!



 ターゲットを逃がすまいと取り囲むオブリビオンの密集地帯で――パリン、と、小瓶が割れる音が響く。
 一瞬の間を置いて広がり始めたのは……悪臭だった。
『うぎゃ~、なんだこれ!?』
『毒ガスか!?』
 それも並大抵のものでは無い。嗅覚のみならず視覚をも一時的に潰してしまう程の、強烈極まりないものであった。
 たちまちパニック状態に陥るオブリビオン達を前に、呆気に取られるGGウェルプ。
 そんな彼らの横から、快活な声が掛けられた。
「大丈夫? ここから先は、わたしに任せて」
 そう言って笑いかけるのは、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)。先程の悪臭は彼女が投擲した香水である。
「……ってことで、応援よろしく!」
「は……はい!」
 パトリシアの足元をすり抜け、何かが駆ける。
 ホッケーゲームの影を抜け、悪臭に悶絶するオブリビオン達の間を行き来し――そのまま戻って来た。
 それはパトリシアの相棒であるスカンクであった。
「ありがと。……スロットって言ったら、やっぱメダルっしょ?」
『畜生、さっきのはお前か~!!』
 ようやく怪人の一隊が再起動する。
 鉄脚をドスドスと響かせ、パトリシアに迫るオブリビオン。そのままリールを回転させた強烈な回転攻撃をお見舞いしようとする。だが。
『な、なぜ動かない!?』
 彼らの意志に反し、スロットリールは沈黙したままだ。
「知ってる? 妖怪『あぎょうさん』。面白いメダルでしょ。これからあなたの行動は全部嘘」
『このぉ~!!』
「あ、メダル剥がそうとしても、それも嘘になるから」
 茶化すように笑うパトリシアの言う通り、彼らの努力も虚しく、伸ばされた丸いレバーの手はメダルを空振りしてしまうようだ。
 動きを封じられた敵に対し、パトリシアはその手に握り込んだ球状の物体を、思い切り投げつける。
 シュルシュルと風を切って飛ぶそれは、蒸気式のヨーヨーであった。咄嗟に回避しようとするも、またもやメダルの力に行動をキャンセルされ――直撃。
『うげっ!?』
「回転攻撃なら、こっちも負けないのよ!」
 穴を穿ってなお噴き出す蒸気がヨーヨーの回転を加速させ、ギャリギャリと音を立てて怪人の体を掘り進む。
「もう一発!」
「が、頑張れー!」
『うお~~~~!!!』
 摩擦熱が機構の深部に影響を及ぼしたのだろう。幾度目かの投擲の末、『スロットマシン怪人』は大爆発を引き起こす。
 その爆風は周囲の仲間すらも巻き込み、跡形も無く消し去ったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルロット・クリスティア
おやおや、ずいぶんと盛り上がっているようで。
……こちらとしては、楽で助かりますがね。

戦場はゲームセンター。となれば室内ですし、遮蔽になるようなものには事欠かない。
そしてこちらは相手の居場所は知っている。であるならば。

相手がヒーローとの戦いに夢中になっている隙を狙い、物陰から狙撃を叩き込む。それだけです。
装備の威力が高かろうと、場所が割れなければ意味も無いですしね。

姿なき狙撃手と言うのもまぁ、ウケは良いでしょうが……私個人は戦いを楽しむなんてつもりは毛頭ないので。
卑怯などとは言わせませんよ。私なりのやり方で仕留めさせていただきます。



 オブリビオンは全て建物内に存在すると見て良いようだ。
 彼らが大人数でヒーローマスクを包囲するとなれば、その場所は簡単に割り出せる。
(「おやおや、ずいぶんと盛り上がっているようで」)
 そんなシャルロット・クリスティア(弾痕・f00330)の見立て通り、オブリビオン達はヒーローとの戦いに夢中になる余り、一箇所でもみくちゃになっていた。
 おまけに遮蔽物の多い地形ということもあり、一度に打ち掛かれない者が後ろで渋滞を起こしている有様だ。
(「……こちらとしては、楽で助かりますがね」)
 狙撃場所の選定にである。
 大きめのゲーム機に身を隠すシャルロットの背には、一向に止む気配の無い喧噪が降りかかって来る。
 この騒がしさなら弓矢を使うまでもあるまい。そう考えたシャルロットは狙撃機能をも備えた大型機関銃『マギテック・マシンガン』を取り出した。
 軽く深呼吸し、構える。銃口の先には、無防備にも背中を晒す、最後尾の敵。
 リラックスして、素早く照準し――瞬間、撃つ。
『――』
 カツリ、と軽い音を立てて鉄の体に小さな穴が穿たれる。
 急所を射抜かれた怪人は、その巨体を側のクレーンゲームに凭せ掛け、動かなくなった。
(「――次」)
 すぐさま標的を切り替える。
 可能な限り静かに、無駄な動作無く。
 沈着な狙撃を前に、オブビリオン達が音も無く命を狩り取られていく。
(「これで6人目……」)
 シャルロットが顔を引っ込めた時。
『! お、おい……!』
 一体のオブリビオンが後続の異変に気付く。だが居場所までは掴まれていない。
「……」
 筐体同士の間から敵の様子を窺う。オブリビオンは動揺しつつも周囲を見回す者と呆気に取られる者が半々と言った所だろう。
 彼らの隙を突いて、シャルロットは素早く移動を開始した。豊富な遮蔽物と平坦な地面。サバイバルガンナーであるシャルロットにとってこれほど都合の良い戦場もない。影から影へ流れるような動きで身を伝わせ、敵との距離を離す。
『ロケットエンジン用意!』
「……」
 シャルロットの背でそんな声が上がったかと思えば、次にはひゅるひゅると間抜けな音。さらに続いて、遥か遠くの壁際から凄まじい爆音が響いた。
 高威力の攻撃。だがおそらくは居場所を炙り出すためのものに過ぎないだろう。隠身に徹するシャルロットの居場所を正確に把握している者など、この戦場には誰一人存在しない筈なのだから。
 構わずシャルロットは新たな狙撃地点を確保し、今度こそハンティングボウを取り出す。
(「姿なき狙撃手と言うのもまぁ、ウケは良いでしょうが……」)
 ともすれば、戦いを楽しむやり方と謗る向きもあるかも知れない。だが少なくともシャルロットにとっては享楽などでは無く、生存の為の手段だ。
 だから。
(「卑怯などとは言わせませんよ」)
 静かな必殺の意志を込め、シャルロットは矢を番えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

京奈院・伏籠
社会人としてはイマイチ認めがたい理念の拳法だなぁ。
ま、射幸心云々はともかく、回転を威力に変換するのは理に適っているか。

触媒:不忍鏡を消費してUCを起動。
GGウェルプか仲間の猟兵が被弾しそうなタイミングで、瞬間転移の割り込みをかける。
義腕で攻撃を防ぎ、防御の反動で相手から距離を取る。離れ際にはハンドガンでの牽制射を忘れずに。
敵の攻撃範囲から離れたら、空振りの隙に合わせて重いのを一発狙い撃ってやろう。

いやはや、射幸心を煽ってる側にストッパが無いっていうのも皮肉なものだね。
回転運動の有用性は認めるけど、勢いに乗ったら止められないのはマズイんじゃないかな。
何事も、適度に立ち止まってみるのが大切だよ?



「――!」
 囲みを抜け、体勢を立て直そうとしたヒーローマスクに向けて、追手が肉薄する。
 凶悪な音を立てて回転するリールが二人を削り殺そうとする――寸前。
「社会人としてはイマイチ認めがたい理念の拳法だなぁ」
『!?』
 ぱりん。と、鏡が割れる音と共に、瞬間転移を行使した京奈院・伏籠(K9.2960・f03707)が割り込んだ。
 既に頭上に掲げられた伏籠の左腕に――敵の高速回転が接触。同時に凄まじい衝撃が走る。
 だがその反動を伏籠は逆に利用する。踏み締めた靴裏で地面を擦りつつも、ヒーローマスクを背中に貼り付かせ大きく後退。同時に右手でハンドガンを素早く抜き、銃撃した。
 彼の進路軌道で煌くのは触媒の役目を果たして砕け散った薄鏡の欠片。その真っ只中を切り裂き飛ぶ牽制の雷弾は後続のオブリビオンを直撃し、ターゲットから注意を引き離す。
「ま、射幸心云々はともかく、回転を威力に変換するのは理に適っているか」
 そう言って伏籠は左手を平然と揺らして見せる。周囲の照明を照り返すのは任務用に誂えられた金属の義手。敵の攻撃を防ぎ止め、指一つ失っていない。
『うおお!』
 その間にも攻撃を防がれた怪人のリールは止まらない。止められない。一度勢いのついた回転は、巨体をもってしても簡単には制御出来ないだ。
 怪人の体勢が大きくよろけた瞬間を狙い、伏籠はもう一丁のハンドガンを左腕で抜き撃つ。だが響いたのは魔術弾ではなく――実弾が放たれた事を示す、重い銃撃音であった。
 硬く鋭い音が響いたかと思えば、怪人が仰向けにばったりと倒れ込む。大口径の銃弾が敵の装甲の薄い場所を貫通したのだ。
「いやはや、射幸心を煽ってる側にストッパが無いっていうのも皮肉なものだね。回転運動の有用性は認めるけど、勢いに乗ったら止められないのはマズイんじゃないかな」
『ぬぬぬ……!!』
「何事も、適度に立ち止まってみるのが大切だよ?」
 彼らの欠陥を諭すような伏籠の言葉と、事切れてなおカラカラとリールを回転させる仲間を前に、只々『スロットマシン怪人』達は言葉を失うしかないのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セクター・ドール
スロット、欲深さの権化の様な姿。
そして迷惑行為、どしがたい。

念動力、ボックスをヒーローの周囲に展開し、オーラ防御
敵の攻撃を防ぎ、仏頂面から一転、微笑みを浮かべて、
こんにちは、ヒーロー。まだ諦めてはいませんね?

スティグマから光を放ち、傷を浄化
この世界の色々緩い感じ、私少し気に入ってるんです。
なので…
『レイジ』
ヒーローしますね。
ヘイローを手に殴り込み、ランスにガジェットのドリルを装着、破壊し、槍投げ、ロケットで飛んでるのに向けてぶつけます

UC効果時間近くなったら
ヒーローのお二方、これを。ボタンを押せば使えます。
アルダワの、一時高速化を付与する懐中時計を渡します。
後、お願いします。お休みなさい。



 どしがたい。
 ゲームセンターで迷惑行為を働くだけならまだしも、駆けつけたヒーローの命まで狙うとは。欲深さの権化のような姿を取るにしても、気兼ねというものがあるだろう。
 応戦するヒーローマスクの死角から振り下ろされた拳。その軌道上に体を割り込ませたのは、セクター・ドール(サイボーグの聖者・f20947)。
『!』
 ガキィ! と、空気を揺らす衝撃。だが既にセクターの周囲には黄金の正六面体群が展開され、そこから発生するオーラが強固な防壁を築いていた。局地的な防御手段としては最高峰と言って良い代物だ。
「こんにちは、ヒーロー。まだ諦めてはいませんね?」
 セクターはそれまでの仏頂面を一転。微笑みを浮かべて後ろの二人を見遣る。
「はい! まだ行けます!」
 二人の返事に頷いたセクターは、瞳を閉じ、集中する。
 するとセクターの全身に、黄金色の聖痕が浮き上がり始めた。サイボーグの身体に刻まれた、確かな聖者の証である。
 辺りを包む柔らかな光はヒーローの傷をみるみるうちに塞ぎ、その瞳に意志の光を再燃させる。
『ま、また猟兵だ!』
『出会え出会え!』
 新たな猟兵の出現とヒーローマスクの回復を前に、怪人たちは全ての仲間を集めようと動き始めたようだ。ドタドタと走り回る彼らによって、辺りが一層騒がしさを増す。
「この世界の色々緩い感じ、私少し気に入ってるんです」
 そんな怪人たちを半ば無視するように周囲を見渡し、ぽつりと心情を吐露するセクター。このゲームセンターもヒーローマスクの力が及ぶ限りにおいては、和やかな娯楽の場となり得た筈だ。
「だから……」
 ヒーローしますね。
 セクターがそう呟いたのと、地面を蹴ったのが、同時。
 次の瞬間、敵陣に踏み込んでいた。背中の輪刀を一閃すれば、描かれた黄金の軌跡が正面の敵を真っ二つにする。
『ぬわ~っ!』
『あわてるな! ロケットエンジン用……』
 自身の身体に噴射機を生成しようとした『スロットマシン怪人』に向け、セクターは全身をフルに使い、槍投げの要領で黄金の柄のついたドリルを投擲する。
 敵が空中に浮き上がった瞬間に着弾。凄まじい回転が身体ごとロケットエンジンを抉り抜くと同時に――爆発。敵の後列が大きく破砕される。
 持ち前の身体能力で獅子奮迅の働きを見せるセクターだったが、一分程経った時、その動きが急速に鈍る。否、それどころか――がくりと崩れ落ちた。彼女のユーベルコード『レイジ』が、その活動限界を迎えたのだ。
『今だ! やっちまえ!』
 怪人たちは一気に奮い立つ。だがそんな彼らに、今度はヒーローマスクが突っ込んで来た。凄まじい勢いの飛び蹴りを繰り出し、怪人を真横に吹き飛ばす。彼の手にはセクターに渡された懐中時計があった。
 着地した時、彼と、昏睡に陥ろうとするセクターの視線が一瞬だけ絡み合う。
(「後、お願いします。お休みなさい」)
 そのまま意識を手放すセクター。彼女の思いを受け取ったかのように、ヒーロー「GGウェルプ」は己自身の手でオブリビオンの殲滅を完遂したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ロンダリングラクーン』

POW   :    洗熊拳・濁流の型
【怪人拳法「洗熊拳」】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    洗熊拳・清流の型
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【突き出した掌】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ   :    洗浄魔術「怒螺無式」
詠唱時間に応じて無限に威力が上昇する【水】属性の【魔法の大渦】を、レベル×5mの直線上に放つ。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠京奈院・伏籠です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 キマイラフューチャー、ミュータントカンフーストリート。
 怪人たちから得た情報に従い進めば、道行くキマイラ達の姿もまばらとなり――やがて巨大な建造物が姿を現す。
 隙間なく敷き詰められた石畳。朱塗りの欄干と柱。瓦屋根。
 純中国風の建物。「邪拳殿ラクーン」支部のひとつであった。
 首領の持つ資材調達能力により急造されたであろうその威容は、ポップなサイバーパンク都市で覆われたこの場所にあって、異彩を放ちまくっていた。
 
 朱の巨柱が規則正しく立ち並ぶ建物内では、一足先に突入したヒーローマスク『GGウェルプ』が最奥を見据えていた。
 果たしてそこには、水流の模様を刻んだ巨大な銅鑼を背に立つ、猟書家『ロンダリングラクーン』の姿。
『なるほど、良い目をしている。その熱き正義の心こそ、われらが恐れるべき最大の敵』
「……!」
 静かな、しかし値踏みするような視線を送るロンダリングラクーン。
 蓄えられた白い眉と顎髭は老齢の証。だがその声には拳法家に相応しい力が篭っている。

 その時、建物の内外に猟兵たちが転送され始める。
『骸の海に、相対する二つの流派あり』
『ひとつ、清流の拳法、清流拳ラクーン』
 いち早く動きを見せたのはロンダリングラクーン。ぴょん、と飛び上がり、その身を尻尾一つで支えて見せる。
『ひとつ、濁流の魔術、濁流術ロンダリング』
 翳した右手から迸り、そのまま流麗な渦を形作るのは魔力の流れ。
『ふたつの流派はひとつに還り、邪拳ロンダリングラクーンが完成せり!』
 対するヒーローマスクもまた戦闘態勢を取る。
『そこに貴様の正義の心が合わされば、最強の邪拳士が完成となるであろう』
『そして滅ぶべし、正義の種族、ヒーローマスクたちよ!』
 キマイラフューチャーの存亡を賭けた戦いが、いよいよ始まる――。
パトリシア・パープル
ま~たコイツの相手なのね
それじゃ……前回とは、ちょっと趣向を変えて行こうかしら?

開幕と同時に、禁断の香りの香水とスカンクガス爆弾を投げ付ける
激臭コンボで、相手の呼吸を阻害できればしめたもの
「さあ、この臭気の中で詠唱を続けることができるかしら?

敵が大渦を放ってきたら、バリアパラソルで【盾受け】
詠唱時間が短ければ、そこまで脅威じゃないはずだしね

後はこちらの反撃!
御尻巣様の呪いで尻しか振れないようにして、更にダメ押しの腹痛光線!
「悪臭、腹痛、行動阻害……この状況で詠唱できるもんならしてみなさいっての!

トドメは敢えて接近してからのスカンクパンチ!
今のお腹の状態で、腹パン食らったらどうなるかしらね?



 柱の陰から様子を窺うパトリシア・パープルにとって、猟書家『ロンダリングラクーン』は初めての相手ではない。
(「ま~たコイツの相手なのね」)
 思わず心の中でそんな事すら呟いてしまう。相手が強力な猟書家であっても、慣れるものは慣れる。
(「それじゃ……前回とは、ちょっと趣向を変えて行こうかしら?」)
 パトリシアは、す、と胸元から謎の装置と小瓶を取り出し――放った。
『む!』
 急いでロンダリングラクーンが飛び退くも、瓶の割れる音と何かが炸裂する音が響き、その場は一気に凄まじい臭気に包まれる。先程の香水と時限式のガス爆弾が共に炸裂したのだ。
 オブリビオンは範囲外に飛び退きながらも、パトリシアの姿を自身の直線上に捉えた瞬間――その右腕を翳す。
 たちまち水属性の輝きを湛えた大渦が形成され、臭気ごと押し流しながらパトリシアに迫る。だが。
「させないわ!」
 パトリシアがパラソルを突き出し、バン! と。音を出して開けば、彼女の真正面には特殊なフィールドが形成され、魔力の奔流を正面から受け止める。
『……』
「さあ、それ以上詠唱を続けることができるかしら?」
 詠唱には空気が要る。漂う臭気に長衣で鼻を覆う彼の洗浄魔術は、その効力を大きく減じていたのだ。
『!』
 ならばと接近戦を挑もうとするロンダリングラクーンだが、まるで金縛りにあったように体が動かない。無理に動かそうとするも、尻尾が情けなく左右に揺れるだけだ。
「ふふ~ん♪」
 くるくるとパラソルを回すパトリシアの背中には、ちょうどスカンクの顔をした神の姿がぼんやりと現れていた。
 次の瞬間、スカンク神の目から光線が放たれ、オブリビオンを直撃。威力はさほどでもないが、たちまち強烈な違和感を腹部に走らせ、その動きを大きく阻害する。
『……きさま、何をした』
「悪臭、腹痛、行動阻害……この状況で詠唱できるもんならしてみなさいっての!」
 同時にパトリシアは地面を蹴り、敢えて接近戦を挑む。ぐんぐん迫るオブリビオンの腹部に向けて、思い切り拳を叩き込むのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

水心子・静柄(サポート)
本差の姉に劣等感を持っていてい、表面上は邪険にしているが姉妹仲は良い方、所謂ツンデレ。考え方は知的、でも面倒になってくると脳筋的な解決法に傾く。勘が鋭いが如何にも知的に導いたように振舞う。知的にユーベルコードを使いこなす。脳筋ぽいけど実は知的。武器は鞘に入ったままの脇差(本体)。高圧的、威圧的な話し方だが、本人は至って普通に話しているつもり。

基本は本差を召喚して無双したがるが欠点があるが、相手によっては居合の構えをとって後の先で対応する。面倒な時は知的に考えつつグラウンドクラッシャーでデストロイ。



 ゆるりと接近し、拳を打ち出す猟書家ロンダリングラクーン。
 その一連の動作は太極拳を思わせる緩慢さだが、ひとたび触れただけで軌道上の全てが粉砕される。
 骸の海で一体と化した邪拳が一端『洗熊拳・濁流の型』の破壊力である。
 それを紙一重で避けるのは、水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)。自身の本体である脇差……正確にはその鈍器のような鞘で滑らせるように、幾度となく敵の攻撃を往なしていた。
『どうした、抜かぬか』
「嫌よ。恥ずかしいでしょ」
 進んで戦場には出るが、それでも抜き身ははしたない。そんな日本刀的感性であった。
 とはいえ、鞘に入ったままでは脇差としての機能は狭まらざるを得ない。まるでそれを見越しているかのように(そういうわけでもないだろうが)ロンダリングラクーンは居合の間合いに度々飛び込み、圧倒的な破壊力の拳打を送り込んでくる。
 いつ果てるとも知れぬ防戦に静柄は正直な所……面倒になってきた。
『終わりだ!』
 それは敵も同じだったのかも知れない。必殺の拳を叩き込もうとロンダリングラクーンが急接近を開始した瞬間――静柄が得物を大上段に振り上げた。
 どしん、と建物全体を揺らす衝撃。
 単純にして重い鞘の一撃は足元の石畳を粉々に破砕し、間近に迫っていたオブリビオンを石片で傷付けると共に後方へ飛び退かせた。
 いくら鈍器同然の扱いとはいえ、間合いでは脇差のほうが拳よりも幾らか勝る。その突破口を静柄は応酬の間に見出し、寸差で大威力の一撃を叩き込んだのだ。
「想定通りよ」
『ほう』
 形成されたクレーターを挟み、破れた長衣を靡かせ立つオブリビオンを、静柄は普段通りの眠たげな瞳で見据えるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

レパル・リオン
アンタがウワサの暗黒拳士ね!
あたしはマジカル気合パワーのレパル!

アンタが大河の流れなら、あたしは大空の虹になる!
超変身!レインボー・レパル!

・ユーベルコードで変身して小細工なしの格闘!
・濁流の型を食らって派手に吹っ飛ぶ!
・でも絶対あきらめない!
・何発もらっても痛みに耐え、戦いながら洗熊拳の動きを学び、見切る!
・絶対あきらめないという行動で、レパルが思う『ヒーローのあるべき姿』を伝授

GGウェルプちゃん、覚えといて!
不屈の心こそ、最強の正義よ!


セクター・ドール
アライグマ、見た目と力の統一は素敵ですね。
それ以外は、アレですが。

ボックス群を念動力で展開、オーラの弾丸で制圧射撃
おはようございます、ヒーロー。敵との直接対決は任せてよろしいですか?

邪拳に正面から挑むのは不利、だからこそヒーローは輝くもの、
ヘイローで空中浮遊、ヒーローと重ならなぬよう、常に移動しながら援護射撃。ヒーローがやられぬよう援護をします
学習力、上からロンダリングラクーンの動きを観察、動きを学習

拳法に魔術。本領を発揮されるのは困ります。
学習し、動きを見切り、ボックスから鎖を放ち尻尾や足元を拘束します
『ゴールド・ピラー』発動

…なので、物量で押し切りますね。
四方八方から柱を召喚し、弾幕攻撃



 ヒーローマスクの繰り出す拳は充分な鋭さを秘めている。
 だがそれを軽々と往なして見せる程に、猟書家ロンダリングラクーンの動きは卓越していた。
 そのまま死角に滑り込み、毛むくじゃらの拳を握り込むオブリビオン――だが。
「アンタがウワサの暗黒拳士ね!」
 致命の一撃を放つ瞬間、レパル・リオンの放った飛び蹴りに吹き飛ばされ、体勢を立て直そうとした所で、その更に後方から追いかけるように迫る弾幕に打ちのめされる。
「セクターさん、ヒーローをお願い!」
「承知しました。……おはようございます、ヒーロー。敵との直接対決は任せてよろしいですか?」
「は、はい!」
 す、とヒーローマスクの横から現れたセクター・ドールが、金色の髪を揺らして会釈する。
 一方のレパルはサンダルで地面を踏み締め、起き上がったオブリビオンと真っ向から対峙。
「あたしはマジカル気合パワーのレパル!」
『愚か者め。わが濁流の型で打ち砕いてくれる!』
「アンタが大河の流れなら、あたしは大空の虹になる!」
 レパルの言葉と同時に、その体を眩いばかりの光が包む。
「超変身! レインボー・レパル!」
 光が収まり、石畳を広がる虹色の炎が風に消え去った時――レパルの姿は最終決戦スタイル『レインボーライオン』へと変貌を遂げていた。
 ふわりとその身を舞い上がらせると――猛スピードでオブリビオンへと突進。
 レパルの攻撃が到達する寸前、ロンダリングラクーンの動きがぶれた。
『洗熊拳の威力。その身に刻むがいい!』
「――!!」
 ゆるやかな、しかし凄まじい破壊力を秘めた拳を喰らい、派手に吹き飛ばされるレパルの体。だが前衛に空いた穴を埋めるように、今度はヒーローマスクがオブリビオンに迫る。
『小癪な!』
 ヒーローマスクのガードを弾いたオブリビオンが、トドメとばかりに繰り出す回し蹴りを横から弾いたのは――セクターが空中から撃ち出したオーラの弾丸であった。
 石畳の破片をロンダリングラクーンに叩き付けるような角度で放たれる弾幕。その支援を受けてヒーローマスクは一時撤退。入れ替わりでレパルが舞い戻って来る。
『動きがまとも過ぎるぞ』
「うぐっ……!」
 今度は幾度か拳を交すも、小細工なしの格闘を挑むレパルに対し、オブリビオンは力量差に任せた乱打を容赦なく叩き込んで来る。そのまま隙を突かれてレパルは鳩尾に蹴りを喰らい、またもや大きくその体を吹き飛ばされた。だが。
(「……やはり」)
 空中から戦況を見つめるセクターは、増えていく傷に反比例するように、レパルの動きが却ってキレを増している事を見逃さない。
『ふん、これで終わりだ!』
 満身創痍のレパルに向けて豪速の拳打を振りかぶるロンダリングラクーン。だが。
「この背中に譲れないものがある限り、あたしは絶対に退かない!」
 そこにレパルの拳が交差するように繰り出され――オブリビオンの横面へと叩き込まれた。
「ク、クロスカウンター……!!」
「GGウェルプちゃん! 守りたい人がいる限り、絶対に諦めちゃだめ!」
 驚愕の声を上げるヒーローマスクに、後方に倒れ込みながらもレパルは力強く宣言する。彼女の正義の心の前に、洗熊拳『濁流の型』が敗れ去った瞬間だった。
(「邪拳に正面から挑むのは不利……しかし、だからこそヒーローは輝くもの」)
 彼自身の中にその力が眠っていたのか、レパルに感化されたのか。いずれにせよセクターの思惑通り、ヒーローマスクもまた相手を押し止める時間を徐々に伸ばしていく。
 戦況を空中から眺めながら、セクターは支援射撃を続ける。
 セクターの周囲に展開した黄金の正六面体群から行われる砲撃は、絶えず移動を繰り返す事で常にオブリビオンのみを射線に置いている。
 ヒーローの生存を第一とし、オブリビオンの動きを分析しながら撃ち出されるオーラの弾丸は時間と共に精度を高め、敵の体力をも着実に削っていく。
 息の合った三人の攻勢は、次第にロンダリングラクーンを押し返し始めた。そして。
『――洗浄魔術「怒螺無式」』
 追い詰められたオブリビオンが奥の手を切る。
 濁流術、ロンダリング。
 水の魔力が渦を巻いて怪人の手に収束し、前線の二人を襲う――直前。
『何っ!?』
 ロンダリングラクーンの詠唱の隙を突くように飛来した何かが、その尻尾を地面に縫い付けた。
 空中から敵の動きを観察し続けたセクターが、初動を見切るように放った地縛鎖であった。
「――『ゴールド・ピラー』発動」
 セクターの言葉と共に、空中に大量の黄金の柱が出現し、その全てがロンダリングラクーン目指して殺到し始める。
『む!』
 ぐらりと揺れた柱は無数の正六面体に分離し、オブリビオンの頭上へと落下。
 その隙間を割って――今まさに大跳躍からの飛び蹴りを降らせようとする虹色の輝きは、レパルだ。
「GGウェルプちゃん、覚えといて! 不屈の心こそ、最強の正義よ!」
「物量で押し切ります」
 虹色と黄金。二つの輝きは一つに合わさり、ロンダリングラクーンを圧倒するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

京奈院・伏籠
キミのことはずっと気掛かりだったんだ。猟兵としてはもちろん、探索者、つまり、魔術蒐集家としてもね。

相手の特技は脱力状態からのカウンター?
だったら、相手が力を籠める瞬間を狙うまで。

というわけで、まずはUC無しでラッシュを仕掛ける。
義手の仕込み短刀と鋼線を武器に格闘戦だ。
…といっても僕は近接戦の専門家じゃないわけで。
押し切ればそれで良しとして、崩されるのも計算済み。
体勢を崩されたら業炎布を投げて目くらまし。
水属性相手には簡単に掻き消されるだろうけど…、視界を遮った瞬間に氷のアンプルを消費してUCを発動するよ。

残念だったね。キミの伝道はここで終わりだ。
ま、盗み見た魔術は僕なりに利用させてもらうよ。


シャルロット・クリスティア
これはまた、キマイラフューチャーの空気には似付かない武人のようにお見受けしますが。
まぁ……考え方は人それぞれですか。

柱の立ち並ぶ屋内。適度に遮蔽があるのは助かるところですね。
アンカーショットを柱や壁に打ち込み、壁蹴りも駆使した立体機動であれば、機動力もそうそう引けは取らないはずです。存分に地形を利用し、近づかせないように立ち回りましょう。

そしてこの環境であれば、跳弾場所にも事欠かない。
直接狙うだけでは当てることは難しいでしょうが、跳ねまわる弾を四方八方から浴びるのはいくら老練の武人であろうと回避は容易いことはないでしょうよ。
最悪、当てずとも動きを制限させる事さえできれば……!



 ぐん、と。
 体が引っ張られる。
 疾風の如きロンダリングラクーンの一撃は、アンカーを利用して大きく後退を果たしたシャルロット・クリスティアを捉え損ね、宙を切った。
 一瞬、爪先だけで柱に貼り付いたシャルロットは、アンカーを解除。軽く柱を蹴って着地する。
(「これはまた、キマイラフューチャーの空気には似付かない武人のようにお見受けしますが」)
 シャルロットが抱いた印象通り、ロンダリングラクーンからはこの世界の怪人たちが備える、ある種の緩さが窺えない。
 既に満身創痍であるにも関わらず、不気味な笑みを張り付けたままのその表情は、対峙する者に底知れなさすら感じさせる。
(「まぁ……考え方は人それぞれですか」)
 どのような思想の持ち主であろうと、戦場では倒すべき一介の戦士に過ぎない。ならば、自分もまた為すべきことを為すだけだ。
 疑問を払拭すると同時に、たん、とシャルロットは地面を蹴る音だけを残し、その姿を消した。
 適度に立ち並ぶ柱はシャルロットにとって極めて都合が良い遮蔽物だ。先程のような高低差を利用する動きも織り交ぜれば、ロンダリングラクーンの接近を完封する事も容易い。
『……』
 辺りに潜むシャルロットの気配を探ろうとするかのようにオブリビオンが髭を動かした時――すぐ横の柱の影から、何者かが迫る。
 左手からきらりと光る何かを――放つ。
『!』
 刹那、オブリビオンの耳を掠める頑丈な鋼線。即座に飛んでくる反撃の回し蹴りを左腕の義腕で受け止めたのは、京奈院・伏籠であった。
「キミのことはずっと気掛かりだったんだ。猟兵としてはもちろん、探索者、つまり、魔術蒐集家としてもね」
『我がロンダリングを欲すというのなら、相応の力を見せるがいい』
 言い終えたと同時に、二人同時に動く。
 伏籠が敢えて選択したのは、得手とは言えない接近戦だ。
 鋼線と仕込み短刀。矢継ぎ早に鋭利な攻撃を畳みかける事で、伏籠はロンダリングラクーンに脱力する余裕を与えない。
 だがそれでも伏籠自身案じていた通り、格闘能力に優れるロンダリングラクーンを前に、たちまち体勢を崩された――その時。
 かきん。
 何かが跳ねるがした。
 底冷えする程に冷酷な音だ。
 いつしかロンダリングラクーンは、身を隠すシャルロットが矢継ぎ早に放った、跳弾射撃の音に包囲されていた。
 柱を跳ね回る無数の弾はそれぞれが読み難いタイミングで跳ね回っている。
 だが場に音が飽和し切った瞬間――それらは同時に、あらゆる方向からオブリビオンに向けて殺到した。
『ぬう!?』
 練達の武人であろうと、それら全てを回避する事は叶わない。少なからぬ銃弾を受け身をよろめかせた所に、伏籠が炎を纏った業炎布を広げて放る。
 纏わり付く魔炎に巻かれながらも、ロンダリングラクーンがそれを払い除けようとする、寸前。
 きん、と。
 澄んだ音が辺りに響く。
「残念だったね。キミの伝道はここで終わりだ」
 氷の魔力弾が、オブリビオンの心臓を貫通していた。
 業炎布が視界を遮った一瞬の隙を突き、伏籠が銃撃を叩き込んだのだ。
「……ま、盗み見た魔術は僕なりに利用させてもらうよ」
 力なく床に崩れ落ちる猟書家ロンダリングラクーン。その体は水色の輝きと化し、天を目指す伏龍が如く渦を巻いたかと思えば、跡形も無く霧散するのだった。


 カンフー場には今や至る所に戦いの傷跡が刻まれている。
「これで終わり……ですね」
「うん、これで猟書家『ロンダリングラクーン』が蘇る事はない。多分ね」
 裾をはたく伏籠にシャルロットが歩み寄る。
 猟兵たちの手で首領が倒されたことは「邪拳殿ラクーン」に所属する怪人たちへの強いメッセージとなるだろう。
 いずれ彼の遺志を継ぐ者が現れるかも知れないが、猟兵たちに場所が割れた以上、少なくともこの支部は壊滅も同然であると言える。

 ――丁度その時、建物の外で声が聞こえた。
 振り返ればそこには、興味津々でこちらを覗き込もうとする、キマイラ達の姿があった。
 どうやら激しい戦闘の物音を聴きつけ、玄関に詰めかけていたらしい。
 ワクワクを押さえ切れないらしい彼らの対応に追われるのは、ヒーローマスクの二人だ。
 少しだけ大きくなった気がするその背中を、猟兵達は苦笑しながらも見守っていた。

 ヒーローマスク。
 肉体を持たない彼らが秘めた、肉体を遥かに凌駕する、正義の心。
 その力は本来、世界の平和に使われるべきものだ。しかしオブリビオンが存在する限り、悪用しようとする輩は必ず現れるだろう。
 悪の組織「邪拳殿ラクーン」もまた、首領ロンダリングラクーンが斃れた後も暗躍を続けるに違いない。
 だがヒーローマスク達は抗い続けるに違いない。同じくオブリビオンの悪企みを決して許さない、猟兵たちと共に。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年02月04日
宿敵 『ロンダリングラクーン』 を撃破!


挿絵イラスト