銀河帝国攻略戦⑤~宙翔ける勇士を救え
「むうう……」
女船長・イリスはメインモニタを凝視し、唸り続けていた。
モニタに映し出されているのは、銀河帝国戦艦。
イリスが乗艦している『サンフィッシュ』は、中古、安値で買いたたいた艦だ。正直、あまりモニタの画質はよろしくない。しかしそれでも、敵意は、真空を越えて伝わって来る。
『サンフィッシュ』は、フォースナイト・ミディアの呼び掛けに応え、合流の中途にあった。
……だが、その動向は、帝国軍により捕捉された。辺境星域を航行していた為、帝国側の襲撃にも遅れが生じたようだが。もっとも、行動が遅れたのは、猟兵の側も同じだ。
いずれにせよもこのままでは、合流どころかこの場からの生還もあやうい。
「船長、どうするっす? うちらの戦力じゃヤバいっすよ」
副長を務めるツインテールの少女が、イリスに判断を仰ぐ。
「慌てるな。慌てても……ダメな時はダメだ」
「船長っ!?」
案ずるな、とイリスは、ニヒルな笑みを浮かべる。
ばッ、とマントを広げ、手を前方に突き出すと、
「私達は、打倒銀河帝国を掲げてこの船に集った同志……たとえここで銀河の塵と消えるとしても、帝国の船もろともだッ! そうだろうッ!?」
「了解ッ!」
乗組員たちは、決意を固める。
最期となるかもしれぬ戦いに挑むために……。
「皆様、此度は集まりいただき、感謝いたします。冒険の舞台……否、戦争の舞台は、スペースシップワールドでございます」
いつものように説明を開始したヴェルタール・バトラー(ウォーマシンの鎧装騎兵・f05099)の口調は、いつも以上に改まっていた。
「かの銀河皇帝に封印されていた遺失技術……『ワープドライブ』の復活により、宇宙船はスペースシップワールド内であれば、自在に転移が可能となりました。フォースナイト・ミディアのユーベルコードの力のお陰でもございますね」
その力により、反銀河帝国戦力をスペースシップワールド全域から集結させる事に、既に成功している。
「そして現在、銀河帝国攻略戦が進行中ですが、辺境星域にて、遅れて捕捉されたスペースシップが、帝国側に襲撃を受けている模様」
今は、少しでも戦力が欲しいところだ。これを救出しない手はあるまい。
「これから皆様を、敵戦艦に直接転移いたします。敵戦艦の名前は『スティングレイ』。艦内の敵軍を撃破、しかる後、速やかに脱出していただきます」
脱出後は、敵戦艦を破壊。味方戦艦『サンフィッシュ』を、集結済みの艦隊に合流させることになる。
「待ち受ける敵は、何やら奇妙な生命体。が、銀河皇帝に比べれば、襲るるに足らず。皆様の持てる力を持って、ズバーンと撃破をお願いいたします」
七尾マサムネ
戦いはまだまだ続きます。
このシナリオは「戦争シナリオ」です。銀河帝国攻略戦⑤を取り扱います。
1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
目的はただ1つ、敵兵力の殲滅のみ!
皆様の参戦、お待ちしております!
第1章 集団戦
『ふていけいせいめいたい』
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POW : のびーるんるん
自身の肉体を【完全な球体】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
SPD : ぽよんぽよんぽよんっ
予め【身体をぽよんぽよんと弾ませる】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
WIZ : れっつぶんれーつ
レベル×1体の、【おなか】に1と刻印された戦闘用【ふていけいせいめいたい】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ショコラ・リング
声を上げ立ち上がる方々の道を照らすのも、ボク達猟兵のお役目でございますね
その覚悟、決して無駄にはさせないのです
外の戦艦とは裏腹に気の抜ける外見をしておりますが……オブリビオンである以上、油断は禁物でございますね
共に戦う仲間が近場に居れば、ボクは射手として後衛を務め、敵味方の位置取りに注意し、囲まれない様動きますです
攻撃に関しては、的の大きい胴体部分を【其ノ弓ニ矢射ラズ】で形が保てなくなるほどに穴を開けてゆくのですよ
ふていけいせいめいたいとやらを一掃しましたら、戦艦の出力部などの主要箇所を【神の杖】で片っ端から破壊するでございます
レッグ・ワート
普段乗ってる船がとっくに合流してたのといい今回の船といい無茶好きばっかりか。先手で逃がす他ないだろこんなん。奇妙ってのが気になるが、まあやる事は同じだ。
何でコレと銀河皇帝比べた。いや顔?見てる場合じゃないわ。試しに鉄骨で思いっきりぶん殴ってみるけど打撃きくかわかんねえな。とまれ敵の攻撃はなるたけ見切って鉄骨で武器受けしつつ、きくなら殴る。もしきいてないか伸すのに時間かかりそうなら、一応猟兵を例外指定したブレードエピダミスの効果を外殻にのせて、掴む叩く払うで触れ斬ってくぜ。普通だと割と豪快に斬れるが相手が相手だしどうだろうな。良くない感じだったら有効打持ちのトコまで只管鉄骨で打ちまくってく。
宇冠・龍
由(f01211)と参加
相手はなにやら液状の生物(?)
なら、凍らしてしまえば、自慢の弾力性や伸縮性も失われることでしょう
【竜逢比干】で亡き夫の霊を召喚
その氷属性のブレスで、全てを悉く凍てつかせます
相手は集団、範囲攻撃をより生かすためには、纏まった方がより効果的
「由、お願いできるかしら?」
娘の由がおびき寄せたところを一網打尽にします
凍った後は排除するのみ
夫は風の槍で、私はこの拳で、打ち砕いていきます
(もしかして、この船の船長もこの姿なのかしら?)
敵戦艦を沈黙させるには、頭を取った方が確実
夫にブレスを吐いてもらいながら、他の方が艦を停止させやすいように掃討戦を務めます
宇冠・由
お母様(f00173)と参加
【七草芹】で運動性や身体能力をより強化しておきます
「お任せください。きっちり、引きつけてみせますわ」
お母様がブレスで相手を凍らせるため、私は先んじて囮となり相手を挑発
艦を一巡りしつつ敵をおびき寄せます。相手からの攻撃を回避に専念しながら、追跡距離を付かず離れず保ちます
追いかけっこと空中戦は得意分野ですもの、かならず成し遂げてみますわ
そして一定数おびき寄せた後、すかさずお母様とバトンタッチ
いくらぽよんぽよんしたり伸びても、狭い艦の通路内では、氷のブレスの逃げ道はありません
「さぁ、凍ってくださいな」
苧環・つづら
宙の船乗りって性別問わず剛毅な方々が多いわね本当に。
その気概は此の先でこそ輝くものだから、阻ませはしないわ。
艦内戦ならお任せね、迦河稚ちゃん。お時間よ?
――“地に足の着く場の荒事ならば遅れは取りませぬ。いざ。”
……しかし、かくも面妖な姿形と相対する経験まで得られようとは。
これは衝撃波があまり通らぬやもしれませぬか……
ではマヒ攻撃を載せた槍衾で参りましょう――霊体と侮るな、氷槍陣召喚。
壁でも床でも縫い止めてしまえば此方の有利。
見切りと残像、フェイントを用いて相手方の攻撃は回避。
時にはカウンターで報いる事も視野に。
……ふむ、腹に数字を持つものは合体と……なれば1のうちに捌いてしまいましょう。
小夜時雨・優治
「ちょっとだけ親近感が……いやいや、戦闘中に気い抜くのダメだよね」
おにーさんと融合してるUDCがベトッとした山椒魚みたいなやつだからさ、なんかこう、べたっとした見た目にシンパシーを感じるというか。しかもあっちの方がなんか可愛いし? ……可愛いよね? あれ?(感性に自信がなくなる)
ブラッド・ガイストを使用して、サイコキャノン(腕時計型)を強化。
殺戮捕食態っていっても、齧られるのはオレの腕なんですけどね!!(武器が腕に食い込んで、代償として使いきれなかった血が滴る)
「実践で使うの初めてだけど、殺傷力増強はどんなものかな?」
さらに強化された気体干渉能力で、周囲の空気は螺旋の槍となって敵に向かう。
●敵艦強襲!!
無事、敵艦『スティングレイ』内に転移したレッグ・ワート(其は脚・f02517)は、敵襲に警戒した。
「普段乗ってる船がとっくに合流してたのといい、今回の船といい、無茶好きばっかりか。先手で逃がす他ないだろこんなん」
『奇妙』という敵の形容が気にかかったが、敵を倒せばこの任務はハッピーエンド。やる事は一緒だ。
「宙の船乗りって、性別問わず剛毅な方々が多いわね本当に。その気概は此の先でこそ輝くものだから、阻ませはしないわ」
レッグ同様、『サンフィッシュ』の乗組員に思いをはせるのは、苧環・つづら(残響にて紡ぐ円環・f06155)。
「あら、早速お出迎えね」
通路の隔壁が解放され、黒の不思議宇宙生物が、通路を進行してくる。
ふていけいせいめいたい。
「艦内戦ならお任せね、迦河稚ちゃん。お時間よ?」
――“地に足の着く場の荒事ならば遅れは取りませぬ。いざ。”
つづらが、内なるもう1人の自分に身を任せる。
「びよーん」
「なんだかちょっとだけ親近感が……いやいや、戦闘中に気い抜くのダメだよね」
ふていけいせいめいたいの手足から逃れ、小夜時雨・優治(雄黄・f02250)がバックステップ。
「いやおにーさんと融合してるUDCがベトッとした山椒魚みたいなやつだからさ」
なんというかこう、『べたっ』とした外見に、シンパシーを感じる。
「しかもあっちの方がなんか可愛いし?」
「ぬーん」
「……可愛いよね? あれ?」
言葉を連ねるほど、自分の感性から自信が失われていく感覚。
だが幸い、ショコラ・リング(キマイラのアーチャー・f00670)も優治に近しい感想を抱いていたようだ。
「確かに、戦艦の威容とは裏腹に、気の抜ける外見をしております。……ですが、オブリビオンである以上、油断は禁物でございますね」
手にした弓を構えるショコラ。
「声を上げ立ち上がる方々の道を照らすのも、ボク達猟兵のお役目でございますね。その覚悟、決して無駄にはさせないのです」
迫りくるふていけいせいめいたいに対し、ショコラは反撃を試みた。
次々と、射撃を受ける敵。
……が、ショコラの手にあるのは、弓のみ。矢はない。
しかしそれでも実際、敵は射抜かれ、倒れていく。その秘密は、ショコラのユーベルコードにあるのだ……。
「もしかして、船長もこの姿なのかしら?」
ふていけいせいめいたいの姿を見た宇冠・龍(過去に生きる未亡人・f00173)は、そんな疑問を抱かずにはいられなかった。
船長の帽子をかぶり、船長席でふんぞり返るふていけいせいめいたい……宇冠・由(宙に浮く焔盾・f01211)の脳裏に、そんな光景が想起された。
ともあれ。
「凍らしてしまえば、自慢の弾力性や伸縮性も失われることでしょう」
他の猟兵達と共に、交戦を続ける龍は、召喚の儀式を行った。
「『強き猛き尊き者、共に歩みてその威を示せ』」
手順を踏み、現れたのは、武装した竜型ドラゴニアン。
その勇ましき正体は、龍の亡夫の霊体。
相手は集団……ドラゴニアンのブレスを最大限、効率的に生かすためには、密集状態である方が好ましい。
そう考えた龍は、信頼する家族に言葉を投じた。
「由、お願いできるかしら?」
「お任せください。きっちり、引きつけてみせますわ」
龍に応えたのは、『娘』である由。
氷のブレスを確実に相手に浴びせられるよう、由は敵群の前に、自ら躍り出る。
無謀、とあなどるなかれ。その身は、既に強化されている。味方を守る、という強い信念が、由の鎧。
そしてその守りは、不利である程に堅固となるのだ。
「るーん」
そして、由から巧みな挑発を仕掛けられた敵は、まんまとそれに乗った。
艦内で暴れ回られては困る。不定形兵器たるふていけいせいめいたいは、由の追跡を開始した。
「びよーん」
「……何でコレと銀河皇帝比べた」
交戦相手のビジュアルを把握したレッグは、そうつぶやかずにはいられない。
いや、何か共通点があるかもしれない。イケメンなところ? ……いやコレイケメンか? ふていけい界ではイケメンなのかもしれないが、レッグの知った事じゃない。
そんなことより今は戦闘中。目先の事にとらわれていい時間帯だ。
レッグは、物は試しとばかり、鉄骨を叩きつけた。
打撃をまともに喰らうせいめいたい。だが、弾性のある肉体が、鉄骨を押し返してくる。
「打撃はあんまり効かねえか?」
表情があまり変わらないので見定めがたいが、流石にノーダメージというわけではなさそうだ。
なら次の手か、と思案していると、反撃がくる。
四肢を収納、球体となって回転、体を一気にレッグへと伸ばしてきた。
ブルーアイで軌道を予測しつつ、一撃、二撃と、避けるレッグ。さながらドッジボール。ただし武器あり。
鉄骨でそれを受け流しつつ、追い払う。
打撃される敵の姿に、つづらから敵殲滅を託された『迦河稚』が、目を細めた。
「……かくも面妖な姿形と相対する経験まで得られようとは。しかしこれは、衝撃波があまり通らぬやもしれませぬか……」
バウンドする事で自己強化した敵が、来る。だが、つづらにこの身を返すまで、傷などつけはさせない。
見切り、残像、フェイント。戦技をいかんなく発揮しながら、迦河稚はこの場における最善を選び取った。
「では一つ、趣向を凝らした槍衾で参りましょう――霊体と侮るな、氷槍陣召喚」
音もなく、中空に氷槍が招来される。
迦河稚の意を受けた槍群が、敵を貫いていく。霊体という事もあり、敵の弾性に富んだ体も、軽減効果を発揮できない様子だ。
しかし、敵もれっきとした兵力。反攻を試みるが、
「!?」
足が動かぬ。
氷槍の内にしのばせた麻痺力が、身体の自由を奪っていたのだ。続けて刺さる槍群が、その体を壁に縫い止めていく。
これはチャンス、と加勢しようとした優治の体が、別の個体が弾き飛ばされた。
「この程度の血じゃ満足してくれないね」
大した傷ではない。苦笑交じりに身を起こした優治は、ユーベルコードを発動させた。
腕時計型サイコキャノンが、まるで腕を喰らうように締め付けてくる。……否、実際かじられている。
優治の血を受けたそれは、禍々しき姿……殺戮捕食態への転身を完成させる。
鮮血が、床を濡らす。代償として使いきれなかった血だ。
「実践で使うの初めてだけど、殺傷力増強はどんなものかな?」
突撃してきたふていけいせいめいたいをかわし、背後からのカウンター。
壁に激突した敵へと、優治が捕食者の力を繰り出した。
「……!!」
敵の体に、穴が開く。
呑気、とさえ見えたふていけいせいめいたいの目が、驚愕に彩られる。貴重なものが見られたのかも、と思う優治。
体の一部を失いバランスを崩す敵を、ショコラが追撃した。
射手として、後方から仲間をフォローするショコラ。敵に囲まれない様、位置取りを最適化していく。
だがそこへ、一体が突進してくる。
冷静にショコラが狙いを定めるのは、胴体部分。的とするならば、大きい部分である事に越したことはない。
弓弦に手をかけ、見えざる矢を放つ。
次の瞬間、ふていけいせいめいたいが『射抜かれた』。そう、ショコラのユーベルコードが生み出す攻撃力の正体は、『矢が命中したという事象』そのものだ。
続けざまに本体を射撃されたふていけいせいめいたいは、ほどなく形を保てぬほどに弾け飛んだ。
アメーバ状の黒が、壁面を濡らす。
一方、由は孤軍奮闘していた。
四肢を器用に動かし追って来るふていけいせいめいたいから逃れ、艦内通路を駆け巡る。追いかけっこと空中戦は、由の得意分野だ。
もちろん、敵も黙ってはいない。あの手この手で足止めを試みてくるものの、由はあえて反撃せず、回避に専念した。
時には炎で構成された体を変形させ、敵をやり過ごしさえもする。
つかず離れず。両者の距離は、絶妙に保たれている。
ふと振り返れば、由の後方には10を軽く超える敵が追走してきていた。
これだけいれば。
由は、龍達の待つ区画へと、進路を向けた。
やがて、龍達の気配が近づいてくる。準備は万端のようだ。
「追いかけっこはおしまいですわ」
ようやく足を止め、由が笑みの気配をこぼす。
ドラゴニアンが、そのアギトを開いて待ち構えていた。
「いくらぽよんぽよんしたり伸びても、狭い艦の通路内では、氷のブレスの逃げ道はありませんわ。さぁ、凍ってくださいな」
霊体竜から吐き出される、氷のブレス。
この瞬間を待っていたとばかり、その威力は凄まじく、由の引き寄せた敵群、そのことごとくを氷結させていく。
まさに、一網打尽。
「…………」
物言わぬ氷像と化した敵は、もはや、不定形とは呼べぬ。
後は、排除するのみ。
夫竜の槍が、文字通り、唸りを上げる。槍撃のたび、巻き起こる風。
そして龍が頼みとするのは、己の拳。
この両者に由も加えた連携が、敵を確実に打ち砕いていく。
欠片に成り果てた敵が、しゅう、と音を立てて蒸発したのを、由は見た。
●銀河の勇者たち
迦河稚によって、床に縫い止められた敵は、自分が動けないなら、と分身を生み出した。
「……ふむ、腹に数字を持つものは合体と……なれば1のうちに捌いてしまいましょう」
わらわらと囲んでくる敵に、迦河稚は、果敢に攻めかかった。
蹴散らされる分裂体。
優治により体をえぐりとられ、倒れていく。しかし、新たな影が優治に落ちる。
「ぬーん」
が、その体が、びくん! とけいれんした。
全身に、槍が突き立てられている。
強化された優治の気体干渉能力……螺旋の槍と化した空気が、ふていけいせいめいたいを針の山に変えたのである。
皆が奮戦している。自分も、もっといいとこ見せなければ。
そう判断したレッグは、鉄骨を床に突き立て、相手と向き合うよう姿勢を変えると、
「演算開始」
弾んできた敵を、掴み、叩き、払う。
すると、レッグのボディに触れたそばから、敵の体がスライスされていく。
普通だと割と豪快に斬れるがコイツはどうだろうな……そんなレッグの思案は杞憂に終わる。
すぱすぱすぱ、と、黒のスライスが量産されていく。この調子だ。
「ふう、だいぶ静かになりましたね」
だいぶ薄くなったふていけいせいめいたいの残骸を一瞥したショコラは、一路、戦艦の出力部を目指す。
船が落ちれば、残存兵力がいたとしても関係ない。
だが、そこに敵が立ちはだかる。
「ぬーん」
これ以上の損害は許さない。ショコラの行く手を阻む敵を排除したのは、ドラゴニアンのブレスだった。
「さあ、ここは私達に任せて、先へ」
新たに氷像となった敵にとどめを刺しながら、ショコラを促す龍。
由も、分裂体の残りを押し返しながら、うなずく。勝利はもう目の前だ。
由や龍に感謝を述べると、ショコラは道を急いだ。
やがて、宇宙に花が咲いた。
『サンフィッシュ』からは、『スティングレイ』の爆散の様子がはっきり目撃されていた。
そして開花の直前、猟兵達は脱出に成功。『サンフィッシュ』を、集結艦隊の元へと導く。
新たな仲間は、銀河を救う希望の種となるだろう。
大成功
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