6
猟書家の侵略~闇中暗躍之秋

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #獣狩りのアルヴィナ #化身忍者 #風魔小太郎 #魔軍転生 #夕狩こあら #妖魔忍者

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#サムライエンパイア
🔒
#猟書家の侵攻
🔒
#猟書家
🔒
#獣狩りのアルヴィナ
🔒
#化身忍者
🔒
#風魔小太郎
🔒
#魔軍転生
#夕狩こあら
#妖魔忍者


0




 骸の海から甦った戦国の雄が江戸幕府を揺るがしたエンパイアウォー。
 第六天魔王・織田信長が島原に『魔空安土城』を築き上げた時、猟兵にも破壊不可能な強固な防護を、唯一破壊できる者が居た。
「……皆は『首塚の一族』を覚えているかしら?」
 切り出したのは、ニコリネ・ユーリカ(花売り娘・f02123)。
 かの一族と、彼等を補佐する幕府の一万の兵を以て、魔空安土城の防護を打ち砕いた事は記憶に新しいと、猟兵らと首肯を揃えたニコリネは、間を置かず言を足した。
「首塚の一族はエンパイアウォーの後、江戸幕府の保護の下で、様々な隠れ家で守られていたのだけれど、これに気付いたオブリビオン忍者軍団が密かに暗殺しようとしてるの」
 オブリビオン忍者軍団――。
 其は、江戸幕府の転覆を狙う猟書家の幹部『獣狩りのアルヴィナ』が、クルセイダーの秘術「超・魔軍転生」を用いて、自身が率いるオブリビオン軍団に魔軍将『風魔小太郎』を憑装させ、化身忍者の如くした忍者の軍勢である。
 ニコリネはここで皆々を見渡し、
「皆には、先の大戦の功労者である『首塚の一族』を、魔の手から守り抜いて欲しいの」
 ぺこり、深々と礼をすれば、再び持ち上げて見る精悍な表情に勇気が湧こう。
 無言の是を受け取った彼女は、力強く頷いて説明を続けた。
「場所は駿河国府中――二丁町遊郭の『伏見屋』というお店に匿われた首塚の一族が敵に狙われているんだけど、幸いにして幕府が化身忍者を送り込んでくれたから、皆は忍者の手口に通じた彼と一緒に敵をやっつけてね!」
 魔軍将『風魔小太郎』の霊魂を宿した軍勢は手強いが、目には目を、忍には忍を。
 猟兵が『天下自在符』を見せたなら、幕府より遣わされた化身忍者も快く共闘してくれるに違いないし、力としては猟兵に劣るが、忍の知識はきっと役に立つ。
「忍者軍団をやっつけたら、彼等を率いる大将『獣狩りのアルヴィナ』が直々に首塚の一族を手にかけようと来る筈だから、彼女もビシバシやっつけちゃって!!」
 クルセイダーの天下布武に協力するアルヴィナの狙いは、嘗て魔空安土城の守りを破った彼等に、魔空島原城の守りを破らせてはならないと、懸念を払拭せんが為。
 逆に言えば、彼等が居てくれる事が魔空島原城の攻略に繋がるという事だろう。
 ニコリネはまだ希望の光は断たれていないと頬笑むと、グリモアを喚び、
「サムライエンパイアにテレポートします。血湧き肉躍る闘争を求めてやってきた異人さんに、侍の国には埒外に強いツワモノが居るって教えてあげましょ!」
 と、ウインクして送り出すのだった。


夕狩こあら
 オープニングをご覧下さりありがとうございます。
 はじめまして、または、こんにちは。
 夕狩(ユーカリ)こあらと申します。

 こちらは、猟書家幹部のひとり『獣狩りのアルヴィナ』の侵攻を食い止める「首塚忍者合戦」シナリオです。

●戦場の情報
 サムライエンパイア、駿河国は府中、安部川近くに広がる二丁町遊郭。
 徳川家康の隠居地である駿府城下に造られた幕府公認の遊郭で、この中にある「伏見屋」というお店に『首塚の一族』が匿われています。
 外観に関しては、歌川広重筆『五十三次名所図会 府中、安部河みろく二丁町』をイメージして頂けると幸いです。

●シナリオ情報(二章構成です)
 第一章『妖魔忍者』(集団戦)
 既に滅んだ忍者の里にて非人間的な修行と人体改造で造られた人間兵器で、忍者として必要とされる以外の精神は徹底的に破壊されています。
 今回は魔軍将『風魔小太郎』を憑装しており、卓越した武技や忍術、改造された肉体で戦います。
 天気は快晴、月の見える「夜」です。
 戦場となる「伏見屋」は忍者屋敷のように改造されており、内部で戦う事が出来ますが、邸への侵攻を許さず外で戦う事も出来ます。

 第二章『獣狩りのアルヴィナ』(ボス戦)
 弱いやつは己の養分になるべきと思っている幹部猟書家。
 新鮮な闘争を求めてアリスラビリンスから来訪した、好戦的なバトルジャンキーで、首塚の一族を狩りつくし、魔空島原城の守りを固めようと目論んでいるようです。
 ※獣狩りのアルヴィナは憑装していません。

●プレイングボーナス『化身忍者と協力して戦う』
 このシナリオフレームには、特別な「プレイングボーナス」があります。
 幕府が送り込んだ「化身忍者」と協力して戦うと、有利な戦いに持ち込む事が出来るでしょう。(猟兵ほど強くはありませんが、忍者の手口に詳しいです)

●リプレイ描写について
 フレンドと一緒に行動する場合、お相手のお名前(ID)や【グループ名】をお書き下さい。
 このシナリオは早期にプレイングの募集を締め切ったり、全てのプレイングの採用が出来ない場合がございます。

 以上が猟兵が任務を遂行する為に提供できる情報です。
 皆様の武運長久をお祈り申し上げます。
198




第1章 集団戦 『妖魔忍者』

POW   :    忍法瞬断
【忍者刀】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    忍法鎌鼬
自身に【特殊な気流】をまとい、高速移動と【斬撃による衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    忍法鬼火
レベル×1個の【鬼火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 駿河の名物一富士に二丁町と称えられる、二丁町遊郭――。
 徳川家康の隠居の地である駿府城下に造られた幕府公認の遊郭は、『安倍川遊郭』とも呼ばれ、夜には華やかな彩を魅せるが、ここに猟兵を待つ者が居た。
「況(まし)て末世の煩悩世界、惚れて通ふに何恐怖かろふ――とな」
 花と月との双街(にちょうまち)、創めて客を招いた「伏見屋」の軒先に影ひとつ。
 旅人に扮したこの男こそ、日下部・野毘蔵(くさかべ・のびぞう)――幕府より内々に遣わされた化身忍者で、彼は飄々と花柳を眺めつつ、眼鏡の奥の瞳は烱々と『天下自在符』を持つ者を探っている。
 鋭い聽覚は伏見屋の賑いを捉えているが、實はこの中に客は“居ない”。
 本日は猟兵の貸し切りとした野毘蔵は、胸奥に言を継いで、
(「……伏見屋は大御所(家康)が直々に認められた遊郭にて、首塚の一族をお守りする準備は、バッチリ整えられているので御座んス」)
 なんと、伏見屋は絡繰り忍者屋敷。
 内部に敵を引き込んだなら、どんでん返しや仕掛け戸、隠し通路などの絡繰りを使って敵を強襲する事が出来るし、庭にも落とし穴などの罠が仕掛けてある。
 猟兵にこれらの絡繰りを教えたなら、手練の彼等は有効に使ってくれるに違いないが、但し、屋敷内では一度に相手出来る数が少ないのが問題だろう。
 野毘蔵はここで、むむ、と唸って、
(「相手は神出鬼没の風魔小太郎……光闇が際立つ夜に攻めてくるとならば、一地点からでなく様々な場所から忍び込むに違いないで御座んス……」)
 玄関や裏口だけでなく、屋敷の塀や屋根の上にも監視の目は置きたいところ。
 猟兵らと手分けして警護に当たりたい處だが――と、思案した時、その瞳に三つ葉葵が映る。
「――おお、御仁は」
 果して野毘蔵は朗らかに笑って、
「さぁさ、あとは中で“待ち人”を迎えるで御座んス!!」
 と、『天下自在符』を見せた猟兵を伏見屋へ引き込むのだった。
七詩野・兵衛(サポート)
『アルダワ魔法学園応援団『轟嵐会』団長 七詩野兵衛である!』
アドリブや他の猟兵との連携と絡みは歓迎だ。

多少の怪我は厭わず積極的に行動する。
よほどの事情でやらなければいけない時以外は、
他の猟兵に迷惑をかける行為や、公序良俗に反する行動はしないぞ。

戦闘は応援団としてバーバリアンの力強さと、
スカイダンサーの身のこなしを駆使して応援するのだ。
我輩の「ダンス」と「パフォーマンス」で皆を「鼓舞」するのだッ!

応援する相手がいなければ仕方ない、自分で戦闘する。
後はおまかせだ。よろしくおねがいしよう!


大神・零児(サポート)
アドリブ共闘可
多対一又は多対多の場合
多数を一度に相手にできるUCを選択
各個撃破の場合はUCの選択はマスターに任せます

戦闘のみの場合
所持している武器・アイテムを効果的に使い
戦局を有利にするよう行動(フラッシュバン・煙幕等で攪乱や敵の隙をつくる等)

救出・護衛
対象者の命最優先で行動
敵の動きに注意し、牽制しながら戦う
仲間との連携・連絡はアイテムも駆使し密にする



常時使用技能
戦闘知識
第六感
野生の勘
見切り
世界知識
地形の利用
咄嗟の一撃
ダッシュ
ジャンプ
学習力
情報収集
早業
敵を盾にする

護衛・救出対象等有
拠点防御
時間稼ぎ
鼓舞
失せ物探し
オーラ防御
覚悟
救助活動
かばう
聞き耳

C-BA使用時
運転
操縦
動物使い
動物と話す
運搬
騎乗


ネージュ・ローラン(サポート)
『舞でお相手しましょう』『皆さんはわたしが守ります!』

ヴェールを使って空中を舞いながら戦うエルフです。
戦闘では主に前に出て相手を引きつけながら戦います。
攻撃は空中からの足技や、氷の武器を作って行います。
精霊魔法も可能で、「氷の大狼」「炎の妖狐」「風の神鳥」と契約しており、氷属性を中心に使用します。
仲間も一般人も傷つけず守りたいと考え、そのことを最優先に動きます。

潜入や調査はあまり得意ではありませんが、事件解決の為であれば出来る限りの事をしようとします。
機動力を活かせる役割があれば率先して引き受けましょう。


ジェイソン・スカイフォール(サポート)
おもに「衛生小隊」を使ってメイン参加者を援護したり、救護したりします。

▼行動例

「自分たちが援護をします。総員戦闘配置!」
敵の数が多い/敵が優勢のとき、衛生小隊を率いて登場。援護射撃を行い、猟兵が行動するチャンスを生み出すほか、敵の足止めや味方の撤退支援などを行う。

「避難は任せてください。さあ、みなさんはこちらへ!」
現場に一般人がいるとき、避難誘導や救助を行う。必要に応じて炊き出しなども可。


ケルスティン・フレデリクション(サポート)
みんな、がんばって!
わたしも、おてつだいするね!

こうかで複数攻撃を行う
こうかは光華。
武器を自身の花である勿忘草に変えて戦う
「みんなをいじめちゃ、めっだよ!」

一人称 わたし
二人称 名前を呼び捨て

口調は幼く
言い切る形や「〜なの」「〜よ」言葉尻を伸ばすことも多い

基本的には皆のお手伝い役
戦闘や情報収集、その他言われた事を行います。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。



 花と月との双街(にちょうまち)、安倍川遊郭は広大な敷地を有する。
 然も夜となれば人の出入りは多く、曲者が忍び込むには容易い花街であったが、少しでも侵入口を絞ろうと支援に出る者が在った。

 七詩野・兵衛(空を舞う熱血応援団長・f08445)もその一人。
 彼は人通りの多い大通りからの忍者軍団の侵入を禦ぐに、物理的な柵を設けるで無し、小気味良い方法を用いた。
「この声援に應えねば漢が廃る。我輩の生き様とくと見よッ!」
「押忍ッッ!!」
 どどんっ!!
 アルダワ魔法学園応援團が團旗『霹靂一声』の颯々たるはためきを背に、長ランを纏う熱血応援團員と楽團員が雄々しく整列し、その中央に立った團長・兵衛の圧倒的気合いと情熱が衆目を惹き付ける。
「刮目して見よッ! これぞ我輩の応援道! フレッ!フレッ! オーーーーッ!!」
 夜色を纏いながら烈々たる炎の如き英姿。
 心の底から奮い立たせる、勇ましいテノール・バリトン。
 兵衛の応援活法【大声は里耳に入る】は見るもの聽くものに等しく雄渾を與える故に、双街を訪れた者を強烈に惹き付けて輪を成し、群集(ひとだかり)を作り、軈て隙間ない人間の壁を形成しよう。
 大通りの入口が人で塞がれたなら、暗殺を目的とする忍者軍団が此処を無理に押し通る理由は無し、彼等は別のルートを探らなくてはならなくなる。

 兵衛が人の賑いで忍者軍団を寄せ付けぬ算段なら、ケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)は物理的な明るさで敵の進路を絞ろう。
「きっと、あかるいところはきらいよね?」
 美し金絲雀の聲に合点(こっくり)と頷くは、氷の精霊『ルル』。
 眞白の小鳥の温かな毛並みを撫でた少女は、交睫ひとつして夜空を仰ぐと、月光を映すオレンジの瞳に凛然を萌した。
「――きらめき、まもって!」
 闇中を暗躍する忍なれば、光ある處には来まいと紡ぐは【ひかりのまもり】。
 光の玉を纏う魔法の短劔『いのり』を一振り、月下に七彩を煌かせたケルスティンは、玲瓏を折り重ねて光の盾に、更に大きな壁を作って「伏見屋」の一角を昼の如くした。
「これで、ここからは来ないはず……」
 繊麗の躯に秘めた魔力を薪に、閃爍に光闇を際立たせるケルスティン。
 渡れる闇が断たれた上に、無敵の光に護られる一角に忍者が押し寄せる事は無かろう。
 ケルスティンはルルと共に深い闇へと星眸(まなざし)を注いで、
「首塚の一族さんをいじめちゃ、めっだよ!」
 と、何者の侵入も拒むのだった。

 而して双街の外、二丁町沿いに流れる安部川に陣取る者も居る。
「――間引くか」
 低く冷たいバリトン。
 聲の主は大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)。
 花柳の提燈の彩を映す安部川のせせらぎに、狼の耳をピンと立てた彼は、仄暗い水底に隠れた邪悪な気配を暴き出すべく、漆黒の鋭眼を烱々とさせた。
「……先刻『伏見屋』を見て来たが、それほど多くの客は入らねぇ。裏口から侵入ろうとする奴は、妓夫に代わって追い払って遣る」
 虹彩に光が疾ったのは、悪夢顕現【結界崩壊】(ビャウォヴィエジャノモリノカタストロフ)――万色の稲妻が安部川広域に降り注いだから。
 夜を白ませる霹靂が水面を明らかにしたなら、零児の烱眼には川を渡らんとする妖魔忍者の影が捉えられたろう。間もなく其処に詠唱銀の雨が降り注ぎ、川が赫く染まる。
 続々と倒れる邪忍に代わって揺らめくは抗体ゴーストか、武装した彼等は数を増やし、川辺に立つ零児の戦闘力を上げていく。
 彼は紫電閃雷の中で殺意溢れる英姿を暴き、
「生きては帰さん」
 と、水中に隠れる邪忍を次々に暴いては屠っていくのだった。

 斯くして仲間達が伏見屋の内外に陣取る中、絡繰り屋敷に隠れる首塚の一族を護るは、ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)。
「皆さんは、わたしが必ず守りきってみせます」
 六花の舞う如き淸冽のソプラノ。
 そして湖水の如く澄める青瞳が、彼等に一縷の創痍も許さぬと誓おう。
 ネージュは己と契約を結んだ氷の大狼、炎の妖狐、風の霊鳥の其々を屋敷中に巡らせて敵の侵入経路を予測すると同時、万が一にも曲者が辿り着いた場合の退路を確保すべく、建物の構造を把握している。
「屋敷内なら、風の流れである程度は敵の動きが読めるでしょう」
 そう言いながら白磁の繊指は『エレメンタルヴェール』を彼等に被せて、
「此処は不可視の領域、何人も侵せぬ聖なる舞台――このヴェールに包まれる限り、敵に見つかる事はありません」
 音訪れるは【静なる舞台】(カルム・サンクテュエール)――。
 狙う者の姿が見えねば、百面鬼・風魔小太郎といえども暗殺する事は叶わぬだろうと、ネージュは首塚の一族の傍に控えつつ、聡い耳に内外の音を拾い続けるのだった。

 ――扨て。
 双街には町人も居れば旅人も居るし、首塚の一族を匿う「伏見屋」にも娼妓や妓夫が居るのだが、無辜の命を脅威より守る猟兵も聢と存在した。
「皆さんは邀撃に専念を。屋敷の方々の避難は任せてください」
 首塚の一族の保護をネージュに任せ、彼等を今日まで匿ってきた屋敷の者たちの避難にあたるは、ジェイソン・スカイフォール(界境なきメディック・f05228)。
 透徹の青瞳は義気凛然と、伸びやかなテノール・バリトンを澄み渡らせ、
「――さあ、みなさんはこちらへ!」
 UDCアースの数々の戰場で衛生兵として活躍したジェイソンならば、戰場をサムライエンパイアの歓楽街と變えても何ら支障なく、花街の複雑な地理を把握した彼は、伏見屋の者達を彼等と縁ある「蓬莱楼」へと避難させた。
 道中の安全は【衛生小隊】(メディック・プラトゥーン)が守ろう。
「総員、警護にあたれ!」
 救護と戰闘の技術を持つ衛生兵の部隊を召喚したジェイソンは、自ら指揮を執って避難誘導し、首塚の一族のみならず、全ての一般人が戰闘に巻き込まれぬよう配慮した。

 而して支援があれば、本隊と動く猟兵も心強かろう。
 グリモアの光を解いて二丁町遊郭に降り立った精鋭らもまた、首塚の一族を守り抜き、オブリビオン忍者軍団を排撃すべく動き出すのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

エメラ・アーヴェスピア
あら、また懐かしい名前ね
確かにあの時は助かったわ…それを猟書家が狙っているとなると…助けない訳にはいかないわね

さて、私は外で迎撃させてもらうわ、室内だとどうしても戦術が限られてしまうから
まずはドローンで【索敵】【情報収集】、熱源探知を主とすれば探しやすいでしょう
索敵したなら後は迎撃するだけ
『出撃の時だ我が精兵達よ』、複数機を二班に分けるわよ
狙撃銃を装備し、隠れてながら狙撃にて数を減らす狙撃班
重機関銃を装備し、真正面から弾幕をはって【拠点防衛】を行う迎撃班
この二班を【集団戦術】で運用するわ
それと「魔導蒸気装兵」は私と迎撃班の護衛をメインとした【遊撃】よ
さぁ、仕事を始めましょう

※アドリブ・絡み歓迎



 嘗て北条氏を主とした風魔小太郎は、徳川の庭を荒らすに何ら躊躇無い。
 場所を江戸から駿府に移そうと其は變わり無く、此度「首塚の一族」を標的とした妖魔忍軍は、闇中を疾って伏見屋に近付くと、毎度の如く鈎縄を使って塀を登ろうとした。
 その時である。
 鈎縄を投げようとした瞬間の脇腹に鐵鉛が沈み、仄暗い道に血斑が落ちた。
『――ッ!!』
 激痛に歪む視界で彈の方向を追えば、隣の遊郭の高楼に黒筒を構える狙撃兵が10体――硝煙を靉靆(たなび)かせた銃口を此方に向けている。
 別なる個体が闇に浮遊する小型偵察機に気付くが遅かろう。
 邪忍の侵攻を、その熱源を探知したドローンは直ぐさま情報を送り、通信を受け取った司令官は、周辺に配置した魔導蒸気兵を指揮して狙撃、或いは遊撃に当たらせる。
「……懐かしい名前を聽いたわ。今年も夏を迎えれば、もう二年も前の事になるのね」
 銃聲に紛れる美しソプラノ。
 佳聲の主はエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)。
 彼女は敵軍が身を置きたい翳影にこそ【出撃の時だ我が精兵達よ】(メイクアサリー)――魔導蒸気兵迎撃班を配置し、自らも『魔導蒸気マスケット銃』の銃口を邪に向けて囁く。
「先の大戰では随分と助けられたけど、今度は私達に助ける番が回ってきたみたい」
 エメラも魔空安土城を攻めた猟兵の一人だ。
 首塚の一族なくして織田の魔城は攻略できなかったと、白磁の繊指が銃爪を引けば、閃光火花に白む花顔は闇に浮き上がって、
「彼等の力を狙う者が居ると聽いたからには、助けない訳にはいかないわね」
 須臾、夜風を切り裂いた鐵彈が、邪忍の脳天を鋭利く撃ち抜く。
 而して仰け反った躯は、背後の魔導銃士が血滴が染むより速疾く斉射に沈めよう。
 返り血も浴びず足許に骸を轉がしたエメラは、次いで続々と襲い掛かる妖魔忍軍が忍者刀を抜くより先に繊手を夜天に掲げ、號令を――我が眼前に狙撃班の的を集めた。
「一体たりとも中には入れないわ」
 闇中斉射――ッッ!!
 月の冱える夜に絢粲(キラキラ)と閃爍を彈いた黒鐵の筒先は、仄暗い闇に蠢く熱源を精確精緻に捉え、伏見屋の塀を紅く赫く染め上げる。
 戰術が限られる屋内に対し、屋外で迎撃すると決めたエメラは如意自在、狙撃班の広い射程と、遊撃班の機動力を活かした攻撃が叶おう。
 少女(?)は月下に豊かな金髪を揺らして、
「敷地の外だもの、遠慮なく仕事をさせて貰いましょう」
 と、96体の魔導蒸気兵を手足の如く動かすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

篝・倫太郎
……日下部某は武芸に通じる家系なんだろか?
延乃進、野火郎で……野毘蔵……
はは、2人とも元気だったぜ?

さて、野毘蔵サンから
敵が動く場合の思考の方向性辺りを教授して貰ったら
敵さんを迎え討つか

野毘蔵は首塚の警護宜しく!
あんたがきちっと守ってくれりゃ
その分俺らも敵に集中出来るからさ

LoreleiとHoldaを連動し起動
熱探知を利用して敵の位置と距離を掌握

拘束術使用
敵が姿を見せたり、射程圏内に複数到達したら鎖での先制攻撃
攻撃と同時に拘束
姿を視認出来る敵にはダッシュで接近して
鎧砕きと吹き飛ばしを乗せた華焔刀でなぎ払い
刃先返して2回攻撃

懐入れなきゃ、怖くねぇよ!

敵の攻撃は見切りと残像、絡繰りも利用して回避



 猟兵の中には、『天下自在符』を見せずとも幕府の隠密と通じ合える者が居る。
 篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)が然うだろう。
 颯爽たる歩みで伏見屋を訪れた彼は、何処となく見知った男に琥珀色の瞳を細めると、朗々と滑り出る科白の語尾を持ち上げた。
「延乃進、野火郎で……今回は野毘蔵、と……日下部某は武芸に通じる家系なのか?」
「おおお、某の親戚を御存知とは! いやはや、彼等も息災に御座んスか?」
「はは、二人とも元気だったぜ?」
 互いに初対面の筈が、僅か二、三語で打ち解けた倫太郎と野毘蔵は、至極自然に屋敷へ入ると、そこに匿われた首塚の一族に面会して直ぐ、彼等の防衛に回った。
「――さて、野毘蔵は皆さんの警護を宜しく!」
「屋敷の絡繰りを知る某なら、万一の時に守るも退くも叶うからに御座んスね!」
「ご名答。あんたがきちっと守ってくれりゃ、その分俺らも敵に集中出来る」
 屋敷内の守備を任せた倫太郎は、精悍の躯を窓際へ。
 翩翻(ヒラリ)と振った掌が摑むは、師匠お手製の電脳ゴーグルLorelei [ RKS ]――瞳に装着したHolda [ RKS ]と連動し、闇中でも索敵出来るスグレモノを額から降ろした彼は、佳聲を置くなり窓から飛び出た。
「そんじゃ、行ってくる」
 トン、トンと輕やかに手摺を登って影は今や屋根の上。
 夜目が利くなら眼路は広い方が良い、と高みに据わった倫太郎は、熱源が移動する方へ鼻梁を向けると、【拘束術】――災いを縛る不可視の縛鎖に邪影を絡め取った!
「――隣接する高楼を伝って来るやもと聽いたが、はは、ドンピシャだ!」
『ッ、ッッ……!!』
「サンキュ、野毘蔵」
 同じ穴の狢か、野毘蔵の読み通り。
 妖魔忍軍の行動思考や戰術を教授して貰った甲斐があったと、佳脣に妙々嗤笑を湛えた倫太郎は、拘束はその儘、夜天に華焔刀 [ 凪 ]の刃紋を煌かせて血華を散らした!
 妖魔忍軍も咄嗟に忍者刀を抜くが、瞬断するには間合いが足るまい。
「懐に入れなきゃ、怖くねぇよ!」
『ぜァッッ!!』
 刃鳴一閃ッ、月光を浴びた刀鋩が鏗鏘の音を彈いて鎖帷子を切り裂くと、刃先を返してもう一閃――! 今度は兵器と改造された肉体に刃撃が疾走する。
 濤と迸発(ほとばし)る血汐を頬に受け取った倫太郎は、生温く張り付く血糊を拭いもせず、眼路いっぱいに現れた熱源を烱々と睨め、
「屋根から来る行儀の悪い客はお断りだ。さっさと骸の海に還んな!!」
 と、月下に美し銀の弧を描き、招かれざる客を赤く散らすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
今度はニンジャ大戦争かよ
やれやれ、バラエティに事欠かないのは良いんだがな
そろそろ諦めろよ、馬鹿どもが
おまけに何だ?奇妙な奴がわざわざエンパイアまで来るとは、何時から観光地になったんだよ

まぁいいや
俺ァ外でやることにするよ
忍び殿は奴らの使う鬼火がどの程度のもので、どんな時に使うのかベターか教えてくれ
上手くすりゃ使うように誘導できそうだ
伏見屋を燃やしにかかったりとか、な

使わせてどうするかって?奪っちまえばいいのさ
セット、『Robbery』
ガラス片で鬼火に触れて、制御権を奪い取る
もうお前らじゃ消すことも出来やしねぇな
そらお返しだ!鬼火で派手に燃やしてやるよ
伏見屋に入りたいなら、死んでからでよろしく



「――よし。忍び殿は内で、俺ァ外だ」
 野毘蔵も忍者ならば、絡繰り屋敷を巧く使って侵入者を出し抜く事が出来るだろうし、万一の時には複雑な構造を利用して「首塚の一族」を逃がす事も出来よう。
 ヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)は此度の保護対象たる一族の面々と見えると、挨拶もそこそこに座敷を通り抜け、高楼の窓際に足を掛けた。
「先の大戰では俺も世話ンなったからな、首塚の一族の警護は頼んだぜ」
「合点承知に御座んス!!」
 ポン、と鋼鐵の手を野毘蔵の肩に置き、その勢いで二階から飛び降りる。
 各部位に迷彩を施したヴィクティムが庭へ降りようと見つかるまいが、塀を飛び越えて来る邪影は、彼の網膜に施された『ヴォイド・ヒラドリウス』に瞭然と映されよう。
 瓦を並べた塀を疆界に、熱源の蠢きを捉えたヴィクティムは、そっと溜息して、
「……バラエティに事欠かないのは良いとして、今度はニンジャ大戰争かよ。馬鹿どももそろそろ諦めれば良いものを、奇妙な奴まで乗り込んで来るとは、エンパイアは何時から観光地になったんだよ」
 飽きはしないが、呆れたものだ。
 やれやれ、と半目になった瑠璃色の麗瞳は、不圖(ふと)、月夜に漂流う一際の光熱に「鬼火か」と言つと、目尻の際に蠢く影を捉えた。
「炎を追えば忍者を逃し、忍者を追えば炎は屋敷を燃やす――疑心暗鬼の術と」
 ふうわと闇を游ぐ鬼火に人々が喫驚の目を集める隙に、忍者は逆方向の闇へ疾り、忍者を警戒して闇を往けば、逃した鬼火が炎禍を齎すとは、先に野毘蔵から聽いた。
「そんで双街は徳川公認の遊郭だから、北条方の風魔は躊躇いなく燃やすんだってな」
 ふぅん、と零しつつ電脳魔術を展開する。
 端整の脣は嗤笑を湛えたか、闇中では判然るまいが、聲色は幾許も輕やか。
「セット、Forbidden Code『Robbery』(ゴウダツノキバ)――そいつを奪っちまおう」
 ヴィクティムを中心に波動が駆け抜け、空気が震えたのは一瞬のこと。
 彼は位置はその儘、己を中心に半径98m圏内の無機物を「ガラス片」に變換すると、絡繰り屋敷へと向かう鬼火を玻璃のふるえに触れさせた。
 而してこの瞬間。
 鬼火の制御権は彼のものとなる。
「もうお前らじゃ消すことも出来やしねぇ。そらお返しだ、主の所に帰りたいってよ!」
 己が動かぬ代わり、目尻の際を過ぎた影を鬼火に追わせる。
 滾る業火が侵入者を灼いたと、優れた聽覚に拾ったヴィクティムはくつくつ哂って、
「玄関も潜らずに来た行儀の悪い客を、俺が屋敷に入れる訳ねぇだろ」
 花火の如く儚く派手な散り際を背に、流眄だけを置く。
「伏見屋に入りたいなら、死んでからでよろしく」
 過ぎ行く炎に浮かび上がった麗顔は、刃の如く玲瓏と研ぎ澄まされていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
此処もアルヴィナ達が向かっているようですね
早く助けに向かわなければ……

時間帯が夜の為、周囲を見通せるように暗視と視力の技能を活用
現地の化身忍者には口頭で援護に来た旨を伝え、戦闘の支援を要請
敵の攻撃手段や特徴を聞き、戦闘時対処できるように情報収集
彼等には飛び道具等で援護して貰いましょう

敵の数が多い所へ駆け出して接近し、早業の抜刀術『陣風』
2回攻撃となぎ払いを併せてより多くの敵を攻撃する

敵からの攻撃は見切りにて動きを確認
飛び道具ならば武器落とし、忍者刀による攻撃は残像にて回避
回避が困難であれば武器受けにて防御
攻撃を凌いだ後、速やかに反撃できるよう接近戦は維持すること



 獣狩りのアルヴィナが各地で「首塚の一族」を狙い始めている――。
 大御所家康公の隠居の地である駿府さえ魔の手から遁れられぬか、ならば早々に助けに向かわなくてはと、速やかに野毘蔵と合流を果した月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は、塀に囲われた広大な庭で、妖魔忍軍の侵攻を待ち構える事にした。
「日下部殿は飛び道具等で援護して頂けますか」
「合点に御座んス!!」
 首塚の一族は、屋敷に巡らされた絡繰りと仲間の猟兵に任せる。
 スッと腰を落した夜彦は、縁側で構える野毘蔵に肩越しに流麗の星眸を注いで、
「相手は神出鬼没の風魔小太郎、嘗ては北条氏に仕えた乱波にて、徳川が認めた双街なら躊躇無く狼藉を働きましょう。特に火を放たれては元も子もありません」
 故に、即斬。
 瓦を並べた塀を疆界に、僅かにも蠢く影あらば暗器を投げて欲しい、と頼んだ夜彦は、月下に翠玉の麗瞳を煌々と、五感を研ぎ澄ませて邪の気配を探った。
「――来る」
 忍は鈎縄も巧みに使うと野毘蔵より聽いていたが、矢張り同じ穴の狢。
 風魔も然りと、鈎が視えた刹那に爪先を彈いた夜彦は、黒影が瓦屋根に足を掛けるより先に塀を駆け上がり、神速の抜刀術【陣風】――ッ! 邪影の群れを紅く散らした!!
 この時、眼路の脇を過ぎた苦無が後続の忍を退けるのが視えよう。
 瓦屋根の上に立つ夜彦を援護した野毘蔵は、鋭く戒心の聲を投げて、
「月舘殿、足元にお気をつけを! 忍者刀が来るで御座んス!」
「――承知」
 云えば夜彦は間もなく迫る直刀の軌跡を見切り、その鋩を『夜禱』に切り払う。
 美し刃紋は夜天に冱々と、銀の月と煌めこうか。返す刀に繰り出た斬撃は神風となって衝撃波を叩き付け、塀の外側をしとど血斑に染めた。
『ずァ嗚呼ッッ!!』
『――ッ、ッッ!!』
 後続の妖魔忍軍が間隙を置かず忍者刀を差し向けるが、斬ったのは夜彦の残像。
 頭上に彼は居らず、既に瓦屋根を伝って敵数の多い楼門へと跳び渡った夜彦は、空中で一閃――ッ! 神氣滴る鋭刃に敵軍を薙ぎ払い、多くの忍者を骸と變えた。
 ひらり、朱塗りの手摺に着地した夜彦は、地に轉がる亡骸を靜かに見下ろし、
「……嘗て江戸で狼藉の限りを尽した風魔は、同業たる高坂甚内に捕縛されたとか」
 鴇色に艶帯びた花脣が、その美しきに惨酷を告ぐ。
「此度も手の内を知る同業の言によって、命を絶たれるかと」
 幾許にも冷たい科白が、眞白の息となって月下に溶けた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鬼桐・相馬
●POW
外で敵集団を迎え討とう
野毘蔵にはまず屋根の上、或いは茂みの陰、柱の裏等に潜んで貰おうか

正面から堂々と侵入する忍者は余りいないだろう
〈冥府の槍〉の炎を敵が目印にしてくれれば尚良いな
敵が物陰から忍び寄る気配を[暗視と野性の勘]で察知、攻撃を槍で[武器受けしカウンター]を叩き込む
[怪力]に物を言わせ最小限の動きで多大なダメージを与えたい

懐へ入らせないよう槍のリーチを活用するが入られると判断したら即時にUC発動
敵の攻撃が届く前に頭突きで対処

俺が倒さなくとも良い
こと切れなかった敵は野毘蔵に処理を頼む
同じ忍びたる者、撤退の方角や位置も把握しやすいだろう

彼が空間を自在・最大限に活用するさまは圧巻だな



 豪華絢爛な構えを見せる正面から脇へ入ると、塀に潜り戸が設けられている。
 其は主に従業員が使う通用口にて、人目に付かず、閂は小さく、内部に侵入を試みる忍にとっては格好の攻め口であったに違いない。
 而して翳影より様子を窺えば、戸口には篝火を持った男が一人。
 一瞬で近付いて喉笛(ふえ)を切れば、悲鳴も挙げさせずに仕留められようか、と――二人一組で近付いた妖魔忍者が、忍者刀を抜刀して疾駆した。
 だが、然し。
 紺青と燃える炎はゆうらと揺れ動いた刹那、物陰から迫った邪影に向かって轟然と灼熱を噴くと、忍者刀の軌跡を往なすやその身に深く鋩を沈めた――ッ!
 身に染む焦熱とは眞逆に、耳に迫る佳聲は凛冽を極めよう。
「正面から堂々と侵入する忍者は餘程居ないと思ったが、矢張り脇戸か」
『ずゥ、ッッ……!!』
 瑠璃色の炎に照る白皙。暴かれる影は鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)。
 見張りの炎と思しきは彼が握った『冥府の槍』で、冥府の炎を喊ぶ黒槍は邪忍の鎖帷子を鋭く貫くと、改造を施された肉体を内から灼き尽くしていく。
 相馬が血華を浴びて間もない。
「――はは。風魔小太郎も、案外と定石通りに御座んスなぁ」
『ぜァッ!!』
 須臾に近付いた二人目を赫く散らすは、屋根の上より降り注ぐ聲と暗器。
 影は見えずとも、彼が幕府より遣わされた隠密とは手裏劔の形状で判然ろうか――然し邪忍は絶叫の代わりに血飛沫を噴いて沈み、物陰に潜む仲間には何ひとつ伝えられぬ。
 事態を知らずして動く足は、二人の好餌となろう。
 続々と現れる妖魔忍軍、その鏖殺の氣に触れた相馬は、我が身に刻まれる『獄卒紋』を昏く浮かび上がらせると、向かい来る邪を槍鋩に刺突し、或いは冥府の炎に呑みゆく。
 己が止めを刺さずとも良いと、致命傷を與えた躯は足元に轉がして、
「――始末を」
「承知」
 と、暗器を沈める野毘蔵も、相馬が灼やす紺青の炎が實に助かると嗤笑を湛える。
 夜天から精確精緻に死を置く妙技に頼もしきを得た相馬は、不圖(ふと)、戸口の破壊を狙う邪忍をむんずと捕えると、羅刹の剛力を一点に、額の一角に集めた。
「妓夫すら不寝番(ねずのばん)をするのに、俺が番をして此処を通すと思うか」
 炸裂、【羅燒門】(ラショウモン)――ッ!!
 其はゴリラ道を突き進む相馬の、優れた石頭と石角を證左(あかし)する必殺の一撃。
 戰槌をも凌ぐ圧倒的破壊力には、妖魔忍者の額当ても紙と等しく、脳天からズゥゥゥン……ッッと響く波動には、屋根瓦を揺らされた野毘蔵も震え上がる程であった

大成功 🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
こんばんわ、忍者さ……ん?
(またしても見覚えのある風貌にもしかしてまた親戚さんかなと思いつつ)
ええっと。事情は伺ってますので、仕掛けについてお話を聞かせて頂いても?

知りたいのは主に水のある仕掛け(川や井戸、水路等を含む)
わたしはお庭に陣取って【水の精霊さん】発動
水場から大量に水を引き出し、お庭や屋根の上等を徹底的に水浸しにしてまるっと陣地化
更には空中にも霧状の水を撒き続ける事で、敵の鬼火から酸素と熱を奪い徹底的に妨害
敵を見つけたら直接の高圧放水攻撃も行ってもらい、わたしも精霊銃を用いて電撃弾や冷凍弾で追撃
支援と脚止め特化で火力が足りないので、状況次第で忍者さんにトドメを依頼



「こんばんわ、忍者さ……ん?」
「御仁は……ひかり、殿……?」
「えっ」
「えっ」
 紅玉の麗瞳をぱちぱちと瞬く荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)は初対面の筈だが、野毘蔵は丸眼鏡の奥で誰と重ねたのか――奇妙な縁を感じたのは蓋し間違いでは無い。
「見覚えがあると思ったら、やっぱり親戚さんでしたか……」
「某、二人と文通しておるが、一族を助けてくれた娘御が其方だったとはいやはや」
「ぶんつう」
 天下自在符を見せるより通じ合ったひかるは、事情を伺いつつ伏見屋の庭に向かうと、妓夫らが使っているという井戸に案内して貰った。
「風魔小太郎は嘗て北条氏に仕えた乱波にて、大御所(家康)が認可した遊郭となれば、躊躇無く狼藉を働くでしょうな。某の最大の懸念は火事に御座んス」
「火事……それは困ります」
 柳葉の眉を顰めたひかるは、つと井戸を覗き込んで、
「水の精霊さん、ここからお屋敷に巡らされた水の仕掛けを辿ることは……」
 野毘蔵には視えまいが、ひかるの傍でこっくりと頷いた水の精霊は、屋敷中の仕掛けを暴かんと井戸を潜って水路を往き、水場という水場から大量に水を引き出す。
 侵入者を阻む絡繰りを宛ら冒険する如く楽しむか、【水の精霊さん】(アクア・エレメンタル)は湯屋の煙突からばしゃーん! と鉄砲水を噴いて出て来た。
「おおおっ……庭は泥濘み、屋根は滑り……これは機動が弱められましょうなぁ!」
「はい、それに空中にも霧を漂わせて、鬼火の酸素と熱を奪います」
「なんと、鬼火も殺せるんで御座んスか!!」
 そうだよ、と得意げに笑う水の精霊は今やひかるの倍以上に膨れている。
 これだけの面積をまるっと陣地化したのだ、力を増幅した水の精霊は僅かな熱源の接近にも反応を示すと、塀を飛び越えて来る鬼火を線香花火の如く掻き消した。
「絡繰り屋敷の構造も敷地の広さも分かりました。どこから来ても大丈夫です!」
 水という流体に空間を把握したひかるに死角は無い。
 妖魔忍者が塀を飛び越えた瞬間に高圧放水攻撃を、隣の高楼から屋根伝いに忍び込む者には精霊銃『Nine Number』の銃口を向け、
「水の精霊さんが水鉄砲を撃つなら、私は……電撃彈ですっ!」
『ンァァァアアアイイイイ嗚呼嗚呼んんんんンンイイイイイイイイ痛痛ッッ!!!』
 妖魔忍者がビリビリと身体を強張らせ、屋根から落ちた瞬間には冷凍彈で追撃! 風魔を宿す邪悪な器をカチンコチンにしてみせた。
「トドメをお願いします!」
「合点承知に御座んス!!」
 而して命を摘むは忍者の仕事と、敵に肉薄した野毘蔵が苦無を沈めれば、凍てついた邪の塊はアイスピックに割られる氷の如く粉々に砕ける。
 あまりに簡単な作業に、野毘蔵はかんらからと笑って、
「神出鬼没の風魔も、水計にはひとたまりもないで御座んスな!」
「はい、一網打尽ですっ」
 と、妙に気の合うひかると笑顔を結ぶのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

露木・鬼燈
屋敷の中での戦闘は面倒。
侵入される前に、外で排除するですよ。
やぁやぁご同輩。
うん、ご苦労様なのですよ。
でも、まぁ、ここから先は猟兵のお仕事でしてー。
猟兵の忍の技を見せてあげるですよ。
忍の戦い方は忍がよく知っているからね。
秘伝忍法<忍鯱>
回転式多銃身電磁加速砲での制圧射撃。
空間を埋め尽くす弾丸の嵐で粉砕なのです。
どれだけ優れた忍であろうとこーゆー大雑把なのは効く!
弾を撃ち尽くしたら後始末の時間なのです。
耕された地面と一体となった敵の化身忍者を始末しないとね。
不幸にも生き延びでしまったものもいるっぽい。
まぁ、そーゆーのはシャチさんが片づけてくれるから。
あっ、良い子はその光景は見ちゃだめですよ。



 衆目に葵紋を晒さずとも、忍者同士、通じ合う会話がある。
「やぁやぁご同輩。小夜の風が間を抜ける、及台の太郎も冷えましょーなー」
「――應に御座んス。ささ、我々は中に入って暖まりましょうぞ」
「うん、ご苦労様なのですよ」
 言葉に隠れる“風間(魔)小太郎”の文字を拾い、露木・鬼燈(竜喰・f01316)を猟兵と認めた野毘蔵は、それ以外を拒む伏見屋に彼を引き入れる。
 鬼燈も先の大戰で魔空安土城を攻略した猟兵の一人なら、首塚の一族に挨拶のひとつはしたろうが、彼は足早に座敷を過ぎ、窓際に立つや肩越しに流麗の流眄を注いだ。
「此処はご同輩に任せるのですよ。蔭の奉公こそ大義なりってね」
 首塚の一族の命は野毘蔵に預ける。
 万一にも敵の侵入を許したなら、尋常の忍者の遣り口を知る彼が屋敷の絡繰りを攻守に活かしてくれるだろうし、猟兵の仕事をするに屋内では手狭だと、翩翻(ヒラリ)と手を飜した鬼燈は、窓の手摺に足を掛けたのも一瞬、三階から颯然と飛び降りた!
「猟兵の忍の技を見せてあげるですよ」
 雪白の繊指をカリ、と嚙み、赫く滲む鐵の味を口に広げる。
 風情ある庭園に音もなく着地した鬼燈は、鮮血を滴らせる手を地面に置くと、秘伝忍法<忍鯱>――めきめきと罅を入れる土の割れ目よりシャチを游がせた!
 この時、塀を飛び越えて庭に侵入した妖魔忍軍は異様な光景を視たろう。
「シャチは“逆戟”……まぁ言っても積んでる武器は戟じゃないけどね」
 月下、昏い海原を回遊する忍鯱は、強化した外骨格に回轉式多銃身電磁加速砲を備え、僅かにも蠢く影あらば砲口を揃えて一斉射撃に制圧する――宛ら彈丸の嵐!
 異形心眼に無数の熱源を捉えた鬼燈は、瞠目するより麗瞳を細めたろう、
「どれだけ優れた忍であろうとこーゆー大雑把なのは効く!」
 鯱が飛び跳ねると同時、轟音が夜天の靜謐を破り、幾丈の閃爍が光闇を際立たせると、庭に暴かれた邪影は次々に鐵鉛を喰らって土の波間に沈んだ。
 美し紫苑色の瞳は惨憺を映しても翳らず、月夜に烱々と冴えよう。
「僕は後始末とゆーことで!」
 斉射が済めば、鬼燈は泥濘に埋もれる骸を足場に輕やかに跳び渡り、而して鞭と化した『魔剣オルトリンデ』を振るって妖魔忍者らの躯を別つ。
 時に側面から迫る鬼火は、疾ッと走らせた連結刃に掻き消して、
「うーん、不幸にも生き延びでしまったものもいるっぽい?」
 語尾を持ち上げて直ぐ、炎が投げ入れられた方向へ烱眼を結ぶ。
 唯だ鬼燈が手を下す必要も無かろう、術者たる邪忍は間もなく忍鯱に屠られ、
「良い子が見ちゃダメな光景っぽい!」
 と、惨たらしい末路を憐れむのみであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛宕院・燐樹
満月まではもう暫し、けれど良く冴えた月の美しき夜。
…斯様なる時、斯様なる場に相応しからぬ無粋は、早々に片付けてしまいましょう。

先ずは忍びの方への接触を。
猟兵と名乗りを上げれば見には来られるでしょうから、そこに天下自在符を提示し協力を申し出ます。
皆様の忍びの技、お借りしとうございます。

具体的には、目標の暗殺を果たすべく隠密裏に動いている敵を、人目につき得る場所へ――叶うならば、私に見える範囲へ引きずり出して頂きたく。
土地勘も無い入り組んだ地形、皆様のお力が頼りです故…

そして現れた敵へ、異界神器「幽照主」の力で伸ばした触手で【捕縛】、別の敵へ投げつけたり、手元へ引き寄せて灰燼拳を叩き込みましょう。



 嘗て北条氏に仕えた風魔小太郎は、徳川の庭を荒らすに一縷と躊躇わない。
 場所を江戸から駿府に移そうと其は變わり無く、首塚の一族の暗殺を謀る妖魔忍軍は、遊郭の高楼を跳び渡り、伏見屋の高所から攻めかからんとした。
 その時である。
『――ッッ!!』
 伏見屋の屋根に着地した瞬間、本瓦の隙間から次々と仕掛け矢が放たれ、足の踏み場を失った邪忍らが咄嗟に屋敷の庭へ飛び降りる。
 而して降り立った庭の縁側には、市女笠を被った着物の女が佇んでいた。
 襲撃に気付いて屋敷を離れる首塚の一族か――虫垂れ衣に隠れる顔を確かめようとした妖魔忍者らは、この時、鴇色に艶めく紅脣より大瑠璃の如き佳聲を聽いた。
「満月まではもう暫し、けれど良く冴えた月の美しき夜……だと言うのに、斯様なる時、斯様なる場に相應しからぬ無粋」
 美しくも張り詰めた美聲に怖氣が疾走る。
 遊女が醸せる風格で無し、この女こそ首塚の一族だと忍者刀を抜いた妖魔忍者たちは、刹那――足元より這い寄った異形の触手に縛されたッ!!
『な、ン――!!』
「……ええ、早々に片付けてしまいましょう」
 云うや、女は一陣の風と化し、颯ッと邪影に肉薄するや【灰燼拳】――ッ!!
 雪白の繊手は握り込めるや戰槌と成り、邪忍の鎖帷子を穿ち砕くや、超改造を施された肉体を突き当たりの塀まで衝き飛ばす!!
 撞ッと土塀に打たれた躯が骸となって崩れ落ちる中、ふうわと月夜を踊った市女笠が、『天下自在符』を帯に提げた女の正体を暴こう。
「引き摺り出して、捕まえて、縛って……殴り倒して差し上げます」
 月光を浴びて燿う佳人は、愛宕院・燐樹(紅珠媛・f06887)。
 猟兵たる彼女は、幕府の隠密たる野毘蔵に協力を依頼し、屋敷の絡繰りを熟知した彼に首塚の一族を任せると同時、仕掛けを使って己が眼路に妖魔忍軍を集めさせたのだ。
 而して眼路に邪影を捉えたなら、闇中より這い出た異界神器『幽照主』が触手を伸して敵を絡め取り、拘束し、或いは燐樹の眼前にズルズルと引き寄せる。
『ッ……くッッ……ッ!!』
 忍者刀で断ち切るか――いや、刀鋩がUDCを斬るより速疾く、燐樹の剛拳が迫ろう。
「土地勘も無い入り組んだ地形、複雑なお屋敷を走り回るお転婆はしませんとも」
 佳聲は嫋やかに、閃拳は逞しく。
 玲瓏なる月下、射干玉の黒髪に艶を彈いた燐樹は、鼻緒を踏み込むや邪の脳天に圧倒的拳圧を打ち込み、而して迸る血華を美し白皙に受け取るのだった

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『獣狩りのアルヴィナ』

POW   :    零距離、取ったよぉ!
【瞬時に間合いを詰めて、パイルバンカー】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    躱せるものなら躱してみなよ!
【対猟兵用クレイモア地雷】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    キミも料理してあげようか?
戦闘中に食べた【調理済みの肉】の量と質に応じて【身体能力強化と自動回復能力を得て】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠白石・明日香です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 風魔小太郎は云っていた。
 首塚の一族が伏見屋に匿われている事は、双街の惣名主すら知らず、彼等が消えようと屋敷の楼主は事件を公にする事は出来ないと――。
『だから自由に殺したり火をつけたりしていいって言ってたのに』
 竟ぞ合図が上がらない、と脣を尖らせる一人の少女。
 その装束(いでたち)は明らかに侍の國のものでなく、深くスリットの入ったスカートより瑞々しい脚を覗かせながら歩く佳人の柳腰には、分厚い本――侵略蔵書。
 猟兵なら一見にして『獣狩りのアルヴィナ』と知れる少女は、報を待ちくたびれたか、自ら伏見屋を訪れるべく動き出したのだ。
『可怪しいね、いや可笑しいよ』
 高楼の正面、大きな門の前に立ってみる。
 暗殺が成功したなら、窓から首級のひとつふたつは投げられる筈だったが、沙汰は無し――若しか猟兵の介入があったのかと懸念が過る。
 蓋し花脣を滑る言は、あっけらかんとしていよう。
『…………やられたのかな? ま、いっかぁ!』
 風魔が猟兵の“養分”になったのなら、仕方ない。
 己が風魔と猟兵を“養分”にするだけだ。
 アリスラビリンスにも嚴然としてあった弱肉強食の理に從うアルヴィナは、手勢の消失を悔やまず、寧ろ風魔をやっつけた猟兵にこそ興味が湧いてくる。
 而して伏見屋を仰いだ少女は、大きなパイルバンカーを輕々と構えて、
『この建物を吹っ飛ばして、生き残ったヤツだけ殺せばいいよね!』
 と、ペロリ舌を出すのだった。
愛宕院・燐樹
随分とまあ、乱暴と申しますか豪快と申しますか…
いずれとしましても、建物ごと叩き壊す行いはご勘弁頂きたいものですわね。

さて、得物から察するに、超至近距離こそ彼女の必殺の間合いでありましょう。
なれど其は私も同じ事。そして徒手の分、私の間合いは彼女より近い。

でしたらば。中距離にて【念動力】で操る百八式妖神光珠をぶつけたり、「幽照主」の触手にて打ち据える等の攻撃を繰り出し、そこが私の間合いであると誤認を誘いましょう。

元より封殺しきれるとは考え難く。一度は間合いを詰められるかと。
敵がユーベルコード発動態勢に入った刹那、自ら懐へ踏み込み。
【だまし討ち】気味の灰燼拳を【カウンター】で叩き込みにいきましょう。



 獣狩りのアルヴィナは、弱者に頓と興味が無い。
 首塚の一族を屋敷ごと圧殺し、後は猟兵を養分にするだけだと舌を舐め擦った少女は、かろり、木履(ぽっくり)を踏石に宛て鳴らして現れた佳人に、一瞬、目を瞬いた。
 ――否、額より出ずる黒曜石の双角が醸す鬼神の力に惹き付けられたのだ。
 強靭を秘めし美鬼、愛宕院・燐樹(紅珠媛・f06887)は、夜天に浮かぶ月の如き金瞳を煌々と、匂い立つ花脣にコントラルトを滑らせる。
「……随分とまあ、急勝(せっかち)な……。私達猟兵は逃げも隠れも致しませんので、建物ごと叩き壊す無粋はご勘弁頂きたいものですわね」
 良くて豪快、その實は唯の乱暴。
 戰闘狂の身勝手に伏見屋や首塚の一族を巻き込んではならぬと、凛冽の流眄はその儘、楼閣の正門から大通りに進み出た燐樹は、足元の影を黒々と蠢かせた。
「私がお相手致します」
『本当? サムライエンパイアの羅刹の強さを見てみたかったんだよね!』
「ええ、必定(きっと)ご満足頂けるかと」
 アルヴィナの興味を引きつつ、欲しいものは直ぐに與えてはならぬ。
 花車に担ぐ得物から察するに、超至近距離こそ彼女の必殺の間合いと見極めた燐樹は、先ずは異界神器『幽照主』の黒き魔手を伸ばし、中距離から少女の足元を脅かした。
『触手かぁ! 捕まえられるものなら、捕まえてみせてよ!』
「幽照主は縛すだけで無し、あまりお行儀の悪い子は強かに打ち据えますよ」
 足元に注意を向かわせた處に、更に視界を脅かすは七色に燿う寶珠。
 燐樹の念動力によって浮かび上がった『百八式妖神光珠』は、如意自在に動いて少女の痩躯にぶつかり、得意の近接戰を禦がんとする。
『ちょっ、と……もっと近くで派手に闘り合おうよ! 血湧き肉躍る闘争をさぁ!』
 中距離の牴牾(もどか)しさに焦れたアルヴィナが、強引に詰めたのはこの時。
 間隙なく叩き付けられる触手と寶珠を押し退けるように潜った彼女は、間もなく燐樹の懐へ――「零距離を取ッた!」と花顔を歪めるが、其は燐樹も得意とする間合い。
 麗人は狂氣を迎え入れるや塊麗の微笑を零して、
「ようこそ、私の間合いへ」
(『う、そ――ッッ!!』)
 己が誤認を悔やむ間も無い。
 鼻緒を強く摑み、木履に力強く眞砂を踏み締めた燐樹は、アルヴィナへと一氣肉薄して【灰燼拳】――ッ! カウンターに鬼神無双の拳撃を炸裂させるッ!!
 痩躯がグンッと持ち上がって吹き飛ぶのを見た凄艶は、はら、と拳を解いて、
「あなたが所望された力です。どうぞ味わって下さい」
 と、月下に極上の嫣然を湛えるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
はい、倫太郎。貴方も御無事で何よりです
そして日下部……野毘蔵殿もやはり彼等の親戚でしたか
尚更負ける訳にはいきませんね

野毘蔵殿には引き続き首塚の一族の警護を
私達は敵が彼等の方へ向かわないよう立ち回りに気を付けて戦いましょう

攻撃は抜刀術『風斬』
基本は攻撃力重視、時折フェイントで攻撃回数
武器で防御される際には2回攻撃で武器落としにて
武器を弾いた後に敵本体を狙う

敵の攻撃は武器の性質から回避優先
見切りで動きを読み、残像にて回避
回避し切れない時は斬撃で衝撃波を繰り出して軌道をずらす

敵が間合いを詰めてきた際には警戒
後ろへと跳んで距離を離しながら他の攻撃と同様に対処
その後、速やかに反撃の抜刀術『風斬』


篝・倫太郎
【華禱】
さてっと、大本命のご登場だ
気合い入れてこうぜ、夜彦

野毘蔵には引き続き首塚の一族を警護して貰い
こっちは猟書家との戦闘に集中
念の為、フォロー入れられるように立ち回りには注意

毒耐性を代償に始神界帰使用
詠唱と同時に吹き飛ばしと鎧砕きを乗せた華焔刀のなぎ払い
刃先返して、フェイント入れた2回攻撃で右手狙いの部位破壊

懐に入られなきゃ怖くねぇのはさっきと同じってな

出来るだけ、距離の優位を活かして
『邪魔』だと思わせるよう立ち回り
接近時には暁想も使って対処してく

敵の攻撃は見切りと残像で回避
同時に念動力で武器の射線を外してち直撃回避
回避が間に合わない場合はオーラ防御でジャストガードして
咄嗟の一撃でカウンター



 怖れを知らぬ少女が、杭打機の鋩を伏見屋に向ける。
 首塚の一族の頭ひとつでも轉がれば屋敷は壊すまいがと、我が得物の把手を握り込めた『獣狩りのアルヴィナ』は、この時、屋根より零れ落ちる妖魔忍者の骸に目を瞬いた。
『、ッ』
「――扨て、そっちはどうだ」
 同時に降り落つテノール・バリトンを辿れば、楼上に黒曜石の角を輝かせる鬼一人。
 親し気な音色が己に投げられたもので無いとは、次いで聽こえる聲が示そう。
「こちらも全て片付きました。貴方も御無事で何よりです」
 凪の如く穩やかなハイ・バリトン。
 いつの間に伏見屋の正門に現れたのか、月下に姿影を暴いた冷艶の男は、アルヴィナが構えるパイルバンカーの眞正面に、血に染まる忍者刀を束と轉がしていた。
 無惨な亡骸と、主を喪った直刀が何を示すか判然らぬアルヴィナではない。
 彼等が風魔忍軍を全滅させた猟兵とは、煓々熾々と然えあがる鋭氣で察せよう。
 屋根に立つ篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は、首魁を前に言を降らせ、
「やっぱり野毘蔵、アイツらの親戚だってよ」
「噫、矢張りそうでしたか。では尚更負ける訳にはいきませんね」
 地上の月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)も、二人だけが通じる話をするに遠慮は無く、何の事だと疑問符を浮かべ続けるアルヴィナを小気味良く見詰めている。
 これ程の余裕を見せられたアルヴィナは、俄然、彼等に惹き付けられよう。
 クッと花顔を歪めた少女は、嬉しそうに哂い、
『いいね、いいね! キミ達となら血湧き肉躍る戰いが出来そうだよ!!』
 極上の闘争を、最高の血戰を!!
 段ッと踵を蹴った狂氣の塊は、先ずは正面に据わる夜彦を仕留めんとパイルバンカーを突き出すが、その形状から至近距離を得手とする武器と見極めた夜彦は左周りに回避し、大通りへと彼女を誘い出す。
「ええ、我々なら望みのものを差し上げられましょう」
 戰闘狂の貴女も、必定(きっと)御満足頂ける――とは挑発。
 アルヴィナが垂涎して止まぬ冱刀は鞘に包んだ儘、伏見屋から距離を取った夜彦には、先に話した野毘蔵との約束が過る。
(「……野毘蔵殿、首塚の一族の命を頼みます」)
 屋敷の破壊は阻めた。いざとなれば絡繰りが逃げる時間を稼いで呉れる。
 残像なら幾らでも屠らせて遣ると大通りへアルヴィナを嚮導した夜彦は、烱々と冱ゆる翠緑の麗瞳に、月下に躍る“我が盾”を見た。
「さてっと、大本命との決戰だ。気合い入れてこうぜ、夜彦!」
 三階建ての楼閣から飛び降りる、その白皙や秀麗皎潔。
 倫太郎は耐毒の稟性を代償に【始神界帰】――凪に封じられたカミの力を開放すると、華焔刀 [ 凪 ]の黒塗りの柄に朱で描かれる焔を眞の火焔に、烈々と灼熱を滾らせる。
 美し刃紋に炎が搖らめく様には、アルヴィナも嬉々と瞳を輝かせ、
『ああ、キレイだね、綺麗だよ! 強いものはいつだって美しい!!』
「近くで見せる訳にはいかねぇな」
 須臾に距離を縮めんとする少女の間合いにはさせぬと、倫太郎は着地するや薙ぎ払い、猛然と炎を喊ぶ衝撃波を以て遠ざけた。
 而して大通りに合流を果した二人は、歪な狂熱を前にそっと言を交して、
「懐に入られなきゃ怖くねぇのはさっきと同じ」
「それでいで懐に飛び込めそうな誘いも忘れず――匙加減が肝要かと」
 好餌を最適な距離で見せ続ける。
 然れば戰闘狂のアルヴィナは御し易かろうと、目尻の際で流眄を結び合った刃と盾は、多くを言わずとも後の戰術を決めたか――ここに“刃”を差し出した。
「あまり勿体ぶっては興醒めというもの」
『抜くのかい? あぁ抜くとも!!』
 夜彦が『夜禱』の柄に硬質の指を寄せると、アルヴィナが欣々と綻ぶ。
 刃が暴かれた瞬間、その美しい輝きを折って遣ろうとパイルバンカーを構えた少女は、然し其をカタチあるものと思ったのが間違いだった。
「時に躱す間も無く、時に一刀多斬。――我が刃は自在なる風の如く」
 披見、抜刀術【風斬】――!
 寸毫の刻も許さず抜かれた刃は、アルヴィナの鋭眼が捉えるより速く一陣の風と疾り、不可視の刃が少女の胴に喰い込むなり、その痩躯を強く靭く突き飛ばす――!!
『ッッ、ッ――!!』
 これが斬撃であろうかと、目を瞬く間は無い。
 杭打機が盾と差し出る事は許さぬと、夜彦は抜身の刀を更に一閃ッ! 返す刀に風刃を紡ぐと、またも不可視の波動にアルヴィナを組み伏せた!!
『くっ……くっっ!!』
 闘争を好む少女に、もう嗤笑う余裕は無かろう。
 眞砂の道に輾転ったアルヴィナが(無自覚にも)怖氣を過らせた瞬間、倫太郎が吹き飛んだ躯を追って疾駆しており、駆け様に業火を躍らせる――ッ!
「夜彦の劔技に目を奪われて俺を見失ったろう」
『ッ!!』
「妬けるぜ」
 低く囁(つつや)いて、刃先を返して、もう一閃。
 夜彦と合わせて二回、十字を結ぶ斬撃が大通りに血華を咲かせた

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

荒谷・ひかる
うわぁ、どこからどう見ても典型的な前衛タイプの方じゃないですか……
わたしじゃとてもじゃないですが相手し切れませんって。
姉さんを呼んで……くるのは間に合いそうにないですし、仕方ありませんね。

距離を詰められる前に精霊銃で牽制しつつ【宇宙の精霊さん】発動
天から宇宙の精霊さん(※巨大なワーム状の宇宙怪獣)を呼び、前衛を任せます
あまり時間が無いので、精霊銃の弾は敵の動きを封じる冷凍弾を兎に角連射
食べようとしたお肉もカチコチにしちゃいましょう
そこを宇宙の精霊さんにむしゃむしゃ(※まいるどなひょうげん)してもらいますね

……養分になるのは、貴女の方です。
安心してください、彼に好き嫌いはありませんから。



『首塚の一族の頭ひとつでも轉がって来ると思えば、屋根から落ちてきたのは妖魔忍者の骸かぁ……。……まぁいっか、これも“養分”にしちゃおっと!』
 獣狩りのアルヴィナは、人肉を喰らうオウガが跋扈する世界から来たと聽く。
 あの杭打機で肉を擦り潰して食べるのかと、月下に揺らめく光の精霊はおっとりと物騒な事を呟いたが、正にそうだと荒谷・ひかる(精霊寵姫・f07833)は息を呑む。
 精霊達が「たべられたくない!」と震える中、少女は物陰から様子を窺って、
「……どこからどう見ても典型的な前衛タイプで……お肉を食べるのが好きで……」
 うわぁ、と佳聲が零れる。
 兎にも角にも力で押し切る戰闘狂は、とてもじゃないが相手し切れまいと距離を置いたひかるは、不圖(ふと)、闇の精霊がチョイチョイつっつく羅刹の角に視線を遣った。
「えっ姉さん? 慥かに相性は良さそうだけど……お肉(筋肉)好きだし……」
 姉を呼ぼうか――否、今からでは間に合いそうになく、アルヴィナのパイルバンカーと姉の丸太が角逐して、臨界突破☆超爆裂拡散波動を起こす訳にもいかない。
 もっと穏便に済む方法がある筈だと思案した妹は、ここにピコリン♪ と閃いた。
「臨界突破してはいけないなら……冷やしてみますっ!」
 言えば、氷の精霊が直ぐにひかるの意を察し、精霊銃に入り込むや輝ける冷凍彈となって飛び出す。
 凍らせるはアルヴィナでは無く、彼女の得物であるパイルバンカーであり、且つ彼女が食べようとした邪忍の骸であり――これなら敵の動きはある程度妨げられよう。
 ひかるは精霊銃の連続発射に牽制しながら、夜天に燦めく満月を仰いだ。
「月は――出ていますね! 来てください、宇宙の精霊さん!!」
 銀漢降臨、【宇宙の精霊さん】(スペース・モンゴリアンデスワーム)――!!
 時にひかるの傍でうねうねしていた幼体は、「親方! 宇宙(そら)から女の子が!」とクネクネしたのだが、果して天から降りて来た其がメスであったかは判明らない。
 唯ひとつ言える事は、そう、其は「精霊」――。
 ひかるの思い込みだろうと現実逃避だろうと、ひかるが精霊と言えば精霊なのだ!!
 而して宇宙の精霊さんと定義された宇宙モンゴリアンデスワーム(成体)は、宇宙船をも一呑みにするという健啖を、侍の國に於いても遠慮する事なく見せる。
「……“養分”になるのは、貴女の方です」
 大通りいっぱいに巨体を晒した怪生物の隣、ちんまりと佇むひかるは莞爾(ニッコリ)と咲って、
「むしゃむしゃ(※まいるどなひょうげん)してもらいましょうね」
『えっヤダ、食べるのは良いけど食べられるのは……そもそも美味しくないし!!』
「安心してください、宇宙の精霊さんに好き嫌いはありませんから」
『ッ、ッッ……ッッッ……ッッ!!!』
 うじゅるうじゅると蠢く巨吻が、間もなく垂涎して迫れば、其にすっぽり影を隠されたアルヴィナは、嘗て得た事の無い恐怖に悲鳴すら飲まれるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

露木・鬼燈
今回は忍らしく立ち回ると決めてるので。
態々真正面から迎え撃つなんてことはしないのです。
例え得物が忍っぽくなくてもね。
卑怯とか言われそうな戦い方でも全然おーけーです!
とゆーことで…キャバリアで空中からやってしまうですよ。
アポイタカラを召喚!
フォースハンドにライフルとマシンガンを。
弾丸は対人用散弾をセット。
<凶鳥強襲>を起動し、概念付与で銃撃の威力を増大させる。
容赦なく51㎝砲の概念を付与しちゃうですよ。
あとは空中を高速で動き続けながら地上掃射。
パイルバンカーはロマンだけど射程が、ね。
悲しいけどガチなのでー。
サイレントヴォイスを収束して撃ち出せば吹っ飛ばせるしね。
アウトレンジで決めるっぽい!



 杭打機を構え、伏見屋に照準を定める。
 獣狩りのアルヴィナは、屋敷ごと首塚の一族を圧し潰す算段だったが、不圖(ふと)、眼路を過る影を追って細頤を持ち上げると、煌々と冱える満月に何かが翳を差した。
『? なに、あれ……』
 月光を背に赤銅と燦めく鋼鐵の躯。
 處々に燐光を燿わせて夜天を翔る人型の躯体。
 侍の國でも不思議の國でも見た事のない硬質な姿影に、咄嗟に杭打機が照準を移すが、果して少女の得物は其を捉える事が出来ようか。
 戒心を向けられた赫い鐵機は、ここに玲瓏と輝く星眸(まなざし)を結ぶ。
「今回は忍らしく立ち回ると決めてるので。正々堂々、眞正面から迎え撃つなんてことはしないのです」
 蓋し搭乗者の科白はゆるゆる、のほほん。
 其が露木・鬼燈(竜喰・f01316)とは知るまいか、彼のキャバリア『アポイタカラ』の鋭利い烱眼に組み敷かれたアルヴィナは、須臾に向けられる砲口に身構えた。
 而して撃ち出される銃撃は――、
『ッッ、ッ!!』
 月下、硝煙を靉靆(たなび)いて螺旋に飛び込む、まさかの51㎝砲――ッ!!
「得物が忍っぽくなくても、卑怯とか言われそうな戰い方でも全然おーけーです!」
 速度にして9,800km/h、音速の實に8倍の速疾さで飛翔する灼機より放たれた銃撃は、概念を付与されて増大し、軍艦の主砲クラスの威力を有してアルヴィナに結ばれる!!
「空中から“不吉”をくれてやるっぽい!」
 其は正に【凶鳥強襲】(ヒュッケバイン)ッ!
 夜の帳を裂き、風を切った漆黒の砲彈は、精確精緻に軌跡を集めて標的へ――杭打機で迎え撃ったアルヴィナに、凄まじい爆熱と灼光、そして轟音を浴びせた!!
『くっ……ぐぐ……っっ!!』
 彼女の損耗の程をモニタ越しに確認した鬼燈は、照準はその儘、紫紺の天蓋を超高速で機動しつつ地上掃射を続ける。
 厖大なサイキックを流し込む右腕にライフルを、左腕にマシンガンを。
 更に対人用散彈をセットすれば、面に対して驚異的な制圧力を得られよう。
 一方のアルヴィナは、「鬼燈」を光と浮かべるパーソナルマークまで捉えられるのに、攻撃が届かない悔しさに鐵の味を嚙み締めるしかない。
「パイルバンカーのロマンは理解るけど射程が、ね。悲しいけど戰はガチなのでー」
 現実(リアル)を突き付けんと、操縦桿を離れた繊指はサイレントヴォイスを起動――アルヴィナのみを敵と識別し、一氣収束した不可視の音波を撃ち出す――!!
「アウトレンジで決めるっぽい!」
 弐……壱……零秒。
 杭打機ごと大きく吹ッ飛んだ少女が、大通りの眞砂の道に叩き付けられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
オイオイオイ
客として訪れたんならよぉ
まず最初に丁寧に挨拶をかますべきなんじゃあねえのか?
行儀の悪いクソガキは回れ右して死んどけ
それが出来ないなら、自殺志願者として死んどけ

引き続き外で対処する…地雷を中に入れるわけにはいかねえからな
どれだけその地雷が強力か知らねえが…重要なのは『お前の手を離れた無機物』であるという点だ
だから俺が介入できちまう──『Maestro』
ぜーんぶ俺が掌握しちまったこいつをよぉ
お前にぶつけに行ったらどうなっちまうんだろうなぁ?
実験してみようぜ、クソガキ

爆発実験が終わったらシノビ殿の出番だ
砂煙に紛れて、首に致命的な一撃をぶちこんでやれ
そいつは世界の癌だ──容赦するなよ?



 強かに地面に打ち付けられた『獣狩りのアルヴィナ』が、蹌踉めきつつ立ち上がる。
 少女の爪先が砂利ッと眞砂の道を踏み締めた時、同じく大通りに跫音を置いた青年は、正面に立つや苛立った様に佳脣を開いた。
「オイオイオイ……抑も客として訪れたんならよぉ、まず最初に丁寧に挨拶をかますべきなんじゃあねえのか? クルセイダーも部下の躾がなってねぇな」
 月下に暴かれる紫黒の影。
 冷艶の聲の主はヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)。
 首塚の一族を匿う伏見屋を破壊させてはならぬと大通りに出た彼は、少女が担ぐ杭打機を無愛想に顎でしゃくった。
「此処はガキが遊びに来て良い場所じゃねぇんだ」
『なっ……ガキじゃないし!!』
「頭も悪ければ行儀も悪い、クソガキは回れ右して死んどけ」
『ッッ、ガキじゃないったら!!』
 聲を荒げたアルヴィナが、彈かれたように左手を振り払う。
 放たれるは「対猟兵用クレイモア地雷」――圧倒的殺傷力を秘めた其をヴィクティムの周囲に巡らせる事で、一歩でも動いた瞬間に彼を爆風に散らす心算(つもり)だった。
 だが、然し。
 少女の手から放たれた物が何であれ、無機物である限りヴィクティムは倒せまい。
 眼路に飛び込む影を捉えた青瞳は、ここに月光を集めて烱々と、玲瓏の彩を放った。
「――それが出来ねぇって言うんなら、自殺志願者として死んどけ」
 時は須臾。
 限界距離9,604m圏内に敷かれたExtend Code『Maestro』(スベテハオレノテゴマニナル)は、向かい来る地雷を自身のソフトウェアと定義し、機構に介入するや、其の制禦を我が支配下に置いた!
「……扨て、ぜーんぶ俺が掌握しちまったこいつをよぉ、お前にぶつけに行ったらどうなっちまうんだろうなぁ?」
 而して自由に歩き出したヴィクティムは、初めて興味が湧いたと口の端を持ち上げ、
「実験してみようぜ、クソガキ」
『――ッ、ッッキャァァアアアッ!!』
 灼光ッ、爆熱ッ、轟音ッ、そして炸裂――ッッ!!
 超弩級の爆発がアルヴィナの繊躯を大きく吹き飛ばし、右手が杭打機を手放した刹那、砂煙に紛れて黒影が疾走る。
「さぁ、シノビ殿の出番だ。首に致命的な一撃をぶちこんでやれ」
 ヴィクティムの佳聲に促された黒影が、野毘蔵が、暗器を手に差し入る。
「そいつは世界の癌だ──容赦するなよ?」
 承知、と是を示す代わり、忍者は朦々と蹴立つ砂煙に混じって血飛沫を噴かせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鬼桐・相馬
●POW
敵の間合いに入らぬよう槍のリーチを生かした攻撃を[継戦能力]を活かし行う
敵が距離を詰めようものなら
闇に潜んだ野毘蔵に飛び道具等で敵足元へ牽制を入れて貰おう

こちらに到達する攻撃は[見切り武器受け]しよう
同時に[カウンター]を入れ再び間合いを取る

戦いを愉しむ相手ならこちらの戦い方に苛立ち
至近距離からの一撃を狙うようになるのではないか
その殺気・挙動を[野生の勘と戦闘知識]で察知し行うのは回避ではなく[ダッシュ]
この時を待っていたんだ
間合いに入るタイミングを数舜早め敵より先にUC発動
野毘蔵にも敵の背後から攻撃して貰い更なる追加ダメージを

俺は武人じゃないからな
「正々堂々」そんなものには興味がない



 殺ったか――否。
 其の生命力は尋常に非ず。
 十分な手應えを得ながら仕留めきれぬとは、と喫驚を隠さず楼門の瓦屋根に飛び渡った野毘蔵は、その下を潜って現れた鬼桐・相馬(一角鬼・f23529)に警戒を訴えた。
 首塚の一族を匿う伏見屋を離れて大通りに出た相馬は、眞砂の道に血斑を落として尚も立ち上がらんとする『獣狩りのアルヴィナ』を、目下、冱月の如き金瞳に捉える。
「己の血を見て昂ぶるか」
『ふ、ふふ……侍の國……月下の血闘はこうでなくっちゃ……!』
 流血を止めぬ首に手を宛てながら、吃々と嗤笑う――歪な狂熱。
 此れが戰闘狂の末路かと、相馬が長い睫を半ばまで伏せた、正に瞬刻、『冥府の槍』が帯びる紺青の炎に煽られた少女が、彈ッと踵を蹴って距離を詰めた。
『殺戮、嗜虐、闘争、角逐……ッ! その燄も好きだって言ってる!!』
「……理解ったような口をきく」
 鬼桐は“鬼切”――我が性を自覚しつつ、手に握る槍に紺青の炎を烈々燃やした男は、一歩退いて得意の間合いを逃れると、鏗鏘の音を彈いて杭打機の鋭鋩を往なした。
『ッッ、ここで退くとか……ッ!!』
「進むだけでは衝突(ぶつ)かり合うだけだろう」
『それをしなきゃ面白くも無いッ!!』
 少女の挙動や得物の形状で近接戰が得手とは判然る。
 だが彼女の求めるものを易々と與えは為ない、と轟然と迫る狂氣を槍のリーチで躱した相馬は、アルヴィナが踏み込んだ瞬間には、野毘蔵の暗器に牽制を任せた。
『邪魔ッ!!』
 射線を遮る手裏劔を敢えて甘んじたアルヴィナは、もっと素晴らしい相剋を呉れる相馬の槍目掛けて強く靭く爪先を蹴ったが、その焦燥こそ彼が狙っていたもの。
「この時を待っていたんだ。さぁ、望みのものを呉れて遣る」
『――ッッ!!』
 澎湃と溢るる殺氣を天性の勘と歴戰の経験で察知した一角鬼は、回避でなく前進ッ!
 アルヴィナが全体重を乗せて杭打機を繰り出すより数舜速く、悪意を燃やす紺青の炎を断禍の刃とし、彼女の得意とする零距離で叩き付けた――ッ!!
 鋭眼に宿る玲瓏の彩は、アルヴィナの驚愕の貌を歴々と視よう。
 引き結んだ紅脣は答えを差し出して、
「俺は武人じゃないからな。――『正々堂々』、そんなものには興味がない」
「其は某も同じに御座んス」
 血飛沫を挟んで言を置くは野毘蔵。
 闇を疾り死角へと回り込んだ忍は、ガラ空きの背に苦無を沈めて是を示したのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エメラ・アーヴェスピア
…侵入されてしまったかしら
あれが今回の標的…これも仕事、何とかやってみましょうか
…あのパイルバンカー、調べてみたいわね…

狭い場所は得意ではないのだけれど…「魔導蒸気装兵」と「魔導蒸気猟犬」を戦わせるとしましょう
機動力を生かし、攻撃をかわしながらその爪や光剣で戦いなさい
私は後ろから援護射撃、【集団戦術】で連携して戦いましょう
多方向から攻撃する事で隙を誘うとしましょう…パイルバンカーを無理やり発動した所、というのは狙い目よね
そのできた隙に『貫くは我が撃杭』、即座に召喚した大型の浮遊型魔導蒸気射突杭打機を相手に飛ばし、打ち込むわ
悪いわね、貴女の目的を達成させる訳にはいかないの

※アドリブ・絡み歓迎



 忍者が扱う尋常の刃とは言え、頸を切られ、背中を刺されて猶も闘争の炎を消さぬ――獣狩りのアルヴィナは、埒外の生命力を與えられた哀れな戰闘狂だったかもしれない。
『フ、フ……ずっと欲しかった美しく穢い血宴……侍の國に来た甲斐があったよ……』
 生温い血に手が滑らぬよう、強く靭く杭打機を握る――幼な狂熱。
 その歪んだ嗤笑は少女が作れるもので無しと、痩躯に蠢くオウガの稟性を翠瞳に認めたエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は、靜かに囁いた。
「今こそ猟兵に惹き付けられているけど、あれだけの狂氣が屋敷に侵入しては大変ね」
 實の處、己も狭い場所は得意ではないのだ。
 未だ首塚の一族を匿う伏見屋に彼女を入れてはならないと、アルヴィナが立つ大通りに『魔導蒸気装兵』と『魔導蒸気猟犬』を向かわせたエメラは、双方の優れた機動力を活かして敵の突貫を禦さんとした。
「――これ以上は進ませないわよ」
 装兵と猟犬を前衛に、自身は後方から『浮遊型魔導蒸気ガトリングガン』の連続射撃で援護しつつ、広い視野を得る。
 鋭爪が鏗鏘の音を彈き、光剣が閃爍を煌かせる中、其と角逐する得物に目が行くのは、やはり魔導蒸気機械の技術者ならでは。
 エメラは轟音を傍らに呟いて、
「これも仕事、何とかやりとげたい處だけど……あれ、調べてみたいわね……」
 アルヴィナは不思議の國から来たと聽いたが、彼女が輕々と構えるパイルバンカーは、彼の國の技術で作られたのか――その質量は、威力は、限界範囲はと観察眼が光る。
 調べるには使わせたら良いのだと、エメラは彼女を“誘導”して、
「――扨て、多方面からの波状攻撃に敵うかどうか」
『良いねェ、良いよッ!! このパイルバンカーには捩じ伏せる力がある!!』
 如何なる攻撃も組み伏せて遣ると、少女が欣喜した時だった。
 エメラはアルヴィナが強引に踏み込んだ瞬間、白磁の繊手を振り翳して、
「遠慮は無用よ、征きなさい」
『ッッ、ッ――!!』
 一斉射出、【貫くは我が撃杭】(パイルバンカー)――!!
 目下、アルヴィナの眼路いっぱいに召喚・展開した浮遊型巨大魔導蒸気射突杭打機は、照準を歪な狂氣に集め、無数の鋭鋩を撃ち込んだッ!
『ァァアアア嗚呼嗚呼アアアッッッ!!!』
 豈夫(まさか)己が得物を上回る兵器に囲繞されるとは思ってもなかったろう。
 猟書家の幹部が一人、獣狩りのアルヴィナは、繊麗の躯に全ての巨撃杭を受け取ると、赫く血濡れた眞砂の道に膝を折って、
「――悪いわね、貴女の目的を達成させる訳にはいかないの」
 エメラの佳聲と。
 今際を見届ける猟兵と。
 そして、ズルリと崩れて仰向けになる魔瞳に、一歩も踏み込めなかった伏見屋を映し、軈てその視界を真紅の闇に閉したのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月31日
宿敵 『獣狩りのアルヴィナ』 を撃破!


挿絵イラスト