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天地無用のホラーマンション

#デビルキングワールド

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#デビルキングワールド


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 デビルキングワールドのどこかの都市。幾つも存在するマンションダンジョンの内の一つで、住人の悪魔たちが集まり、深刻そうな顔で会議を行っていた。

「えー皆さん、由々しき事態です。もう御存知かと思われますが……」

 まとめ役らしい、とんがり帽子の少女が悲痛な顔で告げる。

「……私たちの資金が底をつきかけています。このままでは家賃が払えなくなります」

 掲げられた家計簿に記されたのは、マイナスを刻む赤い数字と残りの貯金。残酷な現実を前に集いし少女たちは打ちひしがれて、呻き声を上げるばかりだ。

「どうしてこんなことに! ココ(※三年前に死んだペットの魔獣)の新しい玩具をたくさん買ったり遊んで壁とかちょっと壊しただけなのに!」
「アタシなんて実験中に召喚し過ぎて床が抜けただけなのに!」
「友達のゴーストくんと遊んでて仕事しなかっただけなのに!」

 各々が鬱憤を吐き散らし、嘆き、悲しむ。だがどれほど時が経とうと金は増えず、減るだけ。やがて、誰かが諦めたように呟いた。

「はぁ……働くしかないかな……」

 その言葉を耳にした少女の顔はさらなる絶望に染まり、中には倒れ伏すものすらいたほど。もはや万事休す、ここまでか。諦めかけたその時。

「あら、そんなことで悩んでいるのかしら?」
「だ、誰!?」

 バン、と扉を開き、玄関で靴を脱いで揃えてからお邪魔します、と入って来るのは動物の耳と尻尾が生えた女の子の悪魔だ。

「わたし、じゃない、えーと……わらわはイレーヌ。通りすがりの高貴なる者よ。皆さま、じゃなくて、あなたたちに解決策を与えに来たのよ!」

 肩幅に足を開き、腰に片手を添え、片手を伸ばして指さすイレーヌ。

「解決策? そんなものがあるの?」
「あるわ。あなたたちに教えま、えー、教えてもいいけれど、条件があるわよ。その条件を飲めたら、教えてさしあげる」
「背に腹は代えられない、か……わかった、飲む」

 とんがり帽子の少女は仲間たちを見ると、全員が頷いたのを確認して条件を飲むことを承諾する。ここまできたら引けはしない、皿までだって飲んでやろうという意気込みである。

「ふふん、いい返事だわ。条件は簡単よ――わらわの下僕になりなさい」

●下僕と書いて、ともだちと読む
「そして、イレーヌと少女たちはマンションを占領し家賃の滞納を始めたってわけだ」

 ワン・イーナ(シンギュラリティ・f30274)は次々と資料を投影すると、猟兵たちへと向き直る。

「と、言うわけで今回のミッションはこのマンションダンジョンの攻略と、住人たちへの説得もとい仕置き、オブリビオンのイレーヌの撃破だ。今は家賃滞納くらいだが、放っておくとマンションを勝手に改造し始めて、こう、なんつーか……ヤベーことになる」

 説明に困って曖昧な表現になってしまうことにワンは謝罪し、とにかくヤベーことだ、と念を押すにとどめる。

「ま、解決しちまえばいいだけだしな。まずはマンションだが、厄介な罠とかはない。が、構造が複雑なんだ。立体構造で前後左右上下、斜め方向まで通路があって入り乱れるうえ、底の見えない場所や奈落、高低差のある段差、時々入れ替わる通路や部屋……面倒な地形なんだ。これを越えて行かなきゃならない」

 拡大されるマンションの画像。それはもはやマンションというナニカであり、まさに迷宮と呼ぶにふさわしい建物だ。

「ある程度上ると住人が出てくる。悪魔の少女、死霊術士である彼女らは死体や骨、幽霊を召喚して襲ってくる。地形を熟知して地の利を活かしてくるから結構手強いかもな。けどオブリビオンじゃないから殺さずに無力化してほしい。あーそれと、倒せば諦めて家賃もちゃんと払うから」

 とんがり帽子にマントにドクロの杖、まさに魔女という恰好の少女たち。彼女たちの戦闘力は低いが、召喚された存在はそれなりに力はあるようだ。

「最上階にオブリビオンのイレーヌが居る。取り巻きとして死霊や先の少女たちがいるな。こっちも戦闘力はあんまり……悪役令嬢? ってやつを目指してるみたいだが、まあ気にせずぶっとばしてくれ。ただ地形には注意だ。うっかり落ちたりすんなよ」

 高笑いしているイレーヌの画像が示されたあと、全ての資料が消える。
 その手にグリモアのキューブを出現させたワンは、電脳ゴーグルを下げたまま猟兵たちへ告げる。

「説明は以上だ。準備ができたら来てくれ。軽く解決してくるといい」

 グットラック、良き闘争を。


松六
 松六です。
 デビルキングワールドの依頼になります。マンション上って滞納者に家賃を払わせ、オブリビオンを倒してください。
 死霊術士の少女たちは魔界の一般悪魔ですので殺さないように注意を。
 また、第一章のみならず、二章、三章ともに立体迷宮での戦闘ですので足場や地形に気をつけてください。うっかりすると落ちたりぶつかったりするやもしれません。
 ただ、敵も影響を受けますので、うまく利用できれば有利になれるでしょう。

 それでは、皆さまの冒険の一助となりますように。
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第1章 冒険 『立体迷宮』

POW   :    段差や奈落の向こう側まで味方をぶん投げる

SPD   :    ジャンプ力もしくは何らかの飛行能力で段差や奈落を越える

WIZ   :    マッピングを行い、迷路の構造を把握する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●天地無用
 転移した先はマンションの内部であり、それなりに高い階層のようだ。ここから階段を探しては上り、滞納者とオブリビオンを見つけて倒さねばならない。
 しかし、そのためには増築改装の果てに迷宮と化した内部を突破する必要がある。幸いにも罠や邪魔者はいないが、構造がかなり複雑に入り組んでいる。通路は重なり合い、部屋を貫通していたり、床が無く奈落が見えて居たり、極端な高低差があったりと、極めて立体的だ。場合によっては動いたり入れ替わったりしていることもある。
 どうにかして、超えて行かなければならない。
神薙・沁
「…オブリビオンがいるのは最上階、ですか」
べつに中を通っていくのは決まりではないですよね
ということで鋼糸とスキル【空中戦】【クライミング】で某進撃の某の
調査兵団のような空中機動で最上階に
マンションなので生活空間だから窓はあるはずなのではいれないことはないはずですし

途中に召喚された幽霊などがいたらUCで拘束
もしも途中なんらかの文句をいってくるあいてにはただ一言
「働け」



 神薙・沁(影に潜みて・f06362)は、先に提供された情報を反芻していた。

「…オブリビオンがいるのは最上階、ですか」

 おもむろに顔を上げて天井を見る。次に顔を下ろして視線を前に向ければ迷路と化した通路があり、横に視線を動かすと廊下の角に窓があった。
 べつに中を通っていくのは決まりではないですよね、と彼は窓へと近づいて行き、開けて外を確認する。
 現在地は地上が見えないほどの高さで、目的地の最上階はまだ見えないほど高い階層のようだ。壁には排水管や室外機、ボコボコと突き出たりへこんでいたり、増改築の影響がそこかしこにある。

「まあ、行けるでしょう」

 窓枠に足をかけ、半身を乗り出し、適当な出っ張りに狙いを定め、片腕を振るう。風を切る音とともに時紬の糸が放たれ、瞬く間に巻き付く。数回引っ張って固定されているのを確認すると、沁は窓枠を蹴って空に身を踊らせる。
 そして、振り子のように揺れて勢いをつけ、壁面を蹴り糸を強く引いて壁を上る。すばやく糸を解くと、新たに糸を伸ばして別の突起に巻きつけ、同様にして上っていく。
 そうして巧みな糸と体捌きでまるで飛ぶように彼は上り続ける途中、窓から外を眺めながら缶ジュースらしきものを飲んでいる幽霊とばったり遭遇。

「あ」

 ヒュン、と沁の手指の動きに合わせて糸が走り幽霊を拘束した。
 あまりの速さと手際に幽霊は反応することはできず、その場に転がって驚くが、それでも慌てて口を開いた。

「ま、待て、待ってほしい。何もしない! 俺はサボってるだけで……」

 早口で捲し立てる言葉の津波を、沁は聞き流し。ただ、一言告げる。

「働け」

 無情な言は鋭利な刃と化して幽霊に深々と突き刺さり、絶句して絶望の表情を浮かべて床に倒れ伏した。
 沁は早々に幽霊から最上階へと視線を移し、上るのを再開するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

神薙・沁
OPにあった床が抜けた場所や
壁の壊れた場所などをつかって時折中にはいって住人の様子の確認
住民にたいしてはUCで拘束してから「働け」の一言

女性の部屋に押し入って拘束して働けと言って立ち去る十歳児
という自分のすがたにちょっと疑問を感じつつ上を目指す

働く意欲のある人がいるなら前回の依頼(白き朱雀は善悪の二元論から解き放たれる)で助けた魔王のシロナさんを就職先として紹介してみる
依頼の最後の『猫耳ミニスカメイド+ニーソ姿のシロナ様』の写真を見せれば実際働くかどうかはともかく一度見に行こうとするだろうし
ちょっと、あそこの魔王様面倒見良さそうだし何とかしてくれるだろう



 壁面を飛ぶように上っていた神薙・沁(影に潜みて・f06362)だが、場合によっては室内を通る必要があった。壁面が無かったり、上るのに適さないか、とてつもなく時間がかかるため、それなら中に入って移動した方が早いからだ。
 通路を走り、穴の開いた床を潜り、いくつかの扉を通り、何者かの気配があれば警戒する。大型の獣でも暴れたのか、壊れた壁を見つけて室内を覗く。

「眠い……だるい……」
「あー昼間から飲む酒サイコーや……」
「積みアニメ消化しなきゃ」

 そこには幽霊や骸骨がだらけてサボっていた。この住人たちは死霊術士の少女たちが様々な理由で召喚した死霊なのだが、戻し方がわからず、そのまま居ついたのだ。召喚主の影響か生前の気質か、このように大半が自堕落を極めている。

「封陣展開、風縛り」
「「「ぐわー!?」」」

 そんな彼ら彼女らを無情にもユーベルコードで拘束する沁。風に乗って放たれる極細の糸を始めとする拘束具は慈悲などあろうはずもなく、しっかりと死霊たちを縛った。

「キミ、人の心というものは無いのか!?」
「女性の部屋に無断で押し入るとかマジ?」
「あ、これちょっと癖にじゃなくて何者!?」

 好き放題に喋り散らす住人の死霊一同。声をあげて抗議する相手に、沁は冷たい瞳で見下ろして必殺の一撃ならぬ一言を刺す。

「働け」

 効果は覿面だ。一瞬で鎮まり某有名な絵画のように言葉の無い叫びをあげ、骸骨は存在しない血を吐き、幽霊は床に転がり痙攣している。しかも十歳児に言われたというのがダメージを大きくした。

「……就職先を紹介しようかと思いましたが」

 意識を失っていては無理だろう、と判断した沁は、知り合いの魔王の写真と、紹介するために用意した資料をテーブルに置いて、進むことにした。
 なお、後に意識を取り戻した住人が、十歳児に仕事を紹介されるという事実に強烈な追撃ダメージを受け再び絶望に伏すことになる。

「……?」

 室外に出た沁は、女性の部屋に押し入って拘束して働けと言って立ち去る十歳児、という自分のすがたにちょっと疑問を感じつつ、上を目指して駆けだすのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

神薙・沁
今のところ召喚された死霊の類としか遭遇してないな…
やはりここは召喚主を見つけて働くようにいわなければ
(オブリビオンを倒す本来の目的を忘れかけている)

しかし、また気絶されたら同じだしなぁ
さっきの連中と思考が似てるとすると
アニメとか好きそうだから…

猫耳つけて『お姉ちゃん』と声かけてみたら食いつくだろうか…
巧く懐柔できるようなら最上階まで案内してもらえるかもしれない
駄目なようならまた拘束して上を目指そう

…さっき拘束されて喜んでたのもいたけど、召喚主も同じ性癖だったらどうしよう…



 神薙・沁(影に潜みて・f06362)は空いていた一室に入り、座布団に座って小休止をとっていた。この巨大な迷宮マンションはいくら階層を飛ばしても果てが見えず、急ぎで行く必要も薄そうなので時々休憩しているのだ。

「今のところ召喚された死霊の類としか遭遇してないな…」

 ここまで出会ったのは全てサボっている骸骨や幽霊ばかり。召喚主の少女たちは、上層にいるのだろう。まあ、何かしらの制限が無いなら、召喚主は安全地帯にいて死霊だけ送るのが定石である。

「やはりここは召喚主を見つけて働くようにいわなければ」

 沁は決意を新たにする。必ず、働かせるのだと。
 なお、本来の目的はオブリビオンを倒すことなのだが……緩い空気のせいか、彼が真面目なのか、死霊の性格のせいなのか、忘れかけているようだ。

「しかし、また気絶されたら同じだしなぁ」

 強い意志を宿して立ち上がり、窓から外へ出ると壁面上りを再開し。目的を定めれば手段に困ると、呟きながら糸を放っては手繰る。

「さっきの連中と思考が似てるとすると……」

 召喚する側とされる側、何かしらの繋がりや縁が関わるならば。死霊術士の少女たちもアニメとか好きかもしれない、と推測する。

「猫耳つけて『お姉ちゃん』と声かけてみたら食いつくだろうか…」

 上手くいけば最上階まで案内してもらえるかもしれない。駄目なら拘束して上ればいい。悪くないかも、と沁は思案し、どこかで猫耳探そうか、とまで考える。

「あ…さっき拘束されて喜んでたのもいたけど、召喚主も同じ性癖だったらどうしよう…」

 やっぱり考え直すべきかな、と悩んでるうちに、ついに上層部へと辿り着くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『悪魔の死霊術士』

POW   :    いっけー! 親戚のおじさんに、近所のお爺さん!
戦闘用の、自身と同じ強さの【屈強なスケルトンデーモン】と【悍ましい姿の魔王ゾンビ】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    ココ(※三年前に死んだペットの魔獣)、出番だよ!
自身の身長の2倍の【ブギーモンスター(中身は魔獣の骨)】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    ふっふっふ。ゴーストさんの怖さ、思い知った?
見えない【墓地で仲良くなったゴースト】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ホラーマンション
 複雑怪奇な迷宮を越えて上層部へと辿り着き、目にするのはやはり迷宮だった。だが、今までと異なり複雑は多少、抑えられているようにも見える。
 そして、通路の奥には古き良き魔女のような恰好の少女たちがいる。

「勝った! フルハウス!」
「残念ね、ロイヤルストレートフラッシュよ!」

 ちくしょー! と叫びを上げる少女と、周囲でわいわいやってる死霊たち。どう見てもサボりである。こちらには意識を向けておらず、カード遊びに興じている。
 まあ、通路の構造上、彼女たちを避けては通れないので……いざ、進むべし。
神薙・沁
【SPD】周囲にワイヤーで罠(他の霊で捕獲可能なのは確認済みですし)を仕掛けながら気配を殺して近づく
まず「お姉ちゃんなにしてるの?」と無害な子供を装って声をかける
相手の足首を狙ってUCで拘束
足首縛ると騎乗とかできないし(乗るとしても安定しなくて落ちるはず)

召喚された霊は召喚主攻撃を受けると解除のようだし
召喚されたら左手の魔導弓で攻撃(弦ではなく魔力で飛ばすので小石などをつばすことも可能)、もしくは素手で叩くなど殺さないように手加減して攻撃

UCで拘束してからお話しましょうという
出来れば一人は(道案内に)連れていきたい

拘束したまま担いで
「転ぶとあなたも痛い思いするからちゃんと案内してね」



 神薙・沁(影に潜みて・f06362)はワイヤートラップを仕掛けつつ、気配を殺してこっそり二人の少女に近づいていく。彼女らはゲームに夢中で気づいていないようだ。

「お姉ちゃんなにしてるの?」
「「ひゃあっ!?」」

 無害な子供のように、無邪気に無防備を装って話しかけると、少女たちは驚いてカードを落とし、慌てて拾ったりテーブルを片付けながら沁の方に振り向く。

「おっと美ショタ来たじゃなくて、え、迷子?」
「見たこと無い子だね。ここ早々に上ってこれるようなトコじゃないんだけど」

 上手く行けば情報が手に入ったり、案内してもらえないか、と沁は考えたのだ。二人の少女は困惑しつつも即排除、という雰囲気ではないが、怪しんでもいる。

「とりあえず、下まで送るわ」

 残念、このままでは下まで送られて上り直しになってしまう。それは勘弁、と仕方なしに沁は少女二人のうち片方へ奇襲、ユーベルコードを発動する。

「封陣展開、風縛り」
「え、ちょ、きゃー!?」

 超常の風が纏わりつき、極細の糸とロープが縛りあげ、猿轡が口を封じる。油断に奇襲が重なりあっという間に一人拘束。
 もう一人はすぐに距離をとると、取り巻きの死霊たちを向かわせて、自身は召喚を行う。

「まさか侵入者だなんてね。行くわよ、ココ(※三年前に死んだペットの魔獣)!」

 時間稼ぎの死霊たちは事前に仕掛けたワイヤートラップの餌食となり、縛られて転がるはめになっているが、死霊術士の少女は召喚に成功し、呼び出したブギーモンスターに騎乗。その勢いのまま攻撃を仕掛ける。
 沁はサッと避けると跳躍、壁を蹴ってさらに高く跳び、振り向いて左手の魔導弓から拾った小石を発射。狙いは的確で、少女にヒット。バランスを崩す。

「捕縛風印」
「きゃー!?」

 バランスを崩してあたふたする主従に対し、静かに着地した沁はすばやくユーベルコードを発動。頑張って糸と猿轡を避けた少女だが、奮闘空しく風とロープで捕縛された。

「さて、お話ししましょう。道案内をお願いしたいのですが」
「くっ、負けた以上は仕方ないわ。好きにしなさい……なんでもするといいわ!」

 潔し、と言えればよかったのだが。なにやら別の意味があるような。もう一人はどうかなーと沁が視線を向けると、熟睡していた。拘束されたから仕方ないよね、とサボる口実ゲットとばかりに寝てしまったのだ。さらにココは我関せずと欠伸をしている。
 是非もなし。話は道中で聞きましょう、と告げて。沁は俵の如く少女を担ぐと、歩き出す。

「転ぶとあなたも痛い思いするからちゃんと案内してね」
「これ結構クセに……あ、うん。大丈夫、私の部屋すぐだから!」

 違う、そうじゃない。やはり置いて行った方がいいのでは? 沁はなんとはなしに、そう思うのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ステラ・クロセ(サポート)
真紅の瞳。燃える炎。あふれる勇気。直情正義、元気全開、単純明快!
正しい心で悪しきを討ち、そして弱き者を救い、その盾とならん、我こそは義侠のスーパーセル!
スーパー純粋熱血、ハイパーテンプレ系ヒロイン、それがステラです。

一人称は「アタシ」ですが殆どの猟兵は先輩に相当するので話すときは「わたし、あなた」といった礼儀正しい振舞いとなります。
探索系はストレートな解決法を選び、
戦闘では正々堂々と敵の正面に立って攻撃を引き受け味方にチャンスを作る方が好みです。なお、近接戦闘派です。
ユーベルコードは状況に応じて使い分けます。
正義を大事にするので、他の猟兵の意図を阻害したり公序良俗に反する行動はしません。



 眩き炎が舞い上がり、その少女は身を翻して構えをとる。

「真紅の瞳。燃える炎。あふれる勇気。直情正義、元気全開、単純明快!」

 高らかに上がる名乗りに、戦闘装束であるアークレイリの白夜が輝きを増す。

「正しい心で悪しきを討ち、そして弱き者を救い、その盾とならん、我こそは義侠のスーパーセル! ステラ・クロセ!!」

 スーパー純粋熱血、ハイパーテンプレ系ヒロイン、ステラ・クロセ(星の光は紅焔となる・f12371)の姿を見た死霊術士の少女は、思わず悲鳴を上げる。

「ぐはぁ!? 眩しい、眩しすぎる! なにあの輝きっ王道すぎるでしょ!」

 心に大ダメージを負って叫びを上げる相手に、ステラは困惑した。それでも生来の優しさと正義感で彼女は声をかける。

「あ、あの……大丈夫?」
「ふ、ふふ……大丈夫よ。ちょっと心が致命傷なだけだから……」

 ぷるぷると震えながら気力を振り絞って立ちあがる様は、大丈夫とは思えなかったステラだが、構わず死霊術士は話を続ける。

「こ、ここであなたを倒せばいいだけだし? そうよ、私の引きこもりぐーたらライフは終わらせないわ! 行きなさい、あなたたち!」

 堕落と怠惰の決意を秘めて、召喚するは屈強なスケルトンデーモンと悍ましい姿の魔王ゾンビ。
 出てきた相手を前に、ステラも構えなおす。場所は通路、死霊を避けていけるほどの隙間はない。正面からスケルトンデーモンが突撃してきており、魔王ゾンビはなにやら魔法の準備中。

「来い!」

 ステラは炎のサイキックエナジーでできた刀、Now or Neverを抜く。

「ふははは、終わりよ! やっちゃいなさい!」

 ノリが楽しくなってきた死霊術士。スケルトンデーモンがぶっとばしてやるぜ、と全力疾走で近づき、魔法が完成した魔王ゾンビはそれを解放する。
 迫る脅威を冷静にステラは見極め、刀を振るう。

「アタシは止まらない! 行くよ、焔轟…熱風剣!」

 赤い軌跡を描き、炎の刃が魔法ごとスケルトンデーモンを両断。闘志の炎が浄化の如く焼き尽くす。

「そ、そんな……私が、負けた」

 ガクリ、と膝を落とす死霊術士。ヒュン、と余熱を払い。ステラは武器を収めると、死霊術士の少女へと近づく。

「アタシの勝ちだ。さぁ、ちゃんと家賃払ってね」
「わかったわ。負けた以上はね……ふふ、こんな爽やかな気持ち、久しぶり」

 イイ感じに終わるような雰囲気を出して、柔らかな笑みを浮かべる少女だったが、次のステラの一言がトドメとなる。

「それはよかった。なら、このまま働くのよ!」
「……、……え?」
「できるかぎり力になるから! さ、頑張ろう!」

 熱血と正義と優しさと。ステラの笑顔を前に、今度こそ死霊術士の少女は崩れ落ちた。

成功 🔵​🔵​🔴​

神薙・沁
担いだまま移動していたが段差などの移動の際に痛いのか声が
…思わず声がでるのはわかりますが…なんかこの人喜んでないか?と疑問に感じつつ案内してもらいながら最上階へ
途中休憩で長期戦に備えて持参した携行食(ビスケット的な食糧)とお茶を飲みつつイレーナについての情報収集がてら雑談
さすがに自分だけ食べるのも気が引けるので少し分けよう
…両手縛ってるので口元に持って行ってあげる
話しかける際の呼称がわからないのでとりあえず「お姉ちゃん」と呼んでおこう

この扱いに喜んでるように見えるのは気のせいだと思いたい



 先の戦いで拘束した、死霊術士の少女を肩に担いで移動している神薙・沁(影に潜みて・f06362)。案内を受けて、できる限り気をつけているとはいえここは立体迷宮だ。どうしたって段差や階段、飛び越えたりすることもあり、そのたびに痛いのか少女から声が漏れる。
 漏れるのだが。

「…思わず声がでるのはわかりますが…お姉ちゃん、喜んでません?」
「そ、そんなことーないよー」

 疑問を投げつけてみるが、返答は棒読み気味の否定。心なしか息が荒いような。
 やはり置いてくるべきだったか、いや案内は欲しいし、と若干の葛藤がありつつも、今更置いていくわけにもいかない、と結論を出したところで休憩をとることにした。
 聞けば先はまだ長いという。なら無理はしない方がいいと沁は判断する。

「お姉ちゃんに聞きたいのですが、イレーナさんとはどういう方なんですか?」

 ビスケット等の携行食を摘まみ、お茶を飲んで、情報収集も兼ねて話を振る。

「良い子だよーこう、滲み出るワルになり切れない感がね? いいよねって」

 どことなく危ない表情になりつつある死霊術士の少女に、若干引く沁。
 話題を変えるため、あと自分だけ食べるのは気が引けるため、ビスケットを分けることにする。ほぼ簀巻きに近く手が使えない少女に、口元に持っていく。

「どうぞ」
「え、いいの? ありがとう! 美ショタのビスケットとか皆に自慢しよ」

 ……この扱いに喜んでるように見えるのは気のせいだと思いたい、と沁はあえて目を逸らすのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神薙・沁
話を聞いてるうちに思った
イレーナさん倒さなくてもよくないか?
下僕といってもとくに厳しい命令しているわけでもないし
彼女が情報操作的な意味で都合のいい情報をよこしている可能性もあるけど
見た感じそこまで頭がまわらないというか
わりと正直に話してるように見える
まぁ、彼女が騙されてる可能性もあるけど

彼女の感じた印象通りだった場合に、自分はイレーナを殺せるのだろうか?

オブリビオンは消すしかない…と今までは思ってたんだけどな

ところでお姉ちゃん、抵抗の意思がないようなら少し拘束緩めましょうか?
……なんでそこで残念そうな顔するんですか



 神薙・沁(影に潜みて・f06362)は悩んでいた。

(イレーナさん倒さなくてもよくないか?)

 死霊術士の少女の話を聞いてるうちに思ったことだ。下僕といってもとくに厳しい命令しているわけでもなく、自由にやらせているというか、空気が緩いというか。

(彼女が情報操作的な意味で都合のいい情報をよこしている可能性もあるけど)

 見た感じそこまで頭がまわるように見えないというか、わりと正直に話してるように見えるのだ。まぁ、彼女が騙されてる可能性もあるため、完全に信じきるわけにはいかない。

(けど、彼女の感じた印象通りだった場合に、自分はイレーナを殺せるのだろうか?)

 どうにも、調子が上がらない。思わずため息が漏れる。

「オブリビオンは消すしかない…と今までは思ってたんだけどな」
「んー何か言ったー? あ、そこ右」
「いえ、何も」

 小さな呟きは虚空に消え、少女の案内に従い道を行き、時にやり過ごす。
 階層も、大分上がってきたはずだ。どのような答えを出すにせよ、あとは件のイレーナに会ってからだ。

「ところでお姉ちゃん、抵抗の意思がないようなら少し拘束緩めましょうか?」
「……え?」
「……なんでそこで残念そうな顔するんですか」

 少女が玩具をとられた子供のような顔をして、思わず沁はツッコミを入れる。これって自分のせいかなぁ、となぜか悩みが増える沁だった。なお、彼は知らないことだが、この少女の趣味(?)は元からこうだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

神薙・沁
一度ほどいて背中に背負う形で括り付ける
子供を背負いおんぶ紐みたいな形で
とりあえず両手が自由になるので動きやすくなる

「とりあえず耳に息を吹きかけないでください」
「え、胸?いや存在しないものに触れるのは不可能では」
「道案内しないのであれば鋼糸で首絞めて気絶させますよ?」
…なんでそのタイミングで色っぽい吐息が(汗)
「あの戦闘のときに寝ちゃったほうをたたき起こして連れてきた方が良かったのかも」



 かなりの階層を踏破した神薙・沁(影に潜みて・f06362)は、そろそろ最上階だろうと感じていた。
 なので、両手を自由に動かせるように、死霊術士の少女を縛る糸を一度ほどいて背中に背負う形で括り付ける。少し腕を動かして、動きやすさを確認するとこんなものだろう、と納得した。
 一方、暇を持て余した少女は沁にイタズラを仕掛けていた。

「とりあえず耳に息を吹きかけないでください」
「えーだって暇だし―。それに役得あるんだしいいじゃん少年」

 身体を預けるどころか完全に脱力している少女。

「え、胸? いや存在しないものに触れるのは不可能では」
「は? あるし? スケルトンよりはあるし! 虚無じゃないわ!」

 比較対象が骸骨なのはもはや認めているようなものでは? 沁は言いそうになったが、面倒になると思い、なんとか飲み込む。
 最上階が近いこともあり、案内することもほとんどないのだろう。少女はイタズラするか脱力するかのどちらかになっていた。

「道案内しないのであれば鋼糸で首絞めて気絶させますよ?」
「だってもうすぐ着くもの。あぁでもそれはそれで……一度くらいは……」

 …なんでそのタイミングで色っぽい吐息が出るのか、沁は頭を抱える。

「あの戦闘のときに寝ちゃったほうをたたき起こして連れてきた方が良かったのかも」

 後悔先に立たずとは言うが、あの時の2分の1でこのようなことになろうとは。沁にできるのは、心を無にしてひたすら進むことだった。まあイタズラされるのですぐ引き戻されるのだが。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『悪役令嬢・イレーヌ』

POW   :    やっておしまいなさい!
戦闘力のない、レベル×1体の【取り巻き】を召喚する。応援や助言、技能「【精神攻撃】【物を隠す】【略奪】」を使った支援をしてくれる。
SPD   :    自分がこの場にふさわしいと思っておいでかしら?
対象への質問と共に、【自分の背後】から【取り巻き】を召喚する。満足な答えを得るまで、取り巻きは対象を【あんまり痛くない攻撃か、冗談のような罵倒】で攻撃する。
WIZ   :    ちゃんと話を聞いていたかしら!?
【指さした指先】を向けた対象に、【眩しいけどあまり痛くない稲妻】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニャコ・ネネコです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●パーティーのお時間
 最上階に上り、扉を開いた先にいたのは獣耳尻尾の少女のオブリビオン、イレーヌである。

「ふふふ、よくぞここまで辿り着いたわ。まずは褒めてあげる。長かったでしょう……わた、わらわも辛かったし」

 いかにも傲慢! 偉いぞ! と雰囲気を出しているつもりで喋るイレーヌ。部屋の内装が庶民的な大部屋なことと、横にいるゴーストさんの出すカンペが無ければ多少は様になっていたかもしれない。

「け・ど。あなたたちの命……運? もここで終わり。か、覚悟? はいいかしら」

 読めなかったのだろうか、度々噛んでいる。
 さて、いざ戦闘。

「ケーキ出来たよー!」
「今行きますわ! ……五分待ちなさい」

 ……ちゃんと五分後に戦闘開始しました。
神薙・沁
ワイヤートラップをはって自分に近づく取り巻きを足止めできるようにする
一定距離を保って魔導弓を使って小石などをつかって射撃
敵の攻撃は基本回避しつつ背中(お姉ちゃん)をつかってガード
それを酷いと言われた場合には
「大丈夫でしょう、喜んでるっぽいし」
そして可能ならば捕縛風印で拘束して「イレーナさん、少しお話しませんか?」
と提案する
猟兵としてはいけないかもしれませんが、自分はあなたを倒したくない



 口の周りをハンカチで拭い、イレーヌが戻ってきた。

「さあ、始めますわ!」

 彼女がパチン、と指を鳴らすとスケルトンやゴースト、死霊術士の少女たちが取り巻きとしてイレーヌの背後に現れる。
 神薙・沁(影に潜みて・f06362)は魔導弓に小石を番え、構える。

「下僕たち、行きなさい!」

 イレーヌの号令を受けて、死霊術士の少女たちが召喚した死霊に突撃を命ずる。命を受けたスケルトンやゴーストは沁へとまっすぐ突っ込んでいく。
 沁は魔導弓を連射し、多少勢いを削るものの死霊ゆえにか効果は薄い。しかし、一定距離まで近づいたところで、仕掛けが起動する。
 ピン、と張られていたワイヤートラップが解けて閃光のように奔ると死霊たちを縛り上げ、足止めしたのだ。

「封陣展開、風縛り」

 そして、取り巻きが減ったのを狙い沁は捕縛風印を発動。風に乗って拘束具がイレーヌへと飛来する。

「そんなもの、わた、わらわに当たると思って?」
「召喚します!」

 死霊術士の少女がスケルトンを呼び出し、イレーヌを庇う。庇ったスケルトンはユーベルコードを受けて拘束され転がるが、イレーヌは無傷ですんだ。
 膠着状態になった状況。警戒を解くことなく、沁はゆっくりと口を開く。

「イレーナさん、少しお話しませんか?」
「……何かしら。あ、もしかして降伏する?」
「違います。猟兵としてはいけないかもしれませんが、自分はあなたを倒したくない」

 だから話をしよう、と沁は語りかけた。

「ふーん。返答は、お断りですわ! 降伏するというなら聞きますが、しないのなら聞きません。なにより!」

 イレーヌは指を突き付けて、高らかに叫ぶ。

「わらわはイレー『ヌ』です! ナではありませんわ!!」

 怒りをにじませた叫びに、沁はほんの少し考えこみ……背負っている少女へ振り向き、尋ねる。

「……イレーナって言ってませんでしたか?」
「あれ? イレーナじゃなかったっけ。ごめん、間違えて覚えちゃってた!」

 精一杯可愛らしく謝罪する背負われ少女。沁はえぇ、と呆れて、イレーヌは呆然となり、取り巻きの死霊術士の少女たちはあちゃーと天を仰ぐ。
 イレーヌがぷるぷると怒りに震え、静かに言葉を紡ぎだす。

「そもそもなんで捕まってるのよ……! あなた、あとで労働刑ですわ」
「ええええっ!? イレーナ、じゃなくてイレーヌ様! それだけは勘弁をー!」

 額に青筋を浮かべたイレーヌの言に捕まっている少女は絶望の声を上げる。慈悲と許しを乞うても無情に却下され、他の少女たちも養豚場に送られる豚を見るような哀れみの表情で手を出すことはない。
 ともかく、戦いは始まったばかり。膠着状態をいかに打破すべきか。

成功 🔵​🔵​🔴​

神薙・沁
攻撃を回避しつつトラップやUCで敵を無力化しながら話しかける
「上に立つならそれ相応のふるまいがあるのは理解してますよね?」
「労働刑と言いましたね?」
と問い詰めて
「上に立つなら部下の行動にも責任を持つべきです」
と言って最終的には
「部下に労働の対価を払え、ということで部下であるこのマンションの住民全員分の家賃を要求する」
部下の死霊術士に対しても同様に
「さぁ、あなたたちも決めなさい、自ら働いて家賃を払うか、主であるイレーヌ様に対価として給料、もしくは家賃の支払い請求をするか!!」
と反逆を煽ってみる
前回プレイングのようにしてお姉ちゃんで防御
攻撃を受けたあとは優しく撫でたりして周囲の少女を煽る



「ともかく! 降伏しないなら攻撃ですわ!」

 仕切りなおすようにイレーヌが叫び、改めて死霊が突撃する。
 神薙・沁(影に潜みて・f06362)は意気消沈している背負った少女を慰め撫でつつ、ワイヤーで防ぎ、避け、捕縛風印で迎え撃ち、時にはさりげなく背中の少女を盾にする。
 あばっ、と呻く背中を気にせず、彼は言葉を投げかけた。

「上に立つならそれ相応のふるまいがあるのは理解してますよね?」
「ええ、もちろんですわ」

 フンス、とイレーヌが胸を張る。

「労働刑と言いましたね?」
「言いましたわ」

 それが? とイレーヌは首を傾げた。

「上に立つなら部下の行動にも責任を持つべきです」

 攻撃が止んだことで一時的に止まった沁はゆっくりと立ち上がり、イレーヌを指さす。

「部下に労働の対価を払え、ということで部下であるこのマンションの住民全員分の家賃を要求する」

 さらに、取り巻きの死霊術士の少女たちに対しても視線を向け、同様に告げる。

「さぁ、あなたたちも決めなさい、自ら働いて家賃を払うか、主であるイレーヌ様に対価として給料、もしくは家賃の支払い請求をするか!!」
「あら、反、はん……(何て言うのかしら。え? はんぎゃく?)反逆を煽ったつもりかしら?」

 真面目そうな死霊術士の少女にフォローしてもらい、イレーヌは鼻息荒く言葉を打ち返す。

「この子たちはとも、えー下僕ですから! 対価を払ったりしませんわ! もちろん家賃も払いません。なぜなら、わた……わらわは悪役令嬢ですから!!」

 腰に手を当て胸を張り、高笑いもセットで声を張り上げるイレーヌ。その背後では取り巻きの少女とゴーストさんが花吹雪を舞い上げている。

「ま、私たちも特に困ってないし、楽しいし?」
「働きません、家賃も払いません! よし!」
「ついでにワルいことにもなるからねー」

 不満も無ければ文句も特になし、と死霊術士の少女たちは口々に語る。ある意味盤石だった。

「少年、私たちは何か雰囲気で生きてるから難しいことをやっても効かないぞ!」

 沁に背負われた少女が助言する。

「っていうか、捕まってるのにノリノリで協力してんじゃないわよ!?」
「あの子は、あー、まあ、ああいう子だから……」

 その様を見て、イレーヌが思わずツッコミ、取り巻きの少女が諦めた表情で力なく笑った。
 彼女らもいろいろあるのだろう。たぶん。

成功 🔵​🔵​🔴​

火土金水・明
「ケーキはおいしかったですか。あ、きちんと歯を磨きましたか。まだなら、もう少し待ってあげますよ。」(待っている間に、部屋の内部の把握をします。)
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【サンダーボルト】で、『悪役令嬢・イレーヌ』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。



 そんなぐだぐだな雰囲気になってきたところへ、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)は現れた。

「ケーキはおいしかったですか。あ、きちんと歯を磨きましたか」
「ん、新手かしら? 当然、磨い……磨いたわよね?」

 彼女の問いに、自信満々で答えようとしたイレーヌだったが、だんだんと不安になってきたのか、思わず取り巻きに問いかける。

「まだなら、もう少し待ってあげますよ」
「そ、そう? なら……手鏡を持ってきて!」

 明の親切心を装った言動にイレーヌは乗り、確認し始めてしまう。その間に明は周囲を観察する。
 部屋自体は広間のようで、そこそこの広さがある。自分やイレーヌが立つ中央のあたりは平坦だが、端の方は段差や突き出た天井があったり、壁が無い箇所もある。
 奥の方は、キッチンだったり小道具が置いてあるようだ。演出用かもしれない。

「待たせたわね!」
「いえいえ、大丈夫ですよ」

 おおよそ把握したところで、イレーヌが戻ってきた。
 明はにこやかに笑いながら、話しかける。

「あ、こちら、贈り物です」
「あら、ご丁寧に」

 明はス、と指先をイレーナへ向けると、全力で魔法を発動した。油断しているイレーナへと、天井を無視して雷光が落ちる。

「天からの、ね?」
「え、あばー!?」

 二度の雷光、降り注ぐ電撃にビリビリと痺れるイレーヌ。予想外の攻撃だったために直撃し、悲鳴を上げた。

「あばば……くっ、や、やってくれたわね!? この、お返しですわ!」

 耳と尻尾を逆立てて怒ったイレーヌは、明と同様に、指先を向けて眩しい稲妻を放つ。雷光と異なり指先から放たれる電撃は、眩しく輝きながらまっすぐに迸り。

「残念、それは残像です」

 直撃、と思いきや姿が霞のように掻き消えた。攻撃を見切った明が、オーラで形成した残像を残し、回避したのだ。

「少しでもダメージを与えて次の方に」
「ぐぐ、この、避けんじゃないわよ!」

 次へと繋ぐために無理せず雷光を放つ明。やり返すために稲妻を放つイレーヌ。眩しく輝く電撃が、室内を照らし、騒がしく音を轟かした。

成功 🔵​🔵​🔴​

神薙・沁
そういうことなら容赦はいらないな
ということで彼女らの発言に対してカウンターを
少女を狙ってウィヤーで捕縛して
「あなたたちが縛り上げられても誰も困らないからいいですよね?」
「家賃払えないならこのマンションのガスや電気を止めます」
さっきケーキ焼けたとかいってるし調理器具つかってるだろうし
アニメとかみてるようだから電気系統がつかえなくなるのは苦痛のはず
「あとは運送業者にもこのマンションに来ないよう通達しておきます、
まぁ、あなたたちが困るかもしれませんがワルいことになるからねぇ」
あとなんだかんだで協力してくれたお姉ちゃんの頭を撫でたりして労ってあげましょう



「そういうことなら容赦はいらないな」
「何ですって?」

 神薙・沁(影に潜みて・f06362)が腕を振るい、指を曲げる。ワイヤーが複雑奇怪に奔り絡み巻き上がることで死霊を縛り上げ、一時的に射線を空ける。

「あなたたちが縛り上げられても誰も困らないからいいですよね?」
「うぇ、はやっ」

 空いた空間を捕縛風印の風とワイヤーが潜り抜け、避けれなかった死霊術士の少女を捕縛した。
 
「家賃払えないならこのマンションのガスや電気を止めます」

 何ィ!? と一部の少女が反応する。
 死霊はともかく、少女たち悪魔は生きてる存在なのでインフラ環境は必須である。それだけじゃないっぽいのが割といるようだが。

「あとは運送業者にもこのマンションに来ないよう通達しておきます。まぁ、あなたたちが困るかもしれませんがワルいことになるからねぇ」
「くぅ、なんてワルい……! まるで、えーと……悪役王子?」

 ニヤ、と悪い笑みを浮かべる沁に、イレーヌは慄く。なんだかんだ協力している背中の少女を撫でて労るが、当の少女は縛られた元お仲間に視線を向けていた。

「少年! 私もアレしてほしい!」

 もはや遠慮も何もあったものではない。どうしてこうなったんだこの人は、と思う沁だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神薙・沁
他の猟兵も来たようなので仕方ない
できれば自分だけでなんとかしたかったけど

消すか(といいつつ懐から丸くて白い物を複数と取り出す)
捕縛風印で拘束、千里眼射ちでイレーヌの口に白い物を狙撃
喉に詰まらせて窒息して数多の人が命を落とすアイテム「餅」
窒息させたら「あなたたちも、こうなりたくなかったらいうことを聞きなさい」と脅迫
(一応餅に見えないくらいの糸を括り付けてあるので気絶した後引っこ抜けるように仕掛けはしている)
唾液付いた餅どうしようかと悩むところだけど詰まらない程度に切って背中のお姉ちゃんの口に突っ込んでみる



 ぐだぐだやっていた影響か、時間がかかったからか、他の猟兵が到着しだしたのを見て、神薙・沁(影に潜みて・f06362)は仕方ないか、と心の内で呟く。

「消すか」

 演技か素か、物騒なことを言い放ち――背中の少女が悶えてるのは無視して――懐から取り出したものを魔導弓に装填。
 次いで、先と同じように捕縛風印で射線をこじ空ける。

「ちょ、また来た!? 誰か止めなさーい!」
「ごめーん! 捕まった!」
「帽子が飛ぶー!?」

 人数が徐々に減った状態では防ぎきれるわけもなく、容易く道はできる。じっくりと狙いを定めた沁は、悲鳴を上げるイレーヌの口めがけて発射した。

「んぐ!?」

 口内に飛び込んだそれは、多くの人の命を奪い、別名『サイレントキラー』とも称される白い食物……すなわち、餅。
 ばたり、と倒れるイレーヌ。

「あなたたちも、こうなりたくなかったらいうことを聞きなさい」

 沁が告げる。親玉というかリーダーというか、率いていたイレーヌが倒れたことで、死霊術士の少女たちも降伏を選ぶこととなった。
 さて、気絶した時点で餅を引き抜けるようにしていた沁だったが、これまでのダメージが効いていたのかオブリビオンだからか、イレーヌは霧のように消えていった。

「さよならイレーヌちゃん……今度ゴーストさんとして呼ぶね!」
「準備してすぐ呼ぶから楽しみに待ってて!」

 少女たちは悪魔である。なによりも死霊術士である。過去の存在と化した死霊を呼べる彼女たちにとって、イレーヌを死霊として召喚することは大したことではないのかもしれない。その前に家賃の問題があるが。

「あ、そうだ。少年、最後にお姉ちゃんの名前を教えてあげよう! やったねヒロイン(?)だよ!」
「いえ、そういう露骨なフラグはちょっと……」

 なんでよー、と抗議する背中の少女に、残った餅を食べさせて口を閉じさせる。
 まあ、なにはともあれ。お仕事終了である。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年02月14日


挿絵イラスト