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これはワルいモフモフ

#デビルキングワールド

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#デビルキングワールド


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「一体どういうこと!?」
 豪華な屋敷で、甲高い声が響き渡った。
 そのデビル硬貨が輝く一室に立つのは、一人の獣人の少女。冷たい眼差しが床をいぬいている。
 そして床に頭をつける狼の獣人が一人。
「私はここにあるデビルを2倍にしなさいって言ったの! これじゃ1.2倍にしかなってないじゃない!」
「す、すみませんお嬢!」
「お嬢様と呼びなさい! 全く、どうしてこんなワルい召し使いしかいないのかしら」
 縮こまる狼の男に、三角耳の少女はふん、と鼻をならして、組んだ腕をほどいて指を突きつけた。
「まあいいわ! 今度こそ、このデビルを2倍にしなさい。できなければ、あなたの首が飛ぶとお思いなさい! ――分かって?」
「は……はいぃ!」
 慌てるように狼がデビルに埋もれる部屋を辞していく。

◇◇◇

「お嬢……ワルだよなあ」
「めっちゃワルい、やばい……ワルい……」
 外で待っていた熊の獣人がいそいそと寄ってきては話しかけてきた。少女に怒られる状況に顔を赤らめているのはちょっとアレではあるが、この屋敷にいるのは大体そんな感じだから今更だ。
「しかも、今度こそはっていう約束毎回破るのワルいわあ」
「分かる、2倍にしろっていうの10回目くらいだし、毎回首飛んでないし」
「「お嬢ワルいわー」」

◇◇◇

 ズボンから飛び出た大きな尻尾が扉の向こうに消えて、足音が遠ざかっていくのを確認した少女は。
「――ッ! 今、わたし、すごく悪役令嬢だったわ……!」
 令嬢らしからぬガッツポーズと共に歓喜に打ち震えていた。 
 すう、と息を吸い込んで誰もいない場所をビシッと指差して、蔑むように見下した。
「――分かって? ……くぅう、指の角度完、璧……っ」
 誰もいない部屋で少女は、自分で労さず、悪役令嬢としての在り方とデビル稼ぎを両立している事にご満悦であった。

◇◇◇

「そーゆうわけで、たんまりデビル溜め込んどる屋敷に押し入って、デビル根こそぎ頂いたろ、ゆう話でな」
 ペルペペ・ペルルーペ(ペルペル・f31639)が言ったのはそんな無情な作戦だった。
「いや、ゆうて正味デビル集めとるオブリビオンは放っとけんしやな」
 聞く限り、可愛いげのある相手に聞こえるが。
「詐欺やら強盗やらで、デビルかき集めとるから、実害も出とんのや」
 どうやら上手くワルい事をできない悪魔を集め部下にして、ワルい事の仕方を教えたらしい。
「むしろコイツらこそワルくない。いやワルいんやけど、もっと堂々と自分のためにワルい事出来るようにしたりたいんよな」
 つまり、何をすればいいかというと。
「まずは屋敷に潜入する。そんで悪役令嬢をぶっ飛ばしてデビルをいただいて、まあそれ使ってその部下らに、ちゃんと堂々とワルい事出来るように身なりを整えたりさせたいなって」
 ペルペルは、そう言った。


熱血漢
 第一章
 獣人達『悪そうなお兄さん』がガードマンをしている屋敷に潜入します。
 ですが彼らは猟兵達と同じくらい強く数の多いので、正面から殴り込みをすればオブリビオンがデビルを持って逃げ出してしまうかもしれません。

 なので、騒ぎを起こさず、忍び込みましょう。

『悪そうなお兄さん』に見つからないようにしたり、きゅっとして物陰に隠したり、ワルい事に惹かれる性質を利用したりして、潜入してください。

 大体の事をしても死にはしないので大丈夫です。

 第二章で、悪役令嬢イレーヌとの戦い。悪役っぽいRPで弱くなります。

 第三章で、部下であった『悪そうなお兄さん』を更正させてちゃんとしたワルにしてあげましょう。

◇◇◇

 屋敷は正門、裏門ともに見張りが交代で立っていて、屋敷内にも悪そうなお兄さんが巡回しています。
 お兄さん達の種類も狼、熊、羊、猫、虎、鷲etc様々です。

 お好きにどうぞな感じです。
 プレイングお待ちしています! 
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第1章 集団戦 『悪そうなお兄さん』

POW   :    やっちまってください、アニキ!
戦場に、自分や仲間が取得した🔴と同数の【子分】を召喚し、その【野次】によって敵全員の戦闘力を減らす。
SPD   :    ダチを可愛がってくれたじゃねえか
全身を【強そうなオーラ】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【負傷】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
WIZ   :    おいおい、俺たちと遊んでくれるってのか?
【見事なやられっぷり】を披露した指定の全対象に【『なんか、もうどうでもいいかな』っていう】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ベルベナ・ラウンドディー
つまり童心に戻ってヤンチャしても許されると
ふ、猟兵になる前エロ電話からコンビニ強盗までこなした私に隙はありません
(髪の毛ファサー



あ、もしもし
ピザの宅配サービスです?どうもイレーヌ邸の使用人です
このカレーピザ、辛さレベル最大であるだけ焼いて持ってきてくれます?
出来れば時間差で持ってきてくれるとありがたいんですよね
あと炭酸飲料でなんかあります?
シャンパンファイトしますんでガンガンに振ってきてください

現金支払い
請求はイレーヌ邸
イレーヌ様まで  




…ヨシ!(←すごく楽しそう



あとは大挙したデリバリーの兄ちゃんを利用し
ドサマギでこっそり忍び込む算段です
念のため彼等に変装、有事の際は演技と口八丁で乗り切ります



 聳えるオブリビオンの住まう屋敷。
 門番の立つ正門を遠目に、ベルベナ・ラウンドディー(berbenah·∂・f07708)は妙に清々しい表情を浮かべていた。少年が水を溜めたバケツを持って物陰に隠れているような笑み。
 つまりは、童心を取り戻したような無邪気な。
「ふ、猟兵になる前エロ電話からコンビニ強盗までこなした私に隙はありません」
 いや、そんなレベルでは済まされないようなエグめの発言をしながら、彼は長い二色の髪の毛を、フワサァ、と風に靡かせた。
 そして、徐にポケットからとあるものを取り出す。
 それは――。

「あ、もしもし?」

 携帯電話だった。
 そして連絡先は、宅配ピザ屋だ。
 深夜のピザとコーラだったりのワルい事をする為に結構ピザ屋は繁盛しているらしく、デビルを溜め込むブルジョアなオブリビオンの屋敷の周りは多くの店が店舗を出している。
 メニューの載っているチラシが結構手に入った。
 そして、ピザ屋に電話して何をするのかと言えば。
「どうもイレーヌ邸の使用人です」
 詐称であった。
「え? ああ、はい、最近巷で噂のワル、イレーヌ様の使用人です。えっと、このカレーピザ、辛さレベル最大であるだけ焼いて持ってきてくれます?」
 信用毀損、業務妨害であった。
「え、ああはい、一度には無理? あ、そっちの方が好都合なので時間差で、はい、あと炭酸飲料でなんかあります? じゃあ各種十本ずつ、あ、シャンパンファイトしますんでガンガンに振ってきてください。お祝いなんですよー」
 極悪であった。
「受け取り支払いで、領収書の宛名、イレーヌ邸、イレーヌ様で門の者に渡してください。それじゃ、よろしくお願いしますー!」
 通話を切る。
「ヨシ」
 満足げではあるが、おおよそ人道に乗っ取った行為ではない。
 だが、まだ終わらない。チラシは一枚だけではないし、店舗はまだ残っているのだ。
「あ、もしもし?」
 悪夢はまだ始まってすらいない……。

 ◇◇◇

「だから! そんなもん頼んでねえって! 今確認すっから!」
「あのーヘルレッドレンゴクラヴァピザですけどー!」
「ああ!? またか! だから!」
「うるせえ! まだ注文残ってんだ!」
「そんなんうちもだっての、良いから退けよ!」
「俺が先に来たんだろうが!」
「おい喧嘩すんな!! 話聞けよ」
「てめえが受け取らねえからだろうがッ!」
 そんな門の騒ぎを見た使用人が、先に来ていた使用人に声をかける。
「いやあ、大変そうですねえ」
「ああ、誰の悪戯か知らねえが、ワルい事する奴もいたもんだ、憧れるぜ……、ところでお前見たことねえな」
「あ! この間入った新入りっす! 挨拶まだでしたか! すんませんっす! あの、イレーヌ様に騒ぎの報告しなきゃで案内してもらっていいっすか先輩!」
 誰あろう、この使用人、どさくさ紛れに忍び込んだベルベナだ。
 大変そうもくそも、自分で撒いた種で、無事潜入に成功していたのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

チル・スケイル
潜入作戦ですね。了解しました。
では、吉報をお待ちください。

・グリモア猟兵からの依頼、つまり他者からの命令を承諾する事によりユーベルコード発動
・氷晶がキャバリアを操縦しオトリになる
・キャバリアが壊されても、氷晶は徹底抗戦。敵をおびき寄せる

・その対応により警備が手薄になったところに、自分は悠々と侵入
・多少の悪魔が残っていても、慌てず騒がず忍び寄る。冷気放射杖からの凍気でカチカチに凍らせ、騒いだり喋ったりできなくする



(……では)
 チル・スケイル(氷鱗・f27327)は屋敷を見据えた。
 グリモア猟兵からの依頼。潜入からのオブリビオン強襲、それを猟兵へと下された命令として解釈することで、チルは氷晶の自由召喚とそれによる行動に対して強力な補助を獲得できる。
 例えば――、複雑な操作が必要となるキャバリアのコクピッドへパイロットの代わりとして搭乗させる、といった繊細かつ強力な操作難度を要求させる荒業をも、片手間に遂行できるほどの。

 ◇◇◇

「よおぉおし!! ぶっ壊したぜ!!」
 門から声が響く。
 チルの放ったキャバリアが破壊され、その中の氷晶も砕かれたのだ。
 突如として現れた外敵を退けた勝鬨の声。チルはそれを屋敷の中で聞いていた。
(流石、猟兵にも劣らないというだけある)
 もし、キャバリアや中の氷晶が門番を蹴散らす、まではいかずとも戦いが長引けば、オブリビオンがただの日常的な騒ぎではなく、危機なのだと考えてしまえば逃亡される。
 もし圧倒してしまいそうでも、そこそこで敗走させるつもりではいたチルだが、考えを改めた。
「今日は随分うるせえなあ……」
 と、その時チルは足を止める。角の向こうに巡回中の悪魔の声が聞こえた。
 こちらへと向かってくる。廊下に身を隠す場所はない。仕方ないか。とチルはスナイパーライフルにしか見えない杖を握り、悪魔が角を曲がる瞬間に、その体を押し倒す!
 絨毯が衝撃を和らげ、悪魔がくぐもった声を発する。チルは膝でその両腕を押さえながら、悪魔の胸に跨がり、その杖口を男の喉に向けていた。
 溢れた凍気に喉は既に凍り付いて、声を阻む。
「……っ」
「運の悪い」
 もし、突如として落とされたこの悪夢に理由があるのだとすれば、チルの眼前を歩いてしまったその運だけだと。そういうように、冷たくあしらう声が、全身凍りつき緩慢に死に近づく恐怖の中に響く。
 凍り付いていく様から目を逸らしもしない冷徹な『悪魔』に出会ってしまった。それが何より自分の不運なのだと、閉ざされていく意識の中で彼は思うのだった。

 ◇◇◇

 実際のところは。
(ああ……もう少し上手く潜入できると思ってたのに、運の悪い……)
 既に数度、巡回の悪魔を氷漬けにしてしまった自分自身へのぼやきだった事を、彼は知らないし、悪魔は氷漬けにされても死なない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブリッツ・エレクトロダンス
☆へぇ、潜入しろ、ねえ。
いいじゃねえか、俺向きだ。

さて、潜入プランは…勝手口からだな。
まあ当然、見張りのワンコちゃんがいる訳だが…

ワイロなんてワルい事に当然食いつかないはずは、ねえよなあ?
…今なら、仕事をサボって中で秘密のワルい事をする、なんていうとってもワルいおまけまでついてくるぜ?



 さて、どったんばったんな狂乱事態になっている正門から打って変わって、裏の勝手口。
 人一人通れる程度の小さな柵扉の傍らに警備員が二人。
 屋敷が陽射しを遮り影になるそこで、その二人はだらしなく柵に身を預けて談笑していた。
 なんか、こういうちょっと暗い場所でサボっているとワルい感じがするので、ここの担当の時はこうして怠惰な勤務態度を取るのが部下一同のちょっとしたブームになっているのだ。
 ブリッツ・エレクトロダンス(★3:DJ.Blitz・f01017)は、舌舐めずりをしながら、その勝手口へと歩み寄る。
 潜入。元々遺跡漁りを生業にしていたブリッツだ。怪人所有の遺跡に潜ったりもしていたので、定石は弁えている。
「それでよー、そのババア何て言ったと思う?」
「ああ? なんだよバレて怒り散らしたか?」
「いや、ありがとう、だってよ! バッグ拾ってやったついでに、取っ手のほつれ直してやったとも気づかずによ」
「がっはっは! 傑作じゃねえか! ……ん? おい、なんだお前」
 悪自慢をしていた犬の獣人達は、近付くブリッツに気付いて、誰何を飛ばす。
 対するブリッツは、ただ肩を竦めて両手を上げる。手ぶらだと証明しながら、しかし足取りは緩めない。
「カッカすんなよ、ワンコちゃん――ちっとワルい話があってな?」
 余裕をひけらかし近付く不審者に、見張りが先手を取れずにいる間に肉薄。ブリッツは、片側の手を取って、先程までは持っていなかったはずの何かを、その手に握り込ませる。
 硬質な感触。それ同士が僅かに擦れる金属質な音。指の隙間から見える黄金色。
「――!」
「なあ」
 ワイロ。ウィンウィンの共犯を作る、定石中の定石だ。
 渡したデビル硬貨に釣られて二人が身を寄せてきたその時を狙って、ブリッツはワイロを渡した犬獣人に体を預けるようにその耳許へと口を寄せた。
 更に、尾をもう一人の大腿に絡ませて、声の聞こえる範囲に留めて囁く。
「仕事サボって、俺と中で秘密のワルい事してみたくねぇか?」
 握らせた硬貨を擦って、音を鳴らす。手に収まる以上のデビル硬貨がこの中に――。
 ごくりと、喉を鳴らす音がする。
 彼らがこれまでしたことのないワルの予感に、ただ言葉もなくブリッツの視線に頷くばかり。
 それから、柵扉が外部者を密やかに招き入れるのは、すぐ後のことだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『悪役令嬢・イレーヌ』

POW   :    やっておしまいなさい!
戦闘力のない、レベル×1体の【取り巻き】を召喚する。応援や助言、技能「【精神攻撃】【物を隠す】【略奪】」を使った支援をしてくれる。
SPD   :    自分がこの場にふさわしいと思っておいでかしら?
対象への質問と共に、【自分の背後】から【取り巻き】を召喚する。満足な答えを得るまで、取り巻きは対象を【あんまり痛くない攻撃か、冗談のような罵倒】で攻撃する。
WIZ   :    ちゃんと話を聞いていたかしら!?
【指さした指先】を向けた対象に、【眩しいけどあまり痛くない稲妻】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニャコ・ネネコです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 鳴り響いた轟音に、イレーヌは驚いて体を跳ねさせていた。
「っ、ひぅ! きょ、今日はいつもよりもうるさいわね……」
 誰も部屋にいないとを確認して、今の驚いた瞬間が誰にも見られていないことに安堵しながら、呟いた。
「ま、まあいいわ。もし押し入られたりしたら、あの子達――じゃなかった、あの役立たずどもが教えてくれるはずだし」
 とその時、イレーヌの脳裏に閃きが走る。
「そうだわ……! 悪役令嬢なら、急な侵入者にも傲慢に振る舞えるようにしてないとよね……!」
 イレーヌは胸を張り、デビル金貨を積み上げた山を背後にする玉座の前で胸を張って、その細い指を締まった扉へとビシッ!! と突きつける。
「えっと、ようこそ私の屋敷へ!! ダメ、なんだか初めてのお友だちをお茶会に誘ったみたい……、我が屋敷……? 我が家……、逆に貴方達の家? じゃなくて、肥溜め? 待って、私の家が肥溜めは嫌……墓場……! そう、ここは貴方達の墓場!」
 それよ! と己の悪役令嬢としての才能に感激しながらイレーヌは台詞を組み立てていく。
「扉が開く。そこで私がここに立っていて、高らかに言うの。よくぞ辿り着いたわね、ここが貴方達の墓場よ。さあ、地獄に蹴落として差し上げますわ……、完璧……」
 一汗かいたイレーヌは玉座に座り、そして、締め切った扉を見つめる。暫くは部下達も戻ってこないだろう。
 今さっき考えた台詞を咄嗟に出すために練習する必要があるんじゃないか?
 イレーヌの明晰な頭脳は、反復練習の重要性を説いた。
「ん、んっ!」
 咳払いをして立ち上がる。
 心は落ち着いている。そして、今までで一番悪役令嬢度が高い気がする。
 完璧な悪役令嬢が出来そうな気がした。
 ビシィ!! 
 指を開いた扉に突きつける。雷轟が轟くのを幻聴するような素晴らしい勢いと角度だった。
「よくぞ辿り着いたわ!! ……ね?」
 開いた扉に指を突きつけていた。閉まっていた扉が開いている。閉まっていた扉が開いている!?
 混乱するイレーヌに、しかし事態は待ってくれない。
 その扉の向こうに知らない顔ぶれがあった。侵入者である。つまりは猟兵である。
 混迷にあっても明晰な頭脳は、高速回転する。――先程の台詞を言う絶好の機会だ、と言語野にシナプスを巡らせる!!
 最高の悪役令嬢を今ここに顕現せんと!

「わわ我が初めてのお茶会でお友達を肥溜めに蹴り落として差し上げますわっ!!」

◇◇◇

 第二章。
 戦闘です。
 悪役ムーブをすると、感激したり、己の未熟を恥じ入ったりしてユーベルコードの操作がおぼつかなくなります。

 大体コメディです。

 プレイングお待ちしています!
 
ブリッツ・エレクトロダンス
☆見張りはどうしたかって?
俺とたっぷり"ワルいこと"を楽しんだらよお、"疲れて"眠っちまったぜ?
なかなかかわいい声で鳴いてくれるじゃないか、あのワンちゃんたちはよ?

ああ、安心しな。お前は趣味じゃねえ。
(安心したであろうところに不意の拳銃抜き撃ち!)
…だが当然ッ!犯罪は仕掛けるッ!
(理不尽、だがそれこそが悪)
お前の隠したカネ、全部頂きに来たぜ!
(当然のように工具箱からはロックピック…どころかドアぶち破り用のエンジンカッターや爆薬類が見えている!完全に強盗しに来たスタイルだ!)

(短機関銃も抜いてもはや銃撃戦の有様だ!)



「ぐ、んんんん――ッ!」
 イレーヌは、決め台詞を盛大に噛み散らかしたことで顔を真赤にしながら、その苛立ちをまずはなんとなく視線を向けた、黒豹のキマイラへとぶつけることにした!
「なによ!! いきなり入ってくるなんて無礼な奴!! っていうか見張りの子……奴らはどうしたのよ!!」
「……んー」
 どうやら、ご指名を食らったらしいブリッツ・エレクトロダンス(★3:DJ.Blitz・f01017)は、ふと考えた。
 どうにかしてマウントを取りたいらしい。このお嬢様。
 であるなら、ブリッツがすることは唯一つ。
「あぁ? 見張りはどうしたかってェ? んだよ、聞きてえなら教えてやるけどよ」
 口角を、ニヤリと歪めて、ベロリと舌で唇を舐めた。意味ありげな表情で、腹を引きつらせるように笑う。
「俺とたっぷり"ワルいこと"を楽しんだらよお、"疲れて"眠っちまったぜ?」
 ベルトに親指を差し込んで、スボンを押し下げて鼠径部を見せつける。僅かに湿り気を残した毛の束が跳ねた。
 そう、やることは一つ。
「なかなかかわいい声で鳴いてくれるじゃないか、あのワンちゃんたちはよ?」
 煽られるなら煽り返す。それが流儀というやつである。
「な……、な、な」
 ブリッツの言葉に硬直したイレーヌの脳裏に、突如として吹き荒れるバラ色のテンペスト。ついさっきまで会話を交わしていた相手が目の前の黒豹によって狼藉されてしまったという事実に慄く。
「なんて、こと……」
 ところで、このイレーヌという悪役令嬢。その実、育ちは本当に結構良い所だったりする。
 淑女の嗜みとして文学なども嗜んではいるが、やはり、そこは高貴なる嗜み。男性同士の恋愛物の小説などもあるにはあるのだが、その盛り上がりどころ。所謂情事の描写は、とにかくメルヘンなオブラートに包まれるのである。
 妖精は開いたチューリップの赤い花弁から伝う朝の日射しを神聖な銀に透かす清らかな露に微笑みの祝福を授け、窓から吹き抜ける爽風がそれを夏を知らせる鐘へと報せに行く、みたいなヤツである。
「ああ、安心しな。お前は趣味じゃねえ」
 己の体を掻き抱いたイレーヌは、僅かにその硬直を緩める。だが、次の瞬間。彼女の眉間へと弾丸が飛び込んだ!
 拳銃の抜き打ち。その場で宙返りしながら背後の椅子へと深々と座るように吹き飛んだイレーヌは、額から弾丸が弾けた跡と煙を上げながら、ブリッツを睨んだ
「つまり、貴方は……染まらず散る冬の秋葉ということね」
「いや、知らんが……ともかく、犯罪は仕掛けるッ!」
 展開する工具箱! 飛び出すロックピック!! ……に始まるエンジンカッターやら爆薬やら!!!
 金山でも掘るつもりかというような『工具』達に、イレーヌはたまらずぎょっとして椅子から立ち上がる。
「ま、お待ちなさい!! この屋敷のデビルは全部この部屋に――」
「そんな事はよぉ! 全部ぶち抜いてやれば分かんだよなぁッ!!」
 だが、聞く耳は持たない。理不尽極まり、故にワルである。
「聞きなさいよ!!」
「ヒャハア!! お前の隠したカネ、全部頂きに来たぜ!」
 短機関銃も引き抜いて、稲妻を躱して、ブリッツは一先ず、手頃な壁にエンジンカッターをぶつけていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イコマ・アマツガネ

悪者のフリかあ。まあ、出来ないことはないけど、あんまり気は乗らないなあ。

「へえ? ずいぶん溜め込んでるんだ。でも君には少し無用の長物じゃないかな」
笑みを浮かべて部屋に入る(ノリノリである)
勇者の剣を抜いて、ギラリと睨んで直撃はしないように光の斬撃を飛ばす。
皆あんまり攻撃を受けてないから、強い斬撃は出ないはず。ちょっと弾き飛ばされるくらいに抑えて放つ。
「ほら、こんなに簡単に吹き飛んじゃった。諦めて僕たちにデビル全部渡したらどうかな? 怪我したくないでしょ?」
(平和に納めたい)

でもイレーヌさんが怖がってたら、心は痛んじゃう、かな。
でも、手を緩めたらそれはそれで怒りそうだし。
どうしようっかな……。



 扉の前で、一人のキマイラの男性がうーん、と悩んでいた。
「悪者のフリかあ……」
 イコマ・アマツガネ(獣耳勇者・f31860)は、そもそも困っている人を放ってはおけない性格をした男だ。
 いうなれば、悪者を懲らしめる側のイコマだ。そんな彼に悪者として上位者であるとアピールしろというのは、中々難しいのではないだろうか。
「あんまり気は乗らないなあ……」

◇◇◇

「へえ? ずいぶん溜め込んでるんだ」
 冷たい笑みを浮かべたイコマが、堂々とまるで。――この屋敷が自分のものであるかのような立ち振舞いで、部屋に足を踏み入れていた。
 そしてその目を、奥のデビルへと向けた。
「でも、君には少し無用の長物じゃないかな」
 この男、ノリノリである。
 数分、気乗りがしないな、等と悩んでおきながらいざ始めれば、ノリノリである。
「……な、何をいうのかしら!?」
 黒豹に部屋をズタズタにされ、狼狽を隠せないままに現れた新しい刺客にイレーヌは、警戒するように声を上げる。
 だが、そんなイレーヌに剣を抜きながら、イコマは口を開く。
「だって――」
 だが、その前にイレーヌは恐怖を振り切って声を張った。
「い、いいえ! その前に貴方たち! やっておしまいなさい!!」
「ひゃっはー!!」
 崩れ落ちた壁から手下の獣人達が飛び込んできてイコマへと飛びかかる!
 イコマはそれを、勇者の剣を越しに鋭く睨みながら。
「――ッ!」
 一閃。
 獣人達が肉薄するよりも早く、その剣を振り抜いていた!
 びゅん、と走る剣先から光の斬撃が飛び出して獣人達を吹き飛ばす。盛大に吹き飛んだ衝撃に、イレーヌも吹き飛ばされて、後ろにあった椅子に押し付けられるように着地。
 直後、部下達が突っ込んだデビルの山が崩れ、金色が霰のように降ってきた。
 そこへ、畳み掛けるように。
「ほら、簡単に吹き飛んじゃう」
 イコマの余裕と嘲りに満ちた声が追ってくる。
「諦めて僕たちにデビル全部渡したらどうかな? 怪我したくないで……、えっと……」
 椅子の上で震えるイレーヌを見て罪悪感を覚えたイコマはそこで台詞を切っていた。
 涙目で睨む彼女に困り果てたイコマは、剣をしまい――。
「え、えっと……ごめん、ね?」
「……、……!?」
 唐突な謝罪にむしろ混乱が極まったイレーヌに怖がられる事になったイコマが、イレーヌに憤怒されるまで、あと数秒であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・雨幻(サポート)
真正面から、と言うよりは掠め手で相手を惑わせて
攪乱しながらのらりくらりと追い詰める戦い方を好むよ。
ただし共闘者がいて危ない時は飛び出して守りに行くかな。

使う武器は【黒雲】【黒霧【対】】の二刀流での戦闘が主。
使うUC次第では連結してダブルセイバーにしたり、
そもそも剣を【武器受け】用として使い、影を操る攻撃で戦ったりするよ。

基本的に相手の攻撃を【見切り】、【早業】で【武器受け】をしながら動きを観察し、隙を見つけて【切り込み】もしくは【カウンター】を決めて離れる飄々とした動きのヒット&アウェイスタイル。
戦闘中も仲間やボスにも冗談を交えて話しかけたりする。
ただしあまりにも非道な相手の場合は別だがね。



「オジサン困っちゃうよなあ……悪者のフリしろだなんてさ」
 叢雲・雨幻(色褪せた根無し草・f29537)は飄々とした歩きで、憤慨極まると言ったようなイレーヌの前に出た。
「ふざけないで、あなたもどうせ私をからかってるんでしょう!?」
 怒り心頭なイレーヌは、問答無用とばかりにその指を雨幻へと突き付けた。
 閃光が瞬く。
 雨幻は、目を潰すような眩さに、躊躇いなく目を瞑っていた。
 僅かに接しただけでも分かる正直なイレーヌの事だ。伸ばした指先以外から何かが放たれることは、あったとして五、六回は攻撃を行った後だろう。
 何かを指先から放つ。光を伴う。速度は読めないが、まずは光に対処する。
 もはややいばを抜く動作に思考はいらない。無意識のうちに抜き放った刃を軌道に沿える。
 指先から雨幻へと辿る最短の軌跡。そんなものは限られている。
 最適であるほど最悪手。
「……なっ」
「おっと、手応えあり、だねえ?」
 黒く染め上がる刃が、走った電雷を弾き斬る。
 それを一切見ることなく成し遂げた雨幻にイレーヌは、思わずに驚愕の声を上げていた。
 怒りも消沈し、攻撃が通らないという現実を理解する。
「さて、ワルい知らせだ、お嬢ちゃん」
 目を瞑ったままに雨幻はイレーヌへと言葉を投げる。
 余裕に満ちた笑みがどこか不気味さすら醸し出し。
「オジサン、一度見た攻撃は当たった事がないんだ」
「あ、う……」
 大人しく、デビルを渡してくれないかなあ? と圧倒的優位にありながら、頼み込むような言葉を選ぶ雨幻に、イレーヌは言葉を未だに悩み続けるのだった。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

磯砂山・ガンテツ


へえ、随分可愛らしい嬢ちゃんじゃねえか。
デビルも随分溜め込んで。ありがてえなあ。

あ、なにがって?

そりゃあ俺らに奪われるために溜め込んでくれてんだろ? 心遣いありがたいねえ。無下にする訳にもいかねえからな。

いただいていくぜ。

おっと、いってえ…て程痛くはねえな。
可愛らしいと思ったらやんちゃ姫だ。少しイタイ目みてもらおうか。

黒渦ナギカセで手足を床に引きずり倒して銛で脅す。
悪ぃな、嬢ちゃん。こちとらワルい事には慣れっこでな。

大人しく歯噛みしておいてくれや



 葛藤するイレーヌの前に現れたのは、更に一人の猟兵だった。
「へえ、随分可愛らしい嬢ちゃんじゃねえか」
 軽薄に笑う男。磯砂山・ガンテツ(海の男・f31739)は銛を肩に担ぎ、歯を見せて笑う。
「デビルも随分溜め込んで。ありがてえなあ」
「な、……何がありがたいのよ……!」
 もはや意固地としか言えない気丈な態度でイレーヌが反発すれば、ガンテツはその口を大きく開けて、ハッハッハ!と吠えるように笑う。
「何って、そりゃお前……俺らに奪われるために溜め込んでくれてんだろ?」
 ごくごく自然にガンテツは外道じみた発言をした。彼にとっては略奪ではなく、はじめからこのデビルは自分のもので、一ヶ所に集めてくれてありがたい、というだけだとでも言うようだった。
「……っ」
「心遣いありがたいねえ。無下にする訳にもいかねえからな」
 イレーヌの横を、普通に歩いて通り抜けながらガンテツは、礼をすら言ってみせる。
「いただいていくぜ」
「待ちなさいよ! それは私の……!」
 イレーヌは指をガンテツへと突き付け、その先から目映い雷光を放つ!
 それはガンテツへと直撃し――。
「私のものよ!」
「いってえ…て程痛くはねえな」
 あんまりダメージにもならなかった。
 鍛えられた肩に弾けた熱を擦りながらガンテツはイレーヌを振り向く。
「ひ……っ」
 怒りを買ったと、イレーヌが喉を引きつらせるが知ったことではない。
「可愛らしいと思ったらやんちゃ姫だ。少しイタイ目みてもらおうか」
「きゃっ――!」
 くるりと銛を回して水を作り出したガンテツは、それを氷にしてイレーヌの手足を封じて床に転がした。
「さて、これで邪魔できねえだろうな」
 ガンテツは、そうして無力化したイレーヌを放っておいたまま、デビル漁りを始めたのだった。
 そして。
「いやあ、大漁大漁……って、ん?」
 猟兵達が振り返った時に、イレーヌの姿はもうそこにはなく。
 主を失った怖そうなお兄さん達と邸がそこに残されているばかりだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『ククク……動物を捕まえたぜ!!!』

POW   :    フフフ……人肌程度のお湯でゆったり水攻めにしてやるぜ!!

SPD   :    ヒヒヒ……ふかふかの毛布でぐるぐる巻きにしてやろうか!!

WIZ   :    ケケケ……この塩っ気のない柔らかいメシを食べるんだな!!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「お嬢~」
「うう、あんなにワルだったのに……お嬢~」
 遣えていた主を失った怖そうなお兄さん達が悲しんでいる。
 ひとまず放ってもおけないので、更正ついでにワルとして一皮剥いてあげよう。

 まあ、そのせいでもっとワルになったり、他の事に目覚めたとしても、猟兵は悪くないよね。

第三章

猟兵は『怖そうなお兄さん』を拾った。
イコマ・アマツガネ

うーん、泣かせちゃったか。
どこ行ったんだろう。まあ、目の前の問題を解決しようかな。

一先ず、埃まみれだしお風呂やさんでも行こっか。

良いところを知ってる? うん分かった。デビルは一杯あるしどうせなら高級そうなお風呂やさんでも行こっか。

という訳で豪勢なお風呂やさんを貸し切りにして、怖そうなお兄さん達を洗ってあげるよ。

自信をつけてくれるのが一番かな。裸の付き合いで誉めて伸ばしてみるよ。
にしても鍛えてるねえ。格好いいよ、うん。

え。
いや、ママではないけど……。
んー、傷心中だし、甘えたいなら仕方ないか……。折角の貸しきりだしね、一杯甘えさせてあげるよ。
あんまり痛くしちゃダメだからね。



「うーん、泣かせちゃったか」
 イコマ・アマツガネ(獣耳勇者・f31860)は消えたイレーヌを心配しながら屋敷を見回るも、逃げた痕跡すらなく、元の部屋へと帰ってきていた。
「どこ行ったんだろう。まあ、目の前の問題を解決しようかな」
 問題というのは勿論、目の前でさめざめと泣いている悪そうなお兄さん達だ。
「んー……、放っておけないよね」
 さっきは悪いことをしてしなったけれど、善人であるイコマは、彼らを捨て置くという選択肢は取れなかった。
「うん、ひとまず、埃まみれだし――」

 ◇◇◇

「お風呂やさんだよね」
 という訳で、悪そうなお兄さんの紹介で高級なお風呂やさんを貸切りにしたイコマは、大きな湯船の前で仁王立ちしていた。
 当然、真裸。雄々しい姿を惜しげもなく晒しながら、振り向いた。
「じゃあ、洗おっか」
「……はい」
「んー」
 悪そうなお兄さん達は意気消沈したままたっている。
 元気がないなあ。とまずは狼の彼を座らせながらイコマは、暗い雰囲気を纏う背中に困ったと思う。
 こういうときはどうするか。折角裸の付き合いなわけだし、ストレートに誉めて、気分をよくさせるのもありかもしれない。
「にしても鍛えてるねえ」
「お嬢の為に……」
「そっか、凄いね。格好いい。何かのために頑張れるって凄いことだよ」
 獣人の全身をシャンプーで泡立てながらイコマは、触れる体を誉めちぎってあげた。
「でも、お嬢は居なくなっちまったし」
「それでも、イレーヌさんの為に頑張った事は消えてなくなった訳じゃないでしょ?」
「うっ……ぅう」
「頑張ってるよ、偉いね」
 肩を震わせる彼を優しく洗い、シャワーで泡を流し終わった後も、狼の彼は……いや、順番待ちだった獣人達も俯いたまま動かない。
 と思えば、ふと狼の彼がイコマへと顔を向け。
「……ママ」
 ママではない。
「ママ」
「ママ……!」
 ママではない。
 あまりの突飛さに反応を返せないでいるイコマの胸に狼が飛び込んでくる。更に他の獣人もイコマに抱きついてくるもので、思わず倒れこんだ。
「傷心中だし、甘えたいなら仕方ないか……」
 イコマがため息をつけば、許しを得たとばかりに、胸に顔を埋めていた狼の舌が胸の先端に吸い付いてくる。
「あ、っ、もう。折角の貸しきりだしね、一杯甘えさせてあげるよ」
 イコマは獣の熱を全身に感じながら、赤子のように体を吸う獣人を撫で。
「あんまり痛くしちゃダメだからね」
 優しく彼らを受け入れるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ブリッツ・エレクトロダンス

…流石に(居室の惨状を見る)ちょっとやり過ぎたな。
おまけに泣かせちまったし…(勝手口で篭絡した2人を見て)

(しばし思考する)
あー、うん。2人とも、ちょっといいか?
お嬢はそのうち戻ってくるが、それまでに少しはワル磨きしなきゃお嬢に申し訳が立たねえだろうよ。
ちょっとだけ、ワルとしてのトレーニングでもしねえか?

(という訳で狼藉したが捕まってひん剥かれたブリッツに対しワルらしく体に聞く…というワルっぽいシチュエーションでトレーニング。)
ああ、そうだ。で、この場合にすべき事は…
(ワルっぽい事を教えつつ楽しんでいる…)



「あー……流石に」
 途中からなんかテンション上がって楽しんでた。いや、だって、屋敷解体出来ることとかそうそう無いわけで。
 ブリッツ・エレクトロダンス(★3:DJ.Blitz・f01017)は、スタボロになった惨状を見て、我に帰っていた。
「お嬢ぉ……」
 様子を見に来たらしい門番の犬獣人(篭絡済み)二人も泣いてるし。
(んー……どうすっかなあ)
 とブリッツは暫く考えた後に、彼らに声をかけた。

◇◇◇

 真っ暗だ。
 意識が浮上していく中でブリッツは、手足が動かない事を確認した。
 声がする。
「えっと、これってこうだっけ……?」
「いや、こうじゃね?」
「あー、こうね、はいはい」
 ブリッツを捕らえているらしい二人の雄の声。
「……ぅ」ブリッツは小さく呻き上げる。その直後。ブリッツの全身に冷水がぶっかけられた。
 衝撃に、意識が覚醒してブリッツは目を開けた。その顎を掴んで犬の獣人の顔が、眼前に迫る。
「よぉ、具合はどうだ?」
「『気分』な。見舞いじゃねえんだから」
「あっ……」
 一点減点。目を瞑っている間は意識がない設定だったからまあヨシとして。
「冷水ぶっかけて心臓が止まったら大変じゃないすか」
「そういうのは表に出さずやれや」
「難しい……じゃなかった。えっと、随分派手に暴れてくれたじゃねえか。誰の差し金だ?」
「は、言うわけねえだろ」
 ブリッツはそう返す。
 もう分かっていると思うが、ワルらしい事を教えたテスト中であった。
「そうかい」とブリッツに目隠しが掛けられる。と同時に、なにか固い膨らみに鼻先を押し付けられた。クラクラするような雄の匂い。
「なら体に聞くしかねえなあ……」
「お、ご……っ」
 金具の音の後。無理矢理開かれた顎の中へと何かが押し込まれる。若い果実のような張り詰めた皮と熱。
 喉奥まで埋めるようなそれは。
「ぅ……っ」
 数秒で何かを吐き出して出ていった。
「え、早……ぁ、ハッ! こんなもんか……ぶっ!」
 喉に絡む液体を嚥下したあと、本音を漏らしながら煽りをいれようとしたブリッツの頬に平手が飛ばされた。
「口の割には、コッチ正直だなあ?」
「……っ、あッ」
 ブリッツの正直な発露をその先端に絡ませるように扱き上げられる。ぬちぬち、と粘る音が上がる。腰の内側を擦られるような快楽に、ブリッツの喉は震えていた。
 というか平手打ちの辺りは教えてない。
「お、おい」
「いや、これくらいの方が良いって」
「そ、そうなのか……? まあ、そんなになってるし……」
 溢れた液体に濡れた指が、更にその下、奥へと進み。ブリッツの中へと侵入ってくる。
「次はここに正直になってもらおうか? 口は最後に回せばいいからよ」
 指が更に押し入る。何かしらの才能を開花させてしまったブリッツは、そのまま口を正直にしたあともワルい事をされるロールプレイを続けるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年03月20日


挿絵イラスト