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癒着の一例

#アックス&ウィザーズ #戦後

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#戦後


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「アックス&ウィザーズ、偉いさンの救出が今回のお仕事だ」
 グリモア猟兵の我妻・惇が話し始める。日頃から良くはないその目つきは、心なしか細められたようで、険を含んだようにも見える。
「なンでも、公爵サマとやらの屋敷がオブリビオンに占拠されて、家主から使用人から、みィンな出てこなくなッちまッたンだと」
 その公爵は周辺一帯を直接統治しており、日頃から近隣の住民との交流を欠かすことはない人であった。人々の声を受け取り、暮らしに反映するように最大限努める、清廉で勤勉な好人物であるとの評判だ。そのため住民からの信頼も厚く、しばらく姿を見せないことを心配する声も、各所から上がりだしている。

「ンで、俺が見たのは中の様子なンだがな。刃物も縄も見当たらねェで、トカゲの坊主どもがお客様やッてンだわ」
 邸内の者が長年抱えた身体の痛みを、オブリビオンたちは怪しい薬でたちどころに治し、恩義に報いんとする公爵に手厚く遇されるままにお抱えの薬師として居座ってしまったのだ。
 そうして邸内に与えた指示は一点……『屋敷への一切の出入りを禁ず』というものだった。

「そンなわけで人間が守るオブリビオンの砦の出来上がりッてなわけだ。連中お客さンが化物だなンて思ッてねェからな、そりゃァ必死こいて屋敷と公爵と坊主どもを守ろうとする」
 倒すためには屋敷に侵入する必要があるが、道中で見つけられれば捕まえに来るし、客室の前にも警護の者が控えているし、オブリビオンに攻撃すれば身を挺してでも庇おうとする。それでいてもちろん、彼らを殺すことは望ましくないわけで――。
「まァ、なンとか上手いことやッてくれや」
 難しいことを考えるのは自分の役目ではないと言わんばかりに投げやりに言うと、間を置かずに倒すべき相手の説明を始めてしまう。

「オブリビオンは『パストール』、屋敷の連中には普通の人間に見えてるらしい。洗脳だとか幻術だとか、まァ胡散臭い手管で潜り込ンだもンだよなァ」
 トカゲの坊主ことパストールは、そうして手にした住処を基として、信者や傀儡を増やしていくつもりのようだ。自らは大っぴらに動かず、人を操り少しずつ影響力を広げていこうとする手口は、直接的な衝突の危険を小さくし、露見する可能性を最低限に抑えることとなる。侵攻を受ける側としては非常に恐るべき敵であると言えるだろう。当然ながら、予知されてしまってはどうしようもないのだが。
 戦闘を避ける相手とはいえ、もちろん対峙すれば戦闘になり、避けるからと言ってできないわけではない。攻撃手段も屋敷へ潜り込んだ手管と同様に巧妙なものが多く、幻術で昆虫や爬虫類を見せて戦わせたり、伸縮自在のリボン状の何かで捕縛したり、炎のカーテンを纏わりつかせてみたり――厭らしさにおいてはやはり枚挙に暇がない。
「面倒くせェ技はあるが、持ッてンのは杖と服だけだ。そこいらの爺ィと変わンねェし、丁寧にぶッ飛ばしてやンな」
 まるでそこいらの爺ィとやらをぶッ飛ばす経験を共通のものとするかのように言いながら、男は歯を剥いて見せた。

「と、もうひとつ」
 住民たちの公爵に対する心配のきっかけには、彼の開く定例のお茶会というものが関わっていたそうだ。そんなわけで。
「公爵サマの洗脳解けたら祝いもかねてやるらしいから、ついでに混ざッて楽しンでくると良いや」
 そんな形で説明を締め括ると、噛み殺しそこねたあくびをひとつ。遅きに過ぎる仕事始めに、男は転送の準備を始めた。


相良飛蔓
 お世話になっております、相良飛蔓です。今回もお読みいただきありがとうございます。大変遅くなりましたが今年もよろしくお願いします。

 第一章では邸内への潜入を行ってもらいます。建物は普通のお屋敷で、オブリビオンが仕掛けた探知アラーム罠以外のギミックや隠し部屋もないので、隠れて廊下を行くなり壁を伝うなり、もしくは殺さない程度に薙ぎ倒すなりして、いかに洗脳された人間の警備網を突破するかをご検討いただけると。

 第二章は集団戦です。何かの対応をしなければ室内での戦闘になりますが、広く高くハイグレードな部屋ですので特別制約なく伸び伸びと戦ってもらえます。

 第三章は日常でお茶会です。公爵様も住人の皆様もいます。そして主催が洗脳されていたために準備は終わっていません。慌ただしい現場でお手伝いもよし、お客様に徹するもよし、好きに楽しんでいただければ幸いです。グリモア猟兵もご指定あれば出てきます。

 そんな感じで、よろしくお願いいたします。
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第1章 冒険 『公爵邸占拠事件』

POW   :    騒ぎを起こし混乱に乗じて邸宅に侵入する

SPD   :    潜入して邪教集団の目をかい潜り、公爵を救出する

WIZ   :    魔法の探知罠を無効化して、警戒網に穴を開ける

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ラハミーム・シャビィット
アドリブ大歓迎です!

POWを選択

ナルホド、スニーキングミッションと言う事デスネ。
一度やってみたかったんデスヨ!
フフ… これは楽しめそうデスネ。

行動
まずは《出でよ透明鼠》で透明化を解除した状態の鼠型UDCを召喚して屋敷内へ向かわせマス。
鼠は何故か嫌われ者みたいデスシ、入って来たら捕まえようとしてくれる事を期待シマス。
上手くいったら、騒ぎに乗じてボクも侵入デス。
〈聞き耳・第六感〉で周囲の人間や罠を警戒しつつ、〈忍び足〉で進みまショウ。
後続の猟兵達の為に、〈情報収集〉も出来るだけしておきまショウカ。



●生き馬の目、鼠の目
「ナルホド、スニーキングミッションと言う事デスネ」
 屋敷を臨みながら、いくらか弾んだような声で言うのはラハミーム・シャビィット(黄金に光り輝く慈悲の彗星・f30964)、シャーマンズゴーストの男である。種族柄その表情は傍目に分かりにくく、高い身長も特徴的な口調も、見る者によっては不審や恐怖感を持つ者もいるだろうものだ。少なくとも予約なしに玄関先に現れたら、警護や番兵などと肩書する者が見逃すはずはない姿と言えよう。
「フフ……これは楽しめそうデスネ」
 小さく肩を揺する彼の姿には含みのある不穏な気配すら感じられるものであるが――
「一度やってみたかったんデスヨ!」
なんのことはない、額面通りの言葉でもって、興味深く面白そうな挑戦に胸を弾ませているだけの、明るく無邪気な少し変わった青年であるらしい。

「潜入・偵察ならこの子カナ?」
 初の試みの第一歩に、ラハミームは小さな尖兵をして取り掛かるようだ。ユーベルコードで召喚された鼠は、透明化の能力を持つUDCである。通常はその隠密能力を前提として対象を追跡するのに利用されるものであるが、今回は姿を消さないままに、屋敷の方へと向かっていく。
「なんだぁ?」
 かくして優秀な見張りの兵は、小さな鼠を見咎めて、脚を伸ばして蹴やろうとするが、顔を上げたるその造形に、言葉を失い身を震わせた。
「こいつ、目が……!」
 顔を見据える鼠の目は、円らに輝く四つの光を湛えていた。尋常の鼠であれば存じる通り目は二つ。魔物の類と思うや否や、彼はすぐさま得物を構えた。僅かに怯みはするものの、文字通りに鼠一匹も断じて通さじと構える彼は、職業人として非常に忠実かつ有能な番人である。
 通るを諦め踵を返す鼠を追って、持ち場を離れて駆け出して、小さな敵の導くままに、屋敷をぐるりと裏手に向かい――。

「不用心デスネ」
 角を曲がった鼠と男を見送りながら、ラハミームは手薄になった扉へと、忍び足かつ悠々と、歩き行き着き通り過ぎ。こうも簡単に通してしまうのでは、やはり彼は優秀ではないのかもしれない。
 ラハミームの方ではあくまで警戒を怠らず、侵入に成功してからも感覚を研ぎ澄ませ周囲を探る。外から聞こえる番兵の怒号と応援を求める声、それに応じて動き出す警備兵の声や足音、外に繋がる扉や窓の開閉音……かくも得られる情報は多く、忍び行きながらも着実に情報を集積していく。その成果を道標の目印として、後続の猟兵たちに残しつつ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィリヤ・カヤラ
困ってた症状治して貰ったら、
お客様扱いして言うこと聞きたくなっちゃうのかなぁ。

まあ、言うこと聞いてる理由はどうでも良いけど。
オブリビオンを殴って、中の人を助ければ良いんだよね。
よっし!頑張るよ!

探知アラームの罠は影のUDCで場所を探って、
近くに置物があれば罠の近くに投げたり、
窓があったら叩き割ったら罠に反応するかな。
反応したら家の中の人を誘き寄せながら客間を探してみよう。

あまり家の人を殴りたくはないから、
人が来たら【澄明】で姿を隠しつつ、
もしバレたら手加減して黙ってもらおう。
黙らせた人は適当な空き部屋に放り込んでおくね。

敵のいる客間を見つけたら、
影のUDCで他の猟兵に知らせよう。



●猫は小判に興味がない
「困ってた症状治して貰ったら、お客様扱いして言うこと聞きたくなっちゃうのかなぁ」
 ヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)にとっては、それほど共感できる感情ではない。
「まあ、どうでも良いけど」
そしてそれほど強い興味もない。彼らの動機はどうあれ、オブリビオンを殴り倒すことには変わりはない。留意すべきは、妨害して来るのが救助対象者であるということだけである。
「よっし!頑張るよ!」
 ……さらに言えば、救助対象者の負傷の有無は、討伐の成否には一切関わらないことである。

 先の侵入者によって確保された道を進むヴィリヤの、その足元には不自然に黒く、大きな影が広がっていた。宿主の影に潜んでは、這いて探るこれもまた、UDCだ。
 道幅を埋めて通路の異常をスキャンする影が、そこに違和感を察知する。普通の屋敷に感じないような気持ちの悪い感触は、オブリビオンの手による探知アラームのものであるか。手近の調度に手を伸ばし、這い擦る影の手を引いて、罠の在処に当たりを付けると、ヴィリヤはそれを持ち上げて、勢い付けて抛り投げた。
 かくして、調度品こといかにも高価そうな壺は、床への着地あるいは衝突と同時に粉々に砕け散ることとなった。手近にあったのが壺と持ち主の不運だが、まあいかに金銭的価値があろうとも命を贖えるわけでもなし、と猟兵は気にしない方針らしい。
 けたたましい破壊音と警報音は、邸内の人間を誘い出すに充分だった。事実、直後から聞こえてきた無数の慌てた足音は、ほとんどがこちらを目指して徐々に近づいていた。

「光と闇にこの身を溶かせ」
 もちろん見つかるまで突っ立っているはずもなく、ヴィリヤはユーベルコードを使い、その姿を溶け消えさせる。息を潜めて端に避け、どたどたと過ぎ去る警備の人間たちをやり過ごし。
 しばらく眺めて静かになると、猟兵は迷彩を解き、人が出払った通路沿いの部屋を探索目標とした。先程の連中に開け放された扉の先には当然誰も居ないだろうから、閉まったままの扉の中を警戒しながら順に覗き込んでいく。と。
「あ」
 不意に廊下の角の向こうから家人が現れ、侵入者に小さな声を上げる。息を吸い込み大きな声を出そうとすれば、それより先に素早く駆けたヴィリヤによって当身を食わされ、すぐにおとなしくなった。
 侵入者は小さく息を吐くと、再びユーベルコード・澄明を行使し、今度は倒した家人ごと姿を隠し――しばらくすると近くの扉がぱたん、と静かに閉じた。

成功 🔵​🔵​🔴​

シリン・カービン
獲物を定めればそこが狩場。
森であろうと屋内であろうと関係ありません。

一般の人間に気づかれずに潜入するだけなら容易いものです。
無論、油断は厳禁ですが。

外から屋敷を見張り、掃除や換気のために窓やドアが開けられたら、
【スプライト・ハイド】で姿を消して侵入します。

疲労が蓄積しないように物陰でUCを解除。
聞き耳を立て足音を忍ばせ、必要時はUCで姿を消して、
探知アラーム罠を確認・解除しながら屋敷の奥へ。

屋敷の構造を把握し、使用人たちの会話等からパストールのいる部屋を割り出します。
万が一に備え、彼らが逃走経路に使いそうなルートをチェック。

備えを万全にしたら部屋の傍で他の猟兵の到着を待ちます。
狩猟開始の刻を。



●獅子搏蜥蜴
 獲物をそれと定めれば、森であろうと屋内であろうとそこが狩場である。屋敷に巣食うパストール、それが狩るべき相手なれば、ここはシリン・カービン(緑の狩り人・f04146)の狩場である。敷地の立木の枝葉に忍び、虎視眈々と好機を狙う。嗅覚も聴覚も凡庸な、ただの人間を相手取っては、獣を謀る彼女の潜むを見破られることはないだろう。
(無論、油断は禁物ですが)
 音もなく、声もなく、伏せるシリンの視線の先に、僅かに開く窓が一つ。屋敷の周囲を駆ける鼠を先回るための経路として開かれたものだが、皮肉にもそれは新たな侵入者を招き入れるものとなった。狩人はやはり音もなく跳び、姿もなく滑り込み、誰にも気取られることなく屋内へと侵入を果たした。妖精の力を借りて姿を隠す彼女のユーベルコード、スプライト・ハイドによるものである。ただしその効果は視覚的な部分にしか及ばず、立てる物音や気配については一切の影響を与えないため、それらに関してはやはりシリンの狩人としての練達の賜物と言えるだろう。

 とはいえ姿を消したままでは疲労を蓄積し続けるのもこのユーベルコードの特徴である。シリンは注意深く物陰に身を隠し、周囲への警戒を保ちながら、慎重に隠形を解く。足音を殺し、気配を殺し、息を吐く音すらも微かにも立てず。聞き耳を立て、気配を探り、僅かな違和感も逃すまいとし。突如明後日の方向で鳴った大音に呼ばれ、玄関口よりの侵入者へ向かう衛士たちの、向かう道より逆行しつつ狩場の構造を測り、障害となる人間の目を搔い潜り、時には再び姿を消して、奥へ奥へ、敵の――否、獲物の居座る懐へ。
 深くへ向かえば、荒事を行う者の多くが出張っているため、出会うのは自然と非戦闘員である使用人がほとんどとなってくる。屋敷の対角での喧噪に対して不安や恐れを口にしあうその中には当然、客人の世話をする者もあり。
「先生がたは大丈夫かしら」
「平気そうにしてらしたけど」
などと語り合うその表情は、本当に客人に敬意を持ち、心配しているそれであった。
 その発言から直近に様子を見てきたらしい使用人の来し方を見定めれば、狩人はそちらへ歩を進める。警報の罠を察知し、無力化しながら、ふてぶてしくもそこに居座る、蜥蜴の群れのねぐらへと。さりとて枝葉の経路の確認も余念なく、退路を潰す想定を厚くし、万全に万全を重ねた狩猟準備を練り上げながら、網を絞り狭めていく。

 狩りとは得てして、獲物と対峙するより先に始まっているものである。獲物がそれと知らぬ間に、幾重にも手管を張り巡らせて、それでも狩人は油断も慢心も一切容れることなく、淡々と、眈々と、絶好機に臨まんとする。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈍・小太刀
【かんさつにっき】

トカゲの引き籠りかぁ
さてさてどう潜入しようね
見つかると厄介だし
ここはひっそり忍…あ

(楽しそうに暴れ回るメカたまこに苦笑
はいはい陽動作戦ね
ならこっちも今の内に行くよ!

素早く屋根裏へ潜入
ふふふ、気分はくのいちね(ニンニン♪
普段人の目の届かない所には探知罠も仕掛けてありそうだし
忍者の勘(野生の勘)で見つけて
発動前に壊していくよ

立派な屋敷だし
まさか天井が抜けるなんてことは無い…わよね?(汗
た、例え踏み抜いても
正月太りとかじゃ絶対ないから!(誤魔化し

見つかったら宙を泳ぐ小魚さん達召喚
足止めして貰ってる間に再び隠れて逃走するよ
ありがとう、小魚さん達も隙を見て逃げてね

杏と祭莉んも無事かな?


木元・祭莉
【かんさつにっき】だよー。

侯爵のお屋敷かー。でっかいね?
(ひょいっと塀を跳び越える)
罠あるんだっけ。うーん。

あ、いいこと思い付いた!(耳ぴこん)
植え込みに隠れて。
(小声で)かもーん、メカたまこ!

広いお屋敷だから、バラバラに走って、罠に引っ掛かりまくってね。
邪魔する人いたら、注意引き付けて逃げ回ってね。
あ、捕まりそうになったら、反撃してもいいケド。
大怪我させない程度にね!

さて。
メカたまこが陽動?してくれてる隙に、潜入!
気配に気付いたら、天井へ浮かび上がってやり過ごし。
ヒトに見つかったら、即座に気絶させるね!(麻痺拳)

警護の人には。
笑顔で進み出て、こんにちは!(礼)
そして、おやすみなさい!(再拳)


木元・杏
【かんさつにっき】
大きなお屋敷、迷路みたい
小太刀は忍んでいく?
まつりんは、騒ぐ(こく)
ならばわたしは知能犯的に………正面から突撃

メカたまこの喧騒の中、堂々と玄関からお邪魔
騒動の最中だど普通に歩いているのは逆に目立たない、という高度な作戦(ドヤ顔)

んむ、お屋敷の人達と目が合った
こんにちは、とご挨拶してそのまま通り抜ける
ん?こっち来る
その場合は【白銀の仲間】
透明の狼さん、突撃して屋敷の人達を気絶させて?
傷付けたら駄目
なぜなら、後のお茶会にてお菓子とかお料理とかお肉とか用意してもらわねばならないから

さて。
隠し部屋は無いと聞いたけれど、わたしの今いる場所はいずこ?(迷子)
まつりん、小太刀、どこ??



●ふれあい動物園
 塀を越え、植え込みに伏せて忍ぶのは、三人の少年少女たちである。
「トカゲの引き籠りかぁ……さてさてどう潜入しようね」
眉根を寄せて屋敷を睨むのは鈍・小太刀(ある雨の日の猟兵・f12224)。視線の先では駆け回る鼠とそれを追う多くの人間たち。視界の外を掻い潜ろうにもその人数はあまりに多く、その動きも雑然としており、容易ではなさそうだ。
「見つかると厄介だし、ここはひっそり忍……あ」
という間に、頭の上の獣の耳を跳ねさせるように動かして、いの一番に行動を開始したのは木元・祭莉(まつりんではない別の何か・f16554)だ。
「かもーん、メカたまこ!」
 と小声で唱えてユーベルコードを行使して、呼び出したのは金属製の鶏の群れ、彼らにとっては馴染みの深い雌鶏『たまこ』の模倣品である。自動で動くそのロボたちは茂みの中から次々飛び出し、足の踏み場を侵害するように兵たちの眼前へと躍り出る。新たに増えた沢山の異形に、追手は慌てて対応しようと、手近の物を追い始める。いくらかの鶏は屋敷の周りを駆け回り、いくらかの鶏は屋敷の内へと走り込み、思い思いに散開し、警報罠も片っ端から踏み抜いて。かくして内でも外でも大賑わいの大騒ぎとなった。
「はいはい陽動作戦ね。ならこっちも今の内に行くよ!」
 小太刀も苦笑をひとつ、立ち上がる。隙間なく満遍なく騒ぎになっていれば、陽動も何もないのだが――幸いにも、鶏も鼠ももちろん警備の人間も、空を飛ぶことはしないらしく、上空に注意を払う者はいない。塀の上より屋根へと跳んで、そのまま首尾よく滑り込んでしまったのだった。

「小太刀は忍んでいく、まつりんは、騒ぐ」
 二人の作戦を眺めつ吟味していた木元・杏(メイド大戦・f16565)も、ついに動き出すようだ。潜んだ茂みからおもむろに立ち上がると……
「ならばわたしは知能犯的に………正面から突撃」
宣言通り、そのまま正面玄関より突入せんと歩き出した。知能犯とは。
「騒動の最中だと普通に歩いているのは逆に目立たない、という高度な作戦」
 そう称する彼女の言葉の通り、機械の鶏を追い立てる人たちは少女を誰何することはないまま素通りの形での進入を許してしまった。自らの作戦の高度な戦略性を自ら証明してのけた杏は、誰にともなく得意げな顔をしていた。
「こんにちは」
なんなら戦闘要員外の使用人相手などには、すれ違いざまに挨拶さえして見せる。堂々たるその様子は、とても客人を害するために訪れた侵入者などとは誰も思いはしないだろう。
「あ、ちょっと」
……思いはしないだろうが、やっぱり見ない顔なら怪しみはする。主人の子どもなら見て分かるだろうし、家族と一緒に住み込む家人もある程度は限られるわけで。
 実際は迷子の保護か何か、比較的穏当な目的で声をかけようとしていた使用人の女性はしかし、唐突な衝撃をその身に受けて意識を途切れさせた。ちょっと慌てた杏のユーベルコードによって呼び出された透明な狼の体当たりによって。
「傷付けたら駄目」
 一拍遅れた指示ではあるが、幸い倒された人間がどこかに怪我を負ったりしている様子はない。罪もない誰かを苦しめずに済んだことに少女は安堵の息を漏らし……
「なぜなら後のお茶会にてお菓子とかお料理とかお肉とか用意してもらわねばならな
ひとえに優しい少女の博愛精神によってひとつの傷も負うことなく彼女は安全に倒されたのだきっとそうである間違いない。

「ふふふ、気分はくのいちね♪」
 屋根裏へと忍び込んだ小太刀のもとには鶏も狼もなく、彼女自身の這う音と、少し浮かれたような含み笑いしか聞こえない。下からは時折――というか割と頻繁に声や足音が聞こえてくるが、近くで止まる気配もなく、勘付かれるような心配もなさそうである。いくらかご機嫌な様子で、仕掛けてあるかもしれない警報罠を探す小太刀だが、どうやら大抵は通路に設置してあるらしく、彼女の感覚的センサーには引っかからないようだ。
 さて、そうして神経を尖らせて動いていると、ごく小さな音なんかでも気になってしまうものである。たとえば――自身を支える板張りの僅かに軋む音、とか。
「立派な屋敷だし、まさか天井が抜けるなんてことは無い…わよね?」
少女は決して大柄な方でもなく、外見的にも実際的も恐らく重いということはない。よっぽど老朽した建造物でもなければ、彼女を支えきれないということはないだろう。そのことはもちろん、小太刀自身が一番よく分かっている。
 気にすることもないはずなのだが、気がかりになるのは取りも直さず、彼女自身に変化の自覚があるからで、この時期にそういう事由といえば、それは……
「正月太りとかじゃ絶対ないから!」
それは、本人の名誉のために追及すべきではないことだろう。

 さて、陽動作戦を展開するからには、突入するところまでがその一環であろう。メカ鶏を盛大に散布した祭莉もまた、自ら立ち、動き出す。妹の杏と同様に、彼も正面からの突入である。彼の感覚としては『潜入』であるらしいが……まあ見咎める者もいないので、概ね大差はないだろう。
「ん? なんだ、どこの子だ?」
「こんにちは!」
屋敷の中を堂々と歩く少年は、割とすぐに見つかった。屋敷に突入したメカたまこを追いかけて右往左往していた警護の人間と鉢合わせてしまったのである。危険な生き物?の跋扈する邸内において、ただの子どもがうろついていては危険がないとも言い切れない。身を気遣って訊ねるその人に、祭莉は笑顔で元気に挨拶し
「そして、おやすみなさい!」
そして笑顔で元気に正拳を突き込んだ。一瞬呼吸を奪われて、遅れて意識を奪われた兵は、そのままその場に崩れ落ちた。きょうだいとは、やはり似るものなのかも知れない。
 ともあれ少年は倒したその身を脇に避けて寝かせると、やはり好調に闊歩しつつ、屋敷の奥へとずんずん進む。広い屋内で迷子の妹と、兄妹を心配しつつもそれを隠そうとする友達を探して合流するために。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ベリオノーラ・アンフォール
やはり一般の方と戦いたくはないので、しっかりと準備しておかないといけませんね。


普段のものより強力な加護のかかったローブを着るのに合わせて、危ない場所は光鳥で注意をそらしたりして、安全そうなルートを進みたいと思います。

また、倒れていらっしゃる方を見つけたときは無理のない範囲で治療も行っておきます。


それにしても、こういった隠密は初めてなので少し緊張してしまいますね。
他の方たちはいったいどんな方法で進まれているんでしょうか・・・?。



●ラビッツ・フット
 ベリオノーラ・アンフォール(キマイラの精霊術士・f08746)の潜入行には、他のどの猟兵のそれとも一線を画す部分がある。堂々たる大胆さも、熟達による脱力も、あっけらかんとした陽気さもなく、その顔色に強く浮かぶのは、緊張である。彼女にしてみれば初めての隠密作戦であるらしいので、いくらか固くなるのも無理もないことだろう。
(やはり一般の方と戦いたくはないので)
 もしも対峙すれば、勝てない相手ではないだろう。しかし彼女は、無暗に人が傷つくことを好まない。不幸な出会いなどは極力ない方が良いに決まっているのだ。
 自身の、そして彼らの安全のために、ベリオノーラは可能な限りの準備を行っていた。身にまとうローブは、普段使っている表情を隠すものではなく、さらに加えて姿の認識をも阻害する強力な加護のかかったもの。その上でもなお注意と警戒を怠らず、既に慌て回って不規則な動きを続ける衛兵たちの視線や動線に気を払いながら、掻い潜るように玄関の奥へ。
 息もつかず気も抜かず、陰に潜んでは視線を巡らせ、誰かの気配に際しては、ユーベルコードの光の鳥を宙に踊らせ視線を奪い、僅かなりとも自身に注意が向かぬよう、巧みに隠れて奥へと進む。

 実際のところ、先行する猟兵たちが解除したり発動させたりで多くの罠は無力化されているし、回避できない遭遇に際して昏倒させながら進んでいる者もいるため、それほどの危険や困難は残ってはいなかったりする。その証左と言うように、ベリオノーラの進む先でも意識を失い倒れた衛兵が通路上に転がっていた。放っておいても命に別状はないし、誰かが来るリスクを少しでも増やすのは決して効率的に最善とは言えないのだが――
(どうか、誰も傷つくことのない安らぎある世界を……。)
そう願う彼女には、そんな願いをユーベルコードにさえ託す彼女には、あまりに忍びないことである。先までは他者の注意を引くために使われた光鳥であるが、その本来の能力は対象者を癒し、代償に術者であるベリオノーラの生命力を奪うというものだ。そうまでして、たとえ僅かにでも誰かの傷や痛みを和らげようとする彼女にとっては、障害となれば打ち倒すという選択肢はきっと最終手段と言えるほど思考の端にあるもので、設定されたその難易度ゆえの緊張の大きさもあったのかもしれない。
「他の方たちはいったいどんな方法で進まれているんでしょうか……?」
 きっと多くは、そんな彼女の参考にはあまりならないのではなかろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大神・しおん
【大神るり(f02010)と同行】
≪POW≫で行動

「もう、るりったら…やる気出したと思ったらこれなんだから…」
意味ありげな笑みを浮かべ

「るり、陽動は任せたわ」
るりのUCで騒ぎが起きたら、混乱に乗じて気配を消して潜入
見張りが釣れたら、奇襲をかけて素早く『咎力封じ』で拘束を試みる
「…ごめんなさい。ここで大人しくしていて頂戴な」
可能であれば拘束後、気絶させたいところ
難しければ、邪魔にならない場所で転がしておく
戦闘は極力回避し、最短最速で目的の部屋を探す
いざとなれば、るりを抱えての移動も視野に

アドリブ・絡み歓迎


大神・るり
【大神・しおん(f01306)と同行】
POW行動

【心情兼行動】
久々の依頼。そろそろ真面目に仕事しようと思ってたけどもう帰りたい。帰っていい?

ワタシのユーベルコード『ああ、愛おしき人造人間たちよ』を使って人造人間をいっぱい呼ぶ。そしてバラけて『挑発』を使ってもらって騒ぎを起こす。それに乗じて潜入をしていくってことで。
……不安しかないね。
バレた時の戦闘はおねーちゃんに任せるよ。
どうしてもって言う時はワタシも参加するけど。

【戦闘】
よく考えたら戦闘得意じゃないし手加減とか出来ないから本気で殺しかねないんだよ。
『突然の不意打ち』とか『猛毒の鎌鼬』とかで少しの間苦しんでもらおうかな。
……多分死なないはず。



●霊性なき霊長
「もう帰りたい。帰っていい?」
「もう、るりったら…やる気出したと思ったらこれなんだから…」
 大神・るり(薬学界随一を誇るマッドサイエンティスト(自称)・f02010)にとってはしばらく間の空いた、久しぶりの猟兵としてのお仕事であり、得てして長い休みの後には、起き出すのにも億劫さが伴うものである。
 そんなるりの様子に大神・しおん(おおみわ荘の管理人・f01306)は柔らかくも咎めるような言葉を返す。しかしその表情には困った様子や苦い色は見えず、意味ありげな笑みを浮かべていた。

「るり、陽動は任せたわ」
 そんな妹の発する不平は脇に置き、姉は作戦行動の開始を要請する。それを受けたるりの表情は特段の変化を見せないが、纏う雰囲気は面倒である旨をありありと表現していた。まあ他ならぬしおんの言うことなので、敢えて逆らうこともないのだが……
「……何も責任は取らないんだよ。この後どうなったとしても。本当はこんなよく分からない技使いたくないんだからね」
 渋々の様子で使用されたユーベルコードによって、既に大騒ぎの屋敷の周辺はさらに賑やかなことになる。追い立てられる鼠も、機械の鶏も、足音や駆動音こそすれ喋ったり騒いだりするものではなかったのだが、彼女の呼び出したそれは……それらは、言葉を話すのだ。それも非常に饒舌に。
「しゃーらー!」「来いやっらぁ!」「ンのからぁ!」
 口々に、方々で、騒ぎ出す彼らの言葉は、確かに饒舌なれども色々と怪しいものである。まぁ挑発的な表情や仕草は衛兵たちの怒りを買うには充分だし、それでなくても侵入者である。さにありながら捕縛しようと寄らば逃げ、足を止めれば煽ってくる人造人間たちは、陽動作戦にはこれ以上ない人材であろう。
「……不安しかないね」
 十全に機能し有利に働く戦況に際してしかし、るりはどこか苦々しげにしている。ユーベルコードによって召喚された、愛おしき人造人間たち――もとい『忌まわしき失敗作たち』。先の彼女の言葉の通り、それがどのような結果を引き起こすものであるのか、産みの親であるるり自身でも責任が持てないのだ。
 何にしろ、始めてしまったからには進むしかなかろう。幸い彼らに戦闘能力はないので、余計に屋敷の人々を傷つける心配だけはない。

 隙を突き、気配を消したしおんの先導により、二人は無事に邸内へと侵入を果たす。この時点では既に、道標が示され、少なくはない部屋も暴かれ、仕掛けられた罠も多くが処理され――随分と奥へ踏み入るまでは、想定していた危険や不確定要素のほとんどが片付いているような状態である。あり得るのは家人との遭遇であるが、広い屋敷であってすらも過剰なほどの陽動部隊が暴れまわっている現状、その確率も大したものではない。遭う人間といえば、せいぜいが昏倒させられて転がっている者ばかりである。
 もちろん、倒れた人間というのは、いつまでも倒れているわけではない。身体に異常なく、倒れたままである理由がなければ当然立ち上がるものである。
「ううん……あれ、ここは……」
嵐のように過ぎ去るついでの侵入者に倒され、影のように進むついでの侵入者に癒された衛兵は、胡乱な頭を振り振り起き上がり、状況を把握しようとして――
「……ごめんなさい。ここで大人しくしていて頂戴な」
 一陣の風のように駆ける女のユーベルコードによって迅速に轡と枷を掛けられて、すぐさま再びその場に転がされてしまった。この先にオブリビオンが陣取っているのなら、近付かれても仲間を呼ばれても、彼らを危険にさらすこととなる。邪魔が増えるという点を取っても、互いにとって百害あって一利もなく……と、色々巡らせながら意識を刈り取ると、少し遅れる不健康な顔色の妹を抱え上げ、改めてしおんは駆けだした。
 誰にとっても望ましい、最速最短での到着と解決を目指すのだ。そのために彼女は、進む先でもさらに幾人かの家人を捕縛、昏倒させていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『パストール』

POW   :    ディス・イリュージョン
自身からレベルm半径内の無機物を【昆虫や爬虫類の幻影】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD   :    ドラゴニック・リボン
【召喚した伸縮自在のリボン】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ジャッジメント・パヴィリオン
【杖】を向けた対象に、【巻き付く炎のカーテン】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



「な、何ですか、あなたたちは!」
 大扉のひとつを開け放った向こうには、果たして異形の僧侶たちが集団をなしていた。赤く大きな目を見張り、狼狽の表情を猟兵たちへと向ける。
 見て取れるその物腰は、幻術を伴って人間を騙すことにおいては適切なものであると言えるだろう。その言葉は突然の訪問への無礼を非難するものであるか、あるいは出入りを禁じたはずの邸内にて見ない顔を訝しむものであるか――どちらにしても、騙されている人間相手にはすぐさまことを構えるではなく、そして今もまた目の前の人間たちを騙し果せていると思っているようである。

 而して猟兵たちが臨戦の構えを見せれば、オブリビオンたちもこれが避けえない戦闘であると、自身たちが異物として認識されていると気付くらしい。それぞれが手に手に杖を構えてこちらへ差し向けてくる。白い体に浮き上がるように際立つ真っ赤な口内を震わせて、高い声で吠え立てる叫び声が、パストールたちの戦闘開始の号令となった。
ラハミーム・シャビィット
アドリブ大歓迎デス!

ホウ… あれが話にあったトカゲ人間デスネ。
体の構造はどうなっているのでショウカ?
UDCメカニックとしては非常に興味を唆られマス。

行動
彼等が放つ炎のカーテンは中々危険デスネ。
魔法の類デショウカ?
そのまま食らえば焼き鳥になってしまいますカラネ、《呪殺旋風》を体に纏って炎のカーテンを相殺してミマショウ!
上手くいったなら、〈肉体改造〉で伸ばしたボクの鋭爪で彼等を〈切断〉デス。



●爬虫綱?
「ホウ……あれが話にあったトカゲ人間デスネ。体の構造はどうなっているのでショウカ?」
 敵との遭遇から開口一番、ラハミームは感嘆の息とともにそんな言葉を口にした。猟兵よりいくらか多い頭数を揃えながらも狼狽えるパストールたちに較べて落ち着いたもので……というか呑気なものである。ただしその目に宿る光は、マイペースだとか能天気だとか、そんな言葉で表現すべきではないように見えるものである。
「UDCメカニックとしては非常に興味を唆られマス」
 いかにも、これから種々の実験を施す検体を見る、いくらか個性的な技術者の目である。嗜好として臨床実験を行いそうな、そういう目。

 そんな猟兵へ向けられた赤い目からは恐怖の色が少し感じられ、向けられた杖からは波打ち風を孕むような、質量を感じられる炎のカーテンが飛び出してきた。それは室内の空間を飛び渡ると、敵の長身に覆いかぶさらんとその面積を広げて見せる。
「そのまま食らえば焼き鳥になってしまいますカラネ」
 それでも肩を竦めて軽口を叩くラハミーム。彼を捕らえるために投網のように大きくなった炎のカーテンは身を躱すことを許しはせず、見たところ状況は切迫している。だのに彼は呑気に……否、巧妙精緻の技術者は、百戦錬磨の傭兵は、冷静に状況を分析し、打開の一手を弾き出し……そうする間に、覆いかぶさる炎のカーテンに包まれてしまった。

「己が神への祈りは済んだカイ?」
 その声を聞いたパストールの一体は、部屋をぐるりと見回した。立ち並ぶ猟兵も、もちろん同族たちも、そんな言葉を吐きやしない。自身が信じ、力を授かる神への祈りが済んで終わることなどは。

 そんなわけで結局のところ、救済や安息を求めるべき神への祈りは、成されることはなかったようだ。炎の覆いを目の前にして、周囲をきょろきょろと伺うパストールのまさに目の前。激しい風が巻き起こり、赤く燃えるを吹き散らし、旋風を纏った猟兵が、突風の如くに飛び出した。身を焼く熱量を相殺したそれをそのまま推進力としたラハミームの手には、肉体改造によって形作られた、長く硬い剣のような爪。
 炎のカーテンは術者にとってもまた目隠しとなり、その回避行動を阻害した。目の前にずっといたはずの猟兵の、生存と反撃に対処することもできず、果たして驚きに目を丸くしたままのパストールは、一切の反撃を、一切の行動を行うこともなく、刺し貫かれ、切断されて事切れた。
 内部構造、切断面を観察するより先にその遺骸が消えてなくなったことだけは、会心の戦果を見せたラハミームにとっての残念な結果と言えるだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヴィリヤ・カヤラ
弱い者イジメはダメなんだよね。
でも、弱肉強食って言葉もあるから殴っても良いよね。
まあ、相手もオブリビオンだし。

炎のカーテンは【四精儀】の氷の疾風を体の周りに使って、
大丈夫そうなら敵に向かって疾風を飛ばそう。

UCを封じられてもUDCはいけると思うし、
その時は月輪に頑張ってもらおう。
普通に剣で斬っても良いしね。
UC以外にも攻撃手段はあるから
気を抜いたらダメだよ?

戦闘中は敵の動きや視線に気を付けて、
敵が動いたらすぐ対応出来るようにしておくね。
……室内ちょっと壊れてもしょうがないよね。


ベリオノーラ・アンフォール
このお部屋にはお屋敷の方たちはいらっしゃらないみたいですね。
戦闘になる以上、もしもが起きてしまうかもしれませんので少しホッとしました。


戦闘に関しては光鳥を猟兵のみなさんの傍に展開しておいて、怪我をされたらすぐに治療できるようにしつつ、こちらから見て危ないと分かる攻撃に対しては『白い心』での無効化も行います。

(もし、お屋敷の方がいらっしゃるようでしたら同様に光鳥をつけ、私自身も盾になれるような位置でサポートをしたいと思います。)


効果が結構強めのものを着てきたので大丈夫とは思いますが、念のためフードはしっかりと被っておきましょうか。



●同床異夢
 敵を前にしながらも、ベリオノーラとヴィリヤの二人は、少し気が進まない様子である。
「このお部屋にはお屋敷の方たちはいらっしゃらないみたいですね」
 白髪の娘は、もとより争いごとを積極的に好まず、人が傷つくことに対する忌避感も持っている。入室から真っ先に家人の不在を確認し、無用の被害を出さずに済むことに胸を撫で下ろしたくらいには、嫌なのである。それでもこの場に立つのは、そんな被害を少しでも防ぐため、傷つく者を無くすため。憂いを込めて金の目を揺らす。
 而して青髪の娘には、自身が傷つくことへの忌避感はなく、敵対者が血を流すことは自然のことで、そして知らぬ他人の傷つくことは、それこそどうでも良いことだ。それでは何故、気が進まぬか……
「弱い者イジメはダメなんだよね」
これである。ヴィリヤには別に挑発する意図はないが、敵にしてみれば煽られている以外の何物にも聞こえない。激昂した様子で杖を差し向けるそれらに対し、ヴィリヤはもうひとしきり悩んだ後に、こう結論づけた。
「でも、弱肉強食って言葉もあるから殴っても良いよね」
弱い者を守るべきとする言葉と、弱い者は食われて当然とする言葉は、いずれも常識として人の世に存在するものである。都合の良い真実を選び取るのも人の上手な生き方であり、彼女もまたそうすることにし、獰猛に光る金の目を細めた。

 ヴィリヤの考えが纏まるより先に、オブリビオンたちは攻撃を開始した。炎のカーテンはすでに展開され、猟兵に向かってその身を絡めんと飛び掛かる。
「この地を構成するモノよ、その力の一端を示せ」
素早く手早く言葉を紡ぎ魔力を編み、彼女はその身に纏うように、氷の疾風を巻き起こした。激しい風に炎は吹き飛ばされ、目的の相手へは辿り着けずに散らされる。疾風はそのまま敵の中へと差し向けられ、数体のパストールを転ばせる。やはり取るに足らない、獲物でしかない。

「我らを侮るか!」
 と、声より先に伸びていたそれは、不意を突かれたヴィリヤの全身に絡みつき、そのまま身動きを封じるように拘束してしまう。それはパストールのリボン状の魔力による、ユーベルコード封じである。縛るリボンに力を加えて、無力化した猟兵を引き倒した蜥蜴は、むしろ彼こそが相手を軽侮する者の表情であった。
 蹴りでもしようか踏みでもしようかと近付いた更なる一体はしかし、ヴィリヤの不自然に伸びた影に足を差し入れた瞬間に、そのどちらの攻撃手段をも失った。
「ユーベルコード以外にも攻撃手段はあるから、気を抜いたらダメだよ?」
黒い影は、彼女の中にあるUDC・月輪である。足を捥がれたパストールは笑みを見せる猟兵と同様に床に伏し、憎々しげに睨みながら――残った部分も残さず食べられてしまった。

 近付くは下策と判じたパストールたちは、依然満足に身動きできないヴィリヤに向けて新たに炎のカーテンを放つ。這う影だけでは妨げ切れない熱量はそのまま彼女に降りかかり、今度こそその身体を焼くこととなった。纏う火炎を振り払うことができない猟兵は、それを無視して影を走らせ、別の蜥蜴を食い散らかす。もはやノーガードの削り合いである。
 状況を変えたのはベリオノーラ、彼女の放つ光鳥だった。傷つく者を癒すために多く展開していた彼らは、消耗するヴィリヤに取り付いてはその被害を繕っていく。燃え盛る炎を相手に、無論それでは埒があかず、無論それでは済ませない。
「この小さな願い、どうか届いてください!」
 光を介した眩いばかりの白い心は、ヴィリヤの身体を覆う火も、縛るリボンも消し去って、万全の状態を取り戻させる。そのために受ける自らの消耗や苦痛を顧みることなく、ベリオノーラは誰かの苦痛を癒やし、除く。たとえその身に纏ったローブによって姿を隠し気配を消していようとも、たとえ敵に対し刃を向け弓を曳くことがなかろうとも。彼女の身には痛みも苦しみも降り注ぎ、而して耐えながら引かず立つそれは、紛れもなくベリオノーラの戦いであろう。フードの下から覗くその目に、もはや躊躇う揺らぎはなく、傷つく仲間を確と見据えている。

 そうして気配を消していても、それは全く存在を消しているわけではなく、認識されてしまえば狙いを定められることもあるだろう。何体かのパストールはベリオノーラの存在に気付き、攻撃の矛先を向けようとする。癒しのそれとは異なるダメージを覚悟する彼女に、しかしそれが訪れることはなく。
「気を抜いたらダメだってば」
 敵が何者かを召喚するより先に、その手の刃を引き走らせて、鱗の肌を切り裂くのは、縛より放たれたヴィリヤである。目にも止まらぬ速度で駆けては獲物の白に朱を引きて、傷を受けても物ともせずに、蛇腹の剣を伸ばして貫き、近くに遠くにある敵を、次々撃ちてはかき乱す。
 寿を削っては殺し尽くす娘と、魂を削っては癒しを与える娘と――似たるか違なるかは微妙なところかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

大神・るり
【大神・しおん(f01306)と同行】

戦闘は得意じゃないし、おねーちゃんの少し後ろに着いて、サポートみたいな感じでやろうかな。できる事ならば何もせずともおねーちゃんが全て終わらせてくれるのが理想だけど。
まぁ、まずは『禁じ手の特製薬』でワタシ自身をつよつよにするんだよ。

今回の戦闘でメインでする事は周りを見ておねーちゃんの死角から攻撃する敵がいないかを目視と、『絶望の福音』で確認。おねーちゃんに適宜報告。
そして、その敵に対して後方から『突然の不意打ち』を使って攻撃。毒で怯ませて攻撃を防げたらいいね。

……そういえばワタシを狙う敵について全然考えてなかったんだよ。まぁ、何とかなるかな。

アドリブ大歓迎


大神・しおん
【大神るり(f02010)と同行】
「るり。サクッと、やりましょうか」
抱えていた妹を降ろして、戦闘へ

「あらあら、汚れは掃除しないと…ねぇ?」
仮面を付け『葬事人』で姿を変えて能力強化
「…るり。援護は任せるわ。上手く合わせて頂戴?」
自身は前出て攪乱も交えつつ、戦闘
攻撃は『窮追の一連』で一撃見舞う毎に敵の急所を見極めていく
全て同様の敵でなら急所も同じと予想
急所がしっかりとわかれば多少、数がいてもなんとかなるはず
「貴方たちの咎を断つまで、終わりませんから…覚悟してください」
多数の『暗器』を駆使してうまく立ち回る

るりへと攻撃をする敵がいれば優先して狙う
「私を見ていないと、死にますよ…?」

絡み、アドリブ歓迎



●掃除か料理か
「あらあら、汚れは掃除しないと…ねぇ?」
 戦端の開かれた部屋の入口近くで、既に敵前にある上で、しおんは丁寧に、抱えていたるりを降ろした。担がれたままに、オブリビオンとは言え大勢の視線に晒されるのは些か恥ずかしくはありそうなものだが、幸いるりにとってはそれほど気にすることでもないらしい。自分が動かず労せずに、面倒ごとが解決するならそれに越したことはないに決まっている。願わくは、このまま何もせずに、姉が全て倒して終わらせてくれれば一番楽で良いのだけれど……
「…るり。援護は任せるわ。上手く合わせて頂戴?」
どうやらそういうわけにも行かないらしい。妹はやはり億劫そうに、仮面を着ける姉の言に随うために、その懐より薬瓶をひとつ取り出し、意を決したような表情でぐいと呷った。

 しおんの仮面は、彼女を『葬事人』へとなす。得意とする暗器の扱いを更に鋭く強く、自身の動きも軽く疾くするものである。言葉通りに目にも留まらぬ速度で敵中を駆けた――翔けたしおんを、目で追えたパストールは何体いただろうか。出来る出来ぬに関わることなく、疾駆を止めた葬事人が竹箒を抱えて振り返ると、三体のそれがあるいは倒れ、あるいは蹲った。
 脚を裂かれた者は鱗の剥がれた傷口を押さえて呻き、首を斬られた者はばっくりと開いた裂け目とぱくぱくと開閉する口内の赤を晒しながら倒れ、腹を割られた者はそこからほとんど両断されて消失した。鱗の厚みや有無のせいか、どうやら刃の通りやすさに差異があるらしい。この場合は、容易く割られた腹部か、頸部か。
「貴方たちの咎を断つまで、終わりませんから…覚悟してください」
そんな彼らの急所への推察を実証するべく、しおんは再び竹箒の仕込み刀を抜きながら、蜥蜴の群れへと躍り込む。

 姉の背を見るるりもまた、先の薬によって自身を強化している。自家製の色々と怪しいその薬は、自ら禁じ手とする程度には、怪しい。それでも効果の程は折り紙付きなので、やむを得ない状況においては使用を解禁することになるのだが。
「本当は使いたくはないんだよ。終わった後全身筋肉痛になるから」
やはり、本当に本当に億劫そうに言うが、当然命には代えられない。戦闘を得意としない彼女にとっては、大事な生命線なのである。
 とはいっても戦闘を得意とはしていないし自覚もあるので、多勢を相手取る姉のサポートを主に担うことにしている。いかなしおんとて背後に目と手は持ちえないので、注意を払うのが自分の役目だ。
「後ろ」
 淡々とした短い一言に反応したしおんは、背後に向けて飛針を放つ。厳密には裁縫具の“待針”であるのだが――暗器として用意され、使用されたのであれば飛針で良かろう。それは過たずに標的の赤い目を捉え、痛みに怯ませ悶えさせることとなった。刺した姉はこれといった感動も見せずに眼前の敵へと向き直り、伝えた妹は差し迫った危険ではなくなったそれを意識から追い出して別の脅威へと警戒を向ける。強化された動体視力によりたった今の一瞬から、ユーベルコードの予測能力によりしばらく先の未来まで、迫る危険に隙なく備え。

 それからしばらく、しおんに避ける方向を伝えたり反撃する先を提案したり、るりは正確に的確にサポートを続けていた。迫り合いによって姉の手が止まっていれば、るり自身も袖に仕込んだ暗器より矢を放ち、塗布された神経毒によりその身体の自由を奪ってやりもする。
 個体差により僅かに違う鱗の分布や、それに付随する急所の違いにいくらか手を焼くしおんの支援として、不意打ちの一矢を放つ数も少なくはなく、いくらもすれば出所も知れ、遂にパストールの何体かがるりをも攻撃対象として杖を差し向けることとなった。
「……そういえばワタシを狙う敵について全然考えてなかったんだよ」
実際に窮地に立ってから、自身の危うさに気付いてしまったるり。確かに身体能力は高まってはいるが、術士であるオブリビオンの数体から避ける隙もないほどの集中砲火を受ければ、結果は火を見るより明らかである。噂をすればというわけではないが、彼らの口からは火により編まれたカーテンを召喚するための術式が紡がれ……
「まぁ、何とかなるかな」
しかしそんな絶体絶命の状態にあって、るりは悲嘆に暮れるでも打開策を懸命に練るでもなく、実に落ち着いたものである。だって『何とかなる』のだから。

 結局彼らの召喚術式は、成るより先にその身とともに寸断された。切り抜けながら駆けつけて、るりと敵との間に立つは、刃に血潮を滴らす、仮面の女の姿である。急所と習性への緻密な認識をさらに深めた葬事人は、遂には呼吸をするようにパストールを屠るようになっている。
「私を見ていないと、死にますよ…?」
 威圧感たっぷりな彼女の背に、安心感を覚えているのはその妹だけだろう。窮地であってもしおんがいれば何とかなるのだ、と。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シリン・カービン
物陰で邸内の大騒ぎに苦笑しつつ、
「まあ、後れを取ることは無いでしょう」
室内の戦闘は任せて後顧の憂いを断つことにします。

混乱に紛れて脱出を図る輩がいないか、室外から中の様子を監視。
動きが有れば先立って調査しておいた退路に先回りします。

パストールは屋敷の人間に不法侵入者の襲撃を訴え、
あわよくば彼らを盾として私たちに迫るかもしれません。
ここは一つ、馬脚を現してもらいましょう。

救けを求めて使用人に近づくパストールの前に立ち塞がります。
「あなたはこの善良な人々を騙していたのですね?」
リボンよりも早く、問いと共に影を放ってパストールを拘束。
嘘を吐けば影が締め上げ、真実を語るのならば眉間を撃ち抜きます。



●埒外
 影に忍んで侵入を果たしたシリンは、邸内のその喧噪に苦笑を漏らしていた。幾人かは見つからないように探索し、安全な経路の確保を行っていたのだが、最終的は上を下への大騒ぎ。駆け回る機械鶏やイキリ散らす人造人間や、それを追いまわす衛兵たちや……もはや一人くらいの侵入者などはそう気にされることもないのではないか、などと思える程にはめちゃくちゃである。
 もちろん潜入行が無駄になったわけではない。騒ぎとなる前に奥深く潜り込んだ者は、今なお存在を認識されないままであり、見つかるまでは殆どの制約もなく行動することが可能だ。そしてシリンには、自分の意志で姿を見せない限りは発覚しないだけの技術と自信がある。
「まあ、後れを取ることは無いでしょう」
 パストールと猟兵たちの戦況を隠れたままにしばらく観察し、見極める。大勢が決したなどとはさすがに言えないが、猟兵側がコントロールを掌握しているのは間違いない。それならば、敢えて姿を現して乱戦に加わることもないだろう。そうして、信じて任せられそうな仲間より離れ、シリンは自身の持ち場にて、改めて警戒の目を光らせる。
 すると――案の定、乱戦の中を潜り、這いて抜けたる蜥蜴が一匹。備えの功を奏したことに喜ぶでもなく、備えを実行に移す手間に憂うでもなく、狩人はいつも通りの様子で、オブリビオンの退路の先へと向かった。逃げる先は、追い込む先であり。

 逃げ道は、屋敷においては生活区域の中である。使用人と遭遇したパストールは、驚いた顔の彼女に正体が露見したかと内心歯噛みするが、しかし。
「ど、どうされましたか、何かこちらの不手際でも……」
幻術は依然効いているようで、焦る様子は同じく慌てた客人を見れば当然と言えるだけの反応であった。胸を撫でおろしつつ声を掛けようとしたところで
「あなたはこの善良な人々を騙していたのですね?」
振り返れば、一瞬の安堵は吹き飛んでしまった。冷たい表情の狩猟者が、獲物を見つめ、捉えていた。
「な、何を馬鹿な、お、私は……」
 言い訳を考え、奇襲を考え、打開策を考える。その逡巡こそが間違いであった。問いながら既に伸ばされていたユーベルコードの影は、オブリビオンに巻き付いて、偽りを述べようとするその身体を締め付ける。その効果は、屋敷の使用人の前で自らの罪を告白するまで終わることはない。

 結局その蜥蜴は、責め苦を耐え抜くことはできなかった。観念し、項垂れながら姿と真実を晒し、シリンによって眉間を正確に撃ち抜かれた。これで戦闘が終わるころには、隣で小さく悲鳴を上げた使用人の口から、スムーズに事件の真相が邸内に広まっていることだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

木元・杏
【かんさつにっき】

貴方達が諸悪の根源
地味にじわじわと影響力を浸透させるという手段、ちょっと好き
でも、今回の貴方達は駄目
何故なら、美味しいが沢山並ぶ定例のお茶会を開けなくしたから
許すまじ

……と、お正月太りした小太刀が言ってる
わ、わたしは食に執着などもお正月に少しふくよかになったとかもなかったから
よし、倒そう!

ん、UC…
はっ、リボン!?
一瞬の隙にリボンでぐるぐるに巻かれ

くっ…、締められると最近少しむにっとした二の腕などがこう…(むむ)

睨むところに思い切りぐるんと反動が
あーーれーー
(くるくる花魁の帯回しのように)

小太刀ナイスアシスト
改めて【鎌鼬】、そしてうさみん☆、目潰し

乙女の秘密を暴いた、許すまじ


木元・祭莉
【かんさつにっき】だよ。

たのもー!
あ、トカゲさんだね。
……カワイイ、かも?(爬虫類は好きな部類)

あー、あんまり暴れたらお部屋がー。
この後のお茶会のときに困るでしょー?
もう少し気を付けて暴れてよね!(ぷんすか)

アンちゃんとコダちゃんは、仲良く「あ~れ~」ごっこやってるから、大丈夫だね。
じゃあ、オジサン。行こっか?
くるりと回って、舞扇を構え。

わわ、虫とトカゲが出た!
……カッコイイ、かも!(昆虫も好きな部類)
わぁい、と捕まえようとしたら、ふわっと消えた。

なぁんだ、幻影だったんだねー♪
おいらとお揃い!
おいらのは、ちゃんと当たると痛いんだけどね♪(舞扇を投げる!)

ん、ふっくらしてる方がカワイイよー♪


鈍・小太刀
【かんさつにっき】

言ってないし!
太ってないし!
八つ当たりぎみに刀でトカゲざくざく

炎のカーテン
お魚さん達呼ぶと焼魚になっちゃう?
でもオジサンなら霊だし安心安心
という事で宜しく!
あれ?今日は珍しく不満顔ね
部屋でネット見ながら寛いでたのにって?
アンタも引き籠りかい!?

まあまあ、コイツら倒したら
お茶会でお団子…じゃなくても
美味しいもの食べられそうだし
頑張れー!

祭莉んと一緒に槍と炎で奮戦するオジサン
あ、トカゲの黒焼き
魔法薬学の教科書で見た事ある!

杏がぐるぐる巻きに
…これは!?
脳裏を過るどっかの鬼
リボンの端をえいと引っ張り
合言葉は勿論
『よいではないか♪よいではないか♪』

ふう、後はよろしくー!(やり遂げた顔



●わっちゃわっちゃ
「たのもー!」
 邸内をさんざっぱら引っ搔き回した少年・祭莉たちが扉を潜った頃にはもはや大乱戦の激戦であった。逃げ腰及び腰の敵も見受けられるような有様で。
「……カワイイ、かも?」
元来小さな蜥蜴は臆病なもので、男子にしてみれば捕らえて遊ぶ愛玩動物であり、獣であれば良質な蛋白源である。彼らにとっては不幸であるが、興味を持って追いかけられるのは仕方のないことだろう。
 反対に、女子の中ではイメージ戦略的にはマイノリティーに当たるせいか、あまりその辺にお友達は興味を示さないようである。
「貴方達が諸悪の根源」
 びしっと指差して暴き立てるのは杏。耳を傾ける余裕のあるパストールも、有罪を疑う家人も猟兵も既に居ないのだが、けじめというやつであろう。
「地味にじわじわと影響力を浸透させるという手段、ちょっと好き。でも、今回の貴方達は駄目」
何が悪かったのか、何が猟兵の怒りに触れたのか、何を悔い改めるべきか。悪といえども反省を促すためには言葉で語り合う必要が
「何故なら、美味しいが沢山並ぶ定例のお茶会を開けなくしたから。許すまじ」
 あ、これ違うわ。多分改悛とかじゃなくてムカついて殴りたいだけのやつ。

「……と、お正月太りした小太刀が言ってる」
 どうやらムカついて殴りたいだけのやつは先程も何かを気にしていた鈍・小太刀であったようで
「言ってないし!太ってないし!」
既に戦線に思い切り飛び込んで、要らないことを言われたり思ったり目で語られたりする前にすべてのパストールを倒そうという魂胆でもあるのか、剣豪というより修羅の如くに並み居る敵を立っていようと倒れていようとざくざくばたばたと切り捨てる。はい言ってません太ってません。小太刀が言ってないと言うのなら、では……?
「わ、わたしは食に執着などもお正月に少しふくよかになったとかもなかったから……よし、倒そう!」
続く追及を許すまいと、杏も敵中へと飛び込んだ。

 派手に暴れれば敵からの注目を浴び、当然ながら攻撃の的となる。傍若無人に刃を振るう小太刀を目掛け、数体のパストールが炎のカーテンを展開する。刀で吹き散らすには密度も大きいし、海の仲間たちを呼べば美味しそうな焼き魚になってしまうのは目に見えている。
「という事で宜しく!」
という事で呼び出されたのは、サモニング・ガイストのユーベルコードによる古代の戦士、鎧武者の『オジサン』である。猟兵の盾になるように召喚された彼は、突然の召喚に対応しきれず、見る間に炎に巻かれてしまうが、すぐさま槍を振り回し、その拘束を脱出した。召喚者である小太刀に詰め寄るその表情は兜のために分かりにくいが、不満そうだ。
「なに? 部屋でネット見ながら寛いでたのにって? アンタも引き籠りかい!?」
いかにもしょーもない事情という風に突っ込まれたオジサンの不満顔は一層険しいものとなる。だってたまの休日の過ごし方くらい、好きにさせてほしいじゃんね。
「まあまあ、コイツら倒したらお茶会でお団子……じゃなくても美味しいもの食べられそうだし、頑張れー!」
 なんとか説得し、協力してくれる運びとなったようである。改めて槍を振り回し、びしっと決める鎧武者。彼の好物のお団子がテーブルに上がらないであろうことは――黙っておいた方が良いのだろう。
 そこにくるりと宙を回って、舞扇を構えた祭莉が降り立つ。大きな鎧と背を合わせ、不敵に笑って敵を示し
「じゃあ、オジサン。行こっか?」
 息を合わせて駆け出した。

 一方では杏も、オブリビオンのユーベルコードの攻撃に曝されていた。こちらは炎のカーテンのように強い光や熱を伴わず、不意を突かれる形での攻撃を受けたらしい。
「はっ、リボン!?」
自らのユーベルコードによる攻撃が不発となり、訝しんだ彼女の腕には魔力で編まれたそれが絡みついていた。
「くっ……締められると最近少しむにっとした二の腕などがこう……」
力によって跳ねのけようにも、少女の細腕だけでは限界がある。むにっと締め付けられるままに、眉間に皺を寄せる杏。冬の食い溜めの成果はやはり、隠し果せるものではなく――
「……これは!?」
少女のピンチに、小太刀がはっとする。ぐるぐると帯状のもので巻かれたその姿に、脳裏に過るその光景……そう。
「よいではないか♪よいではないか♪」
「あーーれーー」
 アレである。悪ふざけにしか見えないが、歴とした戦闘行動であり、とても効率の良いリボンの剝がし方とも言える。すぐさま平衡を取り戻して立ち直し、小太刀に向かってサムズアップした杏は、再びパストールたちをきっと睨みつけた。
「乙女の秘密を暴いた、許すまじ」
どんな秘密を暴かれたのかは分からないが、おかんむりの様子である。一緒になって小太刀もすらりと刃を向けるが、どういう理由かは分からない。
「ん、ふっくらしてる方がカワイイよー♪」
という少年の言葉も、聞こえては居なさそうにも見えるし、もしかしたら何も言わず、触れない方が良いようなアレかもしれない。果敢にも煽るように肩を竦めて首を横に振っている鎧武者の姿は……果たして、見えているのだろうか……

「わわ、虫とトカゲが出た!」
 祭莉の方にももちろんのこと、パストールの攻撃は襲う。その眼前には彼の言葉の通り、無数にびっしりと、蜥蜴や虫が不意に現れる。視界を埋め尽くすようにして蠢き這い回るそれに、祭莉は。
「……カッコイイ、かも!」
シデムシオサムシゴミムシなりとも、見る人が見ればカッコイイものである。テンション上がって捕まえようとしたところでしかし、それらはふわっと消えた。敵のユーベルコードによる、幻影である。
 なぁんだ、と言いかけたところで、顔を上げればまた別の攻撃が猟兵の眼前へと迫っていた。幻影は所詮時間稼ぎであり、パストールはまだ複数おり、そして本命の炎のカーテンは、巧みに隠されていた。
 驚きの声を上げつつ転がり退がった少年は、幸いにも全身を包まれることはなかったが、毛並みを縮れ焦げさせる程には熱の影響を受け、それなりのダメージを負ってしまったようだ。姿勢を立て直す前のここぞとばかりの追撃は、鎧武者の霊の放つ炎によって吹き散らされて相殺される。その間になんとか立ち上がると、怒りを奮い立たせつつ、隙を突いては果敢に敵中へ飛び込んで。
「もう少し気を付けて暴れてよね!」
 お茶会で部屋を使う際に、損傷が激しいと支障が出るであろうことを心配しているらしい。注意を述べつつも速やかに、舞扇の投擲によるユーベルコードの行使によって、残った敵を叩いていく。
 焼け焦げよりも爆破による損傷の方が誤魔化しの効かない致命打であることは、きっと告げるべきではないのだろう。そして、お茶会は敷地内でも屋外の、庭園において行われるのだということは、先に知らせておくが良かったのかは、微妙なところであるか……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『楽しいお茶会』

POW   :    会場準備の力仕事

SPD   :    料理や給仕等のお仕事

WIZ   :    歌を唄ったり踊ったりそれ以外にも出し物したり

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵たちの活躍により、屋敷を牛耳るオブリビオンたちを撃退し、公爵以下そこで暮らす人々も皆無事に解放された。ひと悶着の成果もあって、事件の詳細はすぐにわかり、侵入者を改めて咎め立てする者は一人もいないようである。
 ここからは祝いも兼ねてお茶会という事になるのだが……

「こっちー急いでー!」
「俺らも手伝えることありませんかー!?」
「間ーにー合ーわーなーいー!」

 別に今日でなくても良いのだが、恩人をすぐさま持て成したいという館の主の思いに応え、家人も住人も大急ぎの大慌てで準備を始めてしまったのだ。ご厚意に甘えてご招待を受けるもよし、手持無沙汰であれば準備をお手伝いするもよし、お茶会が始まってから、歓待のお礼に何か出し物をして見せるのも良いだろう。
 何にせよ、彼らが楽しみ、賑わい倒すのだけは、間違いなさそうだ。
ラハミーム・シャビィット
アドリブ大歓迎デス!

忙しくしている人達を尻目にゆっくりするのは申し訳無いデスネ…
紅茶を楽しもうと思いましたが、ボクも手伝いまショウ!

行動
ボクに出来る事と言ったら… 出来上がった料理を運ぶ事くらいデショウカ?
ボク以外の人も忙しく動いていますカラ〈第六感/聞き耳〉でぶつからない様に注意しつつ、確実に料理を〈忍び足〉でスマートに〈運搬〉シマショウ!



●鳥の手も借りよう
 折角の貴族のお茶会である。準備期間が短く慌ただしいものであるとはいえ、そして無礼講の簡単な会であるとはいえ、出される紅茶もきっと良い品物であろうと楽しむ気であったラハミームだったが。
「忙しくしている人達を尻目にゆっくりするのは申し訳無いデスネ……」
実際には準備期間が短いどころか会場も形にはなっておらず、屋敷の人も周辺の住人も、あるいは粛々と、あるいはどたばたと、いずれにしても大急ぎで動き回っては支度を頑張っているところである。こんな状態ではいかにぼんやりマイペースなラハミームであっても、ゆっくりお茶を楽しむのは難しいであろう――もしかしたら不可能ではないのかもしれないが、肝心の紅茶はちょっとやそっと待ったところで出てきそうもない。
「ボクも手伝いまショウ!」
 そんなわけで黒衣の青年は彼らの助力に一肌脱がんと、ぬっと長身を立ち上がらせた。

 とは言うものの、とりたてて料理なんかが得意というわけでもない彼が、その身体で本職を押しのけてまで調理場で腕を振るうことに、特別の能率が見込めるわけでもないのは当然のことである。猫の手も借りたいとは言っても、猫の手や鳥の手には向かないお仕事だってあるに決まっているのだ。強いてやれることを挙げるなら。
「……出来上がった料理を運ぶ事くらいデショウカ?」
 既に多くの住人たちが力を合わせて頑張っているその仕事に、ラハミームも加わると、調理の済んだ食事を両手の上に器用に乗せ、調理場より庭園へと軽快に運び始めた。
 ぱたぱたと軽くも慌てた足音を曲がり角の向こうに聞き取れば、一歩引いて体当たりを躱し、見目にも若い使用人の駆け来るがあれば、前後を問わずにひらりと避ける。彼がその上背でひょいと掲げてやれば、よっぽど意図的でもない限り、その手から叩き落とすことは難しいだろう。
 そうしてラハミームは、軽く静かに足音もなく、誰より優雅にスマートに、滑るように踊るように、それ自体を何かの演目とするかのように華麗に給仕を進めて行く。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベリオノーラ・アンフォール
みなさん、お疲れさまでした。
これで心配されていた住民の方も安心できそうですね。

お屋敷に入った時にかなり荒らしてまわってしまったので、後片付けをされている方に軽食を配ってまわりたいと思います。(手提げのバスケットに、包み紙に包まれた荒目の炒り卵とレタスとベーコンをイングリッシュマフィンで挟んだものが入っている)

私はお料理をお手伝いしている時に味見もかねて少し頂いた分で十分堪能させていただきましたし、こういうお仕事は元気が大事でしょうから、荒らしてしまったお詫びも兼ねてどうぞ召し上がってください。

あとは、疲れている方や怪我をされている方がいらっしゃったら、ユーベルコードで治療もしておきましょう。


ヴィリヤ・カヤラ
お茶会なら給仕の手伝いも出来るかな。
……そういえば気絶させた人は大丈夫だったかな?
一応、屋敷の中に気絶してる人がいるかもって伝えておこう。

惇さんが来てるなら挨拶も兼ねてお茶淹れに行こうかな。
紅茶なら淹れられるし、紅茶にラム酒を少し入れる飲み方があったから
お茶会には丁度良いかな。
他にも飲む人がいたら一緒に淹れるよ。
お酒がダメな人には紅茶だけね。
もし、お酒OKなら紅茶のカクテルにしちゃおう。

惇さんもお疲れさま。
また何か仕事があれば頑張っちゃうからね。
私も折角だから楽しんじゃおうかな。
やっぱりお茶とお菓子は楽しい気分になるし良いよね。


シリン・カービン
先刻パストールを倒した際に出会った使用人を見つけ、
声をかけます。
「先ほどは驚かせてしまい、申し訳ありません」
丁寧に頭を下げつつ、いくつか質問をします。

公爵の身体の痛みについて。
パストールの処方した薬について。

幸い大きな害のある薬では無かったようです。
公爵の篭絡は単純に幻術によるものだったのでしょう。
「これを公爵に」
自分の知る薬師の心当たりを書き付け、彼女に渡します。

お茶会の誘いは謹んで辞退しますが、
「では、これを」
彼女が運んでいた焼き菓子を一つまみいただきます。
悪戯っぽい笑みを見せると、掻き消える様にその場を去ります。

木々の間を人知れず駆ける私に気づくのは、
惇とオジサンくらいでしょうか。



●三人寄らない
「……そういえば気絶させた人は大丈夫だったかな?」
 給仕の手伝いをしていたヴィリヤは思い出したように呟いた。小さな独り言ではあったが、耳聡い猟兵にはそれを聞きとる能力を持った者も少なくはない。が、反応を示した者は少ない。視線は一瞬だけふっと逸れたのもいたが、概ねは無反応である……ヴィリヤは知らないが、結構気絶させられた者はいるのだ。

 聞きとった猟兵の中で、実際に対応を行うことにしたのはベリオノーラである。調理の手伝いをひと段落済ませると、軽く荷物を提げながら、件の被害者の大体の居場所を確認して出発する。オブリビオンたちが――と言うべきか猟兵たちがと言うべきか――荒らした邸内の片付けをしているであろう人々への労いのための見回りが目的だ。
「みなさん、お疲れさまでした」
 数人の衛兵が協力して崩れた物の片付けをしている所に行きあえば、ベリオノーラは柔らかく声を掛けて彼らの注意を引いた。作業に見合った分だけは疲れてはいるようだが、元気そうに笑顔を返すその様子に、猟兵は軽く息を吐く。住民たちの心配は払拭され、家人たちも(基本的には)大きな怪我もなく無事であり、実質的には殆どの被害もなく解決したことは、心優しい彼女にとっても喜ばしいことである。
 その安堵感は衛兵たちにも伝わっているようで、くすぐったそうに頭を掻いたり心配させたかと微かに苦笑してみたり、思い思いながらも柔らかい空気は波及しているようで。
「荒らしてしまったお詫びも兼ねてどうぞ召し上がってください」
こうなれば程よい休憩ムードである。ベリオノーラはすかさず……と言うほど慌ただしい感じでもないが、提げたバスケットから包みを取り出すと、それぞれに手渡していく。荒目の炒り卵にレタスとベーコンをイングリッシュマフィンで挟んだもの、休憩の合間にでも手軽にその場で食べられるような軽食である。礼を言ってから、もしくは礼を言いながら嬉しそうに目を輝かせて齧り付く様子は、言葉を弄さずともとても喜んでくれているのが如実に分かるものだ。配った猟兵自身もそんな彼らを眺めて微笑む。
「こういうお仕事は元気が大事でしょうから」
 確かに彼らの仕事は、今回の業務も通常業務も体力勝負、体が資本と言えるだろう。栄養のあるもの、元気の出るものを食べるのだって大事な仕事だ。そんなわけで、お手伝いの一環として、休んで食べる彼らに対し、ベリオノーラは精霊光を放ちユーベルコードを展開する。衛兵たちの小さな怪我はひっそりと癒され、その身の疲れも取り去られて行く。食べ終わる頃には仕事を始める前よりも元気になってしまったのだった。
 与えた食事に対しても、癒した力に関しても、恩に着せるようなこともなく、にっこり笑って踵を返すベリオノーラ。ユーベルコードの対価として自らに降りかかった疲労を悟らせぬよう、確かな足取りで歩き去る猟兵の放った精霊光に、衛兵の何人かは慈母の如き後光を見たことだろう。

 シリンもまた、邸内で人探しをしていた。気絶している人間ではなく、動き回っている使用人の一人であるため、探し回れば容易ではないのだが、特定の業務に従事している以上は待ち伏せることもできる。
「先ほどは驚かせてしまい、申し訳ありません」
そうして見つけた女性を、今度は驚かせないように姿を現して見せながら、猟兵は声を掛けた。頭を下げるシリンに対し、彼女は慌てたように首を振り、謝罪の無用を示す。顔を上げれば、ここからが本題である。
「処方された薬についてですが――」
いくつかの質問を投げかける。処方を受けた者の症状、薬の効能、副作用等々。幻でなく実際に服用させられたのであれば、毒性や後遺症など、深刻なダメージが尾を引く可能性もある。念のために確認しておく必要があるのは間違いないだろう。
 結論として、パストールの秘薬そのものは間違いなく対症的な薬であり、特に苦痛に対しては劇的な効果を発揮するものであったらしい。依存性や副作用もなく、屋敷の占拠はひとえに話術と幻術の賜物であったようだ。
 残念ながら飽くまで対症薬、能書き通りは一時だけであり、原因が取り除かれなければ患者はまた同様の苦痛に苛まれることになる。一度は救われた分、その負担は大変なものであることは想像に難くないだろう。
「これを公爵に」
 思案したシリンは何事かを紙片に書き付け、話してくれた使用人へと渡してやる。そこには彼女の知る薬師の名と居所が書かれている。この世界に拠点を置く狩人であるシリンには土地の知識も豊富にあり、その彼女の頼りとする薬師だって、当然腕は『折り紙付き』だ。
 簡単に渡された重要情報に、受け取った側は簡単に済ますわけには行かなかった。そこまでしてもらっては由緒ある屋敷に勤める者として、ただで帰すわけには行かないのが道理だろう。
「お礼に是非とも召し上がって行ってください!」
そのまま帰ろうとする猟兵は、追い縋る女性に捕まってしまった。逃れる事は容易いが、驚かせた詫びをしに来てもう一度驚かせるのも間抜けな話ではないか。
「では、これを」
 庭園について来るまでは逃すまいとする女性の持った中から、シリンは焼き菓子をひとつつまみ上げた。口に運べばなるほど良いもので、いかにもお茶に合いそうだ。
 だしぬけの行動は意表を突くに適切だったようで、使用人の彼女はやや呆気に取られている。当たった策に悪戯っぽい笑顔を見せると、力を借りるいたずら妖精さながらに、シリンは掻き消えるようにいなくなった。
「お疲れ様です」
 と角の向こうから現れたベリオノーラが労いの声を掛けたときには、女性が一人できょろきょろと、不思議そうな顔をしているばかりであった。

「惇さんもお疲れさま」
 引き続き給仕の手伝いをするヴィリヤは、紅茶のポットを手にしたまま、隅の方で座るグリモア猟兵に声を掛けた。おーだかうーだか曖昧な、やる気のない音を喉から鳴らす男に紅茶を注いでやる。その途中、ひとさじ程を加えた所で、鼻をくすぐられたらしい惇は少しだけ目を輝かせ。
「酒か」
「紅茶にラム酒を少し入れる飲み方があったから、お茶会には丁度良いかなって」
香りを楽しみながらやりとりする間に用意の済んだお茶のカップを受け取ると、軽く礼を言いながら僅かに口に含む程度に流し込んだ男は、頻りに首を傾げながらその味わいを鑑賞する……というより正確には酒の気配を探していたが、結果はその風味ほどには芳しくなかったようである。
「もし、お酒OKなら紅茶のカクテルに……」
「あ、あのっ、申し訳ありませんが、お酒は……」
物足りなさそうな客へのヴィリヤの提案は、遮るようにして給仕の人間に制止されてしまった。駄目と言われれば無理に逆らうこともないが、大変な剣幕を訝しむを察したのか、目を泳がせる使用人が申し訳なさそうにもごもごと、言い淀むことには……
「公爵様のお身体が……その……」
……どうやら、公爵様は主に足が痛むらしい。惇も同情心から、ワガママは慎むことにした。

「他にも飲む人がいたら一緒に淹れるよ」
と、猟兵と住人とを問わず紅茶を淹れて回ろうと呼びかけるヴィリヤは、本当に招待側の人間のように立ち回っている。きっと今のポットの中身がなくなってしまえば、本職である屋敷の使用人たちからは、彼らの沽券のために追加分を預けてはもらえないだろう。
「また何か仕事があれば頑張っちゃうからね」
もう一度足を止めて、振り返って微笑むヴィリヤに対し、手を挙げた男はやはりひと声、間延びした返事。その視線は僅かに向こう側に焦点を結んでいるようで。
 ヴィリヤが振り返って見たところで、風に梢をそよがせる、変哲のない木立がひとつあるばかり。首を傾げて男を見ても、僅かに笑って何も言わない。
 知っているなら気付けようが、知らないならば気付くのだって難しいわけで……

 だからきっと、そこには何もなかったし、枝葉の揺れが不自然なのも、きっと気のせいなのだろう。

 だからきっと、さっきの人とは面識もなかったし、気絶させた人に似てるのも、きっと気のせいなのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

木元・杏
【かんさつにっき】
わたし、お茶会の用意を手伝う
あんなに慌てて支度をしたら、うっかりパンを焦がしたりして、美味しいが大惨事になりそう
名乗り出て、指示に従ってお手伝い
だって、おもてなししてくれる側の主役は貴方達だから
ん、うさみみメイドさん達も手伝って?

用意が出来たら、有難くおもてなしを受けてお茶会
ふふ、イチゴのスコーンにショートケーキ
手伝う中、目敏くチェックしていたものはしっかりゲット

ふむ…、ん、とほる(惇)も食べる?
山盛りのケーキを差し出し
大丈夫、余ればわたしが頂く

まつりん、小太刀、チョコケーキ美味しいね…(至福の顔)

領主さんにもご挨拶
もう騙されてはだめ。何よりも民を大切にする事こそが領主の仕事


鈍・小太刀
【かんさつにっき】

お楽しみのお茶会ね
私も料理を手伝…(オジサンに慌てて止められ
杏達に任せてテーブル用意しようって?
仕方ないなぁ、オジサンもだよ?

館の人にエプロン借りて
オジサンにも付けて
うん、これでよし!
惇兄も付けてみる?(ニヤリと笑い聞いてみる

てきぱき運ぶよー!
今こそ【宴会】技能の使いどころ
たぶん、おそらく?

用意出来たら愈々お茶会ね

苺のケーキだ!
こっちのフルーツサンドも捨てがたい
勿論どっちも食べるんだけどね♪
食べ過ぎ?
今日はいっぱい動いたから大丈夫!
それに、スイーツは別腹よ

杏!杏のチョコもあるよ

オジサンは
林檎のパイが気に入ったの?
携帯で写真取りたい?ハイハイ

いっぱい食べて楽しんで
ごちそうさま!


木元・祭莉
【かんさつにっき】でっす!

あ、お茶会準備、始まってるね!
よっし、ご近所にお披露目に行ってこよっと♪(大きなお世話)

疾走発動ー♪
歌ったり踊ったり、空中で宙返りしたりしつつ。(ちんどん)

公爵さまがご快癒なさったよー♪
みんなもお祝いしてねー♪

歌を歌いながら、周辺一帯を飛び回るね!
時々着陸して、棒術パフォーマンス披露したりしつつ♪

ただいま!(すちゃ)
ん、お披露目に行ってた!(テキトー言う)

アンちゃん、お手伝いしたの? エライね♪(ナデナデ)
コダちゃん、お料理はしなかったんだ? エライ!(ナデナデ)

おいらはオジサンと惇兄ちゃんと一緒に、ご馳走食べる!
わーい、いただきまーす!

ご近所さんもお祝いしてるかな?



●別腹も腹
「シリンがいた? 見間違いじゃないの」
 そんな、オジサンこと鎧武者の霊の証言を、召喚者である小太刀は一蹴する。来ていないはずの人が居るはずもないし、オジサンはどちらかと言えば化かす方だろう。そんなことより今は忙しい準備の時間である。いつまでも首を捻っているわけにもいかないのだ。
「私も料理を手伝……え? 杏達に任せてテーブル用意しようって?」
少女の発言に、鎧武者の方もいよいよ首を捻っていられなくなったらしく、慌てた様子で待ったを掛けた。もっともらしい理由に頷くと、小太刀は霊体を引き連れて、準備に当たって一度調理場の方へと向かう。

「うん、これでよし!」
 かくして少女の前面には、屋敷の使用人たちと同様のエプロンが装着された。見目にもそれなりに拘られたそれは、小太刀の姿を可憐に引き立てる。
 そして鎧武者の前面にも、召喚した少女の物と同様のエプロンが装着された。清楚可憐な雰囲気を備え持つそれは、オジサンの姿を歪にぶち壊す。なんで着せたの。
「てきぱき運ぶよー!」
 やる気も充分に元気な声でひとつ唱えれば、あとは手際も見事なものだ。両手に器用にトレイを載せて、他の給仕の間を縫って、危なげもなく飛び回る。オジサンの方でも巨体を浮かせ、人との干渉を避けながら、縦横無尽の配膳を見せる。それはまさに、宴会の備えに見事に特化された、ライトスキル、ライトスタッフであると言えるだろう。だから決して、厨房では作業させるべきではないのだ。たぶん、おそらく。
「惇兄もエプロン付けてみる?」
「けッ」
 側を通り過ぎざまにニヤリと悪戯っぽく笑う小太刀へ、問われた男は吐き捨てるような却下の一音を発したのだった。

 こちらは小太刀に任されて調理場に立つ杏。ユーベルコードで小さなうさみみメイドたちを操って、家人の指示に従い人手の問題を見事にカバーしている。もちろん杏自身の手も員数として活躍している。
 これによって最低限の作業ペースは保証され、皆の心にも余裕が生まれ、極端に張り詰めた空気は幾分か緩和されているようだ。
「あんなに慌てて支度をしたら、うっかりパンを焦がしたりして、美味しいが大惨事になりそう」
そして飽くまで食べ物ファーストの杏。ブレない。
「だって、おもてなししてくれる側の主役は貴方達だから」
 猟兵が活躍しすぎても家人の立つ瀬がないし、彼らの主人の名誉にとってもあまり嬉しいことではないだろう。とはいえおいしい料理にありつけなくては杏にとっても嬉しくないし……だから杏はお手伝いなのである。猟兵である自分たちが主役であるのは持て成される席であるべきで、調理場においては彼らが主役で自分は脇役。だから彼女もうさみみメイドたちも、ただお手伝いを頑張るのだ。
「これは絶対食べたい……あ、これも……」
 ただしリサーチには余念がない。ブレない。

 こちらもブレないハイテンション、祭莉。解決の達成感やら美味しい物への期待やらで、今にも駆け出したいような様子。
 しかし給仕の間を駆け回っては事故の元になりかねないし、調理場でなんてもっての外だ。そんな風船のように膨らみ続けるワクワク感の放出先は。
「よっし、ご近所にお披露目に行ってこよっと♪」
という具合に、子どもは庭を飛び出した。

「公爵さまがご快癒なさったよー♪みんなもお祝いしてねー♪」
 小さな身体に大きな声で、ユーベルコードまで行使して、白い炎に身を輝かせながら歌ったり踊ったり宙を回ったり。賑々しく騒ぎ立てながら、祭莉は一帯を疾走する。
「……ご快癒?」
怪訝な顔をしたり、首を傾げたりする住人もいくらかあった。実際のところ病気や怪我による蟄居であるという触れは出ていないため、彼らにしてみれば青天の霹靂とも言えようが、祭莉はハイテンションに賑やかに、棒術のパフォーマンスなんかも交えながら、精一杯に喧伝していった。

「ただいま!」
 と祭莉が元気に帰ってきた時には、杏も小太刀も準備の手伝いを終えて、持て成される側として庭園に立っている所であった。
「アンちゃん、お手伝いしたの? エライね♪」
頭を撫でられれば得意げな杏。兄も行き先を問われれば
「ん、お披露目に行ってた!」
ということで、お返しに頭を撫でられて擽ったそうに笑い。そして最後に
「コダちゃん、お料理はしなかったんだ? エライ!」
頭を撫でればやはり嬉しそう「どういう意味よ!?」ではない。そういう意味か。
 それはともかく、これを楽しみに頑張ったようなものである。それぞれが思い思いに美味しそうなラインナップに目を輝かせ、どれにしようかと悩んでいる。
「苺のケーキだ!でもこっちのフルーツサンドも捨てがたい……」
 悩む小太刀の両手には、悩むと言いつつそれぞれの器がしっかと握られている。択一という次元ではないらしい。
「ふふ、イチゴのスコーンにショートケーキ」
 杏も負けじと、見当をつけておいた目ぼしい物は早々に獲得し、さらにどんどんと気になる物を積み上げていく。いかなお菓子と言えど、多くなれば当然相応に重量を増していくはずであるのだが、これも怪力技能の為せる業か――

 女子二人をしり目に、糖分より蛋白質が今は欲しい少年は、より血肉になりやすそうな物をがつがつと食べている。食べ盛りの少年のそばには惇と霊体の鎧武者。どちらも質量は大きく圧迫感はそれなりであるが、彼はそんなことを気にしてはいないようだ。美味しそうに楽しそうに食べている。ちなみにオジサンはお団子が見当たらなかったことに肩を落としてしょんぼりしており、惇は一杯の紅茶をちびちびと傾けながら眺めているばかりである。
「ふむ……ん、惇も食べる?」
 再び兄妹が合流した時には、杏の手には山と積まれたケーキがあった。それとついでに、口の中にもすでにいくらか、きっとお腹の中にもいくらか。差し出された山に一瞬顔を引き攣らせた男の、抱いたであろう懸念を払拭するために、さらに一言。
「大丈夫、余ればわたしが頂く」
それでも表情に安心が見て取れなかったのは何故かはわからない。
「わーい、いただきまーす!」
「杏!杏のチョコもあるよ!」
「まつりん、小太刀、チョコケーキ美味しいね……」
 分け合いあるいは取り合って、喧しく甘い物を食べまくる少年少女たち。その表情は楽しげだったり至福に震えていたり。
「オジサンは林檎のパイが気に入ったの? 携帯で写真取りたい?ハイハイ」
 少年でも少女でもないモノも元気を取り戻し、映える写真に挑戦している。生き生きしている。死んでるはずなんだけど。
「……正月太りはもォ良いのか」
 頬杖を突いて遠くを見たままに、男が一言ぼそりと言う。
「きょ、今日はいっぱい動いたから大丈夫! それに、スイーツは別腹よ」
 今日の分を消費しても、負債があるなら差し引きマイナス――否、差し引きプラスであるはずなのだが――まあ、きっと計算は合うのだろう。恐らく。少女の一瞬の『ぴくり』という反応は、気付かないことにしておくべきなのだろう。きっと。

 充分に、散々に、食べて飲んで楽しんで。杏は主催たる領主に対しても挨拶をすることにしていた。信望の篤いその人の前には、多くが言葉を交わすために並び待っており、対面すれば笑顔で挨拶を交わしている姿が遠目にも見えた。ふと振り返ると、杏の背後にもすぐに数人が待っているようで。
 猟兵の番になれば、公爵なる者は穏やかに笑い、丁寧に一礼をする。貴人なれども相手が恩人である以上、礼を尽くそうという事であるらしい。杏もそれに礼を返し、言葉を投げかけ。
「もう騙されてはだめ。何よりも民を大切にする事こそが領主の仕事」
 その言葉は、領主を取り巻く人や、やはり挨拶のために並ぶ人をざわつかせた。理由は分からないまま姿が見えなくなっていた彼が、騙されていたのだと少女は言うのだ。真偽はともかく穏やかではない。
 周囲の視線は、突然の糾弾に緊張の含まれることになるが、屋敷の主人が苦笑しながら軽く手を挙げると、それは僅かに柔らかくなり。
「ご忠言痛み入るよ、お嬢さん。今後とも皆のために力を尽くすと誓おう」
 柔和な笑みでの宣言に、領民たちは拍手を送る。杏も頷き、満足そうに。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

大神・しおん
【大神るり(f02010)と同行】
・SPD
「準備、忙しないわね…手伝ってこようかしら」
軽く袖をまくって

得意な料理をテキパキと進めていく
ある程度、品目が揃ってきたらふと気づく
「そういえばるりの姿を見てないような…?」
気配を探し、感じた方向へ『守護の一躍』を使う
その場にいた猫を見て、姉的な直感から「るり」と判断
「…私の眼は誤魔化せないわよ?」
「でも、今回はお小言なし。頑張ったものね?」
こっそり持ってきた料理を差し出す
「一緒に食べましょ? …そういえば、その姿でも食べ物は普通で大丈夫なのかしら?」

人気のないところで二人でゆったりと過ごす
場合によっては、あーんとして食べさせたりする

アドリブ・絡み歓迎


大神・るり
【大神・しおん(f01306)と同行】

【心情】
疲れた、そして全身が痛い……。
そもそも、騒がしい場所は好きじゃない。
かといって何か手伝うとかもめんどくさい。
でも、何もしてないとおねーちゃんにやる事ないなら手伝いなさいって言われるだろうからね。
となるとする事は一つ。
そう、サボりしかないんだよ。

【行動】
する事はただ一つ。このワタシが作り出した薬『キャっと分かる!ネコの気持ち』を使ってネコになる。
そして人気の少ない場所に行ってのんびりと過ごす。それがワタシのプランだよ。

この感じはおねーちゃんにバレてるね。……こういう時の答えは一つ、逃げるが勝ちなんだよ!
ってアレ?怒られない?

アドリブ大歓迎



●それぞれに、お疲れさま
「準備、忙しないわね…手伝ってこようかしら」
 大神・しおんもまた、幾人かの猟兵と肩を並べて家人たちの手伝いをするべく袖をまくっていた。アパートメントの管理人、大家の彼女にとって、家事一般はお手の物であり、その中には料理も含まれている。その腕前も見事なもので、厨房に立ってテキパキと、見事な手際で求められる料理のいくつもを並行して進めて行く。勤続の比較的浅い者なら、屋敷に勤める本業の料理番ですらも舌を巻くほどである。
 そうして次々と皿を仕上げ、次々と給仕の使用人に持たせ、それなりに作業も追い付いて屋敷の人間の手だけに返して任せられるくらいになった所で。
「そういえばるりの姿を見てないような……?」
 調理場を見渡したところで見当たらないし、出入りする給仕の人間の中にも見つからない。一体どこに行ったのかしらと首を傾げて気配を探し。

(疲れた、そして全身が痛い……)
 大神・るりが戦闘において使った薬は、彼女の身体に劇的な効果を及ぼすものであった。その力は先の通り、戦闘そのものがあまり得意ではない彼女をもってして、姉の後方支援を確実に務め上げさせる程のものだ。しかし劇的な効果には注釈として『良くも悪くも』という文言が付く。反動としてるりの身体には、敵の攻撃を一切受けていないにも関わらず、絶大なダメージが蓄積されているのだ。平たく言えば全身ばっきばきなのである。
 そんなフィジカル大ダメージ状態のるり、室内での研究を主な時間の使い道としているだけあって、騒がしい場所が苦手であり、お茶会の会場にしろ準備に忙しい邸内にしろ、そんな所に長居をすればメンタルの方にまで大ダメージを受けてしまうことは必定である。
 満足に仕事もできない今、無駄に顔を出しては邪魔にもなるしめんどくさいし、誰も得はしないだろう。それならば皆の為にも休んでおくのが得策で――
(となるとする事は一つ)
否、適当な言い訳や大義名分を貼り付けて自分を納得させようなどと、みっともない真似を彼女はしない。必要であれば清々しいまでに潔く
(そう、サボりしかないんだよ)
サボるのだ。
(でも、何もしてないとおねーちゃんにやる事ないなら手伝いなさいって言われるだろうからね)
 木陰でゴロゴロ寝ているるりには、隠れていなければ手伝いに駆り出されてしまうかもしれない懸念がある。暢気に構えつつも見つからないように息を潜めて――

「ここかしら」
 ――潜めていたはずの眼前に、見慣れた赤い鼻緒が現れた。聞こえた声も見えた足元も、見上げるまでもなく姉・しおんのものである。しかしまだ見つかっていないらしい。見つかっていないはず、見つからない、はず……
「……私の眼は誤魔化せないわよ?」
 見上げればその瞬間、猫の姿に化けたるりと、るりの気配を探ってユーベルコード・守護の一躍によってテレポートしてきたしおんとは、完全に目が合っていた。
(この感じはバレてるね)
 彼女自身が深夜テンションによって作り出してしまった薬『キャっと分かる!ネコの気持ち』によって肉体を猫へと変貌させ、猫のふりを決め込んでやり過ごそうとしていたるりであったが、姉的な直感は外見などに惑わされることなく、こうして妹の正体を看破してしまったらしい。
(……こういう時の答えは一つ)
覚悟を決めた猫は、痛む身体を押して立ち上がると、身を低くして跳び出した。
「逃げるが勝ちなんだよ!」
だしぬけに、不意を突いて駆け出したるり。引き離すべき相手の姿を確認してから駆け出して、逃げるべき進行方向へと視線を向ければ――引き離したい姉がにっこり笑って立っていて――
 どうやら逃げても勝てなかったらしい。猫はすぐさま足を止め、その場に座り込み沙汰を待つのだった。

「でも、今回はお小言なし。頑張ったものね?」
(ってアレ?怒られない?)
 想定外の言葉に、るりが顔を上げると、向けられたしおんの表情はやはり笑顔のままである。そしてその手元には、器に控えめに盛られた料理。調理場でしおんが自ら拵えたものを、こっそり持ってきたものである。
 妹が喧噪を苦手とすることも知っているし、どれだけ苦心して頑張ったのかも知っている。この上無理までさせることはないし、むしろゆっくりと労ってやる方が今は必要なことだろう。
「一緒に食べましょ?」
こうして、二人だけの静かな打ち上げが始められた。

「…そういえば、その姿でも食べ物は普通で大丈夫なのかしら?」
 確かに、大事なことである。人間に向けて用意された食品の中には、普通の猫にとっては有害であるものも少なくはない。それでなくとも小動物、塩分が少し多いだけであっても大問題である。果たしてそれはどうなのか……
 とりあえず大丈夫そうなものから口に運んでやれば、体重を預けて甘えるようにしながら、与えられるままに美味しそうに食べる猫。ふっと視線を移せば、遠くの喧騒。世話を焼く者やはしゃぐ子ら、飛び回るようにして手伝いをこなしていた白い娘や黒い男も、猟兵と住民たちとの輪の中へと加わっていく。

 さりとて姉妹はそれに加わることはない。この一角だけは緩やかに時が流れるように、静かに穏やかに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月14日


挿絵イラスト