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氷沢登り

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #真田神十郎 #剣豪 #上杉謙信 #魔軍転生

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 いくつもの山が折り重なるように深まる山中。雪の踏み固められた山道よりもなお下り。春になれば雪溶けた水が流れて川となる場所。上から下にいくつもの小さな沢に分かれ大地を濡らし命を呼び込むそこを一人の男が駆け上っていた。
「くっ!」
 既に幾人かは切り捨てたもののその数は十や二十ではきくまい。いやむしろ高く山を登れば登るほどにその数が増えてきている。ならば考えられる事は多くはあるまい。
「謀か……。しかし、何故」
 しかしそのような暇があれば逃げるのが先決だろう。だがそれも長くは続かまい、刻一刻と男の命の灯火は終わりに近づこうとしていた。


「皆集まったわね」
 水元・芙実(スーパーケミカリスト・ヨーコ・f18176)が猟兵達を出迎える。
「猟書家の話は聞いているわよね? 今回みんなに行ってもらいたいのはサムライエンパイアの猟書家の対応よ」
 そう言って彼女が見せるビジョンはとある山中。そこで壮年の剣豪が凍った川の上を、川上に向かって逃げている。
「猟書家『真田神十郎』。彼はオブリビオンの【Q】でフォーミュラが生まれるまでの間、剣豪を殺してオブリビオン化して配下を増やそうとしているの」
 猟書家達が各世界の実力者達を殺し、オブリビオンにして戦力を増やそうとしているのはよく報告されている事例だ。これもまたその一環なのだろう。
「で、この猟書家の配下のヤドリガミのオブリビオンには上杉謙信が憑装されてるの。とにかく戦上手で、確実に剣豪を追い込んで殺す戦術をしているの」
 その手段とは逃げる剣豪に休ませる時間を与えないようにするために、川の分流から逐次戦力を投入すること。もう一つは真田神十郎のいる水源へと追い込むこと。
「だからまずは彼を追う追手を撃破して剣豪の安全の確保をして。相手の戦術は狭い場所で自分たちの数的優位を維持する事だから、それを覆せれば大分楽になるはずよ」
 剣豪を救出したら次は猟書家本体である。
「これを倒せば残る配下も撤退していくわ。……敵の戦術は発想力で撃破しちゃいましょう」


西灰三
いつもお世話になっています。
西灰三です。
今回はサムライエンパイアの猟書家の依頼をお送りします。

詳しい内容はオープニングの通り。
2章のリプレイの返却タイミングは状況によって変化します。ご了承ください。

それでは皆様のプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『模倣刀『偽村雨』』

POW   :    雹刃突
【呼び起こした寒気】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    怨呪流血斬
自身に【過去の被害者の怨念】をまとい、高速移動と【止血し難くなる呪い】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    氷輪布陣
【氷柱】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を凍らせて】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:ボンプラム

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セルマ・エンフィールド
上杉謙信、ですか。となるとこの戦法はあの時の戦いでも使った車懸りの陣を意識したものでしょうか。
尤も、今回の戦法は死兵あってのもののようですが。

氷柱……ですか。相手によっては有効であったのでしょうね。
撃ち落とし地形を凍らせないこともできますが、それはせず『見切り』回避していきます。わざわざ私に有利なようにしてくれるのに、邪魔をする必要もありません。

地形が凍ったなら【吹雪と歩む者】を使用、吹雪で敵の視界を阻害しつつ向上した戦闘力を活かし、「フィンブルヴェトの」銃剣での『串刺し』と『零距離射撃』で敵を倒していきます。




「上杉謙信、ですか。……となるとこの戦法はあの時の戦いでも使った車懸りの陣を意識したものでしょうか」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は雪山の合間の沢の上を走る。今回の敵兵に取り憑いているのは戦上手の上杉謙信である。彼が得意とした戦術が車懸りの陣であり、それは戦う者を次々と交代させ戦力を維持し続けるというものだ。
「尤も、今回の戦法は死兵あってのもののようですが」
 或いはそれを出させるほどに追われている剣豪の腕前が鋭いということなのかもしれないが。ともかく彼女はその剣豪とは離れたところを降りていた。いずれ彼を追うであろう敵を先んじて撃つために。
「……猟兵か」
「ええ」
 言葉はいらなかった。妖刀から放たれた鋭い氷柱が彼女に放たれる。槍のようなそれならば撃ち落とせるだろうが彼女は敢えてそれをせず回避に専念する。
「外したか。だが例え外したとしても無意味ではないぞ」
「ええ知っています。『わざわざ私に有利なようにしてくれるのに』邪魔をする必要もありません」
 突如山間を雪混じりの風、吹雪が吹き抜けていく。それは氷柱が凍てつかせた川面からも更に冷気を奪い、一陣の風となって通り過ぎていく。そして吹雪が止んだ後にはセルマの銃剣に貫かれた敵兵が倒れていた。
「………」
 セルマは念の為首筋にデリンジャーの一撃を叩き込んでから、残る敵兵を探すために更に川を吹雪と共に追っていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

政木・朱鞠
兵の水増しの為の殺しなんて不粋な策ね…。
窮鼠猫を噛む…ってわけじゃないけど狐の牙が越後の龍の喉笛に届くか試させて貰うね。
…それに、憑代になった妖刀さん達は因縁があるみたいだし…好きにはさせないよ…。

戦闘【WIZ】
ある武将のモノマネだけど…得物はリーチが長い刑場槍『葬栴檀』を構えた後、『忍法・火煙写身の術』を使用して分身を槍で敵の足を引っ叩く『甲班』と槍を頭上から振り下ろす『乙班』の組み分けして配置。
ワザと合図で甲乙タイミング良く動かし、相手がタイミングに慣れた所で不意を衝いて【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ一斉に【傷口をえぐる】【槍投げ】でダメージを与えていきたいね。

アドリブ連帯歓迎




 凍った沢と氷面から突き出す岩の上。政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)は長い槍を構えて複数の敵兵の足止めをしていた。
「兵の水増しの為の殺しなんて不粋な策ね……」
「戦場に戯れを持ち込むのは戦神と呼ばれる以上できぬのでな」
 敵兵……妖刀のヤドリガミに憑依した上杉謙信はぴたりと剣先を彼女に突きつけたまま微動だにしない。
「貴方の動かしているその刀と因縁もあるようだし、それに」
 互いに武器に込める力が強くなる。
「窮鼠猫を噛むってわけじゃないけど狐の牙が越後の龍の喉笛に届くか試させて貰うね」
 その場に炎と氷が溢れぶつかり合う。氷は敵兵の持つ氷柱の刃、そして対する炎は直様朱鞠の姿となり槍を手に数で敵兵をの足を潰そうと払い、上からは別の槍が振り下ろされる。
「無勢を多勢にて返す、確かに用兵としては充分、しかし」
 或いはどこかで見知った戦法なのだろう。彼女の本体が口笛を吹くたびに機を揃えた動きをする。
「私の前で操る術を見せたのが過ちよ」
 敵兵が繰り返される機械的な動きに合わせて氷柱を放てば分身達が次々と消えていく。
「このまま押し返させて……っ!?」
 しかしその優位こそが罠。一歩踏み込んだ彼らに一斉に槍が投げつけられる。
「合図は囮か……! 見事!」
 無数の槍の雨の前に躍り出てしまった兵たちは次々と躯の海へと還っていく。一人残った朱鞠はふうと息を吐くとその場を後にするのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
敵に正々堂々というものは通用しませんからね
配下を増やそうとするのなら、剣豪一人にも容赦はしないのでしょう
ならば、私達も数で勝負するまでのこと、ですね

視力による目視、聞き耳による人の声や戦闘音にて位置を確認
目立たないように行動をしながら倫太郎と情報を共有
私は剣豪殿の援護へ向かいます

敵の位置を捕捉
バディペットの春暁には倫太郎の術が敵に当たるよう敵に攻撃して援護
私は東雲を呼び出して騎乗し、敵を倒しながら剣豪殿の援護
向かう途中で倫太郎の術で拘束された敵には追撃
口頭または天下自在符を見せて助けに来た旨を伝える

怨念には破魔と浄化の力を刃に付与して攻撃
2回攻撃を基本とし、倫太郎と手分けして数を減らす


篝・倫太郎
【華禱】
いい加減にしろってンだ、全く……

LoreleiとHoldaを連動させて起動
敵との距離や位置、数の掌握を確実にしてから

敵の背後を取るようにして拘束術使用
射程内のすべての敵に鎖での先制攻撃と同時に拘束
ダッシュで接近して鎧
無視攻撃と鎧砕きを乗せた華焔刀でなぎ払い
刃先返して2回攻撃で範囲攻撃を仕掛ける

その間に夜彦には剣豪のフォローに回って貰う

剥がされる前に何度か拘束術を重ね掛けて
未拘束の対象を減らしてく
俺は勿論、夜彦と剣豪の死角も含めて拘束術でフォロー

敵の攻撃は見切りと残像で回避
必要なら第六感も使ってく
回避不能時はオーラ防御とジャストガードで防ぎ
武器受けから暁想でのカウンター

さっさと還んな




「いい加減にしろってンだ、全く……」
 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)が手綱を握る赤毛の馬、東雲のより腰に近い場所に寄り添うようにまたがった篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)はぼそりと呟いた。猟書家が現れてからというもの、あちこちの世界で似たような騒ぎを起こしておりそれに何度も駆り出されているのだからそれくらいの愚痴は出るのだろう。
「敵に正々堂々というものは通用しませんからね。配下を増やそうとするのなら、剣豪一人にも容赦はしないのでしょう」
 手綱を握る夜彦の前には既に刃を敵と交えている剣豪の姿があった。その様子を電子眼鏡で情報分析した倫太郎が端的に説明する。
「敵の数は5、どいつも結構腕が立つ。このままだとやばいな」
「ならば、私達も数で勝負するまでのこと、ですね」
「足りない分は……まあなんとかしようぜ」
 そのまま二人を載せた東雲は敵と剣豪を割るように駆け込んで包囲を崩す。
「助太刀いたします!」
「……かたじけない」
 倫太郎は飛び降りて見えない鎖を放ち周りの敵兵の動きを封じる。
「ここは俺に任せて離れろ、夜彦が拾ってくれる」
 鎖の効果が切れる前に痛打を与えようと倫太郎が槍で敵に痛手を与えていく。一体多数による視界外からの攻撃は狗鷲の春暁が鳴いて知らせる。その間に夜彦は後ろに剣豪を乗せ距離を取る。ある程度離れた所で夜彦は天下自在符を見せる。
「それは……! 助かり申した、この礼はいずれ」
「いえ、申し訳ありませんが首魁を倒さぬ限り逃れはできぬでしょう。この川の源の方で、また」
「成程、それを預かっている者が言うのならそういうことなのでしょうな。武運を」
「ええ、お互いに」
 夜彦と剣豪は反対方向へと向かう、剣豪は川上へ、夜彦は倫太郎が戦うその場所へ。
「お待たせしました」
「よし、さっさとこいつらを片付けて上に行こうぜ。……さっさと帰んな!」
 二人は雪と共に敵を散らしていく。ここにいるのは前座に過ぎない、敵の本丸に至るまでもう少し。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
よーぅ、謙信じゃねーか
エンパイアウォーん時は手ェ焼かされたぜ
だがまぁ、今回はあまり苦労せずに済みそうだ
憑装つっても、全盛期が帰ってくるわけじゃあない
今のお前は──あの頃よりも弱そうだ

中身が強くても、身体が劣化品じゃそんなものだ
だから俺に【先制攻撃】されるんだよ
セット、『Weakness』
ありったけの苦痛をくれてやる
目も耳も潰されて、身体の不調は幾つも重なってくる
満足に動けない身体を無理矢理動かすかい?死までの旅路が短くなるぜ

ま、見送りはしないけどな
仕事はスピーディにだ──仕留めるぜ
剣豪殿も手伝ってくれ、今じゃアイツらは藁束だ
頭をしっかり狙って、ナイフにクロスボウにショットガン
死に方は沢山あるぜ




「よーぅ、謙信じゃねーか」
 まるで旧来の友に偶然出会ったかの様子でヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)は川を登るヤドリガミ、正しくは憑装されている上杉謙信へと語りかける。
「お前はかつて何度か見えたことがあったか」
「エンパイアウォーん時は手ェ焼かされたぜ。だがまぁ、今回はあまり苦労せずに済みそうだ」
 ヴィクティムはさらりと言うと一歩前に出る・
「憑装つっても、全盛期が帰ってくるわけじゃあない。今のお前は──あの頃よりも弱そうだ」
「確かに今この手にあるのは氷の剣一本のみ、しかしそこまで油断していていいのか?」
 剣にかつて謙信が引き起こした死による怨霊が集いその身を加速させる。しかし既に仕込みは済んでいる。
「中身が強くても、身体が劣化品じゃそんなものだ、だから俺に先を越されるんだよ」
 セット、『Weakness』。仕掛けられたバッドステータスの罠が敵を包み込みあっという間に無力化していく。
「目も耳も潰されて、身体の不調は幾つも重なってくる。満足に動けない身体を無理矢理動かすかい?死までの旅路が短くなるぜ」
 聞こえない相手の前で悠々と武器を用意するヴィクティムは地に伏せながらも未だ戦う意思を捨てていない謙信達を見下ろす。
「ま、見送りはしないけどな。仕事はスピーディにだ──仕留めるぜ」
 まずはクロスボウの矢が敵の頭を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

豊水・晶
人間相手なら確実に仕留められる戦術ですね。しかし、普通でないものが相手なら簡単に瓦解させられます。そう、例えば神様とか。よそ様の領域ですがやってやれないこともないでしょう。後でお酒でも差し入れておけば許してくれます。
川に陣を敷いたのが運の尽きですね。知っていますか。水とは恐ろしいものなんですよ。一切悉くを押し流し、土地を削り取る。狭い場所なんかではより勢いが増し、周囲を削り取って開けた場所にしてしまいます。さあ、そんなところに集まって大丈夫なんでしょうか。試してみますか。
技能(神罰)(範囲攻撃)を載せてUC【オカミノゲッコウ】を使用します。
アドリブや絡みは自由にしていただいて大丈夫です。




 凍った川の上。その上を駆ける敵兵達を前に静かに佇んでいたのは豊水・晶(流れ揺蕩う水晶・f31057)。それが敵性存在と察した敵たちは直様に剣を抜く。
「あなた方のそれは人間相手なら確実に仕留められる戦術ですね。しかし、普通でないものが相手なら簡単に瓦解させられます。……そう、例えば神様とか」
 即座に近づいた敵を二振りの透き通った刃で振り払い、川に鎖を伸ばす晶は静かに呟く。
「後でお酒でも差し入れておけば許してくれます、よね」
 彼女がそう呟くと同時に凍って動かないはずの川から重い音が響き渡る。
「川に陣を敷いたのが運の尽きですね。……知っていますか。水とは恐ろしいものなんですよ」
 彼女は竜神だ。そしてその中には少なからず水神を兼ねている者が存在する。
「一切悉くを押し流し、土地を削り取る。狭い場所なんかではより勢いが増し、周囲を削り取って開けた場所にしてしまいます。さあ、そんなところに集まって大丈夫なんでしょうか。……試してみますか」
 まるで戯れのように鎖を揺らすと氷は砕かれキラキラと光りを伴ってその場にいた敵を押し流していく。
「今更ですが……水に手加減はありませんよ?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

御剣・刀也
狭い所に追い込んで休ませないか
一人で闘うには数が多いときによく使うが、今回はこれを逆手に取られたか
だがよ、お前ら、俺達を相手にするのに少数ずつかかってくるってのは、下策だぜ?

雹刃突は第六感、見切り、残像で避けて、カウンターか捨て身の一撃で斬り捨てる
勇気で攻撃が掠めても恐れず、前に出て突き進む
剣豪に追い付くまではダッシュで駆けながら邪魔な奴を通過点として捌き、追い付いたら剣豪を守り、剣豪を狙う奴を優先的に倒す
「よぉ、あんた。それなりに腕に覚えはあるんだろ?命を落とさないでくれれば良い。こういう輩の相手は慣れてるからな。とりあえず、これ以上動くのは相手の策にはまる。だから、ここで迎え討つ」


菱川・彌三八
ご丁寧に、分流より来やがるってェのも分かってやがんだ
然も狭い処で得物を振り回すときた
すんなら四方を囲むよりゃあ一体ずつ、じわりと削って行くんだろうよ
成ればこそ、だ

川に沿うなら迷うめえ
山中を先んじて剣の御仁に追いつこう
分かれ道より敵影が見えたら、其方に向けて尾と雨を撃つ
おっと、凍えるかしれねえが、ちいと旦那も巻き込ませてもらうゼ
案ずるねェ、お前ェさんにゃ恵みの雨ヨ
尾は真っ直ぐにしか行かねえが、こんねェな処にゃお誂え向きサ

万一四方から来ようとも構やしねェ
明王様の向きをぐるりと変えて、辺りを薙いじまや善い
真言じゃ足りねえってンなら陀羅尼でも唱えるかい

数相手なら任しちくんな
ちいと座って休んでも良いぜ




 川が最も広く集まる場所、そこに降りたのは御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)と菱川・彌三八(彌栄・f12195)。ここより上には分流は無く、件の剣豪が無事ならここを登って来るはずの場所である。
「狭い所に追い込んで休ませないか。一人で闘うには数が多いときによく使うが、今回はこれを逆手に取られたか」
「ご丁寧に、分流より来やがるってェのも分かってやがんだ。然も狭い処で得物を振り回すときた。すんなら四方を囲むよりゃあ一体ずつ、じわりと削って行くんだろうよ」
 しかしグリモア猟兵が二人をここに置いたのはその目算を挫く手立てが立ったということなのだろう。
「なればこそ」
「俺達を相手にするのに少数ずつかかってくるってのは、下策だぜ?」
 こちらに向かってくる剣豪、そしてそれを追う敵の数は聞いている程多くはない。まずは刀也が雪を蹴って剣豪を迎えに行く。新手を捉えた敵兵は収束した冷気を放ち彼を押し留めようとする。
「その程度で止まるか」
 彼はそれを物ともせずに剣豪の隣へと至る。そして改めて刀を抜くと口を開く。
「よぉ、あんた。それなりに腕に覚えはあるんだろ?」
「誇る程のものではないがな」
 刀也が猟兵であることを察した剣豪も振り返り剣を抜く。
「命を落とさないでくれれば良い。こういう輩の相手は慣れてるからな」
「戦乱の世も、いやお主らは未だ戦場を巡っているのであったな」
 迫る敵兵達を切り捨てながら言葉を交わす刀也と剣豪、彼らを倒すにはと機を揃えて多数で迫る敵兵、しかしその刃が届く前に敵の身に孔雀の羽根が刺さる。
「オン マユラキランテイ ソワカ」
 後方で控えていた彌三八が真言を結ぶと続いて慈雨が降り注ぐ。それは何よりここ迄駆けてきた剣豪の傷と疲労を癒す。
「これは……」
「案ずるねェ、お前ェさんにゃ恵みの雨ヨ。真言じゃ足りねえってンなら陀羅尼でも唱えるかい」
「いや、充分。痛み入る」
 彌三八の援護を受けた剣豪の剣閃は鋭く敵の胴を真横一文字に裂く。
「やるな。……ここで後腐れなく迎え撃とうぜ」
 前線で刃を振るう二人を見、彌三八はくるりと煙管を回す。
「休むのは俺の方かねェ、題目にでもさせてもらうかネ」
 次々と敵を切り捨てていく二人の姿を煙管で宙になぞるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『真田神十郎』

POW   :    不落城塞
戦場全体に、【真田家の城郭】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    神速十字斬
【両手の十字槍と妖刀による連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    侵略蔵書「真田十傑記」
自身が戦闘で瀕死になると【侵略蔵書「真田十傑記」から10人の忠臣】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。

イラスト:瓶底

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠蛇塚・レモンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 氷の川を登った果て、待ち受けるのは赤の陣、そして真田神十郎。
「雪中に沈めるつもりではあったのだが、そう簡単にはいかないか。流石謙信殿を下しただけはある」
 すっと立ち上がり槍を手にした神十郎は、これから来るであろう猟兵達を迎え撃つべく準備を整える。
「来るが良い猟兵達よ。剣豪共々この場で殺してやろうぞ!」
月舘・夜彦
【華禱】
私達は貴方に殺される為に来たのではありません
……貴方を、倒す為に来たのですからね

剣豪殿には攻撃に巻き込まれる可能性もあるので
無理に接近しないように指示

倫太郎が駆け出すのに合わせて敵へ接近
倫太郎と連携し、攻撃は幾重刃
敵からの連続攻撃にも対抗して視力と情報収集にて動きを読む
基本は武器受けと武器落としにて攻撃を弾きながら凌ぎ
防御し切れない攻撃は残像にて躱す
倫太郎と共に接近することで極力離れないようにし
負傷は激痛耐性と継戦能力にて手は止めない
幾重刃の特性を活かして少しずつ威力増幅させて攻めていく

貴方が何度現れ、何度刃を交えることになろうとも
それと同じく、貴方を倒す
……御覚悟を


篝・倫太郎
【華禱】
殺されるつもりもねぇし、殺させるつもりもねぇ
あんたにゃ、さっさと還って貰うぜ

オーラ防御を展開した状態でダッシュし接近
衝撃波と吹き飛ばしを乗せた華焔刀で先制攻撃のなぎ払い
刃先返してフェイントを混ぜつつ2回攻撃

狙われる実力である事を踏まえて
剣豪に関しては最低限のフォローを行う程度にし
戦闘に集中

また、夜彦が攻撃を当てやすいよう
出来るだけ派手に立ち回る

敵の攻撃は華焔刀で武器受けとジャストガード
受け流した攻撃から業返しのカウンター
回避しきれない場合は激痛耐性で耐えて
以降の攻撃には生命力吸収も乗せてく

間合いの維持には注意し、適正距離を保つように留意
万が一。間合いを詰められた場合は
暁想も使用して対処




「私達は貴方に殺される為に来たのではありません」
「殺されるつもりもねぇし、殺させるつもりもねぇ」
 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)が刀を抜き篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)が槍を構える。剣豪の男は刀を構えながらも手出しはできないと二人の背を見守っている。
「腹づもり一つで止められるとでも?」
「貴方を、倒す為に来たのですからね。それだけで終われるとは思っていません」
「あんたにゃ、さっさと還って貰うぜ。躯の海へな!」
 神十郎の動きが弾けて二人に近づく。神速の槍捌きが激しく閃きながら夜彦と倫太郎の刃を阻む。
「どうした。やはり口だけなのか」
「そんな訳はないだろ!」
 想像以上の速さと強さを持つ相手に初手から目論見を崩される倫太郎。同じ程度の間合いの武器であっても先に攻撃できる方が強い。ましてや夜彦の刀はなお短い。しかし防戦一方どころか着物から傷が覗いても夜彦は引かない。彼が引かないのなら盾となる倫太郎も引くわけには行かない。その機を待ちながら二人は敵の攻撃を受け続ける。
「謙信どのを下した猟兵とやらがどれほどのものかと思ったが……この程度か。終わらせる」
 神十郎が槍を今までよりもやや深めに引く、それが僅かな好機と見極めた夜彦が一歩踏み込んだ。
「そこだ……!」
「ちっ、合わせるか! だが浅い!」
 夜彦の攻撃は赤備えの上で滑り軽く甲冑に傷を付けるだけにとどまる、しかしその程度の感触で良かった。真打ちは彼ではない。
「見せもらったぜお前の技。……その身に返すぜ」
 夜彦が倒れ込み転がりながら神十郎の視界から消えると、先程見せた神速の槍技を倫太郎が放つ。
「なっ、この僅かな時間で見切るとは! ぐっ!」
 続いて夜彦も横から敵を攻め押し込んでいく。
「貴方が何度現れ、何度刃を交えることになろうとも、それと同じく、貴方を倒す。……御覚悟を」
 二方向からの刃が猟書家を追い詰めていく、ここだけでは無くこれからも幾重の刃を重ねて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御剣・刀也
ようやっと大将のおでましか
ちまちま謀なんか考えてないで真っ向勝負といこうや
俺の武とお前の武、どっちが上か、尋常に勝負!

不落城塞で城郭を作り出されて離ればなれになっても、第六感で居所を探してダッシュで駆けつつ、勇気で妨害を恐れず、十勇士の妨害は見切り、残像で避けつつ神十郎のところまで向かい、捨て身の一撃で斬り捨てる
「日の本一の兵と闘えるなんて幸運、猟兵冥利につきるな。さぁ、やろうぜ。俺とお前、どちらかが力尽きるまで存分にな」




「ようやっと大将のおでましか……って思ったら城を作るか!」
 突然城内に閉じ込められた御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)が矢衾からの攻撃から身を隠しながら走る。飛び交う矢や銃弾が彼の行く道を阻む。
「ちまちま謀なんか考えてないで真っ向勝負といこうや!」
 叫んでも返事はせず、代わりに上から投石が降ってきた。立ち止まっていればそれだけダメージを受けそうだ。仕方なく彼は被害覚悟で突き進む。その度に熱した油ぶつけられたり糞尿が入った桶が降ってきたりと割と散々な目に合いながらようやく刀也は天守閣へとたどり着く。
「ようやく辿り着いたぜ……俺の武とお前の武、どっちが上か、尋常に勝負!」
「この城をその程度の傷でくぐり抜けるか。いいだろう、受けて立とう」
 この城で邪魔するものを切り捨ててきた刀を構えて刀也は神十郎に斬りかかる。
「日の本一の兵と闘えるなんて幸運、猟兵冥利につきるな。さぁ、やろうぜ。俺とお前、どちらかが力尽きるまで存分にな」
「お前が一人で力尽きるが良い」
 二つの武器が交差し、甲高い音が響き渡った。

成功 🔵​🔵​🔴​

豊水・晶
雪に沈むのはあなたですよ。これ以上オブリビオンの勢力を拡大させるわけにはいきませんし、頭の回る敵というのは厄介ですのでここで倒させていただきます。侍の最後にふさわしく一刀のもとに切り捨てて差し上げますよ。
UC【スイセン・リュウノアギト】を使用します。雪で足場が悪いので式神の藍と連携して体勢を崩させることを重点に責めていきます。




 豊水・晶(流れ揺蕩う水晶・f31057)は川の水源の上に立てられた城の中を右往左往していた。
「真正面から戦わせては貰えませんか」
 敵の手管にも多くの状況がありうる。……事前の情報収集を怠ったと言えばそれまでか。或いは彼女自身も知らぬ竜神としての驕りが眼を狂わせたのか。頭の回る敵ならばそれの扱う妖術も事前に調べる事もできたはずだ。
「……いえ、今更言っても詮無いことですね」
 彼女は鎖を伸ばし周りの状況を確認する。城が立てられているとは言えここはまだ水源の上。情報を得ることは可能であり、すぐに鎖を引き上げると矢弾降り注ぐ城の中を走り真田神十郎の姿を追う。
「まだ入り込んでいたか」
「ええ、。侍の最後にふさわしく一刀のもとに切り捨てて差し上げますよ」
「できるかな、その傷だらけの体で」
「やって見せます。藍、お願いします」
 ふわふわの使い魔と共に剣を手にした晶は一歩、踏み込んだ。その切っ先は敵を真っ直ぐに捉え離さない。まるで竜の牙のように。

成功 🔵​🔵​🔴​

セルマ・エンフィールド
本来であれば剣豪の方には逃げていて欲しいのですが、川下からはまだ先ほどのオブリビオンがくるかもしれませんしそうもいきませんか。
ならば真田神十郎と言いましたか。あなたを倒してからゆっくりと川を下らせてもらいます。

速い……!
身体能力もですが、技巧も並みではありませんね。近接もできなくはないとはいえ、まともに撃ちあうのは分が悪い。ならば……

【柳弾】を使用、脱力した状態で敢えて攻撃を受けることにより、敵の連続攻撃を無効化します。
あちらの攻撃がやんだ時がこちらのチャンスです、攻撃がやむと同時に両手でデリンジャーを『クイックドロウ』、【柳弾】で変換した弾丸を撃ち込みます。


政木・朱鞠
こちらも、剣豪達を戦の駒にされたんじゃ折角の天下泰平に綻びが出来ちゃうんだよね…。
未来を枯れさせる不粋な陰謀はここで崩させて貰うよ。
世を乱した咎の責任はキッチリと取って骸の海に帰って貰うんだからね。

戦闘【SPD】
超高速連続攻撃って所が厄介だよね…避けきれなければ大ダメージを貰うリスクは有るけど、初撃を封じるため『忍法・狐龍変化身』を使用してちょっとスピード面を強化状態で迎え撃つよ。
武器は一撃必殺より距離を取り手数の多い攻撃を優先して忍者手裏剣『鳳仙花』をチョイス、【鎧砕き】や【鎧無視攻撃】の技能を使いつつ【傷口をえぐる】【生命力吸収】の合わせで間を置かずダメージを与えたいね。

アドリブ連帯歓迎




「銃使いの足軽に透破か。猟兵とやらは余程陣容が豊富らしい」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)と政木・朱鞠(狐龍の姫忍・f00521)の姿を確かめた神十郎は槍を構える。
「本来であれば剣豪の方には逃げていて欲しいのですが、川下からはまだ先ほどのオブリビオンがくるかもしれませんしそうもいきませんか」
「こちらも、剣豪達を戦の駒にされたんじゃ折角の天下泰平に綻びが出来ちゃうんだよね……」
「ほう、こちらの策を読んでいたか。若いが相当の戦を経ていると見た」
 じりじりと近づいていくる相手とは反対方向に下がりながら間合いを取る二人。しかしいつまでもそれができるわけではない。
「ならば真田神十郎と言いましたか。あなたを倒してからゆっくりと川を下らせてもらいます」
「未来を枯れさせる不粋な陰謀はここで崩させて貰うよ。世を乱した咎の責任はキッチリと取って骸の海に帰って貰うんだからね」
「面白い、ならば力を以てそれを為すが良い!」
 新十郎は二十尺程あった距離を一気に踏み込んで神速の槍を突き出してくる。
「速い……!」
「なら私が!」
 迫る必殺の一撃を前にして疾く出たのは朱鞠、その足には青い狐火が浮いており限定的な推進力により敵の槍に力が乗り切る前に手裏剣を投げつける。
「ここで敢えて近づくか!」
「調子に乗らせると厄介だからね!」
 高速で動きながら互いの攻撃で牽制し合う神十郎と朱鞠。その立ち代わり入れ替わり目まぐるしく動く敵にセルマは照準を合わせられないでいる。少しでも敵を狙いやすいところへと彼女が足を進めた所で、神十郎は手裏剣を朱鞠に打ち返しその隙にセルマへと穂先を向ける。
「迂闊だ……!」
 その槍の一閃が閃くと同時に乾いた銃撃の音が鳴り響く。
「お返ししました。……迂闊なのは貴方のほうでしたね」
 セルマの胸には傷はなく、神十郎の甲冑には大きな弾痕があった。そしてその反対側の背中には複数の手裏剣が突き刺さる。
「自分だけが罠をかける側だと思ったら大間違いね」
「くっ……」
 二人の攻撃によって膝をつく神十郎、しかし勝利を未だ諦めてはいない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィクティム・ウィンターミュート
殺す?無理な目標を口にするのはナンセンスだと思うぜ
そもそもクルセイダーとかいう無能の従ってる時点でお前も能無しってわけ
そんなゴミみたいな本持たなきゃ何も出来ねえんだろ?
燃やして芋でも焼いてやるよ

剣豪殿、これから結構な隙が出来るから…やってやれ
大丈夫、誰も死なないし…傷一つ付かない
こんだけ【挑発】すりゃ俺を全力で殺しに来るだろう?
そう、怒涛の連続攻撃さ
それに合わせるのが──『Mercy Hand』
力が漲って最高の気分だよな?
でも残念、それは俺にダメージを与えられない
しかも途中で止められないなら…ただの隙だ
剣豪との一刀に合わせて、俺もナイフで首を斬りに行く
いつだって負けるのは、間抜けな奴なのさ


菱川・彌三八
此奴ァ壮観、画に留めておかねェと
折角だ、十傑とやらも見せてもらわにゃ
猟兵てなァ魔王より強ェ
そら、直ぐに追い込まれるゼ

時に、お侍殿ァ健勝かい
こんねェな機は早々ねェからヨ、一つ頼まれちゃくれまいか
刹那でも一人でも良い、十傑を止めつくんな
死なねェ程度に頼まァ

筆は八
数にゃちいと足りねェが、如何とでもならァ
一群は地に潜ませておく
残りは戦場の八方を駆け剣戟を惑わせ、隙一つで死角から襲い掛かる
或る時は己の盾に、或る時は散開して追い立て戦場を乱す
兵法なんざ知らねえ
雑な喧嘩はもっと場が荒れるモンだぜ

さて先の一群
乱戦に乗じて総大将を討つのが狙いよ
お前ェがくたばりゃ終ェだろう
戦なんざもう、本の中の噺なんだよ




「殺す……!」
 満身創痍の神十郎が取り出したのは『侵略蔵書「真田十傑記」』その赤い装丁の本が開かれると、侍に僧兵に忍者、そしてはては爆弾使いなる胡乱な姿の人物。それらが戯曲に出てくるような装いをして現れる。
「此奴ァ壮観、画に留めておかねェと」
 菱川・彌三八(彌栄・f12195)は大喧嘩が始まりそうな気配に口を歪ませる。これを見るために来たのだ追い込む手間は省けて美味しいところだけは持っていけそうだ。
「殺す? 無理な目標を口にするのはナンセンスだと思うぜ」
 その敵の陣容を前にしたヴィクティム・ウィンターミュート(Winter is Reborn・f01172)も余裕を崩さない。
「そもそもクルセイダーとかいう無能の従ってる時点でお前も能無しってわけ」
「俺を愚弄するか……! 行け! 十傑よ!」
 迫る敵の動きを前にした彌三八は両の手に四本ずつの絵筆を握り、刀を抜いて神十郎を警戒していた剣豪に話しかける。
「時に、お侍殿ァ健勝かい。こんねェな機は早々ねェからヨ、一つ頼まれちゃくれまいか」
「あれだな?」
「ええそうさあ。刹那でも一人でも良い、十傑を止めつくんな。死なねェ程度に頼まァ」
「任された」
「さて、と」
 既に前で何やら仕込みをしているヴィクティムの元へと剣豪を向かわせる。筆の数と合わせれば同数ではあるが。
「如何とでもならァ」
 宙に慣れた様子で筆を走らせれば生まれるのは千鳥柄。七つは空を一つは地をそれぞれ飛び回り戦場をかき乱していく。無論その中心は十傑と神十郎がいるそこだ。
「剣豪殿、これから結構な隙が出来るぜ」
 敵の中心で踊るように身を躱していたヴィクティムが傍らで刀を振るう剣豪にそう声をかけた。
「まあ見てなって」
 ヴィクティムが左腕を掲げながら無防備に踏み込んでいく、剣豪が待てと言う間もなくその体に無数の武器が突き刺さる。
「ぐはっ……なんてな?」
 しかしその体には傷一つ無い。掲げた左腕からは光が放たれてそれが敵に力を与えているように見えてもだ。
「力が漲って最高の気分だよな? でも残念、それは俺にダメージを与えられない」
 それは痛打を治癒に変換する力。エントロピーを限定的に逆転させる能力と言っていい。そしてその逆の逆はなく、飛来した千鳥達が十傑達を追い散らす。
「俺はもう少し雑な喧嘩の方が好きだがねェ」
「こういう混乱もたまにはいいだろ?」
 ほぼ無力化された十傑を前にした彌三八とヴィクティムは剣豪と共に神十郎の元へと進む。
「まだ……終わらんぞ!」
「いいや、お前ェがくたばりゃ終ェだろう」
 地を飛んでいた千鳥が不意に飛び出て神十郎の背を強かに打ち、一歩前へと踏み出させる。
「いつだって負けるのは、間抜けな奴なのさ」
「然らば」
 ヴィクティムのナイフが頸を、剣豪の刀が胴を裂き神十郎の体を三つに切り分ける。力なく落とされた侵略蔵書を手にとったヴィクティムは呟いた。
「こんなゴミみたいな本持たなきゃ何も出来なかったんだろ? 燃やして芋でも焼いてやるよ」
「良いねェ、寒い時季の焼いた芋なんてのは格別よ。戦なんざもう本の中の噺なんだしよ、それがいい」
 斯くて氷沢を舞台にした大立ち回りはこうして一巻の終わりを迎えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月25日
宿敵 『真田神十郎』 を撃破!


挿絵イラスト