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魔法の箒でかっ飛ばせ!

#デビルキングワールド

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#デビルキングワールド


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「――さあ、ここまでお送りしてきたウィザードブルームレースも、ゴールまであとわずかとなりました。塊になったトップ集団を抜け出して、真っ先にゴールを切るのは一体どの選手でしょうか! これまでのシリーズでランキングトップをひた走る『こおりのあくま』は、集団に埋もれ、姿を見せません! これは大番狂わせか……っ!」
 スピーカーから響くテンポの良いナレーションに、観客たちの歓声が重なって、今日の街路は騒がしい。ここは魔界のとある一国の首都だ。魔法の箒に乗った魔法使いの女の子たちが覇を競うレースが開催され、人々を熱狂させているのである。
「トップ集団が一斉に最終チェックポイントの凱旋門へ飛び込んでいきます――、あっ、急に凱旋門周辺で爆炎が上がりました! いえ、爆炎自体は見飽きた光景ですが、今日はいつにも増して規模が大きいぞっ! 選手たちは大丈夫か……、ああっ、煙の隙間から崩れ落ちた凱旋門が見えます! そして瓦礫のなかを悠々と魔法の箒に跨った『こおりのあくま』が進んでいきます。これがランキングトップの作戦ということでしょうか。必ず通らなければならないチェックポイントに罠を仕掛けるとは、なんて悪いんだ暫定チャンピオン! 歴史的建造物を容赦なく破壊し、選手一同を瓦礫に埋めるだなんて――」

 そして崩れ落ちた凱旋門を背景につつがなく表彰も終わった。式典の最後は、この国を治める魔王が優勝者の『こおりのあくま』に送る祝辞だ。その中で、衝撃の発表がなされた。
 あどけない魔法使いの女の子なのに妙に威厳を感じさせる魔王が、高らかに声を張り上げる。
「……来週はいよいよ、最終レースが魔王城で開かれる。吾輩も城のテラスからレースを観戦させてもらうとしよう。正々堂々と悪逆の限りを尽くし、トップを競い合ってもらいたい。――最後に重大発表をしよう。最終レースの順位ポイントはこれまでの1000倍とする!」
 魔王自らが発表したサプライズは、群衆が喝采を上げるに十分なものだ。
「なんだってーッ! 今まで積み上げたポイントが、一瞬でゴミになったぞ! 魔王様のそんなところにしびれる、憧れるーッ!」
 アナウンサーが煽る中、喝采はやがて魔王の名を叫ぶコールへと変わっていった。


「魔法の箒レースが行われるわ。どう、ちょっと楽しそうな響きじゃない?」
 シルヴィー・ルルー(プラグマティック・ハッカー・f30358)は、ニコリと笑って話を続けた。
「正確には一連のレースシリーズの最終レースなのだけれど、最後だけ参加しても問題なく優勝できるわよ。なにせ今回の最終レースは、順位ポイントが1000倍らしいから」
 無茶苦茶である。無茶苦茶ではあるが、悪いことが格好いいこととされるデビルキングワールドにおいて、最終レースの順位ポイント1000倍を前触れもなく発表した魔王の評判は、うなぎ登りだったらしい。
「でもそれはいいのよ。選手が納得しているなら何も問題はないの。問題は暫定トップ『こおりのあくま』が、今度こそ本気を出してくることよ。なにしろ、彼女はオブリビオンなんだから」
 魔法の箒レースが行われる魔界の国は、魔法使いの女の子魔族が多勢を占める国らしい。『こおりのあくま』も、魔法使いのような雰囲気の女の子の姿をしている。このオブリビオンはこれまでも参加者であったが、魔王が無茶を言い出して注目の集まったこの機会に圧倒的な成績で優勝し、支持を絶対的なものへと変えようとしている。
「その事態は阻止しなきゃならないわよね。だから、ちょっとレースに参加して、かるーくねじ伏せてきてほしいの」
 シルヴィーはレースの詳細に話題を移す。
「魔法の箒は予め用意されたものが抽選で割り当てられるわ。割り当てられた箒のチューニングも腕の見せ所……、と言いたいところだけれど、ズルしてすり替えたりしてもきっと称賛されるだけね。適当な飛行機械を魔法の箒と言い張っても通りそうだもの」
 今回のレースは魔王城周辺で行われる。大まかなコースは次のようなものだ。魔王城中庭の大庭園をスタートし、正門を抜けたあと、大きく旋回し海岸沿いに進んで、第一チェックポイントである『岬の大鐘楼』を目指す。
 途中経路では生真面目に先頭に立った選手を妨害し合い、結果として団子状態で進むことが予想される。ここでオブリビオンではない参加者たちに負けていては話にならない。妨害を乗り越えて、参加者を蹴落とし、無事第一チェックポイントを抜けてほしい。
 第一チェックポイントを抜けると折返しだ。再び正門から魔王城に入ると、それまで姿を潜めていた『こおりのあくま』が姿を表すだろう。
「最終チェックポイント近傍に仕掛けた罠で一気に逆転するのが、『こおりのあくま』のいつものパターン。きっとなにか仕掛けているに違いないわ」
 第二にして最終チェックポイントは、魔王城にそびえ立つ尖塔の根本にある。スタートの大庭園を抜けて、尖塔に至りチェックポイントを通過、そこから急上昇し、尖塔にあるテラスで観戦している魔王の目前を抜け、突端に至ればゴールだ。
 おそらくは魔王城の中に、オブリビオンの罠が用意されているはず。
「いまはちょうど魔王城で前夜祭が行われている頃よ。レースコースを下見してもいいし、たっぷりと用意されたご馳走に舌鼓を打って英気を養ってもいい。気楽に参加するといいと思うわ。レース本番で格好いいところを見せてくれたら十分だもの。それじゃ、よろしく頼むわね」


Oh-No
 こんにちは、Oh-Noです。

 魔法の箒レースは、抽選で割り当てられた箒を用いるのがルールですが、そこはデビルキングワールドなのでなんとでもなります。ただし、これは魔法の箒なんだ、チューニングしただけなんだ、と華麗にこじつけられれば、ポイントが高いでしょう。

 なお魔王が最終レースはポイント1000倍とか言い出しているので、脱落しない限り、最終レースの順位がシリーズの最終順位になります。

 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 日常 『魔王城へようこそ』

POW   :    魔王や臣下達と会食し、美味しい食事をご馳走になる

SPD   :    城内や庭園をあちこち見学して回る

WIZ   :    魔王と議論や盤上遊戯を楽しむ

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「皆のもの、我が魔王城へとよく集まってくれた! 今日は無礼講である。選手諸君は英気を養って、明日のレースでは素晴らしいパフォーマンスを発揮してほしい。 では、――乾杯!」
 年頃の女の子にしか見えない魔王がかざした盃を一息で飲み干して、宴が始まった。広間ではゆったりとした音楽が流れ、あらゆる意味で着飾った選手、あるいは観客たちがグラスを片手に談笑中。もちろん、きれいに盛り付けられた料理を味わうことに専心している者たちもいる。魔王はカードゲームに興じるものたちを観戦してみたり、呼び止められては気さくに写真撮影に応じたりと、実に気さくで慕われていることが見て取れた。
 窓の外では大庭園や尖塔がライトアップされ、その美しい姿を宵闇に晒していた。下見がてらに外を散歩するのもきっと素敵な体験だろう。
 明日は朝から魔法の箒の抽選会が行われ、午前が練習時間、午後からレース本番と、慌ただしい一日になるはずだ。
 現時点では、ゆったりとした時間が魔王城に流れている。
シン・ドレッドノート
アドリブ絡み歓迎!

怪盗・紅の影、参上。
魔界ではおおっぴらに怪盗ムーブした方が人気出そうですし、
真紅のマントをひらりと翻して窓辺に現れて注目を集めるとしましょう。
高い所の窓辺、月明りを背景にすると更にカッコよさが増すというものです。

まぁ、そのままパーティに出ていては怪盗らしくありませんし、
一度注目を集めた後は、再び姿を消して城内や庭園を見て回りましょう。
今宵はレースに備えて情報収集。
警備の目を盗んで、一人で居る人を中心に声をかけていきます。
「お一人ですか、お嬢さん?」
魔法使いの女の子魔族が多いと言うことですし、甘い言葉で誘惑しつつ、魔王を含む有力選手やコースに関する情報を中心に情報を集めますね。



 会場内の明かりが一斉に消えたそのとき、低い声が辺りに響いた。
「――怪盗・紅の影、参上」
 真紅のマントを高窓から射す月明かりに浮かび上がらせて、白スーツの怪人が吹き抜けの手すりの上に降り立った。暗い会場の中で、そこだけがスポットライトで照らし出されたかのように、煌々と明るい。
 怪人は月明かりの中で、会場からの刺すような視線を一身に浴びながら、深々と礼をした。その礼が合図であったかのように月が雲に隠されて、怪人の姿が闇に溶けていく――。
 それからすぐに会場の明かりが復旧したけれど、そのときにはもう既に怪人は姿を消していた。

(「さすがにそのままパーティーに出ていては興醒めでしょうし……」)
 怪人の正体である、シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)は、会場から姿を消したあと、城内を気ままにぶらついていた。今宵の前夜祭が終われば、明日はレースの本番が待っている。それまでに情報収集をしておく意図もあった。
 たまに通りかかる衛兵の目を盗みながら回廊を抜け、大庭園に出る。この庭園がスタート地点になるのだと聞いていた。荘厳な雰囲気には少々不釣り合いなテントなどが片隅に立っているのは、明日の準備なのだろう。
 庭園には先客がいた。酔い醒ましなのか、魔法使いらしき姿の少女がひとり歩いていたのだ。シンは彼女との距離をそっと詰めて、声をかけた。
「お一人ですか、お嬢さん」
 突然掛けられた声に驚く少女へ、優しく微笑む。
「お嬢さんも明日のレースに参加されるのですか?」
「い、いえ……。わたしは観戦するだけのつもりです」
「素晴らしい、これは天の配剤です。私は参加予定なのですが、何しろこの国には不慣れなものでして。ぜひとも魔王城周辺の地理を教えていただきたかったのです。どうか、貴方の貴重なひとときを私に分け与えていただけませんか?」
「はい、わたしでよかったら是非……」
 酒精のせいか、それとも雰囲気に酔ったか、顔を赤らめた少女がおずおずと応じる。ではこちらへと促すシンに従って、二人は宵闇に消えていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アダム・レイン
【POW】
「この世界は怖い悪魔だけじゃないのか…」

魔王に接触するため会食に参加。酒は飲まないものの、料理は味わう

「美味しい料理のお礼にパフォーマンスを披露しますよ。」

会食後に城の庭で自身のキャバリアのゲドン・ザウラーで石版を数十枚重ねて瓦割りのように叩き割ったり、分厚い鉄板を尻尾でぶち抜いたり、空に向かって【レーザー射撃】をしたりして盛り上げる事を試みる

「皆、喜んでくれたかな?まあ、僕じゃなくてザウラーが皆に黄色い声援貰うのは悔しいけど…」

最後に魔王に明日のレースの事について質問する

「レースで使う箒にキーホルダーやストラップを付けるのはありですか?また、それは大きさに制限はありますか?」と聞く



 会場ですれ違う悪魔たちは皆が皆親切だし、たまに悪ぶって見せる悪魔がいても、行動の根底に人の良さが覗く。つい先程も、アダム・レイン(ダイナソーライダー・f30865)が料理の取り分けに苦戦していたら、代わりに取皿へきれいに料理を盛り付けてくれた見知らぬ悪魔がいた。
「この世界は、怖い悪魔だけじゃないのか……」
 デビルキングワールドの住人たちについて善人ばかりだと聞いていてはいたけれど、身をもって噂の正しさを知り、アダムは感嘆の声を漏らした。なにしろ、勝手がわからず城内で戸惑うアダムに、城の使用人たちはもちろんのこと、前夜祭に訪れた選手や、観客に至るまでが親切なのだ。
 しかし、このまま饗されているだけでは申し訳ない。
「美味しい料理のお礼に、ぜひパフォーマンスを披露させてください」
 前夜祭が続く中、アダムはそう申し出て、城内の庭園へと向かった。

 広大な庭園でアダムは自身のキャバリア『ゲドン・ザウラー』を呼び出し、コックピットへと乗り込む。城のテラスに出てきた前夜祭への参加者たちから好奇の視線を浴びながら、アダムはキャバリアの演武を始めた。数十枚の石版を積み重ねては試し割りをしてみたり、鋭い尻尾の一撃で鉄板に大穴を開けてみたり、あるいは大出力のレーザーを大空へ照射してみたりするたびに、歓声が湧く。
(「皆、喜んでくれたかな? まあ、僕じゃなくてザウラーが黄色い声援を貰うのは悔しいけど……」)
 一連の演武を終えたアダムがキャバリアから降りて手を振っていると、歩み寄ってきた魔王に声をかけられた。
「中々の見ものであったぞ」
「見てくれていたんですね、ありがとうございます」
 アダムは少々驚きながら、いい機会だと魔王に質問を投げかける。
「聞かせてもらいたいことがあるんです。レースで使う箒にキーホルダーや、ストラップをつけるのはありですか?」
「吾輩は審判長ではないゆえ、正式な回答にはならぬのだが、装飾をつけるのは別に構わんのではないか?」
 魔王は訝しげな表情だったが、応答は丁寧だ。
「では、大きさに制限はありますか?」
「それも好きにするがよい。――何ぞ悪巧みでもしておるのか? ああ、答えずとも良い。明日を楽しみにしておるからの」
 続けられた質問で得心がいったのか、魔王は唇を釣り上げて笑い、その場から去っていった。アダムはその背を見送りながら、胸中で明日の算段をつけている――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四王天・燦
《きつねずみ》

ルルと城内見まわろうぜ♪

パーティ会場で神鳴とアークウィンドでジャグリングパフォーマンスを披露して盛り上げる
皆の目をアタシの方におびき寄せる
今だルル、やっちまいな!

魔王様と遭遇したらお喋りするよ
競馬ならぬ競箒はアタシらに賭けりゃ大儲けを保証してやるぜ
そうだノートPC(七つ道具内の情報端末)を出して魔王様のホームページを作ろうぜー♪
トップ画像としてルルと並んだ写真を撮りましょ
…ねえルル、なあにこの魔王様の肩に置かれている、いないはずの人の手?(心霊写真)

サイト作りなどと言いながら盗賊式電脳戦法で城の警備システムにバックドア仕込むんだわ

で、世界半分ずつって…アタシの取り分はどーした?!


ルルチェリア・グレイブキーパー
≪きつねずみ≫

燦さんと一緒に箒レースに参加するわ
城内を悪い事しながら見回るのよ!

会食を楽しみながら、猟兵以外の選手の妨害よ
戦いは既に始まっているのよ!
燦さんが注目を集めている今がチャンス!
UC【お子様幽霊たちのお遊戯】で幽霊の子達に、
「お腹の調子が良くなり過ぎる薬」を選手のお食事にこっそり混ぜさせるわ!
これで貴女はトイレの住人なのよフフフフ♪

私、魔王様と記念写真撮って欲しいわ!
一緒に並んでハイ、ポーズ♪
あらホント、魔王様の肩に青白い人の手が!
流石魔王様、幽霊にも人望が有るのね

今度は魔王様に玉座に座って頂いて、私がひれ伏す所を撮って欲しいのよ!
ハハー!魔王様ー!世界の半分下さいなのよー!



 前夜祭にふさわしく、おめかしして現れた四王天・燦(月夜の翼・f04448)とルルチェリア・グレイブキーパー(墓守のルル・f09202)の二人は、立派な城の前で立ち止まり、互いの顔を見る。
「ルル、城内を見て回ろうぜ♪」
「燦さん、あちこち見学しながら、たくさん悪いこともしたいわ」
 二人はどちらからともなく笑みを浮かべて、堂々と城のエントランスに踏み込んだ。

 二人はまずメインホールに向かった。
「――む、さすがね、美味しいわ」
 ルルチェリアがこじんまりと取り分けた料理を味わっている間に、燦はホールの中ほどへと進み、突如、天井へ向けて刀を抜き放つ。
「――!」
 驚いて距離を取る周囲の客に愛想よく笑いかけ、燦は一度刀を手元に引き寄せて、空へ投げ上げた。合間に懐から今度は短剣を取り出して、刀と交互に掴んでは投げ、掴んでは投げとジャグリング。
 度肝を抜かれた緊張が喝采へと変わる頃、3本目の刃を抜きながら、燦はルルチェリアに目配せを送る。
(「今だルル、やっちまいな!」)
(「まかせて。戦いは、既に始まっているのよ!」)
 周囲の視線がジャグリングの難易度を上げようとしている燦に引きつけられているタイミングで、ルルチェリアはすかさず、お子様幽霊たちを呼び出した。
 彼らは怪しげな薬を手に、明日のレースに参加する選手たちへ忍び寄る。そして選手の食事にこっそりと怪しげな薬を振りかけて、片隅の暗闇へと消えていった。
(「これで貴方たちはトイレの住人なのよ。フフフフ♪」)
 自らは食事を続けながら、幽霊の子たちを見守っていたルルチェリアは悪そうに笑った。
 ……しかし、やたらと頑健なこの世界の悪魔にどれほどの効果が見込めるかは、判断が難しいところである。

 足早にホールから去る何人かの選手を見て満足した二人は、今度は魔王を捕まえた。
 威厳と可愛らしさが不思議に同居する魔王へ、燦が親しげにアプローチする。
「なあ魔王様、明日のレースもギャンブル、あるんだろ? 競馬ならぬ競箒、みたいな?」
「もちろんだとも」
「ならさ、アタシらに賭けなよ。大儲けを保証してやるぜ」
「ほー、自信満々であるな。頼もしい、明日は存分に暴れるが良い」
「もちろんだぜ。……っと、そうだ。お近づきの印に魔王様のホームページを作ってやるよ。まずは見栄えのするトップ画像が要るよな」
 と燦がカメラを取り出したところで、ルルチェリアが高く手を伸ばした。
「はい! はいはい! 私、魔王様と記念写真撮ってほしいわ!」
「ホームページは既にあるんだがの、記念写真はもちろん構わんぞ」
 気安く応じる魔王の横に並んで、レンズに向けてポーズ。電子音が響いたあと、燦はカメラの画面を覗き込んで首をひねって見せた。
「ねえ、ルル。この魔王様の方に置かれている人の手はなあに?」
「あらホント、魔王様の肩に青白い人の手が!」
「なんじゃなんじゃ、吾輩にも見せてみよ」
 実のところ、死霊術師による自演心霊写真である。そして狙い通り魔王が写真に気を引かれている間に、燦は魔王城のシステムへと素早くハッキングを仕掛けた。
(「魔王様ごめんねっと。これで警備システムはどうとでもなる、……というかザルだなこれ」)
 だがそこまでして仕掛けたのに、セキュリティがお人好しすぎて、肩透かしを食らったような気分になった。
 ルルチェリアは、そんな燦の気持ちは知らず、魔王と二人で盛り上がっている。
「さすが魔王様、幽霊にも人望があるのね」
「いやいや、幽霊なぞ初めて見たぞ」
 今は、もう一枚記念写真を撮りたいのだと、魔王に頼み込んでいた。
「今度は魔王様に玉座に座っていただいて、私がひれ伏すところを撮ってほしいのよ! 燦さんもいい?」
「おう、任せとけ」
 とうの昔にバックドアは仕掛け終えていたから、燦は気楽に応じる。そうして構えられたカメラの前で、ルルチェリアは膝を付き、頭を下げながら叫んだ。
「ははー! 魔王様ー! 世界の半分下さいなのよー!」
「で、世界半分ずつって……アタシの取り分はどーした?!」
 ――カシャッ。
 そのとっておきの一枚には、爆笑している魔王とひれ伏すルルチェリア、そして何が始まったのかと驚いている周囲の様子がバッチリ収められていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『色々魔法使い』

POW   :    ジオチェインボーナス
【戦場に存在するシンボルモニュメントの投擲】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を覆い尽くす衝撃波を放ち、属性相乗効果で】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    リフトアップ&スローイング
【味方を持ち上げて】から【綺麗なフォームで投げつけ】を放ち、【一気に距離を詰めること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    魔法アビリティ
【技名のように食べ物の名前を叫びながら魔法】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 賑やかだった前夜祭も終わり、夜が明けた。
 朝食を終えた選手たちが集められ、さっそく引いたクジに従って、魔法の箒が割り当てられる。特筆するような騒ぎは起きないままに解散して、選手たちそれぞれが最後の調整に入った。
 軽く城の周りを周回して、魔法の箒の具合を確かめるものもいれば、割り当てられた部屋に引きこもって、調整に明け暮れるものなど、過ごし方は様々だ。
 そんな時間もまたたく間に過ぎ、いよいよレースの開始時刻を迎えた。

 大庭園に揃った選手たちは、女の子たちばかりで華やかだ。だが、ここはデビルキングワールド。決して見た目で侮ってはならない。一人ひとりが生まれつきの才能に恵まれた、選りすぐりの悪魔であり、まるで息をするように破壊を周囲にもたらす力を持っている。
 魔法使いの少女たちは、それぞれが得意とする属性に応じたカラフルな髪や瞳、装備をしており、大庭園は色に溢れていた。まずは彼女たちとの小競り合いを勝ち抜き、レース終盤までたどり着かなければならない。
 第一チェックポイント、『岬の大鐘楼』を無事折り返せるかが勝負になるだろう。
「レースを祝福するかのように、空は気持ちよく晴れ渡ったっております! 本日のレースはなんと順位ポイントが1000倍。泣いても笑っても、今日の結果で総合順位が決まってしまう。選手一同の熱い情熱が、ここ放送席まで伝わってきます!」
 城内に流れる実況も絶好調。観客席も大入りで盛り上がっていた。
 スタートラインに並んだ選手が、シグナルが緑に変わった瞬間、一斉に飛び出していく。スタートの勢いで巻き起こされた風で、庭園の樹木の枝が大きく揺れた。
「さあ、いよいよレースが開始されました! 一番先に魔王城まで戻ってきて、尖塔の突端に至るのは、やはりこれまでトップを走る『こおりのあくま』なのか、それとも波乱が起きるのか! 一瞬たりとも目を離すことができません!」
 選手たちは一塊になって正門を抜け、速度を上げた。そして互いに魔法を撃ち合ったかと思えば、先頭に躍り出た選手を集中攻撃で引きずり下ろすなど、幕開けからすでに激しい応酬が繰り広げられている――。
 この混沌とした状況を制し、抜け出すことができるか。猟兵たちが、試される時が来た。
アダム・レイン
【SPD】
抽選で割り当てられた箒に乗り、レースに参加
「キャバリアの操縦はできるけど…箒はどうかな?」
魔法を撃たれたら【瞬間思考力】などを使用し、回避を試み、自分からの妨害はサンダー・パイソンを発砲し、電撃弾で麻痺させる。銃を奪われたり、盗まれたりした場合の対策としてレプリカクラフトで偽物を作っておく。モデルガンは精巧に作れるため本物そっくりである
「しかし、参加者が女の子が多いから僕の肩身がちょっと狭いね…」と卑屈な性格が出てしまったりしながら進み続ける
※アドリブ&連携OK


シン・ドレッドノート
アドリブ連携OK

さて、いよいよレース開始ですね。
周りを見ても美しいお嬢さんばかりですが、声をかけるのはレースが終わってからにしておきしょう。

「さぁ…行きますよ!」
支給された箒とすり替えた、愛箒ノーブル・スカーレット(ガンナーズ・ブルーム・エディション)にフレキシブル・ブースター・バインダーを装着。

何だか物騒な攻撃が飛んできますが、そこはブースター・バインダーの機動性で速度を落とさず回避運動です。

「エアロモード、チェンジ!さらばです、お嬢さん方!」
距離を詰められたところで【天翔ける紅彗星】を発動。
ブースターの推力を全て後方に集中、爆炎で目くらまししつつ、一気に折り返し地点までかっとびましょう。



 スタートラインに並んだ魔女たちは華やかで、シンも気分がいい。美しいお嬢さんに声をかけないだなんて普段ならありえないのだが、レース開始直前である今は、魔女たちは皆、気合の入った顔をしている。この状況で声をかけるのは流石に遠慮しておいて、レース後の楽しみにとっておくことにした。
 シンが跨っているのは、クジによって支給された公式の箒ではなく、愛箒『ノーブル・スカーレット(ガンナーズ・ブルーム・エディション)』である。黄金で縁取られた純白の箒に、刻まれた真紅のラインが相まって高貴な印象を与える、自慢の一振り。それに大推力の追加ブースターまで装着しているのだから、もはや公式の箒とはかけ離れた姿をしているのだが、とくに審判に止められることもなかった。周りの魔女たちを見れば、皆が皆、ちゃんと割り当てられた箒に跨っているように見える。
 規則が守られるのが当たり前過ぎて、守らせようという意識が足りないのかもしれない。

 一方のアダムは、律儀に割り当てられた箒を使用していた。
「キャバリアの操縦なら慣れたものだけど……、箒はどうかな?」
 午前の間に、割り当てられた魔法の箒で城の周囲を周回し、乗りこなせるようにはなっていた。とはいえ、あくまでも妨害のない環境下での機動である。キャバリアに乗ってこなすような戦闘ができるかどうかは未知数。あとは装備した銃をどれだけ上手く使えるかどうかの勝負だろう。
 アダムにとっての問題は、魔法の箒だけではない。このレースの参加者のうち大勢を占めるのは魔女。つまり、男女比は大きく女性に傾いているわけで。
「ちょっと肩身が狭いな……」
 と、女性にあまり慣れていないアダムは、スタートラインにひしめく魔女たちから、そこはかとないプレッシャーを感じていた。

「さぁ……、行きますよ!」
 スタートの合図と同時に、シンはブースターに点火、暴力的な加速度を受けて速度を増していく。
(「派手な人だなあ」)
 アダムはひとりごちつつ、うまくシンの後ろに滑り込んだ。低減した大気の抵抗を利して、足りない推力をカバーして進む。
 そうやって後方から一気に先頭に至ろうとするシンは選手間でかなり目立ったのだろう、周囲の魔女たちに狙い撃ちされることになった。
 急遽手を組んだ魔女たちは近くの仲間を抱え上げ、シンへと投げつけたのである。
「うわっ」
 後方からブーストされて飛んでくる魔女の気配を感じ、アダムは首をすくめた。
「レディらしからぬ、物騒な攻撃ですね!」
 シンはノズル口の向きを変え、跳ねるような機動で衝突を避ける。
 魔女は体当たりをかわされたものの、すぐに魔力を収束させた掌をシンに向け、炎を放つ。
「大人しくしててよ」
 アダムはさらに魔女が投げつけられる前に、目前の魔女を沈黙させないと危険だと判断し、手にした銃から電撃弾を撃って迎撃した。
「もうひとりいたのね!」
 魔女は目標をシンからアダムへと切り替えたようだ。機関銃のように炎弾を放ち、アダムを捉えようとする。アダムは電撃弾で応射し――、急に手にした銃を魔女へと投げつける!
 魔女の視線が投げられた銃へと引き寄せられ……、視線がアダムから切れたところを電撃弾が撃ち抜いて麻痺させた。アダムが投げた銃はユーベルコードで生み出した、偽物だったのである。
 その間に、シンは準備を整えていた。
「エアロモード、チェンジ! さらばです、お嬢さん方!」
 翼がせり出した愛箒『ノーブル・スカーレット』の上で姿勢を低く保ち、すべての推力を後方に集中させて一気にかっ飛んでいく。爆炎を撒き散らし、一気に後方を引き離した。
(「女の子に囲まれちゃ堪らないからね……」)
 アダムもシンが目立っている間に、低空に身を潜めてコースを進むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルルチェリア・グレイブキーパー
≪きつねずみ≫

さっきの城門、燦さんが閉めたの!?
ハッカーみたいでカッコいいのよ!

大丈夫よ
術士が魔法の箒で後れなんか取らないわ!
しっかり燦さんに付いて行くのよ

私もカッコ良く活躍するのよ!
UC【お子様幽霊たちの海賊団】で空飛ぶ海賊船を召喚!
魔法使い達が居る方へ突っ込ませ、子供の幽霊達に砲撃銃撃で暴れさせる!
キャー!空飛ぶ海賊船が暴走しているわー!危ないわー!(知らんぷり)
魔法使い達を混乱の渦に陥れて、私達は先に進むのよ
いえいえ、お代官様ほどでは~♪

燦さんが盗んだ箒は私が持つわ、これでもう追って来れないわね
天狐の燦さんモフモフなのよ♪
フフフ、ゴール直前で私が身を乗り出せば鼻先で燦さんに勝てるのよ?


四王天・燦
《きつねずみ》

城門抜けたら仕込みのバックドアを活かして閉門
後続は此処で足止めさ

ルル、引っ張るぞ千切られるなよ
前に出て風除けになる

アタシ達を風除けに使おうとする魔女さんには時限爆弾・カウントダウンをぽいっと投擲
煽り運転はやっちゃいけねー悪事なんだぜ

うお幽霊船出しちゃう?
ルル…お主もワルよのう♪

攻撃には妖狐三変化で対応
五歳児になって純粋な眼差しを向けてやる
本質的に良い子な悪魔達にロリ燦を攻撃できるだろうか?
油断したら即獣人形態にシフトして体当たりで撃墜
手癖悪く箒を盗み攻撃で奪っておくぜ

溜まった箒をルルに預けて天狐形態でルルを乗せて爆走ならぬ爆翔だ

このまま行けば鼻先でルルに勝って一着獲れるな(邪笑)



 燦はきっちりとスタートダッシュを決めて、全力で城門を目指す。初参加の燦は不利な位置からのスタートだが、集団の中で遅れずに上手く位置を取っていた。
 振り返れば、すぐ傍にルルチェリアの姿もある。それなら予定通り――、
「始まったばかりですが、もう閉門の時間ですよ……っと!」
 燦がパチンと指を鳴らすと、大きく開かれていたはずの両開きの門扉がゆっくりと動きはじめた。前夜祭の最中に掌握したシステムに仕込んでおいた罠である。
 燦がたどり着くタイミングではまだ十分に開いていた隙間に踊りこみ、岬へ向けて鋭角に曲がる。そして皇族のルルチェリアがすり抜けたのを確認し、最後まで門扉を閉め切った。
「さっきの城門、燦さんが閉めたの!? ハッカーみたいでカッコいいのよ!」
 同じく鋭角に曲がり、燦の箒の後ろにピッタリとつけたルルチェリアが叫んだ。
「はは、ルルも上手く門をすり抜けたな。 ここから更に加速するぜ、千切られるなよ!」
「術士が魔法の箒で、後れを取るわけがないじゃない! 心配しないで、遠慮はいらないわ!」
 心強いルルチェリアのセリフを受け、燦は親指を立てた拳を突き上げてから、魔法の箒に魔力を注ぎ込み、大気の壁を切り裂く一陣の風となった。

 城門を閉じて後続の魔女たちが速度に乗ることは阻止したけれど、城門を迂回した魔女が、前方で牽制しあっている間に追いついてきた。
「煽り運転はやっちゃいけねー悪事だろ?」
 負荷を軽くして一気に抜かすためにスリップストリームを使おうとする魔女へ、燦はごく短時間に設定した箱型時限爆弾を投げて牽制する。
 だが目の前にいる集団を突破しなければ、追いついてくる魔女たちも続々増えてしまうだろう。
「さて、どうしたもんかな……、うお、幽霊船出しちゃう?」
 思案顔になった燦は、斜め前で並走する位置へと虚空から浮かび上がってきた海賊船の姿を見て、快哉を上げた。
 現れた海賊船はやんちゃな子供幽霊たちが乱射する弾丸、砲丸の弾幕を周囲に振りまきながら加速し、前方集団を背後から急襲した。
「キャー! 空飛ぶ海賊船が暴走しているわー! 危ないわー! 逃げてー!」
 燦が後ろを振り返ると、ルルチェリアが手を口元に当てて白々しい警告を叫んでいた。もちろん海賊船は、ルルチェリアがユーベルコードで呼び出したもの。その名も『神聖ロイヤル・ルルチェリア号』である。
「ルル……、お主もワルよのう♪」
「いえいえ、お代官様ほどでは~♪」
 燦とルルチェリアの二人はニヤリと笑みを交わし合い、暴走しているはずなのになぜか後方にだけは弾丸を撃たない海賊船の後背につけて、前方集団へ割り込んでいった。

「くっ、暴走海賊船をレースに割り込ませるだなんて、警備隊は何をやってますの!」
 悲鳴を上げる魔女たちは、後方から襲いかかってきた海賊船によって、左右へと強制的に分けられた。その中心である海賊船が通ったあとを、燦とルルチェリアの二人が加速しつつ進む。
「パンケーキ!」
「アイスクリーム!」
「ハンバーグステーキ!」
 そんな二人へと、左右から様々な属性の全方位攻撃が、なぜか食べ物の名前とともに嵐のように浴びせられた。なにしろ魔女たちは互いに排除し合う選手なので、本来なら仲間を巻き込むような魔法の使用にも遠慮がない。
(「だが、それは相手が同格だからだ。本質的に良い子ちゃんな悪魔たちには……」)
 ここで燦がとっておきの秘策を発動する。
 ユーベルコード『妖狐三変化』によって、純粋無垢、天真爛漫だった頃の五歳児へと姿を変えたのだ。
「こんにちは、あきらだよー」
「……それは、ず、ずるいぞ!」
 大きな瞳で純粋な眼差しを向けられて、魔女たちはあからさまに動揺した。そのままするすると箒を寄せていったところで突如、今度は狐の獣人へと姿を変えて、魔女が跨っていた箒を奪い取る。
 それを数度繰り返すと周辺の魔女はいなくなり、燦の手の中には幾本かの箒が残された。
「燦さんが盗んだ箒は私が持つわ。これで魔女さんたちは復帰できないわね」
「任せたぜ」
 箒をルルチェリアに渡し、燦は3つ目の形態『天狐』へと姿を変えた。ルルチェリアはその背に乗って、しっかりと掴まった。
(「天狐の燦さんモフモフなのよ♪」)
「じゃあ、翔ばすぞ。振り落とされないようにしろよ」
 毛並みに頬を寄せるルルチェリアを乗せて、燦は箒に跨っていたとき以上の勢いで加速しはじめる。
(「このままゴールすりゃ、鼻先でルルに勝って一着取れるな」)
(「フフフ、ゴール直前で身を乗り出せば、私が鼻先で燦さんに勝てるのよ?」)
 いずれ最後は敵対するのが運命。それぞれの思惑とともに、ゴールへの道をひた走る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『こおりのあくま』

POW   :    狙った相手は逃さない
【ステッキ】を向けた対象に、【氷の魔法】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    得意な地形に変えるのもお手の物
【雪】を降らせる事で、戦場全体が【雪原】と同じ環境に変化する。[雪原]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    形から入るのも大事
【理想とするデビルクイーンの姿】に変身し、武器「【ステッキ】」の威力増強と、【舞い散る雪の結晶】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミネルバ・レストーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 チェックポイントまではかなりの混戦だったけれど、岬の大鐘楼で折り返す頃には多くの魔女たちが脱落していた。残るは参加した魔女の中でも精鋭ばかり。
 ――リーン、ゴーン……!
 選手たちを見送るかのように響いた鐘の音を背に始まった復路は、往路と打って変わって高速な展開となった。
 放たれる妨害をかい潜っては先頭に立ち、先頭に立ったかと思えば狙い撃ちにされる。互いの思惑を読み合いながら、目まぐるしく順位が入れ替わっていく。
 そして無理やりこじ開けられた痕跡が残る城門へ、残った選手たちが次々と飛び込んでいく。目指すは、この国のランドタワーたる魔王城の尖塔だ。この国の何処からも見える、とてもとても高い塔の頂点にゴールが用意されている。
 先程スタートした大庭園を抜ければ、尖塔はもうすぐ――。
 そのとき大庭園全体を覆うような、巨大な魔法陣が発動した。光の柱が空に立ち、見る間に天候が悪化していく。激しい風に吹き散らされて、目も開けていられないような密度で雪が舞い、城に突入した選手たちに牙を剥く。
「なんと、急に冬の嵐が発生しました! とんでもない吹雪です。数メートル先も見えないような視界。なんということだ、これは『こおりのあくま』が最も得意とする条件です! ああっ、城門に姿を見せた『こおりのあくま』が吹雪を物ともせずに、尖塔を一直線に目指しているとの情報が入りました! これはまたもや大逆転が起きてしまうのか!」
 スピーカーから響く実況の声もどこかかすれがち。
 そんな悪天候の中で、高い少女の声だけが、不思議と皆の耳元へ届いた。
「ざーんねん! 天候も私のことを祝福してくれているの! おとなしく、こたつの中ででも縮こまってなさい! そして、女王の誕生をその目に焼き付けるのね!」

 ついに姿を表したオブリビオン。ここまで残った選手は、オブリビオンが仕掛けた罠によって猟兵を残し排除されてしまった。このままオブリビオンをゴールさせてはならない。必ずや、尖塔の頂上にオブリビオンが至るまでに打倒するのだ。
 ――そして、あわよくば、優勝の栄冠を勝ち取れ!
シン・ドレッドノート
「最後尾から一気にごぼう抜き…うん、これでいきましょう!」
雪の中、相手は目標の尖塔に向けて一直線。
それを追い抜いて先にゴールするには、こちらも限界突破の最高速度で最短ルートを突き進むのみです。

「斥力制御フィールド展開。目標に向けて飛翔する!」
【銀翼の奇術師】を発動。
閃光の魔盾によるビームの障壁を、箒を中心とした弾丸の形に形成。
真紅銃とライフルビットから熱線、貴紅に内蔵の銃と精霊石の銃から炎の弾丸を連続発射して進行方向の吹雪を蒸発させながら、時速9500㎞/hで一気に飛翔します。

途中の障害物(こおりのあくま)は各銃の弾幕で排除し、クリアになった進路を、緋色の弾丸となってゴールまで翔け抜けますよ!


アダム・レイン
まずフック付きワイヤーを伸ばして庭園に置いてあったゲドン・ザウラーと箒を結び、ザウラーの首にペンダントのように箒をぶら下げたらザウラーに乗り込む

「ロボは卑怯?いや、これは箒のストラップだ。ストラップを付ける事は魔王から許可は得てるしね。」

そして、ザウラーに乗って尖塔をクライミングする。敵の氷の魔法は【レーザー照射】で相殺したり、【オーラ防御】で防御。負けそうになったらザウラーの頭を下に向けてEx.roar。破壊光線の反動で一気に上昇

「僕の目的はお前に勝つ事だからゴールに着けばいいんだ。しかし、必殺技の無駄遣いじゃないかな、これ。」

ゴール直前にはザウラーから降りて箒に跨り、箒で到着した体にする


ルルチェリア・グレイブキーパー
≪きつねずみ≫

少し残念そうに天狐の燦さんから降りて自分の箒に乗る
お尻に火?その方が暖かくて良いわ

UC【百友夜行】で妖怪・輪入道達の行列を召喚するわ
暫く、こおりのあくまをよろしくね!ほのおのあくまさん!

♪ヒャッハーごろつき輪入道
夜を忘れて遊びましょ
野太くはしゃいだ声上げて……

(略)

ぐぅるぐぅる回り
ぼぉうぼぉう燃やせ
あの子目指して競争よ♪

ギリギリまで詠唱して、とっても強い輪入道達をお見舞いするのよ!
燦さんの狐火と輪入道の合わせ技よ!
こおりのあくまの攻撃は氷結耐性が有るマフラーで凌ぐわ

何だか眠いけど、ゴールまで諦めないのよ……!
輪入道達に引っ張って貰って一着を目指すのよ!
(※結果・順位はお任せ!)


四王天・燦
《きつねずみ》

天狐形態を解いて箒に乗る

ルル、ケツに火が着くけど辛抱だ
吹雪が追い風なら
アタシだってカウントダウンを落として爆風を追い風にして急上昇
実況や魔王様がアフロになっても鈍感力で流す

『ほのおのあくま』と呼んでくれ
世界が躯の海に堕としたとしても一着だけは譲れねえ!

熱は熱い所から冷たい所に向かうんだ―
なんて言いながら稲荷符から炎属性攻撃の狐火を誘導弾でぶち込むよ
相手の攻撃は稲荷符の熱きオーラ防御で防ぐ

ルルと合わせて炎の宴だ
クライマックスは派手でなきゃ

密かに火炎弾に弐式の炎を紛れ込ませて眠りの場を作るぜ
みんな居眠り運転で落ちな

今だルルの隙を突いて一着を狙う!(天誅OK)

いやあ、楽しかったね☆



 雪が荒れ狂う中、アダムは庭園に駐機しておいたキャバリア『ゲドン・ザウラー』の下へと箒を走らせた。視界が悪いが、キャバリアのカメラアイが吹雪の中で強い輝きを放ち、主を自らの下へと引き寄せる。
 キャバリアのすぐ傍に近づいたアダムは、まずフック付きロープをキャバリアの首周りに一周させて、ペンダントのようについ今しがたまで乗っていた箒をぶら下げた。それからキャバリアのコックピットへと乗り込んで、手早くキャバリアを立ち上がらせた。
 キャバリアの肩に積もりかけていた雪が、雪崩落ちていく。吹雪の中で直立したキャバリアは、周囲の邪魔な雪を尾で振り払い、庭園を駆けて最後のチェックポイントを通り過ぎ、尖塔の壁へと取り付いた。そのまま意外なほどの速度で、壁面を登っていく。
「『こおりのあくま』が登場したと思ったら、今度は巨大ロボットが出現いたしましたァー! ウィザードブルームレースに秘密兵器、堂々の投入です!」
「ロボは卑怯? いや、これはロボットじゃない。箒につけた、ちょっと格好いいだけのストラップさ。ストラップを付けることは、魔王から許可を得てるしね」
 響く実況の声にコックピットでの独り言で応じて、アダムは先行する『こおりのあくま』を追いかけた。

 雪原へと姿を変えた庭園で、天狐姿の燦は四肢を真っ直ぐに伸ばし気高く立って、尖塔へと向かう『こおりのあくま』の背を睨んだ。
「このままゴールまで駆け込んでやろうと思ってたが、そう甘くはないか! ルル、悪いが降りてくれ」
「はぁ~い」
 名残惜しそうに一度しっかりと毛皮に抱きついてから、ルルチェリアは天狐の背から降りて箒にまたがった。燦もすぐに变化を解いて、ルルチェリアから受け取った箒に乗る。
「燦さん、作戦はある?」
「そうだなぁ。――ルル、ケツに火が着くけど辛抱してくれよ」
「お尻に火? その方が暖かくて良いわ。ここはちょっと、寒いもの」
 悪戯を思いついたかのように笑う燦に、ルルチェリアが口の端を上げて笑い返した。
 燦は持っているだけの時限爆弾をその場に投げ落とし、尖塔の頂点へと先を向けて浮かした魔法の箒に跨る。ルルチェリアも同じようにして、燦のとなりへ。
 ――ドガァァァァンッ!
 次の瞬間、火炎とともに大爆風が生じ、二人の身体を上空へと跳ね上げる!

「最後尾から一気にごぼう抜き……。うん、これでいきましょう!」
 純白の雪の上に溶け込むような姿をしたシンも、状況に対応するべく動き始めていた。
 周囲に冬の嵐を巻き起こした『こおりのあくま』は、一心に尖塔の頂点を目指している。他の猟兵たちも追随して、尖塔の上へ。
 ――ならば自分も、本来の限界を超えた、最高速度を更に上回る速度で、最短距離を突き進むのみだ。
「斥力制御フィールド展開。目標に向けて飛翔する!」
 翳した腕輪から放たれた8条の光が、愛用する白い箒の周囲に紡錘形を形作る。箒に内蔵した重心から、手にした二丁の銃から、高エネルギーの弾丸を射出し、視界を塞ぐ吹雪を吹き飛ばそうと試みた。
 そして純白の箒を介して魔力を推進力へと変え、巨大な弾丸と化した自分自身を彼方の空へと押し上げていく……。

「なんで! 今日に限って! 脱落しない選手がこんなにいるのよ! なんか自爆して焦げながら飛んできてる奴までいるしッ!」
「ははは、『ほのおのあくま』と呼んでくれ!」
 背後を振り返った『こおりのあくま』にしかめっ面を向けられて、燦の気持ちが高ぶってきた。
「熱は熱いところから、冷たいところに向かうもんだぜ!」
 などと叫びつつ、手にした四王稲荷符を投げ放つ。霊力が込められた符は飛ぶさなかに狐火へと変じ、『こおりのあくま』の姿を付け狙った。
「ああもう、しつこいわね!」
 『こおりのあくま』は可愛らしかった姿から美しく優美な姿へと変身し、ステッキから舞い散らせた数多の雪の結晶で燦に対抗する。
(「しばらく、『こおりのあくま』をよろしくね、『ほのおのあくま』さん!」)
 雪の結晶と狐火が交錯する間、ルルチェリアは燦の背後に隠れながら詠唱を続けていた。
「――ヒャッハーごろつき輪入道、夜を忘れて遊びましょ。野太くはしゃいだ声上げて……」
 まるで唄うように抑揚をつけて、呼びかけ続ける。
「ぐぅるぐぅる回り、ぼぉうぼぉう燃やせ。あの子目指して競争よ♪」
 ここには楽しいお祭があるのだと、皆で集まって楽しもうと、輪入道たちに呼びかける。
 『こおりのあくま』の側面には、尖塔の壁面を登ってきた、アダムが乗り込むキャバリアまでが追いついてきていて、壁面に張り付いた状態からレーザーを放って牽制していた。
「――いいわ、ここで全員、叩き落としてあげる!」
 『こおりのあくま』は背後からさんざん撃たれることに嫌気が差したらしい。箒の進行方向は変えないままに、きれいな宙返りを決めて、猟兵たちのほうへ身体を向けた。そして、強化されたステッキの先で空域全体を指し示し、氷の魔法を広範囲に全力で放ったのだ。
「くっ、このままじゃ押し込まれる!」
 ここまでキャバリアで壁面を器用に登ってきたアダムだったが、氷の魔法を直接浴びせられると分が悪い。
「奥の手を切るしか無いか。いけっ、Ex.roar!」
 キャバリアの頭部の発射口を下に向け、放った破壊光線の反動で浮き上がる。
(「――しかし、必殺技の無駄遣いじゃないかな、これ」)
 そんな思いが頭をよぎるが、だからといって今更止めてしまったら、それこそ無駄になってしまうと腹をくくった。
「おとなしく進路を開けてもらいましょうか!」
 さらに、下からは熱線の弾幕を張りながら、緋色の弾丸となったシンがさらに加速しながら上昇してきていた。
 ――尖塔の半ばを超え、ゴールが近づいている。魔王が観戦しているだろう、尖塔のテラスもすぐ上だ。
 そんな終盤戦は、魔力に霊力に各種の弾丸、破壊光線までが空間を行き交う地獄絵図となっていた。
(「ルル、どうだ?」)
(「……おまたせしたのよ!」)
 そこでさらに、限界ギリギリまで詠唱を引っ張ったルルチェリアのユーベルコードが発動した。
「さあさあ、皆いらっしゃい! 今宵は楽しいお祭りよ!」
 ルルチェリアによって呼び出された、吹雪をすべて吹き飛ばそうかという激しい炎をまとった輪入道の行列が、まるでレースの参加者のように尖塔の頂上を目指しはじめたのである。
 『こおりのあくま』は、不幸にも行列に飲み込まれていく。
 それでも燦は油断せずに狐火の火炎弾を放ち続けて――、いたわけではない。
(「……よし、バレてないな」)
 輪入道が発動したタイミングで、火炎弾から睡眠符へと術式を切り替えていたのである。眠らせる対象は、『すべて』。
 無差別に放たれた術の影響を受けて、進路を反らしていく他の猟兵や、急に生あくびをしはじめたルルチェリアの姿を見て、唇を吊り上げた。
(「みんな、居眠り運転で落ちな――!」)
 だが、ルルチェリアは気合で眠気に耐える。
「なんだか眠いけど、ゴールまで諦めないのよ……!」
 自分の身体は、今にも眠りに落ちてしまいそう。だから、輪入道に頼って、連れて行ってもらう。
 ――炎に晒され続けた魔法の箒も、ちょうど燃え尽きてしまいそうだったし。
(「……ん?」)
 それは燦も同じこと。いや、『ほのおのあくま』であった燦が使う箒はルルチェリアのもの以上に寿命を縮めていた。
 そして、輪入道には燦を助ける義理がなかったのだ――。
 横を見れば、テラスで魔王が応援してくれていた。その目の前で、箒を失った燦が落下していく……。

 レースが終わったあとのこと。
「くくく、残念だったのう」
「いやあ、楽しかったですよ☆」
 最後の真相を聞いてからかってきた魔王に、燦はあっけらかんと笑ってみせたのだった。

【ウィザードブルームレース】
優勝:ルルチェリア・グレイブキーパー(墓守のルル・f09202)
2位:シン・ドレッドノート(真紅の奇術師・f05130)
3位:アダム・レイン(ダイナソーライダー・f30865)
棄権:四王天・燦(月夜の翼・f04448)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月06日
宿敵 『こおりのあくま』 を撃破!


挿絵イラスト