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京は晴れから雪模様

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #大天使ロロサエル #陰陽師 #安倍晴明 #魔軍転生

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●寒波、襲来
 それは北風に呼ばれたか。雪は風に乗り、吹雪となる。
 蒼き軍勢、巫女雪女。京の都に寒冷なる支配を奉らんと馳せ参ず。

「来たぞ! 結界を最大に引き上げろ!」
 京の陰陽師達はいち早く危険を察知し、動き出していた。京とは中枢、故にオブリビオンに狙われることは十二分にあろうかと。
 張り巡らせた結界は魔の侵攻を食い止める。とはいえ四六時中結界でがちがちに守りを固めるわけにもいかないので、平時は最低限に留めている。
 そしてこういう有事の時こそ、陰陽師達は力を発揮するのだ。

「結界……ですか。さすがにそう易々と都を割らせてはくれませんね。ですが、こちらとて無策ではないのですよ。超・魔軍転生――従えしは、安倍晴明」
 後方に陣を構える大天使ロロサエルは、さも想定通りといった口ぶりだ。率いる巫女雪女にはいずれも薙刀や護符に歪な水晶を持っている。
 これこそが憑装の証。陰陽師には、陰陽師。
 果たして、戦の行く末は――。

●サムライエンパイア・2ndラウンド
「京の都を救ってください!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は、まず結論を突きつけた。大変だとかなんだとか、それはいつものことなので今回は簡潔に、明快に。
「幹部猟書家の『大天使ロロサエル』が大軍勢を引き連れて都に押し寄せてきているんです! 今はまだ都にいる陰陽師さん達が結界で押し留めていますが……ロロサエルも率いる軍勢に、あの『安倍晴明』を憑装させてパワーアップさせているんです!」
 多勢に多勢の大戦。しかし力の差は現れているようで、都を守る結界は遠からず、破られてしまう。
 そうなれば陰陽師達にはもう都を守る術がない。ロロサエル率いる大軍勢が都を蹂躙し、全てが氷に閉ざされたように失われてしまう。
「そういうわけなので、皆さんには陰陽師さん達に加勢する形で都に向かってもらって、ロロサエルを倒していただきたいんです!」
 そのロロサエルに辿り着くためには、まず率いる軍勢、巫女雪女を倒していく必要がある。ロロサエルが簡単に猟兵の接近を許すわけもなく、そしてロロサエルと戦っている間に結界を破られては元も子もない。
 後顧の憂いを断つ意味でも、まずは軍勢を討伐していくことが肝要だ。
「こんな時期に雪女というのは、なんか色んな意味で大変な相手ですが、皆さんならきっとできます! そんな熱い気持ちを持っていきましょう!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 このOP書いてる時マジ寒いんすよ……。

●フラグメント詳細
 第1章:集団戦『『巫女雪女』寒珠』
 雪女です。雪っぽい能力使います。
 結界とバチバチやってるんで、皆さんが戦うのは京の街のすぐ近くです。その辺りの平野です。振り返れば京の街も見えると思いますよ。
 その大軍勢を押し返しながら、ロロサエルの元まで進んでいきましょう。

 第2章:ボス戦『大天使ロロサエル』
 巫女さんやっつけた後は天使ですってよ。
 ロロサエルは憑装はしていない様子。でも普通に強いと思います。
 あっ焔使いますねこいつ。暖を取りたい方はどうぞ(?)

●MSのキャパシティ
 合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
 でも複数採用リプレイとかは気まぐれで書いたりするのでソロ希望の方は明記しておいてください。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『『巫女雪女』寒珠』

POW   :    神威雪護装(ゴッド雪だるまアーマー)
無敵の【自身が奉る神に寄せた雪だるまの鎧】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    出でよ守護兎
自身の身長の2倍の【乗り換え可能な雪狛兎】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    猟氷封縛陣
【対象を飲み込む水を生む護符】が命中した対象に対し、高威力高命中の【水ごと氷結封印する氷の護符】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

神海・こころ
アタシもラノベ好きだから、、、
異世界召喚とか?
厨二病くすぐる展開にはじめは胸を熱くしたよ?
でもさ可弱い女の子にこの能力は無いわー
こんなんじゃ、もとに世界に帰っても高校通えないよ、、、
(結界とか陰陽師とか非現実に遠い目をしながら黄金バットを片手で引きずり)

こんにちは?貴方達が敵かな?
うーん、あのさ、お互い痛いの嫌じゃん?
(近くの岩を軽いスイングで砕いて見せ)
大人しく引いてくれない?

やっぱダメ
なら仕方ないよね

攻撃を回潜り懐に潜り込んで、気絶攻撃を載せた黄金バットをフルスイングで叩き込みます
痛ぁ、やっぱ硬い!!!何その雪だるま

むぅ、なら手数!!!
砕けなくても衝撃は伝わるよね?
心が折れるまで叩き込むよ



●異世界に来たらガチガチの物理アタッカーだった件
 異世界召喚。神海・こころ(心海に沈む・f31901)には甘美な響きだった。
 元の世界では若年層向けのファンタジー小説をいくつも読んだ。定番だが鉄板の設定は何度読んでも心が躍り、こんなことが本当にあったらな、と空想したこともあった。
 それが何の巡り合わせか。実現した後諸々あって、今は徳川が治める日の本の国にいる。
 京の都は攻め入られようとしていた。周りで忙しく動き回っている者達は陰陽師で、彼らは結界を張って都を守っているのだとか。
 目の前に広がる、半透明のドームのようなものがそれだ。そしてさらに先にはおびただしい数の巫女雪女、寒珠の姿。あれは大天使ロロサエルとやらが率いているとかいう話だ。
「アタシもラノベ好きだから……異世界召喚とか? 厨二病くすぐる展開にはじめは胸を熱くしたよ? でもさ……」
 空想は、空想で終わるからこそ空想なのだとこころは理解した。故に非現実的な現実が目の前に叩きつけられた時、こころは逃避するように遠い空を眺めていた。
 日の本の国の空は、こころが見慣れた空に似ていた。それが唯一の救いだった。
 そして、こころに翳りを落とす理由はもう一つ。周りの騒がしい声で現実に引き戻されて、こころは手元に目を向けた。
 己の武器は黄金バットだった。純金らしい。相当に重いはずなのだが、こころは「ちょっと重いんだけど!!」とツッコミを入れられる程度で済んでいた。
 はぁ、とため息をついて腕をだらんと下げると、黄金バットの先端がごすっと地面にめり込んだ。こころはそのまま歩き出し、地面にはこころの歩みが浅い溝となって残る。
「可弱い女の子にこの能力は無いわー」
 ぼやく。誰も聞いちゃいないが、ぼやかずにはいられない。
「こんなんじゃ、もとの世界に帰っても高校通えないよ……」
 これからどんどん腕が太くなっていってしまうのか――迷惑な軍勢に目を遣りながら、こころはまた一つ、ため息をつく。

 結界は抜け出る者を拒まない。こころの前にははっきりとした軍勢があった。
 それぞれが薙刀を構え、または護符を持ち、こころを睨みつけている。
「こんにちは? 貴方達が敵かな? ……うーん、あのさ、お互い痛いの嫌じゃん?」
 相手は命を投げ捨てる覚悟のある者達かもしれないが、少なくともこころは嫌だった。だから適当にパフォーマンスして力の差を見せられればと、近くに半分顔を出した岩を見つけると、黄金バットを両手持ちし、軽いスイングで打ってみせた。
 まるでダイナマイトが埋め込まれていたかのように岩は破裂し、砕けた欠片が周囲に散った。
「だからさー……大人しく退いてくれない?」
「それは出来ぬ相談……我ら、大天使ロロサエル様の傀儡なれば」
「あー、やっぱダメ。なら仕方ないよね」
 巫女雪女の反応は予想していたところでもあり、気持ちの切り替えは早かった。
 こころが黄金バットを正眼に構えたのを見るや、巫女雪女達は一斉に襲い掛かる。
 得物の薙刀は歪な水晶を纏ったものもあった。首を捕りに来た薙ぎの一閃をこころはしゃがみ込んで回避する。そこへ立て続けに振り下ろされる水晶の刃。
「わっ……とっと」
 半ば四足歩行で転がるようにして刃を逃れる。振り下ろされた刃は地面を深く抉り、威力の高さを物語る。
「されるばっかりじゃ……ないよっ!」
 手近な巫女雪女に向けて、こころは反撃に転じた。強く踏み込んでその懐に入ると、黄金バットを若干上昇気味にフルスイング。
「――雪護装!」
 巫女雪女は護符を取っていた。彼女達が奉る神の力、雪だるまの鎧がその体を覆う。丸みを帯びたフォルムがガンと黄金バットを弾く。
 手に反動がじんと来た。
「痛ぁ、やっぱ硬い! 何その雪だるま」
「神を愚弄するか、この痴れ者!」
 怒りの刃は速い。こころは慌てて黄金バットを振り上げ受けると、後方に跳んで巫女雪女の射程を離れ体勢を立て直す。
 ずらりと並ぶ雪だるま鎧の巫女雪女達。いささか滑稽な光景だったが、笑ってもいられない。
「硬いなら……手数で押す!」
 再びの特攻。繰り出された薙刀の突きに、こころは片手で黄金バットを操り器用にいなす。刃が逸れたところへ一薙ぎがつんと打ち込んだ。
 弾かれるのも構わず、こころは二つ、三つと鎧を殴打する。そのうちにこころの背後へ回り込んできた巫女雪女達が刃を下ろしてきた。
「――っ、あっぶない!」
 ぎりぎりのタイミングで体を捻り、黄金バットを合わせて打ち払う。そして相手が身構えるまでに一撃、二撃と叩き込んで押し返す。
 数には数だが、なかなかハードな戦いだった。全方向に意識を向けて刃を止める。そして打ち込む、その積み重ね。
 それは静かに戦況を動かしていく。巫女雪女達が刃を向ける周期がだんだんと長く、動きも鈍く。
「砕けなくても、衝撃は伝わる……だから、心が折れるまで叩き込む!」
 こころは黄金バットを両手持ちに切り替えた。巫女雪女達の肌は元々青白く、変化は読み取れないが――振るわれる刃が遅い。ならば強く踏み込んでも間に合うと、こころは全身の力をバットに乗せてスイングした。
 鈍い衝撃が返ってきた。ビシッと鎧に亀裂が入り、ライナー性に吹き飛んだ巫女雪女は薙刀を手放し動かなくなる。
「もう……一本!」
 視界の端に見えていた。今度は振り向き様に大根切りの要領で強引に黄金バットを振り切る。巫女雪女の肩口に入った一撃が鎧を叩き割り、地面へと叩き伏せた。
 こうなればもう乱打戦だ。目に付いたところからひたすらに叩き、殴り、鎧が砕ければ儲けもの、そうでなくても気絶が通れば数を減らせる。
 やがて円形に出来上がっていく巫女雪女達の死屍累々。
 脳筋ステータスに感謝――まではしないまでも、こころは思いのままに立ち回れることに手ごたえを感じていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神海・こころ
◆内なるオウガとの問答

ハァハァハァ…
あぁ~もぅ!!しんど!!

グッパグッパ…と手の感触を確かめ
倒せば倒すほど身体が軽く、それに良く動きが見えるようになった
自分にため息をつくと胸元が青白く輝きます

『シャハハ~♪えらく調子いいんじゃないか♪こころ』
『オマエの身体は俺様の物だ♪俺様の為にもどんどん強くなるんだぜ♪』

シャーくん五月蝿い!いつか絶対!
アタシの中から追い出してやるんだから!!

『せいぜい頑張りなーおっ?なんか仕掛けてくるぞ』

えっ、兎?

突撃してくる動きを瞬時に理解し
動きを読み切って掻い潜り
兎の上に着地してバットを振り抜きます

もぅなんか超越してるよね
不思議と理解しちゃうんだ、もう負ける気がしないよ



●オウガブラッドの宿命
 腕が重い。まさかもう筋肉がついて太く――いやさすがにそれは。
 こころが黄金バットを振り回し始めてからどのくらい経っただろうか。巫女雪女は少しずつ数を減らしているが、未だ猟兵達の壁となっている。
「ハァハァハァ……あぁ~もぅ!! しんど!!」
 黄金バットから離した片手をグッパグッパと握って開けて。腕は辛いが体は軽い。どうやらこころ自身が猟兵として世界に馴染んできているらしい。
 その変化を喜ぶべきか否かは悩みどころだ。念願だった普通の女子高生からはだんだん離れてしまっている気がする。
 はぁ、と深いため息。すると胸元が青白く輝き出した。
『シャハハ~♪ えらく調子いいんじゃないか♪ こころ』
「む……」
 こころの内から響く声が耳に触る。彼女はオウガブラッド。その身にはオウガを宿している。
『オマエの身体は俺様の物だ♪ 俺様の為にもどんどん強くなるんだぜ♪』
「シャーくん五月蝿い!」
 一喝するが、シャーくんなるオウガはシシシと笑い、平気な様子。こころはいつか追い出してやろうと胸に決めた。
『せいぜい頑張りなー……おっ? なんか仕掛けてくるぞ』
「出でよ……守護兎!」
 巫女雪女は走りながら護符を払った。雪煙を巻き上げて現れたのは雪狛兎。巫女雪女は柔らかい毛を手掛かりに背へと飛び乗り、突進を仕掛けてきた。
「えっ、兎?」
 形は兎。しかし猛進する様は猪のようにも見えた。このままではぺしゃんこに踏みつぶされてしまう――。
「わっ!?」
 間一髪、兎の前脚が頭の上に落ちてくる直前に横へ転がり込んだ。こころが立っていた場所には象のような兎の前脚が地面にくっきりスタンプされている。
『おっと、戻ってきたぜ?』
「そう何度も……通じないよっ!!」
 巨大兎はぐるりとUターンして再びこころを踏み潰そうとする。だが今度はこころも前に出て真っ向勝負。前脚をかわして巨体の下に潜り込むと、蹴り上げられる後ろ脚にしがみつき大ジャンプ。
「やあぁぁっ!!」
「……!?」
 巫女雪女の背後を取り、空中から黄金バットを振り抜いた。ぼぐんと重い衝撃が手に走り、巫女雪女は横殴りに跳んで兎から落ちていく。乗り手を失うと兎は雪が溶けるように消えていった。
 また一体、巫女雪女を倒してこころは着地する。背後を見れば、他の巫女雪女達も次々と雪狛兎を呼び出して迫ってきていた。
「もぅなんか超越してるよね。不思議と理解しちゃうんだ、もう負ける気がしないよ」
 黄金バットを握る手に力が入る。望もうが望むまいがやるしかないと、こころはまた駆け出していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ポーラリア・ベル
【天候操作】で雪を増し増し。巫女様こんにちは!雪(で)合戦しよー!

ふぇあ!あのお札に囚われると凍っちゃう!封印されたら溶ける事無く冷凍保存なのだわ!
……それ、ポーラもやってみたいな♪

囲まれて一斉に飛ばして来たら、【雪兎軍団】を展開!
雪兎で護符を相殺して、かわいそうだけど凍ってもらうの!
ポーラはその隙に【残像】で離脱して、【天候操作】の吹雪に紛れて
巫女さんの懐に入って【怪力】で護符を盗って、ぺたんと貼って暴発させちゃおう!
自分が氷に封印されちゃう気分はどおー?とっても綺麗だよ♪
反撃してくる巫女さんには、残ってる雪兎さんをけしかけて攪乱&凍結でおじゃま!
その隙に沢山、巫女さん氷柱を乱立するのよ!



●凍る氷巫女
 戦場に突然、暗雲漂う。そしてびゅうと吹く突風と共に降ってきたのは雪だった。
「巫女様こんにちは!」
 また一人。ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)が元気よく飛び出してきた。くるりくるりと飛び回って巫女雪女達にアピールする。
「……」
 巫女雪女は氷のように表情を閉ざし、静かに護符を向ける。
「挨拶のできない人は、『めーっ』だよー!? それよりそれより! 雪合戦しよー!!」
「合戦ですか……では」
 戦場で行う雪合戦とは――すなわち雪による戦也。
 巫女雪女達は手にした護符を一斉にポーラリアへ投擲した。ピンと引き延ばされた護符がクナイのように鋭く飛んでくる。
『雪兎さんの力の想起! 戦場を支配せしは冬の遣い、ウィンターアーミー! セット! だよ!』
 ポーラリアへと集中する護符へ向けて出したのは小型の戦闘用雪うさぎだった。ぴょんと宙を跳ねるように飛んでいくと、護符と衝突し相殺した。雪うさぎは冷気へと変わり、護符を凍らせ撃ち落とす。
「……ならば、もう一度」
 巫女雪女は次の護符を取りポーラリアへと放った。しかし、今度は護符がポーラリアの体をすり抜け落ちていく。
「……残像!?」
 ポーラリアは霞み、消えていく。ならばどこかと巫女雪女達は目を凝らして探すが、件のポーラリアは巫女雪女達の目を盗み吹雪の中に紛れていた。小さき体。雪に紛れて素早く動けば、発見は容易いことではない。
「そのお札、囚われると凍っちゃう! ……ポーラもやってみたいな♪」
「……ぬっ!?」
 巫女雪女の服の中に質量のある何かが飛び込んできた。それは雪の中で隙を伺っていたポーラリア。襟元を怪力で強引に引っ張ると、内にしまいこまれた護符を引き抜きさっと宙へ飛んだ。
 抜いた護符は二枚。うち一枚をポーラリアはすぐさまべたっと巫女雪女の背中へ貼り付けた。
 護符からは水が生まれ、巫女雪女の体に纏わりついて呑み込んでいく。
「ぐ……この……!」
 巫女雪女は水の中から手を伸ばす。掴みにきた手をポーラリアはさっとすり抜けて、代わりにもう一枚の護符をぺしりと叩きつけた。
 護符からは冷気が放たれ、水を全て凍らせて巫女雪女を氷結封印していく。目と口を大きく開いた驚愕の表情で巫女雪女は固まっていた。
「自分が氷に封印されちゃう気分はどおー? とっても綺麗だよ♪」
 巫女雪女の返事は無く、ポーラリアは勝手に感想を述べ、次の巫女雪女へと向かう。
 護符が奪われるとあっては、巫女雪女達は身を固めるように警戒する。
「大人しく、氷漬けに……!」
「やーだやーだぁ! もっともーっと、巫女さん氷柱を乱立するのよー!」
 今度は護符が飛んでくる前に、ポーラリアは雪うさぎを巫女雪女達へ嗾けた。護符を投擲すればまた隙ができると巫女雪女達は逃げ回る。
 吹雪の中の追いかけっこが繰り広げられた。ポーラリアは巫女雪女達の進路に先回りして挟み撃ちし、その手から護符を奪い取ると、また体にべちんと貼り付けてしまう。
 巫女雪女が水の中で暴れるところへ今度は体当たりを仕掛けた。護符を潜ませてある場所は大体わかった。その場所に向かってぶつかり強引に次の護符を起動させ、また氷柱を作り上げる。
 そうして戦場には不可思議な氷のオブジェがいくつも作り出されるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナイ・デス
頑張っている、ですね
私も、加勢しましょう

サイキックキャバリア相当の「ダイウルゴス」は召喚せず
両手から『生命力吸収光剣』をだして
背からも光を放ち【推力移動ダッシュ】
雪だるま着ていても【鎧無視攻撃】聖なる光が、鎧を無視して癒せるように
光剣は鎧を無視して【生命力吸収】力を奪い、無力化していく

別に、奪い尽くしてもいいのですが
トドメは、任せます
私はその分……次々、やっていきましょう

【覚悟、激痛耐性、継戦能力】薙刀受けても止まらない
聖なる光が、どれほど壊れても死に繋がらない仮初の肉体を、再生する
氷結封印され肉体動かせなくても【念動力】で壊して戦う

兎がでたら「ダイウルゴス」召喚
【重量攻撃でなぎ払い】ましょう



●越えよ巫女の軍勢
「頑張っている、ですね。私も、加勢しましょう」
 先んじて飛び出した猟兵達の背を追って、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)が戦場へ飛び込んだ。左右に広げた手の先に光の刃を持ち、背には光の翼を背負い、一直線に突き進んでいく。まるでブーストエンジンを積んでいるかのような推進力だ。
「この先には……行かせません」
 巫女雪女達が薙刀を振り回し、ナイを止めに入ってきた。突き出される切っ先は鋭くナイに向かってくる。
 ナイは光剣を添えるように差し出してぶつけ、わずかに刃の方向を変えてすり抜ける。そして巫女雪女の体へ光剣を閃かせ斬撃を放った。一撃、巫女服を裂き、一筋の傷を与える。
「ぐっ……まだ、です!」
 ナイを追うように反転する巫女雪女だが、その動きはわずかに遅れる。ナイが傷を与えた光剣に秘められた生命力吸収の力が巫女雪女の体力、機動力を奪っていく。
 追い縋ろうとして、巫女雪女はがくんと膝を折った。手足が意識のままに動いてくれない。
「止めて……ください!」
 命まで奪われたわけではないが、追うことができず巫女雪女は後方に託す。
(奪い尽くしてもいいのですが……他の人が刺すなら、任せます)
 巫女雪女の無力化を念頭に、ナイは駆けていく。
 ナイの存在を脅威と見て、巫女雪女達は警戒網を固くする。複数が同時にかかってナイを相手取っていた。
 左右から同時に振るわれる薙刀はタイミングを合わせたかのように紙一重の距離で交差して飛んでくる。互いの得物の距離感を知っての連携攻撃だろう。それを光剣で一、二と弾いていくが、そこへ新たに三本目の薙刀が正面から向かってきた。
 ナイは光剣を交差して受け止めに入るが、力を溜めた一撃は光剣の守りを押し切らんと突っ込んでくる。点から線へ、刃が光を削って襲ってきたのをナイは体を傾けて回避する――。
 わずかに巫女雪女の力が勝ったか、ナイの肩口を薙刀が掠めた。薄い傷が走るが――ナイは足を止めない。傷を受けたまま突き出された薙刀の下へ潜り込むと、光剣で巫女雪女を斬り上げ突破した。
 傷には聖なる光を当てて治癒を試みる。裂けるように開いた傷は端からすっと閉じて消えていった。
「守護兎……召喚!」
「……来ました、か」
 巫女雪女の秘密兵器と言ってもいい巨大兎が召喚された。巫女雪女はそれを馬のように乗りこなし、薙刀を片手で振り上げてナイへと向かってきた。
「来てください……ダイウルゴス!」
 強大な敵を前に、ナイは呼び掛ける。それに応じたのは巨大兎よりもまだ巨大な黒竜、ダイウルゴスだ。翼で宙に留まったかと思うと、前脚で一薙ぎ、重い一撃を巨大兎にぶつけた。
「キュウゥ……」
「きゃああぁっ!!」
 爪が兎を抉り、いともたやすく消し去ってしまう。そして宙に放り出された巫女雪女もまた爪に攫われ、彼方へと飛んでいってしまった。
「もう少しです……ダイウルゴス、いきましょう!」
 新たな戦力を得てナイは前を向く。大天使ロロサエルが居座る本陣はもうすぐだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第三『侵す者』武の天才
一人称:わし 豪快古風
武器:黒燭炎

京の都は(自身が悪霊的な意味で)苦手なんじゃが…。まあよい。
陰陽師たちには、守りに徹してもらおうとするか。

二回攻撃…一度目はなぎ払い、二度目に炎属性攻撃+指定UCだの。
ふむ、雪だるま。…雪であるからこそ、消えぬ炎には弱かろうて。故に、それは無敵にはあらず。わしの前では、脆き鎧であるとしれ。
いつも『静かなる者(氷雪属性担当)』と話しておることが役に立ったの。



●自然の摂理に抗う能わず
 京の都は連綿なる歴史の中で重要な意味を持ってきた。故にその地は神聖視され、今この場に至っては陰陽師の守護する聖域となっている。
 馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は転送されてから一度も都の地を踏むことなく戦場に立っていた。悪霊の複合体という己の成り立ちでは、京の都は相容れない。
 その都を守る使命を負うとは数奇な縁だが、陰陽師達と下手に関わらなければ良いか、と流しておくことにした。
 黒槍、黒燭炎を手にした義透は地を蹴り、まだ残された巫女雪女達の討伐に当たる。巫女雪女は誰一人として諦念を持たず、主の言うがままに戦に赴く。
「神威……雪護装!」
 巫女雪女達の体が雪の鎧に覆われた。全体的に曲線を帯びた鎧は、彼女達の想像力に依って如何なる攻撃をも弾く無敵の鎧となる。
 絶対防御を手に入れた巫女雪女は攻めの姿勢を見せ、薙刀を振り回してきた。ほとんど特攻の状態で前のめりに突っ込んでくる彼女達を、義透は槍の薙ぎで受け流す。
 正面から一度、払い除けたかと思えば側面から飛び込んでくるのを、今度は体を捻りながら回避した。
 巫女雪女達の動きは単調だが、数に物を言わせて義透に襲い掛かっていた。薙刀を軽く受け流していると言うのに、これでは紐に打たれてくるくる回る独楽のようだ。
 具合が悪い。義透はタイミングを計って反撃に転じる。また一人、上段に薙刀を構えて斬り込んできた巫女雪女を半身横にステップして回避すると、鎧の脇を目掛けて槍で薙ぎ払った。
 鎧は雪と思えぬ硬度を持ち、ガンと重い音を立てて槍が弾かれる。
(ここまではまあ……無敵と言うに足る性能のようじゃが)
 義透は槍を返しながら、その穂先に炎を走らせる。そしてただ一点を狙い、槍を鎧へ垂直に突き立てた。
 ガツン、と一際けたたましい音を上げる。
「……無駄です」
 攻撃の終わりの隙を狙われた巫女雪女は動じず鎧で槍を受けていた。鎧に突き立てた槍は、確かに行く手を阻まれていたが。
「わしの炎は消えぬ炎よ。如何に強固とて、消えぬ炎に炙られれば――」
「……!!」
 鎧は未だ巫女雪女を守り続けているが、熱はじんわりと体へ伝わっていた。このまま炎を受け続ければ、自分の身は鎧の中で蒸し焼きにでもなるのではないか――。
 その疑念が、無敵という箔を剥がす。穂先の雪が一滴の水となり、じゅわと炎に焼かれていくと、瞬く間に鎧に亀裂が走り、
「やめっ――いやあぁぁ!!」
 槍が重く鎧を突き抜けた。巫女雪女の胴を貫き、そのまま内から鎧を破って串刺しにする。
「無敵とは幻想よ……わしの前では、脆き鎧であると知れ」
 引き抜いた槍は炎を湛え続けている。
「調子に……乗るなぁ!!」
 怒号と共に、巫女雪女達は雪崩れて襲い掛かってきた。薙ぎ、突き、振り上げと多種多様に迫る巫女雪女達。だが義透の炎を目にしてからは、もう鎧にかつての強度は存在しない。
 義透は丁寧に捌く。横からの薙ぎを上から叩き落とした後、穂先で袈裟に払うと鎧はざっくり裂けて鮮血が飛んだ。突きには下から捻るように槍を振り上げ、起き上がった上体に一突き入れて動きを止める。そこから巫女雪女を貫いたまま槍を振り回し、押し寄せる巫女雪女達をばきばきと薙ぎ払った。
(……『静かなる者』と話しておることがこんな形で役に立つとはの)
 蛇の道は蛇、ということか。黒槍を振るう義透の勢いは止まらない。

 そうして幾刻か狩り続け、ついに大天使ロロサエルへの道が開く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『大天使ロロサエル』

POW   :    月閃乱撃
【日本刀による隙無き連撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    月呪審判
【三日月の如き刃】【朧月の如き羽】【月蝕の如き呪言】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    月焔邪視
【魔眼や呪言】を向けた対象に、【精神や身体の内側から蝕む焔】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠筧・清史郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●破滅呼ぶ大天使
 巫女雪女軍、壊滅。
 しかし大天使ロロサエルは涼しい顔を崩さない。
「猟兵……やはりこの地に現れますか。私達はどちらかが過去諸共消えぬ限り、刃を向け続ける存在……なれば、すべきことは一つ」
 ロロサエルは刀を持つ手に力を込めた。
「果てるまで刻むか呪うか身を焼くか――好きなものを差し上げましょう。そうして永遠に滅びなさい」
水元・芙実
悪いけどどちらもお断り
天使だかなんだか知らないけれど、あなたはここで終わるのよ
それに攻撃の弱点は読めたし

幻炎合成法でロロサエルを中心にして高密度のスモッグで包み込むわ
貴方が息をするかはどうかは分からないけど、これなら視界も通らないし口を開ければガスが入り込むわ
まあ鼻からも入るけどね

あ、陰陽師の人余裕あったらアレを囲むように結界を作って閉じ込めて
濃度維持するのちょっと大変だし、何より相手が焦るでしょ?
何よりこれ炎なんかじゃ無くならないし

あの羽根とか服の中にも微粒子詰め込んじゃえ
あと目と耳とかにも、あ、靴の中にも入れちゃえ
あんまり美形ぶってるの好きじゃないのよ



●煙に消えろ
「悪いけどどちらもお断り。天使だかなんだか知らないけれど、あなたはここで終わるのよ」
 水元・芙実(スーパーケミカリスト・ヨーコ・f18176)は毅然とした態度で言い放つ。
「それに攻撃の弱点は読めたし」
「それはそれは。では、見せていただきましょうか……この魔眼を破る術とやらを」
 ロロサエルの双眸が怪しい輝きを見せる。魔眼に魅入られればその体を内から焼かれてしまう。芙実の動きは早かった。
「私に作れない物なんて……何もないっ!」
 狐火を飛ばす。紐で吊られたかのようにふわふわと上下しながらロロサエルの周囲に着弾していく。
「たかが炎などで……っ!?」
 芙実の狐火は燃やすために非ず。狐火の中から煙の如く噴き出してきたのは高密度のスモッグだった。毒々しい色を帯びたスモッグはロロサエルの姿を足元から徐々に呑み込んでいく。
 すなわち、スモッグで視界を遮断する算段。たとえロロサエルが呪言を持ち出してこようとも、大気を冒すスモッグは呼吸すらままならないほどに満ちていく。
「このような……ごほっ! ごほっ! ものなど……ぐぅぅっ!!」
 刀が時折走ってスモッグを切り裂くが、地面から新たに湧いたスモッグが流れ込んで傷を塞ぐ。
「あ、陰陽師の人! 余裕あったらアレを囲むように結界を作って閉じ込めてー!!」
 スモッグは拡散し体積を増していくが、それに合わせて芙実もスモッグを作り続けなければならない。都を守る陰陽師に向けて指示を出すと、手隙の何人かが簡易的な結界を作り、ロロサエルごとスモッグを閉じ込める。
「ふー、これで一安心。ロロサエルもこれでちょっとは焦るかな?」
 ロロサエルは刀を諦め翼で一気に吹き飛ばそうとするが、陰陽師達の結界が一足早かった。翼が半開きの状態で結界につっかえ、身動きが取れない。
「ぬぅ……ごほっ、この陰陽師共が……ごほっ!」
 結界を叩き割ろうとロロサエルは刀を振り回す。半透明の結界にガン、ガンと刃の衝撃が響くが、スモッグによって距離が計れず、しかも呼吸もままならない中では刀に力をうまく伝えられず苦戦を強いられていた。
「あー羽とか服とか、色んなところに微粒子詰め込んじゃえ」
 芙実はさらにスモッグの燃料となる狐火を投下する。狐火が落ちた所からまたスモッグが生成され、ロロサエルを苦しめる。
「ぬぉぉ……入り込んで、来るなぁ……っ!」
 ロロサエルの苦悶は声で届くのみ。その表情、見たくもあり、見たくもなし。
 美形ぶるのは好きじゃない。芙実は目一杯スモッグを送り込んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神海・こころ
永遠に滅びるのはアンタのほうだよ!!
アンタを倒してこの戦いを終わらせてやる!!覚悟!!

リュックからスペアの黄金バットを取り出して
黄金バット二刀流!!

月閃乱撃の中を可能な限り弾き、見切り、受け流し
激痛耐性でやせ我慢しながら距離を詰めます

【巫女雪女に感謝かな?あの戦いがなかったら耐えられなかったかも】

アタシなんて羽虫かもしれないけど---
アタシはこんなもんじゃあきらめない!!
死中にこそ活路を見出すんだ!!

致命傷の一撃を避けきり
ガッと懐に飛び込んで気絶攻撃を乗せた二刀流の連撃を
無慈悲に叩き込みます

ーーーー覚悟!!!!



●黄金バット抜刀劇
「永遠に滅びるのはアンタのほうだよ!! アンタを倒してこの戦いを終わらせてやる!! 覚悟!!」
 敵意を剥き出しにしてこころは飛び掛かっていた。ロロサエルへ辿り着くまでに振り回していた黄金バットの他にもう一本、スペアを取り出しての黄金バット二刀流だ。
「いい……でしょう……来てみなさい!」
 まだ呼吸は完全には戻らず、体中がざらざらした感触で気持ち悪かったが、ロロサエルはこころを迎え撃つ。陰陽師達の結界をどうにか打ち破り、自由を得たロロサエルの刀捌きは本来の隙の無い動きを取り戻しつつあった。
 袈裟に斬りかかる――こころは右の黄金バットで受けた。しかし刃を滑らせながら振り切ったロロサエルは素早く手を返し、下方から胴へと斬りかかる。
「うわっと!」
 咄嗟に腰を引き、腹を抉ってきそうな斬撃を回避する。切っ先がピッと衣服を掠め、裂け目ができていた。
「このぉ~!! これ『お気に』なのに!!」
 今度はこころがブンと黄金バットを振り回す。引いた腕から遠心力を利用して放たれた薙ぎの一振り。ロロサエルは刃の根元を使い、ガンと受け止めた。
 押し合いになった。共に片手だが、ロロサエルに分があったか、ぐっと前に踏み込まれこころは押し飛ばされた。
 黄金バットに引っ張られるように後ずさりするこころに追撃の一突きが放たれた。こころは体を捻るも、脇腹に切っ先が突き刺さり、貫くように斬り裂いていく。
「うぐぅ……負け、ないっ!!」
 斬られるというのはこんなに痛いのか。ジンジンと痛みを訴えてくる脇腹に喝を入れるように歯を食いしばり、こころはまた前に出た。
 痛い思いは嫌だが、それを恐れて敵に背を向けるのはもっと嫌だった。この世界にだって、現実逃避で来たわけではない。自分に与えられた役目を見出すためにここに来たのだ。
(巫女雪女に感謝かな? あの戦いがなかったら耐えられなかったかも)
 経験とは成長だ。こころは戦いの中で成長している。集団での猛攻が強烈な一撃に変わっただけのこと。巫女雪女を退けてきたこころなら――そこから一歩、先へ踏み出せる。
「目障りです……死になさい!」
 ロロサエルはこころの踏み込みに合わせて刀を水平に薙いでいた。それは首を取る一閃。
 死ね、とは軽々しく物を言う。ロロサエルにとってこころは羽虫に過ぎない相手なのか。命奪うこと容易ければ、ここまではただの手遊びだったというのか。
 戦を知らぬ弱者――違いない。しかしそれは過去の話。身を捨てて飛び込んだ経験が、こころを生かす。
 全身の力を抜く。こころの体がすとんと落ちる。頭上を刃が通り抜けていた。
 刀が抜けていったのを感じ取り、両脚に力を込めてロロサエルの懐へ突進する。同時に両手の黄金バットをぐぐっと握り締めた。
「――覚悟!!」
 ぶおんと左から横薙ぎ――逃がさない。翼を広げて飛ぼうとしたロロサエルの胴をぐぼんと殴った。
「おぉぅ……っ!!」
 ロロサエルは一瞬、視界が真っ白になったように感じた。そのホワイトアウトの間にもう一撃、右から急激な弧を描いて黄金の殴打が脇腹に突き刺さった。
 こころが斬られたのと同じ場所、仕返しだ。
「ぐあぁぁ……こ、このっ……がはっ、はぁ、はぁ……」
 肺が下からぎゅむっと潰されたような感覚で呼吸がままならない。よろめき、膝をつくロロサエル。
 刀を地面に突き刺して体を支えるロロサエルの顔には、流れ落ちるほどの脂汗が浮き上がっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『侵す者』。武器もそのまま。

ああ、指揮官である猟書家か。
まあ、負けるわけにはいかんてな。油断はせぬよ。

【それは兵のように】で召喚した兵には、炎属性を持った矢で羽を攻撃、燃やしてもらおう。
刃は四天霊障での三重属性(風、氷雪、重力)防御オーラで防ぐとして。
なあ、どうやって悪霊を呪うというのだ?悪霊に呪いは馴染みあるものぞ(呪詛耐性)
わしは本当に近接での。黒燭炎によるなぎ払いを数度したのち、なぎ払うと見せかけて刺突としよう。だまし討ちじゃの。



●悪しきは得手也
「……ああ、指揮官である猟書家か」
 このサムライエンパイアという世界では随分と浮ついた姿に、義透は首を傾げそうになった。
 天使、それは異教の象徴だ。そういう意味では猟書家として相応しいのかもしれない。
「まあ、負けるわけにはいかんてな」
「こちらとて……それは、同じこと……ぐぅ」
 ロロサエルの衣は厚手だが、猟兵の攻撃により破損が見られる。当然、ロロサエル自身にもダメージは通っている。
「手負いに手抜かず。手心無用……援護の者たちよ、ここに」
 義透は両脇にずらりと弓足軽を並べた。陣笠には数字の1が刻印され、総勢98名。矢の先には炎が灯る。
『我、望むるは月の審判――秘匿せし裏月光なり』
 呪を唱え、ロロサエルが翼を広げて飛び出してきた。翼で風を掴み、地表を滑空して義透へ刀を振る。鋭きこと三日月の如し。銀の円弧が飛んでくる。
 対し義透は眼前にオーラを張る。風、氷雪、重力という三つの属性を備えた混沌のオーラ。ロロサエルの刃を受けてぐんと沈み込んだオーラだが、弾性力による衝撃がバンと両者を対極の方向へ弾き飛ばした。
 義透は浮いた足裏を空中で水平に保ち、滑りながら着地する。
「……ま、防いだから良いとして……射掛けよ」
 静かなる令。弓足軽は一斉に火矢を構え、撃ち放った。
 火矢は大きく広げられたロロサエルの翼を狙う。宙は火の海。反動から姿勢を持ち直したロロサエルは羽を飛ばして迎撃した。
 羽の一本一本が火矢に射抜かれ燃え尽きる。羽を撃ち尽くせば火矢は全て防げるか――しかしそれでは飛翔に影響が出てしまう。羽で撃ち落とせぬものは刀で払ったが、翼は大きな的だった。左右正面から向かってくる火矢全てには対処しきれず、数本翼に刺さって燃え上がる。
「ぐっ……ならば!」
 燃える翼でロロサエルは飛翔する。風圧が火を消し去ったが、燃えた部分には穴が開いて翼の機動力は落ちていた。それでも地を駆けるよりは早く、義透を狙う。
『裏月光は月の陰――月を蝕み冥と成せ』
 刀を突き出し、呪言を完成させ義透へと迫った。再度の接近に、義透は槍を取り両手で薙ぐ。切っ先と穂先がぶつかり双方弾き上げられたが、ロロサエルは書に昏い光を浮かび上がらせながら義透へ呪の方陣を突きつけた。
 対象を縛り付ける方陣だ。しかし呪詛の光を受けてなお、義透は槍を手に動く。
「わしは悪霊――悪霊に呪いは馴染みあるものぞ」
 刃も効かぬ。羽も効かぬ。そして呪言までも効かぬとは。方陣を維持して動けぬところに返ってきた槍が袂を裂き、ロロサエルの腕に深い傷を与えた。
「その身……悪霊、かっ……!」
 退避するにも焼かれた翼は重かった。義透は力を溜めながら槍を続けて薙ぎ払い、衣ごとロロサエルを裂き散らす。
「気づかぬとて恥は無し……さぁ、落ちよ」
 もう一歩深く踏み込み、殴り落とすような薙ぎ払いを見せた。ロロサエルは地に足をつけて蹴り出す勢いで離脱しようとしたが、薙ぎの範囲から槍がぐぐっと伸びてきた。
 再三同じ攻撃を続け、槍の軌道を覚えさせた。そこから変じてのだまし討ちの突きはロロサエルの距離感を狂わせる。
「ぐおぉっ……!」
 腹に一突き。衣に隠れて先は見えぬが、手ごたえは確かに芯を貫いている。
 ロロサエルは震える手で刀を振り、槍の柄を叩きながら後方に跳んで強引に腹から槍を引き抜く。群青の垂には濃赤の血がどろりと流れ落ちていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

火土金水・明
「京の都をあなた方に蹂躙される訳にはいきません。絶対に阻止させてもらいます。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】と【貫通攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】で、『大天使ロロサエル』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】【呪詛耐性】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。


ナイ・デス
私は、本体がどの世界の、どこにあるのか
どんな状態なのかも、わかりません
もしかしたら、次の瞬間には本体が壊れ、私は死ぬかも、です
けれど、それまでは。それでしか
私は、死なない。私は、死ねない
『いつか壊れるその日まで』

「今」から消えるのは、あなたです!

体内。全身どこからでも発せられる聖なる光で【推力移動ダッシュ】して
両手から【鎧無視して生命力吸収】する聖なる光の【レーザー射撃】を、剣のように【なぎ払い】
光に触れたところが、今に生られないように、在れないように奪い尽くすことで、消滅させての【切断】にかかる

【覚悟激痛耐性継戦能力】斬られ呪われ燃えても、光が瞬時に癒すから

あなたが果てるまで、私は止まらない


ポーラリア・ベル
焼くのも斬られるのもやだー!
君もひえひえにしちゃうんだから!
【セルフフローズン】で斬撃を防ぐよ!
でもすきが無いから近づけない!
こうなったら氷漬けのまま力を開放して、斬撃そのものを凍らせて、氷にくっつけていって、それを冷気で伝って大天使さんも凍らせるんだから!
(一緒に、眠ろーって、氷の中で思いながら)



●天に昇れぬ天使なれば
 滅べ、と言われて滅べるなら――。
 滅びたくはないが、滅ぶに滅べぬその体。ナイは両手から聖なる光を刃のように迸らせてロロサエルに突撃する。全身から後方へ噴射し推進力としている光はまさに翼だった。
「こちらへ……来るな!」
 ロロサエルは魔眼で制しようとした。ナイの体内がどくんと疼く。全身から発する光の根元に焔の侵食が見られたが、光がすぐに打ち消していく。
 痛みはある。体の中心から込み上げてくる熱はマグマだ。喉元にマグマがせり上がってきたようだった。
 しかしナイはごくりと呑み込み体内に熱を押し込んで耐える。熱い。焼ける。吐き出したほうが楽だったろうが、ナイは体に受けた全ての痛みを力へと変えていた。
「私は、本体がどの世界の、どこにあるのか、どんな状態なのかも、わかりません」
 右手の光の刃を伸ばして斬りつける。ロロサエルは魔眼を維持したまま穴あきの翼で飛ぼうとしたが、手にした書を斬り裂かれ取り落とした。
「もしかしたら、次の瞬間には本体が壊れ、私は死ぬかも、です」
 続けて左手の光の刃を、遠ざかるロロサエルへ突き出すように伸ばした。ロロサエルは刀を受けに使って光の刃を止めるが、
「けれど、それまでは。それでしか、私は、死なない。私は、死ねない。『いつか壊れるその日まで』」
 ナイの右手の光は長く、長く。まだ自分が大切にしたい物を掴むことはできないけれど――皆が大切にしたいこの世界は、掴める。
「『今』から消えるのは、あなたです!」
 天を突くほどに伸びた光が振り下ろされた。ロロサエルの左肩から垂直に斬り込み、左腕を切断した。
「ぐああぁぁぁっっ!!」
 断面から溢れるのは鮮血――そして生命力だった。ナイは奪う。その生が再び現れることのないように。
「京の都をあなたに蹂躙される訳にはいきませんからね。その存在――阻止させてもらいますよ」
 腕を切断され暴れるように苦しむロロサエルを狙うのは火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)だった。ロロサエルに魔眼を向ける余裕はない。明は十分に高めた魔力で氷属性の魔法の矢を二重に生み出す。
『我、求めるは、冷たき力』
 バシュン、と一段目が放たれる。押し寄せる魔力の集団にようやくロロサエルは顔を上げ魔眼を向けるが、無数の矢が壁となり明まで視線が届かない。
 ロロサエルは矢の対処を図る。刀で払い除けるには多すぎた。着弾を見極め避けるしかないが、左腕を失った分、体の重量バランスが崩れて翼での飛行が傾いてしまう。
 ならば合わせ技で刀を振るが、矢は手元で急激に曲がりロロサエルの刃を巧みにすり抜けていく。魔力操作の類なのか――明が仕掛けたフェイントが魔法の矢を生かしていた。
「うぐっ――がああぁっ!!」
 全身を針山のように矢で射抜かれる。しかしまだ一段目だ。ロロサエルの叫び声の中で撃ち出された二段目の矢がロロサエルという一点に狙いをつけて飛来した。
 凍てつく体に重ねて降った氷の矢がずぶんと突き刺さり、ロロサエルの体を地に縛った。刀を地面に突くがそれでは鉛のように重くなった体を支えきれず、膝を折って倒れていく。
「わーいひえひえにしちゃうー!!」
 冷気漂う戦場でポーラリアは生き生きしていた。冷気の発生源となっているのは、今や氷の矢で蜂の巣にされたロロサエル。刀を振り回して抵抗されたら近づけず悩みどころだったが、ナイと明のお陰でロロサエルはもう満足に刀も触れずにいる。
『妨げる者と共に永劫の眠りを。起こさないでね!』
 ポーラリアが解放する極限の氷の力は自身の体を超硬い氷漬け状態にした。周囲に冷気を放ち凍てつかせ続ける状態は、今のロロサエルとよく似ていた。
 飛行の慣性で氷漬けのポーラリアはそのままひゅーんとロロサエルに向かって飛んでいた。
「……っ、ぐぅっ……」
 一つ飛べば難なく回避できるのだが、その一つが困難だった。翼は凍り付いて使い物にならない。足も固まり動かない。辛うじて首は左右に回せるが、それではどうにもならなかった。
 ポーラリアという氷塊に目を背ける暇もなく、ごしゃっと顔面に受けていた。それで跳ね飛ぶかと思えば、氷塊はロロサエルの顔を潰したまま付着した。
 頭が一気に重量を増して、がくんと首が項垂れる。その中で氷塊からロロサエルの顔へ氷の侵食が始まった。頭、首、肩、胴と急速に広がる氷はポーラリアの言う通り、ロロサエルという天使を永劫の眠りへ――。
(一緒に、眠ろー!)
 さてさて、ポーラリアの願いは通じたか。ロロサエルは答えぬまま氷の彫像となる。
 透き通った氷の中で、過去の海へと還っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月29日


挿絵イラスト