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椿の咲く景色

#サムライエンパイア #猟書家の侵攻 #猟書家 #ブラザー・アポストロス #破戒僧 #コルテス #魔軍転生

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 破戒僧、顕林が今週の献立に必要な物を求めて宿場町に訪れると、絶景が広がっていた。
「どうしたのだ、この椿は」
「すごいでしょう?」
 軒先だけでなく、辺り一面に咲き誇る椿の花々に驚嘆していると店主が商品の魚を片手に出てくる。
「最近ブラザー・アポストロスというお方が来てくださってな」
「ブラザー・アポストロス?」
 聞き馴染みの無い人名に顕林はオウム返しをする。山の反対側に住む顕林は知らなかったか、と店主は交換対象の野菜を受け取りながら話を続ける。
「最初は胡散臭い奴だと思ったんだが、『懺悔室』っていうのを作って下さってみんなの愚痴を聞いて下さるんだ。そしたら、俺たちが生きてて苦しい思いをしているのは、それ自体が神から与えられた試練なんだってよ。で、それを乗り越えることが出来た者だけ死んだ後、神に赦されれば、喜びと共に蘇ることが出来るんだと」
「ふむふむ」
「この一面の椿も神の御業……だってか? それで一気に街中に咲かせて下さったんだ。凄いよなぁ」
「……そうか」
 感嘆する店主の言葉を適当に聞き流しつつ、顕林は風で揺れる椿を手に取ってじっと見つめた。

「皆さま、ちょっとお時間よろしいですか」
 ひょっこり顔を出したルウ・アイゼルネ(マイペースな仲介役・f11945)は、近くに偶然いた猟兵達を手招きした。
「サムライエンパイアに『顕林』さんという破戒僧がいらっしゃるのですが、その方が住んでいる庵の近くの町で変なことが起きている、という知らせがありました」
 顕林曰く、街に椿が大量に咲き誇っているという。
 しかし椿が咲く季節はちょうど今頃である。特におかしな事だとは感じない。
 顕林ももちろんそれは承知している。にも関わらず、猟兵に伝えたのは彼が植物に精通していたが故であった。
「顕林さん曰く、『本来なら秋の内に散るはずの椿』ですら生き生きと咲いていた……とのことです。しかもその椿は街の人からの話では自然に植えられたのではなく『神の御技』で地面から突然生えてきてそのまま咲いたそうなんだそうです。……明らかに常軌を逸脱してます」
 そして街の人から出た神の御技を使った人物が大問題だったのだ。
「……『ブラザー・アポストロス』」
 サムライエンパイアに上陸したうちの1人。遅効性の洗脳ユーベルコードを操り、数十日掛けて町中の人間を洗脳し、無抵抗になったら皆殺しにする、という作戦を取っている猟書家である。
「おそらく、例の椿はコルテスを憑依させたオブリビオンでしょう。そのポンコツさが季節違いの椿を咲かせ、正体を露見させるきっかけになってしまった……というのは笑ってしまいますがね」
 だが、それを笑って眺めているだけではいけない。いくらポンコツであろうとコルテスは全盛期はめちゃくちゃ強かった(らしい)。
 このままでは猟兵と違って、大して鍛えておらず洗脳されてしまった町民達は根こそぎ殺されてしまうだろう。
「そこで、今すぐその宿場町に向かってもらい、椿の駆除とブラザー・アポストロスの討伐を行なっていただきたいのです」
 顕林によるとこの宿場町にはそもそも植物が生えてなかったそうで、椿は全てここ一週間で生えた物ばかりとのこと。目につく物全てが敵だと考えても問題は一切ない。
「それに顕林は皆様のために椿の生えている位置は把握してくださっております。決まった活動場所を持っていないブラザー・アポストロスの居場所の見当はまだついてないそうですが……我々が大暴れしているところを見たら間違いなくあちらも動き出すでしょう。それでは、よろしくお願いします」


平岡祐樹
 海賊のお時間ですが、一旦陸地にも戻りましょう。皆様お疲れ様です、平岡祐樹です。

 今回は椿咲き誇る宿場町でブラザー・アポストロスの捜索を行なっていただきます。

 今依頼にはプレイングボーナス「破戒僧と協力して戦う」がございます。猟兵ほど強くはありませんが、この町に詳しい顕林と協力するプレイングがあると有利に動きやすくなるため、皆様お試しくださいませ。
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第1章 集団戦 『たたり椿』

POW   :    花さくように
【椿色の斬撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    根腐れて絶え
自身に【怨念】をまとい、高速移動と【触れたものを腐らせる呪いの花弁】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ぽたりと首落とし
【自在に伸びる髪】が命中した対象を切断する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:灰遠雷

薄々思ってたんですが。コルテスって忍びに向かない人ですよねー。付け入る隙なので好都合ですけどー。
顕林殿。ここで街を見渡せる高い所(例:櫓)ってありますー?
ふふ、誰かの故郷を守ることは、『私たち』の誓いですのでー。

位置どったのならば、視認範囲全ての椿に【四天境地・雷】で攻撃を。
ええ、視認した椿の数だけ、矢は増えますのでねー。

(以下、ちらりと口調『複合型悪霊』)
怨念は悪霊のそばにあるものぞ。その様なものが効くと思うか?(四天霊障による結界術+呪詛耐性)
まして、灰遠雷は呪詛で黒くなっている。呪いで腐ると思うか?



「薄々思ってたんですが。コルテスって忍びに向かない人ですよねー。付け入る隙なので好都合ですけどー」
 のほほんと笑いながら苦言を呈した馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は待ち合わせ場所に待機していた顕林に向けて手を挙げる。
 猟兵達の到着を待っていた顕林が下げた頭を上げたところで、義透は質問を投げかけた。
「顕林殿。ここで街を見渡せる高い所ってありますー? 例えば櫓とか」
「櫓ですか? それでしたら街の四隅と入口の門の辺りにそれぞれ」
「そうですかー。意外にやる場所は多いんですね、やり易くて何よりですー」
「申し訳ない。本来であれば私の手だけで対処するべきなのだが……」
 何となく気になって聞いただけの話が予想外の大事になったと思っていて、恐縮する顕林に義透は手を振る。
「ふふ、誰かの故郷を守ることは、『私たち』の誓いですのでー」
 そう言って街の中に入っていった義透は櫓に立てかけられた梯子を上がっていく。その姿を咎める人の姿は周囲には無い。
「さて、始めますかー」
 呪詛を込めて黒く染まった弓を引き絞り、天に向けて放つ。
 空中で分裂した矢は重力に従って放物線を描くと、義透の視界に入った全ての椿に刺さった。
 突然の敵意ある攻撃に、椿はゆらゆらと揺れて根を抜いて義透のいる櫓へと迫る。その花弁から発せられる怨念を感じ取った義透は閉じた目を開いて呟いた。
「怨念は悪霊のそばにあるものぞ。その様なものが効くと思うか? まして、灰遠雷は呪詛で黒くなっている。呪いで腐ると思うか?」
 雷と呪詛が込められた矢は向かい来る花弁を焼き散らし、本体を矢達磨にしていく。
 そして体の端々を燃やしながら何とか櫓の元へ辿り着いた椿は蔓を梯子にかけて登ろうとしたが、自らの怨念で腐らせて地面に落ちていった。
「ここで櫓の柱を壊す選択をしない辺り、本当に戦下手なのだな。……まあ、こちらにとっては好都合ですがねー」
 目を閉じ、いつもの口調に戻った義透は軽く跳んで、枯れて倒れた椿の隣に着地する。
「この騒ぎでもやって来ない感じだと、共有はされてないようですねー。なら、さっさともう3ヶ所も除草してしまいましょー」
 着物の裾をはためかせ、義透は人通りの無くなった殺風景な道を進んでいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イリヤ・クニーガ
※アドリブ・連携歓迎です※

洗脳して皆殺しとは実に穏やかではありませんね。そのような行い、見過ごせませんので紳士的にコルテスにはご退場願いましょう。

顕林殿、ちょっと町中で椿を爆破しても構いませんか?あぁ、建物に影響は及ばないようにいたしますので……ええ、椿はよく燃えるものでして。

椿を【パンジャンドラム】にて、爆破除草します。近寄ってくる椿あらば、銃剣にて刈り取って差し上げましょう。距離をとっても無駄ですよ。制圧射撃にてお相手します。

最大の目的は、いち早く敵の群れを殲滅することです。たたりなど紳士的に焼き払って差し上げましょう。



「洗脳して皆殺しとは実に穏やかではありませんね。そのような行い、見過ごせませんので紳士的にコルテスにはご退場願いましょう」
 夜中の優雅なティータイムと洒落込んでいたイリヤ・クニーガ(銃剣突撃系紅茶紳士・f32101)は空になった茶器を戻すと、顕林へ唐突に尋ねた。
「顕林殿、ちょっと町中で椿を爆破しても構いませんか?」
「はぁ!?」
 顕林の頭の中で椿と一緒に街並みが爆破され、火の海が広がる光景がみるみるうちに広がっていく。そのすっとんきょうな声と一気に険しくなった表情から顕林が何を思ったのかが察しのついたイリヤは笑って手を振った。
「あぁ、もちろん建物に影響は及ばないようにいたしますので……ええ、椿はよく燃えるものでして」
 そして町に向かってイリヤが用意した大量の自走式爆雷が転がりだした。
 少し検索すればとてつもない量の失敗エピソードが出てくるパンジャンドラムであるが、それ故に研究する物好きを多く引き寄せ、構造上の欠陥部分は大体洗い出されている。
 当時簡易化のために没案になった、方向を安定させる部品であるジャイロスコープなどを導入したり、コンピューターによるシミュレーションなどでロケットの直進力の回転力変換をある程度予測した上で設計したりすることで、それらの問題点を解決することさえ出来れば狙い通りに転がせるのだ。というか実際出来た。
 今回用意したのは当然後者の物である。いくら英国紳士と言えども勝算の無い賭け事には挑まないのだ。
「しかし文明の進歩というのは素晴らしいな。昔は海軍のお偉い様方に向かって制御が利かなくなったパンジャンドラムが突っ込んで阿鼻叫喚になったものよ。いや、あの時は傑作だった……何、ずっとずっと昔の話だよ」
 なんちゅう物持ち込んでくれたの、といわんばかりの目つきにイリヤは昔を懐かしみながら銃口の下に刃を装着した。
「最大の目的は、いち早く敵の群れを殲滅することです。たたりなど紳士的に焼き払って差し上げましょう」
 花弁の下から伸びてきた髪がパンジャンドラムの車輪部分を切り、横転させる。しかしその場で爆発四散して生じた火が髪を伝って、全身に燃え移る。
 切ったら爆発するなら身を挺して止めようとした椿はロケットから噴射された火によって炙られた。
「さぁさぁ来なさい、銃剣にて刈り取って差し上げましょう。距離をとっても無駄ですよ。制圧射撃にてお相手します」
 壁を壊さずとも自分から出てきてくれる椿に感謝しつつイリヤはスコープを覗き込み、引き金を引いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

尾崎・ナオ
久々サムライエンパイア~。
顕林さんにペコリとお辞儀。
一応ね~、お寺さんには敬意を払うようにって、ナオちゃんの前の飼い主が言っててさ。破戒僧ってお坊さんなんでしょ? じゃあ従わなきゃね。

「顕林さん、椿の場所、も少し詳しく教えていただけます、か!」
普段あんま敬意とか払わないから敬語が難しい…が、やってみる!

詳細な場所を知りたい理由は、射撃攻撃をしたいから。
使うUCを説明して、この場合に適した場所はどこになるか相談するよ。
ついでに真の姿も話しちゃおう。つまり、万が一の場合は猫になって逃げる、と。

現地についたら相談した場所で位置取り。
サイレンサー付けた拳銃で、UC発動。
クイックドロウ328、早業84



「顕林さん、椿の場所、も少し詳しく教えていただけます、か!」
 出会って早々にお辞儀をした尾崎・ナオ(ウザイは褒め言葉・f14041)は口の端をピクピクさせつつ、明らかに話し慣れていない敬語で顕林に話しかけていた。
「……ええと、尾崎さん。私は敬語で話されるような徳の高い者ではありませんので、肩の力を抜いてもよろしいのですよ?」
「いえいえいえ、そんなことはな、ございません!」
 破戒僧とはすなわちお坊さんである。「お寺さんには敬意を払うように」という、大事な人の言葉に反することは出来ない……したくないのだ。
「まぁ……そうしたいのなら止めはしませんが、無理だと思ったら止めても大丈夫ですからね? で、どこのを知りたいのですか?」
「あの、これなんですけど」
 そう言って尾崎は懐から一丁の拳銃を取り出した。
「これ、当てた物、燃やすんです。そしたら、燃え移っちゃったら、大変なことに……」
「なるほど、延焼しないような位置に生えている椿の場所が知りたいのですね。でしたら……あの辺の河川敷はいかがでしょう。家からは遠く、かけてある橋も石製なので燃え落ちる心配がありません」
 顎に手を当てながら宿場町を横断するように流れる水の線を指差す。
「ですが、その分椿が多く群生している場所でもあります。何も考えずにいけばひどい目に合うかも……」
「あ、見せたいことがあります」
「はい」
 首を傾げた顕林の前で宙返りしてみせた尾崎は黒猫の姿となる。そして一鳴きして待っていると顕林は真一文字に結んでいた口を開いた。
「……万が一の場合は猫になって逃げる、ということですか。分かりました、あなたが出来るというなら私はそれを信じるのみです」
 顕林の後押しを受けた尾崎は河川敷にたどり着くと人間の姿に戻って拳銃を構え、目にも止まらぬ速さで撃っては装填撃っては装填を繰り返していく。
 サイレンサーによって音を軽減された弾丸は一面椿の花畑の中に消えると、発火して河川敷を火の海に変えていく。
 椿は自分の花びらと全く同じ色の衝撃波を放って周囲の仲間を切り捨てて安全を確保しようとする。しかし炎はまるで意思を持っているかのように舞うと、空白地帯を超えて延焼していった。
 パチパチと爆ぜる音を聞きながら尾崎はその場にしゃがみ込むと空一面の星空に目をやりながら、自信なさげに呟いた。
「ばあちゃん、ナオちゃんちゃんと礼儀正しくやれてたかな?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニクロム・チタノ
椿は綺麗だけどずっと咲きっぱなしだと、風情が無いね!
おーい顕林さん、椿が一番咲き乱れてる所ってどこですか?
なに、ちょっとお花見をね。
綺麗な蒼焔の華を咲かせようかと。



「おーい顕林さん、椿が一番咲き乱れてる所ってどこですか?」
 ニクロム・チタノ(反抗者・f32208)からの質問に顕林は河川敷だと断言する。流石にあの量を一人に任せるには数が多すぎると思っていたところの提案だった故に、渡りに船とばかりに言いよどむことなく即答できた。
 だが聞いてすぐ何も言わずに向かおうとする即決な態度にはさすがに焦り、その後ろ姿へ声をかける。
「しかし、なぜわざわざそんな質問を?」
 ニクロムは顕林へ振り返ると、割れたのか半分だけしかない仮面越しに不敵な笑みを浮かべた。
「なに、ちょっとお花見をね」
 そう言って今度こそ駆け下りていったニクロムの視界に火の海によって照らされる川と真っ赤な椿が映り込む。対岸の火事とはいえ、同胞が燃やされているという事実に驚愕しているのは椿は音を立ててひとりでに動き出した。
 椿は自分たちのいる側にいたニクロムの姿に気づくと、バレてしまっては仕方ないとばかりに花びらの下から一瞬で生えてきた黒い長髪を振り回し、椿色の衝撃波を飛ばす。
「椿は綺麗だけどずっと咲きっぱなしだと、風情が無いね! だからさ」
 それを笑って受け止めたニクロムの右肩から右腕にかけて血が流れ始める。
「綺麗な蒼焔の華を咲かせてあげよう」
 そして血が青色の焔へと変わった瞬間に、ニクロムは刀片手に花畑と化した河川敷へ突撃していった。
「さあさあさあ、ボクを止めることが草畜生に敵うもんか!」
 ニクロムの体が傷つくたびに火の手があがり、引火した炎は一瞬で椿の全身を焼き尽くす。そしてカウンターに固執せず、自分からも斬りかかってくるニクロムの鬼気迫る姿に椿は恐怖する。
 しかし逃げようにも人間の歩き方しか知らないコルテスに植物の根を動かすやり方など分かるわけがなく、決して急でもない坂すらも上れずにバランスを崩して転げ落ちる。
「反抗の竜は舞い降りた。コンキスタドールだったか何とか将だったか忘れたけど……さっさとくたばれ」
 地面を自分から這いつくばり始めた椿に憐れみと呆れの視線を向けつつ、ニクロムはその首を刎ねた。

成功 🔵​🔵​🔴​

チェチーリア・メアゲーディシオン(サポート)
エルフ/殺人鬼×咎人殺し
24歳/女

口調【魔性の蝶『私、あなた、呼び捨て、ね、よ、なの、かしら?』
演技時【(表)まるでメイド】『私、~様、です、ます、でしょう、でしょうか?』

■暗殺者で快楽殺人鬼
■無駄なリスクはおわない
獲物や裏の性格以外で本性を見せるのは、同類・見知った間柄・問題ないと確信した相手だけ。
■表の世界
本来の姿は見せず常に演技。一般常識は理解しているので基本的に優秀なメイドの様に表のルールに沿って動く。

■行動
情報収集は欠かさず、奇襲や素早い動きが得意。


【アドリブ◎】



 赤い椿の花言葉は「控えめな素晴らしさ」「謙虚な美徳」だという。
 しかしこの街に咲き誇っている椿についた者は派手で、愚かで、傲慢であった。
「これのどこが控えめで謙虚なんでしょうね?」
 猟兵達が攻め込んできたことでもうすっとぼけることも隠れることも諦めて、何もかも切断しにかかる黒髪をめちゃくちゃに椿を前に、チェチーリア・メアゲーディシオン(魔性の蝶・f13662)は口元を隠しながら笑い続けていた。
「これならよっぽど……『罪を犯す女性』の方がピッタリ合ってるわね。黒くて綺麗で長い髪をお持ちみたいだし」
 とある小説をモチーフとした椿の花言葉を、相手に男性のコルテスが憑いていることを承知の上でチェチーリアは口にする。すると予想通り侮辱されたとでも思ったのか、こちらに向かって歩く速度がわずかながら増した。
 しかし相手は筋肉も何もない根。このまま踵を返して逃げても余裕で撒くことが出来るだろう。
「あら、怒ってる怒ってる」
 でも、そんなことはつまらない。
 チェチーリアは軽い身のこなしで跳ぶと、髪と建屋の屋根の間を潜り抜けると同時に花と茎がつながる細い部位を的確に斬り飛ばした。
『魅せてあげましょう―――その命に幕を下ろす美しい芸術に』
 周りには誰もいない。ならば猫を被る必要はない。
 無駄なリスクは負うべきではない。挑発するのは確実にそれでボロを出す相手にのみ。
 そうでなければ裏の世界で「魔性の蝶」という二つ名なんて与えられるわけがない。
「あとはこの植物を植えた人を探すだけね。はてさて、どこにいるのやら……」
 切られたそばから枯れ始める椿の花弁を踏み潰し、チェチーリアは長いプラチナブロンドの髪を靡かせながら愉しげな笑みを浮かべた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『ブラザー・アポストロス』

POW   :    悔悟せよ、汝罪深き者
対象への質問と共に、【自身の侵略蔵書】から【野心の獣】を召喚する。満足な答えを得るまで、野心の獣は対象を【引き裂く爪と牙】で攻撃する。
SPD   :    報いを受けよ、愚かなる者
【侵略蔵書の表紙】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、侵略蔵書の表紙から何度でも発動できる。
WIZ   :    来たれ我らが同胞よ
【火縄銃】で武装した【聖戦士】の幽霊をレベル×5体乗せた【ガレオン船】を召喚する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠枢囹院・帷です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「何ということでしょう……」
 にわかにうるさくなってきた外が気になり、旅籠の二階から顔を覗かせたアポストロスから眠気がどんどん消えていく。
「しくじりました……このようなことになるのでしたら何が起きても恐怖を感じなくする洗脳などするべきではなかったかもしれません」
 これだけの火事が起きれば、例え猟兵達にその気がなくとも火消しの者たちや家財道具を避難させようと飛び出す町民、火事場泥棒が続出し、椿の間合いに入ることで惨劇を起こして更なる大騒ぎに繋げられた。
 しかし恐怖を感じなくなった町民たちは起きはしただろうが、そのうるささに眉を顰めて不機嫌になっただけですぐに寝直したことだろう。自分が大虐殺を行う際、それに疑問を持って洗脳から覚め、近くの町村に助けを求める者が出ないように行ったことが今回は裏目に出てしまった。
「……今回は引きましょう。あれだけの椿があれば時間稼ぎ程度は出来るでしょうし」
 猟兵にどれだけ洗脳を解く力があろうと、自分さえ生きていれば修正は効く。彼らがここに付きっ切りになっている間に二つ三つ先の山でも越えれれば、追いつかれることはないだろう。
「とりあえず、金子は置いていきましょう。せっかく慕われていたのに、一晩の無銭飲食で全てを不意にするわけにはいきません」
 どれだけ幕府の後ろ盾のある猟兵が力説しようと、実害を受けた自覚のない町民達が頭から信じることはないだろう。ほとぼりが冷めた時に戻れば、アドバンテージを持った形で再開することが出来る。
 口角を上げたアポストロスは紐につながれた大量の銭を縁側の上に置くと、寝静まる旅籠の裏口から外へと出た。
馬県・義透
引き続き『疾き者』
武器持ち替え:漆黒風

(ぽつりと)見つけましたよ。
律儀ですねー。そこは嫌いではないですが。
まあ、火に気を取られてるようですし?

櫓の場所を聞いていていて正解でしたー。気配消しつつ、高所伝って近づけますねー。
高所から、先制攻撃での指定UC+風属性攻撃を、急所狙いで。
まあ、防がれコピーされてもいいのですよー。
…だってそれ、『気づかれてない』という前提があるんですから。
あなた、気づかれてますし?私も姿表しますから、どうあっても効力は消える。

で、私は前からの近接攻撃しますからねー。
顕林殿、背後から殴りたければどうぞー。
…街を滅ぼさせなどしない。私たちは、街を守る悪霊である。



「見つけましたよ」
 櫓の上で義透はにっこりと微笑むと弓を背中に移し、棒手裏剣を構えた。
「櫓の場所を聞いていていて正解でしたー。ここなら気配消しつつ、高所伝って近づけますねー」
 巨大な火災という光源はあるものの、アポストロスの視線は燃え盛る火に釘付けで、音もなく忍び寄ってくる義透の姿には気づいていないようだ。そのためか自らの荷物から取り出した金子を縁側に置いている。
「律儀ですねー。そこは嫌いではないですが」
 人柄は好ましいものかもしれないがオブリビオン……猟書家である以上言語道断である。
 旅籠に傷をつけるにはいけないので、義透は裏口へと回る。人目につかない・つきたくないように出てくる者は大抵そちらを使ってくるからだ。
 そして、目論見通りアポストロスはそこから出てきた。
 風に乗って加速した棒手裏剣がアポストロスの首や頭の肉に食い込む。虚を突かれ、反射的な短い悲鳴を上げたアポストロスは裾の中から豪華な装丁が成された本を取り出した。
「すでにこちらに来られてましたか……ですが、私にはこれがある!」
 そして、それを広げて自分の頭や首を狙ってくる手裏剣を受け止める。すると手裏剣は嫌な音をたてて表紙に沈み込む。そして全部丸呑みされたかと思った瞬間に義透の元へ高速で撃ち返された。
 しかし義透は目を開くことなく、それらを全て切り落とし撃ち落としていく。その姿を見て、アポストロスは身を震わせた。
「な、まさかこのことを読んで、弱い物を!?」
「まあ、防がれコピーされてもいいのですよー」
 そう言って降りてきた義透は手裏剣を短刀代わりにしてどんどん切り込んでいく。
「だってそれ、『気づかれてない』という前提があるんですから。あなた、気づかれてますし? 私も姿表してますから、どうあっても効力は消える」
 アポストロスは必死に侵略蔵書で受け止めようとするが、ユーべルコードではない持ち前の技術を模写することなど出来ない。
「変に抜かないのは流石ですね。医学に秀でてなければ抜いた途端に出血過多、下手すれば致命傷ですからねー」
 攻勢を止める方法が思いつかずにアポストロスが顔をこわばらせている中、義透は徐々に右側に立ち位置をずらしながら告げた。
「あ。顕林殿、殴りたければどうぞー」
「すまない、感謝する」
 自分の背後から聞こえた低い声にアポストロスが振り返る前に、その体は凄まじい速さで義透のすぐ横を通り過ぎていった。
「お見事」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニクロム・チタノ
無銭飲食しないのは褒められるけど、それも戦略の為でしょ!
住民に危害を加えるような奴をこのまま黙って見過ごせないね!
厄介な能力を持ってるな
でも、反抗の刃が切り裂くよ!
相手は見た感じ能力依存型で本人の戦闘力が高いとかじゃなさそうだ。
でも油断はしない!
召喚された獣の攻撃、敢えて受けよう!
ちょっと痛いけど、相手は猟書家幹部これぐらいやらなきゃ隙は突けない
獣の攻撃を受けながら突っ込み相手が本を構える前に反抗の刃を振り下ろす!
さあ、悔い改めるのは貴方の方だ!
反抗を開始する、どうかチタノの加護と導きを



 地面を殴られた勢いそのままに転がっていくアポストロス向けて、ニクロムは妖刀を抜きながら突進していく。
「無銭飲食しないのは褒められるけど、それも戦略の為でしょ! 住民に危害を加えるような奴をこのまま黙って見過ごせないね!」
 相手は見た感じ能力依存型で本人の戦闘力が高いとかではなさそうである。だが猟書家の一端を担う者、油断は出来ない。
「ぐっ……」
 壁に激突することでようやく止まったアポストロスは屈めた身を戻して、遠くから走ってくるニクロムの姿を見つける。そして息も絶え絶えに声を荒げた。
「あなた方は、なぜ人がオブリビオンへと転じるのを阻止するのです! 生きてて苦しい思いをしているのは、それ自体が神から与えられた試練! それを乗り越えることが出来た者だけ死んだ後、神に赦されれば、喜びと共に蘇ることが出来るのです! 素晴らしいことではありませんか!」
「何が素晴らしい、だ! 死んだらそれ以上何もない!」
 そう反射的に言い返すと、開き放しになった侵略蔵書から悪魔のような毛むくじゃらの獣が現れ、ニクロムへ駆け出してくる。そして獣に真っ向からぶつかったニクロムの小さな体は刀を振る前に軽々と担ぎ上げられ、一息に飲み込まれた。
「ははは、侵略蔵書を甘く見ましたね! さぁ『野心の獣』の中で悔い改め、神に辛うじて赦されることを祈りなさい!」
 胃袋の中であらゆる抵抗が無駄となり、体を溶かしながら懺悔するであろうニクロムの姿を想像して勝ち誇りつつも、アポストロスは義透をはじめとする追手が来てないかどうか周りに気を配る。
「誰が、貴方の神に祈るものか。私の両手は……もう埋まっているんだよ!」
 そんな中、勇ましい言葉が皮越しに聞こえてきたかと思うと同時に、獣の身が真っ二つに裂かれてニクロムが飛び出してきた。
「なっ、野心の獣があんな簡単に裂かれるだと!? どういうことだ!?」
「……あの程度で、ボクを止められると思うな?」
 刀についた血糊を払いながら、ニクロムはアポストロスに斬りかかる。対してアポストロスは顔を引きつらせながらも白刃取りの体勢で侵略蔵書を構えた。
「さあ、悔い改めるのは貴方の方だ! 反抗を開始する、どうかチタノの加護と導きを!」
 振り下ろされた刀によって侵略蔵書が裂かれ、一部のページが辺りに舞い散る。
 直撃はしなかったものの、侵略蔵書が真っ二つにされたという驚愕の事実に息をのんだアポストロスは近くの開きっ放しになっていた家屋の裏口に飛び込んで鍵をかけた。
「くそっ、小癪な!」
 ニクロムもすぐに飛びついて扉を叩くが裏の閂が外れる気配は無い。ここで衝動のままに刀を振って切り開くことは出来たが、町が壊されることを嫌がっていた顕林を思い出したニクロムは苦虫を嚙み潰した。

成功 🔵​🔵​🔴​

尾崎・ナオ
敵の背後からひょっこり、超絶可愛いナオちゃん☆
質問は「ナオちゃんに贈るならどんな言葉?」だよ。
可愛い?美人?素敵?
そんなの聞き飽きたし、そもそも世界の常識なんだよ、判り切ったこと言わないで。
さあ、質問の答えをくださいな!
満足する回答は「ナオちゃんが戦意喪失するほどの賛美の言葉4000文字」だよ☆

UCで精神攻撃しつつ通常攻撃。銃撃と投げナイフ。
横でぎゃーぎゃーうるさいでしょ。それが狙い。
精神攻撃で時間稼ぎ52しつつ、フェイント76を混ぜたクイックドロウ332。
そんでこっそり毒使い82で猛毒塗ったナイフ10本を早業85で投擲85。

猛毒が効くかどうかは幸運42だけど、次の猟兵に託しましょ!



「ど、どうしましょう……紐で閉じれば、まだ……!?」
 青い顔で真っ二つになった侵略蔵書の断面を合わせるアポストロスの背中に何かがもたれ掛かってくる。息をのみながら横を見れば、尾崎のニッコニコ笑顔が目と鼻の先にあった。
「ねーねー、どう? 背後からひょっこり、超絶可愛いナオちゃん☆ 荒んだ心も一発で軽やかになったでしょー?」
 アポストロスはすぐに離れようとしたが、がっちりと掴む尾崎の手はその肩を離さない。
「あれ、まだ癒しが足りない? ならナオちゃんクーイズで緊張を和らげよっか! 問題は、『ナオちゃんに贈るならどんな言葉?』だよ」
「お、贈る言葉……? ええと、まずはその笑顔は可愛いですし、切れ長の目なんて美人の条件を満たしていると思います。それにスタイルもすらっと細身で素敵だと思います……」
 答えさえすれば解放されるのだと思い、アポストロスは必死に言葉を紡いでいく。しかし尾崎の機嫌は直滑降レベルで落ちていき、笑顔も引っ込んだ。
「な、なにか、おかしなことでも言いましたかね……?」
「可愛い? 美人? 素敵? あのさぁ、そんなのもう聞き飽きたし、そもそも世界の常識なんだよ、判り切ったこと言わないで。さあ、質問の答えをくださいな! 満足する回答は『ナオちゃんが戦意喪失するほどの賛美の言葉4000文字』だよ☆」
「はぁ!?」
 お寺さんには敬意を払うようにと言われたが、牧師さんにも払うようにとは一言も言われていない。鬱憤を払うかの如きフル回転マシンガントークの炸裂にアポストロスは目を白黒させた後、顔を真っ赤にさせた。
「ふふざけないでください、私の口は神の御言葉を人々に伝えるためにあってあなたに愛の言葉を囁くためにはないのです!」
「あれあれー、さっきはちゃんと使い古された表現でほめてくれてたのにー? そういうのって掌返しっていって神様にも嫌われるよ?」
 そう呟いた瞬間、尾崎が離れたと思った瞬間に屋根の上にいたもう1人の尾崎の拳銃が次々と火を噴き、アポストロスの体を蜂の巣にしていく。
「そこにいらっしゃったのですか」
 血をあちこちから噴き出しながら倒れていくアポストロスにダメ押しの一撃を加えようとした尾崎の後ろから声がかけられる。
 肩越しに振り返れば、おそらくナオちゃん2号に触れた時にユーベルコードをコピーして、入れ替わっていたであろうアポストロスがしたり顔で立っていた。
「まさか2人に分身して1人は足止め、もう1人が集中砲火の準備をしているとは想像もしてませんでしたよ。では、今度は私の質問に答えていただきましょぐふっ!?」
 そんなイラつく笑顔に堪忍袋の緒を切らした尾崎は強烈なエルボーを腹に叩き込んでから猛毒を塗りつけていたナイフをその全身に一瞬で突き立てていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

サブナ・ダディ(サポート)
『貴様には戒名も念仏も必要なかろう』
 サイボーグの破戒僧×死霊術士、29歳の男です。
 普段の口調は「落ち着いた(自分、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)」、戦闘中は「豪快(俺、お前、呼び捨て、か、だろ、かよ、~か?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 かつてサブナ・ダディ(サイボーグの破戒僧・f21228)はとある高僧の欲にまみれた姿を目撃したことで神仏への信仰を捨てた。
 しかしだからといって信じる者たちを否定し、その気を削ぐような気は無い。自分のような経験をしながらもなお、信じ続ける者には素直に尊敬の意だって称する。
 だからこそその時に感じたものと全く同じ情が、今塀の上から落とされたアポストロスの所業からサブナの心のうちに広がっていた。
「人の信仰心に乗っかり、欺き、自らに都合の良い風に歪めるとは……その行い、万死に値する」
 低く落ち着いた声が怒りによって凄みを増し、ただでさえ大柄な体と相まって威圧感さえ読み取れる。
 サブナの足元に叩きつけられた金砕棒の音に反応し、アポストロスは跳ね起きる。しかし、心の臓の辺りを押さえてその場に蹲った。
「動けないか。貴様には戒名も念仏も必要なかろう、このまま消えてもらう」
「は、はは、異国の神や仏に介錯されるつもりはありません! 私は私の神を信仰し、わが身を委ねる! 教徒であるあなただってそうでしょう!」
「……とっくのとうにそんな物は捨てたさ」
 サブナの答えにアポストロスは呆気に取られた間抜け顔を浮かべる。一方で裂かれた侵略蔵書からそれぞれ黒い靄が発せられ、獣が形作られていた。
「地位は高い、お前と同じような私利私欲に塗れた生臭坊主と、それに痛めつけられる子供を見た時にな」
 2体の獣が唸り声を上げ、襲い掛かる。しかしサブナはその場から一歩も動かず、槌の持っていない方の手にある数珠を潰さんくらいに握り締めた。
『我が招来せしは戦場の神、我の声に応え具現せよ』
 サブナの後ろから生じたぼんやりと明るい光が人の形を取る。その手にはサブナの物よりもはるかに大きな金砕棒。
「やれ、タケミカヅチ」
 日本古来の戦場の神と呼ばれた巨人は俊敏な動作で金砕棒を振り上げると、アポストロスを獣ごと真横へ薙ぎ払った。

成功 🔵​🔵​🔴​

イリヤ・クニーガ
おやおや、あちらで戦闘が…紳士的ではない方があちらに居るようですね。どうやら逃げ足が速いようですしこの姿で追いつければ良いのですが。

…まぁ、追いつけずともパンジャンドラムにて爆破して差し上げます。街は傷つけませんが、召喚されたものを爆破してはいけないとは聞いておりませんので。しかし、ガレオン船は木造ですからよく燃えそうですね…楽しみです。

顕林殿、銃剣をお貸ししましょうか?ああいった手合いを相手にするのになかなか良いものですよ。

※アレンジアドリブコラボ歓迎※



「おやおや、あちらで戦闘が……紳士的ではない方があちらに居るようですね。どうやら逃げ足が速いようですしこの姿で追いつければ良いのですが」
 突然宿場町に現れた巨人の姿にイリヤは口笛を吹きながら仰ぎ見る。その巨人が手にする金砕棒が振り切られると、こちらに黒衣の男が飛んできた。
「おや、噂をすれば何とやら。こちらに参られましたか……ってんんっ?」
 イリヤの足元の地面に跳弾が当たる。一旦アポストロスから目を切ると、細長い船体が炎で両脇を照らされた川上から流れてきていた。
 その船腹や甲板からは十字架の紋章を象った鎧に身を包んだ兵と大小いろどりみどりの砲塔が顔を覗かせている。
「おやおや、逃げ足が速いとはこのことでしたか……。確かにこのお迎えは厄介です」
「イリヤ殿!」
 こちらへ吹っ飛ばされたアポストロスを追って顕林が息を切って駆け寄ってくる。対してイリヤは落ち着き払いながら、得物を差し出した。
「顕林殿、銃剣をお貸ししましょうか? ああいった手合いを相手にするのになかなか良いものですよ」
「そ、そんなことを言ってる場合か、このままでは、逃げられ……」
 そう言ってる間にもアポストロスは体が火傷するのも構わず、ふらつきながら燃え盛る河川敷を降りていく。しかしそれを追いかけるように何十台もの機雷が転がっていた。
「……まぁ、追いつけずともパンジャンドラムにて爆破して差し上げます。街は傷つけませんが、召喚されたものを爆破してはいけないとは聞いておりませんので」
 アポストロスが船に乗り込み、錨が外される。しかしそれ目掛けて燃え盛る木片や金属片が爆発の衝撃で勢いよく放たれた。
「あのガレオン船は木造ですからよく燃えそうですね……楽しみです」
 パンジャンドラムによって傷つけられた船体は勢い良く燃え始め、騎士たちは必死に消火活動を行うが、鎮火するよりも回る方が明らかに早い。
 耐えかねたアポストロスが甲板から川へと飛び降りる。その進路にぶつかるように、一台のパンジャンドラムが手前の段差にわざと引っ掛かり、河川敷を超えるように勢いよく飛んだ。
「い、いやだあああああああ!」
 断末魔と共にパンジャンドラムが爆散する。あれだけの至近距離で食らったのだ、アポストロスは船と共に川の藻屑となったであろう。
「さて、我が国の兵器はいかがだったかな顕林殿」
「……見てる分には愉快だが」
 木の破片が浮かぶ川を背景に問いかけるイリヤに顕林は苦虫を嚙み潰したような表情を浮かべて首を振った。
「少なくとも護身用としては扱いたくない。……どうせこれも一筋縄ではいかぬのであろう?」
 それから向けられた疑いの視線にイリヤは無言で肩を竦めて見せた。

 こうしてアポストロスの思惑はまた一つ潰えたのであった。しかし侵略蔵書が消えぬ限り、その扇動者は再びこの地に戻ってくるであろう。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2021年03月10日
宿敵 『ブラザー・アポストロス』 を撃破!


挿絵イラスト