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Trial for Triumph

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #ミニスター・ブラック #フォースナイト

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 爆発。振動。警報音。
 その騎士教練艦――次世代のフォースナイトを育成する為の修練の場は、未曽有の危機に直面していた。
「護衛艦隊、全艦通信途絶…!」
「敵艦隊、本艦を完全に包囲しています!」
「セクション4・左舷第三ブロック、大破!」
 オペレーターからの報告は、いずれも此方の不利を伝えるものばかり。絶望的な状況と判ずるに充分すぎる情報の量。
「これでは、脱出艇さえ撃墜されるであろうな…」
 作戦図に浮かぶ敵の布陣を見て、初老の艦長は苦々しき声音でそう判断を下す。せめて候補生だけでも、と思ったが、それさえ叶わぬだろう状況。敵の武装から察するに、艦を外から破壊するつもりであろう。ならば籠城もまた無意味。
 如何にしてこの包囲を突破するか。様々な案が浮かび、消える。

 逃げ場を失った教練艦をモニタに映し、銀河帝国艦隊旗艦の艦橋にて、かの艦の様子を油断なく見つめる漆黒の巨躯あり。その貌は獰猛なる印象を強く有すれども、佇まいは隠者の如く静かに在る。
「司令、全艦所定位置到達、並びに各艦鎧装騎兵隊の出撃準備完了しました」
 オペレータよりの報告に頷いた巨躯は、一瞬の黙考を経て命令を下す。
「全鎧装騎兵隊、出撃。敵艦を艦外より撃沈せよ。抵抗あらば、その全てを殲滅するべし」
 命令は直ちに艦隊全軍へ伝わり。大型アームドフォートを背負った鎧装騎兵の軍勢が、各艦から次々と出撃してゆく。
 モニタ越しにその様子を眺めつつ、巨躯のクリスタリアン…猟書家『ミニスター・ブラック』は黙考する。
(さあ、抵抗してみせよ。儚き勝利を掴むべく足掻いてみせよ。その全て、我らが収穫してくれよう)



「教官!僕達も戦います!」
 せめて修練生達だけでも何とか、と彼等の退避策を進めていた教官達であったが。それに否の声を上げたのは、他ならぬ修練生達自身であった。
 己らさえ死を覚悟していた教官達である、むざむざ死にに行くなど、と制止を試みるが。
「私達はこういう時の為に修練を積んできたのです、今戦わずしていつ戦うのですか!」
「死ぬのは怖いです、だからこそ戦うんです! それが生きることに繋がるなら!」
 迷いなき修練生達の返答。教官達は悟る。彼ら彼女らの覚悟を。ならば、共に戦いこの試練を乗り越えるのみ、であると。
 勝ち目は殆ど零に近い、それでも戦うか。確認めいた問いへの答えは、力強い首肯であった。

 そして彼らは宇宙へ飛び立つ。己らの生きる道を切り拓く為に。



「皆様、危急の事態です。スペースシップワールドにて騎士教練艦『レオニダスIV』が銀河帝国艦隊の襲撃を受けています」
 グリモアベースに集った猟兵達へ、グリモア猟兵、ルナ・シュテル(Resonate1120・f18044)が緊張の面持ちで切り出す。
「艦隊を率いるのは猟書家『ミニスター・ブラック』。かの艦にて修練を積むフォースナイト達を殺害し、オブリビオンとして自軍に取り込むのが狙いと推察されます」
 無論、そのような行為を見逃すわけにはいかない。彼らの救援を、と求めるルナへ猟兵達は頷いた。

「まずは艦外より『レオニダスIV』の破壊を試みる銀河帝国軍の鎧装騎兵隊、これの殲滅を願います」
 クローニング技術で量産された鎧装騎兵の部隊だ。大型のアームドフォートを装備し、その火力は猟兵達にとっても一定の脅威となる。
「これらを殲滅し、然る後に敵旗艦へ突入。ミニスター・ブラックと交戦しこれを撃破して下さいませ」
 彼は漆黒の巨躯を有するクリスタリアン。獰猛な印象の顔立ちと相まって肉体派と見えるが、その本質は狡猾にして強力な魔術師。己の容貌からくる思い込みも含めて、対手の思考の隙を突く戦法を得手とする。こう来たからああ来る、という思い込みは避けるべき、とルナは言う。

「また、かの艦のフォースナイト候補生の皆様、及び教官の皆様も戦いに参加なされます」
 候補生達は実戦経験こそ無いものの、実力は既に一廉の戦士として申し分無い。教官達も既に第一線を退いた身ではあるが、実力は健在。
 猟兵達が主力となる事に違いは無いが、共闘すれば戦いを有利に進められることは確かだろう。

「かの世界から猟書家達の魔手を遠ざける為にも、未来担う若き方々を守る為にも。皆様、どうか宜しくお願い致します」
 説明を終え、ルナはその手にグリモアを輝かせ。
 猟兵達を、かの教練艦へと送り出してゆく。


五条新一郎
 スリーハンドレット、とはいきません。
 五条です。

 此度のシナリオは対猟書家戦スペースシップワールド編。
 猟書家率いる銀河帝国軍の手から、未来あるフォースナイト達を守りましょう。

●このシナリオについて
 このシナリオは「対猟書家戦」のシナリオとなります。
 全二章で完結となりますのでご了承ください。

●目的
 猟書家『ミニスター・ブラック』の撃破。
 教練艦『レオニダスIV』の撃沈阻止。

●戦場
 第一章はレオニダスIV周辺の宇宙空間。艦以外の障害物は特にありません。
 第二章は銀河帝国軍旗艦内部。概ね何処であっても広さは十分です。

●第一章
『クローン重騎兵』との「集団戦」です。
 例によって装備の上から着用可能な極薄透明宇宙服がありますので、宇宙空間に対する特段の備えは不要です。

●第二章
 猟書家『ミニスター・ブラック』との「ボス戦」です。
 ミニスター・ブラックを倒せば敵は統率を失い混乱しますので、他の帝国軍艦への対応は特に不要です。

●プレイングについて
 第一章はOP公開直後から、第二章は章移行後断章投稿時点からプレイングを受け付けます。
 第一章・第二章とも「フォースナイト達と共闘する」ことでプレイングボーナスがつきます。こんなタイプのフォースナイトと共闘したい、というのがありましたらばプレイングにて。

 それでは、皆様の万人敵するプレイングお待ちしております。
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第1章 集団戦 『クローン重騎兵』

POW   :    インペリアル・フルバースト
【全武装の一斉発射】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    コズミックスナイプ
【味方との相互情報支援】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【狙撃用ビームライフル】で攻撃する。
WIZ   :    サイキッカー拘束用ワイヤー
【アームドフォートから射出した特殊ワイヤー】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
援軍です、お邪魔させていただきますぅ。

『F●S』3種を展開し【銀翼袍】を使用、『崩壊の波動』を放射しますねぇ。
この『波動』は『戦場全体』に及ぶ上、『崩壊』のダメージに加えて『軽度の認識阻害』を行うことが出来ますから、これで『敵味方の判別』を攪乱、下手に『フルバースト』を行えば、味方を巻込む様誘導しましょう。
そして【銀翼袍】の速度で位置を絞らせない様にしつつ『FRS』で[砲撃]、同士討ち覚悟の攻撃を行おうとした方は優先的に排除しますぅ。
『FSS』は守りを固め、『FBS』は[部位破壊]で『武装』や『動力』を狙い、弱体化した個体は『フォースナイト』の方々に狙っていただければ。



 騎士教練艦『レオニダスIV』より飛び出す、蒼き鎧めいた宇宙服に身を包みし者達と、それを先導する紅き宇宙服の者達。
 彼らこそは、この艦にて修練を積んでいた若きフォースナイト達、そして彼らを教え導いてきた教官達。
 鍛え上げたサイキックエナジーを以て斥力を生み、推力の類を持たずして宇宙空間を飛翔し、エナジーを弾丸、または剣と化して、教練艦へ取り付いた白き鎧の兵士――帝国の鎧装騎兵達へ果敢に攻撃を仕掛けてゆく。
 その攻勢に抗しきれず、何体かの帝国兵が打ち倒される。修練生達の動きは初陣と思えぬ程に巧みで、彼らが積み上げてきた修練の程が伺えるが――なれど、それのみにて覆せる敵ではない。
 態勢を立て直した敵の反撃。手持ちのビームライフルが、背負うアームドフォートが、驟雨の如き光条の嵐を巻き起こす。回避しきれた者はほんの一部。多くの者は被弾し、傷を負う。
「うわぁっ! ぅ、くぅ…っ!」
「しっかりしろ! 挫けたら死ぬぞ!」
 負傷の大きい少年を、別の少年が叱咤する。彼もまた無傷ではないが、なれど理解している。この戦い、退却は許されぬ。自分達の生きる道は、前にしか有り得ないのだと。
 故に仲間を助け起こし、尚も挑もうとする。絶望的とすら言える戦力差の敵へ。
 それが、奇跡でも起きない限り、決して勝てない戦いであったとしても…。

 だが、奇跡は起きた。いや、奇跡を起こす者達が、彼方より現れ出たのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 前方より迫る帝国重騎兵の一団。陣を組み、フォースナイト達を逃がさず押し包み、殲滅せんと。銃を、砲を構える。
 圧倒的な数の差は、到底覆しようがない。それでも、何か術はないかと、身構えながら必死に思考を巡らす少年騎士達。
 銃口が煌めき、致命の光条が放たれようとした、まさにその刹那。
「!?」
 少年達は見た。何処かから、乳白色の波動が、空間を走り抜けてゆくのを。そして、それが帝国兵達の間を抜けた直後、彼らの肉体や武装が砕け、壊れていったのを。
 果たして何処から。周囲を見渡した少年達はやがて見出す。白銀色に輝く衣を纏った、美しき黒髪の少女が、彼らのもとへ近づいてくるのを。
「どうやら間に合ったようですねぇ、何よりですぅ」
 何処か間延びした声と共に、少年騎士達へ微笑を向ける少女。
「あ、ありがとうございます。…あなたは一体…?」
「もしかして…猟兵!?」
 彼女へ礼を述べつつも、突然の援軍に驚きの方が強いらしい少年騎士達。だが思い至りはしたらしい。2年前、銀河帝国を打ち倒した伝説の解放軍、その中心戦力として活躍した者達の存在に。
「はい。皆様への援軍として、お邪魔させていただいた次第ですぅ」
 その少女、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は肯定と共に目的を告げる。即ち、彼らを助けに来たのだと。
「…ありがとうございます…! 猟兵が一緒なら…!」
「ええ、この戦い、勝てます…!」
 その事実が、挫けかけていた彼らの心を力強く支える。共に戦って欲しい、との願いを、るこるは無論のこと了承する。
『…敵増援を確認。猟兵と断定』
『アームドフォート、リミッター解除。当中隊全火力にての排除を敢行』
 一方、先のるこるの攻撃を耐え凌いだ兵士達もまた態勢を立て直す。彼女を脅威と見定め、背負った武装の砲口全てを彼女へ向ける。
「では、参りますよぉ!」
 フォースナイト達へ呼びかけると同時、るこるは飛翔する。音よりも速く宙を駆けるその姿に、帝国兵の銃口が惑う。
『目標捕捉。全武装、一斉砲撃』
 しかし兵士の幾人かが、減速した彼女を捉えることに成功。以て、ライフル、アームドフォート、その全ての火砲を展開、一斉砲撃のトリガーを引く。
 だが。
「残念ですが、そちらはお味方ですよぉ」
 放たれた砲撃は、実際にるこるの在った方角とは、全く別の方向――味方の在る方向へと放たれる。そしてそれらは当然のように、味方である兵士達へと命中。その幾人もが斃れ、骸の海へ還ってゆく。
 先程るこるが放った波動は、物理的な破壊だけでなく、彼らの認識をも破壊していた。今の彼らは敵味方の区別のつかぬ状態、故に味方を巻き込む砲撃をも躊躇なく行う状態にあった。
「その隙、頂きますねぇ」
 混乱する敵軍へ、るこるの追撃。展開した十六基の浮遊砲台が熱線を放ち、味方諸共攻撃を仕掛けんとした兵士数名を貫き焼き払う。次いで飛翔した戦輪が、負傷の軽微な兵士の背負うアームドフォートへ食い込み、これを破壊する。推進器も複合されたアームドフォートを破壊され、身動きの取れなくなった兵士がもがく。
「逃がしはしない! トドメだ!」
 そうして弱体化した敵へ、フォースナイト達が攻撃を仕掛ける。振るわれる光の剣、放たれる光条が、兵士達を確実に仕留め、包囲を突き崩していった。
カシム・ディーン
やれやれ…僕としては寒々しい世界よりルナと温まる方が好みですけどね(機神に乗り出撃

「寒いのご主人サマ?メルシーが温めてあげようか♥」つれ(雄鶏の立体映像が現れ
うっせ
取り合えず目の前の敵を殲滅するぞ

「はーい♪懐かしいな星の海は♪」

【情報収集・視力】
敵の位置と動きの捕捉
候補生と共闘
神機の権能もとい通信機能で情報共有

こういう場合は集中攻撃で確実に数を減らすのがセオリーでしたっけ?
僕が攻撃を仕掛けるので援護をお願いします

おいポンコツ!
あれやるぞ!
「あれだね♪りょーかい♪」
UC発動
【属性攻撃・スナイパー】
超高速機動で炎属性の高熱線を連射

【二回攻撃・切断・念動力】
念動障壁を纏ったまま敵に突撃し切り捨て



 宇宙空間を飛翔する、黒銀の人型戦機。その内部の搭乗席にて、操縦桿を握る黒衣の少年――カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、己の今置かれた状況を思い、溜息を一つ吐く。
「やれやれ…僕としては、寒々しい世界より、彼女と温まる方が好みですけどね」
 此度の任務を予知したグリモア猟兵、その豊満な肢体を思い返し、再び溜息。すると突然、眼前に雄鶏が現れる。正確には立体映像。
『ご主人様、寒いならメルシーが温めてあげようか♪』
 続いて操縦席内に響く能天気な少女の声。それはこの戦機――機械仕掛けの神、界導神機『メルクリウス』に宿る意思そのもの。
「うっせぇ。そんなもので温まるかっての」
 ぶっきらぼうに返すカシム。同時、前方に護衛目標の教練艦と、その周囲に展開した敵軍が見えてくる。
「とりあえず、目の前の敵を殲滅するぞ!」
『はーい♪ 懐かしいな、星の海は♪』
 カシムの声に応え、能天気な声と共に神機は加速。戦闘領域へと突入してゆく。

「…!? こ、これは…!?」
『所属不明機体を確認。猟兵反応有。敵性存在と断定』
 突如、自分達と敵との間に割って入った黒銀の人型機械を前に、フォースナイト候補生達は驚きを隠せない様子であった。自分達に背を向けていることと、敵の反応からして、味方のようではあるが。
「…あー、あー。聞こえますか。僕はそのポンコツに乗り込んでる者です」
 そこに聞こえてきた通信。人型機械――メルクリウスに乗り込むカシムが、彼女の権能――もとい通信機能を用いて呼びかけているのだ。
「僕はあなた達の救援に来ました。これから敵へ攻撃を仕掛けていきますので、援護をお願いします」
 その間にも、カシムは操縦席内に流れ込む戦場の情報――主に敵の数や位置、動きの情報を具に確かめる。候補生達の返事を受ければ、早速とばかりにメルクリウスを加速させ。
「おいポンコツ! あれやるぞ!」
『あれだね、りょーかい♪』
 そのやり取りを経ると同時、機体は一気に加速する。音速を超えて尚加速、更に加速。その速度、実に時速28000km弱、マッハ22をも超える超音速。ユーベルコードとして搭載された機能による、限界を超えた加速を実現するユーベルコードだ。
「敵はそれなりに精強、かつ数が多い! ならば!」
 カシムの分析を経て、メルクリウスの機体随所が発光。絶対零度を斬り裂く赤き高熱線が迸り、帝国兵の一人へ全弾命中。アームドフォートの爆発に巻き込まれ消し飛んだ。
 火力を一点に集中し、確実に数を減らしてゆく。彼の考える限りのセオリーであるが、メルクリウスのその速度と精度とが、その戦法を現実的なものとしていた。
 熱線に焼かれ、一人、また一人と兵士が消し飛んでゆく。帝国軍もビームライフルの狙撃やアームドフォートの砲撃で対抗しようとするも、そこへ襲い掛かる者に不意を打たれる。
「僕らだってやれるんだ…!」
「この艦は、俺達が守る…!」
 カシムの攻勢の合間を縫って反攻に転じたフォースナイト達が、反撃を試みる兵士達へ攻撃を仕掛けていたのだ。
「良い感じに攻めていますね。それなら僕も…!」
 メルクリウスが大鎌を抜き構える。放たれる念動力が斥力場を生み、攻撃への対抗と為させる。最早ライフルではこの守りは抜けないだろう。
 一気に加速。前方に二体の帝国兵。彼らがライフルを構えるより尚速く、大鎌が閃き。二人纏めて、その身を斬り裂き、斬り捨てていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

天城・千歳
【SPD】
アドリブ、絡み歓迎

新年早々教導艦襲撃とは懲りない人ですね。

サテライトドローン群を戦場に展開し広域観測網を形成後、歩行戦車中隊及び歩行工作車中隊を出撃、リモート義体は教練艦の艦橋でオペレーター席を借り艦のレーダー、各種センサーの情報と、ドローン群の観測網と本体及び歩行戦車、歩行工作車のレーダー、各種センサーによる【索敵】【偵察】で【情報収集】し【戦闘知識】【瞬間思考力】で判断、情報を元にUCを発動。
UCによる演算の結果に従って敵部隊に【誘導弾】の【一斉発射】による【制圧射撃】で【先制攻撃】を行い、抜けて来た敵は【砲撃】【レーザー射撃】で対応
リモート義体は味方への情報支援での援護も行う。



 騎士教練艦『レオニダスIV』の艦橋では、何名ものオペレータが艦長の指揮のもと、戦場の情報分析に当たっていた。僅かであっても彼らの生存確率を高めるべく、彼らへあらん限りの支援を行おうというのだ。
「座標U-7-9-18、敵集団壊滅! 味方被害軽微!」
「座標D-4-8-21、猟兵の増援到着! 戦況優位!」
 次々と上がってくる各方面の戦況報告。それまでは自軍に不利な情報しか届かなかった艦橋だが、猟兵の参戦により、少しずつ有利な情報も届くようになっていた。然しながら、その中心に立つ艦長の表情は未だに渋い。
「…まだまだだ」
 希望は見えてきたが、未だ予断は許されない。猟兵の助力は有難いが、そればかりに頼り切るわけにはいかない。引き続き、最良を掴むべく、刻一刻変化する戦況を見据える。
 と、そこへ。
「お邪魔致します、私も此方で協力させて頂きますね」
 艦橋に歩み入ってきた一人の女性。見慣れぬ姿であるが、協力する、ということは。
「貴方も猟兵…か?」
「はい。『此方の』私は情報収集及びその処理を担当する端末体ですので」
 艦長の問いにそう答えるその女性の名は天城・千歳(自立型コアユニット・f06941)――正確には、その情報収集端末としての役割を有するリモート義体。

 そしてその本体は、艦の外にて歩行戦車及び歩行工作車の二個中隊を率いる闇蒼色のウォーマシン。戦場宙域に広く展開したサテライトドローン群が、宙域内での戦闘の様子をリアルタイムに捉えるのを受信し、それを基に歩行車両群を展開させてゆく。
「――それにしても」
 宙域へ展開してゆく車両群、その周辺状況を注視しつつ、ふとドローンの一機が捉えた敵艦へ意識を向ける。猟書家『ミニスター・ブラック』の座す敵旗艦へ。
「…新年早々、教練艦襲撃とは。懲りない人ですね」
 千歳は以前にも、ミニスター・ブラックによるフォースナイト候補生殲滅計画の阻止に赴いたことがある。かつての計画は完全に叩き潰してみせたが、それでも尚、同様の計画を未だ諦めぬ往生際の悪さ。呆れるばかりである。
「今回も、完全に叩き潰してくれましょう――さて」
 そう思いを巡らせているうちに、車両群の配置が完了した。

「それでは、オペレーションを開始します」
 再び『レオニダスIV』艦橋。リモート義体の千歳は、空いていたオペレータ席の一つを借り、座席のコンソールを用いて情報収集を開始する。
 まずは艦のレーダーやセンサーの捉えた情報を確認。次いで、艦外の本体やドローン、車両群が同様に取得した情報、その全てを端末たるバイオロイドの頭脳に集約。脳内に、今も尚刻々と変化してゆく戦場の様相が構築されてゆく。
「分析完了。ラプラス・プログラム起動、状況の予測演算を開始します」
 そして起動するは、演算によって戦況の最適解を弾き出す、ユーベルコードの領域に至ったプログラム。未来予知じみたその演算は、命題が難解である程に多くの情報が必要となる。宙域全てから集まり来る膨大な情報は、果たして此度の戦況を巻き返すに充分か、否か。
「――演算終了。仮説展開、証明を開始せよ」

「仮説を確認。これより証明を開始します」
 演算結果は直ちに本体へと送られ、それに基づき闇蒼色のウォーマシンは行動を開始する。演算結果から導き出された作戦図に従い、歩行車両群へ命令を入力。応えて動きだす、二個中隊三十二機の戦闘機械部隊。
 千歳の背に負われた複合兵装ユニットから、8×2の計16発のミサイルが撃ち出され、前方の帝国重騎兵達へ襲い掛かる。宙域の至る処で、爆炎が花と開き――歩行車両群も同様の攻撃を開始したのだ。
 全く予想だにしなかった攻撃の前に、為す術なく破壊されてゆく兵士達。辛うじて爆炎を抜けてきた兵も、それを最初から予想していたかの如く迸ったレーザーに貫かれ爆散。
 まるで敵の動き、その全てを予め知っていたかのような攻勢。一切の抵抗さえ許されぬまま、帝国重騎兵一個大隊が全滅へと至らしめられた。

「Q.E.D.。確認しました。状況の変移を演算式へ反映。演算を開始します――」
 本体率いる部隊の戦果を確かめた義体の千歳は再びプログラムを走らせる。以て、宙域の敵軍を殲滅しきる為に。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハロ・シエラ
フォースナイトとは、サイキックエナジーを武装にして戦う方々でしたか。
射撃の得意な方がいたら協力して下さると嬉しいですね。

まずは私一人が敵の前に姿を晒し、敵に突撃しましょう。
それによって敵を【おびき寄せ】る事が出来れば良いですね。
流れ弾が艦に当たらない様な位置を取るのも重要でしょう。
私自身はユーベルコードで敵の狙撃を回避し、フォースナイトの方にはビームの光で敵の位置を特定して遠距離から攻撃してもらいます。
敵が猟兵を先に撃ち落したいと思ってくれれば一番良いですね。
【空中戦】の要領で敵に接近し、フォースナイトの方の援護射撃を受けながら敵を【切断】して行きましょう。



『報告。第六、第八大隊全滅。猟兵の介入を確認』
『了解。迅速に任務を遂行する』
 友軍の全滅報告を受けた帝国重騎兵の一隊は、後退でなく更なる攻勢を選択する。元よりクローン量産された兵士、彼らは死を恐れぬ。故、愚直に、執拗に。与えられた任務を遂行するべく邁進するのみの存在である。
『――報告。前方上方より猟兵反応有』
 そこに、猟兵の接近してくるのを兵達は察知する。見上げれば、彼らを目指し突撃してくる、黒き軍装風衣装を纏った黒髪少女の姿。ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)だ。
「あなた達の相手は、この私です!」
 無重力に任せて加速、敵中を一気に突き抜けてゆく。兵士の一人が苦悶と共に崩れる。すれ違いざまに振るったレイピアの刃に斬り裂かれたのだ。
『C-1587、生命反応消失』
『敵猟兵、近接戦型個体と推測。総員散開、狙撃陣形へ移行せよ』
 仲間を倒されても帝国兵らはあくまで淡々と。個々に散らばってゆくと共に、ハロを包囲するように陣形を展開。その手のビームライフルで彼女へ狙いを定める。
『目標捕捉。データリンク完了』
『各員、狙撃を開始せよ』
 そのやり取りが終わるが早いか。ハロの周囲四方八方より青白い光条が迸り、彼女を射抜かんと降り注ぐ。その機動は一糸乱れぬ統一感のもと、あたかも一つの生物であるかの如し。
(単一の目標を包囲して確実に仕留めにかかる陣形、というわけですね)
 横へ、上へ、前へ。細かな切り返しを繰り返して狙撃ビームを回避し続けるハロ。艦を傷つけ得る程の出力ではなさそうだが、人体は充分破壊し得る威力だろう。そんな必殺の光線が、上下左右あらゆる方向から飛来し続けるのだ。そう長く回避し続けられるものではない。なれど。
(ですが。私には当たりません…!)
 ハロには見えていた。次はどこから、どの角度で光線が放たれるか。未来予知じみたユーベルコードによる攻撃の先読みを重ね、只管に回避し続ける。
 しかし流石に反撃には至れず、防戦一方となるハロ。だが彼女の表情に焦りは無い。己はこのままで良い、と理解している為だ。反撃の為の布石は、既に打ってある。即ち。
『…!?』
 突如、帝国兵の一人が背後より撃ち抜かれ、背負っていたアームドフォート諸共爆散。その他の兵士達も、何処からともなく飛来した光条に貫かれ傷を受ける。
「猟兵さん! お待たせしました…!」
「敵の動き、漸く捉えきれました! 残りも撃ち抜いてみせます…!」
 それらの飛んできた方向から、宙を駆けてくる少年少女達の姿が認められる。彼らは、フォースナイト候補生達の中でも射撃に秀でた者達。己が敵を引き付けている間に、彼らの射撃を以て敵を攻撃する――そんなハロの作戦であった。
『…猟兵存在の排除行動を継続せよ』
 隊長格と思しき兵士は、尚もハロの排除を命じ続ける。既に何人もの隊員を欠いた鎧装騎兵隊、その攻勢に先程までの苛烈さは無く。恐らく、ここで候補生達へ矛先を変えれば、背後からハロに斬られる。そう踏んだが故の決断であろうが。
「いずれにせよ、あなた達はここで倒されるのです。私と、彼らに!」
 兵は一人、また一人と候補生達の銃撃に倒れ。最後に残った隊長格の兵も、急速接近したハロの振るうレイピア、戦意によって燃える炎纏う斬撃に裂かれ、斃れるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メナオン・グレイダスト
・POW

何だ、この感覚は…。
我輩は…この世界を、“知っている”…? なぜ…。
…いや、今は。考えるのは後回し、だ。

何もかもが未知で興味深い、しかしどこか既知の感覚があるような。
内心の混乱をどうにか鎮め、まずは襲撃者どもを排除しつつ友軍の軍艦を防衛する。
高性能な宇宙服を借り受け、船外にて活動。
【グレイダスト・レギオン】。我輩の忠実なる手勢と共に対空戦闘を行う。
手勢にはその身を必要に応じ変化させることで柔軟な戦闘を行わせる。
ある時は銃砲に変えて対空射撃の弾幕を張り、ある時は鎧や盾に変えて反撃の射撃を耐え凌ぎ。
損傷は我輩が灰色砂塵で補う。身を以て示せ、“灰色の魔王”の力を…!

※アドリブ・共闘等歓迎



 宇宙空間に、灰色の外套がはためく。その身を包むは灰色の装束。身に纏う者の姿は明瞭ならずも、其処に在る目的は確かに。
 彼は周囲を見渡す。城よりも尚巨大な船が浮かぶ、暗黒の空間。その中を奔る眩き光条。
 そうした光景を目に、彼は――メナオン・グレイダスト(流離う灰色の魔王・f31514)は、戸惑いを覚えていた。
(…何だ、この感覚は…。我輩は…この世界を、『知っている』…?)
 デビルキングワールドの滅びた都市で目覚め、猟兵となるまでずっと其処で過ごしていた己が、何故スペースシップワールドの風景に既知感を感じるのか。この世界の全ては未知、故に興味深い、はずだったのに。
(…いや。まずは目的を果たさねばな)
 猟兵としてこの世界を訪れた目的。眼下に在る騎士教練艦を襲撃する者達の迎撃。其を思い出し混乱を押し込める。
 改めて視線を巡らせれば、横合いから艦体へ砲撃を繰り返す帝国重装兵の一団が見えた。これは早急に排除せねばならぬ。
「――来たれ、我輩の忠実なる兵達よ」
 ユーベルコードを以て呼び出したるは、変幻自在の肉体を有する人工生命体。メナオンの周囲に集い、次なる命を待つ。
「あの白き兵共を、友軍の艦を傷つけんとする者共を、排除せよ」
 命令に応え、人工生命達は一斉に兵達へ襲い掛かる。ブラックタールのようであって微妙な差異を有する彼らは、その戦いぶりもまた独特と言えた。
 全75体の人工生命体、その半数が様々な銃器や砲台に変形し、帝国兵達を目掛け立て続けの砲撃を繰り出したかと思えば。そのうちの何体かは肉体を更に剣や槍に変化、一気に貫き、斬り裂いて。
『戦力損耗率15%。戦闘続行可能』
『ナノマシン生物にユーベルコード反応有。従属存在と推測。その指揮者と思しき存在を確認』
 なれど帝国軍側も黙ってはいない。メナオンの姿に気付けば、これを真っ先に倒し切るべく、生き残った兵達が一斉に全武装をメナオン目掛けて構える。一斉発射の弾幕で、彼を圧倒し打ち倒さんとする腹だ。
「させぬ! 我が身の守り、易々抜けると思えぬことだ!」
 メナオンの号令に応え、人工生命体達が前方へ展開。幾層にも重なった盾となって、ミサイルもビームも防ぎきってみせる。
 流石に傷は負うものの、そこへ灰色の砂塵が流れてくる。それが人工生命体達へ纏わりつくと、その身の傷が見る間に癒えてゆく。これもメナオンの力。『灰色砂塵』だ。
「例え世界が違えども。知らしめてみせようではないか。『灰色の魔王』の力を!!」
 今の己が魔王として在るならば、それに相応しき力、存分に振るってみせよう。その意思のもと、灰色砂塵の魔王は己の眷属達を率いて立ち向かう。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミア・ミュラー
辛くても、怖くても諦めず頑張れるのは、すごいこと。だから、みんなの想いがむだにならないように、わたしも頑張る、よ。

んー、宇宙の外に出るのは初めてだけど、とっても広い、のね。これなら思いっきり魔法を使っても大丈夫、かな。
わたしは防御が上手なフォースナイトさんの力を借りたい、な。フォースナイトさんたちには詠唱してる間わたしを守ってほしい、の。わたしも頑張るから、みんなの力を貸して、くれる?
準備ができたら、【流れ星】の「全力魔法」で敵を一気にやっつけちゃう、よ。協力して攻撃してきたから近くに固まってるだろうし、「視力」はいい方だからこの辺にいる敵は、見逃さない。魔法の星の力を見せて、あげる。



「んー、宇宙の外に出るのは初めて…だけど、とっても広い、のね」
 教練艦『レオニダスIV』のエアロックから艦外へ飛び出した、アリス然とした少女。否、彼女は正しくアリス適合者。ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)、猟兵によってオウガの魔の手から救われた後、自らも猟兵となったアリスである。以来、猟兵として多くの戦いに参じたが、スペースシップワールドの宇宙へ出るのは初めての経験だ。
「これなら、思いっきり魔法を使っても大丈夫、かな…っと」
 巨大な艦船、その間に広がる空間。何もかもが、他の世界では見られぬスケール感。これなら戦うに不自由はしなさそうだ。そう思案していた処に、戦闘の様子が視界に入る。艦外へと打って出たフォースナイト達と、銀河帝国の重騎兵隊の交戦である。ミアは其方を目指し疾走する。

「はぁ…はぁ…! ど、どうだ…これだけやれば少しは…」
「…ううん、まだ敵はすっごい多い…まだ、逃げられなさそう…」
 襲い来た帝国兵を打ち倒したフォースナイト達は、肩で息をする。ここまでどれ程の戦闘を重ねてきたのか。その疲労具合、初陣故に力の管理が追いつかぬ故であろうか。
「ダメか…! くそっ、だがまだまだいける…!」
 少しずつ優勢に傾いてはいるものの、未だ彼我の戦力差は圧倒的。安全確保には遥か遠く。呻きながらも、己を叱咤し次なる戦いへ向かおうとする。
「皆…大丈夫? わたしは猟兵、助けに来た、よ」
 ミアが彼らのもとへ到着したのは、まさにその時であった。
「猟兵…! 来てくれたのか!」
「ありがとう、とても心強いよ!」
 猟兵の参戦を知り、歓喜に沸くフォースナイト達。その様子に頷いたミア、続けて一つの願いを彼らへ伝える。
「うん、わたしも頑張る…。だから、ひとつお願いをしても良い、かな…?」
 フォースナイト達が仔細を問えば、その願いとは。
「わたしの魔法で、敵を纏めてやっつけようと思う、のだけど。詠唱に、時間がかかる、の。だから…その間、わたしを守って、くれる?」
 守りながらの戦い。現状ではなかなかに困難ではあるが、敵を一網打尽にできるとなれば悪くはない。頷くフォースナイト達。
「ありがと…。わたしも、頑張るから。みんなの力、貸して、ね…!」
 そうミアが呼びかけたまさに直後。新たな帝国重騎兵部隊が、攻め込んできた。

「ぐっ…! まだまだ!」
 重騎兵が放つミサイルを、サイキックエナジーの弾丸で撃ち落とし。ビームはバリアを展開して押し留め。ミアを守るべく、フォースナイト達は奮戦する。
『敵存在、消耗を確認。消耗率、60%程と推定』
『サイキックエナジー抑制ワイヤ使用申請』
 だが彼らの戦いを嘲笑うかのように、帝国兵はその数を増やし続け、包囲を広く、厚くしてゆく。
「くそ…っ! だがもう少し、きっともう少しだ!まだまだ…諦めずにいくぞ…!」
 それでも、フォースナイト達は諦めることなく、ミアへと届かんとする攻撃を押し留め続ける。その光景に、詠唱を続けるミアの顔にも思わず笑みが零れる。
(辛くても、怖くても。諦めず頑張れるのは、すごいこと)
 故に、その想いが、頑張りが、無駄にならないように。ミアもまた、全力を尽くす。詠唱は満ちた。後は、撃ち放つだけだ。

「――集え、天を揺蕩う不滅の理……闇を祓う、光となって降り注げ」
 詠唱と共に、その手の杖を――スートが意匠されたロッドを、下方から一行を狙わんとする騎兵部隊へ向ける。直後。
『不明物体急速接近、回避――不能』
 彼方の宙から飛び来た物体が、帝国重騎兵達へと超高速で翔び迫り――次々に衝突。その多くを撃墜せしめた。
 それは流れ星。ミアのユーベルコードによって形作られた、魔法の流れ星。宇宙の中で流れ星を呼ぶ、何処か不思議な感覚を覚える業ではあった。
 敵は連携を旨とするが故か、固まって行動する者達が多い。複数の流れ星を降り注がせるこのユーベルコードにおいては恰好の標的だ。
 それを察知したが故か、敵も散開せんとするが、それよりもミアの動きが早い。
「逃がさない。魔法の星の力、見せて、あげる」
 ミアの杖がそんな敵部隊を示すたびに、宇宙空間を疾走する流星群が降り注ぎ、彼らを撃ち砕いてゆく。視力に秀でた彼女、その眼が捉え得る敵の数は驚く程に多い。
 次々と壊滅的被害を受けてゆく帝国重騎兵部隊。彼女の攻勢は、まだまだ続く。

成功 🔵​🔵​🔴​

エクス・カリバーン
「若きフォースナイトたちを狙うなどという卑怯な策は、この勇者カリバーンが許さん!」

義によってフォースナイトたちに助太刀するとしよう!
宇宙空間であろうとも、この俺のボディならば問題なく活動可能だ!

「まずは重騎兵が相手か!」

敵の武装に対抗するために、俺は【三種の神器】を装着だ!
勇者の盾と勇者の鎧による防御力で敵の攻撃を防ぎきってみせる。

「俺の後ろにはフォースナイトたちが乗るレオニダスIVがいる……
攻撃を通すわけにはいかない!」

敵の攻撃をしのいだら、反撃のチャンスだ!

「フォースナイトたち、今こそ力を貸してくれ!
共に悪と戦おう!」

フォースナイトの協力を得て、勇者の剣で敵に斬りかかっていこう!



 宇宙空間に爆炎の華が咲く。帝国重騎兵部隊のアームドフォートから放たれるミサイルだ。
「くそっ、数が多い…!」
 己が身のサイキックエナジーを放ち、襲いくるミサイルを迎撃し続けるフォースナイト達だが、間断なく襲い来るその攻勢に今や疲労が色濃い。一方の帝国兵らは更に攻め来る。
「リロード完了。誘導弾、目標捕捉」
「各機、一斉発射」
 中隊規模の重騎兵部隊が、一斉にミサイルを発射。その数、消耗した身ではとても捌ききれぬ。それでも――少年が再度サイキックエナジーで守りを展開するべく片手を掲げようとした、まさにその時。
 何処からともなく飛来し現れた白金色の何かが、フォースナイト達を守るように立ちはだかる。そのまま全てのミサイルはかの存在へと命中、爆発する。
「な…なんだ…!?」
 あまりに唐突なその登場。更に、爆発による煙が晴れれば、そのボディに一切の傷がない事実に驚愕する。
「…皆、無事だな!」
 ミサイルによる攻勢が途絶えた直後、ミサイルを受け止めてみせたその存在はフォースナイト達へ向き直る。その姿は一瞬、ウォーマシンかと思われたが。あちらよりもずっと小柄な二頭身のボディは、ウォーマシンとはまた異なる種族であることを雄弁に語る。
 そう、彼はロボットヘッド。その名もエクス・カリバーン(聖剣勇者エクス・カリバーン・f30075)だ。
「あ、ああ…。でもあんたこそ大丈夫か…? あれだけのミサイル受けたのに…」
 そんなカリバーンへ、フォースナイトの一人が心配げに問う。
「何、問題ない。今、俺が身に着けている勇者の鎧は、この程度の攻撃はビクともしないからな!」
 今の彼が身に着けているのは、勇者の剣、盾、鎧。ユーベルコードによって呼び出し、装着したことにより、彼の戦闘力は大幅に向上しているのだ。何より、彼はレオニダスIVを背にする形にて一行の盾となっていた。退くことの許されない状況、なれどそこにこそ彼は飛び込む。何故なら彼は勇者だからだ。
 因みに、彼はロボットであるが故に宇宙空間でも問題なく活動可能でもある。
『敵増援確認。猟兵、1』
『誘導弾による損傷、軽微。更なる高火力を要する』
 突然の増援に混乱していた帝国重騎兵部隊。まだ立ち直るまでには時間が必要と見えた。
 その姿を確かめたカリバーン、再びフォースナイトのほうへと視線を向けて。
「よし、今こそ好機だ皆! 俺に、力を貸してくれ!」
 絶対の自信を以て言い放つカリバーン。その熱き言動に感銘を受けたか、フォースナイト達もまた力強く頷いて。
『猟兵は足止めに留めよ』
『排除目標の殲滅を優先せよ』
 敵は改めて、フォースナイトの殲滅に重点を置いて行動に出るつもりのようだ。だが無論。
「そのような卑怯な策は、この勇者カリバーンが許さん!」
 その背よりブースタの蒼炎を棚引かせ、一気に加速。最前の重騎兵を目掛け、手にした勇者の剣を一閃。ただの一撃で、かの兵は真っ二つとされた。
「僕達だって、負けるわけには…!」
 更にはフォースナイト達の放つエナジーの弾丸が、帝国重騎兵部隊へと降り注ぎその動きを制約する。そこをカリバーンが更に攻撃するという連携で以て、次々と帝国兵を撃破していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

村崎・ゆかり
英雄を殺すなら卵のうちに、か。手としては悪くないけど、それ故に予知にかかってあたし達がやってくる。
さあ、銀河帝国の残党を片付けていきましょう。

『GPD-331迦利』(二回目以後の表記は『迦利』で可)、起動。「式神使い」と器物覚醒で『迦利』の制御を精密化する。

あたしも今回は『迦利』に乗って出るわ。摩利支天九字護身法で「オーラ防御」を張って、『迦利』を駆っての空間戦。
「レーザー射撃」「弾幕」「一斉発射」「制圧射撃」で、艦の表面に取り付いた帝国兵を撃ち抜いていく。
コラテラル・ダメージは最小限にね、『迦利』。
帝国兵を撃ち抜きながら、高速で艦の両舷を周り、可能な限り取り付いた帝国兵を排除していくわ。



『レオニダスIV』の艦体、その一角から爆炎が上がる。かの教練艦への肉薄を果たした帝国重騎兵の一団が、次々に砲撃を仕掛けているのだ。
 分厚い複合装甲も、度重なる砲撃を受ければ耐えきれるものではない。そこは既に、幾つもの大穴が開き、内部構造の露わとなった無残な姿。
 重騎兵達が、その穴の向こうへとアームドフォート接続キャノン砲の照準を合わせる。そこに、何らかの重大な艦体機能を司る機関を見出したか。致命傷を与え得る非情な砲撃が――しかし、放たれることはなかった。
 突如、何処かから降り注いだレーザーの雨が、重騎兵達の身を貫いた。動力部を撃たれたか、そのまま爆発し消し飛んでゆく兵も数名。すわ敵襲と、帝国兵らがレーザーの飛来方向へ視線を向ければ。
「英雄を殺すなら卵のうちに。手としては悪くないけど」
 其処に在ったのは、白と紫を基調とした色合いを有する逆三角形のフォルム。不思議な形状ではあるが、無論それが自然のものであるなど有り得ぬ。それが証拠に、その内側から響く人の声がある。
「だからこそ、あたし達がこうしてやってくる」
 其処に座すは村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)、東洋呪術に精通する陰陽師。そして彼女が現在搭乗するは『GPD-331迦利』、機甲式と称される機動兵器じみた式神である。本来自律行動が前提の式神だが、ゆかりは今、器物に式神を憑依させるユーベルコードと、己の式神使役の技を合わせることにより、自ら操縦するような形でこの式を動かしていた。
 敵だ。即座に判じた帝国兵ら、アームドフォートからミサイルを一斉発射。だがそれらは全て、迦利に到達する直前で爆発。かの式には焦げ跡一つつかぬ。
「無駄よ。――さあ、きっちりと片づけさせてもらいましょうか!」
 不敵な宣言、直後に迦利は急速上昇。その機体が紫色の輝きを帯びたかと思えば、無数の細かな光線が立て続けに撃ち出され。戦闘空間を埋め尽くさんばかりの紫光の嵐が帝国兵らを巻き込み、貫き、爆散させてゆく。
 辛うじて躱した帝国兵、反撃とばかりにビームライフルを構え、射撃を敢行するが。
「それも、無駄ね!」
 機内のゆかりは素早く刀印を切る。直後、迦利の周囲を紫に光る膜が覆い、ライフルの光を散らし逸らしてゆく。摩利支天九字護身法、彼女の修めし術の一端たる防護術式。貫通力に優れたライフルと言えど、この術式の護りを抜ける程には非ず。
 そして再度放たれた光線が、残る帝国兵を次々撃ち抜き、全滅へと至らしめた。
「これでこの周りは片付いたかしらね」
 とはいえ、全長1kmを超える巨大な艦である。他の方面から攻撃を受けている可能性もあろう。そう判断するや否や、迦利の白紫のフォルムは飛翔を開始。高速で艦の周囲をぐるりと周り、先程まで戦闘を行っていた領域の丁度反対側へと飛び至った。
 そしてそこにも爆音と閃光。帝国重騎兵の一部隊が、レオニダスIVへの直接攻撃を行っていた。
「やっぱり、こっちにも居たのね」
 その様を認めるが早いか、迦利の機体各所が再び紫に輝きだし。同じ色の光線が、艦への砲撃を繰り返す帝国重騎兵らを次々撃ち抜き、これを爆散せしめてゆく。
「艦への損傷は…無さそうね。何よりだわ」
 状況的にやむを得ない場合もあろうとはいえ、コラテラル・ダメージは最小限が望ましい。術者の意志に同意するかのように、迦利の紫のパーツが瞬いた。

 その間にも、繰り返される光線斉射の前に帝国兵は次々と撃たれ倒れ。全滅と見れば、ゆかりは迦利と共に即座に移動を再開。そして移動先の敵へ紫光の驟雨を浴びせこれを排除。
 そのような攻勢を繰り返し、艦へ迫らんとした帝国重騎兵隊を片っ端から排除。そうして、レオニダスIVの危機は、払われていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミスト・ペルメオス
・POW

こちらブラックバード。援護するッ!

愛機たる機械鎧を駆って参戦。
ヘルム等を介し念動力を活用、機体をフルコントロール。
スラスターを駆使しての立体的な戦闘機動。縦横無尽に宇宙を駆ける。
敵は系統こそ異なれど己と同じ鎧装騎兵、ならば一層負けられない。存分に戦ってみせる。

高速戦闘に持ち込みながらの射撃戦。まずはビームアサルトライフルで牽制射撃。
敵部隊の行動パターン収集。解析。……連携が強みならば、それを崩して撃ち破る。
ヘルファイア・デバイス展開。【オープンファイア】!
エネルギー散弾の弾幕を幾度となく敵部隊に叩きつけ、損傷のみならず連携の瓦解を狙う。
バラけた者を狙って散弾の集束射撃。確実に墜とす!



 宇宙空間に、青の光と赤の光が入り混じる。フォースナイト達の放つサイキックエナジーの光と、帝国軍重騎兵隊が放つビーム兵器の光だ。
「そこだ…うわぁっ!?」
 帝国兵の砲撃を躱し、その隙に斬り込まんとしたフォースナイトの少年。だがそこへ放たれる、別の帝国兵のビームライフル。光条が少年の右腕を撃ち抜く。
「大丈夫!?」
「くそ…っ、チャンスと思ったのに…!」
 仲間に庇われつつ下がる少年。彼を庇った少女フォースナイトも、彼らの隙なき連携を目の当たりにして歯噛みする。個々の力量は寧ろ此方が上、だが敵の非人間的なまでに巧妙な連携を崩せない。彼らは徐々に追い詰められていた。
 油断なくビームライフルを構える帝国兵。悲壮な表情で各々得物を構えるフォースナイト達。彼らの命運は最早風前の灯火――そう見えた。だが、しかし。
 突如、上方から降り注いできた光条の雨。気付いた帝国兵らが散開する。尚も降り続く光の雨に、フォースナイト達が上方を見上げれば。そこから飛び来る、漆黒の巨躯を見出す。ウォーマシンと比しても尚巨大な、機械の人型。機械鎧。
『こちらブラックバード、援護するッ!』
 機械鎧より発されたる声は、フォースナイト達へ向けて。ミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)、猟兵であると同時に、とある船団護衛軍の軍人でもある青年。レオニダスIVは無論、己の属する船団とは全く別系統ではあるが。己の護るべきものと同質なれば。その任務を遂行せんとする意気は高い。
 彼の愛機たる機械鎧『ブラックバード』が、携えたビームアサルトライフルを連射し帝国騎兵隊を散らしにかかる。なれど敵も一定の距離を保ちつつ回避機動。孤立へと至る程ではない。
 騎兵達の視線が一斉にブラックバードを捉える。彼らの背負うアームドフォートが、ミサイルを、ビーム砲を、全ての搭載火器を一斉に全力射撃。夥しい弾幕が、ブラックバードを、搭乗者たるミストを襲う。
『負けんッ!』
 己の念動力を全開とすることで、自らの手足であるかの如く自在な機動を実現したブラックバード。更にスラスターを巧みに吹かし、上下左右前後、立体機動で駆け回る。それでも数発はその漆黒の機体を捉えるが、いずれも損傷は軽微。戦闘行動へ障りを生じせしめる程のものではない。
 改めて、帝国重騎兵隊を見据えるミスト。機械鎧を用いる己と、アームドフォートを背負う彼ら。系統こそ違えど、同じ鎧装騎兵。であるならば、尚の事敗北は許されぬ。己の持てる技術を存分と駆使し、打ち勝ってみせると。決意を新たに。
 機体に搭載した情報処理端末を確かめる。アイカメラを通じ収集した、敵の戦闘行動データ。解析結果。やはり、緻密な連携を持ち味とする敵のようだ。ならば。
『その連携、崩させてもらう!』
 背から迫り出し、両肩へと乗ったのは、複数の銃身を具えた大口径の砲。ヘルファイア・デバイス。そして。
(――攻撃、開始)
 心中にて一言。それを合図に、両肩の多連装砲が一斉に火を噴く。圧縮された高密度エネルギーの弾丸が、先程までのビームアサルトライフルよりも更に濃密、且つ破壊的な弾幕となって、帝国軍へと襲い掛かる。
 ユーベルコードの働きにより、常よりも更に連射力の強化された砲による弾幕。避けきれず、その手足を傷つけられてゆく兵士達。そして、それ以上に。
「…! あれじゃ、あいつら連携が…!」
 フォースナイト達は気付く。圧倒的なまでの面制圧力が、帝国兵一人一人を完全に分断。これでは連携など取るべくもない。
 完全に孤立した兵を目掛けて、ミストは双肩の砲を向け、撃ち放つ。集団で在っても尚脅威となる散弾砲、単独の敵に集中的に叩き込めば、最早オーバーキルと言っても過言ではない破壊力を示す。瞬く間に原型を失い、骸の海へ溶け逝く兵士。
 一体が片づけば、更に次の一体へ。確実に敵兵を一体一体葬ってゆくミストの戦いぶりに、フォースナイト達はただただ、驚嘆するばかりであったとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

勿海・きいな
守る気概というのは、よいものです…
わたしにできるのは、少しばかりの力添えですが

「虚に堕ちよ」による防御を行いましょう
…わたしは武術の達人ではないので、そういった人達ほどうまくはできませんが
UDCアースの元一般人女子なりに出来る限り気を張り詰め、クローン騎兵の攻撃を察知します
察知すれば…「認識」さえしてしまえば、そのユーベルコードは無力化できます…
目を向ける必要も、ありません
あなたがたの攻撃はすべて、無意味です
無意味へと貶めます

攻撃は、フォースナイトのかたに任せましょう
…お任せして、いいですよね



「ぅぐ…ここまで押し返した、か…。流石は、猟兵達だ…」
「教官、しっかりしてください!」
 脇腹を押さえ、苦しげな声を漏らす壮年の男性。教練艦の教官の一人が、決して浅くはない傷を負いつつも、徐々に押し返しつつある戦況に、少しだけ安心したような表情を浮かべる。
「一度艦に戻って治療を…!」
「ぐぅ…っ、待て…! まだ戦いは続いて…!」
 艦へと戻り治療を受けさせんとする教え子と、戦いが終わるまではと拒絶せんとする教官。そんな押し問答は、しかし長くは続かなかった。
『敵性存在発見、フォースナイトと断定』
『殲滅を開始する』
 彼らの様子を目聡く見出した帝国重騎兵の一団が、彼らを狙って迫って来たのだ。
「くそっ、教官をやらせはしない…!」
「そうだ俺達が…って、え?」
 決死の覚悟で身構えるフォースナイト達。だがその中に一人、見慣れぬ姿があったことに、思わず頓狂な声が漏れてしまう。白い髪に白い肌、白い衣。瞳だけが真っ赤な光を湛える、少女の姿。
「――お邪魔します。守る気概、というのは、よいものです…」
 驚いた様子のフォースナイト達へと丁寧にお辞儀しつつ、その少女――勿海・きいな(強化人間のUDCエージェント・f30730)は語る。師を守らんとする彼らの様相に、感じ入るものがあった様子。
「わたしにできるのは、少しばかりの力添えですが…お手伝い、させてもらいますね」
 言動ともに控えめなきいななれど、猟兵たるはフォースナイト達にも理解できたか。彼らの反応は明るい。
『猟兵反応有、然し作戦に支障なし』
『殲滅を開始する』
 一方の帝国重騎兵隊、きいなが見た目に特段の武装を有しておらぬと見たが故か。大した抵抗はできぬと判じ、その身の全武装を展開。ビーム砲、アサルトライフル、ミサイル。様々な火砲の一斉射撃が、きいなも、フォースナイト達も、纏めて薙ぎ払わんと迫り来る。
 然し。きいなは、迫るそれらへ目線さえ向けることなく。只々、佇むばかり。回避も防御も行う様子の無い彼女の姿に、フォースナイト達は焦りを見せるが。
「――それは、無意味、です」
 一言。ただの一言。それのみを以て、彼女達目掛け殺到していた全てのビーム、弾丸、ミサイル、その一切が、消失する。始めから、攻撃など行われていなかったかのように。
 驚愕するフォースナイト達、起きたる事態に理解の追いつかぬ様子の帝国兵。一方のきいなは、上手くいったことに内心、安堵する。今でこそ猟兵である彼女だが、元はUDCアースの何処にでもいた女子学生。己にできる限りに、気を張りつめていたのである。
 そこへ再度放たれる、重騎兵達の一斉集中砲火。迫り来るそれらへ意識を向ける。認識する。それら全てが、消失する。
「あなたがたの攻撃はすべて、無意味です。無意味へと、貶めます」
 決然と言い放つきいな。それは彼女のユーベルコード、認識した攻撃の全てを無意味とする。拒絶の術式。
「――攻撃は、お任せします。…お任せして、良いですか?」
「…あ、ああ!」
 きいなの問いに応えたフォースナイト達が、抵抗の術を無意味とされた帝国兵へ襲い掛かる。その殲滅されるを見届け、きいなは安堵したように息を吐いた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『ミニスター・ブラック』

POW   :    マジックブロウ
【魔力を籠めた拳】で攻撃する。[魔力を籠めた拳]に施された【魔力制御】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
SPD   :    追加装甲
自身に【漆黒の機械装甲】をまとい、高速移動と【自律行動するビット】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ボミングレイド
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【着弾地点で爆発する魔法弾】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ムルヘルベル・アーキロギアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「鎧装騎兵隊は壊滅、か」
 帝国軍旗艦の艦橋にて。上がってくる報告に、漆黒の巨躯を有する男――猟書家『ミニスター・ブラック』は重々しく呟いた。あの状況からここまで押し返されるなど、原因は一つしか有り得まい。
「敵艦、反転し本艦へ接近! 接舷を試みる模様!」
 そこへ更なる報告。男の目が細められる。成程、下手に逃げるよりも指揮官を潰す方が生存の目が大きいと踏んだか。狩られる側に甘んじる事なく、狩る側へ回らんと抗う。悪くない思考だ。
「良かろう。艦内全戦力に通達。これより艦内戦闘へ移行する。前線指揮は私自ら執る」
 正面から猟兵と戦い得る戦力は己だけだ。他の戦力は援護程度に考えるべきだろう。フォースナイト達も乗り込んでくるならば、其方へ当てるのも悪くはないが。
「そして全艦へ通達。万一私が敗れたならば、ただちに全軍撤退せよ」
 敵はかつての銀河皇帝リスアットを滅ぼし、帝国継承軍の盟主たるプリンセス・エメラルドにも苦杯を舐めさせた相手。確実な勝利など計算できぬ。
 だが、無論のこと。己の武力、魔力、知略。その全てを以て、猟兵を返り討ちとし、フォースナイト達を鏖殺してくれよう。さあ、戦いの始まりだ――



 帝国の鎧装騎兵隊、その粗方を撃破した猟兵達。指揮官たる猟書家『ミニスター・ブラック』を討つべく、帝国軍の旗艦への突入を果たした。
 後には『レオニダスIV』のフォースナイト達が続く。猟兵達を援護し、共に指揮官を討つ。それが最も生存可能性の大きい選択である。そう判断したが故に。
 艦内を駆け、やがて行き着いた先は開けた空間。天井は高く、立体機動にも支障は無さそうだ。随所に資材搬送用だろうか、大小様々なコンテナが置かれている。
 その空間の向こう側。何名もの帝国兵を従えた、漆黒の巨躯有する存在の姿が見える。あれがミニスター・ブラックか。
「――良くも此処まで来たものだ」
 尊大げに腕を組み、猟兵達とフォースナイト達を睥睨する漆黒。獰猛なる印象の貌に浮かぶ感情は、憤懣か、それとも歓喜か。
「語るは不要だろう。――来るがいい。貴様らの全て、我らが収穫してくれる」
 身構えるミニスター・ブラック、銃を構える兵士達。彼らを討ち倒し、レオニダスIVの危機を完全に打ち払うのだ。

※敵兵士はブラスターによる射撃のみの攻撃。ユーベルコードは特に使いません。
※引き続きフォースナイト達との共闘可能です。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
確かに、相当な強者ですねぇ。
お相手致しますぅ。

まず壁に背を向け前面に『FSS』を展開、『直線的な射線』と『瞬間移動等による出現位置』を塞ぎますぅ。
そして『FRS』を頭上に配置し[砲撃]を、『FBS』を前に飛ばし斬撃を、其々仕掛けますねぇ。

これらを全て『時間稼ぎ』主体で使えば、相手が『拳』をどう使っても或る程度時間は稼げる筈ですから、それを利用し【処檻】を使いますぅ。
『強力な個体』且つ『指揮官』である彼には、相当な効果が見込めますので。

また『範囲内の兵士』も一応同時に捕えられますから、その間にFナイトさん達に兵士を仕留めて頂ければ。
それまでは『護身』優先でお願いしますぅ。


ハロ・シエラ
流石の圧力ですね。
一人でも我々全員を相手に勝てると言う自信も、それを裏付ける強さも感じます。
ですが、こちらも負ける訳には行きませんので。

さて、敵の攻撃は数と爆発力を併せ持つ魔法弾。
その軌跡も回避しやすいとは言えません。
ここはまずそれらに対して【ダッシュ】で突っ込み、速攻で接近戦に持ち込むと見せる【フェイント】をかけます。
そのまま魔法弾の速度と着弾タイミングを【見切り】、ユーベルコードで無力化しましょう。
その際の隙はフォースナイトの方々に射撃などで援護して頂き、私自身は全力で【ジャンプ】してしの勢いで【鎧無視攻撃】の突きで敵を攻撃します。
時間は90秒程。
【早業】で挑まないといけませんね。


天城・千歳
【SPD】
アドリブ、絡み歓迎

それでは制圧に行きましょう

サテライトドローン群を戦場に展開し広域観測網を形成後、歩行戦車中隊及び歩行工作車中隊を出撃、リモート義体は教練艦の艦橋でオペレーター席を借り艦のレーダー、各種センサーの情報と、ドローン群の観測網と本体及び歩行戦車、歩行工作車のレーダー、各種センサーによる【索敵】【偵察】で【情報収集】し【戦闘知識】【瞬間思考力】で判断、情報を元にUCを発動。
UCによる演算の結果に従って【誘導弾】の【一斉発射】による【制圧射撃】で【先制攻撃】を行い、その後は【砲撃】【レーザー射撃】で対応
リモート義体は味方への情報支援で援護。
戦闘義体は候補生達を直接援護する。


村崎・ゆかり
あれが猟書家か。雑兵とは存在感が違う。
村崎ゆかり、陰陽師。参る。

まずは「全力魔法」の摩利支天九字護身法で「オーラ防御」を張って。
放たれるビットや魔法弾は、炎の「属性攻撃」「範囲攻撃」で焼き払う。

愛奴召喚でアヤメを喚び出して、連携して猟書家に連続攻撃。「式神使い」でアヤメの能力を底上げする。
あたしは「衝撃波」を纏った薙刀の連続攻撃で「なぎ払い」「串刺し」に。アヤメは接近は避けて苦無の投擲で牽制を。
アヤメに気が向いたら、あたしが薙刀の攻撃を仕掛ける。隙を見て「呪詛」を込めた不動金縛り法を仕掛けてあげるわ。
術式が効いてる間にフォースナイトの皆も攻撃よろしく。

討滅出来たら、艦の自爆装置でも探しましょ。



 帝国軍旗艦の艦内にて、猟書家『ミニスター・ブラック』率いる帝国兵部隊と対峙する、猟兵達とフォースナイト達。
「…流石の圧力ですね」
 敵軍の先頭に立つ黒耀の巨躯を見据え、緊張の面持ちでハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は呟く。未だ彼我の距離は相応にあるが、それでも十二分に理解できる。
「そうね、周りの雑兵とは存在感がまるで違う」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)も、ハロの感想に同意を示す。実際の体格以上に、その姿は巨きく見えるようにも感じられ。
「これは確かに、相当な強者ですねぇ…」
 思わずぷるぷると小さく震えつつ、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はそう評し、二人ともが頷く。成程、単騎で猟兵の全てを返り討ちにできるという自信と、それを裏打ちする力量。この猟書家はそれらを共に具えているようだ。
「とはいえ、勝てない敵ではないことは、過去の記録に示されている通り」
 その三人の後ろへと歩み出る闇蒼のウォーマシン。天城・千歳(自立型コアユニット・f06941)、その戦闘用義体。人間型のリモート義体は、引き続き『レオニダスIV』艦橋にて情報支援を行う。後には千歳自身と共に情報網を形成する歩行戦車と工作車の中隊が続く。
「…ええ。こちらも、負けるわけにはいきません」
 勝たねばならぬ戦いであるのは事実。ハロは頷き、愛剣リトルフォックスを抜き放つ。
「それでは、制圧に参りましょう」
 情報網を形成するべくサテライトドローン群を展開しながら、千歳が呼びかければ。
「はい、参りますよぉ」
 るこるも己の得物たる浮遊兵器群を展開し応え。
「ええ――村崎ゆかり、陰陽師。参る!」
 そして、ゆかりが紫刃の薙刀を頭上で一廻しの後に構えると同時。
 ミニスター・ブラックの手が掲げられたのを合図に、兵士達が一斉に銃を構え――決戦の火蓋が切って落とされた。

「兵士はともかく指揮官は危険ですぅ! 皆様、機の巡るまでは護身を優先して下さいませぇ!」
 猟兵達同様に身構えていたフォースナイト候補生達に呼びかけつつ、るこるは戦場の壁際、壁で背を守る位置を取る。追従してきた防盾を前面に展開、以て敵兵が次々放つレーザーの銃撃を受け止める。
「観測網形成完了。戦車部隊、前進! 砲撃開始!」
 展開したドローン群が戦場の観測情報を収集、教練艦のリモート義体を介して戦場を電子的に掌握した千歳。るこるが熱線砲による反撃を開始するのに合わせ、率いる歩行戦車群が一斉に砲撃を開始。熱線とミサイルとが敵陣へ着弾し、敵歩兵が次々と吹き飛ばされ骸の海へ還されてゆく。
 残った兵がどうにか態勢を立て直したところに、薙刀を構えた前傾姿勢で疾走するゆかりが迫る。帝国兵、ゆかりを目掛けレーザーの射線を集中させる。
「オン・マリシエイ・ソワカ! 摩利支天よ、この身に験力降ろし給え!」
 対するゆかりは片手で薙刀を保持、もう片手で素早く九字を切る。直後、ゆかりの前面へと生ずる光の障壁が、放たれた光条を受け止めては霧散せしめる。
「その程度で抜ける程、摩利支天の加護は安くないのよ!」
 そのまま敵陣へ肉薄、最前の敵歩兵を纏めて薙ぎ払い斬り飛ばす。その上を飛び越え、指揮官たる黒耀へと迫る影あり。ハロだ。
「このまま速攻で、仕留めさせてもらいます!」
 炎纏う細剣の切っ先が、巨躯の急所を狙い澄ます。対するミニスター・ブラック、己へ迫る四人の猟兵を素早く見渡し。
「せめて数の利を、と思ったが。一瞬でひっくり返してくれようとはな――だが!」
 身構えたその身を、肉体の色より尚も深き漆黒の装甲が覆う。ハロが喉元目掛け繰り出した刃を、そこに生じた装甲が弾く。
「多勢を敵する戦の手立て、此方とて備えておるわ!」
 その声を残し、ハロの前から漆黒の巨躯が消える。否、超高速にての機動を開始したのだ。直後、背後に殺気を感じハロが跳ぶ。脇腹に鈍い痛み。一瞬で背後に回ったミニスター・ブラックが、手刀を繰り出した姿勢でそこにいた。
「この速度に間に合うか。良い反応をしている」
 再び超高速機動へ移行するミニスター・ブラック。その後を守るかのように、十字型の小型飛翔物体――ビットの群れが青き光跡を描きながら飛び来たり、次々とレーザーを撃ち出す。回避行動を余儀なくされるハロ。
「数が多いですね…! 皆、極力動かず防御と迎撃を!」
 候補生達の護衛につく形にてウォーマシンたる身を置いていた千歳は、戦車中隊との連携にて迫るビットを撃ち落とし――徐に、明後日の方向へとその手のブラスターライフルを撃ち出す。
「む…っ!」
 直後、放たれた高密度エネルギーの光条が漆黒の影を捉える。ミニスター・ブラックの左腕へとブラスターの光線が命中、そこを覆う装甲を焼き融かしていた。
「この速度を捉えた…いや、此方からの迂回に気付いた、だと?」
 機動を再開、牽制を兼ねて、その左腕から魔力弾を乱れ撃つミニスター・ブラック。回避行動を取れば後ろの候補生達へ命中しかねぬその攻撃に対し、千歳は連射機能に切り替えたブラスターを続けざまに撃ち放ち、全てを相殺してみせる。のみならず、敵の更なる接近を阻む弾幕をも形成して。
「あなたの本来の目的を鑑みれば、候補生達を狙いにくる事は容易に想像がつきます」
 とは言え、彼の機動を読み切ったのはその推理のみには非ず。展開したドローン群と戦車群、そして自身のセンサーを以て掌握した戦場の情報、それらを基に発動したユーベルコード。状況の予測演算を可能としたことによる、未来予知じみた迎撃行動であった。
 そして、その予測を基に繰り出される弾幕で機動を制約されたミニスター・ブラックへ更に襲い来る攻勢。
「せぇぇいっ!」
 斜め後方より響く声。反射的に跳躍する漆黒の巨躯を、波の如く襲い来た衝撃波が削る。ゆかりの振るった薙刀より放たれたものだ。更に。
「ぬ…っ!? 新手か…?」
 着地したミニスター・ブラックの肩部装甲へ突き立つ数本の黒き杭じみた物体。苦無。忍者の投擲武器として用いられるものだ。このような得物を用いる猟兵が、己の把握する四名のうちに居ただろうか。否。
「良いわよ、アヤメ。その調子でお願い!」
 ゆかりの背後に、四名の猟兵達とはまた別の存在が音もなく着地する。身のこなしを妨げぬ和装は成程、忍者めいているが。黒髪より覗く耳は長く尖り、エルフの特徴を示す。
 彼女――アヤメは、元はアックス&ウィザーズに在ったオブリビオン。かつての帝竜戦役の折、群竜大陸にて遭遇した彼女を、ゆかりが恋人兼式神としたものである。
「成程、このままでは攻め切るは叶わぬな。なれば」
 直後に再度姿を消した猟書家、直後に横合いから空間を貫いた熱線の砲撃より逃れ、そのまま発生源へと疾走を開始する。即ち、るこるだ。
「くぅ、来ましたか…!」
 接近機動を妨げるべく八枚の戦輪を放ち、更に襲い来るビットへは防盾にてレーザーを防ぎつつ砲撃で対応。だがしかし、猟書家は止まらぬ。
「壁を背にして背後を守るは悪くないが!」
 速度で以て戦輪をすり抜け、左右からのビット攻撃にて守る防盾の陣形を広げさせ。頭上の浮遊砲台が再度の砲撃を可能とした頃には、るこるの眼前に漆黒の巨躯が現れていた。
「正面よりの突破、不可能には非ず!」
 そして振りかぶられた右腕に、紅く禍々しき光が迸る。集束した彼の魔力が、その拳の力を増幅せしめているのだ。
「この一撃にて、砕けよ!!」
 繰り出されるは真正面からのストレート。小細工抜きの、必殺の一撃。
「――ッ!! 大いなる、豊饒の女神の名に於いて――!!」
 対するるこる、せめてもの回避行動を取りつつ、奉ずる女神への祈りを唱える。乳白色の波動が迸る。守りの備えが、それでも一刹那の時を稼ぎ得たか、拳はるこるの左肩を――それでもそこが砕けぬばかりに――撃ち抜くに留まった。
「ぅ…っく、うぅ…」
 致命は避けたが、それでも傷は深い。その場へ崩れるるこる。見下ろすミニスター・ブラックは、しかし――更なる追撃を繰り出すことは、叶わなかった。
「ぐぉ…ぉ…っ!? ぐ、これ…は…!」
 漆黒の巨躯はよろめき、両の足を踏ん張って倒れぬようにするのが精一杯の様相。その足元に、黒き液体が滴る。彼の血液であろうか。
「やはり、見込み通り…貴方に、女神の裁きは相当効果があった、ようですねぇ…」
 追いついたハロの手を借りて距離を取りつつ、るこるは呟く。彼女の咄嗟の祈りは、敵対者の体内より直接攻撃を行うユーベルコード。その威力は、敵の力と言葉を交わしたオブリビオンの数で決まる。強大なるオブリビオンであり、且つ指揮官という立場上多くの配下と言葉を交わすミニスター・ブラックには、とりわけ高い効果を示し得るというるこるの読みは、見事に的を得ていたのだ。
「ともあれ…傷は深いはずですぅ。今のうちに、追撃を――」
「――いえ、待ってください! これは…」
「周辺のエネルギー量増大…! く、間に合わない…!」
 浮遊兵器群を己の元へ呼び寄せ追撃を試みんとするるこる、だがハロと千歳が立て続けに警告を発する。刻まれた傷に呻いていたミニスター・ブラック、その周辺から夥しき魔力が溢れ出す…!
「その身でその光盾、充分には扱えまい…! なれば今こそ、纏めて一掃する好機!」
 黒き魔術師の周囲を無数の魔力弾が覆い、それらは次々と空間内を飛び回り始める。それはさながら、空間に魔法陣を描くが如き複雑怪奇な軌道。
「――受けてみよ!!」
 猟兵達を、候補生達を包囲した、夥しい数の魔力弾が、一斉に彼ら目掛けて激突。空間に大爆発を巻き起こし、爆炎と爆煙が辺りを埋め尽くす。
 ミニスター・ブラックは身構えたまま、爆炎と爆煙に満たされたその空間を油断なく見据える。間違いなく仕留めた、そう思った時こそ、敵が最大の反撃を構えている。そう知るが故に。
「――ぬ…?」
 やがて生じた状況の変化に、その獰猛げな貌が顰められる。晴れてゆく爆煙の向こう、輝く焔の如き光が見え――
「皆さんを…やらせは…しません…!!」
 そして晴れた煙の先に見えたのは、その胸元にて焔の光を放つハロの姿。周囲の猟兵達も、候補生達も無傷。そればかりか、先程砕けた筈のるこるの左肩も、元通りとなっていた。それだけではない。
「…装甲が!? 馬鹿な…!」
 己の身を覆っていた装甲が、ボロボロに砕けて散ってゆく。ユーベルコードによって纏った装甲が何故。さしもの狡知誇る猟書家にも想定外の事態に、思わず動揺が漏れる。
 それは、ハロが発動せしめたユーベルコード。輝ける焔は、彼女の生命のエネルギー。以て、悪しきもののユーベルコードとそれが齎した影響を祓う、過去を超え今を生きる者への加護。
「…今です、皆さん…! 今のうちに、決めてしまいましょう…!」
 改めて細剣を構えるハロの声音には苦悶が滲む。これ程の奇跡を起こした代償は、ハロ自身の命。時間にして、発動より96秒。それを超えて発動すれば、光と共に彼女の命も燃え尽きる定め。
「…承知しました。では、いきますよ皆さん…!」
 元より最大の好機、ここで躊躇う理由など無い。千歳の号令に応え、歩行戦車群全32機、更に千歳自身もが一斉にミサイルを射出。同時に放たれたレールガンと、るこるが放った浮遊砲台の一斉砲撃が、ミニスター・ブラックとその周囲へ立て続けに着弾。身構え耐える猟書家、なれどこのままでは回避機動が取れぬ。
「ノウマクサンマンダ・バサラダンセン・ダマカラシャダソワタヤ・ウンタラタカンマン!」
 そこへゆかりが剣指にて早九字を切り、印を結べば。もう一方の手に構えた霊符が羅索と変じて飛翔。かの猟書家、その漆黒の巨躯へと絡みつき、移動すら儘ならぬほどに縛り上げ。
「ぬぐ…!? これ…は…!!」
「今よ! 一気に攻めなさい!」
 己の身をも縛めるその力に、呻きを漏らす黒の魔術師。そこへ、ゆかりの声に応えたフォースナイト達が一斉に動く。
「これでも喰らえ…!」
「わたし達の艦を、落とさせはしない…!」
 放たれたサイキックエナジーの弾丸が無数に降り注ぎ、漆黒の巨躯を抉り、削る。そして。
「その悪しき理、ここで、止めてみせます…!!」
 己の命燃やしながらハロは駆ける。構えるは焔纏う細剣。その輝き映すかのような刃の一突きが、ミニスター・ブラックの胸元を深く貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミア・ミュラー
フォースナイトさんたちは、みんなとっても心が、強い。だから、こんなところでやらせるわけには、いかない。ん、みんなで無事に帰れるように頑張ろう、ね。

相手の動きに追いつくために、わたしも【プリンセス・ドライブ】を、使う。今度はわたしがみんなを、守るよ。フォースナイトさんたちにはまず敵の兵士と遠距離で戦ってもらう、ね。
わたしはビットを光刃で壊して防御に、専念。けど、ただ防御してるだけじゃなくて、光刃はビットを貫通して後ろの兵士も攻撃してるから、みんなの力と合わせて兵士は全部倒せる、はず。
後はみんなと連携して機械装甲を壊して動きを鈍らせて光刃を、打ち込む。ん、今度はこっちが数で押し切っちゃう、から。


エクス・カリバーン
「敵のボスとのバトルだな。
フォースナイトたちは後方から援護してくれ。
俺が前に出る」

三種の神器を構え、敵と対峙しよう。

「くっ、魔力を籠めた拳か……
さらにまだ威力が上がるだとっ!?」

盾と鎧で身を守るも、敵の攻撃は圧倒的だ。
このままでは……

そこにフォースナイトたちの援護が!?

「すまない、少しだけ時間を稼いでくれ!
三種の神器よ、俺に彼らを守るための力を!」

【正義の誓い】でフォースナイトたちを守る誓いを立て、全身が金色に包まれた姿に変身だ!
この姿ならば、猟書家の拳にも負けはしない!

「俺の全力全霊の攻撃、受けてみろっ!」

フォースナイトたちと連携し、猟書家に反撃していこう!

「いまだっ、一斉攻撃でいくぞ!」


カシム・ディーン
旗艦に突入後
機神より降りUC発動
射程半減
攻撃回数強化
銀髪銀眼の少女に変身

やれやれ…こういう戦りあいは好きじゃないんですが

「大丈夫、ご主人サマはしなないよ、私が守るもの♪」

やめれそういうのは

【情報収集・視力・戦闘知識・医術】
敵の動きと敵陣の状況の把握
更に敵の状態も冷徹に解析

ちょいと僕も本気を出すか
メルシー!合わせろ!

メルシー
【瞬間思考・属性攻撃・念動力・スナイパー】
サイズ縮小したカドウケゥスで他のフォースナイトと共に念動光弾で連続射撃
ボミングの魔法弾やビットも高速思考で捕捉し迎撃

メルシーの援護射撃に合わせ
【二回攻撃・切断・盗み攻撃・盗み】
距離を詰め縮小されたハルペーと短剣での斬撃と共に装甲強奪試



 戦場たる空間に、幾度もの激突音が響き、ビットと光の刃とが飛翔する。黒耀と白煌とが戦場を飛び交い、ぶつかり合っては離れる動きを繰り返す。
「猟兵、やはり侮れぬ! よもやこの状態の私に、速度で追随する者もいようとはな!」
 黒耀、猟書家ミニスター・ブラックが獰猛なる貌を笑みの形に歪める。先の猟兵達との交戦による損傷を補うかのように装甲を纏った姿は、それに反し視認すら困難な程の速度で戦場を疾駆し、無数のビットを放っては蒼き禍光にてフォースナイト候補生達を狙わんとするが。
「フォースナイトさん達、こんなところでやらせるわけには、いかない…!」
 白煌、ミア・ミュラー(アリスの恩返し・f20357)は決然たる声音にて返す。変化に乏しきその貌は、しかし、内に秘めたる確かな決意を滲ませる。
(今度はわたしが、みんなを守る…!)
 先の宇宙空間にての帝国鎧装騎兵隊との戦いでは、己の切り札たるユーベルコード発動の時間を稼ぐべく、フォースナイト達には随分と無茶を強いた。だが彼らはそれに応え、見事に十全な威力を発揮できるだけの時間を稼ぎ出してみせた。故に、次は己の番。己の命数削るユーベルコードを以て、速度に速度で対抗。放たれるビットを光の刃で撃ち落とし、かの猟書家の、フォースナイト達を狙う動きを食い止めてみせていた。
 ミアは知る。彼らの心の強さを。それ故にこそ、彼女を信じ、限界迫る中でも戦い抜いてみせたのだ。間違いなく、彼らは良き騎士となる。だからこそ、ここで殺させるわけにはいかない。
 両者を援護するべく、フォースナイト達と、増援として到着した帝国兵達が、それぞれの手段で射撃を行う。蒼きサイキックエナジーの弾丸と、紅きブラスターの光条が交錯する。
「だが、それこそお前の隙よ! 私が奴らを狙う限り、お前が攻めに出ることは叶わぬ!」
「くぅ…っ!」
 なれど、流石に単騎では猟書家を押し留めるには荷が勝つか。ミアの動きを、少しずつミニスター・ブラックが超えつつあった。このままでは突破される――歯噛みするミア。だが。
「おっと、そうはさせん! 加勢するぞ!」
 まさにミアを抜かんとした猟書家だったが、振るわれた剣を前として距離を取り直す。その剣を手にするは、ミアよりも頭一つ小さな、だがその身は鋼鉄、心は熱き勇者の魂。エクス・カリバーン(聖剣勇者エクス・カリバーン・f30075)だ。
「俺が前に出る! フォースナイト達の守りは任せた!」
「ん、ありがと、お願い…!」
 攻勢を引き受けるカリバーンに対し、速度で劣るその身を突破せんとするミニスター・ブラックの動きをミアが食い止め。そこへカリバーンが攻撃を仕掛ける。連携を以て迎え撃ちにかかる両者。
「成程、大した連携よ…! なれば貴様から打ち倒すべきであろうな!」
 元よりミア一人を突破するにも苦慮した以上、まずはカリバーンを倒さねばならぬ。そう判じたミニスター・ブラック、その拳へ魔力を籠め。カリバーンへ向けて、速度を乗せたストレートとして繰り出す。
「何の…!!」
 だがカリバーンも、片手に携えた盾を以て拳を受け止めんとする。紅く輝く拳と白金色の盾が衝突し、電光じみた輝きが辺りへ散る。

 そんな戦いの様子を見守る、一組の男女あり。二人の猟兵と交戦を繰り返す猟書家を観察する黒髪の少年はカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)。その視力の限りを以て、超高速にて機動する黒耀を捉え、その挙動、状態を冷徹に分析してゆく。
「やれやれ…ああいう戦りあいは好きじゃないんですが」
 元より盗賊であるカシム、正面きっての戦闘は好むところではない。だが、かの猟書家相手にそうそう搦め手が通用するとも思えない。
『大丈夫、ご主人サマはしなないよ、私が守るもの♪』
「…やめれ、そういうのは」
 傍らの銀髪銀瞳の少女の言に、うんざりしたような溜息をつくカシム。この少女はメルクリウス、先の戦いでカシムが搭乗していた機神が人の姿を取ったもの。無論、変化したのは外見だけであり、本質に違いは無い。
「…しかし、あれだけの傷を負ってああまで動きますか…」
 医術の心得を有するカシムには分かる。ミニスター・ブラックの肉体、その身に刻まれた傷の深さを。でありながら、あそこまでの機動を未だ可能とする事実。他の猟兵もいるとはいえ、果たしてどこまで食い下がれるか――
「…! そう言っている場合ではないですね…!」
『あれ、ご主人サマもう行っちゃう?』
 状況は推移した。悪い方向に。鎌剣を構え身構えるカシムに、メルクリウスが声をかければ。
「あの状況を放っておけるほど薄情ではないつもりだ…! 合わせろ、メルシー!」
 返答も待たず、交戦の只中へと駆け入っていく。

「ぐぅっ! く、まだだ…!」
 ミニスター・ブラックの魔力帯びる拳が、カリバーンの胸元を打つ。鎧にて身を守るが、その衝撃は内側へも伝播し身体を揺るがせる。
(先程までより更に重い…! まだ威力が上がるというのか…!?)
 数度の打ち合いの末、初手より威力の増した拳撃の勢いを殺しきれず、盾は弾き飛ばされた。制御術式の解除によって更に威力が上がる、と事前情報にはあったが、ここまでとは。
「させない…!」
 横合いからミアが蹴撃を繰り出すも、猟書家は退き回避。
「大丈夫…? …くぅっ!」
 カリバーンを案ずるミアだが、彼の状態を確かめる間も無く、ビット群の放つレーザーと、ミニスター・ブラック自身の放つ魔法弾とが襲い来る。ミアもまた、一旦退いての回避を余儀なくされる。
「随分と耐える…ならば、もう一段階制御を解かねばならんか」
 その間に再度迫る漆黒の巨躯。その腕を覆う紅き魔力が、更に禍々しき輝きを増す。狙うは無論、カリバーン。
(くっ、このままでは…! 何か、何か手は無いか…!)
 カリバーンの機械仕掛けの貌に緊張の色が浮かぶ。ミアの援護のおかげで、あれだけの重い打撃を受けても呼吸を整える程度の間隙は得られていたが。一撃で倒れる程の打撃を受ければ、それどころではない。
 如何にしてこの窮地を乗り切るか。拳の迫る刹那の間に、打開の道を探る。と。
「せぇぇいっ!」
 突如聞こえた裂帛の声、同時に響くは金属同士の衝突音。ミニスター・ブラック、咄嗟に掲げた腕で振り下ろされた鎌剣を受ける。
「ちぃっ、不意を打ったつもりでしたが…!」
 それはカシム。カリバーンのピンチと見て突入を即断した彼、その一撃を以て致命の拳を食い止めてみせたのだ。更に。
『はいはーい、私もいるよー!』
 メルクリウスの掲げる杖から魔力弾が立て続けに撃ち出され、猟書家を襲う。カリバーンにもカシムにも攻撃を繰り出せぬまま、ミニスター・ブラックは退き仕切り直しを図るが。
「…! 兵達が…!?」
 視線を巡らせ、自陣の様相を確かめた彼は気付き、驚愕する。いつの間にか、援護射撃を行っていた兵達が一人残らず消え失せていたことに。即ち、全滅である。
「わたしが、ビット壊してるだけ、だと思った?」
 そこへミアが再度斬り込んでくる。ミニスター・ブラックの放ったビットを光刃で撃墜していた彼女だが、それだけに非ず。光刃はビットを貫通し、その先の兵までをも斬っていたのだ。そこへフォースナイト達の射撃が畳みかけ、以て兵を全滅せしめる事に成功したのだ。即ち。
「ちぃ…っ!」
 猟兵達の後方から、雨霰と降り注いでくる蒼き光弾。フォースナイト達の射撃だ。そこへメルクリウスも加われば、さしもの猟書家を以てしても容易く突破とはゆかぬ弾幕が形作られる。
「皆…済まない! 少しだけ、時間を稼いでくれ!」
 一連の攻勢を見届けたカリバーンは一歩下がる。そして先程弾かれた盾を拾い、身構える。
「良いでしょう、ちょいと本気出していきますよ!」
 請け負ったカシムは鎌剣を振るい、ミニスター・ブラックへと斬りかかる。ミアの放つ光刃と降り注ぐ弾幕に抑え込まれ、黒き魔術師はその速度を十全に活かすことが叶わぬ。
「ちぃ…っ! …ぬ!?」
 肩部の装甲を利してカシムの振るう刃を受け止めにかかるミニスター・ブラック、だが直後に違和感へ気付く。受け止めた部位が、急に軽さを増したことに。
「残念、僕の狙いは最初から此方です!」
 その答えはカシムの手の中。今しがた彼の攻撃を受け止めた肩部装甲が、そこにあった。盗賊たるカシムの本領、敵の武装を強奪する業である。
「ん、今度はこっちが数で押し切っちゃう、から」
 その動揺の間を突いて、ミアの廻し蹴りが黒耀の胸を打つ。カシムに装甲の一部を奪われたが為か。堅固を誇るはずの装甲が容易く砕け、剥離してゆく。
「ぐぉぉ…っ! く、だが…!」
 突き抜けた衝撃に呻きながらもミニスター・ブラックは動く。攻撃の隙を突いてミアの横を突破、そのまま弾幕を突っ切り、フォースナイト達へと拳を振りかぶり――
「そうはさせん!」
 だが、その前に立ちはだかる者あり。カリバーンだ。剣を、盾を掲げ、高らかに宣言する。
「俺は、この背に負う者達を守ってみせる! 三種の神器よ、俺に彼らを守るための力を…!」
 その瞬間、カリバーンの全身が輝きだす。白金から黄金へ。誓いを以て変じた、彼の真なる姿。以て、その力を大きく高め。
「ならば! この拳! 止められるか…!」
 飛翔が如き速度での、ミニスター・ブラックの突撃。拳を包む紅き魔力は、いよいよもって高まりきり。力の渦に電光が迸る程となり。
「…止めてみせる!!」
 掲げられた黄金の盾とぶつかり合い、周囲に衝撃波と電光が荒れ狂う。守る力と壊す力とが、一時、拮抗し――
「…おおおおおお!!」
「ぬおぉぉぉぉ!?」
 黄金の勇者、裂帛の気合と共に盾を押し上げれば、拳が上方へと逸らされ、漆黒の巨躯を押し崩す!
「これが、俺の全力全霊の攻撃!! 受けてみろぉぉぉぉぉぉ!!」
 その勢いを殺すことなく。黄金に煌めく剣を、渾身の力で振り下ろし――黒耀の胸へと深く、深く斬り裂いて。

 更に飛び来たミアの光刃と、メルクリウスの魔力弾と。フォースナイト達の放つ光弾とが。よろめく猟書家目掛けて、怒涛と浴びせられていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

勿海・きいな
先に、謝っておきましょうか。ごめんなさい
収穫するのは、わたしたちの側ですので
さぁ、
抵抗してみせなさい。儚き勝利を掴むべく足掻いてみせなさい。その全て、わたしたちが刈り取ってあげましょう
「帝国敗北軍」には、その末路こそが相応しい、です

「引き裂き喰らう混沌」で攻撃しましょう
一撃一撃に生命力吸収と捕食を併用
喰らえば糧とし、再生や更なる増殖に転用
混沌を広げ、ミニスター・ブラックの足元や背後からも襲わせます
敵兵士も巻き込む範囲攻撃化もしましょう
フォースナイトのかたには遠距離攻撃をしてもらいます

敵の攻撃も混沌の捕食で対応
フォースナイトのかたを守ります


ミスト・ペルメオス
・SPD

奇遇だな。――言葉は不要だ。

敵艦内部での白兵戦に移行。歩兵装備を纏い愛機から降りて作戦継続。
辿り着いた空間でミニスター・ブラックと邂逅、戦闘に臨む。
それなりに開けた場所ならば得意とする戦い方が出来ると判断。
歩兵用スラスターを駆使しての立体的な戦闘機動を行いつつ射撃戦を仕掛ける。

アナイアレイター、セット。バラージデバイス、展開。
飛び回って陽動を試みつつ、弾幕射撃で牽制。
目まぐるしい攻防の中で感覚を研ぎ澄ませ、攻防の精度を上げていき。
狙いすましてからの集束射撃を叩き込み、流れを引き寄せ、遂には蹂躙していく。

――お前が、狩られるんだ。
猟兵に、【“黒い鳥”】に…ッ!

※他の方との共闘等、歓迎です


メナオン・グレイダスト
・WIZ

成る程、強者であるな。
……だが違う。
お前が糧となれ。この灰色の魔王の…!

この奇妙な感覚……もしやとは思うが、確定させるのは戦いの後だな。
強敵を前に考え事など愚行であるし……、
それにこのような場所ならば、少し面白いことが出来そうだ。

【グレイダスト・クライシスゾーン】。みな、巻き込まれぬよう注意せよ。

(自身の一定範囲内、帝国軍旗艦の艦内をそのまま抉り取るように灰色砂塵と化して崩壊させ。
 生成した多数の小型兵器を巻き込む、荒れ狂う灰色砂塵の嵐として敵にぶつける。
 敵の行動を阻害と同時にその攻撃を巻き込んで誘爆・無効化しつつ、嵐そのものと内部に巻き込んだ兵器群による蹂躙を図る)

※共闘など歓迎



 黒耀の肉体には無数の傷が刻まれ、そこより滴るは黒き粘液――彼の血液であろう液体。猟兵達の攻勢を前に、猟書家『ミニスター・ブラック』は、最早満身創痍であった。
「――だが。それ程の傷を負っても。まだ、戦うのだろう?」
 マシンヘルムのシェード越しに、その様を見据えるはミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)。今、両者の対峙する空間までは、愛機にて踏み入ることは不可能であったが故、生身を――歩兵用戦闘装備で身を固めた姿で此処まで来た。
「――無論だ。斯様な有様ではあるが、お前達の幾人かを仕留められるだけの力は、未だ残っている。それが叶えば、最低限の『収穫』は成る」
 事実、ミストを――猟兵達を見据える赤き眼光は、些かの衰えも無し。容貌と合わせたその様は、手負いの獣を想起させる。その気迫に、フォースナイト候補生達が一瞬たじろぐ。猟書家の背後、帝国歩兵の大軍が熱線銃を構え。猟兵達と候補生達へ突き付ける。
 その最中にて。
「――ごめんなさい」
「…何?」
 突如、彼へ向けられたその言葉。発したるは勿海・きいな(無間の白影・f30730)。なれど彼女へ視線を向けたミニスター・ブラックは悟る。その言葉を発した意図を。
「――先に謝っておきます。収穫するのは、わたしたちの側ですので」
 即ち、挑発か。或いは、その形を取った鼓舞か。いずれにせよ、彼らを――オブリビオンを殲滅すると。確たる意思を示してみせる。
「それだけの傷を負って尚、その気迫。お前が強者である事、疑いはすまい」
 続いて口を開いたのはメナオン・グレイダスト(流離う灰色の魔王・f31514)。かの猟書家を侮ってなどはいない。寧ろ、紛いなき強敵と理解する。だが、故にこそ。
「…だが、違う。お前が糧となれ。この灰色の魔王の…!」
 強敵であればこそ、糧としての価値は高い。宣言めいて言い放つと共に、メナオンの身より灰色の砂塵が溢れ、渦を巻く。
「――良かろう」
 これ以上語るは不要、と判じたか。ミニスター・ブラックは腰を落とす。傷だらけの肉体が、虚空より現れ出た漆黒の装甲に鎧われる。
 奇遇だな、と内心呟きながら、ミストは手にした重熱線銃のセーフティを外す。身に纏う外套が、無数の銃身と変ずる。
 両者、全く同時に床を蹴って――戦いが始まった。

 帝国兵達が一斉にトリガーを引く。迸る熱線が驟雨の如く猟兵達と候補生達へ襲いかかる。
「はああぁ…!!」
 ミストが跳躍する。腰のスラスターが焔を噴き、その身を更に加速する。熱線の雨を掻い潜り、宙空へ翔ぶ。
「おおおおお!!」
 ミニスター・ブラックが疾走する。床を、壁を、天井までも蹴り。空間を文字通り飛び回る。
「さぁ――抵抗してみせなさい」
 飛び交い、熱線と魔法弾とを撃ち合う両者を見上げたは数瞬。きいなは語る。
「儚き勝利を掴むべく、足掻いてみせなさい」
 きいなの影が盛り上がる。否、そこから溢れ出た、冒涜的なる姿の怪物が立ち上がる。降り注ぐ熱線を受け止め、喰らいさえもする。
「その全て、私達が刈り取ってあげましょう」
 怪物はフォースナイト達の前にも現れる。混沌は彼らを守るように、顎を広げ光を飲み込む。
「『帝国敗北軍』には、その末路こそが相応しい、です」
 そして。其を示すかの如く。帝国兵らの足元で巨顎が広がる。反応すらも許されず、何人もの帝国兵が異形の口腔へ吸い込まれ、噛み砕かれる。何とか逃れた兵達も、フォースナイト達の射撃に撃ち抜かれ、倒れてゆく。
「………!」
 上昇、加速、制動、降下、再度加速。室内とはいえ充分な高さと広さを備えた空間。高速での立体機動を伴う射撃戦――ミストが生身戦闘を行うに際し、最も得意とする戦法。存分に為し得る状況下。目まぐるしく空間を飛び回る漆黒の巨躯を、その蒼瞳は確かに捉える。
「私の速度へついてくるか! 大したものだ!」
 魔法弾を乱射しつつ吼えるミニスター・ブラックの背後から、無数の飛翔物体が飛び出しミストへ追随する。それらビット群がミストの機に先ずるかの如く、矢継ぎ早にレーザーを撃ち放つ。
「ち…っ」
 外套銃から放つ銃撃で撃ち落とすも、その数は圧倒的。最善を潰すかの如き光条に、次善を選ばざるを得ない。やがて機動範囲が狭まりつつあることをミストは感じる。このままでは――
「!」
 ビットへ一瞬向けた眼が、僅かに見開かれる。己を狙っていたそのビットが、突如爆発。それだけではない。ミストを包囲せんとしていたビット群が、次々と爆発し鉄屑と化してゆく。何らかの攻撃を受けたとも見えず――
 ――否。そこに舞うは光弾かぬ鈍色。灰色の砂塵。
「我輩とて負けてはおれぬのでな」
 其を操るは無論、メナオンだ。灰色砂塵の魔王、その権能。彼の意のままに無数の砂粒が空間を舞い、ビットを撃ち落とし、兵士達を撃ち抜き屠る。
(この奇妙な感覚…もしやとは思うが…)
 そうした攻勢をかけつつも、メナオンは思案する。宇宙空間に出た時以来感じ続けていた違和感、或いは既視感。その正体、確信に至るまでは後少し――だが。
(――いや。確定させるのはこの後だ)
 何より今は強敵との戦の最中。直接的には無関係な事象へ思いを馳せる等は愚行に他ならぬ。戦場へ意識を集中する。
(粗方、雑兵は打ち倒したか)
 敵陣に残る兵は後僅か。なれば狙うは猟書家か。メナオンが視線を向けたその先は――
「おおおおお…!!」
 放ったビットで稼いだ僅かな時間。その間にミニスター・ブラックは持てる最大の攻撃を繰り出さんとしていた。高まった魔力が紅きオーラとなって全身を包む。
「悪足掻きを…!」
 きいなは混沌の怪物達を嗾ける。その全身へ食らいつかせ、力を吸い上げさせんとするが…黒き魔術師が一手、先んじた。
「足掻かせて貰うとも! 最後までな!!」
 解き放たれた魔力が全身から周囲へ拡散、怪物達を吹き飛ばして尚消えず。そのまま空間を複雑に、且つ何等かの法則性を感じさせる動きで飛び回る。
「ちぃ…! これが切り札というわけか…!」
 ミストも回避を試みるが、複雑極まりないその軌道は読めず。きいなとメナオンのもとへと着地せざるを得ない。
「収穫するは我にあり…! 全て、吹き飛べ…!」
 そして一斉に降り注いだ無数の魔力弾が連鎖的に大爆発を起こし、猟兵達と、フォースナイト達を巻き込んで――

「…っ…?」
「俺達…生きてる…?」
 身を守るように視界を己が両手で覆っていたフォースナイト候補生達が目を開く。己らは生きている。僅かに身体に痛みはあるが、重篤な傷ではない。一体何が――

 ――その答えを示すかのように、灰色の砂が舞う。

「――この場なれば、もしやと思ったが。狙い通りであったな」
 床に開いた半球状の穴。その中心に、三人の猟兵達はいた。先程までより一段と濃度を増した砂塵で、己らを守るかのように。
 其を為したはメナオンのユーベルコード。己の周囲の無機物を、己の従属物たる灰色砂塵と変じせしめる力。床、壁、天井。或いは室内に在る様々な物体。己の力通じる物質に溢れた空間なればこそ。無数の魔力弾の爆発から、己らと、候補生達を守りきれるだけの砂塵を生み出せたのだ。
「――助かりました。――なれば、後は…」
「ああ、有難い。――決めに行くぞ!!」
 口々に礼を返すきいなとミスト。最大の攻撃を凌ぎきった今、反撃の時だ。
「ち…っ!」
 仕留めきれなかったことに舌打ちしつつ、ミニスター・ブラックは再度加速。だが、その機先を制するようにミストの熱線と光条が飛ぶ。
「その動き…見切った…!」
 先程までの交戦で、ミストはかの猟書家の動きを完全に捉えきっていた。速度の差はあろうとも、動き見切れれば逃がしはせぬ。
「だから申しました…わたしたちが、刈り取って差し上げますと」
 一瞬足を止めたミニスター・ブラックの足元が混沌に染まる。溢れ出た怪物達が、足元や背後から一斉に黒耀の肉体へ食らいつく。
「ぐ、お…!?」
「その黒も、灰に呑まれ糧となるが良い」
 更にはメナオンが引き起こした灰色砂塵の嵐が襲う。全身を無数の砂粒に裂かれ、削られ、生命力が削れゆく。
「理解したか――狩られるのは、何れか…!!」
 その直上で。ミストは重熱線銃と外套の熱線銃とを構え。狙いを定める。
「――狩るのは、猟兵――そしてこの『黒い鳥』だ…!!」
 ユーベルコードの力を全開として、限界を超えた一斉連射を繰り出す。その様、全てを焼き尽くさんとばかりの、敵するものへ捧ぐ災厄の如し。
 更には横合いから、フォースナイト候補生達の一斉射撃が降り注ぎ。立体的な十字砲火の前に、装甲は砕け、肉体は削れ抉られ続け――
「おのれ猟兵…! ここまで…か…!!」
 耀く黒は最早無く、全ては赤黒き血に塗れ。猟書家ミニスター・ブラックはついに倒れ、骸の海へと還っていったのである。

 斯くして、騎士教練艦『レオニダスIV』は、候補生及び教官に一人の犠牲を出すこともなく守られた。
 候補生達は猟兵達の戦いぶりを称えると共に、彼らへ少しでも近づかんと更なる修練を積むことを宣言。
 きっと、彼ら彼女らこそ、数年後のスペースシップワールドを守る、秩序の担い手となるのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月31日


挿絵イラスト