漿船『アベンチュリン』は大地の夢を見るか
●砂金石
スペースシップワールド、銀河の海を往く漿船『アベンチュリン』は翡翠色の中に赤や金色の輝きを内包した美しい宇宙船であった。
世界最古の旧式移民船『漿船』の一つであり、わずかに意志を有する船である。
かつては、その全船舶がクリスタリアンの最長老にして、猟書家『プリンセス・エメラルド』の所有物であった。
だが、嘗て在りし意志は年数を経て随分と弱まっている。
もはや記憶も薄れかけ、漿船の内部に存在する図書館とも呼ぶべきデータや紙媒体の書籍が納められたライブラリルームを持つ銀河往く船でしかなかった。
だが、その脆弱なる意志が突如として反応を示す。
言葉は紡ぐことはできぬまでも、テレパシーの如き力で漿船『アベンチュリン』は敵意を持って、突如として漿船内部に現れた存在に相対する。
「ひさしぶりね、『アベンチュリン』。私とプリンセスのことはかろうじて覚えていたようですね……ええ、驚いているのはわかります」
その言葉は、猟書家『バトラー・サファイア』のものであった。
彼女はプリンセス・エメラルドに仕える冷静沈着な女性執事にして暗殺者である。その思考の第一位にあるのは常にプリンセス・エメラルドのことだけであった。
今や『プリンセス・エメラルド』は『帝国継承軍』の長。
軍を形成するための戦力を一隻でも多く求めているのだ。そこで目をつけたのが、この漿船であった。
「でも、『転送装置(インフィニティゲート)』のことは忘れていたようですね。プリンセスと貴方達限定ですが、スターゲイザーの血族が操る『ワープドライブ』以外に、唯一長距離移動を可能とする能力。それを使い、今私はあなたの中に現れたというわけです」
表情一つ変えずに『バトラー・サファイア』は漿船の中を歩む。
警告のように内部警備武装が彼女を狙う。それは嘗ての主に対する反逆の意を伝えていることに間違いはなかった。
「……何の真似です?」
それは凄まじき重圧となって漿船の中に満ちていく。
己に銃火器を向けるということは即ち、『プリンセス・エメラルド』に弓引くということと同義。
「私達は漿船の力を必要としています。故に、あなたの中の異物を、これから全て排除します。あなたがこれまで育んだ、愛しきクリスタリアンたちを、ひとり残らず」
これは必要なことなのだと言うように『バトラー・サファイア』は眉根一つ動かさずに銃火器の一つを無力化する。
同時に彼女に向けられる防衛設備の数々がセンサーを輝かせた。
無数に存在するセキュリティシステムが一斉に『バトラー・サファイア』を排除しようと稼働し始めたのだ。
「……無駄な抵抗をするのね。別に構いませんよ。でも、その時間を別れの挨拶に使ったほうが有意義だと、私は思いますけどね」
それは虐殺の予知。
けれど、確かに訪れるであろう破滅の未来であった――。
●転送装置
グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はスペースシップワールドに現れた猟書家『バトラー・サファイア』、その彼女が現れる宇宙船……漿船と呼ばれる宝石で出来た船を救って頂きたいのです」
漿船とはクリスタリアンが太古より使用している旧式の移民船の名である。
この漿船は全てが宝石で出来た、喪われた技術で建造された神秘の古代宇宙船であり、微弱ながら『意志』を持っているのだという。
「ですが、その『意志』と疎通ができるのは、漿船『アベンチュリン』に住まうクリスタリアンのみなのです。同時に、猟書家『バトラー・サファイア』が船内に突如として現れるのが気がかりであったのですが……」
そう、猟書家『バトラー・サファイア』は突如として漿船『アベンチュリン』の内部に現れたのだ。
それはいわば、スターゲイザーの血族だけが使う事のできる『ワープドライブ』じみた芸当であった。
「どうやら、漿船内部にプリンセス・エメラルドだけが知る『転送装置』が仕込まれているようなのです。その『転送装置』の居場所は未だわかりません。皆さんは急ぎ、漿船『アベンチュリン』へと転移して頂き、猟書家『バトラー・サファイア』が現れる『転送装置』の所在を見つけ出してほしいのです」
とは言え、広大な移民船の中である。
闇雲に探しても見つかることはないだろう。幸いなことにナイアルテが予知した光景は未だ現実とはなっていない。
『バトラ・サファイア』が『転送装置』を使って転移してくるまでの間に『転送装置』を見つけ出し、待ち構えていれば、彼女が予知した凄惨なる未来は訪れることはないだろう。
「この漿船『アベンチュリン』にはライブラリルームと呼ばれる巨大な書庫、電子データなどが納められた場所があるのです。『アベンチュリン』に住まうクリスタリアンの皆さんは、この膨大なライブラリルームの中で書を楽しみながらのんびりと暮らしているのです」
データベースのデータを読みふけり、平和な日々を過ごすクリスタリアンたち。
彼らならば、転送装置の場所がわからないまでも伝承などから、その所在の手がかりをもたらしてくれることだってあるだろう。
「クリスタリアンの皆さんは漿船とのテレパシーでの意思疎通も可能であることから、この特性を利用し、どうにか転送装置の場所を探し出し、急行してください」
ナイアルテにとって、転送装置の場所さえ予知できていれば猟兵たちの戦いも楽であったことから申し訳無さそうにほほえみながら頭を下げる。
見送る先は、最古の宇宙船。
そして迫る猟書家の魔の手。時間との勝負であるが、それでも為さねばクリスタリアンたちには絶望の未来しかない。
その絶望を未然に防ぐために、猟兵達は次々と転移していくのだった――。
海鶴
マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
今回はスペースシップワールドにおける猟書家との戦いになります。
舞台は漿船『アベンチュリン』。
最古の宇宙船であり、宝石で出来た壮麗なる姿をしています。
この宇宙船に転移してくる猟書家『バトラー・サファイア』を打倒し、訪れるかもしれなかった絶望と虐殺の未来を未然に防ぐシナリオになります。
※このシナリオは二章構成のシナリオです。
●第一章
日常です。
不思議な漿船『アベンチュリン』のライブラリルームで住民であるクリスタリアンから伝承や、漿船と意思疎通できる特性を利用し、いち早く転送装置のある場所を探し出しましょう。
また紙媒体、電子媒体問わず無数のデータや書籍がライブラリルームには存在しています。此処からアプローチすることも重要であるでしょう。
●第二章
ボス戦です。
転送装置から現れた猟書家『バトラー・サファイア』との戦いになります。
前章においてうまく転送装置を発見できていれば、クリスタリアンや漿船も船内の武装を使って協力してくれることでしょう。
※プレイングボーナス(全章共通)…………クリスタリアンや漿船の協力を仰ぐ。
それでは、襲われる未来に進む漿船『アベンチュリン』の皆さんを救うため、ライブラリルームや住民たちから転送装置の手がかりを得て、猟書家の目論見を打倒する皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
第1章 日常
『星海の大図書館』
|
POW : 娯楽小説やコミックを探してみる
SPD : 役立ちそうなテクノロジーの本を調べてみる
WIZ : スペースシップワールドの歴史や文化を学んでみる
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
それは泡沫の夢であった。
草木の香る風。乾いた土。
降りしきる雨。湿った土。
海の波間に聞こえる音はさざなみを教える。
浮かぶ白雲は流れて何処に行くのか。
それはスペースシップワールドに生きる生命にとって知られざる光景であり、望む光景でも在った。
今はもう船内にあるライブラリルームの紙媒体や電子媒体、そしてホログラムでしか知ることの出来ない光景。
嘗て生命とは星の大地から生れ出づるものであったからこそ、漿船『アベンチュリン』は夢を見る。
泡沫の夢。
儚く消えていく夢。
擦り切れていく記憶の中に残る嘗ての生命の揺り籠。
けれど、今は己が生命の揺り籠である。
漿船『アベンチュリン』は夢を見る。
今日も己の中に育むクリスタリアンたちと、見果てぬ夢である大地を夢見て、今日も銀河という海原を進むのだ――。
ステラ・リデル
初めまして、漿船『アベンチュリン』の皆さん。
猟兵のことはSSWなので知れ渡っていると思いますので、素直にこれから起こりうる脅威を伝え、クリスタニアンに協力を仰ぎます。
漿船の遠い微かな記憶を意思疎通できるクリスタニアンの協力を得て引き出し、ライブラリルームの記録調査、住民への聞き取りを『悪魔召喚Ⅰ』で召喚した悪魔達に命じて人海戦術で行います。
この漿船がかつてプリンセス・エメラルドの所有物であったとしても、今の彼女はオブリビオン。既に一度死した過去の存在です。
また、変質した今の彼女は生前の彼女と同一とは言えないでしょう。
何も遠慮することはないと思いますよ。
嘗て遠き過去。
それがどれほどに遠き過去であったのかを知ることができるのは、クリスタリアンの中でも最長老である猟書家『プリンセス・エメラルド』だけであったことだろう。
その『プリンセス・エメラルド』の所有物であった漿船。
最古の宇宙移民船である漿船のひとつ、『アベンチュリン』の中に転移してきた一人の猟兵、ステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)は白き外套を翻し、恭しく一礼して、船内に存在するクリスタリアンたちへと告げる。
「はじめまして、漿船『アベンチュリン』の皆さん」
ステラの振る舞いは優雅なものであったが、事態は逼迫している。
何故なら、あと僅かな時間の後に、この漿船『アベンチュリン』の『転送装置』から猟書家がクリスタリアンたちを虐殺せんと迫ってきているのだ。
猟兵たちの存在はクリスタリアンたちにとって知るところのものであるが、あまりにも突然なことに大半のクリスタリアンたちは困惑し続けていた。
「これより、この『アベンチュリン』にオブリビオンの脅威が迫っているのです。この漿船の中の何処かにあるであろう『転送装置』。その所在を知っている方を探しているのです」
ステラは下手に隠し立てるよりも、素直に告げたほうが良いと判断して、彼女の元に集ったクリスタリアンたちへとことのあらましを伝えていく。
「た、たしかに私達は、この船、漿船『アベンチュリン』とテレパシーができますが、けれど、それも僅かなもので……」
「ええ、それで構わいませんよ。今は少しでも人手が必要なのです」
それならば、とステラはライブラリルームへと案内される。
其処はライブラリルームというにはあまりに開け放たれた光景であった。
全天を覆うのはホログラムだろうか。嘗ての居住可能惑星の光景を映し出したであろうライブラリルームは、どこまでも大地が広がる光景であり、それが本当にライブラリルームであるのかを疑うほどであった。
「此処がライブラリルーム……ユーベルコードを使わせていただきますね――偉大なる超越者との契約に基づき、来たり侍れ」
ステラの瞳がユーベルコードに輝く。
悪魔召喚 Ⅰ(サモン・グレーターデーモン)によって戦闘用であるが、女性型悪魔たちが召喚され、ライブラリルームの中を人海戦術のように片っ端から調査していく。
「この漿船がかつてプリンセス・エメラルドの所有物であったとしても、今の彼女はオブリビオン。既に一度死した過去の存在です」
ならば、とステラはクリスタリアン達に告げる。
この漿船『アベンチュリン』に意志があるのならば、この船内で育んだ生命こそが、『アベンチュリン』にとってもっとも大切なものであり、嘗ての主が変質した存在。同一であるとは言えない猟書家『プリンセス・エメラルド』に対抗するものであると考えたからだ。
「何も遠慮することはないと思いますよ。『アベンチュリン』。あなたが護ろうとする生命があるのならば、どうか教えて下さい。転送装置の位置を」
きっとテレパシーでステラの想いは伝わったことだろう。
だが、テレパシーと言えど、クリスタリアンたちと『アベンチュリン』を繋ぐものはか細いものである。
全てが正確に伝わることはない。
けれど、それでもいいのだ。
か細い糸であるのならば、より合わせて太くしていけばいい。
そのための人海戦術である。
「さあ、これよりは時間との勝負。あなた達、頼みましたよ」
ステラは召喚した悪魔たちに告げ、己もまたデータベースを当たっていく。
地道な作業ではあったけれど、データベースとクリスタリアンたち。
そして何よりも育んだ生命を護ろうとする『アベンチュリン』の意志さえあれば、きっと『転送装置』の場所は見つかるはずなのだから――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
乗員とは「コミュ力」で接触。
こんにちは、クリスタリアンの皆さん。
オブリビオンとして蘇ったプリンセス・エメラルドの配下がこの船を狙ってるの。転移してくるゲートがあるらしいんだけど、ライブラリで探させてもらえないかしら?
出来れば一番古くからある検索端末を教えて。
これね。器物覚醒。端末を一種の付喪神とする。
ご機嫌よう。あなたを通して、漿船『アベンチュリン』と意思疎通させてもらうわ。
あなたの中にある転移装置はどこにあるの?
船側から転送拒否設定は出来ない?
データベースの中に特殊な構造の場所は載ってないかしら?
電子媒体はこんなものね。あとは紙媒体。古書を読むのは慣れてるわ。でもこの世界の文字読めるかしら?
漿船『アベンチュリン』は、宝石で出来た最古の移民船だ。
嘗ては『プリンセス・エメラルド』の所有物であり、どのように運営されていたのかは知る術はない。
ただ、一つだけ確かなことは、この船に『転送装置』が備え付けられている。
それは『スターゲイザー』の血脈にのみ使用できる『ワープドライブ』の力を限定的にしたものであり、その力を使って猟書家『バトラー・サファイア』が乗り込んでくることを意味していた。
時間はあまり多くはない。
「こんにちは、クリスタリアンの皆さん」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は転移した『アベンチュリン』の船内に置いて住民であるクリスタリアンたちと接触していた。
すでに他の猟兵たちも乗り込んできているが、全員で事に当たらねば『転送装置』の場所を特定するのは難しいであろう。
「あ、猟兵さん。さっきも誰か来ていたみたいだけれど、どうかしたの?」
クリスタリアンたちにとっては、猟兵は銀河帝国を打倒した存在である。そして、今また迫りくる『帝国継承軍』の脅威からも護ってくれる存在でも在るのだ。
有効的であるが、未だ彼らは猟兵たちが己たちの済む漿船に訪れた理由を知らない。
「オブリビオンとして蘇った『プリンセス・エメラルド』の配下が、この船を狙ってるの。転移してくるゲートが在るらしいんだけど、ライブラリで探させてもらえないかしら?」
ゆかりは、率直に言葉を紡ぐ。
時間が足りない。こうしている間にも『転移装置』を使って猟書家がやってくるかもしれない。
それを聞いて慌てるのはクリスタリアンたちであった。
「そ、それは大変だ! 私達は何をすれば……」
「まずは一番古くからある検索端末を教えて。そこからあたしのユーベルコードでなんとかしてみる」
ゆかりはライブラリルームに案内される。
そこにあったのは確かに振るい検索端末であった。だが、如何せん古すぎる。
「確率としては五分ってとこね。急急如律令! 汝ら、我が下知に応じ、手足の如く動くべし!」
ユーベルコード、器物覚醒(キブツカクセイ)によって式神が検索端末に憑依することによって自由に動ける付喪神に変換される。
「ごきげんよう。あなたを通して、漿船『アベンチュリン』と意思疎通をさせてもらうわ。どう、あたしの声は届いている?」
付喪神となった検索端末から、弱々しい声が聞こえる。
これがクリスタリアンであったのならば、もっとはっきりと聞こえたのかも知れないが、それでも微かに聞こえてくる。
「あなたの中にある転移装置は何処に在るの? 船側から転送拒否設定は出来ない?」
弱々しい声がゆかりに響く。
何処かに在る、ということは伝えられるのだが、ゆかり側からそれが何処に在るのかを知る術がない。
船内におけるマッピングなどができればいいのだが……。
同時に船側から転送拒否設定はできないようであった。それは限定的とは言え、長距離移動を可能とする装置だ。
いわば、『プリンセス・エメラルド』専用の装置。
それを拒否設定するということは存在意義を抹消するようなものだった。
「……なら、データベースの中に特殊な構造の場所は載ってないかしら?」
在る、と答えが帰ってくる。
ならば、それが『転移装置』の在り処だ。ゆかりは電子媒体からデータの海をさらっていく。
付喪神となった検索端末から送られてくる情報。
次々とスクロールされていく文字や図形の羅列に目が回りそうに成る。だが、電子媒体からは、その場所や位置が割り出せることはなかった。
「なら、次は紙媒体ね。あるんでしょう? 此処に。古書を読むのは慣れてるわ。でも、この世界の文字、読めるかしら……」
一抹の不安を覚えながら、ゆかりはそれでも紙媒体の書籍を引っ張り出す。
やれるかやれないかではないのだ。
やるしかない。此処からは時間との勝負だ。ゆかりは腕をまくるようにしながら、広大な草原のホログラムの中で、納められた膨大な文字の中を泳ぐように目を走らせるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、世に潜み…胸が目立ちすぎて潜めない、とか言う以前に入船チェックありますよねー知ってましたー(しくしく
あ、シリカ(猫)も一緒にお願いします
さて、こーゆー時はおじいちゃんにお話聞くのがいいですよね
12歳を利用して甘えてみましょう(孫が抱き着くがごとく)
昔話が聞きたいんです
古ければ古いほど興味があります
何か知りませんか?
そしておじいちゃんの昔話で出てきた言葉をキーワードにライブラリ検索!
ここでシリカの出番!
シリカ経由でEPミニシリカの演算力を利用すればさくっと見つかるでしょう
見た目、猫又が検索しているように見えますが気にしない気にしない
※アドリブ連携OK
猟兵達は次々と漿船『アベンチュリン』の中へと転移していく。
それはある意味で猟書家たちが『転移装置』を使って、この船の中に転移してくるのと同じであった。
けれど、今回猟兵たちが求める『転移装置』は未だ何処に存在しているのかわからない。その所在を知ることができるのは、転移してくる猟書家『バトラー・サファイア』だけであった。
故に猟兵達はライブラリルームの中から、『転移装置』の在り処を虱潰しに探し出すしかないのだ。
「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、世に潜み……胸が目立ちすぎて潜めない、とか言う以前に……」
サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)は転移してもらったのはいいが、あまりの忍びルックというか、クノイチルックにクリスタリアンたちに足止めされていた。
先に猟兵ですって名乗っておけば、きっと止められることもなかったのだが、まあ、それは愛嬌というやつである。仕方ない。
「入船チェックありますよねー知ってましたー……あ、シリカも一緒にお願いします」
サージェと白猫又のシリカは二人してクリスタリアンたちにチェックされてから開放される。
割と手間取ってしまったが、細かい説明は他の猟兵たちがしてくれていたおかげで、サージェたちの目的はクリスタリアンたちに受け入れられる。
「さて、こーゆー時はおじいちゃんにお話聞くのがいいですよね。12歳を利用して甘えてみましょう」
12!? とチェックをしてくれていたクリスタリアンが目を剥く。
確かにサージェの体つきは大人びていたから、12歳と言われても一概に信じることは難しかったかも知れない。
けれど、紛れもなくクノイチという概念が集合して出来たバーチャルキャラクターとしてのサージェは12歳なのだ。
お姉ちゃん……と若干それは無理があると白猫又のシリカがつぶやくがサージェは意に介した様子もなくクリスタリアンの中でも年齢の高そうな御老体の元へとダッシュする。
「昔話が聞きたいんです。古ければ古いほど興味があります。何か知りませんか?」
流れるようなスムーズさでサージェは御老体クリスタリアンとの距離を詰める。
その光景はさながら初孫を可愛がるおじいちゃんであった。いや、背中にあたる柔らか膨らみの感触から来るデレッとしたあれではない。
御老体の名誉のために記しておくこととする。
「お、そうじゃなぁ……確か……此処には絶対近づくな、とかそういうのが……」
なるほど、とサージェは合点がいく。
転移装置という重要な施設があるのだとすれば、古くから其処に近づいてはならないという子供ながらの約束事を親から躾けられることもあるだろう。
ならば、其処こそが一番怪しいかもしれない。
「えっと、其処はなんていうブロックなんですか?」
「ケイ素……いや、ケイアードとかいうブロックだったようなそうでなかったような……?」
その言葉を聞いたサージェが、しゅばっと飛び跳ねる。
「なるほど! ありがとうございます! それでは私はこれにてどろん!」
どろん、と口にしてからしゅたたーとサージェは検索端末へと向かう。
もちろん、ここからはただ連れてきたわけではない白猫又のシリカの出番である。
「さ、シリカ。出番ですよ。キーワードは『ケイアード』。シリカ経由でミニシリカの演算力を利用すれば、さくっと見つかるでしょう」
「お姉ちゃん、色々人使いが荒い……でも、まだ時間がかかるかも……」
なにせ最古の宇宙移民船である。その蓄積されたデータの量は膨大である。検索キーワードを絞って尚、時間がかかるのだ。
けれど、キーワードを聞きだせたことは大きい。
引っかかるデータはいくつか見つけることができたが、ロックがかかっている。それは即ち、それが重要であるからロックが掛けられているのだ。
「がんばれ、がんばれ、シリカがんばれー!」
そんなシリカの大変さも知らずにサージェは端末を操作する見た目猫又のシリカの背後でフリフリとポンポンもって応援するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
サオササ・テセル
紳士の皮被り?」猟書家の特徴を聞いてまず思ったのがそれだけど
排除はその時淡々とこなせばいい
彼らに奪わせるものなんて1つもない
他挑戦者との同じ希望
【情報収集】【世界知識】をもとに色々と本を取り調査
サイボーグでの電子能力が使えるならそれも活用
一応私の製造元はここ(スペースシップワールド)らしいけど記憶があるのは別世界にあった組織の研究所だからここは来る度どこか【落ち着く】
【ロープワーク】や念動力で飛ばす(銃身など武器部分外した)子機による【偵察】で物理的にどこに装置があるかの計算が【学習力】で出来ればとも思うけど…【鍵開け】等含め少し悪戯みたいな感じがするから最後の手段で
グリモア猟兵からの予知の内容を聞いた時、サオササ・テセル(虚欠片の機精・f15384)が最初に思ったのは『紳士の皮被り』という印象であった。
男装の麗人である猟書家『バトラー・サファイア』。
彼女の姿は確かに紳士然としていたが、相対する者にとっては、それは革を被っているだけにすぎないと思われても仕方のない所作であったのかもしれない。
その身につけた技巧は紳士としての振る舞いではなく暗殺者のそれであったからだ。
けれど、サオササは今は自分の為すべきことを為そうと漿船『アベンチュリン』のライブラリルームにて紙媒体の書籍を手に取り調査を開始していた。
「排除は、相対する時に淡々とこなせばいい。彼らに奪わせるものなんて一つもない」
地道な作業であるが、他の猟兵たちの作業と合わせていかなければ、この最古の宇宙移民船である漿船の中に蓄積されたデータ量の中から、『転移装置』の所在を知らせる情報を見つけ出すのは至難の業であった。
すでに人海戦術や端末そのものを付喪神にしたり、キーワードを絞っている猟兵達がいるおかげで、ササオサの電子能力でもって重要な情報である『転移装置』のロックを解除していく方法を探っているのだ。
「一応、私の製造元はここらしいけど……」
サイボーグであるサオササの故郷とも言うべき製造元の世界はスペースシップワールドであるようだが、彼女にあまり記憶らしいものがあるわけではない。
彼女の記憶領域にあるのは別世界にあった組織の研究所である。
けれど、世界を渡り歩く猟兵となってから訪れたスペースシップは、どこか落ち着くのだ。
それが製造元という故郷であるからかはわからない。
けれど、それでも落ち着いて作業が出来るのはありがたいことであった。
念動力や武器部分を外した子機によって、他の猟兵たちが探しだしたキーワードから船内を走査していく。
確かにデータから拾える情報もあるだろうが、船内を実際に駆けることも重要であろう。
重要な装置である『転移装置』の情報はいくつもダミーが容易されていたし、場所がわかっていてもロックがかかっている可能性のほうが高い。
それならば、当たりをつけて『転移装置』の場所へと子機を走らせたほうが疾い。
「それに、転移装置から猟書家がやってくるのを防げなかった最悪の場合を想定すれば……」
そう、この戦いは時間との戦いである。
転移装置を用いて転移してくる猟書家と鉢合わせになるクリスタリアンが出ないとも限らない。
その時に彼らを物理的に助けることができるのはサオササの子機だ。
なんだか悪戯をしているような感じがするけれど、それでも、それは最後の手段だ。
とは言え、そうならないのが最善である。。
サオササは急ぎサイボーグならではの電子処理能力と子機による捜索を続ける。
漿船『アベンチュリン』の船内は広い。
確かに彼女一人ではきっと間に合わなかったかもしれない。けれど、今もこうして猟兵達は集い、一つの目的のもとに各々のできることをこなしている。
それはサオササにとって妙に落ち着く環境であった。
スペースシップワールドが製造元であるということをさっぴいても、それでも誰かとともに戦うということは、誇らしい気分にさせてくれる。
クリスタリアンたちを護ること。
漿船を護ること。
そして、猟書家たちから世界を護ること。
それはきっとサオササに正しさを齎してくれる。それが誇りとなってサオササの戦う原動力となるだろう――。
大成功
🔵🔵🔵
メンカル・プルモーサ
んー……ここはやはライブラリルームから情報を探るのが常動だな
そうしよう、うん……ここの記録に興味があるとかそういう訳では無い…これも転送装置の手がかりを得るため…
…興味深い電脳魔術書とかあるけど後回し…うう、後で借りよう…
…さて少し考えようか…転送装置を使用出来る者が限定されている…という事は一般的な出入用ものでは無い…
…となればその位置や使用記録に関しては閲覧制限が掛かっている可能性がある…
…まずセキュリティが硬いところを探ろう…そして見つけたら一応クリスリアンを通じて船に解除の許可を取って…
…【言の葉を以て岩戸は開く】でセキュリティを正式な(複製の)鍵で解除…確認をするとしよう…
漿船『アベンチュリン』に存在するという『転移装置』の探索は続いていた。
ある者はユーベルコードによって呼び出した人海戦術、端末自体を付喪神とすることで情報を引き出す。
ある者は古くから住むクリスタリアンからキーワードを聞き出し、検索ワードとすることでさらなる情報の精度を上げた。
またある者は己のサイボーグたる身体の機能を十全に引き出すことによって、徐々に転移装置の所在を探る範囲を狭めることに成功していた。
「んー……ここは、やはりライブラリルームから情報を探るのが常道だな。そうしよう、うん……」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は漿船『アベンチュリン』の船内で、その電子解析型眼鏡のつるをつまんで、くいっと上げた。
彼女の瞳に映るのは、確実に好奇の輝きであったが、当初の目的を忘れているわけではない。
この漿船『アベンチュリン』はスペースシップワールドにおける最古の宇宙移民船の一隻である。
そういう意味では、このライブラリルームに納められたデータの数々は膨大な量にのぼり、さらに言えばこの世界に現存するもっとも古いデータもあるかもしれないのだ。
知識を求めることに楽しみと喜びを感じるメンカルにとって、垂涎の的であったかもしれないが、もう一度言う。
決してここの記録に興味があるとかそういうわけではなく、あくまで転送装置の手がかりを得る為なのだ。
「あっ……!」
データをライブラリルームでさらっていたメンカルの目の端に興味深い電脳魔術書が映ったが後回しにした。
断腸の思いであった。
今すぐにでも読み漁りたいところであるが、今は時間が一刻でも惜しいのだ。
「うう、後で借りよう……」
そんな風に後ろ髪ひかれながらメンカルは考える。
これまで猟兵たちが集めた情報、そして狭まった探索範囲。
それらを総合し、己の仮設を組み上げていく。
「転送装置を使用する者が限定されている……ということは一般的な出入り用のものではない……」
プリンセス・エメラルドと漿船の間でしか利用できない限定的な長距離移動。それが『転送装置』だ。ならば、確かに誰でも使える場所にあってはならない。
ここが御老体のクリスタリアンが告げた、近づいてはならぬ区画に当てはまるだろう。
そして、その位置や使用記録に関して閲覧制限がかかっているのが自然だろう。
「……なら、セキュリティが一番硬いはず。漿船自体が忘れる程に長い年月しようされていない区間。そして、他のみんなが集めてきた情報から察するに……」
ここだ、とメンカルは目をつけた区画の元にたどり着く。
メンカル一人ではたどり着けなかったであろう区画。他の猟兵たちが集めた情報や、虱潰しに船内の区画を当たった結果だった。
だが、目の前の封鎖された区画『ケイアード』には二重、三重にもロックが掛けられていた。
クリスタリアンたちに解錠の許可を求め、メンカルは瞳をユーベルコードに輝かせる。
「最後の鍵よ、回れ、開け。汝は解錠、汝は開放。魔女が望むは宝殿開く合言葉」
それは実物をもした偽物を作成するユーベルコード。
本来の作りは荒いのだが、既にメンカルの目の前には厳重に保護された区画があるのだ。
実物を目の前にすればするほどにメンカルのユーベルコードから生み出される鍵は精巧になっていく。
「言の葉を以て岩戸は開く(オープン・セサミ)……解除のロックは滞りなく……さて、大当たり、かな……?」
解錠されていくセキュリティ。
幾重にも厳重に重ねられた隔壁が開いていき、其処に在ったのは、猟兵たちが求め、そして猟書家が現れると予知された『転送装置』であった。
「……さて、これで猟書家が来る前に見つけることはできた。後は待ち伏せができる……」
メンカルは共に漿船『アベンチュリン』に乗り込んできた猟兵達に連絡を入れる。
目の前にある『転送装置』。その在り処を。
そして、これより現れるであろう猟書家『バトラー・サファイア』との戦いに備えるために、残された時間を有効に活用するのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『バトラー・サファイア』
|
POW : ナイブスストーム
【サファイアでできた無数の暗器】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : アカンプリッシュメント・オブ・アサシン
レベル分の1秒で【麻酔針】を発射できる。
WIZ : サファイア・フラッシュ
【サファイアの肌】から【蒼く眩い閃光】を放ち、【目を眩ませること】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:白菜ポンズ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠エリル・メアリアル」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
漿船『アベンチュリン』の転移装置が煌く。
それは間違いなく猟書家『バトラー・サファイア』が転移してきた証であった。
だが、それはすでに予見されていたことであり、猟兵たちが船内を調べ上げた結果、『転移装置』の所在が判明し待ち伏せるすることができた。
すでに事情は説明し終えている漿船とクリスタリアンたちは武装を手に、艦内の防衛機構を展開し彼女を待ち受けていたのだ。
「……ほう、すでに私の存在を予見していましたか。なるほど、猟兵ですね?」
『バトラー・サファイア』は待ち伏せされていたことに驚く素振りを見せていたが、冷静であった。
彼女は執事を名乗っているが、その実暗殺者である。
待ち伏せされることも予想の範囲だったのだろう。だが、それでもこれほどの防衛機構を展開していることは予想外であった。故に推察したのだ。これは猟兵の指示であり、猟兵の術策のうちであると。
「ですが、『プリンセス・エメラルド』お嬢様の予定に些かの乱れも必要ありません。むしろ、話が早くて助かります」
その身から放たれる重圧は、殺気となって周囲に撒き散らされる。
一瞬でも気を抜けば、誰もが気がつけぬままに殺されてしまう。
それほどまでに『バトラー・サファイア』の暗殺者としての技量は凄まじいものであった。
「さあ、掃除を始めましょう。異物を取り除き、我が主であり、銀河帝国を新たに統べる『帝国系将軍』のために――」
メンカル・プルモーサ
えー…いらっしゃいませ暗殺者様…とでも言えば良いのかな…
(言いつつも作法に則った一礼をしつつ)
ま、御察しの通り猟兵だよ……『お嬢様』の企みは(魔道書のためにも)阻止させて貰うね…
…【顕現せよ黒白の騎士】を発動…ガジェット二体を呼び出そう…
…【アルゴスの眼】及びガジェットのセンサを漿船『アベンチュリン』のセンサと連動…サファイアを見ないで視覚以外を頼りに戦闘を行うよ…
…近接ガジェットと砲撃ガジェットを連携させることで飛んで来る暗器を防ぎながら追い詰め…
…一瞬だけこちらへの突破口を見せることで遅発連動術式【クロノス】と術式組紐【アリアドネ】で作った拘束罠に誘い込んで痛撃を叩き込むとしよう…
漿船『アベンチュリン』の迎撃態勢は完璧であった。
猟兵達による『転移装置』の所在の把握。そして、漿船の住人であるクリスタリアンたちとの対話とコミュニケーションは、彼らの武装と船内の迎撃システムの協力も在って猟書家『バトラー・サファイア』の完全なる先制する力を削いでいた。
船内に備えられた防衛機構である迎撃システムであっても、本来『バトラー・サファイア』を捉えることはできず、敗北へと進むしかなかったことだろう。
だが、ここに来て待ち受けるは猟兵と共にであるのならば、本来不可能であったことも可能たらしめるのだ。
「えー……いらっしゃいませ暗殺者様……とでも言えば良いのかな……」
作法に則った一礼をしながら、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は猟書家『バトラー・サファイア』を出迎えた。
彼女の瞳に映る電子解析型眼鏡『アルゴスの眼』はすでに漿船『アベンチュリン』と同期を果たしている。
あらゆる情報は、メンカルの瞳を通して彼女の頭の中で処理されている。
「ま、お察しの通り猟兵だよ……『お嬢様』の企みは阻止させてもらうね」
言外に魔導書のためにというフレーズが入り込むのだが、そこはメンカルの名誉のために伏せておくことにしよう。
決して個人的な理由で猟書家を排除しようとしているわけではないのだ。
いや、ほんのちょっぴり私用が含まれているが、そういうのは些細な問題だ。
「及第点でしょう。ですが、わざわざ待ち受けていて申し訳ありませんが、お嬢様のためにも異物を排除いたしましょう。例え、それが猟兵であっても関係ありません」
手にした暗器でもって『バトラー・サファイア』が駆ける。
相対する猟兵は一人。
ならば、続々と集まってくる猟兵の前に、数を減らすのは定石である。
見たところ、術者のタイプ。ならば、と『バトラー・サファイア』は一瞬でメンカルを葬り去ろうと駆けるのだ。
「繰られし機人よ、立て、起きよ。汝は聖剣、汝は魔剣。魔女が望むは違えること無き我が傀儡」
メンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
顕現せよ黒白の騎士(モノクローム・ナイツ)と紡ぐ言葉が、召喚するのは近接戦用人型ガジェット『右手の聖剣』と砲撃戦用ガジェット『左手の魔剣』の2体であった。
このユーベルコードを発動している間、メンカルは戦えない。
制御に集中しなければならず、同時にメンカルの視覚や感覚は既に漿船『アベンチュリン』と同期されているのだ。
さらに相対する『バトラー・サファイア』は暗殺者である。
こちらの不意をつくことは十分に考えられた。次の瞬間、彼女の暗器が艦内の証明を叩き潰し、周囲は暗闇に包まれる。
システムが復旧するまでの数秒。
だが、その数秒だけで彼女には十分であった。何故なら、彼女は暗殺者である。不意をつくことに長けた存在だ。
「――無駄だよ。お前を見なくても……その存在を感知する術はいくらでもある」
手繰る『右手の聖剣』と『左手の魔剣』がメンカルの死角から飛び込んできた『バトラー・サファイア』を打ち払う。
「くっ……なるほど。漿船と感覚をリンクさせましたか……これは『お嬢様』の諸湯物。それをべたべたと触るなど許せることではありません!」
一瞬の明滅。
それは『バトラー・サファイア』から放たれた蒼い閃光。
感覚を同期していても、周囲を塗りつぶす蒼い光の前には何も見えないのと同様である。
そして、彼女は正しく状況を認識していた。
2体のガジェット。それは術者であるメンカルを護る壁だ。
メンカルが漿船と感覚を同期している以上、彼女に死角はない。死角がないのならば、全ての視界を塗りつぶしてしまえばいい。
「甘くみましたね、猟兵。完璧な防御などない……それがあなたの命取り……!」
放たれる暗器。
だが、その暗器がメンカルに届くことはなかった。
それは空中で止まっていた。何故、と思った瞬間『バトラー・サファイア』は悟った。
「誘い込まれた――!」
そう、その一瞬の隙に二体のガジェットの防御の薄い箇所を突く。
暗殺者ならば当然であった。だからこそ、メンカルはそこに罠を巡らせていたのだ。
遅発連動術式『クロノス』によって連動された術式組紐『アリアドネ』が『バトラー・サファイア』の体を捕らえ、拘束する。
猟書家であれば、引きちぎることも可能だろう。拘束できたとしても一瞬だ。
「だが、十分だね……」
『左手の魔剣』から砲撃が飛び、『右手の聖剣』から放たれた斬撃が『バトラー・サファイア』の体を撃つ。
それは痛恨なる一撃であった。
ミスを許されぬ執事にとって、勝負を急いだがゆえの敗北。
『お嬢様』のためという一点において、メンカルが突いたウィークポイントであったのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
アヤメ、クノイチなら暗殺者の動きを想定出来るでしょ?
『鎧装豪腕』を連れて、「目立たない」ように動きながら、執事に一撃入れてくれると助かる。
あたしは摩利支天九字護身法で「オーラ防御」を張り、麻酔針を弾きながら、「範囲攻撃」の『衝撃波』を放つ薙刀で「なぎ払い」や「串刺し」を狙っていくわ。
アヤメのことを気付かれないよう、連続攻撃で注意を自分に向けさせる。
よそ見は駄目よ、執事。
アヤメの攻撃が決まって執事が体勢を崩したら、「貫通攻撃」でその身体をえぐりぬく。
後続のために、弱点となり得る傷痕を執事の身体に刻んでおくわ。
暗殺者なんて、姿を見せた時点で負けが決まってるものよ。
このまま骸の海に還りなさい!
猟書家『バトラー・サファイア』にとって『プリンセス・エメラルド』――『お嬢様』こそが何物にも優先される最大の事柄であった。
己の生命は『お嬢様』のためにだけ使われるのが相応しい。
仕えるに値する御方なのだ。
その『お嬢様』の願いを、望みを妨げる猟兵は許してはおけない。猟兵のユーベルコードによって召喚されたガジェットの一撃が『バトラー・サファイア』を打つが、それでもまだ倒れることはない。
「まだ、私は倒れるわけにはいかぬのです……! この場は、猟兵よりも……!」
そう、猟兵より先にクリスタリアンたちを排除すればいい。
確かに彼らは猟兵たちよりも弱い。猟書家にとって彼らは障害にすらならない存在であるが、漿船『アベンチュリン』にとってはかけがえのない存在だ。
「アヤメ、クノイチなら暗殺者の動きを想定出来るでしょ?」
「でも、逆に相手も私の事を警戒していますよ。同じ暗殺の手業を持つ者同士ですから……」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は式神のアヤメに告げるが、彼女の言葉は確かにもっともなことであった。
しかし、それでも為さねばならないことがあるのだ。
「鎧装豪腕も連れていって……! さあ、よそ見は駄目よ、執事」
ゆかりは手にした薙刀を構え、『バトラー・サファイア』に対峙する。アヤメの行動を彼女に悟らせてはならない。
暗殺者としてのアドバンテージである死角からの攻撃はすでになくなっている。こうやって『転移装置』の所在が判明したからこそ、こちらは待ち受けることができたのだ。
「まったく……猟兵というのは何処からでも湧いてでてくる!」
手にした麻酔針が放射状にゆかりを襲う。反射的に躱されぬように放たれた広範囲に及ぶ攻撃。
全てが命中する必要はない。たった一つの針でも当たれば、麻酔の効果は猟兵の体を駆け巡るのだ。
だが、ゆかりはそれを真っ向から受け止める。
「オンマリシエイソワカ。摩利支天よ、この身に験力降ろし給え」
それらの尽くをオーラによって吹き飛ばすのは、彼女のユーベルコード、摩利支天九字護身法(マリシテンクジゴシンホウ)である。
強化されたオーラと薙刀で振り払う衝撃波が、ゆかりにまで麻酔針を届かせないのだ。
「全て防ぎますか……ですが!」
暗殺者であるから相手の思考は読みやすい。
だからこそ、暗殺者がもっとも警戒するのは同業の者であったことだろう。
アヤメにとってあの暗殺者たる『バトラー・サファイア』がこれから何をしようとしているのかわかってしまう。
それは虐殺だ。
クリスタリアンたちを殺し、漿船と猟兵に動揺を与えることで、ゆかりたちを揺さぶろうとするのだ。
罠である。わかりきっている。けれど、それでも見捨てておけぬのが猟兵である。
「――……!」
そして、式神のアヤメも同時に影響される者でもあったことだろう。
疾走る。『鎧装豪腕』を引き連れ、決死の思いで『バトラー・サファイア』へと疾走るのだ。
「そう来ると思っていましたよ……猟兵の使い走りが」
それすら『バトラー・サファイア』は読み切っていた。弱者に構わぬのがオブリビオンであるというのならば、猟兵は真逆である。
弱者を助けようとしてしまう。
手にした麻酔針を飛ばし、アヤメへと降り注ぐ。いくつかの針は『鎧装豪腕』によって防がれるが、そのうちの一本がアヤメの足に刺さっていた。
「くっ……! でも!」
自分が倒れたとしてもゆかりがいる。
彼女がなんとかしてくれる。そのために自身が『バトラー・サファイア』に食らいつくのだ。
手にしたクナイを痺れる体のまま放つ。
その狙いは甘かったけれど、威力はまるでない。けれど、それでよかったのだ。一瞬でも注意を反らせれば。
「……アヤメ!」
ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
それは強烈なる輝きであった。目の前で麻酔針に倒れ込むアヤメ。それを抱えながら、ゆかりは薙刀をきらめかせ、渾身の一撃を放つ。
「暗殺者なんて、姿を見せた時点で負けが決まってるものよ」
大切なものを傷つけられた怒りが、その膂力をさらなるものへと昇華していく。尽き入れた薙刀の一撃が、『バトラー・サファイア』の肩を貫き抉る。
「がっ――こ、のっ!」
再び放たれる麻酔針。
だが、もうゆかりには効かない。強化されたオーラがアヤメと己を包み込み、反転するようにユーベルコードの輝きが刀身に集まって炸裂する。
「このまま骸の海に還りなさい!」
放った一撃は、『バトラー・サファイア』の肩をえぐり、凄まじい衝撃を伴って彼女を吹き飛ばすのだった――。
大成功
🔵🔵🔵
ステラ・リデル
プリンセス・エメラルド。太古の漿船にまで手を伸ばして帝国継承軍の陣容を整えようとしているのは勤勉と評して良いのかもしれませんね。
とは言えアベンチュリンさんにもクリスタニアンの皆さんにも迷惑な話でしかありません。
バトラー・サファイア、そろそろ骸の海にお引き取り頂きましょうか。
『青の魔王』を発動してサファイアと対峙します。
その神速により敵SPDUCのレベル分の1秒より速く間合いを詰め、オーラセイバーの一撃で斬り裂きます。
貴女のお嬢様もいずれ還ります。向こうで準備をしておくことですね。
肩をえぐられた猟書家『バトラー・サファイア』は歯噛みする。
激痛もそうであるが、彼女にとってそれは重要ではない。彼女にとって最重要なものはたった一つである。
そう、『お嬢様』。『プリンセス・エメラルド』の目的。『帝国継承軍』の軍容を拡大すること。それが為すことができないということが彼女にとって最
も恐れるべきことであった。
「くっ……このままでは……!」
彼女とて歴戦の執事にして暗殺者である。
このまま手をこまねいているわけには行かない。最低でも猟兵は排除、もしくは無効化しなければならない。
手にした麻酔針が煌めく。
一針でも猟兵に穿たれれば、彼らとて麻痺に耐えられることはない。
「プリンセス・エメラルド。太古の漿船にまで手を伸ばして『帝国継承軍』の陣容を整えようとしているのは、勤勉と評していいのかもしれませんね」
静かな声が、船内に響いた。
落ち着き払った声は、猟書家という強大なオブリビオンを前にしても些かの震えもなかった。
ステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)は超越者との契約によって得た青く輝くオーラを身にまとい、奇しくも同じ輝きを放つ名を持つ『
バトラー・サファイア』と対峙していた。
彼女の青の魔王(デウス・ウクソル)とも言うべき姿は、生命の埒外である猟兵をして圧倒的なものであったことだろう。
「とは言え『アベンチュリン』さんにもクリスタリアンの皆さんにも迷惑な話でしかありません」
手にしたオーラセイバーの輝きが増す。
その輝きは美しくも残酷なるものであった。
『バトラー・サファイア』は実感していただろう。
目の前の猟兵は、自身がたとえ万全なる状態であったとしても、己の速度を上回る速度で疾走ることを。
己とて暗殺者としての技量は高まった者である。敗ける理由を探すことより、勝利出来る理由を探した方が早かった。
けれど、それでもなお、目の前の猟兵の纏うユーベルコードの輝きは凄まじいものであった。
「――……全ては『お嬢様』のために!」
「ええ、その貴女のお嬢様もいずれ還ります」
静かな声が響いた瞬間、ステラの青い髪がなびき、船内に閃光となって駆けた。
『バトラー・サファイア』は瞬時に手にした麻酔針を放とうとして、己の手の先がなくなっていることに気がついた。
なんたる絶技。
「バカなっ! この刹那に……!」
砕けるように己の宝石の体、その手首から先が消え失せる。すでにステラの体は『バトラー・サファイア』の背後にあった。
「向こうで準備をしておくことですね」
背後に振り返り、残った片腕でステラへと麻酔針の一撃を放つ。
だが、その一撃すらステラは交わす。
圧倒的なスピードと反応速度。
刹那の瞬間にも満たぬ一瞬。煌めくはオーラセイバーの輝きであった。
「『お嬢様』がお前達ごときに……! 私の『お嬢様』が!」
「ですが、お忘れなきように。すでに貴女の『お嬢様』は私達に敗れているのですよ」
一度倒した相手に遅れをとることはない。
ステラは、煌めくオーラセイバーの斬撃の一撃を持って、『バトラー・サファイア』の胸に癒えぬ袈裟懸けの一撃を持って、彼女へと敗北を刻むのだった
――。
大成功
🔵🔵🔵
村崎・ゆかり
アヤメは麻酔が抜けるまでじっとしてて。
摩利支天九字護身法はまだ解けてない? それなら――
「式神使い」で『鎧装豪腕』に「盾受け」させて、詠唱の時間を稼ぐ。
「降霊」で執金剛神降臨。
暗器でちまちまやったところで、執金剛神様には弾かれるだけよ。自分は「オーラ防御」と『鎧装豪腕』で防御して。
「衝撃波」纏う薙刀で一振るい。執金剛神様が振るう独鈷杵にも反映させて、「範囲攻撃」の域にまで高める。
この構図なら、暗殺者はこちらの懐に飛び込もうとしてくるはず。
そうきたら、「高速詠唱」の不動明王火界咒の符を執事に直接叩き付けるわ。
自分に延焼しないよう、また「火炎耐性」も使って。
アヤメを傷つけた分は償ってもらうからね。
サオササ・テセル
SPDによる戦闘:同行者希望
待ち伏せ前に敵を中心に常時3次元囲うよう子機展開
麻酔針の弾幕を【空中浮遊】【空中戦】【ロープワーク】【第六感】【見切り】に【学習力】で麻酔針の弾幕をやり過ごし敵挙動を観察
有効な武装を【戦闘知識】【学習力】から考え出し【武器改造】で子機か手持ち武装に装填
自身も含む2つ以上の射線を猟犬に敵を追い詰め【狙撃】等本命の一撃をぶつける戦法を繰り返し仕留める
本命と猟犬をパターン化しないようランダムに変える
【爆撃】【範囲攻撃】は人を巻き込まないよう緊急時のみ
【継戦能力】【メカニック】【集団戦術】による修理や支援で味方も支える
…滅んだものが再びできても同名を持った別物ができるだけ
猟書家『バトラー・サファイア』の体に刻まれた傷跡は数多。
袈裟懸けに放たれた斬撃は、彼女の胸を切り裂き癒えぬ傷跡となって、その名の通り蒼き宝石の如き体の破片を飛び散らせる。
えぐられた肩。
ひび割れた身体。そのどれもが致命傷に至っていてもおかしくないほどの傷跡であったが、それでも彼女は倒れない。
「だがっ! まだ! 私は敗けるわけにはいかない……全ては『お嬢様』のために!」
そう、倒れるわけにはいかないのだ。
今の彼女は『お嬢様』の執事だ。『プリンセス・エメラルド』のために己が為すべきことを為す。それだけが存在理由。
「……それが理由?」
サオササ・テセル(虚欠片の機精・f15384)は『バトラー・サファイア』と対峙しながら、答えを求めたわけではないが呟いた。
すでに上下左右、全ての領域を囲うように念動力によって浮遊する弾幕武装で『バトラー・サファイア』を包囲していた。
互いに範囲攻撃を持つ者同士であれば、麻痺の力を持つ『バトラー・サファイア』は脅威であった。
こちらの弾丸一つで相手を仕留めることはできないが、あちらの麻酔針は一針でも当たれば、こちらの行動を封じてくる。
ならばこそ、サオササは油断なく致命傷に近い傷を負った『バトラー・サファイア』の出方を伺うのだ。
「アヤメは麻酔が抜けるまでじっとしてて」
村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は己の式神に打ち込まれた麻酔針の力の凄まじさを警戒すると同時に彼女を思って横た
える。
これ以上無理はさせられない。
「時間を稼ぐ……」
サオササの言葉が響き、優先で繋がれた子機とも言うべき弾幕武装が宙を舞い、『バトラー・サファイア』から放たれた麻酔針の掃射を撃ち落とし続けて
いた。
常に2つ以上の射線によって放たれる麻酔針の猛威からゆかりとアヤメを守りながら、サオササはゆかりのユーベルコードの詠唱時間を稼ぐのだ。
「ありがとう。もう少しだけ――!」
瞬間、サオササを狙う麻酔針の一撃をゆかりはオーラ防御の力を付与した『鎧装豪腕』によって、彼女を守る。
「こちらこそ……」
互いに互いをカバーしながらゆかりとサオササは麻酔針の猛攻を躱し続ける。
ワンパターン化することなくサオササは子機と己の手持ち武装によって『バトラー・サファイア』を追い詰め続ける。
互いに似た境遇であったかもしれない。
生まれた意味を他者を縁とする者。
譲れないものがあったのかもしれない。
ゆかりにとってもそうだ。己が今何を感じ、何を思い、何をなそうとしているのか。
「アヤメを傷つけた分は償ってもらうからね」
己の大切なものを傷つけられた怒り。
いつだって誰かのために戦う者は強い。
その理由の存在が、もはや遠き存在となっていたのだとしても、猟兵たちの歩みを止めさせないだけの理由がある。
「オン ウーン ソワカ。四方の諸仏に請い願い奉る。其の御慈悲大慈悲を以ちて、此の時此の場に御身の救いの御手を遣わしめ給え!」
開放されるユーベルコード。
執金剛神降臨(シュウコンゴウシンコウリン)――甲冑と金剛杵で武装した執金剛神がゆかりの頭上に現れ、その手にした独鈷杵が振り払われた瞬間、ゆ
かりたちを狙っていたサファイアにかがやく暗器が薙ぎ払われる。
「暗器でちまちまやったところで、執金剛神様には弾かれるだけよ!」
「クイックドロウ……!」
熱線銃が煌き、サオササの手にした火器が『バトラー・サファイア』の身体を穿つ。
「倒れるわけには……! 未だ『お嬢様』のためになにも……!」
呻くように『バトラー・サファイア』は穿たれた胴のままに立ち上がる。凄まじい執念と言ってもいいだろう。
その力の源はやはり、誰かのために戦う者であるからであろうか。皮肉でしかないあ。誰かのために戦うことが、誰かを傷つけることになる。
けれど、サオササは過去を振り返らない。
振り返ったとしても、そこには自分が求める存在は過去にしかならない。
だから。
「……滅んだものが再び出てきても同名を持った別物ができるだけ」
時間は逆巻くことはない。
過去は現在にはならない。それを知っているからこそ、未だ自分自身でもわからないことを求めて前を見て進むのだ。
「黙れ――!」
『バトラー・サファイア』が駆ける。
暗器は敗れ、麻酔針をも防がれた。ならば、猟兵たちに一矢報いるためには一人でも道連れにしなければならぬと駆ける。
「となれば、こちらの懐に飛び込もうとしてくるわよね」
ゆかりの手にした白紙のトランプが『バトラー・サファイア』のひび割れた身体へと叩きつけられる。
噴出した炎がサファイアの青を塗りつぶし、そのひび割れた身体のあちこちから侵入し、內部から炎で焼き尽くす。
その一撃で持って、猟書家『バトラー・サファイア』の体は砕け散り、骸の海へと還っていく……。
漿船の中に儚くも美しい煌きと共に、断末魔の叫びすら燃やし尽くして、霧散させるのだった――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵