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集えヒーロー! シャドウパラダイスの野望

#キマイラフューチャー #猟書家の侵攻 #猟書家 #シャドウキマイラ #キマイラ

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#キマイラ


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●ヒーロー不在のヒーローショー
『キマイラのみんなーっ! 今日は私たちシャドウパラダイスのヒーローショーに集まってくれてありがとうっ!』
 ショーステージの上でマイクを握ったキマイラが、観客たちへと呼びかける。
『みんなは今日、友達に話を聞いてこのショーに来てくれたんだよねーっ』
「そうだよー!」
「猟兵がまた来るって聞いてー」
「ネットで調べても情報出てこないんだもん、苦労したよー」
 観客たちの返答にステージ上のキマイラは満足げにうなずいていたが、不意に表情と声色を変えて見せた。
『でーもー? 本当にその友達は、君の友達だったのかな?』
 同時にステージと会場の照明が消え、あたりは隣の顔も見えないほどの暗闇に包まれる。
『みんなは知ってる? 影法師怪人と悪の組織シャドウパラダイスの噂』
 マイクに乗って響くキマイラの声は静かなものだった。観衆たちもトラブルではなく演出だろうと理解し、すぐに腰を落ち着ける。
『影法師怪人は、みーんなキマイラの姿に化けられるの。そうして狙いをつけた相手に近づいて、自分たちシャドウパラダイスの施設に連れ込んでいく。そして哀れな被害者も改造されて、別の人を狙う影法師怪人になっちゃうの』
 観客席からキャーッと歓声の様な悲鳴が上がる。
『えっ? なんでそんな話を今するのかって? んふふ、初めに言ったよね。――私たちシャドウパラダイス、って。そう、この場所こそがシャドウパラダイスの改造基地。そして君たちこそが次の犠牲者! さあ、やりなさい、影法師怪人ノッペロイド!』
 暗がりの中、観客席を取り囲む影法師。ショーだと思い込んでいる観客達が笑顔で叫ぶ。
「助けてーっ、イェーガーッ!」

●グリモアベースにて
「とまあ、そんな事件を予知してね。君たちには影法師怪人と彼らのボス『シャドウキマイラ』の討伐を頼みたい」
 予知を語ったのはディスターブ・オフィディアン(f00053)
「このシャドウキマイラもまた猟書家でね。影法師怪人を増やすことでキング・ブレインによる侵略の手助けをしようとしているようだ」
 迷惑な話だね、と溜め息をつくと気を取り直したように言葉を続ける。

「まず観客のキマイラたちに関してだけど、避難させようとするとかえって危険でね。みんなには、そのまま『ヒーローショー』を装って怪人たちと戦ってほしい」
 ライトが消えた瞬間に、会場のすべてが影に包まれ、シャドウキマイラが生み出した異空間に取り込まれてしまっているようだ。会場の外へ出れば何が起こるかわからない。
「ってことで、彼らは避難させずにその場に留まってもらうしかない。本当の『ヒーローショー』だと思い込んでいれば、大人しく応援してくれると思うよ」
 猟兵が現れたと知れば、敵の攻撃対象も猟兵に移る。派手に立ち回ってこそ、彼らの安全につながるはずだ、とディスターブが捕捉する。

「最後に、敵の情報だが、まず観客席を取り囲んでいる影法師怪人。元々は模倣怪人と呼ばれていて人の模倣を得意とする連中だが、どうもシャドウキマイラによって影法師怪人に改造されているらしい。結果、今は悪の組織の下っ端戦闘員になりきっているようだ」
 多分『イーッ!』とか鳴くんじゃないか、と笑うディスターブ。
「そしてシャドウキマイラ、彼女もまた影を利用した擬態を得意としている。その擬態能力を使って、今回の犠牲者たちを集めたってわけさ」
 そこまで言ってディスターブは皮肉気な笑みを浮かべて見せた。
「まあ折角舞台を整えてくれたんだ。シャドウキマイラはヒーロー不在の茶番のつもりだろうが――正義が勝って悪が負ける、本物の『ヒーローショー』にしてやってくれ」


雲鶴

 ヒーロー募集! 雲鶴です。
 さて今回はヒーローショー依頼です。戦闘の際なんかヒーローっぽい行動や言動をすると、観客のキマイラたちから声援や歓声が上がり、その結果のなんやかんやによって、怪人たちとの戦闘を有利に進めることが可能になります。格好良さはすべてを解決するのです、たぶん。
 なおキャバリアは格好良いので使用可能です。だって格好良いし。
 また現地にはスポットライトや巨大プロジェクターなどの演出装置が一通り揃っていますので、ご自由にお使いください。

 プレイングの受付期間などは、シナリオタグ並びにMSページで記載していきますので、そちらをご確認ください。
 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
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第1章 集団戦 『模倣怪人ノッペロイド』

POW   :    倒錯のマスク
自身の【なりきっている役柄にふさわしい振る舞い】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    対策のマスク
いま戦っている対象に有効な【役になりきれる絵柄の仮面】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    贋作のマスク
対象のユーベルコードを防御すると、それを【使い手の猟兵の顔が描かれた仮面に変換して】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

大門・有人
不採用含めて全て歓迎だ。
ヒーローは遅れてやって来ないと骨の髄まで叩き込んでやる。
見参、ガンバレェエイ!

「シャドウパラダイス、貴様らの悪事もここまでだ。観客の皆さんから離れて貰おう!」
違和感があるかも知れないが、ショーだと意識させるセリフを使う。
模倣怪人か、厄介な相手だがまだ驚異度は低い。ここはあえて力押しで派手に行かせて貰う。敵UCに対してもだ。
UC発動、威力重視で殴り付け、思い切り吹き飛ばしてやる。
その後はステージに上がって射撃しつつ敵を引き付ける。
「悪の影差す所、正義の光もまた現れる。勧善懲悪がお伽噺でないと知れ!」
改造前の人なりなど知る由もないが、同情するつもりもない。
悪は滅びるんだ。



●ヒーローは遅れない
 観客席のあちこちでキマイラを捕まえ連れ去ろうとする影法師怪人たち。そのしつこさと容赦のなさに、だんだんとキマイラたちの間にも不穏な空気が流れ始める。
「そこまでだっ!」
 そこへ響き渡る大音声、そして会場に現れた黒い影をサーチライトが照らし出す。
 一面暗がりの中、ライトに照らし出されたのは大門・有人(f27748)。しかし異形の外骨格を身にまとい、邪悪と戦う彼の事を、人はこう呼ぶ!
「あっ! あれはっ!」
「来てくれたんだ、ヒーロー・ガンバレイ!」
 闇に蠢く怪人たち、牙なき人の悲鳴が響く時、有人は己の正義で心を燃やしヒーロー・ガンバレイへと変身するのだ!
 トゥッと有人は大きく跳躍、観客たちの頭上を飛び越えてステージの目の前に着地するとポーズを決める。
「見参、ガンバレェエイ!」
 わーっと歓声を上げるキマイラたちの前で、有人は言い聞かせるように声をあげる。
「出たなシャドウパラダイス、俺が来たからには貴様らの悪事もここまでだ! さあ観客の皆さんから離れて貰おう!」
 彼の言葉に応じるように有人へと駆け出す模倣怪人たち。浮足立っていたキマイラ達も、有人の言い回しで、ショーだと思い込んだようだ。しかし、幾人かの模倣怪人たちは未だ近くのキマイラをとらえて連れ去ろうとしている。
 ――だったら、無視できないようにしてやるまでだ。
 キマイラ達にパニックの気配がないことを確認して、有人は迫りくる模倣怪人へと拳を構えて握り締めた。模倣怪人の右ストレートをしゃがむように躱し、渾身の右アッパー。有人の拳が模倣怪人の顔面を捕らえ、仮面の砕ける音とともにその体をまで跳ね飛ばす。
「お前たちが改造される前は何者だったか知る由もないが、同情するつもりもない。悪は滅びるんだ」
 一瞬の静寂の中、頭から落下していく模倣怪人。その体が崩れ折れると同時。
「「「すっげーーーっ!」」」
 歓声を上げ、一気に盛り上がるキマイラ達。
「なにあれすごい、めちゃくちゃ高く飛んでなかった!?」
「あーっ、ビデオ取っておけばよかった!」
「やっちゃえ、ガンバレイ!」
 声援を浴びながら有人はステージに上がる。抜く手も見せずに回転弾倉式の大型拳銃を取り出すと、観客席の怪人を射ち倒していく。有人は更に怪人たちの注意を引くべく、銃を構えて声を上げる。
「この世に、悪の影が差す所、正義の光もまた現れる。勧善懲悪がただのお伽噺ではないと知れ!」
 さらにテンションの上がったキマイラの応援の中、有人は影法師怪人たちを存分に射ち倒していった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・フォーネウス
ちょっと待て。普通に依頼聞いて、へぇそうか、なんて思って来ちまったがワルワルなことできねぇじゃねぇか!?

……いや、これはあれだな。ヒーローはヒーローでもダークヒーロー路線で行けばなんとかなるか。

『掃除』の時間だ!俺はお前らよりもずっとワルワルなんでな。シャドウパラダイスのやり方が気に食わねぇんだ。
俺が気に食わねぇのは唯一つ……ヒーローショー開くなら清掃係もしっかりと用意しておけよ!

UC発動、敵の認知情報から俺の存在を抹消。声ぐらいは聞こえるようにしておくか。
仮面を被られないように、腕に刀傷と激痛をお見舞いしてやるぜ。

幻に呑まれて消えな。まあ現か幻か、お前らにはどっちか分からねぇだろうけどな。



●闇に降り立つワルい悪魔
 次に現場に降り立ったのはシン・フォーネウス(f31485)。あたりの影法師怪人たちを見ながら、心の中で冷や汗を流していた。
――ちょっと待て。普通に依頼聞いて、へぇそうか、なんて思って来ちまったがこの状況じゃワルワルな事ができねぇじゃねぇか!?
 説明しよう! シンは良い子であるが、悪魔としてワルであることを己に課しているのである!
 もちろんワルい事ができないわけではないが。シンは観客席の一人を見つめるキマイラの期待に満ちた表情を見てしまっていた。
――この期待を裏切るわけには……っ! いや待て、これはあれだな。ヒーローはヒーローでも、ワルワルなダークヒーロー路線で行けばなんとかなるか。
 そう肚を決めて、シンは近くの怪人へと宣言するように人差し指を突き付ける。
「さあ掃除の時間だ! 俺はお前らよりもずっとワルワルなんでな、気に入らなかったら誰であろうと叩き潰す! そう、お前らシャドウパラダイスもだっ!」
 つぅっとシンがあれを見ろと言わんばかりに観客席の一カ所を指さす。そこにいたのは飲み終えたジュースの空き缶をもてあます1人のキマイラ。
「俺が気に食わねぇのは唯一つ……ヒーローショーを開くならなあ、清掃係もしっかりと用意しておけよ! あの子が困ってんだろうがっ!」
 観客達が「ああ、良い子だなぁ」と言わんばかりの表情を浮かべるのもいざ知らず、シンは近くの怪人へと走り出す。
 迎撃の拳より早く怪人の顔を覆うように手を突き出し、一言。
「お前には、見えない」
 そのままスルリと体をかわせば、怪人はシンを攻撃しようともせず、不審げに周囲を探っりはじめる。さながら何かを見失ったかのよう。
「ほらほら、どうした?」
 背後から声をかけたシンに向けて、拳を振り回す模倣怪人。しかしそのこぶしはかわすまでもなく空を切る、まるでシンの姿を見ず、声だけを頼りに殴りかかっているかのように。
 不利を悟って、新たな仮面を被ろうとする模倣怪人。寸前、シンが再び声をかけた。
「お前の腕を切った」
 同時に模倣怪人が悲鳴を上げて、傷口を抑えるように無傷の右腕を掴む。その光景に、周囲のキマイラたちも状況を把握する。
「ひょっとしてあれって、催眠術!?」
 そう、それこそがシンの仕掛けた術、今や模倣怪人の目にはシンの姿はとらえられず、無傷の右手も切り落とされたように見えていた。怪人の手から仮面が落ちる。
 そのの絵柄を見て、思わずシンは眉をひそめた。彼の主の面、使われていれば、こうたやすくはいかなかっただろう。
 倒れこんだ怪人を背にシンは次の模倣怪人へと走り出す。
 ワルらしく着崩した執事服をスマートに着こなし、自信に満ちた笑みを浮かべて、怪人たちをあしらい倒していくシン。
「影は影らしく、幻に呑まれて消えな。まあ現か幻か、お前らにはどっちか分からねぇだろうけどな」
 観客たちの黄色い歓声を浴びながらシンは次々に模倣怪人を倒していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

上野・修介
※アドリブ・連携歓迎

キャップとゴーグル、赤いマフラーで顔を隠し高い所から「待てい!」と見得を切るとともに戦場を観据え、敵と味方、観客の各配置と周囲の状況を確認。

「貴様らの悪行、例え天地が許してもこの私が許さんッ!」
名を聞かれたら
「悪党に名乗る名はない!」
と敵と観客を分断するような位置に着地。

得物は素手格闘
UCは攻撃重視

観客の安全を最優先。
流れ弾が行かないよう位置取りに留意しつつヒット&ウェイで立ち回る。
また合間にタクティカルペンの投擲で牽制と挑発し、常に注意をこちらに向けさせる。
もし流れ弾が行くならUCを防御重視に切替え身を盾に。

「柄じゃないな」
だがその必要があるならば最後までそれを全うする。


ネピア・ドットヤード(サポート)
活発で元気いっぱいなスーパーヒーロー。
一人称は僕、口調はです、ます調に「!」が大体ついてます。

両親を4年前に亡くし、兄と二人で生きてきた経験から、家庭や命を奪う敵には容赦しません
正義を重んじ、悪い事は許せない性分です。楽しいとはしゃぐ年相応の一面も。

サイキックゴリラパワーで粉砕すれば全て片がつくと考えてる脳筋思考です。
よく使うUCは【勇気の証明】【勇気の奔流】。
勇気の奔流を使うと身長165cmの爆乳女子になります。
徒手格闘のほか、学ランを変形させてマントや盾にしたり、ネピアセンサーで周囲の状況を読み取ることもできます。

戦闘でも日常系でもどんなシナリオでも参加OKです。
よろしくお願いいたします。



●はためく真紅は正義の印
 猟兵たちによって次々に倒されていく影法師怪人たち。その光景にステージ上で司会を務めていたキマイラ型の怪人がいらだったように指示を飛ばす。
『二手に分かれなさい! 一チームは猟兵たちの足止めを、残るメンバーはキマイラたちを連れ去るのよ!』
「イーーーーッ!」
 一声叫んで二手に分かれる怪人たち。幾人もの怪人が観客席へと駆け出し、観客のキマイラを捕まえようと手を伸ばす。
「あっ、なんだよおいっ、またこっちに来るの!?」
 慌てたキマイラの叫びにこたえるように、会場に響く低い声!
「待てぇぇええいっ!」
 ステージの屋根の上、並び立つ二つの影を、スポットライトが照らし出す。
 赤いマフラーをはためかせ帽子にゴーグルで顔を隠した偉丈夫と、小柄な体に学ランを羽織った橙髪の少女。2人背中合わせに腕組みをし、眼下に怪人たちを見下ろすのは上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)とネピア・ドットヤード(サイキックゴリラパワー妹系幼女・f20332)。
「仲間と偽って人をだまし、己の手下にしようとは卑怯千万! 貴様らの悪行、例え天地が許してもこの私が許さんッ!」
 声を張り上げながらも、修介は冷静に会場の怪人の位置を見定め、己が向かうべき場所を探す。掛け声一つ跳躍し、着地した先は怪人たちの目と鼻の先。背後に観客たちを庇うように降り立った修介へ、ステージ上の怪人が叫ぶ。
「ええい、何者だ貴様っ!」
「悪党に名乗る名はない!」
「そのとーりですっ!」
 言葉と同時、迫る影法師怪人を修介が殴り飛ばし、さらにネピアが怪人の集団めがけて飛び降り、着地ついでに怪人の頭を蹴り飛ばす。そして、乱闘が始まった。

 振るわれた怪人の拳を左腕でそらし、修介は一歩踏み込む。肩と肩が触れ合うほどの距離、拳を握りながらも修介の全身は完全に脱力し、吸い込む息吹が熾火のように彼の意地に火をつける。震脚、同時に放った修介のワンインチパンチが模倣怪人の脇腹に突き刺さり、苦悶の声を上げさせた。倒れる怪人の脇をすり抜けて次の怪人へ。キマイラにつかみかかる腕をひねり上げショートアッパーで脳を揺らす。棒立ちになった怪人に背を向けて、忍び寄っていた怪人へとタクティカルペンを投げつける。放ったペンが怪人の腕に手裏剣のように突きたった。苦悶する怪人を尻目に修助は再び身をひるがえし、背後の怪人めがけて後ろ回し蹴り、側頭部を蹴り飛ばす。
 攻防の合間、闘気を鎮めるように息をつく修介へ、観客席のキマイラがおずおずと声をかける。
「あ、ありがとう。助けてくれて……」
 ゴーグルの下で笑みを浮かべて返し、次の怪人へと駆け出す修介。その背中に手を振りながらキマイラが声援を送る。
「ほかのみんなも絶対助けてあげてっ!」

 足を止めず、防御主体の遊撃を狙う修介と対照的に、ネピアは自らが囲まれるのもいとわずに怪人たちに攻撃を仕掛けていく。
 三人チームの怪人のもとへ切り込んで、勢いのまま右ストレート。1人の顎を砕いて、くるりと反転、裏拳で思う一人を仕留め、残った一人の拳を背中に受ける。
「まだですっ!」
 反撃の掌打で怪人を仕留め、よろけながらも駆け出すネピア。見かねた修介が声をかける。
「おいっ、無理をするな。少し落ち着けっ!」
「落ち着いていられないよっ!」
 応えながら、ネピアは次の怪人の姿をにらみつける。
「人を攫って怪人に改造するだって? 残された家族が、どんな気持ちになると思う! 心配して、心配して、心配して。やっと帰ってきたら、中身は影法師怪人? 親しい人を次の被害者にするために帰ってきた? ふざけるなっ!」
 慟哭のような、ネピアの叫び。一瞬のスキをついて、模倣怪人たちが彼女にとびかかり地面に押し倒そうとするが、ネピアは止まらない。
「人の心を、家族の絆を、一体何だと思っているんだっ!」
 叫びと同時、ネピアの学ランが彼女の勇気に応えて真紅に染まり、模倣怪人たちを弾き飛ばす! そして彼女はその身を空へと躍らせた。
 真紅の学ランをはためかせ、観客席の上空へと飛翔するネピア。そして、キマイラをつかめようとしている模倣怪人めがけ、こぶしを振りかざし急降下。
「さあ、僕の真の力を見せてやるっ!」
 命中、轟音。立ち込める煙、それが収まった後には、ネピアの一撃を受けた怪人がひび割れた床にめり込んでいた。

 地を駆ける修介に空を舞うネピア、2人の攻撃に影法師怪人は見る間に数を減らしていく。影法師怪人たちがスクラムを組んで足止めを仕掛けるが、ネピアは頭上を飛び越え、修介はタクティカルペンを投擲し、怯んだすきに突破する。駆け抜けた先、苛立った影法師怪人が、観客めがけて拳を振り上げ――。修介が疾走、割り込むように怪人の拳に受け止める。動きが止まった所へ、ネピアが怪人の頭を蹴り飛ばした。
「全く、柄じゃないな」
 しびれの残る右手を振りながら独り言ちる修介。そんな彼へキマイラが声援を送る。
「助けてくれてありがとうっ! 怖かったよぉ~」
 次々に上がる歓声や、お礼の言葉を受けながら、修介とネピアはさらに影法師怪人たちへと挑んでいく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シフォン・メルヴェイユ(サポート)
『楽しい世界が待っていたらいいなぁ。』
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 怒った時は「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

のんびりとして、無邪気な性格をしています。
基本的に常に笑顔で人に接して、
敵以外なら誰に対しても友好的な性格です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●時を刻む天使
 猟兵たちが影法師怪人たちを次々と倒していく。そこへ新たに降り立ったのは、トライデントを手にした桃色の髪の一人の少女。シフォン・メルヴェイユ(夢見る少女・f19704)。
――キマイラたちの猟兵好きを逆手にとって罠を仕掛けるなんて、なかなか考えるわよね。
「でも、それもここまでよ怪人たち! そしてシャドウパラダイス! あなたたちの野望はここで食い止めるわ!」
 一声叫んで影法師怪人へと駆け寄ると、手にした時刻みのトライデントで一突き。貫かれた怪人の体が風に溶けて消えた。
「ええい生意気なことを! お前たち! あの女の武器を奪い取りなさい!」
 ステージ上のキマイラ型怪人の言葉に『イーッ』っと叫び、シフォンを取り囲む影法師怪人たち。心配げに見守る観客たちを安心させるように、シフォンはむしろ微笑んでみせる。
「そっちから来てくれるなら、都合がいいわ。――行くわよっ!」
 シフォンが時刻みのトライデントを構えれば、柄に施された時計の意匠からあふれる光。
シフォンの服が虹色の輝きとともに姿を変えて、無数に舞い散る時計の幻影。そして光が収まったのち、ふわりと揺れる豪奢なドレスに、あたりにあふれる花の香。シフォンは背中の翼をはためかせて、天使のように空へと舞い上がる
 その姿にキマイラたちがため息のように声をあげた。
「素敵なドレス、私も欲しいなぁ」
 宙を舞いながらトライデントを振り回し模倣怪人たちを倒していくシフォン。二人四人と打ち倒して五人目。突き入れた穂先がわずかに目測を誤ってかわされる。隙ありとばかりに伸びた怪人の手がトライデントの柄を取り、同時に模倣怪人のかぶっていた仮面が、シフォンの顔を模したものに変わった。シフォンの模倣をするようにドレスと翼の生えた少女に変身するノッぺロイド。唯一の違いは、全身が影のように黒く染まっていること。
 シフォンの影のような姿に変身した模倣怪人が、その手に影の槍を生み出してシフォンめがけて打ちかかる。
 手にした盾で影の槍を打ち払い、反撃とばかりにシフォンはトライデントで模倣怪人を打ち据えるが、強化された模倣怪人は一撃では倒れない。
 空へのがれる模倣怪人にそれを追うシフォン、2人は高速で飛翔しながらトライデントと槍でぶつけあう。キマイラたちの声援の中、幾度かの打ち合いの後、模倣怪人の陰の槍、シフォンの体をかすめた。シフォンの怯む姿に悲鳴が上がり、模倣怪人がとどめとばかりに突進を仕掛ける。
「頑張って、お姉ちゃんっ!」
 キマイラの声援が届くと同時、シフォンは態勢を整えて、模倣怪人へと逆に突進。互いに高速で突撃し、すれ違う二人。一瞬の間をおいて、地に落下していったのは模倣怪人。
 見事に勝利し、次の怪人のもとへと向かうシフォンの姿にキマイラたちの歓声が上がった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『シャドウキマイラ』

POW   :    擬態・シャドウドラゴン
【漆黒の巨竜】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【鋭利な鱗】を放ち続ける。
SPD   :    擬態・シャドウタイガー
肉体の一部もしくは全部を【虎の形の猛毒液】に変異させ、虎の形の猛毒液の持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
WIZ   :    擬態・シャドウウルフ
【奇怪な仮面】を使用する事で、【呪詛纏う体毛】を生やした、自身の身長の3倍の【狼】に変身する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠レパル・リオンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●影法師たちの王
 次々に倒れる影法師怪人たちに、キマイラたちの歓声が上がる。その光景にステージ上のキマイラ型怪人が怒りの声を上げる。
「んもう~、まったく役に立たない怪人たちね! せっかく私が影法師怪人に改造してあげたっていうのに、全然勝てないじゃない。まあいいわ、ここから先は私が相手をしてあげる」
 そう言って、彼女が顔に手を当てればその笑顔が仮面のように外された。その奥にあった彼女の真の顔は射干玉の影。その姿に会場にいたキマイラたちが息をのんだ瞬間。観客席の周りの暗がりもまた、先の見通せぬ闇へと変わり、無数の稲光が走りだす。
「あっ、おいあれ見ろよ。あの怪人の影!」
 稲妻が瞬くその度に、ステージに映し出される彼女の影。それは時に巨大な竜となり、あるいは毒々しい虎へと変わり、また時に呪詛をはらんだ狼へと変じた。
「私こそ、シャドウパラダイスの主、シャドウキマイラ! 覚悟しろ猟兵、お前たちを影怪人として、世界征服の新たな一歩としてくれる!」
ナイ・デス
ヒーローショー、ですか。ふむ……

影あるところ、光あり、です

【目潰し】級の光を放ちながらの【推力移動】でステージにだーんとあがります
「ダイウルゴス」はまだ召喚しない
そして徐々に光量を落として、名乗る

私の名前は、ナイ・デス
世界(観客)に、怪人を倒してと、選ばれた……

『猟兵(イェーガー)』です!

……目配せや、ためを作ることで、イェーガーってとこ、観客さん達あわせてくれないかにゃあなんて、してみます
そうして発動で、古い仮初の肉体を【生命力吸収】で消滅
肌がめくれるように、光輝く新しい仮初の肉体といれかわり

猛毒液を【第六感で見切りカウンター】
【浄化】の光を放ちながらの【怪力】パンチ

続きは連続参加できたら!



●白光の猟兵
 渦巻く影に雷鳴、明らかな異常事態に観客たちが慌てたように騒ぎ出す。顔のない貌でシャドウキマイラがニマリと嗤う。
「影あるところ、光あり、です……。あなたが影というなら、私は光……」
 言葉と同時に、光が観客席の頭上に現れた。直接見れば目もくらむほど眩しく、しかし優しく、すべての生き物を癒し許すような、聖なる光。その光が観客たちの恐怖を拭い去っていく。
 光は観客席を照らしながらステージ上のシャドウキマイラの前に着地した。やがて光が弱まっていき、その内から現れる1つの人影。純白の肌と長い髪、神秘的な真紅の瞳に静謐さを湛え、少年は口を開く。
「私の名前は、ナイ・デス……」
 名乗ると同時、ナイ(本体不明のヤドリガミ・f05727)はチラリと観客席へと視線を向ける。何かを期待するかのような表情に、観客席のキマイラたちが心得たとばかりに笑みを浮かべた。
「世界に、怪人を倒してと、選ばれた……」
 一瞬の溜め。そしてナイに合わせるようにキマイラたちが声を上げる。
「「「イェーガーッ!」」」「ですっ!」
 同時にナイがUCを発動、シャドウキマイラめがけて駆け出すナイの皮膚がポロリポロリとめくれ上がり、その下から光り輝く新たな肉体が現れる。
「くっ、私の影を、その程度の光で打ち消せるものか!」
 巨大な影の虎に変身しナイへと躍りかかるシャドウキマイラ。振り下ろされる毒の爪をぎりぎりで見切り、ナイはシャドウキマイラへと一歩踏み込み、虎の鼻先へ拳をたたきつける。悲鳴を上げて飛び退る影の虎。しかし、その口元がニヤリと歪んだ。ナイの右手、虎に触れた箇所から吹き上がる毒々しい煙。そしてステージの上、影の虎の足跡からも、同じように毒の煙が上がり、じわじわと腐食していく。
 毒の煙を吸い込んだキマイラたちが、苦しそうに咳き込みだした。
「今の私の体はすべてを侵す猛毒、触れればただでは済まんぞ!」
「なら、その毒を、浄化、します!」
 ナイの体から放たれる光、同時に彼の右手の毒が消えて毒の煙が消えていく。ゆっくりと静まっていくキマイラたちの咳の声。
「馬鹿なっ! 私の影が、お前の光に負けるというのかっ!?」
 ナイめがけてとびかかる影の虎。食らいつく顎をしゃがんでかわし、ナイは虎の腹の下へもぐりこむ。拳を握ったナイへと届く歓声。
「やっちゃえ、イェーガーッ!」
 うなずき一つナイが放ったアッパーが、カウンター気味に虎の腹に食い込み、その黒い体を高々と打ち上げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・フォーネウス
やっぱりな!俺みたいなワルなムーブは、観客たちにツボだよな。当たり前だよな!(勘違い)

さてと…なんかすっげぇ固形物感なさそうなやつ出てきたな。

狼に変身だぁ?なんかめちゃくちゃワルじゃねーか。ちょっと羨ましいとか思っちまったが、それを叩き潰す俺はもっとワルだよな!

UC発動、呪詛、狼…なら、お前の死は決まった。会場のあちこちから聖属性の光のライオンの群れが襲いかかる幻影を見せてみるか。
『掃除』の時間だ。影には影で対処してみるぜ。
行って来い『カーリ』。
洗濯しても色落ちはしなさそうだからな。もみ洗いで呪詛を洗って影で『串刺し』でもなんでもしとけ。

…獣臭そうだな。後で掃除だなこりゃ。

(アドリブ等歓迎)



●キマイラフューチャーで悪魔はワルワルの夢を見るか
 入れ替わるようにステージに上がるシン・フォーネウス(水竜の従者・f31485)。彼の姿に再び観客席から黄色い声援が飛ぶ。
「よぉし、やっぱりな! 俺みたいなワルなムーブは、キマイラたちにはツボだよな。ダークヒーローはみんな大好き、当たり前だよな!」
 実際の所、ワルさとはちょっと違った場所が受けているのだが、シンの方はそれに気づかない。
 彼の目の前に巨大な影の虎が落下し、蠢くようにシャドウキマイラに戻っていく。
「さてと……、なんかすっげぇ固形物感のない奴が出てきたな。実体あるのかコイツ?」
「おのれ、また来たか猟兵! 私の呪詛の力、受けるが良い!」
 言うや否や、奇怪な仮面を身に着けるシャドウキマイラ。ざわざわとその全身の毛が伸び、そのシルエットが巨大な狼に変じた。見上げるシンの顔にわずかに垂れる一つの汗。
「負けないでーーっ! イェーガーッ!」
 キマイラたちからの声援を浴びながら、シンは全く別のことを考えていた。
――狼に変身だぁ? なんかめちゃくちゃワルじゃねーか! 見た目もワルそうで格好いいし……ちょっと羨ましい。
 何だかちょっぴり中二病を発症しかけるシン。気を取り直し、いつものごとく自信に満ちた笑みを浮かべて見せる。
「まあ、お前がワルってことは、それを叩き潰す俺はもっとワルだよな! さあ、お前の死は決まったぜ!」
 シンの宣言と同時、狼の顔が上がった。観客席のあちらこちらに視線を向け、天敵を見たかのように低い唸り声をあげる。その姿に、一人のキマイラが声を上げた。
「あっ、また……」
 催眠術、と言いかけたキマイラを押しとどめるようにシンが口に人差し指を当てて見せる。
 そうこうするうちに巨大な狼とシンの生み出した幻影との戦いは続いていく。振るわれる爪を躱すように狼が飛び退り、光を遮るように呪いのこもった体毛を逆立てる。前方の何かに向けて吠え付き、その隙をつかれて後ろ足に食らいつかれる。身を焼かれるようなシャドウキマイラの悲鳴。その光景に観客たちは、漆黒の狼に襲い掛かる光り輝く獅子の群れの姿を見た、気がした。
 身もだえるシャドウキマイラ、その漆黒の体毛が逆立ち、呪詛弾となってあたりに撃ち出される。迫る呪詛弾をシンは1つ2つとスマートにかわして3発目。
「さあ掃除の時間だ。影には影――行ってこい、カーリ!」
 言葉と同時、シンの陰から浮かび上がったのは、巨大な全自動洗濯機。呪詛弾をはじき返し、更に影から生やした棘でもってシャドウキマイラを串刺しにして、洗濯槽の中へ引きずり込む。そしてそのまま、全自動の揉み洗いスタート。
 洗濯機の稼働音とシャドウキマイラの悲鳴を聞きながら、シンがため息交じりにぼやく。
「……獣臭そうだな。また後で掃除だな、こりゃ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

上野・修介
※アドリブ、連携歓迎
ヒーローなんて柄じゃないが、最後まで役割を全うする。

――恐れず、迷わず、侮らず
――為すべきを定め、心を水鏡に

「この世界の安寧と未来を守るため」
とうに決めた覚悟を口にする。

「推して参る」
観客に被害が出ないよう廻し受けの応用で鱗を弾きつつ、敵が近づいてくるのを待つ。

近づいて来なければ挑発。
「どうした?こんなちゃちな鱗では日が暮れてもネズミ一匹倒せんぞ」
「その大層な牙や爪も、やはり所詮は子供騙しの影遊びか」

接近に合わせて叩き込むは一撃――否、二撃

間合いを詰め、懐に飛び込む勢いをそのままに一撃。
拳を密着させた状態から地を踏み込み、得た勁を足裏から拳までの全関節を螺旋し増幅し透す。



●竜殺しの拳士
 さて、次にステージに上がったのは上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)。彼がシャドウキマイラへと拳を構えるのを見て、観客席から歓声が飛ぶ。
「負けないで、ヒーロー!」
 その言葉にふと修介は顔を覆うマフラーの下で息をつく。
――ヒーローなんて柄じゃない。だが、まあ最後まで全うしてみせるさ。
 そうして修介は眼前の敵、シャドウキマイラを見据える。すでに先の攻防で、決して軽くないダメージを受けている。
――しかしそれは、やつが弱いことを意味しない。そして決して勝たない相手でもない。恐れず、迷わず、侮らず。
 修介の眼前で、シャドウキマイラが影のドラゴンへと変じた。鋭い牙に巨大な棘のような無数の鱗、巨大な翼を羽ばたいて空へと舞い上がる。その姿を前にした修介の唇から息吹が漏れる。同時に彼の全身から気負いが消え、構えを取りながらもごく自然体のまま脱力する。観客の声援がひどく遠い。
――為すべきを定め、心を水鏡に。
 肝に銘じるように、言葉を紡ぐ。
「この世界の安寧と未来を守るため、推して参る」
 瞬間、修介めがけて銃弾のごとき鱗が降り注いだ。命中の寸前、修介の両手が弧を描く。廻し受けによって、修介はその鱗のことごとくを打ち払い、弾き飛ばす。その光景に空を舞うドラゴンが唸りを上げる。そこへさらに挑発するように、修介が声を上げた。
「どうした? こんなちゃちな鱗では日が暮れるまでうってもネズミも一匹倒せんぞ」
 一声吼えて竜はさらに鱗を放つ、だが飛来する鱗の一つ一つを修介は回し受けによって弾いていく。狙いを外した鱗がステージに弾痕を穿った。
「どうした、この拳が怖くて降りてこれないか? その大層な牙や爪も、やはり所詮は子供騙しの影遊びか」
「何を生意気な! ――その軽口、後悔するがいいっ!」
 影の竜が一気に高度を下げ、観客達の頭上を横切るように、ステージ上の修介へと飛び掛かる。振り下ろされる爪をダッキングでかわし懐へ飛び込むと、その勢いを殺さぬままに右ストレート。拳が竜の腹部を打ち、竜が痛みに怒りの表情を浮かべる。しかし、修介の攻撃は終わっていない、拳を密着させたまま、さらに踏み込む。
 地を蹴って足裏に生じた力を、足首を捩じり膝を撓め腰を回して上半身へ。1つ関節を越える度、伝わる力はより強く、より早く増幅されていく。そして力は背骨を螺旋のように登り、肩から腕、竜に触れている拳を加速させて、その破壊力を解き放った。響き渡る打撃音、直後、巨竜が悲鳴を上げてステージに墜落した。その口の端から、血のような液体がどろりと流れ出す。体内を直接破壊するこの打法はこうも呼ばれる――浸透勁。
 未だ油断なく拳を構える修介。拳だけで竜を下した彼へ、キマイラたちが惜しみない拍手を送っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナイ・デス
巨大化は、お約束、ですね……!

そちらが、仮面の力で大きくなるなら
私は……みんな(観客)の力で

一緒に、戦いましょう

『フロンティア・ライン』
目に入るヒーロー応援グッズを、黒竜に変える
無数に彫像を召喚し、変形合体させる

力を、貸してください!

みんな(観客)に、黒竜にしていいものをだしてという意図で語りかける
彫像の塊に、黒竜も合体させて、大きくなる
かつてこの世界で、ドラゴンテイマーが使役していた黒竜

文明を侵略する竜は、変わりました
ここに生るのは、文明を守護する竜!

「ダイウルゴス」
【浄化】の光を装甲隙間から、全身から放ちながら
みんなを【かばう】ように
【重量攻撃で吹き飛ばし】てから【レーザー射撃】!



●黒竜は聖者とともに
 傷付きよろけるシャドウキマイラ、その目の前に再び立ったのはナイ・デス(f05727)。
「ええい、またお前か! だが、何度も同じ技が通じると思うなよっ!」
 言葉と同時シャドウキマイラが奇怪な仮面をかぶれば、その体が巨大化し、呪いの体毛に覆われた影の狼へと変身する。
「また狼? 虎で勝てないのに、狼で勝てるの?」
「黙れっ! 人の作った文明を浪費するだけのキマイラども!」
 響き渡る影の狼の咆哮、観客のキマイラたちが応援グッズを振るのも忘れて恐怖に呑まれたように黙り込む。
 そこへ響いたナイの言葉はいっそ落ち着いたものだった。
「巨大化は、悪役のお約束、ですね……! そちらが、仮面の力で大きくなるなら。私は……みんなの力で」
 ナイは赤い瞳を観客席へと向け、誘うように白い手を伸ばす。
「一緒に、戦いましょう」
 ナイの言葉に1人のキマイラが勇気を振り絞り、猟兵マークの旗を振って応援を始める。ナイがその旗を指さすと同時、旗が漆黒の小さな竜に変じた。暗闇の中、鱗の合間からかすかな浄化の光を放ちながら、空へと舞い上がる黒い竜。その光景に取りつかれたように見入るキマイラたち。
「みんな、力を、貸してください!」
 言って黒竜の彫像を掲げるナイの姿に、観客席から更に応援の声が飛び、彼らが持っていた応援グッズが、一体、また一体と黒竜に変身して闇を照らす。
「まさか……これは、この竜はっ!」
「そう彼らは、かつてこの世界で、ドラゴンテイマーが使役していた黒竜。けれど文明を侵略する竜は、生まれ変わりました。ここに生きるのは、文明を守護する竜!」
「ふざけるなっ! キマイラに一体、何の文明があるというのだ!」
 吼える狼、しかしその問いかけの答えはすぐに知れた。1人のキマイラが持っていた猟兵百科が、誰かが歌う応援曲が、誰かが作ったスクラップアートが――いずれもまぎれもなくキマイラたちが築いた文明であり、そのすべてが黒竜へと変身して、ナイの力にならうと彼の手の彫像へと合体していく。そうして姿を現したのはかの巨大な黒竜!
「「「ダイウルゴス!」」」
 ナイの言葉にキマイラたちが唱和する。観客席めがけて影の狼が呪詛の体毛を打ち出すが、そのすべてをダイウルゴスが受け止め、装甲からあふれる浄化の光で消し去っていく。
 バサリとダイウルゴスが大きく羽ばたいて、反撃とばかりに巨狼へと突進。すくいあげるように巨狼を上空へと吹き飛ばし、開いた口に力を溜めるように光を集める。
 その光景に巨狼が悲鳴を上げ、キマイラが叫ぶ。
「みんなを、この世界を守って!」
「もちろん、です!」
 ナイの言葉と同時、ダイウルゴスの口から放たれる光の奔流がシャドウキマイラの体を呑み込んだ。響き渡る断末魔。そして周囲に展開されていた異空間がガラスが割れるように砕け散った。
 その向こうに広がったのは、晴れ渡る青い空。温かい太陽の日差しが周囲を包む。そして割れんばかりの歓声と喝采が、戦っていた猟兵たちへと降り注いだ

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月25日
宿敵 『シャドウキマイラ』 を撃破!


挿絵イラスト