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トラウマラビリンス・アリス

#アリスラビリンス #猟書家の侵攻 #猟書家 #ホワイトアルバム #アリス適合者

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●それは、心に深く刻まれた闇
 迷い込んだ世界で、独りぼっち。心細くなって、最初は泣いた。
 日が経ち、泣いているばかりじゃいけないと思い、歩き始めた。
 出口はないけど、何もしないよりはマシだから。

「出口なんてないわ」
 ブレザーにスカート。いたって普通の学生のような服装の少女の目の前に、大きな本を持った少女が声を掛ける。
「え、なんで……」
「出口なんてないの。それとも、あなたはあなたにひどいことをした世界に帰りたいのかしら」
 本で口元を隠し、くつくつと笑みをこぼすフワフワとした印象を与える少女。
 彼女はブレザー姿の少女にそう囁いた。
 本を持った少女の言葉を聞いた途端。
「いやぁああああああ!!!!」
 制服の少女が叫び声をあげる。
「なんで今まで忘れていたの!私……私!!お父さんに殴られてばかりだったのに!!」
 錯乱し、頭を掻きむしる制服姿の少女。
 そんな少女の様子を見ながら、本を持った少女――ホワイトアルバムはにこりと微笑んだ。
「安心して、そんなあなたにもきっと幸せな記憶があるわ」
 でも、ダメだったときは食べてあげる。
 本をぺらりとめくり、少女の周りに魔方陣を描いたホワイトアルバム。魔方陣に囲まれたブレザーの少女は、喉が切れそうなくらいに叫んだ。
 制服姿の彼女の体が、異形の者へと変わっていく。

●トラウマに打ち勝つ力を
「トラウマって、消えない、ものだよ、ね」
 濁った瞳で遠くを見ながらリン・イスハガル(幼き凶星・f02495)は言った。
 リンが言うには、ホワイトアルバムが一人のアリス適合者に接触し、アリス適合者を生きたままオウガへと変化させてしまったという事だ。
「オウガにされてしまった子の名前は、佐伯・美穂。親から暴力を受けて育ったみたい」
 ホワイトアルバムのせいで朧気だった記憶が蘇り、さらに帰る場所が悲惨な場所だったのも相まって、すべてに絶望した美穂は、ホワイトアルバムの甘言を受け入れてしまったようだ。
「彼女には虐待された記憶しか、ないみたいだけど、本当は離婚したお母さんに引き取られていて、今は暴力とは無縁のはずなの」
 今は幸せという記憶を思い出させることが出来たり、他にも彼女のつらさに寄り添うことが出来れば、オウガへと変異してしまった彼女を元に戻せるかもしれない。
「おねがい、彼女を助けて。そして記憶がおぼろげなのをいいことに弄んだホワイトアルバムを、倒して」
 血が出るほど拳を握りしめながら、リンはみんなに向かって叫んだ。


朱珠
●挨拶
 こんにちは、こんばんは、初めましての方は初めまして!朱珠と申します。
 今回はホワイトアルバムにオウガにされてしまった少女を救ってくださるようお願いいたします。

●第一章
 オウガとなってしまった佐伯・美穂―いばら姫との戦いです。
 彼女のトラウマはOPに記載しております。それを踏まえて説得したりなどを行うと攻撃が鈍ったり、救出後は幹部との戦いに参加してくれたりします。

●第二章
  ホワイトアルバムとの戦いです。一見無害そうな可憐な少女の姿をしていますが立派なオウガ。油断すると痛い目を見ることになります。お気をつけて。

 なお、プレイングボーナスはアリス適合者と語る、あるいは共に戦うになります。
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第1章 ボス戦 『いばら姫』

POW   :    死体の森の眠れる美女
戦場全体に、【UCを無力化し、侵入者を攻撃する茨】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    千荊万棘フォレスト
【UCを無力化する広大な茨の森】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
WIZ   :    カニバリズムローズ
【周囲の地形が広大な茨の森】に変形し、自身の【森に侵入した者の生き血(敵へのダメージ)】を代償に、自身の【森の、UCを無力化し、侵入者を攻撃する茨】を強化する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●深い闇の底
(私は愛されてなんかいない)
(私はきっとあの世界にいちゃいけないから、こんな世界にきてしまったのだわ)

 心を乱されてしまった少女のなれの果てであるいばら姫はふわふわと浮かび、彷徨う。辺りをいばらの森へと変えながら。
 姫に触れるものには、いばらが襲い掛かるだろう。もはや周りは地獄絵図という言葉が合う光景へと変わってしまっていた。

 佐伯・美穂だったオウガが、いま、猟兵たちに牙をむく。
レイカ・ヴァンスタイン
アドリブ·協力歓迎
『トラウマに触れるのは悪いことですの。許さないの』
だから、全力で助けるの。

辛い時こそ寄り添って支えてあげないといけないから、お友達になるようにお話します。
攻撃はされるだろうから、人形達で茨を撃ち落としつつ時間を稼ぎます。
攻めるのは他の皆を頼り、可能な時にはUCで皆を回復やします。



●小さな妖精といばら姫
 いばら姫は辺りを茨の森へと変えながら進む。そんなオウガの進行を止めるために、背に半透明の羽をもつ銀髪の少女・レイカ・ヴァンスタイン(銀光精・f00419)がいばら姫の前へと躍り出た。
 小さな羽をぱたつかせ、いばらを掻い潜ってオウガに近づくレイカ。彼女に攻撃の意志はない。
(辛い時こそ寄り添って支えてあげないといけないから)
 だからこそ、レイカは対話を決意した。心を閉ざしたオウガではなく、佐伯・美穂に向かって。
「とてもつらかったと思うのですよ、記憶を失って、ひとりぼっちで彷徨って……」
 でも、決して一人じゃない。ウチが友達になってあげるの。と、小さなフェアリーはオウガの奥底に沈んでいるであろう美穂に言う。
 だが、いばら姫も黙っているわけではない。朧げな記憶を頼りに対話を望むレイカへと牙を向けた。
「違う、違うわ!私には友達なんていらない!友達だってお父さんのように私を殴ったりするものでしょう!」
 茨に咲いた薔薇の花びらから口が開き、レイカを捕食しようと迫る。それを見越していたレイカは青い着物を着た人形―和装人形「蒼」を巧みに操り薔薇を撃ち落としていく。いばら姫を傷つけないように気を付けながら。
「話を聞いてくださいの!」
 攻撃を上手くかわしつつ、レイカはしっかりといばら姫の目を見て叫ぶ。
「ウチはあなたとお友達になりたいの!お友達は一緒にお話ししたり、一緒に遊んだりするの!」
 それに――トラウマに触れるのは悪いことですの。悪いのは美穂ちゃんをそそのかしたホワイトアルバムなの!許さないの!
 いばら姫の動きが、止まる。
「あ、あぁ、あああ!!あああああっ!!!!」
 頭を掻きむしりながら金切り声をあげて苦しむオウガ・いばら姫こと、美穂。
 レイカは、寄り添いながら慰めるようにいばら姫の頭をゆっくりと、優しく撫でた。
「ウチと美穂ちゃんはお友達よ、全力で美穂ちゃんを守ってあげるの」
「あ、ああ……っ……」
 銀髪の小さなフェアリーの少女の声はしっかりと届いた。だが、まだ彼女を元に戻すまでには行かない。
 伝えたいことは、すべて伝えた。レイカは後に続く猟兵に、美穂を任せる事にした。

成功 🔵​🔵​🔴​

終夜・日明
【アドリブ連携歓迎】
まずは無抵抗で彼女の攻撃を受けます。
急所狙いのものだけ【見切り】、ギリギリズレて当たるよう体勢を調整しつつ。
美穂さんが受けてきた仕打ちを考えると、それまでの憎悪を吐き出しきらねば踏ん切りがつけられないのではと思ったので。

抵抗なんてしませんよ。助ける為にきたんですから。
それに今、助けて欲しくて手を伸ばしてくださっているじゃないですか。
貴女の苦しい、助けて欲しいという気持ちが伝わってきます。
僕は貴女の「助けて」という言葉に応える為にきた。
だから、伸ばしてくれた手を離さない為全力を尽くします。
――どうか、信じてはもらえませんでしょうか?

返答を命令として受理し【指定UC】。



●蒼雷を操る青年といばら姫
「いや、いや、いやああああ!!私、私はっ!!」
 錯乱したいばら姫が辺りを無差別に攻撃し始める。何も思い出せないが、ただ怒りと悲しみだけは覚えている。そんなオウガの攻撃を終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)は受けていた。
「くっ……これは重い。だけど、美穂さんが受けてきた仕打ちを考えると……」
 それまでの憎悪を吐き出し尽くしてしまわねば、きっと彼女は踏ん切りがつかないのだろう。と思った日明はひたすらに耐える。急所に当たりそうな攻撃だけは見切って避けながら。
 美穂が心に負った傷はきっと深いのだろう、苛烈な攻撃が何よりの証拠であるとも言える。
 それでも、日明は抵抗しなかった。なぜなら、彼は――。
「僕はあなたを助けるために来たんですから」
 オレンジの瞳がまっすぐにオウガ――の先にいる美穂を見据えて、今の心の内を吐き出した。
 それでも、オウガは―美穂は攻撃の手を止めない。いや、止められないのだろう。その証に、いばら姫の頬を涙が伝う。
「私は、私はっ!もうあんな思いはしたくないの!あんな痛い思いしたくない!だから、だから……!」
 この力を使って身を守るしかないの!といばら姫、もとい美穂は叫んだ。
「それが、あなたの本心ですね!」
 茨の攻撃を器用に避けながら日明は美穂に手を伸ばす。助けて、と言って涙する彼女の思いが伝わってくるから。
「僕は貴女の助けてという言葉に答えるために来た」
 ――だから、どうか、信じては貰えませんでしょうか。
 美穂にそう言い切った日明は腕から決戦に向けた専用兵器を出現させる。
「救護要請を受理。――これより、ミッションを開始します!」
「あああああっ!助けて、助けてええええ!!」
「助けます、絶対に」
 助けを求めて伸ばした手を、離さないために。
 何よりも、苦しむ存在が目の前にいるから。
 藍色の髪を揺らした少年は、いばら姫―美穂に向かって微かに笑んだように見えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アサル・レイハーネフ
アドリブ、協力歓迎
「心が痛むかい?そりゃいい事だ。キミがまだ、まともである証拠さ。」
あたしみたいになる前に、戻してやんないと。

茨の森を、クリーピングコインの『範囲攻撃』やUCで召喚した蜂で破壊し進みます。

「眠るのは心地良い。嫌な事を見なくて済むからね。」
いばら姫の前に立ち、彼女を正面から見据えます。いつもの笑みが消え、真摯な表情で静かに語りかけ、いばら姫が幸せな記憶に目を向けるよう『言いくるめ』ます。
「でも、目を閉ざすと、他の事も見えなくなる。思い出せなくなる。あたしはもう手遅れだけど、キミは違うはずだ。」
「今の君には、帰る場所も、帰りを待つ人もいる。思い出せるはずだ。さあ、目を開きなよ。」



●商人といばら姫
 だんだんといばら姫の、美穂の動きが鈍ってきているように思える。きっと、葛藤しているのだろう。
 それでも、攻撃は止まない。周囲の地形を茨の森へと変えながら、何かを求めるように彷徨う。
「心が痛むかい?そりゃいい事だ。キミがまだ、まともである証拠さ。」
 襲い掛かってくる茨の群れを空飛ぶ金貨の群れで攻撃し、いばら姫へと声を掛けたのはアサル・レイハーネフ(強化人間のバロックメイカー、冒険商人・f31750)だ。
自身をイカれ商人と称する女性である。
 アサルは小声で小さく呟く、あたしみたいになる前に戻してやんないと、と……。
「あぁああああああ!わたし、わたしはっ……!」
 目の前で頭を掻きむしりながら叫び続けるいばら姫。そんな彼女の元へと向かうアサル。
「眠るのは心地良い。嫌なことを見なくて済むからね」
 いつも笑みを絶やさないアサルから笑みが消える。まっすぐいばら姫を見据えてさらに言葉を紡ぐ。
「でも、目を閉ざすと、他の事も見えなくなる。思い出せなくなる。あたしはもう手遅れだけど、キミは違うはずだ」
 アサルの脳内に、忌まわしき過去が蘇る。人間に実験台にされ、人の価値なぞ平等ではなかったと思い知ったあの日の記憶が。
 ただ、そんな壊れてしまった自分を助けてくれた人物が、アサルにもいた。
 いばら姫は――美穂はまだ壊れていない。待ってくれている人もいる。あたしみたいになる前に、助けたい。アサルは腹から叫ぶ。
「君はいつまでこんな偽りの夢で揺蕩うつもりだい」
「そんな、そんなことは……ない、ない、いや、ある……?あ、あぁあ!!」
 背を仰け反らせながら叫ぶいばら姫の姿は、小さな赤子が必死に親に助けを求めて泣いているようにも思えた。
 きっと、彼女なら自ら殻を破る。
「今の君には、帰る場所も、帰りを待つ人もいる。思い出せるはずだ。さあ、目を開きなよ」
「待ってくれる人、わたしを打たない人……!!あぁっ……!!」
 うずくまり、小さくなりながらも何処か遠くを見るいばら姫。アサルはそんな彼女の様子を見て安堵したのか、一息つく。
「あたしにも居たんだ、君にも必ずいるはずだ、例えば、母親とか」
 にこりと、いつもの笑みを浮かべながらアサルは呟くのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

白峰・歌音
怖い記憶を思い出して、すごく不安なんだよな。この世界だって、怖い事ばかりだったろうし。だから、怖がらなくても大丈夫だって事を、オレ自身が証明するぜ。

UCのそよ風に、決して傷つけないという【優しさ】を乗せて広げる。すぐに消えるだろうから効果は期待せず【オーラ防御】で茨のダメージを減らしつつ攻撃反撃一切行わずに近づいていく。そして彼女と【手をつな(ぐ)】ぎ、必ず元の世界に戻っても大丈夫だと声をかける。
「必ず、あんたを見てくれる人がいる。愛してくれる人がいる。今は見えてなくても、必ずいる。だから、茨で身を隠して自分も他人も傷つけなくても、もう大丈夫だぜ」

アドリブ・共闘OK


陽環・柳火
俺は頭よさそうな気の利いた言葉は言えねえが、とりあえず言いたいことは言っておきたい

「……にしても邪魔だな、この茨。よし、燃やすか」
爆符『烈火乱れ咲き』で火【属性攻撃】の【弾幕】を展開して【焼却】、ほぼ力業で茨を退ける

「死ぬほど痛かったぞ、あの茨!」
美穂に会ったらまず文句を言う
「で、あの茨よりも親父さん暴力は痛いのか? ここの化け物達よりも恐ろしかったか?」
美穂にアリスラビリンスで辛いことも乗り越えてきたことを思い出してもらいたい
「辛いこととか、耐えたり乗り越えてきたから今のお前がいるんだろ? そこだけは忘れるんじゃねえぞ!」

これで無理なら後は互いに素手で殴り合うしかないな

UCは使えたら使う



●マギステック・カノンと火車といばら姫
 葛藤する時間が長くなってきたいばら姫。時々動きを止めて頭を抱えるしぐさが多くなってきているように思える。もう一押しか、二押しというところだろう。
 その場面に現れた2人の猟兵、白峰・歌音(彷徨う渡り鳥のカノン・f23843)と陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)はそんな事を思った。
「説得とかするにしても……邪魔だな、この茨。よし、燃やすか」
 柳火が愚痴りながら爆符『烈火乱れ咲き』を手に持って飛ばす。符は姿を変え無数の炎弾となり、周りの茨を燃やしていく。
「さんきゅー、柳火、これでいばら姫への道が開かれたぜ!」
 歌音は燃え尽きた茨の隙間を縫って奥で怯えているような表情を浮かべているいばら姫へと向かう。
(怖い記憶を思い出して、すごく不安なんだよな。この世界だって、怖い事ばかりだったろうし)
 アリス適合者である歌音はかつての自分を思い出していばら姫を見る。だからこそ、今の自分を見せることで怖がらなくてもいいという事を証明しようとしていた。
 対する柳火には、燃やされた茨の恨みだろうか。無数の茨が再度迫っていた。何度かうまく避けていたが、数が多く何度か茨に打たれてしまった。
 だが、そんなことを気にせずに柳火もいばら姫へと迫る。
「死ぬほど痛かったぞ、あの茨!」
 先に着いた柳火は、まずは一度文句を言わなきゃ気が済まないとばかりにいばら姫、もとい美穂へと声を張り上げた。
「で、あの茨よりも親父さん暴力は痛いのか? ここの化け物達よりも恐ろしかったか?」
 少し遅れて歌音も美穂の元へと到着し、彼女も美穂へと声を掛ける。
 決して傷つけないという【優しさ】を乗せて広がるそよ風と共に。
「必ず、あんたを見てくれる人がいる。愛してくれる人がいる。今は見えてなくても、必ずいる。だから、茨で身を隠して自分も他人も傷つけなくても、もう大丈夫だぜ」
 歌音は、いばら姫―美穂と手をつないだ。人肌の暖かなぬくもりが、緑の手袋越しに伝わってくるのをいばら姫は感じた。
 だが、いばら姫はぬくもりを拒むように手を払う。
「けれども!わたしはまだ怖いの!怖いの!この世界も、元の世界も!」
「辛いこととか、耐えたり乗り越えてきたから今のお前がいるんだろ? そこだけは忘れるんじゃねえぞ!」
 いばら姫の弱音に反論するのは柳火。
 1人で彷徨っていたアリスラビリンスの世界。実父からの理不尽な仕打ち。耐えて、乗り越えてきたからこそ今の美穂がいるのだと、思い出してほしかったから。
「わたし、わたしはっ…!私はぁっ!!」
「怖がらなくたっていい!オレたちがいる、他の皆だって」
 歌音も精いっぱい叫んだ。美穂の心に届くようにと、必死に。
「そうだ!俺だっているんだ!まだわからねぇようなら……!」
 柳火はそう言うと、拳を振りかぶって思い切りいばら姫を殴り飛ばした。
 えっ!?殴んの!?と歌音が驚いたが、そんなことは気にしていない柳火。
 殴られた美穂は何が何だかわからないような顔をしている。
「ごちゃごちゃと御託はいいんだよ!要するにお前には母親とか、俺たちとかお前が元に戻るのを待ってるやつがいるって事だ!」
 そのあと、小さく殴ったのは悪かったけどよ、と小声で呟いた柳火。
「だから、一緒に帰ろうぜ、オレたちと」
 そして、もう一度歌音は美穂に手を差し出す。美穂はおずおずとしながらもその手をしっかりと握り返した。

●美穂
「ああ、思い出した……わたしはきちんと愛されている。そしてこの世界で頑張って帰り道を探していた事も」
 何よりも、わたしは諦めてなかった事を――。
 いばら姫の姿が、ブレザー姿の少女へと変わる。
「ありがとう、皆さん。わたし、すべてを思い出しました」
 そう言い、美穂は自分のために集まってくれて助けようと手を差し伸べてくれた猟兵たちへ笑顔を向けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ホワイトアルバム』

POW   :    デリシャス・アリス
戦闘中に食べた【少女の肉】の量と質に応じて【自身の侵略蔵書の記述が増え】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
SPD   :    イマジナリィ・アリス
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【虚像のアリス】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ   :    イミテイション・アリス
戦闘力が増加する【「アリス」】、飛翔力が増加する【「アリス」】、驚かせ力が増加する【「アリス」】のいずれかに変身する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ライカ・リコリスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ホワイトアルバム
「だめじゃない、だめじゃない、どうしてわたしの邪魔をするのかしら」
 大きな本を持った少女がいつの間にか立っていた。
 少女は真っ白な本のページをめくりながらアリス適合者である美穂と周りに集まっている猟兵たちへ視線を向けた。
「あなたたちのせいで美味しそうな少女が美味しくなさそうな少女になってしまったわ。でもいいの、きっとまだ調理次第では美味しく頂けるのだから」
 可憐な顔と正反対の邪悪な言葉を吐きながら、ふりふりドレスの少女――ホワイトアルバムは猟兵たちへとくりくりとした可愛らしい瞳で見つめる。
「そのためには、あなたたちは邪魔ね、やっつけるしかなさそうね」
 にこりと愛らしい笑みを浮かべながら、ホワイトアルバムが猟兵たちへと牙を剥いた――。
レイカ・ヴァンスタイン
協力・アドリブ 大歓迎
「ごはんの為でも、苦しめるのはダメなの。お仕置きなの」

でも、ウチだと足止めがせいぜいだから皆の攻撃チャンスの為の援護射撃を彩光隊で行うの
UCはホルスちゃんのブレス攻撃、コレを囮にしてイマジナリィを他のUCに使用させないようにするの。
「やーい、やーい。ノロマなアリス~。銃撃避けれないグドンなアリス~」
「悔しかったら避けてみろなの~」

本命になる他の人の攻撃の為、一生懸命、弾幕はりますの。


アサル・レイハーネフ
アドリブ、協力歓迎
指でコインを弾きながら、無表情でホワイトアルバムの言葉を聞いています。

『美味しそう』、『美味しくなさそう』なんて、人を食い物としか思ってないんだねぇ。それがキミにとっての他人の『価値』って訳だ。

怒りに満ちた笑みを浮かべます。

じゃあ、同じように、あたしがキミの価値を決めてあげよう。キミみたいにイカれた奴は………、蟲の餌がお似合いさ。

弾いていたコインを掴み、同時に構えます。指で大量のクリーピングコインを弾き出し攻撃します。誘導弾、対空戦闘技術を備えたクリーピングコインは、どこまでもホワイトアルバムを追いかけます。彼女が隙を見せたら、UCで大量の蜂を召喚し、襲いかからせます。



●オウガの少女と商人と妖精
「目障りだわ、本当に目障り。わたしの最高の食材の用意の邪魔をするなんて……無粋なのね、猟兵って」
 ホワイトアルバムの濃い紅茶色の瞳が青と銀の小さな妖精と、金髪の商人の格好をした人物へと向けられる。
「ごはんの為でも、苦しめるのはダメなの。お仕置きなの」
「……。『美味しそう』、『美味しくなさそう』なんて、人を食い物としか思ってないんだねぇ。それがキミにとっての他人の『価値』って訳だ」
 妖精―レイカ・ヴァンスタイン(銀光精・f00419)はびしっと人差し指を向けながら、商人―アサル・レイハーネフ(強化人間のバロックメイカー、冒険商人・f31750)はコインを右手ではじきながら無表情で。両者はそれぞれホワイトアルバムを見る。
「ええ、そうよ。人間だって生きるためにお食事をするでしょう?わたしもそれと同じように美味しくアリスを頂くだけ、そこに違いなんてないわ」
 笑顔を浮かべてホワイトアルバムは語る。人の少女のように見えても、彼女はオブリビオンである。人の価値観など持ち合わせてはいない。
 これ以上の対話は不要とばかりに、ホワイトアルバムは取っておいた少女の肉を咀嚼する。すると、ホワイトアルバムの持っている本の白いページに文字が浮かんだ。
「むむっ!ここはうちが足止めするの!だからアサルちゃんは気にせずホワイトアルバムを攻撃するの!」
「了解、攻撃はあたしに任せな」
 レイカはドラゴンのホルスを召喚し、ホワイトアルバムに向かって力いっぱい叫ぶ。
「やーい、やーい。ノロマなアリス~。銃撃避けれないグドンなアリス~」
 悔しかったら避けてみろなのー!と小さな妖精に言われたホワイトアルバム。常に浮かべていた笑みが消えた。
「やれるものならやってみたらどうかしら?」
「遠慮なくいくの。ホルスちゃんやっちゃいなさい!」
 ホルスが口からレーザーブレスを吐く。まっすぐにホワイトアルバムへと向かっていったそれは、ホワイトアルバムを打ち据えた。だが。
「ちょっと痛かったわ」
 とっさに本を盾にしたのだろう。ところどころ服が破け、血が滴っているがまだ止まる気配はない。
「キミにとっての人間の価値は食い物。じゃあ、同じように、あたしがキミの価値を決めてあげよう。キミみたいにイカれた奴は………、蟲の餌がお似合いさ」
 ホルスのビームの派手さを目晦ましに、指で大量のコインをホワイトアルバムへと向かって弾いていたのはアサル。
 無数のコインの群れは意志があるかのように複雑に動き回りながらホワイトアルバムへと飛んでいく。
「厄介だわ、本当に厄介。いやになってしまうわ」
 自らへと飛んできたコインに気を取られ、一瞬の隙を見せるホワイトアルバム。
 それをチャンスと見たレイカとアサル。各々が全力で出来ることをしっかりと行っていく。
「ホルスちゃん!もっともっとレーザーを放つの!」
 レイカは弾幕を張り、ホワイトアルバムを足止めして。
「いかれ商人の一発芸だ!楽しんでってよ。あひゃひゃひゃひゃひゃ!」
 アサルは足止めされたホワイトアルバムの胴体へと無数の狂乱の雀蜂をけしかける。
「いやああああああああああっ!!」
 レーザーが体を貫き、無数の雀蜂に攻撃されたホワイトアルバムの叫び声が、辺りに響いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

終夜・日明
【アドリブ連携歓迎】
さて美穂さん。こいつが貴女に色々してくれたようですが、何か言いたいことは?
僕が代わりに伝えることもできますが。
返答を命令として【指定UC】を引き続き維持します。

僕から言うことはそうですね、強いて言うなら。
――人の心の傷を刳り弄んだ罪は最早生きて償うことはできないと知れ、外道。

【乱れ撃ち】で弾幕を張ると同時に【地形破壊】を行い動きを抑制した後【ダッシュ】で接敵し【串刺し】。
ダメージは全て【激痛耐性】と【継戦能力】で凌ぎ、【属性攻撃(雷)】と【呪殺弾】を延々と【零距離射撃】で打ち込み【傷口をえぐる】。

意趣返しという奴だ。
――彼女が受けた痛みを味わって骸の海に還るがいい!


白峰・歌音
美味しくなくなって良かったよ。食べたくなくなるくらい立ち直ってkる得たって事なんだからな。もっとも、もうお前には何も食べさせる気はないけどな!
「不幸を煽り貪る悪食!このマギステック・カノンがその偏食を躾けなおしてやるぜ!」

合図をしたら、茨でバランスを崩すように攻撃して欲しいと小声で美穂にお願いして、美穂に注意が向かないように接近し格闘インファイトでラッシュを仕掛ける!頃合いを計り、UCの発動に入り、相手が受け流そうとした時に、合図を送って攻撃してもらい、バランスを崩した所でUCの一撃を打ち込むぜ!
「お前が不幸に叩き落としたアリス達の分の恨みも含めて!吹き飛びやがれぇっ!!」

アドリブ・共闘OK



●オウガの少女とヒーローと兵士
 所々破けた服も気にせずに猟兵を倒そう構えるホワイトアルバム。彼女の瞳には先ほどまでになかった明確な殺意が宿っている。
「どこまでもわたしの邪魔をするのね、あなた達って!せっかくのご馳走まで台無しにした上に……なんて失礼なのかしら」
「さて、美穂さん、あんなことを言っているあの人物が貴女に色々してくれたようですが、何か言いたいことは?」
 地団太を踏むようなしぐさを見せるホワイトアルバムと対峙している兵士―終夜・日明(終わりの夜明けの先導者・f28722)が美穂に声を掛ける。
 日明の後ろに隠れている美穂はありがとうございますと言い、彼に促されるままにホワイトアルバムに言いたいことを吐き出した。
「記憶のない私に色々と吹き込んでくれちゃって……!でも、もうあなたなんかに負けない!」
「うんうん、言いたいことは言っちまうのが一番だぜ!」
 どこからともなくひょいと現れた白峰・歌音(彷徨う渡り鳥のカノン・f23843)が美穂に同意する。
「それにしても、美味しくなくなって良かったよ」
 美味しくない。それは美穂がしっかりと立ち直ったという証なのだから。
 現れた歌音に心強さを感じながら、僕からはそうですね…と日明もホワイトアルバムに向かって自身の思いをぶつける。
「人の心の傷を刳り弄んだ罪は最早生きて償うことはできないと知れ、外道」
 普段は冷静に振る舞う日明の激しい内情を――。
「ま、こっちはもうお前には何も食べさせる気はないけどな!」
 続くようにホワイトアルバムを挑発する歌音。自身も記憶を失ったうえ、オウガが世界を荒らす事に怒り、オウガからアリスの世界を守る為に動いてきた。
 だからこそ、ホワイトアルバムの美穂への仕打ちに怒っていた。
「不幸を煽り貪る悪食!このマギステック・カノンがその偏食を躾けなおしてやるぜ!」
 歌音の言葉をきっかけに、ホワイトアルバムとの戦いが始まった。

●我と情のぶつかり合い
「ほんっとうに猟兵って目障りだわ!」
 うふふ、と笑いながら衝撃波を飛ばし攻撃するホワイトアルバム。
 事前に美穂からの返答で発動していたユーベルコード【作戦コード《蜘蛛の糸》】で作り出した決戦用専用兵装を纏う日明。
 彼はホワイトアルバムからの攻撃に真っ向から立ち向かう。衝撃波が体を切り裂くが、耐えて進む。
「美穂……お願いがあんだけど」
 茨でバランスを崩すように攻撃して欲しいと小声で伝える歌音。その後、ホワイトアルバムの注意が美穂に向かないようにダッシュしてオウガへと接近する。
 衝撃波は日明が相殺してくれた。美穂は歌音が言う通りに無防備状態のホワイトアルバムへと茨をけしかけ、彼女を縛った。
「何よこれ!!邪魔……!燃やして……。でも、うふふ……」
「彼女が受けた痛みを味わって骸の海に還るがいい!」
「お前が不幸に叩き落としたアリス達の分の恨みも含めて!吹き飛びやがれぇっ!!」
 攻撃の刹那、虚像のアリスを瞬時に呼び出したホワイトアルバムは回し蹴りを2人にお返ししようとするが、虚像のアリスは動かない。
「な、んで……!いやあああっ!!」
 茨に絡めとられたホワイトアルバムをライフルスピアで貫き、零距離で雷と呪殺弾を撃ち込む日明。それに合わせるように顔面へと暴風を纏う回し蹴りを食らわせる歌音。
「日頃の行いって奴だろ!」
「全くです」
 激しく地面へと叩きつけられたホワイトアルバム。そんなオウガの姿を二人は静かに見つめていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

陽環・柳火
美穂には
「後で俺をぶん殴ってもいいから…って言っても嫌か。いい埋め合わせが浮かばないから、今はこれで勘弁な」
と、『にゃんジュール』を1個投げ渡す

「よぉ大将、いたいけな娘っ子の心をぐちゃぐちゃにいじくり回した気分はどうだったよ? で、ぐしゃぐしゃに叩きのめされた気分はよ? これで終わりと思ってんじゃねえぞ!」
美穂を食らってのパワーアップを狙うかもしれんので【全力魔法】の『烈火乱れ咲き』で近づけさせないが、乗り越えてくるなら消耗した魔力をUCとにゃんジュールで補い、改めて思い切りぶん殴る。その際、美穂をかばって嚙みつかれてもいい
「俺は火車。テメェみたいな悪党を地獄へ送るのが役目なんだよ!」



●オウガの少女と妖
 地面に叩きつけられ、藻掻くホワイトアルバム。そんな彼女の頭上から声を掛ける存在があった。
「よぉ大将、いたいけな娘っ子の心をぐちゃぐちゃにいじくり回した気分はどうだったよ?」
 火車という妖怪の女性―陽環・柳火(突撃爆砕火の玉キャット・f28629)である。
 信条は気に入らないやつをぶっ飛ばすことである柳火、そんな彼女の今もっとも気に入らない存在であるホワイトアルバムが苦し気に声を発した。
「最高だわ、それでアリスはとっても美味しくなるのだから。ただ――」
 今の気分は最悪だわ。と吐き捨てるホワイトアルバム。
「で、ぐしゃぐしゃに叩きのめされた気分はよ? これで終わりと思ってんじゃねえぞ!」
 対する柳火は烈火のごとく燃え盛る感情をオウガにぶつける。その様子を見てオウガは、笑った。
「うふふふふふ……わたしはまだ負けていないの」
 本が光ると同時に何かが飛び出す。飛び出したモノ……アリスの肉に噛り付き、それを咀嚼し飲み込んだ後、ホワイトアルバムは立ち上がる。
「わたしはオウガ。あなたの言葉、そっくりそのままお返しするわ」
「へっ!泣いて謝ったってゆるしてやんねーからな!」
「うふふ、ただ……そうね、ちょっとだけ魔力が足りないから、美味しくなくなってしまったけど食べてしまおうかしら」
 ごう、と魔導書から暴風を呼び、ホワイトアルバムは柳火を追い払ってから美穂に近づこうとする。
「させるかよ!!」
 柳火の予想通り、オウガは美穂を狙ってきた。暴風を耐えた柳火は魔力を全力でつぎ込んだ『烈火乱れ咲き』をブチかます。
 辺りを埋め尽くす符が爆発し、ホワイトアルバムの行動を阻害する。
 その隙に、使った魔力の補填の為に、にゃんジュールとユーベルコード【屍塊転燃】を使用し、加工した屍肉を食す。
 フルパワー状態となった柳火の右ストレートが符に動きを阻害されていたホワイトアルバムにクリーンヒットした。
「俺は火車。テメェみたいな悪党を地獄へ送るのが役目なんだよ!」
 壁へとめり込むホワイトアルバムを見届けた柳火。彼女は美穂へと振り返り、美穂に何かを投げ渡す。
「俺をぶん殴ってもいいから…って言っても嫌か。いい埋め合わせが浮かばないから、今はこれで勘弁な」
「あの、その……気にしていませんから大丈夫ですよ。ありがとうございます」
 受け取ったどんな猫も虜にしてしまうだろうモノを仕舞い、美穂は柳火に笑顔を向けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

阿紫花・スミコ(サポート)
アルダワ魔法学園の生徒。暗い過去を持ちつつも性格は明るい。自信家で挑発的な一面がある。力があれば何をしてもいいというようなダークセイバーの領主達を心底嫌っている。機械系に強く様々な世界の機械知識を広く持ち自作ガジェットの研究・開発を行っている。

からくり人形「ダグザ」:巨大な棍棒で敵を粉砕する。
精霊銃「アヴェンジングフレイム」:黄金に輝くリボルバー。弾丸には炎が宿る。
ワイヤーギア:射出したワイヤーを引っかけ、巻き取りと、蒸気噴出で推進力を得る。

「力があれば何をしてもいいって思ってるんだろう?お前が奪われる立場でも同じことが言えるかな!」

(エロやグロに巻き込まれなければどんな展開でも大丈夫です)



●オウガの少女とガジェットガール
 ふりふりの愛らしい服は所々が解れ、破けてしまった。華奢な体には無数の傷が。オウガの少女はふらつきながらも立ち上がるが、眼前に人影があるのに気がつき、顔を歪める。
 ――忌々しい、猟兵の姿が、そこにあった。
「ああ、本当についてない日だわ」
「キミにとってはついてない日だろうね。もっとも、それは美穂さんにも言えることだと思うけど」
 猟兵――阿紫花・スミコ(ガジェットガール・f02237)がホワイトアルバムに言い返した。
 実際、追いかけられ絶望させられた美穂にとっても最悪の一日だろう。スミコはそんな卑劣なオウガの少女に銃口を向ける。
「力があれば何をしてもいいって思ってるんだろう?お前が奪われる立場でも同じことが言えるかな!」
 スミコの言葉をうけ、オウガがくつくつと笑った、それはそれは楽しそうに。
「わたしが奪われる立場?いいえ、違うわ。わたしはずっと奪う立場。それは今も変わらないの」
「それならボクとキミは相容れない存在だ」
 黄金に輝くリボルバーのトリガーを引く。コッキングレバーによって押し出された弾丸が薬室に送り込まれ、飛び出し火を噴いた。打ち出された弾丸が灼熱の炎へと形を変えオウガを襲う。
「熱いのは嫌いだわ」
 白い本から魔方陣を浮かべて炎を受け止めたオウガ・ホワイトアルバム。対するスミコはからくり人形「ダグザ」を糸で操り、近接攻撃へと持ち込もうと試みた。
「じゃあこの強力な一撃!躱して見せてよ!」
「う…!!」
 防御魔方陣を展開するには時間が短い。ダグザによる棍棒のスイングはホワイトアルバムの華奢な体にめり込み、遠心力を利用して遠くの木へと叩きつける。
「あ、が……っ……」
「キミの敗因は人間の力を侮ったことだよ」
 消えゆくホワイトアルバムの姿を見ながら、スミコはからくり人形を操っていた糸を仕舞うのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​


●美穂
「ありがとうございました、皆さんのおかげで私は自分のことを思い出しました」
 確かにトラウマは思い出したくなかったけど、それも私の一部だから。と呟いた彼女の姿に、最初のころの卑屈さは感じられない。
 おそらく、これが本来の彼女の姿なのだろう。
 猟兵へとお礼を言ったあと、自分の扉を探すためまた歩き出すという。
 幸運にも、自分の扉の位置がある程度はわかるようになっているため、おそらくは自分の扉がある不思議の国へたどり居ついていたのだろう。

 猟兵たちは、彼女ならもう大丈夫だと思い、各々アリスラビリンスから自分たちの生活へと戻るのだった。

最終結果:成功

完成日:2021年02月01日


挿絵イラスト