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それはかつて『希望の塔』と呼ばれた

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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 荒れ地の中、若い男が4人、年老いた男が1人いる。
 彼らのそばには廃墟とおぼしき物があった。その大きさや、しっかり作られた基礎などを見るに、在りし日は周囲を広く見渡せる塔であったのではないだろうか。現在は5m程の高さより先は無く、内部の壁に色褪せた壁画らしきものが残されるのみ。
「師匠、あの洞窟に行かせてください、ただの噂とはいえ、俺もそこに何かあるんじゃないかなと思うんです」
 若者が南を指さしながら、訴えた。
「確かに設計の概要や装飾の図案が記された粘土板が手元にあれば、この塔の修復も格段に進むだろう、だが、そこに、どんな危険が潜んでいるか」
 師匠と呼ばれた老人は苦しげな表情で答える。
「大丈夫ですよ!」
「そうですよ、けして無茶はしませんから!」
「師匠は、のんびり待っててください!」
 若者たちは次々、老人を説得する。
「……仕方ないな。だが、くれぐれも気を付けて。けしてケガなどしてはならんぞ」
 老人の言葉に、彼らは、わかりましたと力強く言葉を返した。

「彼らは、かつて『希望の塔』と呼ばれた建造物を修復しようとしているんだ。老人が師匠、若者たちはその弟子といったところだな」
 滝乃家・吾平(滝乃家の気ままな三男坊・f14779)が猟兵の皆に説明していた。
「伝承や推測、周辺に散らばる破片などを参考に修復を進めてはいるが、より正確に元の姿に戻すには、手掛かりが少ない、そこで南の洞窟に設計図が隠されているという噂を聞きつけた。実は確かに、その洞穴の奥に粘土板はある。ただし、そこにはオブリビオンらもいるんだ。彼らが侵入すれば生きて戻っては来れないだろう」
 そこで君に頼みたいのは、彼らより先に洞窟に入り、オブリビオンを倒し、粘土板を手に入れ、その粘土板を老人と若者たちに渡すという事だ、と吾平は言う。
 それともう一つ、と彼は付け加えた。
「恐らく、その洞窟は希望の塔を建てた人たちが倉庫代わりに使っていたらしい。途中には、修復に役立つ資材や薬剤も見つけられるだろう。それらも収集しながら進んでくれたらありがたい。頼めるかな。それじゃあ、今からアポカリプスヘルに皆を送るよ、気を付けて行ってきてくれ!」


八雲秋
 第一章で洞窟進行。
 第二章でオブリビオンとの対決。
 第三章で修復を続けている人々に、粘土板を渡し、彼らとの交流会。

 以上のながれになっています。
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第1章 冒険 『資材を“奪還”してくれ!』

POW   :    ●『重量物を運ぶ』:石材や鉄材など

SPD   :    ●『繊細なものを運ぶ』:壊れやすかったり、劣化しやすかったりするもの

WIZ   :    ●『専門的知識がいるもの』:化学物質や薬品、機械製品など

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セプリオギナ・ユーラス
「……全く」
ろくな事前情報もなく、オブリビオンの巣へとのこのこ出向く愚かしさに目眩がする。
ああ、しかしこの世界を生きていくには拠り所も必要なのは分かるし、若者をむざむざと散らせるわけにもいくまい。
物資はあるに越したことはない。……医薬品の使い方を知る者がいるのか?
まあいい。手数はある。今は──集められる資材を提供することだけを考えよう。

方針:UCで周囲の情報収集、偵察。医術で識別できる医薬品などを主に収集する。


麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎
POW判定

ふぅん…そういう挫けないのは好きよ♪
なら、些少助力しましょう!

絡繰小箱から学天則を召喚し搭乗
こういう時の為に作ったの
さぁ、出番よ♪

暗がりも暗視視力で問題なし
地面より僅か空中浮遊しダッシュスライディングで進行

途中の「物資」は能うる限りもれなく収集
壊れ物や繊細そうな品はUCにて小箱に収納
重量物は学天則にて運搬

出来るだけ多く、出来るだけ丁寧に…君を連れて来て良かったわ♪(学天則に)

集めつつ奥へ、奥へ
オブリビオンの気配がしたら、重量物優先で物資を持たせ自動操縦で学天則を帰還させ、戦闘準備を整える

希望の塔…いい名前だわ
その上に青空をもたらす為に…

晴嵐騎士が来たぞ!



「ふぅん……そういう挫けないのは好きよ♪」
 グリモアベースで話を聞いた麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)は彼らの事を気に入った様子。
 なら、些少助力しましょう! とばかりにアポカリプスヘルに乗り込み、若者たちよりも早く、洞窟の前に着いていた。
「……全く」
 セプリオギナ・ユーラス(賽は投げられた・f25430)はリィフとは対照的に、こめかみに人差し指を当て眉を顰める。
「不愉快そうね? それとも体調悪い?」
 リィフがセプリオギナの顔を覗き込み尋ねると、彼は首を横に振り、
「ろくな事前情報もなく、オブリビオンの巣へとのこのこ出向く愚かしさに目眩がしただけだ」
 セプリオギナは希望の塔の方に目をやる。今頃、若者たちが探索の準備をしている事だろう。溜息を一つつき、呟くように言う。
「ああ、しかしこの世界を生きていくには拠り所も必要なのは分かるし、若者をむざむざと散らせるわけにもいくまい」
 リィフがその言葉に笑みを見せる。
「なら、わたしと同じね。あの人たちの元に届けてあげましょう」
 彼女は真鍮色の絡繰小箱を取り出す。瞬間、中から巨大な何かが出現し、みるみる形を成す。それは半人型機動機械、名は『学天即』。ひらりと飛び乗ると、彼女は機体を軽く撫でてやる。
「こういう時の為に作ったの。さぁ、出番よ♪」
「音や振動は大丈夫か?」
 セプリオギナが聞くと、リィフは任せてと『学天即』の体をわずかに浮遊させる。
「わたしはこのまま進んでいくけど君はどうする?」
「俺は後から細かい所を確認しながら行こう、医療絡みの物資の見立てなら任せてくれたらいい」
「わかった」
 ダッシュスライディングで進行するリィフの後を、セプリオギナは所々ある分かれ道を軽く確認しつつ、進んでいく。
 洞窟のオブリビオンらが資材を使いこなせるわけもなく、木箱が無造作に放置されている。
 闇医者の彼の分析に間違いはない。
「これは消毒液に使えるな。器具にも体にも。こっちは麻酔用………だが、医薬品の使い方を知る者が、彼らの中にいるのか?」
 ふと疑問に思うが、ともかくも今は使える資材を集められるだけ集めていこうと彼は選別を続け、確実に奥へ向かって行く。
 リィフは颯爽と前進しつつも、出来る限り物資を収集していくのも忘れない。重量物でも学天即なら積める。取り扱いに注意が必要な壊れ物、繊細な造りの物は真鍮色の絡繰小箱に吸い込ませていく。
「出来るだけ多く、出来るだけ丁寧に」
 彼女は呟く。身一つでの探索だったら、こんなまねはできなかっただろう。
「……君を連れて来て良かったわ♪」
 もう一度、学天即を撫ぜた。
 奥へ奥へ進む。
「そろそろ、戦闘準備をした方がよさそうですわね」
 リィフは学天即から降りると、学天即に物資を持たせたまま自動操縦で洞窟の外へ向かわせる。
「希望の塔……いい名前だわ」
 剣を手にし、彼女は言葉を続ける。
「その上に青空をもたらす為に……」
 晴嵐騎士、その名は希望の塔を守るにふさわしく思えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リュアン・シア
ふぅん、希望の塔、ねぇ……。誰が名付けたのかしらね。
今では色褪せているとは言え、壁画まで描かれているというのなら、相応に人々の精神的支柱のような場所だったのかしら。
だとしても、ここまで崩れ落ちたものをそうまでして直したいの? 喪われたものは喪われたものとして諦めた方が、命を散らさずに済むかもしれないのに。

……、仕方ないわね、行きましょうか。
洞窟には粘土板の他に修復に役立つ資材なんかもあるんだったわね。
折角ここまで来たし、【孤高の奏】で集中して徹底的に捜索するわ。洞窟内は暗いかもしれないから、ランプでも持って行こうかしら。
壁画修復のための、当時の画材や道具、塗料あたりが見付かるといいのだけど。


祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
*アドリブ歓迎

『フェアリーランド』の壺の中から風/土の精霊,聖霊,月霊,英霊を呼んで英霊を中心に「壺の中に順番に並べて運ぼうね♪」と言って“七色金平糖”を配って土精霊には石材などを風精霊には壊れやすいものを探して運んで貰い目的地まで壺で運びます☆
洞窟作業の際には『グレムリン・ブラウニー・ルーナ』で小妖精を呼んで再び“七色金平糖”を配って土質や状態を見ながらお手伝いをして貰い、疲労した人や猟兵には『祝聖嬢なる光輝精』で怪我を治して『シンフォニック・メディカルヒール』で状態異常を癒します♪
「疲れた時には甘味は効果的ですから、どうぞ☆」と“七色金平糖”を配って心身の疲労と気分を癒します


バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ・連携・大歓迎デース!

「ふむふむ。資源の収集とオブリビオンの排除でありますな」
建造物の修復は、プロにお任せデスネー? 了解デース!

それでは粘土板を探しつつ、作業の助成になるため働きマショー!
こういう時には人手が大事デスネ。という訳で、
「カモン、バルタンズ!」『バルー♪』
お駄賃を支払って力仕事を手伝ってもらいマース!
『バルル♪ バルル♪』

転がってる瓦礫や重量物を、手分けして搬出しマース!
繊細なものや専門知識がいるものは他の猟兵の方にお任せしマース。
大型機械のようなパワーがいる場合はおまかせくだサーイ!
開けたスペースを清掃したり、光源の確保をしたり、探索しやすくするであります!



 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は他の猟兵たちに確認をとっている。
「ふむふむ。ワタシがすべきは資源の収集とオブリビオンの排除でありますな」
「そうだよ、『希望の塔』のためにね」
 祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)の言葉に頷き、
「塔を直してる人たちもいると聞きマシタ。修復は、プロにお任せデスネー? 了解デース!」
 バルタンは意気揚々、洞窟に入っていく。
「ふぅん、希望の塔、ねぇ……。誰が名付けたのかしらね」
 リュアン・シア(哀情の代執行者・f24683)はバルタンとティファーナの会話を聞き、一人呟く。それにティファーナが反応し、返す。
「うぅん、誰が名付けたって言うより、皆がそう呼んでたんじゃないかな」
「そうね、今では色褪せているとは言え、壁画まで描かれているというのなら、相応に人々の精神的支柱のような場所だったのかしら」
「きっと、そうだよ!」
 元気よく答えるティファーナに、
「だとしても、ここまで崩れ落ちたものをそうまでして直したいの? 喪われたものは喪われたものとして諦めた方が、命を散らさずに済むかもしれないのに」
 リュアンは呟く。それはけしてティファーナを責めるわけではなく、自分に問いかけるような口調。それから彼女は何か記憶をたどるような遠い目をしたが、すぐに首を横に振り、肩をすくめ、
「……、仕方ないわね、行きましょうか」
 洞窟に踏み入る、と。
「あ、待って!」
 ティファーナがリュアンを呼び止めた。振り返ったリュアンに、
「これどうぞ」
「これって……お菓子の包み?」
「そう、七色金平糖、疲れた時には甘味は効果的ですから、どうぞ☆」
「ありがとう、頂くわ」
 一足先に洞窟の中に入ったバルタンは辺りを確認する。
 洞窟の中は広大とまでは行かないまでも、所々、分かれ道もあり、探索すべき場所はそれなりに多そうだった。
 ふむふむと頷き、こういう時には人手が大事と、ユーベルコードを唱える。
「『カモン、バルタンズ!』」
『バルー♪』
 ミニ・バルタンたちが、それぞれ声をあげながら出現する。
「はい、お駄賃デース!」
『バルル♪ バルル♪』
 喜んで受け取るミニ・バルタンたち。
「それでは粘土板を探しつつ、作業の助成になるため働きマショー! ヨイショ!」
 バルタンは道を塞ぐ瓦礫をどかしたり、その後を清掃したり、彼女のパワーと高いメイド能力を発揮し、探索路を整備していく。ミニ・バルタンたちも、お駄賃パワーで協力し合いながら、重い物も外に運び出していく。
 選別鑑定や取扱に注意が必要そうな物は他の猟兵に任せるという判断だ。
「バルタンさん、ありがとう、お疲れでしょう、これを」
 ティファーナが七色金平糖を渡し、癒しの歌唱を行う。
「元気が出マシタ、もっともっと、頑張れそうデス」
 バルタンは笑み、更に奥に向かって行った。
 それではボクも、とティファーナはユーベルコードを唱える。
「『悪戯・遊戯・仲良戯は精霊・聖霊・月霊・星霊の遊びで協力ですよ☆彡』」
 洞窟内の小妖精が呼び出される。
「お手伝いしてもらえるかな?」
 小妖精たちはティファーナからもらった七色金平糖を口の中に放り込み、頷いてみせた。
「勿論、キミたちも」
 ティファーナは続けて『フェアリーランド』の壺から精霊、聖霊,月霊,英霊らを呼び出す。そして彼らにも七色金平糖を配りながら、
「壺の中に順番に並べて運ぼうね♪」
 英霊をリーダーに探索の指示をする。土の精霊には石材の見立てを頼み、壊れやすい造りの物には風の精霊に、どこも傷つけぬように風のベールででくるんで大切に運ぶように。
 この洞窟にあるのは塔の設計書となっている粘土板、それに、
「修復に役立つ資材なんかもあるんだったわね」
 リュアンがランプで辺りを照らしながら進む。幸いに資材のようなものにオブリオンは興味が無いのだろう、比較的手つかずで残っているようだ。
 崩れ去ろうとする物をもとの姿に戻す事、それが正しい事なのか、彼女自身はまだ疑念を残してはいるが、
「折角ここまで来たし、徹底的に捜索するわ」
 ユーベルコード『孤高の奏』を唱える。集中力も注意力も高まり、共に、探索能力鑑別能力も高まっていく。
「これは当時の塗料ね、量は充分かわからないけど、再現するための資料にはなるはず……これは画材や道具……何にしても、あの状態から建て直す気なら、資材はいくらでも必要になりそうね……」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

レッグ・ワート
そんじゃ、厄介から逃がす仕事といこう。

ドローンと洞窟内の情報収集と索敵分担しつつ奥へ向かう。資材がそこそこありそうな場合に備えてどこに何があるか、切り出せる層はあるか、強度面で気を付けるポイントあたりは覚えておくぜ。洞窟そのものも資材も、オブリビオンが散らかしてなきゃいいけどな。
と、紙を見かけたら回収する。そのまま渡しても、猟兵側ですり合わせた注意書き付きの地図が要る場合は後から起こしてもいいだろ。とまれ諸々触る時は状態も其々だろうし慎重にだ。使える数が無さそうなら、救護パックに放り込むなり怪力使って適当に纏めておくなりで、オブリビオン伸した後に追加回収するとして進行はさくさく行くか。


雫石・凛香(サポート)
○アドリブ・MSさんの解釈による下記に沿わない動きも歓迎

オブリビオンへの恐怖で眠れなくなった姉のため戦う妹キャラ
基本的な性格はクール枠。冷静に物事を見て、必要そうな行動をとれます
自分が子供である自覚もあるので、必要なら演技などで情報を聞き出す、子供しか入れないような狭い所に隠れるなどの情報収集や尾行を行います。
また、素はまだまだ子供なので同年代の一般人と仲良くなりやすく、すっと一般人の輪に溶け込むことが出来ます。

治療の必要があれば生まれながらの光、力仕事が必要なら血統覚醒で対応
ただし血統覚醒はあまり使いたがりません。



「そんじゃ、厄介から逃がす仕事といこう」
 レッグ・ワート(脚・f02517)は独り言ち、ドローンを飛ばした。自分とは違うルートの状態の調査、索敵をまかせ、レグも探索を進める。
「洞窟は所々でオブリビオンが暴れた跡があるみたいだな。仲間同士なり侵入した者に対してなり……」
 だが、幸いそれで今すぐに洞窟が崩落するなどといった危険はないようだ。
「オブリビオンの奴らは資材には興味がなかったみたいだな」
 資材のある場所を確認したり、ある程度持ち帰りやすいよう、資材をまとめたりしながら道を進む。
 と、分かれ道に行きついた。片方は岩で塞がれているが、わずかに隙間はある。
 レグと共に探索していた雫石・凛香(鞘の少女・f02364)が言う。
「丁度、わたし向きの道ね、行ってみる」
「ああ、俺のでかい体じゃ無理だからな、でも、気をつけろよ」
「わかってる」
 子供ならではの小さな体を隙間に滑り込ませ、恐れを知らぬように、前へ前へと進んでいく。
やがて広い空間に出る。薄暗い中、目を凝らすと木箱が数個。中は……。
「うーん、持って戻るのは難しそうね、行き止まりで通り抜けはできなそうだし」 
 戻ってきた凛香にレグが尋ねる。
「何かあったか?」
「はっきりとはわからないけど、大き目の缶が詰め込まれた木箱があったわ。多分、食料ね」
「そうか、そりゃ、ぜひとも持って帰りたいが……この岩をどかしちまえば楽なんだがな……ぐっ……!」
 動かそうと試みるが、岩は大きく重く、容易くできそうは無かった。
 凛香が尋ねる。
「手伝う? 血統覚醒を使えば、これくらい……」
 そういう彼女の顔は、幾分暗い。血統覚醒はあまり使いたいものではないのだろう。
「ああ、いい、いい」
 レグが岩から手を離し、手を振り、彼女を止める。
「今、無理に動かさなくてもいいさ、オブリビオンを倒した帰り道なら、他の仲間とも合流できるだろう」
 ドローンがレグの元に戻ってきた。
 ドローンには猟兵たちには通りにくいルートを行かせた。それもあって、使えそうな資材も敵の姿もないようだった。
 それを凛香に伝えると、彼女は頷き、
「こちらもオブリビオンの気配は無かったね」
「オブリビオンの奴らは奥に固まってるのか、とにかく、進んでみればわかる事だな」
「ええ、行きましょう」
 2人は奥に向かう。気配はまだ感じない。だが、もう直にオブリビオンに対峙することになるだろう、そんな予感はあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ゾンビの群れ』

POW   :    ゾンビの行進
【掴みかかる無数の手】が命中した対象に対し、高威力高命中の【噛みつき】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    突然のゾンビ襲来
【敵の背後から新たなゾンビ】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    這い寄るゾンビ
【小柄な地を這うゾンビ】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 洞窟の最奥、猟兵たちはオブリビオンらに対峙することになった。『ゾンビの群れ』だ。
 奴らの背後に頑丈そうな金属の箱がある。きっと、その中に粘土板はある。
 まずは猟兵たちに敵意を向けるゾンビどもを殲滅しなければならない。
リュアン・シア
美味しいわね、この七色金平糖。色とりどりで可愛いし。
対照的に、眼の前のゾンビの群れはすっかり褪色していて可愛げもないけど。
こんな洞窟の奥で、何してるの? 粘土板を餌に、ここへ来る人間を捕食すべく待機してるのかしら。
お暇なら、少し私と遊ばない?
いつまでここで蹲っていても何も変わらないでしょ。そろそろ解放してあげるわ――あなた自身から。
【執着解放】による瞬時の斬撃と鋭い衝撃波で、周囲のゾンビをまとめて骸の海へ還してあげる。遠慮せず逝きなさい。あら、背後のゾンビも衝撃波で消し飛んだかしら。
そんなに怖い顔しないのよ。今よりも、この先のあなたの方が、幾分幸せかもしれないのだから。


セプリオギナ・ユーラス
オブリビオン《もはやすくえないもの》がゾンビ《すくえるはずもないもの》の姿でやってくるとは
まったく悪い冗談だ

怒りと苛立ちから眉間のしわを深くして、舌打ちひとつ
「──鏖殺だ」
こんなものが今を生きようとするものの障害になるなど
許されない
すべてを排除せねばならない

         ・・・・・・・
一体たりとも残さずころさなければならない

方針:
数によるローラー作戦
とにかくゾンビを倒すことに集中
粘土板は誰か生真面目なやつが確保するだろうくらいの考え


バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ・連携・大歓迎デース!

「オー! ゾンビーの群れデスカー!」
数が多いから、掃除が大変デスネー!

洞窟の中なので発火物や爆発物はノーグッド。
それに、粘土板の入った箱を壊してしまっては大変なので注意しなくてはなりマセンネー!
……なかなか難しいバトルデスネー! ここは真の姿を開放して、油断なく参りマショー!

という訳で軍装マントを羽織り、作戦開始。的確に、端から減らすであります。
《ヴァリアブル・ウェポン》で【内蔵式ガトリングガン】を展開。
命中率を向上させ、【一斉発射】で【弾幕】を張って、【制圧射撃】を敢行するであります。
誤射に気を付けて、冷静にゾンビたちを薙ぎ払わせていただくでありますよ。


祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
*アドリブ歓迎

『フェアリーランド』の壺の中から風/火/生命の精霊,聖霊,月霊,戦乙女,天使,死神を呼んで“七色金平糖”を配って「安寧なる静寂へ…☆」と『エレメンタル・ピクシィーズ』で属性攻撃を『神罰の聖矢』で聖攻撃をして、『月世界の英霊』で敵の攻撃を空間飛翔して避け敵のUCを『月霊覚醒』で封印/弱体化をします♪
『聖精月天飛翔』でWIZを強化し『祝聖嬢なる光輝精』で怪我を治し『シンフォニック・メディカルヒール』で状態異常を癒します☆
『エレメント・セイント・ティファーナ』で強化して『叡智富める精霊』+『神聖天罰刺突』で苛烈な猛攻を仕掛けます!

他の猟兵にも“七色金平糖”を配り渡します♪



「オー! ゾンビーの群れデスカー!」
 バルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は声をあげながらも、素早く状況を確認する。
 思いのほか戦闘スペースはある。だが洞窟の中だ。発火物や爆発物はノーグッド。それに今回の任務の最重要物といえる粘土板の入った箱はゾンビどもの背後にある。
「……なかなか難しいバトルデスネー! それでしたら油断なく参りマショー!」
 真の姿の解放、メイド服の上から軍服マントを羽織り、メイドキャップを軍帽へと変える。
「洞窟内を出来る限り荒らさない、目標物に対する考慮も、ならば」
「グギャ――――――!」
 ゾンビたちが各々奇声を発しながらバルタンに襲い掛かる。
 バルタンはマントを翻し、内蔵式ガトリングガンをオブリビオンに向かい構え撃つ。
 ダダダダダ! 一斉発射による弾幕。しかし、それは闇雲に撃たれたものではない。ユーベルコード、ヴァリアブル・ウェポンにより集中し命中率の向上を第一に能力を上げられている。弾はほぼ、ゾンビたちの体をぶち抜いてゆく。ゾンビらに逃げ惑う間さえ与えない。冷静に、確実に。
「つっ!」
 不意にバルタンの足に激痛が走る。気づかぬうちに小型のゾンビが彼女の足元におり、手に持ったナイフで彼女の左足を切りつけていたのだ。恐らくは『這い寄るゾンビ』。
「キキッ!」
 更なる攻撃を加えようとナイフを振るうが、
「これ以上好きにさせないデス!」
 咄嗟に剣で小型ゾンビを両断する。
「治療は任せて! 『精霊、聖霊、英霊、月霊よ、癒し慈しみ輩を治癒し蘇生を…☆』」
 祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)がバルタンに治癒を施す。
 バルタンの射撃の手が一瞬緩んだ間にも、オブリビオンらへの一斉攻撃は続く。
「──鏖殺だ」
 セプリオギナ・ユーラス(賽は投げられた・f25430)による『ブラッディ・ケア』。
 ピシューン! ピシューン!
 セプリオギナの周囲にいくつもの正六面体機械端末が浮かび、そこからレーザーが発せられる。
 怒りと苛立ちのままにゾンビらへの攻撃は続く。
 オブリビオン《もはやすくえないもの》がゾンビ《すくえるはずもないもの》の姿でやってくる? まったく悪い冗談だ。
 こんなものが今を生きようとするものの障害になるなど―――許されない。
 と、彼の前にいたゾンビらが道開けるように左右によけた。彼の真正面に粘土板が入っているだろう箱がある。
 敵にご機嫌をうかがうつもりか。いや、むしろ隙をつこうというオブリビオンの罠か。
 セプリオギナは眉間のしわを一層、深くして、舌打ちひとつ。
「小賢しい」  
 ピシューン! ピシューン! ピシューン!
 躊躇は微塵も無く、攻めは続く。
 粘土板は誰か生真面目なやつが確保するだろう。
 それよりも。
 すべてを排除せねばならない……一体たりとも残さずころさなければならない。
 今、彼の頭にあるのはそれだけだ。
 ティファーナは『フェアリーランド』の壺の中から風、火、生命、それぞれの精霊,や霊,月霊,戦乙女,天使,死神を呼びだし“七色金平糖”を配ると、ゾンビへの攻撃を指示する。そして自らも、空を舞い、攻撃し、仲間を癒していく。
「美味しかったわ、この七色金平糖。色とりどりで可愛いし」
 リュアン・シア(哀情の代執行者・f24683)がティファーナに伝えると、ティファーナは嬉しそうに笑い、
「よかった、またあげますね。あ、他の猟兵の皆さんにもまた配ります!」
 と、声をあげた。
 リュアンも笑みを返した後、前を見る。目の前にいるのは褪色していて可愛げもないゾンビの群れ。金平糖とは、まるで逆だ。
「こんな洞窟の奥で、何してるの?」 
 リュアンがゾンビの群れに向かって歩いていく。
 粘土板を餌に、ここへ来る人間を捕食しようと待ち構えていたのか、。わざわざ誘い込まずとも、オブリビオンならば容易いことだったろうに。あるいは遊び半分に罠を張っていたのかもしれない、ならば。
「お暇なら、少し私とも遊ばない?」
 言われるまでもないとばかりにゾンビらがまとまって襲ってくる。
「いつまでここで蹲っていても何も変わらないでしょ。そろそろ解放してあげるわ――あなた自身から」
 その言葉と共にユーベルコードが発動した。『執着解放』。
「遠慮せず逝きなさい」
 彼女の体に風が纏うと同時に、彼女の近くにいるゾンビはずたずたに裂け、そうでないものも、衝撃波に身がちぎれ、皆、まとめて骸の海へと還って行く。
 洞窟内には大きく傷を負った一体のみが残された。それが声をあげようと息を吸う。仲間を呼ぶつもりか。が、そこで、
「『月は眼醒めた… 其の総ては庇護と加護と祝福を絶たれる…☆』」
 ティファーナが唱えた。すると、様々な形を見せる月が放たれゾンビを囲み、ゾンビは叫びを封じられる。
「―――――――!」
 ゾンビはせめてもの報復か、一番近くにいたリュアンに掴みかかり、噛みつこうと牙をむきだした。だが、できたのはそこまでだった。最後のゾンビに彼女を傷つける力は残っていなかった。動きを止めたまま怨念を漂わせ眼球無き眼孔をリュアンに向ける。ゾンビは完全に力を失い、その存在を薄れさせていく。彼女は手を払いのける事もせず目をそらすこともなく言う。
「そんなに怖い顔しないのよ。今よりも、この先のあなたの方が、幾分幸せかもしれないのだから」
 そしてそれは完全にこの世界から消滅した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『未来への遺産』

POW   :    「遺産」の保全を手伝ったり、「遺産」を鑑賞したりする

SPD   :    「遺産」にまつわる話を聞いたり、「遺産」を鑑賞したりする

WIZ   :    「遺産」について調べたり、「遺産」を鑑賞したりする

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちが『希望の塔』の者たちに粘土板や色々な資材を渡すと、彼らは大変喜んだ。師匠と呼ばれていた老人も、
「あなた方のおかげで皆の未来が開けました」
 と、涙を流した。
『希望の塔』の傍に急ごしらえの宴席が設けられていた。
 豪華な食卓とまでは行かないが猟兵たちが持ち帰った食料や、彼らの精いっぱいのもてなしの品々が並べられている。
 彼らは言う。
「よかったら、この席に参加してほしい。できれば塔を見て行ってくれたら嬉しい」

 ひたすら飲食を楽しむもよし。彼らと語らうもよし。塔の見学や補修の手伝いをしていってくれてもいい。
 何であれ、このひと時を楽しんでもらえたら幸いだ。
「オー、宴席デスネー! ワタシもお手伝いしマース!」
 メイド姿に戻ったバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は裏手に回り、声をかける。
「台所お借りしマスネ」
 そこにあるのは流しと急ごしらえのかまど。
「台所なんて大したもんじゃないけどな」
 そう言って笑う彼らに、
「イエイエ充分デス」
 バルタンは真顔で返す。
 野戦の場の料理だって慣れている彼女だ。保存食や限られた調味料を巧みに調理し、ご馳走に変えていく。
「できました、運びまショウ。『カモン、バルタンズ!』」
『バルバルバルバル♪』
 呼び出したミニバルタンたちと一緒に料理を運び、給仕する。給仕の合間に味の確認、うん、美味しくできている。
「すげぇうまいな、これ! 姉ちゃん、何か飲むかい? 酒もあるぜ」
 若者の誘いに、
「ありがとう、でも、ノンアルコールで十分デース」
 バルタンはコップを傾け、そのまま、希望の塔を仰ぎ見る。塔の姿は青い空に映える。
 塔はまだ復元の途中ではあるけれど、それゆえに、その空に向かって伸びていくだろう塔の姿は、人々の未来への願いや希望が込められているように見えた。
「こうやって復興が進めば、この世界もよりよくなりそうデスネー」
「そうなりゃいいなと思ってるよ、ささ、もっと食ってくれよ。今日は本当に助けられたな。粘土板の事もこのご馳走も」
 バルタンは笑顔で頷く。なにせバトルの後のパーティは格別なのだ。
「お兄さんたち、塔の話聞かせてもらっていいかな、お礼に七色こんぺいとうをもらって!」
「はは、ありがとう。いくらでも聞いてくれ」
 祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)がちび鉛筆とちびノートを手にし、話しかける。
 彼らが聞いてきた伝承や塔の状態について聞きながら、先に『フェアリーランド』の壺にいる精霊や英霊らに聞いておいた話と照らし合わせる。
「ふぅーん。お兄さん、もしかしたら、ここって赤い塔だったかも」
「え、誰から聞いたんだい」
「英霊が昔見た事あるかもって言ってた」
「エイレイって? 塔が建ってたのはだいぶ昔の話だぜ」
「あ、聞いた話だったかな」
 ティファーナはさりげなくはぐらかした。英霊も『もしかしたら違う所だったかも』と曖昧な物言いだったから。
 リュアン・シア(哀情の代執行者・f24683)は塔に集った人たちからの感謝の言葉を、多少戸惑いの気持ちを持って受けとめていた。実際、『希望の塔』の修復を必死に願った人達がいなければ、グリモア猟兵が彼らの危機を予知しなければ、自分たちがこうして、彼らのもとに来ることもなかっただろう。
 若者らが口々に言う。
「それにしても、危なかったよ。ゾンビの群れなんかに出くわしてたら、全滅だったもんな」
「いやぁ、俺ら、腕っぷしには自信がなかったし助かったよ」
 そう、そこは問題だ。
「こんなこと、そうそうお勧めはしないわよ。いつも上手くいくとは限らないんだから」
 リュアンはきっちり言って聞かす。彼らが一様にシュンとなった姿に彼女は少し笑み、付け加える。
「……ま、いいけど。今回は上首尾だったから」
 彼女は塔の方をちらりと見た後、彼らに尋ねる。
「ねえ、壁画の修復ってどうやるの? 一応、画材とか、それらしい塗料とか、洞窟の中から持ってきたのだけど。使えそう?」
「ああ、助かった。塗料も当時の色合いの参考になるし、汚れを取り除くための糊も良質なのが入ってたから……見ていくかい?」
「べ、別に急かしてるわけじゃないけど。少し気になっただけよ。修復できたら、何だか、随分美しそうだから」
「はは、なら見てやってくれよ、なに、粘土板やら資材やらが手に入ったからって、早速塔に行ってる奴らもいるからさ」
 塔では、ティファーナが『グレムリン・ブラウニー・ルーナ』で召喚した精霊たちが修復作業を手伝っていた。塔の中に入る。うっすら残る壁画の輪郭は動物や木や人。塔が完全な姿をしていた頃の周囲の様子を写し取った物と思われた。
「ここは赤い塔かもしれないって話だ」
「そうか、そういえば『日の光に輝き』って粘土板に書いてあるな」
「でも、それなら白かもしれないじゃん、夕日で赤く見えたとかさ」
「なるほど。でも白だと手に入れるのが難しくないか? 黄色だったらさ……」
 修復を進めながら彼らが意見を戦わせていた。けれど、けして険悪な空気ではない。
「もし、ね」
 リュアンが呟くと、彼らは何かヒントがあるのかと一斉に彼女を見た。その真剣な様子に戸惑いながらも彼女は続ける。
「全く昔のとおりには完成しなかったとしても、それはそれで良いんじゃないかしら。それもまた、今から始まる新しい希望の道標でしょ」
「そうか……そうだな、俺たちの道標になればいいんだよな」
「うん、きっと完璧に修復出来たとしても、それはやっぱり、『新しい希望』なんだよな」
 彼女の言葉に皆、大きく頷いた。
 まだ、完成には時間はかかるかもしれない。だが、いつの日かきっとこの地に新たな希望の塔が立つだろう。
リュアン・シア
私達のおかげというより、『希望の塔』の修復を必死に願った人達と、その先にある危険を予知できたグリモア猟兵さんのおかげかしらね。
とは言え、こんなこと、そうそうお勧めはしないわよ。いつも上手くいくとは限らないんだから。
……ま、いいけど。今回は上首尾だったから。

ねえ、壁画の修復ってどうやるの?
一応、画材とか、それらしい塗料とか、洞窟の中から持ってきたのだけど。使えそう?
べ、別に急かしてるわけじゃないけど。少し気になっただけよ。修復できたら、何だか、随分美しそうだから。
でも仮に、全く昔のとおりには完成しなかったとしても、それはそれで良いんじゃないかしら。それもまた、今から始まる新しい希望の道標でしょ。


祝聖嬢・ティファーナ
WIZで判定を
*アドリブ歓迎

『フェアリーランド』の壺の中ら風/生命の精霊,聖霊,月霊,英霊を呼んで“七色こんぺいとう”を配って「遺産」について調べたり英霊に思い出して貰ったり人々に伝承や話しを聞いて回りながら、ちび鉛筆とちびノートでメモを録りながら、要点や類似点などを見て見ます♪
教えてくれた人達にも“七色こんぺいとう”を配って「教えてくれたら多めに配りま~す☆」と言います☆彡
『グレムリン・ブラウニー・ルーナ』で「遺産の保全」を手伝ったり必要な個所や材料を聞いてお伝えします♪

疲労や体調不全の方を『祝聖嬢なる光輝精』で疲労を治し『シンフォニック・メディカルヒール』で状態異常を癒します☆


バルタン・ノーヴェ
POW アドリブ・連携・大歓迎デース!

オー、宴席デスネー! ワタシもお手伝いしマース!
【料理】でメニューを増やしたり、【奉仕】で給仕に回ったり。
「バルル♪ バルル♪」ミニ・バルタンたちにもお手伝いしてもらいマース!

合間に舌鼓を打ちながらノンアルコールを飲み、希望の塔を見上げるであります。
こうやって復興が進めば、この世界もよりよくなりそうデスネー。

あとはエブリワンと語らいながら、団らんして過ごしマース!
バトルの後のパーティは実に楽しいデスネ!



「オー、宴席デスネー! ワタシもお手伝いしマース!」
 メイド姿に戻ったバルタン・ノーヴェ(雇われバトルサイボーグメイド・f30809)は裏手に回り、声をかける。
「台所お借りしマスネ」
 そこにあるのは流しと急ごしらえのかまど。
「台所なんて大したもんじゃないけどな」
 そう言って笑う彼らに、
「イエイエ充分デス」
 バルタンは真顔で返す。
 野戦の場の料理だって慣れている彼女だ。保存食や限られた調味料を巧みに調理し、ご馳走に変えていく。
「できました、運びまショウ。『カモン、バルタンズ!』」
『バルバルバルバル♪』
 呼び出したミニバルタンたちと一緒に料理を運び、給仕する。給仕の合間に味の確認、うん、美味しくできている。
「すげぇうまいな、これ! 姉ちゃん、何か飲むかい? 酒もあるぜ」
 若者の誘いに、
「ありがとう、でも、ノンアルコールで十分デース」
 バルタンはコップを傾け、そのまま、希望の塔を仰ぎ見る。塔の姿は青い空に映える。
 塔はまだ復元の途中ではあるけれど、それゆえに、その空に向かって伸びていくだろう塔の姿は、人々の未来への願いや希望が込められているように見えた。
「こうやって復興が進めば、この世界もよりよくなりそうデスネー」
「そうなりゃいいなと思ってるよ、ささ、もっと食ってくれよ。今日は本当に助けられたな。粘土板の事もこのご馳走も」
 バルタンは笑顔で頷く。なにせバトルの後のパーティは格別なのだ。
「お兄さんたち、塔の話聞かせてもらっていいかな、お礼に七色こんぺいとうをもらって!」
「はは、ありがとう。いくらでも聞いてくれ」
 祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)がちび鉛筆とちびノートを手にし、話しかける。
 彼らが聞いてきた伝承や塔の状態について聞きながら、先に『フェアリーランド』の壺にいる精霊や英霊らに聞いておいた話と照らし合わせる。
「ふぅーん。お兄さん、もしかしたら、ここって赤い塔だったかも」
「え、誰から聞いたんだい」
「英霊が昔見た事あるかもって言ってた」
「エイレイって? 塔が建ってたのはだいぶ昔の話だぜ」
「あ、聞いた話だったかな」
 ティファーナはさりげなくはぐらかした。英霊も『もしかしたら違う所だったかも』と曖昧な物言いだったから。
 リュアン・シア(哀情の代執行者・f24683)は塔に集った人たちからの感謝の言葉を、多少戸惑いの気持ちを持って受けとめていた。実際、『希望の塔』の修復を必死に願った人達がいなければ、グリモア猟兵が彼らの危機を予知しなければ、自分たちがこうして、彼らのもとに来ることもなかっただろう。
 若者らが口々に言う。
「それにしても、危なかったよ。ゾンビの群れなんかに出くわしてたら、全滅だったもんな」
「いやぁ、俺ら、腕っぷしには自信がなかったし助かったよ」
 そう、そこは問題だ。
「こんなこと、そうそうお勧めはしないわよ。いつも上手くいくとは限らないんだから」
 リュアンはきっちり言って聞かす。彼らが一様にシュンとなった姿に彼女は少し笑み、付け加える。
「……ま、いいけど。今回は上首尾だったから」
 彼女は塔の方をちらりと見た後、彼らに尋ねる。
「ねえ、壁画の修復ってどうやるの? 一応、画材とか、それらしい塗料とか、洞窟の中から持ってきたのだけど。使えそう?」
「ああ、助かった。塗料も当時の色合いの参考になるし、汚れを取り除くための糊も良質なのが入ってたから……見ていくかい?」
「べ、別に急かしてるわけじゃないけど。少し気になっただけよ。修復できたら、何だか、随分美しそうだから」
「はは、なら見てやってくれよ、なに、粘土板やら資材やらが手に入ったからって、早速塔に行ってる奴らもいるからさ」
 塔では、ティファーナが『グレムリン・ブラウニー・ルーナ』で召喚した精霊たちが修復作業を手伝っていた。塔の中に入る。うっすら残る壁画の輪郭は動物や木や人。塔が完全な姿をしていた頃の周囲の様子を写し取った物と思われた。
「ここは赤い塔かもしれないって話だ」
「そうか、そういえば『日の光に輝き』って粘土板に書いてあるな」
「でも、それなら白かもしれないじゃん、夕日で赤く見えたとかさ」
「なるほど。でも白だと手に入れるのが難しくないか? 黄色だったらさ……」
 修復を進めながら彼らが意見を戦わせていた。けれど、けして険悪な空気ではない。
「もし、ね」
 リュアンが呟くと、彼らは何かヒントがあるのかと一斉に彼女を見た。その真剣な様子に戸惑いながらも彼女は続ける。
「全く昔のとおりには完成しなかったとしても、それはそれで良いんじゃないかしら。それもまた、今から始まる新しい希望の道標でしょ」
「そうか……そうだな、俺たちの道標になればいいんだよな」
「うん、きっと完璧に修復出来たとしても、それはやっぱり、『新しい希望』なんだよな」
 彼女の言葉に皆、大きく頷いた。
 まだ、完成には時間はかかるかもしれない。だが、いつの日かきっとこの地に新たな希望の塔が立つだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月08日


挿絵イラスト