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DEVILINE

#デビルキングワールド

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#デビルキングワールド


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●デビルキングワールド:スピードランド
 ここはスピードランド――最速最悪を目指すワルいヤツらの楽園(当国調べ)だ。
 魔王ハヤスギー・メッチャハヤイ=イダテン・ハヤイーノ666世の名のもと、
 毎日のように超・危険なレースが開催されている走り屋のための国家である。

 そしてここは、スピードランド国立放送局。
 無数のカメラに囲まれたハヤイーノ666世は、重々しく口を開いた。
「……というわけで、我が国が誇る最大・最凶・最悪のデッドレース!
 すなわち、DEVILINE(デビライン)第666回の開催を! ここに宣言するッ!!」
「「「ワオオオーッ!!」」」
 魔王の宣言を耳にした国民たちは、大いに湧き上がった。
 DEVILINE――それはこの国の数多のレースの中でもっとも危険でワルなレース。
 国内をまるっと一周する、過酷で危険で、そして最高にクールな催しなのだ!
 当然馬鹿げた金額のD(デビル)が飛び交い、国中がお祭り騒ぎとなる。
 命知らずのスピード狂どもが、妨害・攻撃なんでもありの大暴走をやらかすのだから!

「にしし、これは面白くなりそうな風が吹きコンドルっスねぇ~」
 だがそんな悪の祭典の影で、極悪非道なオブリビオンが蠢きつつあった。
 その名は、『マイド・アリス』……!

●グリモアベース:予知者、ムルヘルベル・アーキロギア
「スピード狂というのは、なんとも度し難いものであるなあ」
 スピードランド、およびDEVILINEについて語り終えたムルヘルベルは、嘆息した。
「だがまあ、そこにオブリビオンが関わるとなれば放っておけぬ。つまり我らの出番だ」
 賢者は気を取り直すと、あらためて集まった猟兵たちを見渡した。
「デビルキングワールドの例にもれず、この大会では「ワルいこと」が重要視される。
 妨害、攻撃、裏工作……勝つためならばなんでも許容されたレースゆえな。
 それ自体はまあよいのだが、オブリビオンが優勝してしまうと非常に面倒になるのだ」
 敵の目的は、レースに優勝することで悪魔たちの支持を得ること。
 ワルく、速い。それこそが、この国でもっとも素晴らしい悪魔の証とされる。
 もしも優勝を許せば、オブリビオンはこの国そのものを掌握してしまうだろう。
 そしてやがて、国中のD(デビル)を使いカタストロフを起こすに違いない!
「というわけでオヌシらには、レースの参加者として実際に競争してもらいたい。
 乱入してくるであろうオブリビオンを倒し、ついでに優勝もかっさらってしまえ」
 そうすれば、優勝賞金などの莫大なDの集中を未然に防ぐことが出来る。
 今後スピードランドにオブリビオンが現れたとしても、すぐに危険はないのだ。
「まずは実際に現地で行動し、他の参加者を観察したりマシンを調達するとよい。
 あるいは……まあルール上問題ないのであるし、妨害手段を構築しておくとか」
 悪魔がワルいことをするんだから、猟兵がワルいことをしても問題ない。
 むしろそれが推奨される。それがデビルキングワールドである!
「これが他の世界であればオブリビオンのことだけを注意すればよいのだがな。
 なにせ悪魔も我らと同等の強さを持っておる。レースそのものの妨害は危険だ。
 ゆえにレースに参加しつつ、その過程でオブリビオンを倒さねばならんのだな」
 なんとも頭の痛い話だが、バカ騒ぎ出来ると思えば悪くないかもしれない。
 ムルヘルベルは理解しがたさに溜息をつきつつ、本を閉じた。
「惜しくも夭折した、ある天才レーサーが言ったとされた言葉によれば、だ。
 "完璧な人間など何処にも居ない。ただ失敗から学んでいくほかない"だそうだ。
 最速を目指すというのはそういうことなのだろう。オヌシらの健闘を祈っておる」
 その言葉が、転移の合図となった。


唐揚げ
 豆腐です。今回はデビルキングワールドでレースをしましょう!
 並み居るライバルをぶちのめし、最速最悪の称号をゲットせよ!

●参加上の注意点
 まずはじめに、2章で戦う集団敵『フランケンシュタイン』について。
 彼らはオブリビオンではなく、このデビルキングワールドの現地住民です。
 つまり、ぶちのめすのは歓迎ですが殺しちゃうと色々アレなのでご注意ください。
(集団戦の相手は「同じレースの参加者」ということになります)

 次に、このシナリオでは一番最後に「順位表」を付けます。
 2~3章でプレイングが採用された方が、基本的に全員ランクインします。
(他の参加者=2章の集団敵は戦闘の余波でほぼ全員リタイアする予定です)
 もし「レースの参加者でなく観客として参加したい」という方が居ましたら、
 そこらへんをプレイングに明記していただけると非常にありがたいです。

 なおレースはマシンを使った競争になりますが、別に生身で参加してもOKです。
 猟兵同士の妨害行為は、基本的に合同プレイングのもの以外反映されません。
(妨害上等! やられ役しちゃうぜ! って方はその点明記戴ければ)

●プレイング受付期間
 1/16(土)08:30前後まで。
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第1章 日常 『魔界を駆け抜ける嵐』

POW   :    最悪に速いマシンを手に入れろ!

SPD   :    最悪に速いルートを見つけ出せ!

WIZ   :    最悪に悪い奴らを集めちまえ!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●DEVILINE開催数日前:スピードランド
 DEVILINE開催の報を受け、各地から集ったワルなレーサーたち。
 個性的な顔ぶれの中には、すでに行動を開始している悪魔もいた。
「マシンに細工を施して、出走前にリタイアさせてやるぜ~!」
「判定役の審査員を買収して、順位を改竄しちゃうもんね!」
「おいマシン屋のオヤジ、他のレーサーに渡す予定のパーツを俺によこしな!」
 妨害・攻撃・裏工作……そのすべてが、このD.K.Wでは肯定される。
 油断せず注意深く対処しなければ、猟兵も例外ではない!

 と、妨害に対処することも大事だが、一番重要なのはコースの下見だ。
 スピードランド全土を駆け抜けるこのレースは、国中をまるごと一周する。
 エリアごとに様々な障害物やギミックが用意され、レーサーを襲うのである。
 それを事前にチェックしておくことも、勝利の秘訣だろう。
 もちろんギャンブルも出来るぞ! レーサーに金を賭けて一攫千金だ!
 もしかすると、オブリビオンは既に暗躍を始めているかもしれない……!
ヴィヴ・クロックロック
マシン?そんなものはない。この脚のみで大陸を横断し優勝する…!

まずは全土のコースを下見すると見せかけて塩と眼鏡をあちこちに仕掛けておき何時でも相手を停止させられるように…あとガソリン車には砂糖をちょちょいと…そして何より大切なこと…審判、否運営を買収してルールを改竄する。手段は暴力、イエス正義の力。
内容はマシンが小さいほどゴール時にタイム補正が入る。つまりマシンを使わない私は最も有利になるイイネ?

(※アドリブ連携等歓迎です)


エドゥアルト・ルーデル
凄いことしようぜ!

オヤジ!マシン改造すっぞ!と声をかけつつまずはレーサー共を【流体金属】を纏った鉄拳でおねんねさせるでござる
改造するのはその辺のマシンですぞ!丁度持ち主が寝てるしいいだろ
肉抜き!パテ盛り!エンジンにヤバい過給器とナイトラス・オキサイドをIN!最後にとっておきのウオツカを燃料タンクにシューッ!
ちょっとぶっとびそうでござるがエンジンには内緒にしといてくれ

でけた!これでこのマシン達の潜在能力は20%ぐらいアップしましたぞ!
ま、ちょっと一定の速度に達するとブレーキがぶっ壊れて加速し続けるが
もちろんエンジンカットも無力化してある
なに最終的に空中分解のち爆発四散するだけで済むでござるよ!


レトロ・ブラウン
(レースと聞いて我慢できずに駆け付けたR.B)
フー、間に合った間に合った。
いヤー、設営真っ最中ってとコデすカね?
あっチでは指示標識のスり替えにこッちではコースに爆薬しカけ…
カワいいですネぇ。ボクにもアんな時期ありマした。
ちょっトヤってみましョうか?

えぇト。こノ分岐路には遠回リ側に(→ ワープ)ノ看板と。
長イ直線路にはアンパンぶらサげて足止めチゃうようニして。
急カーブにはバナナ。
まーコんなもンですかねェ。かわいソうになラない程度の罠だト。

……あ、目にツいた危なスぎル罠はどんどン取り除きマすよ?
時間はタップリありますかラね。タップリ。
ボクは愛用のホバーボード乗りまスから特に準備いラないんデす。



●ワルのレベルにあまりにも差がある
「フッフッフ……」
「クククク……」
「ラキキキキ……」
 まるで少年漫画の序盤に黒尽くめで出てくる悪の幹部めいた笑いであった。
 ヴィヴ・クロックロック、エドゥアルト・ルーデル、レトロ・ブラウンの三人は、まさに悪の秘密基地で秘密会議をする悪役めいて悪い笑みを浮かべていた。
「まさか私以外にも、コースの下見と見せかけて罠を張る猟兵が居たとはな」
「レースと聞いテ我慢出来ズに賭けつケてしまイましタ」
 レトロは満面の笑みだった。よほど我慢が出来なかったらしい。
 彼は比較的常識的なテレビウムのはずだが、やっぱり頭キマフュであった。
「ちなミに、ボクは指示標識のスリ替えト爆薬ヲ仕掛ケましタが、貴様ハ?」
「「貴様!?」」
「すミませン、言い間違エましタ、ドゥフフ。おふたりはどうしまシた?」
 なんかテンションがおかしい。やはりスピードは人を狂わせるのか。
 ついでに言うと、爆薬仕掛けたのってそんな嬉しそうに言うこと??
「私はな……もっと恐ろしいものを仕掛けておいたぞ」
「「もっと恐ろしいもの」」
「ずばり……塩と! 眼鏡だ!!」
「「…………エッ?」」
「塩と、眼鏡だ!!」
 大事なことなのでヴィヴは二回言った。レトロとエドゥアルトは顔を見合わせる。
「それのどこがヤバいんでござるか、ああ頭のほうがとかそういう……?」
「病人扱いはやめろ! これが私のユーベルコードの触媒なんだよ!!」
 可哀想なものを見る目のエドゥアルトにキレるヴィヴであった。
「積み上げた塩や眼鏡から麻呂ビームを撃ってだな、ライバル車を妨害するんだ」
「恐ろしいデすネ……!! 私もアとで、アンパンとバナナを仕掛けまショう」
 麻呂ビームなんて単語、普通に受け入れていいもんだろうか。
 まあこんな狂った世界で悪事するなら、そのぐらい頭イッてないとかもである。
「あとはあれだ、ライバル車にも細工をしておいたほうが無難かもしれん。
 さしあたっては、ガソリンの中に砂糖をちょちょいと入れて走行妨害をだな」
「それなら拙者にお任せでござる! マシン改造は大得意でござるよ!」
「「え? 改造??」」
 改造したら速くなっちゃわねえか? と言いたげなヴィヴとレトロ。
 エドゥアルトはめちゃくちゃムカつく顔でチッチッチッとキザっぽく指を振る。
 ヒゲ野郎の顔面をグーで行きたくなったふたりだが、とりあえず我慢した。

 で、自信満々なエドゥアルトに連れられ、近くのカスタムショップに来たふたり。
「オヤジ! マシン改造すっぞ!! すごいことしようぜ!!!」
 やおらバァン! と扉を開け放って派手にエントリーするエドゥアルト。
 たむろっていた、いかにもワルそうなモブ悪魔たちがぎろりと振り返った。
「「「誰だてめ」」」
「死ねェ!!」
「「「グワーッ!?」」」
「「えっ!?」」
 SMAAAASH!! エドゥアルトは流体金属を纏った拳でレーサーどもを殴る殴る殴る!
 さしもの悪魔といえど、この理不尽な暴力にはKOされてしまった。
 いきなり何やってんだコイツイカれてんのかと震え上がるヴィヴとレトロ。
 もうすでにマシン改造から話が離れている。やっぱやべえなこのヒゲ。
「さっそくそのへんのマシンを改造ですぞ!」
「待ていまレーサー殴る必要あったか???」
「持ち主が寝てないと困るでござる」
「ひそかに改造するトいうプランはナいんデすネ……」
 もしかしてエドゥアルトはデビルキングワールドで生まれ育ったのか???
 ってなぐらいの躊躇ない"暴"には、ヴィヴとレトロもドン引きであった。
 ともあれエドゥアルトはそこらへんのマシンをガレージに持ち込み……。
「マシンの改造といえば! まずは肉抜きでござる!!」
「それ普通に速くなるだけじゃないか? まあ手伝うが(ギュワイーン)」
「さらにパテ盛りも大事でござるな!」
「こレ、リアルのマシンでやル工作じゃなイですよネ(パテ盛り盛り)」
 なんだかんだ言いつつ一緒に作業するふたり。だって、ワルだから。
 あとは無駄に派手なウィングとか、シャーシとかもつけちゃうぜ! カッコいい!
「さらにエンジンにヤバい過給器とナイトラス・オキサイドをINッ!!」
 ガシーン! とゴテゴテしくなるエンジン。あれっ普通に速そうだぞ?
「そして燃料タンクに」
「よし、まずは砂糖だな(サッー!)」
「続いてとっておきのウォツカをシューッ!!」
「チョッ!?!?」
 当然のような顔でやべえもんぶちこむふたりに絶句するレトロ。
 彼も彼でワルぶっていたが、このふたりは明らかに"トんで"いた。
「何やってルんデスか!? ぶっ飛ぶってソういウことじゃなイですヨ!?」
「エンジンには内緒にしといてくれ。でござる」
「何故急に上半身裸になってネクタイだけ締める……???」
 エドゥアルトの奇行はさておき、これでマシンは完全に無力化されたも同然だ。
 でも割と、砂糖の量によっては走ることもあるらしい。すごいねメカって。
「これでこのマシンたちの潜在能力は20%ぐらいアップでござる!」
「……さっキ、ブレーキに細工しテませンでしタ?」
「ん? ああ、一定速度になるとブレーキが壊れて加速し続けるみたいだな」
「わかっテて放置したンでス!?」
「もちろんエンジンカットも無力化済みでござる。抜かりはない」
「さすがだな!」
「そこ褒メるとコでスか!? 危なすぎマセン!?」
 レトロはせいぜい、バナナで滑らせたりアンパンに食らいつかせたり、
 あとまあ標識いじってコースアウトさせてウエーンぐらいのつもりだった。
 むしろヤバすぎるトラップがあったら、解除しておこうとまで考えていたのだ。
「コッ……コレが、ワルになルとイうこと……!!」
 レトロは認識の甘さを痛感した。その程度では最悪最速は手に入れられないのだ。
 どんな手を使ってでも優勝する、その心意気がなければ生き残れない!!
「まア、ボクはエンジン使ってなイのデなンでもいいデすケドね」
「「ワル~い!!」」
 いやだめだやっぱこいつも大概だ!!

「ところでだな、マシンのほうも重要だが運営対策も重要だと思わないか?」
 と、今度はヴィヴのほうが妙なことを言い出した。
「ルールを改竄するんだ。具体的に言うと暴力で」
「サッきのアレでなンか感化されテませン?」
「暴力も言語でござるから事実上話し合いでござる」
「アッそれなラ問題なイでスね!」
 アリアリである。だがもう三人は止まらなかった。
「「「カチコミじゃオラァ!!」」」
「「「アイエエエグワーッ!?」」」
 SMAAAAASH!! KRAAAASH!!
 パンチ! キック! チョップ! キックキックチョップ!
 流体金属パンチとレトロの分身殺法と容赦ない麻呂ビームが炸裂!
「おい貴様ら、今から言うルール改定案を盛り込め。これは正義の申し出だ。
 マシンが小さいほどゴール時にタイム補正が入る……わかったか? わかったな」
「わ、わかりました……と、ところであなたのマシンは一体」
「私のマシン? そんなものはない。この脚のみで大陸を横断し優勝する……!」
 なんかサウンドマンとか呼ばれそうな顔つきになるヴィヴ。
 大会運営委員はヴィヴの頭からてっぺんまでを見た。主に胸部を。
「あっなるほど空気抵抗とか皆無そうですもんね」
「野郎ォオオぶっ殺してやる!!!!!!!!!!!!!」
「ギャーッ!!」
「クロックロック氏! やめろでござる! 事実の指摘に苛立つのはわかるでござるが!!」
「上等だテメェ表出ろコラァアアアア!!」
「なンで急ニ猟兵同士でバトル始めてるンでスかレース的にハ褒め言葉でスよネ!?」
「全員皆殺しだァアアアア!!」
 悪銭身につかず。悪いことをしていると心がギスギスしてしまうんだね!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霑国・永一
さて、普通に自分だけ速さを求めても現地住民のが慣れてるのもあるし、
情熱、策略、強靭さ、そして何よりも――悪さが足りない。

という訳で今のうちに仕込みしておくかぁ。
狂気の間諜により、この小さいメダルを参加者の多くにすれ違いざまとか隙を突いて付けて回ろう。スリ技術の応用さぁ。

こうしておけば、俺に有利な事ばかり無意識にしてくれるからねぇ。きっと俺以外の妨害工作に勤しんだり、良いルートを教えてくれたり、マシンの整備もアドバイスやパーツの提供あるかもだねぇ。
レースの時とか俺以外巻き込んで派手にクラッシュしてくれそうで楽しみだ。
ああ、審査員にも念の為貼っておこう。コネ無くとも有利にせねば。

後は俺の腕次第か…



●ストレイトでグッドなスピード
 このスピードランドでは、毎日のようにレースが開催されている。
 規模の大小に差はあるものの、基本がマシンであることに変わりはない。
 つまりこの国のレーサーは、誰もが妨害と走行それぞれのスペシャリストなのだ。
「グヘヘヘ、アイツのマシンを木製にすり替えて……っと!」
 いかにもワルそうな顔をしたモブ悪魔が、ドンッと誰かにぶつかった。
「てめえ痛えじどこに目をつけてんだアァンお怪我はないですか!!」
 いかにもな台詞を吐いたがやっぱりいい子ちゃんでもある。なんなんだよこいつ。
 まるでSNSでバズるタイプの1ページ漫画みたいなことを言う悪魔に対し、
「いやあ、ごめんごめん。怪我はないから安心してくれよ」
 と、ぶつかった当人――霑国・永一は、胡散臭い笑みを浮かべて言った。
「チッ、気をつけやがれよこの時期は足元滑りやすいからな!!」
「優しいんだか因縁つけてんだかわかりづらいねえ」
 モブ悪魔はペッとツバを吐きつつ歩いていく。そして向こうで重い荷物持ったおばあちゃんが横断歩道渡るのを手伝ったりしていた。なんだあれ。
「さて、とりあえずアイツにはこれでよし……と」
 しかし実は、永一はわざと悪魔にぶつかっていたのである。
 彼の手の中には、明らかに不穏な気配を放つメダルが一枚。
 このメダルを持つ者は、無意識に永一の都合のいいように動いてしまうのだ。
 あのモブ悪魔も、きっとレース本戦で他の参加者を巻き込んでクラッシュしたり、スリップストリーム的なアレで永一の走行を助けてしまうだろう……!
「妨害だのなんだのもいいけどねぇ、自分だけ速さを求めても仕方ないさぁ。
 情熱、策略、強靭さ、狂気、面白、そして何よりも――ワルさが足りない」
 キリッ。永一は大真面目な顔であった。彼の場合ふざけと真面目は同義である。
「おいそこのお兄さん! 良いパーツが手に入ったんだけど使わないかい!?」
「マシンの整備なら任せてくれよ! 顧客のマシンがふっ飛んで手が空いたんだ!」
「あそこにある山を爆破してショートカットを作ろうと思うんだけどどう!?」
 そして目論見通り、メダルを貼り付けられた悪魔たちがわんさかやってきた。
「ククッ、ありがたいねぇ。さっそくご厚意に与ろうか」
「あと荷物とか持ちます? 肩揉みますよ?」
「それは普通に親切だねぇ、でも要らないなぁ」
「LONEやってる? どこ住み?」
「それは親切でもなんでもないねぇ」
「どしたん? 話聞こうか?」
「俺相手にやることじゃないねぇ」
 なんかバグってる悪魔もいた。まあもともとそういう連中だからなこいつら!!
 ともあれ、時間を食わされることもあったが、効果は絶大だったようです。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リンタロウ・ホネハミ
悪魔の旦那ァ、丁度良いとこに来たっすね!
実は秘蔵の最高速度爆増のアイテムがあるんすわぁ!
このニトロってやつなんすけどね、こいつを使うとエンジンの燃焼効率が超絶アップ!!スピードも超絶アップってもんなんすわぁ!!

で、ここだけの話、オレっちってば旦那の大ファンなんすよぉ
マジマジ、こないだのレースのドリフトとか感動したっすよ!(見てないけど)
なんで、旦那にはぜひ優勝して欲しいんでね~~~特別に旦那にだけこいつを売っちゃおうかなぁ~~!!!
おっし毎度ォ!!こいつでトロフィーぶん取ってくださいね~~!!!

……さーてと、あと何人にマジのニトログリセリン売れるっすかねー
NOSとニトロって別モンなんすよねぇ



●シンクロニシティ
 ナイトラス・オキサイド・システム――N.O.S、あるいはナイトロシステム。
 映画でもフィーチャーされる、走り屋御用達のメジャーなチューニングプランだ。
 名称こそ似ているものの、爆薬であるニトログリセリンとは別物なわけだが……。
「旦那旦那ァ、あんたあれでしょう、ほら! 前回レースでいいとこまで行った!」
「あぁん?」
 レーサーのたむろする酒場にやってきたのは、リンタロウ・ホネハミである。
 ワルっぽく葉巻をくゆらせていたムキムキマッチョのフランケンシュタインは、
 リンタロウの頭のてっぺんから爪先までをじろじろと眺めた。訝しげに。
「なんだァ? この俺様が、疾風のカマーセ様と知ってンのかァ?」
「もちろんっすよ旦那! なにせオレぁ旦那の走りに惚れ込んでんです!
 ほら、今度あのDEVILINEが開催されるっしょ? そこで旦那にですねぇ!
 オレだけが掴んだ、脾臓の最高速度貘蔵アイテムをご紹介しようかと……!」
「……!」
 基本的に、人間は褒められるといい気分になってしまう生き物だ。
 悪魔もそれは例外ではない。しかもこんな二つ名を守る格好つけである。
 よくよく考えてみるとリンタロウの褒め言葉は誰にだって通用するふわふわ加減なのだが、疾風のカマーセはもうさっぱり気にしちゃいなかった。
「本当か!? いやァ~そうだよなァ~やっぱわかっちゃうんだろうなァ~!
 ほら、こう、なんつーの? 本当のワルはカリスマを併せ持つっつーか……」
「ちょろいけどめんどくせえなこいつ(ぼそり)」
「えっいまなんか言った?」
「まさかぁ~!! それよりも旦那、こいつが秘蔵のアイテムなんっすよぉ~!」
 リンタロウは揉み手をしながら、ニトロ……グリセリンを取り出した。
「このニトロってやつを使うとエンジン燃焼効率が超絶アップ!!
 スピードも超絶アップ!! ってもんなんすわぁ!! いかがです!?」
「ニトロ、だと……!?」
(あ、やべ。バレたか?)
 リンタロウはさりげなーく腰の剣に手を伸ばそうとする、が……。
「映画で見たことあるぜ! ちょー速いやつな!! うわ、わっるー!!」
「あ、はい。……そうなんすよぉ~、旦那にぴったりじゃねえっすかね!!」
 一瞬めっちゃシラけた顔をしつつ、揉み手でうまく乗り切った。
「オレは旦那のあのドリフトに感動したっすよ、だから優勝してほしいっす!
 特別に旦那にだけこいつを売っちゃおうかなぁ~~! どうしようかな~~!」
「よし買ったァ!!」
「毎度ォ!! こいつでトロフィーぶんどってくださいっすね~~~!!」
 満面の笑みで大量のD(デビル)をふんだくるリンタロウ。
 そしてぶんぶん手を振ってカマーセを見送ると、悪い笑みを浮かべた。
「げっひゃっひゃっひゃ! これでニトログリセリンで爆散するライバル20人目!
 おまけにDも稼げて言うことなしっすねぇ~、天職かもしれねぇなあ~~~!!」
 げ、外道! 悪魔でさえこのワルさには震え上がるに違いない!
 そしてリンタロウの目論見通り、翌日はそこかしこで爆発音が絶えなかった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニィナ・アンエノン
おー、いいねいいね☆
にぃなちゃんこーゆーのだーい好き!
危険なレースこそドキドキで楽しいよね!
でもバイクに細工されちゃうのはノーサンキュー。
怪しい動きをした子は死なない程度に撃っちゃうぞ☆
そんでもって、とりあえずコースを見て【情報収集】しとこうかな。
主に派手なジャンプが出来そうな所とか、かっこよく観客にアピール出来そうな所が知りたいぞ☆
順位は勿論大事だけど、にぃなちゃんには楽しいかどうかが最重要だから!
後は【メカニック】的な事もしとかないとね。
バイクを【武器改造】して、環境やルールに最適なチューンアップをしておこう。
邪魔する子がいてもガジェット達が守ってくれるから安心だね☆



●守りこそが最大の攻撃とも言いまして
「イッヒッヒ……見ぃつけたぁ~~」
 某日未明。ニィナ・アンエノンのガレージに忍び込む影あり、
 ご丁寧にほっかむりを被ったフランケンシュタインである。
 どうやらニィナがコースの下見をしているのを偶然目撃したレーサーのようだ。
「こいつがあの小娘のマシンだなぁ? くっ、カッコいいぜ……!!
 でもオレってばワルだから、パーツ盗んで走れなくしちゃお~~~」
 抜き足、差し足、忍び足。
 フランケンシュタインの魔の手が、Z17テンプテーション・カスタムに迫る……!

 その時である。
 パッ、とガレージの照明が点き、同時に全出入り口がロックされた!
「エッ!?」
 さらに、ブシュー! そこかしこから蒸気が吹き出す! いやガスだこれ!
「エエッ!? なんだこの西洋ファンタジーにあるタイプのトラップグワーッ!?」
 沁みる! 目にめっちゃ沁みる!
 マシンには害がないが生物特に人間とかの目に大ダメージなタイプのアレだ!
 悶え苦しむフランケンシュタイン! そこへ……ZAAAAP!!
「ギャーッ!!」
 レーザーの一撃を食らったフランケンシュタインは、ばたりと仰向けに倒れた。
 同時に空調機能が働き、目に痛いスチームを室外へと放出する。
「ンモー、もしバイクに触れてたら殺してるとこだぞ☆嘘だけど☆」
 スタスタ現れたニィナの目は、まったく笑っていなかった。
 彼女はこうした妨害に備え、ガレージを改造していたのである。
 気絶したフランケンシュタインの脚を掴んでズルズル引きずるニィナ。
 ガスマスクを着けたその姿は、死体を遺棄しようとする殺人鬼のそれだった。

 ……とまあ、不埒な悪魔の処理(※殺してないのでそこらへんに放り出してきただけです)を済ませたニィナは、作業台に戻った。
 そこには、彼女が日中に集めたコースデータが雑多に集められている。
 主にジャンプ台ばかりだ。スピードよりも魅せ方が重要らしい。
「うーん、どうせならここでロケット機能を使ってどかーんとジャンプ……。
 あっでもそうするとこっちがダメかぁ、どこでブーストしようかな~☆」
 どう最短ルートを走るか、ではなくどうアピールをするか、になっているあたり、ニィナは走りに絶対の自信を持っているようだ。
 もちろんバイクのチューンナップも怠らない。主に攻撃機能の増設を。
 ただ速く走るだけでは、DEVILINEは生き延びれないのだから……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゴロウザエモン・サンモト
▼アドリブ・連携歓迎
この世界では合法的に正しく魔王を名乗ることができるのである!
我はこのレースで優勝し!賞金で国を興す!

来やれ百鬼ども!汝ら今から我が奴隷である!

アイテム・空手形を使用し奴隷になるという決まりごとを強制。※【威厳・覇気・式神使い】
【宝探し】技能で最速マシンを探させそれが人の物であっても【恫喝】してでも奪うように命令。
コースの【偵察】もさせ罠も建設させる。

仕事内容が多いすぎる?いくらでも復活できるんだから死んでも働け。

我?我は奴隷を椅子にし寛いで待っているのである。

おい!温タピ買って来いって言ったであろうが!(パシリに使った妖怪が烏龍茶を買ってきたので土下座させ頭をヤクザキック)



●"魔王"の面目躍如
 ゴロウザエモン・サンモトは、魔王である。

 ……そう、魔王なのだ。この世界では、公式に、合法的に、魔王なのだ。
 魔王に公式もクソもあんのかって話だが、とにかく魔王を名乗れるのである。
「わざわざ魔王手続きをした甲斐がございました……!!」
 この世界に来てからというもの、ゴロウザエモンはノリノリであった。
 だから手続きってなんだよって話だが、案外この世界にはありそうな話だ。
 魔王と名乗れるし、魔王と呼ばれる。しかも親しい友人や仲間以外からも。
 なんならそこらへんを歩くだけで、悪魔が尊敬の眼差しすらくれるのだ!
「なんとしてでもこのレースで優勝し、賞金で国を興してみせましょう!!」
 ゴロウザエモンは単なる仕事以上のモチベーションを持っていた。
 実際、D(デビル)と魔王としての相応の力さえあれば決して不可能ではない。
 ゴロウザエモンの目は燃えていた。彼女の野心は並々ならぬものだ……!

 で、そんなゴロウザエモンが、どうやって準備をするかというと。
「来やれ百鬼ども!!」
 やおら絵筆を取り出すと、それを空中に滑らせて次々に妖怪たちを生み出した。
 そしてのそのそ現れた妖怪たちに、ばばん! と空手形を突きつける!
「「「なんすか山ン本様ァ~」」」
「聞け! 汝らいまから、我が奴隷である!!」
「「「えっ!?」」」
 まるで朝起きたら寝ぼけ眼に倒産通知を食らったサラリーマンみたいな顔になる妖怪たち。だが、ゴロウザエモンは止まらない。そして容赦もしない。
「いやいやいや! そこは従来どおり契約と対価をですね」
「そうそう、自分ら妖怪だけどいつもそうやってきたじゃないですか」
「っつーかそういう悪魔みたいなルール決めたの五郎左衛門様じゃ」
「関係ない」
「「「エッ」」」
「とにかく! 汝らは!! 我の!!! 奴隷なの!!!!」
 ズバーン! あまりにもご無体な、子どもじみた理屈であった!
 まあ実際まだ14歳だし仕方ないんじゃないかな。テンション上がってるしね。
「さあ! 今からよそのマシンを手あたり次第に奪ってこい!!」
「ええっ!?」
「あとコースを下調べして、よさげなところに罠も建設するのだ」
「国中ですよ!? そんなご無体な!?」
「我はさっそくだが喉が渇いた。椅子と飲み物と美味しい菓子を用意せい!」
「しかもくつろぐつもり満々だよこの人! 魔王だけど!!」
 妖怪たちはぶちぶちと不平不満を言いながら、さっそく散開した。
「魔王様ぁ~、いくらなんでもこんな激務してたら死んじゃいますよ~」
「いくらでも復活できるんだから死んでも働け。さもないと椅子にするぞ!!」
「ひいい! それは我々の業界ではご褒美です!!」
 ぴゅーん。すっ飛んでいく妖怪たち。可哀想なんだか度し難いんだか。
「魔王様! 飲み物お持ちいたしギャピィ!?」
「おい! 温タピ買ってこいって言ったであろうが!! なんだこれは!!」
「いやだって飲み物としか」
「うるさい! 我が飲み物っつったら温タピなの!!!(げしぃ)」
「ギャーッ!!」
 妖怪を土下座させヤクザキック。あまりにも暴君であった。
 だが妖怪たちは渋々働く。だって……そういうユーベルコードだから……!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

プリンセラ・プリンセス
連携・アドリブ可

馬に乗ってコースをいくプリンセラを参加者とは誰も思わない。
A&Wの出身であるプリンセラはマシンを操作することができない。よって乗るのはこの馬、チェタックである。
元より皇家用として一日千里を走る名馬だ。この馬を強化魔法等で強化してレースに参加するのである。
そして馬にコースを覚えさせるの同時に他の参加者の罠発見やルートを探しているのである。
敵を知り己を知れば、を使用して召喚した偵察兵に周囲の情報を集めさせる。
それらを手元にメモしつつ、なれない風景に緊張する馬を首筋を撫でて宥めながら進む。
「大丈夫、大丈夫。怖いのは見た目だけですから。いつも通り走るだけでいいのですよ」



●皇女様、悪魔の国をゆく
 かっぽ、かっぽ、かっぽ、かっぽ……。
 時代錯誤な蹄の音を鳴らし、プリンセラ・プリンセスを乗せ名馬がゆく。
 ……いやまあ時代錯誤も何も、デビルキングワールドは割とファンタジーな世界。
 見た目だけはむしろしっくり来ている。来ている、のだが……。
 周りはマシンばかりなのである。このちぐはぐ感すげえ見覚えあるぞ。
 多分なんだけど、キマイラなんとかって世界は親戚筋かなんかじゃねえのかな?
「おいおい見ろよ、馬だぜ馬」
「あんなのがレース参加者なわけねえよな」
「違いねえ。ならスルーしておこうぜ」
 ……と、ライバルの足を引っ張ることに腐心するレーサーたちも、
 よもやプリンセラがこの馬――名馬チェタックで出場するとは思いもしない。
 図らずしも、その(外観的にはむしろぴったりなのだが)時代錯誤な見た目が、
 妨害やトラブルからプリンセラとチェタックを守っていたのである。
「マシンを操作するなんて私には無理ですし、ダメ元でやって来ましたが……」
 自分たちを誰もレース参加者だと思いこんでいないらしいことを見て取ったプリンセラ。周りを見渡し、くすくすと忍び笑いを漏らす。
「これはこれで、のびのびとコースを下見することが出来て好都合ですね」
 てな具合に、お散歩ぐらいの優雅な気分でコースを回る。
 DEVILINEにおいて、コースは何もひとつきりということはない。
 最低限守るべきチェックポイントが用意され、その区間は自由という方式だ。
 なんならチェックポイントを裏工作でズラしてしまう参加者もいるほどである。
 つまり、高度な情報戦が繰り広げられている。なんなんだこの大会は。
「陛下。この先のチェックポイントは、運営の買収により場所が変わったとのこと」
「またですか? これで5度目ですよ……しかも場所が元通りではないですか」
 偵察兵からの報告を受けて、プリンセラははあ、と溜息をついた。
 行ったり来たりしているチェックポイントは、まるで数学の点Pのようである。
 もっともプリンセラは現代数学などわからないが、まあそこはそれ。
「ここには地雷が仕掛けられているようですし、回り道をしたほうが……あら?」
 そこでプリンセラは、チェタックがぶるぶると震えていることに気づいた。
 そんな名馬の首筋を撫でてやると、ぽんぽんとあやすように優しく叩く。
「大丈夫、大丈夫。怖いのは見た目だけですから。いつも通り走るだけでいいのですよ」
 マシンに馬で対抗する……なんとも時代錯誤な話ではある。
 しかしチェタックは並の戦馬ではない。皇室に仕える賢くたくましい名馬なのだ。
 レーサーたちの白眼視を受けるプリンセラの微笑みも、不敵な自信に満ちたもの。
 どうやらこのレース、かなりの番狂わせが起きそうである……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

六島・椋
【骸と羅刹】

魔王ハヤシだかなんだか知らないが、奇異な催しもあったものだ
パワーねえ、そんなものか
自分は骨(かれ)らにしか惹かれないのでまるでわからん

事故が起きてエスタの骨が折れたら困るんで、
コースの下見をしておこうか
ワイヤー張ってるやつとかいるのかね
いたら、ワイヤーを張り替えておくか
こう、細くて目立たないがなんかすごく強いゴムとかに
後ろに弾き飛んだら面白いかなと

あとはそうだな
他の奴らが罠を仕掛けに来そうな辺りに、
遅効性の麻痺毒(【毒使い】)でも仕込んでおこうか

後ろに投げつける用としても、
即効性の麻痺毒を撒き散らす瓶や、
投げナイフを用意しておくかね

わーおどしてるーこわー(すごく棒読み)

一人称:自分


エスタシュ・ロックドア
【骸と羅刹】

速さもパワーだからな
そして衆生はパワーに惹かれるもんだ

乗るのは当然シンディーちゃん
椋とタンデム予定
調整点検に俺の【メカニック】技能が唸ったぜ

事故った程度じゃ折れやしねぇが、
下見にゃ賛成だ
公式のギミックはともかく、
非公式なトラップは排除しときてぇ

椋の作業中は邪魔しねぇように離れとく
シンディーちゃんから目を離してるがワザとだ
スノーベリーがちゃんと【情報収集】と【偵察】で見張ってっからな
愛車に不埒な真似しようとしてる奴がいたら
『黒縄荊蔓』発動
【怪力】で引っ張って逃さず、
これ見よがしにフリントぶん回して【恐怖を与える】【恫喝】
丁度いいや、てめぇら俺に協力しろ
嫌だつったら、分かってるな?



●飛んで火にいるなんとやら
 ――スピードとは、魔物である。
 それは馬鹿どもの魂を捕えて離さず、そして死神にもなるのだ。
 なんであれ、何かに魅入られてしまった者は、いずれ魂さえも連れ去られる。
 それをわかっていてなお、スピードに魅入られた奴らは求めることをやめない。
 ……やめられないのだ。なにせスピードとは、甘美な果実でもあるから。
 この国は、そういう馬鹿の集う楽園なのである。

「つまりだ。速さはパワーなんだよ、椋」
 コースの下見をしながら、エスタシュ・ロックドアは力説した。
 対する六島・椋はというと、ぼんやりした顔で「ふうん」とだけ言った。
 目線はあちらこちらをさまよう。罠を探しているから――だけではない。
 元来、椋は人と目を合わせない。なにせ肉に興味というものがないゆえに。
「エスタも、そのパワーとやらに惹かれているのか」
「どうだろうなあ……まったく無い、と言えば嘘になるだろうな」
「ふうん。そんなものか」
 聞いておいてずいぶんつれない反応だが、椋にしてはマシなほうだ。
 見知った相手のエスタシュだから、まだ話は盛り上がっているほうである。
 これがそこらの知らない相手となると、そもそも聞き返したりしないのだから。
「衆生はパワーに惹かれるものなのさ。つっても、お前は覚えておかないか」
「ああ。自分が惹かれるものは、骨(かれ)らくらいなものだ。まるでわからん」
「だろうな。いやそれでいいんだぜ。むしろその方が色々助かる」
 椋までスピードに目覚めたりしたらと思うと、エスタシュはぞっとしない。
 タンデムさせた女が、いきなり「フルスロットルにしろ!」とか言い出したら、もはや運転どころの話ではない。役割分担というものである。
 それに実際、罠を探して解除する椋の目と手は、エスタシュの期待通りだった。
「ここ、ワイヤーが張ってあるな。ゴムにでも替えとくか」
「ゴムぅ? 普通にワイヤー切るんじゃなくてか?」
「後ろに弾き飛んだら……」
 椋がせわしなく手を動かしながら、言葉を探すような間を置いてから言った。
「……面白いだろう。多分」
「……はっ! そりゃたしかに。傑作だな」
 ジョークである。エスタシュは素直にウケた様子で、からからと笑った。
 運転中にすっ飛ぶ側としてはたまったもんじゃないが、そもそもワイヤーなんてもんを張ってるのが当たり前の世界なのだ、ルール無用である。
 引っかかったとしても悪魔はしなない。だってあいつら、強いから。
「あとは、罠を仕掛けやすそうなところに麻痺毒入りの針を仕掛けておいて……」
「おいおいえげつないな。まあそのへん期待して声かけたんだが」
「……いや待てよ。骨(かれ)らのような悪魔が出場していたらどうする」
「そこは気にするなよ椋。肉とかにだけ効く毒にすりゃいいだろ」
「それもそうだな」
 どれがどうなのかさっぱりわからないが、とりあえず納得はしたらしい。

 罠に対する作業は、基本的に椋任せだ。エスタシュは後ろから眺めている。
 彼の仕事は実際のレースまでお預け……なのかといえば、それだけではない。
「へっへっへ、不用心なやつだぜ。こんなところにマシンを置いてよぉ」
「いまのうちに細工をしておこうぜ。とりあえず燃料、抜いちゃうか!」
 と、目ざといフランケンシュタインどもがバイクにわきわき手を伸ばす。
 エスタシュは作業中の椋を、腕を組んで眺めている。まったく無警戒だ。
 しかしフランケンシュタインどもは、気づいていなかった。
 近くの梢に留まった白い鳥の目が、キュピーン! と青く輝いたのを!
「おうコラァ!!」
「「アイエッ!?」」
 エスタシュは突然振り返り、左腕を伸ばした。
 するとしゅるしゅると棘の蔓が伸びて、フランケンシュタインどもを拘束!
「なんだなんだ、オレのシンディーちゃんに何しようとしてんだ、あぁ?」
「「ひいい!! ど、どうして気づいたんだ!?」」
「教えてやる義理はねぇよ」
 と言いつつ、エスタシュはちちち、と舞い降りた白い鳥を右手に留まらせた。
 実はここまでが計画通り。スノーベリーが見張りをしていたのだ。
 こういう不埒な悪魔が引っかかるのを、エスタシュは待っていたのである!
「なんだ。もう獲物がかかったのか」
 興味なさそうな椋。当然、悪魔たちを助けてくれるわけもない。
「みてぇだな。さててめぇら……」
 エスタシュはことさらにコワい笑みを浮かべると、蔓で悪魔をがんじがらめにしたうえで分離させ、左腕でずるりと鉄塊剣を引き抜いた。
 そして頭上でぐるんぐるんと振り回し、悪魔の足元にがしん!! と叩きつける!
「「アイエエエ!!」」
「ちょうどいい。てめぇら俺らに協力しろよ」
 ぎゃりりり……と、フリントが地面とこすり合って火花を散らす。
 そしてエスタシュはぬうっと悪魔に顔を近づけて、凶悪な笑みをむき出しにした。
「嫌だっつったら――わかってるな?」
「「よ、喜んで協力させていただきますぅう!!」」
 あまりのワルさに、悪魔たちは喜びの声をあげて降参した。こいつらマゾかな?
「……わー、おどしてるー。こわー」
「人聞きが悪いこと言うな! まあ脅してっけど」
 椋の棒読みに、呆れ顔のエスタシュであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと

この世界来るのァ初めてだけどよ
オメェ馴染めるかココ?(死ぬほど悪事とか向いてなさそうだと思いつつ)
……あァ 無理そォだな

まァいいか
レースならそこまで悪事だのァ関係ねェだろ多分
ブッ千切りゃいいだけだ

さてどンな奴にすっか……
F1カーだのも良いが戦闘機とかも捨て難……

白馬。(はくば。)

…………いやオイ待てフェルト
いくらなんでも絵面っつゥかそもそも死ぬ程俺の柄じゃ……

…………

畜生やってやらァ!!
(【ミケランジェロ】で具象化するは神話上の八本脚の白い軍馬『スレイプニル』
手綱がわりに糸を繰り二人で乗るとする)

マ マジで死ぬ程柄じゃねェ……!!
オイ聴いてっかフェルト!?
しっかり捕まってろよ!!!


フェルト・フィルファーデン
◆ケン様と

わ、わたしだって悪いことくらい……おやつ食べ過ぎちゃったり、ちょっと夜更かししちゃったり……?

そうよね!レースで勝てばいいだけなら何とかなるわ!頑張りましょう、ケン様!


乗り物……ねえ、白馬なんてどうかしら!
(白馬の王子様改め白馬のケン様!!絶対にカッコいいわ!!)

……ダメ?(上目遣いでじっと見つめる)

そう!じゃあ白馬で決まりね!!


(白馬に跨るケン様を見つめて)
(やっぱりカッコいいわ白馬のケン様!!きっと悪人に取り囲まれている中颯爽と駆けつけて手を引いて救出してくれてぶっきらぼうな態度をしながらも優しく微笑んで愛の言葉を囁いてくれるのよ妄想だけれど!)

……はっ!え、ええ!もちろんよ!



●恋は盲目っていうけどもはや何も見えてねえ
 ケンタッキー・マクドナルドは、思った。
「なあフェルト……オメェ、この世界に馴染めンのか……?」
 からかうというより、もはや心の底から心配そうな声であったという。
 慮られた側であるフェルト・フィルファーデンは、心外そうに頬を膨らませた。
「ひどいわケン様っ! わ、わたしだってワルいことくらい出来るのよ?」
「…………じゃア、たとえばどンなワルいことが出来ンだ?」
「それはもちろん……えっと……お、おやつを食べすぎる、とか……」
「……」
 味わい深い表情になるケンタッキー。フェルトは慌てた。
「あ、あとその、ちょっと夜ふかししちゃうとかも日常茶飯事よっ!
 ほら、わたしってすごいワルい子でしょう? だから、心配ないのよっ」
「……あァ~、そォかそォか。そうだなァワルもワルワルだぜ、うんうん」
「ケン様! なんなのかしらその生暖かい反応は!?」
「いや、オメェはそれでいいと思うぜ。いやマジでな」
 ケンタッキーは心から思った。ワルになったフェルトなど、正直見たくない。
 この世界に来るのはケンタッキーも同じではあるのだが……。
(コイツにゃワルとかゼッテー無理だな……まァ、それでいいけどよ)
 という本音は、口に出さないケンタッキーであった。
「も、もうっ! なんなのよケン様、もうっ!!」
 とはいえケンタッキーのなまあたたか~い反応にむっとしたフェルトは、
 ふくれっ面になり、彼の胸板をポコポコ叩くのであった。かわいい。

 ……まあそれはさておいて、今回の任務はあくまでレースで勝つこと。
 この際悪事の敵性は、どうでもいいと言ってしまえばどうでもいい話である。
「とりあえずだ、あくまで考えるべきはレースだ。悪事だのは多分関係ねェ」
「そ、そうよね! レースで勝てばいいだけならなんとかなるわっ!」
 やっぱり自分でも悪事とか無理だと思ってたんじゃん、とは野暮なツッコミだ。
 いま考えるべきは、肝心のマシンをどうするか、ということだ。
「どォせなら、スピードはもちろん見た目もブッちぎるようなのがいいよなァ。
 さて、どンなマシンにすっか……F1カーか? いや、戦闘機ってのも悪くねェ」
 趣味が厨二……もとい男の子なケンタッキーは、ムフフと嬉しそうに考える。
 彼のたぐいまれな人形師としての力量ならば、どれも不可能ではない。
 どうせなら、最高のマシンで最速を目指す……それが勝負師というものだ。
 まあ頭の中に浮かんでるのは、やけにトゲトゲでカラフルなマシンばかりだが。
「乗り物……ケン様に似合うような乗り物……?」
 一方でフェルトは、まったく別の方向性のものを考えていた。
 ほわんほわんほわんフィルフィル~って感じで、頭からもやもやが浮かぶ。
 その中に描かれたのは、まず、彼女の大好きなもの――そう、王子様。
(王子様の乗り物といえば……そうよ、白馬だわ!!)
 いかにも絵本の童話に出てきそうな金髪碧眼の王子様を思い浮かべる。
 その頭がもや~んとケンタッキーのものに変化し……フェルトは目を見開いた!

『さァ、乗りなお姫サマ……いいや、フェルト。
 俺様と一緒に、朝焼けに向かって駆け抜けようゼ……?
 (フェルトの脳内に生まれたお耽美2000%のケンタッキー)』

「これよ!!!!!!!!」
「フェルト!? おいどうした!?」
 突然目をかっ開いて叫ぶ相棒に、ケンタッキーはドン引きであった。
 だがフェルトは聞いていない。完全に目がガンギマリである。
「白馬よケン様! 乗り物は白馬以外にありえないわ!!!」
「は、はくば……???」
「そうよ! この際生き物でも、そういう見た目のメカでも構わないわ!
 立派で雄々しい白馬にまたがるケン様! これ以外は考えられないのよ!!!」
「オイ待てェフェルト、いくらなんでも絵面っつゥかよォ!
 そもそもだ、白馬なンぞ死ぬほど俺のガラじゃねェだろ……!!」
 ごもっともである。
 ケンタッキーに似合うマシンがあるとしたら、多分トゲ付きのバギーだ。
 本人的には、もっとゴテゴテしてて七色に光るタイプの厨……クールな機体だが。
「…………ダメ?」
「ぐっ!!」
 あっとフェルト選手、両手をお祈りするように握りあわせて上目遣いだ!
 ケンタッキーは怯んだ。これを素面でやるからフェルトはたちが悪い!
「で、で……出来らァ!!!!」
 もはやヤケであった。こういうところが甘いんですよね彼は。
 フェルトはぱあっと笑顔を輝かせ、「やっぱりそうよね!」と満足げだ。
「畜生、俺のカッコいいマシン……!!」
 ケンタッキーは血涙を流しつつ、さっそく作業に入るのであった。

 "神はこの手に宿れり(ミケランジェロ)"。
 それは、ケンタッキーが無敵と信じるモチーフの人形を作り出すユーベルコード。
 ケンタッキー自身が無敵と信じる限り、それはどんな敵でさえも打ち倒す。
 つまりケンタッキーのノリが重要であり、そういう意味で作業は難航した。
 白馬を生み出しては、フェルトからガチめのダメ出しを受ける日々。
 やがて生み出されたのは――北欧神話の魔馬、スレイプニルをイメージした機馬。
 ただしその毛並みは、フェルトのご注文通り穢れなき純白である。
「こ、これでどォだ……オラッ乗り込むぞ!!」
「ええ!」
 ケンタッキーは颯爽と白馬の背にまたがり、操り糸を手綱代わりに結びつけた。
 フェルトは急に職人顔になり、あらゆる角度からその姿を観察する。
(なンで俺が、こんなファッションショーのモデルみてェな気分になってんだ!)
 などと思いつつも、ケンタッキーは緊張して動けない。
 フェルトはじっと真顔で考えている。熟練の職人のような顔つきだ。

 そんな彼女が、何を考えているのかというと。

((やっぱりカッコいいわ白馬のケン様きっと悪人に取り囲まれているなか颯爽と駆けつけてわたしの手を引いて救出してくれて爆発を背に受けながらカッコよくジャンプしてくれるのよそしてぶっきらぼうな態度をしながらもわたしのことを心配してくれるんだけどわたしが心配ないわって言うと「別に心配なンざしてねェよ」って照れくさそうに目をそらすんだわそういうところやっぱりケン様は素敵だと思うのよねそしてわたしは言うのよ「ケン様……もしよければ、後ろではなくて、あなたの腕の中に座ってもいいかしら」ってそうするとケン様は何も言わずにわたしの腕の中に抱きしめて驚いたわたしが顔を見上げると優しく微笑んで愛の言葉を囁いてくれるのよやだもうケン様ったらそんな恥ずかしい言葉……でも嬉しい……わたしはそう言ってケン様を見つめるとケン様もまたわたしのことを見つめ返して沈みゆく夕日がわたしたちを祝福するように照らしてくれるのよ全部妄想だけれど!!!!!!!)
「おいフェルトどォした? オイ? ……聴いてっかフェルト!?」
「(はっ)え、ええ! もちろんよ! 式場は海の見える教会ね!!!」
「これでいいかどォか知りてェんだけど何の話!?!?」
 死ぬほどガラじゃない状態の羞恥心で死にそうなケンタッキーは気付かない。
 そう、フェルトが妄想と現実を完全に混濁していることに気付かない。
 フェルトは鼻血を拭うよ、ぐっとサムズアップした。
「最高だわ!!」
「じゃ、じゃあこのまま行くぞ! 乗れ!」
「…………」
「えっなンだよその沈黙」
「どうせならもっとこう優しげな感じで手を伸ばしてもらったり」
「いいから出発すンぞォ!?!?」
 フェルトP(プロデューサーの略)の注文は、細かい……!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミルラ・フラン
サギリ(f14676)と!!

ああ、なるほど。話は分かったよ
ファビュラス&ラブリーマシン猛レースだね!!

結婚式のアレみたいな感じで、走ると鈴の音が鳴るようにしてだね、クラクションも鈴の音にしよう
ゴージャスルージュやスノーホワイトマイカの塗装をして、車体は塗りたてのマニキュアのようにツヤツヤの真っ赤&真っ白
紅白二輪の薔薇の花をボンネットに描いて……
(正月はもう終わったぞという地元民の野次を流しつつ)

完成!これがあたしらのロージーボムシェル・プリティベイビー号!!

サギリ、シートベルトはしっかり締めな!
行くよ!セクシーボンバー・ラブリーエンジェル号、発進!

(車の名前は適当に間違えてください)


サギリ・スズノネ
ミルラお姉さんと!(f01082)

ファビュラス&ラブリーマシン猛レース!!
チキチキなのです、レッツゴーなのです、素敵なのですミルラお姉さん!

おおっナイスアイデアなのです、お姉さん!サギリもお手伝いするのです!
走る時に薔薇の花びらがぶわーってなるように、薔薇の花びらとか、それっぽいものを調達してマシンに乗せるのです。
ファビュラスに妨害するのですよ!

完成してお披露目の時はー『陽光ノ神楽』でキラキラさせるのですよ!
ファビュラスさマシマシなのです!
わーい!お姉さんとサギリのファビュラス・ダイナマイツ号なのです!
はいなのです!シートベルトはー大事なのです!発進なのです!!



●ファビュラス曲解してんじゃねえ!!
 DEVILINEでは、順位はもちろんワルさも重視される――いわば芸術点だ。
 たとえ最速を勝ち取ったとしても、シャバいマシンではナメられるだろう。
 そしてワルさとは、カッコよさだ。ではカッコよさとはなんだろうか?
 単に男の子してるマシンだけが、カッコいいマシンと言えるだろうか?
 否、断じて否。
 カッコよさとは、すなわちその人のスタイルがにじみ出たもの。
 自分がいいと信じる何かを、愚直に、そして本気で貫き通したものである。
 どんなものであれ、一本気が通ったものは、それだけでカッコいい。
 そうした大馬鹿野郎にこそ、悪魔たちは惹かれてしまうのだ……。

「という理屈で、あたしは考えたんだ」
 自信満々に胸を張るミルラ・フラン。
「全力で屁理屈を貫き通すつもりですねお姉さん! カッコいいのです!!」
 そしてそんなサギリを、目をキラキラさせて称えるサギリ・スズノネ。
 ふたりのプランは、もうこの時点で色々破綻が見えていた。
 だがまあ姿勢としては問題ない。見た目にこだわるのも大事なポイントだ。
 レースというのはナメられたら終わりなのだ。ワルにも通底するテーマである。
「キーワードは、そう――ファビュラス&ラブリーマシン、これだね」
「おお、カッコいいのです! チキチキでレッツゴーな猛レースなのですね!」
「そうだよサギリ。ただ速いだけじゃ、このレースは生き残れない!!」
 ミルラはぐっと握り拳を作り、力説した。
「というわけで、あたしたちのファビュラスなマシンを作ろうと思うわけだけど」
「サギリもお手伝いするのです! 一体どんなマシンにするのですか!?」
「そうだね……まずはやっぱり、結婚式のアレを取り入れてみようかな、とね」
「もしかしてこのマシンの後ろにくくりつけられた、空き缶は……!」
「そうさ、あのガラガラだよ! カッコいいだろう!?」
 ギャキィ! と自慢げなドヤ顔のミルラ。その時サギリに電流走る……!
「か……カッコいいのです!! これがファビュラスなのですね!?」
「そうさサギリ! わかってもらえたみたいだね、ファビュラスってものが!」
 お前ら一度ファビュラスの意味を辞書で引いてこいと言いたいやりとりである。
 ちなみにだが、あの空き缶ガラガラを結びつけた車はブライダルカーと云う。
 悪霊が新郎新婦にまとわりつかないよう、騒音を鳴らしてお祓いするのだそう。
 プライダルカーといえばオープンカー。なのでマシンもそれが選ばれた。
「マシンの色は! 色はどうするのですミルラお姉さん!」
「そこなんだよね。あたしとしては、お祝いにふさわしい紅白カラーを推したい」
「だから赤と白の塗料しかないのですね! 潔さがファビュラスなのです!」
「だろう? カラーの配分をどうするかが難しいんだよなあ~」
「どうせならツヤツヤでキラッキラにしたいのです! 赤をメインに!」
「ふふっ、いいねサギリ。なら塗りたてのマニキュアのようにしてあげよう!」
 ふたりはゴージャスルージュやスノーホワイトマイカのスプレーを手に、
 きちんとマスクをした上で、それはもう徹底的にマシンを染め上げた。
 なんなら、マシンの中身をいじくるより外側を仕上げるほうに注力した始末だ。
 曇りひとつないツヤッツヤのマシンが、徐々に姿を現す……!
「あとはボンネットに、紅白二輪の薔薇の花を描いて……っと」
「わあ、ファビュラスなのですお姉さん! 薔薇はすごくカッコいいのです!」
「ふふふ、そうだろうそうだろう。やっぱり薔薇がないとだよね。
 まあ図面を地元のデザイナーに決めてもらうとき、すごいダメ出しされたけどね」
「ダメ出し」
「正月はもう終わったぞってわけのわからないことを云うんだ、不思議だろう?」
「不思議なのです、これはお正月マシンではなくファビュラスなのに!!」
 と、そこで、サギリははっと何かを閃いた。
「薔薇……! そうか、薔薇なのですミルラお姉さん!」
「何かいいアイデアが浮かんだのかい、サギリ?」
「はい! 見た目はもちろん、他のマシンの妨害手段も大事なのですよ!」
 するとサギリは、ワッサーと大量の薔薇の花びらを持ち込んできた。
「この薔薇の花びらをブワーてやって、それで後ろのマシンを妨害するのです!」
「なるほど、ファビュラスにコースを彩りつつ、ライバルの視界を奪うのか!」
「そうなのです! 妨害もファビュラスにやってこそ、なのですよ!」
「さすがだねサギリ、ここに連れてきた甲斐があったよ。敵であったなら恐ろしい」
 ミルラはなぜかゴクリとツバを飲み込み、額に流れる冷や汗を拭った。
 いまのどこにそんな反応する要素があったのか、常人にはさっぱりわからない。

 で、準備期間のほとんどをその無駄なファビュラスさに費やしたふたり。
 やがてお披露目されたのは、ゴテゴテ&ツヤツヤのオープンカーであった!
「「「ウワーッ眩しい!!」」」
 ピカーッ! と、サギリの陽光ノ神楽で照らされるマシン! 眩しい!
 そもそも舞い散るのが桜吹雪って、もう薔薇ってコンセプト崩壊してんじゃん!!
「これがあたしらのマシン――ロージーボムシェル・プリティベイビー号さ!!」
「お姉さんとサギリのマシン、ファビュラス・ダイナマイツ号なのですね!」
「ああ、さっそく乗ろうか。このルージュ・アンド・パールホワイト号に!」
「はいなのです! ラブリー・ワールウィンド号の初乗りなのですー!!」
 ふたりはサーッと飛び乗った! ところでマシンの名前どうなってんだよ!
「サギリ、シートベルトはしっかり締めな! 事故対策は大事だよ!」
「もちろんなのです! どきどき……!」
「さあ行くよ、セクシーボンバー・ラブリエンジェル号!」
「いざ鎌倉なのです、ガーリー・グッドローリングサンダー号!」
「「発進!!」」
 バビューン!! ロケットエンジンから炎を噴射しながら赤い弾丸が飛び出す!
 だからせめてマシンの名前は統一しろ! ゴリ押しするな!!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リチャード・チェイス
第666回DEVILINEは悪魔の数字にふさわしい、史上最高のレースになった。
どの選手も実力が高く、全ての区間で混戦模様となっていた。
特に優勝候補のマイド・アリス氏が猟兵により足止めされたのが大きいだろう。
その混戦から飛び出し、ゴールテープを切ったのは鹿とトナカイのコンビ。

―――今回の勝因は何だったのでしょう?

誰もがマシンに賭ける情熱は素晴らしいものであった。
私は鹿であり、常にペドロ・ロペス君と共にあった。
本能としての一体感。それが紙一重の勝利を与えてくれたのであろう。

※シャンパンファイトで優勝を祝うリチャード・チェイス氏(写真中央)

「という記事を開催当日の朝刊に載せれば、私が最速である」



●勝手にお話を終わらせないでください!!!
 ――第666回DEVILINE、優勝おめでとうございます。
「身に余る光栄である。これも、応援してくれたすべての悪魔のおかげであろう」
 ――早速ですが、レースの振り返りをしていこうかと思います。
「うむ」
 ――今回のDEVILINEは、悪魔の数字に相応しい史上最高のレースとなりました。
   どの選手も実力が高く、すべての区間で混戦模様となっていたようです。
   それだけに、優勝候補については多くの予想が立っていたわけですが……。
「終わった今になってこんなことを言うのは卑怯かもしれぬが……。
 私はレースが始まる前から、自分が優勝するなどとは思っていなかったのである。
 無論、レースに参加する上で、優勝を目指すのは当然のこと。
 しかしおっしゃる通り、今大会では誰が優勝してもおかしくなかったのである。
 ゆえに私は、むしろ常に恐怖と不安に突き動かされるように走り続けたのだ」
 ――なるほど。その中で、あえて警戒していたライバルは誰でしょうか?
「先述の通り、私はすべての参加者をライバルと考え、最大限警戒していた。
 その上で「誰が印象深かったか」を挙げるならば、やはりひとりであろう」
 ――マイド・アリス氏ですね。
「うむ。よもや全猟兵が、突然乱入した彼女を足止めするとは思わなかった。
 観客の中には、私がその勝ち馬に乗ったとみなす者も少なくないようである」
 ――事実、最終区間でのリードはそれが決定打となりましたが……。
「私が言いたいのは、つまり、勝ち馬とは何か……ということである。
 私は鹿であり、そして私が乗るのはトナカイだ。私はそれに誇りを持つ。
 勝利を愚直に目指すことが悪であると断ぜられるのは、あまりいい気分はしない」
 ――失礼しました。つまり、馬ではなく鹿である、とおっしゃりたいのですね。
「左様。そしてすべての参加者が鹿であり、私はただ角が長かっただけのこと。
 常にペドロ・ロペス君とともにあった。本能としての一体感……それが紙一重の勝利を与えてくれたのであろう」
 ――含蓄がありますね。
「ここにコーヒーもあるのである」

 文責:コンナ・ノ・アリエナイ氏 ユメオチ・マガジン最新号より抜粋。

「うむ、これで出来上がりなのである」
 リチャード・チェイスは捏造500%の記事を手に、満足げであった。
 なお掲載は、すべての出版社から当然のように断られたという。当たり前だよ!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

陸郷・める
☆める。戦車乗りの少女。
★7号。戦車搭載兵器の生体コアにされた元モヒカン。

★異世界だけあってアポヘルで手に入り辛いもんもありそうだから
めるを戦車で留守番させおでかけ7号(メカ鶏形態)でマシン屋行ったら、留守番させたはずのめるが変なキノコを抱えたままついてきていた。

☆くしゅん

★なんでもこのキノコが代わりに戦車の留守番してくれてるんだと。どういう事だおい。でも実際戦車は無事だった。なんか細工をしようとしたっぽい悪魔が転がってなんかうなされてんのと、そばでキノコがぽふぽふ変な粉出してんのはただの偶然だきっと。

その後はコースの下見だ。罠を処理するにも仕掛けるにもドリル使うのはありかもな
※アドリブ歓迎



●このキノコ大丈夫なやつですか?
 コケーコッ、コケッ、コココココ……。
 街を歩くニワトリ(メカ)。実にアレな光景である。
 さすがにその姿は猟兵の見た目が云々でもどうしようもねえだろって感じだが、
 そもそもこのデビルキングワールドはトンチキな悪魔しかいねえ世界。
「あっ、ニワトリの悪魔だ」
「いやチキンの悪魔の可能性もあるぞ」
「もしかしたら唐揚げの悪魔なんじゃね!?」
 という感じで、あっさり受け入れられていた。
(なんだ? 悪魔どもの目つきが妙に危険を感じるぞ……!? バレたか!?)
 だが7号の心中は気が気でない。美味しそうな食材扱いされてるとは気づいていなかった。
「ま、まあいい。おいオヤジ、この店で一番いいパーツをくれや」
「え? なんて? レモンかけていいの?」
「コケケーッ!!」
 会話もこの通りである。もしかしてこのボディ欠陥だらけじゃねえ?
 いや多分悪魔がおかしいんだ悪魔が。もっと言えばこの世界そのものがなあ!!

 さて、そんな7号のピンチを救ったのは、陸郷・めるだった。
「……このパーツ、ください」
「おお、お嬢ちゃん! いいよ、持っていきな」
「コケッ!? ……めるじゃねえか! なんでここにいるんだ!?」
 7号は首をコケコケ振りつつ驚いた。なんだその動作。
「留守番してろっつったろ! 戦車がパクられたらどうすんだよ!!」
「……それなら……だいじょうぶ」
 と、めるがおずおず見せたのは、ぬいぐるみサイズのキノコである。
 ……ただし、足が生えている。しかもいやにムキムキで生々しい足が。
「なんだこいつ!?」
「生えてきた」
「生えてきたァ!?」
 ツッコミどころしかないのだが、とりあえず無害? ではあるらしい。
「ったく、あれを盗まれたら大変なんだぞ……!!」
 しかし7号は気が気でないようで、コケコケ頭を前後させながら急いで戻った。
 すると戦車は……盗まれて、いない!? それどころか周りには悪魔の死体が!
「し、死んで……ねえなこれ。うなされてるが」
「キノコが守ってくれたんだよ」
「こいつらがァ……?」
「くしゅんっ」
 めるがくしゃみをすると、キノコどもがぽふぽふ変な粉を放出する。
「……これよォ、もしかして胞子」
「くしゅんっ」
「おいやめろくしゃみすんな。そうだな偶然だ偶然」
 7号は考えるのをやめた。こんな生物兵器が同類だと思いたくないので。
「仕方ねェ、マシンの調整が終わったら下見行くか……こいつら役立つみてぇだし」
「めるも、一緒に行っていい?」
「……そのキノコ置いてくならな」
 キノコの胞s……変な粉を回避しつつ、7号はヒき気味で言うのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マユラ・エリアル
ふ、こういうのは事前の活動で結果がほぼ決まるという
こういうのは工作も大事だが、基本に忠実なのが強い
真っ当、王道、真面目、勤続35年もうすぐ定年、ふふふ恋人の進学を邪魔されたくなければ…分かるね?
そんな直球ど真ん中な準備が必要だ
まずは審判を捕まえよう

というわけでHey Judge!(携帯に話しかけるように)
レースのコース地図と近道教えろ
早く
は?良いからさっさと吐け!
事件は現場で起こるんだぞ!!
封鎖すべきスピードランドブリッジは無いのか!!

…OK Judege!
ありがとう
カツ丼…食うか?
今日は私の奢りだ
上手いカツ丼を食べに行こう
金ならあるさ
ほら、ジャンプしてみろ
チャリチャリ音がするだろう?



●すべてがノリだけで出来ている生命体
 IQは、低ければ低いほどいい。
 それが、この世界におけるマユラ・エリアルの持論であった。
 しかも今回は、純粋なスピードレースである。
 思考も行動も最速がヨシ! と、まあ彼女が考えたかは定かではないが。
「ヘイジャッジ!! レースのコース地図と近道を教えろ」
「エッ!?」
 第一遭遇運営委員を捕まえるなり、マユラは恐喝行為に走った!
 じ、実にワルい! 他の世界ならともかくこの世界だと実際大正解だ!
「いやそもそもなんですかそのスマホのシステムに話しかけるようなノリは!?」
「は? そんなことはどうでもいいからさっさと吐け!!」
「吐くわけないでしょ運営委員なんですよこっちは!!」
「事件は現場で起こるんだぞ!! 恋人の進学を邪魔されたいのか!?」
「恋人なんていませんよってうるせえなマジでコイツ!!」
 そもそも発言が何もかもわかんねえ。運営委員は困惑した。
「いいから答えろ、封鎖すべきスピードランドブリッジは無いのか!!」
「ありませんよそんなもんだいたい封鎖したらレースになりませんから!!」
「なんだ? 地雷だのワイヤートラップだのはアリでコースの封鎖はダメなのか」
「程度考えろっつってんだよもう話通じねえなあ!!」
 いやそもそも地雷もワイヤートラップも普通はダメである。
 なんかもうどっちもどっちなので、会話は無限に横道に逸れていた。
「そうか……わかった、じゃあこうしよう」
「なんでこっちがわがまま言ってるみたいなノリなんですかね」
「このD(デビル)をくれてやる。それならどうだ?」
「…………」
 じゃらり。運営委員の両手に乗せられる金貨袋の重み。
「えーとコース地図と近道でしたっけ? 三面図でいいです?」
 あっこいつあっさり折れた! きたないなさすが悪魔きたない!
「OK、ジャッジ。ありがとう」
「だからなんでスマホの自動音声システムみたいなノリなんですかね」
「ちなみにこの金はお前のところの運営本部から戴いてきた。証拠も残してある」
「えっ!?」
「もちろんお前に濡れ衣がかかるようにしておいた」
「えっ!?!?」
「カツ丼、喰うか? 今日は私の奢りだ。金ならあるんだよ」
「この金ってそういうことなの!?」
「ほら、ジャンプしてみろ。チャリチャリ音がするだろ?」
「それカツアゲじゃないですかカツ丼だけにってやかましいわ!!」
「いいからジャンプしろ! 有り金全部出せオラァアア!!」
「アイエエエ! 助けて! 誰か助けてー!!」
 悪事に憧れる悪魔でも、本物のキ……奇人を前にした時は恐怖にかられる。
 すべてがノリで生きている生命体を、誰も止められはしない――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

バースト・エラー
さて、皆ヤル気に溢れてるニャア……機は熟した
ヤル気を奪い金に転ずれば、資本主義の悪魔が爆誕
全て金で解決ニャ

先ずはマシンにゃ。黒っぽいデカい鼠みたいなコレ
モルセデスSLS-AMG(アーマゲドン)ブラックシリーズ
一番良いエンジンとタイヤと燃料にしてくれニャ

続けて無数のチンピラを雇い敵チームへ以下の悪事を実行させる
・出走前に燃料に砂糖を入れる
・レッキ帳に上上下下左右左右BAと記入する
・ナビを10年前のデータに書き換える
これで大混乱間違いなし

更に主催者へお金を掴ませ秘密のショートカットを用意させ
最後にレーサーの手配
きっとうらぶれた町工場とかに凄腕のレーサーがいる筈ニャ
大金でスカウトしトップを狙うニャ!



●こ、こいつ、何も考えていない……!!
「な、なんだこれはー!?」
 DEVILINE開催が近づく中、国中がパニックに陥っていた。
「お、俺のマシンが動かない! 燃料に砂糖が入れられてるじゃねーか!」
「レース参加者のタイムがわかんない! なんだこの隠しコマンド!?」
「ウワーッナビが狂ったせいでコースがめちゃくちゃだー!!」
 参加者も運営側もてんてこ舞いだ。一体誰がこんな細工を!?
「お前たち、よくやってくれたニャア。これは報酬だニャ」
「「「イエーッ!!」」」
 その答えは、無数のチンピラを雇ったバースト・エラーである。
 山と積まれたD(デビル)を、お正月の餅投げみたいな勢いでばらまく!
「ほーら取ってこいニャ! 資本主義の悪魔! いやブタども!!」
「「「ブヒーッ!!」」」
 Dの魔力に目が眩んだ悪魔たちは、喜んで四足歩行になり金を拾い集める。
「うむ、ヤル気に溢れてるのはイイことニャ。そのヤル気を頂く」
「「「グワーッ!?」」」
 そして悪魔たちの身体から、黄金のオーラ的なんかが吸い上げられた!
 自分ではなく他人のヤル気を代償に理不尽を起こす、それがバーストの力……!
 シュールギャグ補正? まあそうとも言う。ギャグ補正は無敵だからな!
「これぞ理不尽な資本主義の暴力ニャ! さあ次はマシンを用意しに行くニャ!」
 大量のDを回収したバーストは、その足でマシン屋へと向かった。
 そしてがしゃーん!! と、なぜかガラスを突き破りダイレクトエントリー!
「アイエエエ!? お客様どうしてそんなところから!?」
「一番いいマシンをくれニャ。エンジンとタイヤと燃料もよろしくニャ!」
 スパーン! 札束を叩きつけられるとカーディーラーはへこへこ言いなりになった。
「こちらのモルセデスSLS-AMG(アーマゲドン)ブラックシリーズがおすすめです!」
「悪くないニャ。それじゃあさっそく運転ニャ」
「えっ」
 バーストはやおらマシンに乗り込みフルアクセル!
「あっちょっと待ってくださいまだ契約がギャーッ!!」
 止めようとしたカーディーラーはおもいきり轢かれた! 生きてるけど!
「気に入ったのは……ネズミっぽいとこニャ」
 がしゃーん!! 割って入ったのとは別のガラスを突き破りダイレクト退店!
 おい誰かあいつ止めろ。悪魔よりフリーダムじゃねえか!!
「そして主催者にお金を掴ませ秘密のショートカットを開通……!
 最後にレーサーを手配して全部任せてターンエンドニャ! これで勝ちニャ!!」
 せめて自分で走れよ、というツッコミは誰もしてくれない。
 なぜならバーストに関わると、みんな理不尽にぶちのめされるからである!!

大成功 🔵​🔵​🔵​

リア・ファル
「?????」ってカンジだけど、
やるからにはワルで勝ってみせよう(半ヤケ)

と言う訳でボクも「デビルキング法に則った大変素晴らしい方法(※詳細お任せ)」で、
謎の美少女フィクサーとして胴元に加わろう

首尾良く行ったら掛け金を集めつつ、情報戦を仕掛けていこう
UC【無敵の交渉術】!
「はっはっは、キミも……ワルだねえ」

妨害を試みるデビルには、返り討ちにできそうな猟兵の情報に誘導
敵レーサー陣営からのオッズの裏取引や情報提供に応じる代わりに、
敵方の妨害・攻撃・裏工作の情報を収集、まるっと猟兵陣営にリークしよう
バレる前に欺瞞情報も使って、ボク達に利するように介入していこう
(取引、情報収集、罠使い、読心術)


ヴィクティム・ウィンターミュート
ふーーーむ
なんでもありのレースか

マシンは正直、適当でいい
良いものを使えばそれだけ目立ち、妨害を受けやすくなる
だから平凡で、大差をつけられない程度のバイクあたりが望ましい
コースはドローンで全て同時に見ながら仕掛けを把握しておく
どうせ参加者の追加ギミックがあるだろうから、直前まで監視しておくのも忘れない

さて、俺も仕掛けを入れとくか
簡単なものだ、『看板』を立てる
ドローンにホログラムを作らせてな
〇〇しろとか、〇〇せよみたいな指令系ギミックに偽装する
もちろん偽物だからやる必要は無い
だが…

やらずにいたらペナルティがあるかもしれない
下見で見落としたかもしれない
色々な疑念が、走りに迷いを生む
それだけでいいのさ



●悪魔どもを踊らせろ!
 ブイイイイ……と、小気味いいエグゾーストの響きが大気を震わせる。
 ヴィクティム・ウィンターミュートの選んだマシンは、なかなかの上物だった。
 平凡で、それでいて大差をつけられない程度の優れた性能。
 ライバルの目を惹くほど突出したものはないが、妨害に屈するほど劣りもしない。
 市場価値で言えば中の上程度の性能。それがヴィクティムの求めていたものだ。
「悪くない。悪くないってのは、いいことだ。特にこの場合はな」
 ヴィクティムはエンジンの手応えを感じながら、スロットルを開く。
 マシンは唸りを上げて応えた。心地よい風が短い髪をなびかせる。
 同時にヴィクティムは、各地に展開したドローンと視界を共有している。
 地雷原の中を突っ切る危険極まりないコースだの、
 観客が好きに銃で妨害していいコースだの、滅茶苦茶である。
 もちろん、他の参加者の罠を警戒し、監視用のドローンも残しておく。
 ヴィクティムはそのために、試運転がてら国内をバイクで流していたのだ。

 ……と、そんなヴィクティムのもとに、通信が入った。
「ハロー、チューマ。用件は?」
『やあヴィクティムさん、実は事後承諾になるんだけどお願いがあってさ』
 通信相手……リア・ファルは、すこーしだけ申し訳無さそうに言った。
『今からそっちに、だいたい1ダースぐらいの悪魔が向かうと思うんだよね!』
「は???」
『いやちゃんとした経緯があるんだって! それにヴィクティムさんなら大丈夫だと思ってさあ!』
 リアはこう語る……ほわんほわんほわん、ファルファル~。

 それは、数時間ほど前のこと。
「俺はこいつに100万D(デビル)だ!」
「ならばこちらは、疾風のカマーセに500万D!」
 やいのやいのと盛り上がるここは、アンダーグラウンドの賭博スポット。
 賭けの内容は、いわずもがなDEVILINEの優勝候補である。
 いかにも羽振りの良さそうな悪魔どもが、多額のDを飛び交わせていた。
「……66兆2000億」
「「「!?」」」
 その中に加わるのは、謎の美少女フィクサー……いやリアだこれ!
「ヴィクティム・ウィンターミュートに、66兆2000億D」
「ろ、66兆2000億だと!?」
「今年度のスピードランドの国債と同じだぞ……!」
「本当にそれだけのDを持っているのか……!?」
 戦慄する闇の金持ち悪魔たち。リアは自信満々の笑みを浮かべていた。
(まあ、いまのところは手元にないんだけどね!!)
 心の中はドッキドキであった。そう、全部ブラフである。
 だが、勝てばいいのだ。勝てば支払わなくていいのだから!
 最悪支払うことになったらバックれりゃいいんだし。あ、悪党!
「ところで、一体どんなやつなんだ? そのヴィクティムってのは」
「おやおや、知らないのかい? このレース一番のダークホースである彼を」
 予想通り食いついてきた悪魔に対し、リアはふふんと胸を張った。
「ボクは、彼が優勝候補だと睨んでいるよ。最速最悪は、彼にこそ相応しい」
「……そこまで自信満々に言うからには、根拠があるんだろうな?」
 と、訝しげな悪魔。リアは心の中でニヤリと笑う。
(かかった。あとはこいつを上手く引っ掛けて、情報を引き出すだけだね)
 そして得た情報を、猟兵たちにリークするという二段構えの戦法だ。
「いいだろう、ならボクの識っている情報を教えてあげてもいいよ。ただし……」
「その代わりにこちらも情報を渡せ、ってことだな? 仕方ねえ」
 悪党どもは、ワルい笑みを浮かべて握手した……!

「――ってなんで俺の名前が出てんだよ!?」
『いや~、ヴィクティムさんなら返り討ちに出来るかなって……』
「お前なあ……はあ、まあいいがな」
 ヴィクティムはやれやれと溜息をつきつつ、状況を受け入れた。
「ようはここで返り討ちにしておけば、本番での妨害が減るってことだろ」
『そうそう、そういうこと! それにヴィクティムさんなら、もう策は練ってあるでしょ?』
「その信頼のせいで余計な手間が引っかかってきたと思うと複雑な気分だが……」
 ヴィクティムはちらりと背後を伺う。黒塗りの高級車が追ってきている!
「「「ヒャッハー! 止まれ止まれぇー! さもなきゃぶっ潰すぞぉー!!」」」
「――そのぐらいの備えはしておかないと、ランナーとは言えねえからな」
 ドウン! 車から身を乗り出した悪魔のRPGがヴィクティムを襲う!
 だが命中した瞬間、ヴィクティムとマシンの姿がかき消えた!?
「ほ、ホログラムだとぉ!?」
「おい、ここは行き止まり――アバーッ!?」
 KRAAAAAASH!! マシンは盛大に看板にぶち当たり、そして大炎上!
 ヴィクティムはホログラムによる裏工作がてら、自分の偽物を生み出していたのだ。
「ロケットランチャーの使用はご遠慮ください、って看板も作っておくか」
 クラッシュした車を見送りつつ、ヴィクティムは颯爽と走り抜けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『フランケンシュタイン』

POW   :    マッドネスサンダー
自身の【知性】を代償に、【電撃】を籠めた一撃を放つ。自分にとって知性を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    フランケンナックル
【強靭な拳】で攻撃する。[強靭な拳]に施された【電撃発生装置】の封印を解除する毎に威力が増加するが、解除度に応じた寿命を削る。
WIZ   :    ファイナルフランケン
【体内を流れる電流】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●DEVILINE:開催当日
「レディース・エン・ジェントルメン! アーンド、ジッチャンボッチャン!!」
 総金歯の名物MC「ジャイアント・コージ」のアナウンスに湧き上がる観客たち!
「いよいよDEVILINE第666回が、ここスピードランド王宮前よりスタートするぜ!
 レーサーたちは国内に張り巡らされたコースを各々のルートで自由に駆け回り、
 各区間のチェックポイントを通過しながら、最後はここへ戻ってくる形となる!」
 巨大なディスプレイに、各チェックポイントの座標が表示された。
 詳細なルートはレーサーの裁量に定められるが、各エリアは危険地帯だらけだ。
 煮えたぎるマグマが手ぐすねを引いて待つ溶岩火山地帯、
 巨大な海竜型悪魔が水中から襲いかかるシーサイド地帯、
 さらに大量の地雷原が埋没したエリアや、
 観客や運営による銃撃・砲撃・爆撃が常に襲いかかるキリングフィールド地帯!
 危険な動植物(※運営側の悪魔の皆さん)が蔓延るジャングル地帯もあるのだ!
 無論、すべて運営が頑張って用意している。それだけDがかかっているのだ。
「はたしてこの激戦を制するのは、一体誰なのか! いまから期待に胸膨らむぜ!
 それでは全マシン、位置について! あのランプが緑になったらスタートだ!」
 観客もレーサーたちも、固唾を飲んでスタートランプを見守る。
 このスタートランプだけは、誰も手出しが許されない神聖な領域である。
 もちろん、スタートした直後に妨害を仕掛けるのは自由、むしろ推奨される。
 2つ目のレッドランプが点灯する。スタートフラッグが風にはためく……。
「……DEVILINE、スタートッッ!!」
 ポーン! という音ともにグリーンランプが点灯、フラッグが揚がった!
 海千山千のレーサーたちが、ついにデスレースに飛び出すのだ!

●プレイング上の備考
 どのコースでどんなふうに走るか、をプレイングして戴けると助かります。
 スピードランドは小国とは言え国全体がレースのために作られた国なので、
 皆様の考えるオリジナルコースをプレイングしてもらっても構いません。
(規模がデカすぎる場合はマスタリングしますが)
 念のため、上記の文章で提示されたコースについて軽くまとめておきます。

『A:マグマも噴き出す! 死の溶岩火山地帯』
 国内最大の活火山・アツスギ山の頂上にチェックポイントが存在する。
 あちこちからマグマが噴き出しており、すごく熱い。そして暑い。
『B:水中から失礼します! バキバキ湖』
 年中凍りついている超極寒の湖の氷上を走る。チェックポイントは湖の真ん中。
 ここには巨大な海竜型悪魔『ヤバイアさん』が住んでいるらしい。
 他にも、『鮫の悪魔』のみなさんがすっ飛んでくることもあるようだ。
『C:爆発は芸術だ! リアルマインスイーパ』
 国の東部に位置する「ヒロイ平原」に超大量の地雷原を埋没させたエリア。
 チェックポイントはホバークラフト型で、常に平原の内部を移動している。
 地雷は感知型だけでなく、クレイモア型や浮遊機雷など多岐にわたる。
『D:視聴者参加型! ワクワクキリングフィールド』
 スピードランド中央市街を突っ切るオーソドックスなコース。
 ただし空には国営爆撃飛行船が、観客にはRPGや突撃銃が配られている。
 観客席はもちろん、ビルの中やマンホールからも攻撃が来るぞ! 危険だ!!
『E:密林の奥に謎の巨大悪魔を見た! モサモサジャングル』
 このレースのためだけに『園芸の悪魔』の皆さんの力を借りて作られたコース。
 生い茂る木々は障害物として機能する上に、動物型悪魔の皆さんが襲いかかる。

 と、こんな感じです。
(集団敵のフランケンシュタインは、主にモブレーサーです)
 この中から選ぶ場合は【コース:A】とか適当に書いておいてください。
 オリジナルのコースの場合は【その他】とかだとわかりやすいです。

 各コースの妨害に対するリアクションでも、
 他のモブレーサーからの攻撃へのリアクションでも、
 逆にモブレーサーに攻撃を仕掛けるのでも構いません。
(マスコメにある通り、猟兵同士の妨害行為は合同プレイングを推奨します。
 誰からもやられてもいいぜ! って人は【妨害歓迎】と書いておいてください)

 最終的な順位は、この章と3章での判定ダイスを合計した結果を参照し、
 その結果が『低い』人から順番にランクインします。
 片方の章にのみ参加した方についても、ダイスは二章ぶん振ります。
(ただし片方のダイスは一発振りとなります。低い目が出にくいというわけです)

●プレイング受付期間
 01/21(木)18:59前後まで。
ヴィヴ・クロックロック
【コースA】
無事にレースが始まったようだな。

どいつもこいつもすっ飛んでいったがまあ頑張って走れば溶岩地帯で追いつけるだろう。予習大事。
私の身体は光子を圧縮装備する都合熱に強い、大体限界は4000度。マグマなど熱いだけでなんともないので悠々トップに躍り出るだろう。
他の連中が迂回してる間に真っ直ぐ進むだけのイージーゲーム。でもまあ熱いには熱い。

しかし所詮は私は徒歩、ルール改正させた補正もあるが妨害工作もぬかりないぞ。あらかじめ仕掛けておいた塩や眼鏡から迂回路に麻呂ビーム乱射!そして広い道はダイナマイトで発破!走行不可能にして私は登る!マグマも積極的に溢れさせる!私はもうどうにも止まらない!!


プリンセラ・プリンセス
連携・アドリブ可
【コース:A】
人格は兄妹きっての魔法の使い手クリスティーナ。
彼女の魔法でマグマを凍らせたり地面を操作して足場を作ったりして進む。
「ほら、熱いだろうけど頑張って。後でいっぱい水飲ましたげるから」

馬を【鼓舞】し【騎乗】と【火炎耐性】【気合】で、竜の楯鱗の射程に点Pが入るまで近づく。
入り次第、足元より竜の楯鱗発動。直線で1km足らず、高さを点Pの高さに合わせたの城壁を点Pまでつなげる。
城壁の上を【ランスチャージ】の勢いで駆ける。
点Pに近づくほど城壁の高さのアドバンテージがなくなるので一緒に召喚された兵士でモブレーサーの妨害を図る。



●熱すぎ! アツスギ山の大乱闘
 ZAAAAAAAP!!
「「「ギャーッ!!」」」
 噴き出すマグマ、落石、さらには悪路。
 アツスギ山のレースは過酷だが、今回はそれ以上に過酷な要因があった。
 それは……ヴィヴ・クロックロックの仕掛けたトラップである!
「麻呂さん、いっちょお願いします!」
『だまりゃーッ!!』
 白塗りお肌の謎のお麻呂様が塩の山から出現し、強烈なビームを両目から放つ。
 拡散式のビーム攻撃は、ヴィヴの先を行く悪魔をマシンごとふっとばすのだ!
「「「ギョエーッ!!」」」
 KRA-TOOOOM!! ビーム攻撃が亀裂に命中し、マグマ爆発! マシンも爆発!
 ヴィヴは降り注ぐマグマの中を猛スピードで走る。そう、徒歩でである。
「光子を圧縮装備したこの私の身体にとっては、マグマの熱などなんのその!
 まあ熱いか熱くないかでいうとめちゃくちゃ熱いが優勝のためには我慢する!!」
 だくだく汗をかきつつ、急勾配の山道を駆け上るヴィヴ。
 あらかじめ仕掛けておいた麻呂ビームが、いい感じにライバルを蹴落としていく。
 しかもヴィヴは油断なく、ダイナマイトをばらまいて山道を物理的に破壊!
 後続が先へ進めないように妨害工作もしていくのだ。なんたる狡猾、まさに悪魔!

 そんなわけで、もともと活火山なアツスギ山はもうめっちゃ噴火していた。
 彼女の後を追うレーサーの中には、プリンセラ・プリンセスも混ざっている。
 正確に言うと、プリンセラの中に宿る人格のひとつ、クリスティーナだ。
「すごい勢いでマグマが降ってきてる! 足元を凍らせるだけじゃ足りないよ!」
 クリスティーナはその魔力で、降り注ぐ火山弾を凍らせて無力化する。
 凸凹な足場は地属性魔法によって地均しし、名馬チェタックを駆けさせるのだ。
 とはいえチェタックはあくまで生き物。この高熱環境は相当にしんどいらしい。
 ぜいぜいと汗を垂れ流す白馬の首を叩いてやり、クリスティーナは励ました。
「ほら、熱いだろうけど頑張って。あとでいっぱいお水飲ましたげるから」
 チュタックは利口な馬だ。足を止めたら逆に危険なことをよく理解している。
 クリスティーナが拓いたコースを器用に選び取り、マシン顔負けの速度で山道を駆け上がるのである。
「「「ヒャハハハハーッ!!」」」
 しかし! そんなクリスティーナの両脇に追いついたのはガラの悪い悪魔たち!
 わざわざ髪型をモヒカンにした、アポヘルにいそうなフランケンシュタインだ!
「オレたちゃ泣く子も黙るモヒカンブラザーズよ!」
「ただの馬なんぞでオレたちの先を行こうったってそうはいかねえ!」
「悪いが嬢ちゃんには脱落してもらうぜぇ~!!」
 モヒカンブラザーズは肉体とマシンを直結させていた。
 そして「「「ファイナルフランケン!!」」」と何故か珍妙なポーズ付きで叫ぶと、マシンと肉体がバチバチとスパークを放ち、激しく発光!
「こいつら、私とチュタックを押しつぶすつもり……!?」
 モヒカンブラザーズは一気に速度を上げ、クリスティーナを囲んで圧殺しようとする!
 チュタックの脚力をもってしても、ジャンプして逃れるなんてことは不可能だ。
 だが、クリスティーナは不敵に笑っていた――その理由とは!
「襲撃するのが少しだけ遅かったみたいね、もう"射程内"よ!」
 見よ。チュタックの足元がメキメキと隆起し、猛スピードで城壁となった。
 長さと高さを自在に操作可能な城壁召喚ユーベルコード、"竜の楯鱗"である!
「「「な、なにィ~ッ!?」」」
 通常であれば、拠点防衛や大規模な戦闘での防御用に用いられる術式だ。
 クリスティーナはこれを自身の足元から目的地までを結ぶように発動することで、自分自身を城壁の上……つまりいちいち地均ししなくとも整った足場に押し上げ、高さのアドバンテージを得ることで大幅なショートカットを図ったのである!
「「「ギャーッ!!」」」
 そしてモヒカンブラザーズは、城壁に自分から突っ込む形となった!
 ファイナルフランケンで加速していたのが仇となり、ブラザーズ爆発四散!
 さらに同時召喚された兵士の幽霊たちが、弓矢を射掛け他のレーサーを妨害する!
「さあ、一気に行くよチュタック!」
 クリスティーナは、城壁の終端めがけ一気にチャージを仕掛ける!

 そしてこの大規模なユーベルコードは、ヴィヴのリードを奪う形にもなった。
「何ッ!? こんな使い方があるとは、山道だからこそ出来るショートカットか!」
 ヴィヴはユーベルコードの使用者に、感嘆に似た思いを抱いた。
 城壁は周囲に兵士の幽霊を召喚するため、術者以外が利用するのは難しい。
 しかし幸いにも、他のレーサーの攻撃からヴィヴを守ってくれてもいる。
「ふっ、余計な妨害から私を守ってくれるとは、敵ながらあっぱれといったところ。
 ならばこの間に、私は全力で進ませてもらおう! もうどうにも止まれ……ん?」
 腰を深く落としてダッシュするヴィヴだが、壁をじーっと見つめて考え込む。
 壁。どこまでも高くそびえ立つ、それはもう立派な城壁。
 他の侵入者がよじ登ろうとしても、それを許さぬほどにまっ平らな城壁だ。
 まっ平らな、壁。そう、ヴィヴにとってはまさしく地雷中の地雷ワード……!!
「なんだかわからんがこの城壁を見てるとめちゃくちゃイライラしてくるなあ!
 私にはまーーーーーったく思い当たるフシはないが! イライラしてくる!!!」
 後方にダイナマイトをばらまきながら、ヴィヴは猛スピードでさらに加速した!
 怒りだ。怒りがある! 別にユーベルコードの使用者は恨んじゃいない!
 しかしこんなまっ平らな壁がそびえているとなんかもう許せねえぜ!!!!
「うおおおおおおおお!! あっちぃいいいいいいいい!!」
 ヴィヴ・クロックロック、36歳独身。もはや成長期は過ぎて久しい。
 幼児体型そのものの肉体にコンプレックスを抱く、大変面倒なお年頃であった。
 こいつ断崖絶壁見るだけで高血圧になりそうだな! アラフォーだもんね!
「こんなマグマごときで、私を止められるかぁああああ!!」
 徒歩だというのに、そのスピードはマシンさえも追いつけないほどだったという。

【チェックポイント通過時のポイント結果】
 ヴィヴ・クロックロック:92ポイント
 プリンセラ・プリンセス(クリスティーナ):59ポイント

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ゴロウザエモン・サンモト
【コース:全部】【妨害歓迎】

百鬼は命令を完遂した…後は我が勝つのみ!

【アート】【早業】で顕現せよ!今の我が呼べる最大最強!全長60m級ダイダラボッチ!
『この召喚中に汝に可能な行為はレースに参加し我を連れ全力疾走でゴールに向かうことのみである!』と【高速詠唱】!空手形で決まり事強制!
レースで結果を残し、国を興せたなら汝の要望には何でも応える!だから今は従え…頼む!
魔王の頭は安くないが、ここは頭を下げてでも協力させる。

このサイズが全力疾走すれば雑な計算なら時速300kmは余裕で超える!
事前情報にあるコース、汝なら全て踏み潰し、なぎ払える!

絶対に!勝ぁつ!

そして、我は、折られた全てを、新たに取り戻…


リア・ファル
共闘アドリブ歓迎
【コースC(他でも可)】

モチロン、ボクもエントリー済み
演算と、情報取引によって抱き込んだ運営側、味方悪魔の協力も得つつ
猟兵を勝利に導こう
(情報収集、取引、偵察)

多少の空間飛行もルール上は問題ない……と明記したから
『イルダーナ』で縦横無尽に走り抜けよう
「久方ぶりのレースだ……いくよ、イルダーナ!」
(空中戦、操縦、推力移動)

先行していけば、敵の妨害もボクに集まってくるハズ
だけどまあ、それも織込み済みさ
これはレース……競争相手であるボクを意識すれば、
それは即ち「勝敗」を考えたのも同義

UC【誘導収束・形勢逆転】による
味方猟兵または運営側、味方悪魔からのカウンターで
一網打尽さ


バースト・エラー
コース:B
※アドリブ理不尽歓迎

金に物を言わせて手に入れたモルセデスをレーサーに走らせて
自身は後席でぐったり。酔ったらしい
この……プイプイうるさいニャア……食うぞ……
うわ言の様にブツブツと呟いて寝転がる

急ブレーキ。何事かと起きれば鮫の群れにヤバイアさん
魚介に海魔かニャ。怖いニャア……饅頭みたいに怖いニャア
なあダゴンくん――行け
空飛ぶフカヒレはミャアが相手をするニャア
アリスランスを三叉の槍に想像で変形させて
フェイント掛けてランスチャージ
そのまま串刺して踏みつけて追い払うニャ
さてヤバイアさん……こんな所で南海の大決闘になるとは
しかしダゴンくんも邪神の端くれ
早々遅れは……ああ! プイプイうるさいニャ!



●クソリプ上等! バキバキ湖の怪獣大決戦
「おかしい……おかしいよこれ!! 何もかもおかしいよ!!!」
 と半ば悲鳴じみて叫びながら、必死にイルダーナを走らせるリア・ファル。
 彼女のすぐ後ろでは、巨人と、深きものと、海竜が取っ組み合いをしていた。
 その余波でバキバキ湖の氷は砕け、猛烈な水柱が行く手を遮る。
「このレースって、オブリビオン倒すためのものだよねぇーーーーっ!?」
 リアの叫びは、誰にも届かない。
 そもそもなんでこんなことになったのか、それを記すには時間を巻き戻す必要がある……。

 ……だいたい5分ほど前のこと。
「ふっ、さっそく来ているみたいだね、ライバルどもが!」
 バキバキ湖コースの最先頭を行くのは、リアのマシンであった。
 量産型を徹底的にカスタマイズした制宙高速戦闘機『イルダーナ』は、
 その名の通り本来は星間宇宙での使用を想定した、つまりは宇宙戦闘機である。
 大気圏であろうと、そこらのマシンに負けるようなヤワな機体ではない。
 色々あって抱き込んだ味方悪魔のサポートもあって、彼女はトップを走っていた。
「すべては猟兵を勝利に導くため……さあ、久方ぶりのレースだよ、イルダーナ!」
 トップは後続のレーサーすべての攻撃目標になるといっていい。
 そのため、普通であれば突出せずあえて二番手に甘んじるのも戦術の一つだ。
 しかしなぜ、リアはわざわざ先陣を切っているのだろうか……?
(ボクを競争相手として意識することは、すなわち"勝敗"を考えるのも同義!
 あとは誘導収束・形勢逆転(フリップフラップ・トラップ)を使えば……!)
 "誘導収束・形勢逆転"。
 それは、勝利への確信や疑念を相手が抱いた瞬間、起死回生の一手を成立させるという極めてユニークなユーベルコードだ。
『逆転の一手があるから趨勢が変わる』のではなく、『ユーベルコードがあるから逆転の一手が成立する』という、因果そのものを"逆転"させてしまう術式である。
 リアは、後続のレーサーからヘイトを集めた上でこれを使うことで、妨害を仕掛けてきた悪魔を一網打尽にしてやる腹積もりなのだ!
 なんとも彼女らしい、ハイリスクだがハイリターンな作戦と言えよう。
(あくまでボクらの目的は、オブリビオンを倒すこと――レースは二の次さ。
 まあ、そうは言ってもボクだってスターライダー、手を抜くつもりはないけど)
 心地よい風を肌に感じつつ、リアは余裕綽々の笑みを浮かべてマシンを走らせる。
 すべて上手くいっていた。そう、あとはイレギュラーさえなければ……!!

 っつーとイレギュラーが起きるからフラグはフラグっつーんすけども。
 そもそも言ってしまうと、このレースはイレギュラーだらけであった。
 なにせ本気で「猟兵に勝たせる」つもりだったのはリアぐらいだったのだ。
「あー、これ完璧に酔ったニャア……」
 レーサー集団の最後方をPUIPUI走る黒いもふもふマシン、モルセデス。
 その後部座席でぐったり青い顔をしているのは、バースト・エラーだ。
 どうやらマシン酔いしたらしい。いやお前なんでレースに出場した?
「この……プイプイうるさいニャア……喰うぞ……」
 モルセデス(モルモットみたいな見た目をしているから)は泣きながらPUIPUI走る。かわいそう。
 しかしモルセデスは気弱なマシンなのだ、レーサーどもの骨肉相食む争いには完全にビビりきっており、そのせいで最後尾に甘んじていた。
「あー……ここらで一杯アイスまんじゅうが欲しうぶっ」
 そんなモルセデスが、キキーッ! と急停車した。
 はて何が起きたのか。バーストは頭に怒りマークを浮かべつつ起き上がる。
「ニャア……?」
 窓から身を乗り出すと、ちょうどその時、ざばあ!! と湖面が割れた。
「「「ギャーッ!!」」」
 モブレーサーのみなさんが割れた氷もろとも吹き飛ぶ! 一体何が!?
「ニャんだこニャア……」
 ズオオオオオ……! と君臨するは、バキバキ湖のヌシ、ヤバイアさん!
 けしてリヴァイアサンの悪魔とかではなく、ヤバイアという悪魔なのだ。
 このスピードランドの建国にも色々尽力した、とても偉い悪魔なのである。
 そして、悪い。なにせとてつもなく図体が大きく暴れると手がつけられないため。
 その功績とワルさを称えて、みんなはヤバイアさんとさん付けで呼んでいるのだ!
「ヤ、ヤバイアさんだー!」
「ウワーッ! サメの悪魔も飛んできたー!」
「ギャー!! なぜかタコの悪魔も出現したー!!」
 あたりは阿鼻叫喚! ヤバイアさんと鮫の悪魔がレーサーどもをちぎっては投げ、ちぎっては投げ!
 まさしく地獄絵図だ。モルセデスは完璧にビビりきって、もう走るどこではない。
「何立ち止まってんだニャアこのプイプイヤロー! いいから走れニャア!!」
 バーストは容赦なく運転席を蹴る! モルセデスがかわいそう!
「魚介に海魔かニャ、あいつらが居るから怖くて走れないってかニャア?
 ……魚介に海魔、ニャア。たしかに怖いニャア、饅頭ぐらい怖いニャア」
 じゅるり。バーストの口からよだれが垂れていた。一応猫キャラだもんな。
「邪魔をするならフカヒレ狩りニャ! オラッダゴンくんも働け」
 げしっと蹴り出されるダゴンくん(汎用型邪神系戦闘人形)。
 バーストも三又槍に変化させたアリスランス片手に、ボンネットに飛び出す。
「フカヒレ狩りしてスープ祭りニャ! じゃねえニャ、追い返してやるニャア!」
 深きものモードに変形するダゴンくん! そしてかっこよくポーズをキメるバースト!
 さあ、巨大悪魔を相手にいよいよ暴走系バーチャルキャラクターの大立ち回りがっとそのとき大津波!!!!!
「ニャアアアアアアアアアアアア!?!?!」
 ザッパーーーーーーーン!! 津波がモルセデスごとバーストを飲み込んだ!
 津波を起こしたのは? ヤバイアさん……ではない! あれは!
「行け! やれ!! 邪魔者はすべて投げ飛ばせぇええええ!!」
 ズシンズシンズシン!! なんと見上げるほどの巨人が湖を蹴立てる!
 その肩に乗り戦槌を振り上げて叫ぶのはゴロウザエモン・サンモトだ!
 この巨人は、彼女が使役する最大最強の妖怪、すなわちダイダラボッチである!
『なあ~魔王様よぉ~、これほんとに意味あんのかぁ~?』
「うるさい! さっき空手形で決めた約束事を忘れておらぬであろうな!?
 汝に可能な行為は、レースに参加し我を連れ全力疾走でゴールに向かうことのみ!
 余計なお喋りなどレースの邪魔である! いいからさっさとゴールせよ!!!」
『いやそれはいいんだけどよ、なんか他の連中全部津波に呑まれてるぜ?』
「むしろ好都合である! 悪魔も猟兵も今はどうでもよいわァーッ!!」
 なんという唯我独尊、まさに魔王!!
 何故ゴロウザエモンはこんなやる気なのか? そこには色々理由がある。
 ひとつたしかなのは、今彼女が言ったことは聞き間違いでもなんでもないということ。
 全長60メートルのダイダラボッチで、敵も味方も(というか彼女的にはすべて敵である)を薙ぎ払い踏み潰してゴールするという強靭な意思!
 そのためならば猟兵も悪魔も関係ない。というかオブリビオンも関係ない!
「我は、我は折られたすべてを新たに取り戻す! そして魔王として国を興す!!
 そのためならば汝の要望にもなんでも応える! だから今は走れわかったか!!」
『土下座までしてたもんなあ大将……』
「なんだ!? 今ここでもう一度下げればいいのか!? 頭下げて勝てるなら我何度でも下げてやるが!?!?!?」
『ええ……』
 そこまですんの……とドン引き顔のダイダラボッチであった。
 しかし契約は契約、ダイダラボッチは妖怪だが同時に悪魔でもある。
 空手形による命令により、ダイダラボッチは全速力で疾走していた。
 全長60mを超える妖怪が、時速300kmオーバーのスピードで走ればどうなるか?
 当然湖面は割れ、巨体は湖に落ちる。で、その重量が津波を起こす。
 もうわかりましたね、バーストを押し流した津波はこのせいで起きました!
「ザッケンニャテメッコラー!!」
 ザバーッ! その時、水の中から飛び出した巨大な影!
 それは、超大型邪神サイズに変形したダゴンくん(とバースト&モルセデス)である!
「人が海鮮鍋フルコース食べようとしてる時に何してくれてんだニャア!!」
「ええい問答無用! 我はなんとしてでもレースに優勝するのである!!」
『レーサー同士でバトってんじゃねええええワシを無視するなあああ!!!』
 そしてシカトこかれたヤバイアさんもブチギレた!
 無理矢理突破しようとするゴロウザエモンとバーストとヤバイアさんの三つ巴の戦いが始まる!
 その余波で湖は逆巻き、津波と衝撃波がモブレーサーを蹴散らす……!
「さて、そろそろ一発逆転――ってひぃいいいいっ!?」
 そして振り返ったリアは見た。
 怪獣大決戦が、バチバチにバトりながら近づいてくるのを!

「このレースって、オブリビオン倒すためのものだよねぇーーーーっ!?」
 とまあそういうわけで、ようやく時間軸は現在に戻ってくる。
 もはや一発逆転どころではない。リアは完全に追いかけられるネズミだった。
 だってあのデカブツどものバトルに巻き込まれたらひとたまりもねえもんよ!
「フカヒレ食べ放題が水の泡ニャア!! 湖だけに!!!」
「悪魔も猟兵も邪魔である! 我は! 絶対に!! 勝ぁつ!!!」
『だから無視してんじゃねえぞコラァアアアア!!』
 KRAAAAAASH!! ZAAAAAAAAP!! SMAAAAAAAAASH!!
 ダイダラボッチのパンチがヤバイアさんを吹き飛ばす!
 ダゴンくんの邪神キックがダイダラボッチをぶっ倒す!(で津波が起きる)
 ヤバイアさんがダゴンくんに絡みつく!
 飛んでくるサメの悪魔の皆さんはその余波で蹴散らされていく!
「絶対おかしいよこんなの! もはやレースですらないよ!? 怪獣大決戦だよ!
 なんでオブリビオンが出てくる前から、ガチバトル始まってるのさぁーーー!?」
 リアの声は誰にも届かない。いや嘘ついた、ひとりだけ聞いてるやつがいた。
『プィイイ……!!』
 涙浮かべてプルプル震えてるモルセデスくんです。かわいそう!
 しかしもはや、火のついたゴロウザエモンとバーストは止まらない。
 巻き込まれたくないのでリアも止まれない。レースとは(哲学)。
 形勢逆転っつーか、どんでん返しの有様であった……。

【チェックポイント通過時のポイント結果】
 ゴロウザエモン・サンモト:85ポイント
 リア・ファル:82ポイント
 バースト・エラー:91ポイント

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リンタロウ・ホネハミ
【コース:C】
うっひゃーー、バカみたいに地雷仕掛けまくってもうヤバい場所っすね!
もうあっちこっちで爆発起きまくってるじゃないっすか
おー怖いあー怖い……
怖いからポチっとな
(爆破ボタンを押す)(売ってたニトロが爆発する音)(ニトロを乗せたマシンも地雷原の爆弾も全て吹っ飛ぶ)

げーーーひゃっひゃっひゃっひゃっ!!!
昨日だけでゆうに100を超えるバカ共にニトロ売りまくったっすからねぇ!!
ここに来るまでに使ったバカを除いてもまだまだ地雷避けはあるんすよぉ!!
おらっ、オレっちの道を切り開く為の生贄に!!
さらにオレっちが加速するための爆風になれってんすよぉ!!
げーーーひゃっひゃっひゃっひゃっ!!!


霑国・永一
【コース:C】
さぁレーススタートという訳だ。準備で仕込んだ甲斐もあってマシンはかなり上出来。
あとは運転だけど、ここは小手先より暴力が一番。任せたよ、《俺》?
『分かってらァ!愉しいレースにしようじゃねぇか!』

狂気の戦鬼を発動したままレーススタート。同時に衝撃波を後ろに放って加速兼妨害を行う。
定期的に後方への衝撃波妨害はしつつ、前方に2台くらいは敢えて走らせて、近付き過ぎず離れ過ぎずの距離を保って地雷系の囮にして後を付ける。
空中の機雷は躱すか衝撃波で撃ち落とす。
地雷コースを抜ける頃に、前方走らせてたレーサーも衝撃波で吹き飛ばし、駆け抜ける

『ハハハハッ!これが俺様の掟破りの卑劣走りだ!あばよ!』


ティオレンシア・シーディア
【コース:C】

あらかじめミッドナイトレースにミサイルポッドとかグレネードランチャーとか、爆裂系を中心にハリネズミみたいにポン付けして、と。
あえてスタートは後ろのほうに陣取っておきましょうか。

2――全武装展開、目標「前方」

1――全武装発射、後デッドウェイトパージ
同時にエオロー(結界)で傾斜装甲展開

0――着弾

たーまやー、と。爆風の中突っ切ってスタート〇ダッシュかけるわぁ。
浮いてるからある程度は地雷スルーできるはずだし、傾斜装甲で防御も十分。邪魔な浮遊機雷なんかは流鏑馬で撃ち落として排除しちゃいましょ。
遅延のルーンで邪魔しつつ、対戦相手の真下でクレイモア起爆させても面白いかしらねぇ?


ヴィクティム・ウィンターミュート
【コース:C】

勝負を仕掛けるのは次の段階だ
この段階では安全に、悪辣に、雑魚を落とす
リスクを取るのも大事だが、不確定要素はしっかり排除しねーとな

俺は後ろを態と走っておく
さぁきりきり働けよ──『Sanctuary』
地形の情報を書き換えて、面白くしてやる
ベクトル変更パネルを踏めば、急に曲がるし…急に加速する
つまりある程度走りをコントロールできるってことだ
これで悪魔どもには地雷を踏んで踏んで踏みまくってもらう
俺は均したコースを後から安全に走るだけ
浮遊機雷だって、ベクトル操作とジャンプ台の合わせ技ドカーンだ
俺自体の走りは早くないから、妨害の手も薄いだろう

お掃除ご苦労
お前らは勤勉に働いてくれた
褒美?無いよ


トルメンタ・アンゲルス
【C】

いやぁ、レース開催直前の極道参加でも通るなんて、実にありがたいですねぇ。
参加料割り増しとか聞こえたような気がしましたが気のせいでしょう。

さぁ、全力で走りましょうか、相棒!
変身、アクセルユニゾン!

変身した状態でスタートラインに並び、始めましょう!
号砲と同時にトップスピードへ!
全力のダッシュで突っ切ります!
妨害?
俺の残像にすら当たりませんよ。

地雷原?
構いません、突っ込みます!
『TurboBoost Over――Acceleration』
――OverClock!

時間すら置き去りにする超加速で、地雷を起動させた上で爆発するより速く駆け抜けます!

他の方が巻き込まれたら、運がなかったんでしょうねぇ。



●駆けろ! 地雷だらけのヒロイ平原
 ここはヒロイ平原。その名の通り、スピードランドで一番広い平原だ。
 リアルファイト系バトルロワイヤル『逃走不可能! 全員殺るまで帰れま戦(せん)』を始めとした、人気のレース(?)企画に使われるスポットである。
 そして今日、このヒロイ平原には、数万以上の地雷が敷き詰められていた。
 おまけにチェックポイントはホバークラフトで移動している! そんなのアリ!?
「さあいよいよレースも中盤戦だ! みんなノってるかい!?」
 実況用飛行船に乗る名物MCジャイアント・コージが総金歯スマイルをキメる。
 その眼下では、さっそくあちこちで盛大な爆発! 爆発!! 大・爆・発!!!
「ギャーッ!!」
 KRA-TOOOOM!!
「アバーッ!!」
 KA-BOOOM!!
「サヨナラ!!」
 DOOOOOOOOOM!!
 機雷・地雷・浮遊爆雷にクレイモア! 果ては追尾型ボムまで!
 スピードランド中から集められた、あらゆる爆薬が一堂に会していた!
「いやー実に派手だね! そして……ワルい! 清々しいまでのワルさだ!
 一体どれだけのレーサーが、この難所を抜けられるのか! 期待しかないぜ!
 国営ギャンブルも開催中! キミもレーサーにD(デビル)を賭けちゃおうぜ!」
 あまりにもマッポーな放送だが、この世界では通常営業である。
 飛行船は征く。爆炎と悲鳴が鳴り響くヒロイ平原を……!

 そして、飛行船の眼下では。
「うっひゃーー、あっちこっちでバカみてえに爆発起きててヤバすぎっすねぇ!」
 レーサー集団のど真ん中を走るリンタロウ・ホネハミがこれみよがしに言った。
「いやー怖い怖い、あんな爆発に巻き込まれたらひとたまりもないっすよぉ」
 とか言いながら、リンタロウが取り出したのは……真っ赤なスイッチだ。
 スイッチにはこれみよがしにドクロマークが刻まれている。
 で、赤いスイッチの周りには、黄色と黒の縞模様で警告ラインが書かれている。
 誰がどう見ても爆破スイッチである! 逆にびっくりするぐらいコテコテだ!
「おー怖いあー怖い……」
「よう坊主! ビビってるみたいだなぁ?」
 そんなリンタロウのマシンに横付けしたのは、疾風のカマーセである。
 レース前(具体的に言うと1章)でリンタロウがファンだとかなんとか適当なことを言ってゴマをすっていたフランケンシュタインだ。カマセではない。
「あっ旦那! えーと……ダボハーゼの旦那っすよね!」
「カマーセだよ!! まあいいか、坊主のおかげでマシンも上々よ!」
「……へぇ~そうっすか、ちゃんとオレっちのおすすめしたアレ仕込んだんすね?」
「もちろんよ! 悪いが優勝は戴きだぜ! ハッハー!」
 カマーセのマシンは猛スピードで加速する。リンタロウは笑顔で見送った。
「……あーあ、怖い怖い、怖いなぁ~」
 その笑顔がだんだんワル~いゲスな笑顔、略してゲスマイルに歪んでいく。
「怖いから、ポチッとな」
 そしてリンタロウが、あのどう見ても爆破なスイッチを押した瞬間!
「さあーてここから一気に加速してアバーッ!?」
 KRA-TOOOOOOOOOOOOOM!!
「「「ギャーーーーーーッ!!」」」
 前方のマシンが一斉に大・爆・発! それどころか地雷原の爆弾も大爆発!
 疾風のカマーセも大爆発! そして爆風にふっとばされて空高く消えていった!
「げーーーひゃっひゃっひゃっひゃっひゃっ!!」
 リンタロウ、笑う! オブリビオンかてめえってぐらいのゲスなスマイルだ!
「昨日だけでゆうに100を超えるバカどもにニトロを売りまくったっすからねぇ!
 オラオラバカども! さっさと自爆して地雷よけになってもらうっすよぉ!?」
 ポチッ。KA-BOOOOM!!
「「「アバーッ!!」」」
「げーーーひゃっひゃっひゃっひゃっ!! あーあ気持ちいいなぁオイ!
 芸術は爆発ってやつっすよねぇ! これだから悪事はやめられねぇ~!!」
 完全にハイになりながら、爆破スイッチを連打するリンタロウ。
 そのたびにあちこちで爆発が起き、ライバルレーサーが空高くふっとばされる!
 あっという間に先頭集団は空っぽになり、リンタロウは悠々とアクセルを踏んだ!

 ……しかし! このチャンスを狙っていたのはリンタロウだけではなかった!
『ハハハハハッ!! なんだなんだァ!? 急にどいつもこいつも吹っ飛んだぜ!』
「あらぁ? ミサイルぶっ放すまでもなかったかしらぁ? 好都合ねぇ」
「わざわざ露払いをしてくれたのか? ありがとよリンタロウ」
「――なら、最速で突っ走らせてもらいましょうか!!」
「げえっ! この声は!? ヴィクティム……だけじゃねえぇえ!?」
 リンタロウは慌てて振り返る。と、マシンの横を駆け抜ける四つの風!
 それは霑国・永一、ティオレンシア・シーディア、ヴィクティム・ウィンターミュート、そしてトルメンタ・アンゲルスという、4人の猟兵たちの風であった!
 リンタロウが先頭集団をふっとばした瞬間、彼らも猛スピードで加速したのだ!
「後ろでタイミングを計ってた甲斐があったぜ。あばよ、リンタロウ!」
「ってぇヴィクティム! まさかこれ読んでたんすか!?」
「お前がいるならなんかやらかすだろうとは思ってたぜ? ハハハッ!」
 ヴィクティムは悪友にこれみよがしに皮肉を吐くと、一気に追い抜いてしまう。
 もちろん他の三人のマシン(トルメンタはパワードスーツを着た上で疾走している)も、それはもうスムーズにリンタロウを追い抜いてしまった。
「こらー!! オレっちのアイデアっすよー!! 抜け駆けは禁止っすよー!!」
「これはレースだろうが、何言ってんだよまったく」
 ヴィクティムは後ろから飛んでくるリンタロウの罵声を軽やかにスルー。
 そしてさらにユーベルコードを発動すると、油断なく残りのモブレーサーも排除にかかった。
「地雷原の中を走るのはツラいだろ? だったら"書き換えて"やるよ!」
 リライト・コード:"Sanctuary"により、一瞬で地形そのものが『書き換わった』。
 どっかのゲームで見たことある感じの、矢印パネルとかが湧いて出たのだ!
「ウワーッハンドルが効かなギャーッ!?」
 左方向パネルを踏んだフランケンシュタインのマシンはコースアウトし爆発!
「ちょっとなんだよこのジャンプ台ーーーーアバーッ!?」
 ジャンプ台を踏んだフランケンシュタインのマシンは垂直射出され落下爆発!
 リンタロウの爆破攻撃を生き延びたモブレーサーも、次々に脱落だ!
「積極的に妨害するつもりはないが、あんたがたも踏まないように気をつけろよ?
 こいつはレースなんだ――仮に踏んじまったとしても、その時は追い抜かせてもらうからな」
「あらぁ、いいセリフねぇ。もちろんわきまえてるから大丈夫よぉ?」
 ヴィクティムの"忠告"に、ティオレンシアはにやりと不敵な笑みを浮かべた。
『そんなもの関係ありませんね! 俺のスピードの前では無意味ですから!』
 そしてトルメンタは、時間流をも置き去りにする超加速でコースを爆走!
 遅れて地雷原が誘爆! 三人は難なくその爆風を躱しながらさらに加速する!
「「「ウオオオオ! さっきの爆発はてめぇらの仕業かァーッ!!」」」
『なんだァ? 濡れ衣もいいとこだぜ! 俺様はまだ何もしてねえだろうがよォ!!』
 逆恨みで幅寄せしてきたモブレーサーのマシンを睨み返す永一。
 狂気の別人格に主導権を明け渡した永一は、その挑戦を歓んで買った。
『ふっかけてきたのはそっちだぜ――だったら返り討ちにしてもいいよなァ!?』
「「「ギャーッ!?」」」
 永一はアクセルを踏むとともにユーベルコード『盗み纏う狂気の戦鬼(スチールオウガ)』によって強烈な衝撃波を起こし、幅寄せしてきたマシンを吹き飛ばす!
 衝撃波にふっとばされたマシンは弓なりにジャンプし、地雷原に突っ込んで爆散!
『ハハハハハハッ! これが俺様の掟破りの卑劣走りだ! ざまあみやがれ!!』
「おい待て俺は手出してなギャーッ!?」
『バカが! わざと前走らせてやってたんだよォ!! ハーハハハハ!!』
 永一の前方を走っていたマシンも、前方に噴射した衝撃波に煽られ爆発四散!
 その隣では、ティオレンシアの『ミッドナイトレース』に装着されたミサイルポッドとグレネードランチャーが火を吹いていた!
「あたしは攻撃とかされたら困るから、その前にふっとばしてあげるわねぇ?」
「「「ギエエエエーッ!!」」」
 KRA-TOOOOM!! 容赦ない全力砲撃が、マシンもろとも悪魔どもを天へと吹き飛ばす。もちろんその爆風により、前方の機雷を誘爆させるおまけつきだ。
「そんなバ火力抱えてたらスピードが出ねえぜ! 当たり前だろうがーッ!!」
「ああ、それもそうねぇ。じゃああなたにあげるわぁ」
「えっ――ギャーーーーッ!?」
 ティオレンシアを追い抜こうとしたモブレーサーに降り注ぐ、切り離されたポッドとランチャー! そしてデッドウェイトと激突したマシンは爆散! 容赦なし!
「アドバイスありがとねぇ……って、もう聞こえてないかしらぁ?」
 ティオレンシアはわざとらしくうそぶくと、軽くなったミッドナイトレースを最大限に加速させる。
 ヴィクティムが電脳魔術で書き換えた地形の加速パネルをも上手く利用する構えだ。
『オラオラオラァ!! 甲羅の代わりに俺様の衝撃波をくれてやるよ!!』
「あそこにクレイモアあるわねぇ? 起爆してあげようかしらぁ(BLAMN!!)」
「「「ギョエーッ!!」」」
 衝撃波! 銃撃! 容赦ない正当防衛(語弊あり)にふっとばされるフランケンシュタインたち!
『なるほど、後続もなかなかやりますね……そうでなければ歯ごたえがない!』
 先頭を行くトルメンタは、そのスピードそのものが武器であり鎧だ。
 時間流をも制御するトルメンタには、仮に地雷が反応しても爆発が間に合わない。
 そして彼女が駆け抜けたあとの爆発は、そのまま後続がひっかぶる形となる。
 もちろん、トルメンタ自身が起こすソニックブームも、並のマシンでは耐えられない!
『おっと、ヴィクティムさんに倣って言っておきましょう。巻き込んでしまったらすみません!』
『エラそうな台詞吐きやがる! 追い抜かれても吠え面かくなよ! ハハハハ!!』
「その台詞は悪魔にかけてあげたほうがいいと思うわぁ」
「俺は安全運転で行かせてもらうぜ。あんたらのマシンにゃ勝てないからな」
 ヴィクティムの言葉通り、彼のマシンのスピードは他の三人に劣る。
 しかし的確に地形を操作しながらあらゆる妨害を事前に無力化する走りは、
 じわじわと差を埋める堅実かつ狡猾なものだ。決して油断は出来ない。
「お掃除ご苦労、勤勉に働いてくれたな。まあ褒美はないんだが」
 ヴィクティムは、ふっ飛んで黒焦げになった悪魔たちに手を振った。
「ち、畜生~、よくもやりや」
「うおおおおお!! 待ちやがれっすよぉー!!」
「ギャーッ!?」
 だがその黒焦げ悪魔も、追いすがるリンタロウのマシンに撥ね飛ばされた!
 こんだけやっても死なないんだから悪魔はすごい。さすが強いだけはある。
「1位はオレっちのモンすよ! 少なくともヴィクティムには渡さねえ!!」
「いいねえ、ならデッドヒートと行くか? 吹き飛ばされんなよ!」
 5人は熾烈なトップ争いを繰り広げながら、ホバークラフトめがけて猛進する。
 あとには、巻き込まれたモブ悪魔たちの無残な残骸が転がるのであった……。

【チェックポイント通過時のポイント結果】
 トルメンタ・アンゲルス:93ポイント
 ティオレンシア・シーディア:85ポイント
 リンタロウ・ホネハミ:78ポイント
 ヴィクティム・ウィンターミュート:78ポイント
 霑国・永一:69ポイント

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リチャード・チェイス
【コース:D】【妨害歓迎】
よもや私の優勝に圧力がかかるとは。
何たる非道、何たる悪逆。これがデビルキングワールドのやり方であるか。
しかして悪とは正しき行いにより打倒されるのが世の道理。
民主主義の力を思い知らせるのである。
正しい手順を踏んでこそ世直しはなされるのである。

(路上に契約書を置く。マシン通りがかる。自動的に署名(轍)する)
うむ、自主的な署名に感謝するのである。
これは諸君も鹿の心を持っている証左(マシンを鹿にする)

いざ隊列をなして進もうではないか。
この署名の束を前にすれば悪魔たちも己の所業を顧みることであろう。
ハイヨー、ペドロ・ロペス君!(鹿を引き連れて爆走する)


エスタシュ・ロックドア
【骸と羅刹】
【コース:D】

いそうなもんだが、
長々と眺めるのはやめてくれよ

ご協力下さるフランケンに指示
周囲に展開して些細な罠や妨害は何とかしろ
途中で寝返り裏切りなんぞしやがったら、
地獄の折檻体験コース等活編を味わってもらう
生半可な事じゃ死なねぇ身体を後悔させてやるからな

シンディーちゃんに椋とタンデムして【騎乗】【運転】
【ダッシュ】で市街地を疾走するぜ
椋の指示と、
【第六感】【野生の勘】全開で障害妨害を躱していく
おう任せろ!
飛び道具持ってる奴がいたらそっちに寄せる

攻撃は椋任せだがここで一つでけぇことしてぇな
『羅刹旋風』発動
フリントを【怪力】で振るい適当な建造物を【なぎ払い】攻撃
ぶっ倒して後続を妨害だ


六島・椋
【骸と羅刹】【コース:D】
スピードはどうでもいいが、骨の悪魔はいるだろうか
見られるだけでいいんだが

エスタの後ろに、人形と共に乗っていく
『絶望の福音』を使いつつ、攻撃を抜けていけるように方向を指示していこう
向こうから来てるぞーがんばれがんばれー(てきとう)

銃を持っている奴に近づいたら、
麻痺毒ナイフを投げつつ奪って、こちらで使わせてもらおう(【盗み攻撃・盗み】)
この手の銃はあまり使ったことがないので、
自分とオボロで銃を構え、適当に周りの連中へぶっ放していく
この銃便利だな、貰って帰っていいだろうか

共に乗っている人形を狙ってきた奴には、
【早業・怪力】で毒ナイフを食らわせ、何事もなかったかのように戻る


サギリ・スズノネ
【コース:D】
ミルラお姉さんと!(f01082)

お姉さんみたいなイイ女になるためにーファビュラスに運転してみせるのです!
行くのですよ、ファビュラスゴールデンハイパーマシン!
薔薇の花をぶわーっとさせて走るのです!

ハンドルを握ってアクセル全開!
とりあえずぶつからないように気をつけるのです!(※地形耐性)

サギリ前方の進路確保を担当するのです!
火ノ神楽で出した火の鈴を飛ばして視聴者の皆様を消毒するのです!
間違えたのです。ぶっ飛ばすのです!
マンホールが空いて視聴者が出てきたら、火の鈴をホールインワンさせて蒸し焼きにするのです

はいなのですお姉さん!
お姉さんの攻撃に合わせてファビュラスに攻撃を決めるのです!


ミルラ・フラン
【コース:D】
サギリ(f14676)と!!
いくよハイパーラブリープリティーセクシーセクシーマシン!!(最早まともに車名を覚えるつもりすらない)

奴さんらも「本気」の視聴者参加型番組ってことかい
サギリ、このマシンはあんたにも運転できる仕様だからね、ファビュラスに操りな!
セクシーに車を運転するのがイイ女の第一歩さ!

後部座席に仁王立ち、向かってくる攻撃はArtiglioを投げて対処
近接戦はConvinzioneを振り回して殺さない程度にぶった切り
可変式拷問具Signorina Torturaは棘付き鎖鉄球にしたり三角木馬にしたりして、参加したい視聴者の皆様にご提供
決め技、いくよ!!同時攻撃ッ!!


フェルト・フィルファーデン
◆ケン様と
【コース:D】
(冷静さを取り戻し腕に抱かれてニコニコ上機嫌)
確かにちょっと浮いてはいるけれど……でも、たまにはこういうのも悪くないでしょう?

敵A『オイオイ、こんなところに白馬が走ってやがる!』
敵B『王子様とお姫様ってか?場違いなんだよテメェら!特にそっちの吊り目野郎、王子様ってガラかよ!むしろダッセ――』
(UCでマシンを操りエンジン爆砕させてクラッシュ)
(エアバッグは作動させたので安全安心!)(※個人の感想です)

――ふふっ……今、わたしのケン様を愚弄したわよね?💢💢💢
あっ、わたしの事はいいのよ?料理出来ないのはその通りだし……
でもケン様へ暴言吐いたら、次はもっと酷いわよ……💢


ケンタッキー・マクドナルド
【コース:D】
◆フェルトと

(結局なんのかんのと腕の中に座らせるようにしてたりする)

……。
おかしい
俺の知ってる極悪非道レースとだいぶかけ離れてる
もっとこォマッドでマックスな感じじゃねェのかこォいうのは!?

(そんな事をグダグダ考えてるうちにやってくる雑魚共。)
敵C『趣味がイマイチな乗り物乗ってんなあ!姫様の趣味か!?』
敵D『世間知らずそうで料理も下手そ』
今コイツの事おちょくりやがったかおォコラ!!?💢💢💢
(怒りの妖精、ブチ込まれる銃弾砲弾各種を【マテリアル】で人形化
走る糞共と撃って来た糞共にブチ撒ける)
カス共が料理下手くれェでコイツにケチつけてンじゃねェぞ!!ア゛ァ!?!
(※尚否定はしない)


エドゥアルト・ルーデル
Dコース

スタートラインに徒歩で来た、乗り物の用意は必要ないでござるよ
スタートの合図と同時になんか速そうなマシンのフランケンに麻酔銃をヘッドショット、いいマシンでござるな少し借りるぞ!

走りながら麻酔銃に特殊な注射針を装填、先に走っているレーサーにどんどんおみまいしますぞ!オラッ頭ハッピーセットになれ!
これで妨害は心配ないでござるな!アレを見るが良い次々と火を吹きながら爆走しノーブレーキで建物に激突する車両群を
頭ハッピーで加速し続ければこうもなろう!勿論1章で人の車魔改造したのはこの為でござるよ!
建物も車も大惨事だがよく言うだろ?事故は起こるさ

偶々見かけたPUIPUI走る車の悪魔は見逃してやるか…


ニィナ・アンエノン
【妨害歓迎】【コース:D】
よーし、レース開始ぃ☆
にぃなちゃん的にはやっぱり観客に楽しんで欲しいから、視聴者参加型のコースがいいかな?
いっぱい撃たれると思うけど、そこはこの【操縦】テクニックと【オーラ防御】で切り抜けるぞ!
【ダッシュ】しながら観客の皆には笑顔やハイタッチを振りまいて【誘惑】しちゃいたいね☆
後は【情報収集】で得たデータに基づいて、なるべく直線コースを選びつつゴールに向かって【ジャンプ】出来そうな物のある場所に行こう。
ユーベルコードとバイクの【リミッター解除】で思いっきり加速したら全力でジャーンプ!
【空中戦】の要領で上手い事ゴールに向かいつつ、ついでに飛行船も撃ち落としちゃえ☆


レトロ・ブラウン
(Dコース妨害◎)
はー、アの二人ハまーやりタい放題でしたネぇ。
ボクもあレ位やっチゃっていイもんでシょうか?
いやいヤ、年長とシての矜持といウm(RPG着弾)

誰の頭がリボン着けてるみたいだとォ!1!????(バグ発生)

82mの強化外骨格ってもう強化外骨格と呼べるのか?ボクはもうヤバいと思う。
そこから射出されるミサイルの指定はレベル^2発だけどこれ今いいのか?ボクはもうヤバいと思う。
なんならボク自身も射出できる。1/レベル秒で。ボクはもうヤバいと思う。(物理的に)

知るか!そんなことよりポティットナだ!外骨格系のUC全部喰らえ!お前も!お前も!お前もだ!ごっほごっほ。むせた。

…あレ、ボク何シてましタ?



●視聴者参加型! ワクワクキリングフィールド
 ここはスピードランド・セントラルエリア!
 華々しいヨーロピアン風市街の大通りに面した観客席には、大勢の観客が詰めかける。
 そして彼らの手には……拳銃! マシンガン! 果てはRPG!?
 だが驚くなかれ。これもまたスピードランドのおなじみの風景なのだ!
「ヨー、エブリワン! 拳銃は持ったか? 銃弾は装填済み? 安全装置は外してあるかい!
 さあいよいよレーサーたちがセントラルエリアにやってくるぜ! お立ち会い!」
 名物MC・ジャイアントコージがSMG片手にゴキゲンなトークをキメる。
「このエリアでは、観客による妨害行動が許可……いやむしろ推奨されている!
 ただしコースには出ないように! なにせ空からは爆撃が降ってくるからな!
 それにビルの中やマンホールの下にはスナイパーやダイナマイト装備の自爆突撃兵も待ち構えているぜ! 巻き込まれるのはレーサーだけで十分だろう!?」
 \HAHAHAHAHA!!(ガヤの笑い声)/
「うまくレーサーをヘッドショット出来た観客には特別ボーナスもあるぜ!
 大金積んだレーサーを勝たせるため、そしてナイスショットボーナスのため!
 みんな! ふるって弾丸をバラ撒いてくれよな! それじゃ、ヒアウィゴー!」
 猛スピードでエリアインするレーサーたち。迎えるのは歓声と銃声!
 あまりにもトチ狂った光景だが、悪魔は強いので死人は出ないのである!
 いやほら、だって猟兵もただ銃で撃たれただけじゃそうそう死なねえじゃん?
 同じぐらい強い悪魔も同じこと! 倫理観の欠片もねえなこの光景!!

 さて、そんな危険極まりないシティコースを走るレーサーたち。
 その中には、この激闘を勝ち抜いていた選りすぐりの猟兵たちも混ざっていた。
「……骨の悪魔はいないんだろうか……」
「おい椋、気になるのはわかるが長々眺めるのはやめてくれよ? よそ見もナシだ」
 六島・椋をタンデムしたエスタシュ・ロックドアは、呆れ顔で言った。
 そんな彼らの頬すれすれをチュン! と弾丸がかすめていく。ぞっとしない。
 エスタシュほどのライダーのドライビングテクニックならば銃弾を避ける程度は造作も無いとはいえ、だ。
 ……まあ彼らのマシンの周りには、なぜかフランケンシュタインの護衛団が並走しているのだが。
 仮に万が一避けきれない攻撃が来ても、彼らが身代わりになるという手筈である。
「よそ見は駄目か? 見られるだけでいいんだが……」
「レースに興味ねえのはわかってるけど駄目なもんは駄目だ、指示してくれ。
 ……それにほれ、いくら"心優しい悪魔"でも、裏切らねえとは限らねえしな?」
「「「ギクッ!!」」」
 並走するフランケンシュタインの皆さんは、額に脂汗を浮かべた。
 まさに今結託してエスタシュをコースアウトさせるつもりだったとは天地がひっくり返っても言えるわけがない。
 レース前に妨害しようとしたら、ものの見事に返り討ちにされて舎弟にさせられた……もとい、"平和的に仲間になった"という経緯があるだけに。
「おいおい、まさか本当に寝返り裏切りなんて考えてねえよなあ?」
「「「と、とんでもございやせん!!」」」
「そうだよなあ……もしマジでそんなことしやがったら」
 エスタシュはニカッと笑顔を見せた。ただし、サングラスの下の目はこれっぽっちも笑っていない。
「地獄の折檻体験コース等活編、味わってもらうからよォ……?」
「「「ヒイイイイッ!!」」」
「……エスタ、前方からRPG。それと後ろから近づいてくるマシンが居る」
「おっと、了解だぜ椋!」
 エスタシュはフランケンシュタインたちを脅すのをやめ、ハンドルを切った。
 直後、ビルの窓から放たれたRPGが着弾! フランケンシュタインを巻き込んで爆発!
「ギャーッ!!」
「あれはいいのか」
「まあいいだろ、まだ数はいるし」
(((こ、こえ~!!)))
 まだ残ってる肉壁、もといフランケンシュタインたちは震え上がった。

「あ、エスタちゃん! こんなとこで会うなんて奇遇だね~☆」
「お?」
 そこへ追走してきたマシンとは、意外にもエスタシュの顔なじみだった。
「知り合いか?」
「ああ、知り合いっつーか……まあ、同志ってとこか?」
「にぃなちゃんだよ♪ いえーい☆」
「いえーい」
 あまり興味のなさそうな椋(※彼女は骨以外に対する興味が極めて薄い)ににぱーっと微笑みかける同志……もとい、ニィナ・アンエノン。
 エスタシュとニィナは飛来する銃弾を木の葉のように軽やかに回避しながら、併走する形で言葉をかわす。
「このレース、楽しいよねぇ! マグマに氷に地雷原、その次は弾幕だよ!?」
「楽しいって感想はどうなんだ……? まあ退屈はしねえ、なッ!」
 KRAAAAAASH!! マンホール下から飛び出したダイナマイト兵が空中炸裂!(※エキストラ役の悪魔はもちろん生きています)
 ふたりのマシンは左右に分かれる形で自爆攻撃を回避し、そして合流する。
 BRATATATATATA! そこへ狙いすましたように降り注ぐマシンガンの弾幕!
「おっとっと☆」
 ニィナがわずかにリードする形で加速し、ジャックナイフで弾丸を弾く。
 そして軽やかにマシンの体勢を戻しながら、ニィナは観客席に笑顔をふりまいた。
「みんなも楽しそうだね☆ にぃなちゃんたちの走りを堪能してね~!」
「「「ワオオオーッ!!」」」
 にこやかで可愛らしいニィナの笑顔に、モブ悪魔たちは完全にハートをヤられていた。
「楽しむのもいいけど、やっぱやるなら1位を目指さねえとな!」
「それ、にぃなちゃんの前で言う~? 負けるつもりはないよ☆」
 ニィナとエスタシュはお互いにニヤリと笑みを浮かべ、同時に加速。
 エスタシュは妨害を回避しやすい下ルートへ、ニィナは危険だが派手でアピールポイントを稼げるハイウェイルートへと分かれた。
「分かれてしまったぞ。よかったのか?」
「一緒に走ってたら世間話どこじゃなくなりそうだからな。それに――」
 椋の言葉にエスタシュは言いつつ、コースに併設されたモニタを見やった。
『よーし、にぃなちゃんの必殺ジャーンプ! 見せてあげるっ☆』
 KRAAAAAASH!! 画面内ではニィナがジャンプ台を使って大きく跳躍。
 その勢いで、爆撃のため降りてきた飛行船に前輪をぶち当て撃墜していた!
「……あれに巻き込まれる心配もねえし」
「なるほど」
 納得する椋であった。
「「「ヒャハハハハーッ! もらったァー!」」」
 そこへ現れる妨害者フランケンシュタイン軍団……だが!
「こっちのコースも安全ではないみたいだな」
「「「アレッ!? ギャー!!」」」
 椋が瞬時に投擲したナイフでタイヤを貫通され、スリップ爆散!
 爆風にあおられて飛んできた拳銃を、椋は軽やかにキャッチする。
「他の邪魔者はこっちで排除しておく。エスタ、がんばれがんばれー」
「はいはい、気の抜ける応援だなまったく!」
 加速するマシン、そして見様見真似で銃弾をばらまく椋と人形・オボロ!
 モニタでは、飛行船を爆発させたニィナが華麗なドリフトをキメていたところだ。
 妨害をものともせず、それぞれのマシンはさらに加速していく!

 もちろん、爆走するのはエスタシュやニィナだけではない。
「「ファビュラース!!」」
 あきらかにファビュラスという言葉を曲解したツヤツヤのルージュカラーのマシンが爆走する!
 完璧に間違っているが完璧に呼吸を合わせてマシンを駆るのは、サギリ・スズノネとミルラ・フランのファビュラスガールズコンビ(自称)だ!
「行くよ、ハイパーラブリープリティーセクシーセクシーマシン!!(名前間違い)」
「まだまだファビュラスゴールデンハイパーマシン(名前間違い)はやれるのです!
 ミルラお姉さんみたいなイイ女になるために、ファビュラスに駆け抜けるのですよ!」
「いい気合だよサギリ、どうやら奴さんらも"本気"みたいだからね……!」
 BRATATATATATATAT!! 降り注ぐ銃弾がチュンチュンチュン! と装甲をかすめる。
 ふたりが手ずから仕上げたルージュ色の装甲は、この程度では傷つかない。
 しかしこのままダメージを喰らい続ければ、爆散する恐れもある!
「イイ女の第一歩……それは、セクシーに車を運転することさ!」
「がってん承知なのです! 行くのですよ、ウルトラスペシャルファビュラス号!(名前間違い)」
 なぜかマシンの名前を正しく言うつもりはさっぱりないふたりである。
 ともあれミルラは赤い髪をなびかせて後部座席に仁王立ちし、両手に投げナイフを構えた。
「「「オラオラオラ! どけどけどけェー!!」」」
 背後から近づくトゲトゲだらけのバギーバイク!
 レーサー殺し(※生きてます)で悪名高い無法者ブラザーズ(血縁なし)の凶悪な轢殺バギーバイクだ!(※被害に遭った悪魔もみんな生きてます)
「悪いけど、ウチの妹分が頑張ってるんだ。邪魔はしないでもらおうか!」
「「「ギャーッ!!」」」
 ヒュカッ! と投擲されたナイフがバギーバイクのエンジンを貫通、爆発!
 その爆風を呼び水に、マシンは加速する! ところでこのマシンの正しい名前なんだっけ? 忘れたからもう適当でいいか!
「ウオーッ! あのマシンを撃墜してポイント倍点だぜェー!」
「ナイスショットがほしいのよォーッ!」
「今日のラッキーカラーは赤! そういうわけで妨害します!!」
 そこへ今度は観客たちの総攻撃だ! サギリはS字ドリフトで銃弾を回避!
 しかしロケットランチャーがマシンを狙っている! どうする!?
「進路確保はサギリの仕事なのです! 悪魔は消毒なのですーっ!!」
「「「ギエエエーッ!!」」」
 容赦ないユーベルコード発動! "火ノ神楽"が、金色の炎が観客を飲み込んだ!
 火の鈴で燃やされて、格闘ゲームで炎系の飛び道具を食らったキャラクターみたいに火だるまになる観客の皆さん!
 さらに発射寸前だったロケットランチャーに炎が引火! KRA-TOOOOOM!!
「「「アバーッ!!」」」
「たーまやー、なのです!」
「やるねサギリ! イイ女の条件その2……それは、爆発が似合うことさ!」
「やったーなのです!! じゃあもっとふっとばすのですよー!!」
 その時前方のマンホールが「えーい!」「アバーッ!!」空いたがそこに火の鈴が投げ込まれて大引火! 妨害役のバイトくん(悪魔である)も火だるま炎上!
「「「ウオオオオ落ちろォーッ!!」」」
「ミルラ一番乗りーッ!!」
「「「グワーッ!?」」」
 幅寄せしてくるマシンはミルラが拷問具を鎖鉄球にして振り回して撃退だ!
「さ、さすがなのですミルラお姉さん! それもイイ女の条件なのですか!?」
「そうだよサギリ、棘付き鎖鉄球を振り回してこそ一人前のイイ女なんだ」
「そんな自信満々に言われると本当にそんな気がしてくるのです!」
「あたしは全部本気だよサギリ。あたし以上のいい女は居な――」
 その時である。ミルラは見た。
 パカラッパカラッパカラッパカラッパカラッ……。
 猛スピードで後続から追い上げる……それはもうご立派な白馬を!
「な……ッ!?」
 ミルラは絶句した。白馬! 白馬である!
 この泣く子も黙る地獄のデスレースにおいて、白馬を使うという大胆さ!
 それだけでもうかなり負けた気分になっている……が、なによりも!
 その白馬を駆るのは、目つきの鋭いイケメン(フェアリー)なのだ……!!
「――!!」
 しかもミルラは見てしまった。
 イケメン(フェアリー)の腕に抱かれる、美少女(フェアリー)を!!
「こ、こんな血の気と硝煙の匂いしかしないレースで、白馬!?
 しかも女の子を乗せて、イケメンが白馬で疾走、だなんて……!!」
「み、ミルラお姉さん!? どうしたのですミルラお姉さん!?」
「……ふっ、あたしは勘違いしていたみたいだよサギリ。イイ女はまだ居たさ」
 ミルラはふっと大人の笑みを浮かべた。イイ女の笑みだ。
 なにせイケメン(フェアリー)に抱かれる美少女(フェアリー)と来たら、
 まさしく恋する男に抱かれる乙女の笑顔のそれだったのである。
 ああ、ファビュラスとはこういうものだ。あれこそがファビュラスなのだ。
「――負けてられないよ、サギリ!」
「よくわからないけどはいなのです、ミルラお姉さん!」
「「ファビュラス一番乗りーッ!!」」
 棘付き鎖鉄球を振り回しながらマシンが猛スピン!
 二倍の鉄球に三倍の回転、さらに四倍のスピンをかけ合わせたこれが1億2000万ファビュラスパワーだーっ!!

「……なンだあれ」
 コースが分かれる直前に目撃したなんかわけのわかんねえ物体(と乗組員)を見送ったイケメンフェアリー……もとい、ケンタッキー・マクドナルド。
 彼は知る由もない。ファビュラスなふたりの、そしてイイ女を自称するミルラの苦悩も。
 なんせそんなもん気にする暇も余裕も、今のケンタッキーにはないからだ。
 彼の中に渦巻くのは疑問、そして緊張感。
「けどやっぱああいうのが本来の極悪非道レースって感じだよなァ……。
 やっぱマッドでマックスな感じするのが普通だよなァ、なンかおかしくねェか!?」
「えっ? どうしたのかしらケン様? なにか緊急事態でも?」
「俺的にはハナッからずっと緊急事態でしかねェんだけど!?」
 ケンタッキーの腕に抱かれた美少女フェアリー、もといフェルト・フィルファーデンは「え? 何言ってるんだろう何もおかしいことなんてないじゃん」みたいな顔できょとんと首を傾げた。その顔さえかわいい(なぜならキラキラふわふわな詩草絵師渾身のイラストをたくさんお持ちでいらっしゃるから)
 ケンタッキー的にはこの状況は不本意……とは言わないまでもやや遺憾であった。
 なにせ彼は少年の心を持つ人形師。どちらかというとトゲトゲしてて鋭角的で、あと黒かったり金色だったり七色に光ったりそういうのが好きなお年頃(18だけど)
 こんな白馬(型マシン)に乗って、しかも腕の中にお姫様(※フェルトは一応ガチで元お姫様である)まで抱えて走るなんて、優雅な王子様みたいなノリはノットフォーミーな少年だったのだ。
「いやこう、見た目っつーかノリっつーかよォ……浮いてねェ?」
「……たしかに、ちょっとだけ、ほんの少し、アリトル浮いてるかもしれないわね?」
「そこまで強調するほど少しじゃなくねえ???」
「でもいいじゃない! たまにはこういうのも悪くないでしょう?」
「お前その台詞でスタートからずっとゴリ押ししてるよなァ……」
 とかなんとか言いつつ、フェルトのゴリ押しに折れてしまうあたり優しいケンタッキーであった。
 フェルトはニッコニコの笑顔である。なにせ彼女、この男に片思いしている。
 この場でインタビュアーとかがマイクを向けたら、おそらく500文字ぐらいの長文でケンマ(ケンタッキー・ダイレクト・マーケティングの略称)を始めかねない。
 そんな感じでふたりは(銃弾砲火の中をだけど)優雅に走っていたのだ。
「オイオイ、こんなところに白馬が走ってやがるぜぇ~!」
「王子様とお姫様ってかァ~? 場違いなんだよテメェら!」
「特にそっちのツリ目野郎、王子様ってガラかよむしろダセェぜ!」
 ああしかし! 心なき(※いい子です)悪魔たちのヤジがふたりを襲う!
「趣味がイマイチな乗り物乗ってんなぁ! お姫様の趣味か!?」
「世間知らずそうだなあオイ!」
「ついでに言うと料理も下手そうだぜ!」
 白馬を取り囲み、フランケンシュタインたちが心無い罵倒を浴びせる!
 彼らはこれがワルくてカッコいいと思ってるだけで他意はない!
 一部やけにぶっ刺さる罵倒というか事実の指摘があるがあくまでポーズなのだ!
「いまこいつのことおちょくりやがったかおォコラ!!?💢💢💢💢」
「――ふふっ……いま、わたしのケン様を愚弄したわよね???💢💢💢💢」
「「「アバーッ!?」」」
 ふたりは同時にキレた! それも自分のことではなく相手のことを思って!
 まずフェルトの電脳ウィルスがフランケンシュタインどものマシンを強制停止!
 というか過負荷を与えたことでエンジンが爆発! そして盛大にクラッシュ!
 さらにケンタッキーが周囲を飛ぶ銃弾を物質変化させ、悪魔に叩きつける!
「カスどもが料理下手くれェでコイツにケチつけてんじゃねェぞアァ!?!?」
「そうよそうよ! 料理が下手なのは事実だけどケン様を愚弄したらひどいわよ!」
「えっそこは自分でも認めちまうのかよ……?」
「えっ?」
「えっ」
 なにそれこわい。

 ともあれ(?)そんなこんなで四つのコースがひとつに合流する。
 エスタシュ&椋、ミルラ&サギリ、ニィナ、ケンタッキー&フェルトが一同に会した!
 モブレーサーはあらかた返り討ちにされたようで、四機は完全な並走状態だ。
「トップ争いは猟兵同士か? そいつも悪くねえな!」
「骨の悪魔……(まだ探してる)」
「ミルラお姉さん! なんだかファビュラスな予感がしてきたのです!」
「これは面白くなってきたねサギリ。アクセルはベタ踏みでいくんだよ!」
「にぃなちゃんが一番疾いし一番目立っちゃうかんねー☆」
「チッ、スピード上げンぞフェルト! しっかり捕まってろ!」
「わかったわケン様――って、な、何あれ!?」
 フェルトの慌てた叫び声に、7人は同時に背後を振り返った。
「「「!?!?」」」
 そしておそらく全員が驚愕した。
 背後から迫りくるもの……それは……シャーマンズゴーストの群れ!!
「お、お姉さん! なぜかシャーマンズゴーストの群れが来るのです!」
「はあ!? いやその後ろにはなんかデカブツが走ってきてるんだけど!?」
 ミルラの指摘通りだ。シャーマンズゴーストの群れの後ろには聳え立つ巨躯!
 それはどうやら、猟兵が纏う強化外骨格(と言っていいのか82メートルって)らしい……!
『誰の頭がリボン着けてるみたいだとォ!?!?!?』
「誰もそんなこと言ってないよぉ~!?」
 ニィナのツッコミも、巨大強化外骨格の操縦者……レトロ・ブラウンには届かない。
 温厚であるはずのテレビウムである彼も、なぜか完全にブチギレていた。
 たぶんワルぶった悪魔に心無い罵詈雑言とかぶつけられたんじゃない? きっと。
「正気を失っているブラウン氏の代わりに解説しておくでござる!
 ブラウン氏のあのバグは割とよくあることなのでござるな! ウェヒヒ!」
「解説だけど解説になってねェじゃねーーーーーかッ!?」
 シャーマンズゴーストの群れに混ざって飛び出したエドゥアルト・ルーデルの解説(という名のボケ)に思わずツッコミを入れるケンタッキーであった。
「いや、そもそもなんだよあのシャーマンズゴーストの大群はよ!?」
「骨じゃないならどうでもいいか……」
「椋はもう少し他の物事に興味持ったほうがいいんじゃねえかなぁ!?」
 椋とエスタシュのノリは相変わらずであった。
 そして見よ、ズドドドド……とバッファローめいて行進するシャーマンズゴーストの群れを率いるのは!
「ハイヨー、ペドロ・ロペス君! そして隊列をなしたる鹿の諸君よ!
 いざ民主主義の力をもって政権を打倒し、鹿の鹿による鹿のための国を作るのである」
「「「「「「鹿!?」」」」」」
 鹿。鹿である。少なくとも大群を指揮するリチャード・チェイス(種族:シャーマンズゴースト)は常日頃からそう言い張っていた。
 なんなら自分のことも鹿だと言い張っている。根拠? 頭に生えた角。
「すべては私の優勝に圧力をかけたスピードランド現政権の責任である。
 そして彼らはみな、私の仕掛けた罠(ルビ:しょめい)に賛同してくれた鹿たち。
 このまま市庁舎に突っ込んでレースも全部台無しにすれば優勝戴きである」
「さりげなくとんでもないことを言っているわ!?」
「あれっ妨害仕掛けてくるのってオブリビオンだったよねぇ!?」
 フェルトとニィナは思わず我が耳を疑ったが、リチャードはマジである。
「いいマシンもといいい鹿でござる! スタートラインまでは徒歩できた。
 暴走するバッファローもとい鹿たちには拙者の特製うまあじドーピング剤をおみまいしますぞ! オラッ頭ハッピーセットになれ!」
 源義経もかくやに鹿(マンゴー)から鹿(マンゴー)を飛び渡るエドゥアルト! そして次から次に首筋に怪しげなクスrもとい頭ハッピーになるうまあじを注入していく!
 さりげなく妨害を生き抜いたモブレーサーたちのマシンも次々火を吹きながら爆走しノーブレーキで観客席や建物に突っ込んでいた! やだもうこの大惨事。
『82,の強化外骨格ってもう強化外骨格と呼べるのか? ボクはもうヤバいと思う!
 そこから射出されるミサイルは6724発だけどこれいまいいのか? ボクはもうヤバいと思う!
 なんならボク自身も射出できる! ボクはもうヤバいと思う!!!』
 KA-BOOOM! KRA-TOOOOOM!!
 猛スピードでダッシュしながらわけのわからないことをのたまうレトロ!
 しかも強化外骨格のあちこちにミサイル発射口が開いて滅茶苦茶にぶっ放す!
「か、観客席も何もかも滅茶苦茶ウギャーッ!?」
 名物MCジャイアントコージも被弾! だがレトロは止まらない!
『知るか! そんなことりポティットナだ! お前も! お前も!! お前もだ!!!』
「あれ踏み潰されたら大変なことになるんじゃねえか!?」
「骨の悪魔……(まだ探してる)」
「ここはニィナちゃんが華麗な空中戦で足止めぎゃーっ!!(KA-BOOOM!!)」
 ニィナ散華! 妨害歓迎って書いてあるとこういうことになるんですね!
「とんでもない大惨事なのです!?」
「でもよく言うだろ? じこはおこるさ、ってな!」
「起こすつもりで起こしてる事故は事件っていうんだよ!!!!」
 なぜか真顔のエドゥアルトにツッコミを入れるミルラ。鎖鉄球を振り回す!
 鹿(マンゴー)の大群! ミサイルをばらまきながら猛追するデカブツ!
 もはやレースはレースでもデスレースだ! 足を止めたやつから死ぬ!
「すべては国王さんサイドにあるのでいますぐ政権交代である。
 鹿の鹿による鹿のための王国を築いたのちはすべてが鹿にギャーッ!!」
 あっレトロにリチャードも踏み潰された。無残!!
「面白くなってきやがったでござるな! さあ諸君も頭ハッピーに」
「一番ハッピーなのはテメェだろうがァアアアアアッ!!」
「アバーッ!?」
 ケンタッキー怒りのマテリアル炸裂! エドゥアルト散華!(ギャグキャラだから)
「行くよサギリ! ここは同時攻撃だ!」
「はいなのですミルラお姉さん!」
「「ファビュラアアアアアアスッ!!」」
 そしてサギリ&ミルラのミラクルコスモギャラクシーセクシャリティマシン(名前間違い)が浮かび上がり、薔薇を撒き散らしながらKRAAAAAASH!!
『アババババーッ!?』
 レトロの強化外骨格のど真ん中を貫く! レトロ散華!(妨害◎って書いてあったから)
 なお散華した方々も何らかの理由によりレースへの復帰は可能である!
「一番レースかき回してんのが猟兵ってどうなってんだ……?」
「エスタ、まだゴールしないのか? 骨の悪魔がいないからもう飽きてきた」
「椋はほんとどこまでもマイペースだよなあ!?」
 レーサーたちが駆け抜けたあとには、ぺんぺん草も残らなかった。とっぴんぱらりのぷう。

【チェックポイント通過時のポイント結果】
ニィナ・アンエノン:95ポイント
サギリ・スズノネ&ミルラ・フラン:94ポイント(ペアのため同時計上)
フェルト・フィルファーデン&ケンタッキー・マクドナルド:81ポイント(ペアのため同時計上)
エスタシュ・ロックドア&六島・椋:72ポイント(ペアのため同時計上)

エドゥアルト・ルーデル:35ポイント(大騒動を起こしたワルさによる加点)
リチャード・チェイス:24ポイント(大騒動を起こしたワルさによる加点)
レトロ・ブラウン:47ポイント(大騒動を起こしたワルさによる加点)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マユラ・エリアル
なんやかんやのデッドヒートを繰り広げ、ワクワクキリングフィールドまで辿り着いたマユラであったが─

レースというのは己との戦いだ
マシン(その辺でパクった自転車)と私は最早一体と言える
ハンドルしか残ってないからな
持ち運びにも便利だ

そしてコンディション、これが大変だ
つまり今腹が減っているんだ

初めて訪れた街で飯屋を探すのは難しい
良いと思った店も常連以外お断りな雰囲気だったりする
私はただ、満たされた一人飯をしたいだけなのだ…
そう、腹がペコちゃんなのだ
麺類は…違うな、丼物もだ…
喫茶店だ、良い感じの喫茶店のランチが食べたいのだ
ハンバーグランチ!
これだ、これにしよう

食後は凍気解放を使用して一気におさらばしました



●あの、レース……
 レースというのは己の戦いだ。
 マユラ・エリアルは、そう考えている。
 ライバルと競い合うのも重要だが、最後に立ちはだかるのは常に過去の自分。
 一秒先へ進むごとにかつての自分を越えていかねば、最速の称号は得られない。
 スピードは人を自由にする――だが同時に、誰よりも孤独で、そして不自由だ。
「腹が……減ったな」
 マユラは自転車のハンドル(なんやかや爆発にまきこまれてこれだけ残った)を手に、遠い目をして呟いた。
 スピードの中、過去の自分と、そして未来の自分と戦い続ける孤独なレーサー。
 そんな彼ら彼女らの孤独を癒やしてくれるもの――それは、食事である。
「コンディション調整はレーサーの基本、だからな……」
 マユラはそうひとりごちて、死屍累々となったセントラルエリアを歩く。
 なんかもう猟兵どもが好き勝手やったせいで大抵の建物は爆散していた。
 なんなら観客席もふっ飛んでいる。あれっこれオブリビオンより被害デカくね?
「いやー今のレースすごかったなー!」
「めっちゃ派手だしワルかったわー!」
「最高に満足したわー!」
 通りがかる悪魔の皆さんはニコニコしてるからいいんですかね。
「焦るんじゃあない、私はただ腹を満たしたいだけなんだ……」
 マユラは腹の虫に語りかけるように、そうひとりごちた。
 こんな中、飯屋を探すのは難しい。だって物理的にふっ飛んでるから。
 唯一残された店も常連以外お断りな雰囲気を感じる(実際はレーサーを招き入れて妨害合戦に巻き込まれるのが嫌だから)
「腹がペコちゃんだな……麺類は、違う。丼ものもだ……」
 マユラはぶつぶつと言いながら(元)歓楽街を歩く。

 そんな彼女が足を止めたのは、一店の喫茶店の前だった。
 喫茶店というとコーヒーやら紅茶ばかりが出るものと思いがちだが、
 こういった歓楽街の喫茶店ほど、意外と腹にたまる飯を提供している。
 マユラは爆発でほぼ焼けた店の看板をためつすがめつした。
「……ハンバーグ、ランチ」
 ごくり。マユラは知らず、唾を飲み込んでいた。
 ああ、そうだ。私は――喫茶店のランチが食べたいのだ。
 ゆるいBGMが流れる中、今どき珍しい喫煙可能な店であるとなおいい。
 色あせた給仕服を着た人の良さそうな女性店員が、妙にぺたぺたしたビニールのメニューを手渡してくれるのだ。
 しかもランチはライス大盛り無料とあった。スープもついてくるようだ。
「……これだな」
 もはやマユラの口の中は、完全にハンバーグになっていた。
 チーズ入りハンバーグが安牌か、あるいはハンバーグステーキか……?
「和風おろしハンバーグも悪くないな……ふふっ、楽しみだ」
 からんころん、と、古びたベルの音がマユラを出迎えた。
 孤独なレーサーの癒やし――それは、こんな食事の一時なのである。

 ……おいレースどうした!!!

【チェックポイント通過時のポイント結果】
 マユラ・エリアル:26ポイント(ライスを2回もおかわりしたため)

成功 🔵​🔵​🔴​

陸郷・める
☆める
★7号

【Eコース】
☆(操縦に集中している)
★単純な足回りじゃあ速いとはいえねェ以上、狙うは多脚が有利っぽい、起伏の激しいコースだ。……消毒だァー!ってやりたいとこだが……焼き払って更地にしたら意味がねぇし
アームと多脚で入り組んだ地形を……って他の連中に現地悪魔共か

ほう、ちょうどいい、こいつで新しい暴徒震拳のテストをさせてもらうぜぇ!

☆???(え?急にどうしたの?って顔)

★UC【暴徒震拳秘技・暴徒人間砲弾】!!
範囲内の対象を捕まえた後無理やり砲塔に詰めぶっぱなすことで「対象の住処」までお空の旅をさせる!拒否すると落下して地面とキスだが悪魔なら大丈夫だろ!マシンは知らん。

※アドリブ他歓迎です



●密林の奥に謎の巨大悪魔を見た! モサモサジャングル
『アンギャアアアアアッ!!』
 恐竜じみた咆哮! 密林の億から飛び出す魔獣型悪魔の皆さん!
「……!」
 陸郷・めるは戦車の運転に集中し、ジャングルの悪路と格闘を続けていた。
 つまりこの場で危険要因と妨害をどう対処するかは7号の裁量に任せられている。
『アンギャアアアアア!!』
「「「ヒャッハー!!」」」
 しかし! そんなふたりを嘲笑うように立ちはだかる悪魔・悪魔・悪魔!
 大会側で雇われたエキストラの獣の皆さんだけではない!
 先頭を行くめるたちを蹴落とそうと、妨害を仕掛けるフランケンシュタインたちだ!
『チッ、焼き払って更地にしたら意味がねえ……よし、こうなったらアレだ!』
「……え? 急にどうしたの……?」
『お前は運転に集中してろ! 見せてやるぜ、本当のモヒカンってのをよォ!!』
「「「ヒャッハー! クラッシュさせてやぐえー!?」」」
 マシンから飛びかかるフランケンシュタインたち――を、戦車のアームがひっつかんだ!?
 しかもそのままぐいぐい主砲に詰め込む! いや砲弾じゃねえんだから!
『これぞ暴徒震拳秘技! 暴徒人間砲弾だ、ヒャッハー!!』
「「「ギャハァーッ!?」」」
 拒否する暇もなく、空の彼方に向かってふっとばされるフランケンシュタインたち!
「ちょ!」
『安心しろ、あのままあいつらの住処までお空の旅だ。まあ拒否すると落下して地面のキスだが、悪魔なら大丈夫だろ!』
「……マシン、は?」
『…………』
 沈黙があった。
『なあに問題ねえ! 優勝すれば全部もとに戻るんだ!』
 そして7号は開き直った! どこの願望を叶える七つの玉のことかな!?
『ギョエエエエエ!!』
『オラァア恐竜だろうがなんだろうがぶっ放してやるよォ!!』
『ギャアアアースッ!?』
 獣の悪魔もフランケンシュタインも、なんなら人喰い植物も全部砲弾代わりにぶっ放す!
 めるは必死に悪路を突破しながら、ヒャッハーとノリノリの7号にちょっとヒいていた。
(意外と、めるよりレース楽しんでるのかな……)
 多分、それは間違ってないと思う。

【チェックポイント通過時のポイント結果】
 陸郷・める:66ポイント

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『踊るマルチアイドル『マイド・アリス』』

POW   :    一度でも聴いたら心の奥まで喰いコンドルっスよ!
命中した【歌】の【歌詞】が【時間経過で物理的に重くなっていく罪悪感】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
SPD   :    にしっ!貧乏風が吹きコンドルんじゃないっスか~?
攻撃が命中した対象に【身に着けた金銭的価値がある物を失う体質】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【次々と発生する「装備の不良による損失」】による追加攻撃を与え続ける。
WIZ   :    逃げられないようにプログラムを組みコンドルっス!
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【舞台照明レーザー】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠勝堀・円稼です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ラストエリア:魔王ハヤスギー城
「さあ、いよいよレースは終盤! そして最後のエリアは、ここだァ!!」
 名物MCジャイアント・コージが指差したモニタに表示される見取り図。
 それはこのスピードランドの象徴にして、魔王の居城……ハヤスギー城!
 わざわざスピードレース用に改築されたこの城をぐるっと一周し、最初のスタート=ゴールエリアに戻ってくるまでがDEVILINEなのだ。
「城の各所にはギロチンや消える床など様々な罠が……ん? オット!?」
 その時である。モニタに走る砂嵐!
 やがて乱れた映像が元通りになると、映し出されたのは銀髪の美少女だった!
『どーっスか、映りコンドルっス?』
「誰だアンタ!?」
『OKみたいっスね! にしし……あたしは人呼んで踊るマルチアイドル『マイド・アリス』っス!』
 映像の中の美少女……もとい、オブリビオンはピースした。
『突然っスけど、いまからアタシもレースに参戦するっス!』
「何ぃ!? 流石に途中参加なんて許可してねーぞ!?」
『関係ないっス! ルールなんて破るほうがワルくてカッコいいっスよね?』
「……た、たしかに!!」
 悪魔たちはアホなので完全に論破されていた! おいこいつらポンコツだぞ!
『城内のコースもアタシの好き放題に改造! そしてゆくゆくはライブステージに!
 みんな、次代の魔王であるこのアタシ、マイド・アリスを覚えとくっスよ~!』
「「「ウオーッ、愛利子ちゃーん!!」」」
『そこ! 本名で呼ぶなッスよ!!!!』
 なんかおっかけもいるらしい。さすがアイドル。
 ちなみに本名は舞戸・愛利子らしい。あれ? そのまんまじゃねえ?

 ともあれこんな強引な手段で、ついにオブリビオンが介入してきたのだ!
 城内はもはや危険な罠がひしめく上に、アリスの歌が流れ続ける地獄のような空間に!
 ステージをいじくり放題ということは、ショートカットだって作り放題。
 つまりまともにやって勝てるわけがない!
 となればアリスを倒すしかない! いよいよ本番がやってきたのだ!

 ……ちなみに、マイド・アリスを倒すのも大事だが。
 罠とか障害物とか、あとライブステージの演出に見せかけた妨害装置なんかをうまーく躱して、あとしぶとく生き延びてるモブレーサーの皆さんもふっとばしておかないと、なんやかんや高順位ランクインは難しいだろう。
 走りを取るか! 猟兵の仕事を取るか!? 一部の人にとっては苦しい状況だ!
 まあ普通にトップ争いしてるだけでも、向こうから襲いかかってくるけどネ!

●プレイング受付期間
 2021/01/27(水)13:59前後まで。
レトロ・ブラウン
にゃーにゃーにゃにゃにゃーにゃにゃ。
昔聞イたCMの歌っテナんか頭に残りマすよネ。
歌なノかCMのほンのりえっちさで覚エてるのカはわかりマせんけド。

なンカ歌?流れテる?んデすかねコレ。
ヤー、聞こエないんデスよね今何モ。
マッハ12で走ってル最中デして、ハイ。
そうイや気にしてマせんでしたケど物ってマッハ超エると衝撃波出るトか?
CFだトソういうノもやんわりシてますけど外だと適用さレるんでスかね?
視界の隅っこデ虹に混ざっテ悪魔の皆さンが吹っ飛んデルのが見えマす。

あっ、オねえさんレースクィーンでスかね?マイクとカメラあルしリポーター?いェーいCF見テるー?
チょっト、押さナイでおねエさん押さ アっ!(ずるっ)


ヴィヴ・クロックロック
関係ねえ!戦わねばならぬ相手がそこに居る!!

しかし優勝を諦めることもしない一挙両得、二兎を構わず狩りつくしてやる!
そこの巨乳野郎!私と勝負だ!勝負内容はもちろん『歌』それが流儀!!

カモン安全くん、今日は安全度外視なメロディーと音の衝撃波をお届けだ!相手のレーザーは当る前におやつ精製装置でおやつにして演出に使ってくれる!
ここぞとばかりにステージを乗っ取り奴のコース魔改造を加速させていっそステージを崩壊させる!コースが自由だから最終的に私の居る座標をゴールにしてしまえばいいん…!!
ふはははは!!私の歌を聴け―!!!これが音楽ん力だー!!!

(※アドリブ連携なんでもやってください)


陸郷・める
☆める
★7号

★おい、おい。違ェだろ……そこはコースの壁を破壊しながらモブを撥ね飛ばし大音量テーマソング流しつつモンスターマシンで乱入して来る流れだろうがよォ……!!
☆(無視しつつ)……それよりおしごと、だよ?
(ヴォルテックエンジンを戦車にリンクし《エネルギー充填+リミッター解除+限界突破》)
★(ちょっと冷静になった)ま、まァ、どのみちやる事は同じか……
UCでの強化後、ドリルアーム、戦車脚の蹴りを駆使して障害物もライバルも地形も粉砕して突き進む!
一参加者がコースに手ェ加えていいなら、こっちもやるだけだァ!
オラ!ついでに研究所特製化学兵器グレネード(※ギャグ仕様)も持っていきなァ!

※アドリブ他歓迎


ティオレンシア・シーディア
…頭痛くなってきた…
いやちょっと、ポンコツにも程度ってものない?

とはいえ、あの歌鬱陶しいのは確かなのよねぇ。なんかもうこれ呪詛の領域じゃない?
ソーン(破魔)のルーンストーンと烏枢沙摩明王印(汚穢焼滅)の護符で○オーラ防御を形成、歌詞が刺さった端から〇焼却しつつ適宜パージ。状況に応じて高耐久と高機動を切り替えて●轢殺・適応でスパートかけるわぁ。
自称アイドルさんにはエオローとイサ。言葉が凍る、すなわち沈黙よぉ?

ああそうそう、あたしの近く走るなら気をつけたほうがいいわよぉ?パージした結界、そのまま障害物になるから。
ソーンの別意は「障害」。そのためにわざわざ現物使ったんだもの、有効活用しないとねぇ?


プリンセラ・プリンセス
連携・アドリブ可

・レース
このコースはスタートとゴールしか示しておらず城内に点Pはない。つまりスタートした直後に反転してゴールすれば一着である。
ルールに書いていないのが悪い。
ゴリ押しで通るかはともかくレースはこうします。
オブリビオン討滅が第一目標ですので

・対オブリビオン
皇軍砲兵、構え!で魔導砲兵部隊を召喚。
指示する属性は貫通爆破属性。UDCE風に言うのであればバンカーバスター。
それを実況などから○情報収集し、敵の位置を推測、そこに○エネルギー充填を充分に行った○全力魔法を砲兵による○範囲攻撃を叩き込んで○蹂躙する。
逃したようであれば○2回攻撃でもう一度。


ワルルーナ・ティアーメル
【レース?スタッフ】
【アドリブ・やられ役歓迎】
野良生活脱却の為「ゲリラライブの裏方仕事」を受けてきたのだが……あの依頼人「おぶりびおん」とやらではないか?
こ、こうしてはおれん
既に依頼の城改装とライブ準備は終わらせてしまったが、我が野望の為にも奴には消えてもらう

既にUCを使い裏方として各所に配置していた我が配下達に各所の仕掛けの制御を奪い奴の邪魔をさせ……奴のマシンてどれだ?
……もういい全員邪魔すれば結果オーライであろう!

ふははー!貴様たちの命運、この我、ワルルーナが握った!
お願いされればコロッとそやつを贔屓しなくもないぞ!

あ、罠担当の配下達は攻撃被弾であっさり消えちゃうので攻撃するなよ絶対だぞ



●波乱の幕開け
「――このレースには必勝法が存在します」
 キリッとした表情で、どっかで聞いたことのある台詞を言うプリンセラ・プリンセス。
 それを聞いてるのは彼女を背中に乗せている名馬チュタックだけなのだが、
 なんとなーくこの名馬の表情も、「それほんとに大丈夫?」みたいな顔であった。
「この最終コースに点P――つまり通過すべきチェックポイントは存在しない。
 つまり最終エリアに入った瞬間、すぐさま反転してしまえばゴールということ……!」
 ものすげえ理屈であった。
 スタート=ゴールってのはつまり一番最初のスタートラインに戻ってくるって意味なんだが、まあこういう理屈がむしろ喜ばれるのがデビルキングワールドである。
 てなわけで、プリンセラの作戦は普通であれば(作戦自体普通じゃねえのだが)悪魔たちから「ワ、ワルカッコイイ~!!」と称賛を受けたことだろう。普通なら。
「さあ行きますよチュタックエリアに入った瞬間反転してゴきゃああああ!?」
 しかし、ALAS! 後ろからすっ飛んできた謎のソニックブームが、チュタックもろともプリンセラを空へと巻き上げた!
 まっすぐ進んでいればまだしもなんとかなったが、下手に反転しようとしていたもんだから余計に高速スピンしてぶっ飛んでいってしまう!
「な、な、なぜ……! オブリビオン討滅が第一目標なの、では~~~!?!?」
 というプリンセラのツッコミは、あいにくソニックブームにかき消されていった。
 そして彼女の他にも、たくさんの悪魔たちが空に舞い上がっていたのである……。

 で、そのはた迷惑な衝撃波は誰が起こしてたのかっつーと。
「にゃーにゃーにゃにゃにゃーにゃにゃ」
 これまたどっかで聞いたことのあるリズムを口ずさみながら、マッハ12で爆走するレトロ・ブラウンであった。
 全長80メートルを超える巨大外骨格で暴走してたら、同じ猟兵に討伐されてギャフンと痛い目を見たっつーのに、今度は超スピードでの爆走である。頭キマイラフューチャーかよ!
「昔聞イたCMの歌っテナんか頭に残りマすよネ……そレにしても道が空いてまスネ?」
 いやにスカスカのコースに首を傾げつつも爆走はやめないレトロ。
 障害になりそうなマシンはお前が全部ふっとばしてんだよって話だが、
 真の姿になったレトロにはいつも以上に話が通じないし、もっと言うとマッハ12で走ってるんで何も聞こえやしねえ。
 んでまあそんな感じで敵味方問わずふっとばして爆走してるんだけども。
「こんなこともあろうかとピッタリの罠を仕コンドルっスよ! ポチっとな」
「えっオねえさんレースクイーンでスかねアッ」
 シュポーン! レトロはマッハ12を保ったまま垂直射出リフトで真上にドーン!
 そしてKRAAAAAAAAAAAAASH!! 虹色の軌跡を描いて天井にぶつかったレトロの起こした轟音とダメージにより、魔王城はグラグラ揺れてあちこちで崩落が起きる!
「にっしっし! これぞ「スピード違反取締用超光速垂直射出装置」っスよ~!」
 なんでもありのデビルキングワールドは、オブリビオンもなんでもありだった。
 頭から天井にぶっ刺さるレトロ……が、落ちてくる前に次のマシンが登場だ!
「うおおおお!! そこの巨乳野郎、私と勝負だコラァアアア!!」
「テメェ何もかも間違ってんだゴラァアアアア!!」
 なぜか怒り狂うヴィヴ・クロックロック! と、陸郷・める&"7号"である!
 ところでおふたりとも、なんでそんなにキレているんですかね?
「私には戦わねえとならないときがある! 身体的差別を受けたときがそれ!!
 優勝を諦めることなく、貴様という兎を狩り尽くして一挙両得してくれるわ!!」
「ええ~貧乳の嫉妬は見苦しいっスよ~?」
「野郎ぶっ殺してやる!!!!!!!!!!」
 ヴィヴはこんな感じであった。怖いね、人の恨みって。
『ンなことより俺様はテメェに言いてえことが山ほどあるんだよォ!!!』
 一方、めるの運転する多脚戦車に搭載された生体脳"7号"もバチバチにキレていた。
『最終コースで乱入すんならよォ、そこはコースの壁をバーン破壊してモブを撥ね飛ばし大音量テーマソング流しつつモンスターマシンで乱入してくる流れだろうがよォ……!! なんでテメェより猟兵のほうが現状マシン吹っ飛ばしてんだよ悪役の流儀わきまえろコラァアアア!!』
「…………それより、おしごとなんだけど」
『あ、はい。すンません』
 運転手・めるからのつめた~い一言に、ちょっと冷静になる"7号"だった。
『それはそれとしてテメェは死ねやオブリビオンコラァアアア!!』
 ガガガガガガガ!! 多脚戦車はドリルアームを増設しコースを物理的破壊!
「「「ギャーッ!!」」」
 ふつーに走っていたモブレーサーの皆さんのマシンも破壊! まあ生きてる!
「うわっめっちゃ破壊慣れてるっスね!? こうなったら――」
「ああ……勝負は"歌"なのか?(なぜか急に冷静になるヴィヴ)」
「当然っス! それが流儀ィイーッ!!」
 ガッシャーン! あちこちのコースから飛び出す巨大スピーカー!
 そして爆音で流れ出すミュージック! その音波自体が危険な兵器だ!
「「「ギャアアーッ!!」」」
 音波を浴びたモブレーサーの皆さんのマシンは爆散! 被害程度は黒焦げ!
『歌で世界が壊せるかコラァアアア!!』
「だからおしごと……」
『してんだよ!! 戦ってんの!!!』
 KRAAAAASH!! 多脚戦車のドリルがスピーカーを破壊する! だが数が多い!
 そしてマイド・アリスは攻撃を巧みに躱しながら、ゆうゆうと歌い始めた!
「気付いったところでもう逃げられないわ♪ あなたの心私にのめりコンドル~♪
 ウィンク♪目線♪ハートマークで爆レスあげちゃう♪だから私にDをたくさん使いこーんで・ねっ♪(ここでオタクたちのコールが入る)」
 これぞマイド・アリスのニューシングル「あなたに目線差しコンドル」だ!
 その歌詞は、聞いたものの心に物理的な意味で食い込んで抜けなくなってしまう!
「何が爆レスだこの地下アイドル野郎! カモン、安全くんッ!!」
 ズダダダダダンッ!! ヴィヴの背後にライブセットがどこからか落ちてきた!
 どこからかっつーかレトロが天井にぶっ刺さった影響でぶち抜いた穴からだ!
「今日は安全度外視なメロディーと音の衝撃波をお届けだ! 私の歌を聞けェーッ!!」
 ギャアーン!! アンプ・スピーカーから流れ出す強烈なギターサウンド!
「「「アバーッ!!」」」
 巻き添えを受けたモブレーサーの皆さんが申し訳程度に爆発! 彼らは盛り上げ役だ!
『ヒャッハー!! 楽しくなってきたぜェ音楽はやっぱロックだよなァ!!』
「7号、うるさい……」
 運転に集中しているめるはもうだいぶ目が死んでいた。
「ある日私は気付いた! 他の奴らが! 胸を盛りすぎているのだと!!
 胸を! 盛りすぎるな!! 胸を!! 盛りすぎるな!!!」
 そしてヴィヴの歌は爆発的ロックサウンド『胸を盛りすぎるな』だ!
 飽食の時代、栄養学的な意味で成長を続ける女性たちの胸と、そこに欲望をふくらませる男たちの浅はかさを謳った社会派ソング……なの、か???
 ただの私怨にしか思えないが、それはそれとしてこの音がマイド・アリスの歌を相殺してしまう!
「ぐぐぐぐ……! 負けないっスよぉ~!!」
 マイド・アリスはライブステージ型マシンを走らせながら熱唱続行……!

「……なんなのかしらぁこの状況、音のハウリングで頭割れそうだわぁ……」
 それはそれとして、ダブルサラウンド感情ボイスはたいへんに聴覚を削る。
 後ろから飛び込んできたティオレンシア・シーディアはだいぶ参っていた。
 マイド・アリスの歌もだが、ヴィヴの歌も(主に歌唱者がものすげえ感情を込めているので)色んな意味で重すぎるのだ。歌ってる当人の胸は軽いのにな!
「とにかくさっさとあのポンコツ(※ティオレンシアとヴィヴ両名の名誉のために言うが、これはマイド・アリスを指している)の歌を止めれば解決よねぇ……!」
 ティオレンシアはミッドナイトレースを片手で巧みに制御しつつ、ルーンストーンと護符の力を発動し、魔力を込めた音を弾く結界(単なる防音装置とも言う)を形成。これによりマイド・アリスの歌の影響とあと音量をほぼゼロに減衰する。
 同時に此処に来るまでに再増設したミサイルポッドから攻撃を放った!
「この子の限界はこんなもんじゃないわよぉ? そのマシンぶっ壊してあげるわぁ」
「おっと、そうはいかないっス! こんな機能も仕コンドルっスよ! ポチっとな」
 なんとかサーカス的軌道を描きながら飛来するミサイル……を迎撃したのは、ライブステージ型マシンから照射されたライムライト型レーザー!
 もう何言ってんのかって感じだが、平たく言うとライブステージの舞台照明そのものがレーザー化してミサイルを迎撃したのだ! いや何言ってんだ!?
 幾何学模様を描くライブレーザーはミサイルを相殺! 相殺! 相殺!!
「にっしっし! これで互角っス! さああたしの歌を聞かせてやるッスよ!」
 マイド・アリスはマシンをティオレンシアのミッドナイトレースに近づける。
 だがその時! 弾薬を撃ち尽くしてパージされたミサイルポッドがマシンに命中!
「ギャーッ!?」
「あらぁ、自分から近づいてきてくれるだなんてありがたいわねぇ?
 こんなこともあろうかと、障害(ソーン)のルーンを仕込んでおいたのよぉ」
「結界にそんな二重トラップ仕コンドルなんてズルっスよアバーッ!?」
 KRAAASH!! パージされたミサイルポッドによりライブステージ型マシンが破損!
「こ、こうなったらコースのトラップをフル起動させるっス……!」
 マイド・アリスはトラップで猟兵たちの行く手を阻もうとする!

 ……しかしこの時、マイド・アリスは気付いていなかった――いや、知らなかったのだ。
 超突貫作業で終えた魔王城の改築作業に、奴は買収したモブ悪魔たちを使っていた。
 現代で言うところの日雇いスタッフみたいなものなのだが、その中に実は猟兵が混ざっていたことを。
 そう、その猟兵――ワルルーナ・ティアーメルは、この状況を見越して密かにスタッフに潜り込んでいたのだ!
「な、なんということだ、あの依頼人「おぶりびおん」とやらではないか……!」
 あれっ全然そんなことないですね? それもそのはず、彼女はレベル10である。
 ラスボス兼魔王として野望を叶えるために分裂能力で部下を生み出すのはいいものの、生み出した部下は別に消えやしないのでそいつらを養うためにD(デビル)を稼がないといけないという、ものすげえ可哀想で苦労人な魔女なのである。
 そんなわけでワルルーナはお金を必要としていた。だからこんな木っ端みてえな仕事もしているのだ。まあワルルーナ自身が世話焼きなのもあんだけどね!
「こ、こうしてはおれん……我が野望のためにも、やつには消えてもらわねば!」
 そこにライブスタッフへ下された命令、それは「全トラップを起動せよ」。
 裏方として働いていた(さっきまでオブリビオンであることにマジで気付いていなかったらしい)ワルルーナ、これはまさしく千載一遇の好機!
 マイド・アリスはワルルーナの存在に気付いていない。そりゃ気づくわけがない。
 仇敵である猟兵が、まさかモブ悪魔と一緒に自分に雇われてるなんて誰も思わねえじゃん!?
「ここは裏方として配置していた我が配下たちに、奴の妨害をさせねば……!」
 ともあれ、ワルルーナは閃いた。逆にトラップで奴を妨害すればいいのだと。
 そこで早速、司令塔として部下たちに指示を下そうとする、の、だが……。
「…………奴のマシンて、どれだ???」
 ALAS! ワルルーナも魔王だった! 魔王と書いてポンコツと読む!
 雇い主であるマイド・アリスの顔とマシンをよく憶えていなかったのだ!
 でもまあ、日雇いのバイトじゃそんなもんだよね。うーん世知辛い!
「…………よし!!」
 しばらくコース映像をあちこちにらめっこしていたワルルーナは決心した。
「こうなったらもう、コースに居る全員邪魔すれば結果オーライであろう!」
 あーお客様いけません! お客様それは! あーっ!!
『ふははー! 貴様たちの命運、この我ワルルーナが握った!!』
 完全にラスボスモードに入ったワルルーナ、やめときゃいいのにコースの大型モニターをジャックして全レーサーたちに宣戦布告までする!
「えっ誰だあいつ!?」
『誰だテメェ!?』
「だれ……?」
「またなんか変なの増えたわねぇ……」
「誰っスか!?」
 ヴィヴも7号もめるもティオレンシアも、なんならマイド・アリスもびっくりしていた!
「お願いされればコロッとそやつを贔屓しなくもないぞ! さあどうする!」
「あ、じゃああたしはハブいて欲しいっス」
「むっ仕方ないな! 聞いてやろう!」
「『「ってちょっと!!??」』」
 猟兵たちから一斉にツッコミが入った。ワルルーナ、策に溺れる!
「にっしっし! 頭の回転の違いっスよ! これであたしは無害っスね!」
『ちなみに罠担当の我が配下たちは攻撃被弾であっさり消えるから攻撃するなよ絶対攻撃するなよ』
「『「よし(チャキ)」』」
 ワルルーナが余計なことを言ったもんだから、ヴィヴ・7号・ティオレンシアの目つきが変わった。
『それではさっそく妨害開』
「先にヤッパ抜いたのはそっちだかんな! これが音楽ん力だぁーっ!!」
『研究所特性化学兵器グレネードを喰らえオラァーッ!!』
「スナイプならむしろあたしの得意分野よぉ? 邪魔、しないでねぇ」
 ヴィヴの音響攻撃!
 7号&めるのドリルアームとグレネード攻撃!
 さらにティオレンシアのリボルバー狙撃で消滅していく配下!
 ピチューンって消える配下の皆さんは爆発四散! その余波で壊れる罠制御装置!
「アーッ!? そんなことしたら落とし穴とか落石が発動しまくってギャーッ!!」
 そしてなぜかその罠のしわ寄せは全部マイド・アリスに行く! なんで!?
『ああああ! 我が配下が! 貴様らが何をするーッ!?』
「妨害されるって言われたら普通そうするわ!」
『だから悪役はさっさとトラップ発動させんだよ憶えとけェ!』
「そもそもなんで猟兵同士で足引っ張り合ってるのかしらねぇ……」
『あっ貴様ら猟兵だったの? なんだそれはすまないことをしギャーッ!?』
 その時である! KRAAAASH!! ワルルーナのいる制御室が爆発四散!
『ウオオオオオオオオッ!!』
 あれは鳥か? 飛行機か!? いや! 復活したレトロ・ブラウンだ!
 再びマッハ12の超スピードを発動し、敵の部下(※猟兵です)もろとも壁をぶち抜いてリターンオブファイトしたのである! そしてアリスへ突撃!
『いェーいキマイラフューチャーのみんな見テるー!?』
「こいつもしかしてあたしのカメラに映りたいだけグワーッ!?」
 ライブステージ型マシン爆砕! レトロのソニックブームで吹っ飛ぶアリス!
「……おかしいです、このレースの勝敗は二の次であったはず……。
 なぜ誰も彼も、仲間である猟兵を邪魔してまでゴールを目指しているのですか!?」
 で、そのレトロがぶち抜いた穴をこれ幸いとショートカットに使い、プリンセラもやってきた。
 名馬チュタックは「もう帰りませんか」的な顔をしているが、あいにくこいつはただの馬(ユーベルコード比)なので言葉は発しないのであった。無念。
「皆様がたがそのつもりならばよいでしょう! 私もオブリビオン滅殺を最優先するまで!
 これは決して私怨でもなければ苛立ち混じりの八つ当たりなどでもありません!!」
 プリンセラはあまりにも欺瞞に満ちた台詞を吐きつつ、ユーベルコードを発動。
「皇軍よ! 我が命において、このふざけたコースとオブリビオンを吹き飛ばしなさい!
 猟兵の皆様には攻撃しないように! でも吹き飛ばしたコースの残骸でアレしても私は責任を持ちません!!」
 ずらりと並んだ近衛魔術砲兵部隊が、弓なりに放物線を描いて落ちてくるマイド・アリスめがけて全力魔法砲撃弾幕を一斉発動!
「ちょ、あたしより先に他の猟兵をギャーーーーーーーーーッ!?」
 KA-BOOOOOOOOOM!! バンカーバスター並の火力を秘めた弾幕がコースを爆砕しマイド・アリスを吹っ飛ばした!
「元はと言えばあなたの妨害がすべての原因なのです、慈悲はありません」
「そうだそうだ! その巨乳が諸悪の根源なんだオブリビオンめ!!」
『最初からコースをモンスターマシンで破壊してりゃよかったのになァ』
「もはや痛めつける原因すらも迷子ねぇ……まあいいけど」
 口々に好き勝手責任をオブリビオンに押し付ける猟兵たちであった。無慈悲!
『とこロでマッハ12で走ってルととまれなイんデすヨねギャーッ!!』
「アバーッ!?」
 さらにスピードですっ転んだレトロがダメ押しとばかりにアリスの埋もれた瓦礫にKRAAAAASH!!
 4人はとりあえず見なかったことにしつつ、レースに戻るのであった。賞金欲しいし。
「……わ、我の配下が……トホホ……」
 同じく瓦礫に埋まったワルルーナも、なんかもうしっちゃかめっちゃかであった。
「もう日雇いバイトなんて絶対こりごりだよ~~~!!」
 そしてワルルーナの顔にアイリスアウト(登場人物の顔に黒く丸が集まっていくアレだよ)するのであった。ちゃんちゃん!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霑国・永一
おのれ愛利子、やってくれたな愛利子、嫁入り前に衣装が際どいぞ愛利子。
さて、まぁそんなことはどうでもいいか。ペンライトを振る暇はないからねぇ。俺は先に行くけど、邪魔するなら迎撃しなきゃだ。

では、狂気の禁癒を発動しよう。こんな事もあろうかとこのマシンはこのユーベルコードを応用して飛べる用に魔改造しておいたんだ。空飛ぶマシンという訳だねぇ。
ショートカットもし放題だ。ついでに下の方走ってるモブレーサーもタイヤ撃っておこう。
舞戸☆愛利子が来たら近付かれないように撃ちながら走るとしよう。吹き込んでるのは貧乏風じゃなくダジャレによる冷風だよ、アイドル。
接近許してしまったらマイクに盗み攻撃。うるさいからねぇ


エドゥアルト・ルーデル
ヴォーッ、愛利子ちゃーん!!

舞戸氏の真横を並走でござるよ!
先程のクラッシュ関係なく乗り物はないので走ってますぞ!上半身を全く動かさないで足だけで!これは由緒ある忍びの走法なのでこれがホントの【忍び足】でござる

これはちゃんとした作戦でござるよピッタリとくっつくように走ることで罠を出しづらくして巻き込まれないようにしたり意図的に接触したりを狙ってますぞ!
まあねっっっっとりと観察もするが…ついでに写真も取るが…お喋りもしとくか!

ゴール近くまで来たら【超大型爆弾】をスイと取り出しゴール目掛けて投擲!
ゴールを爆破すればレースを有耶無耶にしつつオブリビオンも倒せる
安易な爆発オチも「仕方なかった」ってヤツだ


リチャード・チェイス
…………(マイド・アリスをじっと見つめる)
……はぁ(「鹿ではない。オブリビオンがどれほど尊大に振るまおうとも、所詮はその程度のなのだ。世界を滅ぼし、その先に何を見るのか。鹿ビジョンを持っているのか。悪たらんとするのならば、悪としての矜持を鹿と示すべきであろう」という気持ちを込めて通り過ぎる)

という事で、記事の通り私は先頭にひとっとびするのである(大量の鹿と共にユベコでテレポート)

(しかし誤算が生じる。このレース場に"味方"は存在するだろうか? 皆、他者を蹴落とさんとするカオスの権化。ならば味方と呼べるのは、今日もこの世界のどこかで悪巧みする彼等の事ではないだろうか)


リア・ファル
この新世界、トラウマになりそうなんですけど!?
あーもう!
そもそもルール破壊したらレースもなにもナイでしょうが!
(イラッ)
もうボクだって、好き勝手しちゃうから!
(スネた)
舞戸さん、邪魔

とりあえずBGMと照明レーザーは乗っ取ろう
(ハッキング)

周辺空間はUC【空間掌握・電影牢】で支配下にしたまま、
『イルダーナ』で走る

ヤバイアさんだろうが人食い植物だろうが
溶岩だろうが地雷だろうが、すべてコース組み替えで喚び出しボクの後方へ再配置
トラップは全て敵や他レーサーを対象に
「みんなまとめてオシオキタイムだ! ぽちっとな!」

自分は支配空間を組み替えて、ショートカットを作成
最短距離でゴールへ

少しスカッとした


マユラ・エリアル
む、道中で買ったお土産がなかなか嵩張るな…
爆買いし過ぎたか
何故人は定番の竜付きキーホルダーや木刀に惹かれるのか…
味は普通のご当地饅頭に惹かれるのか…
世界は神秘に満ちているな…

氷塊召喚を発動
氷塊を床にぶつけて氷の道を作り、スィーと滑りながら進もう
『ダンス』でも踊るか…
3回転ジャンプにステップで罠とかかわして技術点をゲットだ

急ぎ進もうとするモブの諸君
お裾分けだ、脳天に木刀を上げよう
後ろに居る諸君にはキーホルダーの撒菱でお裾分けだ

何?乱入者だと?
ふ、高度なギャグを使うとはな…
氷塊を連続召塊、舞台照明装置毎氷らせてしまうか

何?貴様もトップを目指すのか?
ならば栄養補給だ、口に饅頭を大量に突っ込んでやろう



●歌って踊って飛んでふっ飛ばしてチェキってそして鹿は彼方に消えた(要約)
「おかしい、この世界は絶対におかしい……ていうかみんながおかしい……」
 完全に据わった目でブツブツ言いながら、マシンを走らせるリア・ファル。
 比較的常識人でツッコミ体質な彼女にとって、この世界は少々刺激的すぎた。
 しかもDEVILINEは妨害攻撃なんでもありの超ワルなレースである。
 参加した猟兵の大半も、そのせいでだいぶ頭がイッてしまっていた。
 そんな悪ノリの余波を浴びせられればこうもなろう!!
「なにやらぶつくさ落ちコンドル辛気臭いのがいるっスね~?」
「うるさいよ!! オブリビオンの分際で!! だいたいキミもキミだよ!!」
 壊れたマシンの予備を引っさげて参戦したマイド・アリスにキレるリア。
「ルールを破壊したレースもなにもナイでしょうが!!」
「レースをまともに遵守するなんてワルのやることじゃないっスよ~?
 それにあたしはオブリビオンだからルール無用が当然っス、にっしっし!」
「そうかいそうかい、敵も味方もそう来るんだね、ならボクだって好き勝手するよ」
 リア、スネた! そこへ降り注ぐマイド・アリスの照明レーザー!
「ああもう、邪魔!! いいからボクの道を空けろぉーっ!!」
「ギャーッ!?」
 なんとリアは一瞬で舞台照明がたレーザー発射装置をハッキングしてしまった!
 リアを狙っていたレーザーはてんでバラバラの方角を狙いそこら中に炸裂する!
「ヴォーッ愛利子ちゃギャーッ!?」
 KRAAAAAAAASH!! さりげなくマイド・アリスに近づこうとしていたエドゥアルト・ルーデルが被弾! だが爆煙の中から当然のように飛び出してくる!
「ふうー危ないところだったっス……ってなんスかあいつはー!?」
 マイド・アリスはドン引きした。だってエドゥアルトは、生身で走っていたから。
 そう、走っていたのだ! しかも上半身がまったくブレない気持ち悪い走り方で!
「なんなんスかアレ! キモいっス!!」
「キモいとは心外でござるなそういうのもっとちょうだいもっと!!
 ちなみにこれは由緒ある忍びの走法なのでこれがホントの忍び足でござる」
「そんな技能の使い方聞いたことないっスよー!?」
 シュバババババ! エドゥアルトは乱舞するレーザーを意に介さずアリスに接近!
「ひいいい!!」
「さあ愛利子ちゃん拙者と一緒にチェキとかするでござるよ濃厚接触も!!」
「ちょ、これいいんスか!? 猟兵の権威とか品性とか地に落ちてるっスけど!?」
「知らないね! ルール無用って言ったのはそっちだからさ!!!」
 リアの目はキマっていた。これがツッコミを放棄したAIの力……!

「嫁入り前に際どい衣装をしてるからそういう目に遭うんだねぇ」
「余計なお世話っス……って、飛んでるーッ!?」
 フィオーン。超スピードでフライングする霑国・永一のマシン!
「こんなこともあろうかと、このマシンは飛べるようにしておいたんだよ。
 どうせ地雷だの減速パネルだの、地上走行前提のトラップ仕掛けてたんだろう?」
「ボクのイルダーナも飛んでるからそんなの無駄だね!」
「ぐぐぐぐ……!! な、なんでそんな完璧にアタシの罠をメタってるっスか!」
「拙者はそもそも徒歩なのでマシン相手のトラップは自動無効でござる」
「アンタはアンタで何もかもがおかしいっスよだから近づくなヒイイイイ!!」
「あっはっは、ペンライトでも振ってあげたほうがいいかい五流アイドル君」
「誰が五流アイドルっスかこの野郎ー!!」
 ドウドウドウドウ! マイド・アリスのマシンから飛び出すマイクロミサイル!
 永一はサーファーめいた華麗な飛翔でミサイルを回避! こいつはサーカスだ!
「おやおやご挨拶じゃあないか、撃っていいのは撃たれる覚悟のあるやつだけだよ?
 まあ俺は別に、覚悟がないやつでも容赦なく撃たせてもらうけどねぇ(ズドン)」
「アーッマシンのタイヤがーッ!?」
 LBAM!! 永一のスナイプによりアリスのマシンは火を吹いた!
 減速するマシン! 口をタコみたいにして近づくエドゥアルト! キモい!!
「吹き込んでるのは貧乏風じゃなくダジャレによる冷風だよ、五流アイドル」
「だから誰が五流アイドルっスか!!」
「愛利子ちゅわ~~~~~ん」
「ギャアアアアアアア!!」
 悲鳴を後ろに余裕の表情でリードしていく永一。なんという卑劣さ!
 きたないなさすが盗人きたない。ついでにトップも掠め取ろうというわけか!
「そうはいかない、ボクだってトップはほしいんだぁー!!」
 しかしそこでリアが立ちはだかる! 猟兵同士だけどいいのかな!?
 リアは空間そのものを電脳魔術で掌握、そしてコースを書き換えてしまった!
 パキーン! と地面が凍りつき、氷の下から飛び出したのは……巨大な海竜!
『ギャオオオオースッ!!』
「アーハハハハ! 湖エリアのヤバイアさんを召喚さ! どんなもんだい!!」
「おや、こいつは妨害にちょうどよさそうな悪魔だねぇ、盗ませてもらおうか」
「えっ」
 しかし! ヤバイアさんが暴れだしそうになった瞬間、永一は弾丸を発射!
 永一の攻撃は、速さや生命力と言った概念さえも「盗み取る」盗人の極致。
 ヤバイアさんの制御を盗み取ることで、永一はまんまと逆利用してしまった!
『ギャアアアースッ!!』
「ちょっと! なんでボクのほうに向かってくるのさぁーっ!?」
「さりげなくアタシも尻尾ではたかないでほしいっスギャーッ!!」
「愛利子ちゃアバーッ!!(尾っぽビンタで吹き飛ばされるエドゥアルト)」
「立ってるものは悪魔でも使え。うーん、いいセリフだねぇ」
「「き、汚いぞー!!(あまりのことに思わずハモるリアとアリス)」」
「褒め言葉だねぇ、はっはっは」
 永一は平気な顔だ! きたないなさすが盗人きたない!(二回目)

 ところで、その影響で凍りついたコースをうまいこと利用している猟兵がいた。
「……むっ、お土産がなかなかかさばるな……」
 スピンからのクラッシュするモブレーサーの皆さんをスイスイ回避しながら、
 熟練のフィギュアスケーターめいて華麗に滑るマユラ・エリアル。
 左手には壊れた自転車のハンドル、右手にはなんか色々詰まった土産屋の袋。
 なお、土産物の中身はあの竜がついたキーホルダーとか木刀とかである。
 スピードランドにももちろん売ってる例のお土産。完全に観光気分であった。
「しかも勝手にコースが凍りついてくれてこれはありがたい。いわば天啓か。
 こうなれば……フッ、そろそろ私も本気を出して50点をいただこう……!!」
 おまけになんか目的まで変わっていた。レースをしたいのかスケートしたいのかはっきりしろ。
 さながら触れたものを凍りつかせる根掘りとか葉掘りとかが気になって仕方ない神経質な能力者めいて、猛スピードで氷結コースを滑るマユラ!
 先頭集団(つまり永一やリアのことである)にあっという間に肉薄する!
「くっ、また新しいレーサーが来たか……ってこっちも生身で滑ってるー!?」
 振り返ったリアは目を剝いた。マシンすら乗ってないってどういうこと!?
「そうだ、私を見ろ! この私の華麗なダンステクニックを――!」
「完全に目的が変わってるねぇ(言いつつ割とどうでもよさそうな永一)」
「あたしがいうのもなんっスけどアンタらも大概めちゃくちゃっスね!?」
 もはやマイド・アリスがツッコミ役になる始末だ。これが狂気!
 ともあれマユラは注目されていい気分になり、くるくると踊り始めた。
 踊ってんのにスピードはちゃんと出してるのが余計に怖い。なんなんだこいつは。
「キメてみせる、3回転ジャンプ! 世界の高みへ!!」
「「「――!!」」」
 しかしその見事な踊りは、猟兵もオブリビオンも束の間魅入られるほどだった。
 なにせ技能レベルが77もある。77ったら相当な話である。エドゥアルトの忍び足の二倍以上だ(比較対象として雑)
 シャーッ、シャーッと鋭く氷を削り――そして、ジャンプ!
「……キマった……!」
「ううっ! 何もかもおかしいのに思わず拍手したくなってしまう!(感心するリア)」
「芸術だねぇ、うんうん(とか言いつつリードは離している永一)」
「愛利子ちゅわああーーーーん!!」
「ギャーッこいつ顔面しもやけしながら復活してきたっスー!!」
 一部拍手どころでないやつもいるがまあオブリビオンだからいいだろう。
 そんなこんなしているうちに、マユラは一行の前に出ていた。
「ところでこれはレースなので私から妨害という名のプレゼントをしよう」
「「えっ」」
「このために買っておいたお土産だ! 喰らえ!!」
「「えっ!?」」
 ざばー。袋から飛び出すキーホルダー! 尖ってるのでマキビシとして役立つ!
「まあ俺は空飛んでるから避けるんだけどねぇ」
「ボクも」
「って地面走ってるのあたしだけじゃないっスかあいたたたた!?」
「うおおお愛利子ちゃん!! 爆レスしてくだされー!!」
「なんで全身にキーホルダーぶっ刺さってるのにノーダメなんスかこいつ!?」
「ついでに木刀も喰らえ!!」
「あいたーッ!?」
 SMAAAAAASH!! マイド・アリスの脳天に突き刺さる木刀! これは痛い!
「なかなかえげつない手を使うねぇ。こいつは負けられなさそうだ」
「ボクだってやってやる、やってやるんだ……!!(ブツブツ)」
「ほう、なかなか高度なギャグを使うようだな。いいだろう、相手になるぞ」
 なんか完全に間違った方向にライバル意識を燃やす三人であった。

 ……そんな先頭集団からかなり後ろの方。
「……はぁ」
 しこたまいためつけられて涙目のマイド・アリスを観察していたリチャード・チェイスは、なんだか残念そうに溜息をついた。
「うぐぐぐなんであたしばっか……ってなんスかこの妙な猟兵は」
「はぁ……」
「ってなんスか!? 攻撃してくると思ったら特にしてこないし、しかもその妙に残念そうな顔して溜息だけついて通り過ぎるのやめてくれないっスかー!?」
「愛利子ちゃん、拙者とおしゃべりするでござるよお喋り、密な距離で」
「せめてこいつ持ち帰ってくれないっスかねぇー!?(遠ざかるドップラー効果)」
 リチャードの耳には、アリスの悲鳴もエドゥアルトの変態ムーブも届いていない。
 彼が思うのはただひとつ――そう、それはオブリビオンへの落胆であった。
 オブリビオンがどれほど尊大に、悪辣に振る舞おうとも、奴らは過去の遺物。
 存在するだけで世界を滅ぼし、その先に何を見出すこともないマイナスの存在。
 リチャードは憂いていた、オブリビオンという存在の虚無感を。
 あれ? 割とシリアスな感じだぞ? どうした風邪でも引いたのか?
「やはり、鹿でなき者にはこの程度であったか……」
 あっいつもの調子だ! やった!!(何もやっていない)
「世界を破滅させてそれで終わりとは、なんという短絡的な存在であることか。
 鹿ビジョンを持って悪たらんとしてこその悪、その矜持を鹿と示すべきであろうに」
「あっいまあたしのギャグに対抗していい感じにダジャレ挟んだっスね!?
 ずるいっスよあたしもコンドルギャグ結構苦戦してんのに鹿はずるいっス!!」
 ブイーン。物申したいアリスが(エドゥアルトを引っ剥がしつつ)追いついてきた。
「鹿でない者に用はないのである」
「なんなんスか鹿とか鹿でないとか! 話が入りコンドルっス!」
「若干無茶なダジャレを言う、それが鹿でなき者の限界であろう」
「う、ううううるさいっスよ!!!」
「愛利子ちゅわーん!!」
「ギャーまたこいつ追いついてきたー!!」
「もはやノット鹿なオブリビオンにはかまっていられないのである」
 リチャードはアリスを完全に見捨て(敵だから当然だ)さらにスピードを出した。
「あーなんか楽しくなってきた! ストレス解消って最高だなあ!!」
 そして見えてきたのは、コースを好き放題いじくり高笑いするリアと、
「おっとモブレーサーくん、悪いけどちょっと盾として利用させてもらうよ」
「「「アバーッ!?」」」
 他のレーサーを好き放題利用するきたない盗人の永一と、
「あまりカリカリしても腹が減るだけだぞ、饅頭喰うか? 糖分補給しておけ」
 完全に自分のペースを保っている唯我独尊のマユラであった。
「ここには鹿も味方もいない。私はこんな醜いレースには付き合っていられぬ。
 というわけで私はテレポートで一足先にゴールさせてもらうのである、アディオス」
「ってそれはさすがにルール無用すぎない!?」
「レースすらもブッチする、そんなギャグのやり方があったのか……!!」
 なんか別々の方向に驚くリアとマユラ。そこで永一が言った。
「それは別に構わないけどねぇ、ここに「味方」っているのかい?」
「――あ」
 そう、テレポート系ユーベルコードはあくまで「味方のもとに出現する」もの。
 リチャードのキャトルミューティレーション系ユーベルコード"間もなく鹿による洗礼を授けられる(シカテコステ)"もその例にもれない。
 そう、リチャードは見落としていたのだ――ここには味方などいない。
 猟兵同士でさえも争う過酷なレース! となれば彼が飛んでいく先は……!
「バカな、鹿であるこの私が悪巧みで失敗するなどありえな(ヒュンッ)」
「……消えちゃったね」
「消えたねぇ」
「投げっぱなしのオチとはやるじゃないか……!!」
 リチャード、コースアウト! 転移先はおそらくチーム悪巧みのところだろう!
「と、とにかくこのままボクがゴールさせてもらうよ!!」
「いいや、1位は俺が頂くよ」
「饅頭喰うか?」
「いらないよ!? ってあれ、そういえばマイド・アリスは――」
 ふとリアが気付いたその時。後方から猛スピードで迫る物体あり!
「オチに困った気配を感知して我慢できずに駆けつけたエドゥアルト・W・Kですぞーーーー!! というわけでこの超大型爆弾をスイと取り出して」
「「「えっ」」」
「安易な爆発オチも「仕方がない」ってヤツでござるな! そぉい!!」
 ひゅーん……KRA-TOOOOOOOOOOOOOOM!!
「爆発オチなんて、さいてーーーーーーーーーー!?」
 リアの悲痛な叫びがこだました。
 放り投げられた爆弾により、コースごとロストする一行であったとさ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

バースト・エラー
愚かな
ルール破りがワルなんて誰でも出来るニャ
それはワルじゃあない……人それを『バカ』と呼ぶニャ

本当のワルとはルールの隙を突き
問題無いけど普通はやらない事をやる
それこそレースの醍醐味!
主催! マシンの交換は違反じゃないニャ?
出でよモンゴリアンデスキャバリア――チャンピオンを取りに行くニャ!

早速ダゴンくんをアリスにけしかけ隙を伺う
残念、ダゴンくんは囮にゃ
零距離取った!ステーク炸裂!DEVILINE完!じゃない!
罠ごとチャージでぶっ飛ばし道が無ければ道を作って
足元の悪魔を踏みつけながらゴールを目指す
――モルセデスが!

交換可否は聞いたけど
するとは言ってないニャと言いくるめ

最後に勝てば良かろうなのニャ!


ニィナ・アンエノン
やばーい!
ちょっとダメージ受けすぎかな?
まぁいいや、ここはあの子と戦いつつ走り抜ける!
楽しいのが一番だよね☆
とゆー事で【ダッシュ】!
【情報収集】しながらトラップの真ん中を駆け抜けるぞ!
何だか装備の不良が起こってるけど、そこは【メカニック】のや腕の見せ所!
直しながら走るぞ!
後はもうめんどくさい!
辺り一面ユーベルコードで【範囲攻撃】だ!
敵も味方も全部【吹き飛ばし】て気分爽快と行こう☆


フェルト・フィルファーデン
◆ケン様と
あんなのもう反則じゃない……!
ええ、ケン様!わたし達の本気を見せて……えっ、白馬が!?

(慌てて体勢を崩しそうになったところでケン様に手を引かれそのまま抱きかかえられて)
――あ、あら?……えっと……えっ?ええ、怪我はないけれど……
(……もしかしてわたし、白馬の上でお姫様抱っこされてる!?)(飛びそうになる意識)
……ハッ!!いえダメよわたしこんなところで死んでいる場合ではないわ!

ここは攻勢に出るわよ!
UCで路面を凍結させて敵を纏めてクラッシュさせるから、跳び超えて進んで、ケン様!!


ふう……ふふっ、これだけ引き離せば安心ね!
(冷静に今の状況を見直す)
(王子様なケン様最高カッコいい)
(死)


ケンタッキー・マクドナルド
◆フェルトと

好き放題してくれやがって糞が……面倒ださっさとぶっ千切って終わりにすンぞフェルト!!

(などと言ってるうちに攻撃が命中、白馬が不良動作を起こし)

――甘っちょろいンだよ阿呆が!!
(崩壊する前に【プロダクション】発動
白馬人形が崩落寸前で持ち堪えつつ尚速度を上げ嘶き疾る
一方の繰り手、"格好良く演出される"効果が謎の気を利かせ
フェルトを膝上で王子様のように抱き支えつつ馬人形を繰っている)

……。
……オイ 怪我ねェな?
一瞬意識飛んでなかったかマジで大丈夫か!?

わァった攻め手ァ任せた
飛ぶぞしっかり捕まれ!!
(UC効果につきやたら演出の効いた跳躍)

上出来だ
よくやったフェ……

……し 死んでる!!?


ヴィクティム・ウィンターミュート
おっと、ここに来てようやく出てきたか
そろそろ仕掛け時でもある──派手にやろうぜ

10km以上離されないように、アリスを追い続ける
先頭を走らない分、罠の有無は見当が付きやすい
奴が作ったショートカットも最大限利用してやる
面倒な攻撃もモブを盾にしちまえば問題なしだ
ヘイトは買わんよ
さて、致命的な罠が欲しいな…それも奴が『やり過ごした後』のが
俺はレースにも勝つし、オブリビオンにも勝つ

アリスがやり過ごした罠に『自分から突っ込む』
自殺願望?ノンノン
手品を見せるのさ──『Illusion』
罠に入る直前、俺とアリスの位置を入れ替える
グッバーイ、アリス

さて、1位争いにも当然コイツを使うぜ
ゴール直前に俺は悪辣だぜ?



●人の瞳が背中についてないのはバックスタブで突き殺されないため
 KRA-TOOOOM!!
「ギャーッ!!」
 リプレイ開幕早々吹き飛ぶマイド・アリスのマシン! ちなみにこれで三度目だ。
「悪いな、オブリビオン。俺はお前にも勝つし、レースにも勝たせてもらうぜ」
 と、まるでシリアスなシナリオみたいにクールにキメるヴィクティム・ウィンターミュート。
 その類まれなハッキングスキルと悪辣なプランでコースアウトさせたのだ……が!
「こんなんで落ちコンドル場合じゃないっスよー!!」
 見よ! 爆発の中から飛び出すマイド・アリス……と、4台目のマシン!
 舞台照明とかスピーカーとかを備えた、いわば走るライブステージとでも言うべきセットだ!
 誰がどう見ても今しがた爆発したマシンの中に入っていたとは思えない!
「って待て! さすがにコースアウトから即復帰はルール違反じゃねえのか!?」
「マシンが壊れたら失格なんてルールはどこにも書いてないっス!」
「別にそれでケリがつくとは思ってないが滅茶苦茶だろその理屈は!!」
 思わずツッコミを入れるヴィクティムであった。ごもっとも。
「いや……あれこそ本当のワルニャ」
「は?」
 そんなヴィクティムとPUIPUI併走するモルセデス(モルモットのカーだからモルセデス)に乗るバースト・エラーが、なぜかしたり顔で言った。
「本当のワルとはルールの隙を突き、問題ないけど普通はやらないことをやる。
 ならば! 書いてないからと言って別のマシンを出すのも立派なワルニャ!!」
「ワルの定義の話はしてねーよ! つーかオブリビオンの肩持つなよ!!」
「いいやここは肩を持たせてもらうニャ。なぜならみゃあも同じことをするので」
「「えっ」」
「主催! マシンの交換は違反じゃないニャ!?」
『問題ないぜ!』
「いいのかよ!?」
 大型モニターでサムズアップするジャイアント・コージにツッコむヴィクティム。
 だがOKが出た以上はしょうがない、さらに言えばOKが出なかったとしてもバーストはめちゃくちゃをやる! なぜなら……ギャグキャラだから……!!
「というわけで出でよモンゴリアンデスキャバリアーッ!!」
 ドワオッ!! とワームホールから飛び出すなんかヤバい外見のキャバリア!
 モルセデスはPUIPUI鳴きながらモンゴリアンデスキャバリアと合☆体!
「これが勝利の鍵ニャ! さあチャンピオンを取りに行くニャー!!」
「くそっこんなとこでキャバリアとかズルいだろ! 俺もやりてえ!!」
 ヴィクティムも男の子なのでさらっと本音が漏れていた。まあやりたいよね。
「そんなポンコツにやられるアリスちゃんスペシャルじゃないっスよー!!」
 そして三人はデッドヒートを開始! レーザーとステークがぶつかり合う!

「あ、あんなのもう反則じゃない! 敵も味方もめちゃくちゃだわ!」
 そんなめちゃくちゃな光景を、後ろから猛追するフェルト・フィルファーデンは呆れ返った顔でツッコんでいた。
「好き放題してくれやがって糞が! しかもあのキャバリアかっけーじゃねーか!!」
 フェルトを抱えて機械白馬で走るケンタッキー・マクドナルドも叫んだ。
「ええ、ケン様……って反応するところはそこなの!? そこでいいのかしら!?」
「バッカお前カッコいいってのは大事なンだよ!! いやそうじゃねェな」
 そしてフェルトのツッコミで我に返る。そうだよそういう話じゃねえんだよ!
「面倒だ、さっさとぶっちぎって終わりにすンぞフェルト!!」
「ええ、ケン様! わたしたちの本気を見せてあげましょう!」
 ふたりはいい感じにラブな空気を出しているが別にカップルではない。
 正確に言うとまだ両片思いの段階であってお互い素直になれず相手を想いながらもあと一歩のところを踏み出せないその甘酸っぱさがやっぱり書いてる側としてもときにじれったくけれどもそれゆえにヤキモキさせられてそれが尊さを感じるそういう侘び寂び的なものがある実に素晴らしい青春的な関係だということをここで強く主張しておきますがリプレイには関係ないので進めます。
「なんかラブな気配を感じたっス! 追いつかせはしないっスよー!!」
 ヴィクティムやバーストとデッドヒートを繰り広げつつ、マイド・アリスが攻撃!
 舞台照明型発射装置から放たれたレーザーが、歪曲してふたりの白馬を襲う!
「うおおおお……ッ!!」
「け、ケン様! 大丈夫ッ!?」
 さしものケンタッキーが作り出した白馬でも、この数のレーザーは回避しきれない。
 ダメージを受けた白馬は徐々に動きがぎこちなくなり、それが被弾を増す。
 このままではジリ貧だ! しかもコース上にポップアップする新たなトラップ!
「にっしっし! このまま罠でハメ殺してやるっスー!!」
「そうはいくかー☆」
「な、何ーッ!?」
 その時である! ニィナ・アンエノンのマシンが猛スピードで割って入った!
 スピードが生み出すエネルギーでレーザーを跳ね返し、さらにミサイル発射!
 無数の高機動マイクロミサイルがレーザーを相殺していく!!
「あ、あいつ……!」
「イイトコ邪魔されちゃうのってムカつくもんね☆気にしないでおふたりさん!」
「いや、俺らはそういうンじゃ――」
「いいっていいって! にぃなちゃんは野暮なこと言わないから☆」
 ケンタッキーの台詞もろくに聞かず、ニィナは猛スピードで加速した。
 どうやら、彼女の中では苦難に見舞われたカップルをいい感じに助けた通りすがりのヒーロー、的なストーリーが出来上がっているらしい。
「オイ待てコラァ!! ありがたいけどそういうンじゃねーからな!?」
「えっケン様、そういうのではないの……?」
「ってなんで落ち込んでンだよフェルト!? ああクソ運転がままならねェー!!」
 さすがにスピードダウンしていくふたり。一方ニィナはアリスに肉薄!
「よくも邪魔してくれたっスね猟兵ー!!」
「そっちこそ楽しくないことばっかりして、レースの邪魔だよ!
 走るのは楽しいことなんだから、楽しくないレースはにぃなちゃんが許さないよ!」
「楽しいだの楽しくないだの関係ないっス! あたしが楽しければそれでいいんスよ!」
「そーゆー自分勝手、にぃなちゃんは嫌いだなっ!!」
 ドガガガガガガ!! と、マイクロミサイルとレーザーが空中で爆発する!
 ニィナは業を煮やし、アリスごとあたり一面を吹き飛ばす勢いだ!
「ちょちょちょこっちにも飛び火してるニャー!?」
「おっと、危ないからそこのモブレーサー盾になれ」
「「「ギャーッ!!」」」
 バーストは逃げ惑う! ヴィクティムはモブを肉盾にして回避! あ、悪辣!!
 立体的コースはリアルタイムのハッキングとコース制御によりぐにゃんぐにゃんと縦横無尽に変化する。もはや印象派絵画のような異次元コース状態だ!

「んもー、あっちこっちに逃げ回って!」
「にっしっし、気付いてるっスか? あんたはさっきからトラップ踏み放題ッス!
 あたしの攻撃をうまく躱したとしても、トラップでマシンはお陀仏っスよ!」
「え……!?」
 ニィナは気付いた。マシンのメーターが異常な数値を示していることに。
 エンジンの出力がおもいきり低下し、ハンドルもろくに効いていない。
 このままではコースアウト必至! だがニィナはスパナを取り出した!
「だったら走りながら直しちゃうもんね☆」
「な、なんですとーッ!?」
 さすがは熟練のガジェッティア! 爆走しながらマシンを直し始めた!
「アイツ……同じ技術者として負けられっかよォ!!」
 自壊寸前の白馬を走らせていたケンタッキー、人形師魂が燃え上がった!
 その瞬間白馬が火を吹いて壊れる……いや、電子の糸がそれを『縫い留めた』!
「走りながら修理だァ? そのぐらい俺様も出来るンだよ! おい待てコラァ!!」
 そして白馬人形はむしろさらに加速し、いななき走る!
「きゃ……!?」
 咄嗟のスピードアップで思わず体勢を崩しかけたフェルト。
 そんな彼女の手をケンタッキーはぐいっと引き、膝上に抱きかかえた。
「おう大丈夫かフェルト、キチンと捕まってねェと落ちるぞ」
「え、えっと……え? ええ、怪我はないけど……」
 困惑するフェルトは、ようやく状況を理解した。
(……もしかしてわたし、白馬の上でお姫様抱っこされてる!?!?!?)
「そうか、まァ怪我がねェならそれで」
「ふふ、わたしの生涯に一片も悔いなしだわ……」
「って何いい顔で魂抜けかかってんだフェルトォ!?」
「……ハッ!!」
 あまりの"尊さ"に魂が召しかけていたフェルト、しょうきにもどった!
「そ、そうよね! ここは頑張って追いつかなきゃ! 攻勢に出るわよ!!」
 気を取り直したフェルトは電子の糸を放ち、マイド・アリスの前方コースだけを路面凍結させてしまう!
「って急にコースが冷えコンドルっスー!?」
「さあいまよケン様! それに猟兵の皆様! ジャンプして進んで!」
「わかったニャアアアアアア!!」
「おもいっきりクラッシュしてるわー!?」
「ここは滑ったほうが面白い気がしたニャギャアアアア!!」
 哀れ、バーストのキャバリアはぐるぐる回転しながら後ろにすっ飛んでいった。
「なんで妙なとこでギャグ狙ってんだよあいつは……このぐらいわけないぜ」
「にぃなちゃんだってお茶の子さいさいだもんね☆」
 ヴィクティムとニィナは見事にコースアウト回避! そしてケンタッキー!
「飛ぶぞ! しっかり捕まれ!!」
「ええ、わかったわ!」
「ギャーーーーーーーーーー!!」
 くるくるスピンしながら派手に火を吹くマイド・アリスを華麗に飛び越える白馬!
 なんかこうキラキラ~といい感じの光も飛び散り、背景には薔薇も舞っている!
「――あ」
 そしてフェルトは見た。最高に王子様って感じのケンタッキーのイケメン顔を。
「よォし上出来だ、よくやったフェルト!」
「…………」
「……フェルト?」
「王子様なケン様最高にカッコイイ、尊い……」
「フェルト、おいフェルト! フェル……し、死んでる!!?」
 口からエクトプラズムを吐きながらサムズアップするフェルト。大惨事であった。
「く、くそーなんかいい感じになってるのがムカつくっスー!!」
「おっと、よそ見していていいのかニャア」
「ハッ!?」
 スピンから復帰したマイド・アリスは先頭集団に追いつこうとした。
 そこで気付いた――一緒にスピンしていたバーストが並走していることに!
「ま、まさかこのために……!?」
「そういうことは特にニャーがゼロ距離取った! ステーク炸裂ニャア!!!」
「ギャーーーーーッ!!」
 KRAAAAAAAASH!! モンゴリアンデスキャバリアのステークが炸裂しマシン破砕!
 だがアリスにはまだ秘策があった。すぐ前方を走るヴィクティムの存在だ。
「ったくどいつもこいつも、ミサイルだの路面凍結だの好き放題やりやがって。
 俺のマシンはそこまで上物じゃねえんだ、すっかり離されちまったぜ……」
(にっしっし! あいつのマシンを上手く踏み台にしてやれば巻き返せるっス!
 しかもあいつは気付いてないっス、すぐ近くに爆発床があることに……!!)
 ヴィクティムが爆発床を踏んだ瞬間、その爆風を飛び越える形で加速する。
 敵の策を利用しての見事なプランであった――そう、プランは完璧だった。
「ところでオブリビオン――トラップに引っ掛けつつ俺を追い越して一石二鳥、って思ってるだろ?」
「え?」
「手品を見せてやるよ。入れ替わりマジックってやつだ」
「え!?」
 パッ、と光がマイド・アリスの視界を包んだ瞬間、なんということか!
 ヴィクティムとマイド・アリスの位置がそっくり入れ替わっているではないか!
 ヴィクティムを飛び越すつもりで加速していたマイド・アリス、すなわち……!
「グッバーイ、アリス。俺を利用するなんざ、100万年早いんだよ」
「ギャーーーーーーーーーーー!!」
 KRA-TOOOOOOOOM!!
 冒頭と同じく、盛大な爆発でマシンごと吹っ飛ぶマイド・アリスであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミルラ・フラン
サギリ(f14676)と!!!!!
ああ、感じるよ我が妹よ!
だがね、サギリとあたしとプラチナムビューティーセクシー号は何者にも負けないよ!

罠や障害物をぶっ壊すのはあたしの仕事!サギリがラブリーに走破できるよう、セクシーに破壊するよ
イェーイ!観客の皆ー!見てるぅー!?
サギリのドラテクにも注目しな!むしろしろ!
照明レーザーはオーラ防御で防ぎつつ、ファビュラス対決(誘惑&存在感&言いくるめ)に持ち込んでAttraente Cremisi!
消える床は変形させたSignorina Torturaで橋をかけ、ギロチンは鎧砕きを乗せたConvinzioneで破壊する!

いくよ!目指すはファビュラスの頂点だ!


サギリ・スズノネ
ミルラお姉さんと!(f01082)

ミルラお姉さんライバルの気配を感じるのです!
でもお姉さんとサギリ、そしてゴールデンファビュラスボンバー号は負けないのです!
レース中に愛利子ちゃんぶっ飛ばしてサギリ達がファビュラス頂点につきましょうなのです!

ハンドルを握ってアクセルを踏みます!
アクセル80%くらいでいくのです!

罠とか多そうですから、火ノ神楽を罠っぽいものにぶつけてぶっ壊していくのです
マシンがクラッシュしないように、一部の火の鈴をマシンの周りでぐるぐるさせて守りつつ
地面の凸凹にも気をつけて行くのですよ!(※地形耐性)

ラストスパートはファビュラスを限界突破していくのですよ!
アクセル全開なのです!


エスタシュ・ロックドア
【骸と羅刹】

シンディーちゃんに【騎乗】【運転】中
俺ぁレースより乱闘の方が向いてるな
椋、いつも通り頼
ステイ(【怪力】で掴む)

何降りようとして
Wait(掴む)
飽きた?!

待て待て待てそりゃないぜ相棒
ここまで一緒にやって来たじゃねぇか
そりゃ自由を尊ぶ俺だが流石にここで降りられると困る
くそ、お客様の中に骨の悪魔はいらっしゃいませんか!?
いねぇ、解散!

そうだなえらいな
だからもうちょっと頑張ろうな?
せめてゴールしよう、な?
……次の飯おごるからよ
ああ、財布死んだな

あん?
歌が何だって?
悪ぃ、聞いてなかった
ちょっと黙っててくれ今それどころじゃねぇんだ
(『半可神通』発動
敵の上下の顎を押さえる)

あ、コースアウトしてら


六島・椋
【骸と羅刹】
そうか。じゃあな
(帰り道を作るため、先程のコースで奪った銃をモブに放ちながら降りようとする)

じゃあな(二回目)
え、だって飽きたが(先程略RPGを撃つ)

コースが長いし骨の悪魔も見当たらないし
なので帰る
帰って骨(かれ)らの手入れをしなければならない
(罠めがけナイフぶん投げながら)

なんならここまで居続けたこと自体褒められるべきではなかろうか
自分頑張った。えらい

いやだってもう魂が帰りたがってる
……飯か
好きなだけ食っていいということか
ならまあ居てやろう

なんだ歌とかやってたのか
骨らが立てる音ならまだしも、
歌とかその辺の爆発音と同じに聞こえる
邪魔なんであっちでやってくれ(UCを使ってぶっ飛ばす)


ゴロウザエモン・サンモト
ダイダラボッチは消滅…ちっ!使えん駒だ、報酬は踏み倒しである。こうなったら我が自分自身でゴールしてやる…!

ちょっと可愛くて乳がでかいぐらいで調子に乗るなよ我が返り咲くのを邪魔する者は滅びろーっ!

100本以下のレーザーなんぞ天から降り注ぐ我がシモベどもを盾にすればどうとでもなる。
そして無数のシモベどもであればレースの妨害も罠の解除(わざと罠に引っ掛からせる)も容易!
我の為に散れ!百鬼夜行!

これは汝のライブではない!我が最速で駆け抜ける物語である!
烏天狗とか様々な速い妖怪たちの力を取り込み、レーザーも妨害も躱してゴールまで突っ切る!ついでにあの女も抜きざまに殴る!

勝てなかったら泣く。誰よりも泣く。


トルメンタ・アンゲルス
『オブリビオンを倒す』
『レースを走り抜く』
「両方」やらなくちゃあいけないのが「猟兵」の辛いところですねぇ。
覚悟はとうに出来ている!

立ちはだかるなら、蹂躙される覚悟は出来ていますよね!
お前を踏み越え――
『MaximumEngine――』

――その先へ、往く!
『――Code:Stellar』


白銀の装甲を創造し、突き抜けます!
あらゆるモノに負けない無敵の速さのダッシュで、妨害もトラップも後続も置き去りにします!
歌の重圧?
そんなものはね除けます!

そして、その聞くに耐えない歌も終わりにしましょう!
一切を蹴り穿つ!
追撃のォ!
ブリッツランツェ――!!

そのまま突き抜け、ゴールに向かいます!



●DEVILINE、決着!!
「うおおおお!! あたしはまだ死なないっスー!!」
 5回ほどマシンが爆発しているのに、マイド・アリスはまだ元気だった。
 とっておきのマシン(ライブステージ型)を引っ張り出し、超スピードで加速!
 あっという間に集団のトップに躍り出た。なんたるトップへの執念か!
『この俺の先を征くとは、褒めてあげますが……大した度胸ですね』
 その後を追う集団のひとり、トルメンタ・アンゲルスが言った。
『オブリビオンを倒す、レースも走り抜く。
 両方やらなくっちゃあいけないのが、「猟兵」の辛いところですからねぇ!』
「…………ふざけるなよ……」
『ん?』
 そんな彼女の隣で、どろどろと殺意の炎を燃やす少女が居た。
 魑魅魍魎の担ぐ神輿にふんぞり返ったゴロウザエモン・サンモトである。
「ちょっと可愛くて乳がでかいぐらいで、調子に乗るなよオブリビオンめ……!!」
『あの、怒るポイントちょっとずれてないですかね???』
「特に乳がでかいあたりが気に食わない!! 我に対するハラスメントである!!」
『向こうにそんなつもりは特に無いと思いますけどね!?』
「いいやある! 我があるって言ったらあるのだぁー!!」
 ゴロウザエモン・サンモト、14歳。魔王系女子は色々気難しいお年頃であった。
 頼りにしていたダイダラボッチ(全長60m超えの妖怪である)が「もう定時なんでお先失礼しまーす」とかナメたこと抜かして帰ってったのもかなり機嫌に影響しているんだろう。
「我が返り咲くのを邪魔する者は! 滅びろーっ!!」
『やる気十分なのはいいですがおっかないなぁ!?』
 トルメンタもドン引きであった。そのぐらいゴロウザエモンの怒りは強かった。

 さて、そんなマイド・アリスを追うのは彼女らふたりだけではない。
「ミルラお姉さん……感じるのです、ライバルの気配! そして決着の気配を!」
「ああ、感じるよ我が妹よ……! ここが大一番というやつだね!」
 サギリ・スズノネとミルラ・フランのファビュラスシスターズ(いま適当につけた名前)も、大いに盛り上がっていた。
 ツヤツヤのルージュ色の……なんかファビュラスな名前のマシンもブイブイいわしている!
 そして後ろにくくりつけられた、あの結婚式でカランカラン言う空き缶のやつがうるせえ! これ絶対ファビュラスとかそういうのじゃないって!!
「手強いライバルたちなのです! でも、お姉さんとサギリならば……!
 そしてこのゴールデンファビュラスボンバー号の力ならば、勝てるのですよ!」
「ああ、サギリとあたしと、このプラチナムビューティーセクシ―号ならね!!」
 もう本人らもマシンの名前をろくに憶えていなかった。愛着とかねえのか。
「「ラブリィー!!」」
 全然ラブリーじゃない叫び声で同時にアクセルを踏み、一気に加速するなんとか号!

 そんな赤いマシンと並ぶ形で、エスタシュ・ロックドアの愛機「シンディーちゃん」が走る……が!
「というわけで自分は帰る。じゃあな」
「ステイ!!!」
 平然とした顔でタンデム状態から飛び降りようとした六島・椋を慌てて掴むエスタシュ!
「何普通に降りようとしてんだよレース中だろ!」
「じゃあな(二回目)」
「だからスルーして飛び降りようとするな! ウェイト!!」
 バイクを運転しながらもみ合いになる両名。たいした器用さであった。
「待て待て待て! いきなりなんだ椋、どうした!?」
「飽きた」
「飽きたぁ!?」
「「「ギャーッ!!」」」
 なお、椋は会話しながらRPGだの拳銃だのをモブに叩き込んでいた。コワイ!
「だってコース長いし、骨の悪魔も見当たらないし。なので帰る」
「待て待て待てそりゃないぜ相棒、ここまで一緒にやってきたじゃねえか」
「だが帰って骨(かれ)らの手入れをしなければ」
「そうかえらいな! 実にいいことだし俺も自由を尊ぶけどその自由さは勘弁な!
 あとちょっとでゴールだから! つーかオブリビオン前方にいっからな!?」
「骨(かれ)らのほうが大事だ」
「猟兵にあるまじき台詞言いやがったなこいつ!? と、とにかくあれだよ!
 せめてゴールしよう、な! 次の飯奢るからよ、な、頼む……!!」
「…………」
 もう魂のレベルで帰りたがっていた椋、じーっと無表情でエスタシュを見つめる。
「飯か」
「お、おう」
「好きなだけ食っていいんだな」
「……お、おう!!!」
「ならまあ居てやろう」
 エスタシュ、胸をなでおろす。同時にずーんと顔に縦線が入っていた。
(こりゃ優勝しても財布は死んだなあ……)
 別の意味で負けられない。頑張れエスタシュ!

 そんなこんなの悲喜こもごもがあちこちで展開されるレース模様。
 マイド・アリスと猟兵たちのデッドヒートは続き、コースも終盤に差し掛かりつつあった。
「くっそー、まーだついてくるっスかこの猟兵たちは! 邪魔すぎるっスね!
 こうなったら、舞台照明レーザーの大盤振る舞い! アーンドトラップ炸裂っス! ポチッとな」
 赤くてドクロのマークを押した瞬間、ライブステージ型マシンとコースに設営された全舞台照明型レーザー発射装置が起動!
 発射されたレーザーの総数、実に2000本以上! モブレーサーも巻き込んで猟兵全員に雨のように降り注ぐ!
「我がシモベども!」
「「「はい、魔王様!! 何か作戦が!?」」」
「特に無し! どうせ貴様らは死んでも生き返るのだから肉の盾になれ!!」
「「「ですよねー!!!!」」」
 ゴロウザエモンの無慈悲な命令! だが百鬼夜行たちに反抗する権利なし!
 妖怪たちは涙目になりながらジャンプしレーザーを受け止める! 爆発に次ぐ爆発!
「「「ギャー!!」」」
「ええい邪魔だ邪魔だ! 撃ち落とされたやつはさっさと再起せよ!
 そして我を乗せた神輿を頑張って走らせろ! スピードダウンしたら許さんぞ!!」
「「「今日の魔王様ちょっと妖怪使い荒すぎないですかね!?」
「我の再起がかかっておるのだ!! いいから走れぇー!!!」
「「「はいいいいい!!」」」
 ゴロウザエモンの目は血走っていた。負けたら誰よりも泣きそうであった。
 なんとしても魔王として箔をつけたい。優勝賞金で自分の国が欲しい!
 ようやくまっとうに(?)魔王と名乗れる世界を見つけた少女は燃えていたのだ!
『こんなレーザーだの罠だので! 俺の道を塞げるとでもッ!?』
 そしてトルメンタ! 時間流を制御し超光速のダッシュですべてを突破!
 宇宙を駆け抜ける戦乙女にとって、コースに設置された罠など物の数ではない!
 爆発・加速・減速・ジャンプ・あと一時停止パネルなどを全部踏み潰す!
「ってそんなのアリっスか!? こ、こうなったらあたしの歌を聞けっスー!!」
 ライブステージ型マシンのスピーカーから流れ出すアイドルソング!
「心に吹きコンドルのは隙間風? いいえ、あなたを想う恋の風♪
 あたしが溜めコンドルこの想い♪ 風に乗せてあなたにとーどけー♪」
「「「ウオーッ!! アリスちゃーん!!」」」
『まとめて邪魔だ吹っ飛べブリッツランツェー!!』
「「「「ギャーッ!!」」」」
 追っかけのモブ悪魔の皆さんもろともブチぬくトルメンタの一撃!
 その白銀の装甲はありとあらゆる干渉を許さない! アイドルソングもだ!!
「あ、あたしの歌――」
「ちょっと黙っててくれいまそれどころじゃねえんだよ」
「ムグーッ!?」
 がしーん! エスタシュの念動力がマイド・アリスの口を無理やり上下から抑え込んだ!
 顎を押さえられては歌を歌うどころではない。アイドルにする仕打ちか!?
 しかも歌ってる最中にいきなり口を閉じさせられたから舌を噛んで大ダメージ!
「ンンーッ!! ムググーッ!!」
「なんだ歌とかやってたのか。そこらの爆発音と何が違うのかわからなかった」
「ムググーッ!!(椋の台詞に必死に抗議するマイド・アリス)」
「顎閉じられてんのに元気だなあのオブリビオン」
「邪魔だな」
「ふっ飛ばしちまおうぜ」
「そうだな。というわけで邪魔だ」
「ムグァーッ!?」
 SMAAAAAAAASH!! 椋の骨格人形におもいっきりはたかれ蹴っ飛ばされるマイド・アリス!
 マシンごと大きくスピンしてそこら中に激突! そしてD(デビル)をぶちまける!
「なんでコースアウトするたびコインばらまいてんだあいつ……?」
「よくわからないが金は拾っておこう」
 ちゃっかりDは回収しておくエスタシュと椋であった。まあほらレースだしね??
「ムグググ……プハッ! こ、こんなナメられて黙ってられないっス!!
 レースに優勝するのは、この誰よりもかわいいアリスちゃんなんっス!!!」
「聞き捨てならない台詞だね、マイド・アリス!」
「ビューティーでプリティーでラブリーでファビュラスなのは!」
「「このあたし/サギリたちだよ(なのです)!!!」」
「ゲェーッ!?」
 そこへ猛スピードで突っ込んでくるウルトラダイナマイトファイナルプリティー号!
 マイド・アリスはレーザーを放射して撃墜しようとするが、サギリがマシンの周りにぐるぐる亀の甲羅めいて生み出した金色の炎がレーザーを相殺してしまう!
「ど、どうしてあたしの攻撃が効かないッスかー!?」
「それは――あたしたちが、ファビュラスだからさ!!!」
 デン! さらになぜかミルラがマシンの上に仁王立ちした!
「アンタがアイドルだというなら! このあたしとファビュラス対決だよ!!」
「ファビュラス対決って一体な」
「そこだ隙ありーッ!!!!」
「ギャーーーーーーーーーー!!!」
 KRAAAAAAAAAAAASH!! 大鎌ブーメランがライブステージ型マシンを粉砕した!
「さあ今だよサギリ、F.F.F(ファビュラス・ファイナル・フルスピード)だ!」
「了解なのです!! うおおおおおおお!!」
 金色の炎がエンジンに点火! ハイスピードファビュラスバースト号が超加速!
「だ、だから、ファビュラスって、一体なんなんスかぁーーーーーー!?」
 マイド・アリス無残! 燃え上がるスペースグレートビューティ号に轢殺され爆発四散!!

『おっと、どうやら魔王城を抜けて、トップ集団が飛び出してきたぞ!』
 そして魔王ハヤスギー城の正面玄関。
 飛行船から実況するジャイアント・コージのMCとともに、観客が湧き上がる。
 バゴン!! と魔王城の門を突き破り、飛び出す4組の猟兵たち!
「いいか椋、もう降りるなよ! あと少しでゴールだからな!?」
「でも骨の悪魔いないからな……」
「飯奢るって言ったろ!? 妨害に備えておいてくれりゃいいんだよ!!」
「でも骨……」
「いーいーかーら!!」
 ぎゃあぎゃあと言い争いしながらフルスロットルなエスタシュ&椋のシンディーちゃん!
『うおおおおお!! モブの皆さんはどいてください! 殺しはしませんから!!』
 猛追するモブ悪魔たちを吹き飛ばしながら加速する、トルメンタ!
「こうなったら百鬼夜行よ! 我に憑依せよ! ていうかその力全部よこせ!!」
「「「ちょっと魔王様!?」」」
「神輿なんぞ乗っていられるか! 我は我の力でゴールしてくれるー!!」
 可哀想な妖怪たちのパワーを取り込み羽を生やして一気に爆走するゴロウザエモン!
「「ファーーーービュラーーーーース!!」」
 もはや言葉は不要! 何もかもを勘違いしたビューティコンビ、サギリ&ミルラ!
『とんでもない奴らのデッドヒートだ! 燃えるファイナルウルトラスペシャルクレッシェンド号と、それに猛追するシンディーちゃん! ものすごい火花を散らす!』
 4組の猟兵たちのデッドヒートを前に、ジャイアント・コージのMCも加熱する!
『このままトップはいただきます! 悪いですねぇ!!』
「そうはいかないよ! さあ、サギリのドラテクに酔いしれるがいいさ!」
「そしてミルラお姉さんのファビュラスさを心に刻み込むのです!!」
「ファビュラスとはなんだ!? わけがわからないが我の勝利は譲らん!!」
「くそっ、こうなったら負けられねえぞ椋! わかってるな!?」
「正直どうでもいいんだがな……」
「気持ちで負けてたら勝てるもんも勝てねえんだよ!!!!」
 猟兵たちはもはや完全にトップを目指してしのぎを削る!
 トルメンタが時間流を歪曲させダッシュすれば、燃え上がるストライクザデッドヒート号がスリップストリームめいてそれを利用し加速!
 かと思えばシンディーちゃんがその間に割って入り、RPGの爆発がコースを破壊!
 瓦礫舞い散る噴煙の中を、烏天狗の羽を生やしたゴロウザエモンが突っ切る!
『勝つのは誰だ!? シンディーちゃんか! いや疾い、トルメンタ疾い!!
 おーっとここでレッドホットバニーガール号が差し込んできたぞ!!
 しかしさらにゴロウザエモンが翼を増やして加速! 鬼の棍棒も振り回す!!
 また爆発だ! シンディーちゃんリードする! ルージュホワイト号が追跡!
 トルメンタとゴロウザエモンが激突! その余波でモブが吹き飛ぶぅー!!』
「「アクセル全開!! ゴー! ファビュラス!! ゴー!!!」」
「このまま突っ切るぞ椋!!!」
「まあなんでも構わないが……」
『俺に追いつけるかァッ!!?』
「我は、我は――ちゃんと呼ばれる魔王になりたいのだーーーーッ!!」
 最後の直線、四組は同時に加速し、そして――!



 …………そして、会場はウソのように静まり返った。
 レーサーたちの猛スピードにより焼け焦げた直線コースが、ごうごうと燃えている。
 前のめりにゴールインしたレーサーたち、はたして優勝を掴んだのは……!?

『……ゆ、優勝は――ゴロウザエモン・サンモトだぁー!!』
「…………………はっ」
 完全に勢い余って地面を転がっていたゴロウザエモンは、その声に我に返った。
 そしてぼんやりしたまま立ち上がり、ぽかんと観客たちを見上げる。
 大型モニターに映るのは、わずかな差でトルメンタを追い抜いたゴロウザエモンの姿である。
「…………我が…………勝った?」
『どうやらそのようです。スピードだけでなら俺のほうが上だったんですがね』
 そんな彼女に、変身を解除したトルメンタが笑いかけた。
 判定映像をよく見れば、最後の最後でゴロウザエモンの背中を押していたのは……彼女の絵筆から生み出された、無数の百鬼夜行たちだったのである。
「最後の一瞬のチームプレイで敗北、というところですか。まあレースですからね」
「…………」
 遠くではサギリ&ミルラや、エスタシュ&椋の姿。
「……我が……優勝……」
 しばし呆然としていたゴロウザエモンは、わっと叫んだ。
「――――やっ…………たーーーーーーーーーーーーー!!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


 かくして、スピードランド第666回レース大会は、波乱のうちに幕を下ろした。
 オブリビオンの野望は打ち砕かれ、レースも無事(?)終結。
 1位になったゴロウザエモン・サンモトには、多大なD(デビル)が支払われたという。
 レースが決着すれば、敵も味方も悪魔も猟兵もなかった。
 誰もが笑顔で足を踏み鳴らし、偉大にして勇敢なる、そしてワルなレーサーたちを称えるのだ!
 そしてまた次のレースが開催される時、この国は大いに沸き立つことであろう。
 なにせこの国は、スピードに毒されたワルい奴らの楽園なのだから……!

【DEVILINE・最終順位結果】
 優勝:ゴロウザエモン・サンモト(177ポイント)
 2位:トルメンタ・アンゲルス(173ポイント)
 3位:サギリ・スズノネ&ミルラ・フラン(170ポイント)
 4位:エスタシュ・ロックドア&六島・椋(162ポイント)
 5位:フェルト・フィルファーデン&ケンタッキー・マクドナルド(161ポイント)
 6位:ニィナ・アンエノン、バースト・エラー(156ポイント、同率)
 8位:リア・ファル(153ポイント)
 9位:ヴィヴ・クロックロック(150ポイント)
 10位:陸郷・める(143ポイント)
 11位:プリンセラ・プリンセス(134ポイント)
 12位:ヴィクティム・ウィンターミュート(132ポイント)
 13位:ティオレンシア・シーディア(129ポイント)
 14位:霑国・永一(110ポイント)
 15位:リンタロウ・ホネハミ(109ポイント)
 16位:レトロ・ブラウン(85ポイント)
 17位:エドゥアルト・ルーデル(84ポイント)
 18位:マユラ・エリアル(81ポイント)

 順位外:リチャード・チェイス(テレポートによるレース離脱)
 順位外:ワルルーナ・ティアーメル(そもそもレースに参加していない)

最終結果:成功

完成日:2021年01月30日


挿絵イラスト