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胸躍る宝

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #財宝妖精ブラクテ #天空城 #冒険者

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●その手で掴めお宝を
「このくらいじゃ捕まえられないぞ!」
 ドワーフが自身を戒める罠を力尽くで破壊する。
「あたしが行くよ。あたしが一番軽いし跳べるもん!」
 フェアリーが軽やかに舞い今にも崩れそうな断崖に引っかかる鍵を取りに行く。
「この程度の罠、無駄に動くまでもない」
 細身のエルフが、床から突き出す槍を体の輪郭ギリギリで躱し、解除スイッチへ向かう。
「この道幅ならどうにか一人は……私が行きます、あの石碑を読めるのは私だけです」
 神に仕える人間が、その狭い通路を潜り抜けその先に隠された碑文を読み解きに行く。
 四人の冒険者は互いに助け合い、支え合い進んでいく。名うての冒険者であるこのパーティをして、天空に浮かぶ城の捜索は困難を極めた。だが、四人は諦めない。必ず掴むという誓いが胸にあるから。
「さあ行くぞ! きっとこの先にあるはず!」
「その為にここまで来たんだからね!」
「必ず手に入れましょう。伝説の……」
「「「「伝説の豊胸薬!!」」」」
 もとい、胸がないから。

●掴むほどない場合はどうすれば
「皆さん、お疲れ様っす! 今日も猟書家をぶっ飛ばして欲しいっす!」
 金髪褐色ボディのアカリ・ゴールドに憑依したミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)が集まった猟兵たちに向かって言う。
「今日行ってもらうのはアックス&ウィザーズの天空城。そこに『財宝妖精ブラクテ』ってやつが部下に連れてこられてるっす!」
 ブックドミネーター以来猟書家たちは天上界なる場所を目指している。その手掛かりを天空の城に求めるのは不思議なことではないが、連れてこられてるとは。
「このブラクテなんすけど、金ぴかのものが大好きで天空の財宝集めるついでに情報探せばいいやとか考えてる公私混同しまくりなやつなんす」
 それでいいのか猟書家。
「で、ここの宝を掠め取ろうとする部下の『エビルウィッチ』に唆されて次の出撃場所をここに決めたらしいっすけど、エビルウィッチはヤバい儀式とかが好きな魔女で、こいつらが狙ってるこの城の一番の宝ってのが……『豊胸薬』」
 ほんとにそれでいいのか猟書家。
「なんか『ブラクテ様のお宝がぐーんとおっきくなるお薬ですよー』とか騙されてここに来たらしいっす。確かに金色っぽいビキニつけてるからそれが引き伸ばされて大きくなるかもしれないっすけど! 何で金色の敵はこんなのばっかなんすか! 風評被害っす!」
 またしてもアレなゴールドエネミーの出現にアカリは相当お怒りらしい。
「とにかくこいつらをぶっ飛ばせばいいんすけど、実は先にここに来てる冒険者のパーティがいて、皆さんは丁度その人たちとエビルウィッチが鉢合わせるところに割り込む形になるっす。この人たちは一般人としてはかなり強い方な上、結構長く探索してるんで城の構造を知ってるっす。罠へのおびき寄せや隠し通路を通っての回り込みなんかも請け負ってくれると思うっす」
 もちろんオブリビオンと渡り合えるほどの強さはないが、仮にも歴戦の冒険者、どちらに与するべきかを見誤るようなことはあるまい。
「で、エビルウィッチたちをやっつけたらブラクテの登場っす。こいつらとの戦いでも冒険者の人たちは手伝ってくれるっす。ブラクテは宝がないって言っても『嘘つけ! どうせ隠してるんだろ!』とか言って話を聞かないっす」
 城内には半端に普通の宝もあるので、余計にそう考えるのだろう。なんにせよ相手は猟書家だ、話がどうあれ結局戦うしかあるまい。
「それとブラクテを倒すと、「輝石の欠片」とかいうお宝が手に入るみたいっす。何に使うかは分からないっすけど、予知に引っかかるくらいなんだから拾っといて損はないと思うっす。冒険者の人たちもそっちは譲ってくれるっす。他のお宝が欲しい場合は自分で探して持ってってくださいっす」
 どのようなものかは分からないが、せっかく冒険の本場に来たのだ。報酬として持ち帰ってもいいだろう。それ以外の宝も、努力と交渉次第では手に入るかもしれない。
「まあこんな話っすけど猟書家は猟書家っす。ほっといたらせっかく平和になったアックス&ウィザーズがまた大変なことになっちゃうんで、皆さんどうかよろしくお願いしますっす!」
 勢いよくそう言って、ミルケンは猟兵をアックス&ウィザーズへと送り出した。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。ブラクテさんはきっと癒し枠。
 今回は天空城にて二連戦。今回のプレイングボーナスはこちら。

『プレイングボーナス(全章共通)……冒険者達と協力する』

 先行している冒険者と何らかの形で協力してください。以下冒険者と城の情報。

 コマチ ドワーフのバーバリアン×勇者(13)脳筋。
 カメリア エルフのシーフ×殺人鬼(19)冷静。
 エイカ 人間のクレリック×聖者(16)柔和。
 プリン フェアリーのウィザード×シンフォニア(23)元気。
 全員女性、かつ貧乳。一般人の冒険者としてはかなりの凄腕だが、オブリビオンと戦えるほどではない。能力は大体メインジョブのイメージ通り。実力に自信は持っているが、自分より強いものは素直に認める。それなりの時間城を探索しているので、粗方の構造は把握している。戦闘や囮役の他、既に入手済みの筋肉増強薬や魔力強化薬(いずれも豊胸効果なし)を使ってもくれる。

 城はダンジョン化しており、心臓や肺近辺を狙う即死罠や主に上半身を拘束してくる捕縛罠などが各所に仕掛けられている。またやっと一人通れるかどうかという細い隠し通路(冒険者とブラクテは通れる。エビルウィッチは無理すればどうにか。猟兵は自己申告)が各地に張り巡らされている。広い部屋もいくつかはあるので、スペースが欲しいならそこへ。

 終了後は「輝石の欠片」というお宝が手に入ります。今の所何に使うかもわかりませんが、冒険者たちもこれについては譲ってくれます。他のお宝が欲しい場合は冒険者と交渉するなり自分で探すなりご自由に(いずれもアイテムとしては発行できません)。

 最後に、分かると思いますがネタ依頼です。強敵ですが最低限の所さえ押さえればまあなんとかなるんじゃないでしょうか。

 それでは、胸膨らむプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『エビルウィッチ』

POW   :    ファイアー・ボール
単純で重い【威力を持つ、火球の魔法】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    デモン・フュージョン
【肉体を持たない下級の悪魔】を召喚し、自身を操らせる事で戦闘力が向上する。
WIZ   :    クリエイト・アンデッド
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【術者の命令に従い動く、不死の魔物】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 天空城の中、魔女の集団と四人の冒険者が睨み合う。
「これは……僅差で向こうが上か……!」
 巨大な石斧を担いだドワーフが魔女たちを睨みながら汗を垂らす。その視線が相手の胸に向いてる気がするのはその身長のせいだということにしておこう。
「でもそこまで素早くはなさそうだ……逃げればついては来れないかもしれん」
 短刀を構えたエルフは傍らにある隠れた通路を気にしつつ、彼我の距離を測る。やはりその視線は相手の割と豊かな下半身に注がれている気もするが、きっとそれが瞬発性につながるものかどうかを見極めているのだろう。
 それに対し魔女の軍団は、妖艶な笑顔を崩さず余裕の姿勢で四人を見つめた。
「うふふ、可愛い子ばっかりじゃない。奴隷? 実験台? それとも……生贄? ブラクテ様を騙し……お願いしてここまで来た甲斐があったわ」
 舌なめずりをしてその体を見回す目は淫蕩な光に満ちている。相手の体の豊かさは関係ない、それ相応の使い方もできるし、弄り回して変えてしまうことだってできるのだ。
「こんな所でやられるわけにはいかないよ……あたしたちにはやらなきゃいけないことがあるんだ!」
「ええ。そのためなら……命をかけましょう!」
 背景を知らなければそれは宝の為に強敵に挑む冒険者の鑑の姿。しかし、それは同時に命をチップに賭けを繰り返す愚か者の姿でもあるのだ。
「ああ、素敵。一緒にお薬漬けになりましょう……!」
 その言葉通り、このままでは彼女たちはこの魔女の餌食となってしまう。幸い猟兵は転移によってダンジョン攻略は全てパスだ。さあ、急ぎこの両者の間の広い空間に割り込むのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
私の場合ですと、或る意味で物凄く危険そうな気がするのですが。

まずは、冒険者の皆さんに協力を申し出ますぅ。
私の体型を見れば『豊胸薬が欲しいわけでは無い』=『狙うなら他の品で競合しない』のは一目瞭然でしょうし。

通常の状態で狭い通路を抜けるのはどう考えても無理ですので、広い部屋を利用しますぅ。
『FBS』を四肢に嵌め飛行、【耀衣舞】による『光の結界』で『火球』を防ぎつつ、『光速突撃』で出来るだけ『罠』に押し込み、順に対処して参りますねぇ。
『FRS』は天井近くに配置して[砲撃]、『FSS』は『結界』へのエネルギー供給に回し『体型の反動(=胸の肥大化)』も許容して効果を高めますぅ。



 睨み合う冒険者とエビルウィッチの群れ。不利を悟りつつも交戦は避けられないと覚悟を決める冒険者たちの前に、一つの人影が飛び込んだ。
「私の場合ですと、或る意味で物凄く危険そうな気がするのですが……放っておくわけにも参りませんねぇ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は前方にいるエビルウィッチに気を配りつつ、冒険者たちに目を向ける。
「ご協力いたしますよぉ。ご安心ください、あなた達の宝を横取りするつもりはありませんからぁ」
 その言葉と共にるこるの胸が大きく揺れた。その揺れを見て、冒険者たちは一瞬うらやむような眼を揃ってするが、同時に元よりここまで大きいのだから、薬に関しては必要としていないだろうということも察する。元より利害に聡いことも冒険者としては必要な要素の一つ、浪漫と実利を両立できてこその一流冒険者なのだ。その冒険者としての判断に従い、彼女たちはるこるの後ろにつき協力の姿勢を見せる。
「あらあら……だったら私のお宝も掠め取らないでくれるかしら? そうね、そうしたら……あなたは儀式のための雌牛に使ってあげるわ」
 エビルウィッチたちはるこるに対してそう言うが、結局のところそれは攻撃宣言に過ぎない。るこるはその言葉を黙殺し、浮遊戦輪『FBS』を四肢にはめて浮かび上がった。
「大いなる豊饒の女神の象徴せし欠片、その衣を纏いて舞を捧げましょう」
 るこるは【豊乳女神の加護・耀衣舞】を使い、自らを光の結界で覆う。それに対しエビルウィッチたちは、めいめいに自らの左手に魔力を集中させ巨大な火球を作り始めた。
「あら残念。それじゃローストビーフになりなさい!」
 一斉にその火球をるこるに向けてたたきつけるエビルウィッチ。その火の玉は次々と結界の壁に叩きつけられ、巨大な爆発が連続して起こった。
「嘘、何て火力……!」
 その炎の勢いに、ウィザードであるフェアリーのプリンが驚嘆の声を漏らす。自分では長い詠唱と集中の果てにやっと作れるか、という炎を軽々片手で打ち出したエビルウィッチの魔力の高さに驚いている形だ。
 だが、その驚きは炎が収まった時に別のものへと変わる。
「この広さなら……!」
 爆炎を振り払い、るこるは結界を纏ったままエビルウィッチに体当たりを仕掛けた。その体には傷はなく、あの勢いの炎を防ぎきったことを表している。
 敵に向かうるこるは一瞬で光となり、その勢いでエビルウィッチの一体を弾き飛ばした。
「うあっ!?」
 そのまま壁に叩きつけられるエビルウィッチ。だが、ダメージこそ追っていれど力尽きるような様子はない。曲がりなりにも猟書家の部下としてそれを担いでいるのだ、決して弱すぎるということはないということだろう。
 攻撃には浮遊砲台『FRS』も使えるとはいえ、多少広いとはいえここは室内。余り広く展開するにも無理があるし、敵は魔法使いなのだから遠距離戦は得手としているだろう。
 しかし、それでも地の利はこちらにあるとるこるは確信できた。
「一つお聞きしたいのですが……このあたりに罠の類はありましたかぁ?」
 その問いに、エルフのカメリアが答えた。
「ああ、ある。この部屋にも……その辺りだ」
 そう言って彼女が指さしたのは、先のエビルウィッチが吹き飛んでいった方向の左右逆側。その位置を確認すると、るこるは浮遊盾『FSS』をエネルギータンクとして自らに接続、その力を自身の強化につぎ込んだ。
「分かりました、ではそちらへ!」
 そう言って再度エビルウィッチに突進をかけるるこる。動き出した瞬間その胸がさらに二回りは大きくなり、その大きさを保ったままエビルウィッチの群れに衝突、その大きさで数人を纏めて罠の方へと吹き飛ばした。
「何あれすごっ!?」
「これは……確かに薬はいらないでしょうね……」
 その質量に目を丸くする冒険者たち。ここまでのサイズになると、最早羨望よりも驚愕が上回るのだろう。
 罠の上に倒れ込んだエビルウィッチたちを床から出た頑丈なロープが絡めとる。それは彼女たちの上半身を主に戒め、杖を取り落とさせその体を床に縛り付けた。
「くっ……で、でも、これなら何とか抜けられ……いたたたたっ!?」
 身をよじってロープから抜け出そうとするが、体の凹凸に引っかかり中々うまく滑り出ることができない。あともう少し平坦な体ならするりと抜けることができたろうが、視認するには問題ない程度の凹凸が仇となり、すんなりと脱出することは出来なかった。
 そして、その僅かな手間取りが彼女たちの命取りとなる。
「動かせませんよぉ」
 罠の上に大量に並べられた『FRS』が、動けないエビルウィッチに砲の雨を降らせそのままとどめを刺した。
「それでは手っ取り早く終わらせましょうかぁ」
 さらにるこるはエネルギーを自らに充填、胸をもう一段二段肥大させ、体当たりで敵を罠に放り込んでは砲撃で仕留める、ということを繰り返し敵の数を減らしていく。
「これは……なんて圧倒的……!」
 自らには及びもつかない未知の戦法に、冒険者たちはただ見とれ、自らの至らぬ部分を自覚することしかできなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ミラー、ジェイクと行動
アドリブOK

「私達は味方だ」
なんかすごく見られるが……まああとにするとして。
敵の対処に回る必要がある。
華鳥封月を抜いて対処する。まあ、相手の狙いがあれなのが。
第六感と見切りで避けつつカウンターで一閃繰り出す。
協力しつつこの状況を抜けなければなのだが。
「いや、好き好んで大きくなったわけでは」
まあ薬探しを手伝う代わりに手助けしてもらうと。


藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ミラー、ジェイクと行動
アドリブOK

「え、ええと。色々食べるとか?」
聞かれたら豆類なら効果あるかもとアドバイスを。
とにかく、今はこの状況を打破しないと。
有終の刻を構えて援護射撃を行いますね。
怪我とかしたらノーブルラウンドで回復をします。
肉体改造の効果が出てしまうかもしれませんけど、その時はその時で。
「い、一時的なので」
なんか落胆の溜息がしたような。


エルーゼ・フーシェン
※アリス、華澄、ミラー、ジェイクと行動
アドリブOK

「まあ薬があるかは分からないけど、奥に行ってみる価値はあるかも」
大きくなったことはあるけど。色々されたのも含めて。
夢幻で柄と光刃を形成して攻めるわ。
ダンスを応用して相手の動きに合わせて攻撃、第六感で危険を察知して回避できるようにしないと。
武器受けで受け流しながらカウンターで一撃食らわせるわ。
「まったく、知ったら怒るんじゃない?」
騙したなんて知ったらまあ、怒るだろうな。


ベアトリス・ミラー
※アリス、エルーゼ、華澄、ジェイクと行動
アドリブOK

「奥へと進むのに、理由はいらないかと」
豊胸薬に関してはまあ、行かない事には分からないので。
(近くに図書室か書庫があれば多少は情報を得られるかもしれないわね)
都合よくあるか分からないけど、あれば薬の事が分かるかも。
相手の目論見の阻止もあるからそっちもなんとか。
天上界、私も興味あるからそっちの情報もあれば。
「あら?」
ジェイクさんとここで会うなんて。


ジェイク・リー
※アリス、エルーゼ、華澄、ミラーと行動
アドリブOK

色々調べている内に遭遇。
「んなもん興味ねえよ」
天上界に関する情報、それとある魔剣についてで、豊胸薬に関しては興味ない。
八邉鬼衆を抜き、ダッシュによるすれ違い様に居合を繰り出す。
「先にこいつらを何とかするか」
出来た隙を狙わせれば余計な被害を減らせるだろうと囮になりながら対峙。
ジャストガードからのカウンター、おびき寄せてからの衝撃波による範囲攻撃を行う。
「死の神と戦を司る悪神くらいしか。奥に行けばあるかもな」
魔剣に関する情報は情報はそれだけと話す。



 一度撃ち払ってなお、エビルウィッチの数はまだ多い。冒険者たちを守り、敵の宝の入手を阻止すべく、さらなる猟兵が戦場へと割り込んだ。
「私達は味方だ」
 その状況で、アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)が冒険者たちに端的に説明する。既に一度支援を受けていた彼女たちはそれ自体はすんなりと受け入れるが、その視線はなぜか好意や喜びばかりではないように見えた。
「なんかすごいけど……どうやったらそこまで?」
 まだ戦い始めてもいないのに投げられるその問い。その意図を察した藤宮・華澄(戦医師・f17614)は困惑しながらも、冒険者たちの真剣な視線に押されるよう答える。
「え、ええと。色々食べるとか?」
「その色々を具体的に聞きたい」
「まあ、豆類とか、効果あるかも……」
 その答えにふむ、と考える素振りを見せる冒険者。ただ華澄の食べる量は普通のそれではなくそれを基準に言っているのだが、そこは彼女の知るところではなかった。
「まあ薬があるかは分からないけど、奥に行ってみる価値はあるかも」
 エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)は冒険者たちが求める宝と、この城そのものへの興味を示す。確かにここは古の天空城であり、そこを守る厳重な罠も仕掛けられている。つまり罠で守るべき何かがあるということだけは間違いないだろう。
「奥へと進むのに、理由はいらないかと」
 一方でベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)は冒険そのものに価値があるとでも言うことか、先に何があろうとなかろうと、進んでいくこと自体に意味があるという風にそう言った。
 彼女の職業である物書きならば、アイデアとなる経験や見分そのものが何よりも代えがたい宝となるだろう。冒険そのものに価値を見出す冒険者の浪漫部分とも相いれるそれは、この場でも冒険者との協力体制をより強固にするものとなる。
 ただ、結局のところ目的が何にせよ、今すべきことは変わらない。
「なんかいっぱい増えたけど……どれも素敵な玩具になりそう!」
 エビルウィッチは手に炎の玉を溜め、猟兵、そして冒険者たちに一斉に狙いをつける。そしてその炎が放たれる……その瞬間、一人のエビルウィッチがあらぬ方向へと吹き飛ばされた。
「どこにでもこういう奴らは湧きやがるな」
 敵を殴りつけた格好で、他の者たちとは違う方向からこの場に現れたジェイク・リー(嵐を齎す者・f24231)はそう言った。新たな猟兵の出現に冒険者やエビルウィッチたちよりも、先にこの場にいた猟兵たちの方が驚きの表情を浮かべていた。
「あら?」
 突然の知己の登場にまさに意外、と言う顔でベアトリスが声をかける。
「まさか……あなたも豊胸薬を?」
 エルーゼが疑うような眼でそう尋ねると、ジェイクは眉をしかめた後呆れたように言う。
「んなもん興味ねえよ」
 何しろ彼は男性である。当然と言えば当然の答えだ。ジェイクの目的は独自に天上界について調べることと、自分の調べものであるとある魔剣について。つまり冒険者たちにとって競合する相手ではないということもあり、さらなる戦力としてこの場に彼は迎え入れられた。
「不意打ちはずるいんじゃないかしら? それじゃこっちも……仲間を呼んじゃうわ!」
 エビルウィッチが杖で床を突くと、そこから獣を直立させたような、いかにも悪魔、という姿の存在が出てきた。その悪魔は自らを呼び出したエビルウィッチを後ろから抱きすくめると、自身の指や体の末端をその体にずぶりと刺し、そこから溶けるように崩れた体内へと入った。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 絶叫と共にエビルウィッチの体が黒く染まり、角や尾が生え自らも悪魔のような姿へと変貌していく。
「これは……なんと悍ましい……!」
 悪魔と融合する外法にクレリックのエイカが嫌悪感を露にする。だが、これで敵が強化されたのは間違いない所。猟兵たちは先を取られぬよう油断なく敵へと攻めかかった。
「先にこいつらを何とかするか」
 ジェイクは素早く動き、『八邉鬼衆』を抜いて走りながらの居合抜きで一人を切りつける。そのエビルウィッチは胴を半ばまで切り裂かれ紫に変わった鮮血が噴きあがるが、まるで意に介さぬ、とでもいう風に体を動かしジェイクへと掴みかかった。
「自分を操らせているわけね」
 エルーゼは相手が肉体と意識が別にある状態だと察しながら、『夢幻』を柄と光刃にし攻めかかる。それに対し火ではなく闇の玉を手に溜めながらエビルウィッチが応戦するが、エルーゼは踊るような動きで攻めては引き、引けば攻めを繰り返して相手の動きを翻弄した。
「死ねぇっ!」
 女としわがれた男の声をダブらせて叫びながら、エビルウィッチが闇の玉をエルーゼに叩きつける。エルーゼはそれを光刃で受け止め、そのまま光で闇を受け流しながら体を動かし、相手と場所を入れ替えながらカウンターの一撃を見舞った。
「死んでも何度でも……気持ちよくなれるのよ?」
 そうして倒れていくエビルウィッチを、体を変貌させていない他のエビルウィッチの魔力が包んだ。するとそれは異形の部位をさらに増加させ、舌を長く垂らし触手のようにうねらせながら不死の魔物となって立ち上がる。
「ここまで変貌できるなら薬などいらない気もするが……」
 アリスはその姿にうんざりした表情を浮かべながらも、『華鳥封月』を抜き迫る相手を一閃する。それでついに敵の上半身は切れ飛ぶが、それでもなお手で這いずり敵はこちらに近づこうとしていた。
「不死身には無敵ですね。私のファイアチームをみせてあげましょう」
 ならば、とベアトリスは【クイーン・フォース】の女兵士たちを差し向け、不死となった敵の足止めに当たらせた。相手が死ななくとも、想像する限り無敵の兵士ならばやられることもない。その膠着状態をまずは作り出し、ベアトリスはさらに冒険者たちに告げる。
「さて、このままでは負けもしないけど勝てもしません。まずは彼女たちを罠にかけましょう」
 その言葉に、ドワーフのコマチが進み出た。
「私に任せろ! あっちに放り込めばいいんだな!」
 女兵士たちと協力し、魔物化しているエビルウィッチを掴んでは拘束罠に放り込んでいくコマチ。流石にドワーフの剛力だけあってその手際は良いが、彼女は兵士と違い無敵ではない。エビルウィッチたちの抵抗によって、その体は少しずつ傷がついていった。
「これで!」
 その傷は即座に華澄が後ろから【ノーブルラウンド】で癒す。回復だけではなく肉体改造効果もあるそれはコマチの体に力を滾らせ、変貌させていく。その結果……
「な、なんだこれは!」
 コマチの胸が大きく膨れ上がり、重厚な鎧すら跳ね飛ばして自身の上半身を覆い隠すほどの大きさへと成長した。
「ああ、あれで大きくなったことはあるけど。色々されたのも含めて……」
 エルーゼは思い当たる節があるのか苦い顔をしているが、それとは逆にコマチの目はきらきらに輝いていた。
「い、一時的なので」
 戦闘が終われば戻る。その言葉に、明らかに落胆のため息がコマチのみならず他の冒険者からも聞こえた。恐らくは自分たちも……と考えていたのだろうが、やはり世の中はそんなに甘くないということだ。
 ともあれ、これにて異形化した敵は無力化できた。残るは後衛を務めていたエビルウィッチだけ。
「惨劇に踊れ!」
 アリスが【罪なる災害】にてそれに攻めかかり手早く一人を仕留める。さらにジェイクが踏み込んで攻撃をかけるが、それをエビルウィッチが手にした炎で迎え撃った。
「単純だな、避けやすい」
「分かってるわよ!」
 素早く身をかわすジェイクを、魔力の方向を変えた火球が追いかける。地形すら破壊するほどの炎がジェイクを取り巻くが、ジェイクは身を焼かれながらもその破壊の中心だけはぴったり防御し、致命打は免れた。
「ならもっと……」
「なるほどな、今だ」
 さらにジェイクに追撃しようとするエビルウィッチ。だが、ジェイクの声は敵ではなく味方へと向けられていた。
「了解!」
「仕留める……!」
「裁きを!」
 そのがら空きになった側方へ、冒険者たちの遠距離技による一斉攻撃が叩きつけられた。一般人とは言え腕利き冒険者、完全に虚を突いて放たれたそれは、エビルウィッチを捕らえその体を消し飛ばした。
 後衛術者が消えたことで異形化していたエビルウィッチの不死も消え、彼女たちもそのまま本来受けていたダメージに従って次々と絶命していく。
「まったく、知ったら怒るんじゃない?」
 ボスを騙してここに来たという敵だが、ここで倒れてしまってはもう怒られようもないだろうが。エルーゼはそう思いながら倒れた敵を見下ろす。
 その一方でコマチの豊胸が一時的なものだと知った冒険者たちはアリスにも恒久的な豊胸について問いただすが。
「いや、好き好んで大きくなったわけでは」
 その答えに二度目の落胆の息を漏らすだけであった。
「ところで、探し物は見つかったの?」
「死の神と戦を司る悪神くらいしか。奥に行けばあるかもな」
 大きな情報にも見えるが、アックス&ウィザーズでは神の伝説は過剰なまでに大量に存在し、信憑性の薄いものも多い。確かな情報は最深部にこそ。そのダンジョンのお約束に従い、一同は先を思うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

全会原・タイガ
アドリブ/絡みOK

目的はアレだが真っ当な冒険者達をほっとくわけにゃあいかねぇな。助太刀するぜ!

オレが囮になって時間を稼ぐから冒険者達は一度退かせて隠し通路で待機させるぜ。

敵の攻撃は【見切り】で躱してUCをブチ込む!
倒しきれねぇなら頃合いを見てオレも退がる。
そんで敵がノコノコ付いてきたら待機させてた冒険者達に奇襲させる。
冒険者達が城の構造を把握してるってんなら罠もうまく使ってくれるかもしれねぇな。
後は奇襲で慌てた敵をまとめてぶっ潰す!



 激戦の末大きく数を減らしたエビルウィッチたち。元は上司を騙しての宝探しに近い遊びのような出張であり、ここまで命がけの戦いになるとは予想だにしていなかった。
 しかし、宝探しとは、そして冒険とは本来命がけなもの。目的が何であれ、それをするということは命をかけてきているということだ。その決意を持つ者たちを助けんと、全会原・タイガ(男は度胸!女でも度胸!・f23916)もまたここに駆けつけた。
「目的はアレだが真っ当な冒険者達をほっとくわけにゃあいかねぇな。助太刀するぜ!」
 堂々と宣言するタイガに冒険者たちは好意的な視線を向けるが、ある一部に目を止めると、それは暗いものへと変わる。
「なんでまた……」
「こんな人ばっかり……」
 これまでここに来た女性猟兵はいずれ劣らぬ爆乳揃い。そしてタイガもまた他に負けず劣らずのスーパーサイズをお持ちであった。
「こうなったら……あなたたちを使って元を取ってあげる。その顔と体ならさぞいい材料になるでしょうね!」
 エビルウィッチもまた怒りの声を上げるが、もちろん理由はバストサイズなどではなくこの劣勢。女性を捕らえどのように元を取るのかは分からないが、ロクなことでないのは間違いあるまい。本気で怒るその姿に、タイガは後ろの冒険者に向けて告げる。
「こいつは俺が引き受ける……アンタたちは下がっていてくれ」
 冒険者たちを背にかばうようにしながら、彼女たちを下がらせていくタイガ。その言葉とちらと向いた視線に冒険者たちは頷くと、タイガからも大きく離れ戦闘範囲から離脱していった。
「そう。じゃああなたから捕まえてあげる……焼き豚になりなさい!」
 片手に巨大な火球を生じさせ、それをタイガにむけて叩きつけるエビルウィッチ。そのダンクシュートを体をずらして避け、タイガは右の拳を握りしめた。
「ブチかますっ!!」
 火球によって砕ける床から一歩踏み出し、その拳を真っ直ぐ叩き込む。カウンターで入った【愚礼徒不威守斗】の一撃がエビルウィッチの腹部を貫き、一撃でその体を消滅させた。
 だが、大威力とはいえ単体特化の技。その一体を捨て石として、他のエビルウィッチの火球は次々とタイガに向けて叩きつけられた。
「うおおおっ!?」
 それをどうにか身をよじって躱すが、当たった床は轟音を立てて砕け散り、宙に浮くこの城そのものを揺らがしてタイガの足元をぐらつかせる。
「ひゃんっ!?」
 そのまま体制を維持できず、尻もちをついてしまうタイガ。そこをさらにエビルウィッチの攻撃が襲うが、何とか這いずってそれは回避した。
「ち、敵が多い……一旦引くか」
 タイガはそう言ってエビルウィッチから距離を取ろうとするが、足でも痛めてしまったのか尻を突き出した状態の四つん這いで逃走していく。
 エビルウィッチはその姿に歯を見せ笑った後、歩いて近づきながら杖を振り上げた。
「威勢よく出てきたくせに惨めね! ほら、家畜にしてあげるから鳴いてみなさい!」
 その杖でタイガの尻を殴り、あるいは柄で突き刺そうとするエビルウィッチ。そのつどタイガはなんとか尻を振ってかわし、そして少しずつ這いずって部屋の奥へと移動していく。
「どこに逃げても無駄よ。そうね、あなたはその体をもっともっと膨らませて……」
「そいつは間に合ってるよ! 今だ!」
 ある場所へ着いたとき、タイガは再びい様いい表情となって声を上げた。そしてそれに応えるように、炎と光の矢が一斉にエビルウィッチたちに降り注いだ。
「なっ……!?」
 突然の攻撃にエビルウィッチが辺りを見回す。するとそこには、薄い体をうずめたエイカのプリンの姿が、細い壁の隙間に隠れるようにしてあった。
「なぜ、こちらに……!」
「この城は見た目以上に道が複雑でな」
 今度は上から聞こえた声。その声に上を向いたエビルウィッチの喉を、上から降ってきたカメリアの短剣が切り裂いた。
 タイガはただ冒険者を逃がし、自分も逃げていたわけではない。白の構造を知る冒険者たちを自由にすることで一度身を隠れさせ、その間の囮と奇襲場所への誘導を単身請け負っていたのだ。複数のエビルウィッチたちを一人で相手取れる力がなければできないこの役目のため、タイガはあえて敵に醜態を見せてでも一人場を引き受けていたのである。
「もう、やってらんな……あぎゃっ!?」
 囲みのない方向へと逃げだしたエビルウィッチだが、床から飛び出した槍に串刺しにされる。城の構造を知る冒険者が寄り付かない、つまりはそこに近寄ってはいけない何かがあるということなのだ。
「う、うぅぅ……もうヤケクソようべっ!?」
 涙目で炎を携えタイガに突撃しようとしたエビルウィッチが、突然前のめりに倒れ火球を誤爆させて黒焦げになる。その足は、開いた床から上半身だけを出したコマチにがっしりと掴まれていた。
 パニック状態となったエビルウィッチが次々と討ち取られていく中、タイガもゆっくりと立ち上がり最後に残ったエビルウィッチに確かな足取りで近づいていく。
「え、あ、足……」
「何ともなってねぇよ! 散々人のケツ狙いやがって……お前はこの俺が直接、ぶっ潰す!」
 城を揺るがす【愚礼徒不威守斗】が、最後のエビルウィッチをぺったんこに叩き潰した。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『財宝妖精ブラクテ』

POW   :    財宝の竜<グランツ>
自身からレベルm半径内の無機物を【合体させ、巨大な財宝竜】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
SPD   :    収集欲<ベギーアデ>
【財宝】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[財宝]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ   :    竜の眼<アオゲ>
【【竜眼の宝珠】の呪詛】によって、自身の装備する【3秒以上視続けた財宝】を遠隔操作(限界距離はレベルの二乗m)しながら、自身も行動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナミル・タグイールです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 エビルウィッチたちを退けた猟兵と冒険者は、城の最奥まで進んでいく。そこにあったのは魔法使いの研究室のような部屋と、それに併設された小部屋。小部屋の入口は開け放たれ、その前にはぐにゃぐにゃに曲がった鉄扉のようなものが転がっている。そして部屋の中には金色の小さな竜……否、竜を模した装甲を纏った褐色の妖精がいた。
「なんだよー、宝は一番奥にあるって決まってるはずなのに、変な瓶くらいしかないじゃないか!」
 幼い声を上げ憤るその妖精の前にはいくつかの小瓶が積まれている。それを見た冒険者たちは目の色を変えて駆け出そうとするが、猟兵たちは慌ててそれを制した。
 そして妖精も来訪者の気配を察したか、竜の面を被った頭部をそちらへと向ける。
「ん? なんだお前たち? ウィッチはどこ行った? ブラクテのお宝がおっきくなるお薬持ってくるって言ってたのに!」
 その薬がまさに目の前にあることにも気づかず、妖精……ブラクテは侵入者を睨みつける。
「分かったぞ、お前らがウィッチの邪魔してお薬盗んだんだな! ここ他の城より金ぴか全然なかったし、それもお前らが取ったんだろ!」
 勝手にそう言いながらブラクテが両手を上げると、彼女が集めたらしいいくつもの金貨や武具が彼女を中心に集まり始める。
「許さないぞ! 金ぴかは全部ブラクテのものだ!」
 最早相手の話など聞く気もなさげなブラクテ。ある意味首謀者は既に倒されているのだが、彼女を倒さねばこの事件は収まるまい。何より彼女は猟書家である。放置すればアックス&ウィザーズの世界そのものを揺るがしかねないのだ。
 さあ、『財宝妖精ブラクテ』を倒し、この冒険を成功に終わらせるのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
お目当ては貴金属類、ですかぁ。
理解は出来ますねぇ。

まずは、『薬』を巻込まない様に妖精さんを引き離しましょう。
【燦華】を使用し全身を『光』に変換、揶揄う様に仕掛けて狙いを誘導しますねぇ。
『財宝竜』は魔力を帯びる分、当たればダメージは有るでしょうが『速度』や『迷宮故の隙間』を利用すれば、回避自体は容易ですぅ。
そうして引き付けている間に、冒険者の皆さんに『薬』の回収をお願いしますねぇ。

回収を終えるか、『巻込まない位置』が取れたら攻撃に移りますぅ。
『FRS』『FSS』の[砲撃]と『FBS』『刀』の斬撃を集め、召喚者を集中攻撃しますねぇ。

後は、ちゃんと『薬』が効くと良いのですが。


全会原・タイガ
アドリブ/絡みOK

エイカとプリンは後方で支援、カメリアは身軽さを活かして敵の注意を引くように頼むか。後は筋肉増強薬で強化した俺とドワーフでトドメを刺す!
相手も強ぇだろうがオレ達が力を合わせりゃ問題ねぇ!!



……ところが突然呪いのUCが発動し爆乳化。身体能力が強化されるも冒険者達の視線をさらに集め恥ずかしい思いで戦うことに。

たまにはカッコよく決めたかったのに結局こうなんのかよおぉ!!



 部下に担がれたことも知らず、自分の目指す宝が何なのかもよく分からないまま猟兵に襲い掛かる財宝妖精ブラクテ。色々力の抜ける状況だが、猟書家が現れ攻撃してくると言うのだから放っておくわけにはいくまい。
「お目当ては貴金属類、ですかぁ。理解は出来ますねぇ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の言う通り、ブラクテの本来の目的は分かりやすく派手に輝く金銀財宝。冒険の目的としては極めて真っ当で理解しやすいものだ。逆に言えばブラクテはそれ以外にはさしたる興味はなく、戦闘に巻き込んで破壊することにも躊躇はない。
 そしてここにいる冒険者たちの目的は、まさにそのブラクテにとっては無価値な品。それを敵の近くに置いておくのは色々と危険が伴うであろう。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ」
 るこるは【豊乳女神の加護・燦華】を使い、その全身を光に変えた。その上であえて光速での移動はせず、その輝く姿を見せつけるようにブラクテの前をふらふらと飛び回る。
「なんだ!? お前もぴかぴかになるのか!? ちょっと見せてみろ!」
 それにつられあっけなく小部屋から出てるこるを追い回すブラクテ。その間に冒険者たちは素早く小部屋に駆け込み、薬を確保しようとした。
「なんだよー、ちょろちょろ逃げるなよー! こっちこい、<ベギーアデ>!」
 逃げ回るるこるに業を煮やしたブラクテが両手を上げ叫ぶと、彼女が集めた財宝が彼女の周りに集まり始める。それは金銀財宝がほとんどだが、最初に見つけたのが彼女ゆえまだ所有権がそちらにあると見做されているのか、冒険者たちの手をすり抜け薬瓶までブラクテの方へ飛んで行ってしまった。
「ああっ!?」
 思わずそれを追いかける冒険者たち。その様子を見て、もう交戦は避けられまいと全会原・タイガ(男は度胸!女でも度胸!・f23916)も前に進み出る。
「別にそっちの財宝はくれてやってもいいんだがよ……残してって欲しいもんがあるんだよな!」
「だめだ! お宝は全部ブラクテのものだぞ! 竜になれ、<グランツ>!」
 ブラクテの掛け声と共に、引き寄せられた財宝がすべて合体し竜の姿となった。勿論薬瓶もその中に巻き込まれている。こうなればもう、宝を手に入れるにはブラクテを倒し宝を元に戻すしかない。
「仕方ありません……それっ!」
 るこるは『FRS』と『FSS』での砲撃をブラクテに向けて放つ。元々的が小さいブラクテはひらひらとそれを避けて飛び回るが、それを叩き落とすように『FBS』と刀の斬撃が細かくブラクテを襲い、その動きを制限していく。
「なんだよ、危ないな! やっつけろ!」
 ブラクテの指示で前に進み出る財宝竜。魔力によって結合している財宝竜の攻撃は、その攻撃を当てられれば光と化したるこるにさえダメージを与えられるだろう。
「おっと、お前の相手はこっちだぜ」
 そうはさせぬと、タイガが竜の相手を買って出る。まずは軽い一撃を当てて注意を自分に引きながら、冒険者たちにもそれぞれに指示を出していく。
「エイカとプリンは後方で支援、カメリアは身軽さを活かして敵の注意を引いてくれ!」
「了解!」
「分かりました!」
 その指示の元、エイカとプリンはそれぞれの持つ攻撃魔法を竜に向かって撃つ。どちらかと言えば破壊よりも足止めを目時とした援護射撃として、それは竜の足元を掠めるように着弾し動きを鈍らせる。さらに操縦者であるブラクテに対しても竜の操作に集中できぬよう、カメリアが切りかかってはすぐに引き、また後ろに回り込んでは飛び越えると集中を乱すような動きで付きまとった。
 本気で戦えばもちろん彼女たちがブラクテにかなうはずはないのだが、ただ邪魔をするだけで決して必殺の間合いには踏み込まない冒険者に元々気の散りやすいブラクテは苛立ちを募らせていく。
「よし、一緒に行くぜ! そいつを一本貰えるか?」
「ああ、もちろんだ!」
 コマチから筋肉増強薬を受け取り、二人でぐっと飲み干すタイガ。魔法的な薬なのだろう、たちまちに効果が現れ、二人の腕と足の筋肉が盛り上がり倍以上の太さへと変貌した。勿論見た目だけでなく、その筋力も格段に跳ね上がっているのが実感としてわかる。
「よし、いくぞ!」
 その筋力で自重を吹き飛ばす勢いで駆け出し、コマチが石斧の一撃をブラクテに叩き込む。さらにタイガも続いて飛び掛かるが……
「む、胸がっ! どうなってんだ~!!?」
 その瞬間に恥ずかしい呪い事【婦裏威打夢母雄怒】が発動。タイガの服のボタンを全て弾き飛ばし、元々豊かだった胸がやはり倍以上の大きさに膨れ上がり丸出しになった。
「え、なんで!?」
 この薬にそんな効果はないはず……そう疑問に思う冒険者だが、これは薬とは関係ないタイガにかかった呪い。しかも発動は本人の意思に関係なくいつ起こるか分からないので、このタイミングで発生したのは全くの偶然である。
 戦いの最中と言う最悪のタイミング、しかも胸を気にする集団の前と言う状況からタイガの羞恥心が爆発し、肉体のリミッターが外れる。
「見るな見るな見るなー!」
 タイガはその巨体からは想像もつかぬすさまじいスピードでブラクテに体当たり。やはりあっけにとられ竜の操作を忘れていたブラクテを、その胸で弾き飛ばし空中高く打ち上げる。
「うわー! なんだこれー!?」
 乳で跳ね飛ばされるという未知の感覚にブラクテは空中でばたばたもがくが、ともあれこれは絶好のチャンス。
「と、とにかく、いきますよぉ」
 そこにるこるの砲撃が一斉に叩き込まれブラクテを空中で踊らせる。こうなれば最早操作どころではないのか完全に竜は棒立ち状態だ。
「むぎゅっ、みぎゃっ! ひゃうぅ~……」
「あんっ」
 そのまま一度打ち上げられてから、ブラクテは逆さまになって落下、るこるの胸で一度大きくバウンドして丁度竜の足元に顔面から墜落した。
「飛ぶのか……」
「飛ぶんだ……」
 フェアリーサイズながら重装のブラクテを容易く打ち上げる巨大ボール。目の前に4つ晒されるそれを、冒険者たちはじっと見ては自分の胸を撫でまわすのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベアトリス・ミラー
※アリス、エルーゼ、華澄、ジェイクと行動
アドリブOK

ここにあるのであれば、回収は任せましょう。
私達は気を引きつけて対応すれば大丈夫でしょうから。
援護しつつ遠ざけていけばより安全に取れると思います。

「これがですか」
豊胸薬の時点で普通じゃないですけど、まあ普通という事で。
「アリスさんの様な身体になるとかありえそうで」
アレについてはさすがに話さないほうがいいような。
まあ、結構ありますし私達も飲んでみましょうか。


アリス・スラクシナ
※エルーゼ、華澄、ミラー、ジェイクと行動
アドリブOK

「豊胸薬か。そんなものが本当にあるのかどうか」
まだ信じられんが、それよりも猟書家の相手だな。
華鳥封月を抜き、こちらに注意を引きつける。
鎧無視攻撃で仕掛ければ多少はいけるか?
魔力溜めを行い、地形破壊できる衝撃波の一撃を繰り出す。

ベアトリスの視線、なんか察しがついた気がする。
なったら何というか、色々と大変な事になるとしか。
「私達も飲むのか」
まあ、異常が起きても何とかするしか。


藤宮・華澄
※アリス、エルーゼ、ミラー、ジェイクと行動
アドリブOK

薬の回収は任せて、私達は猟書家の対処しましょう。
有終の刻を手にして援護射撃を行います。
スナイパーで隙間を狙ってマヒ攻撃を行えれば少しは楽になるかも。

「えーと、私達も飲むのです?」
まあ余ってるわけですし、何もなければそれはそれでいいとも言えなくも。
ただまあ、こういうのって副作用とかそういったのもありそうで。


エルーゼ・フーシェン
※アリス、華澄、ミラー、ジェイクと行動
アドリブOK

引きつけておくわね。
夢幻で柄と光刃を形成したらダッシュで間合いを詰めて仕掛けるわ。
向こうはベア姉さんの呼び出した兵士が護ってくれてるからこっちに集中できるわね。
見切りで避けたらアリスと一緒にカウンターでUC繰り出して吹き飛ばしで部屋から閉め出す。

「これで安心して飲めるわね」
ここまで来たのだから、効果はあってほしいわね。
けど、豊胸以外の効果なんかもあったりして。
アリスみたいな身体になったら。
「人数分あるし、呑んでみようか」


ジェイク・リー
アドリブOK

(灯台下暗しってやつか)
探していた魔剣は̪実は既にあり、覚醒し真の姿となった魔刀、閻羅刀を手に現して相対する。
図書室で調べていたら猟書家が来ると言う状況にも動じない。
「さて、天上界について話してくれりゃ見逃す事も考えるが?」
相手の動きを予測しての取引。

魔力溜めを行いつつ、ダッシュと居合を組み合わせた連続攻撃やジャストガードからのカウンターによる一閃を繰り出す。
受け流しから早業による神速の連続斬撃を行い、無数の願望を長剣にして持ち替えて剣に魔力溜めを行いながら突進から袈裟、早業による連続突き、流れる様な連撃から最後に振りぬく。



「豊胸薬か。そんなものが本当にあるのかどうか」
 アリス・スラクシナ(邪神の仔・f21329)は今だその存在に懐疑的ではあるが、とりあえず何らかの薬瓶のようなものが宝としてこの場に隠されていたのは間違いない。
 だが、今その薬瓶はブラクテの召喚した竜の一部として取り込まれてしまっている。
「ここにあるのであれば、回収は任せましょう」
「薬の回収は任せて、私達は猟書家の対処ですね」
 だが、それは薬の在処ははっきりしており、しかもブラクテが積極的に壊しに行くような場所ではないとも言える。それ故ベアトリス・ミラー(クリエイター・f30743)と藤宮・華澄(戦医師・f17614)は、本体である猟書家ブラクテを猟兵が相手取り、その操作でのみ動く竜の方を冒険者に任せ薬を確保させるという方向で動くことを提案した。
「分かった、引きつけておくわね」
 方針がまとまるとすぐに、エルーゼ・フーシェン(踊り子・f13445)が『夢幻』を柄と光刃にして切りかかった。
「なんだよー! お前たちもブラクテのお宝取りに来たのかー!?」
 その一撃を、ブラクテは竜を模した爪で受け止めて押し返す。身長30cmにも満たないサイズながら、その腕はエルーゼの一撃を受け流して揺らぎもしない。どんなにふざけたような言動であってもやはり猟書家、一筋縄ではいかないということだろう。
 だがそのブラクテの言葉に、ジェイク・リー(嵐を齎す者・f24231)は思うところがあった。
(灯台下暗しってやつか)
 探していた魔剣は実は元から持っていた。覚醒し真の姿となった魔刀、閻羅刀を手に、ジェイクはブラクテの言葉を考える。
「わざわざ取りに来なくても宝はすぐ傍にあった……か。皮肉が効いてるな」
 とはいえ、剣以外にも探すべき情報はある。だからこそ猟書家と鉢合わせても、ここにある図書を調べる意味はあった。
「さて、天上界について話してくれりゃ見逃す事も考えるが?」
 ジェイクはブラクテに一応の取引を持ちかけてみる。勿論猟書家と本気で取引が成立するなどとは思ってはいないが、会話すると言うのはそれだけで相手の考え方や動き方を引き出せるものだ。
「知ってたらこっちが教えてほしいぞそんなの! ちゃんと探さないとブラキエル様が怒るんだもん!」
 案の定、猟兵と同等程度の情報しか持っていないらしい。だが、これで分かったことが一つ。彼女はありもしない情報を持っているかのように見せかけブラフをかけるような交渉上手ではないということ。相手が敵だろうが聞かれたことには正直に答えてしまうし、何でもないカードを伏せて切り札に見せかけるという発想も持っていないようだ。
 しかしそれは手練手管を弄せずとも猟書家の一人に名を連ねる力があるということでもある。ジェイクは油断なく魔力をその身に溜め、敵との間合いを図り一閃の機会を窺った。
 そしてブラクテの気が猟兵たちに引かれている間、冒険者たちは財宝竜を取り囲みそちらを相手取って戦っていた。
「おりゃっ!」
 コマチが黄金の体に石斧を叩きつけ。
「燃えろっ!」
 プリンが炎の矢を連続して浴びせてその装甲を溶かし。
「神よ……!」
 エイカの打ち下ろす光が装甲の下を抉り。
「……そこっ!」
 カメリアがそこから露出した財宝竜を構成する宝を抉りだす。
「あー! お前たち、ブラクテの宝盗んでるな! 人のものを取ったら泥棒だぞ!」
 それを見咎めたブラクテが盗人猛々しいことを言いながら財宝竜を操作し冒険者たちを襲わせるが、その金の牙は冒険者の代わりに割って入った兵士たちに突き立てられる。
「私のファイアチームをみせてあげましょう」
 得意げに言うベアトリスの【クイーン・フォース】が、その無敵の体で財宝竜の牙を受け止めていた。何しろ金は柔らかいことで有名な金属である。それでできた牙では無敵の想像を揺るがすには余りにも力不足。兵士たちはもっと噛んでみろ、とでも言わんばかりにその身を竜の前へと投げ出していた。
「向こうはベア姉さんの呼び出した兵士が護ってくれてるからこっちに集中できるわね」
「そうだな……さて、運転にばかりかまけていていいのか?」
 財宝竜を動かすブラクテに、アリスとエルーゼが迫る。踊るように再度光刃をなぐエルーゼと、『華鳥封月』に力を溜め攻めかかるアリス。
「お前ら、うるさい! 輝け、<アオゲ>!!」
 ブラクテが怒りの声を上げると、彼女の携える目のような宝石が光を放った。それに操られるようにブラクテの装備する金の装甲が全てばらばらに動きだし、それぞれが意思を持つかのように全員へと襲い掛かる。
「意外と鋭いわね……」
「小さいのがかえって厄介だな!」
 竜の爪や顎、さらに尻尾を形成していた金の小片が細かく動いては鋭く的確な動きでエルーゼたちを削っていく。
 さらにブラクテは自身も動き、残る財宝を武器に猟兵へと切りかからんとする。
「させません!」
 だがそこへここまでずっと後方での見に徹していた華澄が、『有終の刻』での援護射撃を放った。その弾丸は飛び交う財宝の間を縫い、小さなブラクテの体に過たず着弾する。
「あぎゃっ!?」
 的確に隙間を狙っての狙撃術に、ブラクテは空中で弾丸に弾かれるようにぽんぽんと何度も舞い上がる。その間も財宝たちは動き回り続けるが、どちらかと言うと攻めかかるよりもブラクテを守るように周囲を飛び回る動きへと変わっていた。
「いい加減……邪魔だな!」
「こんな小銭には興味ないのよ」
 エルーゼとアリスはここまで溜めた魔力を武器に乗せ、財宝の群れへと叩きつけた。城すら破壊せんばかりの一撃が二度、衝撃波を伴ってブラクテの前に叩きつけられ、小さな財宝たちを纏めて吹き飛ばす。
 その振動の中、揺れる財宝竜に素早く手を突っ込んだカメリアが叫んだ。
「よし、これで……最後だ!」
 薬瓶を手に竜から離れていくカメリア。目的の品は全て入手した、これ以上戦いを続ける必要はない。
「あー! 変な瓶でもブラクテのものはブラクテのものだ! 返して……」
「あれはお前のモンじゃねぇよ」
 冒険者へと掴みかかろうとするブラクテに、その動きとすれ違うようにしてジェイクの一閃が決まる。さらに振り抜いたところから体を反転、連続の斬撃から長剣となった『無数の願望』に持ち替え突進、袈裟懸け、連続突きと、的の小ささを感じさせない流れるような連撃が決まる。
「全部、ブラクテの……!」
「お前には過ぎた玩具だよ」
 溜めに溜めた魔力の宿った最後の振り抜きが、黄金の装備を失ったブラクテの褐色の体を両断した。
 真っ二つになったブラクテはそのまま城の外へと放り出され、虚空へと消えていく。それと同時に財宝竜も一気に崩れ去り、元の宝の山へと戻った。その宝は大部分が変形、破損しており、先に取り出していなければ薬瓶など粉々に砕けていただろう。そしてその中で無傷で煌めく不思議な欠片……『輝石の欠片』と思しき宝は、猟兵が取り分としてもらっていって構うまい。
 そして冒険者たちはというと。
「ついに……ついに手に入れたぞ!」
「長かった……ここまで本当に……!」
 瓶を手に喜びに震えており、とりわけ感情的らしいコマチなど涙すら流している。
「これがですか」
 存外大量にあった瓶をベアトリスが手に取る。
「これで安心して飲めるわね」
 ここまで苦労したのだ、効果はあってほしい。そう願うエルーゼの前で、冒険者たちは瓶を開け中身を一気に飲み干した。
「お、おお、おおおお!!」
「こ、これは……!!」
 四人の冒険者の服がもぞもぞと動き回り、まるで天地創造の如く平原が巨峰へと盛り上がった。
「でかい! 重い! 肩がこる!」
「ああ、肘を伸ばさないと祈りの姿勢もとれません……!」
「羽が疲れる! 飛ぶのが大変だぁ!」
「隠密に支障があるのはシーフとしてどうかだと? そんなものどうでもいい!」
 なんかデメリットっぽいことばかり言っているが、その顔は喜びに満ちている。恐らく一度言ってみたかったのだろう。『大きいのも大変だ』的な事を。
「人数分あるし、呑んでみようか」
 エルーゼが薬を手に提案してみると、華澄は首をかしげる。
「えーと、私達も飲むのです? まあ余ってるわけですし、何もなければそれはそれでいいとも言えなくも。ただまあ、こういうのって副作用とかそういったのもありそうで……」
 そもそも100年単位、下手をすればそれ以上で放置されていた薬なのだ。しかも魔法の本場アックス&ウィザーズ製である。一体どんな副作用があったものかわかったものではない。とはいえ、目の前で既に一気飲みしてしまった集団がいるのだ。万一を考えて効果を確かめておく必要は確かにある。
「アリスさんの様な身体になるとかありえそうで」
 具体的に何がとは言わないが、アリスをじっと見るベアトリス。アリスもその視線から何かを察し。
「私達も飲むのか」
 なんか色々大変なことになりそうな気もするが、なったらなったで何とかするしかない。
 そうして猟兵たちも、ある者は覚悟を決め、ある者はノリノリで薬を飲み干した。
「うおぉぉぉぉぉっ!?」
「やっぱりこうなるんですね……」
「まあ、予想通りと言えばそうですねぇ」
「動けん、いろんな意味で……!」
 元から豊かだった四人の胸は冒険者たちとは比べ物にならない勢いで膨れ上がり、全員が自分の胸に寄りかかるような格好を取らざるを得なくなってしまった。その中でも特にアリスは特に前傾となり、決して胸以外の体の前面を見せないようにしている。
「なるほど、足し算ではなく掛け算に近いと」
「冷静に分析している場合か……!」
 元からないものを足すことは出来ないが、あるものは巨大化するということだ。何の話かは彼女たちにしか分からない。ついでに冒険者たちもどうかは不明である。ラインの浮かない服を着ているエイカあたりはちょっと怪しい。
「まあ、この状態でも動けなくはないけど……慣れてるし」
「さすがエルーゼちゃん。私はまだちょっと経験が浅くて……」
 一度経験があるだけでも十分凄いのだが、その辺りの感覚は揃ってマヒしているようだ。
 そんな騒動を尻目に残った書物に目を通していたジェイクは、その本を閉じてしまうと冒険者たちに声をかける。
「もういいだろう、帰るぞ」
「あ、ああ、ありがとう、感謝するぞ!」
「あ、でも、あの人たちは……」
「自力で帰れる。いつもの事だ」
 そう言って一刻も早くこの場から離れ解散とするようジェイクは促す。それに従い無駄に胸を揺らしながら帰路へと付く冒険者一行。その姿を見てジェイクは、今しがた書棚に押し込んだ研究日誌の一節を思い出す。
『効果はきっかり24時間。だが、それだけあれば十分だろう。それ以上を望むくらいなら、本来の自分を見てくれる相手を見つけるべき。見かけだけの仮初の愛は、いつかは終わるべきだしそれ故に楽しいのだから』
 冒険の終わりは、きっと次の冒険の始まり。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月22日


挿絵イラスト