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猟書家~鏡の中の理想

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #レプ・ス・カム #フェアリー

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「トトちゃん……。今日もかわいいのです」
 そのフェアリーは、鏡に映る自分の姿を見て、うっとりと囁く。
「このお花はトトちゃんの髪にとてもよく似合うのです。お花もとても輝いているのです」
 ふふふ。ふふふふふ……。

「お、いたいた。やってるねぇ。お邪魔しまーす!」
 自分以外の誰も入ってこれないはずのフェアリーランド。そこに土足で踏み込んでくる兎耳の侵入者。
「誰!?」
「ああどうぞお構いなく。こっちの方は勝手にやっておきますので!」
 フェアリーの質問を無視して、その兎耳は手にしたランタンを揺らす。フェアリーランド全体が揺れたように感じた直後。フェアリーの姿を映す鏡と同じものが辺り一面に現れたのだ。そのフェアリー、トトの姿を映したまま――。
「なになに!? どうなってるの!?」
 増えた鏡の中から、そのフェアリーと同じ姿をした者たちがぬるりと滑り出してくる。
「驚いて泣いてるトトちゃんかわいいのです。もっとかわいい声で泣くのです」
 体温のない手に頬を撫でる。
「ヒッッ!?」

 鏡に囲まれた異形の空間に、少女の悲鳴が響き渡る――。


「うむ、今日も完璧だな」
 グリモア猟兵ダスク・ドーン(f13904)が、鏡を見ながら何かほざいていた。ダスクは集まってきた猟兵たちに気付くと、咳払いと共に予知した事件の説明に入る。

 様々な世界に侵攻する『猟書家』たち。
 アックス&ウィザーズにて、幹部の1人『レプ・ス・カム』はスーパーウサギ穴なる力を使って、フェアリーランドを悪夢へと書き換えている。
 悪夢に浸食されても姿を変えない『天上界への鍵』を見つけ出すために。

「既に戦った者もいると思う。『レプ・ス・カム』がまた現れた」
 今回助けに向かってもらうフェアリーの少女は、フェアリーランドに閉じこもって鏡に映った自分を見て楽しむメルヘンな趣向の持ち主。
「そこに猟書家が乗り込んで、フェアリーランドを悪夢に書き換えた、と」
 フェアリーの姿を映した鏡を複製。その鏡から大量の虚像を実体化し。フェアリーランドの主を追いかけまわしている。

「まずは鏡と虚像への対処だな」
 フェアリーランドは石造りの古風な城のような場所。そこが猟書家の力で複雑怪奇な立体迷路のようになっていて、至る所に鏡が設置されている。その鏡からフェアリーの姿をした虚像が出現する。
「襲ってくる連中はここのフェアリーと同じような思考らしい。適当に可愛がってやれば満足して消えていくだろう」
 複製された鏡や虚像を平和的にお引き取り願うか、力で排除するか。あるいは怯えて泣いているフェアリーランドの主を落ち着かせてやってほしい。

「敵が造った鏡を排除したら、フェアリーランドの中心に向かってほしい」
 猟書家『レプ・ス・カム』は、本物の鏡の前にいる。本来のレプ・ス・カムのユーベルコードに加えて、鏡の中からフェアリーやレプ・ス・カムの虚像を出現させてくる。
「何でも……。鏡に向けてかわいいアピールをすることでフェアリーランドの主がなんやかんやあって猟書家を追い出すことも出来るらしい」
 まあ、普通に戦っても大丈夫だ。

「そういうわけだ。鏡で身だしなみを整えた奴から送ってくぞ」
 ダスクは大きな姿見の前で、最高にかっこいい転送ポーズの予行練習をしていた。


背腹かえる
 プレイングボーナス(全章共通)……フェアリーに楽しいことを考えてもらう。

●ご挨拶
 背腹かえるです、よろしくお願いします。
 これは幹部シナリオです。このシナリオは2フラグメントで完結し、「猟書家の侵略」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
 アックス&ウィザーズ猟書家戦。フラグメントは冒険、ボス戦。

 第1章、冒険『無機物相手に愛を囁く』。
 迷宮になったフェアリーランドの鏡からフェアリーの虚像が襲ってきます。
 フェアリーをかわいがるか鏡を割るかすると排除できます。

 第2章、ボス戦『レプ・ス・カム』。
 幻術と話術で人を惑わす幹部猟書家です。
 『天上界への鍵』が出てくるまで鏡の前でかわいいポーズの練習をしています。

 それでは、よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『無機物相手に愛を囁く』

POW   :    無理! 物理で破壊……できなかったら、考える……

SPD   :    他に解除法ないのかな? 精神的に辛いけど、台詞は頑張る

WIZ   :    よーしやってやる、覚悟するがいい!

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 いったい、何が起こっているんだろう。

 誰も入ってこれないはずのトトちゃんだけのフェアリーランドの変なのが入ってきて。
 全然かわいくないトトちゃんの偽物がいっぱい出てきて……。

「って扉がないのです!? ここから出られるはずなのに!?」
 フェアリーランドの出口だったところに、1枚の鏡が鎮座している。
 泣きながら鏡を叩く。その腕を、鏡の中の自分の腕が掴んで、微笑む。

 違う違う。
 こんなのトトちゃんの世界じゃない。
 誰か――。
ロザリア・ムーンドロップ
最近レプ・ス・カムの事件がとても多くなっている気がします!
なので私も微力ながら、猟兵として冒険に向かってみようと思います!

鏡がたくさんあるところですね……合わせ鏡を覗いてはいけない、という話を聞いたことがあります。
多分迷信か何かなのでしょうけど……どこまでも続いて何だか気が遠くなりそうなのでなるべく覗かずにいきましょう。

トトさんの偽物さんですが、ここは可愛がる一択ですね!
フェアリーさんは小さくて可愛いんです! 力加減に注意しながら頭を撫でてあげるとかしてみたいです!
そして必殺のー、可愛いの舞です!(くるくる踊る)
なんだか楽しくなってきました! このままくるくるいきましょー!



「最近レプ・ス・カムの事件がとても多くなっている気がします!」
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は、自らもレプ・ス・カムの事件をいくつも予知している。
 しかし、何度撃退してもレプ・ス・カムの攻勢は衰えることはない。大元の骸の月をどうにかしない限り、この流れは変わらないのだろう。
 とにかく、今出来ることを全力でやるしかない。
「なので私も微力ながら、猟兵として冒険に向かってみようと思います!」
 ロザリアは元気に、フェアリーランドへと飛び込む。

「鏡がたくさんあるところですね……合わせ鏡を覗いてはいけない、という話を聞いたことがあります」
 石造りの薄暗い廊下のあちこちに鏡が設置されている。その一角、鏡で囲まれた不思議な空間がある。
「多分迷信か何かなのでしょうけど……どこまでも続いて何だか気が遠くなりそうなのでなるべく覗かずにいきましょう」
 何か重要なことがありそうな空間だが、思わせぶりな場所にわざわざ飛び込むのは危険。ロザリアは十分な距離をとって、合わせ鏡の様子を伺う。
 鏡の隅にロザリアのスカートの裾が映り込むと、鏡の中の映像が勝手に広がり、ロザリアと同じ服を着たフェアリーが飛び出してくる。
「トトちゃん可愛いのです……?」
 鏡から生まれた虚像が、小首を傾げる。
「お揃いです! 可愛いです!」
 ロザリアはお揃いの服を着たトトの偽物を抱き寄せる。
「えへへへ……」
「よしよし……」
 ロザリアの腕の中で甘えるフェアリーの頭を優しく撫でる。ロザリアの掌に、『もっと撫でて』の感触が返ってくる。期待に応えて小さな頭をもっとなでなでする。
「なんだか楽しくなってきました! このままくるくるいきましょー!」
 フェアリーの手を持ったまま、ロザリアはその場でくるくる回り出す。
「可愛いの舞です!」
「可愛いの舞なのです!」

 溢れる可愛いの波動が、2人の中で1つに重なる。
 終わりのない合わせ鏡の中に、2人の笑い声が木霊した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アイシャ・ソルラフィス
尚くん(f01298)、シェイ(f00895)、ポーラちゃん(f06947)と参加

か、かわいが…る?
えっと尚くん? このフェアリーさん、なるし…す…?
ああ。うん…(察し
…世界は広いなぁ…(  ̄- ̄)
って現実逃避をしている場合じゃないね!
とりあえず、えぇと…褒めます。

「かわいいね!綺麗だね!お花が似合ってるよ!ほっぺプニプニしてて気持ちよさそう!こんな子に撫でてもらえたら癒されるね!」
…あとは、えっと…
…褒め殺すのってむずかしいね…

あ。ポーラちゃんとドレスアップ? フェアリーさんがシェイをモフモフするの?
じゃあそれを憧憬の眼差しで褒める演技をしつつ、精神的に疲れたからボクもシェイをモフります


ポーラリア・ベル
なおなお(f01298)しぇいしぇい(f00895)あいあい(f06524)と一緒にご参加!
(鏡の前でポーズ取り)
…冬は、可愛い!
(トトちゃんっぽいのの隣でポーズ取り)
…トトちゃんも、可愛い!
それじゃあ可愛い追及してこっかー♪
【コールドクリエイト】で氷や雪の飾りを作って、トトちゃんと一緒にドレスアップ♪
氷のうさ耳尻尾でバニーさんにとか、色んな姿になって一緒に可愛い可愛いするー♪
どう?みんな、ポーラ可愛い?氷で飾ったトトちゃん可愛い?
ポーラとトトちゃんの姿毎の氷像も作ってみたよ!
3次元で氷のアートになっても、可愛い!

え?ポーズやり直し要求?究極可愛いトトちゃん氷像、リクエストがあれば作るよ!


シェイミー・ソルラフィス
 にーちゃ(f01298)とお姉ちゃん(f06524)、妖精さん(f06947)と参加
 可愛がるってよくわからないけど、構ってあげればいいの?

 フェアリーさんを楽しませればいいのね?それじゃあお姉ちゃんに頼んで狼さんになるから存分にモフモフすればいいの。こういうの好きって人いっぱいいるし、背中に乗せたりお腹を触らせてあげれば喜んでくれる気がするのー♪
 ……うん?にーちゃとお姉ちゃんも触りたそうにしてる?いいよー触ってー♪(ごろんと横になる)
 ダメだった時は一気に飛んで、クォタトゥクルで鏡割っちゃうね。


日野・尚人
あーちゃん(f06524)、シェイ(f00895)、ポーラ(f06947)と参加

助けに来たぞ!
俺たちが来たからにはもう大丈b・・・って、悪夢だけあってホラー入ってんな?!
ほら、ここはお前(トト)の世界なんだろ?
手伝ってやるから侵入者を追っ払っちまおうぜ♪

しかしアレ(虚像)を可愛がる、か。
あーちゃん、そこは(本人の前なんだし)察せって・・・っと?
お、便利なユーベルコード持ってるな!
おう、似合ってる似合ってる♪ シェイも良い感じだぜ♪
(ついついシェイ狼をモフりつつ、ポーラ主催のファッションショーを見学)

へ? いや、まあ・・・か、可愛い・・・かな?
(トトはともかく3人にそれを言うのは照れがある様子)



 不思議な鏡の迷宮となったフェアリーランドに踏み込んだのは、アイシャ・ソルラフィス(隣ん家の尚くんを毎朝起こす当番終身名誉顧問(願望)・f06524)、ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)、シェイミー・ソルラフィス(シェイ・ヘフェア・クォタトゥクル・f00895)、日野・尚人(あーちゃんの早朝襲撃に断固抵抗する会終身(?)会長・f01298)の4人。

 尚人が先頭になって、薄暗い廊下を進む。
「不思議なところだね?」
 道中にあったアイシャが鏡を覗き込む。続いてポーラリアが鏡の前でポーズを取る。そして最後に、シェイミ―がクォタトゥクルで鏡を叩き割わろうとしたところで――。
 鏡の中から、1体のフェアリーの虚像が出現する。
「トトちゃん可愛いのです?」
 ふらふらとメンバーに近づいてくるフェアリー。シェイミ―は魔剣の構えを解いて、フェアリーの頭を撫でてみる。
「可愛がるってよくわからないけど、構ってあげればいいの?」
 シェイミ―は他のメンバーに尋ねる。
「そのまま撫でたり褒めたりして楽しませてあげれば……?」
 尚人の曖昧な提案。シェイミ―は少し考えて――。
「フェアリーさんを楽しませればいいのね? それじゃあお姉ちゃん」
 アイシャに魔法の催促をするシェイミ―。
「フェアリーさんがシェイをモフモフするの?」
 アイシャが魔法をかける。【闇の獣の目覚めの詩】の力で、シェイミ―はもふもふの狼に変化する。
 シェイミ―はもふもふでフェアリーを包み込む。アイシャがもふもふしているシェイミ―とフェアリーを優しく撫でる。
「可愛い、可愛い……」
「えへへ……」
 フェアリーはシェイミ―の上で伸びている。みんなが撫でやすいように、シェイミ―はごろんと転がって、無防備なお腹を見せる。
 しばらくもふもふしていると。フェアリーは満足したらしく、それが出てきた鏡と一緒に消えてしまう。

「消えちゃったね」
 アイシャが、尚人の顔を見る。
「しかしアレを可愛がる、か」
「か、かわいが……る?」
 アイシャは尚人の顔を見る。
「えっと尚くん? このフェアリーさん、なるし……す……?」
「あーちゃん、そこは……、察せって……っと?」
 尚人は、小声で言う。予知で伝えられたフェアリーの行動。予知か猟書家の侵入がなければ誰かに知られることのなかった秘密。出来る男、尚人はあえて何も言わなかった。
「ああ。うん……。……世界は広いなぁ……」
 納得したようなしないような顔のアイシャ。
「あ! あれは!」
 アイシャの考え事は、ポーラリアの声で中断される。ポーラリアの視界の先には、多数のフェアリーに追われる、同じ姿をしたフェアリー。間違いない。本物のトトだ。
「って現実逃避をしている場合じゃないね!」
 先に飛び出したポーラリアに続いて、他のメンバーも先を急ぐ。

 フェアリーとトトの間に割って入る尚人。
「助けに来たぞ! 俺たちが来たからにはもう大丈b――」
「きゃー!? 助けてなのですー!?」
「助けてなのですー!?」
 本物のトトが尚人に飛びつき、続いて偽物の群れも飛びついてくる。
「――って、悪夢だけあってホラー入ってんな?!」
 尚人は偽物の群れに押しつぶされつつ、本物のトトを元気づけるために声をかける。
「ほら、ここはお前の世界なんだろ? 手伝ってやるから侵入者を追っ払っちまおうぜ♪」

 動けない尚人を助けるために、ポーラリアが元気に可愛いポーズを取る。
「……冬は、可愛い!」
 トトの偽物に近づき、今度は一緒にポーズ。
「……トトちゃんも、可愛い!」
「トトちゃんも可愛いのです!」
 ポーラリア隊長の指揮の元、トトちゃん可愛い部隊が結成される。
「それじゃあ可愛い追及してこっかー♪」
 ポーラリアはトトの偽物を引き連れて【コールドクリエイト】で雪や氷の装飾品を作り出す。
「お、便利なユーベルコード持ってるな!」
「色んな姿になって一緒に可愛い可愛いするー♪」
 氷のうさ耳尻尾を装着した偽物たちが、鏡で自分の姿を確認している。
「どう? みんな、ポーラ可愛い? 氷で飾ったトトちゃん可愛い?」
 ポーラリアが氷で着飾ったフェアリーたちをみんなの前に連れてくる。
「トトちゃん可愛いのです?」
 フェアリーたちが一斉に小首を傾げる。
「かわいいね! 綺麗だね! お花が似合ってるよ! ほっぺプニプニしてて気持ちよさそう! こんな子に撫でてもらえたら癒されるね! ……あとは、えっと……」
 アイシャが一気にまくしたてる。褒め殺すのも楽じゃない。言葉が止まってしまったので……。シェイミ―とポーラリアを混ぜて、みんなでもふもふを始める。
「可愛い!」
「可愛いのです!」
 もふもふのシェイミ―のお腹の上で、ポーラリアとフェアリーたちが可愛いポーズを繰り返しながら、いろんな氷の像を造ってゆく。
 最初はかなりの数がいたフェアリーたちが、少しずつ少なくなってゆく――。

「おう、似合ってる似合ってる♪ シェイも良い感じだぜ♪」
 ポーラリア主催のファッションショーを見学する尚人の腕の中で、本物のトトが何か言いたそうにしている。
「ほら、トトちゃんの分だよ」
 もふもふの輪から抜けてきたアイシャが、トトに氷の冠を被せる。本物の方はこういったことになれていないのか、不思議そうな顔でアイシャと尚人の顔を見上げる。
「うん、とっても似合ってるよトトちゃん」
「おう、可愛いお姫様だぜ♪」
 2人に褒められて、トトの表情が少しだけ、緩む。

「尚くん……ボクもつけてみたんだけど……。どうかな?」
 アイシャが髪に刺した氷の花をアピールする。
「へ? いや、まあ……か、可愛い……かな?」
 ここまで順調だった尚人が、すごく照れていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
落ち付いて下さい、妖精さん
周りを見回せばあなたがいっぱい
そう、可愛らしいあなたがそれだけたくさん見られるということです
これは逆に楽園ではありませんか?

もちろんあなたが本物なのですから、あなたが一番可愛らしいですよ
ですから鏡から出て来た他のあなたたちに
一番可愛らしいあなたがレッスンをしてあげればいいのです
このポーズは顔をこの角度にすればもっと可愛い
髪型はここのウエーブを強調すればもっと可愛い……などどね

私自身も「誘惑」を使って鏡像たちに誘いかけます
ふふ、鏡の中のトトさんたち
自分がもっと可愛らしくなるためのレッスンなのですから
喜んで受けてくれるでしょう?
十分満足したところで帰ってもらいましょうね



 黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)がやってきたとき、フェアリーランドの主は鏡で出来た部屋で偽物たちに囲まれていた。

「落ち付いて下さい、妖精さん」
 偽物の中を掻き分け、魅夜は泣きじゃくるトトを両腕で優しく包む。
「トトちゃん落ち着くのです」
 魅夜の背中に偽物たちが張り付いて、覗き込んでくる。魅夜はそれらの存在を無視して、トトのみへと声をかける。
「周りを見回せばあなたがいっぱい。そう、可愛らしいあなたがそれだけたくさん見られるということです」
 涙を拭いて、トトに周囲の様子をよく見せる。
「これは逆に楽園ではありませんか?」
「……」
 自分と同じ姿をした者に囲まれる光景。同じ姿をしつつ自分ではない何かが自分を覗いてくる。トトにとっては恐怖でしかない。
 魅夜は言葉を続ける。
「もちろんあなたが本物なのですから、あなたが一番可愛らしいですよ」
「トトちゃんが、一番可愛い……?」
 もう一度偽物を見るトト。自分が一番可愛い。そう思ってこの光景を見ると、ちょっと元気が出たかもしれない。

 トトが少し落ち着いたところで、魅夜は次のステップへと進む。
「ですから鏡から出て来た他のあなたたちに、一番可愛らしいあなたがレッスンをしてあげればいいのです」
「……可愛いレッスン?」
「そうです。このポーズは顔をこの角度にすればもっと可愛い。髪型はここのウエーブを強調すればもっと可愛い……などどね」
 魅夜は偽物の1体を手元に寄せる。髪を整え、偽物にポーズを取らせる。
「トトちゃん可愛いのです?」
 魅夜にレッスンを受けた偽物が、小首を傾げる。
「ふふ、とっても可愛いですよ……」
 優しさの裏に僅かな妖しさを滲む魅夜の言葉を受けて。可愛いポーズのまま、偽物はフッと消えてゆく。

「可愛いレッスン……」
 トトは、自分の偽物に向かってポーズを取る。普段なら、鏡以外の誰にも見せていないポーズだ。
「トトちゃん……可愛いのです」
 本物と同じポーズを取り、偽物が囁く。そのまま、静かに消えてゆく。
「自分がもっと可愛らしくなるためのレッスンなのですから、喜んで受けてくれるでしょう?」
「受け入れる……」
 魅夜の言葉に、トトの顔にもようやく笑みがみえるようになる。
「偽物の皆さんには十分満足したところで帰ってもらいましょうね」
 魅夜とトト、2人の可愛いレッスンで偽物たちを導いてゆく。

 消えた偽物がどこへ帰るのか。
 『悪夢』を操る魔性は、何も語らなかった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『レプ・ス・カム』

POW   :    ミラージュ・ラパン
自身と自身の装備、【自身がしたためた招待状を持つ】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
SPD   :    兎の謎掛け
【困惑】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【鬼火の塊】から、高命中力の【蒼白い炎の矢】を飛ばす。
WIZ   :    素敵な嘘へご案内
【巧みな話術】を披露した指定の全対象に【今話された内容は真実に違いないという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ハーバニー・キーテセラです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「うーん……。この感じ?」
 猟書家『レプ・ス・カム』は、1枚の鏡の前でポーズをとっていた。
 フェアリーの全身を映すサイズの楕円形の姿見。人間サイズのレプ・ス・カムにとっては幾分窮屈だ。
 そんな猟書家と鏡を、たくさんの鏡と偽物の妖精が見守っている。

 ポーズを取ったまま、しばらく静止……。
「……でもないかー。難易度高いなー」
 しばらく経っても反応ないのでポーズを崩す。
 この鏡の中に目的の鍵があるのは間違いない。だが一向に反応がない。
「これはあれかな? 何か鏡の中に投げ込んだりとかした方がいいかな?」
 新たな手を試そうとするレプ・ス・カム。手頃な生け贄といえば――。

 駆けつけた猟兵たちと本物のトトの方へと向き直るレプ・ス・カム。
「お、ちょうどいいところに来てくれたね」

 猟兵たちと猟書家の戦いが始まる。
ロザリア・ムーンドロップ
やっと会えましたねレプ・ス・カム!
さぁ、勝負といきましょう!

レプ・ス・カムの能力についてはグリモア猟兵としていくつか事件のご案内をしていますし
結構わかっているつもりです。
なかなか厄介というか、完璧に捉えて跳ね返すのは難しい気がしています。

なので少々強引ですが、この手でいきましょう。

まずはそこら中に複製された鏡を割ります!
そして周囲の足場を鏡の破片まみれにします!

相手は透明ですが物音は消せないので、鏡の破片を踏めばきっと音が出るはずです。
それを聞き逃さないようにして、必殺の魔法をお見舞いしましょう!
音が一瞬だけならきっとジャンプしてます! その場合は武器を上に向けてドーンです!



「やっと会えましたねレプ・ス・カム!」
 その姿は、予知の中で何度も見ている。
 ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)は改めて、その猟書家と対峙する。

「おや? もしかして私のファンの方ですか!」
 レプ・ス・カムは鏡を背に、ファンサービス的なポーズを取る。それがただの自意識過剰なのか、相手の精神をかき乱すための作戦なのかはわからない。
 ひとまず、ロザリアも対抗してウィザードロッドを構える。くるりと回ってウインク&ピース。
「さぁ、勝負といきましょう!」
 そして決め台詞。レプ・ス・カムの後ろにある鏡にロザリアの姿が映り込み、きらりと輝く。
「くっ、さっきまで全然反応しなかったのに! この鏡っ!」
 言っても始まらない。猟兵が来てしまった以上力づくで行くしかない。

 レプ・ス・カムは、ユーベルコードの力で姿を消す。
「むう……、綺麗に消えましたね……」
 結構わかっているつもりのロザリアだった。実際に目の前で姿を消されると、それは想像していた以上に厄介だと感じる。今のロザリアの力で完璧に捉えて跳ね返すのは難しい。
「なので少々強引ですが、この手でいきましょう」
 ロザリアは魔法も使わずに、手にした魔法の杖『クレセントブレイカー』で近くの鏡を叩き割る!
「わ!? びっくりするなーもー」
 どこからか、レプ・ス・カムの呑気な声が聞こえる。声の様子からすると、ロザリアの杖の間合いにはいない模様。
「どこですか! 出てきてください!」
 ロザリアは近くの鏡を次々に破壊する。手当たり次第の攻撃で、辺り一面に鏡の破片が散らばる。
「はっはっはー。全然当たんないよー。それじゃー、そろそろこっちから行こうかな!」
 部屋中に響き渡るレプ・ス・カムの声。その中で、僅かに聞こえた、鏡の破片を踏む音――。

「そこです! 魔力全開!」
 ロザリアは音のした方向に向き直り、魔力を練り上げる。
「およ?」
 急に振り返られたことで、何もない空間から気の抜けた声が出てしまう。
 これで、はっきりした。ロザリアは一見何もいないその空間に、三日月形のロッドの仰角を合わせ――。
「これが私の月『魔砲』です!」
 全力の魔砲【フルムーンブラスト】を放つ!
「きゃー!?」

 強く輝く月の光の中、兎の影が現れ、崩れてゆく――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
あら、窮屈で鏡に映りにくいですか?
でしたら十分映るように細切れにしてあげましょう
ああ、私のことはお気になさらず
ダンピールの私はもともと鏡に映りませんので、ふふ

鏡には鏡で対応しましょう
ぺらぺらと無駄におしゃべりなことです
ですが私の心は全く震えません
ふふ、理由を教えてあげましょうか
私の張り巡らせた鏡はあなたの内面を映し出します
あなたがいかに舌先三寸を働かせ、それがもっともらしく聞こえたとしても
それが嘘であることを鏡に映ったあなた自身が自白しているのですよ

同様に鏡から出てきた虚像たちも
己が偽物であるという内面を映し出されて引き裂かれていくでしょう
さああなたもそのあとを追いなさい、愚かなウサギ



「む、むう……」
 レプ・ス・カムは鏡を覗き込んで、表情を曇らせる。とっとと鍵を手にして退散したいのに、この鏡は――。
「あら、窮屈で鏡に映りにくいですか?」
 黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)が、焦る兎に声をかける。

「おや? 新しいお客さんですか! そうなんですよ! この鏡が言うことをきかなくてですね!」
「でしたら十分映るように細切れにしてあげましょう」
 お困りの兎に、新たな解決法を提案する魅夜。
「細切れ!? それは斬新な方法ですね! では、折角ですので貴女もご一緒に!」
「ああ、私のことはお気になさらず。ダンピールの私はもともと鏡に映りませんので、ふふ」
 レプ・ス・カムしかいない鏡の前で、魅夜は笑う。
 この猟兵と猟書家の会話が、本気なのか冗談なのか。鏡は、何も言わない。

「鏡には鏡で対応しましょう」
 魅夜は妖しく微笑みながら、【鏡の森に追憶の哀しき葉は舞い落ちる】の力で鏡の世界を侵食してゆく。
 レプ・ス・カムも反撃のため、大袈裟な動作と共に魅夜へと語り掛ける。
「いやーダンピールって本当に鏡に映らないんですね! 始めて見ました! 鏡に映らないと不便じゃないですか! ほら、お化粧とか! あ、めっちゃ白いですけどもしかしてそれダンピールの地肌っすか!」
 その兎は心底楽しそうに話しかけてくる。ただ、目は笑っていない。
「折角ですので他にも、太陽の光とか銀の杭で死ぬか試してみたいです!」
 賑やかな歓談から、確かな攻撃へ。石の壁に囲まれた薄暗い鏡の迷宮に、突如日の光が差し込む。壁に、先ほどまでなかったはずの大きな窓が出来ていた。
「ぺらぺらと無駄におしゃべりなことです」
 しかし、この程度の幻惑で動じる程、魅夜は甘くない。
「ですが私の心は全く震えません。ふふ、理由を教えてあげましょうか。私の張り巡らせた鏡はあなたの内面を映し出します」
 レプ・ス・カムの前にある、1つの鏡。そこにいるレプ・ス・カムは、焦っている。
 嘘を嘘を隠し切れない兎を指さし、魅夜は語る。

 同様に鏡から出てきた虚像たちも。
 己が偽物であるという内面を映し出されて引き裂かれていくでしょう。
 さああなたもそのあとを追いなさい、愚かなウサギ。

 魅夜の最後の言葉と共に、鏡が割れる。
 鏡に映った愚かなウサギと一緒に、レプ・ス・カムの肉体も砕け散る。鮮血が溢れ、繋がっていない細切れの身体から激痛が流れ込み――。

「――ハッ!?」
 兎は、鏡の前で目を覚ます。
 身体は……、何ともない。ただ、全身にどっと汗をかいている……。
 今見たウサギの死は、幻か。それとも――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日野・尚人
あーちゃん(f06524)、シェイ(f00895)、ポーラ(f06947)と参加

面白ポーズはもう終わりか?
それじゃトトの世界を取り戻してやろうぜ!

(UC発動)
<ダッシュ><早業><2回攻撃><零距離射撃><フェイント>で<先制攻撃>!
シェイ、無茶すんなよ?
スピードを上げてると声なんて聞こうとしなけりゃ殆ど聞こえないからな。
要は話を聞かなけ、ポーラっ!?
あー・・・とりあえずは無事そうか。
あーちゃんも聞くなって!
(嘘に動揺するアイシャの両耳を指で摘んでこしこし擦る)

あーちゃんに吹っ飛ばされんのには慣れっこだ!
<空中戦><足場習熟><地形の利用>で偽鏡を蹴って突撃するぜ!
これもある意味連携技ってな!


シェイミー・ソルラフィス
 にーちゃ(f01298)とお姉ちゃん(f06524)、妖精さん(f06947)と参加
 あれが、今日のご飯なのね♪じゃあ食べよっかクォタトゥクル。

 狼になって、ウサギさんを食べるの。変な事言って来ても大丈夫なの。呪われて私はクォタトゥクルと一つだから、クォタトゥクルが言ってる事が正しいの。
 クォタトゥクルは魔剣だから、血や魂を食べないと駄目なの。だから、オブリビオンを食べてクォタトゥクルはずっとクォタトゥクルのままでいるの。
 クォタトゥクルを咥えてて声が出せないから唸り声だけど、オブリビオンさんいただきます♪

使用スキル
呪詛
生命力吸収
第六感
早業
見切り
2回攻撃
勇気


ポーラリア・ベル
なおなお(f01298)しぇいしぇい(f00895)あいあい(f06524)と一緒にご参加!
何々?その鏡がどうしたの?
騙されて鏡の中へ入っていくの。
ふぇあ!閉じ込められた!?トトちゃん、鏡の外にいる!?

ちょっと思いついたのだけど、トトちゃんこう言ってみて?
「鏡よ鏡、この世で一番可愛いのは誰?」みたいなの。

レップーの話術は【氷幻鏡】に録音したんだから!
鍵を手に入れたら、これによる話術を逆利用して鏡から出るよ!
もー騙されないのよ!鍵はしっかりポーラが保管するの!
【属性攻撃】【天候操作】の吹雪で凍らせていくよ!

それでも騙したら、今度はポーラの番
【氷幻鏡】で、実は鏡の中が現実で元の世界と話術で騙すのよ


アイシャ・ソルラフィス
尚くん(f01298)、シェイ(f00895)、ポーラちゃん(f06947)と参加

【WIZ】で行動

トトちゃんをほっとけないので保護して慰めつつレプ・ス・カムと戦うよ!

ボクはUC『守護の祈り』でみんなを強化して、後衛から〔属性攻撃〕〔全力魔法〕〔多重詠唱〕〔高速詠唱〕で遠距離攻撃
接近されたら〔見切り〕〔盾受け〕で頑張ります!

ただ嘘への対策なんて何もしてないから【巧みな話術】なんてされたら騙されて動揺してうっかりUC『嵐の中の犠牲者』でだれかを吹き飛ばしちゃう…かも?
その時はみんな、ごめんね…
でも3人のことは信じてる!だから嘘をつかれても平気だもん!…たぶん(汗
だから尚くん!耳こしはやめてぇ~っ!



 フェアリーランドの主トトと、日野・尚人(あーちゃんの早朝襲撃に断固抵抗する会終身(?)会長・f01298)、シェイミー・ソルラフィス(シェイ・ヘフェア・クォタトゥクル・f00895)、ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)、アイシャ・ソルラフィス(隣ん家の尚くんを毎朝起こす当番終身名誉顧問(願望)・f06524)の4人の猟兵を出迎える。
「おや、これまた団体さんがやってきましたね!」
 猟兵の攻撃に押され気味のレプ・ス・カム。5体1の形だが、幻惑を扱うレプ・ス・カムからすれば敵が多い程攪乱は容易になる。ここが正念場だ。
 さーて、上手いこと誑かして鍵を掻っ攫って逃げないと――。

「あれが、今日のご飯なのね♪ じゃあ食べよっかクォタトゥクル」
「面白ポーズはもう終わりか? それじゃトトの世界を取り戻してやろうぜ!」
 鏡の前に立つレプ・ス・カムに、獲物を向ける尚人とシェイミ―。
「おや? おねーさんにポーズのリクエストですか? そして食べられてしまうんですか♪ 男の子ですね♪ こんな感じで……どうかな?」
 レプ・ス・カムは2人の呼びかけに応え、魅惑的なポーズを取る。
「尚くん……?」
 尚人の後ろから刺さるアイシャの視線が気になる。違うあーちゃん、これは敵の幻惑だ。
 これ以上攪乱される前に、尚人が動く。【永続する凍結】の力で一気に加速する。音を置き去りに出来るこの状態なら、相手の話術にかかることも――。

「ところでそこのフェアリーのお嬢さん!」
「ふぇあ!」
「要は話を聞かなけ、ポーラっ!?」
 レプ・ス・カムは、会話のターゲットをポーラリアに切り替える。
「この鏡には絶対近づかないでくださいね! ここにフェアリーが近づくと『天上界への鍵』が出てきて私がこのフェアリーランドから追い出されてしまいますので!」
「つまり……ポーラがそこにいけばいいのね!」
 敵の口車に素直に乗ってしまうポーラリア。
「待てってポーラ! あー……」
 尚人の制止より早く。ポーラリアは吹雪を伴う巧みな飛行でレプ・ス・カムの脇をすり抜け、鏡を目指す。
「その通り! 流石です!」
 鏡に飛び込んできたポーラリア。その背を、レプ・ス・カムが思いっきり叩く。
「ふぇ――」
 飛び込んだ勢いのまま、ポーラリアは鏡の中に消えてゆく――。

「これでよし! あとは鏡ごとここから出れば――」
「ポーラ! っと、逃がすか!」
「狼になって、ウサギさんを食べるの」
 尚人の銃弾に続いて、シェイミ―が突撃する。
 ユーベルコード【闇の獣の目覚めの詩】。最初の一歩を踏み込んだ次の瞬間。シェイミ―の姿は、魔剣を咥えた魔狼へと変わる。
「おおっと!」
 しかし、尚人とシェイミ―の連携攻撃はレプ・ス・カムをすり抜け、その姿がふわりと掻き消え――。猟兵たちの周囲に、多数のレプ・ス・カムが現れる。

「いっぱい増えちゃった!?」
「どれが本物なの!?」
 アイシャとポーラリアが、たくさん増えたレプ・ス・カムに驚く。
 ん……? ポーラリア?
「あれ!? ポーラちゃんが鏡に入っちゃったのにいつ出てきたの!?」
 いつの間にか戻ってきていたポーラリアに、驚くアイシャ。それが偽物だと嗅ぎ分けられるシェイミ―は、現在喋れないのでアイシャの服の裾を引っ張って伝えようとする。
「シェイ!? もふもふはまた後でね!?」
 残念ながら、混乱したアイシャには伝わらない。
「落ち着けってあーちゃん! そいつは偽物だ!」
 尚人はレプ・ス・カムの術中に嵌ったアイシャの手を取り、落ち着かせようとする。
「尚くん……」
「騙されるなあーちゃん! そいつも偽物だ!」
 尚人は、まんまと幻覚に陥っているアイシャの両耳をつまんで擦る。
 こしこしこし……。
「だから尚くん! 耳こしはやめてぇ~っ!」
 アイシャは『耳こしこし』をしてきた尚人を【エレメンタル・ファンタジア】で思いっきり吹き飛ばす。
「だー!?」
 アイシャに吹き飛ばされた勢いでレプ・ス・カムの群れに突っ込む尚人。だがそれも慣れたもの。
「あーちゃんに吹っ飛ばされんのには慣れっこだ!」
 すれ違い様の零距離射撃で、次々と幻影を消してゆく。
「ハッ!」
 尚人を吹き飛ばしたところで、我に返るアイシャ。
 『耳こしこし』をするのは本物の尚くんに違いない。ということは、目の前に残っている最初の尚くんは偽物!

 偽の尚人を、魔剣クォタトゥクルが引き裂く。魔剣に呪われたシェイミーには、幻惑は通じない。低い唸り声を上げる魔狼は、偽りを語る兎の血と魂の匂いをはっきりと嗅ぎ取る。
 血に飢えた魔狼が、周囲に浮かぶ偽りの鏡を睨む。ようやく現状を把握できるようになったアイシャが、シェイミ―に続く。
「あの中のどれかにレプ・ス・カムがいるのね……」
「そうだ。やっと落ち着いたか!」
 吹き飛ばされた尚人も体勢を立て直す。
 シェイミ―が相手の位置を探り当て、あーちゃんとの連携技を仕掛ければ。あの猟書家に負けることはない。

 たくさん並ぶ鏡の中から、シェイミ―は迷わずその1枚に突撃する。
「わわ。犬さん賢いね!」
 魔剣の一撃で、鏡が割れる。飛び出してきた兎の首筋を、魔剣の刃が掠める。
「あーちゃん!」
 兎の先にある鏡を銃で撃ち抜き、尚人が叫ぶ。次の鏡に飛び込まれる前にアイシャの魔法が――、飛ばなかった。
「ええ!? 今トトちゃんが寂しいっていうから!?」
「それは偽物だー!」
「ええー!?」
 慌てて放った魔法が、鏡も兎も、尚人もシェイミ―も巻き込む――。

 一方その頃。
 ポーラリアは、不思議な空間にいた。
 何もなく真っ暗なだけの空間。小さな窓が1つ、光の塊のようなものが1つ。窓の向こうではさっきまで一緒にいたはずのなおなおとしぇいしぇいとあいあいに、トトちゃんがいる。
 たしか、レプ・ス・カムの攻撃で鏡に吸い込まれたような気がするから――。
「ふぇあ! 閉じ込められた!?」
 事態を把握したポーラリア。
「ってことはここのどこかに鍵があるはずなの!」
 改めて辺りを見る。鍵、と思わしき『光の塊』に手を伸ばしてみるポーラリア。
「これが鍵に違いないの! あとはここから出れば……」
 でもどうやって? ここの空間には外に出るのに使えそうなものはない。何かないかと探すポーラリアの目に、鏡の向こう側にトトの姿が映る。
「そうだ!」
 ポーラリアは、鏡の向こうのトトに全身でアピールする。鏡の中に気付いたトトが、こちらに近づいてくる。
「トトちゃんこう言ってみて? 『鏡よ鏡、この世で一番可愛いのは誰?』みたいなの」
 ポーラリアの声は、トトには届かない。とりあえず、トトはポーラリアの真似をして動いてみているようだ。
「そーじゃなくてね。鏡に話しかける感じで――」
 光の塊を手に、必死のジェスチャーで伝えようとするポーラリア。
 トトが鏡の中のポーラリアと同じポーズをし、その口がポーラリアと同じ動きをする。
 その時――。

 トトの手の中に、光が発生する。
「ななな何なのです!?」
 突然の事態に驚くトトの手の中で、ぽんっと何かが弾け。不思議な『鍵』が出現する。
「鍵ッ!! 出てきたね!!」
 光り輝く不思議な『鍵』。3人との戦いを捨て置き、鏡の外に現れたその鍵にレプ・ス・カムが飛びつく。
「もー騙されないのよ! 鍵はしっかりポーラが保管するの!」
 レプ・ス・カムの動きに、鏡の中のポーラリアがいち早く反応する。鏡の中から、【氷幻鏡】で現実の世界へ反撃に出る。
「今度はポーラの番!」
 レプ・ス・カムは、天地がひっくり返るような不思議な感覚に襲われた。
 鍵に手を伸ばしたポーズのまま、真っ暗な床に落ちる。振り返ると、『天上界の鍵』も猟兵もフェアリーも、皆鏡の向こう側だった。
「おや? もしかして――」
 この鏡の中にある鍵を狙ってここまできたのに。自分で入ったその時には何もなくなってるって奴ですか。これはすごく騙されてませんか!

 レプ・ス・カムと入れ替わりで、ポーラリアが鏡から転がり出してくる。
「ポーラちゃん!?」
 鍵とポーラリアが出てきたなら、あとはあの鏡ごとレプ・ス・カムを攻撃すればいい。ただ、あれはこのフェアリーランドの中心で――。
 ポーラリアとトトが顔を合わせる。
「この世で一番可愛い!」
「一番可愛いのです!」
 2人で元気にハイタッチ。他のメンバーにはその意味がよくわからなかったが、鏡を攻撃していいことは何となくわかった。
「鏡の中で何があったかわかんねーけどずいぶん仲良しになったみてーだな! あーちゃん! シェイ! いくぞ!」
「うん! 今度こそ任せて尚くん!」
 動かない鏡に、アイシャが遠慮なく魔法を叩き込む。
 乾いた音が響く。砕けて舞い飛ぶ破片。その中から魂の匂いを嗅ぎ取り、シェイミーが跳ぶ。
 小さな破片の1つに潜んでいたレプ・ス・カムに、最後の一太刀を浴びせる。鏡は何も映らぬ程の小さな塵にまで砕け、猟書家の魂が永遠の祝福の中に消える――。

 戦闘が終わり、一息つく4人の猟兵たち。フェアリーランドの中心である鏡とそれを支配していた猟書家が消え、鏡の世界が崩れてゆく。
「あの、これ……」
 崩れゆくフェアリーランドで、トトが『鍵』を差し出す。
「もらっちゃって、いいのかな?」
 アイシャが、その鍵を受け取る。
「いいんじゃないか?」
 不思議な鍵に意識が向いているアイシャの耳に、にやけ顔の尚人が手を伸ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月24日
宿敵 『レプ・ス・カム』 を撃破!


挿絵イラスト