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銀河帝国攻略戦⑤~希望の芽を守る戦い

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 喧騒。
 グリモアベースは幾多の猟兵の姿で賑わっていた。見知った猟兵を見かけて手を振る者、近況を語り合う者、世界情勢について見解を示す者。
 その賑わいの一角でルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)が猟兵たちに説明をしていた。

「お集まりいただき、ありがとうございます。
 『ヘロドトスの戦い』により、銀河皇帝によって封印されていた遺失技術『ワープドライブ』が復活しました。
 フォースナイト・ミディアのユーベルコードによってコアマシンに『ワープドライブ』を装着した宇宙船は、スペースシップワールド内でのワープが可能となります。
 これにより人々はスペースシップワールドの全戦力を糾合し銀河帝国に対抗する事が可能になりました。
 猟兵たちとミディア殿の呼びかけを受け、銀河帝国への抵抗の意志を固めた宇宙船の人々は、すでに解放軍に合流するべく戦いの準備を始めています」
 人々が合流すれば、その勢力はまさに銀河帝国に対抗する伝説の『解放軍』の再来となるだろう。
 猟兵たちの顔をひとりひとり見つめ、ルベルは魔導式の天球儀を作動させる。魔導の力により壁に薄っすらと作戦図が投影された。

「対する銀河帝国は、合流しようとしている戦力を事前に各個撃破する動きを見せています。
 具体的には、解放軍の戦力となる前に各スペースシップの撃破を行うべく各地に戦艦をワープアウトさせているのです」
 作戦図には迫る帝国戦艦と救うべき人類戦力が示されている。

 ルベルはグリモアを淡く光らせ、転移の準備を開始した。
「宇宙戦艦を撃破することが僕たちの役目となります。
 僕は敵戦艦へと皆様を転移させます。皆様は、戦艦内にて敵と戦って頂き、戦艦を撃破。のち脱出……という流れとなります。
 今回の戦いにはミディア殿もワープドライブで同行なさいますため、脱出時はミディア殿の宇宙船に乗り移ることができます。
 敵戦艦は最終的に破壊していただくことになりますが、敵戦艦を脱出し、ミディア殿の宇宙船に乗り移ってから砲撃やユーベルコードで破壊してもよいですし、脱出時に破壊しても構いません。
 狙われていた味方のシップも近くにいますので、連絡をすれば砲撃で敵戦艦を沈める際の助力も見込めることでしょう」

 戦場へと向かう猟兵にルベルは静かに頭を下げた。
「人々を守るための戦いでございます。危険な作戦ですが、どうか、お力を貸してくださいませ」


remo
 おはようございます。remoです。
 初めましての方も、そうでない方もどうぞよろしくお願いいたします。
 今回はスペースシップワールドでの冒険です。
=============================
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
=============================
 キャラクター様の個性を発揮する機会になれば、幸いでございます。
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第1章 集団戦 『彷徨うウォーマシン』

POW   :    多弾頭型収納ミサイルポッド
レベル分の1秒で【腰元から複数の誘導ミサイル】を発射できる。
SPD   :    演算処理
【高性能ソナーによって】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    近接形態
自身に【強化外骨格】をまとい、高速移動と【スラスター】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

楠瀬・亜夜
ふむふむ、宇宙戦艦での戦いというのは浪漫がありますね
一度やってみたか……世界の危機を見逃す訳にはいきませんね
今回の戦い、私も加勢させて頂きましょう。

さて、まずは敵の排除に専念させて頂きましょう
まずは【先制攻撃】【クイックドロウ】で先手を取り
銃弾の雨を浴びせてさしあげます。
そのまま間髪いれずに【knife vision】を発動し
敵に向かって大量のナイフを四方八方から浴びせます。

さて、同時多発のこの攻撃
ご自慢の演算処理で回避できますか?
できませんよね?そうだと言ってください。

余裕があれば銃撃の【援護射撃】で他の味方の
援護を行いましょう。


佐之上・権左衛門
【POW】この世界を壊されるとサイボーグの俺としては色々困るんだよな~。だからこの戦い、勝手ながら武力介入させてもらうぜ。
というわけでウォーマシンの群れの中心めがけてUC【煙幕手榴弾】を投擲。
(まさか勢いで作ったのが実戦で使う羽目になるとはなぁ・・・)
効いていようと効いていまいと構わず、煙幕が消える前に群れに向かって突貫。不意を突いて少しでも数を減らす事に。
愛用のグレートアクスで【吹き飛ばし・範囲攻撃・なぎ払い・鎧砕き・怪力・二回攻撃】による攻撃を。
回避は【第六感・残像・敵を盾にする・盾受け】を使い、四捨五入したら40代になるおっさんとは思えないアクションを(がんばる)。


目面・真
帝国軍に抵抗する準備が整わないうちにヤツ等が襲ってくるのを、さらに先取りして攻撃しようというのか。
守り方としては申し分ナイね。悪くナイ。
オレ達スペースノイドはこれまでやられっぱなしだったからな。ヤツ等の慌てる様を見てやりたいよ。

戦艦内部には、どうやら変わったウォーマシンがいるようだが、全部ぶっ壊してやる。
撃ち合いならオレも得意だよ。アームドフォートを駆使して、砲撃で足止めしながら逃げ撃ちしよう。追いかけてきて現れた瞬間を狙うんだ。
少しずつ減ってきたかな? それならば、ヤツ等が固まったところを絶対零度の爆轟でまとめて壊そう。

同胞の脱出を見送ってから、外から砲撃して戦艦を破壊だな。オツカレサマ。


ビスマス・テルマール
スペースシップワールドの命運と文化の存続を握る一戦

故郷の命運も掛かってますし尚更、派手に破壊させて貰いますね。

●POW
トリニティ・チルドナメロウを
攻撃力重視で発動

冷やし孫茶バリアを『盾受け』で展開しつつ『空中戦』で撹乱しつつ『誘導弾』と『一斉発射』併用で牽制

隙を見せた個体に冷凍クロマグロソードとアームドフォードの砲口を二刀流な感じで構えて急降下

『零距離射撃』と『2回攻撃』を『早業』併用でお見舞いし
彷徨うウォーマシンを捌く様に攻撃し一撃離脱をアクロバティックに決めます

そして矢継ぎ早に隙を見せた個体が居れば同じ戦法、否なら『誘導弾』と『一斉発射』の併用で

※アドリブや他の猟兵との掛け合い大歓迎


シエル・マリアージュ
【Garb of Mirage】の【迷彩】で【目立たない】ようにしながら【忍び足】で密かに行動。
曲がり角などでは蜘蛛型にした【アラクネの紅玉】を【目立たない】ように先行させて敵の有無などを確認してから進む。
敵を発見したら【先制攻撃】で【死は闇より来たれり】を発動、影からの不意打ちで黒剣の【2回攻撃】を仕掛け【鎧無視攻撃】で敵の装甲を貫き【属性攻撃】で電気攻撃や【マヒ攻撃】を合わせて倒しきれなくても敵を動けないようにして倒していく。
【贖罪の御使い】で倒した敵の霊を召喚して戦力を増やし、脱出時に残っている霊は脱出後に自爆させる。
「オブリビオンなど、自らの業で滅ぶが相応しい」


ヴィゼア・パズル
ワープドライブ…便利な遺産もあった物だな
グリモアも似た様なものではあるが。
【WIZ】使用 絡みアドリブ歓迎

【地形を利用、敵を盾にする】事で攻撃回避と同時に艦艇内を破損
【カウンター】にて【なぎ払い・範囲攻撃】を併用。一度に複数体へ【マヒ、二回、属性、範囲攻撃】の【鎧砕き、全力魔法】を叩き込む
連携が可能であれば合わせよう。
自然とは即ち現象。室内であろうとも無関係なのですよ。この金属製の壁を「岩(無機物)の一種」と捉えれば…
ほら、変形ぐらい、訳無い
と、通路を通る機械を次々と【串刺し】に

動力炉の燃料を味方の手土産にしたい所ですが…
可能であれば、ですね?


マスター・カオス
フハハハ…我が名はグランドフォースに導かれし、世界征服を企む秘密結社オリュンポスが大幹部、マスター・カオス!!

ドロイドモドキか…
数だけは多いようだが、折角ならかつての”解放軍”らしく戦ってみるのも敵味方双方にとっても一手か。

敵の集団に対して、大騎士団ノ残光にてフォースナイト達の霊を召喚し、自らも念動力なので敵を盾にしたりしながら2回攻撃しつつも、敵を蹂躙させます。

脱出時には、味方シップの攻撃が全体に、破壊が行きわたる様に機関などにも細工もしておく。


ラスベルト・ロスローリエン
地下の迷宮奥深くから遥か星辰の果てまで。
猟兵稼業は旅人と同じく腰が落ち着かないものだね。

◇WIZ 自由描写・連携歓迎◇
確か星々を往く船の中には雷精が絶えず駆け巡っているのだったかな。
“翠緑の追想”の先端で床を叩きながら【高速詠唱】で《神秘の焔》を紡ぐ。
【全力魔法】と【属性攻撃】で船内の電力を雷の豪雨と化し機械仕掛けの兵達に降り注がせる。
『何はともあれ仰ぎ見る星界の危機。地を歩む者の秘儀、存分に披露しよう』

近づく絡繰の兵は“瞑捜の御手”から放つ【念動力】で吹き飛ばす。
味方の船に乗り移ったら……折角だからお次は流星の雨でも敵の船に降らせてみよう。
帝国への反旗を翻す景気づけに丁度良いかもしれない。


向坂・要
いやはや、こいつはなんとも
光る武器なんて振り回したくなりますねぇ
なんて嘯いて

争いはヒトの世の常とは言いますがだからっで見て見ぬ振りするつもりもありませんぜ

周りの仲間と連携を意識
俯瞰で全体を見るように心がけてなにかありゃすぐに声掛け

ソナーで来るならそれを逆手にとり
さ、いきますぜ

生み出した分体たる石狼の群れはソナーをかき乱す様に現れては消え、敵を撹乱
その攻撃にまぎれるように、
Lückeはウルのルーンの力を纏い鎧無視の属性攻撃を纏う蛇腹となりて敵兵へと牙を剥く

連携、アドリブ歓迎しますぜ


ミア・ウィスタリア
ジョーーダンじゃねーーッつーのよ!
アタシの本体この世界に浮いてるんだから!負けたら心中よ心中!
命かかってるわ!
(彼女はスペースシップワールドを漂う難破船のヤドリガミである)

転送され次第宇宙バイクの散布装置から全方位に塗料をぶちまけながら敵集団を煽るわ(操縦+時間稼ぎ+誘惑)
あえて飛沫の点々になる様に塗料の量を調整してね。

敵がミサイルを撃って来た時が反撃のチャンス。ユーベルコードで敵のミサイルをコピーして撃ち返してあげる!


アドニード・プラネタリア
戦争…ドキドキするね♪
大丈夫、希望を紡いで行こう、僕らで!

前衛で叩きます。
連携歓迎です。

ユーベルで(全力魔法)を込めて。
やっと100個の矢が放てる。

攻撃技能(生命力吸収,2回攻撃,衝撃波,敵を盾にする,範囲攻撃,破魔)は戦艦にも通用するのもあるね。

防御技能(残像,敵を盾にする,盾受け,見切り)は主に最初の戦闘になるかな。

これらの技能を重視して戦闘を行います。

戦艦は僕は脱出時に壊すよ。
広い場所ならユーベルを散開させる。
通路は主に2回攻撃や衝撃波がいいね。

逃げ遅れないようには気をつけて行きます。


ガーネット・グレイローズ
ようやく巡ってきた、千載一遇の好機。反撃の芽を摘ませはしないぞ!

【妖刀の導き】を使用し、武器の破壊力を増強させて挑む。
妖刀と、クランケヴァッフェの二刀流。
<メカニック>や<戦闘知識>を活かし、敵の挙動の特徴や構造上
脆い部位を観察し、そこを狙って有効な攻撃を当てられるように
工夫したり、高速移動の最高速度や限界時間を導き出す。
自分で得た情報は仲間の猟兵にも速やかに伝達し、情報を共有する。
<2回攻撃>に<フェイント>を交え、連撃を繰り出す。
さて、戦闘機械に我が剣技を見切れるか?
攻撃がヒットしたら、<衝撃波>と<呪詛>を同時に叩き込んで
追加ダメージを与えよう。


ゲンジロウ・ヨハンソン
戦艦ぶっこわしか、規模考えると味方シップやミディアの宇宙船に破壊を頼むのが無難かねぇ。

○集団戦
基本的には敵の行動を予測しつつ、銃撃による【クイックドロウ】で【挑発】し、幾多もの敵の気を引こう。
敵の攻撃には【盾受け】や【激痛耐性】で凌ごう。
味方への攻撃には【覚悟】を以って【かばう】としよう。

●近接形態
敵がコイツを使ってきたら【捨て身の一撃】で【鎧砕き】を強化外骨格に叩き込もう。
弱った敵にはUCの拳を叩き込んでいくかね。

○戦艦破壊
十分に敵数を減らしたら、怪我した奴や非戦闘員がいれば【怪力】で【救助活動】して味方の宇宙船へ退避。
退避完了後【コミュ力】でミディアや味方シップに攻撃を要請しよう。


クロウ・タツガミ
他の猟兵と連携、アドリブ歓迎する

【POW】

さて、突っ込ませてもらう

【戦闘知識】を利用して主武器はサカホコ(ハルバート)で戦打つ森だ。、【怪力】を用いた【2回攻撃】で【串刺し】を狙うつもりだ。まずは【先制攻撃】として【力を溜め】たレプリカの【投擲】を放った後、近接攻撃で戦わせて貰う

力比べといこうか

敵の攻撃はガンドレットによる【盾受け】で防ぎ、近くの猟兵への攻撃は極力【かばう】つもりだな

どうせ敵地だ、サカホコ、マガホコ、好きにしろ

後は【三位龍来】を使い、巨大化したサカホコとマガホコの蹂躙に任せるか



●始
 戦いはすでに始まり、敵戦艦は混乱のただなかにあった。
 銀河の命運をかけた戦場へと足を踏み入れた者は14名いた。

 ガーネット・グレイローズ。
「ようやく巡ってきた、千載一遇の好機。反撃の芽を摘ませはしないぞ!」
 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は遠い昔に領土を求めて宇宙へ進出し、何世紀にもわたってオブリビオンと戦い続けてきた吸血鬼族の末裔だ。朱月の名に相応しい赤く輝く刀身の妖刀を手に、彼女自身の髪も燃え立つような赤を誇る。
 灰の瞳は戦意に猛る。

 楠瀬・亜夜。
「ふむふむ、宇宙戦艦での戦いというのは浪漫がありますね。
 一度やってみたか……世界の危機を見逃す訳にはいきませんね」
 ダンピールの楠瀬・亜夜(追憶の断片・f03907)は一見冷然としている。だが、そっと伏せた藍の瞳の奥には好奇心が燻ぶっていた。好奇心旺盛な彼女は冷静に振舞うよう心がけている。何故かというと、
(「その方がカッコいい!」)
 と、そんな理由であった。そんなわけで、彼女はクールに言う。
「今回の戦い、私も加勢させて頂きましょう」

 佐之上・権左衛門。
「この世界を壊されるとサイボーグの俺としては色々困るんだよな~。
 だからこの戦い、勝手ながら武力介入させてもらうぜ」
 トレンチコート姿の男がひとり煙草を吹かし。
「レーザーや視界だけに頼ってたらあかんぜよ? っと」
 敵ウォーマシンの中心目掛けて手榴弾が投げ込まれ、煙幕が張られる。佐之上・権左衛門(トレンチコートのバーバリアン・f00239)が開幕の挨拶がてらに放ったのだ。
(「まさか勢いで作ったのが実戦で使う羽目になるとはなぁ……」)
 同時に硝子ファイバーに金属箔を蒸着させたチャフとマグネシウムをベースに燃焼するフレアが撒かれた。特殊煙幕はそれ自体が赤外線や光線を無効化する効果を備える。

 目面・真。
「帝国軍に抵抗する準備が整わないうちにヤツ等が襲ってくるのを、さらに先取りして攻撃しようというのか。
 守り方としては申し分ナイね。悪くナイ」
 嘗てスペースノイドの終わりなき戦いに身を投じた日より、目面・真(たてよみマジメちゃん・f02854)は自らの名をこう名乗っていた。True Face=目面・真、と。彼には誓いがあった。戦うという誓いである。
「オレ達スペースノイドはこれまでやられっぱなしだったからな。ヤツ等の慌てる様を見てやりたいよ」
 その言葉は切実な響きを伴っていた。

 シエル・マリアージュ。
 シエル・マリアージュ(天に見初められし乙女・f01707)は肩に乗せたさくらんぼ色の小竜を撫でる。キルシュヴァッサー。愛称はキルシュだ。
「きゅ、きゅ~」
 天に見初められた乙女と十数年崇められていたシエルはオブリビオンによって心を砕かれた者の目を知っていた。彼女が目的とするのは作戦の成功、そしてオブリビオンの討滅だ。

 ヴィゼア・パズル。
「ワープドライブ……便利な遺産もあった物だな。
 グリモアも似た様なものではあるが」
 余裕を感じさせる口ぶりで周囲を見渡しひげを撫でる。ケットシーの術士は自由を愛し風の精霊フロゥラを連れ幾多の戦場で活躍してきた熟達の腕を持ち、場慣れするがゆえに恐ろしく冷静だ。

 向坂・要。
「いやはや、こいつはなんとも。
 光る武器なんて振り回したくなりますねぇ」
 囁くのは向坂・要(黄昏刻・f08973)だ。雪玉水が月灯に輝くような銀毛の耳と髪、黒の眼帯をした彼は妖狐や人狼に間違われることも多いがその実は鉱物を削って作られた像を本体とするヤドリガミである。
 彼は人の世の醜さを知っていた。彼の名は最後の持ち主から貰った形見であった。彼はヒトの傍を選び、そして今ここにいる。
「争いはヒトの世の常とは言いますが、だからって見て見ぬ振りするつもりもありませんぜ」

 マスター・カオス。
「フハハハ……我が名はグランドフォースに導かれし、世界征服を企む秘密結社オリュンポスが大幹部、マスター・カオス!!」
 黒鎧に白仮面の悪の首魁、ではなく大幹部が現れた。
 彼はかつて反銀河帝国のとある騎士団(内輪揉めで解散)に身を置いた善と悪の力を持つ偉大なる大騎士(フォースマスター)の一人であったという。が、味方には法螺話だと思われている。

 ビスマス・テルマール。
 カオスに寄り添うように佇むのは透き通るような青肌、ビスマス結晶のクリスタリアンのビスマス・テルマール(通りすがりのなめろう猟兵・f02021)。
「スペースシップワールドの命運と文化の存続を握る一戦、
 故郷の命運も掛かってますし尚更、派手に破壊させて貰いますね」
 スペースシップワールドに故郷を持つビスマスは神妙な面持ちでカードを鎧装に挿入する。
 『Namerou Hearts Chilled!』
 機械音が響き、郷土料理めいた孫茶バリアが冷え冷えとした光と共に展開された。

 ラスベルト・ロスローリエン。
「地下の迷宮奥深くから遥か星辰の果てまで。
 猟兵稼業は旅人と同じく腰が落ち着かないものだね」
 つばの広い三角帽子の下から覗く大きな碧の瞳がどこか遠くを見るようにしていた。揺蕩う色は憂いか。ラスベルト・ロスローリエン(灰の魔法使い・f02822)が猟兵という身の上になって尚、その力の及ばぬ惨禍は多い。それゆえに。
「エルフだけあって経験豊富なようだな」
 権左衛門がぽつりと言うと、エルフの長い耳が軽く揺れ声に反応した。
「年輪深きエルダールの中においては僕は未だ若輩だよ」
「そうなのか」

 ミア・ウィスタリア。
「ジョーーダンじゃねーーッつーのよ!
 アタシの本体この世界に浮いてるんだから! 負けたら心中よ心中!
 命かかってるわ!」
 ルベライトの輝くが如き少女はミア・ウィスタリア(天上天下唯画独尊・f05179)。泡沫の如く次々現れる情報画面を手で操作している。
 煌めく瞳は金の月にも似て。

 アドニード・プラネタリア。
「戦争…ドキドキするね♪
 大丈夫、希望を紡いで行こう、僕らで!」
 ふぁさ、とやわらかな白翼を羽ばたかせアドニード・プラネタリア(天文得業生・f03082)が味方に声をかけ前に出る。
 愛らしい少年が敵群を睥睨し口元をニコリと笑みの形にしている。
 尊大さが全身から滲むような、けれど子ども然とした雰囲気が強い独特のお子様猟兵はその態度に相応しい実力者でもあった。

 ゲンジロウ・ヨハンソン。
「俺らは猟兵、自分の仕事するだけだ」
 雄々しく言い放つゲンジロウ・ヨハンソン(腕白青二才・f06844)は数々の死線を潜ってきた歴戦の兵である。
 DIYナイトヘルムの下で目を細め、戦場を駆ける戦友たちを見る。
「全く、頼もしい戦友達じゃわい」
 ふ、と口調を和らげた。一瞬覗かせた顔は、来店する戦友たちを迎える居酒屋店主の温かな色だ。

 クロウ・タツガミ。
「さて、突っ込ませてもらう」
 漆黒の瞳が夜そのもののような気配を纏い戦場を見る。静謐にして怜悧。戦意が漲り右眼を通る傷が凄むようだ。歴戦の猟兵クロウ・タツガミ(昼行灯・f06194)これにあり。
 予備動作なしに恐るべき膂力を湛えレプリカを投擲し機先を制するとクロウは駆ける。弾丸めいて距離を詰める間に彼の相棒『サカホコ』は戦場に慣れた様子でハルバートとなり主の手に納まり、クロウが揮えばその斬撃は凄絶に冴える。狂乱の敵マシン群を横か数体諸共に薙ぎ払った。叩き付けられた勢いで敵の装甲が砕け散る。
 強化外骨格の腕が伸びてくる。がしりとガントレッドでそれ受け、
「力比べといこうか」
 獰猛に敵を睨めば感情のないはずの鉄塊がたじろぐようだ。淡々とそれを切り払い、クロウは相棒へと言葉をやる。
「どうせ敵地だ、サカホコ、マガホコ、」

 好きにしろ。

 言葉にふるりと相棒たちが応える。味方に放たれたミサイルに視線をやれば主人の意を汲む相棒がそれを払った。
 クロウは労うように目を細めると龍の翼と角を出し竜派の姿となり、霊酒を相棒に注ぐ。封印が解かれ巨大な姿にて顕現したサカホコとマガホコが暴れ出す。三位龍来の猛攻が敵群を食い散らかしていく。

●潜入
 時は少し遡る。
 作戦行動を開始し数刻、彼らは敵戦艦内部を進んでいた。
 『Garb of Mirage』の名を冠されたシエルのケープコートは周囲の環境に溶け込むように色や模様を自由に変更ができる。周囲の壁の色模様と似せ、シエルが忍び足で密かに先行し味方を導いた。
 曲がり角に差し掛かると『アラクネの紅玉』の名を持つ指環を蜘蛛に変えた。アラクネを先行させ、敵の有無を確認させる。アラクネがふるふると震えるように敵の接近を教える。

「敵がきます」
 シエルが合図すると味方は一斉に身構える。
「それじゃ、仕事始めと参りましょうかね。頼みますぜ」
 要が味方に囁く。隠密中の彼らは音の出ない攻撃を主に選択していた。亜夜がナイフを投げ、ヴィゼアが術により壁を変形させて敵を穿つ。ガーネットは妖刀で鮮やかに敵を刻んだ。
 シエルも影から黒剣を出現させ敵マシンを貫く。黒剣は敵の装甲を易々と貫く。僅かに抵抗するよう震えたマシンを再度の刃がトドメを差すと、一瞬で敵マシンを物言わぬ鉄塊に変えた。ピリ、ピリと電撃の残滓が表面を走っている。貫きつつ電撃を放っていたのだ。
「我に敗れし咎人よ、我が御使いとなりて敵を討て」
 シエルが唱えると敵の残骸がカチャリと起き上がり服従するように首を垂れた。道中で同様に敵を倒しては残骸を従えていく。
「盾ぐらいにはなるでしょうか」
 亜夜は戦艦の内部を淡々と進む。だが、その瞳は探求心と好奇心で輝いていた。
(「これが……宇宙戦艦での戦い!」)

 徐々に異変に気付かれ戦艦内は騒然とし始めた。警告音が鳴り響き艦内アナウンスが響く。敵群が押し寄せる中を彼らは時に身を隠し時に戦闘し、やがて複数の区域に仕掛けをすることに成功した。主にカオスの手により仕掛けがなされる。ヴィゼアは動力炉の燃料を採る。味方への手土産にするのだ。
 ついに動力炉にまで達し仕掛けを施した動力炉で彼らは頷き合う。
「この仕掛けは離脱後に作動する」
「では、準備はできたということですね」
 ビスマスが思慮深げな瞳を向ける。そこへ敵群が雪崩れ込んで来た。
「完全に居場所を把握されたわね!」
 ミアが飛んできた敵の光線を避けながら叫ぶ。
 敵ウォーマシン群を目に真はアームドフォートを構える。ギギギ、とぎこちなく腰元の装甲から口が開きミサイルの弾頭を覗かせている個体。
 キュルキュルとブレインが高速で演算処理する音を垂れ流している個体。
 強化外骨格を纏い、機動性と破壊力を増しつつも危ういバランスとなっている個体。悉く。一切を。細大なく。
「全部ぶっ壊してやる」
 
 群れを一掃して通路に出れば、通路の両側を埋め尽くすように敵マシン群が押し寄せていた。
「退路はわかっているな?」
 ヴィゼアは笑むように言うと敵マシンの砲門を誘うように壁の基盤の前へと走り、砲口に火花が閃くと同時に跳躍して回避した。敵の放った光弾が基盤を破壊する。火花が散り防火壁が降りて敵の後続を遮断した。
「こっちだ!」
 ゲンジロウが道を示す。道を塞ぐ敵影は多い。ラスベルトは通路に視線を巡らせた。
「確か星々を往く船の中には雷精が絶えず駆け巡っているのだったかな」
 古木の杖“翠緑の追想”の先端で床を叩く。コン、と軽やかな音をたてる杖はかつて森の都に聳えた大樹の枝、失われた故郷の形見だ。
「神秘なる創造の焔を今ひとたび授け給え」
 詠唱は速い。
「天と地に、光と闇に、太陽と月に――我が言の葉の届く世界の全てに懸けて」
 一息で練り上げられると敵マシンたちに雷の豪雨が降り注ぐ。
「何はともあれ仰ぎ見る星界の危機。地を歩む者の秘儀、存分に披露しよう」
 接近する敵マシンの群れへとラスベルトは力を放つ。その力は、三千世界で魔力や理力と称し語り継がれる深遠の力。その欠片を手繰り寄せ操れば前方の敵マシンはいともたやすく吹き飛んだ。
「お見事」
 ヴィゼアはそれにあわせ、敵群に広範囲の魔法を叩きこむ。指揮杖を優雅に軽くくるりと躍らせれば、動きに従うように金属の壁がぐにゃりと曲がり鋭い槍状となって敵マシンを串刺しにする。
「自然とは即ち現象。室内であろうとも無関係なのですよ。この金属製の壁を岩の一種と捉えれば……」
 変形ぐらい訳無い、と青い猫目を細めヴィゼアが笑う。
「さあ、こちらも破壊してもらおう」
 ひげを撫でながら優雅に誘うは細いケーブルが密集した壁際。敵マシンは機械的に光線を放ち、ひらりとヴィゼアが回避すればケーブルが破壊され小爆発が起きる。繰り返せば艦内は敵の攻撃で破壊され、通路が串刺しにされた敵マシンの残骸で埋まっていく。

「こりゃまたご大層なこって……」
 味方の技に要が感嘆する。銀の尾がふわりと揺れた。
 瞳は背後から迫る敵群を見る。
 敵マシンは信号音を発している。高性能ソナーにより情報を分析しているようだ。
「さ、いきますぜ」
 要はユーベルコードで石狼の群れを創り出す。
 カタリ、コトリ、と硬い音をたて床を蹴る石の狼たちはソナーをかき乱すように現れては消え現れては消え、敵マシンを攪乱した。
「上々」
 ふ、と口の端をあげて要が『Lücke』にルーンの力を纏わせる。アルファベットのUを逆さにした型、ウルのルーンは猛々しい力を纏う蛇腹となりて牙を剥く。要が手を舞わせれば純粋なる破壊の力をもって流星が空を裂く如く敵マシンを砕き、その後ろの壁にすら傷跡を遺した。

 道が拓けた。彼らは通路を走り抜ける。
 背後では防火壁が破壊される音がした。

●戦
 走ること数刻。広い通路。
 彼らの前方が再び塞がれていた。背後からは追いついてきた敵群が囲んでいる。
 ルベライトの輝くが如き少女、ミアは桃色の髪をふわりとさせながら宇宙バイクの散布装置から全方位に塗料をぶちまける。量を調整された塗料は点々とした飛沫を散らした。
 ミアは咲き零れてくる花びらめいた桜色の容貌を決意の色に染め敵群を煽る。
「hello world bastard underdogs……♪」
 思い出すのは味方と戦った別世界の戦いか、それとも。
 ミアは軽く目を閉じた。
 深度外宇宙生命体探索船IKAROS-β。かつて銀河系に存在した巨大企業により製造された宇宙船から生まれた双子のヤドリガミの片割れが彼女だ。
 長き航海の果て辿り着いた世界。この世界はオブリビオンに襲撃されている。
 ミアは目を開けた。敵意を露わに敵マシン群が彼女を追っている。ミサイルが次々と発射され。
「その心意気や良し! 見てなさい!」
 ミアは泡沫の如く次々現れる情報画面を手で操作する。領域改変により視認したミサイルを複製して撃ち返した。自らの放ったミサイルにより敵群が次々と沈んでいく。
「ふふーん! アタシに技を使ったのが運の尽きね」
「やれやれ、おっさんも頑張らねえとな」
 煙幕を張り、権左衛門が突貫する。不意を突き、少しでも数を減らそうと考えているのだ。愛用のギガントアクスを豪速で振ればぐしゃりと敵マシンの装甲がひしゃげ、壁に吹き飛んでいった。重厚なギガントアクスはその勢いのままで後続を巻き込み渾身を叩きこむ。後ろから囲い込むように動いたマシンを察知すると振り向きざまに薙ぎ払う。真横に迸る直線の筋がマシンの輪郭をずらし崩れ落ちる残骸へと変えた。残骸の影から新手のマシンが強化した外骨格の腕を伸ばせば権左衛門は身を屈めて掻い潜り、腕を掴んで左へ投げ、自身は右へと床を転がりながら距離を取る。左方から迫っていた敵ミサイルが投げた敵マシンへ命中し鉄塊へと変えた。
「おいおい、同士討ちかよ。気を付けな」
 壁際まで退避した権左衛門は身を起こし、煙草をくわえたままの口の端がニイと吊り上がる。瞳は獰猛に笑っていた。
 と、背筋にぞわりと悪寒が奔り権左衛門は跳躍すると壁を蹴り回転した。一瞬後を光線が過ぎ壁を抉る。
「ったく、物騒だよな、戦艦ってのはよ?」
「まったくだよ!」
 アドニードも子猫のように跳びまわり敵の影に身を躍らせては同士討ちを誘っていた。
「ええ」
 フワ、と体重を感じさせない動きでビスマスは誘導弾を斉射して左のマシン群を牽制しつつ跳躍した。右のマシン群の砲門が上を向き跳んだ先にミサイルが追う。追った先でビスマスは天井を蹴り急速に右のマシン群に接敵した。天井が破損し崩れるのを背中にビスマスは眼前の敵マシンを冷凍クロマグロのソードで両断にし、遠距離から狙撃しようとしていた別のマシンへとアームドフォートの砲撃を放つ。命中を確認することもなく迅速に床を蹴りくるりと舞いながら後ろへ跳べば一瞬後を敵ミサイルが通過していった。
「その程度の動きで!」
 ガーネットが妖刀とクランケヴァッフェの二刀流で敵陣を切り刻んでいた。
「今宵のアカツキは血に飢えているぞ」
 邪気が満ち満ちて破壊力を増した朱月は敵群にはさながら生命の終わりを告げる死神めいて禍々しい。
 マシン知識もあるガーネットは的確に敵の挙動を見抜き、弱点を突く。
「関節部位を狙え」
 声を飛ばせば味方は一様に効率攻撃をする。これにより少数にて圧倒的多数をより容易に相手取ることが可能となった。
「砲門を潰せ」
 砲門を潰せば敵の攻撃手段が潰される。戦場の敵ミサイルが減れば遠近揃いし味方には有利に傾く。
 鮮やかな朱の斬撃は連続で閃き、時にはフェイントを挟みつつ敵を翻弄する。
「さて、戦闘機械に我が剣技を見切れるか?」
 前傾気味に走れば敵マシンは一斉に訪問を向け、腕部位を伸ばすものもいるが一瞬ののち駆け抜ければ全てが沈黙し床に沈んだ。着刃と共に呪詛を注ぎ込めば掠めただけで敵が崩れていく。

「ドロイドモドキか……」
 数だけは多いようだが、とカオスは思案する。
「折角ならかつての”解放軍”らしく戦ってみるのも敵味方双方にとっても一手か」
 カオスが呟く。
「我に従いしフォースの戦士たちよ! 今こそかつての威光を示せ!!」
 カオスは敵群に対抗し、嘗てカオスに従ったフォースナイト達の霊を召喚した。それは在りし日の大騎士団ノ残光。ずらりと並ぶ堂々たるフォースナイト達は一糸乱れぬ動作で騎士の礼を取り、カオスへの忠誠心を示す。
「うむ、よくぞ」
 カオスは彼らへと感慨深げに呟く。
 騎士達は主の命に従い今一度過去の戦いの如くフォースブレイドを揮い帝国軍と切り結ぶ。カオスは彼らの戦いを見守りつつ、念動力で味方の援護をした。
 そのカオスの見守る中、お子様猟兵が軽やかに敵を翻弄し続ける。
「あれは、まるで子猫だな」
 ふと和むような口調で零すカオス。
「どこを狙ってるのかな!」
 敵が小さな猟兵――アドニードの動きに釣られるように砲火を集中させ、一拍後に撃ち抜いたはずのアドニードの姿は消えてその後ろにいた同士が撃たれていた。
「はは、」
 DIYナイトヘルムの下でゲンジロウ・ヨハンソン(腕白青二才・f06844)が目を眇めた。全く、頼もしい戦友たちだ、と。
 前方の敵群の列が乱れた。
「今のうちだ! 走れ!」
「先に行け」
 敵群がミサイルを放つのに合わせて真が対抗砲撃し、砲撃で足止めをしつつ距離を取っていく。ゲンジロウは真と並び殿を守った。
「撃ち合いならオレも得意だよ」
 目を凝らし敵先頭を警戒すれば弾幕を抜けて現れた機体が一機。真は即座に一機を狙い、沈めた。そして再び弾幕を厚くしながら後退。抜けた一機が出れば現れた瞬間を狙い確実に沈めていく。
 しくじれば一気に押し込まれる繊細な作業を卓絶した集中力で成し遂げた真は頃合いを見る。
(「減ってきたかな?」)
 それならば、と真は絶対零度の指向性破壊弾を放った。
「空隙拡散。氷弾よ、大気を砕け!」
 絶対零度の爆轟が硬質な音とともに刺すような冷気を撒き散らし、敵群をまとめて撃ち抜いていく。
「!」
「おっと、あぶねえ!」
 最後の力を振り絞ったのか崩れ落ちながらも反撃の凶弾を放った敵マシンがいた。守るべくゲンジロウが割り込む。咄嗟に構えた左腕のDIYシールドガントレットから蒸気があがる。着弾の衝撃が左腕を襲い激痛には耐性を発揮しつつもゲンジロウは強かに弾き飛ばされ壁へと激突した。
 意識を手放しかけた時、彼の傷跡から紫苑色の炎が噴出した。身体中に人の顔のような傷跡が広がり怨嗟が彼を繋ぎとめる。燃える火のように身のうちで湧きあがる熱を自覚した。ドクドクと脈打つ体は、生きている。
 床を爆ぜさせんばかりに踏み込み、ゲンジロウは近接形態の敵マシンへと一息に接敵した。
「助かった、礼を言う」
 真が礼を言いながら援護射撃をする。ゲンジロウは己が危険を顧みぬ捨て身の一撃を繰り出しマシンを砕く――その背に迫るミサイルを悉く真が撃ち落し守っている。
 2人を味方から隔絶しようと回り込んだ敵マシンの新手へとゲンジロウが迫る。鍛え抜かれた筋肉が渾身の拳を叩きこむ。筋絆仲の拳が剛暴として唸り鋼鉄のマシンを床へと叩き付け物言わぬ塊に変えた。しかし、新手が続々と戦場へ投入されてくる。それもそのはず、ここは敵の戦艦内部なのだ。
「いけない、殿の2人が」
 亜夜は機先を制すとカスタム拳銃の引き金を素早く引いた。銃弾の雨を敵ウォーマシン群へと浴びせる。息をつく間もなく今度はナイフが降らせて仲間の撤退を援護する。
 先頭を切っていたクロウが戻ってきてサカホコを振るう。敵群が蹴散らされ味方を護る。
 ガーネットがクランケヴァッフェを振る。
「業物と見える」
 ふと傍らの無口な男が興味を示せば快く頷く。
「むくろまると言う。UDCの骨で造ったんだ」
「ほう」
「お前のハルバートは」
 ガーネットが目を細めるとクロウは頷いた。
「サカホコ。相棒だ」
 
「全員無事で帰るぞ」
 ひとりも欠けることなく戻る。その意志を全員が固めていた。

●脱出
 脱出口までもう一歩と迫っていた。

 彼らはひとりも欠けることなくここまで走ってきた。敵群はなおも後ろから迫り――前方も塞がれている! 亜夜が決死の覚悟で技を放つ。
「さて、同時多発のこの攻撃、
 ご自慢の演算処理で回避できますか?
 できませんよね? そうだと言ってください」
 多くの敵が撃ち落され、しかしそれでも蠢く敵影がミサイルを発射する。

「必神火帝、万魔拱服!」
 アドニードがミサイルを避けて天井付近へ舞いあがりながら高々と唱えれば、灼熱の火炎矢が赤き流星の如く敵群へと雪崩れ込む。
 緑の瞳は倒れる敵群を見下ろし、ほうっと息をつく。自らの仕事を誇るような、達成感を得たような。
「やっと100個だよ」
 ああ、と訳を知る猟兵は目を瞬かせた。戦いを通じて磨き上げた結果矢の生成数が増したのだ。尊大な態度ではあるが、それに見合った経験と実力を間違いなく有している頼もしい猟兵がこの少年であった。
 背の白羽をぴょこりと動かし、アドニードが胸を張りもう一度『魅せる』。
「目指してたんだ!」
 三桁の矢は壮観であった。

「今だ! 全員外へ!」
 突破口を開き、彼らは助け合いながら脱出を果たす。

 脱出の際、アドニードは三度赤々とした火炎の矢を奔らせる。
(「逃げ遅れないようにしないとね!」)
 脳裏に浮かぶのは別の作戦に参加している恋人の姿。無事で帰らないといけない。きっと恋人も無事だろう。そう信じていた。
 脱出間際シエルはこれまで付き従えて来た敵の残骸へと自爆を命じる。
「オブリビオンなど、自らの業で滅ぶが相応しい」
 負傷しつつも確りとした足取りのゲンジロウを先に送り出し、真が最後に戦艦を脱出する。

「皆さ……、ぶじ……すか……応答してください! どうか、応答を。無事だと言って。お願い……!」
 祈るような必死の声が彼らに届く。
「ミディアさんだ」
 彼らを救うため、ミディアが駆けつけていた。その宇宙船に救助されるとミディアが心の底からの安堵を浮かべて彼らを迎えてくれる。

●味方
 ゲンジロウは通信回線を開いて帝国の戦艦から逃れていた味方の宇宙船へと声をかけた。こちらがミディアと猟兵の乗る味方の宇宙船であること、彼らを味方として歓迎すること。
 スペースシップワールドでは、猟兵の存在は元々伝説の解放軍のような存在として知られていた。
「助力を頼む。共に敵艦を沈めよう」
「承知した。本艦メリー・クリスマスはこれより解放の旗のもと同胞と共に戦うことを誓おう」

 猟兵の中には「ん?」という顔をする者がいた。彼らの前に通信を介して声が響く。
「こちらメリー・クリスマスの護衛に就いている傭兵シップ『空飛ぶ靴下号』、元ジョージ今はジャックだ。猟兵よ! 共に敵戦艦を撃墜しようじゃないか」
「ジャック! ジャックなのか」
 真が声をあげると通信を介して笑い声が返ってきた。
 傭兵シップが宙を駆ける。砲撃を放つのにあわせ、真も砲撃を放った。嘗ての敵が今、味方となりて共に戦っているのだ。
「オツカレサマ」
 真が言えば戦友が笑う声が聞こえる。紛れもなく、彼らは勝利を掴んでいた。
 仕上げとばかりにラスベルトも流星の雨を降らせる。
「帝国への反旗を翻す景気づけに丁度良いかもしれない」
 彼らが見守る中、流星に包まれて敵戦艦は爆散した。それはどこか幻想的な光景であった。

「ふ……」
 カオスが笑みを漏らした。
 艦内で道中に施した多数の細工により味方の攻撃が増幅されていた。
「あの仕掛けにそんな効果があったなんて!」
 ミアが目を瞬かせている。
「これで、作戦は成功ですね」
 ビスマスが微笑む。
 亜夜はそっとポケットからロリポップキャンデーを取り出していたが。
「ええ、そうですね」
 味方の目から隠すように亜夜はキャンデーをサッとポケットに仕舞った。クールなイメージを保つというのはなかなか大変なのだ。

 仲間たちは歓声をあげ、互いの健闘を称え合う。
「わしの店で打ち上げでもどうじゃ?」
 ゲンジロウがニカッと笑い誘えば皆が笑顔で頷いた。
「戦いはまだ続く。英気を養い今後もひとつひとつ勝利を重ねていこう」

●結

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月03日


挿絵イラスト