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生命を煎熬むが為の

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #無間のサイビア #鎧装騎兵

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●無間地獄
 それは猟書家『無間のサイビア』にとって簡単なことであった。
『帝国継承軍』を誕生させようとする『プリンセス・エメラルド』の目論見を実現させるために必要なこと。
 それはこの広大なスペースシップワールドに『帝国継承軍』の存在を、その恐ろしさを知らしめることであった。
「恐怖こそが知的生命体にとって絶対なる感情。余は知っている。どんな知的生命体にも、それがある。偽ろうとも、隠そうとも、それを持たぬ生命はない。故に恐れるのだ。見たことのないもの、けれど、そこに在ると信じるに足るものを」
『無間のサイビア』は侵略蔵書『宇宙侵略史』のページをゆっくりとめくった。

「この侵略蔵書『宇宙侵略史』は過去に滅んだ侵略異星人、そして宇宙怪獣達。すでに滅んだ過去の亡霊とも言うべき存在たちを意のままに操ることが出来る」
 彼は嗤った。
 楽しそうに嗤った。まずは、と手始めにと単身宇宙空間に赴き、未だ居住可能惑星を求めて銀河をさまよう哀れなる宇宙船を探す。
 侵略蔵書から無尽蔵に呼び出された侵略異星人、宇宙怪獣達がいれば、探し出すのは容易であった。
「ああ、できれば、鎧装騎兵が多く居る宇宙船が好ましい。奴等との戦いは面白かった。余の心が踊った。あれだけの脆弱なる力しか持たぬ生命体が、余に歯向かおうなど、フ、フフフッ……!」

『無間のサイビア』は侵略蔵書を用いているが故に動けないが、それでも楽しげに思い出すように嗤っていた。
 紙くずの如き装甲しか持たぬ鎧装騎兵たちの断末魔を思い出していたのだ。
「あれは愉快であった。前座にちょうどよい。哀れなる脆弱なる生命など、この宇宙には要らぬ。余の楽しませるためだけに存在するのならばいざしらず……」
 居住可能惑星を求めるなどあってはならない。

「弱き生命など、この清浄なる宇宙に病原菌を撒き散らすようなものだ。余が手ずから滅ぼしてくれる。鎧装を身にまとわねば宇宙空間に存在できぬ者たち、その病巣は取り除かねばな――」

●シード
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えたのはナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)であった。
「お集まり頂きありがとうございます。今回はスペースシップワールドに現れた猟書家『無間のサイビア』に狙われた宇宙船を救って頂きたいのです」
 ナイアルテは頭を下げて、集まってきた猟兵達にことのあらましを伝える。
 今回現れた猟書家の名を『無間のサイビア』。
 単身で宇宙空間に存在することが出来る侵略宇宙人であり、かつて銀河帝国以前の時代に恐れられた怪人である。

 そのすさまじい戦闘力の前に多くの鎧装騎兵が犠牲となったことで知られている強大なる宇宙人なのだ。
「『無間のサイビア』が持つ侵略蔵書『宇宙侵略史』の力は無尽蔵に宇宙怪獣と侵略宇宙人の軍団を召喚すること」
 正しく無尽蔵とも呼ぶべき軍団が、居住可能惑星を求めて航行する宇宙船を襲撃しているのだ。
 宇宙船もまたただでは破壊されてはたまらないと迎撃に鎧装騎兵たちが出撃している。 防衛隊であるのだが、その実力は猟兵ほどの実力はない。

「ですが、彼らは皆さんに味方して戦ってくれるのです。ここで負けてしまえば、宇宙船は滅ぼされてしまいます。不退転の決意でもって望んでいるようですが、どうか彼らを助けてください」
 ともに戦うことができるといっても、彼らが無尽蔵なる軍団と猟書家に勝てる見込みはない。
 だからこそ、ナイアルテは頭を下げる。

「無尽蔵の戦力を持つ猟書家『無間のサイビア』ですが、幸いなことに、この侵略蔵書を使っている間、彼は戦闘行動を取ることが出来ないのです。まずは、軍団を突破し、『無間のサイビア』を発見することが肝要です」
 鎧装騎兵だけではなく、宇宙船の乗組員たちも手伝ってくれる。だが、それでも無尽蔵に湧き上がる軍団の脅威は言うまでもない。
「私の予知では『無間のサイビア』の位置は特定できませんでした……ですが、彼の周囲にあったのは、銀河帝国以前の時代に破壊されたであろう宇宙船の残骸らしきものが見えていました」
 探すのであれば、その周辺に目標とする『無間のサイビア』がいるはずなのだという。

「猟書家の位置の特定、軍団の突破、宇宙船の保護……やらなければならないことは多いです。ですが、どうかお願いいたします」
 スペースシップワールドは、人類にとって生きることさえ難しい環境だ。
 帰る故郷すら喪った彼らにとって、新たな居住可能惑星を見つけることこそが、悲願であり宿願でもある。
「未だ果ての見えぬ旅路を続ける彼らを助けてください」
 そう言って、ナイアルテは猟兵たちを見送り、送り出すのだった――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はスペースシップワールドにおける猟書家との戦いになります。
 舞台は猟書家『無間のサイビア』の侵略蔵書『宇宙侵略史』によって呼び出された過去の侵略宇宙人と宇宙怪獣の大軍団に襲われる宇宙船です。
 彼らを救うため、無尽蔵に湧いて出てくる軍団を突破し、猟書家を打倒するシナリオになります。

 ※このシナリオは二章構成のシナリオです。

●第一章
 冒険です。
 猟書家『無間のサイビア』のユーベルコードによって召喚された『侵略宇宙人』と『宇宙怪獣』の混成軍団の亡霊たちを蹴散らしながら、隠れている『無間のサイビア』を探します。
 これらは無尽蔵に召喚され続けているため、壊滅させることは難しいです。ですが、どこかに隠れている『無間のサイビア』を見つけ出すことができれば、戦闘行動を取るために一時的にユーベルコードを解除するでしょう。
 それがチャンスとなります。

●第二章
 ボス戦です。
 宇宙空間で『無間のサイビア』との決戦になります。
 一時的に侵略蔵書の力は止まりますが、ユーベルコードとして同じようにまた無尽蔵に召喚する場合があります。
 これを打倒し、襲撃にあった宇宙船を救いましょう。

 ※プレイングボーナス(全章共通)…………鎧装騎兵や宇宙船乗組員と協力して戦う。

 それでは『帝国継承軍』の存在を知らしめようとする猟書家が襲撃した宇宙船を、防衛隊である鎧装騎兵や乗組員たちと共に守る皆さんの物語の一片となれますように、いっぱいがんばります!
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第1章 冒険 『宇宙亡霊軍団を突破せよ』

POW   :    敵軍団をユーベルコードで蹴散らし、再度召喚されるまでにボスを探す。

SPD   :    敵軍団を速度やテクニックで翻弄し、追いつかれぬうちにボスを探す。

WIZ   :    敵軍団を罠に嵌めるなどし、時間を稼いでいる間にボスを見つけ出す。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 宇宙船の中に警報が鳴り響く。
 それはこの宇宙船に敵意と害意を持って襲来する者たちを予見するものであり、これまでにも散発的にあったことであった。
 しかし、今回はその『数』が違う。
 乗組員の悲痛な叫びが響く。
「敵性反応……この、数は……! モニタリングできない……!」
 レーダーや観測した望遠レンズから伝えられる情報は銀河の星々をも塗りつぶすかのような影。
 それらは異形なる者たちであった。
 データに該当するものがある。
 それは銀河帝国以前に人類に牙を向いた侵略宇宙人や宇宙怪獣たちであった。
「鎧装騎兵隊、出るぞ! シップは逃げろ! 俺達が少しでも時間をかせぐ!」

 次々とスクランブルによって宇宙船から飛び出していく鎧装騎兵たち。
 プラズマジェットの噴射光が宇宙に明滅する。
 だが、きっとあのプラズマジェットの輝きは、もう見ることはできないだろう。どれだけの歴戦なる戦士たちであっても、あの数はどうしようもない。
 それが彼ら自身もわかっている。
 きっともう自分達はあの第二の故郷とも言うべき宇宙船には戻れないだろう。
「けどな……そんなことはやってみなくっちゃわからないだろう!」
 プラズマジェットを噴出させながら、鎧装騎兵たちは宇宙を飛ぶ。
 護るために。
 己の生命を護るためではなく、生命紡ぐ誰かを護るために。
 そのために己達は機械鎧に身を包んだのだから――。
村崎・ゆかり
侵略宇宙人ねぇ。彼らの母星を手に入れるって出来ないのかしら? 宇宙怪獣もクエーサービーストで慣れたし、肩肘張らずに行くとしましょう。
飛鉢法、問題なし。いくわよ。

問題はとにかく数なのよね。
「範囲攻撃」「結界術」「破魔」「浄化」の浄玻璃紫微宮陣を三次元的に作成して、一度に相手取る敵の数を減らす。
鎧装騎兵の皆は、紫微宮陣の出口で待機して、出てきたやつから集中攻撃をお願いね。

さて、宇宙だとスケール感狂うけど、黒鴉召喚。宇宙の闇に羽ばたいて、潜む猟書家の居場所を探してきなさい。
宇宙船の残骸をまず探すべきね。そこに猟書家がいる。いやらしく隠れた相手を、いやらしく見つけ出してみせる。
小狡い真似もここまでよ!



 スペースシップワールドにおいて、居住可能惑星の発見は悲願にして宿願である。
 銀河を往く人類たちの宇宙船はいわ、人類という種を存続させるための種子であったことだろう。
 その多くが潰えていく。
 在る船は宇宙怪獣によって。
 在る船は侵略宇宙人によって。
 また在る船は――。

 その愚直な探索は未だ実を結んでいない。
 どれだけの長い月日を暗い宇宙空間を航行していたことだろうか。宇宙船内部での世代すらも交代し、重ねてきた。
 そんな中で合っても鎧装騎兵たちの持つ技術もまた連綿と紡がれてきたものである。
「くそっ……! 数が多すぎる。過去にあったデータが役立ってはくれているが!」
 彼らは宇宙船に残されていた過去の宇宙怪獣や侵略宇宙人のデータから彼らに対する戦術を取ることが出来たが、それでもそれらを凌駕するのが数である。
 どれだけ倒しても、次から次へと援軍が湧き出てくるのである。
「駄目だ、このままじゃ――」

 圧倒的な数に押されて、鎧装騎兵たちの戦線が徐々に後退していく。
 それはどうしようもないことであったのかもしれない。どれだけ彼らが奮戦しようが、猟書家『無間のサイビア』のユーベルコードにして侵略蔵書『宇宙侵略史』より呼び出され続ける軍団は減ることはないのだ。
「急急如律令! 天に坐す北辰と傅く二十八の星宿を今この大地に降ろし、星界の彷徨のいや果てに、不浄を清め天の高みへと昇らしめん!」
 その言葉は宇宙空間に響く。
 同時にユーベルコードの輝きが、周囲を明るく照らし、同時に星のような希望となって鎧装騎兵たちの瞳に映ったことだろう。

 それは玄妙なる霊気漂う清浄な星空の破魔結界。
 名を浄玻璃紫微宮陣(ジョウハリシビキュウジン)。亡霊軍団を飲み込んだ結界を生み出したのは、一人の猟兵、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)であった。
「侵略宇宙人ねぇ。彼らの母星を手に入れるってできないのかしら?」
 宇宙怪獣もクエーサービーストとの戦いによって慣れた彼女にとって、侵略宇宙人の母星があれば、居住可能惑星を手に入れられるのではないかと考えたが、彼らの母星もまた銀河帝国以前のものであるのならば、破壊されていたとしてもおかしくない。

「ま、肩肘張らずに行くとしましょう。鎧装騎兵の皆、聞こえているわね? あたしの張り巡らせた結界の出口で待機してて。出てきた奴等から集中攻撃で撃破よろしく」
 ゆかりは鎧装騎兵たちの通信機に割り込んで鉄鉢に乗ったまま戦線を見つめる。
 これだけ広大な宇宙から、ゆかりは猟書家『無間のサイビア』を探し出さなければならない。
 宇宙船の残骸は隠れるにはうってつけの場所であったが、なにせ広大な宇宙である。
 そこら中にそれらしき残骸が浮かんでいるのをみれば、これはもう当たるも八卦当たらぬも八卦というやつである。

「なら――総当りでしょう!」
 放つ黒鴉の式神たちが宇宙空間に飛ぶ。
 同時に結界の維持をしている以上、ゆかりもまた動くことは難しい。
 結界を解いてしまえば、鎧装騎兵たちの戦線が崩れてしまう。漸く彼らも敵をひとまとめにして集中して危なげなく倒せるようになったのだ。
 此処で踏ん張らなければ、これまでの積み重ねが無駄になってしまう。

「――猟兵の人! ここは俺達に任せてくれ! この大群の大本があるのなら!」
 鎧装騎兵たちが踏ん張ってくれている。
 ならばこそ、ゆかりは気を引き締め直すのだ。誰も死なせない。誰も失わせない。
 何も喪わせてはならない。
 この大軍団を呼び出し、自分は安全圏から嗤う者を許してはおけない。

「小狡い真似もここまでよ!」
 必ず討ち果たす。
 ゆかりの集中力は極限まで高まっていく式神を使っての全方位の情報収集。
 徐々に宙域の半分以上が走破されていく。
 未だ見つからぬ猟書家。
 けれど、徐々に索敵範囲は狭まっていく。自分が今できることを最大限に。その心に燃えるユーベルコードによって、ゆかりは猟書家を追い詰めていくのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファランス・ゲヘナ
【心境】
「侵略宇宙人と宇宙怪獣の亡霊どもカ。スペースシップワールドの海ハ生者のモノ。黄泉から迷ってきた者ドモ…成仏するがイイ!!」
どれだけ亡霊が居てもオレ達の敵じゃないってことを思い出さしてやル。
宇宙はカバのサルガッソーは踏破済みサ

【行動】
龍星号を『操縦』し『オーラ防御』『ダッシュ』で敵集団を轢き逃げてイク『蹂躙』の時間ダー。
あ、同時に『情報収集』も行ウ。
猟書家はどこかナー?

鎧装騎兵の皆は敵集団の中で暴れている俺に敵が気を取られている隙に陣形を整い直してくレ。今だ突撃
『集団戦術』は海賊時代の経験が生きるナ。

ム、猟書家反応発見。
『力溜め』『魔力』で超強化した光子力で猟書家迄の道を切り開くゾ!!



 スペースシップワールドは即ち銀河の海を往く者たちの世界である。
 大地はなく、あるのは延々と続く暗黒に星々がきらめく世界。
 そんな世界にあって居住可能惑星を求めることは、人類にとって必要なことであった。宇宙船の中で生活することは不可能ではないが、それでも人々は戻るべき故郷がなくても、それでもさまよい続ける。

 猟書家『無間のサイビア』に狙われた宇宙船もまたその一隻の一つである。
 永い、永い時間を掛けて戦乱渦巻く銀河を生き延びてきたのだ。
 その苦難の道程は言うまでもない。
「侵略宇宙人と宇宙怪獣の亡霊どもカ。スペースシップワールドの海ハ生者のモノ。黄泉から迷ってきた者ドモ……成仏するがイイ!!」
 宇宙バイク『龍星号』を駆るファランス・ゲヘナ(     ・f03011)が銀河の海を往く。
 どれだけの数の亡霊軍団を呼び出そうとも、猟兵たちの敵ではないと知らしめるために疾駆するのだ。

 そんなファランスを狙う侵略宇宙人たちの砲撃を躱しながら、『龍星号』は走る。ただひたすらに轢き続ける。
 吹き飛ばされ、すり潰されても、即座に侵略宇宙人や宇宙怪獣たちは喪った数だけ動員されるようにわき続ける。
 それが猟書家『無間のサイビア』の持つ侵略蔵書『宇宙侵略史』の力である。
「ム、なるほど。これが猟書家のユーベルコードか。どこかナー?」
 そんなことをいいながら、ファランスは次々と『龍星号』で侵略宇宙人たちを轢き続ける。
 何度も何度もすり潰すように霧散させても、きりがない。

「鎧装騎兵へ。こちらが暴れている内に陣形を整え直してくレ」
 大雑把な指示であったけれど、それでも崩れかけていた陣形を持ち直す鎧装騎兵たち。プラズマジェットの光は未だ潰えてはいないのだ。
「陣形は持ち直した……! だが、まだ敵の大本がどこに居るかわからないんだ!」
「なるほどな。よし、ならオレに続け! 敵への道を切り開く!」
 海賊時代の経験が活きている。
 それを感じるファランスは、鎧装騎兵たちと共に亡霊軍団を蹴散らしながら、周囲の何処かに潜んでいるであろう猟書家の姿を探す。

 未だ見つけられないが、それでもこうやって敵の軍団を切り裂き、噛み砕くように進んでいればいずれは見つけることができるだろう。
「なにせ、やつはユーベルコードを使用している間は動けない。だから、必ずこちらを観測でき、なおかつ隠れられる場所にいるはず……!」
 宇宙船の残骸。
 それがグリモア猟兵から伝えられた情報だった。
 所在はわからないまでも、宇宙船の残骸のどこかに身を隠し、こちらを伺っているのだ。

 ならば、すでに狭められた索敵範囲をさらに狭めればいい。
 猟書家の反応が見つからなくても――。
「光子力(キメワザ)を使えばナ――!」
 輝くはユーベルコード。
 急速に充填されたエネルギーを魔力に変えてファランスは放つ。
 一条の光の閃光が銀河に煌き、その圧倒的な熱量で持って宇宙船の残骸を見つけた瞬間に切り裂くのだ。
 宇宙に爆発の明滅がほとばしり、暗黒の世界を照らし出す。

「猟書家までの道を切り開くゾ!!」
 打ち込まれる光子力の奔流はあらゆる宇宙船の残骸、その装甲をたやすく切り裂き、猟書家の隠れている場所を絞っていく。
 同時に巻き添えを喰わせるように亡霊軍団を撃滅しつつ、ファランスは鎧装騎兵たちと共に銀河の海を、昔とった杵柄のように海賊らしく駆け抜けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジャム・ジアム
アドリブ歓迎

無尽蔵なんて……あるのかしら
骸の海も過去の残滓よ。時も無限には見えないけれど
ふふ、実の所はいいわ。源を探すのね
あの人たちの命と志は散らせない
怪獣ですって。ねえ、力を借りていい?
輝きと共に『疾影』を召喚

お願い、早く駆けつけたいの
乗組員に通信や念による情報共有をお願いして前線へ

鎧装騎兵たちに合流
宇宙は初めて、でも自由。この感じ、好き。
――あれね
先陣を切って敵に『万象の牙』を放ち、軍勢の中を駆け抜ける
疾影、貴方とってもいい子ね

どんどん増える、何処から?…索敵で気配を探る
きっとあの辺り
宝物『朱白緞』で、限界突破&マヒ攻撃
『朱雷枝』を強化し湧く敵を更に貫く

味方が来る。大丈夫、貴方たちは勝つわ



 スペースシップワールドは全天覆う闇色の中に輝く星々の光に満ちていた。
 しかし、そのどれもが生命の住まうことのできる星ではない。あらゆる居住可能惑星は銀河帝国の時代に破壊された。
 故に人類は己たちを種子として銀河に飛び散る。
 己たちの存在を存続させるために。その歴史は邂逅と戦いの歴史であることは侵略蔵書『宇宙侵略史』に記されている。

 何処まで行っても戦いの渦から逃れられないのが生命であるのならば、今も宇宙船を襲う侵略宇宙人と宇宙怪獣の亡霊軍団は、人類に立ちふさがる壁か。
「無尽蔵なんて……あるのかしら」
 その声は宇宙空間に届かない。
 つぶやいた言葉は、己だけに響いた言葉であった。ジャム・ジアム(はりの子・f26053)は敏感な自身の耳をわずかに動かして、その瞳を向けた。
「骸の海も過去の残滓よ。時も無限には見えないけれど」
 それでも、噴出するように現れては打ち倒されていく亡霊軍団は確かに無尽蔵と呼ぶに相応しい数であったことだろう。

「ふふ、実の所はいいいわ。源を――猟書家を探すのね」
 ジアムは心を新たにする。プラズマジェットの光を見やる。あれは己たちの生命を顧みない者たちの放つ輝きだった。
 誰かのために戦うことで己の生命を燃やす輝き。
 その意志を、その想いを、志と呼ぶのならばジアムはそれを散らせない。それが彼女の想いだった。
「怪獣ですって。ねえ、力を借りていい?」

 その言葉は、彼女の背後にいつのまにか現れた巨大なる影であった。
 凶々しい翼を広げ、その威容を、その朱色を銀河にきらめかせる。腕を組む姿は、別の世界では『キャバリア』と呼ばれる機動兵器であった。
 だが、ジアムが呼びかけ見上げた機動兵器の瞳、アイセンサーに輝くはサイキックの炎。
 その炎が告げる。
「疾影――」
 ジアムは乗り込む。サイキックの炎が機体の炉心に灯る。
 各種計器は詳しいところを知るものではないけれど、それでもわかる。全ては疾影が教えてくれる。

「お願い、早く駆けつけたいの。情報を共有して――」
 ジアムのサイキックを疾影が増幅して宇宙船の乗組員たちに伝える。
 それはこの『キャバリア』に乗っているときにだけ増幅される力であった。助けたいという願い。救いたいと言う想い。そして、何より。
「今も生きたいと願っている人たちのために……来た!」
 ジアムの瞳がユーベルコードに輝く。
 宇宙船から伝えられた位置情報。全てが宇宙船から飛び出した鎧装騎兵たちのものであった。
 未だ誰も喪われていない。

 ならば、ジアムがやるべきことは一つである。
「宇宙は初めて、でも自由。この感じ好き――あれね」
 飛び出す。
 彼女と疾影と共に駆けるは、万象の牙(スピリトゥアーレ)。きらめく万象の精霊の加護を纏う燦然に輝く針たち。
 次々と亡霊軍団たちを貫き、鎧装騎兵たちの元へと駆けつけるのだ。
「うわっ――! な、なんだ、なにが……!?」
 彼らは目の前で霧散し消えていく亡霊軍団を呆然と見つめるしかなかった。あれだけ手こずっていた亡霊軍団を瞬時に倒す技量を持ったジアムと疾影の姿に希望の光を見いだせただろうか。

「疾影、貴方とってもいい子ね。でも、どんどん増える……何処から……?」
 集中する。
 鋭敏なる耳を揺らす。わかるはずだ。疾影によって拡大された感覚。それに先行した猟兵たちがもたらす情報。
 その全てがジアムの中に流れ込んでくる。わからないわけがない。
「きっとあの辺り……!」
 疾影の瞳が魔眼に輝く。
 魔導の紋が輝き、さらにその手にした白銀の大鎌がきらめく。討たねばならぬ敵は、其処に在り。
 ならば、己が為すべきことは一つである。迫る亡霊軍団たち。
 それは津波のように猟書家の存在を感知したジアムを押しつぶさんと迫る。同時に鎧装騎兵たちをも飲み込まんとするものであった。

「味方が来る。大丈夫、貴方たちは勝つわ。だから、信じて」
 何も喪っていない。
 まだ何一つ喪っていない。生命すらも、誇りも、意志も。だからこそ、ジアムは戦える。それに応えるように疾影の炉心が唸りを上げる。
 その想いに応えるようにジアムのサイキックが燃える。

 禍々しき翼が広がり、魔眼が凄まじき力を白銀の大鎌に伝える。朱に揺れる刃が揺れる。揺れる。
 明滅する一撃がしなるように、一瞬で津波の如き亡霊軍団を横薙ぎに振り払う。
 それは必殺にして撃滅の一撃。
「弱さを恥じる必要なんてない。強くなりたいと願ったからこそ、貴方たちは鎧に身を包んだ。それを無駄になんてさせない。失わせない。喪わせない。絶対に――!」
 ジアムのサイキックが銀河の轟く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハロ・シエラ
敵の数は無限、ですか。
出来る事なら全て倒し、鎧装騎兵の方々の損害も減らしたい所ですが……難しいでしょうね。
ならば私に出来るのは急ぎ猟書家を探し出し、叩く事だけです。

まずユーベルコードで敵に幻覚を見せます。
新たな鎧装騎兵部隊が襲来してくる光景などどうでしょうか。
そちらに敵を一部でも【おびき寄せ】る事が出来れば少しは味方も楽でしょう。
敵の目を逸らせれば、私自身も宇宙空間の【闇に紛れる】事が出来るはず。
【第六感】に従いつつ、敵の目を盗んで猟書家を探し出します。
発見されたら光の【属性攻撃】で【目潰し】し、再び闇に紛れて逃げてしまいます。
無限の軍勢と戦って、無駄に体力を使う事もありませんしね。



 目の前には銀河。
 己の天蓋にも星々。
 そして、己の背後には襲われし宇宙船。
 ならば、己が立つのは今まさに戦場の渦中にありて、ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は何を思うのか。
「敵の数は無限、ですか」
 ぽつりとつぶやいた。
 プラズマジェットの光は宇宙船の防衛隊である鎧装騎兵たちの生命の瞬きであろう。

 対するは侵略宇宙人と宇宙怪獣の混成による亡霊軍団。
 その数は数えるに値しないほどの膨大さであり、どれだけ倒したとしても無尽蔵の湧き上がってくる。
 まさに侵略蔵書『宇宙侵略史』の名に相応しき力であったことだろう。
「出来ることなら全て倒し、鎧装騎兵の方々の損害を減らしたいところですが……難しいでしょうね」
 ハロにとって彼我の戦力比は圧倒的であった。
 けれど、諦める理由にはなっていない。自分自身に出来ることを。それはオブリビオンである猟書家を打倒することだけだ。

「夢と現の水面より出でよ」
 その瞳がユーベルコードに輝く。
 未だ何も喪っていない。誰も彼もが喪われていない戦場に在りて、ハロは思う。
 己ができることを。
 喪われてしまうかも知れない生命があるのだとして、それに手を伸ばさないことなどできない。
 生きているからこそもがくのだとすれば、己は今も生命という何かにもがいているのだ。

 ユーベルコード、幻術(ゲンジュツ)から放たれた幻術が、形をなしていく。
 それは宇宙船から新たに飛び出す鎧装騎兵の部隊であった。
「なんだ――!? もう機械鎧のストックは」
 ないはずだった。鎧装騎兵たちは敵よりもそちらのほうに驚いたことであった。けれど、それはハロの見せた幻影。
 されど理由を語ることはすまい。
 形はどうあれ、今なお生命を掛けて戦っている鎧装騎兵たちの士気は上がる。味方が来てくれた。
 猟兵が来てくれた。
 自分の生命を投げ出してもなお、足りないと思っていた力が、誰かのためになることができる。無駄にならないかもしれないという思いが、彼らの力を引き出していくのだ。

「……いつだって、生命を投げ出さないで、もがくからこそ、希望が見いだせる」
 自分自身もそうであったかもしれない。 
 いつだって戦場は絶望的だった。
 奇跡的とさえ言われたこともあった。けれど、偶然であろうとなんであろうと己の生命が為したことが誰かのためになるのならば。

 ハロの姿が宇宙空間の闇に紛れていく。
 敵の視線を感じない。敵は必ず此方を見ている。猟兵が来ていることも承知しているはずだ。
 だからこそ、こちらに戦力を割く。
 鎧装騎兵たちを皆殺しにするのはその後でもいいと判断しているのだろう。
 
 だが、それが間違いである。
 猟書家が此方を見ているのならば、こちらもまた猟書家を見つけることができる。
 自身の第六感を信じる。
 それに、今は一人ではない。
 孤独ではない。
 鎧装騎兵たちも居る。そして、共に駆けつけた猟兵達がいる。
 彼らの戦いの光は、亡霊軍団を次々と打ち破り、無尽蔵とも言われる亡霊軍団の数を一時的にでも削り取っていく。

「――そこ!」
 宇宙船の影。
 残骸となった宇宙船の影に当たりをつけ、光を放つ。それは標となってこの宙域に集まった猟兵たちの目に止まることだろう。
 同時に自分自身にも注意を惹きつけることになるが、それでもハロは己の直感を信じる。
 影が見える。
 まばゆい光に照らされて、侵略蔵書を手にする猟書家の影を。

「無限の軍勢と戦って、無駄に体力を使うことはありません……ここに」
 居る。
 潜み、敵を消耗させ蹂躙させることを楽しむ者がいる。
 許せるわけがない。何処まで行っても生命を弄ぶ者。
「――『無間のサイビア』――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
侵略蔵書で召喚しているのであれば、宇宙怪獣とやらが来る方向が敵の居場所……と言いたいところなのですが。
これだけ敵がいたのではそれも分かりませんね。押されている状況では側面を突くために回り込んでくる敵もいるでしょうし。
猟書家を発見したところで戦っている間に召喚済みの宇宙怪獣に船を沈められるわけにもいきません。

となれば、まずは粗方倒しましょうか。
鎧装騎兵の人たちにはアームドフォートなどでの遠距離からの援護をお願いし、支援を受けながら宇宙怪獣の集団に接近します。
接近したら【絶対氷域】を使用、周囲の宇宙怪獣を凍てつかせます。
周囲から敵がいなくなったら増援を探し、増援が来た方を捜索しましょう。



 戦場となった宙域には溢れ出すように侵略宇宙人と宇宙怪獣の群れが殺到している。全ては人類の種としての役目をまっとうしようと居住可能惑星の探索に往く宇宙船を滅ぼすためだ。
 彼らは猟書家『無間のサイビア』の手にした侵略蔵書『宇宙侵略史』より呼び出された過去の幻影たちである。
 幻影であり亡霊であるが故に、数に限度などない。
 あるのは失うことを恐れず、さりとて他者の生命を弄ぶ悪意だけであった。

 その悪意の奔流とも呼ぶべき濁流を前にして、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は冷ややかな瞳で銀河の星々を塗りつぶす亡霊軍団を見据える。
「侵略蔵書で召喚しているのであれば、宇宙怪獣とやらが来る方向が敵の居場所……と言いたいところなのですが」
 だが、それも最早わからない。
 戦場は全てを塗りつぶす勢いの亡霊軍団の群れで埋め尽くされている。
 何処からくるのかわからない。
 それに迎撃に出た鎧装騎兵たちのプラズマジェットもまた、ただの一点の輝きにしか見えぬほどである。

「これだけ敵がいたのでは、それもわかりませんね。押されている状況では側面を突くために回り込んでくる敵も居るでしょうし……」
 それは当然の戦略であった。
 圧倒的な数を誇るのであれば、敵を囲い込むように展開し、左右から挟み込めばいい。
 さらに突破すべき正面すらも無限に湧く軍団で蓋をしてしまえば、逃げるすべもなく打ちのめされるだけだ。
 だからこそ、セルマは宇宙空間を駆ける。
「鎧装騎兵の皆さんはアームドフォートでの遠距離攻撃の援護を。道を拓きます」
 セルマの言葉に鎧装騎兵たちがプラズマジェットの光を輝かせる。
 例え猟兵に及ばぬまでも、セルマの援護は出来る。彼らの瞳はまだ絶望に染まっていない。

 いつだって絶望の瞳と共にあったセルマにとって、それは好感の持てるものであったかもしれない。
 絶望を知ってなお、立ち向かう意志と気概を持つ彼らに報いたいと思えた。
 アームドフォートの砲撃がセルマの背後から亡霊軍団を打ちのめす。
「この領域では全てが凍り、停止する……逃がしません」
 敵の数が無尽蔵であり、己を取り囲もうと画策しているのならば、これほどおあつらえ向きなこともない。

 ここに在るのは猟兵であり、『絶対零度の射手』の異名を持つセルマ・エンフィールドである。
 彼女の瞳に絶望はない。
 その青い瞳が見据えているのは、いつだって未来だ。
 己の持てる全てを使って敵を打ち倒す。それが教わったことであり、誰かのために何かを為すために必要なことであると彼女は知っている。
 殺到する宇宙怪獣の群れ。
 セルマを取り囲む全天の悪意。

 けれど、知るがいい。
 絶対零度の意味を。その瞳に輝くユーベルコードの力の名を。
「絶対氷域(ゼッタイヒョウイキ)」
 放たれるは無差別なる全てを凍てつかせる絶対零度の冷気。
 それらは宇宙空間に適応した宇宙怪獣たちをも凍てつかせる。そこへ援護として放たれた鎧装騎兵たちの砲撃が降り注げば、あれだけ一体を倒すのにも苦心していた宇宙怪獣たちが砕け、霧散していく。
「これだけの穴が空けば、必ず補充しようとする……敵を囲い、痛めつけ、弱ったところに己が悠々とやってくる……」
 それがこの敵の正体であり、本質だ。

 他者を見下すことしかしない。
 他者を軽んずることしかしない。
 己の生命が他よりも上であるというところにしか生命の価値を見いだせない者。
 それが『無間のサイビア』である。
 光が輝く。
 他の猟兵が血路を拓き、知らせる光。それは奇しくもセルマが穴を空けた軍団を埋めるために再び造園として現れた亡霊たちが急行してきた方角と一致していた。

「――逃しはしません」
 そのスコープにはすでにもう捉えている。
 敵ですらない。
 そう、獲物が其処に居るのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サージェ・ライト
お呼びとあらば参じましょう
私はクノイチ、世に潜み…胸が目立ちすぎて潜めないとかそんなことないもん!!(お約束

…待ってください不審者じゃありません!
ちょっとキャバリア呼ぶ時間が欲しくて艦内に来ただけで
私はそこら辺にいるクノイチですからにゃああああああ?!(連行される

ふぅ、危うく宇宙空間に放り出されるところでした!
では気を取り直して!
かもんっ!『ファントムシリカ』!

突撃しても負ける気はありませんけど
艦を守る必要があります
ここは【快刀乱麻】で迎撃します!
さーてミニシリカ、サーチは終わりましたか?
オッケーです
では敵を殲滅したら
エンジェライトスラスターで一気に駆け抜けるとしましょう!

※アドリブ連携OK



「お呼びとあらば参じましょう。私はクノイチ、世に潜み……胸が目立ち過ぎて潜めないとかそんなことないもん!!」
 そんな風に勢いよく宇宙船の中に現出したのは、サージェ・ライト(バーチャルクノイチ・f24264)であった。
 いつもの前口上であり、その姿はクノイチというには非常に目立つものであったし、何より非常事態である宇宙船の中に突如として現れたからには人々の疑心を煽るには十分過ぎるものであった。

「な、だんだあんたは! お、おい! 侵入者だー!」
 そんな風に言われてしまうのも無理なからぬことであった。
 そもそも何を思って宇宙船の中に転移してきたのだろうか。それほどまでサージェの行動はある意味でうかつであったのだが、そんな宇宙船の乗組員たちの様子に彼女は慌てて言い繕うのだ。
「……ま、待ってください不審死はじゃありません! ちょっとキャバリアを呼ぶ時間が欲しくて艦内に来ただけで私はそこら辺にいるクノイチですからにゃああああああ?!」
 違うんです!
 これはその、ほら、違うんです! と喚くサージェをよそにがっつり連行されてしまって、危うく宇宙空間に放り出されるところであったが、既のところで誤解が溶けてよかった。

 ひどい目に合うところであったが、すでに戦場ではサージェと同じく猟兵たちが鎧装騎兵たちを助けながら戦っている所が映し出されていたことが大きかった。
 クノイチと名乗る前に猟兵と名乗ったほうが効果的であったのは、クノイチ的にはちょっと如何なものかと思ったけれど、結果良ければ全て良しである。

「ふぅ、では気を取り直して!」
 サージェは宇宙船のカタパルトに立ち、指を鳴らす。
「かもんっ!『ファントムシリカ』!」
 音もなく現出するのは淡い紫色と白を基調としたキャバリア。
 全高5m級の機動兵器であるキャバリアを呼び出すには、宇宙船のカタパルトを利用するしかなかったのだ。
 サージェは『ファントムシリカ』に騎乗し、勢いよく宇宙空間に飛び出す。

 目の前にはすでに無数の宇宙怪獣と侵略宇宙人の大群。
 けれどサージェは負ける気がしていなかった。
「突撃しても負ける気はありませんけど、艦を護る必要があります。鎧装騎兵の皆さんが帰ってくる場所は此処しかないのですから!」
 だから、己が護るのだと『ファントムシリカ』に装備されたフローライトダガーを構える。
「ミニシリカ、サーチは終わりましたね?」
 終わりました、とサージェに告げるAIの言葉にサージェは頷く。

 ならば、己が為すべきことをする。
 それは敵の殲滅である。
「一気に迎撃しましょう。未だ艦は健在だとしれば、鎧装騎兵の皆さんも奮起してくれるはずです、いきますよ! そうるぶれいかーっ!!」
 放つは巨大なる三日月状のエネルギー波。
 それは直線状にあった亡霊軍団たちを尽く一撃の元に撃滅し、その霧散していく姿を銀河に明滅させる。

 それこそが、戦場にありてもつれにもつれた戦局を快刀乱麻(ブレイクアサシン)の如く断ち切るように振るわるユーベルコードであった。
「さあ、行きます! 敵はあの光の向こうにあるのです!」
 サージェはファントムシリカの背に装備された一対の羽の如きスラスターを展開させる。
 天使の光輪の如き噴射口を吹き出しながら、サージェはその名に違わぬ輝きを放ちながら、暗闇の宇宙空間を駆け抜ける。

 その瞳に映っていたのは、光にあぶり出されるようにして影を落とす猟書家『無間のサイビア』。
 あれこそが、この戦場を生み出した混沌なる者。
 あれを打ち倒さなければ、いつまでっても、宇宙船を襲う亡霊軍団は消えない。
 人類という種を存続させるために飛び散った宇宙船。
 それは希望を運ぶ船だ。

 だからこそ、サージェはその希望を摘み取らせぬために、希望の輝きとなって戦場を一気に駆け抜けるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
(UC装着した上で機械馬に騎乗、慣性・重力制御の縦横無尽の●推力移動で駆け●怪力ランスで当たるを幸い●なぎ払い)

これ程の規模の侵略異星人や宇宙怪獣の軍勢…目の当たりにしたのはアーカイブの閲覧以来ですね
恐るべしは侵略蔵書と言うべきでしょうか

宇宙船へ戦場の鎧装騎兵達の収集情報を回すよう要請
ハッキング+情報収集+瞬間思考力で守りが特に厚い=残骸近くの猟書家の潜伏地候補を選定し急行

照準レーザー●乱れ撃ちスナイパーの敵集団ロックオン、挟むように力場設置
乱戦状況下で敵のみ圧殺

確かに敵は強大です
ですが古の鎧装騎兵やフォースナイトが退けた相手、今を紡ぐ私達が敵わぬ道理はありません

首魁を見つけ出し、共に勝利を!



 戦機猟兵用重力制御兵装装備型強化ユニット(エクステンションパーツ・タイプ・グラビティ)――それは背部に備えられた大型スラスターと二門のキャノン型グラビティガンからなる強大なる装備であった。
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、その威容をもって己が最早、騎士と名乗るのも烏滸がましい姿であることを自嘲したが、それでもこの装備が役立つ時があることを憂うと同時に騎士としての誇りが己の足を前に進めさせる。

「これほどの規模の侵略宇宙人や宇宙怪獣の軍勢……目の当たりにしたのはアーカイブの閲覧依頼ですね」
 恐るべきは侵略蔵書であろう。
 トリテレイアのアイセンサーと強化された頭部レーザー照準器が敵の軍勢の膨大さを物語っていた。
 だが、この戦いにおいて趨勢を決めるのは数ではない。
 それはトリテレイアはよく理解していた。この大軍勢を呼び出している猟書家。それを打ち倒せば、亡霊軍団は尽く消え失せる。
 そして、その大本たる猟書家はユーベルコードを使用している間は動くことが出来ない。

「ならば、活路は、希望は見いだせるというもの――参ります!」
 トリテレイアの背部スラスターが火を噴き、戦場を駆ける。
 大型のランスを構え、戦場に在るて敵全てにレーザー照射による全てを圧壊させる重力波を放ちながら、戦場を横断する。
 それは正に蹂躙と呼ぶに相応しい戦機としての在り方であった。
「鎧装騎兵の皆様の位置情報……これで……」
 トリテレイアの電脳が演算を叩き出す。
 猟書家は鎧装騎兵たちをいたぶり、滅ぼすことを目的としている。『帝国継承軍』の強大さを見せつけるためだ。

 だからこそ、鎧装騎兵の位置情報から敵の層の厚さを割り出せば、猟書家が存在する位置を候補として割り出すことが出来る。
 そして何よりも、彼らは喪わせてはならない存在だ。
「その意志! その気概! まさに誰かを護るための騎士そのもの。なればこそ、救わねばなりません」
 己を騎士として規定するのであれば。憧れと共に、そうは成れぬと知りながらも、それでもともがく者がいる。
 それが己である。
 燃える炉心に今も抱き続ける騎士道精神が在る。

 それを否定するのは、己ではない。
 いつだって弱き生命を嬲るおごれる強者だ。
「確かに敵は強大です。ですが、古の鎧装騎兵やフォースナイトが退けた相手、今を紡ぐ私達が敵わぬ道理はありません」
 プラズマジェットの光がまばゆいとトリテレイアは感じた。
 確かに鎧装騎兵たちの力は猟兵に、猟書家に及ばないだろう。だが、力の優劣は関係ないのだとトリテレイアは知る。

 己の命をかけて、燃やすように誰かのために戦う者がいたからこそ、紡がれてきた命脈がある。
 それを絶やしてはならない。
 次代につないでいかなければならない。その意志を持つ鎧装騎兵たちであるからこそ、これまでも侵略宇宙人や宇宙怪獣に滅ぼされること無く、この銀河に生き延びてきたのだ。
「首魁を見つけ出し、共に勝利を!」
 トリテレイアの声はこの宙域にいる鎧装騎兵全てに届いたことだろう。

 猟兵たちの援軍。
 そして、彼らの戦いぶりは、これだけの数滴劣勢を前にしても鎧装騎兵と宇宙船の乗組員たちに希望を与えるのには十分であった。
 この希望の輝き満ちる者たちを見てもなお、猟書家は嗤うだろう。
 脆弱なる生命に価値はないと。
 だからこそ、トリテレイアは征かねばならない。
 その悪意、害意にさらされる命があるのならば、騎士として、戦機として生まれた理由を全うするために彼は戦場を横断する戦車の如き力で持って、その威を、希望を知らしめるのだ――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
侵略宇宙人と怪獣の亡霊の群れね…
ま、かつて滅んだ存在であるのならばやりようはあるってね

[SPD]
今回は速度と火力が必要って事でCSに【騎乗】
Es、サポートよろしく
『キャバリアとの接続完了。戦闘モードに入ります』

【推力移動、ダッシュ】で常に移動しながら(空中戦
CSのセンサーを最大にして猟書家の居所を探すぜ(情報収集、索敵

敵の攻撃を【第六感】で避けながら遠くの敵をCBRで【なぎ払い】(冬雷
近くの敵をDHBで【吹き飛ばし】至近の敵にPHBの【弾幕】で蹴散らしながら進むぜ
そうすれば鎧装騎兵達も動き易くなるって寸法さ

『目標の反応を検知、ポイントを表示します』
よし!もう逃さないぜ猟書家さんよ!

アドリブ歓迎



 かつて滅びた存在。
 それは須らく骸の海へとたどり着く。その堆積した過去が滲み出るからこそ、オブリビオン、過去の化身が蘇る。
 その姿は過去に歪んだものであり、過去の幻影に過ぎないのだとしても、現在を生きる者たちの障害になっていい理由などない。
 けれど、過去に染まった悪意は全てを飲み込もうとする。
 希望も何もかも飲み込み、己の欲望のままにそれら全ての掌に納めたいと願うのだ。

 それがどれだけの被害をもたらすのか。
 星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)は、その瞳に宇宙怪獣と侵略宇宙人の大軍勢を映し出し頷く。
「ま、かつて滅んだ存在であるならばやりようはあるってね」
 彼は今、サポートAIであるEsがキャバリアとの接続が終了するのを待っていた。すでに戦場にありては多くの猟兵と鎧装騎兵たちが戦っている。
 だが、敵は無尽蔵に湧き上がる軍勢だ。
 例え、倒したとしても即座に補充されるように再現されてしまう。
『キャバリアとの接続完了。戦闘モードに入ります』
 Esのアナウンスがコクピットの中に響き渡る。
 異世界の機動兵器。
 それがキャバリアである。全高5m級の鉛色の巨人が宇宙空間に飛ぶ。

 まずは猟書家を叩かねばならないのだが、それでもこの大軍勢の中からセンサーの類で標的を探すのは至難の業であった。
 全天を埋め尽くさんばかりの反応の数々。
 敵性存在の位置を割り出すだけでも、これらの亡霊軍団をはカモフラージュの意味も兼ねていたのだろう。
 まさに木を隠すなら森の中というやつである。
「これだけ数が多いと――!」
 見分けが付かない。
 確かにグリモア猟兵は宇宙船の残骸が周囲にあったと言った。けれど、此処はいわば銀河帝国の時代に滅ぼされた宇宙船の残骸が散在している場所だ。

 虱潰しにしていては、時間が足りなくなってしまう。
 その間に鎧装騎兵たちが打ち倒され、宇宙船が破壊されてしまっては元も子もない。
「なら……!」
 手にした長銃型ビーム砲から放たれた火線が亡霊軍団を薙ぎ払う。
 さらに接近してくる宇宙怪獣を頭部に装備されたフォトン徹甲弾で迎撃しながら己のキャバリアに注意を惹きつけるようにして浮く不空間を飛ぶ。
「これだけ目立てば、こっちを無視はできないだろうさ!」
 そうすれば、鎧装騎兵たちも動きやすくなるだろう。
 自分の目的を忘れてはならない。
 彼らを活かすこと。
 そして、宇宙船を救うこと。

 その二つを為すためには、己の生命を賭けなければならない。
 ならばこそ、敵の注意を引きつけることこそが、今祐一ができる戦い方だ。舞うように火線と徹甲弾の軌跡を描きながら鉛色のキャバリアが飛ぶ。
 その機体が取った痕には霧散し、消滅していく宇宙怪獣と侵略宇宙人たちの藻屑しか存在しない。
 彼の前には敵がいるが、彼の通った後には何も残さない。
 そこにあっていいのは、絶望なんかじゃない。

『目標の反応を検知、ポイントを表示します』
 戦場に光が明滅した瞬間、サポートAIのEsの合成音声が響く。
 モニターに映し出されたポイント。それは奇しくも他の猟兵が見つけた猟書家の影と合致していた。
 絶望なんてしないでいい。
 どれだけ強大な敵であろうとも、たった一人でいる者に強さは宿らない。もっと強いものに淘汰されるだけなら、人類はとっくの昔に滅んでいる。
 けれど、今もなお命脈を繋ぐ生命が在ることが、その存在の証明だ。

「よし! もう逃さないぜ猟書家さんよ!」
 祐一は駆ける。
 その未だ何色に染まるかも決まっていない鈍色の機体と共に。それは確かに鈍く輝く色であったかもしれない。
 けれど、これからを期待させるには十分な色として、宇宙に輝くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
(飛行式箒【リンドブルム】に乗って駆けつける)
侵略異星人に宇宙怪獣、ね…
これだけの亡霊を1度に召喚するのは流石に脅威だな…
…さて…この亡霊の中の何処に隠れているか…か、亡霊に教えて貰おう…
(周囲の鎧装騎兵達に)…1度この辺りの亡霊を祓うから…再度亡霊が来る方角を教えて…
…【起動:応用術式『拡大』】を使用…術式の効果範囲を視界全てに変更…
そして重奏強化術式【エコー】で強化した浄化復元術式【ハラエド】で一気に祓っていくよ…
…亡霊が減った事を認識すれば当然補充をする…即ち、一時的に亡霊の密度に偏りが出来る…隠れているならば、そこになるね…
こちらは亡霊を祓うことに専念して鎧装騎兵達にサーチして貰おう…



 銀河を飛ぶは魔女の箒か。
 それは些か夢物語のような光景であったかもしれない。銀河の星々が明滅する宇宙空間に駆けつけた猟兵の一人、メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は飛行式箒『リンドブルム』にまたがって、宇宙空間を疾駆し、その『アルゴスの眼』でもって、戦場を一望した。
「侵略宇宙人に宇宙怪獣、ね……これだけの亡霊を一度に召喚するのは流石に脅威だな……」
 猟書家『無間のサイビア』の持つ侵略蔵書『宇宙侵略史』。
 そのユーベルコードの力は凄まじいの一言に尽きる。嘗て在りし、宇宙怪獣と侵略宇宙人の混成であれど大軍勢。
 その数は無尽蔵とも呼べる数であり、猟兵たちが駆けつけなければ、宇宙船は瞬くまに滅んでいたことだろう。
 
「……さて……この亡霊の中の何処に隠れている……か、亡霊に教えてもらおう」
 その瞳は正しく戦局を見極めていた。
 長く伸びた防衛戦。
 圧倒的な数から宇宙船を守ろうと守りの要でる鎧装騎兵たちは互いの位置を大きく離しながら、個々の力で亡霊軍団を押し留めていた。
 それも限界が来ることは百も承知であろうが、そうしなければ、大軍勢に寄る囲い込みが完成してしまう。
 そうなってしまえば、宇宙船が逃れられる可能性は万に一つもない。

「……だからこそ、か。鎧装騎兵の皆、一度この辺りの亡霊を祓うから……再度亡霊が来る方角を教えて……」
「アンタ、何を……?!」
 驚く鎧装騎兵たちを尻目にメンカルは言葉をかえさなかった。
 説明している時間はあまりに惜しい。
 圧倒的数の優位を誇る相手に此方持てる手札である時間を浪費することは、あってはならないことだ。

 だからこそ、メンカルの判断は早かった。
「対象を視界内任意に補正、魔女が望むは膨れ逃さぬ天の網」
 起動:応用術式『拡大』(ラン・エンハンスメント)によって拡大された効果。さらに重奏強化術式『エコー』によって強化に強化を重ねた浄化復元術式『ハラエド』が、その効果の範囲を全天に及ぼす。
 戦場全てを包み込むことはできなくても、亡霊軍団の軍勢に大穴を開けることができる。

 過去の幻影、亡霊であるのならば、浄化術式である『ハラエド』の効果を受ける。
 ならば、その開いた大穴にさらに軍勢を補充しようとすることは当然であろう。なにせ、本来の軍勢と違って猟書家の手繰る亡霊たちの数は無限にして無尽蔵であるのだ。補充しない理由など無い。
「だからこそ、そこに抜け目がある。落とし穴がある。結局、強大な力を持て余しているだけに過ぎない……」
 そう、一時的に亡霊に密度に偏りが出来る。
 手繰るユーベルコードが発現すれば、そこが軍勢を補充する起点となる。

「――……! 在った! このポイントだ!」
 鎧装騎兵たちから次々とメンカルの『アルゴスの眼』に情報が送られてくる。
 補充される亡霊軍団。
 その発生源。
 そのポイントは確かにグリモア猟兵が告げたように、宇宙船の残骸の一部を影にしたような場所であった。
 同時に光が明滅する。

 それは猟兵たちが導き出した猟書家の存在。
 その光が照らし、落とす影にこそ猟書家の存在。
「見つけた……あなた達は無理をしないで。敵のサーチをよろしく……亡霊は全て祓う」
 メンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
 未だ術式の効果は切れていない。
 ならば、位置が露見した猟書家はさらに亡霊軍団を繰り出して、到達させないようにするだろう。

 ならばこそ、メンカルは次なる一手を打つ。
 こちらを近寄らせないように亡霊軍団を展開させるのならば、その尽くを祓う。
「そう、これは逃さぬ天の網。目が粗いと思ったのならば、それが思い違うだということを教えてあげよう……」
 天網恢恢疎にして漏らさず。
 その言葉の意味を、驕れる悪意に叩き込むためにメンカルは『リンドブルム』にまたがって、銀河の海を駆けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メイスン・ドットハック
【SPD】
ふむ、宇宙怪獣やら侵略宇宙人とかいっぱいじゃのー
じゃけどそんなものでは倒せんということを教育してやらねばならんがのー

揚陸艦ロストリンクに搭乗して出陣
鎧装騎兵への援護射撃や、緊急着陸地点となって支援を行っていって戦力増強に努める
無限竜の雷雲をシールド展開しながら、宇宙船への攻撃も凌いでいく
攻撃に関してはUC「巨人を穿つ叡智の煌めき」をロストリンク主砲に取り付けて対巨大生物に対する特攻攻撃力を上げた状態で、雷撃レーザーを宇宙怪獣に狙いを定めて撃ち込んでいく

デカブツは攻撃が当てやすいけーのー。まさしく鴨打ちというやつじゃて

侵略宇宙人は鎧装騎兵諸君に任せて巨大な敵を狙撃していく

アドリブOK



 目の前の宇宙空間に満ちるのは侵略宇宙人と宇宙怪獣の大軍勢であった。
 全天を埋める真っ黒な影は、星々の輝きすら通さぬ闇となって宇宙船を取り囲もうとしていた。
 しかし、それをさせぬと飛び立つのがプラズマジェットの光を灯し、駆ける鎧装騎兵。
 だが、圧倒的な数滴不利は覆すことはできない。
 彼らの実力は猟書家に届かない。猟兵にも届かない。けれど、そんなことは関係がなかった。
 やらなければならない。
 己の生命を使ってでも、種としての命脈を断ち切られるわけにはいかないのだ。

「ふむ、宇宙怪獣やら侵略宇宙人とかいっぱいじゃのー」
 そんな風に強襲揚陸艦『ロストリンク』と共に駆けつけた猟兵、メイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)はモニターに記される圧倒的な大軍勢の数を見つめていた。
 その瞳に在ったのはアメジストの如き紫の輝きだけであり、絶望には一欠片とて塗れてはいなかった。
 在るのは、成さねばならぬことを為すという想いだけであった。
「じゃけど、そんなものでは倒せんということを教育してやらねばならんがのー」
 そう、結局の所は過去に滅んだ異物に過ぎない。
 今更宇宙怪獣だ、侵略宇宙人だのを繰り出してきたところで、メイスンたちが怯むわけがない。

 これまでにも何度も数的不利は味わってきた。
 けれど、そのどれも打倒してきたのだ。
「無限竜雷雲シールド展開。近づけさせんけーのー」
 宇宙空間に雷雲が立ち込め、亡霊軍団たちを飲み込んでいく。
 だが、数の暴力であろうか、雷雲を迂回してロストリンクに迫る亡霊軍団たち。確かに数で押すには側面からの攻撃が有効である。

「デカブツであればあるほど餌食じゃけーのー対巨大生物・対機械の電脳魔術特攻増幅器よーい!」
 メイスンのユーベルコードが瞳に輝く。
 ロストリンク主砲に搭載されるは、巨人を穿つ叡智の煌めき(ジャイアント・キリング)である。
 相手が宇宙怪獣や侵略宇宙人という巨躯であれば在る程に対巨大生物の討伐に特化した攻撃増幅器の威力は増す。

 それはいかなる術理をも越えたものであった。
「雷撃レーザー、斉射! 狙いはつけんでもえーけーの! デカブツは攻撃が当てやすいけー。正しく鴨打ちというやつじゃて」
 宇宙怪獣たちに狙いをつけて雷撃のレーザーが宇宙空間にほとばしる。
 そのどれもが一撃の下に巨大なる宇宙怪獣たちを討滅していく。明滅する亡霊たちであったが、次々と補充されてくる。

 侵略宇宙人たちの相手を鎧装騎兵たちに任せてはいるが、それでもこの無尽蔵なる増援は確かに恐るべきユーベルコード、侵略蔵書である。
 だが、だからこそ、メイスンの行動には意味がある。
 例え一人で全てをこなすことができなくても、猟兵たちは集う。
 驕った悪意を、害意を持つ者を打倒さんとあらゆる世界を越えて集まってくる。世界の悲鳴とも言うべき事件に駆けつけるのだ。
「例え、どれだけの数を用意してようとも、結局の所は過去に滅んだ存在。滅ぶ理由があったからこその、亡霊じゃけー」
 ならばこそ、自分達に勝てる道理などない。

 過去は過去に還す。
 今を生きる者たち、鎧装騎兵たちが見せる命の煌きにしてプラズマジェットの放つ光をみやり、メイスンは他の猟兵たちが放つ光によって、猟書家の位置を見出す。
 例え、圧倒的な亡霊軍団の数でもって猟書家の位置を見失わせようとも無駄である。
「そう、無駄じゃけー! また隠れられると思うな」
 放つ雷撃レーザーの弾幕があらゆる障害を取り除いて、霧散させていく。
 希望の篝火は、未だ潰えず。
 ロストリンクの艦影が戦いの残火の中を往く――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギージスレーヴ・メーベルナッハ
不退転の覚悟もて戦場へ出る、その意気や良し。
なれど此処は未だ貴殿らの死地には非ず。余らが助成に参ったが故にな。
我ら黄昏大隊、貴殿らの帰り路を斬り拓こうぞ。

といった言にて鎧装騎兵隊に共闘を申し出る。
黄昏大隊・蹂躙巨艦発動、大型の怪獣へ向け【砲撃】。
同時に兵を出撃させ、此方には小型の怪獣や宇宙人を担当させる。複数の分隊に分け相互に連携させ(【集団戦術】)、或いは鎧装騎兵隊を援護させ、迫る敵を順次撃破してゆく。

とはいえ敵は無尽蔵、発生源を突き止めねば磨り潰されるのみだ。
余自身は指揮と並行して義眼と無人探査通信装置を用い【情報収集】、敵の所在を探ってゆく。判明次第、戦力を其方へ集中させ突入を図ろう。



 宇宙船から飛び出した防衛隊である鎧装騎兵の放つプラズマジェットの光が宇宙空間に明滅する。
 彼らはすでに宇宙船に戻れぬことを予感していた。
 きっと負けてしまう。死んでしまう。
 それは彼らの心に浮かんだ思いであり、共通のものであったことだろう。
 避け得ぬ死の運命は誰にも訪れるものである。

 だが、こんな終わり方を望んだだろうか。
 誰一人として望んでは居ない。
 けれど、それでも己の生命を賭ければ誰かの生命が救われると信じて、彼らは飛ぶ。絶望的な戦いに身を投じる。
 それだけの覚悟があったのだ。

 その覚悟こそがプラズマジェットの輝きと共に世界の悲鳴となって猟兵達を呼び寄せる。
「不退転の覚悟をもて戦場に出る、その意気や良し」
 ギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)は不敵なる笑みを浮かべて戦場である宇宙空間に黄昏大隊・蹂躙巨艦(アーベントロート・ゴットリヒター)と共に現れた。
 膨大な数の亡霊の軍団。
 それらの威容を前にしても些かも恐怖に震えることのない歴戦の兵たちと彼女はやってきた。

 鎧装騎兵たちは見ただろう。
 その威容、その巨艦、その銀髪がユーベルコードの輝きを受けて黄昏色に輝くのを。
「なれど此処は未だ貴殿らの死地には非ず。余らが助成に参ったが故にな。我ら黄昏大隊、貴殿らの帰り路を斬り拓こうぞ――ゴットリヒター出撃!領域内の敵勢力を徹底的に蹂躙し殲滅せよ!降下兵団、総員降下開始!」
 その号令とともに発艦するのはアサルトライフルとロケットランチャーで武装した効果作戦装備の兵士たちの幽霊たち。
 彼らこそが亡霊の大軍団を相手取るには相応しきものたちである。
 大型の宇宙怪獣に向けて放たれた砲撃の火線が宇宙空間にきらめく。

 一撃の下に消滅していく侵略宇宙人や宇宙怪獣たち。
 けれど、穿たれた戦線を即座に埋めるのは猟書家『無間のサイビア』の持つ侵略蔵書『宇宙侵略史』の力。
 無尽蔵にして無限なる亡霊たちは即座に補充され、宇宙船を追い詰める包囲網を狭めていく。
「ふ……なるほど。こちらの力が劣っているわけではない。とはいえ、敵は無尽蔵、発生源を突き止めねば磨り潰されるのみだ」
 このままではジリジリと圧倒的な物量で持って包囲網を狭められて押しつぶされてしまう。
 その予見は正しい。
 如何にギージスレーヴの類まれなる指揮があろうとも、敵の数は減らないのであれば消耗戦に持ち込まれた時点で敗北が確定している。

 だからこそ、ギージスレーヴの義眼が輝く。
 その名は『エレクトロニシェアウゲ』。
 熱源、生体、魔力反応知覚、ならびに魔術的情報の解析と改ざんを可能にする義眼である。
 眼帯に普段隠されたそれが露出すれば、彼女の瞳に映る世界は一変する。
 さらに無人探査通信装置を使い、宙域の情報を収集していく。
 敵もさるものである。

 こちらの目論見に感づいたのだろう。
 だがもう遅い。
 ギージスレーヴは猟兵である。たった一人で戦っているように見えても、他の猟兵達の存在を忘れてはならない。
 一人に気取られれば、一人がおざなりになる。
「そこに隙が生まれる。個として強大な力を持つオブリビオンにこそ、我らの存在が致命的になる」
 そうやってこれまでも、己たちよりも強大なる過去の化身を打倒してきたのだ。
 被弾する蹂躙巨艦。
 だが、構わない。

 倒れることなど気にもかけない。
 そこにあるのは、ただ誰かの帰り路を斬り開くという意志のみ。
 宙域に光が明滅した瞬間、彼女の義眼が捉えた。
 影を落とす人型。
 その姿を。傲慢なる悪意を。その害意をギージスレーヴの義眼が捉えた。
「見つけたぞ――! 全戦力を全面に集中! 突入……いや、突撃!」
 号令と共に巨艦が走る。
 それはこの戦いの根源へと、その鉄槌を下すために――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナイ・デス
侵略宇宙人……宇宙怪獣……
過去(オブリビオン)となる前のあなた達は、どうだったのでしょう
人の敵では、あったのでしょうか……だとしても

世界を滅ぼす存在では、なかった筈

『光をここに』

【推力移動】しながら、聖者の光で軍団を【範囲攻撃なぎ払う】
光は鎧も外皮も関係なく、癒す光のような【鎧無視攻撃】で
傷つけはしない。ただ、奇跡を起こしていく
代償は【覚悟、激痛耐性、継戦能力】ヤドリガミの再生力が、宿る聖なる光がそのうちに癒すから、気にしない

宇宙人も、怪獣も。一緒に、戦えませんか……?
敵は、この世界……宇宙を滅ぼそうとする、オブリビオンです

味方化、もしくは第三勢力化させて、防衛隊の負担を減らします



 宇宙空間に白い髪をなびかせながら、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)は猟書家『無間のサイビア』の誇る侵略蔵書『宇宙侵略史』の生み出す亡霊軍団――その軍容たる宇宙怪獣と侵略宇宙人の大群を見やる。
 その瞳にいかなる感情が宿っているのかを知るものは少ない。
 そこにあったのは疑問であった。

「侵略宇宙人……宇宙怪獣……過去、オブリビオンとなる前のあなた達は、どうだったのでしょう。人の敵では、あったのでしょうか……だとしても」
 そう、過去の集積地たる骸の海へと流れ着く、嘗て在りし者たち。
 それはこの世界、スペースシップワールドに確かに生きた存在である。生まれ、死して、生命の輪の中から外れて過去へと向かう。
 滲み出てるが故に過去の化身と呼ばれた幻影と成り果てたとしてても、ナイの瞳は疑問に濡れていた。
「世界を滅ぼす存在では、なかった筈」

 世界を滅ぼすのは過去の化身のみ。
 己の欲望のままに時間を遡ろうとする。
 もしくは怨念によってのみ、世界を諸共破壊しようとする。その理由は様々であろう。
 けれど、彼らは違うのだと思った。
 どれだけ人類と敵対していたとのだとしても滅ぼすべきは相対するものだけであり、世界ではなかったはずだ。
 世界が己を作ったのではなく、己が世界を形作る一因であると知るならば、それは在りないことだ。

 だからこそ、光をここに(リジェネレイト)とナイはつぶやく。
 その瞳が、その髪が、その身体が発する聖なる光。ユーベルコードの輝きは、生者にして聖者の輝きとなって宇宙空間を照らす。
 それは一時的にでも今を生きる者としての心を取り戻させ、強力を願うものであった。
 傷つけられた亡霊たちを癒やす光は、その願いに応えてくれるだろう。
「世界を、救いましょう」
 それは奇跡であったのかも知れない。
 ユーベルコードによって呼び出された亡霊たちに対するカウンター。
 召喚者の意図から離れた行い。
 傷みが襲う。流血がほとばしる。
 どれだけ己の白き輝きが鮮血にまみれようとも、ナイの瞳はかげらない。

 その救いの意志が揺らぐことはない。宿る聖なる光が己の身体を癒やしていく。傷みは一瞬。
 けれど、彼らの心は癒えない。
 だからこそ、ナイはユーベルコードの輝きでもって知らしめるのだ。

「宇宙人も、怪獣も。一緒に、戦えませんか……? 敵は、この世界……宇宙を滅ぼそうとする、オブリビオンです」
 その言葉でもって、その意志でもって、亡霊たちを引き入れる。
 鎧装騎兵たちのプラズマジェットの輝きも止まっている。呆然と見ていたのかも知れない。
 ありえない光景を目の当たりにしていたのかもしれない。

 あれだけ苛烈なる戦いをしていた亡霊たちが止まっている。
 戦場のあちこちでいまだ戦いの火は消えない。
 けれど、それでもこの場においてのみ、戦いの火は潰えたのだ。
「……さあ、行きましょう。死せる者は、次なる者のために」
 鎧装騎兵たちがそうであったように。
 生命を喪ったものが、生命在るものを脅かしてはならない。聖者の行進の如く、ナイは、その光を放つ。

 輝きの浄化されていく亡霊たちが霧散していく中、ナイは見ただろう。
 宇宙空間に輝く光の明滅。
 その光に影を落とす人型を。その姿を、傲慢なる悪意と害意の塊。
 猟書家『無間のサイビア』の姿を――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『無間のサイビア』

POW   :    侵略蔵書『宇宙侵略史』
戦闘用の、自身と同じ強さの【侵略宇宙人軍団 】と【宇宙怪獣軍団】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
SPD   :    スーパー超次元殺法
【短距離テレポートを駆使した近接格闘術 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【超高速連続攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    スーパープラズマ光弾
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【両腕 】から【100,000,000,000℃の光弾】を放つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠九条・救助です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 光が己の体に降り注ぐのを猟書家『無間のサイビア』は感じた。
 手にした侵略蔵書を閉じる。
「ほう、余の居場所を突き止めたか――猟兵と言えど侮るものではないな」
 一度は破られたユーベルコード。
 無尽蔵なる兵力をもたらす侵略蔵書であったが、身動きが取れなくなってしまうのが難点であった。

 だが、強者をあぶり出すことができたことは喜ばしいことであった。
 その重圧が増す。
 これまでは己の力をセーブしていた。傲慢なる振る舞い。だが、それを責める事ができるものはいない。
 何故なら、己が強者であることを知っている。
 あらゆる生命の上位存在であることを自覚している。

 だからこそ、嗤う。
「滑稽だな、猟兵。個の力では余に及ばぬ。だが、それでも余に対峙するか」
 嗤った。
 無駄であると。強者に勝てる弱者など存在しない。
 弱者にあるのは、ただ強者に磨り潰される運命しかなく、搾取される理由しかないのだと。

「この健康なる宇宙こそ、保全しなければならないもの。弱者は必要ない。単身宇宙空間にも適応できない脆弱なる種は滅ぼさなければならない。病原菌を撒き散らすようなものだ、人類などと言う悪辣なる種はな!」
 開放される力は凄まじい重圧となって猟兵たちを襲う。
 これが銀河帝国以前の時代に猛威をふるい、鎧装騎兵の死因の大半を占めるに至った悪意。

「だから、余が滅ぼそうというのだ。喜べ。お前達は権利を得た。余に滅ぼされるという至上なる権利を――!」
 宇宙空間に散財する宇宙船の残骸。
 だが、もはやそこにあったのは隠れてるだけの存在ではない圧倒的な個。
 その力こそが、猟書家にして、恐怖の権化。
 人類の英知の結晶たる鎧装騎兵の機械鎧すらもたやすく貫く力は、今悪意と共に猟兵に向けられるのであった――。
メイスン・ドットハック
揚陸艦ロストリンクを発進したKIYOMORIに搭乗して参戦
オブリビオンマシン形態「清盛」に変形して飛翔形態で対抗
両腕からの超高温光弾に注意しながらこちらに注意を向けさせる
さらにUC「23の雷雲の無限竜を制し者の権能」を発動させて、雷雲の海と共に、帝竜ワーム培養体と分身体を召喚
視界を遮り、それぞれがサイビアの死角から攻撃を敢行する

僕や帝竜ばかりに気を取られて見失っているのかのー? 主役は鎧装騎兵達じゃけー!

さらにこちらに集中させた所で電脳魔術でマーキングしたサイビアに集中砲火させるように鎧装騎兵を誘導する
その前段階として帝竜と培養体はサイビアの光弾を受けて撃破させるようにする

アドリブ絡みOK



 強襲揚陸艦『ロストリンク』から発進したのはメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)の駆る本来であれば二足歩行戦車型キャバリアである『KIYOMORI』であった。
 だが、その姿は帝竜『ワーム』の因子によって覚醒されたオブリビオンマシン形態『清盛』であった。
 オブリビオンマシンは人の心を蝕む。
 どれだけ高潔なる思想や心を持つものであっても、歪めてしまう。
 だからこそ、キャバリアの生まれ故郷であるクロムキャバリアは常に戦乱にまみれている。

 だが、猟兵の駆るオブリビオンマシンは違う。
 意志の力でもって暴走を押さえつけ、己の手足の延長線上のように扱うことができる。
 竜の翼の如き機械翼を広げ、宇宙空間に飛翔する姿を見て、猟書家『無間のサイビア』は溜息と共に哀れみにも似た感情を抱いていた。
「哀れだな。オブリビオンマシン……その姿になっても猟兵に使役されるだけの存在に堕ちたとは。なればこそ、余が滅してくれよう。その無様なる姿を晒すこと無く、消え失せろ」
 放つは百億℃の光弾。
 それは尋常ならざる熱であり、その熱に貫けぬものなどなかった。鎧装騎兵の機械鎧はたやすく溶解し、その着装者を尽く殺してきた。

「はっ! その程度の熱量で僕らが殺せるとでも思う取るのけー! 所謂ダブルドラゴンという奴じゃのー」
 オブリビオンマシン『清盛』のアイセンサーが輝く。
 それはユーベルコードの輝きであり、23の雷雲の無限竜を制し者の権能(インフィニティドラゴン・ワーム)であった。
 雷雲の海が宇宙空間に現出し、帝竜ワーム培養体と分身体が駆ける。
 その姿、その威容は正に宇宙怪獣以上のものであり、放たれた光弾をして漸く息の根を止めることができるほどであった。
「竜種というやつか! 殺し甲斐がある! もっとだ、もっと余を楽しませろ! この程度では終わらぬのだろう! 猟兵!」
 凄まじき速度で戦場となった宇宙を駆け抜ける『無間のサイビア』。

 その哄笑が響き渡る。
 明らかに楽しんでいる。戦いを、殺し合いを。いや、違う。
 己が強者として他者をいたぶることを楽しんでいるのだ。それこそが、傲慢なる悪意の権化である証である。
「そっくりそのまま言葉を返してやるけーのー。そら!」
 帝竜ワームの培養体が再び放たれ、メイスンの駆るオブリビオンマシン『清盛』と共に『無間のサビア』を追いかけ回す。
 凄まじい速度で飛び交う生身の宇宙人。
 その圧倒的な戦闘力は言うまでもなく、確かに『無間のサイビア』は強烈なる個であったことだろう。

 だが、メイスンは知っている。
 あの猟書家が傲慢なる者であると。そして、同時に己の能力に何の疑問も持たず、己が油断しているということすら意識できないものであると。
「僕や帝竜ばかりに気を取られているからのー!」
 帝竜ワームを光弾で討滅している間にメイスンは『清盛』から放った電脳魔術を『無間のサイビア』へとマーキングさせる。
 それは油断仕切っている『無間のサイビア』には気がつけぬ仕掛けであった。
 戦いを楽しみ、他者は己が楽しむための道具に過ぎないと嗤う悪意に、自身が追い詰められているという自覚をしろというのが無理な話であった。

「何を言っている、猟兵。此処には強者しかいない。余とお前達だけ――」
 だが、その表情は誇張ではなく、驚愕に歪む。
 マーキングされた電脳魔術は、ターゲットである『無間のサイビア』を正しくピンポイントで示していた。
 そのマーキングされた情報は言うまでもなく、『ロストリンク』を介して、この宙域に展開していた鎧装騎兵たちへと送られている。

「主役は鎧装騎兵達じゃけー! 見晒せ、人類の英知の結晶! その油断、その傲慢がお前を滅ぼすんじゃけー!」
 次の瞬間、メイスンの電脳魔術が鎧装騎兵たちの装備したアームドフォートの砲撃ターゲットのロックを修正する。
 弾速、弾丸の種類、それら全てを加味し、照準を合わせた。
 放たれた膨大な数の鎧装騎兵の放った砲撃の雨が、『無間のサイビア』の一身にめがけて殺到する。

 それは一糸の乱れ無く放たれる砲撃であり、一撃が『無間のサイビア』を滅ぼすには足りなくても、無数に、それこそ絶え間なく打ち込まれ続ける弾丸が、彼の体を削ぎ落としていく。
「驕れる者久しからず、ってやつじゃけー! 辞世の句でも読む準備しとくんじゃのー」
 そう言ってメイスンは笑った。
 どれだけ強大な力を持っていようとも、その力をたぐる者に傲慢あれば、それは必衰への一歩でしかないのだと、そう知らしめるように笑ったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ファランス・ゲヘナ
【心境】
「クックック……」(呟くようにかすかに笑います)
「フハハハハ」(堪えきれずに笑い出します)
「ハーッハッハッハ!!」(狂ったように高笑いをします)
「今こそ切り札をお見せしよウ(懐からスマフォ取りだし)ア、もしもし鰐ちゃん今すぐ来てくれる?」
新切り札サイキックキャバリアの鰐神丸に乗り込ム。

【行動】
我が『運転』テクニック魅せてくれるワ!!
鎧装騎兵と『集団戦術』で鋒矢の陣でオレが戦闘で特攻
『ダッシュ』『分身』で攻撃を回避しツツ、『力溜め』『魔力溜め』でチャージした轟雷砲を『スナイパー』で射撃スル。

教えてやろウ。この宇宙で真に不必要なのがオブビリオンであるという真実ヲ!!



 猟兵に寄るマーキングによって放たれた鎧装騎兵たちの持つアームドフォートの砲撃は雨のように降り注ぐが、全てを軌道修正されたが故に雨だれの一滴が岩を穿つように猟書家『無間のサイビア』の体を貫くのだ。
「ぐっ……弱者の一撃が、余を穿つ、だと……!?」
 それは己の体に穿たれた鎧装騎兵たちの執念と猟兵の引き寄せた力が見せた意地であった。
 故に『無間のサイビア』は怒り狂う。
 これが強者同士の戦いで生まれた傷跡であるのならば、誇ることさえしよう。
 だが、彼の体をうがったのは、猟兵の一撃ではない。
 鎧装騎兵。彼が弱者とあざ笑った者たちの砲撃である。それが許せない。度し難いことである。ぶるぶると身体が震えていた。怒りで、その身体を包むユーベルコードの輝きが増していく。

「許さぬ――皆殺しだ……」
『無間のサイビア』が何故恐れられたのか。
 それは百億℃にも登る光熱の光弾が脅威だったからではない。彼の真骨頂は短距離テレポートを駆使したスーパー超次元殺法である。
 その踏み込みは距離を超える。
 鎧装騎兵の一人の眼前に飛び込んだ『無間のサイビア』の瞳にはもう油断はなかった。
 弱者が強者同士の戦いに割って入ったのが、許せなかった。
「消えろ……」
 放たれる光弾。
 だが、その一撃は鎧装騎兵を貫ことはなかった。

 既のところで、現れたファランス・ゲヘナ(     ・f03011)によって鎧装騎兵は助けられたのだ。
「クックック……」
 それはつぶやくような微かな笑い声であった。
 その様子に『無間のサイビア』は訝しんだ。目の前の猟兵、ファランスが何故笑っているのか理解できなかったからだ。
「フハハハハ」
 こらえきれないようなファランスの笑い声が、高笑いが宇宙に響く。
「ハーッハッハッハ!!」
 狂ったように高笑いを上げたファランスの手にはスマフォが握られていた。何を、と思った瞬間にファランスは素早くタップを繰り返す。

「今こそ切り札をお見せしよウ。ア、もしもし、鰐ちゃん今すぐ来てくれる?」
 次の瞬間、ファランスの背後に現れたのは、鰐神丸――海賊じみた風貌の機動兵器、キャバリアであった。
 異世界の機動兵器。
 それはすでに初見ではないが、それでも圧倒的な威容を誇っていた。
 手にしているのは強大なる錨型斧銃『イカリマル』。ばさりと外套を翻し、現れた鰐神丸に飛び乗ったファランスが叫ぶ。

「教えてやろウ。この宇宙で真に不必要なのがオブリビオンであるという真実ヲ!!」
「抜かせ! その奇妙な風体の機動兵器! やはりそうか、違うのだな。この世界の理の外にある力をたぐる者!」
 助けた鎧装騎兵と共にファランスは鰐神丸で戦場を駆け抜ける。
 先人を切って駆け抜ける鰐神丸は瞬時にテレポートしてくる『無間のサイビア』の超次元なる戦法を分身と素早い動きで翻弄する。
 鎧装騎兵たちは戦いについていけないが、『無間のサイビア』は、鰐神丸の追撃を振り切ることもできずにぴったりとマークされ続けている。

「時間だけを浪費していると思っているだろウ! だが、こちとらすでに魔力チャージは完了しているのダ! ドド―――ン!!」
 その手にした錨型斧銃『イカリマル』が砲撃形態、轟雷砲(トドロクモノ)へと姿を変える。
 その砲塔にチャージされた力は重力の力である。
 放たれる一撃は狙いすまされ、『無間のサイビア』へと放たれる。

 ほとばしる重力弾の余波で周囲にあったデブリを巻き込みながら、『無間のサイビア』は吹き飛んでいく。
 凄まじい一撃に砲身が保たないが、それでもファランスは鰐神丸と共に『無間のサイビア』をさらなる消耗へと押しやるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
ようやく見つけたわ、“無間の”サイビア。
ヒトはあなたが思うほど弱くない。それを教えてあげる。

また『宇宙侵略史』を開いてきたか。
今度は完全に封じる。
サイビアを中心に、「結界術」「範囲攻撃」「除霊」「破魔」「浄化」を展開。結界内に閉じ込めた侵略宇宙人や宇宙怪獣を消滅させていく。

その隙に、「全力魔法」雷の「属性攻撃」「破魔」「衝撃波」の九天応元雷声普化天尊玉秘宝経を叩き込む。
所詮は過去の亡霊達。これ以上の被害が出る前に片付ける。

結界を維持しつつ、玉秘宝経を連打。上手くいけば、召喚された連中も巻き込めるか。

とにかく最優先は結界の維持。敵群はあたしが抑えるから、鎧装騎兵の皆はあの諸悪の根源を討ち取って!



 鎧装騎兵の砲撃と猟兵に寄る重力弾の一撃は、徐々に猟書家『無間のサイビア』を追い詰め始めていた。
 いや、消耗させはじめていたと言ってもいいだろう。
 ここまで追い詰めてもなお、健在であるのは猟書家という強大なるオブリビオンである証明でもあった。
「……フハハッ! やはり良いな! 強者との戦いは! 心が踊る!」
 まだ嗤っていた。
 戦いに興じるだけの余裕がまだあるのだろう。いや、それ以前に『無間のサイビア』は戦いを楽しんでいる節がある。
 弱者を見下し、唾を吐く。
 強者には一定の敬意にも似た感情を抱きつつも、それ以外は認めようとしない。その傲慢さ、悪意、害意。その全てが他者を滅ぼすだけにしかならぬことを知りながらも、それでも己の欲望のままに振る舞う。

 それが圧倒的強者の特権であるかのように振る舞うのだ。
「ようやく見つけたわ、“無間の”サイビア。ヒトはあなたが思うほど弱くない。それを教えてあげる」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は鉄鉢に乗って飛来し、消耗しはじめた『無間のサイビア』と対峙する。
「ほう。余を前にして未だにそのような戯言をほざくことができるか。人は弱いさ。人類という種は脆弱に過ぎる。それともまだ己がヒトの範疇の中にある者だとでも思っているのか、猟兵?」
 また嗤った。
 あざ笑った。全てを見下し、己と対等なるものを認めない。己以下であると断じ、一切を認めない。
 他者を排斥して、己の立ち位置を繰り上げるが如く、その愚かなる行いを持って、ゆかりと対峙する『無間のサイビア』は再び侵略蔵書『宇宙侵略史』を開く。

 ユーベルコードの力の奔流が亡霊軍団となってゆかりを襲う。
「今度は完全に封じる。この結界術で――!」
 ゆかりの指が軌跡を描く。
 再び亡霊軍団が周囲に展開してしまえば、脅威に晒されるのは消耗激しい鎧装騎兵たちである。
 彼らを喪ってはならない。
 だからこそ、ゆかりは渾身の力を持って結界術によって溢れ出す亡霊軍団たちを破魔の力と浄化の力によって除霊していく。
 閉じ込め、力を込めた結界によって尽くを封じていくのだ。

「上手く行けば巻き込めるか――九天応元雷声普化天尊! 疾っ!」
 放つは、視界を阻害するほどの激烈なる落雷の一撃。
 ゆかりの瞳がユーベルコードに輝く。
 それは破魔の力を込めしものであり、結界の中に閉じ込めた『無間のサイビア』ごと、亡霊軍団を撃滅させる。
 だが、結界術は解くわけにはいかない。
 持てる力のすべてを使って抑えこなければならない。結界の中に打ち込まれ続ける激烈なる落雷の一撃一撃が、亡霊軍団たちを消滅冴えていく。

「―――っ、ぐ! 敵群はあたしが抑えるから――!」
 だから、と言葉を紡ぐのも辛い。
 ユーベルコードの連発。それも特大なる一撃を放ち続けるには、ゆかり自身の体が保たないだろう。
 だが、ここで亡霊軍団を抑え込まなければ、全てが水泡に帰す。

「無駄だ、猟兵。どれだけ弱者に期待したとしても無駄だ。弱者は強者に縋り付くしか能がないのだ。それはもはや生命ではない、ただの寄生体でしかない。そんな者たちのために強者が犠牲になる必要など無い」
 その声は誘惑の声であった。
 弱者を見捨てろと呼ぶ声。強者であるのならば、弱者を切り捨ててこそだと嘯く声であった。

 だが、ゆかりは信じていた。
 誰かのために生命を投げ出す覚悟を持った者たちが、ここで立ち止まるわけがない。終わるわけがない。
 だからこそ、ゆかりは渾身の力を振り絞り、雷撃の一撃で持って『無間のサイビア』の言葉を遮った。
「あの諸悪の根源を討ち取って!」
 その声は悲痛なる叫びのように『無間のサイビア』には聞こえたことだろう。
 だが、それは違う。

 ゆかりはわかっていた。
 その声に応える者たちがいることを。
「無駄だと言った――ッ!?」
 それは鎧装騎兵たちの砲撃であった。アームドフォートから放たれる砲弾の雨。ありったけの砲撃で持って、結界に囚われた『無間のサイビア』を撃ち続ける。
 驚愕に明滅する『無間のサイビア』は何を思っただろう。

 どんな感情にせよ、ゆかりは叫ぶのだ。
 ヒトは弱くないと。圧倒的強者から見れば確かに弱者であったかもしれない。
 けれど、それでも立ち向かう勇気があるからこそ、彼らの命脈は今日に至るまで脈々と途切れることはなかったのだ。
「そう、あなたのように過去にはならなかった――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

メンカル・プルモーサ
(引き続き箒に乗って戦闘)
ふむ…そうだね、個の力では敵わない無駄だ
…その思考こそが…付け入る隙だ、と言ったら笑うかな…?

…自分に向けて放たれる光弾は回避…
…鎧装騎兵たちに向けられる光弾は回避するわけにもいかないので【その符号、わが書中にあり】で防御…
…そして封印したページは鎧装騎兵達に渡して解放用キーワードも教えるよ…
…高速で飛ぶ無間のサイビアに誘導術式を込めた銃弾を複数発射…
…命中したならば弾の中に入っていた術式組紐【アリアドネ】を操作して一時的にサイビアを拘束…
…そこに鎧装騎兵達に頁に封印した光弾を解放して攻撃してもらおう…
…答え合わせ…弱者と無力は別…隙とはそれに気が付かない事だよ…



 激烈なる雷撃が猟書家『無間のサイビア』を撃つ。
 それは宇宙空間に煌めく猟兵たちの戦いの軌跡であった。
 だが、それだけの攻撃を受けてなお、『無間のサイビア』は消耗すれど存在を維持していた。
 恐るべき力。
 その強烈なる個としての力で過去の化身になるまで、どれだけの破壊と暴虐を積み重ねてきたのだろうか。
「ふ、はっ! フハハハッ! やはり楽しい。愉しい。これだから強者との戦いはやめられぬ。わかるだろう、猟兵。これが弱者の介入できぬ戦いだ!」
 楽しげに嗤っている。
 それは生命全てに対する冒涜だった。あらゆる生命を傷つけようとする存在だった。

 故にメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は飛行式箒『リンドブルム』に腰掛けたまま、宇宙空間で『無間のサイビア』と対峙する。
 理解を求める姿は、いっそ哀れだった。
 破壊と闘争を求め、己以下の弱者を認めぬ観念。
「ふむ……そうだね。個の力では敵わない、無駄だ……」
 メンカルは一定の理解を示した。だが、示しただけだ。知とは否定と肯定の繰り返しによって積み重ねられるものだ。
 
 だが、メンカルは笑うでもなく『無間のサイビア』に言い放つ。
「……その思考こそが……付け入る隙だ、と言ったら笑うかな……?」
 思考実験を繰り返す。
 知識の探求を重ねてきた過程があるからこそ、メンカルの瞳に映る世界と、『無間のサイビア』の瞳に映る世界は異なっていた。
「ああ、笑うとも! お前の全てを否定しよう! 喜べ、余の全力を持ってお前の全てを否定する」
 その手に集まるのは百億℃にも到達する光弾。
 メンカルの電子解析型眼鏡『アルゴスの眼』が異常な数値を叩き出す。それが計器の故障などではなく、純然たる『無間のサイビア』の力であることを認めた上で、メンカルは『リンドブルム』の箒の柄を握りしめる。

 此処よりは死地である。
 一瞬でも気を抜けば、あの光弾にかすめでもすれば、それだけで己の肉体は蒸発する。
「楽しませろよ、猟兵! 弱者など放っておけ!」
 放たれる光弾の乱舞。
 それは幾条にも伸びる凄まじき攻撃であった。百億℃に到達する熱量は宇宙空間においても健在であり、これまでも光弾の餌食になった生命の数を伺わせる。
 飛翔する『リンドブルム』とメンカルは躱し続ける。
 メンカルが防戦一方になっているところへ鎧装騎兵たちが駆けつける。

「怯むな! 彼らが来なければ、俺達は死んでいたんだ! 奴を止められる彼らを守れ!」
 鎧装騎兵たちの行動は無意味であった。無駄であった。
 それはメンカルが一番わかっているし、そう言い放った。だが、こうも付け加えた。その思考こそが隙であると。
 だからこそ、メンカルを光弾からかばおうと戦場に介入してきた鎧装騎兵たちは予想外でも在り、同時に予測できたことであった。

 彼らならば、きっとそうするであろうとメンカルはどこかわかっていた。
「魔を掴む書よ、集め、封じよ、汝は封印、収奪。魔女が望むは写して記す封魔の書」
 メンカルの瞳がユーベルコードに輝く。
 彼女を守らんとした鎧装騎兵たちの前に立ちふさがり、目の前に迫る光弾を吸収しつくすユーベルコードにして封魔の書。

「――!? 余のユーベルコードを防御した! 防いだというのか! 面白い!」
『無間のサイビア』は誤解している。
 メンカルのユーベルコードは防いだのではない。ただ、その様子を悟らせなかっただけだ。
 封魔の書を素早くメンカルは鎧装騎兵に手渡す。
「――頼んだよ」
『リンドブルム』で即座に離脱し、メンカルは『無間のサイビア』の注意を己に惹きつける。
 此処からは出たとこ勝負ではない。緻密に紡がれたメンカルの青写真が事を成すかどうかの分水嶺であった。

 メンカルは信じている。
「もっとだ! もっと術策を弄しろ! お前と余の間にある溝を埋めて見せろ!」
 放たれる術式装填銃から放たれる弾丸。
 高速で飛翔する『無間のサイビア』を捉えるには難しい。だが、彼女の瞳は『アルゴスの眼』を通してみていた。
 どれだけ高速で飛翔しようとも、その動きは直線的すぎる。当てるのではなく、弾丸を置けば、そこに自然と突っ込んでくれる。

「――!? この程度の拘束で余を捉えたつもりか!」
 術式が開放され、組紐『アリアドネ』が『無間のサイビア』を拘束する。しかし、それは一瞬の拘束でしかなかった。
「ええ。でも、それで十分……答え合わせ……弱者と無力は別……隙とはそれに気が付かないことだよ」
 メンカルは指先を『無間のサイビア』に向ける。
 ああ、と哀れにも似た感情と共にメンカルは吐息を吐き出す。

 瞬間。

「その符号、我が書中にあり(ユーベルコード・キャプチャード)」
 封魔の書を手にした鎧装騎兵が背後から『無間のサイビア』へと百億℃を超える光弾をこれまで弄んできた生命の代価とばかりに開放し、その身を焼くのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
健康な宇宙の保全……?
何を言っているのかさっぱり分かりませんが、人に関わりのないところでやるのでやれば好きにするといいでしょう。
ですが、人以外の種が人という種を滅ぼそうとするのであれば、生きるために抗わせてもらいます。

100,000,000,000℃……ここまでくるとどれほど熱いのかもよく分かりませんね。
ですが、どれだけの高熱だろうと……この冬の冷気は等しく絶対です。

【大いなる冬】を使用、敵の光弾の高熱を無力化します。
高熱を無力化した後は鳥の形の「氷晶ゴーレム」に乗り、「フィンブルヴェト」を手に飛翔する敵と空中戦を。
【大いなる冬】の冷気で敵が凍り隙ができたところに氷の弾丸を撃ち込みます。



 背後からの強襲。
 それは猟書家『無間のサイビア』にとって予想外のものであった。もっと予想外であったのは、背後から彼の体を焼いたのが己のユーベルコードである百億℃の光弾であったことだった。
 己の身が焦げることなど、これまで死せるまでなかったことであったが、それでも彼は嗤っていた。
 傷みすらも、己の力の強大さ、己の強者足らんことを証明するようなものであったからだ。
「これだからな! 人類とは度し難い。己の力ではなく、他者の力を取り込んでいく。それの何処に強者足り得る証が在る! 取り込み、飲み込み、奪い合う。そんな生命がこの健全なる宇宙を蝕んでいくのだ。生み出さず、浪費していくだけの生命など生命ではない!」

 咆哮した。宇宙に轟く咆哮は怨嗟ではない。ただの純然たる怒りであった。
「健康な宇宙の保全……?」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は訝しむ表情のまま『無間のサイビア』の言葉に理解を示さなかった。
 異世界出身であれど、彼女もまた人類という括りの中に存在を見出すことのできる者であった。
 だが、猟兵である以上、彼女もまた生命の埒外にある者である。
 だからこそ、猟書家『無間のサイビア』は理解されるであろうと言葉を紡いだのだ。

「そうだ。人類などという害悪は、宇宙に飛び散るべきではない。滅べばいい。単体で宇宙空間に生存できぬ生命など、弱者も弱者である。自然の淘汰というのならば、真っ先に淘汰されなければならない存在だろう」
 焼け焦げた身を震わせながら、『無間のサイビア』が吠える。
 ユーベルコードの輝きが身を包み、再び光弾を浮かび上がらせる。その温度は百億℃にも到達している。
 その温度の前にはいかなる装甲も無意味と化す。

 だからこその強者。
 圧倒的な次元の違う強者を前にひれ伏すのが弱者である。だからこそ、『無間のサイビア』は破壊と暴虐をもたらすのだ。
「何を言っているのかさっぱりわかりませんが、人に関わりのないところでやるのであれば、好きにするといいでしょう」
 何も理解しない。
 セルマの価値観と『無間のサイビア』の価値観の相違は決定的なものであった。

「ですが、人以外の種が人という種を滅ぼそうとするのであれば、生きるために抗わせてもらいます」
 セルマの瞳にユーベルコードが輝く。
 相対するは百億℃に到達する光弾。宇宙空間に在りて、その温度を前にしてセルマはおかしいとさえ感じていたt。
 それほどまでの熱量を生み出すのはいいが、そこまでいくと熱いのかもよくわからない。
 だが、此処に在るのはセルマ・エンフィールドである。
 彼女の名を知れ。

 未だ知らぬものがあると知らなければならない。
 例えどれだけの高熱を発しようとも、彼女の前には無意味であると。その瞳に輝くユーベルコードの名は――。
「大いなる冬(フィンブルヴェト)……この冬の冷気は等しく絶対です」
 吹き荒れる凍てつかせる冷気。
 それは戦場にありて炎すらも凍結させる。彼女の前にあって熱を持つものは等しく零に帰される。

 光弾はその冷気に当てられて、彼女に到達する前に消滅していく。
「ばか、な……! プラズマすら停止させる、だと!?」
 驚愕する『無間のサイビア』。彼は見たことがなかっただろう。相対することはなかっただろう。
 己が未だ生命であることを自覚する過去の化身であればこそ、生命の埒外に在る猟兵の操るユーベルコードこそが、己の天敵であると今まさに知ったことだろう。いや、それすらも自覚できていたかもわからない。

 翼を広げた氷晶ゴーレムの背にセルマは乗り、宇宙空間を疾走る。手にしたマスケット銃『フィンブルヴェト』を構える。
 奇しくもユーベルコードの名と同じ名を持つマスケットのスコープに映るのは、己の最大の火力を封じられたオブリビオンにほかならない。
 それでも構わずに打ち出し続ける光弾の尽くを無効化するセルマのユーベルコード。
 その絶大なる力には当然のようにデメリットが存在し、同時に制限時間が儲けられている。時間にして約96秒。
 セルマの絶対的な力は2分にもみたない。
 勝負を決めるのならば、ここしか無いのだ。
「手短に済ませましょう」

「この、余が凍る……!? こんなユーベルコードが……!」
 交錯するセルマと『無間のサイビア』。
 すれ違った瞬間、打ち込まれた氷の弾丸が、その身を貫く。

 これまでもずっとそうだった。
 セルマはあらがってきた。理不尽に。生命を奪われる行いを見てきた。だからこそ、彼女は戦うのだ。
 生命を理不尽に奪わせぬようにと。
 抗うことこそが生きることだと叫ぶように――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジャム・ジアム
サイコキャノンで力を高め続けて

いつも不思議なの
誰だって自分は特別だわ
世界に在る限り、必ず共に生きる相棒だもの
……けど何か軽んじる理由にならない
貴方も、「変なヒト」ね

出遭った猟書家は矜持を感じたけれど
貴方のそれも強さ?
じゃあ「私たち」も全部。

皆と通信維持
軍団を閉じた、余程の力を身の内に戻した筈
受けてはダメ、必ず躱して

翔けて先制
『朱雷枝』の切先を幾重にもして全方位から裂く
敵が熱を放つ瞬間『仄青』発動
全力で躱し
『朱白緞』と蓄えた念動力で動きを阻害、包み込み
余波の被害も抑えたい

熱の光が残る内に 「疾影!」
軌道に回り込み体当たり、同時に機から飛び出し自らの爪で追撃
&敵を蹴って離脱

今よ、皆。――全部込めて



 奪われた熱が急速に猟書家『無間のサイビア』の体を消耗へと追い込んでいく。
 それは猟兵たちの連戦による消耗でもあり、その強烈なる個としての力を削がれている証拠でもあった。
 だが、未だ健在で在れるのは、『無間のサイビア』が強大なオブリビオンであるからこそだ。
「奪われる、だと……! 余の熱が、力が! あってはならないことだ。弱者に味方する者などに、余が……!」
 ぶるぶると『無間のサイビア』の身体が震える。
 怒りに、そして消耗した己の身体に熱を灯すように吠える。新たに生み出された超高温の光弾が宇宙空間に乱舞する。

 全てを破壊する。
 己の絶対的な価値観を覆そうとする者全てを破壊しようとするのだ。
「いつも不思議なの。誰だって自分は特別だわ。世界に在る限り、必ず共に生きる相棒だもの」
 ジャム・ジアム(はりの子・f26053)は腕に取り付けられた増幅器によってサイキックの力を高めていきながら、つぶやいた。
 誰だって特別な存在。
 誰も彼もが違う存在だ。ひとくくりに種として判別しても意味がないことだとジアムは『無間のサイビア』と対峙していた。
「いいや、特別なものか。力なき弱者は存在する理由すらない。戯言をほざくな、猟兵!」

『無間のサイビア』の怒りほとばしる言葉が響く。
 だが、ジアムは一歩も退かなかった。
 どれだけ超高温の、百億℃にも到達する光弾が乱舞していたとしても引く気には成れなかった。
 サイキックキャバリア『疾影』のコクピットの中だからだろうか。
 一人ではないと感じるからであろうか。
「……けど何か軽んじる理由にはならない。貴方も『変なヒト』ね」
 それは『無間のサイビア』にとって戯言でしかなかった。
 どこまでいってもジアムと『無間のサイビア』は違う存在だった。互いにそれが判っている。
 決して相容れぬ存在であると。

 だから滅ぼし合わなければならない。
 亡霊の軍団を呼び出す侵略蔵書を身に宿したということは、よほどの力を未だ持っているということだろう。
 それはこれまで先行した猟兵たちの攻撃を受けてなお、健在であることからわかる。だからこそ、ジアムは『疾影』と鎧装騎兵たちとの間に繋がった通信によって彼らに警告する。
「あれを絶対に受けてはダメ。必ず躱して――」
 宇宙空間に在りてなお、その激烈なる熱量を感じさせる光弾が乱舞する。もう他者を気遣う余裕などなかった。

 ジアムは意を決した。
 同時に『疾影』の中で、そっとコンソールに手を添えた。
「お願い、『疾影』。貴方の力で――」
 みんなを助けて。
 その願いに応えるようにアイセンサーが白き輝きを放ち、凶々しい翼を広げ、光弾を躱していく。
 手にした白銀の大鎌がしなり、光弾とぶつかって切り裂く。
 それだけでは足りない。足りない。
 溜め込んだサイキックを開放し、白銀の刃を幾重にも重ねて全方位から迫る光弾を切り裂く。

「綺麗でしょう?」
 百億℃に達する高温を機体が受けて揺らめく。機体の装甲が焼ける……いや、焼けていない。
 何故なら、今の『疾影』はジアムのユーベルコードの輝きに包まれている。

 それは青き念動の炎を瞳に揺らめかせる戦化粧に彩られたジアムのユーベルコード。
 ――仄青(アンシェヌマン)。
 その輝きは彼女が駆るキャバリア『疾影』の機体を通して世界に現出する。
 揺らめく炎は青く、青く。
 相対する『無間のサイビア』の放つユーベルコードすらも凌駕していく。光弾を躱し、切り裂いた余波すらも包み込む優しきサイキックの輝き。

「余の、ユーベルコード……それを上回るか! だが!」
 機体が軋む。
 圧倒的な熱。それを周囲の鎧装騎兵に及ばせぬために総動員した念動力。その代償がサイキックキャバリアの『疾影』をきしませている。
 だが、それでも。
 どれだけ機体がきしみ、危険な状態に陥ろうとも『疾影』はジアムの願いに応える。
 恐れはないのかと問われたとしても、それは全て喰らい尽くす。恐れは己の心を、足を止めるのではなく、足を踏み出させるための原動力に変える。

 宇宙空間を疾走する『疾影』。
 それは猛禽の如き凄まじき速度で『無間のサイビア』を捉えていた。
 どれだけ高速で飛翔しようとも関係ない。
「疾影!」
 巨躯が『無間のサイビア』を吹き飛ばす。瞬間、コクピットから飛び出すジアムの姿は、渾身のサイキックを纏い、浄化の力をまとった念の巨爪が『無間のサイビア』へと振り下ろされる。
「こんな、ことが! あってたまるものか! お前のようなものが……! 余を上回るなど!」
 放たれる光弾。
 だが、その光弾がジアムを捉えることはなかった。

『疾影』の腕が光弾を防ぐ。ジアムを守り、同時に振り下ろされた巨爪の一撃が『無間のサイビア』を穿つ。
 決して癒えぬ爪痕を刻み込み、しかし、それでもなおジアムは叫ぶ。
「今よ、皆。――全部込めて」
 蹴り飛ばし、受け止めるように『疾影』のコクピットに収まり、彼女は見ただろう。
 彼女の言葉と共に降り注ぐ鎧装騎兵たちの砲撃が見せる爆発の中に飲み込まれる『無間のサイビア』の姿を――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハロ・シエラ
なるほど、この敵……強い。
鎧装騎兵の方々には臨戦態勢で見ていて頂きます。
ここは私が引き受けましょう。
敵にも聞こえる様に宣言して前に出て、一人で挑みます。
テレポートを絡めた敵の格闘術は【第六感】とユーベルコードによって回避するしかありません。
その内にどこかで私の勘が冴えれば【咄嗟の一撃】を放つ事が出来るかも知れません。
それで敵の【体勢を崩す】事が出来れば良いですね。
その瞬間に鎧装騎兵の皆さんに撃って下さいと叫び【だまし討ち】してもらいます。
私は【オーラ防御】で身を守りながら退避しましょう。
敵がどれほどテレポート出来るか分かりませんが、目一杯弾幕を張って貰えればきっと逃がす事はないでしょう。



 猟兵と鎧装騎兵たちによる飽和攻撃の前に爆風の中に消えた猟書家『無間のサイビア』の姿が、再び宇宙空間に舞い戻る。
 それは短距離テレポートによる爆風からの脱出であったが、その体に刻まれた傷跡は言うまでもなく尋常ならざるものばかりであった。
 ここまで消耗させられることなど己にはありえないと思っていたが故に、それは油断として捉えられたことだろう。
「ぐっ……ふ、ハハハッ! まだ余を楽しませるか! 猟兵! だが、余は未だ健在なるぞ! 未だ滅びへの道筋は途絶えていない。あらゆる人類、その種を滅ぼすまで、余は消え失せぬ!」

 その咆哮はビリビリと宇宙空間であっても対峙する者に重圧となって、その身に降りかかる。
「なるほど、この敵……強い」
 爆風の中から舞い戻った『無間のサイビア』を前にしてハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は、その肌に感じる強烈なる個としての重圧を正しく受け止めていた。
 確かに『無間のサイビア』自身が言うようにかのオブリビオンは強敵なのだろう。だが、ハロは退くことはない。
 例え、どれだけ個としての力が圧倒的であったとしても、退くことをする猟兵は一人もいない。

 これまでだってそうだったのだ。
 自身より強大な敵を討ってきた。其の自負がハロにはあったし、何より此処より後にひいては、鎧装騎兵たちや宇宙船に住まう人々の安全など何処にもない。
 だからこ、ここで討たねばならない。
 この敵はそういう敵なのだ。
「ここは私が引き受けましょう……『無間のサイビア』。貴方の相手は私が――!」
 そう宣言する。
 そうすれば、『無間のサイビア』は己を無視できない。それがどんなに危険な行為かをハロ自身がよくわかっていた。

 だが、こんなことはいつものことだ。
 いつだって変わらない。
「ならば、後悔するが良い。弱者に慮った強者など、すでに強者などではない!」
 瞬時に其の姿が消える。
 それこそが、『無間のサイビア』の誇るスーパー超次元殺法である。
 短距離のテレポートを刻み、その動きを捉えさせない多次元的な動きを目で追うことはできない。
 例え追えたとしても、防げるものではないのだ。

 だが、それでもハロはその尽くを躱す。躱し続ける。
 それはまるで何か見えぬものを見て、何かを手繰り寄せているようでもあった。
「何故、躱せる!? わからないはずだ、この動きを、余が現出する場所を! だというのに、何故お前は――!」
 驚愕に歪む『無間のサイビア』の表情。
 それは正に、絶望の福音の如く。ハロはまるで10秒先の未来を見てきたかのようにスーパー超次元殺法から繰り出される必殺の攻撃を躱し続ける。
「ただ必死なだけですよ。ただ、見たままに、必死に躱しているだけです」
 ハロの瞳に輝くのはユーベルコードの輝き。

 その瞳が見据えるのはわずか10秒先の世界。
 だが、その10秒が全ての生死を分かつ。油断はできない。攻撃の軌道を読み、躱し続けていたとしても、いつかは捕まって倒されてしまうだろう。
 ハロの背後には未だ鎧装騎兵たちが控えている。
 彼らを巻き込むわけにはいかない。
「たった、それだけの理由で余の攻撃を躱すなど!」
 それは焦りであった。
 攻撃が通じないことはあれど、全てを躱す敵などいなかった。故に、『無間のサイビア』は焦っていた。
 その焦りは、ハロにとって待ち望んだものであった。

「そこです! その焦りを待っていました! 貴方もやはり、ただ一個の生命……! その焦り!」
 瞬間、とっさの一撃を放ったハロ。
 それはわずかに『無間のサイビア』の体制を崩す程度のものでしかなかった。
 だが、その瞬間こそが値千金のチャンスであった。
「皆さん! 撃ってください!」
 距離が近すぎる、と鎧装騎兵の誰かが叫んだ気がした。ハロと『無間のサイビア』の距離が近すぎて、砲撃を加えようとすれば彼女を巻き込んでしまう。

 だからこそ、彼らはためらった。
 その躊躇いこそが、弱者たる証だと『無間のサイビア』は嗤うだろう。けれど、ハロは笑わない。
 代わりに笑顔で言ったのだ。
 構わないで、と。私ならば大丈夫だと。
「無駄だ、小奴らは弱者。お前のことを気にかけているわけではない。最初の引き金を引いた者になりたくないだけだ」
『無間のサイビア』の声が響く。
 けれど、ハロはそれを無視した。それは詭弁だ。誰だって躊躇する。わかっている。

 それでもハロは信じる。
 彼女が鎧装騎兵を信じたように、鎧装騎兵もまた彼女を信じてくれると。
「誰だって最初の一歩は怖いものです。けれど、彼らは宇宙に飛び出した。必要にやまれず踏み出した一歩かもしれない。けれど、それでも。一歩は一歩です」
 その言葉を紡いだ瞬間、砲撃の雨が降り注ぐ。
 どれだけ『無間のサイビア』がテレポートできるのかわからない。
 けれど、絶え間ない弾幕の如き砲撃に晒されれば、無事ではすまないだろう。
 ハロはオーラの防御を張り巡らせ、砲火の雨から脱出する。

 その先にあったのは鎧装騎兵たちの泣きそうな顔であった。
 無事で良かったと、表情を崩しながらハロは迎えられる。そんなに泣きそうにならないでいいのに、とハロは……けれど、彼らに応えるのであった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

星野・祐一
成程、身体能力や強さで言えばあんたの方が上だ
だけどな、人類はそれに負けない強さがあるんだぜ?

[SPD]
CBBで【威嚇射撃】を展開
【推力移動、ダッシュ】で常に距離を取って敵のUCを誘う(空中戦

テレポート位置を【第六感、読心術あと幸運】で察知
攻撃を【瞬間思考力で見切り】CSを【操縦】して避けつつ
冬雷で強化したCBB【なぎ払い】やPHB【弾幕】を浴びせ(カウンター
これを繰り返す

…さて、そろそろ頃合いか
どうだ体が痺れて動けないだろ?流星のエネルギーを武器に付与してたのさ(マヒ攻撃
知恵と根気と意地…何より恐怖に負けない心こそが人の強さだ!

さあ仕上げだ宇宙船や鎧装騎兵達の総攻撃で往生しやがれ!

アドリブ歓迎



 幾度も鎧装騎兵たちの砲撃に晒された猟書家『無間のサイビア』は、消耗させられ続けていた。
 猟兵たちの戦いはいつだって個ではない。
 強大な力を誇るオブリビオンだからこそ陥りやすい戦場の坩堝。
 例え一人で倒すことができなくて、続く猟兵たちがきっと成してくれる。それを信じているからこそ、渾身の力で持ってユーベルコードを放つのだ。
 あとに続く誰かのためにと力を振り絞って放つユーベルコードはいつだって、強大な敵を穿つ。
「成程、身体能力や強さで言えば、あんたの方が上だ」
 星野・祐一(シルバーアイズ・f17856)はこれまでの戦いで、猟書家『無間のサイビア』が強大なオブリビオンであることを再認識していた。

 個の力では猟兵はオブリビオンに劣る。
 それは純然たる力の差であろう。けれど、その瞳にあるのは諦めではなかった。此処で諦めてしまえば、紡いできた者たち全ての思いが無駄になってしまう。
「弱者のようにさえずるな、猟兵! お前達は強者の価値を著しく貶める。弱さを肯定する。それは摂理に反していると何故理解しない」
 体は焦げ、穿たれた肉体は消耗しきっているはずであろうに、未だに『無間のサイビア』は健在であった。

 その力の、ユーベルコードの輝きは喪われてはいないのだ。
「弱者、弱者か……そんなのただの言葉だ。強者の弁だ。だけどな、人類はそれに負けない強さがあるんだぜ?」
 祐一の駆るキャバリアが機動兵器としての役目を果たす。
 宇宙空間を駆け、『無間のサイビア』のユーベルコード、スーパー超次元殺法を誘う。
 ごく短距離のテレポートを組み合わせた多角的であり、神出鬼没なる移動方法は通常の方法ではまず打ち破れないだろう。
 だからこそ、祐一は正面から向き合う。

「詭弁だ。それこそ弱者が使う手だ。弱さを肯定する強さなど、無意味だ」
 鈍色のキャバリアの周囲に次々とテレポートしてサポートAIであるEsのアシストがあってもなお、祐一を翻弄し続ける。
 第六感、もしくは幸運。
 それが祐一が持てる全てであった。
 ギリギリで躱す。けれど、それも通用しないほどの圧倒的なユーベルコード。
 どれだけ瞬間的に見切ったところで、次の瞬間には敵は姿を消しているのだ。

 こちらの攻撃は当たらない。
 だが、あちらの攻撃は当てられる。

 それはジリジリといたぶられるようなものだった。
「くっ……!」
 だが、祐一は愚直にも繰り返す。
 ユーベルコードによって強化された、冬雷(トウライ)による範囲攻撃をキャバリアの武装から放ち続ける。
 掠めることしかできないほどに『無間のサイビア』のユーベルコードは圧倒的だった。
 瞬間思考があるからこそ、祐一は未だ致命傷を避けられているようなものだった。
 計器がレッドゾーンを知らせ、サポートAIの冷静な声が祐一の心を鎮める。
「焦れば負ける……!」
「だが、無駄だ。力なき者の言葉など聞くに値しない。これで終わりにしよう、猟兵。もはや限界だろう?」
『無間のサイビア』が嗤った。

 それは余裕を見せたつもりかもしれなかったけれど。
 それでも祐一は諦めなかったし、投げ出さなかった。其処に在ったのは意地出逢ったかも知れないし、根気であったかもしれない。
 何より、知恵であった。
 力が足りないのであれば、知識を持って敵を撃つ。創意工夫を持って敵を穿つ。それができるのが人間だ。
「……さて、そろそろ頃合いか」
「何……? まさ、か……!」
「どうだ身体がしびれて動けないだろ? 俺のユーベルコード、そして電撃を付与していたのさ。どれだけ攻撃が当たらなくても、その余波でお前の体は徐々にダメージが蓄積していったのさ」

 それはどれだけの恐怖を伴うものであっただろうか。
 全てが無駄になってしまうかも知れない恐れ。もしかしたのならば、通用しなかったかもしれない戦法。
 けれど、祐一は言ったのだ。
 負けない強さがあるのだと。
「お前は負けたんだよ。お前の言う弱さに、何よりも恐怖に負けない心こそが人の強さだ!」
 掲げるキャバリアの腕が告げる。

 それは合図であった。
 宇宙船に装備された迎撃装備、そして鎧装騎兵たちの砲撃が降り注ぐ。
「さあ仕上げだ! 往生しやがれ――!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギージスレーヴ・メーベルナッハ
嗚呼、愉しいとも。己を絶対的な強者と信じて疑わぬ者を、完膚なきまでに打ち倒す戦はな!

ヤークト・ドラッヘに【騎乗】し、鎧装騎兵隊と共にかの敵との対決に臨むとしよう。
彼我の速度では圧倒的に不利。なれば、敵がその速度を活かせぬ状況を作り出すのみだ。
戦旗を掲げ、黄昏大隊・戦獄凱歌を発動。砲撃によって動きが狭まったところを鎧装騎兵達に攻撃して貰う。余自身も彼らの前へ立ち、ヤークト・ドラッヘの搭載火器(【砲撃】【誘導弾】)にて攻撃を仕掛けてゆく。

人類を弱いと断じたのみで思考を止めたが貴様の敗因よ。その人類が何故ここまで版図を広げ、そして貴様が何故過去へ沈んだか。その意味を考えるべきだったな。



 砲撃の雨が猟書家『無間のサイビア』を襲い続ける。
 一つ一つの砲弾は『無間のサイビア』にとって問題にもならないものであったが、それも何十、何百、何千と重ねられていけば如何に強大なオブリビオンであったとしても消耗させられることに違いはない。
 それに加えて猟兵たちの攻撃もまた加えられているのだ。
 雨垂れの一滴が岩を穿つように。
 無駄だと嗤った『無間のサイビア』にこそ、その一撃の重さを知らしめる。
「尽く余を愚弄するか、猟兵! 強者の戦いを! それを望め! お前達は強者のはずだ! 何故弱者に慮る。頼る。それは強さではない。それは余の求めるところのものではない!」

 苛立っていた。
 それはどうしようもないことであった。強大であるが故に個である存在、猟書家『無間のサイビア』。
 その本質は結局の所、傲慢である。
 他者を弱者と断じること。弱さを否定すること。それは己が生まれたときからの強者であることを自負するからである。
「こんな闘争のどこが愉しいというのだ!」
「嗚呼、愉しいとも。己を絶対的な強者と信じて疑わぬ者を、完膚なきまでに打ち倒す戦はな!」
 ギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)は重機戦闘車『ヤークト・ドラッヘ』の反重力式推進機構を全開にして宇宙空間を突き進み、笑った。

 楽しくて、楽しくて仕方がない。
「さあ進め!撃て!殺せ!屍骸の山を!鮮血の河を!越えて尚征け!黄昏の果てへ!」
 こと戦場において、翻した戦旗は黄昏大隊・戦獄凱歌(アーベントロート・トリウンフ)と共に。
 百億℃にも至る超高熱の光弾の乱舞がどれだけ襲おうとも、進むことはやめない。
 それこそがギージスレーヴのユーベルコード。
 彼我の速度は圧倒的にギージスレーヴの方が不利であった。超高速で飛翔しながら放つ光弾を防ぐ術はない。

 ただ徒にこちらの戦力を消耗させられるだけだ。
 それは『無間のサイビア』もまた理解していることだろう。
「故に、貴様を否定しよう。圧倒的な個が何故破れるのかを教えてやろう!」
 空間を越えて降り注ぐ支援砲撃が高速で飛翔する『無間のサイビア』へと降り注ぐ。
 それは彼の得手である高速戦闘の範囲を狭めるものであった。
 鎧装騎兵たちの砲撃もまた支援としてさらに範囲を狭めていく。仕留められなくてもいい。ただ囲い込めばいい。
 戦場となった宙域は広大すぎる。
 この広大な戦場を自由に行き来されることこそが、ギージスレーヴにとっての痛手であった。

 戦旗が翻る。
 それはギージスレーヴの掲げたものであり、旗手の誉でもあった。
 先人を切る旗手は常に砲火に晒される。
 光弾の乱舞が重機戦闘車を襲う。装甲が融解し、車体が軋む。だが、それでも構わなかった。
 恐れがないのか。
 いや、恐れはあるだろう。どうしようもない恐れが。けれど、生きることをやめない。生存への最善手を常に考え続ける。

 道筋の見えない暗中を歩むように、己の生命だけが灯火となって暗闇に包まれた未来を照らすのだ。
「人類を弱いと断じたのみで思考を止めたが貴様の敗因よ。その人類が何故ここまで版図を広げ、そして貴様が何故過去に沈んだか――」
「ほざけ――! 絶対者たる余が滅ぶはずがない! 失せろ、猟兵!」
 だが、もはや自由には飛べまい。
 砲撃の囲い込みは鎧装騎兵たちの支援によって完成されてる。
 そして、眼前には重機戦闘車の搭載火器から放たれた弾道が、彼を襲う。

「それこそが思考停止。その意味を考えるべきだったな。弛みない最善手に手を伸ばす思考。例え己が死しても次代に繋ぐ楔となろうとすること」
 連綿と紡がれてきた人類の歴史が言っている。
 例え、その手に在る侵略蔵書『宇宙侵略史』が何を伝えようとも、侵略よりも進化していく速度こそが種としての繁栄を約束するのだ。

「一見遠回りの路も――必ず未来に繋がっている。それを知ろうとしなかった、己だけでと嗤った貴様には似合いだろうよ」
 ギージスレーヴの言葉は誘導弾に吹き飛ばされて宇宙空間に舞う『無間のサイビア』には届かなかったことだろう。
 それもまた過去に沈んだオブリビオンの成れの果てであるのならば、致し方のないことである。

 だからこそ、過去の化身こそ世界を壊すものだとギージスレーヴは背を向けるのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナイ・デス
宇宙、保全……サイビアさん、あなたは……あなたも
……あなたに、世界を、彼らを滅ぼさせは、しません

「彫像」達を、召喚
約千体の彼らに……彼らだけでなく、宇宙船の残骸や、星間物質……世界に力を
竜となった彼らに願う

一緒に、戦いましょう

『フロンティア・ライン』

約8000の竜が集い「ダイウルゴス」10mに
【生命力吸収、範囲攻撃鎧無視攻撃のレーザー射撃】光を放って、更に大きく
侵略宇宙人も、宇宙怪獣も、どうか一緒に。世界の滅びは、本来のあなた達が望むことでは、ない筈と
何度も『フロンティア・ライン』を
20m、40m、80mと大きくなり続け
個ではない、無数の力【念動力】を

防衛隊の人たちも、一緒に

【一斉発射】、です



 個としての力が全てを超越するのであれば、圧倒的強者の住まう次元はいかなるものであっただろうか。
 そうすることで宇宙が健全なる姿を保つことができるというのであれば、この銀河にこそ唯一の存在しか残らないはずだ。
 だが、今のスペースシップワールドを見れば分かる。
 生命は単一で存在できない。
 猟書家『無間のサイビア』が言うように強者と弱者がいて、弱者は生命とすら判別されないのであれば、ここまで版図を広げた人類はいかなる存在であろうか。

「弱者は病原菌だ。宇宙を穢す。貪り、搾取するだけで何も生み出さない。劣悪なる種族。人類は滅ぼさなければならない。自己の統一もできない。争うことしかできない生命になんの価値があるのだ。そんな生命が、この宇宙を蝕んでいくことなど許されるはずがない」
 それが『無間のサイビア』の言葉だ。
 弱者こそが淘汰されるべき存在である。ならば、何故、今もなお人類は生き延びているのか。

「宇宙、保全……サイビアさん、あなたは……あなたも……」
 ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)の瞳に宿った感情はいかなるものであったことだろうか。
 憐憫か、それとも共感か。
 そのどちらにしても、ナイと『無間のサイビア』は猟兵とオブリビオンである。滅ぼさなければならない。 
 己の魂が言う。
 目の前のいる者が敵であると。
 己の思想を遂げるためにあらゆるものを犠牲にする。世界すら破壊してしまおうとする。
 それがオブリビオンである。。
「……あなたに、世界を、彼らを滅ぼさせは、しません」
 黒い宝石で作られた『ダイウルゴス』の彫像が宇宙空間に浮かぶ。
 数千体にも及ぶ彫像たちが力を宿す。
 それが竜となった彼ら器。

 器は空だ。
 いつだって空虚なる虚を抱えている。そこに願いを託すからこそ、その器は善にも悪にも成り得るだろう。
 宇宙船の残骸や、星間物質、世界に力を与えるユーベルコード。
 それこそが、文明守護竜(フロンティア・ライン)。

 その名を『ダイウルゴス』。
「は――……余の侵略蔵書を前にして、そう嘯くか」
 開かれるは侵略蔵書『宇宙侵略史』。
 その力は言うまでもないだろう。嘗ての宇宙怪獣や侵略宇宙人たちが再び戦場に舞い戻る。
 その数は無限にして無尽蔵。
 ナイの召喚した『ダイウルゴス』たちが光を放つ。
「侵略宇宙人も、宇宙怪獣も、どうか一緒に。世界の滅びは、本来のあなた達が望むことではな、ない筈」
 ナイの言葉は願いであったことだろう。
 祈りであったかもしれない。

 例え、それが偽りだと謗られようとも構わなかった。
 願いは器に満たされる。
 満たされた器は、本来の役目を全うする。
 文明守護竜(フロンティア・ライン)は集い、膨れ上がってく。個ではない無数の念動力を束ねていく。
 どれだけ無尽蔵なる亡霊たちを呼び出したとしても関係ない。

 願われたのだ。
 どうか誰かのためにと。
 己の生命を賭してでも、誰かのためにと。その願いは美しい。
 他者が誰かのために思うことは、いつだって美しいのだ。純粋とは言えないだろう。生命としての本能をかなぐり捨てた先にあるものが、これであるというのならば、生命としての本質すら喪ったものであるだろう。

「けれど、それでも願う人の心は」
 潰えることはない。
 輝く念動力が宇宙に輝く。
 鎧装騎兵たちの瞳が、その輝きに溢れる。束ねた願いはきっと強大なる個すらも打ち砕くだろう。
「一斉発射、です」
 放たれた念動力は無数の『ダイウルゴス』から放たれ、極大の光となって『無間のサイビア』を穿つのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
(1章で『ガス欠』となった追加装備をパージ、鎧装騎兵達引き連れ)

命を灼き、照らし育む恒星があるように
星無き私達の故郷たる宇宙は苛烈で冷酷ではあれど、ささやかななる存在の生存を許さぬ程に狭量ではありません

それとも、弱者を護れぬ余裕すら無いのですか?

強者こそが宇宙の摂理を定めると嘯くのであれば
その傲慢、弱者を想い護り育む私達の覚悟で打ち砕いて差し上げます

私に続いて突撃、宇宙の護人たる誇りを見せる時です!

センサーでの情報収集で猟書家の位置は把握済み
機械馬に騎乗
三角錐状の陣形で突撃

味方の射撃を先端部分に集中させ一点突破
バリアで先端部分の部隊をかばいつつ機械槍で敵群蹴散らし軍勢に大穴をあけ猟書家を串刺し



 戦機猟兵用重力制御兵装装備型強化ユニットは既にガス欠状態であった。
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)はすでにデッドウェイトにしかならぬ装備をパージし、鎧装騎兵たちと共に戦場となった宙域を駆ける。
 目の前にはすでにボロボロになるまで消耗した猟書家『無間のサイビア』の姿があった。

 これまで圧倒的な個としての力を誇示し、猟兵たちと互角以上の戦いを繰り広げた『無間のサイビア』はむしろ五体満足とは言えぬまでも人型の姿を保っていることこそ驚異的であった。
「来たか……余ほ滅ぼしに。自称弱者たちよ。お前達は強者でもなければ弱者でもない。弱者を装い、なにかに寄生し、搾取するだけの存在だ。お前達はただの病原菌だ。この健全なる宇宙には不要らない存在だ」
 その言葉に一切の揺らぎもなかった。
 開かれる侵略蔵書『宇宙侵略史』。
 それはいわば、人類という病原菌が、宇宙に版図を広げる侵略の歴史でも在った。

 何故、亡霊となった侵略宇宙人や宇宙怪獣が呼び出されるのか。
 それは『滅ぼされた』からに違いない。
 誰にとは言うまでもない。
 人類にだ。
「生命を灼き、照らし育む恒星があるように星無き私達の故郷たる宇宙は苛烈で冷酷であれど、ささやかなる存在の生存を許さぬ程に狭量ではありません」
 トリテレイアは再び呼び出された亡霊の大軍勢を前に機械馬『ロシナンテⅡ』を駆り、巨大なる機械槍を掲げて鎧装騎兵たちを鼓舞する。
「それとも、弱者を護る余裕すら無いのですか?」
「ほざけ。機械風情が。それは弱者側から見た側面に過ぎぬ。守られることを是とするのならば、捧げよ。代償を」
 甘受するばかりの生命など脆弱其の物にして他者の足を引き続け、歩みをどうにか止めさせ、そして己の側へと引きずり込もうとする輩でしかないのだと『無間のサイビア』は吐き捨てた。

「それを傲慢と呼ぶのです。強者こそが宇宙の摂理を定めると嘯くのであれば、その傲慢、弱者を想い護り育む私達の覚悟で打ち砕いて差し上げます!」
 掲げた機械槍を構え、トリテレイアは鎧装騎兵たちと共に突撃する。 
 再び激突する亡霊軍団とトリテレイア、そして鎧装騎兵たち。
 誰もが傷つき、消耗しきっていた。
 誰もが戦いに疲れていた。

 こんなことはもう二度と怒らないでほしいと願っただろう。
 それが弱者の願いだと謗るのならば、それは間違いである。戦いが間違いであると否定はしない。
 戦わなければならない時もあるだろう。
 避けられぬ運命が在るように、戦うしか無いときこそがあるだろう。

「ですが、誰もが戦いを望んでいるわけではないのです」
「ならば、自死せよ。時間の無駄だ。抗うのは何故だ。他者を滅ぼしてでも進む理由とはなんだ!」
 機械馬とともにトリテレイアは亡霊軍団の囲いを突破する。
 鎧装騎兵たちの砲撃が一点に集中したからこそ、破ることのできた囲いだ。アイセンサーが輝く。
 そこにあったのは、まぎれもなく猟書家『無間のサイビア』であった。
 もはや動くことも出来ないであろう。

 すでに数多の猟兵たちが傷を刻み、連綿と紡いできた軌跡がある。
 それを無駄にはしない。できるわけがない。
 誰もが傷つき、誰もが痛みにあえいだ。その結実を今、トリテレイアは己の槍に込めるのだ。
 ロジカルではないとわかっている。
 けれど。それでも。

「次代に繋ぐことができるからです。己ではない誰かを思うことができる。未だ見ぬ紡がれた生命の脈動に思いを馳せることができる。私にも、貴方にもできぬことではありますが」
 だからこそ、それを護ろうと思うのだ。
 騎士として、戦機として。
 例えそれが矛盾を孕んだものであったのだとしても。

 それを護るために存在するのだと己が定めたがゆえに、その道を歩むと、征くと決めたのだ。
「――故に」
 艦船強襲用超大型突撃機械槍(ロケットブースターランス・ウォーマシンカスタム)の一撃が『無間のサイビア』の胴に突き刺さり、その体を霧散させていく。

「故に、私は何度でも護りましょう。弱者を。そして、次なる強者を育みましょう。弱きを見捨てることのない、誰かのために戦える者のために――」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月14日


挿絵イラスト