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ヴァレットドールは眠らない

#アルダワ魔法学園 #猟書家の侵攻 #猟書家 #ドクター・パラケルスス #ミレナリィドール #北方帝国 #スノーウェル

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●星彩まとうサファイア
 アルダワ世界――その大陸北部に位置する『北方帝国』には、鉱山が多数存在する。
 帝国内北側にある宝石鉱の街“スノーウェル”もそうだ。
 雪山の中に存在するスノーウェルも、今や雪と氷で真っ白。
 オイルランプの灯火が街中を照らす中、一等大きな屋敷に着ぶくれ姿の怪しい姿が……。
「あった、これがスノーサファイアのティアラだね」
 影の落とされたティアラには、星彩を帯びた大粒サファイアが輝いている。
 《スターサファイア》と呼ばれるこの鋼玉は、特殊なカットと適量の鉱物が含まれて初めて誕生する希少鉱石。

 ティアラをまじまじ眺めた厚着のオブリビオンは、
「よーし、今回はこれに決定! それじゃあ災魔の卵を……」
 災魔の卵をサファイアに埋め込み、災魔化した宝石は催眠ガスを放出し始めた。
 ガスはスノーウェルを包みこみ、住人達は雪の中で茫然と立ち尽くす。
「こ、れは……一体、なにが」
 ――ただ一人、若きミレナリィドールの召使いを除いて。

●凍りついた街
 正月休みを満喫した李・蘭玲(老巧なる狂拳・f07136)も、仕事をひとつ手にして現れた。
「アルダワ世界の北方帝国北部、スノーウェルにて猟書家の活動を予知しましたよ。災魔化した宝石に催眠ガスを放出させ、催眠状態の住人に機械化手術を施すことが目的のようですねぇ」
 魔導蒸気文明の災魔化――その為に、アルダワ世界へ侵入した猟書家は手段を選ばない。
「猟兵といえど、催眠ガスの影響は避けられません。吸い過ぎれば行動出来なくなりますから、ガス対策はしっかり用意するように頼みますよ」
 だが、雪の降り積もる街で当てもない人探しは難儀なもの。
 なにか手立てはないか、蘭玲はすでに探っていた。
「実はスノーウェルに住む唯一の“ミレナリィドール”が、催眠ガスの影響を受けずに済んでいたのです。今も街のどこかに隠れているでしょう、街に詳しい彼と合流できれば発生源の特定に」
 ミレナリィドールの特徴は《使用人らしき執事服》《10代半ばの少年》だと告げ、蘭玲はスノーウェルの現況についてふれる。
「ここ数日は冷え込みが激しく、街中も氷の霧で視界が非常に悪いです。さらに住民の皆さんが立ち尽くしていますので、衝突事故にはご注意下さいな? ……まあ、猟兵以外に歩き回れる方はミレナリィドールの少年だけです」
 なにか移動した際に痕跡を残しているかも、と蘭玲は呟く。

「野ざらし状態ではスノーウェルの住民も凍死しかねません。ミレナリィドールと早急に合流し、災魔化宝石を見つけ出して下さい。犯人のオブリビオンもきっと宝石の近くにいるでしょうからね」


木乃
 木乃です!
 新年1発目はアルダワ魔法学園の世界からお届けです。
 こちらは全二章構成の幹部シナリオとなります。

『第一章:冒険』
 北方帝国北部の街、スノーウェルに現れた幹部を見つけ出してください。
 街中に身を潜めるミレナリィドールの助力を得られれば、
 災魔化宝石とオブリビオンの発見に大きく近づけるでしょう。

『第二章:ボス戦』
 災魔化宝石を発生させたオブリビオンとの対決です。
 オブリビオンを討伐すると宝石と住民は元に戻ります。

 プレイング受付開始は『1月12日(火)朝8:30~』となります。
 それでは皆様のご参加をお待ちしております!
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第1章 冒険 『氷霧の迷宮』

POW   :    氷霧に耐えながら奥を目指す。

SPD   :    氷霧の薄いところを探しながら奥を目指す。

WIZ   :    氷霧を晴らしながら奥を目指す。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ドールを探して
 降り立った先は濃い霧で包まれていた。
 霧すらも凍らす冷たい街には、茫然と立ち尽くす催眠状態の住民達。
 催眠ガスを吸った住民達の様子は、指示を待つロボットのようであり、糸を垂れ下げたままの操り人形にも見える。
 ……とても不気味な光景だった。

 意識すら氷結してしまうスノーウェルで、唯一動けるのは召使い風のミレナリィドールのみ。
 彼を見つけ出し、助力が得られれば、災魔化宝石となった宝石についても特定できる。
 凍結した路面に注意しながら、猟兵はスノーウェルへと踏みこんだ。
高柳・零
【狐屋】
POW
ふむ、ミレナリィドールだからガスに耐性があったんでしょうか?
勇敢な少年の為にも、早く助けに行きましょう!

「ふっふっふ、世界を渡れる猟兵は、こんな手も使えますよ」
先ずは人数分、SSWの透明宇宙服を用意します。
これでガスと防寒の問題はクリア出来ますから。

「雪の降る中で足跡を見つけるのは困難ではありますが…」
ここの住民達を守る心でUCを発動。少しでも明るくし、向上した能力の見切りで新しい足跡を探してみます。今、動けるのは少年だけのはずですからね。

足跡を見つけたら、それを辿って行きます。
また、少年が何か手掛かりやメッセージを残してないかも気にしてみましょう。

アドリブ歓迎です。


月凪・ハルマ
【狐屋】

無事なのはいいけど、早いとこ見付けないとな
この状況じゃ長くもたないだろ

◆SPD

お、この宇宙服も久しぶり。有難く活用させてもらうか
しかし、例のミレナリィドールさんの分までは流石にないよな
んじゃ彼の分は【ガジェットショータイム】で召喚した
ガスマスクで代用という事で
必要ないかもだけど、まぁ一応

さて、仮に身を隠すにしてもこの状況
それなりに寒さを凌げる場所でないと長居は無理だろうな
それを踏まえた上で、人が移動した痕跡を探してみようか
(【情報収集】【失せ物探し】)

足跡もだけど、建物の扉や窓に雪が積もっていないかも要チェック
もし雪が無ければ、直前に人の出入りがあったって事だからな

※アドリブ・連携歓迎


山梨・玄信
【狐屋】
うーむ、少年が逃げられた理由は少し気になるが…唯一の手掛かりじゃしな。
先ずは探す事が先決じゃ。

【SPDを使用】
わしも宇宙服は有り難く使わせて頂くぞい。
そして、こちらは月凪殿から頂いたUCで赤外線スコープを召喚するのじゃ。
霧があっても人が居れば温度は変わるからのう。
仲間とは有難いものじゃ

他の2人には人が居る場所(おおよそになるが)を伝え、ぶつからないように注意を促すぞい。

少年が隠れそうな場所の候補として、雪洞のようなものが無いかも注意しておくぞい。意外とこういう地方では有効な隠れ場所になるからな。

少年を発見したら猟兵である事を明かし、保護を申し出るぞい。
そして、事情を聞いてみるのじゃ。



「ふっふっふ、世界を渡れる猟兵は、こんな手も使えますよ。気密性と断熱性は太鼓判です!」
 高柳・零(テレビウムのパラディン・f03921)に渡された透明な宇宙服に着替え、【狐屋】の三人は真っ白い街にぐるりと視線を巡らせる。
 目視できるのはランプと建物の影によるわずかな明暗、小雪を降らせる雪雲に陽射しは遮られていた。
「うーむ、ミレナリィドールの少年だけが動けるとは奇っ怪じゃのう」
「ドールだからガスに耐性があったとか、でしょうか?」
 山梨・玄信(3-Eの迷宮主・f06912)が首を傾げ、零もつられて疑問符を飛ばす。
 ――なぜ彼だけ影響を受けなかったのか?
 数歩、先を歩く月凪・ハルマ(天津甕星・f05346)は忘我状態の住民を見やり、
「無事なのはいいけど、早いとこ見つけないとな……この状況じゃ長くもたないだろ」
「じゃな。住民が凍死しては元も子もない……月凪殿から頂いた技、有り難く使わせてもらうぞ」
 ハルマに伝授された《略式・ガジェットショータイム》で、玄信は赤外線スコープを召喚。
 試運転がてら、玄信はスコープ越しに濃霧を覗き見る。
「月凪殿の斜向かいに一人、数メートル先に三人。ガジェットはしっかり機能しておるな」
 位置情報は玄信が捕捉するとして、
「では自分も、雪の降る中で足跡を見つけるのは困難ではありますが……」
 零は住民達を守護する想いを光に変えていく。
 全身を輝かせ、零はミレナリィドールの足跡を探し始めた。

「ここにも隠れられると思ったのじゃが、薪やら食品の貯蔵庫になっておるな」
 越冬するためには貯蔵が重要となる、天然の冷蔵庫にもなる雪穴ならば……と玄信は覗いてみる。
「おや? ……これは」
「なにかあったかのう、零殿」
「これ、誰かが雪に腕を突っ込んだような痕跡に見えませんか?」
 零の指差した先には、積雪に細く深い穴が空いていた。
 その手前にも人一人分の胴体はある溝……できてからまだ時間が経っていないよう。
「慌てて隠れようとしたときに転んだ、とか?」
「その可能性が高いですよね、この近くにいるかもしれません――早く助けに行きましょう!」
 零の号令に頷き返し、ハルマと玄信はあちこちに目を向け、
(「寒すぎても機械は故障することがあるし、ドールっていても寒さの影響は受けるハズだ」)
 氷霧は氷点下30℃以下を下回るほどの、文字どおりの極寒でなければ発生しない。
 身を隠すにしても、寒さを凌げる場所でないと長居はできない――そう推測したハルマは建物沿いに目を向けた。
「――やっぱりそうだ。 玄信さん、零さん、ここだけ雪が積もってない!」
 ドアの上には“食堂”を表す記号の吊り下げ看板。
 隠れ処には不向きでは? 疑問に思いながらハルマは扉を開き、零と玄信も後に続く。

 炭鉱夫の憩いの場である食堂にも、静止した住民達の姿があった。
 暖炉でパチパチと爆ぜる焚き火と、テーブルに並んだ食べかけの食事が日常の余韻を感じさせる。
 蝋人形館じみた光景にヒヤリとさせられながら、玄信は店の奥へ呼びかけを始めた。
「誰かおるじゃろうか? わしらは救援に来た猟兵じゃ、無事な者は返事をしてくれぬか!」
 数秒の間を置いて、カウンターの奥から灰白色の髪が出てきた。
「よかった! こちらにいましたか」
 ミレナリィドールの少年――ジールの身柄を確保し、暖炉の前で状況を尋ねる。
 ここには地下貯蔵庫があると聞いていたので、ジールはそこに隠れていたという。
「老体の奥様に代わって買い出しに来ていたのですが、店を出たら街があのような状態で……奥様の身になにかあれば、旦那様に顔向けが……」
「しかし、催眠ガスで充満しておるのに、お主は影響されておらんな?」
「おそらく“機械人形”だからかと。私は呼吸器を必要としませんので」
 ジール自身の受け答えは明確で、傍から見ていたハルマにも“催眠の影響は出ていない”と断言できた。
 ただ主の安否が気になるのか、ジールは落ち着きなく視線をさ迷わせている。
「ジールさん、この街には珍しい宝石や高価な装飾品がありませんか? その宝石が発生源になった可能性があるんです」
 零の質問にジールはハッと目を見開き、
「……奥様のティアラ。あれに希少なサファイアが使われていて……まさか屋敷に!?」
「ではその屋敷に案内してもらえるか、そこに犯人がいるのじゃ」
 取り乱すジールをなだめつつ、狐屋の三人はジールが仕える屋敷へ急行する――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『アイス・コキュートス』

POW   :    コキュートス・ブリザード
【全てを凍らせる絶対零度の猛吹雪】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    凍止する世界
【全身】から【想像を絶する寒さの冷気と絶対零度のビーム】を放ち、【凍えながらの全身瞬間冷凍】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    スノウ・フリーズ
【対象を凍らせる氷の全身もこもこ着る毛布】【雪で出来た全身を簀巻きにするもふもふ毛布】【対象を閉じ込める絶対零度の檻】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠凍雪・つららです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●寒がリビオンは氷像がお好き
「ふんふん、ふふーん♪」
 鼻唄まじりに、もこもこの人影は歯車仕掛けの車椅子を押す。
 車椅子には催眠ガスで意識を朦朧とさせた、品のよい身なりの老婦人がポツンと座っている。
「街の皆もあのまま氷像にしたいけど、今日はお仕事だからねー。まずは足の悪そうなおばあちゃんで試してみよっかな。また歩けるようになったら嬉しいもんね?」
 災魔化したティアラが保管される部屋に入ると、そこにはとってつけたような氷の扉。
 その扉をくぐると、氷でできた手術台と、手術用の器具が多数並んでいた。

「それじゃあ、早速……」
 老婆をベッドに寝かせようとしたとき、氷の扉が勢いよくはじけ飛ぶ。
「奥様!?」
 猟兵とともに飛びこんできたミレナリィドール、ジールは主人の無事な姿にホッとするが、それも束の間。
「え、え、なんで動けるの? 催眠ガスは出てるハズなんだけどな……」
 驚くオブリビオン“アイス・コキュートス”は目を白黒させ、
「まあいいや、皆凍らせちゃえばいいよね?」
 気を取り直すと戦闘態勢へ――全身から強力な冷気を発し、氷の部屋の室温がさらに下がっていく。  
エグゼ・シナバーローズ
助っ人に来たぞーって寒ッ!
火を起こさねーと…来い、炎!

叫び、『精霊のみちしるべ』で炎属性魔法を敵に向かって射撃
まずはアイツをできるだけ手術台から遠ざけてーな
敵が飛ばしてくる物品も今はできる限り当たるわけにはいかねー
魔力をオーラに転換、疑似バリアにして弾く

手術台から遠ざけたら炎の竜巻のエレメンタル・ファンタジア!
自立で発動するくらいのパワーまでは出して
そこに精霊の道しるべで風属性魔法(酸素)を撃ち込み火力を上げる
動けない人が居る場所で暴走させるわけにはいかねーからな

魔力を全力で使いっぱなしだから
いつかは体が言う事聞かなくなってUCも封じられるだろーが
へへ、たっぷり焼けただろ?
俺の務めは果たしたぜ


高柳・零
【狐屋】
POW
どうせ、歩けるようになる代わりに、あなたの言いなりになるとかいうオチなんでしょう?そうはさせませんよ。

「月凪さん、ありがとうございます。これで守りは盤石です」
先ずはオーラを壁状に張り、退避する月凪さんとジールさんと主人を守ります。
脱出を確認したら、オーラを体に張ります。
猛吹雪はオーラと改造された防具と氷結耐性と激痛耐性で耐えます。そして、攻撃を受けると同時にUCを使い、カウンターのビームを撃ちます!
「さあ、どんどん攻撃して来るといいです。その分、あなたも傷つきますが。どちらが先に倒れるか勝負です!」
これには挑発して自分に攻撃を集める目的もあります。他の2人が動きやすいように…ね。


山梨・玄信
【狐屋】
悪趣味な手術はそこまでじゃ。御婦人は…いや、町全ての人を返してもらうぞ。

【POW】
月凪殿達の退避を支援するため、零殿と合わせてオーラ防御の壁を展開するぞい。退避を確認したら、わしも全身にオーラ防御を張り直すのじゃ。
オーラ防御と氷結耐性と激痛耐性で吹雪に耐えつつ、猟書家に接近するぞい。
通常攻撃は見切りと第六感で躱すのじゃ。

気の放出(範囲攻撃)でダメージを入れつつ、隙が出来たら灰燼拳を叩き込むぞい。なるべく零殿とわしに注意を向けて月凪殿の存在を隠し、止めは任せるのじゃ。


「こちらの事は心配無用じゃ。月凪殿、お2人をお願いするぞ」
「お主、何か忘れておらんか?」

アドリブ歓迎じゃ。


月凪・ハルマ
【狐屋】

…っと。ギリギリだけど、どうやら間に合ったか

◆SPD

予め【防具改造】で狐屋面子の宇宙服+防具、それと
ジールさんの衣服に防寒対策を

あと、ジールさんと御婦人の安全確保も必要だろう
負担掛けて悪いけど、二人をこの部屋から遠ざけるまで
しばらく頼む零君、玄信君。出来るだけすぐ戻る

即座に御婦人を保護、ジールさんと部屋の外へ
ある程度離れた場所まで移動したら御婦人はジールさんに任せ
戦場に復帰

その際は【迷彩】と【忍び足】で【闇に紛れる】様にして、
敵の死角から【目立たない】様に【潜刃・禍ッ牙】を打ち込む

UCの効果が見られたら、自分と二人の武器に
【武器改造】+【属性攻撃】で炎属性を付与
その後は一気に決めにいく



「ギリギリだけど、どうやら間に合ったか」
 諸悪の根源にハルマは鋭い視線を向ける。
「悪趣味な手術はそこまでじゃ。御婦人は……いや、町全ての人を返してもらうぞ」
「ふーんだふーんだ、まだなんにもしてないもーんだ!」
 玄信の言葉に、もこもこオブリビオンは小憎たらしく揚げ足取り。その振る舞いにジールは苦々しく唇を噛み締める。
「……零君、玄信君。できるだけすぐ戻る」
「ありがとうございます、月凪さん」
「こちらの事は心配無用じゃ。お二人をお願いするぞ」
 零と玄信は躍り出ると、オーラの障壁を重ねて展開。
 間合いを詰めてくる小さな人影に、オブリビオンは器用に口角だけを吊り上げた。
「ここはボクのテリトリーだってこと、忘れてないでよね?」
 少女じみた相貌に悪い笑みを浮かべ、周囲に猛吹雪を起こす。
 氷壁の個室を白く染め、氷点下にある室温はさらに低下していく。
「いけない、奥様ッ!!」
「待って、俺が行く。……必ず連れて戻るから、その後のことを頼むよ」
(「……マズいな、ご婦人は防寒着を着ていない……急がないと」)
 今にも飛び出しそうな従者を制止し、吹雪で視界が悪くなった隙にハルマは手術室の奥へ。
 救出を援護するように零は陽動に動き、
「さあ、どんどん攻撃して来るといいです。その分、あなたも傷つきますが」
《ヌギカル・ビーム・カウンター》発動!
「どちらが先に倒れるか勝負です!」
「そんなのどーでもいいし、さっさと凍りついちゃえっ」
 吹雪が続く間、カウンタービームは継続して放たれる。
 玄信も氷結耐性や激痛耐性で備え、さらに接近しながら練気を周囲に放つ。

 全力で迎撃してくる二人に対し、オブリビオンは余裕を崩さない。
「こっちには人質がいるんだよねー? そろそろ肺の中まで凍ってるかもよ!」
 ニシシとイタズラっぽく笑うコキュートス――直後、銃声が鳴り響く。
「助っ人に来たぞー、って寒ッ!」
 愛銃と精霊を引き連れたエグゼ・シナバーローズ(4色使いの転校生・f10628)は極寒に大きく身震い。
 零と玄信のオーラバリアに、エグゼのバリアが加わり、三重の障壁が展開される。
「意識のねーばあさんを利用しようなんて最低なヤツだぜ、っくしゅん!! ……火を起こさねーとやべーな……来い、炎!」
 バリアだけで気温までは防げない。
 暖房代わりにエグゼは精霊銃と炎精ヴァルカンの炎を仕掛けた。
「キャァァァーッッ!? 温まるどころか燃えちゃうでしょコラァ!!」
 燃え盛る魔法弾に『これは堪らん』とコキュートスは慌てて飛び退き。
 陽動される隙に近づくハルマの手が、婦人の細腕を捉える。
「もう少しだけ、ガマンしてくれよ……!」
 小柄な老女を抱きかかえ、ハルマは荒れ狂う雪風の中を引き返していく。
 マイナス200℃を大きく下回る零下の中では、どれだけ丈夫な若者だろうと衰弱死しかねない。
「こらー! 勝手に連れてかないでよ!?」
「無断で連れてきたのはあなたもでしょうが!」
 瞬間冷凍するビームをハルマから遮るように、オーラを纏い直した零が飛びこむ。
 ハルマの防具改造、オーラ、耐性の三重の防護を固めたおかげで宇宙服の氷結は最小限に。
 ――そして、受けた分を反撃の光熱線にして返す!
「か、身体中がかじかんできやがった……けど、ここが踏ん張りどころ」
 寒さに動きが鈍り始めたエグゼだが、老婦人が救助されたとわかり、愛銃にありったけの魔力を注ぎだす。
「――丸焦げにしてやるぜ!!」
 銃口から撃ち放った炎の竜巻《エレメンタル・ファンタジア》へ、続けざまに風精イルスの風を送り込んだ。
 直後、バックドラフトじみた爆炎が起こる。屋内の熱気と外部の冷気を同時に受け、氷壁はミシミシと悲鳴をあげた。

 急激な温度変化に氷の部屋全体に亀裂が走っていく。
「ミャアアァァァァァ!! 熱い寒い熱い寒いー!?」
 しかし、分厚い上着が仇となり火だるま寸前。コキュートスは延焼を避けるべく、再び吹雪を巻き起こす。
 ……隙間に入りこむ寒気に悶絶している辺り、自滅の予兆といえよう。
 ともあれ、後顧の憂いが断たれた今、オーラで守りを固めた玄信も大きく出る。
「丸焼けが嫌なら“外”へ出ることをオススメするのじゃ」
 加減は不要と引き絞った拳に――込めろ、制裁の鉄拳。
《灰燼拳》の直撃にコキュートスは壁を突き破り、脆くなった氷の部屋もことごとく崩壊していく。
 氷の破片は竜巻の勢いで天高く吹き飛び、残るは積雪にめりこんだオブリビオン一匹。
「ブルブルブル、しゃ、しゃむい……けど、これだけの雪……ボクの戦闘力は下がってなんか――」
「お主、何か忘れておらんか?」
「…………いや、いやいやいや! そんなベタな引っかけに騙されるとでも!?」
 玄信は別に引っかけようとした訳ではない。
 だが、気付かなかった時点で勝負は決していた。
「――これで終いだ」
 後方より飛来する手裏剣――放ったのは前線復帰したハルマだった。
 《潜刃・禍ッ牙》はコキュートスの喉元に突き刺さり、雪の上に血の色が散り咲く。
 柔らかな雪の上に倒れこんで、オブリビオンは雪解けの如く喪失。
 時の凍りついた街も、じきに動きだすことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月21日


挿絵イラスト