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要塞マンション~トラップとオブリビオンつき

#デビルキングワールド

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#デビルキングワールド


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「こいつァ、どういうことかのう」
 ガラの悪い牛頭の悪魔が、首をかしげている。
 マンションダンジョン『悪魔と踊りま荘』の大家を務める、その名もオーヤ氏である。
 ここは、管理人室。なぜか畳の部屋。
 オーヤ氏の向かいには、行儀よく座布団に座らされた牛ギャングたち。皆どこかに包帯を巻いている。
「最近おぬしらの滞納取り立て率がガックシ下がっとる。職務怠慢ではないかのう?」
「いやいやいや」
 牛ギャングたちは、揃って首を横に振った。
「最近、なんかめっちゃ強い悪魔が住み付いて、追い返されちまうんすよ」
 牛ギャングたちによれば、それは悪魔ではなく、最近噂のオブリビオンではないかという。
「なら仕方ないのう……なんて言ってられんわ! ワシが直接行ったるわい!」
 オーヤ氏は鼻息荒く、牛ギャングを連れて管理人室を飛び出して……きちんと戸締りした。

「なんじゃこりゃあああ!」
 管理人室から徒歩0分。
 マンションを見上げて、オーヤ氏は驚愕した。
 各部屋が適当にくっつきつつも、雄々しい塔のような外観だった『悪魔と踊りま荘』。
 しかしオーヤ氏も気づかぬうちに、要塞と化していた。
 黒くて丸いバクダン! ロケットランチャー! トゲトゲのついた棍棒!
 塔を彩る様々な凶器のせいで、物騒なクリスマスツリーのようになってしまっている。
「オブリビオンめ、気づかぬうちに何してくれとんじゃア」
「オーヤさん、これ、なんすかね?」
 牛ギャングが、手近にあった謎のレバーを引いた。
「待て、そんなもん前までなかったぞ!」
「え」
 どごぉぉぉぉぉん!!!
 牛ギャングは、丸焦げになって飛んで行った。
「ウシ一郎ーっ!」
 仲間の散華に、牛ギャングが前に踏み出した拍子に、赤いレーザー光線ぽいものにひっかかった。センサーだ!
「え」
 ばこーん!
 床が開いて、牛ギャングが落下した。
 そこには、足がたくさんあるでかい虫が、山ほど放たれていた。
 ヤバい感じで響き渡る悲鳴が、牛ギャングたちとオーヤさんの膝をガクガクさせた。
「ぐぬぬ、こんなに見事に違法リフォームしてくれやがってからに……悪魔的にはちょっとうらやましい!」
 オーヤ氏は、一応、お冠であった。


 デビルキングワールドのご案内ならお任せあれ!
 グリモア猟兵、ニャルラッハ・ロードブラウ(散歩する魔王見習い・f31757)が、猟兵たちに依頼を説明し始めた。
「はい! 今回皆さんに解決してもらいたい案件は、『うちのマンションが勝手に要塞化されちゃった件』っす!」
 突然やってきたオブリビオンが、いつの間にかマンションの家賃滞納者たちを味方につけたという。
 凶暴化した滞納者たちによって、取り立ての牛ギャングは返り討ち。
 しかもあろうことかマンションを要塞にリフォームし、一大殺戮拠点に仕立て上げてしまったのだ。
「大家さんはカンカンっす。そこで皆さんには、この要塞を突破して、滞納者さんたちのところに辿り付いて欲しいっす!」
 塔のようなマンションの各所には、たくさんのトラップが仕掛けられている。
 重量や熱などを感知するセンサーによって起動するその大半が、「爆発が起きるタイプ」と、「謎の虫が出てくるタイプ」に分かれている。
「爆発はともかく、なんで虫なんすかね? もしかして、滞納者さんが虫っぽいんすかね~?」
 事情を知るニャルラッハは、意地の悪い笑顔を浮かべている。
「まっ、うまいことトラップを抜けて、滞納者悪魔さんと、入れ知恵してたオブリビオンを撃破してほしいっす」
 オブリビオンの正体は、それはもう、雄々しきドラゴンらしい。
「どんな奴が出てくるんすかね。でもでも、猟兵の皆さんなら楽勝っすよね?」
 くしし、と笑うニャルラッハ。どうやら、ドラゴンの正体も知っているようだ。
「ほいじゃ、皆さんを『悪魔と踊りま荘』の入り口までご案内~。たくさん悪魔を懲らしめてやってほしいっす!」
 ニャルラッハが、目的地への扉を開く。


七尾マサムネ
 顔は怖くて言動は荒いですが、悪魔の皆さんは善良です。

●一章
 塔型の要塞に無断リフォームされたマンション『悪魔と踊りま荘』を突破します。
 階段や、空中に浮かんだブロックを使って、上へ上へと昇っていきます。
 虫系や爆発系のトラップが仕掛けられているので注意です。
 なお、プレイングでリクエストがあれば、各種トラップをご用意できます。
 ※断章の追加はありません。

●二章
 滞納者の悪魔たちの部屋を訪問します。
 当然のように抵抗してくるので、力で屈服させましょう。根は良い人たちなので、大人しく改心します。
 悪魔はオブリビオンではありませんが、まあまあ強く、変化したマンションの地形に詳しいので厄介です。

●三章
 滞納者たちを率いるオブリビオンとの対決です。
 その正体は、とても強くとても大きいドラゴンだという話ですが、詳細は不明です。

 それでは、皆様のご参加、お待ちしております!
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第1章 冒険 『立体迷宮』

POW   :    段差や奈落の向こう側まで味方をぶん投げる

SPD   :    ジャンプ力もしくは何らかの飛行能力で段差や奈落を越える

WIZ   :    マッピングを行い、迷路の構造を把握する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 先述のとおり、『悪魔と踊りま荘』は、そもそもダンジョンである。
 増改築を繰り返すたび、「こっちのバランスが悪い」とか「今度は反対がでかくなりすぎた」とか調整した結果である。悪魔とは律儀のものなので。
 従って、元からまあまあ迷い路。そこにトラップが加わるともう大変。

「ううっ、進めねえです」
「これだから使いっぱしりはいかんのぅ。どれ、ワシが見本を見せたるわい」
 トラップに阻まれ、心折られた牛ギャングを、オーヤ氏が押しのけた。
 悪魔には心優しいところもあったりするので、「ここは自分にまかせて、みんなは少し休んでて!」と訳することもできる。
 オーヤ氏たちがいるのは内部フロア。
 奥には階段。しかしそこに辿り付くには、細い板状の一本道を進むしかない。
 足を踏み外せば、暗黒の奈落行き。
「フンっ、こんなもん、ちょちょいっと……」
 意外な敏捷性を発揮して、進むオーヤ氏。
「どうじゃい、悪魔は度胸! ……はっ」
 ぴたっ。
 突然オーヤ氏の足が止まった。
 道の先に、一匹の魔界ムカデがいたからだ。
 UDCアースのムカデを基準にすると、少し大きい程度だが、虫の脅威はサイズではない。
「ひぃぃ、虫は嫌いィィィィ」
 オーヤ氏が回れ右した瞬間、足を踏み外した。
「オーヤさぁぁぁぁぁん!!!」

 このあと、牛ギャングたちによってオーヤ氏は無事救出された。
黒影・兵庫
へっ!だらしねぇなぁ!悪魔の管理人がムカデさんごときで逃げ出すなんてよぉ!
(「黒影!ここは虫のエキスパートとしてカッコいいとこ見せつけちゃいましょう!」と頭の中の教導虫が話しかける)
あたぼうよ!俺ぐらいになると虫も含めて『動物と話す』ことだって出来るんだぜぇ!
見てな!スマートに解決してやるぜ!
おぅおぅ!ムカデさんよぉ!命が惜しけりゃとっとと道を開けな!
...あん?...て、テメェ!それを言ったら戦争だろうが!
もう謝ったって許さねぇ!
『衝撃波』でぶっ飛びやがれ!
(「ちょっと!マンションが壊れちゃうわよ!?」)
問題ねぇ!無料リフォームだ!ついでに風通しも良くしてやんよ!



 牛ギャングたちによって、担架で運ばれていくオーヤ氏。
 目の前を通りすぎるそれを見送って、黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)は、不敵に笑った。
「へっ! だらしねぇなぁ! 悪魔の管理人がムカデさんごときで逃げ出すなんてよぉ!」
 すると、頭の中の教導虫が、兵庫を励ました。
(「黒影! ここは虫のエキスパートとしてカッコいいとこ見せつけちゃいましょう!」)
「あたぼうよ! 俺ぐらいになると虫も含めて『動物と話す』ことだって出来るんだぜぇ!」
 自信たっぷり。
 そんな大口をたたく兵庫に、牛ギャングたちは、怒りを向ける……のではなく。
「頼んます!」
「自分たちの代わりに取り立て成功させてください!」
 …天下手に出た。
「おう、見てな! スマートに解決してやるぜ!」
 頼まれれば悪い気はしないもの。
 さっそく兵庫は、行く手に待ち構える魔界ムカデにガンを飛ばした。
「おぅおぅ! ムカデさんよぉ! 命が惜しけりゃとっとと道を開けな!」
 しかしムカデは、兵庫をからかうようにダンスを披露した。
 コミカルだが、人によっては生理的嫌悪感を覚えそうな多足ダンスだ。
「命が惜しいのはそっちダロ」
「……あん?」
 魔界ムカデが喋った。
 さすがデビルキングワールド。一般悪魔がユーベルコードを使えるように、野生(?)の虫でさえコザカシイらしい。
「この見掛け倒しの根性ナシ。さっさとおうちに帰ってママとお風呂に入ってナ」
「……て、テメェ! それを言ったら戦争だろうが!」
 兵庫がキレた。それはもう、わかりやすく。
(「落ち着きなさい黒影! これは相手の挑発です!」)
 教導虫が諫めるが、今の兵庫は聞く耳持たない。
「もう謝ったって許さねぇ! こいつでぶっ飛びやがれ!」
 感情に任せて兵庫が気を溜めると、一気に放出した。
「グギャーッ」
 これにはたまらず、魔界ムカデは一瞬にして吹き飛んだ。
 ただし、壁に大きな穴を開けながら。
「あ」
 牛ギャングたち、口あんぐり。
 教導虫が、慌てて兵庫を諫める。
(「ちょっと! こんなんじゃマンションが壊れちゃうわよ!?」)
「問題ねぇ! 無料リフォームだ! ついでに風通しも良くしてやんよ!」
 そして兵庫は進む。
 『悪魔と踊りま荘』を、更なる新たな姿に造り変えながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

ポップ・パックドロップス
はわわ…怪盗ポップのデビュー戦が取り立てだなんて
でも千里の道も一歩から。
賃貸はショバ代を徴収されるものですっ
怪盗ポップ&ドール(ただのからくり人形)華麗に参上です!

ゆ、床が出たり消えたりしてます…
アクションゲームでよく見るアレです、ポップでも知ってますっ
こういうときは出るタイミングを見計らって…ピョン・ピョン・
ピョンですっ

あ、でもポップ思い出しました
絶対避けられない場所に地雷を仕掛ければ確実に爆死させられるって…ということは、対岸に地雷があるかも!?
ほ、本当は嫌だけど…ドールちゃん、先に着地して爆発させてー!!

ごめんね、こんなお願いしちゃって…(半泣き
次はもっと上手くできるように頑張るからね?



 高く、高く。
 ポップ・パックドロップス(ブギーモンスターの魔界盗賊・f31374)は、目の前にそびえたつリアル・タワーマンションを見上げて、ちょっぴりびくびくしていた。
「はわわ……怪盗ポップのデビュー戦が取り立てだなんて」
 だが、ポップへ向けられる牛ギャングの眼差しには、期待がこもっているようだ。
 待望の協力者、現る。というわけらしい。
「でも千里の道も一歩から。賃貸はショバ代を徴収されるものですっ。怪盗ポップ&ドール、華麗に参上です!」
「おー!」
「頑張れー!」
 牛ギャングたちの声援を受け、ポップは果敢に挑んだ。

 しゅんしゅん。
「ゆ、床が出たり消えたりしてます……」
 マンション内部に入り込んだポップを待っていたのは、分かり易いトラップだった。
 不意打ち型ではないが、かといって難易度が低いわけではない。
「アクションゲームでよく見るアレです、ポップでも知ってますっ」
 先行していた牛ギャングたちも、既に挑戦済みだったらしい。ぼろぼろになった仲間を引き上げている。
 失敗すれば、自分にも同じ末路が待っている。しかしポップは、覚悟を決めた。
「こういうときは出るタイミングを見計らって……ピョン・ピョン・ピョンですっ」
 思い切りが大切。リズムよく、床を跳んでいくポップ。
 この調子なら、この階層もあっさりクリアできるだろう……。
 だが、ポップは思い出した。『絶対避けられない場所に地雷を仕掛ければ確実に爆死させられる』ということを……。
「もしかして」
 ポップは、床を渡り切った先、すなわち、対岸の床に視線を送った。
 何もない。
 何もないが、それは何もしかけられていないという事と同義ではない。
「下に地雷があるかも!?」
 恐ろしい想像だが、無いとは言い切れない。
 迷った挙句ポップは、断腸の思いで、決断を下した。
「ほ、本当は嫌だけど……ドールちゃん、先に着地して爆発させてー!!」
 からくり人形が、先行する。
 すとっ。
 どごぉぉぉぉぉん!!
 派手な爆音ともに、ドールちゃんが吹き飛んだ。
 慌てて駆け寄ったポップが、役目を果たしたその体を受け止める。半泣きで。
「ごめんね、こんなお願いしちゃって……次はもっと上手くできるように頑張るからね?」
 悲しみを胸に。
 ポップは、更なる上層を目指すのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アユーブ・ムイ
 さて、記念すべき猟兵としての最初のミッションだ。
 
 体術使いで、忍者修行も囓っていてね、身のこなしにはそれなりに自信があるんだ。
 駄目押しで降魔化身法も駆使して、
「ジャンプ力もしくは何らかの飛行能力で段差や奈落を越える(SPD)」にチャレンジしようか。
 落っこちそうになったら、得物のトンファーを縁に引っ掛けて凌いだりしてさ。

 とはいえ俺は駆け出しだ。罠なんかを解除する方法があるなら、自分の身は顧みずに積極的にトライしていくとするか。
 三章に出てくるドラゴンなんかは、俺の手には余りそうだしな。
美味しいところは先輩方に任せて、俺はここ(一章)に全力を尽くすとしよう。



 アユーブ・ムイ(人間のヴィジランテ・f31794)、記念すべき猟兵としてのファーストミッションは、要塞化したダンジョンマンションへのアタックとなった。
 元々の増改築、そこに来てオブリビオンや滞納悪魔による要塞化。
 もはや複雑怪奇というほかないデザインとなったマンションへ、アユーブは果敢に挑んだ。

 アユーブが見上げた塔、壁に内部へ続く扉を見つけた。
 ただし、そこに至るまでの階段がない。あるのは、壁の凹凸くらい。
 しかしアユーブは、体術使い。加えて、忍者修行も多少かじっている。身のこなしには自信がある。
 ボルダリングの要領で上方へとひょいひょいと進んだアユーブは、とりあえずのゴールである扉へと体を滑り込ませた。

 塔の内部は、空洞だった。奈落とも言う。
 次のフロアへ続く階段は、これを跳び越えた向こう側にある。
 ならば、これを突破するよりほかない。アユーブは、これも試練と割り切って、奈落との対決に臨んだ。
 アユーブは、壁をつたって、階段が設置された向こう岸を目指す。
 妖怪に悪鬼、幽鬼の力までもその身に借りて、弧を描いた壁を、軽快に渡り歩いていく。
「爆発とか虫のトラップがあるらしいけど、ただの奈落にそんなもの仕掛ける余地はないような。……おっと」
 着地した途端、足が滑った。ミスとも言えない誤差の範囲内だったが。
 ちょうど、届くか届かないかのところに、壁のでっぱりがある。
 アユーブはほとんど無意識に、手にしたトンファーをひっかけ、くるりと身を回して落下を逃れようと……。
「!」
 寸前で、アユーブは直感した。
「こいつは罠だ」
 わざわざ奈落を用意したのなら、突破できないよう、壁にもとっかかりなどない方がいい。にも関わらず、ご丁寧に用意されているというのなら……。
 幸い、壁にはわずかな亀裂があった。アユーブは、それにつま先を差し込んで足掛かりとすると、でっぱりから逃れた。
 すると。
 どぉおおおおん!
 アユーブが通過した直後、でっぱりが爆発した。
「危ないとこだったな」
 爆風の余波にぼさぼさの髪を撫でられながら、アユーブは一息ついた。
 この先のドラゴンが本当に強敵だとしたら、お役に立てるかわからない。
 その分トラップを踏破して、道を切り開くのが自分の役目だと、アユーブは、心に決めていたのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メナオン・グレイダスト
・SPD

うむ、この集合住宅も見事な迷宮だ。
灰色の魔王による迷宮攻略を始めよう。

複雑な構造に加え、仕掛けられた厄介な罠。迷宮はこうでなくてはな。
多少の高低差や床抜け等の罠は、外套を翼に変じて飛ぶことにより対処可能と判断。
破壊を伴うものや、邪魔者には…【グレイダスト・ギフト】を行使することで対応。
自身を強化することで爆発などのダメージを軽減、あるいは瞬時に察知することでの回避を試みる。
邪魔者が出てくれば…グレイダスト・ギフトを与え、それを介することで肉体を一時的に支配する。

邪魔をするどころか我輩の先を進ませ、罠の有無を確認させて道を拓かせる。
罠があれば? 勿論、犠牲になってもらおう。

※共闘など歓迎



 メナオン・グレイダスト(流離う灰色の魔王・f31514)は、現在進行形で要塞化が続く『悪魔と踊りま荘』を臨んでいた。
「うむ、この集合住宅も見事な迷宮だ。では、灰色の魔王による迷宮攻略を始めよう」
 メナオンをまず出迎えたのは、シンプルに複雑な構造だった。
 高低差のあるフロアを抜けて、平坦な廊下が現れたと思えば、床が抜ける。が、翼に変じた外套が、メナオンを安全地帯へと送り届ける。
 トラップにつぐトラップ。油断も隙もない。
 けれど、メナオンは、むしろ上機嫌だ。
「迷宮はこうでなくてはな」

 そんなメナオンを次に待ち受けていたのは、床一面に、色の異なるパネルが配置されたフロアだった。
 これは、パネルを順序正しく踏んでいかなければ、爆破か落下がお見舞いされるという寸法であろう。
 規則性などなく、どう進んでも爆破するのでは? 刹那、脳裏をかすめたその考えを、メナオンは即座に否定した。
「悪魔というのは、律儀な存在だ。罠を仕掛けるからには、それを解くための方法もしかと用意しているはず」
 結論から言えば、メナオンの推測は正しかった。
 メナオンは、数度のトライ&エラーの末、法則を看破した。
 エラー、というからには、数度の爆破に見舞われた。
 だが、メナオンは自身をナノマシン・インプラントで覆う事により、爆発の熱と衝撃をしのぎ切ったのである。
 挑戦を繰り返すうち、直前に察知する事さえ可能になったので、爆破を食らったのは、最初だけであった。

 メナオンが螺旋階段を上った先には、新たな刺客が待っていた。
 魔界ムカデだ。
 大家のオーヤ氏を襲ったものとは違う個体のようで、かなりの巨体でもって、通路を塞いでいる。
「邪魔者か。ならば、我輩が祝福を授けよう」
「!?」
 メナオンが手を掲げると、魔界ムカデにグレイダスト・ギフトが与えられた。
 肉体を強化と同時に支配された魔界ムカデは、くるりと回れ右。
 メナオンの水先案内人となって、索敵と罠探知をさせられる羽目になった。
「ムカムカ」
「む、どうした」
 魔界ムカデが、何か訴えるように振り返った瞬間。
 壁の左右から顔を出したガトリングガンが、魔界ムカデに弾丸を浴びせかけた。
「ギャーッ!!」
「危ない所であった」
 銃撃がやんだところで、メナオンは、すたすたと進んでいく。
 魔王らしい、涼しい顔を作って。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『ブギーキャンサー』

POW   :    キャンサー・パレード
【蟹脚を蠢かせながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他のブギーキャンサー】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    フィアー・キャンサー
【知恵の布】を脱ぎ、【おぞましき巨大魔蟹】に変身する。武器「【長く伸び敵を切り刻む巨大蟹の鋏】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。
WIZ   :    キャンサー・カース
攻撃が命中した対象に【蟹型の痣】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【呪詛】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちの助けを得て、牛ギャングとオーヤ氏(復活した)は、居住区画へとたどりついた。
 どんどんどん!
 オーヤ氏(包帯ぐるぐる巻き)が、ドアを荒々しくノックする。
「おう、いるのはわかっとるんだ! いい加減滞納しとる家賃払わんかい!」
 すると。
 がちゃり。ロックが外れる音がした。
「出てきよったか。勝手にマンション改造してくれおって。それも滞納分に上乗へぶっ」
 突然開いたドアにオーヤ氏が弾き飛ばされて、反対側の壁にめりこんだ。
 かさかさかさっ!
 中から飛び出したのは、知恵の布を被ったブギーモンスター。ブギーキャンサーだ。
 愛らしいデザインの布の下からは、沢山の足……蟹足がのぞいている。見ようによっては、虫のようでもある。
 すると、次々隣室の扉も開いて、他のブギーキャンサーたちも現れる。
「払うもんかガニ」
「滞納こそ悪の道だガニ」」
 たくさんのブギーキャンサーに、圧倒される牛ギャングたち。
「ぶ、物理でくるつもりなら、こっちも黙っちゃいないぜ」
 棒や銃のようなものを取り出す牛ギャングたち。
 だが、ブギーキャンサーたちは逃げ出した!
「ま、待てー!」
 追いかける牛ギャングたち。
 しかし、要塞化されたマンションの地理には、ブギーキャンサーたちの方が詳しい。
 迷路を使って牛ギャングを撒きつつ、隠し通路から飛び出しての奇襲。
 更には、各所に取り付けられた爆発系トラップや虫トラップが、牛ギャングを返り討ちにする。
 逃走行為自体が、ブギーキャンサーの罠だったのだ。
 家賃不払いこそ正しい悪と信じるブギーキャンサーたち……彼らからきっちり取り立てられるのは、もはや猟兵しかいないのだ!
ポップ・パックドロップス
こ、ここはオーヤさんのシマですよっ
他人のシマで、しかもシノギを妨げるとは…中々やりますね
家賃怪盗ポップ&ドール、徴収開始ですっ

登場は怪盗の見せ場…高笑いしつつ現れます
怪盗ポップ&ドール、滞納家賃を頂きに推参したよ!(段ボール箱に乗って

押してダメなら引き倒すだけですっ
迷路内の丁字路に段ボールとかゴミ袋とか置いて塞いじゃうよ☆
しばし待ち伏せしていればカニさん達はどけようとするでしょう…
そうしたら強襲開始、ドールちゃんのバレエで蹴散らすとようかな!
優雅に華麗に、豪快に! ふわっと跳躍してから片脚立ちで大・回・転!

ポップも予告状を投げて相手の知恵の布を破きつつ、落ちたお財布をUCで回収&納金ですよっ



 マンション内を縦横無尽に逃げ回るブギーキャンサー……家賃滞納者たちを、ポップ・パックドロップスが追いかけていた。
「ここはオーヤさんのシマですよっ。他人のシマで、しかもシノギを妨げるとは、中々やりますね」
 弱気を見せていられない。家賃怪盗ポップ&ドール、徴収開始だ!

「はーっはっはっ!」
 突如、フロアに響く高笑いが、ブギーキャンサーたちの足を止めた。
「な、何ものガニ」
「姿を見せるガニ」
 おろおろ。
 笑い声におののき、周囲を見回すブギーキャンサーの前に、スポットライトを浴びた影が現れた。
「怪盗ポップ&ドール、滞納家賃を頂きに推参したよ!」
 ばばーん!
 シルクハットのポップとドールが、華麗に参上した。
 ……段ボール箱に乗って。
「怪盗!? でも、家賃は払わんガニ!」
 かささっ。再び逃走するキャンサーたち。
「おっと、牛ギャングからは逃れられても、怪盗からは逃げられないよ☆」
 押してダメなら、引き倒すだけ。
 キャンサーが進行する先、丁字路が待っている。どちらに行けばいいかは、キャンサーたちも熟知している。
 ポップを罠にはめようと、右側に曲がった瞬間。
「ガニっ」
 ぼふん!
 キャンサーの体を、何かが受け止めた。
 よく見れば、それは、ゴミ袋。しかも、滞納者たちが籠城中にためこんだゴミがたんまり詰められている奴だ。
「早く進むガニ」
「押すなガニ」
 わちゃわちゃ。
 先頭のキャンサーがまごまごしている間に、他のキャンサーたちが長蛇の列をなす。
 蟹だまりのできたところに、ポップが強襲を仕掛けた。
「ガニーっ!?」
 キャンサーたちが宙を舞う。
 その中心には、バレエを披露するドールの姿があった。
 優雅に華麗に、豪快に! ふわっと跳躍、片脚立ちで大・回・転!
「撤退、撤退ガニ!」
 難を逃れたキャンサーの知恵の布を、予告状が切り裂いた。
「わわ、被り物が~……って、あれ? 財布がないガニ!?」
「ふっふっふ、お探しのものはこれかな?」
 しゅしゅっ。
 ポップは、自分の手もとに転移させた財布を、得意げに振って見せた。
「おのれ~」
 怒りに燃えるキャンサーは、残りの布を脱ぎ捨て、巨大蟹の本性を露わにして……。
 ……が。
「徴収されたら観念するガニ」
 根は善良な悪魔。
 最後は大人しくお金を払うのが彼らの流儀だったので、ポップは内心安堵したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

純・ハイト(サポート)
勝つ事を考えて、自身を含めて全てを駒として考えて手段を択ばずに、使える物全て使って任務に参加して戦う。
エレメンタル・ファンタジアはトラウマはあるが、トラウマよりも敵は全て殲滅と考えているために問題無しに使える。
主にユーベルコードの力で軍隊を操り戦闘を指揮して戦うが、他のユーベルコードが有利に動くならそっちを優先して使う。



 純・ハイト(数の召喚と大魔法を使うフェアリー・f05649)は、ダンジョン化・武装化を施された『悪魔と踊りま荘』内部を浮遊・進軍していた。
 作戦目的はもちろん、家賃滞納悪魔……ブギーキャンサーたちの取り立てである。
「そちらがマンションの地理を生かして抵抗するというのなら、こちらは数で対抗するまで」
 ハイトが率いるのは、精霊軍とフェアリー軍の兵隊。
 いずれも精鋭。未開の敵地を制圧するにしても、申し分のない練度を持つ戦士たちだ。
 加えて、個々がハイト同様小型であるため、立体的な迷路と化したマンション内でも、スムーズな進軍を可能にした。
「頼もしい!」
「やってくれ!」
 家賃取り立てに失敗した牛悪魔のギャングたちが、ハイトの出陣を見送った。
 が、ブギーキャンサーたちもの家賃滞納という悪事を貫くべく、抵抗を続けた。
 侵攻してくる兵に対し、いかんなくトラップを発動。
 落とし穴に地雷。時には生理的嫌悪感を呼び起こす虫攻めを行い、ハイトの攻略隊に抵抗する。
 しかし、精鋭の名は伊達ではない。不意打ちなどで送還されながらも、戦力を保ったままで、ブギーキャンサーたちを追いつめていく。
「こいつは強いガニ」
「大悪魔、いや、魔王級では?」
 先頭に立ち、マンションを我が領土の如く征圧していくハイトの姿は、キャンサーたちにとって大いに恐れられるものとなった。
「アイツがボスガニ」
「なら、アイツを倒せば、他の連中は有象無象ガニ」
 意外と頭が回るらしい。
 キャンサーたちは、呪印の力を発動すると、物陰からハイトを狙い撃った。
「これで防衛戦は、こっちの勝ちガニ!」
 が。
 敵の狙撃は、ハイトに読まれていた。
 正確には、斥候として放っていた兵が、危機を報せたのである。
 蟹型の呪印が刻まれたのは、ハイトの胸ではなく、通路の壁。
 そうとは知らず発動させた呪詛が、通路を侵食する。
 ……トラップのたんまり仕込まれた通路を。
「ギャーッ!!」
 キャンサーのいた床が爆発した。
 更に、爆弾は、連鎖的に誘爆。ハイトの軍ではなく、自分たちを巻き込んで被害をもたらした。
「さあ、家賃を払うのだ」
「降参ガニ」
 自分の被っていた布を白旗代わりに振ると、キャンサーたちは、ハイトに家賃を手渡していったのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ガーネット・グレイローズ(サポート)
『見せてみろ、お前のユーベルコードを』
 ダンピールの女猟兵。冒険商人×サイキッカーです。
 グリードオーシャンとスペースシップワールドで会社を経営。広い視野で物事を考察し、物事の本質を見抜く洞察力を備えています。

戦闘では二刀流による高速攻撃、念動力によるワイヤー操作、超能力による衝撃波や自然発火など、様々な能力を使いこなします。宇宙出身で、メカ操作も得意。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)は、静かに、かつ淡々と家賃滞納者たちを追いつめていた。
 重量に反応する爆破トラップ。
 熱に反応する爆破トラップ。
 そして、呼気に反応して天井から降り注ぐ、魔界限定虫の群れ。
 しかしガーネットは、苦も無く、トラップの数々をくぐり抜けていく。
 イデア覚醒……神通力とも呼べる力が、ガーネットに降りかかる災難を全て見通していたのだ。
「こいつはモノホンの取り立て屋ガニ」
 物陰から様子をうかがっていた家賃滞納者たち……すなわちブギーキャンサーたちが、おののいていた。
 粛々とダンジョンマンションを踏破していくガーネットを見て。
「さあ、大人しく家賃を払え。そうすれば身の安全は保障しよう」
 ガーネットは言った。
 特に悪魔に恨みがあるわけではないし、家賃さえ払えば(常識の範囲内で)自由に生活してもらって構わないわけだし。
 けれど、ガーネットの訴えは受け入れられなかった。悪魔には、悪事を働くと言う信念があったからである。
「トラップが効かないなら、力に訴えるしかないガニ」
 ばっ、と知恵の布を脱ぎ去るキャンサーたち。
 つぎはぎだらけながらファンシーだった外見をとっぱらうと、中から現れたのは、魔界蟹。無骨で禍々しい、おそろしき蟹であった。
「なら、こちらも実力で排除させてもらって構わないということだな?」
 ガーネットは、伸びて来た鋏をかわすと、宙返り。
 しかしその時には、背後から飛び込んできたキャンサーが!
「もらったガニ……なっ!!」
 堅牢な甲殻に、幾筋もの線が刻み込まれた。
 ガーネットが張り巡らせていたスラッシュストリングスにかかったのだ。
「宇宙怪獣さえ切り裂く糸だ、蟹の甲羅くらい造作もない」
 すぱぱっ、と甲羅が切り裂かれ、蟹身が露わになっていく。
 数と地の利で圧倒するはずだったキャンサーたちの目論見は、あっさりと崩された。
 ガーネットの活躍により、キャンサーたちは相次いで無力化され、白旗を上げていく。
「さあ、観念することだ」
「うっ……」
 ガーネットの眼光を浴び、すくみ上がるキャンサー。
「……参りました、ガニ」
 すっ。
 ガーネットに、封筒が差し出された。
 中身をあらためさせてもらうと、魔界通貨が入っていた。過不足なく。
 悪魔とは真面目なものだな。ガーネットは改めてそう思ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

クリュウ・リヴィエ(サポート)
記憶喪失のダンピールだよ。
名前も年齢も本当かどうか、僕にも判らない。
ま、気にしてないけどね。

自分の過去は判らなくても、色々考えるのは好きだよ。
他人の行動とか状況とかに違和感があると、それに何か意味がないのか考えちゃうよね。
まあ、それで僕が有利になるかどうかは別問題だけど。

あとは食べることも好き。
食わず嫌いはしないし、残さないよ。

戦うときは、突っ込んで力任せに殴り掛かることが多いかな。
一応、剣も魔法も使えるんだけど、結局シンプルなのが性に合うね。



 ダンジョンマンションから、要塞へ更なる増築を加えられた『悪魔と踊りま荘』。
 クリュウ・リヴィエ(よろず呑み・f03518)は、滞納家賃を取り立てられまいとマンション内を抵抗しながら逃げるブギーキャンサーたちを追跡していた。
「鬼さんこちら、ガニ」
「ダンピールだよ」
 かさかさ。
 逃げの一手だったはずのキャンサーが、不意にひょこっ、と曲がり角から顔を出した。
 ファンシーでちょっぴり不気味な布の下から、甲殻類の足を振って見せる。
「ふうん、これはどういうことかな」
 クリュウは、いぶかしんだ。
 逃走の意志がある者が、意味なく挑発などしないものだ。
 そもそも、このダンジョンマンション要塞モードには、色々トラップが仕掛けられているらしい。
 ならば、これは誘いだ。トラップへとクリュウを導く、敵の罠。
 鬼が出るか蛇が出るか。この世界なら、十中八九、出てくるのは悪魔だろうが。
「逃げるなら追い詰めるだけだよ」
 クリュウは、あえて、キャンサーの元に駆けだした。
 表情の変わるはずのない布の顔、それがニヤリと笑ったように見えた。
 次の瞬間。
 キャンサーが後ろに跳ぶと同時、四方八方の壁から、ガトリングガンが顔を出した。
「ファイヤーガニ!」
 どがららららっ!!
 仕込んであったガトリングガンの群れが、一斉に弾丸を射出した。
 巧妙な配置で、ガン同士が相打ちにならないよう設置されているという狡猾さだ。
「……どうだガニ?」
「やったガニ?」
 弾丸の掃射が止んだ頃、クリュウの様子を確かめに、キャンサーたちが姿を現す。
「これだけの弾丸、絶対タダじゃすまないガニ」
「そっちがね」
 がしっ。
 キャンサーの頭を、クリュウがつかんだ。
「そんなはずないガニ、無事だなんて」
「怪しいのはわかってたからね。準備させてもらったんだよ」
 平然と微笑むクリュウの体は、三重連の魔力によって守られていた。
 炎と水、風が織りなす守りが、ガトリングガンの洗礼から、クリュウを守り切ったというわけだ。
「さあ、家賃、払ってくれるかな。でないと……」
 魔力で硬質になった拳を固めてみせるクリュウに、
 キャンサーたちは……土下座した。
「参りましたガニ」
「どうぞ、お納めくださいガニ」
 すすっ。
 クリュウに差し出されたのは、滞納家賃入りの封筒であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒影・兵庫
へっ中々の悪じゃねぇか!取り立てがいがあるってもんよ!
(「先に言っとくけどやり過ぎNGだからね?」と頭の教導虫がくぎを刺す)
わぁかってるって!今度は冷静に!かっこよく!決めるから安心しな!
(「心配だなー」)
へっへっへっいくら罠を仕掛けようがこの方たちには無駄なのさ!
(UC【蠢く霊】を発動すると黒影の周りに羽虫の亡霊が出現する)
さぁ強襲兵の皆さん!家賃を払うまで住民を噛み続けてください!
(「なるほど、幽霊なら罠なんて関係ないものね!やるじゃない!」)
なぁっはっはっはー!
このままオブリビオンもぶっ飛ばしてやるぜ!
(黒影が一歩進むと罠が発動して逆さづりになる)
ぬぁー!
(「やれやれ...」)



 グラサン姿の黒影・兵庫は、複雑すぎる螺旋階段を、ブギーキャンサーを追いかけ駆け上っていた。
「へっ中々の悪じゃねぇか! 取り立てがいがあるってもんよ!」
(「先に言っとくけどやり過ぎNGだからね?」)
 教導虫が、頭の中から釘を刺す。
「わぁかってるって! 今度は冷静に! かっこよく! 決めるから安心しな!」
(「心配だなー」)
 兵庫に言う事を聞いてほしいという期待半分、多分聞いてくれないだろうなという諦め半分、といったところであろうか。
 地雷に落とし穴、そこに迷路の重ね掛け。シンプルなものも組み合わされて、要塞の名に恥じない侵入者排除システムとなる。
 が、兵庫の足取りから、みなぎる取り立て魂しか溢れていない。
 キャンサーたちはいぶかしむ。
「なんでそんなに迷いがないガニ」
「へっへっへっいくら罠を仕掛けようがこの方たちには無駄なのさ!」
 兵庫は、亡霊たちを呼び出した。それは羽虫、強襲兵の霊体だ。
「さぁ強襲兵の皆さん! 家賃を払うまで住民を噛み続けてください!」
 虫には虫。
 兵庫の頼みを受け、亡霊たちは、キャンサーたちに襲い掛かった。
 不可視となって、知恵の布ごとキャンサーを噛み砕き。
 あるいはキャンサーの甲殻を無視して、本質のみを牙で切り裂いていく。
 一方で、亡霊たちに襲いかかるトラップは、全く通じていない。
(「なるほど、幽霊なら罠なんて関係ないものね! やるじゃない!」)
 教導虫に褒めちぎられ、兵庫はわかりやすく踏ん反りかえった。
 悪魔のプライドにかけて、キャンサーたちも呪詛の印を刻んで反撃するが、羽虫の牙は、それさえも噛みちぎって無力化した。
 兵庫の軍団は、圧倒的優勢で、キャンサーたちを追いつめていく。
(「待って黒影、何か振ってるわ」)
 ひらひら。
 教導虫の指摘通り、キャンサーたちは、自分の被った布を白旗のように振って、降参を示していた。
「ま、参りましたガニ」
 すすっ、と、封筒を兵庫に預ける。家賃入りだ。
 オーヤ氏に確認しなければいけないが、結構な額が入っていたので、多分ちゃんと満額だろう。
「なぁっはっはっはー! 見てるか牛ギャングどもー! このままオブリビオンもぶっ飛ばしてやるぜ!」
 ぽちっ。
 意気揚々、兵庫が一歩進んだ途端、トラップ発動!
「ぬぁー!」
(「やれやれ……」)
 決めのタイミングで逆さづりになった兵庫に、教導虫は溜め息をこぼしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『エクリプス・ドラゴン』

POW   :    光を奪われたらどうなるか教えてやろう
全身を【敵の肉体を蝕む闇】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【負傷】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
SPD   :    我が属性は闇だけではないぞ
自身が【周囲の光を吸収して】いる間、レベルm半径内の対象全てに【翼から放出された無数の光線】によるダメージか【角から放出された癒しの光線】による治癒を与え続ける。
WIZ   :    我が前に出て部下はサポートに回る、適材適所だ
レベル×1体の【眷属の竜】を召喚する。[眷属の竜]は【光と闇】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はサフィリア・ラズワルドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちの取り立て活動によって、滞納分の家賃はきっちり回収された。
 しかし、まだ問題は残っている。
 悪魔たちを先導し、『悪魔と踊りま荘』を要塞化せんと企んだ黒幕。すなわち、オブリビオンである。

 猟兵に道を切り開いてもらった牛ギャングたちとオーヤ氏(しぶとい)が、黒幕の元にたどりついた。
 塔型マンションの最上階。展望台も兼ねたそのフロアに、1つの影があったのだ。
「お前がうちの住民を扇動しおった奴だな! 始末はきっちりつけてもらわんとなあ!?」
「ふふふ、よくぞ我が配下の悪魔たちを退けた。褒めてやろう」
 影は、ほとばしる威圧とともに、正体を現す。
「しかしここからは我が相手だ。光を喰らい、闇を創る、我こそが天地を統べる偉大なるドラゴン。存分にこの世界を蝕んでくれよう……このエクリプス・ドラゴンが!」
 オブリビオンの正体、それは、神々しき竜であった!

 ……ただし、小さい。

「あ、『思ってたより小さいなコイツ』って思っただろ! 不遜であるぞ!」
「思わんわい! なあ?」
 オーヤ氏が振り返ると、牛ギャングたちは視線を逸らした。
「お前ら……!」
「ええい、そなたら、覚悟せよ!」
 小さなドラゴンは、大いに吠えた。
 小さなドラゴンは、小さな両腕を掲げた。
 小さなドラゴンは……。
「ば、馬鹿にするでない! このようなマンション程度、指一本で破壊できるのだからな!? ホントだぞ!?」
 泣きそうになるのを堪えていた。必死で。
ベイメリア・ミハイロフ
ちらりと立ち寄ってみますれば…
これはこれは、かわいらしいドラゴンさんでいらっしゃいますね
…はっ、そのように申し上げてはいけないのでございましょうか
これはこれは、雄々しいドラゴンさんでいらっしゃいます…!

しかしながら、建物を勝手に改築なさってしまわれるのはいかがなものかと
ましてや折角お建てになったものを
指一本で破壊されてしまわれては、困ってしまいます
…こちらの世界的には、良い事なのでございましょうか?

オーヤさまをオーラ防御にてかばい、お守りしつつ
お城や街を建設する隙を与えぬよう、早業・先制攻撃からの全力魔法にて
眷属の皆さまのお邪魔を致します
可能であれば範囲攻撃にて、ドラゴン本体も狙って参りますね



 ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)は、雄々しく立つドラゴンを見下ろし……もとい、見つめた。
「これはこれは、かわいらしいドラゴンさんでいらっしゃいますね……はっ」
 エクリプス・ドラゴンの眉がぴくんと動いたことを、ベイメリアの視覚は、しかととらえていた。
 なので、こほん、と咳払い。
「これはこれは、雄々しいドラゴンさんでいらっしゃいます……!」
「うむ、大義である」
 とりあえず、機嫌は直ったらしい。
 しかし、今回の一件の本質は、そこではない。
「建物を勝手に改築なさってしまわれるのはいかがなものかと」
「なんであると?」
「ましてや折角お建てになったものを指一本で破壊されてしまわれては、困ってしまいます……いえ、こちらの世界的には、良い事なのでございましょうか?」
 ちらっ。
 後方のオーヤ氏たちをうかがうベイメリア。
「考えてみりゃ、強引な取り立てなんかよりもでかい悪事だよな、コレ」
「一度は派手な悪いコト、やってみてえなあ……」
 無論、怒りはあるが、立派な悪事を働いているという点に関しては、羨んでいるようにも見える。
「……この世界の悪魔とは、なんとも複雑な存在なようですね」
「さあ、覚悟は良いか!? 我が前に立ったことを後悔するがいい!」
 エクリプス・ドラゴンの咆哮が、眷属の竜たちを呼び出した。
 光と闇が混ざり合ったその力は、主人譲り。
「ゆくぞ、皆の者。破壊と再生をこの世界にもたらすのだ!」
 先陣を切ったのは、エクリプス・ドラゴン自身であった。
 小さき体で、ベイメリアたちの滅殺に取り掛かる。『たち』とはすなわち、オーヤ氏たちも含めて、である。
「ひえーっ、ご勘弁をっ!?」
 狙われたオーヤ氏をかばったのは、ベイメリアである。
 オーラで敵の爪撃をガードしつつ、後方から飛びかかって来た眷属たちを、全力の魔法で吹き飛ばした。
 敵が光と闇の力を操るのに対し、ベイメリアの放つ裁きの矢は、炎水土氷雷光闇毒……あらゆる属性を網羅している。
 主が率先して前線に出ている間に、要塞化を進めようとする眷属たちもいたが、ベイメリアは追加建造を許さない。
 矢の雨が、建築途中の城ごと、眷属たちを貫いた。
「おお、我が眷属たちよ……!」
「部下を慮るのはよい上司の証ですが、戦いの最中に余所見はいけません」
 眷属に駆け寄ろうとするドラゴンへも、ベイメリアは矢を浴びせかけた。
 心を鬼にして。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒影・兵庫
(「あらかわいい。でも油断しちゃだめよ。黒影。相手はオブリビオンなんだから」と頭の中の教導虫が話しかける)
戦い辛れぇ敵だなぁ!
だがまぁ逆さ吊りにされたお返しはしないとな!
(『オーラ防御』で身を護りながら『念動力』で操作した{錨虫}で敵が召喚した竜を『捕縛』し『衝撃波』を叩きつける)
小せぇのがさらに小せぇのを呼んでんじゃねぇ!
小さい姿で油断させて巨大な真の姿になるのがボスってもんだろうが!
俺が手本を見せてやるよ!
(UC【完全変態】を発動し真の姿に変身する)
どうよ!恐れ入ったか!
じゃあこれは勉強代だ!受け取りな!
(敵に向かって『ダッシュ』し目の前でジャンプした後、翅を震わせながら飛び蹴りを放つ)



 要塞マンションに、主の如く君臨するエクリプス・ドラゴン。
 敵のボスと対峙する黒影・兵庫に、頭の中の教導虫が話しかけた。
(「あらかわいい。でも油断しちゃだめよ。黒影。相手はオブリビオンなんだから」)
「わかってらぁ! けど戦い辛れぇ敵だなぁ!」
 思いのほか小さく愛らしい外見に、兵庫も戸惑い気味だ。
 とはいえ、エクリプス・ドラゴンには、逆さ吊りにされた怨みがある。
「お返しはしないとな!」
「その意気や良し! こちらも全力で滅びを提供せねばな!」
 がぉっ!!
 ドラゴンが吠えると、床に魔法陣が描かれ、眷属の竜たちが出現した。
「ゆくぞ! 我に続け!」
 ドラゴンを筆頭に、一斉に襲い掛かる眷属たち。
 兵庫も、オーラで身を包み、敵群に跳びかかっていく。
 眷属達も、小さくとも鋭い牙や爪で、兵庫を切り裂こうとする。
 自分に意識が向いたところで、兵庫は、くいっ、と指を動かした。
 すると、敵の背後から、操った『錨虫』が迫る。捕縛される眷属たち。
 動きが止まればこちらのもの。兵庫は、衝撃波を叩きつけた。
「小せぇのがさらに小せぇのを呼んでんじゃねぇ! 小さい姿で油断させて巨大な真の姿になるのがボスってもんだろうが!」
「う、ぐぐ……!」
 兵庫の主張に、エクリプス・ドラゴンは悔し気に唸った。
「それが出来るならば苦労せぬわ!」
「なんだそうか。なら俺が手本を見せてやるよ!」
 兵庫が、腕を胸の前でクロスさせた。
 その体が蛹となり、瞬時に羽化、真なる姿を現す!
「そ、その姿は……!」
「どうよ! 恐れ入ったか!」
 一対の触覚が、得意げに動く。
 髪が伸び、背には翅。立派な完全変態である。
「じゃあこれは勉強代だ! 受け取りな!」
 ダッシュする真・兵庫の気迫に、おののくエクリプス・ドラゴン。
 それでも眷属たちを傷付けまいと、兵庫を迎え撃とうとする。
「姿は変えられずとも、我にはこの眷属たちがついておる!」
 が、兵庫は、ドラゴンの眼前で大ジャンプ。
 翅を震わせ、飛び蹴りを繰り出した。
 キックを受け止めようとしたエクリプス・ドラゴンは、その小柄ごと……ついでにマンション増築中の眷属たちも巻き込んで……壁に激突した。
「ぐわーッ!!」
「見たか! このマンションは返してもらうからな!」
(「ああっ、また壁が!? でも違法な増築部分だから……」)
 セーフよね。
 教導虫は、そういう事にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ポップ・パックドロップス
他人のシマで悪さするなら、カチコミかけられる覚悟はありますね?
それに買収するなら金を積め、なのです!
ポップ&ドール、カチコミ開始ですっ

光を吸収する攻撃、あれがとっても厄介ですよね
ここは先に攻撃させて、UCでドールちゃんにカウンター攻撃してもらいますっ
相手がビックリしてる隙に、段ボール箱をえいっと被せて《詰め込み》しちゃいます!
そうしたら光を吸収できなくなりますよね、フフフ。

段ボールでジタバタしている間にドールちゃんに《全力魔法》弾をバンバン撃ってもらうですっ

建物だって所有権を盗むまでは地主のモノ!
不法占拠より所有権を奪うほうがずっと悪どいですっ
地上げして丸ごと奪おうと思わなかったんですか!?



 すっ。
 エクリプス・ドラゴンの頭上に、ポップ・パックドロップスの影が落ちた。
 違法リフォーム用の建材を拝借したお立ち台の上で、ポーズを決めているポップがいた。
「他人のシマで悪さするなら、カチコミかけられる覚悟はありますね? それに買収するなら金を積め、なのです!」
 ずいっ。
 怪盗らしく、スタイリッシュに、ワルかっこよく迫るポップ。
 ドラゴンは、たじっ、と一歩引いた。
「身長差で我を威圧せんとするか。か、肩腹痛いわ!」
「しゃらっぷ! 建物だって所有権を盗むまでは地主のモノ! 不法占拠より所有権を奪うほうがずっと悪どいですっ。地上げして丸ごと奪おうと思わなかったんですか!?」
「ぐ、ぐう……」
 悪行ぶりにまで踏み込まれては、エクリプス・ドラゴンもたじたじである。
「あ、悪に正道なし! ゆえに、我が方法を以て支配を強要するのである!」
 苦し紛れの反論を試みたエクリプス・ドラゴンの体が、輝き始めた。
 天井にて煌めくシャンデリア。そこから降り注ぐ光を、吸収しているのだ。
「なるほど、マンションを改造したのは自分が有利になるように、という訳ですねっ」
「左様! さあ受けよ、我が裁きの光条を!」
 かッ!
 エクリプス・ドラゴンの小翼から、激しい光輝が発せられた。
 一本一本は、細く小さな光線。だが、それが無数となれば、もはや弾幕。
 縦横無尽に駆け巡る光に照らされる展望台……しかし、ドラゴンの前に、立ちはだかる影1つ。
「頼んだよっ、ドールちゃん!」
 ポップに応え、ドールちゃんは……ただその場に立ち尽くすのみだった。
「抵抗を諦め、我に恭順するつもりであるか……なにっ!?」
 エクリプス・ドラゴンが目を見開いた。
 自分が発した光線が、ドールちゃんに吸い込まれて行ったからだ。
 驚くドラゴン。これこそ、ポップが欲していた隙である。
「えいっ」
「!?」
 ドラゴンの視界が奪われた。ポップが段ボール箱をかぶせ、しっかり詰め込みしたのである。
 どたんばたん。
 箱の中でじたばたするドラゴン。
「だ、出すのだ、これでは光が得られぬではないか~!」
「フフフ」
 その通り。
 ポップの狙いは、視界を奪う事ではなく、光を遮断することこそが主眼。
 ポップが、動く箱を押さえている間に。
 ドールちゃんは、先ほど吸収した光線を全身から解放し、逆襲した。
 そして、ダメ押し。
 全力の魔法弾で、ドラゴンを撃つのであった。ビシバシと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叢雲・凪(サポート)
人間のミュータントヒーロー×ゴッドハンド、
ヒーロー名【ジンライ・フォックス】

まずはその世界の住人・猟兵仲間に挨拶をしよう…。
礼儀は大事。年上の人や先輩にはちゃんとしないとね。
『どうも ジンライ・フォックスです』(お辞儀しつつ)

基本的な戦い方は【リミッター解除】を使ってからの【ダッシュ】+【残像】+【夜天九尾】を使った電光石火の接近で敵との距離を詰め畳み掛けよう。相手が強力な単体ボスなら一気に攻撃を仕掛ける。

※黒雷で生成されたマフラーを解いて夜天九尾発動。尻尾1本につき10秒 合計90秒間の間超高速で動ける。90秒で決着をつける。並みの動体視力では対応できないはずだ。

『天誅・・・』



 身体は小さく、態度は大きく。
 マンションダンジョン『悪魔と踊りま荘』を要塞化した元凶オブリビオン、エクリプス・ドラゴン。
 大家のオーヤ氏たちが手をこまねいている中、戦力として参上したのは、叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)であった。
「どうも ジンライ・フォックスです」
「これはご丁寧にどうも」
 お辞儀する、黒狐面の凪。
 オーヤ氏や、牛悪魔のギャングたちも、揃ってお辞儀。悪魔とは、基本的にマジメなので。
 一方、エクリプス・ドラゴンはというと。
「ふむ、挨拶は大事であるな」
 ちょっと偉そうではあるが、こくりと頷いた。
「では失礼」
 凪が、電光と化した。
 肉体に施されたリミッターを意識的に解放すると、ドラゴンへ向け疾走したのである。
「むうっ、姿が見えぬ! だが、我の司る光もまた捉えられぬ!」
 カッ!
 ドラゴンは、天井にてさん然と光輝を放つシャンデリアの光を浴び、その身に取り込んだ。
 そして、自らの翼を発射装置として、多数の光線を放ったのである。
 凪はおろか、建物すらもあまねく破壊せんと、上方より降り注ぐ光線の雨。
 だが、光がいかに速くとも、操るのはエクリプス・ドラゴン。その動体視力に依存せざるを得ない。
 実際、光の雨が貫くのは、凪の残像ばかり。
 敵との距離を詰めた凪の首を、マフラーとして彩っていた黒雷が、全身に迸る。
九方に手を伸ばした雷は、九つの尾となった。
 1つにつき10秒間、凪を超高速の領域へと導く。すなわち、束ねれば90秒。それだけあれば、十分だろう。エクリプス・ドラゴンを打ち倒すには。
「そちらが電光石火ならば、こちらは光の速さである!」
 光を吸収し続ける限り、ドラゴンの光線はやまない。
 ならば。
 凪は積み上げられたダンボールを見つけると、それを足場として跳躍。
 天井の高みへと到達、光源たるシャンデリアを雷にて破砕した。
「なななっ」
 数えきれぬほどの光の破片となって降り注ぐ元・シャンデリアに、ドラゴンは動揺を隠せない。
 そのわずかな精神の揺らぎも、凪にとっては十分な時間。
 天井を蹴って加速しつつ落下、その間に、手甲に力を蓄えて。
 エクリプス・ドラゴンへと、まさに雷の如く降り注ぐ。
「天誅……」
 90秒にいささか余裕を残して。
 凪の技は、ドラゴンの身を焼却したのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

メナオン・グレイダスト
・WIZ

出遅れてしまったが、相応の働きはしたいものだな…。

何、案ずるな。存在の偉大さは肉体の大小に拠るものではない。
お前も――我輩もな。

外套を翼状の推進器に、或いは武器や防具に変化させて。
両腕の篭手と共に使いこなし、敵の配下の攻撃を凌いでいく。
負傷部分は灰色砂塵の生成により補いつつ、反撃の時を待つ。

お前の手勢も大したものだ、が――些か頑張り過ぎたな?
【グレイダスト・クライシスゾーン】。…さあ、幕といこう。

オーヤさん達や他の猟兵を巻き込まぬよう注意しつつ。
増改築された部分もろとも一定範囲の建物を全て灰色砂塵へと変化させ、荒れ狂う砂塵の嵐として叩きつける。
配下もろとも敵をなぎ倒し、削り切る!



「この我が、押されているだと……やはり身長か? 背丈が足りぬのか?」
 ある一点について、悩むエクリプス・ドラゴン。
 優しく声をかけたのは、『灰色の魔王』こと、メナオン・グレイダストだった。
「何、案ずるな」
「そなた……」
「存在の偉大さは肉体の大小に拠るものではない。お前も――我輩もな」
 じわっ。
 エクリプス・ドラゴンの瞳が、涙で揺れる。
 だが、それを荒々しく拭い去ると、びしっ、とメナオンを指さした。
「我を肯定するか。ならば、それ相応の全力を以て、戦いに臨むのが礼儀である!」
 言い放ったエクリプス・ドラゴンの足元に、闇と光、二色の合わさった魔法陣が広がった。
 そこから現れたのは、眷属の竜たち。
「我輩も、その結論に是非もない」
 ドラゴンの決意を、しかと受け止め。
 メナオンの外套が翼の形を成すと、眷属たちへと飛翔した。
 忠実な竜のしもべたちは、その竜の爪や翼、尾を駆使して、メナオンを迎え撃つ。
 対するメナオンは、外套の千変万化……すなわち、刃や盾に転じさせることで、眷属の攻撃を弾き、防いでいく。
「もらった!」
 乱戦のさなか、メナオンの背後より殺到する、三体の眷属。
 だが。
 ひときわ高い硬質の音が響く。メナオンの篭手が、竜の牙を受け止めた音だ。
 その意匠はエクリプス・ドラゴンの発する高貴にも劣らぬ、魔王の威厳漂うもの。
「お前の手勢も大したものだ、が――些か頑張り過ぎたな?」
「頑張りすぎ、だと?」
 おうむ返しを発するドラゴンに、メナオンは、ごく薄く笑って応じた。
 その視線は、マンション内をぐるり、と一巡り。
「【グレイダスト・クライシスゾーン】。……さあ、幕といこう」
 メナオンを中心に発せられた魔力の波動が、建物をスキャンするように広がった。
 すると、増改築された建物、その構造物、家具や調度品が、砂へと分解した。灰色魔王の威光にひれ伏したが如く。
 灰色砂塵。メナオンの二つ名を冠したものである。
 メナオンの意志を受けた砂塵は、その手指に操られ、荒れ狂う砂塵の嵐としてエクリプス・ドラゴン、そしてその眷属たちへと叩きつけられた。
 ひとつひとつに魔力を内包した粒子の乱流が、敵群を削り取っていく。
 そして、砂塵を最も浴びたのは、他ならぬエクリプス・ドラゴンであった。
「わ、我が偉大なる肉体が、滅ぼされるとは……!?」
 メナオンの眼前、エクリプス・ドラゴンが光と闇の粒子に変わり、天に昇っていくのだった。

 黒幕の最期を、物陰から見届けたオーヤ氏たちは、わっ、と歓声を上げた。
「助かりました、猟兵の皆様方。この恩は忘れませんとも」
 これまでの大き目の態度はどこへやら。
 恩人に対するオーヤ氏は、礼儀正しく丁寧であった。いや、これが地なのかもしれない。 普段は大家の悪魔らしく、威張っているだけで。
「で、物は相談なのですが」
 揉み手しながらオーヤ氏は、すっかり成れはてた『悪魔と踊りま荘』を見上げて、
「このマンションを元に戻すのまでは、手伝っちゃ……くれませんよねえ?」

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月03日


挿絵イラスト