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夜食に食べるチョコって罪深いですよね!

#デビルキングワールド

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#デビルキングワールド


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●夜食は悪です
 デビルキングワールドのとある都市。
 歓楽街のアーケードの下で、一人の魔王が屋台の前で声を張り上げていた。
「夜のギャンブルのお供に甘いもの! アマイモン印のチョコレートはいらんかのー!?」
 名を、チョコレートの魔王アマイモン。チョコレートと、チョコレートの悪魔を司る彼女は、自分の顔がパッケージに印刷された大きな板チョコを、屋台に山のように積んで売りさばいていた。
 ここは歓楽街、イカサマの横行する遊び場。イカサマするには頭を使うと言うことで、悪魔たちへの訴求力は十分だった。
「きゃー、アマイモン様-!」
「チョコレートくださーい!」
 悪魔が次々屋台に群がり、いくらかのデビルと引き換えにチョコレートを買っていく。悪魔によっては一度に三枚、五枚。山のような板チョコが次々無くなっていく。
「よいよい、お主ら、どんどんわらわのチョコレートを食って賭け事に興じるのじゃ! こんな夜に甘ーいチョコレート、悪じゃろ! 身体に悪いじゃろ!」
「悪いですー!」
「さすがアマイモン様ー!」
 アマイモンの言葉に心酔するように、悪魔が彼女を崇めながらチョコレートを買っていく。次々チョコレートに手を伸ばす悪魔たちに、アマイモンはほくそ笑んでいた。
「くっくっく、売れ行きは好調じゃ。このままの勢いなら、デビルが必要金額に届くのももうすぐじゃ……!」
 彼女の真なる目的は、カタストロフ級の儀式魔術。その為に必要なデビルの額が達成されるのも、そう難しい話ではないように思えた。

●夜の甘いものは巨悪です
「なんつーか、凄い世界が見つかったもんだよな。悪いことをした方がえらい、なんてさ」
 梯・剛士(ヴァリウードの随伴者・f12919)は難しい表情をしながら、グリモアから映した光景を見ていた。
 新世界、デビルキングワールドは悪こそが尊ばれ、敬われる世界だ。猟兵に匹敵するユーベルコード使いの悪魔たちが、悪事を働くオブリビオンに畏敬の念を抱いている。
 つまり、世界の住人が積極的にオブリビオンの手伝いをしているのだ。悪魔達の支持を得るには、オブリビオンの行う悪事よりも、より悪いことをしないとならない。
「今回俺が予知したオブリビオン……チョコレートの魔王アマイモンってんだけど、『夜食にチョコレートを食べよう!』って言って、自分のプロデュースしたチョコレートを悪魔に売りまくっているんだ」
「そのチョコレートを夜食に食べることで、より身体に悪い、罪深い行いをしよう、とかの悪魔は申しております。確かに悪だと申せましょう」
 狼獣人のモンスター、ヴァリウードも腕を組み、頷きながらしゃべっている。
 確かに悪だ。分かりやすく悪だ。夜食はただでさえ太りやすいのに、そこにチョコレートなんて甘いものを食べるなど。
 だが、事はそう単純な話ではないらしい。
「悪魔の使う通貨、デビルっていうんだけどさ、その硬貨や紙幣には魔力が籠められていて、大量に集めるとカタストロフ級の儀式魔術を使えるらしいんだ。アマイモンはその為に、大量にデビルを集めているんだってよ」
「このまま魔王の懐を潤わせていては、儀式魔術が発動されてしまいます。つきましては皆様に、魔王を撃破してその資金を奪ってきていただきたい」
 剛士の説明を受けて、ヴァリウードが頷く。つまりは、強盗をしてこいと言うことだ。これは悪だ。成功したらきっと、悪魔たちも猟兵に尊敬の目を向けてくるに違いない。
 舞台となるのはデビルキングワールドのとある都市。遊戯施設が多く集まる街の一角に、アマイモンの屋敷があるらしい。剛士がグリモアから映像を映しながら言う。
「アマイモンの屋敷は、グレモリア族っていう淫魔の種族が警備についてる。直接戦闘するには数が多すぎて分が悪いし、淫魔だからあの手この手で籠絡してくるから、力で押し通ろう、ってのはオススメできないぜ」
「なんとか、監視の目を掻い潜って潜入する手段が必要となります。変装する、潜入する、眠らせる……手段は色々とあることでございましょう。やり方はお任せいたします」
 彼の説明の後を継いで、ヴァリウードも話す。敵の数は数多いるが、直接戦闘して乗り込むことは得策ではない、ということだ。なんとかして事を荒立てず、屋敷の中に侵入する必要があるだろう。
 アマイモンの所在を明らかにしたら、次はそこに乗り込む番だ。
「アマイモンの部屋にはデビルが大量にあるはずだ。相手は金を守るべく皆をやっつけようとするだろう。きっちり倒してデビルを奪ってくれ」
 アマイモンはチョコレートの悪魔を使役する魔王だ。多数のチョコレートの悪魔を召喚するほか、鋭く尖ったチョコレートの槍を雨のように降らしてくる。また、チョコレートで出来た城を召喚し、押し潰す攻撃も行うらしい。
 アマイモンを倒せば、彼女が貯め込んだデビルは猟兵のものだ。強盗という悪いことをした猟兵たちを、屋敷のグレモリア族は喜んで外に通してくれるだろう。脱出のことは考えなくてもいい。
「アマイモンの屋敷の傍には、歓楽街があることが分かりました。カジノ、ゲームセンター、パチンコ屋……数々の遊戯施設がある模様。そちらで奪ったデビルを、ぱーっと使ってしまうことをお勧めいたします」
 ヴァリウードが口元に笑みを浮かべながら話す。遊戯施設は様々な種類があるが、どこも真っ当なギャンブルなどさせてはくれない。イカサマのオンパレードだ。
 イカサマのプロである悪魔たちとどう渡り合うか、金を使うに当たってそこも重要なことだろう。
 説明を終えた剛士が、笑みを浮かべながらグリモアを回転させる。
「準備はいいか、皆? 俺たちの方が悪いって事、悪魔どもにしっかり見せつけてやろうぜ!」


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 夜食は罪深いですが、特に甘いものを夜に食べるのは罪度合いが深いと思います。
 そんなイケナイことを諭す魔王様が相手です。

●目標
 ・チョコレートの魔王アマイモンからデビルを奪う。

●場面・戦場
(第1章)
 デビルキングワールドのとある町です。
 アマイモンの屋敷は、多数のグレモリア族が警備についています。女だけでなく男もいます。
 正面から突入するのは、相手の数が多いため推奨されません。

(第2章)
 アマイモンの屋敷の内部、アマイモンの自室です。
 大量のデビルが部屋の中に山積みにされています。
 アマイモンを撃破すれば、猟兵たちは堂々と屋敷の外に出る事ができます。なんなら警備のグレモリア族が外まで案内してくれます。

(第3章)
 とある町、アマイモンの屋敷の傍にある歓楽街です。
 カジノ、ゲームセンター、パチンコ屋など、様々な遊戯施設がありますが、どこもイカサマが横行しています。
 負けすぎず、気持ちよくデビルを使うため、悪魔のイカサマに対抗しましょう。

 それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『グレモリア族』

POW   :    好きなんですよね、こういうの♪
【相手を骨抜きにする天性の技巧】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【嗜好と弱点】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD   :    素直になっちゃった方が、いいですよ♪
【甘く蕩ける声】を籠めた【脳に響くような言葉責め】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【理性と道徳心】のみを攻撃する。
WIZ   :    こっちの方がいいですか?
【グレモリア族(男性)】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アサル・レイハーネフ
貯蓄のし過ぎは頂けないなぁ。経済は回さなきゃ!よし、散財を手伝って進ぜよう。あひゃひゃひゃひゃ!
屋敷を注意深く観察して、侵入経路を見つけたら【闇に紛れ】ながら【忍び足】で、潜入するよ。目的の部屋は厳重に警備されてるだろうけど、警備の動きを観察すれば、他と違うだろうから見つけやすいんじゃない?道中の敵は、避けられないなら【毒使い】の技術で【暗殺】しよう。見つかっても「主人に仕えて真面目に警備していいの?サボった方が悪じゃない?」とか言ったら、多少混乱するかな?
戦闘になるなら、クリーピングコインの【範囲攻撃】とUCの【狂乱の雀蜂】で召喚した雀蜂を使い数の差を埋めて、増援を呼ばれる前に一掃したいな。



●経済運動を止めることは悪です
 デビルキングワールドのとある町、歓楽街のそば、賑やかな声が昼夜絶えず響くエリアにほど近い場所に、その屋敷は建っている。
 その屋敷の全景を見ることの出来る位置に立ちながら、アサル・レイハーネフ(強化人間のバロックメイカー、冒険商人・f31750)はにぃと口角を吊り上げた。
「貯蓄のし過ぎは頂けないなぁ。経済は回さなきゃ! よし、散財を手伝って進ぜよう。あひゃひゃひゃひゃ!」
 大声で笑っても、この場所なら警備の悪魔に気付かれる心配もない。思う存分笑ってから、彼女は屋敷に向かって歩き出した。
 屋敷の外周にも、当然悪魔は立っている。しかしその人数はさほど多くなく、巡回も頻繁ではない様子。人目の少ない場所はいくらかある様子だ。
 その一つに向かって、改めてアサルは屋敷を見上げる。
「さて……ふーん、大きいお屋敷だねぇ。それなら……」
 警備の目につかないように、今いる辺りの場所を念入りに探す。
 そうして彼女は、金属製の大きな通気口が壁を這い、口を開けて屋敷内の空気を吐き出しているのを見つけた。
「やっぱりねぇ……あると思ったんだ」
 通気口からの侵入は常套手段だが、それ故に確実性が高い。こうした大きな屋敷では大口径のパイプを通しているのも有り難いことだ。
「よっと」
 アサルは一気に通気口に飛び込んだ。中のファンを壊してくぐり抜け、両手両足を突っ張ってパイプの中をよじ登る。横に張られたパイプの中を這っていったその先、光が見えてくる。
 フィルターを外せば、そこは厨房。幸い人の姿はないようだ。
「へへっ、侵入成功ー。魔王様のお部屋はどこかなぁ?」
 厨房の扉をわずかに開き、廊下の様子を伺う、と。ちょうど廊下の向こうから、警備の悪魔が近づいてきた。
「ん?」
「っと……」
 すぐさま扉を閉める。警備の悪魔の足音が近づいてくるが、足早に近づいてくる、という感じではない。扉が開いたこと、アサルが覗いていたことを、見咎めたわけでもないようだ。
「こっちで何かが光ったように見えたが……見間違いか?」
 不思議そうな言葉を漏らしながら、悪魔は巡回を再開する。その背中を、再び扉を開いて見送りながら、アサルは小さく零した。
「見た感じ……このフロアよりも上の階のほうが、警備が厳重って感じかなぁ……」
 一階よりも二階、そちらに魔王の部屋がある可能性は高そうだ。となれば、目指すものは一つ。上に登る階段だ。

成功 🔵​🔵​🔴​

物部・十王
くっくっく…夜にチョコ食うのが罪だと。
なら、わしも似たようなもんじゃな。夜に酒飲んでるからじゃ。
今回の依頼、相手の金を分捕るとか、分かりやすい悪じゃな。
まぁ、わし、妖怪だし、そんなもんは関係ねぇか…源頼光に聞かれたくないセリフじゃがな。
悪魔も似たようなもんじゃな。

とまぁ、潜入か。人化した所で、見つかったらしょうもねぇし、そのままで潜入するのじゃ。
カメレオンの術(目立たない)で風景と同化して進むのじゃ。
まぁ、感の鋭いやつには酒気を浴びせたり(呪詛)、眠らせたり(催眠術)、後ろから首狙いで気絶させたり(暗殺)させてもらうのじゃ。
もしもの時は七星七縛符じゃ。

アドリブ歓迎じゃ。



●酔って仕事をするのは悪です
 他方。物部・十王(東方妖怪のスピリットヒーロー・f29685)は屋敷の正面入口の見える位置に隠れながら、くつくつと喉を鳴らしていた。
「くっくっく……夜にチョコ食うのが罪じゃと。なら、わしも似たようなもんじゃな」
 十王は夜に酒を飲む、チョコやら甘味やらを食べるのと、さして違いはないだろう。そう思いながら、彼は屋敷を見上げて零す。
「相手の金を分捕るとか、分かりやすい悪じゃが……わし、妖怪だし。そんなもんは関係ねぇか」
 分かりやすいが、人間の貨幣を妖怪がどうこうした所で、なにも関係ないと思う十王。こんな言葉を憎き神秘殺しの耳に入れられたらどうしたものか。
 そう零しながら、彼は改めて屋敷を見つめる。ちょうどここは茂みの内側、胴体が虎縞である彼は隠れやすい。
「さて……人化した所で、見つかったらしょうもねぇしな」
 ここは化けるより、このままの姿で進んだほうがいいだろう。そう決めた十王は歩き出した。静かに、息を殺して、音を立てないように。
「……」
「ねえ、今なにか通ったかしら?」
「いや、私は何も見なかったが……」
 屋敷の警備の悪魔たちも、十王の存在を捉えきれていないか、感じても確証を保てないでいる様子。
 そのまま十王は静かに静かに茂みから抜け、入り口の前に立つ悪魔たちに近づいた。気配を感じたか、片方の悪魔が声を上げる。
「む? ねえ――」
「ふーっ」
「ふあ……」
 と、すぐさま十王が酒気混じりの息を吹きかける。濃い酒の香に酔わされた悪魔が、即座に昏倒した。もう一人がようやく異変に気づいて顔をこちらに向けると。
「えっ、なに!? どう――」
「ふーっ」
「はふぁ……」
 その時には既に十王の顔が目の前にあり。もう一度、酒気を浴びせかけて昏倒させた。
「よし。これで問題ないな」
 入り口の警備を無力化した十王は、するりと入り口の扉の隙間から屋敷の中に滑り込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

磯砂山・ガンテツ
おうおう、随分男が疼かせてくれる『良い子ちゃん』ばかりじゃねえか。きっちり巡回、報告……ホウレンソウは基本ですってか。

……へえ、男はそういう格好か。肉感たっぷりでそそりやがる。

よお、兄ちゃん。何通りすがりの怪しい男さ。いやなに、俺とワルい事しようぜってな。警備サボって、巡回時間一杯二人だけで欲満たして、後で嘘の報告して、そんで俺を中に入れてくれりゃあいい。

分かるだろ?強盗さ。片棒担げば、お前も立派にワル者。どうだ?

ああ、残念、もう断れねえな。

話す最中にUC黒渦ナギカセを展開して拘束。答えは聞く訳ねえだろ。こちとらワル者。
楽しもうぜ、共犯者くんよ?

アドリブ歓迎



●仕事をサボることは悪です
 別所では、磯砂山・ガンテツ(海の男・f31739)が屋敷を取り囲む茂みの中から、巡回する警備の悪魔たちを見ていた。
 そう、屋敷ではない。悪魔の方を、だ。
「おうおう、随分男が疼かせてくれる『良い子ちゃん』ばかりじゃねえか。きっちり巡回、報告……ホウレンソウは基本ですってか」
 そう吐き捨てるように言いながら、彼は小さく口の端を吊り上げる。見れば、女の悪魔だけではない、男の悪魔も警備にあたっているようだ。その格好は短い丈のベストにショートパンツ、ブーツ。これまた随分と扇情的な立ち姿をしている。
「……へえ、男はそういう格好か。肉感たっぷりでそそりやがる」
 その肉付きのいい身体に、ガンテツがぺろりと舌なめずりをする。ちょうど視界に映って他の悪魔から距離をとっている男など、好みの顔をしていた。
「じゃ、行かせてもらうとするかね」
 そう独り言ちながら、ガンテツは茂みからゆるりと抜け出す。彼の姿に気づいた悪魔がすぐさまに声を発した。
「むっ、おい、そこの貴様! ここはさる高貴なお方のお屋敷だ、部外者の立ち入りは――」
「何、通りすがりの怪しい男さ」
 彼の警告の言葉を遮るように、ガンテツが男へと歩み寄る。警告を無視して近づくガンテツに、悪魔の男が警笛を鳴らそうとした、その瞬間。笛を掴んだ手をガンテツが握る。
「よお、兄ちゃん……いやなに、俺とワルい事しようぜってな」
「な……っ」
 彼の発した言葉に、悪魔は言葉に詰まった。目を見開く悪魔の顎を、ガンテツの指が優しく撫でる。
「警備サボって、巡回時間一杯二人だけで欲満たして、後で嘘の報告して、そんで俺を中に入れてくれりゃあいい」
「そ、それはっ……」
 誘いの言葉に、悪魔の目が小さく震えた。
 分かりやすい、悪への誘い文句だ。仕事を抜け出し、闖入者とよろしくやって、屋敷の中に入れてやる。これ以上無いくらいワルだと言える。
 悪いことが尊ばれるこの世界において、この誘い文句は甘美とも言えた。トドメにガンテツが、もうひと押し言葉をかけてやる。
「分かるだろ? 強盗さ。片棒担げば、お前も立派にワル者。どうだ?」
 ガンテツの耳元で囁く声に、悪魔がぎりと奥歯を噛む。彼をきっと睨みつけて、使命感から断ろうと口を開いた。
「そんな話、聞くまでも――」
「ああ、残念、もう断れねえな」
「なっ……!?」
 が、その時には既に、ガンテツの繰り出した氷の鎖で縛られた後。もう身動きも取れないし、首元まで鎖が及んでいた。
 ガンテツが鎖を引けば、赤い皮膚に冷たい鎖が食い込む。
「答えは聞く訳ねえだろ。こちとらワル者だ……楽しもうぜ、共犯者くんよ?」
「うっ、うぐ……!」
 そのままガンテツは縛り上げた悪魔を連れて、屋敷から離れる方向へと向かっていく。そしてあれやこれや、濃密な時間を過ごした彼は、屋敷の正面玄関から堂々と、中に侵入するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

摩訶鉢特摩・蓮華
へー、こんな世界が見つかってたんだ。真面目に悪を目指すって、どんだけ~!これ、オブリンに関係なく遅かれ早かれ滅びるね。
それにしてもチョコの魔王って…ずいぶん庶民的だね。なんか親しみが湧いてくるよ!まぁ、倒すけど。

警備の人数が多いのは厄介だけど、相手が淫魔ならこの手でいけるかな?
『どきどき!道端のHな本大作戦!』
そういう店で周りの視線に耐えつつHな本(男性向け女性向け両方)を買って、警備に見つからないくらいの距離から念力を使って、わざと見つかるようにHな本を置くよ。できれば屋敷から引き離すような感じでね。
それに気を取られてるうちに、念動力で浮遊して足音を消しながら屋敷に潜入するね。

アドリブ歓迎



●エッチな本の拾い読みは悪です
 場所を変えて、入口付近。摩訶鉢特摩・蓮華(紅蓮眼・f09007)は近くの茂みから顔を出しながら、警備のために門の前に立つ悪魔二人を見ていた。
「へー、こんな世界が見つかってたんだ。真面目に悪を目指すって、どんだけ~!」
 悪魔は真面目に職務を全うしているように見える。しかし主人である魔王は悪、悪に与する悪魔たちも悪。そんな理屈で至極真面目に、彼らは悪を目指している。そんな様子に、くすくす笑う蓮華だ。
「……これ、オブリンに関係なく遅かれ早かれ滅びるね」
 そうぼそっと零した彼女の発言は、当たらずとも遠からず。実際一度滅びかけた世界だ。
「それにしてもチョコの魔王って……ずいぶん庶民的だね。なんか親しみが湧いてくるよ! まぁ、倒すけどね!」
 チョコレートの魔王アマイモン、ほんのりと親しみを感じる彼女に会うために、蓮華はぐっと拳を握った。用意してきた『それ』を、鞄の中から取り出す。
「じゃあ早速行ってみよ~! 『どきどき! 道端のHな本大作戦!』」
 彼女が鞄から取り出したのは、つまるところエロ本だった。男女だったり男性同士だったり女性同士だったりがイチャイチャキャッキャする内容の、あれである。ちなみに準備のいいことに、男性向けも女性向けも両方持ってきていた。
「えいっ」
 これを、ふわりと放り投げる。本はゆったりと空中に浮かんで移動し、悪魔の目に付く位置に、しかし移動しないと手が届かない位置にぽすっと落ちた。
「ん?」
「おや?」
 女性の悪魔と、男性の悪魔が、それぞれ別の方向に意識を向ける。地面に落ちている雑誌。その表紙が目に入った途端、二人の悪魔は刮目した。
 ふらふらと吸い寄せられるように本の前に膝をつき、それをうやうやしく掲げる。
「こ……これはっ!? 四天王×魔王の主従逆転モノのイケメンBL本!?」
「あっっ!? ラスボス×堕天使の体格差人外カップルNLモノ!?」
 女性の悪魔は女性向けの濃厚なBL本を、男性の悪魔はエロさの中に尊さも介在する人外NL本を、手にとって涙した。本当に涙した。真面目に仕事をしていたせいで飢えていたのかもしれない。
「あ、あぁぁぁ……滾る、なんてアツい展開……! 滾るわぁ……!!」
「うぅぅぅ、尊い……」
「よーし、今のうち……」
 二人の門番が涙を流しながらエロ本を貪るように読み耽る中、蓮華は念動力で宙に浮かびながら、そーっと門をくぐっていく。そうしてそのまま屋敷の入口に到着だ。
「よしオッケー! やっぱり淫魔、エッチなものには弱いんだね!」
 着地した蓮華が笑顔を見せる。そして屋敷の扉は再び開かれた。

成功 🔵​🔵​🔴​

キング・ノーライフ
好きな時間に好きな物を食うのは悪なのかはよく分からん、夜勤の者もおるしな。ただ見た目よりは素直な連中が多いのならさっさと騙して通ってオブリビオンだけ倒すとしよう。

まず【狸塚の呼び鈴】で狸塚を呼び出し、我は【化術】で女のグレモリア族に化ける。そして狸塚を縛って侵入者を捕まえたという【演技】をし、どこの連中か吐かせるのは悪っぽいからやってくると中に入ろうとするか。

疑ってきたら【王の誘惑】でその場で抱き着きや囁き等で狸塚をメロメロにするような誘惑をする事でグレモリア族を信用させるとするか。

中に入ったら適当な部屋に入り、しばらく経ったら【忍び足】で探索していくか。狸塚を落ち着かせる時間も必要だしな。



●不審者を見逃すのは悪です
 猟兵たちがそれぞれの手段で屋敷の中に入っていく中、キング・ノーライフ(不死なる物の神・f18503)は従者の狸塚・泰人と一緒に門が見える位置の茂みの中に潜んでいた。
「好きな時間に好きな物を食うのは悪なのかはよく分からん、夜勤の者もおるしな」
「そうですね……とはいえ寝る直前に甘いものや脂っこいものを食べるのは、やっぱり身体には良くないと思います」
 キングが難しい顔をしながら独りごちると、泰人も困った笑みを浮かべながら言葉を投げかける。
 確かに夜に仕事をする人間は、夜にあれやこれやと食べるだろう。イスラム教の断食月も、日中飲食しない代わりに夜に飲食する。何が悪いとは一概には言えない。
 しかし、泰人の言う通り。寝る前に甘いもの、脂っこいものを食べたら、十中八九太る。身体には悪い。
「そうか。とはいえ見た目よりは素直な連中が多いのなら、さっさと騙して通ってオブリビオンだけ倒すとしよう」
「同感です。よろしくお願いします」
 キングがうっすら笑みを浮かべて泰人を見れば、泰人も微小を浮かべてキングを見やる。
 そして次の瞬間、キングは化術で女のグレモリア族へと化けていた。そのまま隣の泰人を押し倒しにかかる。
「ねえ貴方? そこで何をしているのかしら?」
「わっ、なんですか貴女は!? 離してください!」
 泰人もこれみよがしに大声を上げて暴れた。大きな音が茂みの中から聞こえてくることに、門番の悪魔も当然反応する。
 やがて彼女たちの前に、身体のあちこちに木の葉をつけて縛られた泰人と、その縛った縄を持っているグレもリア族――に化けたキングが姿を見せた。
「何かあったの?」
「そこの茂みの中に不審な人物が隠れていたのよ。きっと屋敷に侵入しようとした不審者に違いないわ」
 縄をぐいと引けば、泰人の身体がぐらりと傾ぐ。頬は赤い。さっきの捕物の最中にちょっとあれこれされた、風を装っている。
 と、門番の悪魔が眉間にしわを寄せながらキングを見た。
「ふうん……? でも、貴女いったい持ち場はどこなの? そこに隠れているんだとしたら、私が――」
「いいじゃない? そういう細かいことは」
「ひゃ、ふ、ぁ……」
 が、キングはそんな疑問など意にも介さない様子で、泰人の体を抱きしめた。ついでに狸耳も優しく食んでやる。泰人は頭から湯気が出そうなほどに真っかっかだ。
 そのやり取りを見て、門番の悪魔はもう何を言うこともない。これは、本物だ。そして気にしたら悪い気もする。
 若干呆けた様子の悪魔に対し、キングはにやにやと笑みを浮かべながら歩き出した。当然、門の中、屋敷の玄関に向かって。
「どこの連中か吐かせるのは、何だか悪っぽいわね。屋敷の中で尋問してくるわ」
「え、ええ……気をつけて」
 悪魔はそれを止めることもない。そのままキングと泰人が、玄関の扉をくぐるのを見送った。
 侵入成功だ。安堵の息を吐いたキングが、手近な小部屋に身を滑り込ませる。
「ふう……さて、潜入はこんなところか」
「ご、ご主人さまぁ……」
 化術を解いて泰人を見るが、先程の魅了が強烈だったらしい。まだ顔を真っ赤にして、蕩けた眼差しでキングを見てくる。
 彼の頭をくしゃりと撫でながら、キングは嘆息した。
「少し落ち着かせてから、探索を始めるとするか」
 そう決めて、キングは泰人を落ち着かせにかかる。彼が正気を取り戻して探索が始められるようになるまで、15分を要したとか、そうでもなかったとか。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『チョコレートの魔王アマイモン』

POW   :    チョコレートの魔王軍
レベル×1体の【チョコレートで出来た悪魔(オブリビオン)】を召喚する。[チョコレートで出来た悪魔(オブリビオン)]は【ロリッ娘萌えー!】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD   :    チョコレート・レイン
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【両手】から【チョコレートの槍の雨】を放つ。
WIZ   :    チョコレート・キャッスル
単純で重い【空から降ってくるチョコレートで出来た城】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠シスカ・ブラックウィドーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●デビルを山のように集めるのは悪です
 屋敷の二階に上がり、警備の悪魔たちをうまくやり過ごし、一つの部屋の前に集まった猟兵たち。
 ここがチョコレートの魔王アマイモンの部屋であることは間違いない。何故なら「アマイモンのスイートルーム☆」なんてドアプレートがかかっているのだから。
 いっせーの、で扉をバンと押し開けて中に押し入ると。ちょうどアマイモンがこちらに背を向け、山のように積まれたデビルの前で高笑いしているところだった。
「ふっはっはっは……これだけデビルが集まれば、わらわの悲願たるカタストロフ級儀式魔術の発動も――んなっ!?」
 ご機嫌な状況から一転、突然の闖入者。アマイモンの表情が固まる。
「お、お、お主ら、いったいどこから入ってきおった!? 警備のグレモリア族たちは何をしておったのじゃ!?」
 うろたえながらこちらを指差し、ぎゃーぎゃーとがなりたてるアマイモン。まさかこの部屋に踏み込まれるとは思っていなかったのだろう、随分な狼狽ぶりである。
 と、ようやく落ち着きを取り戻したらしいアマイモンが、猟兵たちの視線が彼女、とその後ろのデビルの山に向いていることに気がついた。
「お主ら……さてはわらわの貯め込んだ、このデビルが目当てじゃな!? つまり強盗じゃ!! 悪じゃ、わらわ以上の悪じゃ!!」
 こちらを悪だと断定し、アマイモンがその手にチョコレートを握った。
 魔王に自分以上の悪だと言われるのも何となくアレだが、これはこれで猟兵たちにとっては都合がいい。
 アマイモンを倒して、奥のデビルを根こそぎかっさらう。悪ではないか。
「このデビルはお主らなんぞにはビタ一文分けてやりはせん! 覚悟するのじゃ!!」
 かくして、魔王と猟兵の本気のぶつかり合いが、今幕を開けた。
アサル・レイハーネフ
アドリブ、協力歓迎

「分けて貰おうだなんて思ってないよ。全部頂きに来たのさ。あひゃひゃ!」
「なんというか、余計なことを考えなければ、ただのおてんば娘って感じなのに、この魔王様。少なくとも、商才はありそうだね。一緒に商売してみたかったけど、まあ、生まれた世界を呪いなよ」

大量のクリーピングコインを飛ばして【範囲攻撃】【対空戦闘】でチョコの城を粉々にします。
「あんな城、ただの的だよ。今ならこのコイン、1枚100デビルで売るよ?なーんて。」
アマイモンをからかい、UCで召喚した蜂をけしかけます。チョコが降る中、蜂から逃げ惑う姿を見て、少しやりすぎたかなと思いつつ、デビルを回収し、ニヤリと笑い立ち去ります。


磯砂山・ガンテツ
どこからも何も、正面から優しい兄ちゃんが入れてくれたぜ?極上のサービス付きでな。
デートの時間まで待ち合わせ場所で待ってもらっててな、あんまり鎖の痕が付くのも可哀想だろ?
手早く、有り金渡して失せるんだなあ!

銛槍でつつきながら召喚されたチョコレートの悪魔にUC、杭に鎖を繋いで、怪力で振り回してアマイモンにぶつける。

そら、お前の大好きなチョコレートだ。たんまり食らえよ!

悪魔もアマイモンが好きらしい。相思相愛結ばせてやるなんざ、イイコトするのは気持ちが良いよなあ。

さて、暴れてデビルをいただいたら迎えにいって豪遊…はは、まるで俺が籠絡されて、思い通りに働かされてるみてえだな。

アドリブ歓迎


ウォーヘッド・ラムダ(サポート)
一人称、二人称、性格等はプロフィールを参照。

■戦闘行動
敵への接近、または敵からの攻撃回避は装備『フライトブースター』『ダッシュブースター』を使用しての回避行動。
防御に関しては装備『アサルトヴェール』>『重厚シールド』>『超重装甲』の優先順位での防御行動。
攻撃に関しては『ASMー7』『LLS-3』をメインにしつつ、他装備も使用。

強襲用ってことで自分への多少の被害が承知済み。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は無し。
また、"本目的に関係ない"NPC民間人への攻撃行動は無し。(やむを得ない牽制・威嚇射撃は有り)
あとはおまかせです。
アドリブ歓迎



●無用に相手をからかうのは悪です
 魔王アマイモンと向かい合うアサル、そしてガンテツ、ウォーヘッド・ラムダ(強襲用試作実験機・f18372)。と、アサルがへらりと笑いながら肩をすくめる。
「なーに余っちょいろいこと言ってんのかなぁ、魔王様ともあろう人がさ」
 ため息交じりにそう言うと、アサルの金の瞳が大きく見開かれた。口を大きく大きく開き、けたけた笑いながら言い放つ。
「分けて貰おうだなんて思ってないよ。全部頂きに来たのさ。あひゃひゃ!」
「んなっ!?」
 アサルの容赦のない言葉に、アマイモンの顎がストンと落ちた。ガンテツも口角を持ち上げ、下卑た笑いを浮かべながら言葉を放る。
「どこからやってきたって? どこからも何も、正面から優しい兄ちゃんが入れてくれたぜ。極上のサービス付きでな」
 その言葉に、目をカッと見開くアマイモンだ。言葉を失っている様子の彼女が、信頼する自分の部下が籠絡されたのだと気付くやいなや、瞳がキュッと小さくなる。
「デートの時間まで待ち合わせ場所で待ってもらっててな、あんまり鎖の痕が付くのも可哀想だろ? ……手早く、有り金渡して失せるんだなあ!」
「き、貴様ら……!」
 ガンテツの挑発的な言葉に、アマイモンは怒髪天を衝く様子だ。そこに、二人の言葉を黙って聞いていたウォーヘッドが言葉を発する。
「本機は、善だの悪だのという、曖昧な判断基準は持ち合わせていない」
 機械らしい冷たい声で、抑揚もなく言い放つウォーヘッド。その言葉に、戦場がしんと静まり返った。だが、そこに。
 急速に高まりゆくモーターの駆動音、光が弾けるバイザー部分。ウォーヘッドは臨戦態勢だ。
「オブリビオンである貴様を排除すること、それが本機の目的である。それ以外に関わる理由は本機にはない」
 彼の言葉を聞いて、アサルもガンテツもおのれの武器をしっかと構える。目の前のアマイモンはオブリビオンだ。この世界に生きる悪魔とは違う、明確に倒すべき敵だ。
 散々からかわれ、挑発されたアマイモンが、ぷるぷると拳を震わせ始めた。手に握ったチョコレートを高々と掲げる。
「く、く、この……! 魔王たるわらわを、そう簡単に倒せるとは思わないことじゃ! 出でよ、わらわの魔王軍!」
「アマイモン様ー!」
 叫ぶと、彼女の周囲に大量の、チョコレートで出来た悪魔たちが現れた。口々にアマイモンの名を叫び、彼女を守るべく周囲に配置する全身真っ茶色の悪魔を見て、アサルが小さくため息を付きながらコインを弾く。
「なーんというか、余計なことを考えなければ、ただのおてんば娘って感じなのに、この魔王様」
「王としての素質は、確かにMs.アマイモンにはあるのだろう。本機はそう判断する」
「ま、あれだけの数の悪魔を従えて真面目に仕事させてるんだ、人望はあるんだろ……っとよぉ!」
 ウォーヘッドもASM-7を乱射して悪魔を吹き飛ばし、ガンテツも銃弾の合間を縫って突撃しては槍で悪魔を貫いていく。その槍から手を離せば、彼の手のひらから伸びるのは氷の鎖。放つと一人の悪魔を絡め取った。
「ひゃっ、冷た――」
「そら、そんなに魔王様が好きだってんならお近づきにさせてやらぁーっ!!」
 氷の鎖に絡め取られた悪魔を、ガンテツは振り回して思いっきりアマイモンに叩きつけた。これで口と口が触れ合うならなんともロマンチックだが、アマイモンの顔に激突したのは悪魔の腹。そして激突の衝撃で、悪魔の身体が真っ二つに折れる。
「ぐわーっ!?」
「あぁぁぁアマイモン様ロリっ娘萌えぇぇぇぇ」
 アマイモンへの萌えを叫びながら消滅していく悪魔に押し倒されて、アマイモンが床へと倒れ込んだ。とっさに悪魔がアマイモンの方を振り返る辺り、信頼関係は結ばれているのだろう。
 そんな状況に、ガンテツが満足気に顎を撫でた。
「へへっ、相思相愛結ばせてやるなんざ、イイコトするのは気持ちが良いよなあ」
「互いに想い合う男女が第三者の介入によって急接近、結ばれる……なるほど、つまりこれこそHappy end」
「いいコト言うねぇキミ。あたしも好きだよそういうの!」
 と、ウォーヘッドがバイザー部分を明滅させながらガンテツに同意を示した。人間の文化を理解しようと頑張る彼も、恋愛の何たるかは心得ているらしい。アサルがにかっと笑ってみせた。
 笑いながらもアサルの手からは、絶えずコインが放たれている。そのコインの一枚一枚が、チョコレートの悪魔の頭部を砕き、手を砕いていた。黄金の雨にアマイモンが歯噛みする。
「ぐぬぬ、コインを弾丸のように飛ばすとは!?」
「いかれ商人のクリーピングコインさ。今ならこのコイン、1枚100デビルで売るよ? ……なーんて」
 指に挟んだコインを一枚見せつけながら、アマイモンへと笑いかけるアサル。
 この期に及んで、デビルを要求しようというアサルだ。アマイモンの怒りはもう留まるところを知らない。
「か、からかいおってーっ!」
「おぉ、怖いこわーい。一緒に商売してみたかったけど、まあ、生まれた世界を呪いなよ。きひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
 けたたましく笑いながらアサルがたくさんの雀蜂を召喚した。部屋を縦横無尽に飛び回りながらアマイモンに襲いかかる蜂たち。途端に逃げ腰になるアマイモンだ。
「ぎゃーっ!? 蜂、蜂ーっ!?」
「ブレード展開、迎撃する」
「ぐはっ……!」
 その彼女がちょうど、レーザーブレードを展開したウォーヘッドが迎え撃つ。回避しようとするも時既に遅し。
 光の刃が、アマイモンの身体を袈裟に切り裂いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

吉柳・祥華(サポート)
『妾の存在意義とは何ぞや?何ゆえに此処に在るのかぇ?』

旧き時代に祀られていた龍の化身で在ったが
護るべき国は民は既に無いのに何故…自身が現世の『神』として顕現したのかを思案と模索する戦巫女

物腰は柔らかく絶えず微笑を湛える優美な女性であるが
過去の出来事から人(他人)に対しては意外に辛辣…
優美に微笑を浮かべるが実は目が笑っていない

ユーベルは指定した物をどれでも使用
その辺はMSの采配に任せます(意外な使い方とか参考になるから)

基本、他の猟兵に迷惑をかける行為はしないが
必要なら悪乗りはする流れ(他の猟兵と同意と言う設定で)
まぁ…流石に依頼の成功の為と言えど公序良俗に反する行動はNG

連携アドリブ等はお任せ


物部・十王
へぇ、そんなに大量に溜め込んでるとはな。
少しぐらいとってもバレにくそうじゃな…どのみち、オブリビオンたるお前からは、全没収させてもらうのじゃがな。

てなわけで、早速とばかりにそこにいるわしじゃ。
まぁ…大量のチョコレートばら撒くか貴様。
容赦はせんぞ、わしの酒が無くならん内に決着させてやる。
伝説の大妖怪の力、魔王に通用させてやるのじゃ。
ここでUC使用。

9回の首で噛みつき攻撃&尻尾の蛇で攻撃を2回攻撃で盛大に無双してくれるのじゃ!(計20回攻撃)

ほれ、終わらせてもらうのじゃ。

アドリブ歓迎


キング・ノーライフ
チョコレートでできた変態か。ただ見た目好きなら勝機はあるか。

まず【鼬川の指輪】で鼬川も召喚、二人には【衝撃波】で魔王軍を少しの間抑えてもらうとしよう。我も【制圧射撃】で敵を押し止めながら進むか。

魔王を見つけたら【弾幕】や【誘導弾】で一発でも弾を当てればいい、そこから【王への供物】を発動させ美少年に変えてやろう。さすれば主が男になった事で魔王軍に亀裂が入るはず。

ダメ押しで真の姿解放のフリをして【化術】と探索中に手に入れた物で【変装】して同じ年頃の少女に化け、【威厳】と【演技】で「誰に付くべきか分るよなぁ?悪魔ども」と微笑み【誘惑】、瓦解を狙おう。

我の従者は見た目でなく信頼で側に居る、その差よ。



●戦闘の最中に掠め取ることは悪です
 血を流しつつ、しかしまだしっかりと立つアマイモン。その背後に積み上げられたデビルを見ながら、十王がくつくつと笑った。
「へぇ、そんなに大量に溜め込んでるとはな。今少しぐらいとってもバレにくそうじゃな……」
「くっくっく、確かにのぅ。あれだけ山のようにあるのじゃ、いくらか奪ったところで気付くまいて」
 吉柳・祥華(吉祥龍彩華・f17147)も一緒になって、口元を隠しながら喉を鳴らして笑う。確かに戦闘中に手を出したとして、山の高さはそう変わらないだろう。出すことを許されるかは別問題だが。
 キングが、気持を落ち着かせた泰人を傍に置きながら、拳銃を握りつつ薄っすらと笑う。
「だが、ここであの魔王を倒せば少しと言わず全て手に入れられる。その方が早いだろう?」
「おお」
「確かにそうじゃな」
 キングの言葉に祥華と十王が揃って声を上げた。それはもうわざとらしく。話を聞いている泰人が隣で困った笑みを浮かべていた。
 すっかりアマイモンを倒すつもりでいる様子の四人に、彼女は地団駄を踏みながら怒りを顕にする。
「むきーっ、わらわを倒せることが前提のような姿勢、許しがたいのじゃ!」
「倒せるか倒せないか、ではないのぅ。おぬしは倒すのじゃ」
「どのみち、オブリビオンたるお前からは、全没収させてもらうのじゃがな」
 アマイモンの発言に、肩をすくめて祥華は返す。十王もそれに同調しながら力強く床の絨毯を踏みしめた。
 オブリビオンは倒す。それが猟兵の役目だ。一部の例外を除いて、そういう風に世界は出来ている。
 キングが手にはめた指輪をキラリと輝かせると。彼の隣にもう一人、従者の鼬川・瞬太が姿を現した。二人に向かって、キングが静かに声をかける。
「そういうわけだ。狸塚、鼬川、準備はよいか」
「はい、ご主人様」
「おっと、お呼びときたか。いつでもいいぜ!」
 キングの呼びかけに応える二人。祥華と十王も準備は万端だ。
 敵が数を増やしたことに眉根を寄せるアマイモンだが、すぐに笑みを浮かべて手にしたチョコレートを再度掲げた。先の戦闘でチョコレートの悪魔はほとんど倒されたが、だからどうというわけでもない。
「ふん、貴様らが数を増やした所で、わらわの指揮する魔王軍には敵うまい! お前たち、いくのじゃ!」
「「アイ、マム!」」
 また新たに呼び出された全身チョコレートの悪魔たちが、退去して五人に向かってくる。それを無表情に見つめたキングが、泰人と瞬太に指示を飛ばした。
「ふん、数を増やしてきたか。怯むな二人とも、押し止めろ」
「了解しました!」
「やってやるぜ!」
「うわ……っ!」
 飛び出した二人の手から、特大の衝撃波が放たれる。爆風に押し止められる悪魔たちの間を、銀色に輝く物体が駆け抜けていった。
「ゴッド・クリエイション・アルティメット・メタリック・バースト。さぁて、妾の姿を捉えられるかのぅ?」
「な、何だこれは!?」
「動けない……!」
 その物体は、祥華が姿を変えた武装生命体だ。液体金属の姿をした祥華が宙を駆け、極小の金属をばらまきながら駆け抜けていく。それは知らずしらずのうちに、悪魔たちの身体を穿って傷つけていた。
 また十王も、自らの身体を大きくふくらませる。
「容赦はせんぞ、わしの酒が無くならん内に決着させてやる。ぬぉぉぉっ!!」
「うわーっ!?」
「化けも……ぐわっ!?」
 ヤマタノオロチと――特大のオブリビオンと化した十王が、その八本の首と自らの口でチョコレートの悪魔たちを噛み砕いていった。それが二度、三度。
 瞬く間に無力化されていく悪魔たち。アマイモンはそれを信じられないものを見る目で見ていた。
「な、なんじゃと……」
「おっと、そこにいたか」
 開いた射線。そこ目掛けてキングが拳銃から弾丸を放った。それは一直線にアマイモンに飛び、身体に小さくない傷をつける。
「ぐわっ! ……なっ!?」
 傷を押さえたアマイモンは驚きに目を見張った。自分の胸が無い。服も変わってしまっている。心なしか腕も足も筋肉質だ。男の姿になっているのだ。
「あ、アマイモン様!?」
「アマイモン様が男の姿に!?」
 生き残っていた悪魔たちも狼狽した。自分たちの萌えの対象である悪魔が、いまいち萌えない姿になってしまっている。美少年ではあるのだが。
 と、そこに。
「ふっふっふ……」
「あ……」
 彼らの後方からかかる声。そこに立っているのはアマイモン、ではない。が、見目麗しい少女が生意気な目つきで悪魔たちを見ている。化術を使った上に変装も駆使し、威厳たっぷりに演技してみせているキングである。なんて念入りな。
「さぁ、誰に付くべきか分るよなぁ? 悪魔ども」
「「アイ、マム!」」
 キングが親指を自分へと向けて言えば、もう悪魔たちにはたまらない。くるりと向き直り、美少年と化したアマイモンに一斉に襲いかかった。
「うわ、ちょっ、やめんか! わらわは、わらわが……!」
「ロリっ娘の為に、進めーっ!」
 こうなったらもうアマイモンにはどうしようもない。配下にしてこそいたが、それは自分の外見合ってのもの、キングと泰人、瞬太がそうであるように、互いの信頼関係で成り立っている関係とは大違いなのだ。
 にっちもさっちも行かなくなったアマイモンが、チョコレートの悪魔を槍で蹴散らしながら飛び上がる。
「ええいもう、これだからオタクというものは――」
「そこじゃっ!」
 と、そこに飛びかかるのは十王だった。大口を開けて噛みつき、アマイモンの胴体に牙を突き立てる。口の端から血が飛び散った。
「ぐはっ……!」
 床に転がったアマイモンは起き上がれない。そこに、鋭い刃へと変形した祥華が迫る。
「終わりじゃの、魔王アマイモン。おぬしの支配も、所詮は泡沫の夢というわけじゃ」
「待てっ、話せば――」
 分かる、と言いたかったのだろうが、そんなはずがあるものか。
 アマイモンの身体から頭が切り離され、そのまま塵となって世界に消えていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『イカサマカジノ』

POW   :    ルールの変更を強引に主張する

SPD   :    手先の器用さを生かしてカードを入れ替える

WIZ   :    事前にカジノの設備に細工を仕込んでおく

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●分かりきったイカサマは悪です
 アマイモンが消滅し、部屋に残されていた大量のデビルを抱えて部屋を出ると、警備のグレモリア族が何人もこちらに駆けてくる。まずい、と思うよりも早く、グレモリア族が嬉しそうに話しかけてきた。
「いやあ皆様、強盗とはまさしく悪の中の悪! 素晴らしい!」
「こちらのデビルはどうぞ全てお持ちください。重くて持ち運べない? なるほど、ではここに置いていて構いませんので、いつでも取りに戻ってきてくだされば!」
 褒め称えられている。なんとも複雑な心境になる猟兵たちだが、どうも彼らは素直に通してくれるらしい。それどころか何度も自由に出入りしていいらしい。いいのか。
「して、こちらのデビルを元手に何を……賭け事に使う? でしたらこの館の傍に歓楽街がございます。カジノ、雀荘、パチンコ屋にスロット屋、いろいろ揃っておりますよ!」
「悪銭身につかず、宵越しの金は持たないということですか、いやぁたまりませんね!」
 悪魔たちの称賛の声に押されながら、猟兵たちは屋敷の近くにある歓楽街に向かう。様々な遊戯施設が軒を連ねる中、どうやってデビルを使い果たそうか。楽しい時間が、今始まろうとしていた。

●特記事項
 ・アマイモンから奪った金を、盛大にぱーっと使っていただきます。デビルを使い切ることが目的です。
 ・歓楽街の施設はイカサマのオンパレードです。どれだけ相手のイカサマを上回り、気持ちよくデビルを使えるかがポイントです。とはいえ、別に大負けしても構いません。
キング・ノーライフ
気持ちよく金を使え…中々簡単そうではあるが分散させなければ新しいオブリビオンの大きな餌になりかねんか。

実際どんなイカサマか鼬川をギャンブラーとして戦わせる事で我は近くで【忍び足】や【見切り】で色々見ていくか、ここで授業料代わりに少し負けぐらいを各店でやる事で分散して使っていく。鼬川は熱くなりやすいから良いカモだろう。

それなりに学んだ所でスロットを【ハッキング】して確率を変える事で勝とうとするか。文句を言われたら【王の誘惑】で懐柔し、勝った祝いにスタッフにチップや客に酒を振る舞う。こうすれば分散して使い切る事もできよう。

勿論従者にも振る舞う。
今回しっかり活躍したからな、労うのは当然だからな。


アサル・レイハーネフ
賭け事ねぇ。どう散財しようか。負け過ぎず勝ち過ぎず、ってのが難しいけど、まあ、せっかくの機会だし楽しむとするよ。他人の金で。あひゃひゃひゃひゃ!
ポーカーはあるのかい?どうせなら、カードに細工をしちゃおう。悪がいい事なこの世界、誰も咎めやしないでしょ。もし突っかかってくる奴がいたら、いくらでも『言いくるめ』てやる!ついでにUCで金貨を消費して、強い役ばかり揃えちゃおう。食らえ!あたしのロイヤルストレートフラッシュ!
………まあ、勝ち過ぎても意味無いし、程々にするよ。余ったデビルは景品と交換したり、そこらで何か買ったりしようかな。そんで、その景品を自分の露店で売る。

こうして経済は回っていくんだね。


物部・十王
SPD
これが、カジノってやつか。
どれ、お手並み拝見とな。
まず、トランプカードで色々とな。
尻尾の蛇は視覚共有してねぇんだよな…式神、行け。
ディラーの後ろに回って視覚共有でわしの目に伝えさせていただこう。
挑むのは、これからじゃ。
数回は負けてもいいように振る舞っておくのじゃ。
大層な豚札だったら、即放棄じゃな。
これなら、負けても損害が小さい。
相手がハッタリかましてもこっちに余裕があるのなら、挑むのじゃ。

まぁ、Dの残り半分は高級な酒に回すのじゃ。
この世界の酒も気になるのぅ。

アドリブ歓迎


磯砂山・ガンテツ
いやあ、まさかてめえの思うつぼだったとは
違うって? そう、そういうことにしたいって事だな。分かってる分かってる。
首輪? だって自由にしたらイカサマばらしそうじゃねえか、なあイイ子ちゃん。

1章の男性グレモリア族をつれてカジノへ

時折、グレモリア族から耳打ちをされながら、UCの使用でイカサマ
ボールを誘導したり、相手のカードの表面をなぞって読み取るアドリブ歓迎

イカサマの要がグレモリアだと思わせて妨害を空振りさせる腹積もり

儲けに儲けて、カジノ最高レートの大一番でチップ全賭け。

負けたら、俺もお前も、この店から出ていけねえかもなあ?

勿論、大敗。
負け分の担保なんざありゃしねえ。

トンズラするとしようか!



●イカサマを見逃すことは悪です
 アマイモンの屋敷からいくらか離れたところにある歓楽街。そこを歩きつつ、めぼしいカジノを探しながらキングが目を細めた。
「気持ちよく金を使え……中々簡単そうではあるが分散させなければ新しいオブリビオンの大きな餌になりかねんか」
「でもさご主人様、使うだけなら勝ち負け関係なしにバカスカ突っ込めばそれでいいんじゃねえの?」
 彼の隣を歩く瞬太が不思議そうな顔をして言えば、反対隣を歩く泰人が眼鏡を直しながら苦笑を零した。
「鼬川くん、事はそう単純ではないんですよ。あまりにも大負けして、しかしそれでも気にせず金を使ったら店やディーラーから馬鹿だと思われ、全部毟り取られてしまいます」
「そうそう、負け過ぎず勝ち過ぎず、ってのが難しいのさ」
 泰人の言葉にアサルも頷く。金は使いたい、しかし派手に使いすぎたら毟り取られる。とはいえ勝ちすぎては本末転倒だ。なかなかに厄介なものである。
 とは言っても、四人と二人の足取りに不安はない。
「まあ、せっかくの機会だし楽しむとするよ。どうせ他人の金だしね。あひゃひゃひゃひゃ!」
 アサルが高らかに笑い、肩に担いだ大きな袋を揺らした。中に入った大量のデビルががしゃりと鳴る。
 アマイモンの溜め込んでいたデビルは予め、四等分してそれぞれの軍資金として持ち歩いていた。四分割すればまあまあ嵩が減るかと思いきや、それでもかなりの重さがある。十王などは随分歩きにくそうだ。
「いいじゃねぇか。他人の金だろうが金は金だ。ぱーっと使って派手に立ち回ろうじゃねえか。なあ?」
「え、ええ、まあ」
 ガンテツが磊落に笑いながら、手に持った鎖をぐいと引く。するとその鎖が繋がった先の首輪が引かれ、潜入時に籠絡されたグレモリア族が足取りを見出した。肩にはガンテツの分のデビルを担いでいる。
 結局籠絡した彼をそのままここまで連れてきたのだ。自分の供をさせるために。鎖をもう一度引いて、ガンテツが怪しい笑みを浮かべる。
「いやあ、まさかてめえの思うつぼだったとは、なかなかやるじゃねぇか。んん?」
「いえ、あの、そういうわけでは」
「あん、違うって? そう、そういうことにしたいって事だな。分かってる分かってる」
 困惑顔のグレモリア族が声を上げようとするも、ガンテツがそれを許さない。上から被せるようにして言葉を投げかけ、悪魔に口をつぐませた。
 しゅんとした様子のグレモリア族を見て、十王が小さく首を傾げる。
「いつの間に首輪までつけさせたのじゃ?」
「そいつはもう、これからの楽しいデートのために用意させたのよ。モノは屋敷の中にたんまりあることだしな」
 彼の問いかけにガンテツはニヤリと笑う。そうしてちょうど立ち止まった四人の前には、この歓楽街で最も大きく、最も派手な外装の高級カジノ、「アスモデウス・カジノ」がそびえ立っていた。

●カジノで賭けないことは悪です
 カジノの中に入ると、派手で綺羅びやかな内装と豪華な音楽が一行を出迎えた。
「ここがこの歓楽街で最上級のカジノ、『アスモデウス・カジノ』か」
「すげー……シャンデリアも壁もピカピカしてやがるぜ……」
 キングの言葉にうなずく泰人の横で、瞬太がぽかんとしながら天井のシャンデリアを見上げる。圧倒されているようだ。
 その瞬太へと、キングが袋から一掴みデビルを取り出し、渡して言う。
「鼬川、まずはお前がやってみるといい。我は後ろで見ていてやる」
「げっ、マジっすか。俺こういう賭け事とかあんまやったことないんっすけど」
 デビルを受け取りながら瞬太がまごついた。UDCアースの日本で生まれ育った彼は、当然カジノでの賭け事の経験など無い。人間換算した年齢的にも、最近まで賭け事が出来る年ではなかったはずだ。
 しかしキングは素気なく顎をしゃくる。行って来いとのお達しだ。
「多少負けても構わん。軍資金としてはこのくらいでよかろう。メダルに替えてこい」
「う……うっす!」
 キングに背中を押され、瞬太がメダルの換金所へと走っていく。その背中を見ながら、アサルがいたずらっぽく笑った。
「悪だねぇ、従者をカモらせて自分は後ろで見てるって?」
「授業料にはちょうどよかろう。イカサマをチェックするにはいい手合いだ」
 キングも薄っすらと笑みを浮かべて返す。瞬太の熱くなりやすい性格は、賭け事のカモにはちょうどいい。カモってくる相手の手口を観察するには具合がいいのだ。
 その言葉を聞きながら、十王ものそりと換金所の方へ向かっていく。
「それじゃ、わしはポーカーにでもいくとするかの」
「ああ、んじゃあたしもポーカーに行こうかな」
 ポーカー、という言葉にアサルも反応した。どうやら目的のゲームは同じようだ。二人並んでデビルをチップへと換金しに行く。
 その後に続くようにしながら、ガンテツも手にした鎖を引いた。
「よし、俺たちはルーレットにでも行くか。行くぞ」
「はひぃ……」
 グレモリア族の男が泣きそうな声を上げながら後についていく。こうして、四人の豪遊の時間が始まった。

●カジノで支払えないことは悪です
 スロットマシンが並ぶブース。そこのうちの一台で、瞬太は緊張の面持ちで座っていた。彼の後ろから見守るキングが、静かに声をかける。
「鼬川、スロットマシンの遊び方は分かるか?」
「まあ、ざっくりとなら……ここにメダルを入れて、レバーを倒す、でいいんっすよね?」
「頑張ってください、鼬川くん」
 瞬太が恐る恐る聞き返すと、うなずいた泰人が小さく笑った。
 スロットマシンは誰と勝負することもない。掛け金も自分で設定できるために、カジノのゲームとしては初心者向けだ。とはいえここは高級店、メダル一枚に四桁くらいのデビルは余裕でかかる。
 そのメダルを恐る恐る投入した瞬太が、全ラインに賭けるボタンを押した上でレバーに手をかける。
「よし……いくぞ!」
 そしてぐっと引き倒せば、回り始めるリール。三人が見つめる中リールは自動的に止まっていって、当たり外れの判定が行われた。見れば、安い絵柄だが二列ほど揃っているらしい。
「あれ?」
「ほう。意外と揃うものだな」
 思っていた以上にリターンがあって、驚く瞬太。キングも満足そうに笑みを見せた。
 これはいけると調子に乗ったか、瞬太が今度は二枚のメダルを手に掴む。
「いけんじゃねっすか? よし、次は賭け金を増やして……おらっ!」
 二倍レートにしてレバーを握り、もう一度引く。再び回り始めたリールが止まるが、今度は一列も揃わなかった。
「あれ!?」
 瞬太は困惑する声を上げた。多く賭けて揃わなかったこともそうだが、リールの止まるタイミングが若干遅れていたようにも見える。
 しかし、負けは負けだ。悔しげに床を踏んだ瞬太が再びメダルに手を伸ばした。
「くそっ、惜しい! もう一回……あれ!?」
 入れては回して、負けて。もう一度回しては、また負けて。最初の一回が嘘のように、瞬太はそこから負け続けた。気がつけばキングが渡して換金した分は、もう一枚も残っていない。
「だーっ、もうメダルがねぇ! ダメじゃん!」
「鼬川くん……その、ドンマイです」
「ふむ」
 泰人が瞬太を慰める中、キングが顎に手をやりながら小さくつぶやく。そのリールをじっと見つめた後、彼の手が瞬太が座っていた椅子の背もたれを掴んだ。
「鼬川、替われ」
「えっ……でも、この台でいいんっすか?」
 困惑しながら瞬太が立ち上がる。自分がひどく負けた台でそのままやろうというのだ、困惑しないわけはない。しかしキングじゃうっすら笑い、瞳をきらりと輝かせた。
「構わん」
 無造作にメダルを掴み、レバーを引く。回りだすリールをじっと見つめるキングが、一瞬だけ僅かに目を細めた。
 その途端。不規則に速度を落としていたリールがピタリと止まった。そこに現れたのはスリーセブン。ファンファーレが鳴り響き、メダルの排出口からジャラジャラとメダルが溢れ出した。
「おぉぉーっ!?」
「ふふっ」
 驚きの声を上げる瞬太に、ほくそ笑む泰人。彼は自分の主人が何をやったかを、ちゃんと理解しているようだ。
 振り返ったキングが瞬太に、袋からまた一掴み取り出したデビルを手渡す。
「さあ鼬川、これもメダルに替えてこい。どんどん回すぞ」
「うっす!」
 主人の命を受けて再び瞬太が換金に走り出す。彼が戻ってくるまで待つまでもないとばかりに、キングが再びスロットにメダルを投入した。
 他方、ポーカーのテーブルにて。四足歩行でのしのしと歩く十王を、アサルが不思議そうな顔をして見ている。
「今更だけどさ、キミ、カードを手に持てるの? その手で」
「心配は要らねぇよ。挟むくらいならどうというこたぁない」
 彼女の言葉にニヤリと笑いながら、十王は虎の前脚を持ち上げる。確かに指はしっかり分かれている、カードを挟むくらいなら問題無さそうだ。
 そうしてテーブルにやってきた二人。中央に表向きで並べられた五枚のカードを見てハッとした。
「テキサスホールデムポーカーか」
「こいつはゴキゲンだねぇ。さて……どうしようか」
 どうやらここらのテーブルで行われているポーカーは、全てテキサスホールデムらしい。手元の二枚と場に出された五枚のカードを使って、ポーカーの役を作り上げていく遊び方だ。ディーラーとの勝負というよりはプレイヤー同士の勝負、巧みな心理戦が繰り広げられるやり方だ。
 テーブルに付き、最初のベットをテーブルに置く。配られた二枚のカードを見ながら、二人は小さく唸った。
「んーむむ……」
「ふーん……」
 お互い手札はいまいちパッとしない。三枚のカードが場に出されると、アサルの顔つきが僅かに変わった。が、十王はますます険しい顔。番が回ってくるが、ぱたんとカードを伏せてしまう。
「ダメじゃ、この手じゃわしは何も出来ん。フォールド」
「慎重だねぇ。あたしはコール」
 彼に笑いかけながら、アサルはチップを積み上げた。と、その左隣の悪魔が迷いなくチップを積んでいく。
「レイズ、10」
「リレイズ、10」
「なぬっ」
 レイズからのリレイズ。当初の最低ベット額より20も額が上がった。場が一気にざわつき始める。しかしそんな状況も、アサルは楽しんでいるようだった。
「へぇ、上がるねぇ。いいじゃないか。あたしはコール」
「かなり上がったのう」
 物怖じせずに賭けていくアサルを、十王は感心しながら見ている。そして場に目をやれば、なるほど、ディーラーがカードをオープンする際に不自然に絵柄が動いている。幻術系のイカサマをしている者がいるようだ。
 やがて五枚のカードが出揃い、チップが全て出揃う。チップを集めてからディーラーが静かに宣言した。
「それでは、カードをオープンしてください」
 その言葉に、フォールドしていないアサルを含む三人がカードをオープンしていった。
「フラッシュ」
「ストレート」
 アサルの左隣の悪魔がスペードのフラッシュ、その左隣りの悪魔が8始まりのストレート。どちらも決して安い手ではない。
「あたしの勝ちだね」
 だが、アサルはそれを見てほくそ笑んだ。堂々と手元の二枚のカードを開く。場のカードと合わせれば、8が二枚、Jが三枚。
「フルハウス」
「おぉっ」
 十王と他の悪魔からどよめきが起こった。どうやらアサルの仕掛けは、うまい具合に作用したらしい。集められたチップがアサルの前に運ばれる。
「ミズ・アサルの勝利です。次のゲームに移ります」
「よし、今度はわしも突っ張るぞ」
「あひゃひゃ、いいじゃないか」
 次のゲームが始まり、親が移ると同時に十王もゲームに復帰した。そうしてまたカードが配られていく。
 他方、ルーレットのブース。ガンテツはそこでグレモリア族の首輪に繋がった鎖を握ったまま着席していた。
「よーし、いっちょやるとするか。なあ?」
「はい……」
 おとなしい表情で返事を返すグレモリア族。その視線はテーブルの上にしっかりと注がれている。そしてディーラーがゲームの開始を宣言した。
「プレイスユアベット」
 その声を受けて、どんどんと置かれていくチップ。最初のうちはみんな慎重だ。アウトサイドベットが多く選ばれる。ガンテツもまずは順当に、ファースト・ダズンにチップを積んだ。
「よし」
「ノーモアベット」
 ルーレットにボールが投入され、ベット締め切りのコールがかかる。そして全員が盤上を見守る中、ボールは赤の9番にカランと転がり込んだ。
「よっし」
「お見事」
 これでチップは三倍だ。順当に勝ちを手にしたガンテツが拳を握る。
 そんな彼に、グレモリア族がそっと耳打ちした。
「次のゲーム、黒に行きます……」
「よし……」
 ガンテツも静かに返事を返す。こうしてやり取りをしていれば、他の客はこのグレモリア族がイカサマのキーだと想うだろう。実はそんな事は無いのだが。完全なブラフだ。
「スピニングアップ」
「次はこうだ」
 次にガンテツが賭けるのは31から36のライン。二回目にしてインサイドベットという強気な賭けに、他の悪魔が僅かにざわついた。
 投じられるボール。かかる締め切りの声。と。
「ノーモアベット」
「む……」
 盤上を見つめていたガンテツが、細く目に見えない水流をボールに当てて操作していると。そのボールがぐらりと小さく揺れた。他の誰かもボールを意のままにしようとしているらしい。
「(ほう……同じようなイカサマか。だけどな)」
 相手の動きを察知しながら、ガンテツが水流を当てる位置を微妙に外側に調節した。スロープを下り降りたボールは、吸い込まれるように黒の31番へと収まっていく。
「あっ……!」
「へへ……」
 悪魔の一人がハッとしたような声を上げ、それを聞きつけたガンテツがニヤリと笑った。ディーラーの静かな声が響く。
「当選はブラックの31となります。チップの回収を行います」
 チップが集められ、分配される中、腕を組みながらガンテツが後方のグレモリア族に笑いかける。
「よし、いい調子だぞ」
「はい……」
 その声を聞いて、小さく頭を下げるグレモリア族。彼の表情に、ガンテツの笑みはますます深まっていった。

●金を留めることは悪です
 程々に豪遊し、程々に金を増やし、程々に金を使った後。
 十王、キング、瞬太、泰人の四人はカジノに併設されたバーで酒を飲んでいた。最上級カジノに併設されたバー、当然のように高級な酒がずらりと並んでいる。
 ウイスキーをストレートで呷り、十王が満足げな息を吐く。
「はーっ、儲けた後に飲む酒は美味いもんじゃ」
「仕事の後ですから、なおさら格別ですね」
「へへっ、やっぱ賭け事に勝つと気持ちいいな!」
 泰人と瞬太も、普段は飲むことのない上等な酒に満足げだ。キングがバーテンダーに少なくない額のチップを渡しながら、ニヤリと笑う。
「狸塚、鼬川、二人とも今回はよく働いた。しっかり体と心を休め、次に備えよ」
「かしこまりました」
「おう、次もよろしく頼むぜ、ご主人様!」
 クリスタルグラスのロックグラスを掲げるキングに、泰人と瞬太も答える。それを見やりながら、十王はそっと目を細めた。
「ふむ……やはり仕事仲間がいるというのは、いいもんじゃな。ああ、いい酒じゃ」
 そう零しながら彼も酒を味わう。共に戦場に赴く仲間が、いつかは彼にもきっと出来ることだろう。
 他方、景品交換所では。アサルが両手で抱えきれないほどの大量の景品を、稼いだチップと交換して悦に浸っていた。
「あひゃひゃひゃひゃ、大漁大漁!」
 さすがは最上級のカジノ、高級ブランド品がこれでもかと言うほど並んでいる。それをほとんど片っ端から交換して、アサルはゴキゲンだ。
「ま、こーんくらい仕入れられれば上等でしょ。これをあたしの露店で売れば、それがあたしの金になる、と。いやぁ、こうして経済は回っていくんだねぇ」
 持って帰って、自分の露店でこれを売る。そうすれば客は高級ブランド品を手に入れて、自分は少なくない額の収入を得る。まさしくウィンウィンだ。
「勝ち方も分かってきたし、またここに来て遊んでもいいかもねぇ。あひゃひゃ!」
 これだけ儲けられるなら、これだけ楽に仕入れができるなら、また来て遊ぶのもいいだろう。そうして笑いながら、アサルは景品交換所を後にする。
 さて、ガンテツはどうしているかと言えば、まだカジノのフロアにいた。手元には何枚もの最高額のチップ。フロア内で最もレートの高いルーレットのテーブルに歩み寄り、手にしていたチップを全て叩きつける。
「よーし、ここが一番レートの高いテーブルだな? 0番に全賭けだ!!」
「えっ!?」
 その行動に、テーブルに居る客だけではない、グレモリア族までもが困惑した。
 ここに来てオールイン、しかも一目賭けとは。無茶苦茶にもほどがある。しかしガンテツは不敵に笑い、血の気の引いた顔をするグレモリア族を小突いた。
「へへ……負けたら、俺もお前も、この店から出ていけねえかもなあ?」
「えぇ……」
 ボールが投入され、運命の時間が始まる。全員が固唾を飲んで見守る中、ディーラーの無機質な声が響いた。
「ノーモアベット」
 これ以上はチップを動かせない。もう運命を天に委ねるしか無い。悪魔であるはずのグレモリア族が、両手を硬く握りしめているはずのない神へと祈っていた。
「頼む……頼みます……!」
 0番に入れという思い。ガンテツの水流によるボール操作。それが他の悪魔の、ディーラーの力とぶつかり合い、弾け合う。
 そしてカランと音を立ててボールが落ちたのは、無情にも0のすぐ隣。
「当選は、レッドの32です」
「あぁぁーーーっ!?」
 グレモリア族が文字通り膝から崩れ落ちて叫んだ。
 負けだ。大負けだ。手元に残っているのは雀の涙ほどのデビル。もうこれ以上この場にはいさせてもらえない。
 ふと、グレモリア族がガンテツと目を合わせた。ショックと恨みが入り混じった瞳がガンテツの傷だらけの顔を見てくる。
「……」
「……よし」
 その視線を、しばし受け止めて。ガンテツはおもむろに手にしていた鎖を放した。
 そして彼はカジノの出口に向かって一目散。
「トンズラするとしようか!」
「あっ、ちょっと!?」
 グレモリア族の男が絶望した顔で、走り去っていくガンテツの背中に手を伸ばす。嵐のように荒稼ぎした彼は、文字通り嵐のように去っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月28日


挿絵イラスト