熱血漢
第一章では、親交を深める為に、制服の新調をします。
互いにサイズを図ったり、どういうアレンジをしたりするか、というように交流する場面です。
体は頑丈で、力も強い大柄なドラゴニアン。
防御力に秀でるが、臆病な性質が災いし、十分に発揮できていない。
一流と言っても十分な器用さによる槍捌きを見せるケットシー。
自信過剰な点で協調性に難があり、孤立している。
長年ダンジョンを生き延びたガジェッティアの万能選手な人間。
悪く言えば器用貧乏で、ダンジョン攻略を続ける事への不安から教師になった。
みたいなNPCを適当にプレイングから考えて生やします。
こういうハッキリキャラが良いとかあればプレイングに明記してください。
第二章は幻惑の回廊に突入。
第三章はダンジョン罠ウサギとの集団戦。
第二章三章とも、このNPCとの師弟関係で動きます。
大枠に添っていれば大体OKです。
では!
第1章 日常
『オーダーメイド学園服を作ろう』
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POW | 採寸や材料選びに勤しむ |
SPD | 自分で縫製するなどして、お手伝いをする |
WIZ | 自由にして良いの部分のデザインを練る |
👑5 |
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 |
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
磯砂山・ガンテツ
☆◎
たく、なに怯えてんだ。
っつっても怖いもんは怖いか。
分からんでもない。(ガンテツ自身恐怖心はある。むしろ重要な要素だと思ってもいる)
防御をうまく使いたいのか。重い装備になるのは仕方ないが、だからって動きにくくていいってわけはねえわな。
間接の動きが邪魔されねえように、お前の体にぴったしに作らねえと。
てな訳だ、図るぞ。
全部な。(容赦はない。上も下も全部剥がす)
ほお、ドラゴニアンってのはこうなって…て隠すんじゃねえ。
採寸だ採寸。それとも逆に喜んじまうか?
ま、布の遊びも必要だしなあ(意味ありげにいう)(遅々として進まない)
(どうにか新調)そら、動きやすいだろ?
(何があったか、ガンテツは艶々している)
「防御をうまく使いたいのか」
赤茶色の髪によく焼けた肌。漁師と傭兵の二足のわらじを履く男が、目の前の学生の体を見て言った。
磯砂山・ガンテツ(海の男・f31739)は、自分よりもタッパのあるドラゴニアンの学生、名前はリダと言ったか、の戸惑うように逸らされた視線に肩をすくめた。
(気弱か、なに怯えてんだか)
仕立て屋の更衣室。そこそこの広めの部屋に二人だけ。怯えている対象は確実にガンテツだろう。
そんなに俺が怖いか? と少し気にしながらも、まずは彼の制服に意識を向けていく。
「重い装備になるのは仕方ないが、だからって動きにくくていいってわけはねえわな」
「えっと、防御に動きやすいように……?」
「ああ、踏ん張る必要があるなら、位置取りと体勢が重要だ」
だから、間接の動きが邪魔されねえように、お前の体にぴったしに作らねえと。
とガンテツは店員から借りたメジャーを伸ばして、こう言った。
「全部な」
◇◇◇
「あ、あの……これも?」
「おう、上から下までオーダーメイドにする」
最後の一枚に惑うリダを急かせば、促されるままに脱ぎ去っていく。
(恐怖心は必要だし、俺もない訳じゃねえが……)
「ちゃんと鍛えてはいるんだな」
睨まれて流されるのも考えものだな。と思いながらも布切れを足から抜き去ったリダの体に感嘆する。
実用的な筋肉。気弱を補う為に努力自体は惜しんでいないらしい。それと――。
「ほお、ドラゴニアンってのはこうなって…て隠すんじゃねえ」
「だ、だって……そんなに見なくても……」
ガンテツの視線に気付いたのだろう、掌をそこに広げたリダを睨むが、今度は流されてくれなかった。
「採寸だ、採寸」
メジャーを伸ばして、リダの体を測る。特殊な繊維のメジャーを要所に巻き付け、数字を記録していく。
「そら手除けろ」
「ぇ、でも……」
「腰回りも必要だろ、それとも逆に喜んじまうか?」
「……ッ、ち……ちが……」
慌てて隠すのをやめたリダに、ガンテツはメジャーと共に指を触れさせる。
「ぁぅ、……っ」
柔く少し湿った感触と共に、漏れ聞こえる声にガンテツは、赤面し見下ろしてくるリダを、意味ありげに笑い見上げ返す。
「ま、布の遊びも必要だしなあ」
「……っ、」
次の測定場所。一ヶ所にかかる時間が延びていき、リダは抵抗を諦めてガンテツの手の感触に身を委ねて――。
結局採寸は時間ギリギリまでかかった。
◇◇◇
「そら、動きやすいだろ?」
「あ……、でもホントだ」
体を軽く動かして、新調した制服の動きの阻害の少なさに目を見張る。
あの時間が、この転校生の悪戯目的ではなかったと知って安心するリダに。
「定期的に測定するのが良いと思うぜ?」
と妙に艶々したガンテツが耳元に囁いた言葉に、リダは再び顔を赤らめて彼を睨むのだった。
気弱が少し、改善されているのに、本人はまだ気づかない。
大成功
🔵🔵🔵
ゴロウザエモン・サンモト
◎☆
WIZ
私も一般生徒なのでございますが…いや、確かに猟兵ではありますけれども。(だが前科者はこういう仕事で良い印象を稼いでおかないとであるな…)
さて、では比較的動けそうなケットシーの先輩と組ませていただくとしましょうか。
人に指導するなんて柄ではございませんし、あのレベルであれば私が手助けする必要もなさそうでございます。
はあ…『自分は既に一流だから指導なんて必要ない』『君もせいぜい足を引っ張らないようにね』…。
さすがは先輩でございますね。あはは。(乾いた笑い)
ではそんな一流の先輩を惹き立たせるために装飾品のデザインを描かせていただくのでございます。※【アート】
…ヤベー人を選んじまったのである。
「猟兵と言えど、元よりこの学園の生徒なのでございますが……、まあ――」
点数と印象稼ぎには丁度良いかもしれない。慣習で受け継いだだけの『魔王』の称号のせいで、学園に捕縛、監視下軟禁。という生徒や先生、つまり学園全体からの第一印象が底辺ぶっちぎっていた彼女からすれば、逃す手はない。
「……失敗しないように、比較的動けそうな先輩に当たってみましょうか」
ゴロウザエモン・サンモト(『魔王』山本五郎左衛門・f27245)は、自らの平穏なる学園生活の為に、鉢巻をしめてかかる意気込みでそのケットシーの先輩が待つ教室へと向かっていった。
◇◇◇
「ああ、君が先生の言っていた転校生かい? え? 後輩だって? ふうん……まあ、いいけど。僕より経験の浅い君に教わることがどれ程あるのか。すでに一人でダンジョンに潜りもしてる一流の僕をしても読めない問題だけれども、先生方の頼みとあらば仕方ないからね、はあ、宜しく。くれぐれも、僕の足手まといにはならないようにね、分かったかい?」
(わぁ~)
開幕ストレートパンチを食らったゴロウザエモンは面食らうのも忘れて、心の中で拍手を送っていた。
なるほど、なまじっか生き残れているせいで拗れに拗れてるみたいだ。先生も苦労するはずだ。
「え、ーっと、ゴロウザエモン・サンモトと申します。むしろ私こそ勉強させてもらえたらと、あはは」
湿度1.2度位の笑みでへりくだってみる。多分意固地になったら更に拗れるような気がしたので、基本後ろをついていく方が良さげだ。と自己紹介すれば。
「……はあ、クーリ」
返事はそれだけだった。ため息付きである。
もし自分がその態度で過ごしていたら、今頃どんな生活だったか。想像するのも恐ろしい。
……その胆力は見習うものがあるかもしれない。
「制服の新調、ね。必要は無いだろうけど、仕方ないから一応聞いておくよ」
「えっと、そうですね……良い機会でしょうから、先輩が……より……、一流の先輩を惹き立たせる装飾のデザインをさせていただけましたら、とぉ……」
デザインと称して、多少彼の動きの補助や自己強化の補正になるような刻印でも仕込んでみるか、などと考えるゴロウザエモン。
「ああ、そう」
冷たくあしらうクーリ。
(……ヤベー人を選んじまったのである)
笑みを張り付けて、彼を仕立てに向かわせるゴロウザエモンは、先行きへの不安を感じずにはいられなかった。
大成功
🔵🔵🔵
ミラン・アレイ
◎☆
じゃあ、おにいさんよろしくね!背高い!(見上げ)
さっそく新しい学生服作ろっか!
ほらほら、脱いでーって、もう脱いだの?!それも全部?!はやー!!
わお、がたいいいねー、めっちゃマッチョ!でもそのポージングはいらいないかな?!
次はわたしの番?あ、そうだねー。え、脱がしてくれるの?ってぐいぐいくるね!嫌いじゃないけど!
じゃあ計ろっか……って、めっちゃ触ってくるね?!計ってくれてるの?ほんとかなー。
まあいいや、わたしも負けずにあちこち触って計っちゃうよー!
はあ……はあ……だいたい計れたし、こんなとこ……かな!!
でも、ちょっと血気盛んすぎるから、ちょっと気を抜いちゃおっかー!
どうやって抜くかは内緒!
「じゃあ、おにいさんよろしくね! 背高い!」
「やったー!! 可愛いー!!」
ミラン・アレイ(ドラゴンガール・f29182)は挨拶もそこそこに満面の笑みで腕を振り上げたドラゴニアンに、思わず目を丸くしながら見上げる。
「こんな可愛い子に教えてもらえるだなんて……ッ、おれ……しあわせ……」
「えへへ、ありがとー。さっそく新しい学生服作ろっか!」
「作るー!」
◇◇◇
という事で凄くスムーズに場所を移して、採寸。ミランが、よし、とメジャーを準備して振り返る。
「ほらほら、脱いでーって、キュロアさんもう脱いだの?!」
「完璧! どう?」
「わーめっちゃがたいいいね!」
ぽぽぽい、と衣服を全部脱いだドラゴニアンの彼、キュロアが、その鍛えた肉体全てをさらけ出すようにポージングを決める。
「はやー! でもそのポージングはいらないかな?!」
「むう……まあいいや。じゃあ、今度はミラン先生を脱がすの手伝うぜ!」
「ってぐいぐいくるね! 嫌いじゃないけど!」
竜というより犬に近いテンションのままミランも服を剥かれて向かい合う。こうするとやはり鍛えた体に比べたミランの華奢がはっきりと分かる。
ともかく採寸開始である。
◇◇◇
「あっ、もう……っそこ、敏感だから、優しく……ッ」
「うわあ、ここ、こんなに柔らかいんだ……それに温かい、すげえ」
「ひゃ、ぅ、摘ま、まないで……っ」
「女の子の脇腹すげえー」
◇◇◇
「すごく大きいねっ、それに太くて……」
「ぅ、ぁ……っ、良いでしょ? 好きなだけ触って、っいからね」
「こんなのも、ちゃんと入るんだねっ」
「自慢だからねえ、おれの尻尾! 尻尾穴大変だけど……」
◇◇◇
「はあ……はあ、だいたい計れたし、こんなとこ……かな!!」
想定より、色んな場所を詳細に測る結果になったのでとても詳しい、赤裸々な感じのデータが集まった。
動きやすい服になるのは確実だろう。
が、ここで一つ懸念を早速ミランは見つけていた。
血気盛ん。なんというか元気すぎるというか、このままダンジョンに潜ったりなんかしちゃったら、それこそ一人で突っ走っちゃいそうだ。
良くも悪くもテンション任せという感じがする。
ミランとの相性が良さそうなのが更に悪い。ブレーキをかけておかないと途中から二人して暴走しそうな気配がしていた。
流石のミランもそう思った。
「ちょっと気を抜いちゃった方がいいかなー?」
上腕を掲げてポージングしているキュロアの滾る熱に、ミランは呟いて、念のためドアの鍵をしめるのだった。
どうやって彼の元気すぎる元気を落ち着けるのかは。
「内緒!」
らしい。
大成功
🔵🔵🔵
ブリッツ・エレクトロダンス
☆ようネコ助、これからタッグを組むブリッツだ。よろしくな?
あん?スカした野郎に言われたかねえ?
なら分からせてやるよ…!
(槍がカスるギリギリの距離を維持しつつ、ペイント弾入りの拳銃を発砲。迎撃されるのは前提として、迎撃動作の僅かな隙に麻痺する程度の電撃をねじ込む)
さて、とりあえず採寸だ採寸。
全部脱ぎな、バランスとか測りたいし。
恥ずかしいってんなら俺も脱ぐぞ。
…よし。
とりあえず、採寸したデータを元に、新調した制服にちょっとしたギミックを付加した。
風力操作術式による前方への急加速だ。
間合いに飛び込んだり槍による突撃をするには使えるはずだぞ。
「ようネコ助、これからタッグを組むブリッツだ。よろしくな?」
「はっ、キミみたいな粗野な者がこのボクに気安く声をかけないでくれるかい?」
落ち着け。
ブリッツ・エレクトロダンス(★3:DJ.Blitz・f01017)は自分に言い聞かせる。
俺はこのネコ野郎の教師。良い見本なのだ。
「……ッスー」
深呼吸、深呼吸だ。……よし。
「……お前の先生様が、挨拶してんだろうがよぉ、ネコ助? 一生ネコ助で呼んでいいってかネコ助? おうネコ助?」
「ボクの名前も知らないのかい? なんて事だ。顔も声も品性が欠けているのに、知識も常識も足りていないだなんて」
「いいから答えろってんだぉん、ネコ助ぇ……?」
「はあ、ラントでいいよ。キミみたいなスカした奴に覚えられるのはこれくらいだろ?」
なるほどね? 理性が感情とぶつかってる。
泣くまでぼこすか、泣いてもぼこすか。
「つまり――ぼこして、分からせだ、オラァ!!」
「はっ、単細胞は考えが分かりやすいね!」
ブリッツが不意討ちで放ったペイント弾を避けたラントは、そのまま鞘を着けた槍で反撃してくる。
読みも、精度も、反応速度も良い。腕だけなら一流ではある。
だが、相手を見誤るその観察眼の無さは、事故を引き起こす。
「さて、とりあえず採寸だ採寸」
例えば、煽った相手に服をペイント弾の塗料まみれにされた挙げ句電撃で麻痺させられて首根っこ掴まれて、更衣室まで運ばれるとかそういう。
槍の間合いを完全に読まれて、当たるか当たらないかの回避をされて完敗だった。
「もう動けんだろ。全部脱ぎな、バランスとか測りたいし」
「……キミごときに肌を晒せと言うのかい?」
「乙女か、恥ずかしいんなら俺も脱ぐぞ?」
「恥ずかしいなどとは言ってないだろう!」
あーはいはい、そうだねえ。と言いつつ、ブリッツは埒が明かないので、むしろ自分から素っ裸になってやれば、渋々といった様子でラントも制服を脱ぎ始めた。
◇◇◇
誰が露出魔だ。あ? 脱げないって、ああベタベタだかんな、はいはい。え、パンツも脱がしてほしい? え、どんなプレ――あー! 暴れるな! 分かったっての! はーい、良い子でちゅねー、……あれ、もしかして赤ちゃん言葉で興ふ……あ、怒ってんな、これ。採寸採寸っと。
◇◇◇
「……汚された気分だ」
「採寸くれぇで大袈裟な……」
といったら睨まれた。とにかく、なんとかデータを元に制服は新調できた。
に加えて。
「んで、ちょっとしたギミックを付加した」
「な、勝手にッ」
「風力操作術式、体全体を風で押し出す奴な。お前なら上手く使えるだろ」
ブリッツが投げやりに言う。さっきの喧嘩で力量は見えている。間合いに飛び込んだり槍による突撃、使い方は様々。
出来ることが増える事の利不利に、ブリッツへの非難ではなく思案しているラントは、恐らくブリッツの敗北を回想しているのだろう。
「……使えない、事はない、か」
一先ず無駄にはならなさそうだと、ブリッツは見下ろすラントの後頭部に少しほくそ笑んでやった。
気付かれて、苦虫を噛んだような顔をされた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 冒険
『幻惑の回廊』
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POW | 自ら痛みを得るなど気合いで通り抜ける。 |
SPD | 目を瞑って進むなど視覚に頼らず通り抜ける。 |
WIZ | 模様を解析するなど要所を見ずに通り抜ける。 |
👑7 |
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 |
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
というわけで一路ダンジョンへ。
幻惑の罠が仕掛けられた通路を奥に進んで、罠を増設した罠ウサギをとっちめにいくのが、目標だ。
学生が引っ掛かったなら補助したり、わざと作動させて対処を見たり。
ただの攻略ではなく、学生の成長に繋がる経験値にならなければ、きっと学生は変わらないだろう。
それぞれに問題点はある。上手く転がして上げてくれ。
というのが依頼主からの注文だった。
◇◇◇
第2章
一章の学生とダンジョンへ進みます。
お好きにどうぞ。
プレイングお待ちしております!
ゴロウザエモン・サンモト
◎☆
・鳥たちに【集団戦術】で【偵察】してもらい、罠のありそうな場所の報告を受ける。※【式神使い・動物と話す】
・幻惑に対し【狂気耐性】
上記から幻惑の罠を華麗に退けたように見せつけ有能さをアピール。
そして気づかれないように【早業】でUC発動。
人を迷わせる【迷わし神】を召喚し罠とは別口で迷わせます。
先輩…もしかして私たち別の罠に掛かってしまったのでございましょうか…?
私にはもう何がなんだか…!
半ば恐慌する迫真の演技で先輩に【恐怖を与える】。そして先輩の対処を見守ります。
召喚悪魔に気づけばよし。術を解き迷子状態を解除。
気づかなくとも程々で解除。
この段階ではネタバレはしませんが。
…お手並み拝見である。
「僕が心配しているのは、君が罠を見抜けず足を引っ張ることだよ」
「え、あ、そ、そうであらせられますね」
(鳥からもうオブリビオンまでの道も罠も知ってはいるのでございますが)
「どうせ、幻惑に陥ったならすぐには戻れないだろう? そうなれば僕は置いていくからね」
「承知いたしました。気を付けるのであります」
(……このレベルの罠ならかかっても殆ど影響無い程度に耐えられるのではありますが)
というわけで、ゴロウザエモン・サンモト(『魔王』山本五郎左衛門・f27245)とクーリ。互いに認識がちぐはぐな二人のダンジョン攻略が開始された!
◇◇◇
と、まあ、ファーストコンタクトの時に受けた不安に反し、攻略はスムーズだった。
流石はなんとか一人でも生き延びているだけはあって簡単な罠には気付くし、察知しにくい罠も野性的な勘で道を変えて回避する。
「……」
このままでは、普通に戦って普通に勝って帰ってしまいそうだ。
なんの意味もなくなる。
「ふうん、ノロマかと思ったけど、案外鋭いね、君」
「で、ございましょう?」
わざとだろう黙って何もないように回避した罠に、気付いて声をかけたゴロウザエモンにクーリは感心したように言う。少しは認めてもらえたようだ。
「先へ進みましょう」
「……ああ」
そう言葉を交わし、道を進む。
進む、進む、進む。
曲がり、うねり、上がっては下がり、進んで、進んで。
「先輩……」
さて、聞いていたこの迷宮の全体よりも歩いたのではという辺りで、ゴロウザエモンはクーリに、問いかける。
クーリ自信も気付いているのだろう。それを認めないとばかりに睨んでくるが、ここで言葉を呑んでいては意味がない。
「もしかして、私たち別の罠に掛かってしまったのでございましょうか?」
「……」
ゴロウザエモンは頭をかきむしりながら、震えた声を発する。
もしかしたらもうここから出られないのでは、既に死んでいてそれに気づいていないのでは、いや。
「私にはもう何がなんだか……!」
ゴロウザエモンは、『至って正常な思考で恐怖に駈られた演技をしながら』クーリにすがり付いた。
「……」
クーリの顔も強張っている。恐怖を与えて彼がどう動くのか。
焦りから短慮を起こすか、もしくはゴロウザエモンが放った迷わし神に気付くのか。
「……いや、どうにも、気にかかる」
焦る中にも冷静さのある声で、クーリはじっとゴロウザエモンを見ていた。
「キミは確かに罠を全部回避していた……僕が言わずとも、僕が道を変える時も納得したようにしていた。なら僕が幻惑にかからず君がかかるはずがない」
なら、とクーリは、周りを見渡した。
「件の災魔じゃない、気をしっかり後輩。足を引っ張るな、簡単だろう」
僅かに、だけども信頼が読み取れた。
パチンと電気のスイッチを切り替えるように、何かが消えたのを感じる。
ゴロウザエモンが迷わし神の召喚を解いたのだ。及第点ではあるけれど、その存在を推理しい、時間をかければ看破も可能だっただろう。
見回すクーリが、道の既視感を訴えた。
「ここは……入り口の近くか、時間をとられたな」
「……ですが、すぐに取り戻せるのでございましょう?」
「当然、僕と君だ」
ニヤリと、やはり傲慢なままの笑みでクーリはゴロウザエモンに笑いかけていた。
大成功
🔵🔵🔵
磯砂山・ガンテツ
☆
極細の飛沫、織波イトカゼで罠の場所を確認して後ろをついていく。
幻惑だのなんだの結局どういうものか分からねえからなあ。
いつでも拘束できるように、と思ってたが、流石に慎重だな。なかなかかからねえか。
…ちょっくらイトカゼで作動させてやるとするか。かかるのは俺だ。つっても飛沫に乱反射させて効果は減衰…、こいつ襲われてえほど良い男だったか?幻惑か、くそ……いや、でもやる事は変わらねえか。
凭れかかって、触れて、誘惑して、幻惑にかかった仲間にどう対処するか。
流されるもまあ、いい。どうにか正気をもたせるもいい。
…殴ってでも正気に戻させろとか俺教えたっけか
ま、まあ、大丈夫だろ。
「え、っと……さっきの罠から考えるとやっぱり、こっちで……、この道……ですかね……」
「……」
「……ぁ、う」
リダが磯砂山・ガンテツ(海の男・f31739)をチラチラと見ながら、自分の考えを口に出しては、ガンテツの顔色を窺っている。
いや、彼の考えは正しい。正しいのだが、どうにもこちらを気にしすぎている。
明らかに間違ったことをガンテツが言ったとしても、それを否定したりしなさそうだ。
「じゃあ、こっちだな?」
「え、はい、です」
臆病が慎重を生んでいるらしく、考えていたよりも進行はスムーズだ。だが、このままで良いとも思っていない。
もしガンテツが罠にかかったら殴ってでも止めろと入っているし、逆にリダがかかったら殴って止めるといっている。
(ここは、まあ一肌脱いでやるか)
ガンテツは、実際のところ、このダンジョンの罠を探査し終わっていた。見えないほどに極細の水滴を先行させてマッピングしている。
(それを使えば……)
「うぉあ!」
「ッ、え!?」
解除して進んだ筈の罠を再起動し、作動させる事も可能だ。
ばしゅ、と壁から噴出した霧が、リダではなくガンテツへと吹きかかった。
とはいえ、水滴の壁で幾らか軽減はしている。意識が完全に飛ぶ事はない。だが。
「あ……ぁ?」
僅かに影響は出た。
駆け寄ってきたリダに凭れかかって、その顔を見上げた。
「……お前」
こうも魅力的だったか? いや幻惑で割増されているのか。
「クソ、罠の影響か……」
「だ、大丈夫ですか?」
腕に抱かれて、ガンテツは少し笑みを浮かべた。どうせやることは変わらない。
「……なあ、リダ」
ガンテツはその腕から、胸へと手を這わせた。採寸の時に、弱い場所は知っていた。
「っ、ぇ」
「二人きりだぜ、襲ってくれねえのか?」
脚を股の間に差し込んで太腿で刺激してやる。分かりやすく顔を赤らめて、身体はすぐに反応してくれた。採寸の記憶が蘇っているのか。
「磯砂山、さ……」
「リダ」
彼の腕を、ズボンの隙間から自分の臀部に宛がい、彼の下から布を押し上げるズボンを寛げれば、若い滾りが欲を見せている。
リダの手が、無意識にかガンテツの身体を揉み、その窄みへと指を這わせる。
その時。
「だ、ダメです……! ご、ごめんなさい!!」
そんな声と共にガンテツの視界に火花が散った。
「お、ぐッ!?」
「ご、ごめんなさい! 大丈夫ですか?」
「あ、ああ」
幻惑は解けていた。が、それ以上にフラレたというショックが意外と大きく。
「も、戻ったら……責任取ってくれるまで、か、帰さないですからね……ッ」
ズボンを直しながら言うリダの言葉に、どこか頼りがいを感じて、ショックも吹き飛ぶのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ミラン・アレイ
◎☆
キュロアさんを先行させ、わたしは少し後ろ方から付いて行ってバックアップだねー。すぐフォローできるよう付かず離れずな距離を保つよ。
トラップに引っ掛かるのも経験だよね!多少のダメージや怪我なら、あえて目を瞑るねー。どこにどんなトラップがあって、引っ掛かるとどう言う目にあるのか、身を持って感じてもらうのが、血気盛んな彼には必要だと思うんだ!
大きなダメージを受けそうだな、と【第六感】で感じ取ったら、彼の傍で【オーラ防御】を展開したり、【怪力】で罠を破壊したり、彼を【怪力】で抱えて【空中浮遊】したりと、彼を守るよー。
彼の持ち味の血気盛んさに、慎重さを身につければ、かなり優秀な前衛になると思うからね!
「それじゃあ、わたしは後ろでバックアップだねー?」
ミラン・アレイ(ドラゴンガール・f29182)が確認するように言うと、ドラゴニアンの生徒、キュロアは両腕を上に曲げ、上腕二頭筋を強調して、自信満々に笑って返した。
「うん! 前は任せろー!」
なんというか、一つ大人の階段を登った……みたいな、自信がみなぎっている。制服の新調か、別の理由か。
ともかく分厚い体を更に強化するような制服に身を包むキュロアは、ミランと落ち着く時間を過ごしたにも関わらず、制服の完成とともに、またテンションが急上昇していた。
といっても、採寸のときのほどではないので、ミランもそれで満足しきってダンジョン攻略がおざなりになるよりは、全然いいかなあ、とダンジョンへと踏み入れていた。
「ふっふー、可愛い女の子を守るおれ……」
(うーん、あと3歩くらい……?)
勇んで進むキュロアの揺れるしっぽを見つめながら、ミランは彼の歩幅を素早く計算して、タイミングを図る。
キュロアは、直前に引っかかった罠に似たような、壁に不自然なところがないかと探しながら、勇敢な感じで歩いていく。その時。
「大人になったおれは一あ、じっ!」
がこん、と床が僅かに凹んだ瞬間に、剣を抜いたキュロアは、ミランへと腕を出して止まるように支持を出す。
「この……っ!」
そういって切りかかっていく!
何もない、壁へと。
「あがっ……!?」
(あー)
心のなかでやっぱりこうなったかー、と首を傾げたミランの目の前で、案の定というか、壁に剣を弾かれ、腕に走った痛みにキュロアはうずくまる。
多分、その拍子に、床から吹き出してキュロアの顔面にかかった幻惑の霧の影響も抜けたのだろう。
「大丈夫?」
「だ、いじょうぶ――!」
駆け寄って蹲る彼に駆け寄って、痺れているらしい腕を擦りながら話しかける。はじめから罠の床だとわかっていたミランが一声かければいい話だったかもしれないけれども、回避しなければ行動に支障が出るようなものじゃなければ、特に助言はしないつもりでいた。
体は丈夫なわけだし、ある程度痛みで学んでいくのもいいと思ったのだ。
「ううー、壁とか天井だけじゃなくて、床もかあ……、って定番ものじゃん!」
「あはは、床がスイッチにってのはよく聞くよねー」
「くう、恥ずかしい……よし、とりもどす!」
「うん、その調子!」
凹んでいたのも束の間、すぐに元気を取り戻すキュロアにミランは頷いた。
見栄っ張りなのと、あまり失敗を顧みないのが欠点のようだけれど、見栄を張るために必要なことなら失敗も真面目に考えてくれるらしい。
自然と前に出て前衛を担ってくれるし、防御はやはり高い。
(慎重さを身につければ、かなり優秀な前衛になると思うからね!)
そんな確信とともに、ミランとキュロアはダンジョンの奥へと進んでいくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
ブリッツ・エレクトロダンス
☆さて、ここからが本番だぞ、っと。
見ての通り、呆れるほどに罠だらけだ。
まあ、罠については俺が解除できるからいいんだが…
ちょっとばかり面倒臭い事になったな。
このゲートをこじ開けるにあたってどうしてもアラームが鳴っちまう。
そうなると騒がしい連中が押し寄せてくる訳だが、俺はゲートをこじ開けつつアラームを止めるのに専念しなきゃならねえ。
そういう訳で、迎撃を頼めるか?ラント。
…
……
………よし!こっちは終わった。そっちは…上出来じゃないか。
そういうところ、頼れるぞ。
一人じゃどうしても手が届きにくい場面ってのはあるから、こうやって役割分担できるととってもいいんだ。
ダンジョンというのは、やはり侵入者を撃退するという事が作成者側からの思考として、最初に挙げられる。
だが、しかし、最終到達点を設定しているということはつまり、挑戦者が撃退されず最奥へと達することが可能であるという自己矛盾を孕む存在だ。
つまるところ、ダンジョンというのは、製作者、もしくは、影響を与えた何者かの意思や無意識によって、その突破を著しく妨害するものでありながら、突破を不可能なようには作られない。
まあ、元来防衛する誰か、もしくは何かの搬入や出入りにも使う場所なのだから、そういった抜け道というか正解ルートというのは存在してしかるべきものなわけで。
「つまりそういうことだ」
ブリッツ・エレクトロダンス(★3:DJ.Blitz・f01017)は、閉じ込められた広場でそういった。
「……別の道を探ったほうが良かったんじゃあないのかい?」
裸の付き合い(半強制)によって微妙な空気感を醸し出すラントが、冷や冷やとした視線が向けられた。
背後に壁が左右から閉ざされた入り口。そして、目の前に蒸気魔導機関の扉。
「まあ、俺がコレこじ開けるから――」
「……ッ!?」
と無造作な感じで、端末に紫電を走らせた途端に、アラームが鳴り響く。と同時に天井からボトボトとなにか球体のようなものが落ちて。
「騒がしい連中が押し寄せてくる訳だが、俺はゲートをこじ開けつつアラームを止めるのに専念しなきゃならねえ。迎撃頼めるか?」
モゾモゾと四足二腕の機械人形が一斉に起動した。
「きみのそういう大事な事を先に言わないのはなんなんだッ!?」
「お前ならやれると信じてるからさ……、ラント」
というのは嘘で、最初のナメた態度への意趣返しだ。いや、信じているのは嘘じゃないけれど。
「ぅ……、ふ、ふん……まあ、キミ如きに信じられようと、信じられまいとボクの矜持に瑕疵の一つ付きはしないけれどもね」
(ちょろーい)
まあ、もしピンチなら飛び出す気ではあるけれど。
◇◇◇
アラームが止まり、扉のロックが解除される。結局、ブリッツが迎撃に回ることはなかった。
「よし! こっちは終わった。そっちは……上出来じゃないか」
振り返ると、肩で息をしながら、地面に刺したやりに体を預けるケットシーの姿。苦い顔でブリッツを睨んでいる。
「そういうところ、頼れるぞ」
「ああ、どうも」
「一人じゃどうしても手が届きにくい場面ってのはあるから、こうやって役割分担できるととってもいいんだ」
「はっ、こそ泥の真似事も役に立つということだね」
ラントは自分で言っておいて、目を逸らしては心底嫌だというようにブリッツに続けた。
「……分かってるさ、言いたいことは。不意打ちでこういう罠に掛けられたら、ボク一人じゃあ延々戦い続けるしかない」
「そういうこったな、じゃあ行くか」
荒療治が聞いているらしい。というか、こちらの話を聞かないとまた何か不遇を受けると、無意識に話を噛み砕いてくれている、らしい。
それも成長か、とブリッツは開いた扉の向こうを親指で指し示した。
大成功
🔵🔵🔵
ガンテツは、今も罠ウサギが周囲にばらまいている、下手すれば足首を切断されそうな罠へと水流の槍を突き刺し、その先端を拘束具へと変化させて、その機能ごとに凍結する。
氷の拘束具でベッドに縛り付けられたリダは、腹に跨がるガンテツに恐る恐る問いかける。袖だけの服は脱ぎ捨て、下着一枚のガンテツが暗い室内でも分かる程に笑っている。
ゴロウザエモン・サンモト(『魔王』山本五郎左衛門・f27245)は、自分を狙っていた罠ウサギの集団から飛び出していった一匹がクーリへと飛びかかっていくのを声で注意すれば、鋭い返事が即座に返る。
いや、むしろクーリを選んだのは自分だった、という言葉を呑み込む。なんか納得しているみたいだし、意地悪いと言いながらもどこか明るい表情をしているので、悪印象を浮かべたわけではないらしい。
となんとも可愛らしい悲鳴と共にポンポンと煙に包まれて消えていく罠ウサギ達を、次第に息を合わせる時間も少なく、連携を繋げていけるようになった二人が次々と撃破していく。