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災禍を祓うもの

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #チーフメイド・アレキサンドライト #エルフ

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「……ここですわね」
 天高く聳える無数の大樹。何処まで続くとも知れぬ、広大な森。入り口さえ見つからぬその森の前に、一人の女が佇んでいた。
 深い青緑と赤紫に彩られた輝石の身体を持つ、メイド服に身を包んだ女。
 その名は、チーフメイド・アレキサンドライト。
 このアックス&ウィザーズではなく、遥か遠きスペースシップワールドより、プリンセス・エメラルドの命を受けてやって来た――猟書家のひとりだ。
「こんな陰気臭い森に住むなんて、わたくしにはとても考えられません。ですがそのおかげで、聖なる木とやらがこれまで誰にも奪われることなく在ったこともまた事実」
 アレキサンドライトは宣戦布告とばかりにガトリングガンからサイキックエナジーの弾丸を放ち、森の奥へ続く道を抉じ開けると、美しく象られた唇を笑みの形に歪ませながら告げた。
「――全て、焼き払っておしまいなさい」
 声に応えて現れた無数の炎の精霊たちが、我先にと狂気の咆哮を上げながら駆け出してゆく。
 その背を見つめながら更に笑みを深くしたアレキサンドライト自身もまた、この森に住まうエルフたちを根絶やしにするために一歩、踏み出すのだった。

●災禍を祓うもの
「猟書家の動きが捕捉されました。どうか、皆様のお力をお貸し頂きたいのです」
 その場に集った猟兵たちを前に、フィオリーナ・フォルトナータ(ローズマリー・f11550)は真剣な面持ちで告げる。
「幹部猟書家――チーフメイド・アレキサンドライトが目をつけたのは、エルフだけが住まうとされる広大な森です。森には無数の大樹が聳え、エルフの皆様はその樹上にツリーハウスを構えて暮らしていらっしゃるのだとか」
 こうした森はエルフ以外の種族にとっては迷いの森であり、本来ならば集落に辿り着くことさえ出来ないのだという。
「ですが、今回……猟書家は配下を率い、森そのものを焼き払おうとしているのです」
 アレキサンドライトの狙いはエルフの森の何処かに存在する、“聖なる木”なのだとフィオリーナは続ける。
「世界樹イルミンスールより株分けされたその聖なる木こそ、迷いの森を造り出している魔術的な力の源であり、たとえ炎に巻かれても決して燃えることはありません。そこで、猟書家は森全体を焼き払うことで聖なる木を見つけ出そうとしているのと同時に……エルフたちの命をも奪い、オブリビオンとして蘇生させようとしているのです」
 到底許されることではありませんとフィオリーナは眉を寄せ、小さく首を横に振った。
「幸い、森に住まうエルフの方々は、神秘的な事柄への順応力が高い……とでも言うのでしょうか。ですので、皆様のことや状況もすぐに理解して、協力してくださるはずです。……既に猟書家による焼き討ちは始まっております。これより皆様を現地――集落へと転送いたしますので、どうか、宜しくお願い致します」
 フィオリーナは深く頭を下げると、グリモアを輝かせ――エルフたちの住まう森へと続く扉を開いた。


小鳥遊彩羽
 ご覧くださいましてありがとうございます、小鳥遊彩羽です。
 今回は『アックス&ウィザーズ』における『猟書家』のシナリオをお届け致します。

●シナリオの流れと補足など
 第1章:『炎の精霊』(集団戦)
 第2章:『チーフメイド・アレキサンドライト』(ボス戦)
 となっております。2章構成のシナリオです。

 皆様がエルフの森に到着した時点で、猟書家による焼き討ちが始まっています。
 森を焼き討ちする炎の精霊は、スペースシップワールドのアームドフォートを装着しています。
 また、エルフたちの指示があれば、敵だけが道に迷い、こちらは樹上から一方的に有利な状態で戦うことができます。素早く倒せれば、延焼も最小限で済みます。
 エルフたちは道案内の他、簡単な援護射撃や回復魔法、強化魔法などで皆様をサポートしますので、ご要望がありましたらお伝え下さい(特になければリプレイには登場しません)。

●プレイングボーナス
 エルフ達と協力し、共に戦う(全章共通)

●その他の補足など
 ご一緒される方がいらっしゃる場合は【お相手の名前(ニックネーム可)とID】もしくは【グループ名】をご記載下さい。
 プレイング受付はオープニング公開時より。受付期間はマスターページにてご案内させて頂きます。

 以上となります。どうぞ宜しくお願い致します。
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第1章 集団戦 『炎の精霊』

POW   :    炎の身体
【燃え盛る身体】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に炎の傷跡が刻まれ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    空駆け
空中をレベル回まで蹴ってジャンプできる。
WIZ   :    火喰い
予め【炎や高熱を吸収する】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「長老様! 東の方角から炎が!」
 見張り台に立つエルフの娘が示す方角、森の緑を埋め尽くさんばかりに広がってゆく鮮やかな炎を、樹上のエルフたちはただ呆然と見つめることしか出来なかった。
「どうしよう、わたしたちの森が燃えちゃう!」
「俺たちの力じゃ、どうにもならないのか……?」
 身を寄せ合って震える幼い姉弟。
 己の無力さに強く拳を握りしめる青年。
「時を待つのじゃ、世界樹イルミンスールは決して、我らを見捨てたりなどはせぬ」
 成す術もなく、ただ炎が広がってゆく様を見つめることしか出来ないエルフたちに、長老と呼ばれた老齢のエルフはただ静かにそう告げると、天を仰いだ。
「世界樹イルミンスールよ、どうか、我らを護り給え……」
 ――そして、その祈りは。
 
神宮時・蒼
…酷い事を、します、ね…。…森に、罪は、ありません、のに。
…まずは、あの、炎の精霊…、……なんか、予想、していたのと、違い、ますが、彼方を、なんとか、しましょう、か

【WIZ】
エルフの方々が協力してくださるのなら、手を借りましょう
そう、ですね。…高い場所が、あれば、教えて、いただけると…。
…炎虎を、倒しながら、森の、火も、消して、しまい、ましょう
見渡せる位置についたなら、後は此方の番
「全力魔法」「範囲攻撃」「属性攻撃」で水の力を纏わせた白花繚乱ノ陣の花弁を降らせましょう。
相手の攻撃は「結界術」で防ぎましょう。見つからないのが一番ですが…。

此れで、被害は、抑え、られる、でしょうか



「……酷い事を、します、ね……。……森に、罪は、ありません、のに」
 ツリーハウスが並ぶ大樹の上。
 ふたいろの琥珀の瞳を悲しげに揺らしながら、神宮時・蒼(終極の花雨・f03681)は燃える森を、そして広がる炎を“喰らい”ながら駆けてくる炎の精霊たちを見下ろしていた。
「……まずは、あの、炎の精霊……、……なんか、予想、していたのと、違い、ますが、彼方を、なんとか、しましょう、か」
 精霊そのものはこの世界でも度々見られるオブリビオンに違いなかった。
 だが、この森を焼き尽くさんとするかの獣たちは、何故か皆一様に、あまりにも不釣り合いな固定砲台――アームドフォートを括り付けていて。
 そこから放たれる炎が、さらに森を赤く、黒く染め上げていて――一刻も早く倒さなければならないと蒼は強く感じながら、傍らの少女へと振り返った。
「……お力、を、お貸し、いただけます、か……?」
「ありがとうございます、勇者様。――私たちに出来ることでしたら何なりと」
 蒼の声に、水色の髪のエルフの少女が張り詰めていた表情を和らげる。
 この森に住まうエルフたちは、突然現れた猟兵たちを“勇者”であると認識したようだった。
 彼らからすれば、猟兵たちは世界樹イルミンスールやこの森を護る聖なる木が導いた救世主に他ならないだろう。
 祈りが届いたのだと長老は咽び泣き、この森を守ることが出来るのだと知ったエルフの若者たちは次々に立ち上がった。
 蒼はエルフの少女と共に、ツリーハウスの連なる樹上――そこから更に高い場所にある、見張り台までやって来ていた。
 ここからならば、十分に森を見渡せる。
 森の木々が燃える中、駆ける精霊たちの姿を捉えることはそう難しくはなかった。
 そして、炎の精霊を倒しつつ、同時に森の火を消すための術を、蒼は静かに編み上げていた。
 白花の杖で描き出した魔法陣を、樹上から地上へと向け――蒼は、静かに告げる。
「……何にも、染まらぬ、誠実なる、白。何にも、染まる、無垢なる、白。……舞え、吹き荒れろ」
 刹那、魔法陣から溢れるように咲きこぼれた白き月花が、清冽な水の力を纏って降り注いだ。
 白花繚乱ノ陣――月花ノ吹雪。内に眠る魔力のすべてを注ぎ込んだ白花の雨が、燃え上がる木々を優しく包み、そして精霊たちを在るべき場所へと還していく。
 突然のことに精霊たちは為す術もなく掻き消えて、その燃え盛る炎が蒼に届くことはなく。
「此れで、被害は、抑え、られる、でしょうか……」
 蒼はエルフの少女と顔を見合わせ、小さく頷きを交わす。
 ――戦いは、まだ始まったばかり。
 だが、皆で力を合わせれば、必ずや災禍を退けられるはずだ。
 蒼は確かな想いを胸に、まだ残るであろう敵を探しながら、白き花の雨を降らせ続ける――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

篝・倫太郎
森が森として形作られるまで
どれだけの歳月が必要だと思ってるんだか……
育てるのは長い時間が掛かるのに
奪われるのは一瞬

そんな事させねぇ、絶対に

風の流れを読んで風下に
風下で戦闘に適した場所をエルフ達に教えて貰い
位置取りしたら戦闘開始

斎火で水の神力を纏う
敵が吸収の動きを見せたらその対象を中心に華焔刀で先制攻撃
なぎ払いからの吹き飛ばしで燃えてない木々から遠ざける
攻撃には破魔と鎧無視攻撃を常時乗せてく

敵の攻撃は見切りと残像で回避
ただし、回避することで延焼を招く場合は
その場でオーラ防御で防ぎ
吹き飛ばしを乗せたカウンターで対処
負傷は激痛耐性と火炎体制で耐えて凌ぐ

災禍は狩る
それが俺の一族の在り方で生き様だからな



「森が森として形作られるまで、どれだけの歳月が必要だと思ってるんだか……」
 鼻につく焦げた臭いに、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は溜め息混じりに吐き出した。
 瑞々しい緑に彩られた森。
 悠久の時を、幾星霜を経て創り上げられた、数多の命が息づく世界。
 ここに至るまでに流れた時間は、きっと、倫太郎が想像している以上に長いものだろう。
 だが、どれほどの時を掛けようとも奪われるのは一瞬。
 燃え広がりつつある赤い炎は、それをありありと見せつけてくるようで。
「――そんな事させねぇ、絶対に」
 己は、同胞たちは。それを止めるために来たのだから。
 愛用の華焔刀を握る手に力を込め、倫太郎は胸裡に灯る確かな想いを言葉に変えて吐き出した。

 エルフたちが教えてくれた道を辿り、同時に風の流れを読みながら、倫太郎は風下へと回り込む。
 集落の中心からさほど離れていない場所にある広場へ踏み込むと同時、駆けてきた炎の精霊たちが次々に咆哮を上げて倫太郎へと襲い掛かってきた。
 砕き、祓い、喰らう――カミの力。
 若葉色の髪をふわりと靡かせ、一族にまつわる水の神力をその身に纏い、倫太郎は地を蹴った。
「グルル……!」
「させるかよっ!」
 広がる炎と熱をその身に取り込もうとした一体へ倫太郎は即座に迫ると、そこを中心に魔を祓う力を乗せた華焔刀で薙ぎ払い、まだ火の手が及んでいない木々とは反対側へ纏めて吹き飛ばした。
 すぐさま畳み掛けるように踏み込み、まだ息のある精霊を一体ずつ確実に仕留めて。
 炎の精霊たちが背負うアームドフォートごと叩き斬り、在るべき場所へと還していく――。
 ――その時。
 致命傷を免れたらしい一体が、倫太郎目掛け飛びかかってきた。
「――っ!」
 動きを見切るのは容易く、回避も難しくはないだろう。
 だが、ここで避ければ延焼が広がり、あるいは新たな火種が生まれてしまうかもしれない。
 咄嗟にそう判断した倫太郎は、纏う水の神力に守りの気を重ねることで精霊が放った熱を相殺すると、再び華焔刀を振るって炎の精霊を弾き飛ばす。
 ふと相殺しきれなかった熱が腕を走っていたことに気づいたが、炎への耐性も痛みへの耐性もある倫太郎にとってはさほど問題ではなく。
「……災禍は狩る。それが俺の一族の在り方で生き様だからな」
 そうして、新たに駆けてきた炎の精霊たちを挑むように見据えながら、倫太郎は再び水の神力を巡らせるのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
四人で一人の複合型悪霊。生前は戦友。

第一『疾き者』唯一忍者
一人称:私 のほほん
武器:漆黒風

誰かの故郷を滅ぼさせてたまるか。
ここ、私に一任されてるんですよねー。
すみませんー、少しお手伝いお願いしたいんですー。ええ、敵だけを迷わせてほしいんですよー。
あと、雨…水属性強化ってできます?

私とエルフに、迷彩と防御を兼ねた結界術を施しましてー。
指定UCにて、呪詛+風雨属性攻撃のついた漆黒風を投擲しましょう。急所狙いですよー。
あと、私は一投一投、居所をかえるのでー、簡単には気取られませんし、見つかりませんよー。

精霊とて慣れぬ武器持てば、その分は確実に弱くなる。…具体的には、遅くなるでしょうねー。



「すみませんー、少しお手伝いお願いしたいんですー」
「はい、俺たちに出来ることでしたら何なりとお申し付け下さい」
 揃って深く頭を垂れるエルフの青年たちに、馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)はのんびりとした笑みを浮かべたまま、うんうんと頷いてみせる。
「ええ、敵だけを迷わせてほしいんですよー。あと、雨……水属性強化ってできます?」
 複合型の悪霊である義透の内には四人の魂が存在しており、必要に応じて一人が表に出てくる。
 今回表に出ているのは一人目の“疾き者”――何の変哲もない棒手裏剣を得物とする、忍者だった男だ。
 鬱蒼と茂る森は暗い場所も少なくはない。闇に紛れて動くとなれば、忍びの出番とも言えるだろう。ゆえに。
「ここ、私に一任されてるんですよねー」
 やれやれと肩を竦めてみせるも、義透の中に在る確かな想いは、皆同じだった。
(「――誰かの故郷を滅ぼさせてたまるか」)
 義透は己自身とエルフに迷彩と防御を兼ねた結界術を施し、樹上を駆けてゆく。
 エルフもまた義透の武器に水の加護を付与し、あちらです、と火の手が上がる方向を指差した。
 絡み合うように並ぶ木々に行く手を阻まれ、その場でぐるぐると回っている炎の精霊たちが見える。
 無論、獣たちはこちらに気づいた様子はなく、ただ先に進めぬことに苛立ちを募らせているようで。
 そうして、獣たちが火を放つよりも先に、義透は動いていた。
「私の早業、受けてみますー? と言っても、ここからでは聞こえないと思いますがー」
 樹上から、義透は呪詛と風、そして雨の力を宿した漆黒風を素早く投げつけた。
「ガァッ!?」
 急所を狙って放たれたそれは寸分違わず命中し、精霊が一体、その場に崩れ落ちる。
 死角からの攻撃に右往左往する炎の精霊たち。その間に義透は素早く大樹の枝を伝って別の場所へと移動していた。
「私はここですよー? まあ、簡単には気取られませんし、見つかるつもりもありませんけれどもー」
 瞬く間に混乱状態に陥りその場をぐるぐると駆け回ることしか出来なくなった獣が、背負ったアームドフォートの重さに振り回されて転がった。
「やはり、思っていた通りでしたねー。精霊とて慣れぬ武器持てば、その分は確実に弱くなる。……具体的には、遅くなりましたねー」
 その隙を、義透が見逃すはずもなく。投げ込まれた棒手裏剣が、さっくりと首の辺りに突き刺さる。
 その後も一投一投、居所を変えながら、義透は確実に炎纏う獣の群れを仕留めてゆくのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
同行:アイシャ(f06524)

これまた派手な火祭りね。いいわ。あなたたちへの送り火にしてあげる。
取りあえず、あたしが囮になって目立つように。
アイシャの守護の祈りに共感して、能力を底上げさせてもらうわ。

「降霊」で執金剛神降臨。
「火炎耐性」「環境耐性」で炎の精霊の放つ火炎に耐えつつ、「衝撃波」を纏った執金剛神様の独鈷杵で「なぎ払い」「串刺し」にして着実に敵の数を減らす。
森の被害を考えなければ、強力な術式で一掃するんだけどな。
基本的に囲まれないように。複数相手はさすがに厳しい。

式神の偶神兵装『鎧装豪腕』を「式神使い」で使役し、炎を「盾受け」させる。あたしだけじゃなくアイシャのガードもしてちょうだい。


アイシャ・ソルラフィス
ゆかりさん(f01658)と一緒に参加

幼い頃の記憶がないボクだけれど、ボクの本当の両親が遺してくれたこの杖が世界樹の枝木だってことは知ってる
そして目の前で世界樹が、今はいないボクの両親のように失われようとしている
そんなの、ほっとくわけにはいかないよね!

ゆかりさんや周囲にいる猟兵のみなさんに『守護の祈り』を使用
ボク自身は水の〔属性攻撃〕+〔全力魔法〕+〔多重詠唱〕+〔高速詠唱〕+〔なぎ払い〕で攻撃
主にゆかりさんの術が完成するまでの足止めと援護
接近されたら〔見切り〕と〔盾受け〕を駆使してがんばります!

戦闘終了後は水の〔属性攻撃〕で消化作業と、〔救助活動〕で怪我人の看護をします



「幼い頃の記憶がないボクだけれど、ボクの本当の両親が遺してくれたこの杖が世界樹の枝木だってことは知ってる」
 アイシャ・ソルラフィス(隣ん家の尚くんを毎朝起こす当番終身名誉顧問(願望)・f06524)はそう呟きながら、手にした杖――世界樹の名を冠するそれを、ぎゅっと握りしめる。
 世界樹イルミンスール――そこから株分けされた、聖なる木。
 エルフの森を守る世界樹の子が、今、目の前で――もうどこにもいないアイシャの両親のように、喪われようとしている。
「そんなの、ほっとくわけにはいかないよね!」
「ええ、もちろんよ」
 アイシャの声に力強く頷いた村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)が、先んじて地を蹴った。
 二人の行く手には赤く燃え盛る炎をまとう精霊の群れ。
「ゆかりさん、みんな! 怪我しないように、気をつけて!」
 咆哮を上げて襲い掛かってくる獣たちに臆することなく駆け出したゆかりへ、アイシャは己の力を託すように祈りを籠める。
 背に刻まれた聖なる傷痕が放つ痛みに、アイシャは自らの祈りが届いたことを知った。

 燃え盛る炎が、辺りの森を赤く染め上げていた。
「これまた派手な火祭りね。いいわ。あなたたちへの送り火にしてあげる」
 向けられる精霊たちの眼差しを受け止め、その意識を惹きつけるように動きながら、ゆかりはまず呪符を取り出し、式神である偶神兵装『鎧装豪腕』を顕現させた。
「あたしだけじゃなく、アイシャのガードもしてちょうだい」
 浮遊する一対の籠手型式神は、ゆかり自ら作ったものだ。式神は右手と左手、それぞれに別れ、ゆかりとアイシャを護るように飛び回る。
 そして、ゆかりは次に、己の身に霊を降ろすべく印を組んだ。
「……オン ウーン ソワカ。四方の諸仏に請い願い奉る――」
 だが、その隙を獸たちが逃すはずはなく。
「グルオオオオオッ!!」
 術を編み上げるまでの僅かな間を喰らわんと、飛び掛かってきた一体が牙を剥いた。
「――させないっ!」
 アイシャの凛とした声が響き、重ねられた水の魔力が波のように炎の精霊たちを押し流す。
 礼の言葉を告げる代わりに、口の端に微かな笑みを刻んだゆかりは、素早く残りの術式を紡ぎ上げた。
「――其の御慈悲大慈悲を以ちて、此の時此の場に御身の救いの御手を遣わしめ給え!」
 声に応えて現れたのは、ゆかりの二倍の身の丈を持つ執金剛神。
 執金剛神はゆかりの動きをそのまま写し取りながら、威圧的な眼差しで獣たちを睨み据え、手にした独鈷杵をぶん、と振るう。
 すると、生み出された風が、凄まじい圧を伴う衝撃波となって炎の精霊たちを薙ぎ払った。
 それだけではなく、執金剛神はまだ息のある精霊を独鈷杵で串刺しにして、着実にその数を減らしていく。
 一方のアイシャもまた、素早く何度も詠唱を重ね、水精霊の力を余すことなく解き放って――ゆかりの籠手型式神の守りを受けつつ、水の精霊たちと共に奮戦していた。
「ゆかりさん、大丈夫?」
「ええ、大丈夫よ」
 アイシャの呼ぶ声にひらりと片手を振って答えながらも、ゆかりの中にはある一つの思いが根を下ろしていた。
「……森の被害を考えなければ、強力な術式で一掃するんだけどな」
 囲まれないように立ち回りながら、ゆかりは独りごちる。
 このまま戦闘を長引かせてでも一体ずつ倒していくか。あるいは、森を更に傷つけることになっても、短時間で終わらせるか。
 ――とは言え。
 エルフたちのことを、そして他の誰でもないアイシャのことを思えば、ゆかりの中では――考えずとも、答えは出ていたのだけれど。

 やがて、周囲から炎の精霊の気配は完全に消え去り、ゆかりはほっと息をついた。
「ゆかりさん、怪我はない?」
「ちょっとだけ火傷しちゃったけど、でも、大したことはないわ」
「もう! 大したことなくないよ! すぐに治すからね」
 そうしてゆかりの傷の治療を終えた後、アイシャは再び水の精霊たちの力を借りて、残る火を消していく。
 一度焼けてしまった森は、すぐには治らないだろう。
 けれど、長い時間をかければ、必ず元の姿を取り戻せるはずだ。
(「……出来ることはやれたわね。後は……猟書家、か」)
 ゆかりは獣たちが駆けてきた方を見つめながら、続く戦いに思いを馳せるのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ティーシャ・アノーヴン
……エルフの森と聞き、いてもたってもいられませんでした。
一人で飛び出して来てしまったので、心配されているかしら。

さて、どうやら私の故郷の森ではなかったようですが……。
無論、良かったなどとは思いません。

私の故郷でなくとも誰かの故郷。
大切な森ですから。

私は……故郷の森の掟を破り、外に飛び出した不心得者です。
ですが、大切な森を守りたい心までは捨てておりません。
誠心誠意を以てお手伝いさせて戴きますわね。

大鰐霊様、遠慮は要りません。
敵を喰らい尽くしましょう。
火傷にはご注意下さいね。

大鰐霊様と連携し、一体一体確実に倒していきます。
私達があの炎の精霊を掻き消します。
皆様は火を消して回ることを優先して下さい。



 エルフの森と聞き、居ても立っても居られずに。
 ティーシャ・アノーヴン(シルバーティアラ・f02332)は一人で、グリモアの光が開いた扉へ飛び込んでいた。
「……一人で飛び出して来てしまったので、心配されているかしら」
 その肩口には、いつも行動を共にする誰かの姿はなく。
(「それとも……、――いいえ」)
 脳裏にちいさなパートナーの姿を思い描いて、ティーシャは緩く首を横に振る。
 可能性を思い描くより、無事に帰るために速やかに戦いを終わらせることが先決だ。
 ティーシャは初めて見る森の光景に、そこが己の故郷ではなかったことを知る。
 だが、“良かった”――などと、思うつもりは毛頭ない。
 たとえこの森がティーシャの故郷でなかったとしても、どこかにいる、知らない誰かの故郷であることに違いはないのだから。
「それに、ええ、――森は、私たちにとっても……大切なものですから」
 かつて故郷の森の掟を破り、森の外に出たティーシャだが、大切な“森”を守りたいという心まで捨てたつもりはない。
「誠心誠意を以て、お手伝いさせて戴きますわね」
「ありがとうございます、同族の勇者様が来てくださったことは、とても心強いです」
 そう言って屈託なく笑った幼いエルフの少女が、ティーシャには眩しく感じられた。

 ティーシャは一人、戦場に立つ。
 辺りの森へ放たれた炎は同胞たちの手によってだいぶ抑えられていたが、それでもぱちりと火種が爆ぜれば、新たな火が生まれてゆく――その繰り返しであった。
 何より炎を放つ獣たちをすべて退けなければ、状況が好転しないのも事実。
「――お出でなさい、獰猛にして気高き大鰐霊」
 凛と澄んだ声を響かせ、ティーシャは強い絆で結ばれた古代の大鰐の霊を召喚した。
「大鰐霊様、遠慮は要りません。敵を喰らい尽くしましょう。火傷にはご注意下さいね」
 わかったとばかりに返る唸り声に頷いて、飛び出した大鰐霊とティーシャは息を合わせながら炎の精霊たちを一箇所に追い詰めていく。
 そして、ティーシャは樹上のエルフたちへ向けて声を上げた。
「私達があの炎の精霊を掻き消します。ですので、どうか皆様は火を消して回ることを優先して下さい。魔物の力によらない炎ならば、皆様の力で消せるはずです」
「……はい!」
 森のエルフたちはそれぞれに水の精霊の力を借りて、残る炎を消していく。
 一方の大鰐霊も、その大きな牙で炎の精霊を喰らい、あるいは強靭な尻尾で振り回して、炎を抑え込んでいた。
「これで、少しは抑えられたでしょうか」
 水の精霊たちが舞う様は、まるで雨が降るようで。
 水に濡れた土の匂いにどこか懐かしさすら覚えながらも、ティーシャは傍らに寄り添うように並ぶ大鰐霊と共に、真っ直ぐに獣たちがやって来た方を見つめる。
 すべての獣が倒されるまでに、さほど時間はかからないだろう。
 ――猟書家の足音はまだ遠い。
 だが、決戦の時はそう遠くはないとティーシャは感じていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

神咲・七十
アドリブ・連携お任せ

もの凄く燃えてますね・・・(お菓子もぐもぐ)
出来れば近づきたくないので、うまく奇襲出来てその後の攻撃も受けにくいところを教えて貰えないですか?

(UC『簒奪者』を使用。エルフさん達と一緒に奇襲できそうな高所や樹上に案内して貰って、大量の杭とエルフさん達の攻撃で一方的に攻撃しながら、少しずつ確実に数を減らしていきます)

炎の精霊なのにアームドフォートを使ってるんですね・・・
まぁ、その辺は別にどちらでもいいですかね?どうでもいいことですし。(お菓子もぐもぐ)
(それ以上に興味があるのは、今回の猟書家の人のアレキサンドライトの方ですしね。うまく手に入れられれば、とても楽しそうですし)



「もの凄く燃えてますね……」
 禁断症状を抑えるべく甘いお菓子を口にしながら、神咲・七十(まだ迷子中の狂食者・f21248)は樹上から火の手が上がる地上を見渡していた。
 既に同胞たちの奮闘により、火の勢いは大分弱まってきていた。
 だが、まだ残る火があるならば、無論消すまでである。
 もぐもぐ、ごっくん。
 お菓子を飲み込んだ七十は口の周りを軽く拭って、森のエルフへと向き直る。
「出来れば敵に近づきたくないので、うまく奇襲出来てその後の攻撃も受けにくいところを教えて貰えないですか?」
「ええ、敵は聖なる木の齎す祝福で道に迷っております。どこからでも奇襲は出来ましょう」
 こちらですと案内されるがまま、七十はエルフの少女と共に大樹に設えられた階段を登り、いくつか点在する見張り台のひとつへ足を運んだ。
「確かに、ここからなら攻撃もしやすそうですね。……少しびっくりするかもしれませんが、お気遣いなく」
 そう言うと、七十は紅い瞳をすっと細めて微笑んだ。
「――Dornen, die Blut saugen」
 淀みなく紡がれた力ある言葉。
 忽ちの内に、七十の全身の皮膚から特異な杭が突き出し、七十を彩る衣となった。
 地上を屯する炎の精霊たちへ、七十は無数の紅い杭を降らせ。
 同時に、エルフたちもまた、七十の攻撃に合わせるように樹上から矢の雨を降り注がせる。
「ギャウッ!?」
 七十の杭が炎の精霊たちを穿つ。体中に穴を開けられ、のたうちながら消えていく獣たちを眺めやりつつ、七十は新たな菓子をもぐもぐと頬張り始めた。
 大量の杭とエルフたちの弓矢で一方的に攻撃しながら、少しずつ驚異を退けて。
(「炎の精霊なのにアームドフォートを使ってるんですね……まぁ、その辺は別にどちらでもいいですかね? どうでもいいことですし」)
 もぐもぐと口を動かしながら、七十はふと、獣たちがやってきた方へと目を向けた。
(「それ以上に興味があるのは、今回の猟書家の人のアレキサンドライトの方ですしね。……うまく手に入れられれば、とても楽しそうですし」)
 はたして、彼女の望みは果たされるのか否か。それはまだ、わからない――。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふええ、アヒルさん、火事ですよ、火事。
これでは森が燃えてしまいます。
ふえ?早く雨を降らせろってそんな都合よく雨が降るわけ・・・。
そうです、恋?物語です。
恋?物語で雨を降らせればいいんですね。
火事も消せて炎の精霊さんも退治できて一石二鳥ですね。



 木から木へ、瞬く間に燃え移る炎は、まるで生きているようだった。
「ふええ、アヒルさん、火事ですよ、火事。これでは森が燃えてしまいます」
 いつも被っている大きな帽子の鍔をぎゅっと握りしめながら、フリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)はきょろきょろと辺りを見回して。
 そうしている間にも、森を燃やす炎は広がって――そして、そこに現れた炎の精霊たちが、丁度良い獲物を見つけたとばかりにフリルを囲んでいた。
 一歩下がったフリルの背に、ごつりとした木の幹が当たる。
「ふええ……」
 ――絶体絶命かに思えた、その時。
「ガァ! ガァガァ!」
 フリルの足元で、アヒルちゃん型のガジェットのアヒルさんがばさばさと翼を羽ばたかせながら声を上げた。
「……ふえ? 早く雨を降らせろって?」
「ガァ!」
 疑問符を浮かべながらその場にしゃがみこんだフリルは、急げ急げと急かしてくるアヒルさんを前に思案顔。
「そんな都合よく雨が降るわけ……あっ、」
「ガァ!」
 思い出したかとばかりに得意げに鳴くアヒルさんに、フリルはこくんと頷いてみせる。
「そうです、恋?物語です。恋?物語で雨を降らせればいいんですね」
 ――それは、突然の大雨と雨宿りが齎す恋?物語。
 次の瞬間、それまで晴れていた空があっという間に灰色に染まり、突如として辺り一帯に大雨が降り始めた。
「グルアアアッ!?」
 叩きつけるような突然の大雨に、炎の精霊たちは右往左往。
 だが、降りしきる雨から逃れる術を知らない炎の精霊たちは、雨に打たれてそのまま呆気なく消えてゆく。
 同時に、木々を燃やしていた炎もすっかり消えて、フリルはほっと息をついた。
「火事も消せて炎の精霊さんも退治できて一石二鳥ですね。……それにしても、相変わらず雨、強すぎませんか」
「ガァガァ!」
 ご機嫌な様子? で雨の中を駆け回るアヒルさんを見やりながら、暫しの雨宿り。
 ――雨が止むまでには、まだ少し、時間がかかるようだ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

泉宮・瑠碧
…森、が…
燃え盛る里を、思い出して
火は、怖くても…

森が燃えるなんて、もう二度と…
無い様に

同族の方々には、挨拶と
森を愛し、慈しむ気持ちは同じ、と加勢を
水と風の精霊へ
炎の精霊が来た方角の風を止め
水気が漂う様に頼み
鎮火と延焼防止を

最初は案内を願い樹上から
杖を手に浄化を籠めて天飛泡沫

見える砲台達の銃口へ水鳥を飛ばし
砲台の暴発阻止や不発を狙い
彼らの足元の地表から氷の錐を撃ち出す範囲攻撃
共に周囲の温度も下げます

水鳥達を追加して
同族の方にも火元の確認を願い
水鳥を飛ばして消します

以降は
樹を傷付けない様に森を進み
第六感で火と炎の精霊の気配を察知次第
暴発阻止と氷の槍で撃破

炎でも…
精霊達へ謝罪と、安らかにと祈ります



(「ああ、……森、が……」)
 ――森が、燃えている。
 泉宮・瑠碧(月白・f04280)の脳裏を鮮やかに染め上げる、いつかの光景。
 瑠碧の“世界”が終わった日。
 炎に呑まれた里の光景。
 伸ばした手の先ですべてが失われた、あの時の――。
 火を見るだけで、身体が震えてしまう。
 どうしようもなく怖くて、動けなくなってしまう。
「でも……」
 ――今ならばまだ、止められる。
 この箱庭のような世界を満たす瑞々しい色彩を、この地に生きる数多のいのちを、守ることが出来る。
 もう二度と、目の前で森が――すべてが燃えてしまうことがないように。
 瑠碧は悲哀に揺れる瞳に確かな光を灯し、災禍へと立ち向かう。
 まずは水と風の精霊に願い、悪しき炎の精霊が現れた方角の風を止める。
 その場に水気を漂わせることによって、鎮火と延焼の防止が目的だ。
 勇者様、と呼ぶ声に振り返れば、そこには若いエルフの青年の姿。
 瑠碧はフードを脱ぎ、会釈をして、己も加勢する旨を告げた。
「私も、……森を愛し、慈しむ気持ちは皆さんと同じですから――」
「有り難きお言葉。共に、この災いを退けましょう」
 エルフとして森に生きる瑠碧ならば、樹上を渡るのも容易いもの。
 案内を受けて見張り台のひとつまで足を運んだ瑠碧は、地上の様子を確かめる。
 そうして、聖なる木の加護に惑わされて右往左往するばかりの炎獣たちの姿を認めると、手にした杖に浄化の加護を込めて、宿る水の精霊たちを解き放った。
「――我が生成せし清き流れよ、鳥となりて羽搏き、浄化を成さん……」
 刹那、ふわりと浮かび上がった無数の水鳥が、悪しき過去に支配された炎の精霊たちの元へ羽ばたいた。
 水鳥の群れは炎の精霊が背に括り付けているアームドフォートの銃口へ滑り込み、砲台の暴発阻止や不発を狙う。
 瑠碧が意図した通り、アームドフォートは煙を吐き出すばかりですぐに使い物にならなくなったよう。
 瑠碧はそのまま、更に混乱している様子の獣たちの足元を見やると、地面から続けて無数の氷の錐を撃ち出した。
 氷の錐は攻撃と同時に周囲の温度を下げ、辺りの熱を和らげる。
「火元の確認を……お願い、出来ますか……?」
「はいっ! おそらくは――」
 エルフの青年が示す方向へ水鳥を羽ばたかせれば、ここから見える炎はほぼ消し止められただろう。

 そうして地上へと降りた瑠碧は、樹を傷つけぬように進んでいく。
 研ぎ澄まされた第六感が導くままに進んでゆけば、まだ残る獣が牙を剥いて襲い掛かってきた。
 瑠碧は冷静に、アームドフォートが暴発することがないよう気をつけながら、編み上げた氷の槍で着実に獣たちを在るべき場所へと還していく。
 ――やがて。
「悪しき想いに因われた魂を……助けられなくて、御免なさい……」
 たとえ炎であっても、精霊という存在には違いないから。
 炎の精霊の気配が消えた森の片隅で瑠碧は静かに目を閉じ、骸の海へ還った彼らが安らかに眠れるよう祈りを捧げるのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

エンティ・シェア
焼き討ちとか豪快だなおい
とりあえず炎ばら撒いてる連中をぶっ飛ばせば良いわけね
オーケー分かった

餌時で猫化…虎のチビをありったけ召喚して
エルフ連中に指示もらいながら樹上から攻めたいな
10体程度合体させたやつを適当な樹上に向かわせて
敢えてチビのままのやつ数体地上から直接挑ませて囮代わりに
可能な限り隙突いて飛びかかれ
あっちも跳んでくるから、地面に抑えつける感じでな
仕留めたらまた樹上に身を隠せ。基本はその繰り返し

俺も手伝えるかね
なんか獣っぽい姿してるし、獣奏器の音に釣られてくんねーかな
多少の催眠効果で、迷走させたり隙作れたり出来れば
駄目でも良いわ。普通にぶん殴るから
お帰りはあちらですよおととい来やがれ



「……焼き討ちとか随分と豪快だなおい」
 聖なる木が燃えないのであれば、周りの森をすべて燃やしてしまえばいい。
 世界を滅亡に導くオブリビオンならば、そう考えるのもごく自然なことだと言えるだろう。
 とは言え、それが許されるかと言えば――そうではない。
 呆れたものだと肩竦め、エンティ・シェア(欠片・f00526)はまだ炎が残る一角を見やる。
 別の場所で戦っている同胞たちの力により、炎の精霊たちは数を減らしてきていたが――それでも、森に惑わされ、道なき道を探して動き回る獣の姿はまだ確認できた。
「とりあえず、炎ばら撒いてる連中をぶっ飛ばせば良いわけね。オーケー分かった」
 ――“仕事”はごくシンプルなものだ。
 炎をばら撒いている獣たちをまず一掃し、その後にやってくるであろう猟書家を倒す。
 難しいことを考える必要はなく、“今”のエンティにとってはある意味最もやりやすいとも言えただろうか。
「――全力で、喰らってこい」
 エルフたちと共に樹上を渡りながら、エンティはありったけの猛獣の幼体――虎の仔たちを呼び出した。
「獰猛な獣も、こうも小さいとやはり可愛いものですね」
 何だか心をそわそわとさせているエルフの少年にだろ? と口の端を上げて笑いつつも、エンティはまず十体程の個体を合体させる。
 肉球に刻まれていた“1”の数字も、十体合わされば“10”となり、最初は愛らしかった虎の仔も、あっという間に威厳のある大人の虎へ。
「お前はチビ共が囮になっている間に、可能な限り隙突いて飛びかかれ。あっちも跳んでくるから、地面に抑えつける感じでな」
 そうして、仕留めたらまだ樹上に身を隠し、再び隙を突いて飛びかかれ――と。
 エンティの命を受け、駆け出していく大きな虎。
 同時に、地上では小さな姿のまま降りた数体の虎の仔たちが、大きな炎の精霊へ挑んでいた。
 跳んでくる大きな体を敢えて前に飛び込むことで躱したり、素早くぐるぐると回って獣の目を惑わせたり。愛らしい見目で奮闘する彼らも立派な猛獣だ。
 そうしてすっかり混乱してしまった様子の炎の精霊に、樹上から大きな虎とエルフたちの矢が襲い掛かる。
「さて、俺も手伝えるかね」
 虎とエルフたちの戦いを横目に、エンティは内部に鈴が仕込まれた杖状の獣奏器をからころと振るう。
 炎を纏っていても、精霊であっても、姿は獣。
 それが功を奏したのか、エンティの鈴の音に反応を見せながらも、すっかり惑わされているのだろう――目の前の木にぶつかったり、木々に塞がれた道を無理やり突き進もうとしていたりと、炎の精霊は明らかに混乱している様子で。
 手応えを感じたエンティはさっと地上に降りて――。
「お帰りはあちらですよ。――おととい来やがれ」
 すっかり催眠にかかった炎の精霊を、獣奏器の杖で普通に殴る。
 がらん! と、高らかに響いた鈴の音は、まるで反撃の狼煙のように。
 炎が完全に収まった森の中から、猟兵たちの勝利を猟書家――チーフメイド・アレキサンドライトへ伝えているかのようだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『チーフメイド・アレキサンドライト』

POW   :    カラーチェンジ
対象の攻撃を軽減する【赤紫色のボディ】に変身しつつ、【100発/秒で弾丸を発射するガトリング砲】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    メイドの嗜み
【カラーチェンジした腕】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、カラーチェンジした腕から何度でも発動できる。
WIZ   :    掃除の時間
【ガトリングからサイキックエナジーの弾丸】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠月夜・玲です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちの手によって、森へと放たれた驚異は退けられた。
 燃え広がっていた炎も無事に消し止められ、森への被害は最小限で済んだと言えるだろう。
 息をつく間もなく、猟兵たちは更なる驚異を待ち受ける。
 ――程なくして。
「……情けないですわね。この世界の炎というのは満足に燃えることも出来ないんですの?」
 溜め息混じりの声と共に、一人の女が姿を見せた。
 ――チーフメイド・アレキサンドライト。
 スペースシップワールドに由来する、輝石の身体を持つ――猟書家と呼ばれる侵略者のひとりである。
「やはりこの地の存在にばかり頼っていてはいけませんね。かくなる上はこのわたくし自ら、すべて、お掃除して差し上げますわ」
 そうして、アレキサンドライトはすべてを“掃除”せんと、巨大なガトリング砲を構えるのだった。
 
村崎・ゆかり
同行:アイシャ(f06524)

何度相対しても、あのガトリング砲は厄介だわ。
前面の広範囲にばらまかれる弾丸は、遮蔽物のなくなったこの辺りじゃ隠れてやり過ごすのも難しい。

なら、相手の懐に飛び込むまで。
摩利支天九字護身法で「オーラ防御」を張ってその懐に突撃する用意をし、「高速詠唱」で方術『空遁の法』を使い、敵の至近に転移して「衝撃波」をまとった薙刀での「なぎ払い」と「串刺し」の連続高速攻撃。
派手に行くわよ。
村崎ゆかり、陰陽師。推して参る。
一番の狙いは右腕とガトリング砲。どちらかを損壊できれば、脅威度は格段に落ちる。
出来れば、首を落としたい。

なるべくあたしが攻撃引き付けるから、アイシャは支援お願いね。


アイシャ・ソルラフィス
ゆかりさん(f01658)と一緒に参加

『守護の祈り』をゆかりさんや周囲の猟兵のみなさんに
ボクは敵の懐に飛び込むゆかりさんのために囮役を買って出てみる!
炎の〔属性攻撃〕で陽動、〔コミュ力〕で挑発して、土属性の〔全力魔法〕+〔多重詠唱〕+〔高速詠唱〕+〔見切り〕+〔盾受け〕+〔勇気〕で正面からガトリングを防御するよ
ゆかりさんが懐に飛び込んだ後は敵の行動を阻害するために、敵の足元から草の〔属性攻撃〕+〔全力魔法〕で植物を生み出してその蔦とかで相手を縛ってみる
これならゆかりさんの邪魔をせずに敵だけ行動不能にできるかも?

それにしても懐に飛び込むなんてゆかりさんは無茶するね…
でも助かりました。ありがとう



 猟書家――チーフメイド・アレキサンドライト。
 彼女が持つガトリング砲がいかに厄介なものであるかを、以前にも戦ったことがある村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は知っていた。
 広範囲に渡って無限にばら撒かれるサイキックエナジーの弾丸は、森という遮蔽物がなくなったこの場では隠れてやり過ごすのも難しい。
(「……なら、相手の懐に飛び込むまで」)
 ゆかりは素早く印を結び、摩利支天の加護たる守りの結界を張り巡らせる。
「――みんな! 怪我しないように、気をつけて!」
 時を同じくして、アイシャ・ソルラフィス(隣ん家の尚くんを毎朝起こす当番終身名誉顧問(願望)・f06524)の朗らかな声が戦場に響き渡った。
 籠められた守護の祈りと声援が、その場にいる同胞やエルフたちの力を高めてゆく。
「さあ、ボクが相手だ、掛かってこい!」
 そのまま一歩前に出て、アイシャはゆかりが本格的な攻撃に移るまでの時間を稼ぐための囮となるべく、猟書家たるチーフメイド・アレキサンドライトへ炎を見舞った。
「まあ、わたくしの代わりにこの森を燃やして下さるの?」
 アレキサンドライトは優雅に微笑みながら難なく炎を躱し、そして巨大なガトリング砲の銃口をアイシャへと向けた。
「わわっ……こ、これならどうだ!」
 サイキックエナジーの弾丸が放たれると同時、アイシャは素早く詠唱を重ねて土の盾を編み上げる。
 だが、浴びせかけられた弾丸を全て防ぐには僅かに足りず、灼くような痛みがいくつもアイシャの身体を掠めてゆく。
 それでも――。
 そんな痛みなど気にならない程に、少しでもゆかりの力になりたいという想いがアイシャの心を奮い立たせていた。
 ――そして。
「現世の裏に無我の境地あり。虚実一如。空の一心によりて、我が身あらゆる障害を越えるものなり。疾っ!」
 方術“空遁の法”――自分を囲む空間を切り取り転移する術式を発動させ、ゆかりはアレキサンドライトの間近へと転移する。
「なっ……!?」
 気づかれるより先にゆかりがユーベルコードを発動させることが出来たのも、アレキサンドライトの意識がアイシャに向いていたからこそ。
「これなら、受け止められないでしょ? 村崎ゆかり、陰陽師。推して参る。――派手に行くわよ!」
 瞬時にして零になった距離に驚愕を浮かべるアレキサンドライトに対し、ゆかりは微かな笑みと共にそう告げると、衝撃波を纏わせた薙刀――紫揚羽を一閃させた。
「ゆかりさん!」
「なるべくあたしが攻撃引き付けるから、アイシャは支援お願いね」
 ゆかりが繰り出すのは超高速の連続攻撃。術式の効果により止まることなく薙刀を振るいながら、ゆかりはアイシャへと告げる。
「――っ、うん、ありがとう」
 無茶はきっと、お互い様だ。
 一歩下がったアイシャは引き続きゆかりの援護をすべく、更に詠唱を紡いでゆく。
 ゆかりの狙いは右腕とガトリング砲。
 どちらかを壊せれば、脅威度は格段に落ちるはずだ。
(「出来れば、首を落としたいけど……」)
 ゆかりの攻撃速度は凄まじいものだったが、相手もまた猟書家と呼ばれるオブリビオン。
 決定的な瞬間を捉えることは難しいように思えた――が。
 アイシャの詠唱と共に、アレキサンドライトが立つ地面が揺らぐ。
「……?」
 すると、アレキサンドライトの足元からするりと、幾本もの蔦が顔を覗かせた。
「なっ……!」
 アイシャが全力を籠めて生み出した蔦が、アレキサンドライトに絡みついた次の瞬間。
 ゆかりが振り抜いた紫揚羽の刃がアレキサンドライトを薙ぎ払い、超高速の動きで続け様に繰り出された刃先が輝石の身体を掠めてゆく。
 輝石の身体そのものを傷つけることは容易ではなかったが、掠めた刃が僅かに輝石を削った手応えを、ゆかりは確かに感じ取っていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

篝・倫太郎
掃除、なぁ……
それはあんたが『する』側なンじゃなくて
あんたが『される』側だと思うぜ……
メイドさんよ

引き続き斎火使用
纏うのは風の神力
多少は攻撃のダメージを緩和出来りゃ良い

詠唱と同時にダッシュで接近
鎧無視攻撃と鎧砕きを乗せた華焔刀で吹き飛ばして先制攻撃
刃先返してフェイント入れつつ2回攻撃

既にどこかしらに負傷がある場合は
そこを中心に部位破壊も乗せてく
戦闘時は常に攻撃が単調にならないよう注意して動く

敵の攻撃は第六感や野生の勘も使って
見切りと残像で回避
回避不能時はオーラ防御とジャストガード
弾丸は武器受けて咄嗟の一撃からのカウンターを狙う

大掃除、終わったばっかだけどな
ちゃんとしっかり、骸の海に還って貰うぜ



「掃除、なぁ……」
 やれやれと肩を竦めながら、篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は華焔刀を手に一歩、前へと歩み出る。
「それはあんたが『する』側なンじゃなくて、あんたが『される』側だと思うぜ……メイドさんよ」
「……まあ、口だけは達者ですのね」
 告げられた言葉に、チーフメイド・アレキサンドライトもまた、肩を竦めて。
「口だけかどうか、すぐに分からせてやるさ。――砕き、祓い、喰らう、カミの力!」
 詠唱と同時に、倫太郎は力強く地を蹴って。
 一族にまつわる風の神力を纏い翔けながら、ガトリング砲の銃口が火を吹くよりも速く華焔刀を横一文字に振り抜いた。
 守りを砕かんばかりの強烈な一撃が、アレキサンドライトの身体を吹き飛ばす。
「ぐっ……!」
「――な? 口だけじゃねぇだろ?」
 更に大きく踏み込んだ倫太郎は、美しい波紋が踊る刃を軽やかに翻し、フェイントを絡めて生じた隙にもう一撃。
 反撃とばかりにガトリング砲からばら撒かれるように放たれたサイキックエナジーの弾丸の軌道を第六感と野生の勘で見切ると、纏う風の神衣に更に守りのオーラを重ね受け流して。
 そのまま、時に上下に、あるいは斜めにと、攻撃が単調にならぬよう意識して動きつつ、倫太郎は苛烈にアレキサンドライトを攻め立ててゆく。
「このっ……鼠のようにちょこまかと!」
 すると、その時。
 一斉に放たれた弾丸が、倫太郎へと浴びせかけられた。
「や――、……何ですの!?」
 やりましたわ、と綻びかけたアレキサンドライトの表情が、瞬時にして険しいものへと逆戻り。
 アレキサンドライトが今しがた撃った倫太郎の残像が、あえなく消えてゆく。
「大掃除、終わったばっかだけどな」
 その間に、倫太郎はアレキサンドライトの背後へ回っていた。
「……!」
 アレキサンドライトが振り返れば、そこにはにやりと笑みを浮かべる倫太郎の姿。
「ちゃんとしっかり、骸の海に還って貰うぜ」
 直後。
 渾身の力を込めて振るわれた華焔刀の刃が、輝石の身体へと叩き込まれた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

馬県・義透
引き続き『疾き者』

掃除など、させるものか。
防御用の結界術をエルフたちに。あと、私が近接しかけたら、援護射撃お願いしますー。

指定UC+風属性攻撃+鈍化呪詛で、関節狙いの攻撃ですねー。
コピーされたとしても、効力はすぐになくなりますよ。あなた、気づかれてますしねー。
そのあとは漆黒風を近接武器として使用しますねー。
ガトリング砲、鈍器とて使えそうですし。見切りと戦闘知識を活用して、懐に潜り込むようにですねー。
私の防御は、四天霊障による三重属性(氷雪、炎、重力)オーラ防御でー。内部の三人の協力ですよー。

そう、故郷は滅ぼさせない。守るために、私たちはいるんですよ。



「――掃除など、させるものか」
 引き続き“疾き者”として戦いに臨んでいる馬県・義透(死天山彷徨う四悪霊・f28057)は、まず防御用の結界術でエルフたちの守りを固める。
 猟兵のような力を持たぬエルフたちであるが、これでチーフメイド・アレキサンドライトの攻撃に晒されても少しは耐えられるだろう。
 どれほど保つかは不明瞭だったが、その前に倒してしまえば問題はない。
「私が仕掛けたら、援護射撃をお願いしますー」
 エルフたちにそう声を掛け、義透自身は風の魔力と呪詛を絡めた棒手裏剣を手に、アレキサンドライトの関節を狙い積極的に仕掛けていく。
「私の早業、受けてみますー?」
 手に馴染む得物を素早く投げつける義透。
 だが、棒手裏剣は吸い込まれるように色を変えた輝石の指先へと収まり。
「この技、そっくりそのままお返しさせていただきますわ!」
 アレキサンドライトはそのまま、受け止めたばかりの棒手裏剣を義透へ投げ返そうとし――そこで、何かに気づいたように動きを止めた。
「おや、お気づきになられましたかー?」
 義透はあくまで普段通りののほほんとした調子で、ゆるりと首を傾げてみせた。
「コピーされたとしても、効力はすぐになくなりますよ。あなた、気づかれてますしねー」
「くっ、小賢しいですわね……!」
「お褒めに預かり、光栄ですー?」
 義透の操るユーベルコードは、自分に気づいていない敵を攻撃する際に大きな力を発するもの。
 ゆえに義透は既に棒手裏剣――漆黒風を、既に投擲するではなく近接武器として持ち替え、アレキサンドライトへ躍りかかる。
 ――その時。
「ですが、これならどうです!」
 間合いを詰められたアレキサンドライトが、まるで鈍器のように軽々とガトリング砲を振り抜いた。
 当たれば骨が砕けていてもおかしくはなかっただろう。
 だが、義透は笑みを崩さぬままガトリング砲を難なく躱し――そのまま、横合いからアレキサンドライトの懐へと潜り込む。
 強大な力を持つオブリビオンであるアレキサンドライトがガトリング砲を鈍器として扱う可能性を、義透は予め読んでいたのだ。
 氷雪、炎、重力。
 義透という存在を形作る四人の、今は内に潜む三人の力が合わさった守りの障壁も、容易く打ち破られるものではなく。
「……そう、故郷は滅ぼさせない」
 ギリ、と奥歯を噛み締めたアレキサンドライトに、再び銃口を向ける間も与えずに。
「――守るために、私たちはいるんですよ」
 後方から放たれたエルフたちの矢が生んだ一瞬の隙。
 それを逃すことなく繰り出された棒手裏剣の刃先が、深々と輝石の身体に突き刺さった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

ティーシャ・アノーヴン
風花(f13801)さんがおられなくとも。

「掃除」と言うのは必要ないものを処分すること、と存じます。
森やそこに生けるものは、何一つとして不要ではありません。

引き続き大鰐霊様と共に。
確かあれは無数の弾を飛ばす武器。
でしたら避け切るのは難しいですわね。
オーラ防御で前方へ徹底した防御をしつつ、ゆっくり距離を詰めましょう。
大鰐霊様の攻撃が届く範囲までは我慢比べです。
こんなとき、風花さんがいれば……って。

……え、ええ?
か、風花さん?!
いえ、置いて行ったわけではなくて、その……すみません。

はい。
……後でちゃんと謝りますから、私の防御の中から射撃をお願いします。
体勢を崩せれば大鰐霊様が攻撃出来ますので……!


七霞・風花
ティーシャ(f02332)と

どことなくジト目でティーシャを見つけると近寄って

「…………なんで、置いていったんですか」

別に四六時中一緒ではないし、お互いプライベートの時間はある
が、危険な場所にひとりで向かわれるのは、こう、嫌だった
自分の都合が合わない可能性もあるが、それでも……一言ほしい、と

「まあ、それは追々話すとしまして。今は森を守りましょう。守りたいのですよね?」

そこでようやく定位置となったティーシャの肩へ座る

「どう戦いますか? いかようにも合わせますが……?」

そして指示どおり、オーラから半身だけ覗かせて弓を射る
狙うは足元と、その銃身

「謝罪は不要ですけど……甘味を所望します」



(「……大丈夫です、風花さんがおられなくとも」)
 未だ圧倒的な存在感と共にそこに在るチーフメイド・アレキサンドライトを前に、ティーシャ・アノーヴン(シルバーティアラ・f02332)は毅然と告げる。
「――“掃除”と言うのは必要ないものを処分すること、と存じます。森やそこに生けるものは、何一つとして不要ではありません」
 すると、アレキサンドライトはティーシャとその傍らで鋭く睨みを利かせている大鰐霊とを交互に見やり、揶揄するように告げた。
「随分と物騒なペットを飼っておられるのですね」
「……! 獰猛にして気高き大鰐霊様に対し何てことを」
 ティーシャが眉を吊り上げるのと、威嚇するように吠え立てながら大鰐霊が動き出すのはほぼ同時だった。
 そして、アレキサンドライトが巨大なガトリング砲の銃口を、ティーシャたちへ向けるのも。
(「確か、あれは無数の弾を飛ばす武器。……でしたら、避け切るのは難しいですわね」)
 ティーシャは前方へ向けて守りの壁を展開させ、一斉に放たれたサイキックエナジーの弾丸を受け止める。
 たとえ大鰐霊と言えども、無数の弾丸を浴びればひとたまりもないだろう。大鰐霊もそれをすぐに理解したようで、防壁の外へ出てまで前進しようとはしなかった。
 ティーシャは少しずつ、ゆっくりと、大鰐霊の攻撃が届く範囲を目指し距離を詰めてゆく。
「その程度のオーラで、わたくしの攻撃が防げるとでも?」
 アレキサンドライトは余裕のある笑みを浮かべながら、なおも叩きつけるようにサイキックエナジーの弾丸をばら撒いてくる。
 彼女の言葉の通り、距離が縮んでゆくにつれて――弾丸は少しずつ守りのオーラを突き抜け、ティーシャたちに届き始めていた。
(「ああ、やはり……」)
 致命傷こそ免れていたが、このままではいずれ、守りの壁ごと砕かれてしまうのは明らかだった。
 そして、ティーシャは思うのだ。
(「――こんな時、風花さんがいれば……」)

 ……じー。

「……?」
 不意に視線を感じ、ティーシャはぱちぱちと目を瞬かせる。
 すると、どこからともなくふわりと飛んできた小さな影が、ティーシャの視界を遮るように羽ばたいた。
「……え、ええ?」
 突き刺すような雪色が、じーっとティーシャを見つめてくる。
「…………なんで、置いていったんですか」
 そうして、七霞・風花(小さきモノ・f13801)が小さく口を尖らせながら告げた時、ティーシャは、先程巡らせた思考の先に続く筈だった言葉がその通りだったことを知った。
「か、風花さん?! いえ、置いて行ったわけではなくて、その……」
 元よりティーシャにそんなつもりなどなかったことは、風花にもよくわかっていた。
 お互いそれぞれの生活があって、四六時中一緒に居るわけではない。今日のように都合がつかない場合だって、この先もきっとあるだろう。
 だが、何より――このような危険な場所に黙ってひとりで行かれるのは、嫌だった。
「……すみません」
「まあ、それは追々話すとしまして。今は森を守りましょう。守りたいのですよね?」
 はい、と頷いたティーシャに風花は小さく息をつき、そこでようやく、定位置となったティーシャの肩へと腰を落ち着ける。
 いつもよりほんの少しだけ軽かった肩に、いつもと同じ小さな重みを感じて、ティーシャは内心で無意識に安堵の息をついていた。
「どう戦いますか? いかようにも合わせますが……?」
「……後でちゃんと謝りますから、私の防御の中から射撃をお願いします。体勢を崩せれば大鰐霊様が攻撃出来ますので……!」
 ティーシャの言葉に小さく頷いた風花は、イチイの弓矢を手に舞い上がる。
「謝罪は不要ですけど……甘味を所望します」
「甘味、ですか? ――はい、勿論!」
 力強く返したティーシャに微かに瞳を細め、風花は守りの障壁から半身だけ覗かせると、アレキサンドライトの足元を、そして巨大なガトリング砲の銃身を狙って弓を射った。
「なっ……!?」
 銃身に、そして足元に当たって跳ね返った矢、その小さな衝撃にアレキサンドライトが目を見開く。
 弾丸の雨が止んだ、次の瞬間。
 それまで反撃の機を窺うようにじっと息を潜めていた大鰐霊が、研ぎ澄まされた牙を剥いた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エンティ・シェア
随分な物言いだが、この地の精霊に無骨な武具など付けるから衰えてしまったのではないかい
君のご自慢の武器とやらも、存外たかが知れているかもね?

なんて、お喋りも程々にしておこうか
メイド殿が持つ大きな武器には浪漫くらいは感じるが…
この世界とエルフ達の森には、愛らしい花々こそ似合いだと思わないかい
華断で、弾丸を跳ね除ける橘を

基本的には露払いに注力しよう
私は道を拓くものだ
誰かが駆けるための一助となるならそれでいい
森とエルフ達を守れるならば、それだけでもいい
無論、隙を自ら突けるなら、花舞う道を駆けるとも
私の中には、君をぶん殴りたくて仕方が無いエルフの子が居るのだからね
さぁ、もう一度綺麗な音を奏でておいで



「……随分な物言いだが、この地の精霊に無骨な武具など付けるから衰えてしまったのではないかい?」
 ゆるりと歩み出たエンティ・シェア(欠片・f00526)は、先程とは違う雰囲気を纏っていた。
「君のご自慢の武器とやらも、存外たかが知れているかもね? ……なんて、お喋りも程々にしておこうか」
「たかが知れているかどうか、貴方の身体で試して差し上げますわ」
 エンティの挑発めいた言葉を敢えて受け止めるように、チーフメイド・アレキサンドライトは輝石の唇を笑みの形に歪ませながら――ガトリング砲を軽々と持ち上げ、銃口を真っ直ぐにエンティへと向ける。
 一斉に放たれる弾丸を浴びればひとたまりもないだろう。
 だが、エンティは動じることも臆することもなくやんわりと微笑んで、続けた。
「この世界とエルフ達の森には、愛らしい花々こそ似合いだと思わないかい」
 本当のところ、あの大きな武器にはほんの少しだけ浪漫を感じるのだけれど。
 やはり、この剣と魔法と竜の世界には、あの物騒な鉄の塊は似つかわしくはないものだから。
 口元に刻んだ笑みを少しだけ深め、エンティは手にした白紙の本をそっと広げる。
「――追憶よ、刃たれ」
 そう、力ある言の葉を紡ぎ上げた刹那。
 まっさらな頁が溢れるように綻んで、橘の白い花弁へと姿を変えた。
 雪のように舞う花々は形なき弾丸の雨を跳ね除ける盾となり、同胞たちへと道を指し示す。

 ――誰かが駆けるための一助となるならそれでいい。
 ――森とエルフ達を守れるならば、それだけでもいい。
 そのための“道”を拓くことこそが“私”の本懐だから。

「何、ですの、これは、鬱陶しい……!」
 けれど、輝石の腕が花を振り払った――つまり、アレキサンドライトの“攻撃が止んだ”その瞬間。
 エンティは迷わず、追憶の花が舞う道を駆け抜けていた。
 道が拓けるならばそれで良い。
 だが、隙を自ら突けるならばまた話は別だ。
 何故なら――。
「そうそう、言い忘れていたけれど。私の中には、君をぶん殴りたくて仕方が無いエルフの子が居るんだ」
 まるで胸の裡から拳を鳴らす音が響いてくるようで。
 そんな“彼”の想いも引き連れて、エンティは杖を振り抜いた。
「――さぁ、もう一度綺麗な音を奏でておいで」
 響いたのは、空を翔ける鳥のように高く澄んだ音。
 そしてもう一つ、硝子が割れた時のような音が重なって。
「……何てこと」
 罅が入った首元を抑えながら、チーフメイド・アレキサンドライトは強く唇を噛み締めた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

神宮時・蒼
…森は、無事、のよう、ですね…。…良かった。
…此れ以上の、悲劇を、増やさない、為に。…原因は、早めに、駆逐、しなければ、なりません、ね

【WIZ】
…そもそも、炎、と言うのは、森を、燃やす、ために、あるものでは、ありません
…此処から、ご退場、願い、ましょうか

相手の攻撃は「結界術」と「見切り」で対応
森に被害が及ぶようなら「結界術」にて防ぎましょう
多少当たっても、「激痛耐性」があるので何て事ありません
相手に隙が出来たなら「全力魔法」「高速詠唱」「魔力溜め」で威力を増した翠花魅惑ノ陣を放ちましょう
翠の花金鳳花に包まれて、そのまま眠ってしまうといいでしょう

…貴方風に、言うならば、お掃除、完了、でしょうか…



(「……森は、無事、のよう、ですね……。……良かった」)
 だが、森を襲う驚異はまだ完全に去った訳ではない。
 朧げに瞬く琥珀の瞳に倒すべき敵の姿を映し、神宮時・蒼(終極の花雨・f03681)は刻紡ぎの花綻ぶ杖をそっと握り締める。
 ――これ以上の悲劇を、増やさないために。
 災禍の花を、咲かせぬために。
「……原因は、早めに、駆逐、しなければ、なりません、ね」
「まあ、駆逐だなんて物騒なことを」
 見た目からして物騒なガトリング砲を構えながら、チーフメイド・アレキサンドライトは悠然と告げる。
 その姿は、未だ十分に余力を残しているかのようにも見えた。
 しかし、同胞たちが重ねてきた攻撃によって、アレキサンドライトの輝石の身体に少しずつ罅が入り始めていることに――蒼は気づいていた。
「……そもそも、炎、と言うのは、森を、燃やす、ために、あるものでは、ありません。……此処から、ご退場、願い、ましょうか」
 アレキサンドライトの艶めく唇が釣り上がり、ガトリング砲からサイキックエナジーの弾丸がばら撒かれると同時、蒼は辺りの木々ごと己の身を覆う結界の光を張り巡らせていた。
 無数の形なき弾丸は、その圧倒的な殺傷力でもって容赦なく森を破壊するだろう。
 無論、それは蒼の望むところではない。
 そうして弾道を見切りながら戦場を駆け、攻撃の機を窺う蒼。
 だが、全てを躱すことは難しく、いくつかの弾丸が蒼の身体を掠めていく。
 それでも、痛みを感じない蒼にとっては、何ということもない。
 そして、アレキサンドライトの攻撃を防ぎつつ、内に眠る魔力を静かに高めていた蒼は、僅かな一瞬の隙にそれらを解き放つための陣を杖で描き上げた。
「……神代より、語り継がれる、翆の花。……大地へ、無限の如く、咲き誇れ」
「――ッ!?」
 刹那放たれた、翠の光。
 咲き綻ぶ花金鳳花が、アレキサンドライトの輝石の身体を包み込む。
「あああッ……!」
 ぴしり、ぴしりと。
 アレキサンドライトの全身に、細かな亀裂が奔っていく。
 戦いの終わりは、そう遠くはないだろう。
「……貴方風に、言うならば、お掃除、されるのは……貴方、です……」
 翠の花金鳳花が咲き乱れる中、ぽつりと、感情の灯らぬ声で紡いだ蒼は――。
 ――苛立ち、あるいは怒りに満ちたアレキサンドライトの眼差しを、ただ静かに受け止めていた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

フリル・インレアン
ふええ、お掃除にそんな物騒な武器はいりませんよ。
えっと、ガラスのラビリンスで壁を作れば攻撃は届かない筈です。
これで安心ですね。
ふえ?アヒルさんどうかしましたか?
これじゃあ、私達の攻撃も届かないって、別にいいじゃないですか。
ふええ、アヒルさん、つつかないでください。
行きますよ、行きますからつつかないでくださいよ。
ガラスのラビリンスを進んでアレキサンドライトさんを攻撃です。



「ふええ、お掃除にそんな物騒な武器はいりませんよ。えっと……」
 ガラスのラビリンスで壁を作れば、攻撃は届かない筈――こくりと小さく頷いたフリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)は、辺り一帯に己とチーフメイド・アレキサンドライトを隔てる硝子の迷宮を描き出す。
「まあ、一体何ですの?」
 不思議そうに首を傾げながらも、壁――正確にはその向こうにいるフリルに向けて、ガトリング砲からサイキックエナジーの弾丸を一斉射するアレキサンドライト。
 だが、何発撃ち込もうとも壁はびくともせず、透明な輝きにも罅一つ入ることはなかった。
「透明なガラスだと思ったら、随分と頑丈ですのね、これ!」
「ふええ……でもこれで安心ですね」
 おっかなびっくりといった様子のフリルだったが、アレキサンドライトの攻撃が届かないことにようやく安堵の息をつく。
「ガァ!」
 だがその時、傍に居たアヒルちゃん型のガジェットのアヒルさんが、どことなく不満そうな声を上げた。
「ふえ? アヒルさん、どうかしましたか?」
「ガァガァ、ガァッ!」
「これじゃあ、私達の攻撃も届かないって、別にいいじゃないですか。撃たれたらとっても痛いですし……ふええ、アヒルさん、つつかないでください」
 アヒルさんの素早いくちばし攻撃(?)に追い立てられるように、フリルは駆け出した。
 ふと横を見やれば透明なガラスの壁に映る自分と目が合って。
 ぱちりと瞬きしている間にも、つんつんとくちばしが襲ってくる。
「行きますよ、行きますからつつかないでくださいよ」
 今度こそフリルは前を向き、アヒルさんと共に硝子の迷宮を進んでいく。
 やがて――。
「……随分と遅かったですのね。待ちくたびれましたわよ」
 周りの森を破壊することすら出来ぬまま、退屈そうにフリルを待ち受けていたアレキサンドライトが、改めてガトリング砲を持ち上げた。
「ふええ……わ、私達も攻撃ですっ」
「――ガァ!」
 壁一枚の距離を大きく回って再び巡り逢ったアレキサンドライトへ、フリルはアヒルさんと共に全力で攻撃を見舞うのだった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖
【月風】

瑠碧姉さん
…大丈夫か?
ぎり間に合ったな
ぽんと頭に手乗せようと

何が情けないって?
瑠碧姉さんもみんなも頑張った結果だろ?
俺も同じだ
あんたの好きにはさせねぇ
瑠碧姉さんも守りたいものも
みんな守る
覚悟決め

龍珠弾いて握り締めドライバーにセット
変身ッ!
衝撃波飛ばし残像纏いダッシュで間合い詰めグラップル
拳で殴る

UC起動
カラーチェンジに対応出来るよう
ヒット&アウェイでつかず離れず
そのでけぇの近距離だと取り回し辛いんじゃね?
動き見切り
色変われば限界突破
更に間合い詰め
ガトリング狙い部位破壊
ぶっ壊せば弾も出ねぇだろ
拳の乱れ撃ち
それ掃除した方がよくね?
封じられてるけど?

氷の錐に合わせ回り蹴り
邪魔だ
還れ骸の海へ


泉宮・瑠碧
【月風】

…理玖?
つい安堵で駆け寄り
はい、火は…防げました、から

…森に、過ぎたる炎は、必要の無いものです

私は杖を手に
発砲自体の妨害に動きます
怪我は勿論、樹々も傷付けない為に

基本は銃口に氷や水の弾を撃ち
水濡れや詰めたりと一定数撃ち込んだら
銃口付近を一気に凍らせます

カラーチェンジや広範囲攻撃は
色の変化や動き、武器の取り回しや力の流れで発動を第六感で察し
発動前には光輪晶壁で止めて阻みます

攻撃の際は地面からの氷の錐

先程の同族の青年には
樹上などで身を潜めての
理玖へ強化魔法や回復魔法を頼みます

被弾は
銃口の向きや視線で対象やタイミングを見切り
不可視の障壁でオーラ防御

行動は、忠義からでも…ごめんなさい
…安らかに



 ――森の民たるエルフと共に猟兵たちが繋いできた想いと力が、チーフメイド・アレキサンドライトへひとつの終焉を齎そうとしていた。
 全身に細かな罅が入ったその姿は痛ましく映ったが、泉宮・瑠碧(月白・f04280)はこの場にあって、己が成すべきことを十分に理解していた。
 そうして、精霊宿る杖を握り締めた――その時。
「瑠碧姉さん、……大丈夫か?」
 不意に背に掛けられた、ここには居なかった筈のひとの声に、瑠碧は深い青の瞳を瞬かせる。
「……理玖?」
「ぎり間に合ったな」
 思わず駆けて僅かな距離を詰めれば、ぽんと頭に乗せられる――陽向・理玖(夏疾風・f22773)の大きな手。
 伝う温もりに知らず安堵の息ひとつ。それから、瑠碧はあえかに微笑んだ。
「……来てくれてありがとう、理玖。大丈夫です、火は……防げました、から」
 瑠碧の様子を確かめるように見つめていた理玖もしっかりと頷いて応え、それから、アレキサンドライトへと向き直る。
「何が情けないって? 瑠碧姉さんもみんなも頑張った結果だろ?」
 その証拠に、焼き尽くされる筈だった森はその殆どが変わらず此処に在って。
 猟書家としてこの地にやって来たアレキサンドライトは、エルフたちの力添えを受けた猟兵によって配下を悉く失い、己自身も今窮地に立たされている。
 ――それでも。
「これではお嬢に顔向けできませんわ。せめて猟兵、あなた方だけでも!」
 最後の力を振り絞るようにガトリング砲を構えるアレキサンドライトを悲しげに見やりながら、瑠碧は精霊へと祈りを籠めて呼びかける。
 これ以上森が傷つかないよう、何よりも“彼”が傷つくことがないよう、彼女が携える凶器へと狙いを定めて。
 瑠碧の想いと願いに俺も同じと頷き、理玖は一歩前へ。
「あんたの好きにはさせねぇ。瑠碧姉さんも、姉さんが守りたいものも、みんな――守る!」
 そして、揺るがぬ想いと覚悟を決めて、弾いた龍珠を握り締める。
「――変身ッ!」
 龍の横顔を模したバックルへ龍珠を嵌め込めば、忽ちの内に七色に輝く龍のオーラが理玖の全身を包み込んだ。
 ライジングドラグーン――眩い光の中、ヒーローの力の象徴たる青い装甲を纏った理玖は、拳を強く握り締めながら虹色の翼で地を翔けて一気にアレキサンドライトへと肉薄する。
「う、ぐっ……!」
 音速を超えて叩き込まれた一撃に、アレキサンドライトが苦悶の声を漏らす。
「そのでけぇの。近距離だと取り回し辛いんじゃね?」
 そのまま付かず離れず、怒涛の勢いでアレキサンドライトを攻め立てる理玖。
 一方、瑠碧はアレキサンドライト本人ではなく、彼女が携えるガトリング砲の銃口へと狙いを定め、水や氷の弾を撃ち込んでいた。
 銃口を氷で塞ぎ、引き金と砲身を濡らした水を一気に凍らせれば、アレキサンドライトの手元でがちりと、何かが噛み合わぬ音が響く。
「この……っ!」
 すると、アレキサンドライトの青緑色の身体が緩やかに赤紫色へと染まり始めた。
 守りを固めながら反撃に転じようとするその兆候を逃すことなく、瑠碧はアレキサンドライトの足元へ杖を差し向ける。
「其は枷にして、水晶が如き檻……拘束より、逃れることなかれ」
 次の瞬間、アレキサンドライトを囲むように描かれた光の輪は、彼女を縛る魔法陣へと姿を変えながら――同時に、不可視の檻を編み上げた。
「な、……何ですの、これは!?」
 動こうとしても、動けない。指一つ動かすことさえ、叶わない。
 そのことにアレキサンドライトが気づいた時には、既に、何もかもが手遅れで。
「ぶっ壊せば弾も出ねぇだろ」
 更に間合いを詰めた理玖が、限界超えた神速の拳を乱れ撃ち――そうして、遂に。
 アレキサンドライトが携えていたガトリング砲が、鮮烈な音を立てて砕け散った。
「それ“掃除”した方がよくね? 封じられてるけど?」
 にやり、と。
 フルフェイスの下で笑んだ理玖は、瑠碧がアレキサンドライトの足元に氷の錐を巡らせるのに合わせて更に身体を捻り。
「――邪魔だ。還れ、骸の海へ!」
 渾身の力を籠めた、回し蹴りを一閃させる。
「ああああッ……!!」
 虹色の軌跡が虚空をなぞり、衝撃と共に完全に砕けたアレキサンドライトの身体が、さらさらと砂のように崩れ、消えてゆく。
 彼女にも、守るべき世界が在るのだろう。
 守るべきひとが、居るのだろう。
 だが、たとえ、その行動が忠義によるものだとしても。
 ――“過去”の侵略を、この世界への侵食を、見過ごす訳には行かないから。
「……ごめんなさい。どうか、安らかに」
 瑠碧は目を伏せ、祈りを籠める。
 その背をそっと抱き締めるように、ふわりと、穏やかな風が吹き抜けていった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月19日
宿敵 『チーフメイド・アレキサンドライト』 を撃破!


挿絵イラスト