血染めの帰郷(作者 沙雪海都
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●私が、殺した
 久しぶりの帰郷だった。
 女だからと否定せず快く都に送り出してくれた、この時代には珍しい両親だった。
 文には、大好きな芋の煮っ転がしを土鍋いっぱいに作って待っていると記してあった。
 弟たちは剣の稽古をつけてほしいと言っているらしい。妹たちは都での出来事を聞きたいそうだ。
 土産話は山ほどあった。剣術指導の腕が認められ門下生を持ったことや、近く、城に赴き御前試合を行うこと、それから――。

 気が付けば、誇るべきその手は血に塗れていた。二尺三寸の太刀から滴る血は父か、母か、それとも弟、妹――。
「な、んで……なんで……」
 家が見えたのは覚えている。戸を開けた感触も手に残っている。その先にあった両親の笑顔、それも覚えている。
 その次は――これだ。親兄弟の亡骸が横たわる土間だ。
 首を裂かれた、それだけで即死に近い。その上から怨恨に満ちた無数の裂傷が全身に刻まれていた。
 綿の衣はズタズタだ。血飛沫は壁にも梁にも続いている。出迎えの時に母親が持っていた土鍋は真っ二つに割れ、芋はほとんど見る影もなく潰れて血に浸っていた。
「あああ……いやあああぁぁぁぁ!!!」
 わけがわからず、彼女は泣き崩れるしかなかった。それで家族が戻るはずもないが――理不尽すぎる光景を涙で押し流したかった。
 押し流せるはずもなかった。涙が枯れ果てた末に待つのは、やはり家族の死という現実。
 殺したのは――自分だ。
「あああぁぁぁ――ァァァアアアッッ!!」
 絶望の淵に沈んだ彼女は鬼と化す。血が鮮やかに映える真白の鬼だった。

●サムライエンパイア・1stラウンド
「こんなことがあっていいのでしょうか……」
 問いかけるのとはまた異なる、ロザリア・ムーンドロップ(薔薇十字と月夜の雫・f00270)の独白。問うたとて答えは出ないのだ。
 集まり始めた猟兵達は黙ってロザリアを見守っていた。
「『サムライエンパイア』の悲劇が絡んだ事件です。『さよ』さんという女性の――妖剣士の方になりますが……彼女が『鬼』へと変貌します。理由は家族を手にかけてしまったことによる絶望……ですが、これは『刀狩』と呼ばれた幹部猟書家の意志を継いだオブリビオン『鴉天狗』の陰謀だったんです」
 ロザリアは一つ深呼吸を挟み、話を続けた。
「この鴉天狗ですが、実はさよさんが元々使っていた太刀に憑依し、さよさんを洗脳していたんです。事件自体は決して彼女の本意ではない……しかし手にかけたのは彼女自身、というやり場のない怒り、悲しみを利用したわけですね」
 では、猟兵は何をすべきか。如何に猟兵と言えど、死者を蘇らせることは叶わない。
「ですから私達ができることは……鴉天狗の討伐、ということになります。ただし、鴉天狗はさよさんが持つ太刀に憑依し、そして彼女は鬼と化し正気を喪っていますから、まずは彼女と戦い、その手から太刀を離す必要があります」
 鬼と化した彼女の姿は過去に確認された「白蛇憑かれ」というオブリビオンに酷似している。違う点と言えば、彼女が鴉天狗の憑依した太刀を手にしているということか。
「太刀が離れれば彼女は正気を取り戻すことでしょう。そして太刀から鴉天狗が出現したら、それを討伐、という流れになるかと思います。鴉天狗を倒したからと言って彼女の悲しみが癒えるわけではありませんが……同じような悲劇が繰り返されないように、『刀狩』の遺志を討ちましょう!」


沙雪海都
 沙雪海都(さゆきかいと)です。
 せめて第六猟兵の中では平穏な(?)猟兵ライフをお楽しみください。

●フラグメント詳細
 第1章:ボス戦『白蛇憑かれ』
 妖剣士さよが鬼と化した姿です。イラストの姿で太刀を持っているようですが、攻撃は鬼そのものの能力(各ユーベルコード)を使うことが多そうです。
 正気を喪っているさよが屋外に出た辺りで出くわすことになるでしょう。田んぼとか畑とかありそうですが概ね平地です。
 武器は意識的に落とさせようとしても章クリア条件を満たさない限り落とさないので、無理に狙うより普通に戦ったほうがよさそうです。

 第2章:ボス戦『鴉天狗』
 さよが落とした武器から出てきます。倒しましょう。
 ちなみにさよは激しい怒り、恨みを纏って鴉天狗へ襲い掛かるので、連携を取るようなプレイングであればいい結果が期待できそうです。

●MSのキャパシティ
 合わせプレイングはお受けできません。申し訳ないです。
 ゆったりペースで進行予定です。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『白蛇憑かれ』

POW ●白霊咬
【白蛇の霊体】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD ●白霊群波
【無数の白蛇の霊体】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ ●白霊情欲牙
レベル分の1秒で【牙に欲情の毒を宿す白蛇の霊体】を発射できる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は燈夜・偽葉です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


豊水・晶
本当になぜオブリビオンというのはこのような非道な行いを思いつき実行に移せるのでしょうか。さよさんの想い、家族の無念を晴らすために必ず解決しましょう。このオブリビオンは絶対許しません。
刀を放させる必要があるのでまずは、消耗させます。式神の藍と連携しつつUC【ホウイジンケイ・ミズガコイ】で多方向から攻撃して削っていきます。


秋山・小夜
アドリブ・絡み歓迎
同じ名前で、かつ同じ妖刀使いですか。なら、戦いが楽しめそうですね。

右手に妖刀夜桜、左手にソードメイス 岩崩を展開。それと同時にUC【桜月夜】を発動して正面からぶつかるとします。可能であれば今回使わない武器を周りに散らしておいてUC【千本桜】を発動して敵UCの迎撃、回避に使えたらと考えています。

にしても、名前の響きがかぶってると、なんだか微妙な気持ちになってしまうのはなぜなんですかね……。


シェラティシア・インフィノート
なんという悲劇でしょう
さよさんも被害者です、救ってあげたいですね…!

まずは鬼と化したさよさんを戻さなければなりませんね
光の精霊さんにお願いすることで「光精霊の光槍煌雨」を発動
浄化の力を乗せて、放った光槍で白蛇の霊を祓い、さよさんにも攻撃
UCの効果で飛び回り、敵の攻撃は回避します

さよさん、あなたがご家族を殺したのは、あなたを操った者がいるからです!
あなたの怒りも絶望も、ぶつけるべき相手がいます
ですからご自分を取り戻してください
共にあなたを操った者を討って、その後、ご家族の弔いをしましょう…!


●悲しき白蛇の鬼
「ァアアアッ!!!」
 半開きの戸を破壊して白蛇憑かれ――もとい、さよが外へ飛び出してくる。自分を喪い、鬼へと変貌したその身には故郷が狩場と映った。家族を殺めた太刀は故郷の住人達へと向けられようとしていた。
「藍!」
 短い一声が式神を走らせた。柔らかい毛並みを靡かせて疾駆する獣はさよの進路へと先回りし、力を瞬時に爆発させ飛び掛かった。
「グウ……ッ!」
 さよは体当たりを太刀で受けた。藍は薄いオーラに包まれながら推進力を維持し、さよの太刀を押し留める。
 衝突する力と力。さらにそこへ式神を呼んだ声の主が飛び込んでくる。
『世を隔てるは川の流れ、囲んでしまえば抜け出でることかなわず』
 豊水・晶(流れ揺蕩う水晶・f31057)の言の葉に誘われ飛来する打根型の楔、水分八卦楔。そして自身も瑞玻璃剣を手に、さよの背後へと迫る。
 式神は尖兵であり囮――挟撃を築いた晶が一閃見舞おうと剣を薙ぐ。
「ウアアァッ!!」
 だが、曲がりなりにも妖剣士。剣の道を極めんとする者だ。気配を感じ取っていたさよは直前に均衡を崩して藍を押し切ると、半回転して晶の剣までも正面から受ける。ここでも押し合いになるか――いや、晶には二手目の攻めがある。
 神通力によって操られた楔が回転しながら斜に打ち払われた。
「グアゥッ!」
 肩に打撃を受け、押し負けそうになったさよは太刀を退きながら払い除けて剣をいなし、間合いを取った。藍が背後にいるため逃走まではできず、晶と睨み合いとなる。
「本当に……なぜオブリビオンというのはこのような非道な行いを思いつき実行に移せるのでしょうか」
 太刀に投げかけられる恨み節。さよの全てを奪わんとするオブリビオンが宿るが、今はまだ現れない。
「えぇ……それに、名前の同じ妖刀使い……名前の響きがかぶっていると、なんだか、こう……微妙な気持ちになりますね。何故なんでしょう」
「自分のことではないのに自分のことのように感じる……そんな複雑な心境なのかもしれませんよ」
 一つの剣戟を終えた戦場に、秋山・小夜(歩く武器庫・f15127)とシェラティシア・インフィノート(フェアリーの精霊術士・f16227)が到着する。
 三者三様の思いがあった。晶はさよの想い、そしてオブリビオンの陰謀により理不尽に殺された家族の無念を晴らすべく、ここに立っている。
 小夜はどうか。同じ名前の、同じ妖刀使い。それが鬼になるならば、此度の戦いは楽しめそうだと、右に握るは妖刀夜桜、左に握るはソードメイス 岩崩。力が入る。
 シェラティシアは晶と似ていたが、さよ自身の境遇を強く慮っていた。凄惨な事件はさよもまた被害者。そう信じ、救済を願っている。
「ウゥ……ウアアァァッッ!!」
「来ます!」
 さよが太刀に纏わせたのは白蛇の霊体。渦を巻く泡のように無数に現れた霊体が、岩を砕かんとする勢いで振り下ろされたさよの太刀から放たれた。
『光の精霊さん、撃っちゃってください!』
 召喚物には召喚物。シェラティシアはびゅんとさよの頭上へ飛び立つと光の精霊に呼び掛けた。現れた精霊は地上に向けて浄化の力、光の槍を降らせ霊体を祓いにかかる。
 その場のあらゆる対象へと向けられた白蛇の霊体だが、光の槍はそれら全てを貫けるほどの物量だ。光の槍――光の雨が場に降り注ぎ、仲間達を白蛇から守る。
「ッグ……ッツァァッ!」
 そして槍は当然、さよにも襲い掛かっていた。太刀で打ち払い除けるにしても、槍の密度はその限界を超える。太刀を振り舞踊の如き跳躍を見せて逃れようとするも、全ては防げず振袖を裂き、腕に傷をつけていた。
「白蛇の対処、助かります」
 光の雨の中を、小夜は武器を散らしながら走る。さよと相対する上で使うと決めた二つ以外にも、グラウンドピアノ、軽機関銃、戦斧等々。小夜が手放した数々の武器はやがて桜の花びらへと変わり空を舞う。
『もろともに あはれと思へ 山桜 花よりほかに 知る人もなし』
 調子を入れて詠んだ句に導かれ、小夜は流れる銀髪、白き装束を黒紫に染めた。顕現する真の姿。己が寿命を代償とするが、支払った相応の速度が与えられる。
 光にも勝るかという超速の接近から妖刀を薙いだ。接近から流れるように齎された斬撃がさよを襲い、帯の内、胴まで一筋の裂傷が走る。
 空から降る光の槍で気を逸らし、かつ爆発的な速度を得てなお、確実な手応えというには少し足りないか。妖剣士の技量たるや。だがそれでこそ楽しめる。
 ならば存分に、と小夜は舞う桜を呼ぶ。元は白蛇対策だが、シェラティシアの支援でその桜は全て攻撃に回せそうだ。
 桜の花びら、花吹雪。さよと小夜を巻き込んだ桜の渦の中では、二メートルほどもあるソードメイスからは逃れられない。
「――ふっ!」
 桜の渦の回転とは真逆に、小夜は全身運動でソードメイスを振り回した。
「――ッグアァッ!」
 弧を描いたメイスヘッドがさよの細腕に刺さり、その円運動のまま体ごと弾き飛ばす。横倒しになって地面を滑っていくさよの体は、桜の渦を突き抜けたことで顔や手足に無数の細かな傷が刻まれていた。
「ウゥゥ……」
 呻くさよ。ダメージが少しずつ蓄積されていく。
「さよさん、あなたがご家族を殺したのは、あなたを操った者がいるからです!」
 声を掛けるならばこのタイミングしかない、とシェラティシアは叫んだ。
「あなたの怒りも絶望も、ぶつけるべき相手がいます。ですからご自分を取り戻してください! 共にあなたを操った者を討って、その後、ご家族の弔いをしましょう……!」
 その声が届くという保証はなかったが、それでも届けねばならないとシェラティシアは思っていた。
 猟兵が事件に介入したとて、その後の余生は事実を受け止め、前に進まなければならない。そのための強さをさよは持っている、そう信じて。
「そうです。裁かれるべきはオブリビオン。ですから――」
 シェラティシアの叫びに呼応するかのように晶が動いていた。宙に楔を操作し右から振り下ろす。
「ウッ……ウアァァ!!」
 一瞬反応が遅れたか。振り上げた太刀は楔を相殺したが、反動で高く跳ね上げられた。その隙を見逃さず晶は神通力を強めて楔を背後に回り込ませる。
「――私達で、必ず!」
 槍の如き突きが入る。さよが身を捩ったことでその一撃は突きから斬りに変わり、背を裂いた。
「ック……ウゥゥ……」
 正気を喪っていても痛みには反応するのか。しかしそれは泣いているように悲しげでもあった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

篝・倫太郎
ただ奪われただけであるなら
相手を許せないと憎む事も恨む事も出来る

けれど、奪ったのが自分であるなら
喪失の原因が自分であるなら
その理不尽に対して、不条理に対して
どこに気持ちを置けばいいのか
何に気持ちを向ければいいのか
俺だっていまだに判らないままだ……

何にせよ……
そんな風に『壊した』罪はてめぇが贖えよ、鴉天狗――

防御力強化に篝火使用
詠唱と同時にダッシュで接近して華焔刀で先制攻撃のなぎ払い
刃先返して2回攻撃で傷口を抉る
攻撃には常に破魔と衝撃波を乗せる

敵の攻撃は見切りと残像で回避
回避不能時はオーラ防御とジャストガードで防ぎ
武器受けで受けてカウンター
負傷は激痛耐性で凌ぐ
以降の攻撃には生命力吸収も乗せていく


月舘・夜彦
刀狩が倒されようとも、意志を継ぐ者が居れば繰り返される
ですが、終わらぬ悲劇にしてはなりません

さよ殿……彼女も助け出さなくては
洗脳を解いたとて、怒りや悲しみが消えることはありませんが
このまま利用されてしまうことも、彼女の本意では無いはずです

武器は霞瑞刀 [嵐]を使用
刃に破魔と浄化の力を付与し、駆け出して接近
2回攻撃を基本とし、接近戦を維持

白蛇の霊体は視力と見切りにて動きを読み、攻撃手段に対応
攻撃力重視であれば残像にて回避
命中率・攻撃回数重視であれば武器受けにて防御
負傷時は激痛耐性と継戦能力にて手は止めず攻撃を凌いだ後、反撃

反撃含め攻撃を仕掛けた際に僅かにでも隙が出た際には
早業の抜刀術『断ち風』


●悲劇の輪廻を止めろ
『祓い、喰らい、砕く、カミの力』
 駆けながら篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は詠唱する。災魔を祓い、喰らい、砕く――三種の力をその身に宿し、守りを固めての先手必殺。薙刀、華焔刀 [ 凪 ]の薙ぎ払いは太刀での受け流しを弾き返し、鮮血の滲む白衣ごと、さよの体を切り裂く。
(ただ奪われただけであるなら、相手を許せないと憎む事も恨む事も出来る。けれど――)
 事が深刻化しているのは、原因がどんなに理不尽であれ、家族を手にかけたのがさよ自身という事実があるからだ。オブリビオン、鴉天狗の仕業と分かったところでそう簡単に割り切れる話ではない。
 太刀を手にした己を恨むか。宿っていた悪しき力に気づけなかった己を恨むか。自責の念で喪失を埋めたところで――還らない。還らないのだ。
 己のために苦悩する。倫太郎にも覚えがあった。そして彼自身、その答えは見つけられていない。
 だから彼は、さよが鬼へと化してしまったことを責めてはいない。
「何にせよ……そんな風に『壊した』罪はてめぇが贖えよ、鴉天狗!」
 振り抜いた薙刀の刃先を返す。そして今し方つけた傷と交差させるように斬撃を重ね、傷口を抉り余力を削った。
 鴉天狗を引きずり出すための一撃だ。倫太郎は歯を食いしばって薙刀を振っていた。
「鴉天狗――意志を継ぐ者が居れば、悲劇は繰り返される……ですが、終わらぬ悲劇にしてはなりません」
 月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)もまた、倫太郎からわずかに遅れながらもさよに肉薄する勢いで疾駆する。抜いたのは霞瑞刀 [ 嵐 ]。蒼銀の刃が美しい霊刀だ。
 袈裟斬りから逆袈裟への連携二段攻撃だ。一度目で太刀をいなし、二度目はがら空きの逆側を狙う。
 夜彦が太刀へ刀をぶつける力にも並々ならぬものが籠っていた。太刀を傷つけることが鴉天狗への攻撃にはならないが、全ての行動はさよを救うためにある。
 放っておけば集落の住人を次々と殺していくだろう。それは当然、さよの本意ではない。そんなことをするために都で剣の腕を磨いたのではない。
 だから終わらせなければならぬのだ。力強く振り抜かれた一刀は鎖骨から左肩にかけて大きく裂いた。血飛沫が舞い、さよはよろめく。破魔と浄化が塗り込められた傷は鬼の体を侵食し、徐々に傷口を広げていく。
「ウゥゥ……アアァァアアアッ!!」
 鬼の咆哮だ。体力が削られる中でもなお力を振り絞ろうとしている。二匹の白蛇の霊体がさよの体に纏わりつくように浮かび上がると、牙を剥き倫太郎と夜彦を喰らおうとした。
「ちぃっ――!」
 長い胴体を生かし確実に喉元へ狙いをつけていた。かわせないと見るや、倫太郎はオーラの防御壁を張りながら牙に合わせて薙刀の刃を向けて受ける。
「むっ――」
 夜彦へと向かった白蛇は口を限界まで開き、一咬みで決着をつけてやろうという心積もりか。夜彦は極力さよとの距離を離さないことを念頭に、左右に素早く跳んで残像を生じさせ白蛇を翻弄する。
「っらぁっ!」
 倫太郎は白蛇が再び攻撃の姿勢を取る前に素早く突きを繰り出していた。鴉天狗が宿る太刀を擦るように刃がすり抜け、さよの右肩を斬る。
「ゥアア!! ゥゥ……」
 さよが怯んだ。その瞬間、夜彦を狙っていた白蛇の動きが止まる。
 隙は逃さない。
『――喰らえ、嵐』
 白蛇を掻い潜って薙ぎ払った刃はさよの体に深く入り、胴体を真横に真っ二つに。しかし胴は繋がったままだが。
「ウグウゥゥアアアァァァ!!! アァゥァアアアッッッ!?」
 一見イリュージョンのような攻撃で、さよはひどく苦しみ始めた。
 抜刀術『断ち風』は肉体を傷つけず、穢れや邪心のみを攻撃する。鬼という存在が内包する穢れや邪心は一段と強いものであるが故に、そのダメージも肉体に大きく跳ね返ってくる。
(もうすぐです……さよ殿、どうか、これ以上己を喪わぬよう……)
「ウゥ……ウ……」
 太刀を持つ手が震え始めている。洗脳解放は、あと一押しか――。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

蛇塚・レモン
うわぁ、悪質な遣り口だね……
どこぞの猟書家のような真っ向勝負を見習ったらどうかなっ?

それに白き蛇神といえば、蛇神様をおいて他ならないっていうのに
『その通りである。来い、下等霊が。余の神威を見せ付けてやろう』

待ってて、さよさんっ!
今助けるからっ!

先制攻撃+咄嗟の一撃+だまし討ち+不意打ちでUCを発動
蛇神様に睨みつけてもらってマヒ攻撃+呪詛
さよさんを封殺してもらうよ
こうすれば白蛇の霊体はあたいに放てないはず

さよさん、絶望に飲まれないでっ!
あなたはその妖刀に潜んでるオブリビオンに操られてるんだよっ!

コミュ力で説得
神烏の杯から溢れた神水を呪殺弾として
さよさんと白蛇の霊体へ乱れ撃ち+衝撃波
浄化を試みるね


●蛇の道は蛇神様
「待ってて、さよさんっ! 今助けるからっ!」
「ウァ……アァ……」
 太刀を震わせ、うわ言のように呻くさよの前に蛇塚・レモン(蛇神憑きの金色巫女・f05152)は立っていた。勇ましき仁王立ちはレモンの決意の表れだ。
「お願い、蛇神様っ! あいつ、悪い奴だから懲らしめちゃってっ!」
 さよの意識はレモンへと向いているようだったが、まるで葛藤するかのように首を振っていた。だが正気を取り戻しているわけではない。レモンは先んじて光の魔法陣をさよの背後に浮かべた。
 魔法陣の出現は完全にさよの意識の外だった。さよが操る白蛇の霊体より何十倍と大きい白き蛇神がぬぅっと魔法陣から現れる。
『余の前で白蛇を名乗るか……下等霊が。余の神威を見せ付けてやろう』
 蛇神が赤き蛇眼をカッと見開くと、さよは縄で縛られたかのように身をぎゅっと縮める。その中で太刀を持つ手だけはまるで引っ張り上げられているかのように高く頭上へ掲げていた。
 白蛇の霊体はさよにぐるりと巻き付いていたが、白蛇自身が圧迫されているかのように口を開き苦しんでいる。
「これで白蛇の霊体は放てない……よね。ありがとっ、蛇神様!」
 レモンの感謝の言葉に、蛇神は得心して頷く。
 舞台は整った。これから行うのは、さよの解放。意識を操り家族を殺させるという悪質な遣り口を許してはいけない。少し痛い思いはするかもしれないが、さよの心はきっと鴉天狗の支配に打ち勝ってくれる――そう信じている。
 神烏の杯から溢れた神水を集め、その手に呪殺の弾丸を生み出した。親指と人差し指を立てて鉄砲の形を作り、さよへ向ける。
「さよさん、絶望に飲まれないでっ! あなたはその妖刀に潜んでるオブリビオンに操られてるんだよっ!」
 物理的な距離はあるが、心はすぐ傍に。レモンは想いを込めながら叫び、弾丸をパパパッと連射した。照準はさよを中心に左右へ散らし白蛇の霊体も巻き込む。散弾のように撒かれた弾丸は命中すると衝撃となって弾け、邪なる思念を祓っていった。
「ウアァ……アアァァぁぁああっっ!!」
「――――!!」
 叫声に、レモンはこれまでとは異なる何かを感じ取った。無機質な声ではない――魂が吹き込まれたかのような絶叫。
「お願い! これで――戻って!」
 指先をさよの頭上へ。太刀を握る手に向けて弾丸を放った。角度をつけて直進する弾丸は握り込む指に命中し――その手を開かせた。
 衝撃がさよと太刀の癒着を断った。上方へと弾き出された太刀は回転しながらさよの後方、地面にざんと突き刺さる。
 刹那、さよの姿が揺らいだ。半透明の白蛇の霊体は霧が晴れるように消え、白き鬼は黒髪の、凛とした乙女へ戻る。
「やった……やったぁっ……!」
 両手をぎゅうっと握り締めながら、レモンは喜びを噛み締める。蛇神はさよへの呪縛を解くと、レモンの笑顔を見届けて魔法陣へと還っていった。
大成功 🔵🔵🔵


第2章 ボス戦 『鴉天狗』

POW ●錫杖術
単純で重い【錫杖】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD ●大風起こし
【団扇から大風】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ ●天狗火
レベル×1個の【天狗火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は式神・白雪童子です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●暗躍の鴉天狗
「ここ、は……私、は……」
 さよは正気を取り戻したが、まだ少し意識が混濁しているようだった。
 その背後で、手放された太刀がカタカタと震え出す。すると次の瞬間、黒い霧がぶわっと吹き出し、中から黒き羽を持つ天狗が現れた。
「カカカカッ、惜しい惜しい、あともう少しだったのだがナァ……。だが猟兵よ、これで終わりと思うなかれ。この儂が全てを屠って見せようぞ」
 シャンと錫杖を鳴らす鴉天狗。音に、声に、全てを悟ったのは――。
「お前か……そうか、お前が……」
 ゆらりと立ち上がり、さよは振り向く。手には脇差、刃を抜いた。
「お前が――お前がああああぁぁぁぁっっ!!!」
 さよは憤怒に染まっていた。それを見て鴉天狗はまた一つカカッと笑った。
秋山・小夜
アドリブ・絡み歓迎

あー、あんたですか、さよさんを乗っ取ってたのは。とりあえず、一遍死んで出直してきなさいな。

再び妖刀夜桜を展開し、UC【桜月夜】を発動、また、可能なら夜桜以外の武装をあたりに展開し、UC【千本桜】を発動し、攻守を素早く切り替えられっるようにしておくとします。
とても許し難い蛮行を犯した輩なんかに手加減なんてできませんからね、全力で行かせていただきますよ。


●凪の道、桜の道
「あー、あんたですか、さよさんを乗っ取ってたのは」
 小夜は妖刀夜桜を突きつける。
「とりあえず、一遍死んで出直してきなさいな」
「カカッ、死んで出直せと申すか。小娘が……片腹痛いわ!」
 鴉天狗は羽根の中から団扇を取り出すと、叩きつけるように一扇。旋風がいくつも絡み合って生まれた大風を放った。
 分厚い空気の壁が襲ってきたようだった。踏ん張ろうとしても靴底が滑って押されていく。
「天狗の大風じゃ。これでは何もできまい」
 二つ扇いで再びの大風。ずるずると押し戻され鴉天狗との距離が離されていく――が。
「――なめないでください」
 水平に引いて構えた妖刀が気を放った。空気の壁を穿つ衝撃が小夜と鴉天狗を繋ぐように一筋の道を作り上げる。
「とても許し難い蛮行を犯した輩なんかに手加減なんてできませんからね……『全力で』行かせていただきますよ」
 地を蹴った小夜は無風の道を往く。疾走――黒髪が浮き上がって靡いていた。
「小癪な!」
 鴉天狗は団扇を上下に扇いで連続で大風を巻き起こす。台風の暴風圏にでも放り込まれたような大荒れの風の中だったが、真の姿を解放した小夜は爆発的なスピードを得て突き進む。
「言ったでしょう、全力、だと」
 妖刀を袈裟に薙いだ。剣圧が風をも斬り裂くと、表情の見えない鴉天狗が初めて目をわずか見開く。
「さぁ、約束を果たす時ですよ」
「カカッ、まだ死ねぬわ!」
 高下駄で地面を抉るように飛び立つが、武器を散らして作り上げた桜の奔流が鴉天狗を呑み込んでいく。
「ぐぬぅ……!」
 花びらの一枚一枚が鴉天狗の身を裂いていく。黒い羽毛が桜に染まりながら散っていた。
 小夜もまた奔流に乗る。桜の中で二人は交錯。鴉天狗が突き出した錫杖の下を抜けながら小夜は妖刀を真横に振り抜いた。
「ぬぐぉぉ……っ!」
 装束が大きく裂けた鴉天狗が傾きながら落ちていく。小夜が膝のクッションを使い軽やかに着地する後ろで、どさりと無様に落ちた鴉天狗が呻く。
「小娘が……なかなか、やりおるわ……カカッ……グ、ハァッ」
 立ち上がる鴉天狗が咳込みながら傷口を押さえる。軽口で紛らわせられぬほどの痛手を負っていた。
大成功 🔵🔵🔵

篝・倫太郎
耳障りに嗤うな
奪ったものの大きさが判らねぇってンならそれはそれだ
でも、『壊した』罪はてめぇの命で贖え、鴉

それと……簡単に屠るとか宣ってンじゃねぇよ

「手をつなぐ」を代償に始神界帰使用
詠唱と同時にダッシュで接近し
鎧無視攻撃と鎧砕きを乗せた華焔刀でなぎ払いの先制攻撃
刃先返してフェイントを混ぜて2回攻撃

さよの憤怒は判らなくはない
けど、憤りに飲まれ過ぎるな
憤りだけで勝てる相手じゃねぇのは判ってるはずだ

敵の攻撃は回避せずオーラ防御とジャストガードで防ぎ
武器受けで受けて咄嗟の一撃でカウンター
以降は生命力吸収も乗せて攻撃

さよへの攻撃は確実にかばい
彼女の攻撃が通りやすいようフォローしつつ立ち回り

往ってこい、さよ


月舘・夜彦
奴がさよ殿を鬼へと変えた元凶
これ以上誰かが利用され、命が奪われるようなことがないように
確実に奴を倒す
――御覚悟を

武器は夜禱
駆け出して敵へと接近
視力と見切りにて錫杖による攻撃手段に応じて対処
重い一撃なら残像による回避、受け止められるなら武器受け
武器落としと衝撃波で錫杖を弾いた後、反撃
敵の動きについて来れるのであれば絶えず攻撃を続け
怯んだ隙に早業の抜刀術『砕風』

戦う前からさよ殿の怒りや悲しみ、冷静ではいられぬのも当然
ですが戦いは気持ちだけでは勝てぬもの

誰が為に刃を向けるか
己が為、家族の為、何でも構いませぬ

私は戦うのは、貴女や貴女と同じく利用された者を増やさぬ為
その為に此処に居るのです


●渦巻く感情
「耳障りに嗤うな」
 倫太郎の声が低く響いた。鴉天狗の嗤い声はおよそ人間とは思えぬ不自然さを孕み、不快な雑音のように感じられる。
「カカ……おっと、これは失敬。天狗の嗤いはお気に召さぬか……やはり天狗と人は相容れぬものよ」
 地面についた錫杖をしゃんと鳴らす。何かの合図のようでもあった。それは思わぬ一撃を受けた自身への喝となったか。鴉天狗は傷に添えていた手を離す。
「奴がさよ殿を鬼へと変えた元凶……」
 夜彦は確かめるように呟いていた。彼の天狗が全ての始まり。失われた命は戻らないが、これ以上奪わせてはいけないと胸の内に決意する。
 そして彼らの近くには、激しい怒りを滾らせるさよの姿があった。
「絶対に……コロス……ああぁぁっっ!!」
「さよ」
 名を呼ぶ声に、さよは歯をぎりぎりと軋ませながらも倫太郎へ顔を向けた。
「憤りに飲まれ過ぎるな。それだけで勝てる相手じゃねぇのは判ってるはずだ」
「そうです。戦いは気持ちだけでは勝てぬもの……。とは言え、さよ殿の怒りや悲しみ、冷静ではいられぬのも当然。ですから思い出すのです……誰が為に刃を向けるか。己が為、家族の為、何でも構いませぬ」
 夜彦も重ねて諭す。さよは息を荒げていたが、二人の言わんとすることが伝わったのか、肉が食い込むほどに脇差を握り込んでいた手が少し緩んだ。
「私は……私は……っぐぅぅっ……!」
 仇を取るか。恨みを晴らすか。過る家族の笑顔には感情が溢れんばかりに込み上げてくる。
「私が戦うのは、貴女や貴女と同じく利用された者を増やさぬ為。その為に此処に居るのです」
 幾多の世界に現れた骸の月はここ、サムライエンパイアにも存在する。月の呪縛は根深いが、必ず夜明けの時は来る。そのために夜彦は刃を向けるのだ。
「今すぐに答えが出ねぇならそれでいい。だがな……鴉、『壊した』罪はてめぇの命で贖ってもらうぜ」
 鴉天狗へ刺すような視線を向けた倫太郎が詠唱と同時に飛び出した。
『今ここに戻れ、カミの力』
 華焔刀に神力が宿る、と同時に倫太郎は体から何かが抜けていくのを感じた。一時的にだが、その手はありとあらゆる人との繋がりを拒絶する。
 人の世から隔絶された存在――それは奇しくも天狗のようだ。倫太郎は自嘲して、そしてすぐに口を引き結び表情を覚悟で塗り固めた。
「オラァ!!」
 薙ぎ払われた刃に鴉天狗は錫杖を向けて、いなしにかかる。しかし倫太郎は手元でわずかに刃の速度を緩めることで、鴉天狗の防御のタイミングからずらしていた。ガツンと当たってくる重い刃は身の入らない守りでは受け切れず、真横へ弾かれていく。
「ぬぅ――」
「あぁそれとだ……簡単に屠るとか宣ってンじゃねぇ!」
 返す刃に鴉天狗の守りは無い。伸びた腕に刃が突き刺さると小手を真っ二つに砕き、二の腕から肩まで大きく肉を引き裂いた。
「ぬぉぉぅっ!! 天狗の言葉遊びが癪に障るか、小僧!」
 引き裂かれた腕だが、構わず握る錫杖に力を込めて振り回す。横殴りの一撃だが倫太郎は逃げずその場で守りを固めていた。接触の瞬間にオーラを集中的に張って受け、衝撃を最小限に抑える。それでも倫太郎の足元はわずかに沈み、細かい地割れが走っていた。
 鴉天狗に倫太郎ほどの器用さはない。倫太郎の守りに行く手を阻まれた錫杖は勢いのままに明後日の方向へ向かっていく。その瞬間に武器受けした薙刀を水平に倒し、鴉天狗の開いた体へ突き入れる。
「ぐおおぉぉ!!」
 腹を裂いた。同時に鴉天狗を脱力が襲う。
「小童がぁ!!!」
 鴉天狗にも負の感情というものが現れ始めていた。怒りに任せた一撃を、今度は横から夜彦が飛び込んで受け止める。夜禱が錫杖とかち合い激しく鳴った。
「ふっ!」
 夜彦はそのまま刃を錫杖の表面で滑らせ、真上へと振り上げた。歯止めがなくなった錫杖は力が加えられるままに高く跳ね上げられる。
 空いた脇腹へ刃が滑り込み一閃、傷を重ねて損傷を加速させる。さらに刀を翻して今度は逆側から斬りつけ、安易に逃さない。
「おおぉぉ……調子に乗りおって……!!」
 斬撃は休むことなく飛んでくる。堪らず鴉天狗は高下駄の歯で止めに入った。ガチンと刃を弾くと落ちてきた錫杖を取り戻し、そのまま真上から振り下ろす。
 重い一撃。夜彦は素早く横に跳んで回避する。錫杖は残像を貫通し、そのまま地面へと叩きつけられた。
 片足での一撃は重心を保つのが困難だった。夜彦はすかさず追撃の刃を向ける。
「おぉぉぅっ!?」
 怒涛の攻め。ざん、と装束の上から胴を斬る。鴉天狗は地面に刺さる錫杖を引き抜きながら身を退こうとしたが、その瞬間が夜彦の狙い目。
「逃しはしない!」
 刹那の抜刀術。流水の如き真一文字の一閃が鴉天狗を捉える。両肩を結ぶように斬り裂いて大きく仰け反らせた。
「さよ! 往ってこい!」
 倫太郎の声に、さよは駆けていた。誰の為、何の為の刃なのか。夜彦の問いは未だ怒りを飲み込みきれていないさよには難しいのかもしれない。
 だが、常に頭の中に現れるのは、家族とのかけがえのない日々、思い出。
 家族の為――とは自己満足にも思えたが。
「あああぁっっ!!」
 自分の腕を操っていた、その腕が憎い。
 脇差の刃が、ずん、と鴉天狗の左腕に突き立てられる。
「ぐぁぁぁぁ!! 貴様までも牙を剥くか!」
「私は……お前を……倒す!!」
 貫いた刃でそのまま肉を捌いた。咆哮は、決して怒りに囚われただけのものではなかった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

火土金水・明
「今回の元凶は『鴉天狗』ですか。幹部猟書家の意志を継ぐ者が次々と出てくるのは厄介ですね。」「さよさん、助太刀します。」(さよさんの攻撃するタイミングに合わせて、私も攻撃をします。)
【WIZ】で攻撃です。
攻撃方法は、【高速詠唱】で【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】で、『鴉天狗』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】【火炎耐性】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等は、お任せします。


シェラティシア・インフィノート
現れましたね、元凶…!
…さよさん、落ち着いてください
怒りを捨てるなとは言いません。怒りをコントロールすることが大事です
あの者を倒したいのなら尚更
怒りに任せて、闇雲に刃を振るうのではなく
確りと狙って、必殺の刃を振るうのです
私も協力しますよ

風精霊の風刃嵐翔を発動
鴉天狗と天狗火もろとも切り裂いて、動きを牽制して…
走ってください、さよさん
大丈夫、精霊さんの風はあなたを傷付けません
(一定範囲内の敵全てを攻撃するUCですが、さよさんは敵ではないので攻撃対象に入りません)
償いの時間ですよ、鴉天狗さん
屠られるのはあなたの方です…!


蛇塚・レモン
さよさん、あまり突出しすぎないでっ!
敵は空を飛ぶから、空が飛べるあたいと連携しよっ!

黄金霊波動を全開
念動力+空中浮遊+空中戦
あたいは空から蛇腹剣をなぎ払い

地上
さよさんの剣技で烏天狗を追い詰めてもらう
あたいの影からさよさんの影に移った【影の悪魔のヤミちゃん】が天狗火を空気ごと切断+衝撃波で受け流す!
『ヤミ……お手伝い、する……!』
あたいも結界術+オーラ防御+激痛耐性と継戦能力で炎を防御

そして満を持してUC発射!(呪殺弾+貫通攻撃+乱れ撃ち
敵の不幸は『天狗火が自身に引火。消火の際の隙で、さよさんに心臓を貫かれる』事
トドメは火属性全力魔法を乗せたオーラガンの衝撃波+爆撃+焼却+神罰で爆発四散だよっ!


●天狗火、尽く
 一刃交えたさよと鴉天狗。さよの怒りは猟兵達の支えもあって制御を取り戻しつつある。
「……さよさん、怒りを捨てるなとは言いません。怒りをコントロールすることが大事です。あの者を倒したいのなら尚更……怒りに任せて闇雲に刃を振るうのではなく、確りと狙って、必殺の刃を振るうのです。私も協力しますよ」
「えぇ……ありがとうございます」
「私も助太刀しましょう。幹部猟書家の意志を継ぐ者が次々と出てくるのは厄介ですから」
「あたいだって! あたいは空を飛べるから、鴉天狗が空に逃げようとしたって大丈夫!」
 シェラティシア、火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)、レモンの三人の言葉は頼もしく。これまで常に瞳を吊り上げ怒りを燃やしていたさよに、微かだが柔らかな笑みが生まれる。
 そしてむしろ、怒りで我を忘れつつあるのは鴉天狗のほうだった。軽く捻ってやろうかなどと驕っていた鴉天狗だが、ここまでの猟兵達の活躍で全身がズタズタに斬り裂かれ、腕も半分使い物にならなくなっている。
「えぇい忌々しい! 貴様ら纏めて焼き尽くしてくれるわぁ!!!」
 錫杖は満足に振るえない。故の第三の力、天狗火が燃える。空中に数多出現した赤橙の火はまるで百鬼夜行の行灯だ。
「皆さん、行きますよ!」
 シェラティシアの掛け声にレモンが飛んだ。明が駆けた。
 レモンは黄金に輝くオーラを出力全開。明星の如く空へ上がる。
 明は大地に残像を残しながら機を伺う。最善のその時まで力を溜める。
「がぁぁぁああああぁぁぁ!!」
 喉が枯れんばかりに吼えて鴉天狗は火を放つ。空へ、地へ。
 対空射撃のように撃ち出された火の中を縫って飛翔するレモンは箒星のようだった。
「こんなの、さよさんが受けた苦しみに比べたら、ぜんっぜんマシ!!」
 さよはきっと、己の身を焼かれるよりも苦しく辛い思いをしていたはずだ。それを思えば天狗の火など。
 レモンは蛇腹剣クサナギを薙ぎ払った。振りの遠心力で刃がしなやかに伸び、空の火を打ち払っていく。弾け飛ぶ火の粉は結界にオーラの守りを上乗せし、それでもダメなら己の耐性を信じて突き進むのだ。
『風の精霊さん、切り裂いちゃってください!』
 地の天狗火を払うのはシェラティシアだ。周囲に現れた風の刃を操作し地上に走らせる。火と風という自然現象の対立。風の前に火は掻き消え、火の前に風は霧散する。こうなれば後は手数という力勝負。シェラティシアは七百本という膨大な数の風の刃を飛翔させて鴉天狗に立ち向かう。
「天狗に風で向かってくるなど……ぐぬぅ!?」
 天狗火と押し合いになっていた風の刃が一つ、また一つと鴉天狗へ届き始める。足元を脅かされ、鴉天狗は細かく跳ねてかわす。
「走ってください、さよさん」
「……しかし」
「大丈夫、精霊さんの風はあなたを傷付けません」
「では……」
 さよはキッと鴉天狗を見据えると、
「感謝します」
 シェラティシアに背を押され、風の中へと駆けていく。
「償いの時間ですよ、鴉天狗さん。屠られるのはあなたの方です……!」
 シェラティシアは道を作る。さよに降りかかる火の悉くを消し去っていく。
 明滅するように現れては消える火に、さよの影は揺らいだか――いや、そこに潜むのは。
『ヤミ……お手伝い、する……!』
 にゅっと現れた『影の悪魔』はレモンが忍ばせておいた仲間だった。火を裂き、衝撃波で吹き飛ばす。天狗火はますます劣勢に陥り、さよと共に風の刃が届く。
「そう……このタイミングを待っていましたよ」
 全ての力を集結させる時だ。技能を駆使して火を耐え凌いでいた明もまた、動き始める。
『我、求めるは、冷たき力』
 あちらが風の刃なら、こちらは氷の矢だ。青く光る魔法の矢が明の周囲に装填され、発射の時を待つ。
 自らも虚ろの弓を引き、狙いを定める明。指先の彼方に鴉天狗の姿が重なるのは――。
「人間風情が、儂を倒そうなぞ……!!」
「お前だけは……許さん!!」
 鴉天狗が盾のように集めた火にシェラティシアの風が集中し、ヤミが衝撃波で外殻を剥がす。脆くなったところへさよが体ごと飛び込んで貫いた。
「はあああぁぁっっ!!」
 気迫から放たれた二度の斬撃が鴉天狗の体を刻んだ。そして仰け反ったところへ、
「発射!!」
 明の魔法の矢が一斉に放たれた。しかも二段装填で次の矢が現れ、また放たれる。矢尻が向く先は一点――鴉天狗。
「ぐぬぅ……おおぉぉ……!!」
 腕で受ける。傷口の上から凍てつく氷が体を蝕んだ。肉が腐り、ごとんと右腕が落ちる。左腕も長くは持たないか――。
「蛇神様っ! ライムっ! 3人の力を合わせて、あたい“たち”だけのお神楽を……っ!」
 明星はここ一番の輝きを放っていた。空を舞台に神楽舞うレモンが放つ霊光線の乱れ撃ち。それは複雑に絡み合いながら光の槍となり、大地諸共鴉天狗を穿つ。
 左足が膝からごっそり削げ落ちた。
「うぐぉ……おおぉ? おおぉぉっっ!!?」
 散っていた火の粉は指先で簡単に潰せてしまうほどの小さなものだっただろう。それが装束の切れ端に引火するなど不運も不運。鴉天狗は瞬く間に炎に包まれていく。
「これしき……っ!?」
 残った左腕から錫杖を離し、風の団扇を手にしようとしたのは老獪な鴉天狗としては不用心だった。指に触れた団扇に意識を向けた瞬間、ずん、と胸に走った衝撃で鼓動が止められた。
「さよさん離れて! 最後にこれを……お見舞いだよっ!!」
 空からかかった声に、さよは天狗の体に打ち付けた脇差を引き抜き跳んで離れる。
「いっけえええぇぇぇっ!!」
 超霊力オーラガンは真っ赤な輝きを放っていた。レモンの指から放たれた赤き閃光は天上から下った神罰の如し。鴉天狗の頭上から降る光に、その姿は飲み込まれて――。

 力が逆流するかのように半球状に膨らんだ光がずどんと大爆発を起こした。地が揺らぎ、大気が震える。燃え尽きかけていた命の灯火では、断末魔を上げることすら叶わなかったか。
 クレーターのように凹んだ爆心地に黒き天狗の姿は無く。
 さよの遺恨は猟兵達と共に、晴らされたのだった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年01月15日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵