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新春デビル議会スペシャル☆お年玉没収法を廃止せよ!(作者 炉端侠庵)
#デビルキングワールド
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#年末年始バラエティ系
#お年玉
#こまけぇこたぁいいんだよ!!
#コメディ
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「議員諸君、特に子を持つ親でもある皆々様! 新年というこの節目の時、我々は偉大なるデビルキング法の危機、利己主義の敗北に面していると言えましょう! 古来からの悪習によって!」
デビルキングワールドのとある小国、その魔界議会は正月からかっ飛ばしていた。
女王蜂の如き風格持つ悪魔議員の1人が、壇上で声を張り上げる。
「そう、その悪習とは!」
ごくり、議員達が息を呑む。
「――お年玉であります!!」
今、明らかに彼女は世界の、否おそらく別世界の子供にも全力で喧嘩を売っていた。
しかしここは議会である。
政治というのはこのデビルキングワールドでもだいたい大人の仕事である。
ゆえにいたいけな子供達の年に一度のお楽しみが!
子供達の手の届かない場所で奪われかけている!
「そうねぇ……最近うちの子もやたらと強くなっちゃって」
「ちゃんとユーベルコードの腕も上がってるのは嬉しいんだけど、年々お年玉の額も上がっちゃって……」
なおデビルキング法のおかげで、この国の多くの家庭では壮絶なお年玉争奪バトルの末に子供が親からお年玉を分捕っていく、という心温まる光景が元旦の風物詩となっている。
しかし親としては切実なのだ!
いい子ではあるが遠慮というものを知らない子供達による、年々上がる要求額!
昔はちょっと手加減してやって「あ~やられてしまった~」と言いながら手渡していたお年玉が、本気のバトルの末持っていかれる屈辱と子供の成長への喜び!
そして何よりも家計に与える影響が……!
「ゆえに、これよりお年玉なるものは全て議会に返上、没収としてしまいましょう!」
「「「わあああああああ!!」」」
壇上の女王蜂悪魔の言葉に、喝采を浴びせる議員達。
実際議会に没収ということは家計に戻ってくるわけではないのだが!
そこは親が没収するより議会が没収する方がいかにも悪そうではあるし!
あと多分魔界福祉制度によってそれなりに生活に還元されるという見通しも一応あるのである!
多分!
「しかし、子供達に一度与えたお年玉を没収するというのは、どうにも……」
もちろんそういう正論で場を諌めようとした議員もいたのだが!
女王蜂議員の力技によって(物理的に)議会から排除されてしまい、お年玉没収法は議会を通ってしまったのである!
「明けましておめでとう、今年もどうかよろしく頼む。……と、言った傍から依頼になるのだが」
集まった猟兵達に丁寧に頭を下げてから、仙堂・十来はデビルキングワールドの地図を広げた。
年末に新たに見つかった世界のうち、今回の事件が起きている小国に印がついている。
「デビルキングワールドは、多くの魔王が治める小国に分かれているのだが……そのうちとある国の議会で、オブリビオンが議員に紛れて『お年玉没収法』という悪法を通してしまったんだ」
わぁお正月。
ちなみに親からだろうが親戚からだろうが、もらったお年玉の全てを議会に没収されるという法律である。慈悲はない。
「どうやらこの魔界の通貨『D(デビル)』には強力な魔力が籠められていて、大量に集めればオブリビオン達がカタストロフ級の儀式魔術を行うことすらできるとのことだ。たとえ内政干渉になろうとも、オブリビオンが関わっているとあらばこの法律は即座に廃止しなければならない」
とはいえデビルキング法のおかげで、外から乗り込んで魔界議員を全員かっ飛ばして法律を変えようが、デビルキングワールド的にはOKなのである。
魔界の住民は猟兵達並みに丈夫でユーベルコードを使いこなす、ある意味強敵ではあるが、ふっ飛ばしたくらいなら死にもしなければ怪我もすぐ治る。
もちろん戦闘ではなく論戦に持ち込んだりしても構わない。
とにかく勝てば!
法律は変わるのだ!
「まずは議事堂に潜入し、その後議会を制覇して法律を変更……だがもちろん、これを議員に扮したオブリビオンが見逃すことはない。法律が廃止されたならば、必ず潜伏していたその正体を現す。皆には、そのオブリビオンの討伐までをお願いしたい」
新年早々、新たな異世界での戦い。
しかもぶっちゃけ景気づけにどっかーん☆と乗り込んでも誰も不幸にならないし、むしろお年玉を奪われかけた子供達の幸せは猟兵達の首尾にかかっているのだ!
「デビルキングワールドの子供達の笑顔のためにも、そしてオブリビオンの陰謀を挫くためにも、どうか皆、よろしく頼む」
再び深々と一礼すると、十来は猟兵達をデビルキングワールドへと送り出す最終準備へと取り掛かった。
炉端侠庵
明けましておめでとうございます。
炉端侠庵、今年の初依頼はデビルキングワールドとなります。
今年もどうかよろしくお願いいたします。
今回は魔界議会の議事堂に殴り込む(冒険)→議会で勝利してお年玉没収法を廃止する(集団戦:相手はオブリビオンではなく魔界の住民から構成される議員達)→議会に潜んでいたオブリビオンをぶちのめす(ボス戦)という3章立てとなっております。
割と年末年始によくやってるバラエティみたいなノリで参戦していただけますと、楽しいかなと思います!
ちなみに議事堂には大量の罠や危険なセキュリティシステムなどが待ち構えていますが、まぁ猟兵の皆さんならなんとかなるでしょう!
少なくとも猟兵達の命に関わるレベルのものは存在しません。
具体的な内容はプレイングに記載されていた場合だいたい採用されますし、とにかく乗り越えられます! って感じでもだいたい乗り越えられます。
ので、安心してどっかーんと乗り込んでください!
というわけで、よろしくお願いいたします!
第1章 冒険
『潜入!なんかすごくスゴい建物!』
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|
POW | 薄い壁をドッカーン!! |
SPD | 天井裏から乗りこめー! |
WIZ | 壁から覗いて慎重に、慎重に……。 |
👑7 |
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴 |
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鞍馬・景正
決められた法度を覆す――。
成る程、つまり御所巻きですね。
良いでしょう、政道を(実力行使で)正すのも武士の務め。
◆
突入前に【堅甲利兵】にて手勢を招いておきましょう。
敢えて虎口に乗り込んで旗を立てるも誉れですが、時には頭も使わねば。
具体的には持参したこの大型火縄銃、逆鉾を鉄砲隊に預けて議事堂を【砲撃】させ、壁を崩した所から兵を突入させます。
弓隊は別方向から火矢を放ち、内部の動揺を誘いつつ陽動を。
火が燃え広がり過ぎぬよう程々の所で消火活動を手伝うように。
また突入する者らは安全に配慮し武装をウレタン刀に持ち替えつつ、罠があればなんか良い感じに解除せよ! 出来ない? それを何とかするのが貴殿らの使命だ!
サムライエンパイアが武家の嫡男、鞍馬・景正はふむと小さく唸って呟いた。
「決められた法度を覆す――成る程、つまり御所巻きですね」
御所巻きとは。
主にUDCアースとサムライエンパイアの室町時代において、将軍の御所すなわち当時の政府機関を大名達が取り囲んで要求を通そうとしたり、幕府の決定に異議申し立てをすることである。
ちなみにちゃんと箇条書きにした訴状に大名達がサインして事前に送っておかなければいけないなど、案外お作法が多い。
「良いでしょう、政道を正すのも武士の務め」
今どう考えても『実力行使で』って副音声が聞こえたが。
ここでデビルキングワールドにおいては、副音声含めて景正の言うことはむしろ正当な手段である。
――サムライエンパイアでも案外そうだという説は、なきにしもあらず。大きな戦いは終わったとはいえ、猟書家が侵攻してきたりと、まだ武士が為政者に専念するには荒事の止まぬ世の中なのである。
というわけで。
「敢えて虎口に乗り込んで旗を立てるも誉れですが――『衆を闘わすこと、寡を闘わすが如きは形名是なり』」
景正が『呼べば』、百に僅かに足りぬばかりのその軍勢は音もなく姿を現した。
幻影のサムライエンパイア兵を呼び出し、己はその指揮に専念するユーベルコード『堅甲利兵』。
「鞍馬の統帥、御覧に入れる」
背負っていた大型火縄銃『逆鉾』を、景正は鉄砲隊へと手渡した。百匁、すなわち375グラムもの弾丸を撃ち込むそれはもはや大砲の亜種と言えるものであり、羅刹の中でも怪力を誇る景正なればともかく、通常の鉄砲兵ならば複数名での運用を必要とするが――しかし。
「撃てい!」
どぉん、と腹に響き渡るような轟音と共に、議事堂の壁にヒビが入る。すぐさま撃ち手が交代する間に新たな装填が行われる。そして悪魔議員達が轟音に反応する前より前に、議事堂の反対の壁に向けて一斉に火矢が飛んだ。
「か、火事だ!」
「えっ放火?」
「しまったこっちは第3資料庫! 議会権限で没収した書籍とかが燃える!」
「あらまぁ! 没収したとはいえあれ返さなきゃいけないじゃない!」
「でもあれって返していいの? あの内容……」
「じゅ、純然たる創作物だし表現の自由って大事……じゃん?」
「ですねぇ……」
デビルキング法の元にあっても善人っぷりが隠せていない悪魔議員達が、バケツリレーで消火していく。
「ぎゃっ爆発した!?」
「落ち着けここじゃない!」
「大丈夫、この程度の爆発なら巻き込まれたくらいじゃ誰も死にませんから!」
そう。
後で見つけて治癒系ユーベルコードで治療してあげるなり、普通の治療でもすぐに治る。
つまりは遠くの轟音より近くの火事。
焼けた資料は戻らないけど吹っ飛んだ悪魔は戻るから仕方ないのだ!
そんなこんなで順調に。
「撃てい!」
どぉん!
「開いたぞ!」
「槍隊、突入!」
「うおおおお!!」
ちなみに槍隊とは呼ばれても、武装はウレタン刀に持ち替え済みである。
「た、大変だ議事堂が燃えてるぞ!」
「消火お手伝いします!」
そしてそれと同タイミングで、弓隊は通りすがりの一般悪魔みたいな顔で消火活動に合流した。
「あら助かるわ! ちょっとそこの水道とホース繋いで来て!」
「はい!」
多種多様な悪魔の外見の中では、明らかに足柄装束の一隊がいようとさして目立ったところはない。
ついでに言うなら議事堂を強行突破して法律を無理やり通そうとする行為は案外『そこそこよくある』レベルで起きてる。
成功まですることはなかなかないが――その理由は無論、対策が取られているからだ。
「罠があればなんか良い感じに解除せよ!」
無論その対策――議事堂に仕掛けられた無数の罠を承知済みの景正が、突入隊に躊躇なく指示を飛ばす。
「なんか良い感じってなんですか景正様」
「それを考えて何とかするのが貴殿らの使命だ!」
すごいざっくりした命令だった。
まぁ実際『堅甲利兵』の使用中は部隊指揮に専念する必要があるため、景正自身が罠を踏み越えたり罠を破壊したり罠を正面突破したりするわけにはいかないから仕方ないのだ!
「それが景正様の意志とあらば――」
覚悟を決めた顔で、槍隊長がウレタン刀を握り直す。その後ろで隊員達が決意の顔で頷く。
「踏み越えろ!!」
というわけで槍隊はしっかりと罠を踏み越えて罠を破壊して罠を正面突破して、会議場までの血路を切り開いていったのである!
「鉄球を打ち返していたらウレタン刀が折れました!」
「大丈夫だ予備がある!」
「かたじけない!」
――主と部下の戦い方って、似るよね!
大成功
🔵🔵🔵
鬼桐・相馬
お年玉は研究施設の中で使い道もないし、結局親に預けていたな
顕現させるのは〈獄卒の金砕棒〉
正面から普通に入り、受付近くの案内図から迅速に[情報収集]
目的の場所への大体の経路・方角を把握したら突入開始
[怪力]を駆使して壁や障害物等を破壊・粉砕しながら進んで行こう
悪魔達はそこそこ頑丈だと聞いた
故に巻き込み事故も止む無しの方針で
迷ったら己の[野生の勘]を信じてピンときた方向へ進む
道中に議会創設者の像辺りがないだろうか、UC発動し台座から折り離したのちご同行願おう
一応人質――像質なので壊さずに
後の扱いは議員の態度次第だな
議場に辿り着いたらまずは一礼し横に像を立たせる
失礼する、お年玉没収制度に物申したい
ローズ・ベルシュタイン(サポート)
『さぁ、楽しませて下さいますわよね。』
人間のマジックナイト×電脳魔術士、17歳の女です。
普段の口調は「高飛車なお嬢様(私、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、宿敵には「薔薇の棘(私、あなた、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は高飛車なお嬢様風の偉そうな感じです
花が好きで、特に薔薇が大好き
武器は、主にルーンソードや精霊銃で戦う。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
というわけでサムライエンパイア兵による強襲が起きる数分前。
鬼桐・相馬は普通に正面玄関から入って案内図を確認していた。見た目も多種多様な悪魔議員達が出入りしているので、思いっきり獄卒の金砕棒を顕現させている相馬もさほど目立たない。
「お年玉は研究施設の中で使い道もないし、結局親に預けていたな」
ぽつり、相馬が呟いた言葉に、人波に紛れていたローズ・ベルシュタインがこそりと心で涙した。切ない。上流階級のお嬢様としても比較的好きなことに打ち込めたローズには、研究体として生まれ育った相馬の暮らしは想像できないが切ないと思った。
なお相馬にとっては割と両親共々研究体とは言ってもフランクかつ人権的にも配慮された環境で、研究員達も含めて大家族みたいなノリで育ったので、別に悪い思い出ではなかったりする。
言葉から受ける印象とは人それぞれ、育った環境それぞれなのであった。
会議場への距離と方角をだいたい把握したところで、相馬は金砕棒をひょいと持ち上げておもむろに受付脇の通路へと入った。
――バコンッ!
躊躇も容赦もない壁への一撃。
予備動作とその方向でだいたい何をやるかわかっていたローズでも思わず息を呑むほどの打撃は、見事に壁を貫通して向こうの通路への穴を開けていた。まだ人が通るには狭いそれを、金砕棒の棘の部分をのこぎりの如く使ってさらに大穴を開けていく。
元来割と常識人であり、お嬢様気質ながらも行動原理はノブレス・オブリージュなローズの良心もごりっと痛んだ。――大丈夫ここはデビルキングワールド、ワルであることこそカッコいい。郷に入れば郷に従え。自分の常識にそう言い聞かせ、深呼吸したところで。
「何だ!? また実力行使か!?」
「議場までは行かせませんよ、ここで放り出してあげます!」
「法律を変えたければ我らを倒してから行くのだ!力こそパワー!!」
武器やら爪やらを手に飛び出してきた悪魔議員達が、ふっとローズの心を救った。
オーケー大丈夫、決闘で白黒付けるのは高貴なる者のたしなみのうちなので!
「ええ、私こそが挑戦者! 楽しませていただきますわ――『薔薇よ、風に乗りて舞い踊りなさい!』」
ユーベルコード『風が導く薔薇の舞踏』、夕焼け色の薔薇の花弁を疾風が華麗に舞い上げる。アンティーク・スタイルに薔薇の彫刻で飾られた精霊銃と夕焼けをそのまま鍛造したかのような刀身のルーンソードを引き抜くと、ひらりドレスの裾を翻し。
「私の名はベルシュタイン家が一女ローズ! いざ尋常に! 行きますわよ!」
彼女自身が風に乗る一輪の薔薇であるかのように鋭くかつ美しく、ローズは悪魔議員達の中へと飛び出して行った。
この場は任せる、と声をかけローズが頷くのを確かめると、相馬は即座に壁に開けた大穴を潜り、廊下を進んだ次の突き当たりで再び金砕棒を叩きつけた。
ちょうどその辺りで、議事堂の裏からも轟音とボヤの喧騒が聞こえてきた。同時に空けた大穴の向こうで悪魔議員が1人巻き込まれ倒れたが、気絶しているだけだったので廊下の端に寄せて寝かせ、その控室を抜けて相馬は最短距離を突き抜ける。
「悪魔達はそこそこ頑丈だと聞いた通りか……ん」
最短経路からは微妙に外れる場所、しかし控室から向こうの通路側に何かある、と相馬の直感は囁いた。もう会議場も近いし、遠ざかる方向ではない。すぐさまその勘に従うことにした相馬は、角を曲がってすぐに己の直感の精度に、自分ですらほんのり感動を覚えた。
初代魔王の銅像が凛々しく鎮座ましましていたのである。
ちょうどいろんな場所で起きている騒ぎに気を取られて、人目、もとい悪魔の目はここにはない。
――ユーベルコード『火車擡』発動。
90トンまでならしれっと持ち上げる鬼の怪力が、丁寧に丁重に像の部分だけを台座から折り取った。怪力だけにそりゃもう丁寧に扱わないと、像の方をぐしゃっとやりかねない。
「よし、では議場までご同行願おう」
後の扱いは議員達の態度次第。
それまではあくまで人質ならぬ像質として、丁寧に抱えて走る所存である。
最後の壁一枚を、片手で持った金砕棒で相馬はきっちりと叩き割った。
一礼、そして初代魔王像を己の隣に立たせ、相馬は会議場に声を張る。
「失礼する、お年玉没収法に物申したい」
その声は朗々たれど穏やかに、けれどどうあがいても『挑戦者現る!』みたいな空気と共に、会議場に響き渡ったのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『魔界主婦の皆さん』
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POW |
●ウチの家に限って…
【家事育児を手伝わない旦那への不満】【我が子の将来の進学進路についての不安】【老後の生活、ご近所さんとの悪魔関係の心配】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
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SPD |
●私達だって暴れたい!ミートゥー!
【自身と同じ境遇に不満を持つ魔界主婦】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[自身と同じ境遇に不満を持つ魔界主婦]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
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WIZ |
●社会を革命する力を
【自分達の身の回りの社会を今すぐよくしたい】という願いを【魔界SNSを利用する悪魔の皆さん】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
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👑11 |
🔵🔵🔵🔵🔵🔵 |
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
実はこの悪魔議会は主婦の皆さんが多い。
お年玉没収法がまかり通ってしまったのも、割とその辺の事情があった。
ご家庭の財政の逼迫であり!
年齢と共に上がっていく教育費に諸経費にエンゲル指数であり!
どうせ没収されるならお年玉来年は少なくてもいいかな、という計算であり!
あとちょっと家でごろごろしよって正月くらい手伝いなさいよあんた達みたいな!
そんな本来気のいい悪魔主婦達でもちょっとイラッとしちゃったり、焦っちゃったりするあれこれが、デビルキング法の後押しとオブリビオン議員の煽動によって、お年玉没収法へと繋がったのである!
そんなわけで、議論かも実力行使かも、その他まぁなんかの手段かもしれないが!
お年玉没収法の行方は、猟兵達の議会戦略へと託されたのである!
あ、ちなみにオブリビオン議員はもう法律が通ったので油断したのか、今日は休みだそうです。
鞍馬・景正
家の奥向きを預かる女性たちの悩みは、ある程度共通するようですね。
……どうも母上を思い出して力で訴える気が無くなります。
何とか考え直して頂けるよう尽力しましょう。
◆
ご婦人方、お耳を拝借。
議会にお年玉を没収――否、納税すると換言しましょう。
正しく税を納めるなど、寧ろ善良な行いでは?
それより、私は更に邪悪な策を紹介致します。
成果主義です。
即ち悪事をすればするだけ、あと家庭のお手伝いをしただけお年玉を増額する――など建前。
評価など胸先三寸で適当に減額してしまえば良いのです。
お年玉に限らず、夫君へのお小遣いもこの手で節約できましょう。
"ぶらっく企業"なる邪悪の権化も使っている手と聞きます。間違いはない。
「家の奥向きを預かる女性たちの悩みは、ある程度共通するようですね……」
議席の多くを占める女性悪魔達の姿とその言葉に、鞍馬・景正は思わずぽつと呟いた。
「……どうも母上を思い出して、力で訴える気が無くなります」
サムライエンパイアが由緒正しき武家の嫡男、されば景正の母は鞍馬家当主の正室である。
将軍が妻妾全てを統括する大奥ほどの規模ではなくとも、一族郎党から使用人まで含め、『奥向き』すなわち武門が家庭における最高責任者たる正室、いわゆる奥方の責務は重大にして細やか。家同士の付き合いも、表向きはともかく奥のことは奥同士でやるというのが基本。そのハードさ、まさに悪魔主婦達にも通じるものが多かろう。
(何とか考え直して頂けるよう尽力しましょう)
その面影が重なったからこそ、景正はそっと心に決めるのであった。
というわけですいすいと会議場の警備を掻い潜り、ひらり景正は演壇へと飛び乗った。
「ご婦人方、お耳を拝借」
ここまで来てしまえばまずは提言者として論を弁じる権利が、議員達にも耳を傾ける義務が発生する。
ちなみに弁論中に狙撃されることは割とある。悪魔だから死なないし。
だが、この議場に乱入出来たという地点で実力は確か。なればまずは聞いてみようという構えの悪魔議員達である。
そんな議席の空気を確かめて、景正はにやりと邪悪度増し増しの笑みを浮かべた。
「議会にお年玉を没収――否、納税すると換言しましょう。正しく税を納めるなど、むしろ善良な行いでは?」
ざわりと波立つように広がるざわめき。
「しれっと善良っぽい風に言い換えたわね、あの優男……」
あ、気付いた。
「ふふ、なかなかのワルじゃない」
「ちょいワルイケメンってやつね!」
そして至極あっさりと受け入れられていた。
実際、景正はこうして片方の口端を上げ、酷薄そうな笑みを浮かべている分には陰のある美青年である。怪力技能が255レベルあるけど。
――閑話休題。
「それより、私はさらに邪悪な策を紹介致します」
たっぷり間を空け、ぐるり議場を見渡してからおもむろに景正は口を開く。
「成果主義です」
ざわり。
そのざわめきに、得たりとばかりに景正は笑みを深めた。
「即ち悪事をすればするだけ、あと家庭のお手伝いをしただけお年玉を増額する――など建前」
ひどい。
「評価など胸先三寸で適当に減額してしまえば良いのです!」
ひどい!!
ワルい!!
鬼か! 悪魔か! いや羅刹だ!
「お年玉に限らず、夫君へのお小遣いもこの手で節約できましょう」
そうダメ押しする景正に、明らかに議場の雰囲気が傾いた。
なおこれをマジで景正の言う通りに運用するとおそらく家庭崩壊の危機だが、根は超善人の悪魔達である。大丈夫だろう。
「『ぶらっく企業』なる邪悪の権化も使っている手と聞きます。間違いはない」
それは真似しちゃいけない運用の方だけどね!
大成功
🔵🔵🔵
鬼桐・相馬
【SPD】
口喧嘩で女性に勝つのは至難の業
よって実力行使
議長が使うガベルを真似し初代魔王像を[怪力]で持ち上げ地へ再度立たせる
お年玉を奪ったら子供達が「自分をワルく魅せる諸々の購入資金」がなくなるだろ
十字架、包帯、鎖等
お前達も身に覚えがないか
主婦は大体群れる
不安になれば同じ考えの者同士集まる筈
相手のUC発動に合わせ〈ヘヴィクロスボウ〉のボルトにUCをのせ射出
お年玉を没収されたせいで子が格好悪い非行に走り、崩壊する家庭の幻影でも見て貰おうか
それでも果敢に向かってくる主婦へは〈獄卒の金砕棒〉を使い[恐怖を与え]つつ若干加減した[なぎ払い]を
相手の攻撃は金砕棒で正面から[武器受け]し次の攻撃に繋げよう
しかし、意見が一方に傾けば、反対意見が出るのもまた必然。
「ですけど結局、それは家庭内パワーが物を言うだけではなくって?」
「ああ、あなた戦闘力はあまり高くないものねえ」
「だから法律で一律に没収して給付金で還元してくれた方が楽なのよ」
デビルキングワールドのご家庭事情、家計簿事情がいろいろと分かるぶっちゃけトークであった。それぞれの魔王が治める国次第で異なるが、この国では『ワル推進補助金』とか『反抗期促進手当』とかあるらしい。ワルなりに福祉が充実しているのだ。
それはいいことである。
細かい事情はわからないが、鬼桐・相馬もそう思う。ちゃんと納めた通貨D(デビル)が住民に還元されるのなら。
残念ながらオブリビオンが絡んでるから還元されないんだよなぁ。
(口喧嘩で女性に勝つのは至難の業……よし、実力行使と行こう)
まるで議長の使うガベルの如く、初代魔王像を持ち上げると相馬は議場の床へと音を立て置き直す。石造りの床に金属の当たる音が鈍く響いた。ざわめきが止まり静まる会議場。
使い方もタイミングも合っているがぶっちゃけガベルというよりゴングである。色んな意味で。
「お年玉を奪ったら、子供達が『自分をワルく魅せる諸々の購入資金』がなくなるだろ、十字架、包帯、鎖……」
「っ!!」
「お前達も身に覚えがないか」
ヘヴィクロスボウに装填済ませつつ、静かな声色で問いかける相馬。頷いたり、苦虫を噛み潰したような顔をしたり、「あっ自分は廃案賛成するんで」みたいな顔で議場の端に避けていったり、それぞれの反応をする議員達。
中にはクリティカルヒットして自分の議席でのたうち回っている議員もいる。きっと思春期にフルセットワルグッズだったタイプだろう。何ならマジックで伸ばした爪を黒く塗っていたりもしたに違いない。普通に鉤爪持ちの悪魔も多いがそこはそれ、形からワルになりたいお年頃とは、過ぎてしまえば本人を苦しめるものなのだ!
どうやらそれはワルを目指す悪魔達も変わらないらしい。根が善人だから尚更なのだろう。
たぶん。
「だけど!」
「だけど!!」
「やっぱりまとめて没収してくれた方が楽よねー!!」
そんなわけで、多彩な反応見せる悪魔議員達の中、お年玉没収法を支持する議員達は相馬と対峙するように集まりつつあった。
相馬が黙ってヘヴィクロスボウを向ける。
「こうなったら力づくでもお年玉没収法を守るのよ!!」
シュプレヒコールの如く叫ぶ主婦達の、ユーベルコード発動と同時に相馬がヘヴィクロスボウの引き金を引いた。
ものの10ミリ秒ほどで床に着弾、その瞬間一気に議場の床を覆い尽くさんばかりに燃え広がる炎――ユーベルコード『百禍燎乱』。その物理的な性質は、炎より陽炎が如きと分類されるべきものだ。
その真価は焔そのものではなく『災厄を呼ぶ』という性質。時にその災厄は実体を持ち、けれど時には幻影として現れる。
「な、なんでそんなしょっぱい非行に手を出しちゃったの……!?」
「流石にそれは洒落にならないわ……」
「わ、ワルの内申点が足りなくて志望校に行けない!? そんな……!」
響き渡る絶望の声に、油断なく『獄卒の金砕棒』へと武器を持ち替えつつも、ほんの僅かに相馬は眉尻を下げた。デビルキング法に従う悪魔達といえど、やはり子を思い家庭を思う人の親、そう考えれば鉄面皮も多少は切なさに緩むというものである。
無論これは単なる幻影、実際に彼女達が家に帰れば普段通りの家庭が待っているのだが。
「……うちの子は――」
けれどそんな中、ゆらりと前に出る悪魔主婦が1人。
「盗んだり強奪することはあっても! フィギュアを壊すことは絶対に――ないわ!」
そう叫んで幻影から抜け出し、鉤爪を構える悪魔議員にほう、と相馬は感心したように軽く目を細めた。
よく我が子の趣味を理解し、それによって幻影を抜け出す家族の絆。きっと彼女は良き母、その家庭も良き家族なのであろう。
「けれど、だからこそお年玉を没収されても、うちの子は自分で趣味を続けられる!」
なおそこはデビルキングワールドらしく、きっちりワルだけど。
「だからお年玉没収法は――通させてもらうわ!」
ほぼノーモーションから振り抜いた鉤爪を、相馬は落ち着いて金砕棒で受け止めた。純白の幾何学文様輝く漆黒の金砕棒が、真紅の鉤爪と正面から打ち合い甲高い音が鳴る。そのまま鍔迫り合いのように押した金砕棒で、悪魔議員の体勢が崩れたところですっと腰だめに落とした金砕棒をそのまま真横に薙ぎ払う。
「きゃああああ!!」
真っ赤なネイルと真っ赤なルージュとは対照的なちょっとかわいらしい悲鳴と共に倒れ伏す悪魔議員。もちろん無事である。
けれど。
「あの『真紅の元スケバンマダム』を……」
「一撃で……!?」
次は誰だ、というかのように議場を見渡す相馬に、悪魔議員達はただ息を呑むばかりであった――。
大成功
🔵🔵🔵