新春デビル議会スペシャル☆お年玉没収法を廃止せよ!
「議員諸君、特に子を持つ親でもある皆々様! 新年というこの節目の時、我々は偉大なるデビルキング法の危機、利己主義の敗北に面していると言えましょう! 古来からの悪習によって!」
デビルキングワールドのとある小国、その魔界議会は正月からかっ飛ばしていた。
女王蜂の如き風格持つ悪魔議員の1人が、壇上で声を張り上げる。
「そう、その悪習とは!」
ごくり、議員達が息を呑む。
「――お年玉であります!!」
今、明らかに彼女は世界の、否おそらく別世界の子供にも全力で喧嘩を売っていた。
しかしここは議会である。
政治というのはこのデビルキングワールドでもだいたい大人の仕事である。
ゆえにいたいけな子供達の年に一度のお楽しみが!
子供達の手の届かない場所で奪われかけている!
「そうねぇ……最近うちの子もやたらと強くなっちゃって」
「ちゃんとユーベルコードの腕も上がってるのは嬉しいんだけど、年々お年玉の額も上がっちゃって……」
なおデビルキング法のおかげで、この国の多くの家庭では壮絶なお年玉争奪バトルの末に子供が親からお年玉を分捕っていく、という心温まる光景が元旦の風物詩となっている。
しかし親としては切実なのだ!
いい子ではあるが遠慮というものを知らない子供達による、年々上がる要求額!
昔はちょっと手加減してやって「あ~やられてしまった~」と言いながら手渡していたお年玉が、本気のバトルの末持っていかれる屈辱と子供の成長への喜び!
そして何よりも家計に与える影響が……!
「ゆえに、これよりお年玉なるものは全て議会に返上、没収としてしまいましょう!」
「「「わあああああああ!!」」」
壇上の女王蜂悪魔の言葉に、喝采を浴びせる議員達。
実際議会に没収ということは家計に戻ってくるわけではないのだが!
そこは親が没収するより議会が没収する方がいかにも悪そうではあるし!
あと多分魔界福祉制度によってそれなりに生活に還元されるという見通しも一応あるのである!
多分!
「しかし、子供達に一度与えたお年玉を没収するというのは、どうにも……」
もちろんそういう正論で場を諌めようとした議員もいたのだが!
女王蜂議員の力技によって(物理的に)議会から排除されてしまい、お年玉没収法は議会を通ってしまったのである!
「明けましておめでとう、今年もどうかよろしく頼む。……と、言った傍から依頼になるのだが」
集まった猟兵達に丁寧に頭を下げてから、仙堂・十来はデビルキングワールドの地図を広げた。
年末に新たに見つかった世界のうち、今回の事件が起きている小国に印がついている。
「デビルキングワールドは、多くの魔王が治める小国に分かれているのだが……そのうちとある国の議会で、オブリビオンが議員に紛れて『お年玉没収法』という悪法を通してしまったんだ」
わぁお正月。
ちなみに親からだろうが親戚からだろうが、もらったお年玉の全てを議会に没収されるという法律である。慈悲はない。
「どうやらこの魔界の通貨『D(デビル)』には強力な魔力が籠められていて、大量に集めればオブリビオン達がカタストロフ級の儀式魔術を行うことすらできるとのことだ。たとえ内政干渉になろうとも、オブリビオンが関わっているとあらばこの法律は即座に廃止しなければならない」
とはいえデビルキング法のおかげで、外から乗り込んで魔界議員を全員かっ飛ばして法律を変えようが、デビルキングワールド的にはOKなのである。
魔界の住民は猟兵達並みに丈夫でユーベルコードを使いこなす、ある意味強敵ではあるが、ふっ飛ばしたくらいなら死にもしなければ怪我もすぐ治る。
もちろん戦闘ではなく論戦に持ち込んだりしても構わない。
とにかく勝てば!
法律は変わるのだ!
「まずは議事堂に潜入し、その後議会を制覇して法律を変更……だがもちろん、これを議員に扮したオブリビオンが見逃すことはない。法律が廃止されたならば、必ず潜伏していたその正体を現す。皆には、そのオブリビオンの討伐までをお願いしたい」
新年早々、新たな異世界での戦い。
しかもぶっちゃけ景気づけにどっかーん☆と乗り込んでも誰も不幸にならないし、むしろお年玉を奪われかけた子供達の幸せは猟兵達の首尾にかかっているのだ!
「デビルキングワールドの子供達の笑顔のためにも、そしてオブリビオンの陰謀を挫くためにも、どうか皆、よろしく頼む」
再び深々と一礼すると、十来は猟兵達をデビルキングワールドへと送り出す最終準備へと取り掛かった。
炉端侠庵
明けましておめでとうございます。
炉端侠庵、今年の初依頼はデビルキングワールドとなります。
今年もどうかよろしくお願いいたします。
今回は魔界議会の議事堂に殴り込む(冒険)→議会で勝利してお年玉没収法を廃止する(集団戦:相手はオブリビオンではなく魔界の住民から構成される議員達)→議会に潜んでいたオブリビオンをぶちのめす(ボス戦)という3章立てとなっております。
割と年末年始によくやってるバラエティみたいなノリで参戦していただけますと、楽しいかなと思います!
ちなみに議事堂には大量の罠や危険なセキュリティシステムなどが待ち構えていますが、まぁ猟兵の皆さんならなんとかなるでしょう!
少なくとも猟兵達の命に関わるレベルのものは存在しません。
具体的な内容はプレイングに記載されていた場合だいたい採用されますし、とにかく乗り越えられます! って感じでもだいたい乗り越えられます。
ので、安心してどっかーんと乗り込んでください!
というわけで、よろしくお願いいたします!
第1章 冒険
『潜入!なんかすごくスゴい建物!』
|
POW : 薄い壁をドッカーン!!
SPD : 天井裏から乗りこめー!
WIZ : 壁から覗いて慎重に、慎重に……。
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鞍馬・景正
決められた法度を覆す――。
成る程、つまり御所巻きですね。
良いでしょう、政道を(実力行使で)正すのも武士の務め。
◆
突入前に【堅甲利兵】にて手勢を招いておきましょう。
敢えて虎口に乗り込んで旗を立てるも誉れですが、時には頭も使わねば。
具体的には持参したこの大型火縄銃、逆鉾を鉄砲隊に預けて議事堂を【砲撃】させ、壁を崩した所から兵を突入させます。
弓隊は別方向から火矢を放ち、内部の動揺を誘いつつ陽動を。
火が燃え広がり過ぎぬよう程々の所で消火活動を手伝うように。
また突入する者らは安全に配慮し武装をウレタン刀に持ち替えつつ、罠があればなんか良い感じに解除せよ! 出来ない? それを何とかするのが貴殿らの使命だ!
サムライエンパイアが武家の嫡男、鞍馬・景正はふむと小さく唸って呟いた。
「決められた法度を覆す――成る程、つまり御所巻きですね」
御所巻きとは。
主にUDCアースとサムライエンパイアの室町時代において、将軍の御所すなわち当時の政府機関を大名達が取り囲んで要求を通そうとしたり、幕府の決定に異議申し立てをすることである。
ちなみにちゃんと箇条書きにした訴状に大名達がサインして事前に送っておかなければいけないなど、案外お作法が多い。
「良いでしょう、政道を正すのも武士の務め」
今どう考えても『実力行使で』って副音声が聞こえたが。
ここでデビルキングワールドにおいては、副音声含めて景正の言うことはむしろ正当な手段である。
――サムライエンパイアでも案外そうだという説は、なきにしもあらず。大きな戦いは終わったとはいえ、猟書家が侵攻してきたりと、まだ武士が為政者に専念するには荒事の止まぬ世の中なのである。
というわけで。
「敢えて虎口に乗り込んで旗を立てるも誉れですが――『衆を闘わすこと、寡を闘わすが如きは形名是なり』」
景正が『呼べば』、百に僅かに足りぬばかりのその軍勢は音もなく姿を現した。
幻影のサムライエンパイア兵を呼び出し、己はその指揮に専念するユーベルコード『堅甲利兵』。
「鞍馬の統帥、御覧に入れる」
背負っていた大型火縄銃『逆鉾』を、景正は鉄砲隊へと手渡した。百匁、すなわち375グラムもの弾丸を撃ち込むそれはもはや大砲の亜種と言えるものであり、羅刹の中でも怪力を誇る景正なればともかく、通常の鉄砲兵ならば複数名での運用を必要とするが――しかし。
「撃てい!」
どぉん、と腹に響き渡るような轟音と共に、議事堂の壁にヒビが入る。すぐさま撃ち手が交代する間に新たな装填が行われる。そして悪魔議員達が轟音に反応する前より前に、議事堂の反対の壁に向けて一斉に火矢が飛んだ。
「か、火事だ!」
「えっ放火?」
「しまったこっちは第3資料庫! 議会権限で没収した書籍とかが燃える!」
「あらまぁ! 没収したとはいえあれ返さなきゃいけないじゃない!」
「でもあれって返していいの? あの内容……」
「じゅ、純然たる創作物だし表現の自由って大事……じゃん?」
「ですねぇ……」
デビルキング法の元にあっても善人っぷりが隠せていない悪魔議員達が、バケツリレーで消火していく。
「ぎゃっ爆発した!?」
「落ち着けここじゃない!」
「大丈夫、この程度の爆発なら巻き込まれたくらいじゃ誰も死にませんから!」
そう。
後で見つけて治癒系ユーベルコードで治療してあげるなり、普通の治療でもすぐに治る。
つまりは遠くの轟音より近くの火事。
焼けた資料は戻らないけど吹っ飛んだ悪魔は戻るから仕方ないのだ!
そんなこんなで順調に。
「撃てい!」
どぉん!
「開いたぞ!」
「槍隊、突入!」
「うおおおお!!」
ちなみに槍隊とは呼ばれても、武装はウレタン刀に持ち替え済みである。
「た、大変だ議事堂が燃えてるぞ!」
「消火お手伝いします!」
そしてそれと同タイミングで、弓隊は通りすがりの一般悪魔みたいな顔で消火活動に合流した。
「あら助かるわ! ちょっとそこの水道とホース繋いで来て!」
「はい!」
多種多様な悪魔の外見の中では、明らかに足柄装束の一隊がいようとさして目立ったところはない。
ついでに言うなら議事堂を強行突破して法律を無理やり通そうとする行為は案外『そこそこよくある』レベルで起きてる。
成功まですることはなかなかないが――その理由は無論、対策が取られているからだ。
「罠があればなんか良い感じに解除せよ!」
無論その対策――議事堂に仕掛けられた無数の罠を承知済みの景正が、突入隊に躊躇なく指示を飛ばす。
「なんか良い感じってなんですか景正様」
「それを考えて何とかするのが貴殿らの使命だ!」
すごいざっくりした命令だった。
まぁ実際『堅甲利兵』の使用中は部隊指揮に専念する必要があるため、景正自身が罠を踏み越えたり罠を破壊したり罠を正面突破したりするわけにはいかないから仕方ないのだ!
「それが景正様の意志とあらば――」
覚悟を決めた顔で、槍隊長がウレタン刀を握り直す。その後ろで隊員達が決意の顔で頷く。
「踏み越えろ!!」
というわけで槍隊はしっかりと罠を踏み越えて罠を破壊して罠を正面突破して、会議場までの血路を切り開いていったのである!
「鉄球を打ち返していたらウレタン刀が折れました!」
「大丈夫だ予備がある!」
「かたじけない!」
――主と部下の戦い方って、似るよね!
大成功
🔵🔵🔵
鬼桐・相馬
お年玉は研究施設の中で使い道もないし、結局親に預けていたな
顕現させるのは〈獄卒の金砕棒〉
正面から普通に入り、受付近くの案内図から迅速に[情報収集]
目的の場所への大体の経路・方角を把握したら突入開始
[怪力]を駆使して壁や障害物等を破壊・粉砕しながら進んで行こう
悪魔達はそこそこ頑丈だと聞いた
故に巻き込み事故も止む無しの方針で
迷ったら己の[野生の勘]を信じてピンときた方向へ進む
道中に議会創設者の像辺りがないだろうか、UC発動し台座から折り離したのちご同行願おう
一応人質――像質なので壊さずに
後の扱いは議員の態度次第だな
議場に辿り着いたらまずは一礼し横に像を立たせる
失礼する、お年玉没収制度に物申したい
ローズ・ベルシュタイン(サポート)
『さぁ、楽しませて下さいますわよね。』
人間のマジックナイト×電脳魔術士、17歳の女です。
普段の口調は「高飛車なお嬢様(私、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、宿敵には「薔薇の棘(私、あなた、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は高飛車なお嬢様風の偉そうな感じです
花が好きで、特に薔薇が大好き
武器は、主にルーンソードや精霊銃で戦う。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
というわけでサムライエンパイア兵による強襲が起きる数分前。
鬼桐・相馬は普通に正面玄関から入って案内図を確認していた。見た目も多種多様な悪魔議員達が出入りしているので、思いっきり獄卒の金砕棒を顕現させている相馬もさほど目立たない。
「お年玉は研究施設の中で使い道もないし、結局親に預けていたな」
ぽつり、相馬が呟いた言葉に、人波に紛れていたローズ・ベルシュタインがこそりと心で涙した。切ない。上流階級のお嬢様としても比較的好きなことに打ち込めたローズには、研究体として生まれ育った相馬の暮らしは想像できないが切ないと思った。
なお相馬にとっては割と両親共々研究体とは言ってもフランクかつ人権的にも配慮された環境で、研究員達も含めて大家族みたいなノリで育ったので、別に悪い思い出ではなかったりする。
言葉から受ける印象とは人それぞれ、育った環境それぞれなのであった。
会議場への距離と方角をだいたい把握したところで、相馬は金砕棒をひょいと持ち上げておもむろに受付脇の通路へと入った。
――バコンッ!
躊躇も容赦もない壁への一撃。
予備動作とその方向でだいたい何をやるかわかっていたローズでも思わず息を呑むほどの打撃は、見事に壁を貫通して向こうの通路への穴を開けていた。まだ人が通るには狭いそれを、金砕棒の棘の部分をのこぎりの如く使ってさらに大穴を開けていく。
元来割と常識人であり、お嬢様気質ながらも行動原理はノブレス・オブリージュなローズの良心もごりっと痛んだ。――大丈夫ここはデビルキングワールド、ワルであることこそカッコいい。郷に入れば郷に従え。自分の常識にそう言い聞かせ、深呼吸したところで。
「何だ!? また実力行使か!?」
「議場までは行かせませんよ、ここで放り出してあげます!」
「法律を変えたければ我らを倒してから行くのだ!力こそパワー!!」
武器やら爪やらを手に飛び出してきた悪魔議員達が、ふっとローズの心を救った。
オーケー大丈夫、決闘で白黒付けるのは高貴なる者のたしなみのうちなので!
「ええ、私こそが挑戦者! 楽しませていただきますわ――『薔薇よ、風に乗りて舞い踊りなさい!』」
ユーベルコード『風が導く薔薇の舞踏』、夕焼け色の薔薇の花弁を疾風が華麗に舞い上げる。アンティーク・スタイルに薔薇の彫刻で飾られた精霊銃と夕焼けをそのまま鍛造したかのような刀身のルーンソードを引き抜くと、ひらりドレスの裾を翻し。
「私の名はベルシュタイン家が一女ローズ! いざ尋常に! 行きますわよ!」
彼女自身が風に乗る一輪の薔薇であるかのように鋭くかつ美しく、ローズは悪魔議員達の中へと飛び出して行った。
この場は任せる、と声をかけローズが頷くのを確かめると、相馬は即座に壁に開けた大穴を潜り、廊下を進んだ次の突き当たりで再び金砕棒を叩きつけた。
ちょうどその辺りで、議事堂の裏からも轟音とボヤの喧騒が聞こえてきた。同時に空けた大穴の向こうで悪魔議員が1人巻き込まれ倒れたが、気絶しているだけだったので廊下の端に寄せて寝かせ、その控室を抜けて相馬は最短距離を突き抜ける。
「悪魔達はそこそこ頑丈だと聞いた通りか……ん」
最短経路からは微妙に外れる場所、しかし控室から向こうの通路側に何かある、と相馬の直感は囁いた。もう会議場も近いし、遠ざかる方向ではない。すぐさまその勘に従うことにした相馬は、角を曲がってすぐに己の直感の精度に、自分ですらほんのり感動を覚えた。
初代魔王の銅像が凛々しく鎮座ましましていたのである。
ちょうどいろんな場所で起きている騒ぎに気を取られて、人目、もとい悪魔の目はここにはない。
――ユーベルコード『火車擡』発動。
90トンまでならしれっと持ち上げる鬼の怪力が、丁寧に丁重に像の部分だけを台座から折り取った。怪力だけにそりゃもう丁寧に扱わないと、像の方をぐしゃっとやりかねない。
「よし、では議場までご同行願おう」
後の扱いは議員達の態度次第。
それまではあくまで人質ならぬ像質として、丁寧に抱えて走る所存である。
最後の壁一枚を、片手で持った金砕棒で相馬はきっちりと叩き割った。
一礼、そして初代魔王像を己の隣に立たせ、相馬は会議場に声を張る。
「失礼する、お年玉没収法に物申したい」
その声は朗々たれど穏やかに、けれどどうあがいても『挑戦者現る!』みたいな空気と共に、会議場に響き渡ったのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
第2章 集団戦
『魔界主婦の皆さん』
|
POW : ウチの家に限って…
【家事育児を手伝わない旦那への不満】【我が子の将来の進学進路についての不安】【老後の生活、ご近所さんとの悪魔関係の心配】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD : 私達だって暴れたい!ミートゥー!
【自身と同じ境遇に不満を持つ魔界主婦】が自身の元へ多く集まるほど、自身と[自身と同じ境遇に不満を持つ魔界主婦]の能力が強化される。さらに意思を統一するほど強化。
WIZ : 社会を革命する力を
【自分達の身の回りの社会を今すぐよくしたい】という願いを【魔界SNSを利用する悪魔の皆さん】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
実はこの悪魔議会は主婦の皆さんが多い。
お年玉没収法がまかり通ってしまったのも、割とその辺の事情があった。
ご家庭の財政の逼迫であり!
年齢と共に上がっていく教育費に諸経費にエンゲル指数であり!
どうせ没収されるならお年玉来年は少なくてもいいかな、という計算であり!
あとちょっと家でごろごろしよって正月くらい手伝いなさいよあんた達みたいな!
そんな本来気のいい悪魔主婦達でもちょっとイラッとしちゃったり、焦っちゃったりするあれこれが、デビルキング法の後押しとオブリビオン議員の煽動によって、お年玉没収法へと繋がったのである!
そんなわけで、議論かも実力行使かも、その他まぁなんかの手段かもしれないが!
お年玉没収法の行方は、猟兵達の議会戦略へと託されたのである!
あ、ちなみにオブリビオン議員はもう法律が通ったので油断したのか、今日は休みだそうです。
鞍馬・景正
家の奥向きを預かる女性たちの悩みは、ある程度共通するようですね。
……どうも母上を思い出して力で訴える気が無くなります。
何とか考え直して頂けるよう尽力しましょう。
◆
ご婦人方、お耳を拝借。
議会にお年玉を没収――否、納税すると換言しましょう。
正しく税を納めるなど、寧ろ善良な行いでは?
それより、私は更に邪悪な策を紹介致します。
成果主義です。
即ち悪事をすればするだけ、あと家庭のお手伝いをしただけお年玉を増額する――など建前。
評価など胸先三寸で適当に減額してしまえば良いのです。
お年玉に限らず、夫君へのお小遣いもこの手で節約できましょう。
"ぶらっく企業"なる邪悪の権化も使っている手と聞きます。間違いはない。
「家の奥向きを預かる女性たちの悩みは、ある程度共通するようですね……」
議席の多くを占める女性悪魔達の姿とその言葉に、鞍馬・景正は思わずぽつと呟いた。
「……どうも母上を思い出して、力で訴える気が無くなります」
サムライエンパイアが由緒正しき武家の嫡男、されば景正の母は鞍馬家当主の正室である。
将軍が妻妾全てを統括する大奥ほどの規模ではなくとも、一族郎党から使用人まで含め、『奥向き』すなわち武門が家庭における最高責任者たる正室、いわゆる奥方の責務は重大にして細やか。家同士の付き合いも、表向きはともかく奥のことは奥同士でやるというのが基本。そのハードさ、まさに悪魔主婦達にも通じるものが多かろう。
(何とか考え直して頂けるよう尽力しましょう)
その面影が重なったからこそ、景正はそっと心に決めるのであった。
というわけですいすいと会議場の警備を掻い潜り、ひらり景正は演壇へと飛び乗った。
「ご婦人方、お耳を拝借」
ここまで来てしまえばまずは提言者として論を弁じる権利が、議員達にも耳を傾ける義務が発生する。
ちなみに弁論中に狙撃されることは割とある。悪魔だから死なないし。
だが、この議場に乱入出来たという地点で実力は確か。なればまずは聞いてみようという構えの悪魔議員達である。
そんな議席の空気を確かめて、景正はにやりと邪悪度増し増しの笑みを浮かべた。
「議会にお年玉を没収――否、納税すると換言しましょう。正しく税を納めるなど、むしろ善良な行いでは?」
ざわりと波立つように広がるざわめき。
「しれっと善良っぽい風に言い換えたわね、あの優男……」
あ、気付いた。
「ふふ、なかなかのワルじゃない」
「ちょいワルイケメンってやつね!」
そして至極あっさりと受け入れられていた。
実際、景正はこうして片方の口端を上げ、酷薄そうな笑みを浮かべている分には陰のある美青年である。怪力技能が255レベルあるけど。
――閑話休題。
「それより、私はさらに邪悪な策を紹介致します」
たっぷり間を空け、ぐるり議場を見渡してからおもむろに景正は口を開く。
「成果主義です」
ざわり。
そのざわめきに、得たりとばかりに景正は笑みを深めた。
「即ち悪事をすればするだけ、あと家庭のお手伝いをしただけお年玉を増額する――など建前」
ひどい。
「評価など胸先三寸で適当に減額してしまえば良いのです!」
ひどい!!
ワルい!!
鬼か! 悪魔か! いや羅刹だ!
「お年玉に限らず、夫君へのお小遣いもこの手で節約できましょう」
そうダメ押しする景正に、明らかに議場の雰囲気が傾いた。
なおこれをマジで景正の言う通りに運用するとおそらく家庭崩壊の危機だが、根は超善人の悪魔達である。大丈夫だろう。
「『ぶらっく企業』なる邪悪の権化も使っている手と聞きます。間違いはない」
それは真似しちゃいけない運用の方だけどね!
大成功
🔵🔵🔵
鬼桐・相馬
【SPD】
口喧嘩で女性に勝つのは至難の業
よって実力行使
議長が使うガベルを真似し初代魔王像を[怪力]で持ち上げ地へ再度立たせる
お年玉を奪ったら子供達が「自分をワルく魅せる諸々の購入資金」がなくなるだろ
十字架、包帯、鎖等
お前達も身に覚えがないか
主婦は大体群れる
不安になれば同じ考えの者同士集まる筈
相手のUC発動に合わせ〈ヘヴィクロスボウ〉のボルトにUCをのせ射出
お年玉を没収されたせいで子が格好悪い非行に走り、崩壊する家庭の幻影でも見て貰おうか
それでも果敢に向かってくる主婦へは〈獄卒の金砕棒〉を使い[恐怖を与え]つつ若干加減した[なぎ払い]を
相手の攻撃は金砕棒で正面から[武器受け]し次の攻撃に繋げよう
しかし、意見が一方に傾けば、反対意見が出るのもまた必然。
「ですけど結局、それは家庭内パワーが物を言うだけではなくって?」
「ああ、あなた戦闘力はあまり高くないものねえ」
「だから法律で一律に没収して給付金で還元してくれた方が楽なのよ」
デビルキングワールドのご家庭事情、家計簿事情がいろいろと分かるぶっちゃけトークであった。それぞれの魔王が治める国次第で異なるが、この国では『ワル推進補助金』とか『反抗期促進手当』とかあるらしい。ワルなりに福祉が充実しているのだ。
それはいいことである。
細かい事情はわからないが、鬼桐・相馬もそう思う。ちゃんと納めた通貨D(デビル)が住民に還元されるのなら。
残念ながらオブリビオンが絡んでるから還元されないんだよなぁ。
(口喧嘩で女性に勝つのは至難の業……よし、実力行使と行こう)
まるで議長の使うガベルの如く、初代魔王像を持ち上げると相馬は議場の床へと音を立て置き直す。石造りの床に金属の当たる音が鈍く響いた。ざわめきが止まり静まる会議場。
使い方もタイミングも合っているがぶっちゃけガベルというよりゴングである。色んな意味で。
「お年玉を奪ったら、子供達が『自分をワルく魅せる諸々の購入資金』がなくなるだろ、十字架、包帯、鎖……」
「っ!!」
「お前達も身に覚えがないか」
ヘヴィクロスボウに装填済ませつつ、静かな声色で問いかける相馬。頷いたり、苦虫を噛み潰したような顔をしたり、「あっ自分は廃案賛成するんで」みたいな顔で議場の端に避けていったり、それぞれの反応をする議員達。
中にはクリティカルヒットして自分の議席でのたうち回っている議員もいる。きっと思春期にフルセットワルグッズだったタイプだろう。何ならマジックで伸ばした爪を黒く塗っていたりもしたに違いない。普通に鉤爪持ちの悪魔も多いがそこはそれ、形からワルになりたいお年頃とは、過ぎてしまえば本人を苦しめるものなのだ!
どうやらそれはワルを目指す悪魔達も変わらないらしい。根が善人だから尚更なのだろう。
たぶん。
「だけど!」
「だけど!!」
「やっぱりまとめて没収してくれた方が楽よねー!!」
そんなわけで、多彩な反応見せる悪魔議員達の中、お年玉没収法を支持する議員達は相馬と対峙するように集まりつつあった。
相馬が黙ってヘヴィクロスボウを向ける。
「こうなったら力づくでもお年玉没収法を守るのよ!!」
シュプレヒコールの如く叫ぶ主婦達の、ユーベルコード発動と同時に相馬がヘヴィクロスボウの引き金を引いた。
ものの10ミリ秒ほどで床に着弾、その瞬間一気に議場の床を覆い尽くさんばかりに燃え広がる炎――ユーベルコード『百禍燎乱』。その物理的な性質は、炎より陽炎が如きと分類されるべきものだ。
その真価は焔そのものではなく『災厄を呼ぶ』という性質。時にその災厄は実体を持ち、けれど時には幻影として現れる。
「な、なんでそんなしょっぱい非行に手を出しちゃったの……!?」
「流石にそれは洒落にならないわ……」
「わ、ワルの内申点が足りなくて志望校に行けない!? そんな……!」
響き渡る絶望の声に、油断なく『獄卒の金砕棒』へと武器を持ち替えつつも、ほんの僅かに相馬は眉尻を下げた。デビルキング法に従う悪魔達といえど、やはり子を思い家庭を思う人の親、そう考えれば鉄面皮も多少は切なさに緩むというものである。
無論これは単なる幻影、実際に彼女達が家に帰れば普段通りの家庭が待っているのだが。
「……うちの子は――」
けれどそんな中、ゆらりと前に出る悪魔主婦が1人。
「盗んだり強奪することはあっても! フィギュアを壊すことは絶対に――ないわ!」
そう叫んで幻影から抜け出し、鉤爪を構える悪魔議員にほう、と相馬は感心したように軽く目を細めた。
よく我が子の趣味を理解し、それによって幻影を抜け出す家族の絆。きっと彼女は良き母、その家庭も良き家族なのであろう。
「けれど、だからこそお年玉を没収されても、うちの子は自分で趣味を続けられる!」
なおそこはデビルキングワールドらしく、きっちりワルだけど。
「だからお年玉没収法は――通させてもらうわ!」
ほぼノーモーションから振り抜いた鉤爪を、相馬は落ち着いて金砕棒で受け止めた。純白の幾何学文様輝く漆黒の金砕棒が、真紅の鉤爪と正面から打ち合い甲高い音が鳴る。そのまま鍔迫り合いのように押した金砕棒で、悪魔議員の体勢が崩れたところですっと腰だめに落とした金砕棒をそのまま真横に薙ぎ払う。
「きゃああああ!!」
真っ赤なネイルと真っ赤なルージュとは対照的なちょっとかわいらしい悲鳴と共に倒れ伏す悪魔議員。もちろん無事である。
けれど。
「あの『真紅の元スケバンマダム』を……」
「一撃で……!?」
次は誰だ、というかのように議場を見渡す相馬に、悪魔議員達はただ息を呑むばかりであった――。
大成功
🔵🔵🔵
キコ・フォーチュナ
アタシお年玉貰ったコトないからどっちの気持ちも分かんない!
でもねー培養水槽の中で雑学のお勉強もしたから、少し知ってる
お年玉って本来は子供の成長を祈ったり願ったりイイモノなんだよね
そこのアナタは子供の頃お年玉で何を買ったの?
そう訊ねている間に議員さん達のスマホとか、魔界SNSに繋がる端末を[ハッキング]
ココくらいだったら十分アタシ独自のネットワークに切り替えて支配できそう
彼女達のアカウントを乗っ取って「やっぱウチは反対」「私も考え直そうかな」って偽の発言を流しちゃおう
くふふ、社会革命のチカラも激減だね!
SNSのエンジョーよりアタシの炎の方がすごいんだから
イイモノなくしちゃうヒトは燃やしちゃうよ!
熾烈な論述と苛烈な戦闘が繰り広げられる議場の後ろの扉から。
「アタシお年玉貰ったコトないからどっちの気持ちも分かんない!」
そう扉を蹴破らん勢いで入ってきたキコ・フォーチュナは、堂々と言い放った。実際、培養水槽の中で人工的に生まれ育ったキコに、そういった家族や親類との関わりというものはない。
「でもねー培養水槽の中で雑学のお勉強もしたから、少し知ってる」
知識としてだけ知っているというのもちょっと切ないものである。
当時は培養水槽の中しか知らず、優秀なソーシャルディーヴァとなる夢だけに邁進する以外に一切の道を知らなかったけれど。
――キコ本人はあまり気にしてないかもしれないけど。
「お年玉って、本来は子供の成長を祈ったり願ったり、イイモノなんだよね。そこのアナタは子供の頃、お年玉で何を買ったの?」
ゆらり炎揺らめく瞳でじっと悪魔議員の1人を見つめ、無邪気に首を傾げてみせるキコ。
「っ……あ、ああっ、そうだ、お年玉で……私は、お年玉をあんなに楽しみにして、あの頃一番アツかったアイドル魔王の写真集をっ……」
ちなみに大きく優美な角と長めの牙がセクシーなイケメンアイドル魔王だったそうである。
「私は、そんな楽しみを子供達から奪うところだった……」
がっくりと崩れ落ち床に膝をつく悪魔議員。その頬には、子を想う涙が確かに流れていた――。
なんとなく悪魔議員達の間に感動的な空気が流れていたが。
このやり取りは、キコが本当の目的を果たすためのブラフと時間稼ぎである。
(ココくらいだったら十分アタシ独自のネットワークに切り替えて支配できそう)
片っ端から悪魔議員達のスマホをチェックし、魔界SNSのアカウントを確認。政治家として、もしくは個人としてのアカウントを持っている端末をまとめてハッキング。
元来ソーシャルディーヴァとして体内にサーバを構築してあるキコにとっては、自分のネットワークを経由させることでまとめてアカウントを乗っ取り、自由に発信することも容易。
『やっぱウチはお年玉没収法反対』
『私も考え直そうかな…』
『お年玉で推しの写真集買ったの思い出して泣いた。やっぱお年玉没収はやりすぎだよね』
ちょうど今聞いた話もしっかり盛り込んでおいた。
「くふふ、社会革命のチカラも激減だね!」
効果的なSNSでの世論操作!
問いかけで気を惹いている間にそれをあっという間に済ませる見事な手口!
ヤバい!
スゴい!
ワルい!
「SNSのエンジョーよりアタシの炎の方がすごいんだから」
キコの体内で燃え続ける炎が、瞳を通して揺らめく。物理的にも触れたものをうっかり燃やしてしまう体質のキコだが、自らが火となって煙を立ててSNSの流れを支配する――これも体内のネットワークサーバを動かし彼女の中で燃え盛る炎の発露、まさにインフルエンサーと言えるだろう!
「イイモノなくしちゃうヒトは燃やしちゃうよ!」
ユーベルコード『フラッドオブブレイズ』、己の炎の強さを胸を張り宣言できるキコに、もはや敵う悪魔議員のいるはずもなかった――。
あとキコの手口はスタイリッシュでクールなワル手腕として口コミで広まり、それぞれの悪魔独自の方法にアレンジした上で、この国で結構流行ったのである!
そして根っこが善良な悪魔達によるワル企みだったので大きな被害を誰かが被ることもなく、良い感じに定着しちゃったのであった!
大成功
🔵🔵🔵
グロリア・グルッグ(サポート)
おおっと戦闘案件ですか。いいですよ、受けて立ちます。
死と隣り合わせな星の海で鍛えられた騎兵の強さを教育して差し上げましょう。
覚悟しろよおまえら~?
電脳魔術仕様の量産型キャバリア改で戦闘です。
騎兵が機体の操縦に長けているのは確定的に明らか。
ガン積みした戦車ミサイルランチャーから一斉発射で大量のミサイルをぶっぱします。
ミサイルには電脳魔術でハッキングを仕掛け、超高精度かつ常識外れの誘導弾にして敵にぶつけましょう。
弾切れになっても問題ありません。
天使の抱擁でミサイルを補充しつつ、さらに火力を高めたミサイルを敵にぶっぱなしましょう。
戦場における絶対正義……それは超火力……。
火力こそパワーなんですよ。
さて、正統派論戦、撹乱&重量系戦闘、そしてサイバー攻撃。
もうこれ以上のバリエーションはなかろうと思ったところに!
「おおっと戦闘案件ですか。いいですよ、受けて立ちます」
電脳魔術仕様に改造した量産型キャバリア改が!
「死と隣り合わせな星の海で鍛えられた騎兵の強さを教育して差し上げましょう。覚悟しろよ悪魔議員のみなさ~ん?」
窓から飛び込んできたのである!!
グロリア・グルッグ22歳。
自分のラボでジャンクフードを主食に研究に明け暮れると同時、電脳魔術士としての技量を量産型キャバリアの改造にもつぎ込んでいる。
『ニトロパルス』と名付けられた量産型キャバリア改、それぞれ三大天使の名を冠した3機の戦車ミイルランチャーのハッキングは完了している。屋内制圧用に初速を減速することで威力の調整を完了、まずは未だ根強い反対派の足元を狙い、威嚇射撃の一斉掃射!
「騎兵が機体の操縦に長けているのは確定的に明らか」
鎧装騎兵としてスペースシップワールドの、故郷の星船を守る経験も積んでいる。さらに本業の電脳魔術によって接続を構築すれば、もはやキャバリアはミサイルの1本に至るまで手足指先のようなものだ。
「あ、危ない……!」
「当たっ……てない!?」
「くっ! 全部足元に着弾させている……だと……!?」
この地点で戦意を喪失する議員多数。
しかし、それでもやはり強硬派はどこにでもいるものだ――!
「ここで正義っぽい人型マシンに勝ってこそワルカッコイイってものよ!!」
いやもしかしたらワルを高めたいだけかもしれない。そもそも出来高制の提案された時は廃案賛成派に回ってなかったっけこの人。
「ミサイルはもう打ち尽くしたはず……な、なんだってー!?」
――それ以外にもまだ戦意を喪失しない悪魔議員達の出足を、けれど一瞬で挫いたユーベルコード『天使の抱擁』――三大天使の名を冠したミサイルランチャーに即座に装填を完了、火力は先程よりは高いが殺傷までは行かない程度に設定、――発射!
「戦場における絶対正義……それは超火力……」
綺麗に反対勢力の制圧を終えた議場を見渡し、グロリアは満足げに頷く。
「火力こそパワーなんですよ」
火力は実際普通にパワーだと思うが気持ちは!
すごくわかるぞ!!
果たして猟兵達は!
お年玉没収法を廃止することに見事成功したのである!!
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『魔蜂の簒奪者アンダー・ヴィー』
|
POW : リヴァイブ・サバイヴ
【受けた負傷を治癒力に変換する超進化体 】に変身する。変身の度に自身の【レベル】の数と身長が2倍になり、負傷が回復する。
SPD : モノクローム・ホワイトアウト
自身の【レベルの2乗m半径内全ての対象の肉体 】から【世界の「色彩」を奪い灰色に塗り潰す異空間】を放出し、戦場内全ての【知性体の生命活動及び思考動作】を無力化する。ただし1日にレベル秒以上使用すると死ぬ。
WIZ : 同族化魔改造術式
対象の【肉体 】に【昆虫の生物器官や堅牢な外殻、翅】を生やし、戦闘能力を増加する。また、効果発動中は対象の[肉体 ]を自在に操作できる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「シララ・ミーファ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
さて、議事堂の程よく近くにあるカフェテリアの個室で。
「ここからここまで全部持ってきて」とメニューをなぞった蜂型の悪魔――否、オブリビオンがケーキのやけ食いに勤しんでいた。
「此度は残念でしたなぁ」
「残念なんてものではないわ! D(デビル)を集める計画が台無しではないか!」
「でもやけ食いしたらもっとD減りません?」
「え? 払うとでも思ってるの?」
「うわ、ワル~い」
悪魔秘書は気付いていないが、彼女こそDを簒奪しこの世界を崩壊に導くべく現れたオブリビオン!
場所はカフェテリアの個室。そのまま個室でさっくり片付けてもいいし、出てくるのを待って戦闘を仕掛けても構わない。悪魔秘書もまぁ、殺さずに軽くのして、後で事情さえ話しておけば大丈夫だろう!
さぁ、『ワル』ではない、本当の『悪』に立ち向かおう!!
鞍馬・景正
子供たちの夢は守られた、と言って良いでしょうか。
しかし本来は一年の健康や幸福を祈って送られるべきお年玉を奪うなど、悪というより外道の類。
制裁に加減はいりませんな。
◆
とはいえ個室にいるとなると、討ち入るのは少し手間ですね。
【風鬼来】にて配下の忍びを呼び寄せ、少し工作をさせましょう。
厨房への潜入を命じ、注文のケーキに異物を仕込ませます。
わさびとか、下剤とか、あと爆弾とか。
私は抹茶ラテでも頼みつつ相手が異常を察して出て来る瞬間を待ち、【怪力】の一刀を食らわせましょう。
ですが負傷を癒し、力が倍になる能力――!?
つまり強い相手といつまでも戦えるという事で私的にはご褒美なので【早業】で沢山斬り付けますね。
風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携歓迎
約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも調べる伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。
戦闘は剣士の動きだ。
フェイントを多用する。相手が格上や多数の場合は挑発をして隙を作ることもある。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。
アラン・スミシー(サポート)
基本突然現れて仕事を終えたら去っていく人物です。
基本的に【乱戦】か【銃撃戦】での援護がメインとなります。
他の猟兵の手の足りない所に現れては銃で攻撃し、気を引いたり足止めをしたり敵の頭数を減らしたりします。
また既存のPCでトドメを刺しにくい時は【最終局面】を使って下さい。逆転の隙を作ったり、心情的に殺せないタイプのPCがいた際にどうぞ。
説得や交渉等が必要ならなんか良い感じの言葉を言います。
例:君の正義は分かった。しかしその正義は君を救ったかい?
ユーベルコードのセリフを参照し、MSの言って欲しい都合の良い言葉をアレンジしてやってください。
大体無意味に格好いいこと言ってます、割と適当に。
「子供たちの夢は守られた、と言って良いでしょうか」
ヤギの頭部を模した壁飾りや豪奢なグレートソードのレプリカといった一見剣呑な装飾を纏いつつも、黒檀と白木を貴重とした内装でそれを上手く調和させた喫茶店、鞍馬・景正はテーブル席へと陣取って、堂々と抹茶ラテを頼んでいた。やや離れた席では風雷堂・顕吉が、物珍しげにその風景を見渡している。
「ダークセイヴァーとは多少、似た雰囲気だが、それよりは随分と明るく……陽気、とでも言うべきか」
サングラスの奥から僅かに輝くようにも見える紅い瞳をきょろきょろと動かしつつ、なんとなく邪悪めいた銀製の髑髏や思わせぶりに黒表紙に金の文字で表紙を作ったメニューを眺める。
ダークセイヴァーにてヴァンパイアとの死闘を100年以上も繰り広げている顕吉にとっては、本物の髑髏を部屋飾りにしていたり、奴隷の首を即座にすっ飛ばす大鎌とかが掛かっているような屋敷をいくらでも知っている。さらにそんな悪趣味なヴァンパイアをいくらでも倒してきた。なのでこのデビルキングワールドあるある『ワルっぽい』装飾は、むしろ血の臭いがしないだけ趣味がいいのではとも思えた。あとコーヒーも結構美味しい。
さて、そんな景正と顕吉がいるのはちょうど個室の扉のすぐ近く、張り込みにはぴったりの場所である。
無論、ただ単に待っているわけではない。――ちらりと景正はキッチンへと目をやった。大量注文に対応できるだけあって、従業員はそれなりに多く、ホールとの出入りもそこそこ頻繁である。
その中で一際存在感の薄い、ウェイトレスの制服姿の女性が目に入ると、景正はほんの小さく口端を吊り上げた。ウェイトレスは振り向くことなく、淡々とケーキの盛り付けを手伝っている。
既に、それこそが景正の策であった。
「およそ戦は、正を以て合い奇を以て勝つ――そして決するは千里の外に」
かの存在感薄いウェイトレスこそ、配下の風魔忍者であった。実際に女性なのかとか、はたまたこの喫茶店の制服をどこで手に入れたのかとか、詳しいことは景正も知らない。しかしその工作の手口は確かであった。
盛り付けていた山程のケーキを、他の従業員とも手分けして運んで、空いた皿を持って個室から出てきた数十秒後――。
「ぎゃあああああああ!!」
叫び声、皿の割れる音、咳き込む声、爆発音……爆発音!?
「何なのよ異物混入よ! 議会に命じて取り潰してやはぎゃっ!?」
ドアがもはや蹴破らん勢いで開かれる。そのタイミングで飲み終えた抹茶ラテのカップを置いた景正は、無造作に立ち上がり様に刀を抜いてまずは一閃斬りつけた。
「本来は一年の健康や幸福を祈って贈られるべきお年玉を奪うなど、悪というより外道の類。制裁に加減はいりませんな」
片や絢爛の濤乱刃、もう片手には鉈が如き肉厚の脇差。すぐさま構えてもう一太刀。真剣な顔で言い放ちつつも、女王蜂の如きオブリビオンを前にしたその姿は隠しきれない喜色を宿していた。
「おっとすみません一旦こっちに避難を。もしよかったら見物してもいいけど、近づきすぎると怪我するからねぇ」
少し離れた席からすっと立ち上がったアラン・スミシーが、ちょうど居合わせた客や従業員の悪魔達を避難誘導していく。
そのまま床に数発撃ち込んで悪魔秘書を足止めし、すぐさま拳銃『ピースメーカー』のグリップを握ったままの拳を鳩尾にお見舞いして気絶させると、倒れるところを一転丁寧に受け止めて少し離れた床へと寝かせた。戦いの余波でタイトスカートの服装が乱れたりしないよう、ばさりとコートを掛けてアラン自身は再び戦線へ。
「ま、こいつも珍しく名前負けしない使い方ができたってもんだ」
その名を『ピースメーカー』即ち平和を作る者、威力低めの民間用モデルと言っても拳銃は拳銃、無力化で済むとは限らない。むしろ済まない方が多いのが実際の戦場である。
デビルキングワールドの悪魔は凄まじく頑丈なので、銃弾の数発くらいでは死なないとはいえ、怪我なく済むならその方がいいからねぇ、とアランは装填を済ませつつ思うのであった。
さて、その間にさっと後ろに回った顕吉は、鉄塊が如き重い厚刃の剣を構える。銘はドラクリヤ――竜の息子。幾つかの世界では残忍な手口を厭わずも敢なる戦士であり君主として、あるいはその別名よりイメージを膨らませた想像上の『吸血鬼』として、時に称賛、時に畏怖、時に恐怖の対象となった名を冠するその剣は、またダークセイヴァーで幾多のヴァンパイアとの戦いを経た鎧砕きの剣でもあった。
そう、力任せにぶん殴ることで鉄鎧すらも時に砕き、時に構わず傷を与える剣。
対するオブリビオン『魔蜂の簒奪者アンダー・ヴィー』は外見通り、頑丈な外骨格をそのまま己の鎧と為す。
つまり鎧砕き『ドラクリヤ』の圧倒的な相性有利。防護の破砕と相手へのダメージ蓄積が超効率で進む。
「くっ、真社会性も持たない脊椎動物如きが……ッ!」
しかしアンダー・ヴィーとて黙ってやられているわけではない。
ピンチの悪役の一発逆転といえば変身――ユーベルコード『リヴァイブ・サバイヴ』により即座に負傷部分を治癒力へと変換、天井に届かんばかりとなった身長で、堂々と『下等な進化を遂げた獣ども』を見下ろして……思わず息を呑んだ。
「これは……負傷を癒し、力が倍になる能力――!?」
その驚愕の言葉自体は、予想したものと変わらない。
しかし。
発した景正の目が爛々と輝いているのである。
「つまり強い相手といつまでも戦えるという事……なるほどこれはご褒美」
両刀の冴えが一気に増す。しかも後ろからは顕吉が今度はテーブルを足場にして高さを合わせ、変わらず外骨格を砕かんばかりに狙ってくるし、邪魔だとばかり振るった尾部の針もすらりとかわされる。むしろ足場が狭いから逃げ場もないだろうという考えすらも、読み切ったようにちょうど良く牽制の一撃が襲ってくるし、それをかわせば胴への重い一撃がやってくる。
もちろん後ろに気を取られたら取られただけ、刀と脇差の連撃が凄まじい速度と切れ味で外骨格をぶち割るわ、しかも巨大化した分注意が行きづらくなった足元にはアランがちょくちょく牽制射撃を入れたり、ちまちま関節部を撃ち抜いてきたりするのだ。
アンダー・ヴィーは決意した。
多分これは逃げるべき局面であると。
――モノクローム・ホワイトアウト。1日にせいぜい2、3分も使えば死に至るほどの大技であるが、同時に世界の色彩を奪い灰色に塗りつぶすことで、生命活動と思考動作を無力化するユーベルコード。
ここがデビルキングワールドでなければ一般人は死に絶えてもおかしくないほどの超大規模攻撃、それを逃亡に使おうという判断はある意味で正しかった。
全てが動きを止めた間に、巨大化した身体で障害物は踏み破り蹴破って、さらに戸口をくぐる暇も惜しんで喫茶店の外へと飛び出して一息、モノクローム・ホワイトアウトを解除する。あとは飛んで逃げでもすればよかった。
方向性は間違ってはいなかった。けれど前提を間違えてもいたのである。
これで敵が全員であるという前提をアンダー・ヴィーは無意識に抱き、そして完璧にその一点で間違えていたのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
キコ・フォーチュナ
んー、中にトツゲキもお外でフイウチもどっちもいいなあ
アタシギモンがあるんだー
そのアタマでどうやってケーキ食べるの?
頭のソレが横にがぱーって開いたりするの?
ちょうちょみたいにストローぽいのが出てくるとか!
純粋なギモンなんだけど怒らせちゃうかな
そうだ、怒らせた方が隙が増えるって言うよね
無意識に心理戦を持ちかけるアタシ偉い
パニッシャーの火炎放射器モードで範囲攻撃していくね
敵の攻撃は野生の勘で感知して
即座に銃口を向け迎え撃って耐えるよ
昆虫のイロイロが生えてきても気にしない
だってアタシの炎でイチコロだもんね!
UCを発動してぜーんぶ燃やしちゃおう
あーん、アタシもテーブル一杯の山盛りスイーツ食べてみたーい!
鬼桐・相馬
●POW
でかい蜂だ
花粉団子を脚に付けたミツバチを想像してしまう
蜂は燻煙剤が効くんだったか
槍から煙を多目に出すことはできるかな
俺の内に宿る悪意を槍に流したり堰き止めたりしてガス欠に似た状態にしてみよう
俺自身も若干不安定になりそうだが[野生の勘や戦闘知識]を駆使し極力安定した立ち回りを
敵の能力は厄介だが何かしら突破口はある筈
一撃で致命傷――思いつくのは首切り辺り
身長がでかくなると死角も増える
敵の足元に張り付き槍を使った[怪力]足払い
そのまま[ジャンプ]しUC発動、その首掻っ切ってやろう
青少年悪魔に宜しくない光景となる可能性もある
槍から冥府の炎を多目に噴き出しモザイクや差し込む謎の光の代わりにしたい
つまりちょうどアンダー・ヴィーが一息着いたところで!
突如、轟炎と燻煙が襲いかかってきたのである!
「んー、中にトツゲキも良かったけど、こうやってフイウチもなかなかイイ感じ!」
荷電量子砲『パニッシャー』を火炎放射器モードにし、身に纏うブレイズキャリバーの炎を浴びせかけつつキコ・フォーチュナはゴキゲンに口端を上げた。風上からは「蜂は燻煙剤が効くんだったか」と呟きつつ、鬼桐・相馬が冥府の槍から普段の青黒き炎を控えめにし、代わりに鈍色の煙を多めに噴出させている。
「でかい蜂だ、花粉団子を脚に付けたミツバチを想像してしまう」
「それは働き蜂の仕事だけど!?」
飛んできた蹴りを平然とした顔で相馬は槍で受け流した。今はまだ、その表情に変化はない。普段とは冥府の槍に流す悪意を複雑にコントロールしているため、感情の揺らぎは強い状態だが――正直まだ慣れている範囲でもある。
しかし冥府の槍、炎を煙に転換することもできたのか。器用な槍である。
どうしても重い煙は自然下へと落ちていきがちだが、そこは相馬が野生の勘を駆使して風を読んだり、槍の動きで調整したり、悪意を一度自分の中に貯めてから一気に噴出して勢いを付けたりと、創意工夫凝らしつつ――虫を模した姿ゆえにひどく細い身体全体の関節の継ぎ目を、金色の瞳はじっと見据え、観察し続けていた。
さて、相馬が今回は煙メインなら、キコは今回も炎メインである。
「アタシ、ギモンがあるんだー。そのアタマでどうやってケーキ食べるの?」
そしてパニッシャーでぶちかます炎もかくやとばかり、真っ直ぐずっぱりとアンダー・ヴィーに質問をぶちこんだ。
「頭のソレが横にがぱーって開いたりするの?」
「いやがぱーってそんな……」
「ちょうちょみたいにストローぽいのが出てくるとか!」
培養水槽生まれのレプリカントは、外の世界が新鮮すぎてあまりにも好奇心旺盛だった。
知識だけ学習させられた分もあるので、実際に見たいという気持ちも強い。つまりこの質問は全部天然、素である。
が。
「蝶が如き我らが餌と一緒にするな!!」
うっかりアンダー・ヴィーの怒りのツボに入ってしまったらしい。そこなのか。怒るところは蝶なのか。
「ありゃ、純粋なギモンだったんだけどな」
細い脚で繰り出してくるパンチやキックをパニッシャーの炎で迎え撃ちつつ、キコは首を傾げ――次の瞬間ぱっと顔を輝かせた。
「そうだ、怒らせた方が隙が増えるって言うよね。無意識に心理戦を持ちかけるアタシ偉い!」
ザ・ポジティブシンキング。
怒りに任せて放たれた同族化魔改造儀式とかガン無視だ。
「だってアタシの炎でイチコロだもんね!」
そう、生えた端から秒で焼く。
「耐火服ですら燃やしたアタシの炎が虫の羽とか脚より弱いわけない!」
ユーベルコード『フラッドオブブレイズ』、キコが自分の炎の方が敵より強いと胸を張って言える限り、その炎は熱も精度も増して輝く。瞳の奥で燃える焔が鎮火せぬ限り、触れる全てを燃やし続ける。
「おのれ……おのれェ!!」
生やしたそばから燃やされる蜂の部位に怒り心頭とばかりのアンダー・ヴィーが、前のめりになりつつキコへと襲いかかる――その隙を、相馬は逃さなかった。
「なっ!?」
槍の穂先で的確に軸足を払う。巨大化した体重をがっしり乗せた脚とはいえ、相馬の怪力には敵わない。
そして、乗せた体重の分だけ体勢が崩れた機を逃すことなく相馬はその関節を蹴って跳んだ。
「一撃で致命傷にすれば回復も巨大化も関係ない――退いてもらう」
す、と普段とは違う、剣のような構えで相馬は冥府の槍をかざした。紺青の炎が流し込んだ悪意と共に燃え盛り、鋭き刃となる。一閃、その瞬間は炎に阻まれ見えることなく、そして溢れるはずの血も冥府の炎に焼き尽くされた。
どさり、その巨大な蜂の身体が倒れると同時、相馬もその傍に着地し膝をつく。やがてオブリビオンの姿が消滅してから、ようやく相馬はその炎を緩やかなものへと抑えた。
――青少年悪魔へのトラウマや悪影響へと配慮した冥府の炎モザイク。今回の冥府の槍、いろんな用途に大活躍であった。
「終わったー!」
ぐーっと伸びをするキコのお腹がくう、と音を立てた。
激しく燃えた戦いの後は腹も減るってものである。
「あーん、アタシもテーブル一杯の山盛りスイーツ食べてみたーい!」
そう腹ペコ丸出しで言ったキコの耳に聞こえてくる囁き……にしてはやたら大きな悪魔の声。
「あーおかわり用に作ってたケーキ余っちゃったなー! 誰か食べてくれないかなー! 廃棄処分にするには勿体ないし、今から来てくれたお客さんに、他の人用に作ってたケーキとは言わないでこっそり出しちゃおうかなー!!」
頑張ってワルを演出しつつ、チラッチラッと猟兵達へと視線を送るカフェテリアの店主。イイヒトっぷりが全く隠せていなかった。
そして猟兵達にもちろん拒否する理由はなかった。
「あっ子供はブランデーとかウィスキー効かせたケーキは駄目だぞ!」
「はーい!」
元気いっぱいのキコの返事に対し、相馬ほか酒好き勢がぴくりと反応する。
かくしてお年玉没収法という悪法を阻止した猟兵達!
しかしこの世界にD(デビル)ある限り、何度でもオブリビオンは来訪するだろう――だが今は、守り抜いた平穏を楽しむ時。
というわけで猟兵達はケーキやコーヒーや紅茶、ついでにそれに垂らすブランデーやら何やら堪能してからグリモアベースへと帰還したのだった!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵