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SEがゲーム世界に転送? チートコードで切り抜けます!

#スペースシップワールド #猟書家の侵攻 #猟書家 #ドクトル・アメジスト #電脳魔術士 #ビーチリゾート船

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●魂を囚われたエンジニア
『本艦の特徴は何と言っても豪華なビーチリゾート区画です。贅沢に人工海水を使った海。そこから打ち寄せる波は――』
「……と」
 キーボードから手を離しランベールは一息ついた。
 彼はこのビーチリゾート船のシステム管理を担う電脳魔術士だ。
 環境やシステム管理はもちろんのこと、こうして日々のアナウンス業務も欠かさない。
 唐突だが、その時目の前が白く輝いた。
「な……?!」
 そしてなぜだか次の瞬間にはランベールは森の中にいた。
「……え?」
 今まで自分は電脳ルームで船のシステムを管理していたはずだ。それなのに、今は森の中にいる? 全く状況がつかめない。
 ランベールが困惑していると耳をつんざくような鳴き声が迫ってきた。
「ギョェエエアアア」
「え、えぇえ?!」
 本当に状況がわからないのだが、そこには、まるで巨大なニワトリのようなモンスターがいた。

(システムメッセージ)
 ようこそ呪いのオンラインゲーム『キャプチャー・ソウル・フォーエバー』の世界へ!
 モンスターは凶暴です。貴方を襲うかもしれません。
 世界は凶悪です。貴方を蝕むかもしれません。
 世界は閉鎖されています。貴方の魂は永遠に囚われました。

 まずは森の脱出を目指しましょう。

(現在発生中のクエスト)
 ▼森の中でモンスターを倒す。
 ▼始まりの街でギルドを訪れる。
 ▼モンスターのドロップアイテムで料理を作る。
 ▼ギルドの依頼『病気のお母さんに手作り料理を』を受ける。
 ▼ギルドマスターの信頼を得てボスの居所を掴む。
 コマンド:!

●いざ『キャプチャー・ソウル・フォーエバー』へ
「大変だよ! 電脳魔術士のランベールさんの魂が囚われちゃったんだよ!」
 ルビナ・ベイビーブルー(スペースノイドの電脳魔術士・f01646)が語り始めた。
 猟書家幹部「ドクトル・アメジスト」により、ビーチリゾート船のシステム管理を担う電脳魔術士の魂がゲーム世界に転送されてしまったというのだ。
「ドクトル・アメジストはね、宇宙船の電脳空間をハッキングして『呪いのオンラインゲーム』をインストールしたんだよ。怖いのがね、ゲーム世界で殺されると現実世界でも本当に死亡しちゃうんだって。このままじゃあランベールさんが危ないの」
 一刻も早く彼を助けに行かねばならないというのだ。
「ランベールさんはリゾート船のシステムエンジニアなんだけど、電脳魔術士といっても戦う力はほぼないの」
 モンスターを倒す力もないとのことだ。現在はゲームの森の中を逃げ回っているらしい。
「彼を助けるために皆にゲームの世界へログインしてほしいんだよ。注意点してほしいのは、ゲームの世界ではユーベルコードが使えないってことなの! もちろん反撃の方法はあるよ。それがランベールさんなんだよ!」
 ルビナによると、ランベールのゲームUIは特別であり、コマンドを打ち込むスペースがあるのだとか。
 彼がここからチートコードを打ち込めば、その都度指定した猟兵のユーベルコードが使用可能になる。
「だからまずはランベールさんと合流してほしいの。もう一度言うけど、ランベールさんには戦闘力はないからね。彼を守りながら、彼にチートコマンドを打ち込んでもらって戦ってほしいんだよ」
 何をするにもユーベルコードが使えないままではゲームクリアは難しいようだ。
 ランベールと共にゲームクリアを狙うのが良いだろう。
 ゲーム開始は森の中。
 巨大なニワトリ型のモンスターがウヨウヨ湧いている地域だ。森を抜ければ街があり、力あるものはギルドの門をくぐれるとのこと。
 森の中でモンスターを狩るも良し、ギルドを訪れて依頼を受けるも良し、いくつかゲーム内のクエストをこなせばボスの居場所が分かる仕組みのようだ。
「ちなみにニワトリ型モンスターは倒せば卵をドロップするんだって! 森を抜けた先の街で卵料理を親子に届けるゲームのクエストがあるらしいから、お料理クエストメインでの参加も良いかもね。ゲームの世界だけあって、いくつかクエストをクリアするとボスの居場所がわかるようになっているんだよ。クリアするクエストは重複しても良いんだって!」
 そして、ゲームの世界のボスこそがドクトル・アメジストというわけだ。
「まずはランベールさんと合流してゲームを進めてみてね。彼を死なせないことが勝利の絶対条件だよ」
 ともあれオンラインゲームの世界へ。
 ランベールと合流し、ゲームクリアを目指そうとのことだ。
「ゲーム世界で殺されると現実世界でも本当に死亡って、怖いゲームだよね。ゲームは楽しいはずなのに、ね。みんなどうかランベールさんのことをよろしくね」
 そう言って、ルビナは説明を終えた。


陵かなめ
 本年もよろしくお願いいたします。
 猟書家『ドクトル・アメジスト』のシナリオになります。
 呪いのオンラインゲーム『キャプチャー・ソウル・フォーエバー』にログインしてビーチリゾート船のシステムエンジニア・ランベールを助けてください。

 『キャプチャー・ソウル・フォーエバー』ではクエストが発生中です。
 ゲームにログインすればランベールと出会えますので、お好きなクエストを消化してください。クエストを全種類完了する必要はありません。全員が同じクエストをクリアしてもいいですし、バラバラにクエストをクリアしても大丈夫です。🔵7以上を達成するとギルドマスターからボスの居場所を聞き出すことができ、2章のボス戦へと移ります。

(現在発生中のクエスト)
 ▼森の中でモンスターを倒す。
  ユーベルコードを使えば倒せます。
 ▼始まりの街でギルドを訪れる。
  ユーベルコードを使えばギルドの門が開けます。
 ▼モンスターのドロップアイテム『卵』で料理を作る。
  ユーベルコードを使えば頑丈な卵が割れます。
 ▼ギルドの依頼『病気のお母さんに手作り卵料理を』を受ける。
  ユーベルコードを使えば依頼主への道を塞ぐモンスターを倒せます。
 ▽ギルドマスターの信頼を得てボスの居所を掴む。
  🔵7以上で自動発生。
  ボスの居場所を聞き出すと2章のボス戦へと移ります。

●プレイング受付開始時間について
 プレイングの受付開始は01/08 8:31です。よろしくお願いします。
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第1章 冒険 『呪いのオンラインゲームをクリアせよ』

POW   :    困難な状況に対して正面から挑戦し、その困難を打ち砕きゲームをクリアに導く

SPD   :    裏技や抜け道を駆使する事で、ゲームの最速クリアを目指す

WIZ   :    多くのデータを検証して、ゲーム攻略の必勝法を編み出す

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

日埜・晴翔
【アドリブ・絡みOK】
あくまでゲームの中で戦えってか
外からのアクセスは(ハッキングを試みつつ)…まあ無理だろうな
初見殺しじゃないことを祈るか

クエスト:森の中でモンスターを倒す
ついでにランベールを見つける、といきたいが順序が逆だな
フィールドと初期アイテムを確認したら、モンスターの習性確認

ニワトリは仲間意識と知能が高いって話だし、下手な小細工は命取り
ランベールもかくれんぼをしてると見越して、地形の利用をしつつ森の探索
今のクエストに関係なさそうな情報も集めて、普通にゲームを楽しんでいく

木の上、滝の裏、岩の影…まさか、モンスターの巣に捕らわれてないよな?
ゲーマーとしては気が引けるが、チート目指すか!


黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

ゲームの中で死ぬと身体が死亡ってのは魂が死亡するからだろうな。
気力がなくなると病気になりやすかったりするし。
…どういう理屈で魂を取り込んでるのかわからんけど。

合流出来たらここから出る手助けに来たことを説明。
で肝心のクエストだがとにかく手っ取り早くモンスターを倒すか。
戦闘では伽羅と陸奥にランベールの護衛に。
俺はマヒ攻撃を乗せたUC剣刃一閃で攻撃。派手に動けばこっちに目を惹けるだろう。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らうものは激痛耐性で耐える。



●ログイン
「あくまでゲームの中で戦えってか」
 日埜・晴翔(嘘つき×快楽主義・f19194)はビーチリゾート船のシステム管理室前からコードをいくつか拝借しハッキングを試みた。
 予想通りすべての命令が弾かれる。アクセスは不可能のようだ。
 管理室のドアを見ると『ログインはこちら』という、いかにもな文字が浮かび上がっている。ここに触れると自動的に『キャプチャー・ソウル・フォーエバー』にログインするという仕組みらしい。
「初見殺しじゃないことを祈るか」
 直接ゲームを楽しむしか無いようだ。
 晴翔は『ログインはこちら』という文字に触れゲームの世界へと魂を転送させた。

 ログイン後は森の中だった。周囲には今の所モンスターの影はない。
 晴翔はインベントリを開いてみた。よくあるオンラインゲームのUIだ。
「初期アイテムはほぼ白紙の地図か」
 試しに白紙の地図を選択すると目の前にデジタル処理の地図が映し出された。
 システムメッセージも確認する。クエスト一覧が出たので、ひとまずは目標を『森の中でモンスターを倒す』とした。
「ついでにランベールを見つける、といきたいが順序が逆だな」
 周囲に彼の姿はない。
 木の上か滝の裏か……めぼしいところを注意してみながら森を歩いた。
「これは薬草か? 入手できるアイテムじゃねぇの?」
 明らかに周囲の雑草と彩度の違う草を見つけ手に取る。すると、彩度の高い草はアイテム化されインベントリに収納された。
 システムメッセージから『香味薬草を入手しました』とメッセージが届く。
「効能はバッドステータスの解消……なるほどな」
 そうしていると、前方からモンスターの鳴き声が聞こえてきた。
「ギョェエエアアア」
「でかいな、ニワトリ」
 離れた場所からでも分かる。それは巨大なモンスターだった。
 下手な小細工は命取りと判断しその場をそっと離れた。

●パーティー招待
「ゲームの中で死ぬと身体が死亡ってのは魂が死亡するからだろうな」
 ゲームにログインした黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は周辺の景色を見回した。
 気力がなくなると病気になりやすかったりもするし、そういうことなのだろう。
 どういう理屈で魂を取り込んでいるのかはわからないけれど、自分がゲーム内へログインしたことで、少なくとも意識がそのまま転送されることは分かった。
 茂みから音がする。
 一瞬警戒して瑞樹が二刀の柄に手をかけた。
 だがすぐにその手を下ろす。
「お仲間発見だぜ!」
 茂みから顔を出したのは晴翔だった。
 互いに現状を確認しあう。少しだけ先にログインしていた晴翔の地図は、踏破した場所に色がついていた。
 ともあれランベールを探そうと歩き出した二人は、すぐに岩陰から呼ばれることになる。
「……おーい、そこの人たちー!」
「もしかしてランベールか?」
 晴翔が声をかけるとランベールが岩陰から顔を見せた。どうやらニワトリをやり過ごすためじっと隠れていたらしい。
「良かったー! 猟兵さんですよね」
「ここから出る手助けに来た。話が早くて助かるんだが、よく分かったな」
 瑞樹は首を傾げる。
「実は僕のインフォメーション、ログインした人の情報がある程度共有される仕様になっているんです。ちなみに晴翔さんが手に入れた香味薬草は、街のクエストで使用すると報酬がアップする貴重なアイテムですよ」
 ランベールは自分のUIからコマンドを打ち込み二人に情報を共有した。すると白紙だったはずの地図に色がつく。
「チートコードすごいじゃん」
 共有アイテムに香味薬草を移動させながら晴翔が言った。
「はあ。でも僕は戦う力が無いですからね……。情報だけあっても森を抜けられないんですよ」
 そう言ってランベールが行く先を指差す。
 そこには巨大なニワトリのモンスターがウロウロしていた。エネミーとして配置されているらしく、その場所から離れることはないようだ。
「とにかく手っ取り早くモンスターを倒すか」
 瑞樹が武器を構えた。
「チートコードの打ち込み、よろしくな!」
 晴翔が言うと、ランベールはコクコクと頷いた。

●クエストトライ
「ギョェエエアアア」
 道を塞ぐニワトリが鳴く。
「あ、あわわ」
「伽羅と陸奥を護衛に置いておくから、安心してチートコードを打ち込め」
 瑞樹は精霊の仔・陸奥と水神の竜・伽羅をランベールの近くに配置し、地面を蹴った。目の前のニワトリはかなりの巨体だ。
 木の幹を蹴り軽やかに戦場を駆けていく。
「わ、わかりました! コードを打ち込んだら、システムアラートが通知されるようにしますので!」
 ランベールが手元のUIを操作した。
 程なくしてシステムメッセージがユーベルコードの解禁を知らせてくる。
 晴翔はユーベルコード『威力偵察』を発動して小型の高機能AIロボを召喚し、ニワトリの足元へと向かわせた。
「仕掛けりゃ何か見えるかもな」
 ロボたちの姿を見て、ニワトリがその場で小刻みにジャンプする。飛翔能力はないようだが、着地するたびに振動が起きてなかなか取り付くことが難しい。
 瑞樹は第六感を頼りにそんなニワトリの動きを見切って更に距離を詰めた。
 近づくとどのような行動を取るのか判明したので、一気にかたをつけるしかないと判断する。
「ギョェエエアアアッ!!」
 近づいた瑞樹に、ニワトリが猛然とくちばし攻撃を仕掛けてきた。
 右手の胡で受け流しさらに一歩踏み込む。
「ここだ!」
「ギョ……ア、ッ」
 ユーベルコード『剣刃一閃』、左手の黒鵺がニワトリの首をはねた。
 ニワトリの姿が消えた。代わりに瑞樹の目の前に大きな卵が出現する。

(システムメッセージ)
 『森の中でモンスターを倒す』をクリアしました。
 『ニワトリの卵』を手に入れました。

 システムメッセージが告げてくる。
「よっし! 卵は共有アイテムに入れておくからな!」
 晴翔が慣れた手付きで卵を共有アイテム化する。
「ひとまずクエストはクリアだな」
「ありがとうございます!!」
 振り向いた瑞樹は、ぺこぺこと頭を下げるランベールを見た。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ベリル・モルガナイト
げーむの。中。ですか
慣れぬ。場所では。ありますが。私の。やることは。変わりません
私は。盾の。騎士
世界を。人を。守る。者。なれば

ランベールさんは。森を。逃げて。いられる。とのこと
ならば。まずは。森を。探して。合流を。目指し。ましょう
合流したら。彼を。守りながら。森の。外へ

依頼を。こなせば。よいの。ですね?
それならば。慣れて。おります
では。多少。心得も。ありますから。モンスターの。卵で。料理を。作り。ましょう

まずは。肉体を。強化して。卵を。割ります
料理は。そうですね。気を。衒わず。卵焼き。などを
甘さは。控えめに。ふんわりと。焼けた。出来上りを。目指しましょう

※アドリブ、連携等歓迎


斬断・彩萌
呪いのネトゲとか現代社会の闇っぽ~
そういう都市伝説探せば絶対あるって

って、今まさにそれが起こってるわけね
OK、状況は完璧に理解したわ
さて、まずは無難にモンスター狩りでもしましょうかね
念動力を纏ったOracleでどーんとやってわーって感じに
敵が纏めて来ちゃったら獲物を二挺拳銃に代えて応戦
数には数で対抗よ!

で、このドロップアイテムの卵で料理をすれば良いわけね
って、固っ! こりゃユベコでもなきゃ無理か
サイコキネシスで慎重に殻を割っていく
ぐしゃっとやっちゃマズいからね、そーっとよ

卵料理って言っても色々あるけど、此処は簡単に茶わん蒸しにしましょうか
丁度鶏?の肉もある事だし
ではサクっと作っちゃいましょ



●ログイン
「呪いのネトゲとか現代社会の闇っぽ~」
 斬断・彩萌(殺界パラディーゾ・f03307)は森を歩きながらゲームのシステムメッセージを確認した。『呪いのネトゲ』とはまた、都市伝説を探したらその辺に転がっていそうな題材だ。
 魂を捉えるという趣旨のアナウンス。
 不穏を告げる文章。
 そしてこの状況である。
 今まさにそれが起こっているというわけだ。
「OK、状況は完璧に理解したわ」
 彩萌は二挺拳銃を構えて走り出した。メッセージにはランベールからのアナウンスも含まれていた。どうやら他の猟兵たちとアイテムの共有もあるらしい。

「げーむの。中。ですか」
 ベリル・モルガナイト(宝石の守護騎士・f09325)は森の中を歩きながら依頼の内容を考えていた。
 手にとったアイテムはデジタル処理がなされどこかに格納される。
 今見ている森も現実のものではないようだ。
 慣れない場所である。
 だが、自分のやることに変わりはない。
「私は。盾の。騎士。世界を。人を。守る。者。なれば」
 ランベール側からの共有により、彼の居場所が地図上に表示されていた。
 ベリルはモンスターの徘徊する森を駆け抜け仲間との合流を目指した。

●『モンスターのドロップアイテム『卵』で料理を作る』
 街のギルドにたどり着いた一行は、さっそくこの依頼を受けることにした。
「これが手に入れた卵です」
 ランベールが共有のインベントリから『卵』を取り出す。
「とても。大きな。ものですね」
 ベリルが卵を見上げた。
 ニワトリ型のモンスターも大きかったが、卵もまたとても大きい。あまりの大きさに、一旦広場に移動してから取り出したほどだ。
「って、固っ! こりゃユベコでもなきゃ無理か」
 彩萌が卵の殻を叩く。
 まるで幾重にも重ねられた金属を叩いているかのような感触だ。
「で、このドロップアイテムの卵で料理をすれば良いわけね」
「はい、調理道具一式は取り寄せコードが使えたのでそろえておきました」
「ウワサのチートってやつ!」
 彩萌はランベールが取り寄せたという調理道具を眺めた。
 広場に不自然に並んでいるキッチン。配線などは見えないが何やら不思議な力で水が流れ火も扱えるのだという。鍋やフライパン・定番の調味料も一通り揃っている。とにかく卵を割りさえすれば普通に料理ができそうだ。
「依頼を。こなせば。よいの。ですね? それならば。慣れて。おります」
 ベリルが卵に近づいた。
「では。多少。心得も。ありますから。モンスターの。卵で。料理を。作り。ましょう」
「オッケー! それじゃ、コードよろしくね」
 彩萌が声をかけると、ランベールは慣れた手付きでUIからチートコードを打ち込んだ。
 二人のユーベルコードの使用が解禁される。
「まずは。卵を。割りましょう」
 ユーベルコード『其れは脆くも儚き桜の城壁』を使用したベリルの肉体が強化される。
 拳で卵の殻を突くと確実にヒビが入った。
「ぐしゃっとやっちゃマズいからね、そーっとよ」
 彩萌は『サイコキネシス』を発動させ、慎重に殻を割っていく。
 とにかく大きな卵だ。
 慎重に殻を割り剥がしていくしかない。
「承知。しました」
 ヒビから穴を開け、ベリルは殻を割って剥がす。殻の欠片を地面に落とすと小さく地響きがした。相応の質量があるらしい。
「上の殻持ち上げられそうかも」
 彩萌がベリルに声をかけた。少しずつ広がった穴を繋げれば卵の上部を切り離せそうだ。
「では。ここから。崩します。その後。上部を。持ち上げて。いただけますでしょうか」
「了解!」
 ベリルが穴を繋げるように殻を割る。
 二人は協力して卵の殻上部を取り外した。

●卵料理
 卵の見事に殻を割った二人にランベールが近づいてきた。
「料理をするならこの『香味薬草』を添えてみてもらえませんか?」
 ランベールによると、森で猟兵が見つけた特別な薬草を共有してもらったのだとか。
 効能はバッドステータスの解消とのこと。
「クエストの報酬がアップする貴重なアイテムのようなんです」
「そういうところ、ゲームだね」
 彩萌はそう言いながら薬草を受け取った。
「味が。変化する。事はない。ようです」
 薬草の状態を確認したベリルが言う。
 味に変わりがないのならいくらでも使いようはあるとのことだ。

 さて、ここからはそれぞれ料理を作る。
 卵は殻の中からすくって取り出し小分けにした。
「そうですね。気を。衒わず。卵焼き。などを」
 ベリルが慣れた手付きで卵をかき混ぜ下味をつける。
「甘さは。控えめに」
 卵焼き器を火にかけ卵液を流し込んだ。焼き加減はふんわりと。手元で器用に卵焼き器を操り、くるくると卵を巻いていく。
 出来上がった卵焼きを皿に移せば、ふんわり卵焼きの完成だ。
 香味薬草はさっと茹でて添えてみた。

「此処は簡単に茶わん蒸しにしましょうか」
 彩萌はニワトリからドロップした肉も使い茶碗蒸しを作るようだ。
 鶏(?)の肉があって良かった。
 出汁は煮干しだしを使用。出汁用のパックで準備されていたので、チートモードすごいということにした。肉は下味を付け容器に入れておく。卵をほぐして出汁とあわせた後味付けだ。香味薬草も茶碗蒸しの具材に使ってみる。
「味は塩のみ。シンプルが一番ね」
 卵液をザルで越し容器へ注いだ。
 強火で3分、弱火で10分蒸せば完成だ。

 広場に良い匂いが漂う。
「美味しそうな匂いですね! ゲームの中なのにすごい再現度だ」
 二人の料理を見てランベールが手を叩いた。
 すると二人の料理がアイテムとしてインベントリに格納される。
「不思議な。仕組み。です」
「本当にね。でも、これでクエスト完了?」
 ベリルと彩萌は出来上がった卵料理をアイテムとして共有した。

(システムメッセージ)
 『モンスターのドロップアイテム『卵』で料理を作る』をクリアしました。
 『すごい卵料理・卵焼き』を手に入れました。
 『すごい卵料理・茶碗蒸し』を手に入れました。

 システムメッセージがクエストクリアのアナウンスを流す。
「助かりました! 僕だけでは卵が割れなくて、クエストクリアできませんでしたから」
 二人にむかってランベールは何度も頭を下げた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:ロキ
共有頂いているものは活用しつつ、一連でクエストをこなしましょう
電気属性の魔銃で敵をマヒさせあしらいつつ、マップを頼りにランベールさんと合流。
「怪我などされていませんか?」
必要なら医術で手当てし、UC解除頂いたら一緒に町へ。光属性の札を構築しギルドの扉に貼って開門。依頼を受けます。
依頼主の元へ向かい、途中の敵は雷属性の鞭でマヒ攻撃後、火属性の剣で切り伏せましょう。
依頼主のお宅でキッチンを借り、無属性ハンマーで卵を割り刻んだ薬草と合わせてからフライパンへ投入。手作りオムレツを作ります。
お母様へ食事を提供し、医術で病状確認。必要なアドバイスをして依頼を完了します。



『おかあさんが悪い病気でくるしんでいます。
 卵を使ったお料理を食べると病気が良くなると聞きました。
 でも、モンスターが街への通行路を塞いでしまって卵を買いに行けないの。
 どうかお母さんに卵のお料理を届けてください
 町娘・エミリーヌ』

●ギルドからの依頼
 ランベールと合流した水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)はギルドで『病気のお母さんに手作り卵料理を』という依頼を受けた。
「ギルド内部の作りも本格的ですね」
 現在、彼の人格はロキである。
 これまで猟兵達が集めたアイテムの共有は済ませた。
 卵の残りもアイテムとしてインベントリに収納されている。とても便利だ。
「それではランベールさんは怪我などされていませんか?」
「はい僕は大丈夫です。ご心配ありがとうございます!」
 二人はさっそく依頼主である町娘・エミリーヌの元へと向かった。
 この街は人の往来が多い。中央広場やギルドのある通りは綺麗に整えられている。だが、街外れの裏道になると突然風景が変わった。
 建物は荒れ果て人の気配はない。マップに記されたポイントはすぐそこなのだが――。
 その時突然大きな影が目の前に出現した。
「ココ、通さナイ。カエレ」
 それは大きな棍棒を持ったモンスターだった。
「随分大きなモンスターですね」
 こんなモンスターが街にいて不自然ではないのだろうか。ロキは慎重に距離を取りモンスターを見た。
 チートコードで情報を引き出すランベールによれば、野生に馴染めず貧民街への通行路に陣取って住民から食べ物を巻き上げて生活しているらしい。
「とにかくモンスターを倒して進みましょう」
「お願いします」
 ランベールがコードを打ち込む。すぐにロキのユーベルコードが解禁された。
「雷属性の鞭を構築します」
 ユーベルコード『武装構築』で激しい雷を帯びた鞭を作り出す。
 ロキは地面を蹴って飛び上がり鞭を振るった。
「オオオオッ」
 対してモンスターは力任せの殴打を繰り出してきた。ひと振り振り下ろすごとに地面が揺れ、貧民街の建物から瓦礫が崩れ落ちる。
 ロキの鞭が敵の体をかすめた。
 バチバチと火花が飛び散る。敵の動きが鈍った。
「ッ、ガ、アアア」
「トドメです」
 続けて火属性の剣を作り出して持ち替え、一気に斬り伏せた。

●クエストクリア
「ありがとうございます。いただきます」
 エミリーヌの母親が受け取った卵料理を口に運ぶ。
 粗末なベッドに臥せ憔悴していた彼女は、『香味薬草』入りの卵料理を食べると少しずつ元気を取り戻したようだ。
「お母さん! 元気になったの!?」
 エミリーヌがぱっと瞳を輝かせる。
「モンスターを倒しましたから、これからは街へも行けるはずです。栄養をとってください」
「わあ! お母さん、よくなるのね! ありがとう!!」
 ロキの言葉を聞いて母娘は何度も頭を下げた。

(システムメッセージ)
 『ギルドの依頼『病気のお母さんに手作り卵料理を』を受ける』をクリアしました。
 『ギルドマスターの信頼を得てボスの居所を掴む』が開放されます。

 システムメッセージがクエストクリアのアナウンスを流す。
 そして、いよいよボス戦のクエストの開放もだ。
「ありがとうございます。あなた方のおかげでゲームクリアが見えてきましたね」
 笑顔を見せるランベール。

 そしてゲームは続く。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ドクトル・アメジスト』

POW   :    アメジストバインド
【アメジストの結晶】から【電脳魔術】を放ち、【精神干渉】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    サイキックアームズ
召喚したレベル×1体の【機械兵器】に【サイキックエナジーを籠めたアメジスト結晶】を生やす事で、あらゆる環境での飛翔能力と戦闘能力を与える。
WIZ   :    ラボラトリービルダー
【電脳魔術】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を自身の「工房」と定義し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠メイスン・ドットハックです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


(システムメッセージ)
 緊急クエスト発生!
 魔王は冒険者の活躍が不愉快です。
 罰として魔物の群れを街に向けて放ちました。数が多く対処は不可能です。
 魔物が街に到着するまで時間がありません。
 ですが魔物が出払った今、魔王城は手薄です。
 魔王城へ奇襲をかけて魔王を倒しましょう。
 魔王を倒せば魔物への命令は取り消されます。

 街外れにある魔王城へのポータルが開放されました。
 ご武運を。

「戦うのなら僕も行きます。皆さんのユーベルコードは、僕が一つ一つコマンドを打ち込まなければ使えないようですし……。何より街がモンスターに襲われるのを見過ごせません。幸せになったエミリーヌ達だってどうなってしまうことか!」
 ランベールの持つUIだけが猟兵のユーベルコードを解禁できる。
 ユーベルコード使用一回ごとに入力しなければならないため、彼の協力が絶対に必要だ。
 街外れのポータルが起動した。
 あとは魔王を倒すのみ。
 震えながらも、ランベールはポータルの場所を猟兵に共有した。

「……さて、早々に魔王に挑戦できるシステムはなかなか良いものだね」
 禍々しい魔王の椅子に座ったドクトル・アメジストが笑った。
 ゲーム世界に魂をインストールしたドクトル・アメジストは魔王城で挑戦を待っている。
「魔王に挑んで敗北すれば魂は永遠に失われる。しかも、魔王に挑戦しなければ街がモンスターに蹂躙されてしまうとは。スリル満点さね」
 いずれにせよ、戦いに破れた者は魂を失う。
 それはこのゲームをインストールしたドクトル・アメジストも例外ではないのだが。

※ボス戦『ドクトル・アメジスト』です。
 奇襲を仕掛けて魔王の企みを阻止しましょう。
 リプレイは魔王城でドクトル・アメジストと対峙したところから開始します。
 ドクトル・アメジストを撃破すればゲームクリアとなり現実世界へと戻れます。
 プレイング受付開始は1/15 8:31です。よろしくお願いします。
斬断・彩萌
さぁて、魔王を倒してとっとと現実に帰りましょ
一気に魔王と戦えるとか、なーんかバグっぽい仕様だけど
この世界自体が敵さんのチートで出来てるし、細かい事か

ではドクトル・アメジスト! こっちにはコード打ちがいる。
遠慮なくユベコを使わせて貰うわよ!

電脳魔術は咄嗟の見切りや空中浮遊で回避
変化した地形の上に立たれる前に【陰楼】を撃ち込む
状態異常がつけば儲けもの、動きが鈍くなるくらいの効果は出るでしょう
どこに逃げようと誘導弾があなたを確実に追い詰めるわ
今更尻尾まいて退こうなんて無駄よ

ゲームは楽しく、フェアにでしょ?
命のやりとりはもうゲームじゃない、戦争じゃないの
あなたはそれが分かってなかった。それが敗因よ



●魔王対面
 ポータルを越えた先には禍々しい椅子に座る魔王――ドクトル・アメジストが待ち受けていた。
「いきなり魔王と戦うことを選んだのかい? このゲームで死ぬということは、魂を失うということ。良いのかな?」
 敵が笑う。挑発しているのだろう。
 猟兵達はランベールを庇いながら敵の前に立った。
「さぁて、魔王を倒してとっとと現実に帰りましょ」
 彩萌はざっと魔王の周辺を確認する。
 情報通り他にモンスターはいないようだ。きっちりと出払ったらしい。その辺りはいかにもゲームの仕様に則った行動だ。
 それはそうとして、ゲームの世界に来てすぐに魔王と戦えること自体はバグっぽいとも感じる。しかしこのゲームの世界そのものが敵のチートでできているともいえるので、些細な問題かな、とも。
「ではドクトル・アメジスト! 遠慮なくユベコを使わせて貰うわよ!」
 彩萌がランベールに合図を送る。
「分かりました! 皆さん頑張ってください!」
 ランベールがチートコードを打ち込んだ。すぐさまシステムメッセージが彩萌のユーベルコード解禁を知らせる。
「やはり向かってくるかねえ。それなら魔王の魔術とやらをお見せしようか」
 と、魔術式を展開させる魔王。あれが電脳魔術なのだろう。空間に浮かび上がったディスプレイからデジタル処理された結晶がせり出てきた。
 彩萌はその魔術が放たれる前に床を蹴る。
 敵の魔術が頬を掠めた。咄嗟に見切って右に飛ぶ。
「すばしこいねえ。でも――」
 敵の足元にデジタル処理された魔術式が広がった。
 あれを陣地にされると厄介だと思う。
 彩萌は体を捻り、照準を合わせた。
「沈みなさい」
 ユーベルコード『陰楼』を発動させ、オーラを纏った弾丸を撃ち出す。
 弾丸は彩萌の思い描いた通りにドクトル・アメジストの足元に飛んだ。
「っ、油断も隙もないさねえ」
 魔術式に足を下ろそうとしていた敵が一瞬躊躇する。
 そこへ畳み掛けるように陰楼が降り注いだ。
「どこに逃げようと誘導弾があなたを確実に追い詰めるわ」
 彩萌の狙いは正確だ。
「命がかかっているとなると、こうも真剣になるのかねえ?」
「ゲームは楽しく、フェアにでしょ?」
 敵の挑発にはのらない。彩萌は冷ややかな視線を敵の足元へ向けた。何度も、敵の着地を阻止して弾丸を飛ばす。
「命のやりとりはもうゲームじゃない、戦争じゃないの」
「なるほど?」
「あなたはそれが分かってなかった」
 それが敗因だと。
 行き場をなくして動くことができなくなった魔王に告げる。
 魔王は玉座に座りながら顔をそらした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

ゲームとかそういうのに詳しい奴に、割とすぐに魔王に挑めるゲームが実際あるって聞いた事あるけど、地道に強くなって強敵に挑むのも俺は楽しいと思うけどなぁ。
ゲームの話というより現実での話だけど。

存在感を消し目立たない様に立ち回るり、隙を見てマヒ攻撃を乗せた暗殺のUC五月雨で攻撃。同様にマヒを乗せた飛刀も投擲、なるべく多数へダメージ・マヒによる行動の制限を与える。
その隙にドクトルに接近に直接二刀で攻撃を仕掛ける。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流しカウンターを叩き込む。
それでも喰らうものは激痛耐性で耐える。


ルディア・ディアマンテ(サポート)
助けが必要なようね。助太刀いたしますわ!

サポートでの参加なので人々の避難や救出、敵の陽動のような支援になるような事を中心にこなしますわ。
事情がわからないまま行動すると事態を悪化させる恐れがあるので、その辺りは気をつけないとね。
指示をしてくれる仲間がいれば素直に従いますわ。

支援中心とはいえ戦闘は避けられないもの
その時は武器は白銀のバルバードを使いその遠心力と、UC金色の風で強化された速度を利用し一撃離脱戦法で戦いますわ!その姿はまさに金色の風の如し!

騎士の誇りを胸に、堂々と恥じない行動を!



●即席連携
 続けて瑞樹が前に出た。
 右手に胡、左手に黒鵺を構えている。
「本格的に魔王を倒しに来たようだねえ。ゲームの世界を堪能してくれたかい?」
 弾丸で負った傷を擦りながらドクトル・アメジストが瑞樹を見た。
 仲間の攻撃は届いたようだが、さすがにそれだけでやられるような相手ではない。
「ゲームか」
 割とすぐに魔王に挑めるようなゲームもあるらしいことを聞いたことがある。
 だがと瑞樹は思う。
「地道に強くなって強敵に挑むのも俺は楽しいと思うけどなぁ」
 ゲームの話と言うよりは、現実での話でもあるのだけれども。

「助けが必要なようね、助太刀いたしますわ!」
 ルディア・ディアマンテ(金色の風・f18851)が仲間の助けになろうと戦いの場へ飛び込んできた。
「お願いします。僕は何とかコードを打ち込みますので」
 チートコードを打ち込もうとしていたランベールが頭を下げる。
 ここは彼が魂を囚われたゲームの中。この世界で死ねば本当の死を迎えるという恐ろしい場所だ。彼をこの世界から救い出すため猟兵達は奮闘している。
 彼がチートコードを入力するたびにユーベルコードが解禁されるとのこと。周囲の仲間から情報を聞き、ルディアは白銀のハルバードを構えた。
「ではわたくしが道を開きますわ」
 ハルバードの輝きが増していく。まるで魔王の間に月明かりが差し込んできたかのようだった。
「頼んだぜ」
 瑞樹は短く言葉をかけるとすっと存在感を消した。輝く武器を持つルディアとは対称的にまるで気配を感じさせない。
 瑞樹の意図に気づいたルディアは、大きく白銀のハルバードを振り上げた。

「さて、今度はどんな勇者様が来たんだい?」
 ドクトル・アメジストの周辺をアメジストの結晶が飛ぶ。
 それはくるくると回転したかと思うといくつもの魔術を準備し始めた。
「コードを打ち込みました!」
 後方からランベールの声が聞こえる。
 するとどこからともなく現れたシステムメッセージがルディアのユーベルコード解禁を知らせた。
「この一撃に全てをかける!」
 ルディアは全魔力を開放し白銀のバルバードに力を注ぐ。
「そんなに入れ込んで、自分の命は惜しくないのかねえ?」
 敵が手を挙げる。その動きに合わせて大きく展開した術がルディアを狙った。
 構わずルディアは踏み込んでいく。
 敵の目の前で一度大きくハルバートを振り下ろし、その勢いを利用してジャンプした。
 身体が回転しながら宙に飛ぶ。
「は……?」
 敵がルディアを見上げた。
 ルディアは敵の水晶を蹴って飛ぶ方向を変え、そのまま急降下。
「光になれぇぇぇぇっ!!」
 全てを光に分解する膨大な力を込めた一撃を叩き込む。
 光り輝くバルバードが敵の肩を抉った。
「この……、このままで帰さないよ!」
 魔術へ命令する魔王の声。
 だがドクトル・アメジストの放った電脳魔術が打ったのは誰もいない虚空。
 その時にはすでにルディアは離脱していたのだ。
 まさに一撃離脱。
「っ、どこだい? そこか!」
 敵がルディアを探す。
「わたくしを探していては、手遅れになりますわ」
 敵から離れた場所で、ルディアは肩にかかった髪を払った。
 同時に、100近いナイフが敵の体に降り注ぐ。
「喰らえ!」
 どこからか現れた瑞樹がユーベルコード『五月雨』を発動させたのだ。
「あ――」
 魔王があっと驚いてナイフの雨を見上げる。
 その場から急ぎ飛び退こうとしたようだがもう遅かった。
 最初のひと振りがはっきりと敵の体を貫く。
「なかなかやるねえ。だが、これ以上はない。防がせてもらうさね」
 ドクトル・アメジストは腕を振るわせながら機械兵器を召喚した。
 その様子から、最初の一撃をくらい体の一部が麻痺したことがうかがえる。
「さあ、飛べ!」
 それでもドクトル・アメジストは数多の機械兵器を呼び出すと、自分を狙うナイフにぶつけるように飛ばした。
 ナイフと機械兵器がぶつかり合い、飛び散っていく。
 機械兵器の体当たりでナイフの軌道が逸れた。
 その隣ではナイフに貫かれ機械兵器が砕けて消える。
 それが一瞬で数十回。ナイフと機械のぶつかる音が魔王の間に響き渡った。
「派手な雨だねえ」
 機械を操りながら魔王が足を組み替える。
 敵はまだ魔王の椅子に腰掛けたままだった。
 肩を負傷し、体の一部が麻痺している。それでもまだ余裕を見せているようだ。
 その時、ギラリ刃が敵の首を狙う。
「戦いでの油断は禁物だよな」
 死角から瑞樹が斬り込んだのだ。
 ひとつ目・黒鵺の刃は敵の首へ。
 だがそれは機械兵器に弾かれた。
「油断ねえ?」
 ドクトル・アメジストが機械兵器を呼ぶ。
 数体の兵器が瑞樹に体当たりを仕掛けてきた。
 第六感をたよりに、その攻撃を僅かの差で回避する。機械を受け流した刃から火花が散った。
 瑞樹は小さく息を吐き出しながら更に一歩踏み込んだ。
「油断だな、やっぱり」
 シンプルな動作で右手の胡で敵の腕を斬りつける。
「そろそろ立ち上がったほうが良いようだねえ」
 傷を負った魔王が立ち上がった。
 余裕の態度を崩し、ついに本気にならざるを得なかった様子。
 だがその時には、瑞樹の姿は近くにない。
 気配を消してあっさりその場から引いたようだ。

「すごいです! 見事な連携だ!」
 ランベールは二人の即席連携プレーを見て感動したように手を叩いた。
「助けになれたのなら良かったですわ」
 敵の動向に気を配りながらもルディアが微笑む。
「どうやら確実にダメージがたまっているようだな」
 いつの間にかランベールのそばに来ていた瑞樹が頷いた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

桜雨・カイ(サポート)
【日常】
口調は年齢立場変わらず丁寧語です
自分は人形なので、人のそばにいて力になりたいと思っています。
怒ったり、他人を悪く言う事はしません。どんな恰好や行動もその人の個性ですから
まだまだ知らない事が多いので…言われた事は素直に信じてしまう性格です。

【戦闘】
UCは状況に応じて使い分けます
【錬成カミヤドリ】は防御と攻撃に分ける事が多いです
【エレメンタルー】は精霊にお願いすると手を貸してくれます(炎が多いです)【念糸】で敵の動きを封じる時も。
基本は人を守ろうと動きます。
…でも、どうしても避けられない時は…手を下す側にまわります。
どんなに辛くても……大丈夫です、自分で決めた事ですから。


ベリル・モルガナイト
げーむとは。人が。楽しむ。ための。ものと。聞きます
スリルや。恐怖も。楽しみに。なることは。あるでしょう
ですが。それで。命まで。失う。というのは。度が。過ぎる。というもの
貴女の。手で。誰かの。魂が。失われる。ことは。ない
私が。守ります

ランベールさんに。攻撃が。届かぬよう。庇いながら。戦に。挑みます
電脳魔術を。【オーラ防御】と。合わせて。盾で。防御を
一度。盾で。受けきれば。ユーベルコードは。封じられます
防ぎきれない。ダメージは。【激痛耐性】で。耐えつつ
発動しない。二度目を。放とう。とする。隙に。距離を。詰め。【シールドバッシュ】にて。壁へと。勢いのままに。押し込みましょう

※アドリブ、連携歓迎



●守り手
「げーむとは。人が。楽しむ。ための。ものと。聞きます」
 ベリルがドクトル・アメジストの前に出た。
「ああ、その通りさね。ゲームの世界を楽しんでいるかい?」
 魔王が笑う。傷を負いながら、まだまだ余裕を見せているようだ。
 スリルや恐怖も時には楽しみになることもあるだろう。だが、それで命まで失うというのは度が過ぎるというものだ。
 ベリルは宝石が埋め込まれた盾を構えた。
 魔力を流し込み、魔導障壁の展開の準備をする。
「貴女の。手で。誰かの。魂が。失われる。ことは。ない」
「さぁて? せっかくゲームの魔王になったからには、魂の一つや二つは取りたいものだね」
 敵が初めてランベールを見た。
「ひっ」
 今まで猟兵たちの陰にいたランベールが小さな悲鳴を上げる。
 ベリルは敵とランベールの間に身を滑り込ませた。
「私が。守ります」
「くっくく。今まではチートコードのおかげで戦って来られたのだろう? それが突如奪われたらどうだい? ピンチってやつさ!」
 敵の視線はあくまでもランベールに。
 そこへ桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)が踏み込んできた。
「私も力をお貸ししましょう」
 戦う力の無いランベールを守ることが重要だと聞かされ、すぐに頷く。
「あれが魔王ですね。さあ、私の後ろに……しっかりお守りします」
 敵の視線からランベールを庇うように一歩前に出た。
「二人で守れば目も行き届きます」
「はい。とても。心強いです」
 カイとベリルが互いに位置を確認する。
 魔王に睨まれて青い顔をしていたランベールがほっと胸をなでおろした。
「ありがとうございます。コードを入力しますので……」
「さて、その時間があるかねえ?」
 安心したのもつかの間、敵がアメジストの結晶を素早く展開させる。
 結晶体は大きく回転しデジタル処理された魔術を放った。
「うわっ!?」
 ランベールが思わず悲鳴を上げる。
「落ち着いて。ください。焦らず。コードの。入力を」
 飛んできた魔術を盾で防ぎながらベリルが声をかける。激しい敵の魔術が盾を揺らした。展開した魔術障壁が軋む。
「まずは私のユーベルコードを使用可能にしていただけますか?」
 魔術の余波からランベールを守りつつカイも声をかけた。彼を安心させるように落ち着いた雰囲気で語りかける。
「……安全な結界を作ります。飛んでくる魔術を弾くことくらいはできますから」
 そうしている間にも、敵の魔術が激しさを増しているようだ。
「は、はい。では、最初はカイさんのユーベルコードを解禁しますね」
 見るとランベールの指先が震えている。
「こ、怖いですけれど、ここまで僕を連れてきてくれた貴方達を信じます」
「お願いします。必ずお力になります」
 カイはその言葉を聞いて静かに大きく頷いた。
 彼は彼なりに頑張っているのだと分かる。それなら自分は彼を守ることに全力を注ぐだけだ。
 ランベールが素早くコードを打ち込む。するとシステムメッセージがカイのユーベルコード解禁を知らせてきた。
「ありがとうございます。さあ、まずはあの魔術から身を守りましょう」
 カイが念糸を操る。
「この糸は想いが紡ぐ糸」
 ユーベルコード『想撚糸』を発動させ、念糸を撚糸へと変えた。彼を守るという思いが連なり撚糸がさらに強化される。
「――痛みも記憶も、過去を全て抱えてその先へ進みます!」
 編み上げた撚糸はすっぽりとカイとランベールを囲い込んだ。
「そんな柔らかな糸が、何をしてくれるんだい?」
 魔王の魔術が二人を狙って飛んでくる。
「……大丈夫です。貴方を守り通します」
 カイは強い意志を持って敵と対峙した。
 編み上げた結界が敵の魔術を弾いて消し去る。
「すごいですね!」
 魔術と結界がぶつかって光る様子をランベールが見つめた。守られているという安心感を得られたのか、表情から怯えが消えていく。
「こちらはしばらく持ちます。今のうちにお願いします」
 カイがベリルに声をかけた。
「承知。しました。私の。ユーベルコードも。解除を。お願いします」
 真正面から敵の攻撃を受けていたベリルが一歩踏み出す。
「わかりました! お願いします!」
 結界内でランベールがコードを打ち込む。もうその指が震えることはなかった。
「なるほど、なかなかの守りだね。だが出力を上げれば――」
 ドクトル・アメジストは防がれた魔術を一旦引っ込めアメジストの結晶を集結させる。
 そして宙にも足元にも、大きく魔術式を展開させた。
 アメジストの結晶が激しく輝く。術式からデジタル処理をされたような魔術がせり出てきた。
 かなり大きな術だ。
「私の。後ろには。行かせません」
 それでもベリルは盾を構える。
 ユーベルコード『是は勇猛なりし覚悟の盾なれば』を発動させ、走った。
「すべて消し去ろうかねえ」
 敵が魔術の発射を命じる。
 その攻撃を真正面から受け止めた。
 障壁を展開させているが防ぎきれない魔術の波がベリルを襲う。
 その痛みにベリルは耐えた。
「な――」
 魔王が驚愕の声を上げる。最初の一撃をベリルは防いだのだ。
 そして――。
「一度。盾で。受けきれば。ユーベルコードは。封じられます」
 ベリルの言葉通り、大きく展開していた敵の魔術が封じられていく。
 魔術の圧が消えた。
 瞬間、ベリルは加速して盾で敵を殴りつける。
 全身の力を乗せた一撃が敵の体を吹き飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:ロキ
ランベールさんの安全を最優先に行動しましょう。横について電気属性に設定した銃型魔導兵器で射撃。近づいてきた機械兵器は液体金属を手のように広げて掴み上げます。
「この子の制御、奪えるでしょうか」
ランベールさんと話しつつ、捕まえた個体はメカニックで無力化してからハッキングして乗っ取りましょう。他の個体からパーツを流用して強化、敵を制圧してもらいます。魔銃にハッキングプログラムを組み込んで、銃弾として発射し遠隔でも乗っ取ります。
……仲間を乗っ取って戦わせる、ってこちらが魔王みたいですよね。まぁ、私は悪人ですから、問題ありませんね。



●魔王との最後の戦い
 派手に体を壁に打ち付けドクトル・アメジストがうめき声を上げる。
 仲間の攻撃が相当効いたらしい。
「あと一息ですね」
 ロキが敵の様子を観察しそう呟いた。
「は、はい! 皆さんのおかげです」
 専用のUIに手を伸ばしながらランベールが頷く。猟兵たちへの信頼が生まれ、安心してコードを打ち込んでいるようだ。
 その時、敵が壁際で立ち上がった。
「さあて、そう簡単にエンディングを迎えさせるわけにはいかないんだけどねえ」
 満身創痍だがまだ戦う力は残っている様子。
 アメジストの結晶をいくつも展開したかと思うと、十数体の機械兵器を召喚した。
 それを見てロキは銃型魔導兵器を電気属性に設定する。
「迎撃します。ユーベルコードの解除をお願いしてもいいでしょうか?」
「はい!」
 ランベールがコードを打ち込むとロキはすぐにユーベルコードを発動させた。
「ハハ、たったひとつの兵器でこの数の相手をするのかい?」
 魔王が笑う。
 敵の水晶が輝き、更に十数体の機械兵器が追加された。
「……」
 怜悧は敵の挑発にも乗らずじっと集中している。
 ついに水晶を生やした兵器が襲いかかってきた。
「あっ」
 思わずランベールが声を上げる。
「大丈夫です」
 ロキはランベールの安全を考えながら位置を取り、銃型魔導兵器で敵の機械兵器を撃った。一体、二体と落としていくが……確かにきりがない。
 次々と兵器が波のように押し寄せる。
 いよいよ近接戦となった時、ロキは液体金属を伸ばして利用し機械兵器を一体捕獲した。
 当然兵器は抵抗する。だができるだけ壊さないよう抑え込み、何とか手元に引き寄せた。
「この子の制御、奪えるでしょうか」
「え!」
 ランベールがおっかなびっくりロキの手元を覗き込む。
「通常の兵器なら無理だったかもしれません。でもここはデジタル処理されたゲームの中です。ランベールさんならこの兵器の制御プログラムを書き換えられるのでは?」
「……! やってみます!」
 ロキは戦いの中で異常なまでに集中し、情報収集、そしてメカニックの技能を高めていた。だからこそ、もしやと思ったのだ。
「いけるかもしれません。すべてのプログラムを書き換える必要はなくて……、すごい、僕のコンソールから攻撃・制圧対象の上書きができそうだ!」
 ランベールが興奮気味に言った。
 そうなれば話は早い。
 捕獲した機械兵器を乗っ取り反撃しつつ、次々に敵の兵器を捕獲してプログラムを書き換える。
 気づけば、魔王の間は機械兵器同士のぶつかり合いになっていた。
 魔王が兵器を召喚すればするほど、ロキの戦力も増えるという戦い方。
「まさかこちらの機械にまで干渉するとは。さすがに権限の付加が過ぎたねえ」
 ジリジリと追い詰められたドクトル・アメジストが口元を歪ませる。
「……仲間を乗っ取って戦わせる、ってこちらが魔王みたいですよね」
 ロキは最後まで気をゆるめずに機械兵器に命令をし続けた。
「まぁ、私は悪人ですから、問題ありませんね」
 そして敵の兵器をあらかた乗っ取り、最後に魔王へ総攻撃を仕掛ける。
「……やるねぇ」
 集中砲火を浴びたドクトル・アメジストは、そう言って砕け散った。
 大きな画面が現れ、システムメッセージが表示される。

(システムメッセージ)
 見事魔王を倒しました!
 この世界にも平和が訪れるでしょう。

(スタッフロール)
 メインシナリオ:ドクトル・アメジスト
 プログラム:ドクトル・アメジスト
 キャラクターデザイン:ドクトル・アメジスト
 ………

(システムメッセージ)
 現実世界に帰還しますか?
 ………

 これで一件落着ということだろう。
「ありがとうございます。あのままゲームの世界に閉じ込められて一生を終えるところでした」
 皆さんのおかげです。
 ランベールは猟兵たちに何度も頭を下げて、現実世界へと帰還した。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月20日
宿敵 『ドクトル・アメジスト』 を撃破!


挿絵イラスト