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愛し愛しき

#UDCアース

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#UDCアース


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●愛し愛しき
 ひとよ、ひとよ。
 わたしは けっしてみすてません。
 やめるときも うれうときも。
 わたしが そばにおります。
 どうか どうか しあわせでありますように。

 祝祭である。祝祭である。
 今宵一年に一度、ここへ出でます神のため、我らは贄を差し出すのだ。
 それでは決めよう。
 誰が一番、捧げられるにふさわしきかを。
 何も知らぬよそのものども、一族のもの。
 よそものどもにその栄誉を与えてはならぬ。我らは研鑽重ね、そしてその時を待つのだ。
 我等は捧げものであることを誇りとする。
 これは捧げものであるのだ。
 一族は幸せであらねばいけない。そのために贄となれるならば――しあわせである。
 さぁ、愛しいものと共に踊るのもよかろうよ。
 愛しいものが戦う様を――みつめるのも良い。
 愛しいものと戦うのも――良い。
 すべての想い、最後の独りにそそがれて、全てが贄となるのだから。
 愛し、愛しき。贄たることはしあわせである。

●予知
「妙な祭のある所にいってもらわんといかん」
 終夜・嵐吾(灰青・f05366)は唸りながら、その祭りはという。
 それは力を競うものなのだと。戦化粧を施して、得物はひとつ。
 向き合ったものと戦いあう。その周囲では、同じように戦化粧施したもの達が躍っているのだという。
 その祝祭に名はなく、ただ『祭』と呼ばれているようだ。
「ただ戦いあうだけのもんなら、放っておけるんじゃけど」
 そこにUDCが現れるのなら話は別だ。
 まずはその祭に、噂を聞いてやってきたのだとかなんとかで参加せねばならんと嵐吾は続ける。
 祭に参加すべく、装いを整えて。
 そして始まれば、戦う者、その周囲で舞う者――儀式の中で、UDCの眷属達が現れる。
 信者たちは眷属達が現れても祭りを続ける。そうしながら、きっと猟兵たちとの戦いを呆けながら見詰めるだろう。
 いつもならば、贄だ。しかし、今回は猟兵相手。祭りが崩されれば、信者たちは動揺するだろう。
 そして現れた眷属を倒し終えれば、そこにUDCが現れるはずだ。
「そのUDCは長い時、祭り上げられきわめて強く、そして危険なものとなっとる」
 倒す機会が限られておるから、此度確実に仕留めてほしいと嵐吾は言う。
 長い間、幸せにすると、贄を得て一族とつながりを得ていたUDC。その力は大きく簡単には倒せぬものかもしれない。
 けれどきっと皆ならば、と嵐吾は託す。そして、それからと言葉続ける。
「UDCを倒せば、その場にいる一族のものたちは、全てを失うことになるんじゃろう」
 けれど、これまで何人も殺してきている一族だ。UDC職員たちが、その後はきちんと法の裁きをもって彼らに対するだろうと嵐吾は言う。
 だから倒したその後は、任せて良いと。
「皆にはそれまでのことを、頼む」
 そう言って嵐吾は手の内のグリモアを輝かせ猟兵達をその『祭』の行われる場所へと、誘う。


志羽
 お目通しありがとうございます、志羽です。
 プレイング締め切り、受付方法などはお手数ですがマスターページの【簡易連絡】をご確認ください。

●シナリオについて
 第一章:日常『「祝祭」への参加』
 第二章:集団戦『???』
 第三章:ボス戦『???』
 以上の流れとなっております。

●一章について
 こちらは問題ないプレイングはすべて採用します。
 祝祭の詳細は冒頭にて。
 祝祭を迎えるため、装いを整えたり。その雰囲気を感じたり、出来そうなことをどうぞご自由に。

●お願い
 複数人数でのご参加の場合は、ご一緒する方がわかるように互いに【ID】は【チームタグ】を記入していただけると助かります。また、失効日が同じになるように調整していただけると非常に助かります。(続けて二章、三章参加の場合、IDについては必要ありません)
 ご協力よろしくお願いします。

 以上です。
 ご参加お待ちしております。
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第1章 日常 『「祝祭」への参加』

POW   :    奇妙な食事を食べたり、奇怪な祈りのポーズを鍛錬する等、積極的に順応する

SPD   :    周囲の参加者の言動を注意して観察し、それを模倣する事で怪しまれずに過ごす

WIZ   :    注意深く会話を重ねる事で、他の参加者と親交を深めると共に、情報収集をする

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●『祭』
 どこぞの山奥――そのまた奥。
 人知れず、人に知られず。けれど、何かの拍子に知ったものが訪れたなら、その村はよそ者を迎え入れる。
 表向きは、穏やかに。歓迎というように。
 今日はそういった人の出入りが多い日だ。
 この村に住むもの達は『祭』の準備に忙しい。
 小さな子供たちは真っ白な着物に身を包み、己で作った獣の面をかぶって遊んでいる。中には、その面の下に朱でまじないのように文様描いている子もいるようだ。
 そうして、ある程度以上の年齢の者たちは男も女もその身をこれから行う祭りに向けて整えている。身を整える者達の為に、いくつかの家が場所を貸しているようだ。古い日本家屋の家。広い座敷は解放されているのだ。
 子供達と同じように真っ白な着物の者もいるだろう。はたまた傾奇者かと派手な袴と着物を纏うものも。
 男は上半身はだけて、戦化粧をその身に彩る者もいる。紅を指先に乗せて荒々しく撫でて乗せていくものもいれば、繊細に、筆を持って乗せていくものも。
 顔から、首へ、腕へ、手へ。胸へ、胴へと描いていく。
 しかし誰もが、その頭に獣の頭を被っているのだ。
 あるものはイノシシか、あるものは鹿か、クマか、狼か。
 それはこの周辺で己が射止めた者かもしれないし、代々家に継がれているものかもしれない。
 強き者を決めるのだ。だからその身は己の得た者で飾らねばならないのだろう。
 そうして祭の主役たちが身を整えている間――彼等が戦う舞台を囲んで、踊りの練習が為されていた。
 真っ白な着物に袴か、巫女服か。顔半分隠す仮面の者達が大きな円を描いて並んでいく。ゆるりと一歩進んでは、前の者の動きを一拍置いて真似していく。それが、踊りだ。
 右手を上げてしゃんと鈴ならし、次は一歩前に出て左手に鈴持ち替えて。
 真似は簡単なものだから、飛び入りでも叶うだろう。
 その間、この村で『祭』に参加する姿を整えたり、村の者に話を――聞いて、話してくれるかはわからぬが。声かけるのも、眺めるのも自由だ。
 なんだか、現実離れしたような。変な居心地の悪さのある村で。
 なぁんにも知らぬと、観光に来たと楽しげにはしゃぐ旅の者を装ってもいい。
 何か妙な静けさ持つ村人たちと同じようにその中に混ざってもいいだろう。
 村を回れば何かを見つけるかもしれないし、何もないかもしれない。
 人々が躍る、その中心に向かうものが出始めれば『祭』の始まりだ。
 夕暮れ色が墜ちていく。今はまだ人の時間。
 沈めば、それからが本当の、贄の時間。
 それまでは、踊る者達の中心で、それぞれ強さを競っていく。負けたものは円の外へ弾かれて再びそこに入ることはできない。
 猟兵は、この村の者達に負ける事はないはずだ。
 それでもわざと負けて、円の外に出るのもいい。中心に残っていくのもいい。
 村の者達は親しいもの達から手合わせをしているようだ。
 まだ始まったばかり。
 本当の『祭』の始まりはまだなのだ。夜には、きっと全てが――訪れる。
日下部・舞
ミレディ君(f00296)と参加

「お祭りって独特の雰囲気があるね」

こういうのは嫌いじゃない
祭りの衣装を見たり触れたり、失礼にならないように話をする
体験できるなら、遠慮しつつも参加させてもらおう

「馬子にも衣装かもしれないけど」

情報収集はミレディ君に任せて、私は親睦を深める
もちろん彼に危険が及ばないように注意は払っておく

戦に備えるのは獣の頭をかぶる人たち
荒事なら私の領分だけど、今はおとなしくしとこう

「……それにしてもミレディ君はなんでも似合うね」

彼が衣装に身を包めば素直に賛辞を送る
見目麗しい姿は誰もが目を惹くだろう
間近で見られたのは幸運かもしれない

居心地の悪さは彼を眺めていれば忘れそう


シェーラ・ミレディ
【WIZ】
ミス日下部(f25907)と参加

「僕からすれば異文化の祭だ、中々興味深いな」

観光客を装って村に入り、まずは着るものを借りよう
白い着物に、見た目の派手な羽織を肩にかけておこう
刺繍が多くて分厚いし、防寒には丁度いい

「うん、良く似合っている」
「いや、僕もそうだがミス日下部のことだぞ」

しれっと言う
友人相手でも女性は褒めるものだ

UDCの情報が欲しい所だが、声を掛けるなら子供らだろうか
戦いを見物しながら

「なんとも勇ましいことだなぁ」
「君たちも、いずれあそこで戦うのかい?」

などと話しかけて警戒を解き、どういった謂れのある祭なのか訊ねてみよう
UDCに繋がるヒントが得られるかもしれない



 村の雰囲気は独特なもの。
 それは『祭』だからなのか、それとも元からなのかはわからないのだけれども。
「お祭りって独特の雰囲気があるね」
 日下部・舞(BansheeII・f25907)はくるりと、村を見渡してシェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)へと視線向ける。
「僕からすれば異文化の祭だ、中々興味深いな」
 こういうのは嫌いじゃないと舞も頷く。
 観光客を装って、シェーラと舞はこの村へとやってきた。
 村の中心に向かうにつれ、身を整えた者達が増える。
 折角だ、とシェーラは一つ提案する。着るものを借りてみようと。
 村人に問えば、どうぞこちらへと案内される。
 白い着物、他にも色々と並んでおりどうぞお好きに、とのこと。
 こういうのは嫌いじゃない、と舞はそうっと触れてみる。
 白い着物の手触りはよい。無地かと思えば、そうではなく薄らと模様がはいっているようだ。
 そうしてみていると――どうぞあなたも、と村人に言われる。
 舞はいいのかな、ちょっと遠慮しつつ。けれど体験できるならと袖を通す。
 シェーラも、着物を選んでいた。白い着物に見た目の派手な羽織を肩に。派手な羽織は刺繍が華やかに施されており分厚く、防寒には丁度いい。
 シェーラの方が少し早く、身を整えて。その後で舞はそっと姿を現す。
 白い着物。それはシンプルであるのに、なぜだか目をひくのだ。
「うん、良く似合っている」
「馬子にも衣装かもしれないけど」
 そう言いながら、舞はシェーラの姿に目を向ける。
 その白い色と派手な柄の羽織も、ここで選んだというのに彼のためにもともと作られていたかのような自然さだ。
 見目麗しい姿は誰もが目を惹くだろう――そう、舞は思う。
 間近で見られたのは幸運かもしれない、と思えば自然とその口からは賛辞が零れていた。
「……それにしてもミレディ君はなんでも似合うね」
 その言葉にいいや、とシェーラは首を横に振る。
「いや、僕もそうだがミス日下部のことだぞ」
 シェーラはしれっという。友人相手でも女性は褒めるものなのだから。
 準備が終われば、祭の中に一層溶け込みやすくなる。
 UDCの情報が欲しいところだが――と、シェーラは視線を巡らせる。声をかけるなら子供らだろうか、と。
 しゃんしゃんと、踊りに使っている鈴をもってはしゃいでいる子供たちがいる。
 彼らの向かう先には、円をつくり踊りの練習をしているものたち。
 そして獣の頭をかぶる者達も集っていた。
 あの獣の頭をかぶる者達は――戦に備えている。
「なんとも勇ましいことだなぁ」
 シェーラは彼らを見詰め、言葉零す。
 戦う者と、誰でもわかる。そんな彼らの下へと走っていく子供達もいるようだ。
(「荒事なら私の領分だけど、今はおとなしくしとこう」)
 着替えてから、なお一層感じる居心地の悪さ。
 それに舞は僅かに身じろいで、けれど視線を巡らせ傍らに辿り着けば、気にならなくなる。
 彼を眺めていればそれを忘れそうと。
 そんなシェーラは近くを歩む子供達へと声をかけていた。
「君たちも、いずれあそこで戦うのかい?」
 その問いかけにそうだよ、と彼らは興奮したように話す。
 そして聞かずとも、話してくれるのだ。そうだよ! と大きく頷いて。
「最後まで残って、かみさまのところにいくんだ!」
「一番つよくなくちゃいけないけど!」
 子供たちは、何が行われているのか――まだ知らないのかもしれない。いや、知っているからこそなのかもしれない。
 ただきらきらと、楽し気な声だけを響かせるのは歪なことのように、見えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヲルガ・ヨハ
◼️アドリブ可
噂をきいたのだと旅人装い、村へ
からくり人形に抱えられ
準備するさまに感嘆の声ひとつ

下半身の龍の尾をびたん、びたんと波うたせ
とびこみ参加を申入れ、身を整える為の準備を

おまえよ、おまえ
からくり人形を手招いて
ちょん、と
紅で染めた指先を人形の、褐色の肌に沿わせ

われの供物はおまえだけでよい
頚に、腕に、左胸──”空”の心臓の上に
仕上がりに、布越しににんまりと笑む
武勇を、勝利を
おまえのすべてをわれに捧げよ

共にましろの装束纏い
われは白の牝鹿を
おまえはつねの龍面でなく、黒の牡鹿で面を隠し

いざゆかん
中央へ
円の内側へ

上機嫌に、尾を弾ませ
さぁ
力尽き、たおれ、立ち上がれなくなるまで

その武勇を、われに奉ぜよ



 からくり人形に抱えられ、赴いたその村。
 ヲルガ・ヨハ(片破星・f31777)は噂を聞いたのだと旅人装い、とびこみで参加したいのだと告げる。
 その申し出を村人たちは断ることなく、どうぞこちらをお好きにと広い家へと通す。
 入用のものがあれば好きに使って、なければ声をかけてくれと。
 ヲルガは、この村の様子に。そして準備するさまに感嘆の声ひとつ。
 そしてその言葉と同じように雄弁に、その心を騙るは――下半身の、龍の尾だ。
 びたん、びたんと波うたせる尾。
 とびこみでの参加、ということに心もおどる。
 白い着物、派手な色をもつ羽織もあれば、ただ一色、深い色の着物もありと目は映りゆく。
 そして――化粧も。
「おまえよ、おまえ」
 しゃらら、と音を奏でそうな銀の髪を揺らして。かんばせを隠す薄絹の下の唇動かして手招くのはからくり人形。
 紅に染めた指先を、その褐色の肌に沿わせていく。
 われの供物はおまえだけでよい、と。
 この村では戦って、最後の一人が贄と、供物となるのだという。
 でも、それはヲルガに捧げられるものではない。
 ヲルガに捧げられる唯一は、ひとつ。
 頚に、腕に、左胸──”空”の心臓の上に、指を躍らせて。
 にんまりと、ヲルガの口は笑みを描く。
 武勇を、勝利を。
「おまえのすべてをわれに捧げよ」
 囁いてその共にましろの装束を纏う。
 いつもとは違う、この装い。
 その頭には何を被ろうか、とヲルガの目についたのは鹿だ。
 牝鹿と、牡鹿。
 常は龍面、けれど今はこれと黒の牡鹿を与える様は――とても尊い一瞬のように。
 身を整えたなら、牡鹿は牝鹿を抱え上げるのだ。
 いざゆかん、とヲルガの指が示すのは祭の中央だ。
 その円の内側へ。
 上機嫌に、尾を弾ませて願うのはひとつ。
 さぁ、とおまえにに臨む。
 力尽き、たおれ、立ち上がれなくなるまで――その武勇を、われに奉ぜよ。
 それを赦すことは龍乙女だけができることなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

百舌鳥・寿々彦
🦋🕊

気持ち悪い
それが村に入った瞬間の第一印象
子供も大人も取り憑かれたような異様な雰囲気

僕の両親や周りにいた大人達みたい
それが異常だと疑わず見えない何かに縋り付いて

背中にじんわりと冷や汗をかくのを感じる

サラの明るい言葉に現実に引き戻される
今は感情に浸ってる場合じゃないから
少しでも情報を集めないと
観光客を装い彼等の話を聞く
胸の底に沸き上がる嫌悪感を隠しながら

手合わせ?
サラの申し出にきょとんとするけど周りを見て頷く
うん、少し身体を動かした方が良さそう
容赦なく彼女の軽やかな蹴りを受け止める
拳はもう片方の手で払うけど、足払いに体制を崩す

僕、弱いんだから手加減してよ
彼女に笑いかける
…上手に笑えてるかな


片羽・サラ
🦋🕊
贄になっていい人なんていないよ
幸せの形は人それぞれだけどさ

何も知らぬ観光客を装って
わー!祭だー!凄いね凄いね
お面すごいなー!わっ、巫女衣装綺麗!
おのぼりさんのように

ねー、何のお祭り?豊穣とか?
目をきらきらさせて村の人に尋ね

…?
(寿々彦くん、調子悪いような)

空いた場所を教えてもらえば
お手合わせしてよ寿々彦くん!
駆けていくと手招き
素手のみで
目立たないように気をつけて
地を蹴り、勢い良く飛び上がり回し蹴り
避けられれば拳を振りかぶり
素早くしゃがんで足払いを仕掛け
ふふ、楽しいね
弱いなんて言わないの!頼りにしてるんだから!
鋼糸持たせると強いしさ!
(調子戻ったかな?
気をつけて見てよう
心配。僕は味方だよ



 思わず、表情が歪む。そうさせたのは、この村の纏う空気のせいだろう。
 いや、纏っているというよりも――この村に淀み漂っているものと言った方が良いのかもしれない。
 そしてそれを、否応なく感じてしまう。
 気持ち悪い――それが、百舌鳥・寿々彦(lost・f29624)が村に入った瞬間の第一印象だ。
 子供も大人も取り憑かれたような異様な雰囲気――ひやり、としている。けれどじんわりと、背中に冷や汗かくのを寿々彦は感じていた。
 この雰囲気と似たものをみた覚えがある。
 それは寿々彦の両親や周りにいた大人達だ。
(「それが異常だと疑わず見えない何かに縋り付いて」)
 信心深い、と言えばそうなのかもしれない。でもそれよりも、もっとタチが悪いような。
 気持ち悪い――ただそれだけが冷えるように心に沈む。
 この村の者達は、ひとり贄を出すのだという。
 その在り様に片羽・サラ(星空蝶々・f29603)もまた思うところがあった。
(「贄になっていい人なんていないよ。幸せの形は人それぞれだけどさ」)
 此処には何も知らずにきた観光客を装ってサラははしゃいでみせる。
 この空気を払うように。
「わー! 祭だー! 凄いね凄いね」
 村の中、すれ違う人たちへもサラは視線向けつつ声上げた。
 その明るい声に、寿々彦も現実に引き戻される。
 今は――感情に浸ってる場合じゃなかったと。
「お面すごいなー! わっ、巫女衣装綺麗!」
 ちょっと見せてほしいな、というように興味示せば村人たちはどうぞと淡々と受けいれてくれる。
 おのぼりさんのようにすごい、すごいと零しながらサラは村人たちへと訊ねるのだ。
「ねー、何のお祭り? 豊穣とか?」
 尋ねると、しあわせになるための祭りなのだと村人は答える。
 それはふわりとした答えで、それ以上は何も言わずそうなんだーとサラは笑み返した。
 その中で寿々彦も胸の底に沸き上がる嫌悪感を隠しながら共に。
「……?」
 その寿々彦の様子を目にサラは小さく首傾げた。
(「寿々彦くん、調子悪いような」)
 そう思って、サラは空いた場所を教えてもらって、寿々彦くん! と名を呼ぶ。
「お手合わせしてよ寿々彦くん!」
 ここで! と駆けて手招くサラ。
「手合わせ?」
 素手のみで、とサラは言う。その周囲には、準備運動か本気か。
 祭の最中、戦う者達が刃を合わせたり組手をしたり。
 サラの申し出にきょとんとしたけれど、その様を見て寿々彦も頷く。
「うん、少し身体を動かした方が良さそう」
 目立たないように気を付けて――先に仕掛けたのはサラだ。
 地を蹴り、勢い良く飛び上がる。その体をその勢いのせてくるりと、回し蹴りを放つ。
 その軽やかな蹴りを寿々彦はいなすように受け止めた。
 勢い殺され、バランス崩してもそのまま倒れることはない。
 サラは拳握って、それを使う――けれど本命は別。素早くしゃがんで足払いを仕掛けた。
 拳を払ってみせた寿々彦。けれど足払いへの反応は遅れて体勢は崩れ、そのまま倒れこむ。
「ふふ、楽しいね」
「僕、弱いんだから手加減してよ」
「弱いなんて言わないの! 頼りにしてるんだから!」
 鋼糸持たせると強いしさ! とそれはちょっと小さな声で。
 寿々彦は、サラへと笑いかける。
(「……上手に笑えてるかな」)
 その笑みを、サラは見詰める。
(「調子戻ったかな?」)
 気をつけてみてよう、とサラは思う。寿々彦の事が心配だから。
 自分は味方だよ、と伝えたい。今それは、言葉ではなくて行動で。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月待・楪
氷月(f16824)と
アドリブ等歓迎

贄なァ…?
一族とか幸せの為の贄になれたらしあわせ?
ハッ…馬鹿馬鹿しいし、くだらねー
儀式も一族も丸ごとぶっ壊す

ひづと殺し合うのは問題ねェな
っつーことでその辺から適当に必要そうなモンをかっぱらって来るか
祭りは祭りだから楽しんでもいーだろ?

氷月の戦化粧は俺が
この赤いのを、アートっぽく塗ればいいんだろ?
なら、模様は決まってる
背中に翼を、首元には鳥の鉤爪
目元と頬に風みてーな模様を
笑うな、動くな、ズレる
つか、けっこー難しいなこれ

ひづの手を引いて円の中に
どうせ全部台無しにしてやるんだ、ちょっとくらいいいだろ?
一般人相手の前哨戦、本気になるにはまだ早えーし
てきとーに遊ぼーぜ


氷月・望
楪(f16731)と
アドリブ歓迎

贄になるコトが幸せ、か
思考停止した狂信者なんざ
救いようがねぇにも程があるってハナシ

オッケー、ゆーくん
とりあえず今は適当に過ごしておこっ……え?(きょとん
ゆーくん、割とノリノリデスネ?
んじゃ、ゆーくんの戦化粧は俺が担当するとして……
というかヤバイ、擽ったい……!ははっ……!

ゆーくんにはそうだね……
背中から、正面に繋がるトライバル模様的なものを
目から頬にかけて引くのは、一条の赤雷

火遊びの誘い?グッときちゃうね
ま、フツーの手合わせで我慢しておこっか
周りのヤツらに本気の姿とか見せたら、勿体無いし?



 はたから見れば――祭という雰囲気に浮かれた村なのかもしれない。
 けれどそうではないことを、知っている。
 この祭は、UDCが介在していることを。
「贄なァ……?」
 一族とか幸せの為の贄になれたらしあわせ? と月待・楪(Villan・Twilight・f16731)は首を傾げて、そして吐き捨てるように笑う。
 UDCを信仰し、そして年に一度贄をささげる村。それが普通で辺りまえの小さな世界だ。
「ハッ……馬鹿馬鹿しいし、くだらねー」
 儀式も一族も丸ごとぶっ壊す、と抱いて。
 そして、この件に対して氷月・望(Villain Carminus・f16824)も、この村の者達に同調するものはなにもない。
 かわいそうと思うことも、助けてあげたいとも別に思わないのだ。
「贄になるコトが幸せ、か」
 思考停止した狂信者なんざ救いようがねぇにも程があるってハナシ、とけらりと笑う望。
 何も、ここに感情を動かすものはなく、ただ二人はいつも通りだ。
 そう、いつも通り――一等心向けるのは傍らに居る者に。
「ひづと殺し合うのは問題ねェな」
「オッケー、ゆーくん」
 それは互いに、きっと楽しい事になるだろう。
 でもまだ、その時ではないし。きっとそれはこんな村でのことでは、ないはずだ。
 だから、今を楽しむのがすべきことなのかもしれない。
「っつーことでその辺から適当に必要そうなモンをかっぱらって来るか」
「とりあえず今は適当に過ごしておこっ……え?」
 笑って、祭りは祭りだから楽しんでもいーだろ? と楪は言う。そして早速、とその手に握られるものは戦化粧のための染料だ。
「ゆーくん、割とノリノリデスネ?」
「この赤いのを、アートっぽく塗ればいいんだろ?」
 楪は笑って早速染料を指先にのせて見せる。
「んじゃ、ゆーくんの戦化粧は俺が担当するとして……」
 そう、望が言っていると楪はほらと服脱がせ。
「というかヤバイ、擽ったい……! ははっ……!」
 暴れるな、と言いながら色をのせていく。
 模様は、決まっている。
 背中に翼を、首元には鳥の鉤爪を。
 擽ったいと笑ってそっぽ向く顔を自分の方に向かせて。
「笑うな、動くな、ズレる」
 目元と頬に風を思わせる模様を描いていく。
「つか、けっこー難しいなこれ」
 そう言いながら、できたという楪。
 次は、望が施す番だ。
「ゆーくんにはそうだね……」
 背中から、正面に繋がるトライバル模様を描いていく。
 望とちがって楪はじっとしていた。
 そして目から頬にかけて引くのは、一条の赤雷だ。
 すっと、きれいに引けたと望は満足の笑み。
 あとは白い着物を――けれど、描いたそれはみえるように一方だけ袖を抜いて纏う。
 望の手を引いて、楪は円へと向かう。
 いつもと同じ、けれどいつもと違う装いで。
 ふたりはじゃれるように、飛び込んでいく。
「どうせ全部台無しにしてやるんだ、ちょっとくらいいいだろ?」
「火遊びの誘い? グッときちゃうね」
 と、望は笑う。けれどいまはまだ、戯れるだけ。
 今はほら、向かってくる村人か、それとも何も知らずに来たものか。
 前哨戦と楪は笑う。
「ま、フツーの手合わせで我慢しておこっか」
 それに、と望は唇の前に指一本立てて悪戯するように笑む。
「周りのヤツらに本気の姿とか見せたら、勿体無いし?」
「本気になるにはまだ早えーし。てきとーに遊ぼーぜ」
 ふは、と楪も笑う吐息を吐いて、今はまだ背中合わせのままに息を合わせて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鉄・百
お祭りですもの
めかし込んで参りましょ
籠目模様の着物、猿の柄の帯に白犬の帯留めを
生贄を求める狒々は霊犬に討たれたといいますが
さて、此度の物語の行方はどちらか

遊んでいる子供達にお話を聞いてみましょう
『読心術』『コミュ力』『言いくるめ』
お姉ちゃんもお祭りに参加するんですよ
決まり事や気を付けないことがあったら教えて下さる?
お話してくれたらお礼に飴をあげましょう

祭りが始まったら参加します
逢魔が時を過ぎ…はてさて、ここに有る魔は如何なる姿か
『ジャンプ』『見切り』『スナイパー』『地形の利用』を活用
折角ですから行ける所まで行きましょう
誰かお相手して下さるかしら
勝っても負けても、この先の景色に興味がございます



 祭独特の雰囲気はどこにでもあるものだ。
 けれど、この村ではまたそれも異質なもの。
 しかし、祭は祭。
 鉄・百(もふもふもふもふ・f22759)はめかし込んで参りましょ、とその身の装いも頼みつつある。
 籠目模様の着物、猿の柄の帯に白犬の帯留めをあわせた百。
「生贄を求める狒々は霊犬に討たれたといいますが、さて」
 此度の物語の行方はどちらか――それはこれから決まること。
 百はふらり、村を歩む。
 ふと目に入ったのは白い着物をきてはしゃいでいる子供たちだ。
 彼らはまだ染まり切ってはいないのかもしれないがこの村だけが世界である子供達だ。
 百はこんにちは、と声かける。すると元気に挨拶を返してくれた。
「お姉ちゃんもお祭りに参加するんですよ。決まり事や気を付けないことがあったら教えて下さる?」
 お話してくれたらお礼に飴をあげましょう、と持っていた飴をその手に転がす。
 子供達はお祈りをするんだ! と明るく紡ぐ。
 しあわせに、みんなでしあわせに、と。
 この村のみんなでしあわせに――
「かみさまに一番つよいおにいちゃんがお仕えするんだ! それを決めるのは邪魔しちゃだめって」
 そんな話を子供たちは百にする。ありがとう、と百は伝えて――その時を待つのだ。
 祭は陽が落ちてからが本番。
「……はてさて、ここに有る魔は如何なる姿か」
 折角ここに居るのだから、行ける所まで行きましょう、と。
 誰かお相手して下さるかしら、と思っていると村のものだろうか。
 鍛えられた肉体の男が躍り出る。相手がどんなものであろうと、容赦はしないのだと。
 百は、よろしくお願いいたしますと礼儀正しく頭を下げた。
 勝っても負けても、この先の景色に興味がございます――ここで何が起こるのか。
 それを見るために。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK
WIZ

邪神が絡まなければ小さな村に伝わる信仰とか面白そう以外に思わないのだけれど。
個人的にそういった民間信仰を見て回ってるっていうていで訪れよう。
ゆっくりと散策というか見学というか。
この祭りの謂れとか歴史とかまぁあれだ、どこの祭りでも聞く聞かれることを訪ねてメモを取るようにして。
一介の学生のフィールドワーク風を装う。

何となく神降ろしみたいだよなぁ。
化粧は自分ではない別の存在になる行為だと聞いたから余計そう思うのかもしれん。
化粧を施し自我を失うまで舞い、その…えぇとトランス状態だっけ?そういう状況まで追い込んで未知なる精神性を呼び込む。
何となくそれに似てるなって思う。



 小さな村に伝わる信仰、と面白そう以外に思わないのだ。
 それは邪神が絡まなければなのだけれど、と黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は思う。
 村の雰囲気は、祭であるからというには異質なもの。
 個人的に、そういった民間信仰を見て回っている――そんな様子で瑞樹は村を巡る。
 歩調はゆっくりと。色々なものに興味があるように。
 一介の学生のフィールドワーク風を装って、村人たちへと声をかける。
 この祭りの謂れ、歴史――どこの祭りでも聞く、聞かれることを訪ねてメモを取る。
 話を聞けば、いつからという明確な時期はわからず。
 けれど口々にしあわせになるための祭なのだと言葉が返ってくる。
 そういう話を聞きながら、人々の装いを眺めて。
「何となく神降ろしみたいだよなぁ」
 瑞樹がそう思わせるのは、戦化粧の存在だ。
 化粧は自分ではない別の存在になる行為だと聞いたから余計そう思うのかもしれん、とそれが施される様を眺めて。
(「化粧を施し自我を失うまで舞い、その……えぇとトランス状態だっけ? そういう状況まで追い込んで未知なる精神性を呼び込む」)
 何となくそれに似てるな、と瑞樹は思う。
 まだ祭は始まったばかり。舞う人々も、戦う者達も少なく。
 けれどそれは時間がたつにつれて数を増して、増えていく。
 そうして完全な形となっていくのだろう。
 その時まで、まだ時間はある。瑞樹はもう少し巡ってみようと足を動かし始めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴久名・惟継
【幽蜻蛉】
祭りか!この寒さに構わず楽しんでいるようだなぁ、好い好い
力を競う祭りとならば、これくらい賑わってなくては

はっはっは、遵殿、白い服が目印になって良かったな
うん?足?あぁ……人型になっても、足に竜の名残りが出てしまうものでな
うむ、これならば問題なさそうだ
しかし遵殿、お前さんも義手は目立つのではないか?
化けるならば徹底的にしなければな

俺も遵殿の活躍を楽しみにしているのだが……もしや、やらぬのか?
互いに年齢は他よりも上だが確かに手を痛めてはならないな
ガジェットやらを弄れる手が使いものにならんのは俺も困る

おっ、そうか?こればかりは自分で出来ないものでな
他にも負けぬよう、かっこいい戦化粧で頼むぞ


霞末・遵
【幽蜻蛉】
お祭りだって! いいねいいねえ!
独特の雰囲気があるよね。こういうのやっぱ好きだなー
白いのが子供かあ。あれは近寄らないようにしよう

その前に惟継さんに化術をひとつ
脚がかっこよすぎて流石に怪しいよ
人間に化けさせるのはお手の物ってね
義手も隠す? うーん、仕方ないな……
やー、惟継さんの活躍楽しみだなあ

おじさんは戦わないよ?
痛いのやだもん。もう年だしねえ
若くてもやらないけど。職人は手を痛めるようなことしないのさ
あとほら、普通に弱いし。うん

ねえねえペイントする? おじさん描いてあげようか
絵付けも齧らせてもらったからね。そりゃあ得意なものさ
何描く? 適当でいい? くすぐったいと思うけど我慢してよねえ



 祭り独特の音色に霞末・遵(二分と半分・f28427)は鈴久名・惟継(天ノ雨竜・f27933)へと顔向けて。
「お祭りだって! いいねいいねえ!」
 はしゃいだ声色。それに惟継も笑って返す。
「この寒さに構わず楽しんでいるようだなぁ、好い好い」
 力を競う祭りとならば、これくらい賑わってなくては、と惟継は大きく頷いていた。
 遵もくるりと見回して。
「独特の雰囲気があるよね。こういうのやっぱ好きだなー」
 そう言いながら、あ、と零す。
 目に映ったのは白い服をまとった子供達。無邪気な子供達――彼らからはそうっと遵は視線を外す。
「あれは近寄らないようにしよう」
 その呟きに、惟継は笑って。
「はっはっは、遵殿、白い服が目印になって良かったな」
 本当にと苦笑交じりに返す。苦手な子供達には近づかないように。
 と――その前に惟継さんに化術をひとつと遵は紡ぐ。
「脚がかっこよすぎて流石に怪しいよ」
 惟継は、竜神だ。だから上半身は人のもの、下半身は竜のものであるのが常。
「うん? 足? あぁ……人型になっても、足に竜の名残りが出てしまうものでな」
 このままでいいのでは? とも思うのだけれどもその竜の名残を遵に隠してもらえば――人のよう。
「うむ、これならば問題なさそうだ」
「人間に化けさせるのはお手の物ってね」
 笑う遵。でもまた彼も、人ではないものがあるのだ。いや、人の形ではあるのだけれども。
「しかし遵殿、お前さんも義手は目立つのではないか?」
 その義手が、人ではないと思わせる。
「義手も隠す?」
「化けるならば徹底的にしなければな」
 こくりと大きく頷いた惟継。遵はこのままでも良いんじゃない? と思っていたのだが化けるなら徹底的にとのこと。
「うーん、仕方ないな……」
 己の義手も化け術をもって隠せば、ふたりともどうみても人だろう。
 これでばっちり、と二人で村の中心へと向かう。
 軽い足取り。子供たちを避けながら、祭の賑わいを感じて。
「やー、惟継さんの活躍楽しみだなあ」
「俺も遵殿の活躍を楽しみにしているのだが……もしや、やらぬのか?」
 その声に、きょとんとして。そしてふにゃりと遵は相好崩す。
「おじさんは戦わないよ? 痛いのやだもん。もう年だしねえ」
 若くてもやらないけど、と言葉続けて。だってねぇ、と遵はその手をひらりと躍らせる。
「職人は手を痛めるようなことしないのさ」
「互いに年齢は他よりも上だが確かに手を痛めてはならないな」
 その言葉に確かにと惟継は頷く。
「ガジェットやらを弄れる手が使いものにならんのは俺も困る」
 遵はふふと笑い零し。あとほら、と続ける。
「普通に弱いし。うん」
 そんなことはないのでは、と惟継は思うものの――あ、と遵は落して示す。
「ねえねえペイントする? おじさん描いてあげようか」
 それは戦化粧のことだ。いくつもの色が並んでいる。
 それらを手に取って、遵はどの色がいい? と訊ねて。
「おっ、そうか? こればかりは自分で出来ないものでな」
「絵付けも齧らせてもらったからね。そりゃあ得意なものさ」
 頼む、と惟継は遵の前に座る。
 目を閉じて、されるがままの態勢だ。
「何描く? 適当でいい? くすぐったいと思うけど我慢してよねえ」
「他にも負けぬよう、かっこいい戦化粧で頼むぞ」
 任せた、という声に任されたと笑って。
 その身に色を、のせていく。戦いに赴くものの装い。竜神たる彼のあるがままを現すように、その身に。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
祭り…神前奉公とでも考えれば間違いではないのだろうけど…UDC関係してるとなればねぇ
ま、なんか出てくるまでは適当に楽しむとしますか

さて…祭りに参加する方もあるでしょうが、流石にモデルガン使うわけにもいかんでしょうから…つーか使えても、基本戦法が逃げつつ優位に立ってだしな自分…祭りには向かんですなー

なんか噂で聞いて見に来た感じで見て回りましょうか
騒がしい所に首突っ込んでいくスタイルで行きますか

コミュ力、礼儀作法で祭りについて聞いて周りつつ、違和感とかないか第六感で探りつつ祭りを楽しみましょう
聞く事はどの人が今年勝ち上がりそうかとか、去年はどんな感じとかそう言う感じで

(アドリブ絡み歓迎)



 波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は村の雰囲気をくるりと見回す。
「祭り……神前奉公とでも考えれば間違いではないのだろうけど……」
 UDC関係してるとなればねぇ、と拓哉は小さく落とした。
 それに支配されて、信仰が根付きこうなったのか。それとも村人たちが願って、こうなったのか。
 一体どちらなのだろうか――それは、今はわからない。
 ただ村人たちの心には疑いなどなく、確かに崇め敬っているように見える。
 それがどんなものか、知っているのかどうかは別として。
「ま、なんか出てくるまでは適当に楽しむとしますか」
 ふらりと拓哉は村を歩む。
 子供たちは楽しそうだ。そして村の中心には人々が集っている。
「さて……祭りに参加する方もあるでしょうが、流石にモデルガン使うわけにもいかんでしょうから……」
 拓哉は自分の戦い方を思い浮かべる。いつもとっている戦術で、さて村の祭に参加できるかといえば。
(「つーか使えても、基本戦法が逃げつつ優位に立ってだしな自分……」)
 祭りには向かんですなー、と誰にも聞こえぬ小ささの声を、拓哉は落した。
 村を歩いて、きょろきょろと。噂で聞いて見に来た――そんな感じを装って。
(「あそこ賑やかそう」)
 と、視線が向いたのは――一軒の大きな家。
 見れば、装い整えた若者を皆で送り出している。その雰囲気はなんだか――変な高揚を持っていて。
 あそこに首突っ込むのは難しいかなと見ているだけにとどめる。
 と、きゃっきゃと走っていく子供達がいて。横を通り抜けていく、その時拓哉は声をかけていた。
「この祭について教えてくれないかな」
 相手は子供だ。けれど、物を訪ねるのだから礼儀正しく。
 すると子供は、もうすぐかみさまが来るんだよ、と笑う。
 そして一番強いひとをお供として連れて行くんだ、と。
「一番つよい人? 今年はどの人だと思う?」
「それはあそこのおにーちゃん!」
 子供が示したのは、先ほどの家だ。
 その家から出てくる青年は、狼の頭を被り、その身に戦化粧を施して。ゆるりと歩いてくる。
 子供たちが彼のために道をあける。拓哉もそれにならって道を開けて、家族みんなが向かうのを目でおった。
 なるほど、確かに強そうではある――が。
(「猟兵よりは弱いか」)
 まぁ、それはそうかと思いつつ。子供達に話を聞きながら拓哉も村の中心へと向かう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
旅行者を装って祭りに参加
旅行者となれば、その地の祭りに興味があるのは当然です
倫太郎ならば学生と名乗っても違和感はないかもしれませんね
そうなれば私は先生でしょうか

見物するのも良いですが祭りは参加して楽しんでこそ
折角ですので参加してみようと思います
倫太郎、戦化粧をお願いしても良いですか?
その間に真似られるように彼等の動きを見ていようと思います

倫太郎、戦化粧の仕上がりは如何でしょうか?
荒々しくない、と?
ふふ、相手を威圧するのは難しいかもしれませんね
そして胸と背のは……あぁ、羅刹紋ですね
倫太郎とお揃いになれて嬉しいです

えぇ、貴方が化粧をしてくださったのです
それに参加するからには、手は抜きません


篝・倫太郎
【華禱】
旅行者を装う
最近、民俗学に興味あってって顔しとこ
俺達はどんな関係に見えるんだろな?

夜彦、参加する?
じゃ、戦化粧は俺がしてやる
絵画は壊滅的に下手だけど
絵画的なものじゃなきゃ大丈夫!

村の人に戦化粧の為の紅を借りて
紅筆も借りる

筆で瞼から眦に掛けて紅を乗せれば
……戦化粧っていう荒々しさは微塵もなくて
物凄くかけ離れた気がする……

ん-?具体的には雅やか?
ま、ここからは指で置いてくからちゃんと戦化粧に見える、はず?
まずは胸元に、羅刹紋を模した文様を描く
真似るのは霞瑞刀を所有した一族の三日月
続けて背に篝の羅刹紋
それから、真言を模した化粧を施して
夜彦を彩る

戦うなら勝って欲しい
けど、怪我しなきゃそれでいい



 祭。
 それは賑やかではあるのだけれども、どこか静けさも抱いているようだった。
 出店が並んでいることもなく、ただ村の中心で粛々と儀式を行うような、そんな祭だ。
 はしゃいでいるのはきっとまだよくわかっていない子供達だけだろうか。
 笑いながらかけて、通りすがっていく子供たちの姿を見送りながら、旅行者を装って――篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)と月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は村を歩む。
 最近、民俗学に興味あってって顔しとこ、と倫太郎は笑う。
 旅行者となれば、その地の祭りに興味があるのは当然ですと夜彦もそんなそぶり。
「俺達はどんな関係に見えるんだろな?」
 その言葉に夜彦は、小さく笑い零して。
「倫太郎ならば学生と名乗っても違和感はないかもしれませんね」
 そうなれば私は先生でしょうか、と穏やかに言葉続ける。
 学生と先生と。フィールドワークといったところか。
 そんな風に見えるように他愛ない話をしながら村の中を巡る。
 中心へ近づくと賑わいが増して、戦化粧を施した者達の姿も増えていく。
 見物するのも良いけれど――祭りは参加して、楽しんでこそだろう。
 そんな、夜彦の心中を察して。
「夜彦、参加する?」
「折角ですので」
 倫太郎の言葉に夜彦は頷いて返す。
 それなら、準備をしないとなと紡ぐ倫太郎。
「倫太郎、戦化粧をお願いしても良いですか?」
「じゃ、戦化粧は俺がしてやる」
 二人の声が重なって、どちらともなく笑いあう。
 が、倫太郎は絵画が壊滅的に下手だった。だけれども、これは絵画ではない。
「絵画的なものじゃなきゃ大丈夫!」
 任せてほしいと胸張って倫太郎は戦化粧の為の紅と、紅筆を借りた。
 倫太郎に描いてもらう。その間――夜彦の視線は祭りの中心へ。
 彼らの動きを真似られるように、その動きを見ていようと。
 そんな夜彦の視線を遮らぬようにしながら、筆で瞼から眦に駆けて紅を乗せる。
 よし、と思ったのもつかの間。
(「物凄くかけ離れた気がする……」)
 戦化粧という荒々しさが微塵もない。
 ううん、と思っていると。
「倫太郎、戦化粧の仕上がりは如何でしょうか?」
「ん-? 具体的には雅やか?」
「荒々しくない、と?」
 夜彦は首を傾げる。
 けれど、ふふと笑い零して。
「相手を威圧するのは難しいかもしれませんね」
「ま、ここからは指で置いてくからちゃんと戦化粧に見える、はず?」
 指に色を乗せて、胸元に羅刹紋を模した文様を描く。
 そして真似るのは霞瑞刀を所有した一族の三日月と――続けて背に篝の羅刹紋。
 真言を模した化粧を施して、夜彦を彩っていく。
 胸と背のは――と夜彦は。
「あぁ、羅刹紋ですね」
 倫太郎とお揃いになれて嬉しいですと夜彦は紡ぐ。
 できた、と告げれば夜彦は礼を告げる。
 戦うなら勝って欲しい。それを言う事は簡単だ。
 けど、怪我しなきゃそれでいいと告げれば夜彦は笑み浮かべ。
「えぇ、貴方が化粧をしてくださったのです」
 それに参加するからには、手は抜きませんと。その言葉に倫太郎は笑って夜彦を送り出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

火狸・さつま
皆、忙しそ…
雰囲気様子伺い
ひと段落したであろう村人さんに声掛ける
競い、強き者を決める、と、聞いて来たんだ…
俺も、参加させて貰っても?

朱の戦化粧は
左肩と右脇腹の羅刹紋に合わせた紋様を描き
服装は動きやすいように、袴
落ち着いた色合いのを、きちっと着こなして
頭に乗せるは…しゃれこうべ
立派なツノを見るに羊か山羊のもの
得物は<彩霞>
構えず腰に帯びる

動き見切り
オーラ防御で防ぎはじくか
ふらりゆらり踊るよに躱して
トンっと軽く押したり
ふんわり投げて
あまり怪我はさせぬよに

ちゃんと研鑽重ねてきたのだと分かる相手なら
その努力には敬意を払い真摯にお相手を

人には当てぬが少々地形でも崩せば戦意喪失するだろうか
と、拳に力込める



 賑わう村の中で、ゆっくり過ごしている者の姿は見えない。
「皆、忙しそ……」
 火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)は村を歩みながらその姿に視線を向ける。
 皆何かしらしていて。その纏う雰囲気は祭りを楽しんでいる、というのとは違うように見えた。
 が、全ての者が忙しいということもない。
 色々と準備を終えたのか、一息――そんな村人を見つけてさつまは声をかけた。
「競い、強き者を決める、と、聞いて来たんだ……俺も、参加させて貰っても?」
 問えば、ええどうぞ、もちろんと明るい返事。
 どうぞ、必要なら着替えもなにもかもありますからご自由にと一軒の家へと案内してくれた。
 そこで着物や、戦化粧のために必要なものもそろっているからと。
 さつまは、ここまで連れてきてくれたものにありがとうと言って、そして準備を始める。
 朱の戦化粧は――左肩と、右わき腹の羅刹紋に合わせた文様を描く。
 服装は、と視線を巡らせて手にしたのは袴だ。
 落ち着いた色合いのものを、きちっと着こなして。
 そして最後に。
「……しゃれこうべ」
 自分たちで狩ったのか、作り物か。いずれにしても様々な動物のそれが並んでいるのは異様でもある。
 さつまの目を引いたのは――上へと立派に伸びた角を持つ山羊のもの。
 これにしようと被って、彩霞を腰に帯びる。
 これで準備はと鏡の中の己を見る。村の中心に向かっていたもの達も似た姿をしていた。
 きっとだいじょうぶ、と頷いてさつまも村の中心へ。
 前のものの動きを真似て円を描いて踊るものたち。
 その中ではすでに、誰が一番強いのか――それを決める戦いが始まっていた。
 さつまもその中に飛び込む。すると、すぐにとびかかってくるものがいた。それは村のものだろう。
 とびかかってくる、その動きを見切って――ふらり、ゆらり。
 踊る様に躱して、トンっとその背中を軽く押してバランスを崩す。
 相手は転がって、けれど受け身を取ってすぐさま身を翻してまた向かってくる。
 伸ばされた手をふんわりとした動きで捕まえて――怪我させないようにしとこ、と投げ飛ばした。
 さっきも綺麗に受け身をとっていたから、きっと大丈夫とは思いつつも手加減して。
 投げ飛ばされた相手は、そのまま負けを認めたか。礼を一つして円の外へと出ていく。
 その姿を見送って――ちりり、と首筋を撫でるものを感じさつまは視線向ける。
「お相手を」
 ひとこと、その言葉だけで感じるもの、わかるものがあった。
 さつまは頷いてちゃんと構える。
 ちゃんと研鑽重ねてきたのだろう。肉体は鍛えられ、纏う雰囲気も常人より鋭く。
 努力してきたのだとわかる。なら、敬意を払い真摯に相手をするのが道理。
 だが猟兵の拳は、人のそれを簡単に凌駕するものだ。
(「体には、あてない」)
 地形でも崩せば戦意喪失するかな、と思いながらさつまはぎゅっと、拳に力込めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
❄花狼

ヴォルフと二人、旅の夫婦を装って村へ

舞台を囲む村人と共に舞を捧げ
戦うヴォルフの無事を祈る

甦る昔の記憶
この村の在り方は、かつての故郷とよく似ていた

わたくしが生まれるより前
年に数度、若い娘を差し出せと現れた吸血鬼『卑劣侯』
元より女衒上がりと噂される如何わしい男
「花嫁」となった娘の末路は…

逆らえば民草全て根絶やしにすると脅されれば
力無きひとはそれに従う他なかった

わたくしの番が来て
「民の幸せ」を願う言葉が妬み深く欲深き彼の逆鱗に触れ
偽りの平和は終わりを告げた
ヴォルフに救われ命と純潔を守れたことが
あの地獄の中での奇跡だった…

今ならまだ『本当の悲劇』は止められる
この村を、あのようにしてはいけないわ


ヴォルフガング・エアレーザー
❄花狼

ヘルガと共に、旅の夫婦という体で村へ

ほう、神に奉納する演武か
俺も腕に自信はあるんだ
ひとつ腕試しといこうじゃないか

身体に施した戦化粧と共に
刻み込んだルーンに力を籠める
守護の力を
滾る闘志を
そして勇気と愛を胸に
【疾風の青狼】として野生の勘を研ぎ澄ます

恐らく贄にされるのは、この戦いの勝者だろう
無辜の人々を殺した邪神の信徒とはいえ
そのまま邪神の糧になられても寝覚めが悪い
事後を組織に任せるためにも、村人には早々にご退場願おう

猟兵同士の戦いは、互いの実力勝負となるだろう
妻に恥じるような無様な真似はするまい
全力でぶつからせてもらう(勝敗結果お任せ)

ヘルガ、心配するな
今の俺たちなら、必ず悲劇は止められる



 ヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)とヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)は、旅の夫婦を装って村へ足を運んだ。
 歓迎といった雰囲気はなく。しかし訪れるものを排除するようなこともない。
 行われる祭りに混ざるも、ただ見ているのも自由なのだろう。
「ほう、神に奉納する演武か。俺も腕に自信はあるんだ」
 ひとつ腕試しといこうじゃないか、とヴォルフガングは戦いへ向かう。その背をヘルガはただ見詰めて、そして己のできる事をする。
 ヘルガは戦いの、その場を囲む村人たちの中に混ざった。
 舞を捧げ、そして戦うヴォルフガングの無事を祈るのだ。
 そうしながら、ヘルガの脳裏には蘇る昔の記憶があった。
(「この村の在り方は、かつての故郷とよく似ていて……」)
 ヘルガが生まれるよりも、前の話だ。
 年に数度、若い娘を差し出せと現れた吸血鬼『卑劣侯』がいた。
 元より女衒上がりと噂される如何わしい男――
(「『花嫁』となった娘の末路は……」)
 それは、想像に易い事だ。
 逆らえば民草全て根絶やしにすると脅されれば、力無きひとはそれに従う他なかった。
 そして――ヘルガは自分の番が来たことを思い出す。
 ヘルガは『民の幸せ』を願ったのだ。その言葉が妬み深く欲深き彼の逆鱗に触れ、偽りの平和は終わりを告げた。
 ヘルガの視線はヴォルフガングの姿を追いかける。
(「ヴォルフに救われ命と純潔を守れたことが、あの地獄の中での奇跡だった……」)
 今ならまだ、とヘルガは思う。
(「『本当の悲劇』は止められる」)
 この村を、あのようにしてはいけないわと思いを込めて、ヘルガは舞う。
 ヴォルフガングは、身体に施した戦化粧と共に刻み込んだルーンに力を籠めていた。
 守護の力を、滾る闘志を。
 そして勇気と愛を胸に――【疾風の青狼】として野生の勘を研ぎ澄ますのだ。
 何人か、腕の立つものも村人にはいるようだ。
(「恐らく贄にされるのは、」)
 この戦いの勝者だろう――それが悪い事だとは思っていない様子。
(「無辜の人々を殺した邪神の信徒とはいえ、そのまま邪神の糧になられても寝覚めが悪い」)
 事後を組織に任せるためにも、村人には早々にご退場願おうとヴォルフガングは思うのだ。
 幾人か猟兵の姿が見える。彼らもまた、村人から挑まれそれに応えているようだ。
 猟兵とあたれば、互いの実力勝負となるだろうことは必至。
(「妻に恥じるような無様な真似はするまい」)
 全力でぶつからせてもらおうと、ヴォルフガングはまずは己に向かってきた相手を叩き伏せる。
 ふと、背中に感じた視線があった。その視線の主は、振り向かずともわかる。
(「ヘルガ、心配するな」)
 今の俺たちなら、必ず悲劇は止められる――そう、想いを返して。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千桜・エリシャ
【甘くない】

長閑なところですこと
少しだけ故郷のお祭りを思い出しますわ
折角ですから私たちも参加しましょう
ジンさんを引っ張ってお座敷へ

まずは身支度ですわね
ではジンさんは派手なお着物を
…こっそりと桜の柄を忍ばせ
傾奇者のような出で立ちに着付けて
次はお化粧ね
目を閉じてくださる?
もう!少しは大人しくできませんの?
瞼と唇に紅を引いて
ふふ、男前が上がったのではなくて?

私は巫女服を
故郷では代表で神楽舞を踊ったこともありますのよ
…ちょっと後ろを向いていてくださる?…いいから!
慣れた手付きで手早く纏ったなら
ね、ジンさん
私にも化粧してくださる?
ん、と目を閉じて
変にしたら怒りますからね
あら、よくわかっていらっしゃること


ジン・エラー
【甘くない】

ハァ~~~クソつまンねェド田舎だなァ~~~~
へェ~~……お前を神輿にでも乗せてか?ウッヒャハハ!!
ア?オイオイ、オレァ一言も参加するだなンて────

ま、やるからにゃァ~~~派手にいこうぜ
クヒャラハハ!オレが化粧だなンてなァ~~~!
いやァ~~~~悪ィ悪ィ、くすぐったくって仕方ねェ~~~ンだ!ヒヒャハ!
ンン~~悪くはねェな 上出来だぜエリシャ

ほォ~~~、そりゃ見ものだなァ~~~~
アァ?ンでだよ、今更気にすンなって
いィ~~~のかァ~~~~?オレなンぞに任せちまって
どォ~~なっても知らねェ~~~ぞ?ウヒヒャ!
クッカカ、バァ~~カ!ンなことしねェよ

お前には、一等綺麗でいてもらわねェとな



「長閑なところですこと」
 ころりと笑み零し、千桜・エリシャ(春宵・f02565)は瞳細める。
「少しだけ故郷のお祭りを思い出しますわ」
 なんて、僅かの郷愁を匂わせるけれどそれは戯れか、それとも本心か。
 けれどそんなことはジン・エラー(我済和泥・f08098)にとってはきっとどうでも良くて。
「ハァ~~~クソつまンねェド田舎だなァ~~~~」
 何も面白そうなものはないと興味なさそうな様子がジンらしく、エリシャは笑みを深くした。
「折角ですから私たちも参加しましょう」
「へェ~~……お前を神輿にでも乗せてか? ウッヒャハハ!!」
 ジンの手を捕まえて、引っ張って。神輿はねェのかと探すジンに神輿は残念ながらとエリシャは返す。
 そして到着したのは立派な屋敷。
 そこには祭りに参加するため、身を整えるための様々なものがあった。
「まずは身支度ですわね」
「ア? オイオイ、オレァ一言も参加するだなンて────」
 と、言っていたものの、連れてこられたなら。
「ま、やるからにゃァ~~~派手にいこうぜ」
「ではジンさんは派手なお着物を」
 これにしましょう、とエリシャが選んだのは百花繚乱、様々な花の踊る色鮮やかなもの。
 その一端に踊るのは、桜の柄。それをそうっとエリシャは指先で撫でていく。こっそり忍ばせて、その柄はジンの目に簡単に入らぬ場所にあてられた。
 傾奇者のような出で立ちに着付けて、でもそれではまだ足りない感じがする。
「次はお化粧ね」
 目を閉じてくださる? とエリシャは手に紅を。
「クヒャラハハ! オレが化粧だなンてなァ~~~!」
 ジンは言われるままに瞳閉じて、好きにしてくれと云わんばかり。
 けれどじぃとしているとは一言も言っていない。エリシャが筆を走らせると身じろいで動くのだ。
「もう! 少しは大人しくできませんの?」
「いやァ~~~~悪ィ悪ィ、くすぐったくって仕方ねェ~~~ンだ! ヒヒャハ!」
 瞼と唇に紅を引く。そのジンの姿にエリシャはふふと笑い零した。
「男前が上がったのではなくて?」
「ンン~~悪くはねェな 上出来だぜエリシャ」
 ほら、と鏡渡せばジンはその中の自分へと口端上げて笑って見せる。
 そして次はエリシャの番。
 エリシャはこれに、と巫女服を手にした。それは真っ白で、派手に装ったジンの隣に立てばどんなふうに見えるのだろうか。
「故郷では代表で神楽舞を踊ったこともありますのよ」
「ほォ~~~、そりゃ見ものだなァ~~~~」
 そう言ってジンはにぃと笑ってエリシャを視界に収める。
 エリシャとジン、二人の間には僅かにそのまま、時間が流れていた。
「……ちょっと後ろを向いていてくださる? ……いいから!」
「アァ? ンでだよ、今更気にすンなって」
 背中を押してぐるっと方向変えて、慣れた手つきで手早く纏う。
 もういいか、とまだなのを分かってすぐ聞いてくるのもからかい交じりだ。
「ね、ジンさん」
 私にも化粧してくださる? とその手に紅を置いて。
「いィ~~~のかァ~~~~? オレなンぞに任せちまって」
 ん、と瞳閉じてエリシャは顔向ける。今、目の前の男はどんな顔をしているのかはみえないけれど、なぁんとなく紡ぐ言葉は予想できた。
「どォ~~なっても知らねェ~~~ぞ? ウヒヒャ!」
「変にしたら怒りますからね」
「クッカカ、バァ~~カ! ンなことしねェよ」
 あら、よくわかっていらっしゃることと澄ました声で。
 そしてわかっているなら、どうぞさくっとやってくださいとエリシャは紡ぐ。
 じゃあいくぜ、とジンはゆっくり、色を乗せていく。
 お前には、一等綺麗でいてもらわねェとなと――それは言葉にせず、心の内で紡いで。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

祈りと共に捧げられた贄は
神にとっても特別な供物となるのだろう
贄と神はずっと縁深きもの

サヨが贄…しっている
痛ましい
己の守護する一族の「過ち」を止められなかったこ
私自身の事ではなくても悔しい

だからこそ
サヨ
其の大蛇の呪詛がうまれた
いたましくて眉根を潜める
頬に触れる巫女の手が愛おしい

嫌に決まってるよ
サヨは私の巫女
祭とは祀り―他の神の為になんて嘘でも嫌だ
他のものと紛れるための化粧されながら呟く
本当は、サヨの障りになるから近寄らせたくないくらいなのに

この勝者が贄になるのではないか
円から出たサヨを辿りよせる
私の可愛い巫女を
得体も知れぬ神などにくれてやるものか

そのシアワセは
きっと…死合わせと書く気がして


誘名・櫻宵
🌸神櫻

私は元々誘七の一族の繁栄司る御神桜に捧げられる筈の神贄だった
代々ね木龍と生まれた子を桜の贄としていた
懐かしいわ

何人喰ったかは知らぬけど
さぞ肥えていそうだわ

私のかぁいい神様
そんな顔をしないで
優しく頬撫で手を握る
私の為に哀しい顔をしてくれるなんて
美味(いと)しい

私が他の神の為に舞うのは嫌?
かぁいらし
神に化粧を施しながら笑む
「呪華」の蝶飛ばして密事を集め
祭の準備を手伝いながら尋ねるの

この戦いの勝者は何か栄誉が与えられるのかしら?
素敵な栄誉なら私も欲しいわと
人々の様子を観察しながら真ん中目指して挑み
適度な所で外へ出る
カムイがあまりに不安そうだったから

あなたのなら兎も角
他の神の贄になどならないわ



 これは祭りなのだという。
 祈りと共に捧げられた贄は――神にとっても特別な供物となるのだろう、と僅かに朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)は僅かに瞳眇めた。
 贄と神はずっと縁深きものであることを、知っているから。
 そして誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)は、元々誘七の一族の繁栄司る御神桜に捧げられる筈の神贄だった。
 代々ね、木龍と生まれた子を桜の贄としていたと櫻宵が紡いで、続く言葉は。
 懐かしいわ、とひとつ。零れ落ちるように懐かしむように。
 けれど、ここは同じなようでいてそうではない村なのだろう。
 祭りで崇められているのはUDCなのだから。
「何人喰ったかは知らぬけど、さぞ肥えていそうだわ」
 そう言って、小さく。転がすように笑い零した櫻宵をカムイは見詰めていた。
(「サヨが贄……しっている」)
 痛ましいとカムイの心を苛むものがある。心があるならここだろうかと、心臓のあたりをカムイは自然と掴んでいた。
 己の守護する一族の『過ち』を止められなかったこと――それができなかったのは、自分自身の事ではなくても、悔しいことだった。
 そして、だからこそ。
「サヨ」
 小さく名を紡いで呼んだ、目の前にいる櫻宵。
 だからこそ、其の大蛇の呪詛がうまれたのだと。
 いたましくて、眉をひそめてカムイは表情歪める。
 けれどそうっと、その頬に触れて撫でていく手があった。
 その手が――巫女の手が愛おしい。
「私のかぁいい神様」
 そんな顔をしないで、と撫でる手は優しい。
 私の為に哀しい顔をしてくれるなんて――それはなんて、美味(いと)しいことか。
 そして悪戯するように問うのだ。
「私が他の神の為に舞うのは嫌?」
「嫌に決まってるよ」
 サヨは私の巫女、とカムイは紡ぐ。
 祭とは祀り――他の神の為になんて嘘でも嫌だと紡ぐのはわがままを言う幼子のようだ。
「かぁいらし」
 櫻宵はカムイに化粧を施しながら笑む。そして『呪華』の蝶を飛ばし密事を集めていく。
 その化粧は他のものと紛れるためのもの。カムイはため息交じりにぽつりと零す。
「本当は、サヨの障りになるから近寄らせたくないくらいなのに」 そしてその身の準備ができたなら祭りの中へ混ざるのだ。
 準備を手伝いながら、櫻宵は村人へと訊ねる。
 この戦いの勝者は何か栄誉が与えられるのかしら?
 素敵な栄誉なら私も欲しいわと――その心に侵食するように問いかけながら。
 問いかけても、しあわせになるのだとかかみさまがだとかふんわりとした言葉しか返ってこない。
 それは逆に――何か言い知れぬものがある。
 そんな人々の様子を観察しながら櫻宵も祭に参加して数人を薙ぎ払う。
 けれどほどほどの所へ外へ。
 そうしたのは――カムイがあまりに不安そうだったからだ。
 円からでた櫻宵を辿りよせるカムイ。
 この勝者が贄になるのではないか――そうなることは嫌なのだ。
(「私の可愛い巫女を、得体も知れぬ神などにくれてやるものか」)
 その心中を櫻宵は察して大丈夫と笑う。
「あなたのなら兎も角、他の神の贄になどならないわ」
 その言葉はカムイの心を擽っていく。
 そのシアワセは――きっと……死合わせと書く気がして。
 それは望むところなのか、望んでいいのか。望んではいけないのか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『強欲の傀儡『烏人形』』

POW   :    欲しがることの、何が悪いの?
対象への質問と共に、【自身の黒い翼】から【強欲なカラス】を召喚する。満足な答えを得るまで、強欲なカラスは対象を【貪欲な嘴】で攻撃する。
SPD   :    足りないわ。
戦闘中に食べた【自分が奪ったもの】の量と質に応じて【足りない、もっと欲しいという狂気が増し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    あなたも我慢しなくていいのに。
【欲望を肯定し、暴走させる呪詛】を籠めた【鋭い鉤爪】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【欲望を抑え込む理性】のみを攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 人々が連なる円の中――ひとり、またひとりと負けた者から円の外に出て人数が減っていく。
 もう残っているのは猟兵と、何人かの村人だ。
 今まで、祭りの中でこんなによそ者が残っていることはなかった――そう、思うのはこの村に長く住まうものだろうか。
 しかし戦っている者達も、連なり円をつくり舞うものもそんなことはわからない。
 だが日が暮れて篝火が灯され様相が変わる。
 その篝火の陰からか、それとも夜の淵からか――ゆっくりと起き上がる形があった。
 それは黒い翼を広げる異形の姿。しかし完全な人の形ではなく、球体人形のような関節の、人と鳥の合わさった姿のもの。
 戦う者達の間に、そして祭の中に浮かび上がるそれはUDC――強欲の傀儡『烏人形』だ。
 次々と合われてくる烏人形たちの姿に村の者達は慌てることなどなく、それを受け入れている。まるでいることが、当たり前だというように。

 愛し愛し――愛を示して。
 皆の為に己の身を差し出す愛を見せて。
 わたしたちは愛がほしい、ほしい。
 それをくれるなら――みせてくれるなら――

 それは歌うように、紡いでいる。
 その歌声に浸されるように村人たちは恍惚として何かに捕らわれているようでもある。
 常ならば、これから訪れる神に捧げられるものがもうすぐ決まるところなのだろう。
 だがここには猟兵がいる。猟兵達は烏人形へと向かう。
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

いったい何が目的なんだろう。
愛を示して、欲しいって、それで何を満たすつもりなんだろう?もしかして腹か?
まぁどちらにしろ本星が出てくればわかる事だが。

存在感を消し目立たない様に立ち回る。折角篝火の影もあるんだ、存分に闇に紛れさせてもらおう。
そしてマヒ攻撃を乗せたUC炎陽で攻撃。うまく自分を照らさないようにすれば姿を隠し続けるのも容易だろう。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らうものは激痛・呪詛耐性で耐える。

俺の欲ってなんだろうな。
たとえあったとしても意味もない。



 黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は何時もの如く変わらない。
 右手に胡、左手に己たる黒鵺の二刀流でこの場に現れた烏人形へと向かう。
 向けられるその鉤爪が瑞樹にもたらすものは、あるのかないのか。
 しかし――それを受けるわけにも、と。
 瑞樹はとびかかるように向けられるそれを躱す。
 ひとびとはまだ円を描いて、この状況を受け入れている様子。
「いったい何が目的なんだろう」
 瑞樹は言葉を落とす。
 烏人形はそれにこたえることはなく、変わらず問い掛け囁くように囀っていた。

 愛し愛し――愛を示して。
 皆の為に己の身を差し出す愛を見せて。
 わたしたちは愛がほしい、ほしい。
 それをくれるなら――みせてくれるなら――

 そうしたら、どうするのか。
「愛を示して、欲しいって、それで何を満たすつもりなんだろう? もしかして腹か?」
 なにでどうするのか。瑞樹にはわからない。
「まぁどちらにしろ本星が出てくればわかる事だが」
 呟いて、瑞樹はひとびとの間に紛れる。
 存在感を消し、目立たないように立ち回って。
 こうこうと輝く篝火の影にも隠れ、存分に闇に紛れる。
 烏人形は、手の届くところを羽ばたいていた。
「緋き炎よ!」
 金谷子神の錬鉄の炎を、己を照らさぬようにしつつ瑞樹は放つ。
 そうすれば自身の姿を隠し続けるのも容易だろうから。
 その炎に塗れて烏人形は燃え落ちながら、瑞樹の姿を探している。
 どこにいるのかと――攻撃の先を定めぬままに振るわれる鉤爪。
 それを瑞樹は躱すけれど、その際に篝火に照らされる。
 瑞樹を見つけた別の一体が鉤爪を振り下ろすのを、黒鵺を持って受け流す。
 そのまま振るわれた刃はその足を切り落していた。
 だが――その鉤爪はその身を削るものではなく、欲望を肯定し、暴走させる呪詛だ。
 己に何かが注がれたのを感じるが、瑞樹はそれが何かはわからないまま。
「俺の欲ってなんだろうな」
 何かを感じながらもそれを、言葉として。形としては理解できないままに。
 それはたとえあったとしても、意味もないと瑞樹が思っているから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴久名・惟継
【幽蜻蛉】
俺も酒を楽しみたい所なのだが、そういう訳にもいかないようだ
そら、奴等のお出ましだ
……遵殿、戦いが終わったら分けてくれるんだろうな?

残念ながら幽世ではない
村人達が逃げないのには困ったものだが考えるより動けだ
では寛いでいるフリをして貰いながら援護は頼んだぞ

槍の貫通攻撃と鎧無視攻撃
敵からの攻撃にはオーラ防御にて防ぐ
戦いの合間に天候操作より敵の真下に雷雲を作り出す
敵がカラスを召喚したのを確認、視力にて位置を把握して捕捉
鳴神にて召喚したカラスごと敵に雷を落としてしまおう

おっと、今日の天気は変わり易いようだなぁ?
邪悪なものが出て来たのだから天罰が下ったのかもしれんなぁ!
俺は逃れた奴を倒すか


霞末・遵
【幽蜻蛉】
やっぱ祭りといったらお酒でしょー
ないの? あるよね? なくても持ってるけどねー
賑わいを眺めながら飲むお酒は格別だねえ
もちろん終わったら惟継さんも飲もうね。残ってたら

うん? 状況が変わった?
でもおじさん場外だからなあ。反則はよくないよね
人間は誰も騒いでないしこれでいいんじゃない?
妖怪っぽいのいるけど。ここ幽世だったっけ?

んー……じゃあこれだけ飲み終わったら参加しようかな
それまではちょうちょと蜘蛛に頑張ってもらおう
鳥みたいなのだけ攻撃してもらえばいいよね
ちょうちょは惟継さんを手伝うんだよ
こっちからの攻撃ってばれないように知らない顔しとこ

おや、雲行きが怪しいね
雨宿りの準備もしておこうかな



「やっぱ祭りといったらお酒でしょー」
 ないの? あるよね? なくても持ってるけどねー、と笑っている霞末・遵(二分と半分・f28427)は、状況が変わったとしても、変わらない。
 その様に鈴久名・惟継(天ノ雨竜・f27933)は小さく肩をすくませて。
「俺も酒を楽しみたい所なのだが、そういう訳にもいかないようだ」
 そら、奴等のお出ましだ、と視線で示す。
 現れた烏人形たち。その様を遵は眺めて、また笑て酒をぐびりと一口分、喉に落とした。
「賑わいを眺めながら飲むお酒は格別だねえ」
 美味しそうに、幸せそうに飲む姿。
 ここはこれから戦いの場となることはわかっているのだけれど、惟継は尋ねずにはいられなかった。
「……遵殿、戦いが終わったら分けてくれるんだろうな?」
「もちろん終わったら惟継さんも飲もうね。残ってたら」
 遵は残ってるかなぁとからりと紡いで――あれ、と気付く。
「うん? 状況が変わった?」
 ひとでないものがいる。それはわかる。けれど、人々は騒いで戸惑っているわけでもない。
「でもおじさん場外だからなあ。反則はよくないよね」
 人間は誰も騒いでないしこれでいいんじゃない? と首を傾げ、遵は惟継へと首傾げる。
 いちにぃ、たくさんいる烏人形を指さして。
「妖怪っぽいのいるけど。ここ幽世だったっけ?」
「残念ながら幽世ではない」
 惟継はゆるりと首を横に振る。
 村人達が逃げないのには困ったものだが考えるより動けだ、と惟継はその手に槍を。
 そしてふ、と口端に笑みを乗せて。
「では寛いでいるフリをして貰いながら援護は頼んだぞ」
「んー……じゃあこれだけ飲み終わったら参加しようかな」
 それまではちょうちょと蜘蛛に頑張ってもらおうと遵は、まだ気分ではないのだと惟継の手伝いを放つ。
 国には、烏みたいなのだけ攻撃して、と言って。
「ちょうちょは惟継さんを手伝うんだよ」
 こっちからの攻撃ってばれないように知らない顔しとこ、と遵は紡ぐ。
 そして惟継は敵の中へと踏み込んでいた。
 烏人形が羽ばたく。すると、その羽が抜け落ちて――カラスの形となり惟継へとその嘴をもってとびかかる。
 槍を振り、払い、貫いて。そしてオーラを纏いその攻撃を退ける。
 ふわりと飛んだ蝶が、敵の攻撃を邪魔しているのに僅かに笑って。
 惟継は己の竜神たる力をもって天候を動かす。
 雷雲を呼ぶのだ。黒いかたまり、カラスが集うその場所に。
 そこだと、視認して捕まえて――
 そして、遵はおやと僅かに片眉あげる。
「雲行きが怪しいね。雨宿りの準備もしておこうかな」
 そう紡ぐ言葉はこれから何がおこるのか、察しているからだ。
 惟継が視線で烏人形を撫でる。
「響け轟音、我が咆哮の如く!」
 轟音は雷の響き。走る雷は烏人形も、そしてカラスをも射抜いて焼き尽くす迸りだ。
「おっと、今日の天気は変わり易いようだなぁ?」
 なんて、惟継は笑う。
「邪悪なものが出て来たのだから天罰が下ったのかもしれんなぁ!」
 からからと警戒にしかし力強く笑って、言い放って。
 その視線は次の相手を射抜く。
 雷から逃れ、その翼がぼろぼろの烏人形。
 その身に飛びつくのは、遵の放った蜘蛛たち。けれど、蜘蛛たちはあらかた襲えば、さっと離れてまた次の烏人形を見つけに行く。
 その、逃れたものに惟継は槍を持ってトドメを刺して――遵を振り返る。
 酒はまだ残っているか? と訊ねるとどうだろうねぇと遵は笑って酒をもって振ってみる。
 もちろん、まだ中身はある。その重みはあるのだけれども、ないかもなんてからかうように言って、ほらまだいるよと次の敵を示した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヲルガ・ヨハ
アドリブ可

くるり
円の中、踊るように身を翻し

腕に擁かれ、瞳に映すのは
からくり人形のおまえが
片腕で殴打し、蹴りつけるさま
気紛れに尾でなぎ払い

われは竜神
われは悪霊
初めから欲のままにあるというに

われが欲するのは
命懸けの戦場
信念と覚悟を宿すそのまなざし
常ならばそれだけ

なれど暴れ、剥がされ
深い深い淵より沸く衝動、感情

どうか、
どうか◼️◼️れないで
……嗚呼、そう欲するは誰か?

人形が立てる戦旗に
すがるよに手をのばす
嗚呼、おまえよ
希むまま
化粧施した腕をとり【竜蟠虎踞】

たたかえ
たたかえ、猛き者よ
われはここだ
われはここだ

ああ、なれど
一鱗の理性がなすことか
降らしめる雨足の一滴さえ、
土塊人形たるおまえにはかからぬようと



 愛をさえずる烏人形が羽ばたく。
 あれはからくり? そうではないかとヲルガ・ヨハ(片破星・f31777)は面紗の下で言紡ぐ。
 ひとびとの作る円の中――くるり。踊るように身を翻す。
 決して触れさせぬ、触れられぬ。逃げているのではなくかわして。
 それでも伸ばされる鉤爪を、からくり人形のおまえは、ヲルガを抱かぬもう一方の腕で殴打し、蹴り飛ばす。
 からくり人形には欲望を抑える理性など――きっと、ない。
 ふわり、ヲルガは尾を躍らせる。
 気紛れに振るわれる銀の尾は烏人形の身をなぎ払い、打ち払う。
 そのような鉤爪でいとも簡単にふれていいものでは――いや、ふれるなど。
 この村の者達は神とあがめているという。
 しかし、ヲルガもまたそれだ。
 ヲルガは竜神であり――ヲルガは悪霊であり。
 おかしなことと、くつりとヲルガは喉鳴らして嗤っていた。
「初めから欲のままにあるというに」
 我慢しなくていいなどとおかしなことを囀る烏人形。
 われが欲するのは――ここであろうか。
 まだ足りぬ。
 欲するのは、命懸けの戦場だ。
 信念と覚悟を宿すそのまなざし。常ならばそれだけ。
 それだけで――あるというのに。
 僅かに触れた鉤爪が、暴いていく。
 暴れ、剥がされ。龍乙女の心、その奥底から。
 深い深い淵より沸く衝動、感情があった。

 どうか、
 どうか◼️◼️れないで――

 零れ、溢れて、落ちて。
「……嗚呼、そう欲するは誰か?」
 ほとり、口の端から音になって。
 ヲルガの指先にふと、ふれるひとひらがあった。
 それが何かと追いかける――それは、己抱えるからくり人形が、その手でふるうもの。
 墓標のごとく戦場に、そよぐ。ぶわり、風をはらんで膨れた旗が、ヲルガに届けるのは。
 すがるように手を伸ばし、ふれるだけ。
「嗚呼、おまえよ」
 希むまま――化粧施した腕を取りヲルガの唇から言葉零れる。
「ひれ伏し、奉ぜよ」
 ただ、見届ける。戦場を見届ける。
 その戦旗の頂に座して――霹靂が、走るをただ見届ける。視線で撫でる。
 烏人形が躍りかかるが霹靂の前に落ちていく。
 その様を見届けて、見下ろして――

 たたかえ
 たたかえ、猛き者よ
 われはここだ
 われはここだ

 溢れるものを抱えてヲルガの与えるは霹靂だけではなく、慈雨もまた等しく降り注ぐ。
 ああ、なれど――と、ヲルガは気付く。
 どれだけ暴れ、剥がされようとも一鱗の理性がここにあることを。
 降らしめる雨足の一滴さえ、それにはかからぬのだ。
 土塊人形たるおまえには、ただのひとしずくさえも。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鉄・百
恋は下心、愛は真心と申しますが
己の身を捧げる行為は真心に該当するか否か…
とはいえ正気を奪っているようですし、この状況下では真心も何もあったものではありませんね

さて、何もせず愛を請うのは如何なものでしょう
欲しくば証明して御覧なさいな
私の愛を得るに相応しい存在であると
なんて、うふふ
ちょっと強気に出てみました

『地形の利用』を活かし敵の攻撃を『見切り』、『ジャンプ』で回避
『読心術』でも相手の動きを読んでみます
『スナイパー』で『制圧射撃』

さて、この身を差し出す程の情熱を貴方達には持てませんので
代わりといっては何ですがこちらを贈りましょう

【猫の鰹節】

まだまだ沢山ありますから遠慮なく
存分に味わってくださいな



 烏人形が羽ばたく。
 その口から零れるのは――愛を求めることばだ。
 それをしめせ、みせて、ちょうだいと。
「恋は下心、愛は真心と申しますが、己の身を捧げる行為は真心に該当するか否か……」
 鉄・百(もふもふもふもふ・f22759)はその言葉に聞き入るような人々の姿を見詰めてひとつ、息を吐く。
「とはいえ正気を奪っているようですし、この状況下では真心も何もあったものではありませんね」
 村人たちが正気なのかどうか――いや、正気であるはずはない。
 正気かどうかの前に、まっとうな感覚がこの村にあるのかどうかも危うい。
 きっと、この村だけの常識などもあるだろう。この光景も村人たちにとっては普通で、当たり前の事なのかもしれないが――そうではない。
 百は目の前に降り立つ烏人形と向き合った。
「さて、何もせず愛を請うのは如何なものでしょう」
 欲しくば証明して御覧なさいな、と告げる。
 私の愛を得るに相応しい存在であると――と微笑んで。
「なんて、うふふ」
 ちょっと強気に出てみましたと笑い零して鉤爪を向けとびかかるのをかわす。
 攻撃は単調だ。見切ることは容易く、その足を飛び越えるように回避する。
 読心術は通じるのか――けれど烏人形から伝わってくるのは愛を求めるもののみ。
「動きは読めそうにありませんね」
 愛が、愛がと続ける。その身で示してと――捧げてと。
 しかし百はそれに共感はできないし、その言葉に従おうとも勿論、思わない。
 少し、距離が詰まっている。百は片手で持てる軽機関銃を連続で放ち、その動きを一度圧して距離を取る。
「さて、この身を差し出す程の情熱を貴方達には持てませんので」
 代わりといっては何ですがこちらを贈りましょう、と百が手にするのは鰹節。
 しかしそれは普通の鰹節ではなく――まるで金の如き硬さを誇る、鰹節の塊なのだ。
 烏も鰹節はお好きかしら、と紡いで百は放つ。
 ひとつ、その後にまた――無数の鰹節をもって。
「まだまだ沢山ありますから遠慮なく」
 存分に味わってくださいな、といくつも烏人形へと続けて放っていく。
 烏人形の身を砕くその鰹節。百はとっても美味しいでしょうと問い掛けるが――返事はない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

百舌鳥・寿々彦
🦋🕊

愛?
誰かの為に命を差し出すのが愛?
…馬鹿げてる

自己犠牲なんて、唯の自己満足だ
遺された方は縛られるんだよ
そんなの愛じゃない、呪いだ

僕の為に死ぬ事を選んだあの子を
その行為を
愛だなんて認めない
だから、僕はこうやって死ぬ事も出来ずにいるんだから

鳥の鉤爪が理性を奪う

『消えろ』

僕の嫌悪感と恐怖が蜘蛛へと形を変える
消えろ、消えろ、消えろ
僕に近づくな
触るな
見るな
誰も来ないで

僕はもう誰も傷つけたくない
僕はもう誰にも傷つけられたくない

助けて

…誰が助けてくれるんだろう
もう、あの子はいないのに

あぁ、そっか
友達を、サラを守らなきゃ
僕はあの時の弱い僕じゃないのだから
今度は守らなきゃ
僕は…大丈夫
まだ止まれないから


片羽・サラ
🦋🕊

僕が自分を犠牲にする時は、相手は選ぶから
守りたい人、好きな人、いとおしい人……
こんな集団の中で身は捧げない
守りたい人のためなら、僕は結構尽くせるよ?
……でも、寿々彦くんは嫌がりそう、かな
どうしたらいいんだろうね

僕が救いたいのは、それが僕の救いだからで
自己満足だよ
それでも、ありがとうって言って貰えたら、救えたら幸せ

彼を守るように前に出て
その場のガラクタを動かし舞わせ、敵に投げつける
鋼糸を切らないように気をつけて

寿々彦くん
僕はここにいるよ
大丈夫だよ…
我慢しないで
泣きたい時は泣いて
素直でいいんだよ
調子が悪いの、気づけなくてごめんね
話したいなら話してね
言いたくなければ言わなくていい
僕は味方だよ



 愛を、と――烏人形たちが囀る。
 次々と形を成す其れはひとびとの間に、猟兵達の前に現れていた。
 片羽・サラ(星空蝶々・f29603)はその声に、耳を傾けてしまった。
(「僕が自分を犠牲にする時は、相手は選ぶから」)
 それは――守りたい人、好きな人、いとおしい人……と、サラは瞳を僅かに思い浮かべる。
 だから、と次の瞬間にはぱちりと、その瞳は開かれて烏人形に強い視線を向けていた。
 こんな集団の中で身は捧げない、と。
「守りたい人のためなら、僕は結構尽くせるよ?」
 そう告げて――
(「……でも、寿々彦くんは嫌がりそう、かな」)
 どうしたらいいんだろうね、とサラは百舌鳥・寿々彦(lost・f29624)へとそうっと視線を向ける。
 そしてその表情を目に、その言葉に――きっと、思ったことは違ってないのだろうと思う。
「愛? 誰かの為に命を差し出すのが愛? ……馬鹿げてる」
 溜息のように寿々彦は零した。
「自己犠牲なんて、唯の自己満足だ」
 遺された方は縛られるんだよ、と続けて。
 それは――そんなのは、と。
「そんなの愛じゃない、呪いだ」
「僕が救いたいのは、それが僕の救いだからで、自己満足だよ」
 それでも、ありがとうって言って貰えたら、救えたら幸せ――サラは自分の想いを、告げる。
 この言葉を、寿々彦はどうとるのだろうか。
 寿々彦は、今一人の姿を思い浮かべていた。
(「僕の為に死ぬ事を選んだあの子――」)
 その行為を、愛だなんて認めない。
 だから、僕はこうやって死ぬ事も出来ずにいるんだから、と。
 立ち尽くす、寿々彦へと烏人形の鉤爪が向けられる。
 その動きにサラは前へでるが――鉤爪は寿々彦の理性を削って、奪っていく。
 サラは咄嗟に近くにあった篝火を動かし、烏人形へと投げつけた。
 けれど――寿々彦からいつもより低い声が、響く。
『消えろ』
 それは寿々彦の理性が焼き切れて削られて溢れたもの。
 寿々彦の持つ嫌悪感と恐怖が蜘蛛へと、形を変えてざわりと騒ぐ。
 消えろ、消えろ、消えろ――それは心内から、言葉になって。
 僕に近づくな、と腕を払う。
 触るな、と身を守るように抱きしめて。
 見るな、と己の視界を隠し。
 誰も来ないで、と――小さく落ちた。
 僕はもう誰も傷つけたくない。
 僕はもう誰にも傷つけられたくない。
 ――そして最後に、零れたもの助けて、と小さな声だ。
(「……誰が助けてくれるんだろう」)
 もう、あの子はいないのに――その姿も、朧げに揺らめいて見えるような心地だ。
 けれど寿々彦は今、ひとりではなく――サラが傍にいた。
「寿々彦くん、僕はここにいるよ」
 そうっと、触れる。大丈夫だよ……と、紡いで。
 我慢しないで、泣きたい時は泣いて、と言葉を向けて。
「素直でいいんだよ」
 そう、言いながらサラの表情は少し苦し気なものだ。
「調子が悪いの、気づけなくてごめんね」
 けれど、無理にどうしてと聞き出そうとは思わない。
 話したいなら話してね、と待つだけだ。
 言いたくなければ言わなくていい――でも、もう一つ。これだけは伝えたい。
「僕は味方だよ」
 ただ待っている。それは苦しい事だとわかっても、いるけれど。
 でも、ここにいるよと、味方だよと紡いだ言葉は寿々彦を僅かに引き戻す。
 ふと、寿々彦は顔をあげる。まず、綺麗な金色が、サラの髪の輝きが瞳に入った。
 そうしてゆっくり、彼女の姿を視界に収めて。
「あぁ、そっか」
 友達を、サラを守らなきゃ――その想いが寿々彦の心にぽつり、生まれて大きくなっていく。
(「僕はあの時の弱い僕じゃないのだから」)
 今度は守らなきゃ、と寿々彦はしっかりと思えた。
「僕は……大丈夫」
 そうっと触れたサラの手に触れて、寿々彦は紡ぐ。
 まだ止まれないから、と立ち上がって――前を見る。
 己の前にいる烏人形たちの姿を捉えあれから守るんだと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榎本・英
愛。愛が欲しいと
愛とはそんなに簡単に口にするべき言葉では無いと考えるがね。

誰かの為に身を差し出す
そこに愛はあるのだろうか。
それはただの自我ではないのか。

ただの欲と成り果てているそれに何の意味があろう。
そんなに欲しいのならば、くれてやろう。

君に筆は必要ない。

求める獣が貪り尽くす。
嗚呼。君に相応しいではないか。
愛し愛しと口にする事になんの意味がある。

殺してでも奪う気で来てもらわなくては困るのだよ。
嗚呼。困るのは私ではないがね。
情念の獣がカラスを喰らい、翼を折るのだろう。

あちらの人間は君の仕業かな?
あまり人を弄ばないで呉れ
我々人間はとても弱いからね。

嗚呼。飢えた獣が地に伏す様は美しいよ。



 烏人形たちの姿を見詰めて、榎本・英(人である・f22898)は僅かに思案する。
 愛。
 愛が欲しいと言っている。
 それをくれるなら、みせてくれるならと――囀る。
 それは与えられるのが当然というように、烏人形たちは紡いでいた。
 どんな愛を、見せて、捧いでくれるのかと。
「愛とはそんなに簡単に口にするべき言葉では無いと考えるがね」
 英は紡ぐ。
 彼の内にあるものを言葉にするのを、烏人形たちは待っていた。
 それが彼の、愛なのだろうと見詰めて。どのようなものなのかと、見定めて。
「誰かの為に身を差し出す。そこに愛はあるのだろうか」
 しかし烏人形たちの望むような答えは、英は持ってはいない。
 それはただの自我ではないのか――そうではないと烏人形は叫んで羽ばたく。黒い羽根から強欲なカラスが生れ落ち、その嘴を英へと向けた。
「ただの欲と成り果てているそれに何の意味があろう」
 とんと、一歩後ろに下がってカラスの嘴を避けて、英は僅かに瞳細める。
 其処に宿る光は――鈍く。
「そんなに欲しいのならば、くれてやろう」
 けれど、この烏人形に英が紡ぐ言葉の何も届かぬのだろう。
 君に筆は必要ないと、英はそれを手にはしない。
 かわりに――はらり、ひらり。手にとった著書の頁がそよぐようにめくられた。
「――離さないでくれよ」
 それより溢れたるは情念の獣、その指先。
 求める獣は手を伸ばし――まずはカラスを、そして次に烏人形へと触れる。
 その獣の指先が烏人形を破壊する。砕ける瞬間、烏人形が叫ぶのは――さてどんな言葉か。
「嗚呼。君に相応しいではないか」
 それは言葉になっているようでなってはいない。
 あいしてあいして。あいがほしい、あいをみせて。
 繰り返される言葉は壊れたからか。それとも元から、壊れているのか。
 求める獣が貪りつくす。
 その様をただ静かに、英は見詰める。
 愛し愛しと口にする事になんの意味がある。
 少なくとも、この烏人形が紡ぐものには意味がないように見えた。
「殺してでも奪う気で来てもらわなくては困るのだよ」
 しかし――嗚呼、と英は零す。困るのは私ではないがね、と。
 情念の獣がカラスも喰らって、翼を折って。
 己の翼より生まれたそれが貪られても、なお烏人形はあいを求める。
 そしてその様子をただ――見詰めて、受け入れる人々の姿は異質なものだろう。
「あちらの人間は君の仕業かな?」
 あまり人を弄ばないで呉れ、と言っても無駄であろうことは解るが紡ぐ。
 我々人間はとても弱いからねと小さく肩を竦めて見せて。
 羽ばたく烏人形を、情念の獣はしっかりと捕まえて、地に引きずり落す。
 ばたばたと羽ばたく――その動きもやがて途切れて。
「嗚呼。飢えた獣が地に伏す様は美しいよ」
 美しいのは、獣であり烏人形ではなく。
 ひとつ、喰らうて満足したかと思えど情念は、尽きる事はないのだ。
 満たされてもひととき。伏せた獣はまた、きっと手を伸ばす。

大成功 🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
結構普通に出てくるんですね…そういうもんだと思っちゃいそうです

ま、なんにせよ目の前に出てきてくれてるんです
やることは簡単ですね…ミミック!化け綴りな!
重視は状態異常…行動阻害で頼みますね
人々いますから暴れるのを禁止させて貰います

円の外から人混みという地形の利用、闇にまぎれたりして目立たないよう動き回り
衝撃波込めた弾で撃ってミミックの力借りて、凍らせたり、痺れさせたり、焼いたりして行動阻害
動き止まった所を見切り、二回攻撃で傷口をえぐるように撃って処理
さてどんどん行きますか

…欲しがること自体はまあ、別にいいんじゃないですかね
残念ながらおにーさんには持ち合わせがないですけど

(アドリブ絡み歓迎)



 祭りの中、次々と現れる烏人形。
 その姿を波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は目で追っていた。
「結構普通に出てくるんですね……そういうもんだと思っちゃいそうです」
 これが当たり前なのだろうか。
 村人たちは特に驚いた様子もない。きっとこれは毎年、よく見ている光景なのだろうと察することができる。
 変わらず舞い続ける村人たちまで、いるのだから。
「ま、なんにせよ目の前に出てきてくれてるんです」
 探す手間もなにもない。目の前に現れたのだから、何かを仕掛けて待っている、ということもない。
 それなら、拓哉の取れる選択肢もいくつかに絞られていく。
「やることは簡単ですね……ミミック! 化け綴りな!」
 箱型生命体――ミミックの力を拓哉は借りる。
 黒い多面体の水晶を弄ってつくったブレスレットはミミックと拓哉を繋ぐ媒介道具。
 宙に浮く巻物に化けたミミックへと拓哉は言葉向ける。
「重視は状態異常……行動阻害で頼みますね」
 それから、と拓哉は周囲に視線を向ける。
 人々は逃げたりなど、する様子はやはりない。なら、戦いに巻き込んでしまうのは拓哉の本意ではないのだ。
「人々いますから暴れるのを禁止させて貰います」
 村人たちが作る円――その外から、人混みという状況を利用し、闇にまぎれて拓哉は動く。
 羽ばたく烏人形から生まれるカラス――それを、衝撃波込めた弾で撃つ。
 そしてミミックの力借りて凍らせ、痺れさせ、焼いて――行動を阻害していく。
 畳みかけられた攻撃に烏人形は短い悲鳴を上げて地面に落ちていく。
 動きが止まる――その瞬間を拓哉は見切って、落ちるところを見切り攻撃をかける。
 一度目に重ねるように、傷口を抉るように撃ち抜いて。
「さてどんどん行きますか」
 拓哉はちらりと、落ちてもう動かぬ烏人形へと視線を向ける。
「……欲しがること自体はまあ、別にいいんじゃないですかね」
 残念ながらおにーさんには持ち合わせがないですけど、と相いれないのだと告げる。
 少なくとも、今対している烏人形と――この後現れるものに対してはそれを持つことは絶対にない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
恐れる様子はなくても、相手は敵
私は大丈夫です
倫太郎……刀を

預けていた二本の刀を受け取り、構える
私が抱く想いは、誰にでも与えられるものではないのです

求めることは罪に非ず、それは人の生き甲斐にもなる
奪うことは罪であり、己は得ても誰かが失ってしまう
得たとしても水のように零れ落ち、満たされず繰り返す
それが私の答えです

戦闘は円の中で行う
先制攻撃で早業の抜刀術『神嵐』
敵を一体ずつ捕捉し、2回攻撃にて当てて動きを封じる
動きを止めた敵の追撃は倫太郎に任せる
召喚されたカラスはなぎ払いの抜刀術『神嵐』にて複数を狙う

敵の攻撃は基本回避優先、残像を使用
接近してきたカラスには武器受けにて防いでから反撃


篝・倫太郎
【華禱】
……空気が空気だけに、ゾッとしねぇな
夜彦、大丈夫か?

円の中に残ってた夜彦へと
預かってた夜禱と嵐を投げ渡して合流

夜彦の為なら、己の身を差し出すのは吝かじゃねぇンだけどさ
お前らの為には差し出せねぇよ、悪ぃな

夜彦の答えに小さく笑って返し

欲しがるのは悪くはないさ
相手が、対象が、同意してるならな
そうでないなら、それは『強奪』って『悪』だよ

攻撃力強化に篝火使用
夜彦の先制攻撃を追うように
動きを止めた敵や召喚されたカラスを優先して攻撃
華焔刀には鎧無視攻撃と吹き飛ばしを常時乗せとく
範囲攻撃からの2回攻撃

敵の攻撃は暗視を用いた見切りで回避
必要に応じて残像も使ってく
回避不能時はオーラ防御でジャストガード



 日が落ちて、夜の中。
 しかし篝火を僅かな陽光の残滓を月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は受けて、その姿に篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は瞳眇める。
 へんな、空気だと倫太郎は思う。
 この世と異界との交わる間とでもいうのだろうか。
「……空気が空気だけに、ゾッとしねぇな。夜彦、大丈夫か?」
 その声に、夜彦は頷く。
「私は大丈夫です。倫太郎……刀を」
 差し出された手へと向けて、倫太郎は預かっていた夜禱と嵐を投げ渡す。
 恐れる様はなくとも、相手は敵――預けていた二本の刀を受け取った夜彦は、それを構える。
 あいをみせて――あいを差し出して、捧げて――烏人形たちは集い歌うように紡ぐ。
「私が抱く想いは、誰にでも与えられるものではないのです」
「夜彦の為なら、己の身を差し出すのは吝かじゃねぇンだけどさ」
 お前らの為には差し出せねぇよ、悪ぃなと倫太郎は烏人形たちに言葉向けた。
 差し出す相手がいるのなら、それはただ一人だろう。
 しかし差し出すよりも――もっと良い道がある事をふたりは知っている。
 あいをみせて、しめしてと問う声に、夜彦は静かに言葉返す。
「求めることは罪に非ず、それは人の生き甲斐にもなる」
 けれど――
「奪うことは罪であり、己は得ても誰かが失ってしまう」
 得たとしても水のように零れ落ち、満たされず繰り返す――それが私の答えですと夜彦は紡ぐ。
 その答えに、倫太郎は小さく笑って返した。
「欲しがるのは悪くはないさ。相手が、対象が、同意してるならな」
 そうでないなら、それは『強奪』って『悪』だよと倫太郎は言って華焔刀を振るう。
「祓い、喰らい、砕く、カミの力」
 倫太郎は神力を纏い、踏み出す。
「――奪え、嵐」
 その一歩よりわずかに早く、夜彦は霞瑞刀 [ 嵐 ]を抜き放った。
 夜彦は視界に入った烏人形へ向けて、破魔の力を刃へ集えて、動きを封じる斬撃を放った。
 一度振りぬき、そしてもう一撃あてて動きを封じる。
 その追撃は倫太郎の仕事だ。
 しかし動けずとも、烏人形はその翼よりカラスを産み落とし倫太郎へと向ける。
 倫太郎はそう来ると思ったと華焔刀を大きく振るって薙ぎ払った。
 生まれる衝撃がカラスを吹き飛ばし、華焔刀の刃が烏人形を叩き伏せる。
 烏人形はその刃を受けて、そのまま地に落ち崩れていく。
 けれど敵の数は多く、次から次へと二人の前へと現れるのだ。
 カラスが羽ばたき、夜彦にも襲い掛かる。
 夜彦は、まとまって集い襲い掛かってくるカラスたちを視線で撫でていく。
 それは自分の射程へと、納めるために。
 視線に捉えたそれらは、どれほど離れていても夜彦の間合いの内だ。
「倫太郎、大丈夫ですか?」
「そんな強くないし」
 と、カラスを払うの容易く。けれど多いから油断はできないなと紡ぐ。
 最初は回避もしていたが――交わしても別のカラスがとびかかってくれば、数を減らしたほうが早く。
 またきた、と倫太郎の視界の端にある新手を払ったのは、夜彦。
 次から次へと現れるカラスを払いながら、烏人形を叩くタイミングがあれば夜彦がその動きを止めて、倫太郎が叩きふせていく。
 二人で同時に対処してと、互いを補い合って。
 言葉交わさずとも自然とそうなる戦いは、二人が互いに捧げた時間があるからこそのもの。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

日下部・舞
ミレディ君(f00296)と参加

「そんなこと言われても困る」

正直本気で思ったけど、示す理由も必要ない
私は影を滑るように疾駆して【先制攻撃】
ミレディ君の盾として前に出て惹きつける

彼への攻撃は【かばう】
ダメージは【肌】の機能で痛覚遮断【継戦能力】を発揮する

「あなたは倒すことに専念してくれたらいい」

表情ひとつ変えずに戦い続ける
鉤爪に理性が削り取られる

「欲望、か」

【幻影】を発動

私と彼はその名のように姿形を消している

消えてしまいたいという気持ちはある
自ら傷つくことを厭わない戦いの根底にあるもの

死にたいわけじゃない
ただ、誰からも存在したことすら忘れさられて

「差し出せるのは結局……」

愛ではなく、死だけだから


シェーラ・ミレディ
ミス日下部(f25907)と参加

「ただ欲するだけのものに、愛の何がわかるというのか!」

といって、僕も完全に理解しているわけではないが。
村人の献身は彼ら彼女らの大切な人へ向けられたものであって、
オブリビオンへでないことは明白だろう?

「前回同様か。頼りにしているぞ」

ミス日下部に応え、
僕自身は彼女に守られながら、4丁の精霊銃で敵を撃つ。
女性にかばわれるのは心苦しいが……
ううん、せめてミス日下部に向かうものを優先的に対処しようか。

透明化したら『華燭之典』を用意。狙いを定め、放つ!

「過ぎた欲は身を亡ぼすぞ、人形」

僕が言えた口ではないがな。



 篝火が揺らめく。
 祭りの最中現れた烏人形の数は、減っていた。
 その事に少しずつ――人々の中に気づき始めるものもいた。
 何かが、おかしい。けれどそれを、言葉として発するものはまだいない。
 いいや、そんな、そんなはずはと思うにとどめて。しかし不安はその表情に現れているのだろう。
 毎年と同じく、この後最後に残った定められたものを連れて行き、そして一年の幸せを約束してくれるはずだ。
 そう、まだ信じている者の方が多いのだろう。
 しかし村人たちのその表情なと顧みず、己の身を差し出す愛を見せてと烏人形たちは囀る。
 そのさえずりを耳に、そんなこと言われても困る――と、日下部・舞(BansheeII・f25907)は小さく紡いでいた。
 そう、本気で思ったけれど示す理由も必要もないのだ。
「ただ欲するだけのものに、愛の何がわかるというのか!」
 シェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)は烏人形へと告げる。
 そうはいっても、シェーラも愛というものを完全に理解しているわけではない。
 でもわかることは、ある。
 村人たちの献身は、彼ら彼女らの大切な人へ向けられたものであり、決してUDCへ、オブリビオンへ向けられたものでないことは明白なのだ。
 シェーラが動く――その前に、影を滑るように疾駆して舞が立つ。
 ミレディ君、と視線一つ。それだけで何を告げているか理解できた。
「前回同様か。頼りにしているぞ」
 その通り、と頷く舞。
「あなたは倒すことに専念してくれたらいい」
 シェーラの盾として、舞は烏人形を引き付けるように攻撃をかけた。
 夜の中、影の中。
 溶けるように滑り舞が振るう片刃の長剣の名は、夜帷。
 剣の一撃に烏人形は鉤爪で応える。
 その鉤爪に籠められているのは欲望を肯定し、暴走させる呪詛だ。
 鉤爪の一撃は肌の上を滑るが痛みはなく。
 けれど舞の理性を削り取っていく。その感覚は不思議なものだ。
「欲望、か」
 それはどんなものか――舞はまた夜帷をもって敵を退ける。
 その背中を見ながら、シェーラも四丁の精霊銃で応戦をしていた。
「女性にかばわれるのは心苦しいが……」
 そう思うが、ううんとシェーラは首を振る。
 せめてミス日下部に向かうものを優先的に対処しようと、大きく羽ばたく烏人形を打ち抜いて地に叩き伏せた。
 そして新たに烏人形がとびかかるが――標的を失って動きとめる。
「影は影に」
 舞の言葉と共にその姿が消えていたからだ。それはシェーラも、共に。
 消えてしまいたいという気持ちはある。舞はそれを否定しない。
 それは――自ら傷つくことを厭わない戦いの根底にあるものだから。
 けれど、それは死にたいとは違うのだ。
(「死にたいわけじゃない。ただ、誰からも存在したことすら忘れさられて」)
 最後には、と。
「差し出せるのは結局……」
 愛だけではなく、死だけだからと舞は身を消したまま走る。
 一体、烏人形を仕留めて――その瞬間、別方向からとびかかるものに向けられた言葉があった。
「過ぎた欲は身を亡ぼすぞ、人形」
 精霊を纏った多彩な属性の弾丸をシェーラが放っていた。
 僕が言えた口ではないがなと小さく落ちる。
 それと共に烏人形の身は、砕けるように壊れていた。
 けれどこれは終わりではない。
「ミレディ君」
 舞が先に攻撃かけて、新手の存在を示す。その声にすぐさま反応してシェーラも弾丸重ねて放ち烏人形を落としていく。
 まだこの夜は終わらないのだと――羽ばたきの音を耳にしながら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

誘名・櫻宵
🌸神櫻

愛を贄にするなど
よい趣味の神がいる

甘やかな愛が欲しい
甘く蕩けるような甘美な愛が
愛して愛して滅んで
あなたの歩む路を凡て喰らいたい
胸の裡に爛れ咲く熱に
可笑しいと綻ぶ

お人形さんはかぁいいことを言うわね
無欲な神に慾を気づかせるなんて
妬けるわ
愛が欲しいなら愛してあげる

駄目よ
カムイは私の神
あなたの贄ではない
私の、よ

翼を捥いで
胴をなぎ払い
斬って抉って嬲るようにあい(ころ)してあげる
私は私の愛しき神以外の贄になどならない
破魔の斬撃と共に衝撃波を放ち
浄化の神罰を巡らせる
美しい桜となりなさい
どんな慾も咲き誇れ

カムイ
寄り添うあいの熱の心地よいこと
誠の愛はここに在る
噫、かぁいらしい神様
あなたは私の―甘い災いね


朱赫七・カムイ
⛩神櫻

耳障りな囁きは
押し殺した慾を刺激する
私だって愛したい
可愛い愛し子を
あいして愛して今すぐに約して

膨れたあいに忍び笑う
愛が慾だというならば
慾抱く様はなんと、甘美で倖なことなのだろう
胸の裡、咲き燃ゆる焔のなんと熱く心地よい
之が慾か

私の巫女の障りとなる厄は全て
斬り断ってしまわねば
サヨに他の神など必要ない
きみの慾を受け入れるのも
肯定するのも私だけでいい

邪魔だよ
―再約ノ縁結

そなたらにくれてやる愛など持ち合わせていない
私の巫女の愛は
傀儡には勿体ない
サヨを結界で守り無粋な言葉ごと切断する

幸とは手枷
互いを結ぶ―あかい絲
いとしいきみと紲はしかと結ばれて
サヨ、他に求めるのはやめなさい
私がすべて
与えてあげるから



 愛を贄にするなどよい趣味の神がいる――そう、思い乍らも誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)の視線は冷えたものだった。
 烏人形の紡ぐそれは朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)にとっては耳障りな囁き。
 それは――押し殺した慾を刺激するのだから。
(「私だって愛したい」)
 可愛い愛し子を――あいして愛して今すぐに約して。
 膨れていくそれはあい。それに忍び笑いカムイは櫻宵へとそっと視線向ける。
 愛が慾だというならば――慾抱く様はなんと、甘美で倖なことなのだろう。
 胸の裡、咲き燃ゆる焔のなんと熱く心地よいとカムイはそうと己の胸元に手を添えて、噫とすとんと腑に落ちたように瞬き一つし、表情緩める。
「之が慾か」
 その言葉に、櫻宵は僅かに口端あげて微笑む。
 甘やかな愛が欲しい。甘く蕩けるような甘美な愛が。
 愛して愛して滅んで――あなたの歩む路を凡て喰らいたい。
 そう、思う相手がいる。
 櫻宵は胸の裡に爛れ咲く熱に、可笑しいと綻んで。カムイへと顔向ける。
 之が慾。それが、慾。
 とめどなくどこからあふれるものなのか。心の内から、あふれて。
 今までそれは隠していたのか、隠されていたのか。それとも、隠してはいないけれど知らなかったものか。
 あいして、あいをみせて――あいを、捧げて。
 烏人形たちの声にくすりと、櫻宵は笑い零した。
「お人形さんはかぁいいことを言うわね」
 無欲な神に慾を気づかせるなんて、妬けるわと櫻宵は紡ぐ。
「愛が欲しいなら愛してあげる」
 屠桜を抜き放ち、血桜の太刀の切っ先を烏人形に向ける櫻宵。
 けれえどその前に、カムイが立ちその切っ先をそうと指先で抑えて下げさせる。
「私の巫女の障りとなる厄は全て、斬り断ってしまわねば」
 それは、私のすることと艶やかに静かに笑む。
「サヨに他の神など必要ない」
 きみの慾を受け入れるのも、肯定するのも私だけでいいとカムイは告げる。
 ねぇそうでしょうサヨと視線に含んで投げかけて。
「邪魔だよ――再約ノ縁結」
 けれど櫻宵から烏人形へと視線が向けば鋭い気配を帯びる。
「―― 人もをし 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は」
 そなたらにくれてやる愛など持ち合わせていないと下される神の声。
 それは烏人形たちが産み落としたカラスたちが、烏人形へとその嘴向けると返される。
「私の巫女の愛は、傀儡には勿体ない」
 その無粋な言葉毎、断ち斬ってカムイは冷ややかに烏人形を見下ろしていた。
 けれどそうっと、カムイへと櫻宵は触れる。
「駄目よ」
 そして共に、視線を烏人形へと向けて。
「カムイは私の神。あなたの贄ではない」
 私の、よ――と、櫻宵はカムイが止める間もなく駆ける。
 向かってくる烏人形、その翼をないで、胴をなぎ払って。
 斬って抉って、嬲るようにあいしてあげる。ころして、あげる。
「私は私の愛しき神以外の贄になどならない」
 私の神を求めてしまったことが、身を弁えない大罪よ、と紡ぎ消えていくその魂ごと、存在を吸収して。
 そんなお人形ではなく美しい桜となりなさいと龍呪を放つ。それは浄化の神罰でもあるのだから。
「どんな慾も咲き誇れ」
 そのなんと美しいことか。
 その様に私の巫女と、カムイは手を伸ばす。
 幸とは手枷。
 互いを結ぶ――あかい絲。
 いとしいきみと紲はしかと結ばれて、いる。
 けれど。
「サヨ、他に求めるのはやめなさい」
 妬けてしまう、とは言葉にはしないけれど表情が物語る。
「カムイ」
 櫻宵は小さく笑い零した。ここにある熱。
 寄り添うあいの熱の心地よいこと。
 誠の愛はここに在る――そう、感じる。
「私がすべて」
 与えてあげるから。
 ほとり、櫻宵だけにカムイが紡ぐ言葉に笑って。
「噫、かぁいらしい神様」
 あなたは私の――甘い災いね、と櫻宵は紡ぐ。
 けれどそれは、望んで得たもの。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
❄花狼

ああ、オブリビオンというものはいつもそうだ
幸せを望む人々の純粋な願いを歪め
醜い「欲望」で染め上げる

あの日卑劣侯は「民の幸せ」を望んだわたくしの願いを裏切り
愛する故郷を地獄絵図に変えた

1年前の水葬の街
吸血鬼ノアはわたくしの記憶を奪い
夫への愛を悪夢に変えて辱めた
悪意に満ちた欺瞞の舞台

そして今、かの邪神と眷属も
始まりはささやかな祈りだったはずの「村の幸福を願う心」を
欲望で歪め狂わせ、殺戮へと走らせる

彼らは決まって口にする
これは『愛』なのだと
そうやって獲物を欺き、絡め捕らえて踏み躙る
何という冒涜

心への侵食を呪詛耐性、狂気耐性で断ち切り
神罰の光輝で強欲の使徒を焼き尽くす
許さない
二度と屈するものか


ヴォルフガング・エアレーザー
❄花狼

醜いな
知性も文明も無き野生の獣すら
欲望には限界があることを本能で知っている
腹を満たす以上の餌を貪り
同族同志で殺し食らい合い
欲しいままに奪い狩り尽くせば
いずれ己の身を滅ぼすことを

いくら神の眷属を名乗ろうと
所詮貴様らは獣以下の外道だ
その下衆が、愛の美名の下に人々に奉仕と犠牲を強いるのか
とんだ茶番だな

俺の愛、ヘルガの愛
一片たりとも食わせるものか

貪欲なカラスの攻撃を気合いと激痛耐性で
ヘルガの攻撃を庇った際の精神攻撃は狂気耐性で耐え
傷口から【ブレイズフレイム】の炎を放ちカウンター
そのまま烏人形本体にも延焼させ焼き尽くす

欲望のままに食らいつくせば己の身がどうなるか
地獄の炎に焼かれ思い知るがいい……!



 ああ、オブリビオンというものはいつもそうだ、とヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)は表情を痛ましげに。
 そう、いつも幸せを望む人々の純粋な願いを歪め、醜い『欲望』で染め上げる。
 それを何度見てきただろうかとヘルガの心中は痛むのだ。
「あの日卑劣侯は」
 と、ヘルガの脳裏に浮かぶ姿がある。
 卑劣侯は『民の幸せ』を望んだわたくしの願いを裏切り、愛する故郷を地獄絵図に変えた。
 その光景が思い起こさせる。そして一年前の事も。
 ある吸血鬼はヘルガの記憶を奪い、夫への、ヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)への愛を悪夢に変えて辱めた。
 その時の事を、ヘルガは忘れていない。
(「悪意に満ちた欺瞞の舞台」)
 そして今――かの邪神と眷属も、とヘルガの視線は烏人形たちへと向けられる。
 きっと、始まりは――ささやかな祈りだったはずだ。
 ささやかな祈り――『村の幸福を願う心』を欲望で歪め狂わせ、殺戮へと走らせる。
 ヘルガにはそう思えたのだ。
 そしてヴォルフガングもこの状況に眉を顰める。
「醜いな」
 知性も文明も無き野生の獣すら、欲望には限界があることを本能で知っている。
 けれどここに現れたものたちはそれを狂わせるのだろうか。
 腹を満たす以上の餌を貪り、同族同志で殺し食らい合い。
「欲しいままに奪い狩り尽くせば、いずれ己の身を滅ぼすことを」
 それを、知らないのだとヴォルフガングは思う。
 そしてヘルガを見れば、静かな表情で口を開く。
「彼らは決まって口にする。これは『愛』なのだと」
 そうやって獲物を欺き、絡め捕らえて踏み躙る。
 それは――何という冒涜か。
 そしてその想いをヴォルフガングも理解している。
「いくら神の眷属を名乗ろうと、所詮貴様らは獣以下の外道だ」
 その下衆が、愛の美名の下に人々に奉仕と犠牲を強いるのか――とんだ茶番だなと己の得物を向ける。
「俺の愛、ヘルガの愛。一片たりとも食わせるものか」
 地獄の炎でも溶けることの無い、無骨な鉄塊の如き巨大剣をヴォルフガングは振るう。
 しかし羽ばたく烏人形はカラスを産み落とし、ヴォルフガングへと向ける。
 そして烏人形の鉤爪はその身ではなく精神を傷つけるのだが、それもヴォルフガングが庇ってはいった。
 そしてヴォルフガングの受けた傷口から紅蓮の『地獄の炎』が噴出する。
 向けられる鉤爪から、ヴォルフガングは燃やし尽くして烏人形を地面へとおとしたのだ。
「無辜の願いを冒涜し命を愚弄する者よ。何者も因果応報の理より逃れる術は無し。今ここに不義は潰えん。悪逆の徒に報いあれ」
 そしてヴォルフガングに守られながらヘルガは紡ぐ。
 神罰の光輝で敵を焼き尽くすのだ。
 許さない――二度と屈するものかと強い心をもって。
「欲望のままに食らいつくせば己の身がどうなるか。地獄の炎に焼かれ思い知るがいい……!」
 大きく、ヴォルフガングは剣をふるい炎を向ける。
 それは烏人形たちを、焼き尽くしていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

火狸・さつま
やっと、お出まし…?
攻撃見切り躱し
ふらり、ゆらり。踊るよに近寄って
早業<彩霞>抜き斬りかかる
2回攻撃は炎
一応村人はオーラ防御でかばって
貴方達は…後でちゃあんと、人の裁きを受けると良い

うっかり当たっちゃったら
ああ、そう…我慢、要らない、ね
全力魔法で炎の範囲攻撃
ついでに<雷火>の雷撃もおみまい
体勢整えすぐさま斬りかかれば
持ち込む得物はひとつのハズ?
ああ、うん、きいてたきいた
でも、コレは、外せない、から
仕方ない、よね
付けてるの、気付かなかったもん、ね
でもだから…使わない気だたけど
君達が我慢しなくて良いて、言うから
ふふ、仕方ない、よね

そう、今は…敵を完膚なきまでに派手に全滅させる欲望でいっぱい、だから



 戦う相手が減っていく。
 火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)はその中でふと空気が変わるのを感じ、足を止める。
「やっと、お出まし……?」
 呟いた側から――遠慮なく、鉤爪が襲い掛かってくる。
 右、と空気が揺れるのを感じてさつまは見切り躱す。
 その動きは、ふらり、ゆらり。踊る様に――強くもあり、弱くもあり。
 そしてさつまの手は蛮刀、彩霞を抜き切りかかる。
 烏人形の翼を、ひゅっと彩霞が削いで。身を翻し続けてもう一回、刃で攻撃――そうみせてさつまが躍らせたのは炎だ。
 狐火が躍る。
 夕闇から夜闇に閉じられていく村の中で輝くように踊り烏人形へと襲い掛かる。
 その炎に焼かれる痛みに烏人形が大きく羽ばたく。それは炎を払おうとしてなのだろう。
 しかしその羽ばたきによって炎が、その場にとどまる人々へと降りかかる。
 このままいけば人々は炎に囲まれる――しかし、さつまはオーラをもってその炎から村人たちをかばった。
 村人たちはこの状況が飲み込めては、いない。いや信じたくないといったところなのだろう。
 いつもなら、もう村一番のものを連れに神様が――しかし、こない。
 眷属も打倒されている。わかるのはいつもと違う事だけだ。
「貴方達は……後でちゃあんと、人の裁きを受けると良い」
 裁くのは、俺のすることじゃない。
 俺がすることは――と、烏人形へと視線向ける。
 羽ばたき、その鉤爪を振り下ろす。それはさつまの身を傷つけはしないけれども理性を、削っていくものだった。
 触れてはいない。けれど、それはさつまの何かを奪って持って行ってしまう。
「ああ、そう……我慢、要らない、ね」
 それは理性か、それとも他の何かか。
 さつまは狐火を一層深く、滾らせ燃え上がらせる。
 全力で、目の前の烏人形へと見舞って。ついでとばかりに、尻尾に文様を広げ黒き雷を見舞う。
 燃えて、黒雷に打たれて。烏人形は簡単に朽ちていく。
「持ち込む得物はひとつのハズ?」
 ああ、うん、きいてたきいたとおざなりに返すさつま。
 ゆうらり、尻尾が揺れ動く。
「でも、コレは、外せない、から。仕方ない、よね」
 だって、気づいてなかった。気づいてなかったんだから、何も言えないはずと。
「でもだから……使わない気だたけど」
 そのつもりだったのだけれども、その鉤爪が誘った。
 許した。だから、仕方ない。
「君達が我慢しなくて良いて、言うから」
 ふふ、とさつまは楽しそうに笑い零す。
 仕方ない、よねと――燃え落ちた烏人形に問いかけて。
 答えがないのはわかって、いるけれども。
「そう、今は……敵を完膚なきまでに派手に全滅させる欲望でいっぱい、だから」
 次はそっちの君、かなと小さく首傾げてさつまは口端上げ、ぺろりとその端を舐める。
 簡単に、終わらないよねと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

月待・楪
氷月(f16824)と
アドリブ等歓迎

あれだろ、無い物ねだりってやつ
アイの代わりに鉛弾を食らわせてやるよ

【EasterLilly】でライフル銃を出して念動力で操る
バードハントって言えばこれだろ?
ひづの情報を頼りに翼を狙いつつ制圧射撃
鉤爪、見切るくらいなら出来るんだが…あえて受けてやるよ

くふ…ははッ!
バレたか、さすが氷月

…理性ぶっ飛んで、欲望のままに?
俺たちを何だと思ってる
ヴィランっつーのは元からそーいうモンだ
…だから、なァ?
愛が見たいなら見せてやる

俺に背中を預ける
あのバカの心臓に照準を
待てるわけ、ねーだろ
欲しくて、撃ち抜きたくて
こんなに熱くなってんのに

OK、darling
俺のアイで、踊ってくれよ


氷月・望
楪(f16731)と
アドリブ歓迎

愛だのなんだの
ヒトもどきには勿体無い代物じゃねぇの?
とか言いつつ、どの方向から敵が向かってくるかは
『Invader』を使って常に【索敵】
情報は即座に、ゆーくんへ連携

UC:紅宴
ゆーくんの銃撃から逃れた個体を狙い
【暴力】を秘めた雷刃で、邪魔な両翼を【切断】【部位破壊】
墜落ついでに地面とキスして寝てな、なんてね?

ゆーくん、今わざと受けたでしょ?
気に食わないなぁ……ああ、ゆーくんのコトじゃないよ
俺のモンに手ェ出した、敵の方ね
翼だけじゃ生温かったかな…… 
――雷刃、人形共の首を刎ね飛ばせ

ははっ、待ち切れないって目をしてる
そんなに撃ちたい?ちゃんとブチ抜けよ、Honey?



 楽しい遊びをしていた。
 次は、月待・楪(Villan・Twilight・f16731)も氷月・望(Villain Carminus・f16824)も互いを見定めていたというのに。
 烏人形たちが現れたことは、二人も水を差されたような心地。
 そして、紡ぐ言葉は薄っぺらい――あいをしめせと、みせてと。捧げてという。
「愛だのなんだの、ヒトもどきには勿体無い代物じゃねぇの?」
 烏人形のはばたきの音がする。
 望のサイバーアイ、Invaderは常に敵の姿を追いかけて、楪へとそれは共有されていた。
「あれだろ、無い物ねだりってやつ」
 楪はそう言って、あいつらにやれるものがあることはある、と口端あげる。
「ゆーくん、なんかあげられるもの持ってた?」
 ある、と楪は望へと笑み向けた。
「アイの代わりに鉛弾を食らわせてやるよ」
 楪は、パーティタイムだと声上げてライフル銃を手にする。
 なるほど、それならいくらでもと望は敵のいる方を示す。
「バードハントって言えばこれだろ?」
 念動力をもってそれを操り、楪が狙うのは敵の翼だ。
 その翼を打ち抜いて、落ちてくる烏人形。その鉤爪が向けられているのを楪は目にしていた。
 見切ることは――出来る。けれど、あえてその場を動かず。
 鉤爪は、楪の精神を削っていく。
 その落ちていく烏人形を、今度は望が狙っていた。
「刎ね飛ばせ、刈り尽くせ」
 赤雷を纏う刃をもって駆ける。烏人形はその刃で切り裂かれ、地面へと落ちていった。
 そして、望は楪へとじっとりとした視線を向ける。
「ゆーくん、今わざと受けたでしょ?」
「くふ……ははッ!」
 その言葉に、言いざまに楪は噴き出すように笑い零した。
「バレたか、さすが氷月」
 わかるに決まってくると望は不機嫌そうな顔。
 気に食わないなぁ……と剣呑な響きを溢す。
 その声色に楪は何が、と片眉あげた。望はそれに気づいて違うと首を横に振る。
「ああ、ゆーくんのコトじゃないよ」
 俺のモンに手ェ出した、敵の方ねと浮かべる笑みは鋭く。
「翼だけじゃ生温かったかな……」
 望はぽつり、呟いて身を翻す。
「――雷刃、人形共の首を刎ね飛ばせ」
 くるり、踊る様に振るったならば赤雷の刃が後ろから、音なく襲いかかってきた烏人形の首を刎ねあげた。
 烏人形は何が起こったか、理解などできない。理解する暇もなく、地面におちて崩れる。その様を望は見下ろして次はどこからくるのかと索敵を。
 そして楪は、目の前を飛翔する烏人形の問に笑う。
 あいをしめして、あいをみせて。その欲を露わにする鉤爪を向け乍らと。
「……理性ぶっ飛んで、欲望のままに?」
 おかしなことを、と笑うしかない。
「俺たちを何だと思ってる。ヴィランっつーのは元からそーいうモンだ」
 楪は己の本能に忠実で、素直で。
「……だから、なァ? 愛が見たいなら見せてやる」
 笑う。そして、銃口向ける。
 楪に背中を預ける、望の――あのバカの心臓に照準を、と楽しくなりながら。
 その心地に、望は笑って返すのだ。
「ははっ、待ち切れないって目をしてる」
「待てるわけ、ねーだろ」
 欲しくて、撃ち抜きたくて――こんなに熱くなってんのに、と楪は望だけを射抜くように見つめる。
 熱い、迸る、零れてしまうほどに。
 その熱を触れて感じているわけではないけれど望は感じていた。
「そんなに撃ちたい? ちゃんとブチ抜けよ、Honey?」
 心臓は、ココ。ちゃんと狙ってと己の心臓の場所を望は撫でる。
「OK、darling」
 俺のアイで、踊ってくれよと――それは、耳元で囁く心地。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

千桜・エリシャ
【甘くない】

あなた方の仰る愛…それってただの自己犠牲ではなくて?
私の知ってるものとは違うみたいですわね
ジンさんはどう?
まあ、野蛮ですこと
でも“その程度”というのは同感ですわ

さて、ジンさん?
ひらりと真白の巫女服を翻して
せっかくおめかしをしましたし
一つ舞を披露しようかと思うのですがいかがかしら?
あら、あなたも一緒に踊るのよ
傾奇者と並び立てば礼を
ふふ、もちろん
だってそれが“あなた”ですもの
くるり舞ってはその羽根を刀で散らして

我慢?
おかしなことを仰るのね
私はとうの昔から我慢なんてしていなくてよ
だからあなたの御首をいただけるかしら?
狩りとった暁には腐り落ちるまで愛でて差し上げますわ
そう、これが私の愛よ


ジン・エラー
【甘くない】

あァ~~~ンだよ、キーキーうるせェ鳥の鳴き声だなァ
こォ~~ンなモンでわかンのか?愛だのなンだの
ウッヒャハ!じゃァよ、こいつらを一発──そォらァ!
痛みで醒めちまうモンなンざ、ロクなモンじゃァねェわなァ?
所詮、その程度ってことだよ
オレの救いの前じゃァ余計にな

クッヒャハヒ!そりゃァ~~~光栄だねェ~~~~!!
舞なンてオレァ知らねェ~~からよ
ちったァ荒々しくても許してくれやァ~~!!
オレらに対価なンざいらねェさ
光栄に思えよ?

クッキャハヒャヒビャハハ!!!!
しょォ~~~~もねェことしやがる!!
端ッから我慢しちゃァいねェンだよ
テメェらの欲はそンなモンか?
ちっっっぽけすぎて笑っちまうぜ



「あァ~~~ンだよ、キーキーうるせェ鳥の鳴き声だなァ」
 耳障りな声にジン・エラー(我済和泥・f08098)は眉寄せて嫌そうな顔。それはこの烏人形の声が本当に、ただ気に入らないだけのよう、
「あなた方の仰る愛……それってただの自己犠牲ではなくて? 私の知ってるものとは違うみたいですわね」
 千桜・エリシャ(春宵・f02565)も烏人形の言葉には何も共感することも得るものもなくといったところ。
 ではでは、果たして愛とはと。エリシャはからわらのジンを見て問う。
「ジンさんはどう?」
「こォ~~ンなモンでわかンのか? 愛だのなンだの」
 問えばジンは――一層、笑うだけ。
「ウッヒャハ! じゃァよ、こいつらを一発──そォらァ!」
 向かってくる烏人形。その翼へと手を伸ばし、ジンは引きずり倒す。
 彼が彼であるほどに、暴慢であればあるほどに――烏人形との差異は大きい。
「痛みで醒めちまうモンなンざ、ロクなモンじゃァねェわなァ?」
 もう動かねェ~~とけらけらと笑う。
「所詮、その程度ってことだよ。オレの救いの前じゃァ余計にな」
 こォンなに簡単に、救えて――いや、壊してかァとジンは言う。
 エリシャはその様子にため息交じりに行き一つ。
「まあ、野蛮ですこと。でも“その程度”というのは同感ですわ」
 見上げれば――羽ばたく烏人形たち。
 その数は減ってきてはいるが、まだいることには変わりない。
 エリシャはひらりと、真白の巫女服を翻す。
「さて、ジンさん?」
 せっかくおめかしをしましたし、と両手広げてくるりとエリシャは回ってみせる。
「一つ舞を披露しようかと思うのですがいかがかしら?」
 巫女さンの舞ってモンは舞台なンかいらねェのかァ? と問えばぱちり、エリシャは瞬く。
「あら、あなたも一緒に踊るのよ」
 傾奇者と巫女の舞なんてなかなかなくてよ、と笑って誘う。
「クッヒャハヒ! そりゃァ~~~光栄だねェ~~~~!!」
 どうすればいいのか。手でも差し出しとけばいいかァ? とふざけてか本気か。ジンはひらりと掌翻す。
「舞なンてオレァ知らねェ~~からよ。ちったァ荒々しくても許してくれやァ~~!!」
「ふふ、もちろん」
 だってそれが“あなた”ですもの――エリシャは妖艶に、けれど少女のように笑う。
 そしてエリシャが手にするのは、桜花模す鍔の大太刀――墨染。
 刃を返して、踊れば烏人形の翼、その羽根が舞い降ちる。
「オレらに対価なンざいらねェさ。光栄に思えよ?」
 エリシャが振るう墨染。それに手を重ね奪うように借り受けて。
 舞にそんなふりはなくてよ、とエリシャは零すけれど、ジンの手に渡れば鈍く輝くその刃。
 積もり積もって、重ねに重ねられた呪詛は聖者の手にある時だけ払われる。
 それを思うままに振るえば、烏人形を真っ二つにすることさえも簡単だ。
 けれど、その刹那に身を削らぬ鉤爪が理性を削ってもっていく。
 我慢しなくていいのにと――だがその心地は、ジンにとっては何の意味もないもの。
「クッキャハヒャヒビャハハ!!!! しょォ~~~~もねェことしやがる!!」
 何か、削られた感覚はある。けれど己の何も変わらない。
 烏人形の鉤爪はジンにとって恐れるものでも、なんでもなかったのだ。
 そしてそれは、エリシャにとっても。
「我慢? おかしなことを仰るのね」
 私はとうの昔から我慢なんてしていなくてよ、と女は笑う。
 だから今も、ほしいものはほしいと言うのだ。
「だからあなたの御首をいただけるかしら?」
 そうして、そうそうと言葉を継ぐ。
「狩りとった暁には腐り落ちるまで愛でて差し上げますわ」
 そう、これが私の愛よ――と、今度はエリシャがジンの手から墨染を奪って黒く染め上げる。
 りんと、軽く振るうかに見えて刎ねるのは一瞬。
 弾けるように転がった烏人形のその首は崩れて、消えていく。
 思いのほか簡単に消えて、生きることにしがみつくそぶりもない。それは人形だからなのか。
 ジンはそんな烏人形へと言い放つ。
「端ッから我慢しちゃァいねェンだよ。テメェらの欲はそンなモンか?」
 面白みも、何もなく。
 大層な登場をしたというのに、中身がなくて――いや、あるのかもしれないがそれは。
「ちっっっぽけすぎて笑っちまうぜ」
 夜の中にその声はよく響く。
 再びとびかかってくる烏人形をふせるのはどちらか、なんて遊ぶ余裕があるほどに。
 そして人々も――もう気付くしかなかったのだ。
 この祭りは、もういつもの祭りとは違うと――ざわめきが広がる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ノーズワンコスモス09』

POW   :    無気力なる果ての夢
【千切れた自らの羽 】を降らせる事で、戦場全体が【全て満ち足りた理想の世界】と同じ環境に変化する。[全て満ち足りた理想の世界]に適応した者の行動成功率が上昇する。
SPD   :    全き善なる光
【記憶に刻まれた傷と経験を癒し消す優しい光】【身体に刻まれた傷と鍛錬を癒し消す柔和な光】【心に刻まれた傷と戦意を癒し消す暖かい光】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    願いは叶う、何度でも
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【集めた誰かの成し遂げたいとするエネルギー】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は奇鳥・カイトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 烏人形たちが消えて――ひとびとがざわめく。
 おかしい。村の外の者たちが残ってしまってこれでは――不安は次々に伝わっていく。
 そんな中、誰かが「ああ!」と声をあげた。
 神様がこられたと。
 そのひとりの言葉に、行動に皆つられていく。
 その視線はうえだ。
 夜闇の中に煌々と輝くように――それは現れた。
『おそらのうえから あなたをすくいにきました』
 わたしはけっしてみすてません、と紡ぐそれは神と崇められて力を蓄えつづけたもの。
『やめるときも うれうときも』
 どんな時も神は一緒にいてくださると祈る者がいる。
 その姿に歓喜を示す者も。
『わたしが そばにおります』
 それが手を伸ばせば人々は震える。
 なんという優しき言葉と、神からの賜りものを頭を下げる。
『どうか どうか しあわせでありますように』
 すくいのねがいを受け取ってそれはこの村へと現れ続けていた。
 ずっとずっと、長い間。
 少女の姿をした、翼をもつもの。その表情は見る者によって違うのだろう。
 何も見ていないような、空虚な表情と見える者もいれば、すべてに等しくあるものの表情だとみるものも。
 神とひとびとが頭を下げるそれの名は――ノーズワンコスモス09という。
鉄・百
成程確かに、貴方は人々の救いだったのでしょうね
ですが…

思い、悩み、苦しみ、足掻き
それでも己の足で進むのが人というもの
故に人々の絆は美しく
願いが叶う瞬間の輝きは尊い
それが人の強さ、人の愛しさ
貴方は、彼等から人の矜持を奪い取った
許されることではございません

『地形の利用』を活かし敵の攻撃を『見切り』、『ジャンプ』で回避
『スナイパー』で『制圧射撃』

波風経たぬ物語のどこが面白いのでしょう
幸せを願うなど余計なお世話
貴方の救いなど必要ない
村の皆様にとっては残念な事でしょうけれど…甘やかすだけの神様にはご退場頂きましょう

【窮猫滅敵】を発動

私の幸福は他でもない私自身の手で掴み取ります
猟兵を舐めないでくださいませ



 空から現れたもの――鉄・百(もふもふもふもふ・f22759)はそれを、見上げていた。
「成程確かに、貴方は人々の救いだったのでしょうね。ですが……」
 本当に、救いであると言えるのか――救われるだけで、人は良いのか。
 救われるだけであるとうのは、人としてどうであるのか。
 百は――救われるだけでは、人の本質ではないと思うのだ。
「思い、悩み、苦しみ、足掻き。それでも己の足で進むのが人というもの」
 故に――人々の絆は美しく。
 願いが叶う瞬間の輝きは尊いのだから。
「それが人の強さ、人の愛しさ。貴方は、彼等から人の矜持を奪い取った」
 それは、許されることではございませんと百は言い放つ。
 とん、とんと人々の間を縫うように己の最善たる距離をとる百。
 ノーズワンコスモス09はその姿を視線で追っていた。
 あの子は何をするのだろう。そんな風に思っているのかもしれない。
 けれど紡ぐ言葉の意味は、わかってはいないのだろう。
「波風経たぬ物語のどこが面白いのでしょう」
 人々の間から、ノーズワンコスモス09を制圧するように射撃をかける。その足を止めるように周囲を打ち抜いて牽制しながら、百は紡ぐ。
「幸せを願うなど余計なお世話、貴方の救いなど必要ない」
 少なくとも、百自身にとってはそうだ。そしてここに集う猟兵たちも必要とはしていない。
 百はちらりと村人を見る。
 かみさまだ、と祈りを捧げている。一心に、その想いを傾けて。
 彼らの神様を、奪うことになるのはわかっていることだ。
「村の皆様にとっては残念な事でしょうけれど……甘やかすだけの神様にはご退場頂きましょう」
 百はノーズワンコスモス09の前に立つ。そして唱えるのは――猫ちぐらを召喚する言葉。
「弱り目 祟り目 ぐるっとまわって 呪い猫」
 鎖鎌の鎖がじゃらんとなる。手裏剣と苦無、そして撒菱を手にした猫又たちが無数に乗る猫ちぐらが百の後ろからのっそりと現れた。
「私の幸福は他でもない私自身の手で掴み取ります」
 猟兵を舐めないでくださいませ、と向けた言葉と共に猫又たちはノーズワンコスモス09へととびかかる。
 鎖鎌で体を戒めくるくると回って縛って、手裏剣と苦無、撒菱を放ち攻撃する。
 ノーズワンコスモス09は――その攻撃を受けた。いたい、と小さく紡ぎ己を戒める鎖を見詰め、抜け出たいと思う。
 そして人々の幸せにという願いを受けて、その鎖を断ち切った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鈴久名・惟継
【幽蜻蛉】
烏の次は天使、あれが待ち望んでいた神様か
神々しい、実に神々しいな
忌々しい程に

得物を構えれば空から降る羽を見上げる
見せられる世界は……なるほど、昔か
竜神が人に忘れられる前、信仰が失われていない頃の

此処はカクリヨの者の中では繋がり深い世界
我が一族は人の信仰対象であり、友として生きる満ち足りていた過去の世界
だが……今は浸る気にはなれん

解せん、解せんな
人を見捨てないと言い、幸せを願いながら贄を求める
代償がなければ人は救えぬ、最早悪魔の契約だ
神は時に試練を与えるが奪いはしない
俺はお前を否定する

雷獣ノ腕で大太刀形成、破魔の力にて祓う
羽を払った後、槍に変えて接近
遵殿浸っている場合ではない、往くぞ!


霞末・遵
【幽蜻蛉】
えっ、急にみんなどうしたの
神様? へえ、初めて見た
竜神様じゃないんだね。最近の流行りってやつ?

まあ実際問題のない儀式だよね
生贄も幸せ周りも幸せ。よくない?
神様も大変だね。人間が勝手に作った法に振り回されて
ちょっときらきらして、なんかいい気分になるだけなのに
お酒も入ってるしこの気分のまま寝ちゃおうかなーなんて

でもこの身体に刻まれた傷は消えないし
消えたところでないものは戻ってこないからなあ
あとおじさん眩しいのちょっと苦手

わかってるよ惟継さん。飲んだらやるって言ったもんね
外野から久々にランチャーをお見舞いしようじゃないか
やっぱ顔狙い? 翼にする?
ついでに人間たちの驚いた感情も頂いておこう



 人々が一つの方向を見詰める。頭を下げる。
 その様子に霞末・遵(二分と半分・f28427)は周囲をくるりと見回して。
「えっ、急にみんなどうしたの」
「烏の次は天使、あれが待ち望んでいた神様か」
 鈴久名・惟継(天ノ雨竜・f27933)の言葉に――遵もその視線の先を追いかけた。
「神様? へえ、初めて見た」
「神々しい、実に神々しいな」
 忌々しい程に、と惟継は紡ぐ。そして向ける視線は鋭い。
「竜神様じゃないんだね。最近の流行りってやつ?」
 遵はどうなの? と首を傾げるが、惟継はどうだろうなとまた問うように返した。
「まあ実際問題のない儀式だよね。生贄も幸せ周りも幸せ。よくない?」
 そう、遵は思う。そしてあの神様とやら――ノーズワンコスモス09も大変だね、という。
「人間が勝手に作った法に振り回されて」
 ちょっときらきらして、なんかいい気分になるだけなのにと遵は見上げている。
「お酒も入ってるしこの気分のまま寝ちゃおうかなー」
 なんて、とからりと笑う。けれどその表情と内心は少し違うのだ。
 でもこの身体に刻まれた傷は消えないし――消えたところでないものは戻ってこないからなあ、と遵は零した。
 ノーズワンコスモス09は、輝きを放つ。それは――記憶と、身体と、心に刻まれた癒しを消す優しく、柔和で、温かな光。
 それと同時に、その光は――力を削っていくものだ。
 その光に遵は僅かに瞳眇めて。
「あとおじさん眩しいのちょっと苦手」
 眩しい、ううと遵は唸る。
 その傍らで惟継は己の得物を構える。
 ひらり、はらり――空から降る羽を見上げながら。
「見せられる世界は……なるほど、昔か」
 竜神が人に忘れられる前、信仰が失われていない頃の――惟継がかつていた世界。これは夢か、幻か。
 此処はカクリヨの者の中では繋がり深い世界。
 惟継は思い起こす。
 我が一族は人の信仰対象であり、友として生きる満ち足りていた過去の世界――その姿を。
 懐かしくもあり、愛おしくもあり。懐郷、と思うがしかし。
「だが……今は浸る気にはなれん」
 紡いで――一瞬の雷光を惟継は傍らに。その雷を掴めば、それは惟継の武具となるべく形をとる。
「解せん、解せんな」
 人を見捨てないと言い、幸せを願いながら贄を求める――代償がなければ人は救えぬ、最早悪魔の契約だと、惟継は言い放つ。
 あれは本当に神だろうか。神だとしても、己とは理解できる相手ではないだろう。
「神は時に試練を与えるが奪いはしない」
 俺はお前を否定する、と雷の大太刀を大きく振るう。
 落ちてくる羽根を払い、惟継はそれを槍へと変えた。
「遵殿浸っている場合ではない、往くぞ!」
「わかってるよ惟継さん。飲んだらやるって言ったもんね」
 外野から久々にランチャーをお見舞いしようじゃないか、と笑って遵はトランクケースを開けた。幽世式六連装ロケットランチャーが飛び出すように首覗かせた。
「やっぱ顔狙い? 翼にする?」
 ついでに人間たちの驚いた感情も頂いておこうとノーズワンコスモス09へと放たれる。
 その攻撃の後、惟継が放った槍がノーズワンコスモス09のその身の一部を、抉る様に削った。
 神様に攻撃をかけるものたちがいる、と人々はざわめくが――しかし、彼らにできることはない。
 この場に残っているのは、誰よりも強いものたちなのだから。
 自分たちが勝てぬと思う相手に――彼らは、向かわない。神様が幸せにしてくれると信じているから、神様に任せておくだけ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
いいえ、いいえ
贄を必要とする、人の命で成り立つものは幸せではありません
……それがなくとも、人は幸せになれるではありませんか
それに縋るしか術が無いと言われようとも
往きましょう、倫太郎

羽はなぎ払いと衝撃波にて対処
倫太郎の術で引き寄せられたのならば接近
引き寄せられない場合は付近の障害物を利用して跳んで接近

羽により理想と思われる世界が見える
それでも、見せてくる相手が違う
奴だからこそ受け取れない

早業の抜刀術『風斬』、攻撃力重視の2回攻撃で攻める
敵の攻撃は残像にて回避後、反撃

この蟠りは彼等の幸せそうな顔を見てからだった
人の命から与えられた幸せに何の疑問もない
……それが酷く恐ろしく、悲しく思えた


篝・倫太郎
【華禱】
幸せでありますように、か……
その願い自体は悪い事じゃないんだけどな
往こうぜ、夜彦

拘束術使用
敵が射程内なのを確認したら鎖での先制攻撃と同時に拘束
拘束の手ごたえがあったら
鎖を引いて敵を地上に引き擦り降ろす
拘束が叶わない場合は拘束するまで術を使用

羅刹の膂力、舐めンなよ

敵の描く理想の世界はどうやったて相容れない
それは満たされてるようでありながら
自分で考える事を放棄する世界だから

そこに慣れたら、適応したら
俺が俺じゃなくなる

俺の矜持も、夜彦の矜持も失せる事になる
それを理想と受け入れる訳にはいかねぇよ
そんな世界は幸せとは程遠いからな

敵の攻撃は見切りと残像で回避
狂気耐性、多少は影響振り払えないだろかね



 その言葉に、月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は頷くことはできない。
 いいえ、いいえと――首を横に振る。
「贄を必要とする、人の命で成り立つものは幸せではありません」
 それは違う。幸せではないと夜彦は紡ぐ。すぅと細められた瞳には、想いが宿っていた。
「……それがなくとも、人は幸せになれるではありませんか」
「幸せでありますように、か……」
 その願い自体は悪い事じゃないんだけどな、と篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は言う。
 夜彦はその声に瞳伏せて――思うのだ。
(「それに縋るしか術が無いと言われようとも」)
 その想いに沈みかけるけれど引き戻す声がある。
「往こうぜ、夜彦」
 夜彦は倫太郎の言葉に、頷いて。
「往きましょう、倫太郎」
 地を蹴り、現れた神様とやら――ノーズワンコスモス09へと二人で向かう。
 ふわり、ひらりと落ちてくる羽がある。
 それに対したのは夜彦だ。
 一瞬立ち止まり、刀を抜き放つ。そのなぎ払う勢いと衝撃波によって吹き飛ばした。
 そして道が開けたなら倫太郎は手を伸ばす。
 見えぬ鎖が――ノーズワンコスモス09を縛り上げるのだ。
 その拘束の手応えに口端を上げ笑って引き寄せる。
 鎖を手繰り地上へ。しかしそれにノーズワンコスモス09もまた対する。
「羅刹の膂力、舐めンなよ」
 ぐ、と倫太郎は力を籠める。
 倫太郎にとって、敵の描く理想の世界はどうやったって相容れないものだった。
 それは満たされてるようでありながら、自分で考える事を放棄する世界だから。
 それは受け入れては、いけないものと思う。
「そこに慣れたら、適応したら――俺が俺じゃなくなる」
 紡いで、引き寄せる。
 そんな世界になってもらっては困ると。
(「俺の矜持も、夜彦の矜持も失せる事になる」)
 それを理想と受け入れる訳にはいかねぇよ、と倫太郎は言う。
「そんな世界は幸せとは程遠いからな」
 思い切り力を入れて引き寄せた。敵はまだ空にいるが――しかし、十分だ。
「夜彦!」
 向けた声と共に、夜彦が周囲のものを足場に跳躍する。
 ふわり、触れた羽が見せる世界がある。けれど。
 その理想と思わせる世界を見せてくれる相手はノーズワンコスモス09ではない。
「受け取れません。これは違う」
 もし、そんな理想の世界を見せてくれるのならそれは倫太郎だ。
「我が刃、風の如く」
 空で繰り出される居合切り。
 威力をあげた居合切りを夜彦は放った。敵の上を二度走るそれは確実にダメージを負わせていた。
 空の上で、夜彦は身を翻す。
 するとその視界に――この村の者達の姿が目に入り、嗚呼と。すとんと胸に落ちたものを感じる。
(「この蟠りは彼等の幸せそうな顔を見てからだった
」)
 人の命から与えられた幸せに何の疑問もない――何を糧としているのか、気づいているのか、いないのか。
(「……それが酷く恐ろしく、悲しく思えた」)
 それは本当に己で得た――幸せではない。
 夜彦も、倫太郎も――人の命から与えられる幸せがあることも、知っている。
 でもそれはこの村のそれとは違う。秤がぐらつくことがあろうとも、その上でつり合いがとれた、幸せだ。
 命があり、共にあることで得られる幸せをこの村の者達が知ることがあるのか――それは今は、まだ分からぬこと。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シェーラ・ミレディ
ミス日下部(f25907)と参加

「願い、なぁ」

例えば、懸命に乞うこと
遠く離れた想い人の幸せや無事を祈るように
病に侵された子の手を取って励ます親のように
胸の内に抱く思いの発露。その一形態、だろうか
……ミス日下部の結論と、大して違いはないのだが

「願うだけで幸福になれるなんて、詐欺師の言葉じゃないか」

かばわれながら動き回って射線を確保
こまめに弾丸を放ち、ミス日下部が組み付けるだけの隙を作る
敵の動きが封じられたら『片恋の病』
ミス日下部に当てぬよう、細心の注意を払おう

「現世利益のある神など、害悪にしかならんな」

願いが本来あるべき力を歪めて、掠め取って
──これは、淘汰すべき邪悪だ

※アドリブ歓迎


日下部・舞
ミレディ君(f00296)と参加

「ミレディ君は願いってなんだと思う?」

敵からの攻撃を【かばい】ながら問いかける
夜帷で【受け】【怪力】で弾き返して【継戦能力】を発揮する

「私は夢や目標だと思ってる」

叶えたいと願うなら、願うだけじゃなくて
叶わないから願うのか、それはわからないけど

「私には誰かに叶えて欲しい願いなんかない」

あの時も、今だって、力のあるなしなんて関係ない
願うだけじゃ何も叶わないって知ってるから

【犠牲】を発動

彼女に組み付いて動きを封じる

「対価は必要でしょう。でも、あなたはどんな対価を払っているの?」

願いを叶えることは代償なんかじゃない
あなたが滅ぶとするなら、それは今までのツケの精算よ



 現れた神様、ノーズワンコスモス09――そして、村の人々。
 その様を目に、日下部・舞(BansheeII・f25907)はシェーラ・ミレディ(金と正義と・f00296)の前へ、視線をノーズワンコスモス09に向けたまま立つ。
 ノーズワンコスモス09は猟兵たちからの攻撃を受け、そして己を害するものに対するように羽ばたき、人々からの想いを受けて戦う。
 ふわりと、軽やかな動きであるのに。
 羽ばたきで打ち付ける力は強く、そして時折気紛れに振り上げられる足の一撃は思う。
 それを、シェーラをかばいながら舞は問いかける。
「ミレディ君は願いってなんだと思う?」
 羽ばたきは、夜帷で受け、怪力で弾き返して距離を取って。
 そして舞の問いかけにシェーラはぽつりと、零す。
「願い、なぁ」
 願い。
 例えば、懸命に乞うこともそうだろう。
 遠く離れた想い人の幸せや無事を祈るように――
 病に侵された子の手を取って励ます親のように――
 胸の内に抱く思いの発露。その一形態、だろうかと、シェーラは思う。
 そしてシェーラへと、舞も言葉向ける。自分がそれを、どう思っているのかと。
「私は夢や目標だと思ってる」
 それは――叶えたいと願うなら、願うだけじゃなくて、と舞は続ける。
 叶わないから願うのか、それはわからないけど――それだけでは、駄目なのだと思う。
「私には誰かに叶えて欲しい願いなんかない」
 舞の記憶の中、よぎる瞬間がある。
 その瞬間――あの時も、今だって、力のあるなしなんて関係ない。
 舞はノーズワンコスモス09を真っすぐに見詰めながら、紡ぐ。
「願うだけじゃ何も叶わないって知ってるから」
 願うだけの、村の人々。彼らは何か、努力や己の出来ることをしているのだろうか。
 彼らはしているつもりなのかもしれない。
 しかし――舞にはそうは思えない。ひとりに、全て任せているだけのように見える。
 そしてシェーラは舞の言葉に、頷いて問い掛けの答えを紡ぎながら、ノーズワンコスモス09へと弾丸を放ち、隙をうもうとする。
「……ミス日下部の結論と、大して違いはないのだが」
 そして――そう、これが一番しっくりとくると紡ぐ。
「願うだけで幸福になれるなんて、詐欺師の言葉じゃないか」
 詐欺師の言葉、と舞は瞬いて。
 なるほど、たしかにその通りねと、シェーラの放った弾丸へとノーズワンコスモス09の気が向いた瞬間に組み付いた。
 捨て身の体当たり――その身を掴んで、地へと引きずり落す。
「対価は必要でしょう。でも、あなたはどんな対価を払っているの?」
 このノーズワンコスモス09と、この村の始まりがどのようなものだったのかはわからない。
 けれど今、人々は願うだけで助けようとは、しない。
 その程度のつながりとも、言えるのだろう。
「願いを叶えることは代償なんかじゃない」
 あなたが滅ぶとするなら、それは今までのツケの精算よ――その言葉に、ノーズワンコスモス09はゆっくりと瞬いた。
 向けられた言葉を理解しているのかどうか。
 そして舞が抑えているところにシェーラは銃口を向ける。
 舞には当てぬように細心の注意を払って――愛憎の弾丸を。
 さてこの愛憎も、あのノーズワンコスモス09は理解できるものなのだろうか。
 いやきっと、できないだろうと引き金に指をかけた。
「現世利益のある神など、害悪にしかならんな」
 願いが本来あるべき力を歪めて、掠め取って。
 願いとは、この村の形ではないはずだ。
「──これは、淘汰すべき邪悪だ」
 シェーラの放った弾丸は、ノーズワンコスモス09の身を貫く。
 そこからあふれるのは――彼女の血か。それとも人々が今まで向けてきた、願いか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

何のために彼女は現れたのだろう。
邪神なんだから力を得るためなんだろうけど、でも…。
自己満足ってやつなのかな。

なるべく存在感を消し目立たない様に立ち回る。隙を見てマヒ攻撃を乗せた暗殺のUC菊花で攻撃。代償は寿命。
光だからこそ当たらないように、対象にならないように気を付ける。
一応手鏡は持ってるけど、あくまで呪詛返し用。小さいし反射しきれないだろう。
もっと強い光を出せれば打ち消せるのに…。
敵の物理攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らうものは激痛耐性で耐える。



 何のために彼女は現れたのだろう――黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)はノーズワンコスモス09の姿を瞳に映していた。
 いや、その理由は想像できる。
 あれは邪神なのだ。
(「邪神なんだから力を得るためなんだろうけど、でも……」)
 本当にそれだけなのだろうか。
 それとも、他になにがあるのか考えてみるけれど、答えはでてこない。
 きっと問うても、真実は得られないだろう。
 そんな中で瑞樹が思うのは――
「自己満足ってやつなのかな」
 存在感を消し目立たないように立ち回る瑞樹。
 隙を見て、攻撃をしかけるつもりで動くのは何時もと同じだ。
 マヒを乗せた攻撃を。暗殺の為の一撃に乗せるのだ。
 その代わりに、己の寿命を代償として。
 と――光が降り注ぐ。それはこの場全てに注がれるもので、瑞樹は当たらぬように物陰に隠れる。
「手鏡じゃ、防げないか」
 それはあくまで、呪詛返し用。小さいし、この場に満ちる光全てを反射することはできない。
 もっと強い光を出せれば打ち消せるのにと思うが――今は、無理そうだ。
 機会を待つ。今できるのはそれだけで。
 ふわりと浮くノーズワンコスモス09が背中向けた瞬間、瑞樹は向かう。
 さえぎるものはなく、光によって己の力が落とされているのを感じるけれども。
「はっ!」
 その瞳を瞬かせ自身の本体でもある黒鵺をもって9度切りつける。攻撃をかける瞬間、ノーズワンコスモス09も気づいたけれども身を守るにはもう遅い。
 ノーズワンコスモス09の身の上を、いくつもの傷が走った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘルガ・リープフラウ
❄花狼

ああ、やはりこの邪神も同じことを言うのね

心と体に刻まれた傷を消し去ると嘯きながら
それまでに積み重ねた全ての記憶を奪い去る
1年前の、あの欺瞞の残酷劇と同じ
そう言って人々を謀り、心を壊した悪意ある敵を何度見たことか

確かに、辛い過去も、苦い経験もあるでしょう
でも、その記憶を乗り越えなければヴォルフとの出会いはなかった
今のわたくしは、あの日のわたくしとは違う
彼と寄り添い、共に過ごしてきた愛しき日々を奪わせはしない

【永遠の双星】はいつも、この胸の裡に輝いている

苦難に立ち向かう覚悟も決めて
自らを縛る限界をも超えて
邪念を打ち払い浄化の魔力を解放する

ヴォルフに祈りを、祝福を
この力、あなたに預けます……!


ヴォルフガング・エアレーザー
❄花狼

全て満ち足りた理想の世界
憂い無き平和な世界
ヘルガが笑顔でいられる世界…

違う
これは1年前のあの事件と同じだ
敵に記憶を奪われ、欺瞞に満ちた夢の舞台に囚われ
心を壊され体も蝕まれ、じわじわと死に誘われながら
虚ろな瞳で空虚に笑うヘルガの姿……

忘れるものか、あの悪夢を、屈辱を
こんなものを『幸福な楽園』などと、俺は認めない!

【守護騎士の誓い】を胸に
偽りの世界を呪詛耐性で打ち破る
苦難に満ちた道程の中で、彼女が得た勇気と覚悟
共に生きると誓った彼女の強さを
決して踏み躙らせはしない

彼女がくれた浄化の力と共に
この剣に邪心を滅する煉獄の炎を乗せ
偽りの救世主をなぎ払う

俺たちの心は、俺たちのものだ
誰にも奪わせるものか



 ひらり、ふわりと羽根が落ちてきて――それはヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)へとある世界を見せる。
 全て満ち足りた理想の世界、憂い無き平和な世界。
 そして己に向かって微笑む存在がいる。
(「ヘルガが笑顔でいられる世界……」)
 しかし、これは違う、とヴォルフガングは首を振る。
 違う、これは――1年前のあの事件と同じだと。
 その時のことを想い出して。
(「敵に記憶を奪われ、欺瞞に満ちた夢の舞台に囚われ、心を壊され体も蝕まれ、じわじわと死に誘われながら――虚ろな瞳で空虚に笑うヘルガの姿……」)
 忘れるものか、とヴォルフガングは胸に誓う。
 あの悪夢を、屈辱を。
「こんなものを『幸福な楽園』などと、俺は認めない!」
 そしてヘルガ・リープフラウ(雪割草の聖歌姫・f03378)も、瞳を伏せて。
(「ああ、やはりこの邪神も同じことを言うのね」)
 心と体に刻まれた傷を消し去ると嘯きながら、それまでに積み重ねた全ての記憶を奪い去る。
(「1年前の、あの欺瞞の残酷劇と同じ」)
 そう言って人々を謀り、心を壊した悪意ある敵を何度見たことか――そう、ヘルガも思うのだ。
「確かに、辛い過去も、苦い経験もあるでしょう」
 でも、その記憶を乗り越えなければヴォルフとの出会いはなかった――辛いものだけではないことをヘルガも知っている。
「今のわたくしは、あの日のわたくしとは違う」
 だから真っすぐ、敵を。ノーズワンコスモス09を見据えられた。
「彼と寄り添い、共に過ごしてきた愛しき日々を奪わせはしない」
 守護騎士の誓いをヴォルフガングが抱くのなら――ヘルガは。
「病める時も健やかなるときも、喜びも悲しみも、貴方がくれたこのあたたかな光は、いついかなる時もこの胸に」
 その胸に裡に輝きを。
 苦難に立ち向かう覚悟も決めて、自らを縛る限界をも超えて。
 邪念を打ち払い浄化の魔力を解放する――その魔力を向けるのは。
「ヴォルフに祈りを、祝福を。この力、あなたに預けます……!」
 その力を受けて、ヴォルフガングはその世界を打ち破る。
(「苦難に満ちた道程の中で、彼女が得た勇気と覚悟」)
 共に生きると誓った彼女の強さを、決して踏み躙らせはしないと刃をふるい、炎を灯す。
 それは煉獄の炎であり、剣に乗せて薙ぎ払う。
 ごう、と猛る炎はノーズワンコスモス09の身の上を駆けて。
 目の前の相手は――偽りの救世主なのだと。
「俺たちの心は、俺たちのものだ。誰にも奪わせるものか」
 強い言葉と共に、ノーズワンコスモス09の上で炎が一層強く踊った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

百舌鳥・寿々彦
🦋🕊
救うね…化け物の癖に
少女に頭を下げる人々を軽蔑した目で見つめる
馬鹿じゃねぇの
自分を救えるのは自分だけなのに
指に絡み付く蜘蛛糸のような鋼糸を見つめる
僕を救えるのも僕と…蜘蛛糸の先のあの子だけ

心配そうに見てるサラに気付いて笑いかける
大丈夫だよ

大丈夫なんだ
だって僕はもう無力だった子供じゃないのだから…

神と名乗る少女から注がれる光
何かが奪われるような感覚それと共に消えゆく僕の蜘蛛

返せ!!!

過去の傷は僕の心臓
喩え、何だろうと触れる事は許さない
少女への嫌悪感を強め、蜘蛛達へ命令を下す
跡形も無く、喰らい尽くせ

僕を守るって言うサラに困ったように笑う
大丈夫だよ

(僕、死んでるから)それは心の中で呟いた


片羽・サラ
🦋🕊

幸せを願ってくれてるようだけどさ
あまり願う表情してないね?
救うのも大事だけど、神頼みのみも頂けないよね?

調子が悪そうな寿々彦くんを心配そうに見る
地雷を踏んでしまったのかな
無理して仕事行かなくていいんだからね?
眉を下げ、控えめに裾を握る
大丈夫と言ってくれる
それなのにいまいち安心できないのはなんでだろう

敵は待ってくれない
敵の攻撃は見切って躱し
空は僕のフィールドだよ!
地を空を蹴って、くるくると蝶のように舞い、空中戦に特化した戦いを
勢い良く蹴りを入れ、鉄パイプを振りかざし
すとっと降り立ち
力を込めれば、村に置いてあるガラクタ達が動いて敵に襲いかかってくれる

寿々彦くんは僕が守るんだよ
僕がいるからね



 現れた、神様たるノーズワンコスモス09と人々の姿に、片羽・サラ(星空蝶々・f29603)は首を傾げる。
 祈っては、いる。けれどその表情は――そうとは、思えない。
「幸せを願ってくれてるようだけどさ、あまり願う表情してないね?」
 救うのも大事だけど、神頼みのみも頂けないよね? とその想いを零すサラ。
 そして、人々から百舌鳥・寿々彦(lost・f29624)はノーズワンコスモス09へと視線を向けた。
「救うね……化け物の癖に」
 何を、あれはいっているのだろうか。そんな簡単に救えるものなのか。
 そしてあのノーズワンコスモス09へと頭を下げる人々へ向けるのは軽蔑の視線。
 そして寿々彦は「馬鹿じゃねぇの」と、唇を動かす。
 自分を救えるのは自分だけなのに――寿々彦は己の指をぴくりと動かす。
 その指に絡みつく蜘蛛糸のような鋼糸。
「僕を救えるのも僕と……」
 ――蜘蛛糸の先のあの子だけ。
 寿々彦は目の前にはいない、あの子の姿を見詰めている。
 そんな様子を、そうっとサラは心配そうに見つめていた。
(「地雷を踏んでしまったのかな」)
 寿々彦が心配だ。サラは眉を下げ控えめに寿々彦の裾を握る。
「無理して仕事行かなくていいんだからね?」
 その、心配そうなサラに気づいて寿々彦は笑いかける。
「大丈夫だよ」
 大丈夫だよと――言ってくれる。それなのに、その言葉はサラの中に上手に落ちてこなくて。
 いまいち安心できないのはなんでだろうと――僅かに指先に力が籠る。
 そして、それにまた寿々彦は気付く。
「大丈夫なんだ」
 大丈夫だと――もう一度紡ぐ。
(「だって僕はもう無力だった子供じゃないのだから……」)
 しかし、ノーズワンコスモス09から光が、溢れる。
 それは奪っていく。優しく柔らかく暖かな光であるのに。
 寿々彦は何かを奪われるような感覚と、それとともに消えていく蜘蛛の姿に瞳見開く。
「返せ!!!」
 消えていくそれは――その、過去の傷は僕の心臓と手を伸ばして。
 それは喩え、何だろうと触れる事は許さない。ゆるしてはいけないもの。
 目の前で光り輝く、ノーズワンコスモス09への嫌悪感を強めていく寿々彦。ざわりと、蜘蛛たちが寿々彦の周囲へと集う。
「跡形も無く、喰らい尽くせ」
 指先で、指し示す。蜘蛛たちはノーズワンコスモス09の身へと飛びついた。
 そして敵は待ってくれないのだとサラは二人の間にたって少しでもと、光を遮る。
「空は僕のフィールドだよ!」
 地を、空を蹴って、くるくると蝶のように舞う。
 サラは空中で身を翻し、勢いよく蹴りをいれた。その勢いにノーズワンコスモス09はぐらりと傾く。
 その瞬間を、サラはまた見逃さない。
 鉄パイプを振りかざして――地にすとっと降り立ち力を籠める。すると近くにあるガラクタ達が動いて、ノーズワンコスモス09へととびかかった。
「寿々彦くんは僕が守るんだよ」
 僕がいるからね、とサラは視線向ける。
 その様子に寿々彦は困ったように笑った。
 大丈夫だよ、と紡いで――その続きは心のうちに沈める。
 僕、死んでるから。
 それは深く、深く沈めて音にはしない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヲルガ・ヨハ
讃え、平伏す人の子らの有り様と
すくいの言葉とやらに

面紗の奥に
柔らかな笑みを湛えた儘
乙女は言い放つ

嗚呼、反吐が出る 

記憶も、傷も、痛みさえ
統べてそれ故に
われをわれとして構成する
奪われ生きるそれは最早、人形だ
おぞましい

嗚呼なれど
これ以上喪うものがあろうか?

立ち止まり、よくよく敵の動きを見定め
身のこなし、結界術とオーラ防御
それでも
光が我が身を灼くが先か
それとも
おまえが身を呈し庇うが先か

浮かぶのは自嘲
浅ましい、嫉妬などと
うらやましかったのだ
忘らるることなく求められる、この異なる神が

嗚呼、
そうだな
おまえだけがあればいい
おまえと駆ける愛しき戦場こそが──

繰り出す雲蒸竜変
お前にわれはすくえぬよ、決して

失せよ



 あれが、とヲルガ・ヨハ(片破星・f31777)は顔向ける。
 ノーズワンコスモス09――それはいかなものか。
 そして。
(「讃え、平伏す人の子らの有り様――」)
 そして、彼らが頭下げるものの、すくいの言葉。
 ヲルガは面紗の奥に柔らかな笑みを湛えた儘――言い放つ。
「嗚呼、反吐が出る」
 目の前の、この光景に。
 抱えられたまま、見下ろして。そしてそうとおまえに身を寄せて。
 ノーズワンコスモス09が放つ光にヲルガは笑い零していた。
 それは消していく――記憶に刻まれた傷と経験を。
 身体に刻まれた傷と鍛錬を。
 心に刻まれた傷と戦意を。
 記憶も、傷も、痛みさえ――統べてそれ故に。
 ヲルガは思う。
 それは、われをわれとして構成するもの。
 それを奪われたなら――それはいかなものになり果てるか。
「奪われ生きるそれは最早、人形だ」
 おぞましい、とその唇がかたどって音にしていく。
「嗚呼なれど、これ以上喪うものがあろうか?」
 ノーズワンコスモス09に近づくが立ち止まる。よくよくその動きを見定め、身を躍らせ結界術とオーラをもって光を遮る。
 それでも、その優しく柔らかで暖かな光がヲルガの身を灼く。
 それが、先か。
 それとも――おまえが身を呈し庇うが先か。
 ヲルガの前におまえが立ち、その光を遮った。
 その後ろでヲルガは自嘲を浮かべていた。
 浅ましい、嫉妬などと――と。
 そう、わかっていたのだ。ヲルガの心のうちにあるものを。
 うらやましかったのだ――この、人々に崇められ忘らるることなく求められる、この異なる神が。
 けれど、この光を遮るおまえが、いる。
「嗚呼、そうだな」
 おまえだけがあればいいとヲルガは囁くように紡いでいた。
「おまえと駆ける愛しき戦場こそが──」
 さぁ、踊ろうかと言葉にせずとも、駆ける。
 右にも、左にも。なにも合わさずとも、合わさり重なる。
「お前にわれはすくえぬよ、決して」
 ノーズワンコスモス09を、ヲルガとおまえ、ふたりの攻撃がとらえてその身に傷を負わせていく。
 失せよ――と、面紗の下から静かに言の葉を向けてノーズワンコスモス09の身を弾いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
本当に神様みたいなの出てきましたね…
いや神様みたいだからこそ続いてたのかな

まあ、この話はここでおしまいなのでどうでもいいですが
そのすくいを否定しましょう…代案はないですが

化け煌めきな、ミミック
全て切り裂いて、偽りを惨劇に変えてやりましょうか
空間変える羽から優先してぶった斬ってくださいね

自分も衝撃波込めた弾で撃って行きましょう
戦闘知識や第六感で適当に立ち回って…んー明確にこちら攻撃してくるわけでないのかね?
なら正面から突き進みますか

全てが満ち足りるってのはある種の理想ではあるでしょうね
ただまあ、そんな人生楽しいかって話ですよ
何より満ち足りてるのならばこんな所で戦ってないのです

(アドリブ絡み歓迎)



 他の猟兵が攻撃してノーズワンコスモス09が吹き飛ばされてくる。
 しかし、立ち上がり――波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)の前に。
 拓哉は、ノーズワンコスモス09の前で構える。
「本当に神様みたいなの出てきましたね……いや神様みたいだからこそ続いてたのかな」
 村の人々の、その姿。そして神様とあがめられるもの。
 けれどそれも、今日で――おしまい。
「まあ、この話はここでおしまいなのでどうでもいいですが」
 拓哉は周囲を撫でるように見つめて一つ息を吐く。
「そのすくいを否定しましょう……代案はないですが」
 対してノーズワンコスモス09は羽ばたいて。ひらりふわりと羽根を落として攻撃を。
 拓哉は、それに対するべく箱型生命体から反物質の刃を閃かせる。
「化け煌めきな、ミミック」
 全て切り裂いて、偽りを惨劇に変えてやりましょうかと刃を躍らせて。
 その空間変える羽から優先してぶった斬ってくださいねとミミックへと命じる。
 そして拓哉自身も衝撃波込めた弾を撃ってまずその羽根を吹き飛ばす。
 しかしそうしても――直接何か。攻撃を仕掛けてくる様子はない。
 それはノーズワンコスモス09の在り様なのだろうか。
「んー明確にこちら攻撃してくるわけでないのかね?」
 いくら攻撃かけても羽ばたいてその羽根を散らしていくだけ。
「なら正面から突き進みますか」
 拓哉は正面へ向かう。
 向かい合ったその神様とやらは――己がないような表情をしていた。
「全てが満ち足りるってのはある種の理想ではあるでしょうね」
 けれどそれは――ただ生きているだけになるのではないかと思う。
「ただまあ、そんな人生楽しいかって話ですよ。何より満ち足りてるのならばこんな所で戦ってないのです」
 そうだろう、ミミックと問えば同意するように刃を放つ。
 それはノーズワンコスモス09の身へと突き刺さってダメージを残していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

朱赫七・カムイ
⛩神櫻

全くもって、神という理想を体現するような言葉であるね
全てを愛し、あまねくを救う
幸いと理想を叶え欲すらも受け入れる
正しく彼らの寄り添う神であるのだね
だけど彼女から感じるのは虚ろだ
……こうして虚ろに平等にある事が神たる事なのだろうか

サヨ……!
巫女の言葉に歓びが込み上げる
そうだよ
私はサヨの神
きみが他の神に触れるなど赦さない

そなたのそれは呪いだ
ひとを穢す呪い

再約ノ縁結

重ねられた祈りと齎される力を切断し約しなおす
私の巫女を傷つける何もかもを約さない
その願いは叶わないよ
結界を張りサヨを守り、早業で駆け切り込み切断する


かの一族は私達を恨むかな?
だとしても生命を贄として己達だけが利を得る
在り方を否定する


誘名・櫻宵
🌸神櫻

これが彼らの神なのね?
……他の生命贄にして叶えた慾の果て
穢れが酷くにおう

あら
嫌だわカムイ
私の神様とアレを同じにしないで頂戴
あなたは私の大切ないっとうの神様なのだから
それともカムイは私が別の神に心を寄せてもいいのかしら?

うふふ
カムイはかぁいい……私の神様よ
浄化と破魔を巡らせて、桜化の神罰宿す斬撃と共に薙ぎ払う
楽に叶うのはいいけれど
それでは味気なくつまらない
怠惰に堕ちたものに、未来はないの
満ち足りている
もっと満たして頂戴

邪なる神のその血でね!
蹂躙するように放つ、絶華

恨まれたって構わない
全て無くすのは対価よ
初めから彼らのものではなかったの
富も名誉も全て
彼等が己の為に喰らい捧げた命から得たもの



 羽ばたいて――羽根が落ちる。
 誘名・櫻宵(爛漫咲櫻・f02768)はふぅんと、村人たちが神様としてあがめるモノを見詰めていた。
「これが彼らの神なのね?」
 見た目は、少女のような――しかし。
「……他の生命贄にして叶えた慾の果て。穢れが酷くにおう」
 そうと、袖でその鼻梁隠す櫻宵。朱赫七・カムイ(約倖ノ赫・f30062)も、わずかに瞳を細めてその姿を見ていた。
「全くもって、神という理想を体現するような言葉であるね」
 全てを愛し、あまねくを救う――神としては、正しいのだろう。
 幸いと理想を叶え欲すらも受け入れる――それも神として、きっと正しい。
「正しく彼らの寄り添う神であるのだね」
 カムイも、神なのだ。何か感じるところはあるのだろう。けれど、あれは己と同じ地平に立つものではないと言える。
「だけど彼女から感じるのは虚ろだ……こうして虚ろに平等にある事が神たる事なのだろうか」
 己の在り様とは違う。理解できないというように零れた言葉。
 その音拾って、ぱちりと櫻宵は瞬き――ころりと、声を転がした。
「あら。嫌だわカムイ」
 私の神様とアレを同じにしないで頂戴、と。
「あなたは私の大切ないっとうの神様なのだから」
 それとも――カムイは私が別の神に心を寄せてもいいのかしら? と紡ぐ声色にカムイの声が重なる。
 その声には歓びの響きが含まれていた。
「サヨ……!」
 心に満ちるものがある。カムイはそれを抱えるように大事に思う。
「そうだよ。私はサヨの神」
 きみが他の神に触れるなど赦さない――その言葉に櫻宵は口端を笑みに染める。
「うふふ。カムイはかぁいい……私の神様よ」
 だからこんな羽根は――いらないと櫻宵は浄化を破魔の力を巡らせる。
 邪を祓い屠り咲き誇る桜龍の牙、血桜の太刀を手に――桜化の神罰宿す斬撃でもってなぎ払う。
「楽に叶うのはいいけれど」
 それでは味気なくつまらない。
「怠惰に堕ちたものに、未来はないの」
 そう言って――櫻宵は微笑む。
 満ち足りている――けれどもっと満たして頂戴、と。
「邪なる神のその血でね!」
 とんと地を蹴ってノーズワンコスモス09へと櫻宵は距離詰めて空間ごと、存在断ち切る不可視の剣戟が、蹂躙するように走った。
 斜めに大きく走る一閃――ノーズワンコスモス09は一瞬何が起こったのか理解できていない様子。
 そして、このままこの威力のまま受け続けてはと――光を放つ。
 それは癒すとともに力を奪うものでもあった。
「そなたのそれは呪いだ」
 ひとを穢す呪いと――静かにカムイは紡ぐ。
 だから、これをともたらすのは再約ノ縁結。
「―― 人もをし 人も恨めし あぢきなく 世を思ふゆゑに 物思ふ身は」
 カムイの結ぶそれは、重ねられた祈りと齎される力を切断し約しなおすもの。
「私の巫女を傷つける何もかもを約さない」
 その願いは叶わないよとカムイは柔らかに笑って見せる。
 結界を張り、櫻宵を守りながらカムイは駆け、切断する。
「かの一族は私達を恨むかな?」
 人々の姿を見てカムイは零す。
 けれど傍らで櫻宵は嫣然と笑って。
「恨まれたって構わない。全て無くすのは対価よ」
 初めから彼らのものではなかったの――富も名誉も全て、と。
「彼等が己の為に喰らい捧げた命から得たもの」
 だとしても生命を贄として己達だけが利を得る。それは、とカムイは紡ぐ。
 あの、神様と言われるノーズワンコスモス09と同じく、神であるからこそ――在り方を否定するのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

氷月・望
楪(f16731)と
アドリブ歓迎

しあわせ?
ハハッ、ソレ『死合わせ』とかじゃなくて?
マジな方の幸せとか、甘ったる過ぎて笑えるわー

お空の上とやらで
他人の命を掌で転がしてニヤニヤしてるヤツに
幸せなんざ語られたくねぇんだよ

さァて、クソガキ
カミサマ気取りはお終いってコトで……消える前に教えてやるよ
骨髄、魂まで刻み込まれた傷は
テメェの独善なんざで癒えるワケがねぇってな

UC:惨死再現
なァ、教えてくれよ……幸せって何だ?
身体の内側まで焼き尽くす様な、焼死の幻覚は止まらない
……幻覚だけで済むワケがねぇだろ?
楪の炎、焼き尽くされるまで存分に味わえよ

ソレが俺の幸せなんでね
ま、一番は撃ち抜かれるコトだケドさ


月待・楪
氷月(f16824)と
アドリブ歓迎

しあわせ、なァ?
氷月、どーだよ
しあわせにしてくれるらしーぜ?
ふ、くふふっ
甘ったるくて、吐き気がする

欲しいモンは自分で奪ってこそ、だろーが
生け贄だのなんだので、わけわかんねェ存在から貰うなんざ殺してでも断る

つーことで、さっさと退場願うか
クイックドロウからの制圧射撃で行動を妨害
念のために念動力でカウンターを狙いつつ

しあわせ、しあわせ、しあわせ
お前の与えるしあわせなんざ、俺たちには必要ない
氷月の見せる、とびっきりの幻覚はどうだ?
【P. granatum】発動
俺だけの夕暮れが望んでる
燃えろ、くそが

…………やっぱ、望の幻覚見れるなんざ、アレには勿体なかったんじゃねーの



 その、神様とやらの口から零れる言葉は――ふわふわと軽いもののように思えた。
「しあわせ?」
「しあわせ、なァ?」
 二人の声が重なって月待・楪(Villan・Twilight・f16731)と氷月・望(Villain Carminus・f16824)は視線合わせ笑いあった。
「氷月、どーだよ。しあわせにしてくれるらしーぜ?」
「ハハッ、ソレ『死合わせ』とかじゃなくて?」
 そんな、軽口。ないない、とひらりと望は手を振って否定する。
「マジな方の幸せとか、甘ったる過ぎて笑えるわー」
 笑っているけれどそんなものというように。
 そして楪も思わずというように、笑い零した。
「ふ、くふふっ」
 そうだな、と頷いて。ひとつ、息を吐いて――
「甘ったるくて、吐き気がする」
 冷えた言葉で落とした。
 あれとは、ノーズワンコスモス09のいう事とは相いれないと楪も望も思っている。
「欲しいモンは自分で奪ってこそ、だろーが」
 生け贄だのなんだので、わけわかんねェ存在から貰うなんざ殺してでも断ると楪は言って。
 望もうんうんと頷いていた。
「お空の上とやらで他人の命を掌で転がしてニヤニヤしてるヤツに」
 幸せなんざ語られたくねぇんだよ――それは簡単に得られるものでもあるし、そうでないものでもある。
 しかし、この村とこの神様、ノーズワンコスモス09の在り様は望も楪も受け入れることができないものなのだ。
「さァて、クソガキ。カミサマ気取りはお終いってコトで……消える前に教えてやるよ」
 望は笑って――羽根の振る中へと走る。
「つーことで、さっさと退場願うか」
 それを援護するように、楪が動きを制圧するように弾丸放ち行動の幅を縛る。
 剣呑に笑って、あふれる光を払うように。それは様々な傷を癒し奪うものでもあった。
「骨髄、魂まで刻み込まれた傷は、テメェの独善なんざで癒えるワケがねぇってな」
 その光を正面から受けて、望は叩き伏せることを選んだ。
「なァ、教えてくれよ……幸せって何だ?」
 問いかけると同時に、望の背後から『死』の幻覚が広がる。
 それは――身体の内側まで焼き尽くす様な、焼死の幻覚。
 それは止まることなく、広がってノーズワンコスモス09の身を焼いて。
 しかしこれは幻覚なのだと、ノーズワンコスモス09はかわらぬ表情を浮かべていた。
 それは、しあわせはしあわせでしょうと答えるだけ。
「しあわせ、しあわせ、しあわせ」
 なんだろうな、それはというように楪は言葉を重ねた。そして、否定する。
「お前の与えるしあわせなんざ、俺たちには必要ない」
 しあわせの否定はしない。けれどそれがどうであるのか決めるのは、二人なのだから。
「氷月の見せる、とびっきりの幻覚はどうだ?」
 けれど幻覚だけでは終わらせない。
 ――弾けろ、と。楪が紡げば炎の弾丸がノーズワンコスモス09を貫いた。
 ふは、と望はそれが走るのを見て、笑う。
「……幻覚だけで済むワケがねぇだろ?」
 楪の炎、焼き尽くされるまで存分に味わえよ、と言い放って。
 嗚呼、と楪は零す。
 俺だけの夕暮れが望んでる――燃えろ、くそがと向けて。
 よく燃えてる、と望は楽し気に零す。
「ソレが俺の幸せなんでね」
 そんな望の姿に、楪はなんだか納得いかないような、腑に落ちないようなものを少し抱えていて。
 それが何か――考えて、腑に落ちた。
「…………やっぱ、望の幻覚見れるなんざ、アレには勿体なかったんじゃねーの」
 そのちょっと不機嫌さを帯びた言葉に望は瞬いた。
 そして唇の端をあげて、笑って。
「ま、一番は撃ち抜かれるコトだケドさ」
 誰に、とは伏せて告げた。それは告げずとも、わかるだろうから。
 その返事のように、楪は手を銃の形にして――望のこめかみを軽く、小突いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ジン・エラー
【甘くない】

神っつゥ~から何かと思えばガキじゃねェ~~か
オイオイオ~~ォイエリシャァ~~~??
あンなのと一緒にするたァ~~正気かァ~~??イッヒブヒャ!
そォ~~かい!そりゃァ~~光栄だねェ~~~!

ギャグヒャハ!!言ってくれるじゃァ~~ねェ~~かエリシャよォ~~
そりゃァ~~ねェさ、あンな"空の上"にはな
全てを救う光は、此処にあンだよ

お前アレだろ?テメェの力はコイツらの祈りや願いってヤツだ
なら、それがひっくり返ったらどォ~~~なるだろォ~~なァ~~?
たァとえば?オレの光がコイツらの魂に刻まれたりなンてしたらよ
テメェはどォ~~なるンだ?なァ

願われて救う程度じゃ、まだまだ甘ェな
オレがお前を救ってやるよ


千桜・エリシャ
【甘くない】

あら、救いに来ただなんて
まるでジンさんみたいなことを仰るのね
ふふ、でもあの傲慢さはそっくりではなくて?
それにあなたみたいに光ってますもの…なんてね
私はあなたの光のほうが好きよ
さて、可愛らしい少女神の御首をいただきに参りましょうか

光の下で和傘を開いて
光が強くなるほど闇は濃くなるものよ
ほら、
闇の中で嗤って
すべてを遍く照らす光なんて存在しない
それでも照らすというのなら
やってみればいいわ
(なんて、これは誰に対しての言葉かしらね)
ふふ、ふふふふ!
ジンさんは相変わらずおもしろい方ですこと!

桜吹雪と蝶に紛れて
御首をいただきましょう

先程の言葉は撤回しますわ
傲慢さではジンさんのほうが上のようですもの



 猟兵達からの攻撃を受け、その神様は力を削られ、傷を受け――その様は、神というには貧相、と権威を失っていく。
 そしてその姿を目にしたジン・エラー(我済和泥・f08098)は、片眉跳ね上げて、表情を変えていく。
「神っつゥ~から何かと思えばガキじゃねェ~~か」
 それにやられてボロボロで、しかしいう言葉は変わらないのだ。
 すくいにきた、という。
 その言葉を拾い上げて千桜・エリシャ(春宵・f02565)は小さく笑い零した。
「あら、救いに来ただなんて。まるでジンさんみたいなことを仰るのね」
「オイオイオ~~ォイエリシャァ~~~??」
 からかいのようなものか、それとも本音か。
 エリシャへと詰め寄るジンはそれを咎めるような声色を遊ばせたかと思えば。
「あンなのと一緒にするたァ~~正気かァ~~?? イッヒブヒャ!」
「ふふ、でもあの傲慢さはそっくりではなくて?」
 もちろん正気ですわと言って、それにとエリシャは言葉続ける。
「あなたみたいに光ってますもの……なんてね」
 その、神様の――ノーズワンコスモス09の放つ光は癒しをもたらすが、同時に人によっては奪うものでもあるのだ。
 そしてその光よりも。
「私はあなたの光のほうが好きよ」
 エリシャはジンのもたらす光の方が好ましい。それを告げればジンの声は楽し気に踊って。
「そォ~~かい! そりゃァ~~光栄だねェ~~~!」
 その言葉にエリシャはくすりと笑い零し。
「さて、可愛らしい少女神の御首をいただきに参りましょうか」
 くるり、彼女が注ぐ光の下で和傘を開いてその光をさえぎってしまう。
 そこにできるのは――影だ。光の届かない世界を生み出せる。
「光が強くなるほど闇は濃くなるものよ」
 ほら、と笑む表情は――嫣然と。
「闇の中で嗤って、すべてを遍く照らす光なんて存在しない」
 それでも照らすというのなら――やってみればいいわ、と言葉向ける。
 それははたしてノーズワンコスモス09へと向けた言葉か。
 それとも――傍らの。
 意味ありげに視線を投げてみれば、ジンは口端を上げて。
「ギャグヒャハ!! 言ってくれるじゃァ~~ねェ~~かエリシャよォ~~」
 ジンは笑い顔を上げて、ノーズワンコスモス09を見、そして次は地面へと視線をなげては~~~~~~と長い息を吐く。
「そりゃァ~~ねェさ、あンな"空の上"にはな」
 全てを救う光は、此処にあンだよとジンは強く踏み抜くように、一歩前へ。
 彼の長い髪が揺れる。横に並んだところから、己の前へと出る様にエリシャは瞳をやわらげた。
「お前アレだろ? テメェの力はコイツらの祈りや願いってヤツだ」
 ジンが示したのは村人たちだ。ノーズワンコスモス09を神と崇め、祈りを捧げて。
 それはいままでゆるぎなきものであったはずだ。
 しかしそれを。
「なら、それがひっくり返ったらどォ~~~なるだろォ~~なァ~~?」
 覆る可能性を示し、
「たァとえば? オレの光がコイツらの魂に刻まれたりなンてしたらよ」
 ハ、と笑い飛ばした。
「テメェはどォ~~なるンだ? なァ」
 口端上げて、告げる。
 ノーズワンコスモス09がその言葉を考えて受け止めることができるのかどうか――しかしジンは、別にそれもどうでもよさそうに言うのだ。
 なぜならジンにとって、この神とあがめられるものは。
「願われて救う程度じゃ、まだまだ甘ェな――オレがお前を救ってやるよ」
 救いの対象なのだから。
 神でさえ、敵でさえ。いや、そんなことはどうでも良く目の前にいるから。くらいの適当さなのかもしれないのだが。
 その様を、ころりと喉鳴らして。
「ふふ、ふふふふ! ジンさんは相変わらずおもしろい方ですこと!」
 エリシャは一等、良い席で見ていたのだ。
 ジンの聖痕から燦然と輝く光が放たれ、全ての闇を払っていく。
 光で生まれる闇を――人々の心にある信仰の闇までも。
 その光の中で桜の花弁を躍らせて今度はエリシャが躍る番。
 持っていてください、と桜花舞う和傘をジンへ。するとくるりくると回して、ジンは遊びつつエリシャがそれをふるうのを笑って見送る。
 桜吹雪と――蝶と。そしてその手には墨染を。
 その刃、今は黒く。ジンの光を受けるだけでは元の姿を取り戻さず。
 それをもって一歩、踏みだした後にエリシャはぱちりと瞬いてジンの方を向く。
「先程の言葉は撤回しますわ」
「あン?」
 だって、つり合いがとれないのですからとエリシャは言う。
「傲慢さではジンさんのほうが上のようですもの」
 そう告げて、では御首をいただいてきますわと桜の花弁と蝶たちと共に斬撃をノーズワンコスモス09へと放った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

火狸・さつま
どんなモノでも
なにであろうとも
神になりえるし…バケモノにも悪魔にもなりえる
視る人の心次第……

信仰は自由だと、思う
でも、犠牲ありきなんてのは…
俺のこのみじゃないから
ましてや、おぶぶ(オブリビオン)を崇めるなんて。
俺は俺の自由で…排除する
誰かの心の支えに救いになったのは…確かかもしれない
それを奪う事に悲しみはあれど
容赦はしない
先制攻撃【燐火】の仔狐嗾けて
2回攻撃、撃ち落とさんと雷火の雷撃落とす

攻撃見切り
羽は燃やし尽くす
理想の世界…?
全て満ち足りるなんて…ありえない
理想が現実になった瞬間
人は更なる理想を描く
だから…理想の世界でやることだって
今と変わらない

さぁ…沈んで?
骸の海へ…

炎の仔狐嗾け彩霞ふるう



 猟兵達からの攻撃を受けて、傷を負って。
 羽ばたいて、落ちる羽根はあともう少ししかないのかもしれない。
 空を飛ぶ。その高さも引きずり落されたかのように低くなっているノーズワンコスモス09。
 火狸・さつま(タヌキツネ・f03797)は、彼女へと――向き合っていた。
 どんなモノでも――なにであろうとも。
(「神になりえるし……バケモノにも悪魔にもなりえる」)
 それは、視る人の心次第……とさつまは知っていた。
 地に近く、降り立ったものへと人々はいまだ、頭を下げて崇めている。
 ふ、とさつまは息を一つ吐いた。
「信仰は自由だと、思う。でも、犠牲ありきなんてのは……」
 そしてとん、と己の胸元を叩いて見せた。
 村人たちの信仰と、己の信仰は違うのだ。
「俺のこのみじゃないから」
 そして――ましてや、とさつまの瞳は細められる。
「おぶぶを崇めるなんて」
 おぶぶ――オブリビオン。それは、駄目なものだ。
 だから、さつまは、さつまの自由で、それを排除する。
 オブリビオンを、ノーズワンコスモス09を、この村の者達が神と、崇める者を。
 目の前の、このノーズワンコスモス09は長年この村で崇められてきた。
「誰かの心の支えに救いになったのは……確かかもしれない」
 ぽつりと、さつまは呟く。それを奪うことに悲しみはあれど――容赦は、しない。
 愛らしい仔狐の形を成した狐火が躍る。さつまの嗾けた子狐たちはノーズワンコスモス09の上に炎を落として青く、燃え上がる。
 そしてさつまの尻尾の上、文様が走り雷撃を見舞う。
 ひらり、はらり――落ちる羽根は青く焼き尽くして。
 それが見せる世界は、さつまにそれを与える前に燃え落ちていく。
「理想の世界……? 全て満ち足りるなんて……ありえない」
 だって、とさつまは紡ぐ。
 理想が現実になった瞬間、人は更なる理想を描くのだから、と。
「だから……理想の世界でやることだって、今と変わらない」
 それは、もうこの世界にあるようで、ない世界のようだ。
 ここにいる必要はないと思ったのだろうか。
 しあわせをもう、得ていると――思ったのか。
 ノーズワンコスモス09は静かに終わりを受け入れているのだろう。
「さぁ……沈んで? 骸の海へ……」
 さつまは、彩霞をふるう。炎の仔狐嗾け、蛮刀がさつまの想いに応えて、神様を骸の海へと還す。
 神様は、滅ぶ。その身を燃やし、散らして――ただの羽根一枚、ひとひらも残さず。
 それはこの村より神様が絶えた瞬間だった。



 神様は贄を受け取らずに、消えた。
 その事をこの村の人々は――理解できているのか、いないのか。
 しかし、UDCの滅びと共に村へはエージェントたちが入ってくる。
 そして人々をひとまず保護し――そのうち全てがつまびらかになるのだろう。
 ひっそりと重ねた歴史を受けて滅ぶのか、それとも続くのか。
 村と、そして神様が絶対であった世界しか知らぬ者達はその外へと放り出される。
 それはきっと長くこの村で生きてきた者にとってしあわせでは――ない。
 しかしまだ、それに染まらぬものがいたならば、それは。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月18日


挿絵イラスト