永遠の災夜に終焉を(作者 無限宇宙人 カノー星人
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#デビルキングワールド  #クライシスマス  #魔都23苦  #死ブ谷  #魔正月  #なんでも「魔」ってつければいいと思ってる 


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「メリクラ!」
「メリクラ!」
 魔界都市・死ブ谷のストリートに魔JKたちの声が唱和する。
 街は白く彩られ、煌びやかなネオンが『Merry crisismas』の文字を輝かせていた。
「ところでさァ、魔ヤっち彼とはどしたの?」
「捨てたー!」
「ホントは?」
「捨てられたー!」
「よーしよしよし。元気出して!なんてったって今日もクライシスマス。慰めたげるから今日もめいっぱいワルいことしよ!」
「いえーい!Go to ゴートー!」
「うん……する……」
 魔JKたちは路上でガールズトークを重ねてゆく。その足元で、踏み躙られた魔鏡餅の破片がざらりと音を立てて土に混ざった。

「なんかちょっと違う気がしますけど……ヨシ!」
 その様子を見下ろしながら満足げに微笑むのは、今回の案件の首魁であるオブリビオンである。
「とにかくこれで死ブ谷は制圧しましたよー。ふふふ。クリス魔スグッズの売上も変わらず上々……。このまま魔ラ宿・死ン宿まで傘下におきつつ、逝ヶ袋まで手中におさめればクリス魔スの天下なのです」
 賢明な読者の皆様であれば既にお気づきであろう。いかにムチャクチャなデビルキングワールドといえど暦の概念は存在しており、現在は既に新年を迎えた魔正月期間なのだ。
「魔正月なんてこなければいいのですー。そう、わたしのねがいは……永遠の、クリス魔ス!」
 死ブ谷の代名詞とも言われる商業ビル、死ブ谷10009(イチマンキュー)のてっぺんから、オブリビオンは魔十二支・丑のミノタウロスのオブジェを放り捨てる。
 暦を無視し、本来であれば執り行われなくてはならないしきたりや魔神事を蹂躙し自らの欲望で世界を満たす……これは極めて悪質でデビル罰当たりな大悪事であった。

「めりーくらいしすます!」
 ぱーん!
 ロスタ・ジーリード(f24844)はクラッカーを炸裂させた。
「はい。それじゃみんなには今からデビキンにカチコミしてもらうわ」
 続けてロスタは手元の端末を操作する。モニターに今回の案件の概要が表示された。
「これからみんなに行ってもらうのは、デビルキングワールドにある死ブ谷の街よ」
 死ブ谷とは、デビルキングワールドの中でも強大な勢力を誇るデビル国家『魔都23苦』にある街である。ナウいJKや若悪者が集う文化の中心地のひとつとして有名な悪魔街だ。
 現在、死ブ谷の街はオブリビオンの影響によって大きく変質しているのだという。
「死ブ谷はいま、てきの影響によってクライシスマスがつづいているわ」
 クライシスマス。災夜と呼ばれるその祝日は、デビルキングワールドでもきわめて大規模なイベントである。
 年末に置かれたその災日は古代の災人ジィザスター・クライシスト生誕の日とされており、現代デビルキングワールドにおいては家族や大切な人と共に悪事をはたらいて過ごす一日となっている。
「オブリビオンはねー、部下にした魔JKとかわるものたちに悪事をはたらかせたりクリス魔スグッズを売り捌かせることでおかね……Dをかせがせて、その上納金をあつめてるのよ。このままだと、デビルキングワールドがクリスマスワールドにされてしまうわ」
 というわけで、ここからがようやく本題となる。
「敵のボスは死ブ谷の10009ビルの最上階を根城にしているの。ここに乗り込んで、オブリビオンをやっつけるのが今回の目的よ」
 ロスタは画面を切り替える。
「でも、いまの死ブ谷には敵の手下になった魔JKがうろうろしてるわ。この子たちをうまく躱していかないと、敵のもとにはたどりつけないの。……強行突破はおすすめしないわねー。いっぱいいるし、すぐにあつまってくるから」
 魔JKたちはクライシスマスのムードに浮かれている状況だ。隙をついて見つからないように進んでいくことも不可能ではないだろうし、あるいはパーティムードに混ざってノリでごまかすこともできなくはない……はずよ、とロスタは付け加える。
「とゆーわけで」
 ぱし、と手を叩き、ロスタは作戦のまとめに入った。
「まずみんなは、死ブ谷の街に潜り込み、街中でうろうろしたりパリピしてる魔JKたちをかわしながら10009ビルをめざすの。そして、ビルの最上階にいる敵のところに乗り込んで、やっつける。こう言っちゃえばやることはシンプルね」
 結論として、やることはいつもと変わらない。要は、敵のボスをやっつければいいのだ。
「あ、そうだ。それからねー、敵をやっつけたあとは死ブ谷もすぐもとどーりになるから、お買い物を楽しんでくるといいわ。初売りとか福袋とか新作の魔スイーツとかあるとおもうし。あたしもあそびに行こうとおもってるの」
 というわけで、説明は以上である。
「質問はないわね。それじゃ、いってらっしゃーい」
 そして、グリモアが光る。
 かくして猟兵たちはクライシスマスの死ブ谷へと赴くのであった。


無限宇宙人 カノー星人
 ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
 謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 今年も変わらず侵略を続けて参ります。よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『デビルギャルズ』

POW ●見て見て! アタシのミミたん、ちょ~カワイクね?
【武器や防具を溶かす唾液】を籠めた【カバンミミックの舌】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【武器や防具】のみを攻撃する。
SPD ●アハハ! アナタも悪い子にしてあげるね♪
対象の【手足】に【催眠攻撃が可能な多数の触手】を生やし、戦闘能力を増加する。また、効果発動中は対象の[手足]を自在に操作できる。
WIZ ●ねぇ、アタシと悪いコトしない?
【制服】を脱ぎ、【あらゆる精神攻撃を無効化する悪い子モード】に変身する。武器「【快楽光線を放つスマートフォン】」と戦闘力増加を得るが、解除するまで毎秒理性を喪失する。
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「めりーくらいしすまーす!」
「いえーっ!」
 パリピ!
 死ブ谷の街のそこかしこにたむろする魔JKたちが、魔ャンメリーを開けながら乾杯する。
「でさー、ところで魔コちゃん、最近彼ピとはどうなの?」
「えー、いまそれきくー?」
「あっははは!クライシスマスにウチらとつるんでんだからそーだよねー!」
「マジそれ!」
「で、そーいう死オリは?」
「ンー、あたしも浮いたはなしはナーシ。あ、そうだ。覇ヤっち、パイセンとはどーなの?もーキスした?」
「は!?!?!?ちげーし!!陰キャからかって遊んでるだけだし!!!」
「またまたぁ~!昨日2人でいるの見たんですけど~?」
「なんでもねーし!!!!」
 花咲くガールズトーク!死ブ谷の街をうろつく魔JKたちはクライシスマスの雰囲気に浮かれつつ、やりたい放題を愉しんでいた。

 忠剣士ハティゴーの像が建つ死ブ谷駅前。様々なショップの並ぶセンター街。死ブ谷の人々の憩いの場である夜々木公園……。死ブ谷の街は、いずれの場所もオブリビオンの影響を受けたクライシスマスの装飾に彩られ、その中で魔JKたちがキャッキャウフフとガールズトークを繰り広げながらついでに悪事をはたらいたりはたらいていなかったりする無法地帯である。
 ――とはいえ、今回の案件における撃破目標は彼女たちではない。標的は10009(イチマンキュー)ビルに潜んだ敵の首魁なのだ。

 猟兵たちよ。きみたちは、彼女たちに見つからぬよう気配を殺して隠密してもいいし、パーティーの雰囲気とノリでなんとなく誤魔化しにいってもいい。とにかく、そこらじゅうで楽しんでいる魔JKたちの目を掻い潜り、10009ビルへと乗り込むのだ!
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携・カオス大歓迎】

はーいいらっしゃいませー!
こちら新☆開☆店!
クライシス魔スケーキの実演販売ショップでぇーす!!
そこのアナタ!そう、
「なんかかったりぃーけどあのキープくんにもちょっとは悪夢見せてやろっか」みたいなワルイ感じの妄想ぶちまけたがってそうなアナタ!
どう?この紙皿の上にでんと鎮座した!三段は下らないでっかいケーキ!
これを彼ぴっぴと仲良くシェア?
ノンノン、違うっしょー?
コイツを思いきり、アイツの顔面にシューッ!

パイ投げならぬケーキ投げ。
食べ物を粗末にしつつ相手も恥ずかしい、
これが新スタイルのワルってものよー!
他にも色々新サービスあるからさ、
ビルのてっぺん行かせてよー!


夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
何ともカオスなことになっておりますねぇ。
流石はこの世界、でしょうかぁ。

まず【伎偶】を使用し『騙し合いの専門家』の技術を持つ『従者』を召喚、その技術を使用して変装させてもらいましょう。
私ですと『乳牛の獣人』あたりがそれっぽい、ですかねぇ?
そして、『人形系悪魔』のフリをした『従者』と共に『パーティを楽しみに来た悪魔』の体で正面から向かいますぅ。

こういうイベントでしたら、『食べ物系の何か』も有りそうですので、其方に[大食い]で応じつつノリ重視で進めば、比較的疑われずに進めそうでしょうかぁ?
それでも疑われたら、『従者』の『騙し合いの超技術』を生かして会話、騙してもらいますねぇ。


エドゥアルト・ルーデル
めりーくらいしすます!
まあ少女にプレゼント渡し放題なら拙者も延長は吝かではないでござるが…

おうおうギャルが犇めきよるわ!丑年だけに!
だが拙者今はギャルの気分ではないので死ブ谷の街に知らない【俺達】を放てッ!
見給え彼らを、あまりのパリピなふいんきに苦戦してますぞ
そして仲間を呼んで増える俺達、様子を見に来る追加のデビルギャルズ、苦戦してまた増える俺…
お互いに終わりなき増殖、正に光と闇のEndless Battle
という訳で引きつけられてる間に裏道なりをこっそり突破でござる

もし仮にでござるよ?あの場の俺達が【快楽光線】で悶てたとしよう
オッサンの痴態なんぞ拙者は何も見たくねえ…


「いえーい!」
「めりーくらいしすまーす!」
 PON!音をたてて開けられる魔ャンメリーの音が死ブ谷の街に響きわたり、無法な魔JKたちの喝采が交差する。
「何ともカオスなことになっておりますねぇ……」
 物陰から様子を伺う夢ヶ枝・るこる(f10980)は死ブ谷において繰り広げられる乱痴気騒ぎを前にして、困惑を隠せない。
「流石はこの世界、でしょうかぁ」
「いやあ、然様でござるな~……。おうおう、なんちゅう騒がしさでござるか!ギャルが犇めいておるわ!丑年だけに!」
 エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)もまた、そこに並んで腕組みしながら頷いた。
「まあ少女にプレゼント渡し放題なら拙者も延長は吝かではないでござるが……」
「そのプレゼントってへんなものじゃないんですぅ?」
「MA☆SA☆KA!滅相もないでござるよ!!!」
 胡乱なものをみる目つきで眉間にしわを寄せるるこるの視線を躱しながら、エドゥアルトが首を振った。
「それで、そちらはどう行かれるでござるか」
「そうですねぇ……。まずは、パーティーのノリに紛れる感じでいきましょうかぁ」
「ほう……」
「まずは、まぎれるための変装なんかがいると思いますぅ。ここは私に任せてください」
 るこるは静かに詠唱を開始した。【伎偶】――。それはなにかしらの専門的技術に優れた『従者』を呼び込む召喚の術式である。
「さあ、大いなる技術を操りし女神の従者よ、私の元へ――」
『――フゥム。我輩の出番であるかな?』
 そのユーベルコードによって呼び込まれた『従者』は、礼服めいた黒い洋装にシルクハットとマントで着飾った細身の男性であった。
「ウワッなんでござるかこの不審者」
『失敬な』
「見事なブーメラン発言ですぅ」
 かくして呼び込まれたのは『虚偽』『偽装』の技術を持つ『従者』である。彼は一度咳払いしてから、猟兵たちへと恭しくお辞儀をした。
『それで、我輩を呼びつけたのは一体何の用件かね』
「あのぉ、実はかくかくしかじかで……」
『なるほど、委細承知した』
 るこるの説明によって用件を把握した『従者』は、立派な口ひげを撫でつけながら頷く。
『では、クリスマス……ああ、いやここではクライシスマスだったね。では、それらしい恰好をしてもらおうではないか』
「はい、よろしくおねがいしますぅ」
『うむ』
 そして、『従者』の手が動く。早業!彼の卓越したメイキャップ技術によって2人は瞬く間にクライシスマス用の衣装へと着替えたのである。
「これは……」
『うむ』
 鮮やかな赤が映えるその衣装は、クライシスマスの守護災人のひとりである災サンダークロウズをモチーフとした姿である。魔トナカイに牽かせたソリで戦場を駆け抜け、赤い電光を纏う鉤爪で無数の屍を築き上げたとされる伝説の悪魔だ。その戦果として刈り取った首を袋に詰め、当時の幼い主君へと献上した逸話が現在では子供たちへのプレゼントという習慣として残っている。
 更に2人の頭部には魔トナカイの角がアクセとして取り入れられた。これで完全にクライシスマスの行事に浮かれた一般悪魔である。
「これで完璧ですねぇ。それでは、いきましょうかぁ」
「いや、待つでござる」
 ここでエドゥアルトが出発を押しとめた。
「どうしましたかぁ?」
「うむ。拙者は慎重派でござるからな。もうひとつ作戦を用意しているのでござるよ」
「そうなんですかぁ」
「デュフフ……それも既に始まっておりますぞ~。見よ!死ブ谷の街に放たれたとし……【俺達】を!」
 エドゥアルトが指し示した先、忠剣士ハティゴー像の立つ死ブ谷駅前広場――そこには、挙動不審な成人男性たちがオフ会めいて集っていた。
「……」
「見給え彼らを、あまりのパリピなふいんきに苦戦してますぞ」
「えぇ……」
 るこるは困惑した。
「ちょ、なにこのオジサンたち……」
「メッチャ陰キャじゃん。ウケる」
「……」
 エドゥアルトによって呼びつけられた一団――黒一色の地味なシャツやアニメキャラの描かれたオタクファッションに身を包んだ成人男性集団は、クライシスマスの死ブ谷においては逆に目立つ。一応は警邏の役割を申し付けられている魔JKたちが、その不審な様子を目にして集まり始めていた。
「……」
「……」
 だが、成人男性たちは自分らを遠巻きに見つめる魔JKたちの冷たい視線にいたたまれなくなり、更なる仲間を呼び更に集まり始める。どこからともなく追加の陰キャ成人男性たちが現れ、更にその群れに合流した。その様子に、魔JKたちもまた更に集まり始める。
 仲間を呼び増える陰キャ成人男性たちと、それを不審がり更に集まる魔JKたち……。互いに増殖は果て無いように見えた。
「お互いに終わりなき増殖、正に光と闇のEndless Battle……」
「うっわぁ、なんなんだいこの状況」
 そこであんまりにもあんまりな状況に眉根をひそめたのは数宮・多喜(f03004)である。
 彼女はこの死ブ谷に潜伏するため、クライシスマスパーティーには欠かせないクライシスマスケーキの販売員として入り込んでいたのだ。彼女はケーキを満載した移動式販売ワゴンを前に、サンダークロウズ衣装で客の呼び込みをしていた。
「おやッ。多喜殿ではござらんか」
「ありゃあ。エドゥアルトのおっさんにるこるじゃないか。あんた達も来てたのかい?」
「はい、お仕事でー……」
「あぁ、ちょっと待ってくれ。客だ」
 2人を制止して、多喜は営業スマイルにモードチェンジする。多喜の販売ワゴンには興味を引かれた魔JKが数人近寄り始めていた。
「はーいいらっしゃいませー!こちら新☆開☆店!クライシス魔スケーキの実演販売ショップでぇーす!!」
「えー、ケーキ売ってんの?」
「でもクライシスマスにケーキなんかフツーっぽくね?」
「おっと、たしかにこれはただのケーキ。ですがここで私からは新たなワルーい提案をさせていただきます」
「へえ?」
 多喜は販売ワゴンから紙皿に鎮座する大型のケーキを引き抜いた。
「どう?このでっかいケーキ!」
「たしかにでっかいけど――」
「これを彼ぴっぴと仲良くシェア?……ノンノン、違うっしょー?これは、こう使うんですよッ!」
 ここで多喜はおもむろにケーキ皿を掲げて、構えをとった。――視線の先には不審な成人男性の集団。多喜はその方向へとめがけて――
「顔面にシューッ!」
 投げた。
「ぼエフッ」
 そして、クリーム爆弾として投射されたケーキが成人男性の顔面で炸裂する。
「おーっ!」
「すっごーい!ワルーい!」
「いや~さすがでござるな!これはなかなかのワルでござるよ!」
「これがケーキ投げさ!食べ物を粗末にしつつ相手も恥ずかしい、これが新スタイルのワルってものよー!」
「「スッゲー!」」
 喝采!見事な悪事の前に魔JKたちがざわめいて拍手喝采する!
「『なんかかったりぃーけどあのキープくんにもちょっとは悪夢見せてやろっか』みたいなワルイ感じの妄想ぶちまけたがってそうなアナタ!」
「は!?そんな妄想してねーし!!」
「まあまあ!ほら、ちょうどそこに叩きつけて良さそうな連中もいることだしさ。どんどん持ってってー!」
「やったー!」
 かくして魔JKたちは多喜の販売ワゴンからケーキをひったくり、そして成人男性の群れへと向けて走りだしたのだ。
「あ、これふつうに食べてもいいですかぁ?」
「えっ。いいけど」
「じゃあ頂いていきますぅ」
 一方るこるは普通に食べた。
「……うむ。これで完全に連中の目は釘付けでござるな!」
 そして忠剣士ハティゴー像前の広場は魔JKたちが陰キャ成人男性たちを追いかけまわしながらケーキを叩きつける奇祭めいた混沌の坩堝となり果てる。
 その様子を一歩引いた場所から眺めながら、エドゥアルトは計画通りとニヒルな笑みを浮かべた。
「よし。それじゃ、いまのうちに行くしようか」
「そうですねぇ。目的地は10009ビル、でしたっけぇ。これならいけそうですぅ」
 ワゴンを放棄した多喜とケーキ皿を片手に持ったままのるこるもまた頷きあい、そして移動を開始する。
 かくして、3人は喧騒の合間をすり抜けて目的の場所を目指したのであった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

エル・クーゴー
【物九郎(f04631)と】
●雰囲気とノリでなんとなく誤魔化して進行


【L95式4Dプリンター】、動作開始
当該区域のノーアラート・クリアに適切な非戦闘用スキンを生成します

躯体番号L-95
当機は魔JKの行動エミュレートに高い適性を発揮します

っていうかまぢ丑年とかナイし~(棒読み)
彼ピもそう思うくね?(無表情)


・文化習俗を秒で解釈し(情報収集+瞬間思考力)、この辺のJKっぽい装いを創造!着用!
・崩し気味の制服着こなしとか短いスカート丈とかルーズなソックスとか立体工作みたいなネイルやスマホケースとか!

・周囲から声を掛けられ辛いよう、彼ピ役(物九郎)の腕にベタベタ抱き着きイチャつく素振りと共に進んでく策


白斑・物九郎
【エル(f04770)と】



エルが『スニーキングミッションするやで』ってんで、なんか呼ばれたんですけども
俺めはこんなトコで何してるんスか……?

……要は『狩場までは静かに進め』って話っスか


・エルの彼ピ役として同道、目指せ10009ビル

・すごいワルそうな格好で行く
・ダボダボパンツ系のストリートファッションとか逆かぶりキャップとかチェーンのネックレスとか両手ポケットとか、極め付けには尻尾に生やした獅子頭がワルそうなサングラスを掛けている!

・連れ歩いてるエルが話振って来ても、車道側は歩いてあげるのに返事は「ァ?」とか「ウゼエ」ばっかりの極悪さという、デビキン基準スパダリハイスペ彼氏ぶる(悪のカリスマ)


「まぢウケる~」
「それな~!」
 パリピ!エル・クーゴー(f04770)はマジテンアゲ↑のノリで魔JKっちとハイタッチする。
 エル・クーゴーは今や完全に死ブ谷の魔JKと化していた。崩した着こなしのセーラー服に、膝上20cmのスカート丈。でろっとしたルーズソックスにギラギラのラインストーンがこれでもかと装飾されたネイルにスマホケース。更に学生カバンには伊達ワル男性デビルアイドルグループの缶バッジがスケイルメイルめいて装備されていた。
 その気合の入った衣装とは裏腹に、喋るエルの顔面部を構成するフェイススキンは一切の変化が見られない無表情であったが、デビルキングワールドは多様性が受け入れられる世界だ。それが幸いしてか、そこを気に掛ける魔JKはあらわれなかった。
「……チッ」
 一方、白斑・物九郎(f04631)は不愛想に舌打ちした。
 彼はワルぶっていた。正確に言えば、すごいワルそうな恰好であった。サイズ感の合わないダボダボのファッション。前後逆にかぶったキャップにクロムシルバーのネックレス。気だるげにポケットへとしまわれた両手。極め付けには尻尾に生やした獅子頭がワルそうなサングラスを掛けている!
 この獅子頭はキマイラとしての能力の発現であった。【ガチキマイラ】である。しっぽで威風堂々と揺れるライオンヘッドはサングラス越しに威圧的な雰囲気を放っていた。
 総合的に見れば、今の物九郎は一見してストリート風のデビワル系スタイルの伊達男であった。
「ねね、エルっちの彼ピまじでワルくな~い?」
「イイな~!アタシもあんな彼ぴっぴほしい~!奪っちゃダメ?」
 そして、そのワル・スタイルはこの悪さを至上の価値観とするデビルキングワールドにおいては、これ以上ないレベルのハイスペック彼ピとして魔JKたちの目に映るのである。アース系世界的な基準に換算すれば、首都の国立大学に通うイケメンのエリート大学生くらいの感覚になるのだろう。
 物九郎がワルそうな仕草を見せつける度に、魔JKたちが黄色い声をあげてエルに話を振る。
「ダメです」
「だよね~」
 しかしてエルは魔JKたちのウザ絡みを無表情にバタバタと切り捨て適当にあしらいながら、その歩みを進めていた。
(俺めはこんなトコで何してるんスか……?)
 ――そして、物九郎の思考だけがこの異空間の中に在ってただただ冷静であった。

 話は十数分ほど前に遡る。
「それでは、作戦の概要をもう一度説明します」
「おう」
 死ブ谷の喧騒の片隅。2人は路地裏の物陰で密やかに作戦開始の準備を進めていた。
「我々の目的は、現在ここ死ブ谷を支配するオブリビオンを撃破することです。そのため、ターゲットが潜む目的地、死ブ谷10009ビルに向かわなくてはなりません」
「が、そこに向かうニャそこらじゅううろついてるオナゴどもが邪魔っつーことっスな」
 物九郎は作戦の内容を再確認し、路地裏から表通りの様子をうかがった。
 死ブ谷の街並みにあふれた魔JKたちはそこらじゅうで魔ャンメリーを開け、歌い、踊り、プレゼントの交換会やガールズトークに花を咲かせながら魔正月用の飾りである魔門松や魔鏡餅などを打ち壊し、悪事の限りを尽くしている。
 一体一体は猟兵一人で相手するにも手間取るほどの実力ではあるまい。実際、『ワイルドハント』の物九郎とエル・クーゴーといえば、猟兵たちの中でも上から数えた方が早い実力者だ。――しかして、それほどの使い手といえどもさすがに数百人を超える数のユーベルコード使い全員を相手取っては、五体満足ではいられないだろう。
「その通りです、猟団長。――ということで、作戦プランを用意しました」
「はァ。聞こうじゃニャーですか」
「はい。ではまずこれをご覧ください」
 エルは周囲に電脳領域を展開すると、コンソールを叩いてユーベルコードを励起した。応じて、電脳空間内のデータストレージ領域からガジェットを展開する。【L95式4Dプリンター】である。
「これを用いて、当該区域のノーアラート・クリアに適切な非戦闘用スキンを生成します」
「スキン?……あァ、“ガワ”のことっすな。っつーことは、変装でもしてこうって算段っスか?」
「はい」
「……」
 そして、そのガジェットにより生成されたアイテム群に物九郎は眉根に皺を寄せた。
 プリンターより出力されたのは、魔JKスタイルのセーラー服であった。
「当機は魔JKの行動エミュレートに高い適性を発揮します」
「大丈夫なんスかそれ」
「問題ありません。では猟団長、そちらも」
「へいへい……ウワッ。なんスかこの服」
 続けて出力された衣装はだぼついたブラックデニム。じゃらついたチェーン。全体的に黒でまとめられたそのコーデは、デビルキングワールドのトレンドでもあるブラックノワールシュバルツのデビワルファッション。漆黒に魅入られし魔界の住人が完全プロデュースした義羅義羅スタイルだ。動きにくそうな装いに物九郎はクレームを申し立てようとするが、エルはそれを涼やかにスルーした。
「当機の計算では、このファッションが作戦には最適であるとの解答が得られました」
「いっぺんメンテした方がいいんじゃニャいですかそのアタマ」
「自己診断では問題ありません。では、行きましょう」
「……『スニーキングミッションするやで』ってんで呼ばれたと思ってたんですけども」
「はい。その通りです」
 既に完璧なJKスタイルをキメたエルは、物九郎の手を引いてストリートへと打って出る。
「……要は『狩場までは静かに進め』って話っスか」
「その通りです。この偽装によって、我々は侵入者であることを気取られることなく目標地点に到達することが可能です」
「大丈夫なんスかそれ」
「この周辺エリアにおける文化習俗は完全に理解しました。当機のエミュレートは完璧です。っていうかまぢ丑年とかナイし~」
「……」
「猟団長」
「……おう」
「もっとワルそうにしてください。作戦遂行のためには、猟団長の協力が不可欠です」
「ウゼエ」
「及第点です」
 かくして、死ブ谷の魔JKとその彼ピという組み合わせで完璧な偽装を果たした2人は、堂々とストリートを闊歩する。
 そして話は冒頭へとつながるのである。
「猟団長」
「アァ?」
 魔JKたちをあしらいながら人波をかき分け、2人は死ブ谷のストリートを通り抜ける。
「目標地点到達までおよそ200メートル。現在の移動速度であれば、約180秒後に到着します」
「マジで見咎められませんでしたな」
 2人は密やかに囁き合った。――仰ぎ見れば、ビル群の先に目標である10009ビルの姿がはっきりと見えている。
 幸いにも、彼らはここまで怪しまれることなく到達することができた。周囲にも2人を怪しむ様子の魔JKはいない。変わらず魔ャンメリーで乾杯しながら騒ぐ集団ばかりだ。踏み砕かれた魔正月飾りの招き魔猫の姿に物九郎は一瞬眉をひそめたが、そのまま足を止めることなく通過する。
「油断せずいきやすよ。敵が待ち構えてないってこたァニャいでしょうからな」
「同感です。油断せず行きましょう」
 そして、猟兵たちは決戦の地へと近づいてゆく。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
今回の俺の仕事はシャーリーのナビ。
彼女のバイクにニケツして10009ビルまでの道案内をする。
死ブ谷の地図を入手して目的地までのルートを頭に叩き込み、【地形の利用】で「走れそうな場所」をシャーリーに指示する。
裏道やアーケードの屋根、ビルの屋上など「彼女のバイクのタイヤがグリップして走れる場所」ならそれで充分。スピードさえ出ていれば壁を垂直に走ってもいいし。
ゴミ箱や放置看板などの障害物は大包丁の斬撃の【衝撃波】や【飢龍炎牙】で蹴散らし(被害は最小限になるよう善処する)、住人達に危害が出ない様な形で道を拓く。
多少無茶でも、彼女の腕を信じる。


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
これだけの数のオブリビオン相手に力ずくなんて無理だよね
けど、コソコソ抜けるのはボクの性に合わない

だからウィーリィくんを乗せて宇宙バイクを【操縦】し、【ゴッドスピードライド】で10009ビルまで駆け抜ける!
もちろん街はお祭りモードのオブリビオンで溢れかえってるからとても走れないけど裏通りやモールの屋根など走れそうな場所ならそこを走り、道が無くてもビルの屋上から屋上へと【空中浮遊】でジャンプしたりと道なき道を突っ走る!
ウィーリィくん、ナビお願いね!

ところで死ブ谷にもお巡りさんっているのかな?


レギオ・ギャングース
※アドリブ歓迎、共闘可

行動

UC発動して増やした人員を使い、死ブ谷駅前でパレードの山車を制作
(適当な車両を徴発、違法改造で高い台を据え付け、
剥ぎとった電飾で飾り付ける)
そのままなるべく多くの人を巻き込みながら
10009ビルまでパレード行進する
自分と分身達は先触れで道のスペース確保やごみの回収と
パレードの賑やかしで楽器演奏をしながら練り歩く
(スキル:悪目立ち、集団戦術、楽器演奏、心配り)

セリフ
メリー・クライシスマス!
みんな盛り上がりに欠けてるっすよ~
そこで!パレードでオレ達で死ブ谷の街を占拠っス!

ジャンジャン集まってみんなで盛り上がるっすー!
(パンクとかロックとかメタルな雰囲気で楽器をかき鳴らす)


メナオン・グレイダスト
“灰色の魔王”を阻むこと能わず、であるが……。
かの者達に同調するのは、難しいな。我輩は未熟であるがゆえに。
足りぬもの(実力)を補うためにも、地道に実績を重ねるとしよう。
(なお、ファッションセンスとかコミュ力とかは考えられていないやつ)

如何にかの者達をやり過ごすかが成否に関わる、であろうか。
であれば……【グレイダスト・ファントム】。我が身を灰色砂塵に還すとする。
――目に見えぬ、手で捉えられぬ砂塵。それもまた我輩の一面と言えよう。
一般的な魔王らしくは無いかも知れぬが、我輩は“一般的”ではない。
喧噪に紛れ、風と共に舞い、かの者達と争うことなく。
密やかに目的地へと浸透しよう。

※アレンジ・共闘など歓迎


「パーリナイ!」
「いえいっ!」
 魔ャンメリーの弾ける音とともに、魔JKたちが快哉を叫ぶ。
 魔界都市死ブ谷――その中でも悪魔たちの憩いの場である夜々木公園もまた、オブリビオンの支配圏である。
 クライシスマスのイルミネーションに彩られた広場の片隅には、催される予定を叩き潰された魔正月の魔餅つき大会で使われるはずだった魔臼や魔杵が無残に打ち捨てられ、転がっている。
「くそっ、みんなが楽しみにしてる魔餅つき大会までぶち壊しにするなんて……想像以上の悪事だぜ」
「そうだね……。たしかにクリスマス……じゃなかった。クライシスマスはたのしい行事みたいだけど、このまま放っておくわけにはいかないよ!」
 あたたかな料理がどれほどひとを幸福にするのか、それを知るウィーリィ・チゥシャン(f04298)が怒りに震え、シャーリー・ネィド(f02673)が頷きあう。
「あんたもそう思わないか?」
「うむ……。なるほど客人よ。たしかにお前たちの言うことも一理ある」
 話を振られたメナオン・グレイダスト(f31514)もまた首肯した。
「であらば、早急に解決せねばなるまい」
「そうだね。すぐにでも敵のボスをやっつけなくっちゃ!」
「しかして敵の拠点に向かうには、あの警邏を躱してゆかねばならぬ」
 木陰からメナオンは公園内の様子を伺った。
「たしかに、これだけの数のユーベルコード使い相手に力ずくなんて無理だよね……」
 シャーリーは眉根に僅か皺を寄せた。街に溢れた魔JKたちはいずれもデビルキングワールドの一般悪魔たちだが、この世界の人々は一人一人がユーベルコードを用いた戦闘に対応し、オブリビオンに匹敵する戦闘力を保有している。正面突破は困難だろう。
「如何にかの者達をやり過ごすか、だが――」
「ふッ…………そーいうことなら、オレの出番っすね!」
 ここで、レギオ・ギャングース(f31376)が唐突に口を開いた。
「……策があるのか、レギオよ」
 ここで注釈を入れておこう。レギオ・ギャングースはその時々によって仕える主を変えるフリーランスの四天王だ。今回は都合よく同行した猟兵の中に魔王であるメナオンがいたため、この作戦中においては配下としての仮契約を交わしているのである。
「おまかせくださいっすよ、陛下。まァ、あーいうノリの魔JKたちだったらいい感じのノリでパーティーに混ざってくのもアリ寄りのアリっちゃアリだったんすけど」
「かの者達に同調するのは……難しいな。我輩は未熟であるがゆえに」
 メナオンは僅かに表情を曇らせた。どちらかというと陰気な気質の魔王である彼は、魔JKのパリピノリに同調するのは困難だと正確な自己分析ができていたのである。
「……足りぬものを補うためにも、地道に実績を重ねるとしよう。して、レギオよ。お前の策を聞こう」
「了解っす。それじゃ、そっちのお二人さんも聞いてくださいッスよ!」
 レギオは振り返り、ウィーリィとシャーリーの二人も交えて作戦の説明を開始する。
「ああ、わかったぜ」
「オッケー!」
「というわけでッスね、オレの作戦は――」
 ――そして、短いブリーフィングを済ませ、4人の猟兵たちは行動を開始する。

「メリー・クライシスマス!」
 バオーッ!ギャギャギャギャギャ!夜々木公園に鳴り響くラウドでノイジーなギターサウンド。
 その音の主こそ、作戦立案者のレギオその人であった。
「なにアレ!」
「でっか!」
「ギラギラじゃん!」
 その音に驚いた魔JKたちの視線が集中する!彼女たちがそこで見たものは――世紀末めいて違法改造された、巨大な車両であった。
 それはレギオがそこらへんから適当に徴発した数台の車両を強引に組み合わせ、更にその上に楽器演奏可能なステージを取り付けた大型の違法改造車だ。それはステージであると同時に、いわゆる『山車』としての役割を果たしていた。その躯体には当然のようにそこらへんからかっぱらったイルミネーションがこれでもかと巻きつけられ、凄まじく悪目立ちしながら死ブ谷のど真ん中に君臨している。
「そこのお前!あとそこのお嬢ちゃん!それからアンタも、ついでにアンタも!みんな盛り上がりに欠けてるっすよ~!」
 そしてレギオはその山車のステージから騒音公害で法に触れるレベルの音量で声を響かせると、更に周囲の注目を集めたのである。
「そこで!パレードでオレ達で死ブ谷の街を占拠っス!」
「占拠!?」
「すっご!メチャワルじゃん!」
 レギオは更に畳みかけた!――デビルキングワールドの住人たちは、とにかくそういうワルそうで派手なイベントに弱い。レギオはそれを熟知していた。
「さあ行くっすよ!目標は死ブ谷10009ビル前!来る者は拒まないが去る者は決して許さない!クライシスマスパレードへようこそ!」
「いえーっ!!」
 かき鳴らされるギターサウンドに魔JKたちが熱狂の叫びをあげて違法改造山車の周りへと集結し、そして行進を開始する。
「ジャンジャン集まってみんなで盛り上がるっすー!」
 ハメルンの笛吹きめいて、レギオは山車を発車させた。
「はーいどいてどいてー!これからパレードが通るッスよ!」
「おっといけない!ゴミはちゃんと回収しとかないとだめッスね!」
 尚、パレードの進む方向では、レギオのユーベルコードによって生成された彼の【デビルズレギオン】たちが交通整理やごみの回収といった雑務をこなし、山車が安全に目標へとたどり着けるようサポートを行っている。アフターケアも万全であった。

「よし、向こうが引きつけてる今がチャンスだ。行くぞ、シャーリー!」
「うん!ウィーリィくん、ナビお願いね。魔王くんもしっかりついてきて!」
「“灰色の魔王”を阻むこと能わず……。問題ない。風と共に舞い、進むとしよう」
 一方。
 レギオが派手に目立って魔JKたちの目を引きつけているその時、残る3人は別ルートから死ブ谷10009ビルへと向かっていた。
「シャーリー、最短経路だ。まずそこでジャンプ!」
「オッケーだよ!」
 シャーリーはアクセルを吹かし、マシンを加速させた。――彼女の愛車であるハイメガシャークが、夜々木公園を飛び出して死ブ谷のビル街へと突入する。
 リアシートにタンデムしたウィーリィはナビゲート役を務める。彼はあらかじめ死ブ谷の地図を暗記しておいたのだ。ウィーリィは現在位置から目的地までの最短ルートを頭の中で検討する。
 路上のオブジェをジャンプ台がわりにマシンを跳躍させたハイメガシャークは、壁面から更に加速してビルの屋上へと乗り上げた。シャーリーは巧みなハンドル捌きと重心移動で車体を安定させる。
「――……問題ない。このまま進むのであれば、敵の気配も感じられぬ」
 疾走するバイクの周囲にまとわるように、灰色の砂塵が並走しながら2人へと囁きかける。【グレイダスト・ファントム】。――目に見えず、手で捉えることもできない砂塵。それこそは“灰色の魔王”メナオンの砂塵の悪魔としての一面であった。
 砂塵を構成する砂の一粒一粒が彼の躯体そのものだ。拡散した彼の身体は、半径十数メートル圏をメナオン自身に知覚せしめる。
「なら、このまままっすぐだ!シャーリー、跳べるな!」
「もちろん!」
 【ゴッドスピードライド】!シャーリーは更にマシンのエンジン出力を上昇させながら機体を加速させた。さながらモーター・パルクール!その距離およそ15メートル。道路を挟んだビルとビルの合間を、宇宙バイクが飛翔する。
「……あっ!」
 だが、ここで誤算!跳んだ先のビルの屋上には放置された看板や捨て置かれた資材が置きざらしにされていたのである。このままではクラッシュだ!
「大丈夫だ、そのまま突っ込め!」
「……うん!」
 しかしウィーリィは発破をかける。それと同時に、彼は得物である大包丁を抜き放った。瞬間、跳ねる切っ先!その刀身から生まれた炎が迸り、ビル屋上に放置されていたいかがわしい淫魔店や胡散臭い金貸し屋の看板を焼き尽くす!【飢龍炎牙/グリード・ブレイズ】!炎に蹴散らされ、ビル屋上には着地可能な空間が作り出された。宇宙バイクはそこめがけて飛び込んでゆく!
「とうっ!」
 ぎゃり――ッ!燃え滓の残るビル屋上のコンクリートにタイヤ痕を刻みながら、ハイメガシャークが急停車。うまくいったようだ。シャーリーは思わず安堵のため息を吐き出した。
「看板、派手に壊しちゃったね……。けっこースピード違反もしちゃったし。死ブ谷にもお巡りさんっているのかな?」
「どうだろう。だけど、ワルいことで褒められる世界だっていうし、大丈夫じゃないかな……?」
「それよりお前たち。見るがいい。どうやら、我々は到着したようだ」
 そして――砂塵から身体を再構築したメナオンが、ビル屋上より街を見下ろす。促された2人もまた、そこから見える光景へと視線を移した。
 今彼らが辿り着いたこの場所から道路を挟んだ目の前に、目的地である10009ビルは聳え立っていた。
「ああ。ここまでたどり着いたなら、あとはあそこに乗り込むだけだな」
「行こう、ウィーリィくん。この街に魔正月を取り戻してあげなきゃ!」
 頷きあう2人。そしてメナオンが横に並び、聳えるビルへと向かい合う。
「――さあ、目的地に到着っすよ~!今日はこのまま朝までパーリナイ!ッス!」
 そして、レギオのパレードも間もなくここへ到達する頃合いだ。
 こうして、猟兵たちが敵の首魁の待つ10009ビルへと集ったのである。
 かくして――死ブ谷の街に暦を取り戻し、クライシスマスを終わらせるための戦いが、間もなく始まる!
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴


第2章 ボス戦 『聖夜精『クリス・ベル』』

POW ●ソルジャー・ブレッドメン
レベル✕1体の【ジンジャークッキーの兵士】を召喚する。[ジンジャークッキーの兵士]は【魔】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD ●スラップ・スティック
対象の【キャンディケイン】に【オーナメント】を生やし、戦闘能力を増加する。また、効果発動中は対象の[キャンディケイン]を自在に操作できる。
WIZ ●パーティー・ピープル
【サンタ帽】から、対象の【何もかも投げ出して遊びたい】という願いを叶える【魔性の魅力を持つパーティーグッズ】を創造する。[魔性の魅力を持つパーティーグッズ]をうまく使わないと願いは叶わない。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠大宝寺・朱毘です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「りんごーん☆りんごーん☆」
 死ブ谷10009(イチマンキュー)ビル。8階。
 そこは本来であればオシャレなデビルブランドの魔コスメを扱うショップや、期間限定商品のポップアップストア、それからライブスタジオなどのテナントが入った賑やかなフロアだ。
 しかし、現在においては永遠のクリス魔スを望みとするオブリビオン――聖夜精クリス・ベルの居城と化している。
 本来であれば入居していテナント店舗はひとつ残らず撤去され、そこには巨大なクリス魔スツリーが聳え立ち、更にその周辺にはクリス魔スグッズの販売などによって集められたデビル紙幣がこれでもかと積み上げられられていたのである。
「ふっふふふ。これだけの魔界通貨があれば、わたしの悲願……クリス魔スを永遠のものとし、このデビルキングワールドをわたしのクリスマスワールドに書き換える極大儀式魔術の完成だってゆめではないのです!」
 ばさーっ!クリス・ベルは安っぽい青年誌に掲載される胡散臭い開運グッズの広告めいて札束の海で紙幣を撒き上げる!
「さーさー、魔JKたちよー!どーんどんお金をあつめてきてくださいねー!そしたら毎日毎日ずーっとクリス魔スパーティーでーすよー!」
 上機嫌!クリス魔スベルを鳴らし館内放送に魔讃美歌をガンガンにかけながら、クリス・ベルは窓から見下ろすクライシスマスの死ブ谷に微笑みかける。
 ――フロアの片隅では、打ち捨てられた魔正月飾りのミノタウロス像や魔招き猫が泣き寝入るように半透明ごみ袋の中へ転がされていた。

 だが、この傍若無人をこれ以上許しておくわけにはいかない。
 猟兵たちよ、今こそここに突入し、魔正月を踏みにじるオブリビオンへと鉄槌を下すのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
成程、こういう方でしたかぁ。
この様な催しは『年に一度の特別な日』だから良いのだと思いますよぉ?

『FBS』を四肢に嵌め天井近くを浮遊、『FRS』による[砲撃]を行いますねぇ。
『FSS』は前面に展開して防御主体で使用しつつ、『FCS』により弾頭を『炸裂弾』に変更しておきますねぇ。

クッキーさんが召喚されたら【秤濤】を使用、『超重力波』による[範囲攻撃]に『FCS』による[爆撃]を重ね、纏めて狙いましょう。
その際『D』を巻込んだり、「Dを焼かれたくなければ~」等の脅迫を混ぜれば、多少は動揺してくれるでしょうかぁ?

そして、ふと思ったのですが。
このクッキーさん、食べられますかねぇ?


ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
「謹賀新年の時間だコラァ!」
シャーリーのバイクに2ケツしてそのまま突入!
飛び降りたらそのまま敵目がけて【ダッシュ】して真っ直ぐクリス・ベルを目指す!
……様に見せかけてクリスの注意を俺に集めてシャーリーの仕込みがバレない様にする。
で、俺も頃合いを見て立ち回りの最中に【地形の利用】で足元に敷き詰められたデビル紙幣の山に潜り込んで姿を消し(【物を隠す】)、奴が俺を探している隙にシャーリーにツリーを倒してもらう。
そしてシャーリーの攻撃に乗じ、俺も【神火の竈】の強火の炎で札束ごと奴を炎に包む。
‪どんど焼きにはちょっと早いけどさ。


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
「悪いけどパーティーは今夜で終わりだよ!」
宇宙バイクに跨って海賊娘のエントリーだ!
そのまま【エクストリームミッション】を発動させてパワードスーツ形態になってフロアを縦横無尽に飛び回りながらクッキーの兵隊と追いかけっこを演じる
そのまま追い払われて撤退した様に見せかけてクリスマスツリーを迂回する形でボスの視界から姿を隠し、ツリーを挟む形でボスの反対側に位置したらそのまま猛スピードで突っ込んで体当たりの【吹き飛ばし】でツリーを倒して油断しているボスをその下敷きにしちゃうよ!
後は空中からボス目がけて【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】で熱線の雨を降らせる!


メナオン・グレイダスト
随分と上手くいっているようではないか。
…いや、何。この目論見を台無しにしてやるのもまた、悪と呼べるであろう?

優秀な者達との協同により標的のもとに到達。
ここからが本番、我輩の力の見せ所であろう。
とはいえ単独で戦えるほど、我輩は己の実力を過信してはいない。
【グレイダスト・レギオン】。
我輩の忠実なる手勢よ、戦の時間だ。かの者の部下どもに後れを取るな。
その身を常に変化させ、敵を翻弄するのだ。
銃砲を形作って撃ち払え。戦鎚を形作って打ち砕け。甲冑を、盾を形作って耐え凌げ。
お前達がその身に傷を負おうとも、我輩の灰色砂塵で補ってやる。
蹂躙せよ。“灰色の魔王”の名、かの者どもに刻み込め。

※アレンジ、共闘など歓迎


レギオ・ギャングース
※アドリブ歓迎

行動
UCで増やした自身の分身と共に
周囲の状況をコントロールしながら集団戦術で敵を押し込んで叩く

セリフ
終わらないクリス魔ス、何時までも続くパーリーナイト
やがてそれはすべてを埋め尽くす、……ワルっすね

……だが、アンタそれは守りに入ってないっすか
コレがアンタの頂点でコレ以上はないってあきらめてねえっすか?

毎年毎年、次はもっとワルく、次の次にはもっとスゲー
そんな進歩を投げ捨ててる様に見えるっす

どうせなら正月も丑年も全てのみ込んで
新たな自分にレボリューションしようって意気込みくらい見せてみろっす

オレはそうやってビッグになってきたッス!
(『一日一悪』の書初めや今年度の悪事計画表を見せながら)


「じんぐるべーる♪じんぐるべーる――」
「謹賀新年の時間だコラァ!」
 “!?”
「悪いけどパーティーは今夜で終わりだよ!」
 ばり、と音をたてて砕け散る窓ガラス!クライシスマスの夜を裂き、高速で飛来した宇宙バイクが窓を割って10009ビルへと突入したのだ!
「ぎゃえーーーーっ!!なんですかいきなりッ!?」
 突然の闖入者に悲鳴をあげるクリス・ベル!だが、その困惑を無視して猟兵たちは勢いよくクリス・ベルの居城と化した10009ビル8階へと上がり込む!
「みんなが楽しみにしていた魔正月や魔餅つき大会をぶち壊しにするなんて、許さねえッ!」
 ウィーリィ・チゥシャン(f04298)は大包丁を抜きながら啖呵を切る!
「キミの悪事も、ここでおしまいだよッ!」
 ダイナミックエントリーを果たしたシャーリー・ネィド(f02673)が、宇宙バイクの機上からクリス・ベルにびしと指を突き付けた。
「むううーっ!あなたたちは……猟兵ですね!!まさかわたしのクリスマスワールド計画をかぎつけて来たんですか!」
「如何にも」
「まあ、随分派手にやってたっすからねえ」
 割れた窓から続けてフロアに飛び込んだのは、メナオン・グレイダスト(f31514)とレギオ・ギャングース(f31376)の二人である。なお、彼らの魔王・四天王間の短期雇用契約は継続中だ。
 フロア中にちらばったD紙幣を踏みしめながら、メナオンは一歩進み出た。
「にしても――このクライシスマスの催し、随分と上手くいっているようではないか」
「だ……だからなんだっていうんですか!」
「……いや、何。この目論見を台無しにしてやるのもまた、悪と呼べるであろう?」
「さすが陛下っす」
「うむ」
 ここですかさず契約四天王としてレギオが太鼓持ちをした。メナオンがちょっとぎこちなく頷く。
「『うむ』じゃないですよ!!なに当たり前のようにわたしのクリスマスワールド計画潰す気になってるんですか!?そんな悪事許しませんよ!」
 クリス・ベルはそこに文句をつける!
「いやあ、でもオレらワルいことしなきゃなんで。法律あるし」
「我輩らとしては望むところであるな」
 しかし2人は顔を見合わせて頷きあう。デビルキングワールドの悪魔である彼らにとって、悪事呼ばわりは推奨される行いなのだ。
「お、おのれおのれ減らず口をっ!」
「成程、こういう方でしたかぁ……」
 喚き散らすクリス・ベルの姿に夢ヶ枝・るこる(f10980)は目を細めた。
「……でもぉ、この様な催しは『年に一度の特別な日』だから良いのだと思いますよぉ?」
 続けて述べたのは率直な感想である。その言葉にクリス・ベルはむうと眉をつり上げた。
「だめですー!」
「まぁ、そうっすねえ……。終わらないクリス魔ス、何時までも続くパーリーナイト。やがてそれはすべてを埋め尽くす、……ワルっすね」
 ここでレギオが口を挟んだ。
「……む、そこのお兄さんはよくわかってらっしゃるよーですね」
「……だが、アンタそれは守りに入ってないっすか?」
「は?」
 レギオの言葉にクリス・ベルが困惑する。レギオは構わず挑発めいて話を続けた!
「コレがアンタの頂点でコレ以上はないってあきらめてねえっすか?」
「い、いったいどーいう意味ですか!」
「いやねェ――ほら、同じことをずーっとだらだら続けてもマンネリじゃねえっすか。毎年毎年、次はもっとワルく、次の次にはもっとスゲー悪事を……そんな進歩を投げ捨ててる様に見えるっす」
「し……進歩がない!?このわたしが!?」
「そう!はっきり言って、このままじゃーぜんぜんダメっすよ!どうせなら魔正月も丑年も全てのみ込んで、新たな自分にレボリューションしようって意気込みくらい見せてみろっす――オレはそうやってビッグになってきたッス!」
 畳みかけるレギオ!レギオは勢いで押し切りながら、更にダメ押しの一手を打った。彼がクリス・ベルの目の前に着きつけたのは上等な魔毛筆で魔書道された『一日一悪』の魔書初めである!
 更に、今年の悪事計画表にしっかりと書き込まれた悪事の予定は彼の充実した一年を予感される完璧なものであった。一年の計をしっかりと立てていてえらい!!
「なるほど、さすが我が契約四天王だ。実によく書けている」
「おほめにあずかり光栄っす」
 これには契約魔王のメナオンも感心する。
「ぐぬぬぬ……!でもだめです、そんなものを見せたってわたしの気持ちは変わりません!あなたたちにはここで全員死んでわたしのクリスマスワールドのいしずえになってもらいますー!」
 だが逆上!クリス・ベルは猟兵たちの言葉をかたくなに受け入れることなく戦闘態勢へと入る!
「前口上はそのあたりで終わりかな!」
「なら、そろそろ本題に入らせてもらうぜ!」
「そうですねぇ。私たち、あなたをやっつけにきたんですぅ」
 駆動音!シャーリーは愛機ハイメガシャークを分割し、形態を変えながらの再構成を行う。【エクストリームミッション】!パワードスーツ状に纏った装甲を鳴らし、シャーリーは構えた。ウィーリィもまた手の中に握りしめた大包丁の感覚を確かめる。るこるもまた戦闘用のビット兵器を装着し、戦闘状態へと移行した。
「そういうわけだ。ここからが本番、我輩らの力の見せどころであろう。往くぞ、お前たち」
「合点承知っすよ、陛下。そんじゃ、やっつけるとしましょうかね」
「なんですか!!あなたたち、5対1ですよ!?多勢に無勢ですよ!?よってたかって卑怯だと思わないんですか!?」
「卑怯もらっきょうもあるかよ!」
「っていうかキミ、外に手下いっぱいいたよね!?」
 ぎゃあぎゃあとうるさくいちゃもんをつけるクリス・ベルの文句を躱しながら、ウィーリィとシャーリーはフロア内を駆けた。まずはウィーリィが素早く前進する!
「あーあーうるさいうるさいでーす!とゆーか!わたしに!くちごたえすることは!ゆるしません!いまのわたしは実質的に死ブ谷の支配者なんですから逆らっちゃだめなんですよ!それ行けジンジャーマン隊!反逆者を処刑してください!」
 しかし、クリス・ベルは札束を蹴立てて跳び退りながらキャンディケインを振り上げた。杖先から眩く光が散る!その光の中からぽこぽこと音をたてて生まれ飛び出してくるのは、ジンジャーマンクッキーの兵隊だ!
「こーなれば数で勝負です!圧倒しろー!」
 ざらーっ!クリス・ベルが飴杖を振るうたびに、光の中からジンジャーマンの兵隊が飛び出してゆく!床をたたけばクッキー兵がひとつ!壁を叩けばクッキー兵が二つ!4つ!8つ!16つ!倍々に数を増し、クッキー兵団はざらざらとクッキー生地のこすれる音をウォークライめいて鳴らしながらフロアに満ち始めた。
「くっ!」
「わっ!?こんどはこっちが数で負けてる!?」
 突如飛び出した凄まじい数のクッキー兵隊!ウィーリィとシャーリーは足止めを余儀なくされる!2人は咄嗟に対応して第一波のクッキー部隊を退けるも、流石にすべて対処するのは困難だ。2人は慎重に後退した。
「えぇ……さっき多勢に無勢は卑怯って言ってましたよねぇ?」
 ビット兵装を用いて空中に退避したるこるは兵装を起動して迎撃を開始する。フロア内を光線が奔り、ジンジャーマンたちを黒焦げクッキーへと焼き焦がした。
「であらば、こちらも数を出そう」
「それじゃ、契約四天王もお供するっすよ」
「うむ。頼らせてもらおう。――ではゆくぞ。我輩の忠実なる手勢よ、戦の時間だ。かの者の部下どもに後れを取るな」
 【グレイダスト・レギオン】。――虚空から招聘された極小の機械が寄り集まりながらカタチを成す。メナオンのユーベルコードによって構成される人工生命の兵隊たちだ。
「よーっし。本当の数の力ってやつを見せてやるッス!」
 それと同時にレギオもまたその身体を増やした。一種の群体生命であるとも言えるレギオはその躯体を分裂させながら、瞬く間に山のような量の分身体を作り出してゆく。
「いいだろう。進め――よいな。その身を常に変化させ、敵を翻弄するのだ」
「陛下、この子らの指揮権ちょっともらっていいっすか?」
「いいだろう。……であれば我が四天王契約締結者レギオよ。お前に前線での指揮をゆだねる。蹂躙せよ。“灰色の魔王”の名、かの者どもに刻み込め」
「お任せあれっす!」
 分体レギオのうちの一体が代表してメナオンに恭しく頭をさげてから、グレイダスト・レギオンを引き連れて迫り来るジンジャークッキー部隊へと喧嘩を売りに行く。
「打ち砕け」
「御意っす!」
 そして、メナオンの命令を完遂すべく先陣を切った一人目のレギオがグレイダスト・レギオンとともにジンジャークッキー部隊と正面衝突する!轟音!レギオがフルスイングした黄金バットがクッキーを粉砕!続けて2人目のレギオに引き連れられたグレイダスト・レギオン隊が入れ替わるように陣形を再編して前進。ジンジャーマンたちへと更に激突してゆく。
「どんどんやっつけていきましょうねぇ」
 その様子を横目で見つつ、るこるは空中からの砲撃を続けていた。更にユーベルコードが作り出す異常重力空間がジンジャーマンたちの動きを鈍らせ、その撃滅をより確実なものとしている。【秤濤】の力は有効に働いていた。そして着弾。爆砕。砕け散るクッキー。続けて追撃。更に爆発するクッキー。いくつかの破片がるこるの頬をかすめてゆく。
「ところでふと思ったのですが……このクッキーさん、食べられますかねぇ?」
 顔の横を通過する破片から香った甘い匂いに、るこるはつい目を引かれてしまう――。もう一体爆破。その破片が再び宙に舞う。るこるは素早く身体を捻り、空中に散った破片のひとかけらをぱくりと口でキャッチした。ばり、と音をたてて噛み砕き、そして広がる風味を味わう。
「……けっこういけますねぇ」
 もうすこし、味をみてみましょうかぁ――。るこるは浮遊したまま眼下に迫るジンジャークッキーたちを見下ろす。ふわと香った甘い匂いに、るこるのおなかがきゅっと鳴った。
「おらぁッ!」
「わあっ!」
 一方――ジンジャークッキーの群れがメナオン・レギオの短期契約関係とるこるの3人によって抑えられていたことで、ウィーリィとシャーリーの2人は敵にマークされることなく自由に動くことができていた。――そこで、2人はその好機を逃すことなく敵の本体であるクリス・ベルへと攻勢をかけたのである。
「だあっ!」
「くッ!やらせませんよっ!」
 交錯!飛び込んだウィーリィが手にした刃を振り下ろした。だがクリス・ベルも油断なく武具を振り上げてそれを凌ぐ。キャンディケインと大包丁が切り結ぶようにぶつかり合った。ウィーリィは包丁を跳ね上げるようにして鍔競り合う状態から脱し、僅かに後退。その軌道をクリス・ベルが目で追う――次の瞬間!
「こいつでッ!」
「わっ!?なんです!?」
 ウィーリィは足元のD紙幣を蹴り上げた!砂塵めいて舞い上がる札束が煙幕のようにクリス・ベルの視界を奪う!
「今だ、シャーリー!」
「おっけーだよ、ウィーリィくん!」
 その一瞬!隙を見逃すことなくシャーリーが仕掛けた。ユーベルコードによりパワードスーツめいて纏った宇宙バイクの鎧の質量にブースターでの加速を加え、そして彼女は――クリス魔スツリーへと激突したのである。
「あーーーっ!わたしのツリー!!」
 衝突の衝撃でツリーがぐらぐらと揺れる。そして――その傾きは瞬く間に最高潮に達した。だが、クリス魔スの象徴であるツリーが倒れるなどというのは、あってはならないことだ。床に散らばったD紙幣を踏みしめながらも、飛び出したクリス・ベルはツリーが倒れぬように支えに入った。
「なんてひどいことするんですか!?マジで!!」
「おっと――その『なんてひどいこと』ってやつ、まだ終わってないぜ!」
 しかし次の瞬間である――追撃とばかりにウィーリィは手にした大包丁を振るった。その刀身はユーベルコードの炎を纏う!【神火の竈/プロメテウス・レンジ】!
「どんど焼きにはちょっと早いけど、な!」
 ごうッ!切っ先から火が迸る!その炎は瞬く間にクリス魔スツリーとD紙幣に引火し、クリス・ベルごと火だるまにして燃え上がった!
「これも一緒にもっていけっ!」
 それと同時に、シャーリーが引き金を絞った!追い打ちのクイックドロウだ。シューティングスターが熱線を放つ!
「あつーいっ!?」
 クリス・ベルは悲鳴をあげながら炎の中から飛び出した!そのままどたばたとのたうち回り、シューティングスターの火線から逃れながら鎮火!そして焦げた衣装を引っ張り上げて強引に態勢を立て直すと、半泣きになって猟兵たちを睨んだ。
「な、なんてひどいことするんですか!この鬼!悪魔!人でなし!あーやだー!上着焦げちゃってるじゃないですかー!!」
「って言われてもオレら悪魔っすからねえ」
「我輩もそうであるが」
「この世界でその悪口って意味があるんでしょうかぁ……?」
 ジンジャークッキー兵団をあらかた叩きのめしたメナオンとレギオ、そしてクッキー兵の破片を咥えたるこるが胡乱げなものを見る目でクリス・ベルの姿を視線で追う。
「も、もーゆるしませんよ……!わたしもそろそろ本気でおこりますからね!どうなっても知りませんから!」
 しかし怒髪天!クリス・ベルは激怒する。
 ――ここまでの交錯で、クリス・ベルには少なくないダメージが与えられたのは間違いない。この激昂がその何よりの証左である。
 しかし、逆上したオブリビオンは非常に危険な存在だ。この先も油断することは出来ない――クライシスマスに終焉をもたらすための戦いは、まだ続くのである!
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴

虚偽・うつろぎ
アドリブ連携等ご自由に

メリークライシスマス!
いやメリークリス魔スかな?
どちらでも良いか
受け取ってよ
魔正月らしく僕からの自爆という名のお年玉を

登場即自爆
自爆できれば台詞も活躍もいらぬ!
速攻で自爆することが最優先
1歩も動かず即自爆
それがジャスティス

ただ自爆するためだけに現れる存在
何かいきなり自爆する
そういう怪奇現象
もはや災害である

技能:捨て身の一撃を用いてのメッサツモードによる高威力な広範囲無差別自爆

射程範囲内に敵が1体でもいれば速攻で自爆
自爆することが最重要
なので敵がいなくても自爆するよ
大事なのは自爆までのスピードさ

捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
1回限りの大爆発
自爆後は爆発四散して戦闘不能だね


エル・クーゴー
【物九郎(f04631)と】



これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します
そして新年を開始します
(決めゼリフ一部変更とかいうアツいボス戦演出)


・【万象改竄:電脳天球儀(ハッキング)】発動
・館内放送設備をジャック、魔讃美歌ヘビロテを止めさせ「イヨォー(ポン)」とか「ぷおーぱおー」っていう尺八サウンドとか、正月っぽいBGMに差し替える

・同時進行的にサーチドローンのマネギを放ち、廃棄された魔正月飾りをレスキュー(特に魔招き猫重点)、その辺に綺麗に並べ直す
・注連縄の代わりにシルバーを巻くとかミカン乗せる代わりに小型の髑髏を置くとか、すごいデモニックにする

・クリス魔ス有利な地形条件を、崩す!


白斑・物九郎
【エル(f04770)と】



イベントってのは、その時その時だけソレで盛り上がるからいいモンなんスよ
年中ブッ通してて飽きが来た日にゃどうするんですよ?

年末に出直して来なさいや
ンで12/25が過ぎたら、また骸の海に叩き返してやりまさァ

――ワイルドハントの始まりっスよ!


・エルを背にして敵軍勢に相対、時を稼ぐ

・正月イメージでの戦場支配が効力を発揮次第、クリス・ベルへの最短最速ルートを【野生の勘】で見出し【ダッシュ】で接近
・『モザイク状の空間』の投射(投擲+なぎ払い)での攪乱と【怪力】でブン回す魔鍵による直接攻撃で畳み掛ける

・己の攻撃の命中を以って【砂嵐の王と狩猟の魔眼】発動、エルに強火力をブチかまさせる


エドゥアルト・ルーデル
おいこの子からセンシティブしていいのか?

あー【パーティグッズ】出されたらもう猟兵の仕事なんてやってられないでござるね!口実だけど!
他の戦ってる猟兵とクリス・ベル氏そっちのけで窓ガラスを叩き割りその場にある人のDを10009の窓からありったけ投げる!投げ捨てる!
銭まくど!銭まくど!風流せい!風流せい!

…なにって銭で遊んでるでござるよ!やってみたかったんだよねこれ!
ホントはクリス・ベル氏で遊びたいんだ…かなり拙者好みだが実際センシティブできる訳じゃない…なら趣味に走るしか無いって事ジャンッ!
目的があっての銭ゲバでござるがそういう美少女を曇らせたい時ってない?…デュフッ背徳感スゴイ!滾る!


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

あのな?
いやまぁ、良いんだよクリス魔ス続けても。
って言うと思ったかぁ!?
テメェら!なーんも分かっちゃいねぇ!
お前らのクリス魔スの定義はどこだよ!
イブか!?夜か!?次の日の朝かぁ!?
言と次第によっちゃ血ィ見るよ!!

イブのパーティが望みならプレゼントはどうするのさ!?
プレゼントが望みなら惨汰(サンタ)を過労死させる気か!?
どうなんだそこんところ!
永遠に続けるんならなぁ、そこの辺りもキッチリ突き詰めやがれ!
そうでもしないとこっちだって考えがあらぁ!
惨汰の皆と結託して特大のワルい事、
プレゼント配達のストライキを仕掛けるよ!?
さあ、さあ、どうするよ!
休みをよこしやがれぇー!


「よくも私の計画を邪魔するつもりですね!!」
 半泣き!猟兵たちの攻撃によって服を焦がしたクリス・ベルが涙目で激昂する!
「ウーンいい表情でござるな〜」
 突入したエドゥアルト・ルーデル(f10354)はニヤニヤ気持ち悪い笑みを浮かべながらそれを見ていた。
「イイ趣味してるね、おっさん」
 数宮・多喜(f03004)はエドゥアルトを横目で見ながら呆れた声でため息をつく。
「オタクら気ぃ抜けすぎじゃないっすか」
 白斑・物九郎(f04631)もまた2人まとめて白い目で見る。
「問題ありません、猟団長。当機の計算では、我々の戦力は間違いなく敵を上回っています」
 エル・クーゴー(f04770)はきわめて冷静に彼我の戦力差を分析する。
「速やかに撃退し、クライシスマスの終了宣告を行いましょう」
「そ、そうはさせませんよ!だってクリス魔スがずっと続いた方がたのしいじゃないですか!!あなただって魔JKならわかるでしょう!?」
 やぶれかぶれに激昂するクリス・ベルは、エルを怒鳴りつける。そう。エルはまだ死ブ谷潜入用の魔JKスタイルだったのだ。
「申し訳ありませんが、当機は魔JKではありません」
「セーラーなのに!?」
 しかしてエル自身は実際魔JKではない。クリス・ベルのいちゃもんをすぱっと切り捨て、戦闘状態へと切り替えを開始する。物九郎は短くため息をつくと、クリス・ベルへと向き直った。
「イベントってのは、その時その時だけソレで盛り上がるからいいモンなんスよ。年中ブッ通してて飽きが来た日にゃどうするんですよ?」
「そんなことありませーん!だいいち!私の極大儀式魔術さえ成功すればこの世界は永遠のクリスマスワールドになるんでーす!」
「はあ、クリスマスワールドねぇ……」
 その胡乱なワードに、多喜は眉根に皺を寄せた。
「あのな?いやまぁ、良いんだよクリス魔ス続けても……」
「でしょう!?」
 すわ賛同者の登場か!ぼやくように零す多喜の言葉に、クリス・ベルは目を輝かせる!
 しかし、次の瞬間!
「って言うと思ったかぁ!?」
 バーン!掌が返る!怒りを込めた裂帛の気迫とともに多喜は咆哮した!
「わーっ!?」
 思わぬ勢いに気圧されたクリス・ベルは勢いよく転げる!
「テメェら!なーんも分かっちゃいねぇ!お前らのクリス魔スの定義はどこだよ!イブか!?夜か!?次の日の朝かぁ!?言と次第によっちゃ血ィ見るよ!!」
「ヒッ そ、それは……ま、まま毎日がクリス魔スで兼クリス魔スイブっていうか……」
「あ゛ァ!?どっちもか!?イブのパーティが望みならプレゼントはどうするのさ!?プレゼントが望みならサンダーさんを過労死させる気か!?どうなんだそこんところ!!」
「ひ、ひええ……」
 激怒する多喜の気勢に押されて、だんだん小さくなってゆくクリス・ベル!非合法業者めいた恫喝にも見えたが、これは彼女のユーベルコードとして昇華された立派な技術なのである。【罪暴く言の葉/ディテクティブ・ロイヤー】。鋭く重い言葉の刃がオブリビオンの精神を疲労させる!
「永遠に続けるんならなぁ、そこの辺りもキッチリ突き詰めやがれ!」
「ひええ……どうしてそんなひどいこというんですか……!」
「ア゛ァ゛!?そんな詰めの甘さでいいと思ってんのか!こっちだって考えがあらぁ!」
「まあまあ多喜殿。そのあたりで許してやってもいいでござらんか」
 ここで助け舟!エドゥアルトは多喜の肩にぽんと手を置き、その気勢を削ぐ。
「せっかくのクライシスマスでござるよ。すこしはこの子にもいいことがあってもいいはずでござる。な?」
 ニチャアと擬音を伴った喜色の悪い笑みとともにエドゥアルトは続けてクリス・ベルの肩に手を置いた。
「ヒッ 食べないでください……あの、どうぞ、これでおゆるしいただければ……」
 怯えた小鹿のように縮こまりながら、クリス・ベルは足元のD紙幣と先端にポンポンがついた円錐状の浮かれ帽子やクラッカーなどのパーティーグッズを差し出したのである。
「あー!パーティグッズなんか出されたらもう猟兵の仕事なんてやってられないでござるね!拙者はこれで楽しませてもらうでござるよ!」
 エドゥアルトはそれらのアイテムをひっつかむと、フロアの適当な隅っこへと駆けこんでいく!
「…………」
「…………」
「えーと、それでなんでしたかや」
「アッハイ」
 仕切り直し!嵐のような胡乱なノリが過ぎ去って、ここでようやく物九郎が再び口を開く。
「……っつーことっスから、年末に出直して来なさいや。ンで12/25が過ぎたら、また骸の海に叩き返してやりまさァ」
「そうともさ。クリス魔スも終わってくれなきゃ、アタシも休みがもらえないんだからな!」
「むううーっ!まだそんなこと言ってるんですか!いい加減諦めてクリス魔スに迎合すればいいんです!」
「ハ。往生際が悪いのはそっちでしょうや――行くッスよ。エル」
 物九郎は構えをとった。その身に剣呑な気配を纏う。
「了解しました。これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します」
 そして、エルのバイザーに光が灯る。
「――ワイルドハントの始まりっスよ!」
「はい。そして新年を開始します」
 限定衣装での台詞変更レア演出!エルは魔JKセーラーのスカートを揺らし、そして戦闘機動を開始する!
「そ……そんなのゆるすもんですかー!であえであえ!」
 対するクリス・ベルは飴杖キャンディケインを振りかざす!くるりと回せば飛び出すジンジャーマンクッキー!ポケットを叩けばジンジャーマンは増える!
「わたしのクリス魔スを邪魔するやつらはいちもーだじんのみなごろしです!」
「くるよ、準備はいいかい!」
「当たり前でさァ!」
 真向!向かい来るクッキー兵部隊に対し、物九郎と多喜は真正面から飛び込んだ。虚空に展開するモザイク空間に腕を突っ込み、その内側から魔鍵を引き抜く!その勢いのまま、横薙ぎに払う一撃がジンジャークッキー兵をまとめて吹き飛ばした!
「おッらァ!」
 打撃!続けて飛び込んだ多喜の蹴り足が唸る。ライダーブーツの靴底がクッキーを叩き割った。2人はそのまま進撃する!
「銭まくど!銭まくど!風流せい!風流せい!」
 一方その頃、エドゥアルトはこの戦いを一切合切無視して戦闘そっちのけで遊んでいた!
 エドゥアルトは10009ビルの窓ガラスを叩き割り、そこからフロア中に散らばったありったけのD紙幣をひっ掴んでは外に撒き散らしていたのである!
「なにしてるんですかーーー!?」
 それに気付いたクリス・ベルが悲鳴をあげながらエドゥアルトのもとへ飛び込んだ!
「ボグフッ」
 頭突きめいた激突に肋骨をへし折られるエドゥアルトであったが、しかして一度深呼吸して痛みをごまかすと、再び紙幣を掴んで放り捨てる!
「なにしてるんですかマジで!?」
「……なにって銭で遊んでるでござるよ!やってみたかったんだよねこれ!グエッヘッヘッヘ!さあさあ!くりす社長!!!デビルキングの世界ではお金などいらぬのだ!拙者が捨ててやる!!」
 エドゥアルトはサイコロを放り投げた!そして再び紙幣を捨てる!
「っぎゃーーーーー!!わたしのあつめたおかねがーーー!!!」
「ホントはクリス・ベル氏で遊びたいんだ……かなり拙者好みだが……」
「ヒッ」
 ぞわッ。――エドゥアルトから向けられる粘っこい視線に、クリス・ベルは顔面を蒼白にした。しかしそうは問屋が卸さない。何故ならば第六猟兵は全年齢向けコンテンツだからだ。そこをしっかりと弁えたエドゥアルトは、真摯に別の奇行に走っていたのである。
「実際センシティブできる訳じゃない……なら趣味に走るしか無いって事ジャンッ!」
 紙幣を掴み、捨てる!
「目的があっての銭ゲバでござるが、そういう美少女を曇らせたい時ってない?……デュフッ背徳感スゴイ!滾る!」
 高まってきたエドゥアルトが滾りながら更に紙幣を捨てる!
「なにこのひと……怖……」
 あまりの奇行に完全にドン引きしたクリス・ベルは、もうこれは触ってはいけない案件であると見切りをつける。そして彼女は見なかったフリをしてあらためてまともな方の猟兵たちへと向き直った!
「ふん……ですが、わたしはクリス魔スの妖精!すなわち、このクリス魔スムードに満ちた空間においては~……無敵!みたいなものです!」
 気合を入れなおすクリス・ベル!そう、見渡す限りこのフロアはD紙幣とクリス魔スデコレーション!そして館内放送でエンドレスに流れ続けるクリス魔スソング!
「聞こえるでしょう、この魔讃美歌!クリス魔スムードを盛り上げるジングル・ヘルの……」
「――なにが聞こえるってんです?」
「……うええっ!?」
 バァンッ!砕け散るジンジャークッキー兵!破片を乗り越え、そして物九郎がクリス・ベルへと肉薄する!
 否、それよりもクリス・ベルを困惑させたのは――館内BGMを奏でるスピーカーから流れだした音楽である!
《イヨォーッ》《ポンッ》
 ――鼓!
 続けて奏でられるのは、琴の旋律である。そして見事に調和する魔尺八の旋律!それは魔正月の定番曲、『春の魔海』である!
「な……なんですか!?なんで!?魔正月なんで!?」
「ウチのIT担当、ナめンじゃニャーですわ」
 物九郎が更に追撃の魔鍵を振るいながら、横目でちらと背後を見遣る。――そこに立つエルは、展開した電脳領域を用いて周囲の電子機器へとハッキングをしかけていたのだ。
「――はい。既にこの建物内の電子機器の掌握は完遂しています。また、確認された魔正月飾りの修復及び再展示作業についても進行中です」
 【万象改竄:電脳天球儀/ニューロスフィア】――神業めいたその技術からしてみれば、この建物の電子機器など2秒で完全制圧が可能だ。そうして支配した音響装置から、エルは魔正月に相応しいBGMを流していたのである。
『ぶみゃあ』
 更に、展開したマネギドローンたちが館内に散らばり、クリス・ベルによって無残に打ち壊された魔正月飾りを回収していたのだ。魔十二支ミノタウロスの立像や魔鏡餅、そして魔招き猫といっためでたい縁起物たちがマネギドローンたちの手によって修繕され、10009ビルの内装を本来あるべき姿――即ち、クライシスマスを終えた魔年始の商戦に備えた魔正月デコレーション状態へと変えてゆく!
 棘付きシルバーチェーンで巻かれ、髑髏の置かれた魔鏡餅。蝙蝠の羽と銀茨で形作られた魔注連縄。毒花で彩られた魔門松……。それらの魔正月飾りに彩られ、10009は瞬く間に魔正月となるのだ!
「わ……わたしのクリス魔スがーっ!!」
「年貢の納め時ってやつだよ!」
 愕然とするクリス・ベルへと多喜が突撃する!容赦なく叩きつけられる蹴り足に吹き飛ぶクリス・ベル!
「また来年来やがれっすわ!」
 追撃!更に振りかぶった魔鍵を、物九郎はクリス・ベルへとぶち込んだ!
「ギャワーっ!」
「――エル!火力支援!」
「了解。FCSリンケージ。アームドフォート・デバイス起動。目標を殲滅します」
 そして、物九郎の号令に応じたエルが火砲を開く!これこそが物九郎とエル2人によるコンビネーション・アサルト、【砂嵐の王と狩猟の魔眼/ワイルドワイルド・ハントハント】である!
「斉射」
 ――爆轟ッ!閃光と火線がクリス・ベルへと叩き込まれ、10009ビルのフロアが炎に包まれる!
「……おっ!やったでござるか!?」
 その音に流石のエドゥアルトも紙幣を捨てる手を止め、立ち込める噴煙へと視線を向けた!
 しかし――!
「ま、まだですよ……わ、わたしのクリスマスワールドを実現させるためには……」
 クリス・ベルは、まだ立っている!
「随分としぶといっすな……」
「んじゃ、もう一発とどめを――」
「……待ってください。不明な反応を検知しました」
 立ち上がるオブリビオンの姿にあらためて追撃の構えをとった2人を、エルが制する。
「……ニャんですって?」
「あれは――」
「――メリークライシスマス!……いや、メリークリス魔スかな?どっちだっけ。どちらでもいいか」
 立ち込める噴煙の中、ずるりと奇怪な音をたてながらフロアを這う黒い『う』のひらがな――。そのホラー映画のクリーチャーめいた胡乱な姿を、猟兵たちとクリス・ベルは見た。
「な……なんです!?今度はなんなんですか!?」
「まあまあ、いいじゃないか」
 それは――虚偽・うつろぎ(f01139)であった。
「とにかく受け取ってよ、魔正月らしく――僕からのお年玉を」
 そして、空気が熱を帯びる。
「ニャんですって?」
「アラート。急激な待機温度上昇を検知。高レベルのプラズマ反応を確認。速やかな撤退を推奨します」
「……マジかー!アレ来てるなんてきいてないよ!」
 ――焦る多喜!多喜はうつろぎの周囲の大気が揺らぐのを感じたその瞬間、すぐさま反転して窓へと走り出した!
「逃げるよ!アンタたちも早く!」
「了解。撤退します。行きましょう、猟団長」
「お……おう」
 多喜に促され、エルと物九郎も走った。エドゥアルトが割っていた窓ガラスから、猟兵たちは死ブ谷の街へと身を躍らせる――!
「な、なんなんですかーっ!?」
 そして状況の変化についていけていないクリス・ベルが叫んだその時である!
 爆轟――ッ!
 超ダイナマイト百万発分もかくや。街一つがまるごと吹き飛んでもおかしくはない凄絶な極大火力が、そこに炸裂したのである。
 【ウツロギ/メッサツモード】。
 それは虚偽・うつろぎという猟兵のアイデンティティ。あるいはレーゾンデートルとも言える必殺の一撃――すなわち、自爆であった。
「爆発オチなんてさいてーーーーーーーーっ!!!」
 クリス・ベルが最後に放ったその断末魔も、炎と爆風に呑まれて消える。
 かくして――10009ビルを瓦礫一片すら残らぬ更地へと変え、ここにクライシスマス終焉の鐘が鳴らされたのであった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第3章 日常 『デビルキングショッピング』

POW魔ファストフードや流行りの魔スイーツを食べに行く
SPD最新の魔ガジェットや流行りの魔アイテムを買いに行く
WIZ最新モードの魔ファッションや魔コスメを買いに行く
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あっけおめー!!」
「ことよろ!」
 クライシスマスを終えた死ブ谷の街に、とうとう魔正月が到来する。
 抑圧から解放された悪魔たちは我先にとクライシスマスイルミネーションの撤去作業と、魔正月を迎えた悪魔たちのための魔正月飾りのセッティングを急ぎ開始したのである。

「新年初の魔タピ!魔タピはどーですかー!」
「魔タピの流行りももー終わりでしょ!今の最新モードはアビスフルーツティーで決まり!」
「焼き立ての魔ッフルありまーす!」
 その一方、魔JKたちや魔若者への訴求力を競い合うように、魔スイーツや魔ファストフードの店舗が呼び込みを開始する。取ってつけたような魔正月限定メニューも楽しむことができるだろう。買い食いのみならず、ちょっと洒落た鬼っ茶店や魔カフェなどで優雅なティータイムを過ごすのもいい。

「初売りでーす!」
「個数限定悪袋はとってもお得!さーさーどんどん買ってってね☆」
 他のショップに目を向ければ、魔ファッションブランド店や魔雑貨店、魔電量販店といったさまざまなお店でも魔正月らしい初売りセールやお得な悪袋の販売イベントが開催されている。このおかいものチャンスを上手く掴めば、充実したショッピングを楽しむことができるだろう。
 予算ならば、クリス・ベルを打倒したことで接収できたD紙幣が山のようにある。(※大半は失われていましたは、何割分かはビルの焼け跡から回収することができました)
 君たちはこの回収した紙幣を使って、いくらでも買い物をしていいのだ。
レギオ・ギャングース
SPD判定

・買い物をする

各店舗を回って限定悪袋を色々と買い揃えながら
こっそりと流行って居なさそうな非合法ファンシーショップで
かわいい子猫のグッズの福袋を買って荷物に紛れ込ませる

その後、適当な近場のネカフェ個室で袋を開けて鑑賞する

・セリフ、演出
(辺りをキョロキョロ見回しながら挙動不審な様子で)
へへ、誰も見ちゃいねえっすよね

(ガサゴソと袋を開封しデレッとした笑顔でヌイグルミを取り出し)
にゃんこちゃん可愛いっすね~
よし、お前の名前はニャン太郎っす!

(並べて一緒に自撮りする、秘密ファイルに保存)
くぅー!誰かに自慢したいっすねー
SNSに投稿出来たら「ワルいね」が沢山ついてバズること間違いなしっす!


夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
これは楽しそうですねぇ。
折角ですし、食べ歩きとショッピングを楽しませていただきますぅ。

【豊艶界】を使用し、購入した荷物を此方に入れられるようにした上で、色々と見て回りましょう。
『魔ファストフード店』の品々を中心に[大食い]で色々といただいてみますねぇ。
『魔タピ』も色々な種類が有りそうでしょうかぁ?
テイクアウト可能で日持ちする品が有りましたら、お土産の購入も良いですねぇ。

途中、『魔ファッションブランド店』も見てみたいですねぇ。
装飾品も良いですし、色々な種族の居るこの世界でしたら、私の体型で着られる服が有るかもしれません。
此方もお土産を兼ねたいところですぅ。


メナオン・グレイダスト
・POW

あれほどの財をビルごと吹き飛ばすとは、何ともったいな…、
…いや。並外れた悪であるな。参考にせねば。

ともかく、我輩の取り分は盛大に使うとしよう。
手勢はともかくとして労うべきもの達がいる故に。
お前達、我輩の分のD(デビル)も必要ならば言うが良い。
功績には褒美を以て応えるのが、魔王の中の魔王というものであろう?

(言葉通り、共闘した人に気前よくDを使わせる。共闘していない人にも望まれれば分ける)
(その上で、余った分を使って散策ついでに買い物を楽しむ)

…ふむ、スイーツにファストフード。
興味を惹かれるが…随分多い、迷うな。こういう時は…。
どれ、何がお勧めだ? 全て持って参れ。

※アドリブ・絡み等歓迎


数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】

ふぃー、まさかあそこで大爆発とはねぇ……
刑事でも何でもないから、死ぬかと思ったよ。
しかしまぁ、ビルが一つ更地になったのに
やっぱ死ブ谷の連中はタフだねぇ。
さっそく初売りを始めてやがる。
悪袋……あー、UDCアースで言う所の福袋か。
意外とコスパ良いんだよなーアレ、
一つアタシも買ってみるかな……って限定品!?
そうだよな、早い者勝ちだよなぁ!?
空に舞うDをパパッと搔き集め、
狙いの悪袋を見定めたら【縁手繰る掌】で強引に確保にかかるよ!
コスメ系を買えりゃ嬉しいけれど、はてさてどうなるかな。
中身を知らないままに散財するのも、ひとつのワルだろー?


「ふぃー、まさかあそこで大爆発とはねぇ……」
 数宮・多喜(f03004)は爆発によって更地と化した死ブ谷10009ビル跡地を仰ぐ。
 クリス魔スにビルの爆発――“そういう事件”を解決する案件としては、ヒーローズアースの“なかなか死なない”刑事の逸話が有名であるが。彼女は猟兵ではあるにせよ、一応は一般人の範疇である。死ぬかと思ったよ、と、多喜はため息交じりに呟いた。
「いやまったく、とんでもないスケールの猟兵もいたもんっすね」
 レギオ・ギャングース(f31376)もまた、肩を竦めて瓦礫すら残らぬその区画を見た。
「あれほどの財をビルごと吹き飛ばすとは、何ともったいな……、……いや。並外れた悪であるな。参考にせねば」
 爆発の余波で飛び散ったD紙幣を拾い上げ、メナオン・グレイダスト(f31514)はその悪事の規模に感心する。
 魔王として精進せねば。メナオンはその想いを新たに気持ちを切り替えた。
「初売りでーす!」
「魔正月限定商品、かわいい魔丑のケーキはいかがですかー」
 そして、耳をすませば死ブ谷のあちこちから聞こえ始めるのは悪魔たちが元気に魔商売を始める声だ。
「しかしまぁ、ビルが一つ更地になったのってのに……やっぱ死ブ谷の連中はタフだねぇ。さっそく初売りを始めてやがる」
 多喜は苦笑しながら肩を竦める。
「うむ。ならば、せっかく得たDだ。盛大に使うとしよう」
「賛成ですぅ。折角ですし、食べ歩きとショッピング……ぱーっと使って楽しませていただきましょうねぇ」
 夢ヶ枝・るこる(f10980)は諸手を上げて賛成した。
「ああ、そうだな……。せっかくの機会だし、アタシも買い物しに行くとするかねぇ」
「うっす。そんじゃ陛下。今回は契約ありがとうございました。またのご利用をお待ちしてるっす」
 その一方、ここでレギオはメナオンへと契約終了の挨拶を告げる。レギオはフリーランスの四天王だ。事案が終了すればまた新たな契約と雇用主を探して、新たな事件現場へと向かうのである。
「ああ。大儀であった、レギオよ。……そして同道したお前達にも褒美が必要だな」
 メナオンはゆっくりと頷いてから、集めたD紙幣の束を手の中で揃えた。
「ご苦労であった。お前達、我輩の分のDを分け与えよう」
「ひゅう。さすが陛下、大物!」
「なんだ、いいのかい?」
 気前の良さに首を傾ぐ多喜であったが、メナオンは緩く首を振る。
「功績には褒美を以て応えるのが、魔王の中の魔王というものであろう?」
「そういうことなら」
「それではぁ、遠慮なくいただきますねぇ」
 そこまで言うなら受け取らぬ方が失礼というものだ。多喜とるこるはありがたくメナオンからの褒美を受け取った。
「それじゃ、陛下。オレはこれで失礼するっす。またどっかの現場でお会いしましょう」
「ああ。息災でな」
 そして、レギオは最後の挨拶を交わすと死ブ谷の雑踏の中へと消えてゆく。
「魔王様はどちらまでですかぁ?」
「我輩はあちらの通りに向かうつもりだ。……見よ、あちらから良い匂いがする」
 るこるの問いに答えるメナオンは、死ブ谷センター街方面を指す。そこでは何件かの魔スイーツショップがせわしなく初売りの準備を整えるほか、魔ファストフード店の新作商品の店頭販売が始められている様子が見られたのである。
「いいですねぇ。私もそちらで食べ歩きさせてもらいますぅ」
「それじゃあアタシはどうしようかねぇ――おや」
 ここで多喜はふと視線を向けた先――主に女性悪魔向けの衣類を販売する魔パレルブランドショップの店先で、派手なノボリが掲げられるのを目にした。
 『新春初売り 悪袋販売中』『数量限定!』。赤く目を引くその文言に、多喜は興味をそそられる。
「悪袋……?」
「知らぬか。我々デビルキングワールドの商売人がよくやる手管だ。中身の見えぬ袋の中に商品を詰め込み、『得をする』と言って売りさばく悪事であるぞ」
「あー、UDCアースで言う所の福袋か」
 地元民であるメナオンの解説に多喜は頷いて納得する――意外とコスパ良いんだよなー、アレ。ちょっと買いに行ってみてもいいか。多喜は握りしめたD紙幣の束を数えながら、ゆっくりと視線を上げ――
「キャーッ!」
「アタシのよお!」
「およこし!」
 そして、店先に殺到する女性悪魔たちの群れを見た。
「うわッ戦場じゃないか!?そうだよな、早い者勝ちだよなぁ……!?くそ、アタシもこうしちゃいられない。それじゃ2人とも、またね!」
 既に店先では悪袋を巡っての奪い合いが始まっていたのだ。多喜もこうしてはいられない。目当ての悪袋を求め、彼女もまた戦場へ飛び込んでゆく!
「うむ。息災であれ」
「じゃあ、私たちも行きましょうかぁ」
 そして、メナオンとるこるは別の通りへと向かう。
「いらっしゃいませー!新春記念特別販売でーす!獄海道産デビルビーフ100パーセントのキングサイズバーガーはいかがでしょうかー!」
「魔正月限定でーす!おめでたい紅白魔タピオカミルクティーも販売しておりまーす!」
「……ふむ、スイーツにファストフード」
 通りへと入った2人は、立ち並ぶショップの悪魔店員たちの間を通りながら視線を巡らせた。
「興味を惹かれるが…随分多い、迷うな」
「どれもおいしそうですねぇ……。魔タピも色々な種類が有りそうでしょうかぁ?」
 日持ちする商品があったら、お土産の購入もいいですねぇ――。るこるは魔タピオカショップの前で商品と睨めっこする。
「どれも目移りするな。……ならば、こういう時に悪たるものがすべきことは決まっている」
 その横で、メナオンが腕組みして頷く。
「というとぉ?」
「うむ。汝、欲望のままに悪事をはたらけ――そこの者」
 メナオンはここで魔タピオカショップの店員を呼び止め、そしてD紙幣の束を押し付けるように渡した。
「この店の商品は何がお勧めだ?」
「えっ、あ、はい。そうですね、やっぱり限定の紅白魔タピもいいですし、今なら魔苺のストロベリーミルクティーなんかも」
「わかった。すべて持って参れ」
「ありがとうございまーす!」
 魔王らしく尊大に下した注文に、ショップ店員が慌ただしく店内へオーダーを告げに行く!
「あっ。これおうちでたのしめるセットもあるんですねぇ。これもお願いしますぅ」
 ――そのついでに追加注文!るこるはここできっちり手みやげも入手し、死ブ谷食べ歩きの旅の第一歩として魔タピオカショップに挑むのであった。

 一方、その頃。
「くっくっく……。いやァ、いい買い物ができたっす」
 単独行動へと移ったレギオは、様々なショップを巡って悪袋を買い揃えていたのである。
 しかし、彼の真の目的はそうして買い集めた悪袋の中の一つ――路地裏の非合法店舗で極秘裏に入手した、秘密の悪袋にあった。
「へへ、誰も見ちゃいねえっすよね」
 そうして目的の悪袋を入手することに成功したレギオは、人目につかないために個室型ネットカフェへと入り込んでいた。それというのも、人目につかないところでその成果を確認するためだ。
 余談であるが、デビルキングワールドにもネットカフェは存在する。この世界に於いては魔力をリソースとした魔力発電による魔電化製品が存在しており、その中で当然のように魔界ネットワーク通信技術も発展している。グレムリンの技師や電脳の悪魔、はたまた“知恵の林檎の魔女”などがそうした機器を作り上げ、そして現代デビルキングワールドのインフラとしてイン魔ーネットを整備したのだ。
 話を戻そう。
 魔ネットカフェの個室はプライベートな空間として他とは隔絶された環境にある。他に彼の姿を見る者は誰もいない――それをしっかりと確認してから、レギオは悪袋の中身を引っ張り出した。
「あー!にゃんこちゃん可愛いっすね~!!!!もっこもこっすね~~!!!」
 そして、レギオは思う存分モフモフした。
 それは――たいへんにもこもこしていてカワイイ子猫のぬいぐるみであった。
「よし、お前の名前はニャン太郎っす。はあ……可愛いっすねぇ。くぅー!誰かに自慢したいっすねー!SNSに投稿出来たら「ワルいね」が沢山ついてバズること間違いなしっす!」
 ひとしきりぬいぐるみの可愛さに悶えた末、レギオはス魔ホでニャン太郎と一緒に自撮り写真を撮影し、満足げにパスワードロック式の秘密ファイルへと保存する。
 レギオ・ギャングースという悪魔は、鋭い眼光に逆立ったパンクなヘアスタイルを整えた、見た目からして迫力のある“ワルそう”な男であった。
 その『ワルそう』のイメージはフリーランスの四天王として雇い主に売り込みをかける際に大いに役立つのである。しかし――その本性が可愛いもの好きであると知れたなら、彼の『ワルそう』な雰囲気は大きくダメージを受けることだろう。この姿を、他に見られるわけにはいかなかった。
 しかし、これも彼にとってはささくれ立った心を癒すために必要な時間なのだ。レギオはもう一枚写真を撮った。

 ――こうして、猟兵達はそれぞれに死ブ谷の街での日常を過ごし始める。
 カワイイに悶えるレギオ。食べ歩きを続けるメナオン。食べ飽きたころに魔パレルブランドショップへと足を向けるるこる。そして悪袋争奪戦を戦い続ける多喜。
 魔正月の喧騒を、彼らは全力で楽しんでいた。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
(POW)
そういやせっかくの新世界なのにここの食べ物まだ食べてないんだよな。
そんな訳でシャーリーと一緒に食べ歩き。

数あるデビキン料理で旨そうなのを【料理】の勘で【見切り】、シャーリーと一緒にシェアし合いながら色々な味を試してみる。
「名前に魔をつけただけかと思ったけど確かに味付けは独特だよな」
「……あ、これは名前に魔をつけただけだ」
「ま、いっか。旨ければ正義!」
あ、ここはデビルキングワールドだっけ。
「もとい、旨ければ悪(ワル)!」


シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
ウィーリィくんと一緒にレッツ・クイダオレ!
(※ここはドートゥンヴォリではありません)
流行りに敏感な街なだけあって同じようなのがいっぱいあるけどウィーリィくんの料理人の勘とボクの【宝探し】で当たりのお店を探して美味しそうなのをいくつかピックアップしてウィーリィくんと二人で分け合いっこ
二人で分け合えば二倍楽しめるからね!
あとはネタ枠で魔正月限定メニューにも挑戦っ!
失敗しても二人で笑い飛ばせば元は取れるからね


「そういや、せっかくの新世界なのにここの食べ物まだ食べてないんだよな」
「だね。それじゃ、今から食べにいこうよ!」
 ウィーリィ・チゥシャン(f04298)とシャーリー・ネィド(f02673)は、死ブ谷の街を散策する。
 つい先ほどまでクライシスマスを祝う魔JKで溢れかえっていた死ブ谷であったが、今は魔正月を祝う魔JKでにぎわっていた。
 2人は魔JKや死ブ谷にたむろする若悪者たちを躱しながら、まだ見ぬデビルキングワールドのグルメを探してストリートを進んでゆく。
「あっ、見てウィーリィくん。魔サイーだって」
「魔サイー?」
 魔サイーとは、近年デビルキングワールドでも注目されつつある魔界果実の一種だ。ベリー系に近い甘酸っぱさがあり、ビタミンなどの栄養素を多く含んでいてたいへん健康的だということで注目されているのだという。
「こんにちはー。飲んでいかれませんかー?」
「お金もあるんだし、せっかくだから試してみようよ」
「ああ!」
 魔サイーは主としてジュースやスムージー状に加工されて供される食品である。また、スムージー状にされた魔サイーにグラノーラやフルーツをトッピングした食べ方も魔JKや魔セレブの間で人気が高い。2人はさっそくテイクアウトで購入し、魔サイーボウル片手に散策の続きへと移った。
「っていうか、アサイーだなこれ」
 口にした魔サイーの味に、ウィーリィはまず率直な感想を述べる。
「ブルーベリーみたいな感じの味だね」
「たしかにこういうの好きな女の人は多そうなイメージがあるな……」
 1皿をシェアして食べながら、2人は次なるデビルキングワールド料理を求めて死ブ谷の散策を続けてゆく。
 続けて2人が見つけたのは、フォールントーストの店舗であった。――魔鶏の卵と魔牛のミルクで甘く味付けした溶液に浸したパンを焼き上げた料理だ。パンを液に浸す様子が、天使が堕天する様子になぞらえて名づけられているのだという。アース世界線においてフレンチトーストと呼ばれる料理とよく似通っていた。
「けっこう種類があるんだな」
「プレーンは甘く味付けした天使風、なんだって。ウィーリィくん、この奈落風っていうのがおすすめって書いてあるよ」
 店内で席に着いた2人は、メニューを眺めながらすこし悩む――が、いまの2人の懐にはかなりのD紙幣がその出番を待っているのだ。どっちも頼めばいい、という結論にすぐ達して、2人はプレーンと奈落風の両方を注文した。
「お待たせでーす!」
「まず奈落風だね」
「とりあえず味見してみるか」
 そしてやってきたフォールントーストの皿に2人は向き合う。――先に届いた奈落風フォールントーストは、ライ麦に近い品種の麦で作られた黒パンで焼き上げたフォールントーストに、かるく焦げ目がつくまで焼いた魔ベーコンを添えて暗黒胡椒を振った、黒いフレンチトーストであった。
「へえ……甘くないフレンチトーストなんだ」
「たしかにけっこう珍しいな」
 ウィーリィはナイフでトーストを切り分けながら、皿の上のトーストをシェアする。そしてウィーリィは切り分けたトーストをひと切れ口に運び、咀嚼した。魔ベーコンの塩気と暗黒胡椒のスパイシーなフレーバーが食欲をそそる。続けてもう一切れ。なるほど、これはなかなか悪くない味付けだ。
「ふーん……名前が違うだけかと思ったけど、確かに味付けは独特だよな」
「ボク、これは初めて食べたかも。美味しいね」
「こんど俺も作ってみるよ。その時は試食頼んだぜ」
「わあ、たのしみ!……あ、プレーンの方も来たよ」
 続けて運ばれる天使風フォールントーストも2人は分け合いながら食べる。こちらはプレーンなだけあって、フレンチトーストという言葉からイメージされる優しい甘さの味わいであった。
「……あ、これは普通のフレンチトーストだ」
「でも美味しいね」
「ああ。丁寧に作られてる感じはするな。思ったより驚きはないけど……ま、いっか。旨ければ正義!」
 ――その瞬間である。
 ウィーリィが感想を述べたその瞬間、店内の空気がほんの僅かながら冷めたのを感じたのだ。
 しまった、ここはデビルキングワールド。すなわち、より『ワル』であることが正しいとされる世界だ。ウィーリィはそれに気づき、ひと呼吸おいてから慌てて言い直す。
「もとい、旨ければ悪!」
 その言葉に、冷えかかった店内の空気が和らぐ。その様子を眺めながら、シャーリーがおかしげに笑った。
「あっはは……。ね、ウィーリィくん。次はどうする?」
 そして皿の上が綺麗に片付く頃、シャーリーが尋ねた。
「そうだな……夜々木公園の方はどうだ?この様子ならたぶん魔餅つき大会なんかも再開してるだろうし」
「いいね。この世界のお餅ってどんな感じで食べてるんだろ……。面白そうだし、行ってみようよ!」
 魔餅つき大会で振舞われる餅というのも、魔正月限定品のようなものだ。他のワールドの人々では思いもよらない不可思議な味付けもあるのかもしれない。
 ――まあ、口に合わない味付けだったとしても2人で笑い飛ばすことができればそれはそれで楽しい思い出だ。期待に胸を膨らませて、2人は席をたつ。
「じゃ、行くか!」
「うん!」
 そして支払いを済ませた2人は、次なる味を求めて魔餅つき大会へと足を運ぶのである。
 かくして、2人の思い出にはまた新たなページが加わってゆくのであった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

スコッティ・ドットヤード(サポート)
外見はどう見ても女子、性格は年相応の活発な男子のサイキッカー。
口調は城〇内君みたいな感じ。友情に厚く義に厚く、明るくてギャグもこなせます。年相応にお色気に弱いです。

両親を4年前に亡くし、それ以来妹と二人で生き延びてきた経験から、小さい少女を見ると世話を焼きたがります。
また、困っている人を見捨てられない性分です。

攪乱や陽動に使えるUCが主体で、戦闘でも前に出るよりも周囲の援護に回ることが多いです。
主な武器はE&F、左手から電撃、右手から炎で攻撃します。
料理が得意ですが、料理系のUCは戦闘では使いません。

戦闘でも日常系でもどんなシナリオでも参加OKです。
よろしくお願いいたします。


フローリア・ヤマト(サポート)
『大丈夫よ、私達に任せて』
『うるさいわね……ちょっと黙らせるわ!』
呪いにより余命少しの、クールな美少女です。
口調は上記のように少しツンとした感じですが、人間が嫌いなわけではなく、仲間や人々のことを心の底では大切に思っており、戦闘でもうまくサポートしようと立ち回ります。
また、敵に対しても怯むことはなく、時には挑発めいたセリフも交えながら、死角や弱点を突いて確実に仕留めることを狙って戦います。
フローリアのUCは、嵌めている「呪いの指輪」から黒い糸や影を放つ……みたいなイメージなので、そのように描写していただけると嬉しいです。


エドゥアルト・ルーデル
一仕事終えて次の目的地へ行くか迷ったが如何せん腹が…減った…

目的の前に飯食ってからにするか
死ブ谷のメインストリートから少し離れた路地にひっそりと佇む店をチョイス
こういうのは直感を信じた方が良いですぞ
この魔正月限定メニューを一つ。他美味そうなおかずを大量追加で
隣の客を特に理由のないアームロックして暇をつぶしている間に出てきたでござるよ魔正月限定メニューが
うまい飯は喧騒から離れてじっくりと食べるんだ…誰にも邪魔されず独りで静かで豊かで…

魔界のグルメが終わればもう死ブ谷に用はないですぞ!!かっぱらったDで会計を済ませて魔界の交通機関に飛び乗りいざや向かわん理想郷!その名はアキハバラ!


エル・クーゴー
●WIZ
●ロスタもあそびに行くって言ってたし探して呼ぶ


敵性の完全沈黙を確認しました
これより打ち上げに移行します
(マネギドローンをモリモリ送り出してDを拾ってこさせまくる)

躯体番号L-95
当機は宵越しの銭は持たないことに高い適性を発揮します


・「当該世界に於ける文化習俗の更なるラーニングを継続します」とかなんとか言って、魔コスメとかを手に取っちゃしげしげ検分

・Dに任せてロスタにハマりそうな格好を片端からシミュレート……っていうか買う

・黒基調のフリフリとか蝙蝠羽っぽいアクセントとかデモニックなアクセとかどうよ?

・ぼちぼちデフォのボディスーツ姿に戻る
・と見せ掛けて悪の女幹部みたいなのを試してみたりして


「敵性の完全沈黙を確認しました。これより打ち上げに移行します」
「うむ。これで一仕事終わりましたな……。しかし、腹が減りましたぞ……」
 エル・クーゴー(f04770)とエドゥアルト・ルーデル(f10354)は、10009(イチマンキュー)ビルでの戦いを終えて死ブ谷の駅方面へと向かっていた。
 彼らのかたわらをぴょこぴょこと跳ねながらついてくるのは、エルの展開したマネギ隊だ。猫型ドローンのマネギたちは戦いによって散ったD紙幣を拾い集めながらついてきていた。
「ところでエルたそ殿はこの後どうされるのですかな?」
「はい。当機は宵越しの銭は持たないことに高い適性を発揮します。そのため、現時刻をもって回収した紙幣の消費任務へと移行。また、より合理的かつ適切な散財活動を行うため、これより応援を要請します」
 無表情のままにエルは頷き、通信機能を起動する。
「――こちら躯体番号L-95。ワイルドハント所属猟兵、ロスタ・ジーリード、応答されたし」
『はーい!こちらかわいいロスタちゃん☆』
 通信機からソプラノヴォイスの応答が返る。その声の主は今回の案件の案内役であるグリモア猟兵、ロスタ・ジーリードであった。
「おっ。グリモア猟兵のひとでござるか」
「はい。ロスタ・ジーリードは当機の所属である『ワイルドハント』の一員です。また、衣服の嗜好から類推するに、今回の散財活動には最適な人材の一人であると判断されました。ロスタ、これより当機は回収したDの消費任務を開始します」
『あたしそんなに無駄遣いちゃんに見えるかしら……とにかく作戦は了解したわ。ポジションはカスタマーでいくわね。……でもごめんなさい、ちょっと今立て込んでるの。エルたそ、こっち来れる?あたし今ハーティゴーの前よ』
「了解しました。これより移動を開始します」
 通信を打ち切り、エルは視線を動かす。その足取りが向かう先は指定されたハーティゴー像前。袖すり合うも他生の縁と、なし崩し気味にエドゥアルトも同行した。

「だから――余計なお世話だって言ってるでしょう」
「おせっかいで結構よ。だって、そんなくらーい顔して歩いてたらちょっかい出したくなるに決まってるわ。ねえ!」
「暗くないわよ!」
「2人とも、そんな熱くなるなって!ここ人がいっぱいいるし!な!?」
 ――口論!
 死ブ谷駅・忠剣士ハーティゴー像前にたどり着いたエルとエドゥアルトが目にしたのは、猟兵達の口論の現場であった!
「そんな今にも死にそうな呪物持ち歩いてる子、ほっとけるわけないでしょう!」
 憮然!眉をつり上げてぷんすかしながら喧嘩腰で吹っ掛けているのは、エルが先ほどコールしたばかりのグリモア猟兵、ロスタ・ジーリードである。
「呪いならちゃんと制御できてるから大丈夫よ!」
 そして――絡まれている方の猟兵は、フローリア・ヤマト(f09692)である。
 彼女は数多の世界を飛び回りながら各地で起こった事件を解決するため、サポート的な役回りとして任務に加わる活動の多い猟兵だ。今回はたまたまデビルキングワールドでの別案件に参加したその行き帰りのタイミングであった。
 しかし、今回に限ってはそれだけの話ではない。彼女は今、非常に深刻な問題を抱えていたのだ。
 フローリア・ヤマトは、手にした“呪いの指輪”の力によって戦う猟兵である。だが、彼女が振るうその力は、敵のみならず彼女自身をも蝕む残酷な性質を備えているのだ――。呪いの指輪は命を奪うのである。
 有体に言ってしまえば、フローリア・ヤマトは、まもなく死ぬのだ。
 それは以前から決定づけられていた運命であった。
「死相が見えてるって言ってるのよこのすかぽんたん!ねえ、そっちのおね……にーさんからもなにかいってあげて頂戴?」
「え、ここで俺に振るのかよ!?」
 そしてここで急に話を振られて困惑したのはスコッティ・ドットヤード(f20279)であった。彼もまたフローリアと同様にサポート案件で多くのワールドを飛び回る猟兵だ。
 彼はシンプルにタイミングが悪かった。たまたま――本当に、たまたま、彼はこの現場に居合わせてしまったのだ。
 本来であれば彼にとって無関係な他人のケンカだ。しかし――困っている人を見捨てられない性格が災いして。更に、妹を持つ兄であるがゆえに、自分より年下の少女達に妹の姿を重ねてしまって。スコッティは彼女たちをこのまま捨て置くことはできなかったのである。
「お困りのようですな~、スコッティ殿」
「おわっ、エドゥアルトのおっさん!いたのか!?」
 そこに空気を読まずエドゥアルトが介入する。
「どうやら珍しくギスギスした空気のご様子……。しかし、こういうときは最適な解決策があるのですぞ」
「解決策……?」
「うむ」
 しゃしゃり出たエドゥアルトは更に言い合うロスタとフローリアの間に割って入り、その喧嘩を諫める。
「まあまあ2人とも!喧嘩はやめるでござるよ~!!せっかく死ブ谷にきたのですから、ここはひとつ争うのはやめてみんなでいっしょにショッピングと洒落込むのはどうですかな??」
「ショッピング……?」
「……あ、そうだったわ。あたし呼ばれてたんだった。ごめんねエルたそ!」
「問題ありません。当機は待機任務への適性ももちます」
 エドゥアルトの言葉にはっと思い出したロスタがぱちりとまばたきして振り返る。ここでようやくロスタは待機するエルの姿を認識し、合流を果たしたのである。
「ねえエルたそー。これからお買い物でしょ。この子一緒に連れてっていい?」
「了解しました」
「えっ。なんで」
 話を振られたエルは即決で頷き、急にショッピング行きのメンバーに組み込まれたフローリアは困惑する。
「いーの。あなた今絶対なやんでるでしょ。そーいうときは気晴らしするのが一番なの。お金ならさっきみんながオブリビオンからいっぱい巻き上げたから、あなたのぶん買い物してもおつりがくるわよ」
「……」
「よーし!これで決まったでござるな!それじゃ話がまとまったところで拙者は失礼するでござるよォ」
 そしてエドゥアルトが強引に話をまとめる。
「……じゃ、スコッティ殿~。拙者はこれから飯食って悪鬼覇原行くでござるゆえ、カノジョたちのことはよろしく頼みましたぞ!」
「は!?」
 更にエドゥアルトはスコッティの肩を叩き、引率役を押し付けると速やかに撤退した!エドゥアルトはこれから腹ごしらえの時間なのだ。今の時期なら路地裏のデビル食堂でもちょうど魔正月限定メニューが注文できることだろう。
 デビルキングワールドにおいては暴力と支配を意味する紅白が魔縁起物の色として好まれ、慶事である魔正月にはそうした色味を持つ食材が供されることが多い。特に人気が高いのは魔鯛の焼き魚定食だ。エドゥアルトはそうした魔界のグルメを求めて路地裏を目指す。
 ――そしてその後は本件におけるエドゥアルト最大の目的地である、悪鬼覇原への遠征がスタートするのだ。悪鬼覇原はデビルキングワールドでもギークと呼ばれる種族が集まることで有名な、死ブ谷とは別の意味での文化流行の発信地である。彼の冒険はここからが本番であるとも言えた。
 さておき。
「では、行きましょう」
「はーい☆」
「こうなりゃなるようになれだ。ほら、行こうぜ」
「……わかったわ」
 かくして、一行は買い物へと向かったのである。

「当該世界に於ける文化習俗の更なるラーニングを継続します」
「あ、これいいわね。『メイガス・メイガス』の新作ですって」
 ――まず訪れた魔コスメショップで、エルとロスタは顔を突き合わせて棚に並んだ魔コスメを検分する。『メイガス・メイガス』はデビルキングワールドでも有名な定番の魔コスメブランドのひとつだ。永遠の寿命を持つという魔女がプロデュースするメイガス・メイガスは、『永久に美しく』を売り文句にした商品の数々は、魔JKたちから魔ダムまで幅広い層の女性に大きな支持を得ている。
「ヘアオイルもあんじゃん。俺もこれ買ってこうかな。妹の分も何か……いや、あいつにゃコスメはまだ早いか?」
 その近くの棚で、スコッティもまた商品をチェックする。
「で、なんか気になるもんはあったか?」
 その合間に、スコッティは気遣うようにフローリアに声をかけていた。
「別に、私は……」
 フローリアは、僅かに視線を逸らす。
「……あなた、妹さんがいるの?」
 それから、ぽつりと口を開いた。
「ん?ああ、いるよ。見るか?超かわいいぜ」
 スコッティはごく自然な所作で懐にしのばせた妹の写真を引き出そうとする。
「それはいいわ。……そっか。仲がいいのね」
 フローリアはそれを制し、緩く首を振る。
「妹さん、大事にしてあげてね」
「もちろん。……で、そーいう口振りってことは君も兄弟がいるんだな」
「うん」
「それなら、俺からひとつアドバイスだ。……なんかあるみたいだけどさ、自分のことも大事にしろよ。俺もお兄ちゃんだからわかるんだけどな、妹の身に何かあったらと思うと……」
「……なら、私は不孝者かもね」
「…………」
「…………」
 ――ほんの数秒。やや気まずい沈黙。
「――次は魔パレルショップよ!」
「はい。次の目標店舗へと移行します」
 そして、その静寂とロスタとエルが打ち破る。
 続けて彼女たちが訪れたのは女性向けの魔パレルブランドショップである。多くの魔JKが集う死ブ谷はデビルキングワールドでも随一の流行の発信地であり、日々新たなスタイルのファッションアイテムが売り出されているのだ。
「ロスタ。こちらのワンピースはどうですか。当機の見立てでは“マジイケてる感じ”と推測できます」
 エルは店内に入り込むや否や、同行者たちのファッションを見繕っては試着を勧めていた。
「まあ。蝙蝠羽の意匠ね。フリルの盛り方もあたし好みよ。いいわ、ちょっと試着してくるわね」
「はい。問題なければ購入しましょう。フローリア。こちらのワンピースはいかがでしょう。デビルキングワールドの最新モードとのことです。“バイブス爆上がり”となることは間違いありません」
「バイ……何?っていうかコレ、ちょっと丈が短すぎない?」
「大丈夫です。それも購入しましょう」
 そして即決に次ぐ即決。エルは素早い行動力で2人が試着した衣類を片っ端から購入してゆく。
「うっへえ、こんなに買うのか……」
 荷物持ちは唯一の男性であるスコッティが担当する。これを見越して逃げやがったな。スコッティは今や悪鬼覇原でデビル同人誌漁りに精を出すエドゥアルトの姿を思い浮かべて心の中で毒づいた。
「ところであなた、自分の服は買わないの?」
 黒を基調とした堕天使風羽付きワンピースに袖を通しながら、フローリアは横目でエルの様子を伺った。
「はい。丁度いま試着を検討していたところです」
 エルは手に取った衣装をフローリアの前に掲げてみせる――その衣装は、黒を基調に赤と金の刺し色を加えたデビル軍服であった。タイトスカートがセクシーさを醸し出しつつ、当然のように鞭がセットでついてきている。これはデビルキングワールドの女性悪魔の定番衣装のひとつ、悪の女幹部スタイルの一種であった。

「たのしかったー!」
 そして、帰路である。
 最終的にとっかえひっかえ計30着を越える衣装を試着し、そのすべてを購入した一行は無数のショッパーバッグを抱えて死ブ谷の駅へと向かってゆく。
「はい。これで回収したD紙幣は予定通り消費することに成功しました」
 協力に感謝します。エルはバイザーを光らせて猟兵たちに礼を述べる。
「まあ、なんだかんだ言って俺も楽しかったぜ」
 随分とくたびれたが――。ぼやきながらも多くの買い物袋を抱えたスコッティは、苦笑しながら女性陣の後をついてゆく。
「私も……つまらなくは、なかったわ」
 ほんの少し歯切れ悪く、フローリアは視線を逸らしながら言った。
「ね。……世界はきれいで、とってもたのしいのよ。おしまいにするのなんて、もったいないの」
 ロスタは前を向いたまま、歌うようにつぶやく。
「生き汚くあがくのだって、きっとわるくないのよ」
「……そうかもしれないわね」
 フローリアは、緩く首を揺らす。
「でも――私の生き方は、私が決めるわ」
 そして――フローリアは、手を振りながら別れを告げる。
「それじゃ、さよなら」
「ああ、またな!」
「はい。息災で」
「また会いましょうね」
 その背を見送り、残る猟兵たちもそれぞれの場所へと帰還してゆくのであった。

 かくして、死ブ谷の街に平和が戻る。
 しかし、デビルキングワールドは悪事溢れる騒乱の世界だ。今後もまた、猟兵たちの手が必要となる案件は幾度となく発生するだろう。
 この世界での戦いは、まだ始まったばかりなのだ!
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

最終結果:成功

完成日2021年01月24日
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴