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銀河帝国攻略戦⑦~鏡の中のイェーガー

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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 鏡の上に立つ人影がある。
「――現時刻より任務を遂行する。すべては銀河帝国のために」
 帝国エージェントだ。
 鏡面に万が一の傷もつけないように、足音もなく、滑るように移動する。
 見上げるのは大宇宙。
「我らが版図を」
 そこに輝くのは、恒星ばかりではない。
 銀河帝国の『敵』たる、忌々しき反逆者たち。
「我らの叛徒を」
 手を伸ばす。
 銀河帝国のために作り変えた、新しき己の身体。
 マシン・アイが焦点を指先に定めた。
「この手の内に――!」
 ぐ、と握る。そこに熱が生まれた。
 この胸に燃える、熱き忠誠のこころ。

「この戦争の要略はお聞きになりましたの? ええ、おおよそはそういう事で」
 と始めたのはシズル・カンドーヤ(ラジカル・レディ・f10880)だ。
「さて、皆様は『カイザー・レイ』の破壊に回ってもらいますわ。
 解放軍艦隊に狙いを付ける、戦略防衛兵器群……これらを取り除かない限り、わたくしたちは自由に動けませんからね。
 当然、『カイザー・レイ』側にもそれを妨害する戦力が用意されていますの。それを無視して、『カイザー・レイ』を破壊するのは、不可能と考えていただいて結構ですわ。
 戦力とは、すなわち『帝国エージェント』ですの。主だった任務は暗殺や破壊工作だったようですが、白兵戦も十分以上にこなします。油断をすれば、猟兵と言えど危険ですわよ」
 シズルは、マスクからのぞく瞳を笑わせる。
「ですので、殺す気で参りましょう。
 あれなるは不倶戴天の敵。そのつもりで、仕掛けてくださいませ」
 マスクに隠れた微笑みは、言わずもがな。


君島世界
 こんにちは、はじめまして。
 マスターの君島世界です。

 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。

 ふるってご参加くださいませ。
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第1章 ボス戦 『帝国エージェント』

POW   :    ゴールドアイ
【金色の瞳】に覚醒して【歴戦の白兵戦型ウォーマシン】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    仕込み帽子
自身が装備する【鋭利な刃を仕込んだ帽子】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    ハッキング
対象のユーベルコードに対し【電脳魔術のハッキング】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠グロリア・グルッグです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

浅杜守・虚露
かいざーれい…まぁ横文字は良くわからんがなんとかせにゃぁならんのじゃろう?
まぁまずは目先の敵じゃな。だが難しい事は周りに任せるかのう。
飛んでくる帽子を握り潰すか払って強引に前進。エージェントをUCで掴んでブン投げるぞ(投げ方はおまかせで)
ウォーマシンに変身するらしいが重量どのくらいなんかのう!おお、そう考えると!腕試しにやる気がでるな!
さぁさぁ!一丁わしと勝負じゃぁ!
…ところで『えーじぇんと』ってなんじゃ?
※アドリブ歓迎。


楠瀬・亜夜
世界の危機を黙って見ている……という訳にはいきませんね
それにこの世界に私の記憶の鍵があるかもしれませんしね

さて……相手は……っと
さしずめ殺し屋という訳ですが
いいでしょう、相手になります!

【knife vision】でナイフを展開し、一気に敵へ浴びせかけます
この際、【先制攻撃】で先手を取り、更に銃撃により追撃を行います。
相手の動きに注視し、仕込み武器を使う動作が確認したら
攻撃をさせる前に狙撃で相手の攻撃を崩しにいきましょう。

相手が態勢を崩したら【ダッシュ】で一気に距離を詰め
ナイフによる連撃攻撃を仕掛けます。


叶・雪月
桜花(f03321)と同行
関係性のイメージは祖父と孫

戦か
戦闘とはでかさが違う
だが、だからこそ一戦一戦を確実にこなさないとな

いつもと立ち位置逆で俺が奇襲か
【戦闘知識】で相手の動きをある程度予想してできるだけ視界に収まらないところから攻撃したいがさて
【吹き飛ばし】もうまく使えればいいんだがなかなかだな
だが、桜花の攻撃に対応してる隙にある程度背後を取るのはいけるか?
まあどんだけ火力が上がろうが、骨があるやつと戦えるだけだ!
俺の刃、防げるものなら防いでみろよ!
我が刃に斬れぬものなしってな


ゼイル・パックルード
戦闘の規模の大小は関係ない、ともかく勝つ...そしてもちろん殺すぜ。そんで守ってるもん壊させてもらう。
しかし奇遇だ、俺も金の瞳でね。クク、どっちが上か試してみようか。

【POW】
相手が変身するならその隙に【力溜め】しておく。
【怪力】利用した鉄塊剣で【鎧砕き】の要領で攻撃。
大振りだし二度は通じないだろう、サムライブレイドとルーンソードに持ち変えて【2回攻撃】や【残像】を駆使して押していく。

抜ける隙が出来たら横を抜けてカイザー・レイに向かう...のは無理だろうが、追ってきたところを懐に入ってユーベルコードを撃つ

力ありそうだし。【見切り】できるよう注意
刃が飛んできたら手に持った剣で【武器受け 】する。


五條・桜花
雪月(f03400)と同行
関係性のイメージは祖父と孫


戦争ですか
ここで頑張らなければですね
ハッキングですかなかなかにやっかいなものですね
事前に見ていれば、となれば見えなければいいのですよね?
そう背後から攻撃すれば
そうなると私が気を引いて雪月に後ろからこうざっくりと斬ってもらいましょう

さて、当たりやすい初手が一番肝心ですね
私の桜よ……切り刻め!
駄目でも数うてばいけるはずです
【2回攻撃】で手数を増やしましょう

さあ、あなたの相手は私です!!!
いかに雪月を見えなくさせるかが重要です


神埜・常盤
その忠誠心、素晴らしいねェ
僕も敬意を持って君の命を喰らってくれよう

連携取れる仲間がいれば
其方と協力しながら立ち回るよ

彼に当てたい大本命の技は
簒奪者に捧げし狂宴
管狐の業火を敵に集中させ焼きつくそう
高速詠唱で先手を取ったり出来るかなァ

攻撃の相殺を警戒して
序盤の攻撃は主に霊符で行おう
UC使用直前も技に使わぬ霊符を
敢えて投げる事でフェイントを試みて

戦ってる最中に敵に隙が出来れば
身に付けた暗殺の技を活かして背後を取ろう

そうそう、君が使うハッキングって電脳魔術なんだろう?
可能なら呪詛耐性で防いでみようかなァ

激痛耐性で損傷を堪えつつ
体力危うくなったら吸血を
帝国に捧げたその命は、一体どんな味がするのかね


ガーネット・グレイローズ
狙いは鋼糸による中距離戦闘。
【妖剣解放】し、仕込み帽子と正面から打ちあう。
<念動力>で鋼糸を高速で振動させながら操り、<第六感>で攻撃の
軌道を皮膚感覚で掴んだら<武器落とし>で仕込み帽子のひとつひとつを
丁寧に切り払っていき、少しでも味方の被害を抑えよう。
戦闘中に<戦闘知識>や<メカニック>の知識を活用し、敵の様子を観察
しながら攻撃時の特徴的な挙動や、ボディの構造上脆い部分を推測し、
攻撃や防御の参考にする。確証として得られた情報は味方に速やかに
伝達し、情報を共有する。
鋼糸には<呪詛>を幾重にも乗せて威力を強化させ、ヒット後は<生命力吸収>で肉体の消耗を軽減させる。


キアラ・ドルチェ
「魔女が宇宙で戦う、というのも変な感じですね」
いっそ、スペースウィッチキアラちゃんとか、名乗っちゃいましょうか♪…って、ふざけてると怒られますね。それ以前に19歳でちゃんはないですね

「ふふ、貴方の見たことのない術式、これが破れますか? さあ、おいでなさい、ネミの森の子犬たち♪」
もふもふふかふかぬいぐるみな子犬たちを呼び出して戦わせるとか、どー考えても貴方の世界観にはない魔法ですよっ!? ハッキングしにくいでしょ、ふふふ、鉄のエージェントを叩いて砕く、魔女がやらねば誰がやる♪

(真顔になり)…然様なら、鏡の中のマリオネットたち
皇帝の操り人形である貴方達の屍を踏み越えて進むべき理由が私達にはあるから


ピオニー・アルムガルト
向こうにも正義という物があるのなら、こっちの正義だって負けられないわよ!みんな、気合を入れて行きましょう!!

とりあえず同行できる人数は多い感じかな?
ならば帝国エージェントへの攻撃は他の人に任せて、私は後方支援に回るわね。ユーベルコード『Pollyanna』で戦闘力を増強を図るわ。
人数が多ければそれだけでも効果効率が上がると思うのでできるだけ纏まって行きたいわね。

他、技能【追跡】【情報収集】で、操舵室、機関室など『カイザー・レイ』重要な場所は捉えておきたいわね。

攻略戦はまだ序盤。ここを押さえて一気呵成、反撃の狼煙をあげるわよ!!



 暗い空に、それでもときに眩く、ときに幽く輝く光は、希望かそれとも絶望か。
 戦いの趨勢を決定するのは、しかしまだまだ先のことと言えた。
 その前哨戦。いま、十三の猟兵が天地の間に立つ。
「――来たか、我が叛徒よ」
 対するは唯一の強敵。
「ならば呵責無く、正義を遂行する。宇宙の塵と化せ」
 どちらも、万全必勝を目して、ここにいた。

「帝国にも正義という物があるのなら!」
 ピオニー・アルムガルト(ランブリング・f07501)は、高らかに歌う。
「こっちの正義だって、負けられないわよ!
 朝日が輝くのと同じように。朝露がきらめくのと同じように。
 絶望じゃなく希望が、私たちを待っているから!」
 仲間を、正義を。彼らに捧ぐ活力の賛歌を。
 その歌声、宇宙に響く。物質を超えて、魂にまで。
 彼女のユーベルコード『Pollyanna』は支援系のものだ。全員がひとかたまりになれるこのタイミングを、逃すことはできない。
「(攻略戦はまだ序盤。ここを抑えて一気呵成、反撃の狼煙を上げるわよ!
 ――みんな、気合を入れていきましょう!)」
 底抜けに、愚直なまでに明るい少女の祈りの歌。それは戦意を向上させるのみならず、猟兵たちの身体能力をも向上させる。
 狂戦士ではなく、信念の戦士。そういった者たちが、そして音楽の中から現れた。
「さあ、あなたの相手は私です!!!」
 五條・桜花(六花の元に咲く桜・f03321)が、ときの声を上げて駆ける。取り出した魔術書『Cerise lapin』が、ぽう、と桜色の光を発し始めた。
「咲き誇れ、我が分身よ」
 発動するはユーベルコード『桜の乱舞』。表紙も頁も、ほどけるように桜の花びらとなり、桜花とともに宇宙空間を吹く春風となる。
「チャフ……いや、微小なナイフか」
 と見切る帝国エージェントに、桜花は走りながら手を突き出した。
「かかれっ!」
 花びらの群れを2つに分ける。1つはこのまま真っ直ぐ、もう1つは己の周囲に漂わせ、攻性防壁としてまとう。
「厄介な。だが――」
 対する帝国エージェントも、桜花と同じ動き、構えを見せる。鏡対称の両者。すると花びらの第一波が、空間に染み出したノイズ模様の中に飲み込まれて消えた。
「脆い!」
「なら、次撃はどうします!?」
「知れたことよ。そのユーベルコードの構造は解析済だッ!」
 もはや同じ構えを見せることもなく、帝国エージェントは桜の乱舞を打ち消す。
 無防備になった桜花に、エージェントの魔の手が迫る。と――。
「じゃあ、奇襲には対応できるかねぇ」
 気配を消していた叶・雪月(六花舞う夜に煌めく月の刃・f03400)が、帝国エージェントの背後に踏み込んだ。エージェントは振り返らず、桜花をそのまま蹴り倒す。
「ぐ、雪月……!」
「それが狙いか、小癪な!」
 そこに一瞬の取捨選択があった。それだけの時間があれば、雪月は十分、十全に仕掛けられる!
「せえええああああああああ!」
 振り下ろしながら、雪月の意識は加速していく。
 本体たる『雪月』の流れを、全身の腱で制御すること。たっぷり一瞬間かけて、究極の一刀をお見舞いする!
 シィ――――!
 薄い大気を割く切っ先が、帝国エージェントのマシン・スキンを舐める。水に小石を投げ入れるがごとく、抵抗なくずぶずぶと、『雪月』が潜り込んでいった。
 だが……そこまでが、一瞬。肩から完全に腕を断たれる前に、帝国エージェントは足元の鏡を慮ることない、全力の離脱を選択した。
「私に……この私に、陛下の宝を傷つけさせたなぁッ!」
「巫山戯るな。宝物と言えば、先に手を出したのはそちらだ。な?」
「……そういうの、人前で……!」
 雪月は倒れ込んだ桜花に手を貸し、引っ張り上げた。帝国エージェントが、その殺意を濃くしていく。
 とそこに、楠瀬・亜夜(追憶の断片・f03907)が食らいついていく。
「さすがは、殺し屋……という訳ですね」
 猟兵の猛攻にさらされてなお、この機動を見せる敵が相手だ。後手に甘んじていては、不覚をとりかねない。
「何を仕掛けるかは、わかっていますからっ!」
 だから、帝国エージェントが仕込み帽子に手を伸ばす――その間隙に、先手を取る!
「夢か現か幻か――」
「……ッ!」
 こちらの動きに気づき、腕をガードに回す帝国エージェント。対する亜夜の手の内に、ずらりと並ぶは複製されたナイフ。
「その身で味わっていただきましょう」
 号令と共に、一斉にそれらが射出された。弱点への直線攻撃と、死角から遅延攻撃。緩急織り混ぜて、敵の体勢を崩しにかかる。
「これだから、数が多いと言うのは!」
 悪態をつきながら、帝国エージェントが手をかざす。得意とする『ハッキング』も、こうも多くの猟兵が相手では、その真価を発揮しづらいのだろう。
「戦術的不利を再確認。対応を変えるッ!」
 帝国エージェントはかざした腕をガードに回し、亜夜の攻撃に身をさらした。金属が削れ、火花飛び散る只中に、マシン・アイの赤い眼光がぎらつく。
「正面からの打ち合いか! いいぜ、付き合ってやる!」
 ガーネット・グレイローズ(灰色の薔薇の血族・f01964)が、それに嬉々として食らいついた。妖剣解放のオーラに乗せ、呪詛まみれの鋼糸を漂わせる。
 と。
「切り刻まれろ、猟兵!」
「ぜあああぁっ!」
 チュィイイイイイイイイン!
 両者の間に、不可触の空間が形成された。絶えず飛来する仕込み帽子を、ガーネットは一つ一つ丁寧に――最速で切り払っていく。
「たかが鋼糸など……」
「侮るなよ機械野郎! 操ってるのは、このガーネット・グレイローズだ!」
 強がるが、寿命を削りながらの高速移動も使ってようやく、と言ったところでもある。構わない。
「私の後ろには、仲間がいるんだから……なっ!」
 両手を広げ、一度に複数の仕込み帽子を払い除ける。己と敵の間に、通路とも呼ぶべき隙間ができた。
 たった一人、浅杜守・虚露(浅間雲山居士・f06081)を導く通路が。
「かアッ!」
 ――その男、虎形にて人の業を得、剛力にて諸方鎮めるという――。
「さあ、電車道じゃ! 寄り切りゃあないがのう!」
「ぐあっ!」
 ズゥン――地響きがする。虚露は、衝撃でパニックになった帝国エージェントの頭部を、左右の爪で虎づかみにしていた。
 ぶつかり、突き飛ばすのでなく、組み付く時にこそ全運動エネルギーを相手の裡に叩き込む、相撲の技法。虚露の巨体とスピードから生まれる威力たるや、もはや計り知れない。
「あ――お、おのれ! この蛮族が!」
「あ、しまった。変身する前に組み付いてしもうた。うぉーましんに変身すると聞いて、どれだけ重いか楽しみじゃったんだがのう」
 まあええか、と虚露は快活に笑った。姿勢制御を取り戻しつつある帝国エージェントを、持ち上げて捻る。
「往生せいよ、えーじぇんと殿!」
 木杭を、岩盤へ強引にねじ込むようにして。
 虚露は帝国エージェントの頭頂部を『カイザー・レイ』に叩きつけた。
 しぶきあがる鏡の破片。それはいつの間にか、金色の光を乱反射させている。
 金色の、ウォーマシンの瞳。
「クク――はっはっはっはァ!」
 もう一組、金色の光条が。ゼイル・パックルード(火裂・f02162)の眼光が迫る。
「しかし奇遇だ、俺も金の瞳でね」
「command: goodbye -ego -mem」
「どっちが上か試してみようか!」
「EXECUTION..........proceeding!」
 ゼイルは己の内に溜めた力を、斜め後ろに叩きつけた。爆発的な推進力が生まれ、それを全て縦軸の回転に巻き込んでいく。体ごと鉄塊剣をぶん回す姿勢だ。
 対する帝国エージェントは、身体を沈み込ませてからの跳躍で、迎撃にかかる。全身の隠しバーニアを全開にし、その熱が僅かに残った生体部品をも焼くことを承知で、宇宙を駆けた。
「これ以上ノ……狼藉は、許サ、れぬ!」
「ハ――上等だ、地獄に落としてやるよ!」
 ッズガアアアアアアア!
 超熱量の衝突が、文字通りの閃光を放つ。帝国エージェントの拳が砕け、ゼイルの鉄塊剣は持ち主ごと『カイザー・レイ』上をざりざりとスライドしていった。 
「…………」
 帝国エージェントは姿勢を正し、『カイザー・レイ』に両踵から着地する。金色の瞳のまま、埃を払い、乱れた着衣を整え、帽子を目深に被り直す。
 スマートな立ち姿を見せるそれは、あまりにも、機械的な……。
「どうやら君は、今ので――そうか」
 神埜・常盤(宵色ガイヤルド・f04783)は、口元を手で隠す。
 敵の選択を敬い、笑って、喜んで、加えて嘲ってすらもいるからだ。
「その忠誠心、素晴らしいねェ。僕も敬意を以て、君の命を喰らってくれよう」
 逆の手で、懐から竹筒を取り出した。封を解き、火神の管狐たちを喚び出す。
「さぁ、蹂躙しておいで。今日の供物はなかなか骨がありそうだよ?」
 管狐たちは、遠慮なく空を渡った。それらの軌跡は、火炎の縄となり、渦を巻いて帝国エージェントを締め付けにかかる。
「RESET...REST呪T...CURSE RECONING!」
「あら、それは無理ですわよ?」
 とインタラプトするキアラ・ドルチェ(ネミの白魔女・f11090)も、管狐と同時にあるものをけしかけている。それらは白く、小さく、はしっこく……もふもふとしていた。
「さあ、真っ赤なステージにおいでなさい、ネミの森の子犬たち♪
 さあ、みんなで歌って踊りましょう、ネミの森の子犬たち♪」
 歌いながらキアラが喚び出しているのは、白く、小さく、はしっこく、もふもふとしているコボルト人形だ。それが数にして85体、管狐と一緒に帝国エージェントを取り囲んでいる。
「CURSE...CURSE...CURSE...denyed!」
「ふふ。貴方の見たこと無い術式、貴方の想像だにしないような術式を、はたして初見で破れますか? ええ、ええ、きっと無理でしょうとも」
 なにせ世界観に合わない。こんなものを戦いの道具として見出す文化が、帝国エージェントの常識の中には存在しないのだ。
 ……だが、猟兵であれば知っている。数多の世界を股にかける、猟兵であれば。
「ということで、では」
 キアラは、きゅっと軽く指を握る。それを合図に、コボルト人形たちが帝国エージェントをぽこぽこにした。
 動かなくなったそれのマシン・アイに、一体のコボルトが手をかざして。

 ――然様なら、鏡の中の操り人形。
 帝国のマリオネットである貴方の屍を踏み越えても、進む理由が私達にはあるから。

 しばし佇んでからの呟きは、爆炎の中にかき消えた。
 猟兵たちが、あちこちで作戦の本懐を遂げている。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月05日


挿絵イラスト