5
信じるパワー全開に走り出す(時間指定便)

#キマイラフューチャー #猟書家の侵攻 #猟書家 #プレステル・ピスティ #テレビウム #システム・フラワーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#猟書家の侵攻
🔒
#猟書家
🔒
#プレステル・ピスティ
🔒
#テレビウム
🔒
#システム・フラワーズ


0





「改造完了です。これで貴方も機械軍プレステルの一員。熱い血流れぬ鋼の『マシン怪人』です。キング・ブレイン様の配下となった栄誉を胸に刻み、キング・ブレイン様への忠義のため使命に励むのです」
「ウイーン! よろこんでー!」
 猟書家『プレステル・ピスティ』が改造手術台から一歩退くと、顔面に箱を被った奇妙な風貌の怪人(それでも一般的な人型体系をしているからこの世界ではマシな方)が勢いよく上半身を跳ね上げる。
「ウイーン! ご依頼、テレビウムの配達。お届け指定は16時!」
「そうです。テレビウムのアンロックも忘れずに」
 従順な態度で命令を受諾する箱被り怪人に満足げに頷き、プレステル・ピスティは背後を振り返る。
 そこに居並ぶのは、既に改造手術を受けていた同様の怪人達だ。芸術的な美しさで整列した箱頭たちは、ピスティの視線を受け一斉にメモ帳を確認し。
「それでは仕事の時間です。最後に、忘れちゃならない……」
「「「精密機械は上詰み厳禁! サーイエッサー!」」」


「やあいらっしゃい。集まってくれてありがとう、猟兵諸君」
 グリモアベースの一室に設けられたブリーフィングルーム。枯井戸・マックス(マスターピーベリー・f03382)はその机の上に湯気を上げるマグカップを並べながら、猟兵達を出迎えた。
「さて今回の依頼だが、例の猟書家関連の事件を予知してね。諸君らには急ぎキマイラフューチャーに飛んでもらいたい」
 全員にコーヒーが行きわたったことを確認したタイミングでマックスは電子ボードに予知の概要を表示する。
 今回猟書家が狙っているのはテレビウム。画面を見やれば、そこには一般的なテレビウムと並び、顔のグラフィックボードに鍵のようなマークを浮かび上がらせた個体が映し出されている。
「以前の戦争を経験したものなら覚えているだろうけど、一応確認だ。顔に鍵が映し出されたテレビウムが集まった時、キマイラフューチャーの大地は二つに割れ、この世界の根源、システム・フラワーズへの道が開かれる」
 かつての戦争でも一度、惑星ごとパッカーンと割れた過去を持つキマイラフューチャー。
 猟書家『プレステル・ピスティ』はそれをもう一度引き起こし、この星のメンテナンスゲート内部への侵入を目論んでいるのだ。
「予知によると、猟書家の手下たちは白昼堂々、テレビウムの誘拐事件を引き起こすようだ。しかもこの猟書家、厄介なことに手下の怪人を機械改造して、テレビウムを強制的にアンロック状態にする電波装置を組み込んでいるみたいでなぁ」
 おもむろに皿に盛られた角砂糖を指で弄り積み上げ始めたマックス。機械みたいに効率的な奴だよ、キマフュらしくない。と嘆息。
 しかしそう言ってられないのが現状だ。座ってコーヒーをゆっくり味わっている間にも、怪人の間の手は刻一刻と迫っている。
「だが、付け入る隙はあるぜ。確かに敵は機械みたいに効率的かつ迅速に動くようだが、それ故に融通が利かない。奴らにとってイレギュラーな行動をしたり、タブーとなる行動を自ら起こさせたりできたら、どうなるかな?」
 にやにやとした笑みを浮かべ、マックスは綺麗に積み上げた角砂糖を指で弾く。
 白い小山が崩れるのと、彼の背後で紺碧のゲートが開くのは同時だった。
「それでは猟兵諸君の活躍を期待する。今度はコーヒーに合うケーキも用意しておくぜ。……ああ、この角砂糖はちゃんと片付けておくよ」


Naranji
 星を貫く鍵を掲げたら~♪
 怖いものはなにもないさ~オーレ!♪

 ……はい。
 せっかくのネタフリ。こちらも歌わねば不作法というもの。MSのNaranjiです。
 初めましての方は初めまして。
 以前も参加して頂いた方はまた覗いてくださり本当にありがとうございます。

 OPにもある通り、今回は2章構成の猟書家シナリオです。
 第1章はテレビウムを誘拐しようと狙う怪人達との集団戦。
 場所はみんなのテレビウム広場という名の公園。時刻はお昼休みの頃合いです。

 そして第2章は奴らを指揮する『プレステル・ピスティ』とのボス戦。
 ピスティちゃん可愛い。自重しなければ10行ほど語れるくらい可愛い。故に(?)、強いです。
 第2章の攻略ポイントなどは間章で追記する予定です。

 また今回からはプレイング募集期間など諸情報はタグの方でもお知らせしていければと思っていますので、そちらの方も注目していただければ幸いです。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
39




第1章 集団戦 『押し込みクーリエズ』

POW   :    パック!
【味方に声掛けをしてタイミングを合わせて】から【一斉に突撃してダンボール箱やロープ】を放ち、【無理やり梱包すること】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ライド!
【味方の押す台車に乗る(※危険です)】事で【高速戦闘モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    デリバリー!
いま戦っている対象に有効な【グッズ(プレイングで指定可能)入りの箱】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ここはキマイラフューチャーの憩いの場、みんなのテレビウム広場。
 テレビウムをはじめ多くの人々が集まって、あるものはお弁当を広げ、またある者は友人と動画撮影に興じたりと昼下がりの穏やかな時間を過ごしているこの場所に、魔の手が迫ろうとしていた。
「こんちはープレステル急便でーす。お荷物お預かりに参りましたー」
「ふえ? あ、はーーい?」
 どこからともなく現れたのは頭に段ボール箱を被った怪人達だ。彼らは手近なテレビウムを見つけると急接近。
「サイズと重量を計測いたしまーす。はい大丈夫でーす」
「こちらにサインをお願いしまーす」
「あと鍵の表示もおねがいしまーす」
 怪人集団―押し込みクーリエズは、状況のよくわかっていないテレビウムを取り囲むと、手分けして彼の身長体重を計測。ついでに特殊な電波を浴びせて顔に鍵マークを表示させてから、神速の手さばきで梱包&配送していった。
「ああーーれえーーぇぇぇ……」
 あっという間の出来事に、広場に屯していた人々もそれを流し見したまま動くことができず。
 そして暫し、間をおいて。
「……ゆゆゆゆ誘拐だー!!」
「助けて猟兵ー!!」
 あっという間に、広場は蜂の巣を突いたようなパニック状態。
 しかしそうしている間にも、第二第三のクーリエズ達が広場のテレビウムを攫おうと迫ってきている。
 急げ猟兵。テレビウムのピンチを救えるのは君たちしかいない。
ルクル・クルルク
な、なんと鮮やかな誘拐……って、感心している場合ではありませんね。
テレビウムさん達の平和な昼下がりはルクルが守りますよ。

『盾受け』でテレビウムさん達が梱包されないように守りつつ。
パニック状態から落ち着いてもらう為にも<紅茶の時間>で美味しい紅茶を淹れましょう。
おやつのクッキーもありますよ。

効率的かつ迅速に動く方々でしたら、お茶の時間よりもお仕事を優先されるでしょうから。
台車の速度もゆっくりになって避けやすくなる筈、です。
『ダンス』のようなステップで攻撃を避けたら、相手の隙をついて『呪詛』を込めた杖でぱこんと殴っちゃいますよ。

他の猟兵さん達がいたら紅茶を給仕したり、
協力して一緒に頑張りますね。



「ああーーれえーーぇぇぇ……」
 一瞬のうちに哀れなテレビウムが何処かへと連れ去られていく。
 猟兵達がみんなのテレビウム広場に辿り着いた時には時すでに遅し、マシン怪人『押し込みクーリエズ』の魔の手は広域に及びつつあった。
「な、なんと鮮やかな誘拐……」
 クーリエズのインクレディブルな手捌きに一瞬気圧されたのか、ルクル・クルルク(時計ウサギの死霊術士・f31003)は頭の上から生えたウサギ耳をピョコンと揺らす。
「って、感心している場合ではありませんね。お助けします」
 しかしすぐに気を取り直すと、ルクルは搬送されていく段ボール箱を追いかけようと、森育ちの脚力を活かして走り始めた。
 だが、ここで予想外の事態。
「あ! あんた猟兵さんだろ!」
「怪人がー! おたすけー!」
 白昼堂々の凶行にパニックに陥った一般テレビウム並びに一般キマイラの皆さんが、ルクルを見つけるや否や殺到し始めたではないか。
 まあ、空間転移でいきなり広場の真ん中に現れたのだから身バレは致し方なし。目立つところに送り込んだグリモア猟兵には後でクレームを入れてやろうと思った猟兵がいたとか、いなかったとか。ちなみにルクルちゃんは思っていない。この子は大層優しいのだ。
「わわっ、こっちに来たら戦いに巻き込んでしまいます。それに不用意に集まると格好の餌食ですよ」
 アリスラビリンス育ちの彼女だ。命を懸けた鬼ごっこを見かけた経験も一度や二度ではないのだろう。故に、こういう時に一か所に集まるのは大変まずいということも熟知している。
 そして案の定、ルクルに助けを求めるテレビウムを狙って殺到するクーリエズ達の群れ、群れ、群れ。
 それに対しルクルは即座に愛兎のニクスを頭の上に乗せて、群衆の前へと跳躍。ニクスがキュウとなけば、たちまち魔法が迸り、クーリエズを阻む結界を生み出した。
「お荷物を受け取りにまいりましたー!」
「ごめんくださーい! 開けてくださーい!」
 手荒なノックに結界が揺らぐ。中には仲間の押す台車に乗って結界に突撃する輩まで出始める始末だ。
「うう、これじゃ時間稼ぎにしかなりません……あ、そうです!」
 その数をどんどん増やしていくクーリエズ達に目を白黒させていたルクルであったが、その時、彼女の目にあるものが映った。
 それはお弁当が広げられたままのテーブル。お昼の憩いの場としても親しまれているこの広場には、至るところにこういったテーブルが設置されている。
 これならば、お得意のアレができるはず。
「みなさーん、まずはいったん落ち着きましょう? ほら、今から私が美味しい紅茶を淹れます。おやつのクッキーもありますよ」
 ルクルがくるくると舞うようにテーブルの合間を駆け巡ればあら不思議。そこには綺麗なテーブルクロスが敷かれ、いつの間にかその上には甘い香りを立ち昇らせるティーカップとクッキーが乗ったお皿がお行儀よく並んでいるではないか。
 周囲のテーブルが次々とティーパーティー空間に変わっていく様にはキマイラフューチャーの人々もびっくりし、皆手にスマホを持って彼女のイリュージョンをぱしゃぱしゃり。ついでに味も見てみようと、足早に席について紅茶とお菓子に舌鼓を打ち始めた。
 彼ら、基本的に緊張感が長続きしないのだ。
「良ければ怪人さんたちもいかが?」
「そんな暢気なこといってられませーん。お客様がお待ちでーす!」
「私たちのお昼ご飯はもう済んでまーす。10秒チャージを5秒で済―まーせー……まー……およぉ?」
 とその時、ルクルの優しいお誘いを突っぱねたクーリエズの動きがスロー再生のようにゆっくりになっていく。
 そう、これ即ちユーベルコード『紅茶の時間』。ルクルが生み出した憩いは絶対不変。せかせかさんにも強制的にのんびりタイムをプレゼントする魔法の空間である。
「やっぱりです。効率的かつ迅速に動く方々でしたら、お茶の時間よりもお仕事を優先されると思ってました」
 動きが遅くなった、ということはつまり、怪人は見るからに隙だらけ。後は話は簡単だ。
 ルクルはどこからともなく杖を取りだすと手の中でくるくる。杖の先端に設えられた宵闇の静けさを思わせる宝珠がキラリと光った。
「それでは失礼します」
「おー客ー様―! 困ーりーまーすー! あーっ! いーけーまーせーんー! 困ーりーまーあーっ!」
 パコン! という小気味いい音が炸裂。
 しばし間を置いて。
 パコン!
 パコン!
 パコン!
 ルクルの振う杖は指揮棒の如く。優雅なアフタヌーンティーにぴったりの音楽会を添えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エルヴィン・シュミット
奴らはもう動き始めているのか。
では迅速に行動を開始しよう。

まず【ECLIPSE】で奴らそっくりに【変装】してこの超絶カワイイなぬいぐるみ【PUPPY BOMB】を抱えながら駆け寄る!
『大変だ!このぬいぐるみを大至急プレステル様に送らねばならなくなった!梱包を手伝ってくれ!』
とまくし立てて手伝わせる。手伝ってくれないなら自分でやる。
梱包が終わったら荷物を押し付けて『よし!この荷物の配送は任せた!私は次へ向かわねばならない!』と疾走。もとい逃走。
ある程度離れたらそのまま【破壊活動】と【爆撃】で…ポチッとな。

これを他のチームにも立て続けに仕掛けていく。
どんな時も相手の嫌がることをするのが一番だ。



 時は僅かに遡り、猟兵達が現場に到着した直後。
 段ボール頭の怪人の集団が右へ左へと走り回る中、一人の男が彼らへと駆け寄っていく。
「ウイーン! 大変だー、猟兵達が攻めてきたぞー!」
「ウイーン! なに、それは本当ですか。ウイーン!」
 その男も同様に頭に段ボール箱を被り、機械のような規則正しい歩幅の早歩き。見るに彼もまた『押し付けクーリエズ』の一人のようだが。
「厄介な相手に見つかりましたね。一刻も早くご依頼の品を集荷しなければ」
 ぐぬぬと唸ったのは、集団の中でも特に大柄な個体。胸元のネームプレートには現場主任の文字。どうやら彼がこの現場を取り仕切るリーダー格のようだ。
「各員、タイムスケジュールと配送ルートを更新! お届け時間は絶対厳守で参りましょう!」
「「「かしこまりー!」」」
 筋肉質な腕を振るい部下たちに指示を飛ばした現場主任。彼の号令の下、マシン怪人達は広場へと散り散りに走り去っていった。
 しかし。
「おや、あなたは行かないのですか?」
 仲間を見送りその場に残った怪人が1人。猟兵の襲来を伝えた伝令役の箱頭であった。
「それが、お届けの件で一つ頼みごとがあるんだ……あるのですが。先ほど別回線で追加発注がありまして」
 そう言って差し出したのはぬいぐるみ。つぶらな瞳がベリーキュートな子犬ちゃんだ。
「このぬいぐるみを大至急プレステル様に送らねばならなくなった……ので、梱包を手伝ってくれ……ませんか!」
「な、なんて愛くるしすぃ……。しかし、プレステル様がなぜこのような物を? しかも主任の私ではなくあなたに?」
「お恥ずかしかったのですよ。あの方は知っての通り、いつもパペットを身に着けていらっしゃる。きっと可愛いものが好きなのです。しかし首領という立場上、それを表立って皆に言いたくはなかったのでしょう」
 捲し立てる伝令役。さながら疑問の余地を潰すかのような早口であったが。
 しかし当の現場主任はというと、彼の言葉に合点がいったとばかりにポンと掌に拳を落とす。
「本来ならば極秘のご依頼。しかし私ではきっと途中で猟兵に追いつかれてしまいます。追手は私が命を懸けて食い止めますので、どうか、どうか……」
 そう言って、伝令役は涙ながらに主任の分厚い胸板にぬいぐるみを押し付ける。
 対する主任はと言うと。
「うう、うう、なんて熱い配達魂」
 彼もまた男泣きに泣いていた。
「君の真心は確かに受け取った! 安心したまえ。この依頼、私が引き受けた! Let’s High Soul(レッツ配送)!」
「Let’s High Soul!」
 伝令役と熱い抱擁を交わし、現場主任は回れ右。ぬいぐるみを素早く梱包し胸元にひっしと抱きかかえると、凄まじい速さで走りだす。
 その勢いはさながら猛牛。丸太のような脚が生む超馬力はアスファルトを跳ね上げ、瞬く間に彼の体は地平線の点となった。
「Let’s High Soul! Let’s High Soul!…………もういいか」
 拳を突き上げて遠ざかっていく背中を見送っていた伝令役。
 彼はおもむろに、胸元からなにやら装置を取り出すと、真ん中の赤いボタンを押し込む。


 ドッカ――――――――ン!!
『おんぎゃああああああーーー!!』

 彼方で盛大な爆炎が立ち昇る様を見届け、伝令役……もとい、エルヴィン・シュミット(竜の聖騎士・f25530)は張りぼての箱の下でペロリと舌を出す。
「へっ、楽勝! 誰があんな強そうな奴と正面からやり合うかっての」
 エルヴィンは黒煙に背を向けると、作業着に偽装した漆黒の外套をぱっぱと払って抱擁の生ぬるさを振り払う。
 今回発揮されたエルヴィンの強み。それは卓越した変装技術でも、小型爆弾を作り上げる手先の器用さでもない。肝の据わったハッタリだ。彼が賭博場通いで身に着けた武器は、命を賭した戦場においても大いに役立つようだ。
しかしこう見えてこの男、パラディンである。聖騎士ってなんだっけ?
「よし! この調子で次行くか。早くこの箱脱ぎたいしな。角が痒くて仕方ねえぜ」
 言うや否や、エルヴィンは新たなぬいぐるみを取り出すと、次なるターゲットを求めて走り出した。
 どんな時も敵の嫌がることをする。彼の信条は今日も明日も揺らぐことはないだろう。
「この荷物の配送は任せた! 私は次へ向かわねばならない!」

 ドッカ―――ン!!
『むわあああああ!!』

 ……聖騎士ってなんだっけ?

成功 🔵​🔵​🔴​

黒瀬・ナナ
(唐揚げ食ってる)
こんな(もぐ)平和な(もぐもぐ)昼下がりに(もぐもぐもぐ)誘拐事件だなんて(ごっくん)
例えお天道様が許してもこのわたしが許さないのだわ!
……ぁ、ちょっと待って。まだ食後のお茶が残ってるから(ずずーっ)
だってご飯の途中でゲートが開いちゃったんだもの。
それじゃあ、食後の運動といきましょうか!

テレビウムさん達を『かばう』ように立ち回りつつ、UCで自身を強化。
薙刀を振り回して『範囲攻撃』と『なぎ払い』で一掃しちゃうわよ。これぞお肉の力!

無理矢理梱包されそうになったら『怪力』でダンボール箱やロープを引きちぎっちゃうわ。
こんな雑なやり方じゃお客様の大切な荷物に傷がつくでしょ!やり直し!



 場面を戻し、ここはテーブルが並ぶ団欒スペース。
 先陣を切って戦っていた少女が催した魔法のティーパーティーが、今なお続く空間。
 パニックを起こす者はいないものの、反面、この場には未だに多くのテレビウムが居座り美味しい紅茶とクッキーに舌鼓を打っている。(急募、緊張感)
 となれば、当然それを狙って次なる刺客達が迫りくるわけで。
「ぬぅわーにをお茶啜ってやがりますかー!」
「お荷物お預かりに参りやしたー!」 
 お茶会を開いた猟兵は、今は少し離れた場所で戦っている。このままでは彼らが危ない。
 しかし心配することなかれ。
 ここには既に新たな猟兵が助太刀に来ていたのだ。
 そう、彼女の名は黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)。絹のような黒髪を靡かせ、羅刹の美女が今颯爽と……。
「もぐもぐもぐもぐ」
 ……席に着き唐揚げを貪り始めた。
「「「肉食っとるー!?」」」
 これには箱頭の怪人達も総ツッコミ。
「ふぁっふぇ、ごふぁんふぉひょひゅーへげーひょばひひゃいひゃふぁんふぁふぉう(だって、ご飯の途中でゲートが開いちゃったんだもの)」
「いや、食べるか話すかどっちかにしましょうよ! はしたない!」
「もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ……」
「だからって食う方に専念する奴がいますかーっ!!」
 誘拐も忘れてナナにダメ出しを繰り返すクーリエズ達。
 根は真面目な奴らである。
 一方のナナ。頬を紅潮させ、唐揚げを頬張る量を僅かに減らす。
 そして眉尻をキリリとさせれば。
「こんな(もぐ)平和な(もぐもぐ)昼下がりに(もぐもぐもぐ)誘拐事件だなんて(ごっくん)……例えお天道様が許してもこのわたしが許さないのだわ!」
「いやいやいや、そういうのは食べるのやめてからにしましょうって」
「今更恥じらい見せても手遅れですからね?」
 まだ駄目だった。
 ちぇー、と口を尖らせるナナであったが、真面目モードに入ったのはどうやら本当らしい。
 ティーカップを鷲掴み中の紅茶をグイッと飲み干すと、彼女はようやく立ち上がる。
 そしてテーブルに立てかけていた薙刀『花嵐』を手に取り、意気揚々切っ先を怪人達に突きつけた。
「それじゃあ、食後の運動といきましょうか!」
 ようやくの鋭い雰囲気にクーリエズ達もその気になったのか。
 深く腰を落としながら素早く散開。
 ナナと、彼女がついていたテーブルを取り囲む。
「セットパック! クーリエズ! レディー……」
 テーブルでは未だテレビウム達がお茶会中。
 隙あらば彼らを梱包し配送しようという魂胆であろう。
「ゴー!!」
 号令と共に包囲網が急速に狭まる。
 対するナナは薙刀を手にその場で一回転。
 瞬間、刃渡りを無視した斬撃と絢爛咲き誇る花びらが迫るクーリエズを一掃した。
「ぐあああ! 強い!」
「これぞお肉の力! 今のわたしは百人力よ!」
 滴る血、滲む油、滾る肉。貪り食らいて力と為す。
 呼び起こせしは細胞の活性。
 解き放ち、渦巻き、鞘走る。
 フードファイト・ワイルドモード。
「最期に教えてあげる。唐揚げと紅茶って、そんな相性よくなかったわ!」
「知らんがっ!?」
 返す刀で再び薙刀を振えば、巻き起こった斬撃と花弁の嵐は勢いを増し、尚も立ち上がろうとする怪人達を空の彼方へ吹き飛ばす。
「さてと、お口直しでもしようかしら?」
 始まってみれば、勝負は一瞬であった。
 吹き飛ばした怪人達が落ちてこない事を確認し、ナナは再び席に戻る。
 備え付けのクッキーに手を伸ばしたところで、遠くから聞こえてきたのは爆発音。
「あら、向こうでも頑張ってるみたい。わたしももう少―しだけ働いた方がよさそうかしら?」
 そうは言っても、食べてばかりでは何かと気になるお年頃だ。
 ちょっぴり。ほんの少しだけ。
 小さく息を吐くとナナはクッキーを巫女装束の袖に隠し、次なる戦場(カロリー消費の場)へと向かうのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:ロキ
メンテナンスゲート内部も気になりますが……誘拐に加担するわけには行きませんね
氷属性の触手で地面を凍らせます。光属性の触手で幻影を纏い変装して、警察官のふりをして近づきましょう
「この先路面が凍結しております。チェーンの着用にご協力願います」
グッズ箱から出たチェーンを台車に取り付けている間に荷台に近付き
「実は違法な品を輸送していると通報がありまして。荷物検査させていただきますね。すぐ終わりますからね」
火属性の触手で熱源感知し箱を特定、救出します
止めに入ったクーリエズさんは雷属性の触手でマヒさせ、チェーンで縛っておきましょう
テレビウムさんに怪我などあれば医術で手当てします



 みんなのテレビウム広場での騒ぎも下火となった頃。
「ウイーン。お預かり班から報告。全滅ィーン」
「ウイーン。報告をあげた者も直後に猟兵にやられたもよう。哀悼ィーン」
 言葉を交わすのは、車顔負けの速度で台車を押す箱頭たち。
 彼らは梱包したテレビウムを配送する班に配属された個体であり、言い換えるならば、いち早く広場を脱出した幸運な者たちであった。
 ……否、彼らは幸運などではない。
「準備完了です」
 なぜなら彼らは既に先回りされていたのだから。
 地面をのたうっていった黒い光沢を放つ触手に「お疲れ様でした」と一声述べ、水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)はソレを衣服の内側へとしまい込む。
(メンテナンスゲート内部も気になりますが……誘拐に加担するわけには行きませんからね)
 ふつふつと込み上げる好奇心を覆い隠すように、怜悧はその姿を陽炎に溶け込ませる。
 少年然とした顔立ちは青年のそれに。服装はこの世界の警官の制服へと変化させ、怜悧は間もなく現れるであろう箱頭たちを待ち受けた。
 そして程なくして、その時は来る。
「ピピピー! 止まってくださーい」
 曲がり角からドリフトカーブで現れた数人の人影を目にし、怜悧は準備していた誘導棒を真横に掲げる。
「ウイ!? ご、ご苦労様でーす」
「私たち至って普通の配送業者ですが。なにもやましい事のない配送業者ですが」
「急いでいるのでよろしいですかー」
 ほぼ自白ともとれる自己紹介をしながら、尚も駆け抜けようとするクーリエズ達。
「あ、ちょっとちょっと。私も普通のお巡りさんですよ。怪人事件なんて知らないお巡りさんです」
「なーんだ。それなら安心だウイーン」
「検問でもされてるのかと思ったウイーン」
 瞬時にクーリエズ達の残念さを理解した怜悧は、ここですかさず知能レベルを同程度まで落とす。
(まさか今ので本当に止まるとは……)
 内心、別の意味で正気度の減少(理解の及ばぬ者との遭遇)を覚えながら、しかし怜悧は努めて冷静に策を次の段階へと進めた。
「この先路面が凍結しております。チェーンの着用にご協力願います」
「なんと! あら、ほんと。よく見たら道路がブラックバーンってますね」
「このまま走っていったら、スピンして大事な荷物をぶちまけるところでした」
「なんて親切なお巡りさん!」
 ちなみに、この路面の凍結は言わずもがな怜悧の仕込み。
 氷属性を操る触手を地面に這わせることで、路面を殺人的なゼロ摩擦状態に仕上げていたのだ。
 しかしそうとは知らず、クーリエズ達は口々に感謝の言葉を告げながら、自前のチェーンを台車に装着していく。
 あまりの素直さに、これには流石の怜悧もちょっぴり罪悪感を覚えたとか覚えなかったとか。
 だが敵に情けをかける理由はない。怜悧は心までも氷の如く冷え切らせて、台車の上の段ボール箱に右手をかざす
 ここからはスピード勝負の力押しだ。
「ところで、実は違法な品を輸送していると通報がありまして。荷物検査させていただきますね。すぐ終わりますからね」
 言うや否や、袖口からまろび出たのは火属性の触手。
 箱の中の熱源を探知すると、怜悧は反応があった箱に手をかけ、片っ端からガムテープを破ってその中身を開放していった。
「ムググ……ぷっはー」
「やっと出られたー」
 緩衝材を押しのけて飛び出したのは、やはりというべきか誘拐されたテレビウム達。
 顔のテレビ画面は未だに鍵マークのままであったが、どうやら怪我などはないようだ。
「なぬ!? やっぱり検問じゃないか!」
「汚いぞ! お巡りさん汚い!」
 チェーンを装着しようと身を屈めた、その一瞬の隙をついての犯行(?)に、クーリエズ達は出遅れた。更に言うならば二度見までした。
 そして、これはまずいと身を起こした時にはもう手遅れ。
 テレビウム達は全員解放され、既にその場からテコテコと走り始めている。
「汚かったですか? でも残念ながら私はお巡りさんではないので。悪しからず」
 走り出そうとしたクーリエズの前に、擬態を解いた怜悧が立ちふさがる。
 そしてもう片方の袖口から伸ばした触手を横凪一閃。
 クーリエズ達もただではやられまいとチェーンでの防御を試みるが、しかしチェーンが触手攻撃を受け止めたその時、凄まじい光が迸った。
「「「あばばばっばばばばばっ!?」」」
 光は紫電となり、鎖を伝ってクーリエズの腕に噛みつく。
 瞬間、彼らの体が跳ね上がった。
「おっと言ってませんでした? 今度の触手ちゃんは雷属性なんです」
「金物注意はご注文前に先に言ってくださいいいいいいいっ!!」
 叫びと共に力尽き、箱の隙間からシュウシュウと煙を昇らせながら、クーリエズは膝をついた。
 黒焦げになった彼らをすかさず凍結した路面へと転がすと、怜悧はおもむろにポケットから通信機を取り出す。
「こちらは一段落です。はい、ええ、分かっていますよ。“ご依頼主様”の居場所、ですよね。これから聞き出しますので、分かり次第また連絡します」
 淡々と報告を終え、再びクーリエズに視線を戻す。
 痺れと滑りで碌に立ち上がることもできない彼らを可哀そうな目で見つめながら、しかし口調は冷酷に。
「お客様のプライバシーに関わる事かもしれませんが、こちらも依頼なので。早めに教えてくれた方がお互いの為ですよ?」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『プレステル・ピスティ』

POW   :    強制忠義ビーム
【キング・ブレインへの忠誠心】を籠めた【パペットからのビーム】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【敵対心】のみを攻撃する。
SPD   :    パペットビーム乱射
自身の【左胸のキング・ブレイン・バッジ】が輝く間、【パペットからのビーム】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    「キングの覇道を阻む奴ぶっ殺す!!」
【パペット】を向けた対象に、【破壊光線もしくは罵詈雑言】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠テュティエティス・イルニスティアです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 キマイラフューチャーの空が茜色に染まる。
 惑星全土の環境が整えられたリゾート世界とはいえ、大寒の候はともなれば些か冷えこむのか。事なきを得たテレビウム達は白い息を吐きながら、口々に猟兵達への感謝を述べ広場を後にしていった。
 そんな折、グリモア猟兵からの通信が入る。
 プレステル・ピスティの居場所が判明した。場所は……。

 ワクワク☆わんぱく遊園地。
 アミューズメントだけではなく夜景にも力を入れた、キマイラフューチャーの人気デートスポットである。
 その遊園地でもひと際目を引く巨大建造物―夕日に照らされた観覧車から一人降り立ったのは、青い軍服をまとった美少女。
 その名も『機械軍プレステル』が首領、プレステル・ピスティ。
 妖精の如き美貌と機械の冷酷さを兼ね備える彼女であったが、しかし今、ピスティは眉根に皺を刻み不満を露にしていた。
「……遅い、遅すぎます。お届け指定時刻はとうに1時間も過ぎているというのに。たった一人で観覧車に一時間ですよ。どれだけ虚しかったと思っているのですか」
 並々ならぬ怒気を放つピスティ。左手に握った鞭をポフン、ポフン、と右手の子犬型パペットに何度も打ち付けるその姿は、辺りに近寄りがたい雰囲気を振りまいていた。
「本当ならば今頃はテレビウムの鍵を集め終えている筈だったのに。本当なら……」
 とここでピスティの頬、紅潮。
「今頃はキング・ブレイン様にご報告差し上げ、2人で一緒にメンテナンスゲートの封印を開放している筈だったの! 2人の初めての共同作業なの! そしてそして、キング・ブレイン様からお褒めの言葉をいただいて美しい夜景をバックに手を取り合い、か、肩も抱かれちゃったりして……。そしてそしてそして、私たちは歩幅を合わせてゆっくりと光り輝く花道(システムフラワーズ)へ……ふへ、ふへへへ」
 熱暴走(オーバーヒート)!
 頬に手を当てぐにゃぐにゃと胴をくねらせ、緩みきった顔を晒すピスティ。
「……その、筈だったのに……」
 とここでピスティの瞳が、淀んだ涅色に色を変えた。
「押しつけクーリエズ、彼らにはキング・ブレイン様への忠誠心が足りていなかったようですね。廃棄処分決定です。いえ、もしくは何者かに妨害を受けたか……」
 つい数瞬前までしなをつくっていた事など幻だったかのように居住まいを正すと、ピスティは落日へと、その濁った眼を向けた。
 その視線の先、夕日を背に歩み寄るのは複数の影。
「ええ、その何者かが“あなた達”なのであれば」
 やがてその影ははっきりと形を成す。
 君達、猟兵は遂にこの時、プレステル・ピスティと対峙したのだ。
「私は容赦いたしません。機械的に。徹底的に。壊滅的に……」
 猟兵に向け、子犬型パペットをはめた右手をかざすピスティ。その口からは禍々しい力が迸る。
「全てはキング・ブレイン様のために」
ネージュ・ローラン(サポート)
『舞でお相手しましょう』『皆さんはわたしが守ります!』

ヴェールを使って空中を舞いながら戦うエルフです。
戦闘では主に前に出て相手を引きつけながら戦います。
攻撃は空中からの足技や、氷の武器を作って行います。
精霊魔法も可能で、「氷の大狼」「炎の妖狐」「風の神鳥」と契約しており、氷属性を中心に使用します。
仲間も一般人も傷つけず守りたいと考え、そのことを最優先に動きます。

潜入や調査はあまり得意ではありませんが、事件解決の為であれば出来る限りの事をしようとします。
機動力を活かせる役割があれば率先して引き受けましょう。


エルヴィン・シュミット
ハハハ、随分お待たせしてしまったようだな!
ま、お前さんの用事なんざ知った事じゃねえしこっちも勝手にヤらせて貰うぜ!

さて、今度は狡い真似は抜きにしようか。
UCを発動し、眩く輝く騎士様のお出ましだ!
今日の夕日は何時にも増して眩しいぜ!

…まあ、悪ふざけは程々にして、さっさとヤっちまうか。
奴の破壊光線は【見切り】と高速飛行で避けちまおう。
奴が喚き出した時は…【呪詛耐性】とか効くのか?

無駄に周りに被害を出すのもいい気分じゃないし、さっさと隙を見つけて【ALUETTE】の【重量攻撃】で一撃にしちまおうか。

『今日のお届け物は…キツいお仕置きだぜ!』


水鏡・怜悧
詠唱:改変、省略可
人格:ロキ
愛ゆえに、というものなのでしょうか。私には理解できませんが……貴女は私より『ヒト』なのですね
構築するのは光属性でビームを跳ね返すローブ、風属性で高速移動するブーツ、水属性で水刃が飛ばせるナイフ
パペットに注意し、ビームの射線を想定しながらブーツで移動しビームを回避。水刃を使わず近接戦闘を仕掛ければ、遠距離の攻撃手段は無いと思わせられるでしょう
高速で近づき、ナイフの射程ギリギリで刃を振ります。相手は身を引いて躱しながらビームを放ってくると思うので、水刃で切り裂きましょう。ビームはローブで防ぎます
バッジを狙いましたが身を挺して防がれましたか。やはり、理解できませんね



「消えなさい!」
 プレステル・ピスティのパペットから怪光線が放たれ、ワクワク☆わんぱく遊園地に塵煙が立ち込める。
 猟兵達が臨戦態勢に入る前の先制攻撃。
 マシン軍団の総帥なればこそ、彼女は勝利の為なら手段を択ばない冷徹さも持ち合わせていた。
 しかし煙が晴れた時、既にその場所に影はなく。
「ハハハ、随分お待たせしてしまったようだな!」
 メリーゴーランドの上に着地したその男は、頭に被った段ボール箱をポイっと投げ捨て、鈍色に輝くブロードソードを鞘から引き抜いた。
「ま、お前さんの用事なんざ知った事じゃねえしこっちも勝手にヤらせて貰うぜ!」
 男―エルヴィン・シュミットは強敵を前にして、敢えてその身を偽ることをやめた。
 剣を一振りし、呼び覚ますは騎士道。
 高潔なる魂は光と共に鎧を形作り、その背には白銀の翼を顕現させる。
「今日の夕日は何時にも増して眩しいぜ!」
 HOLY KNIGHT CHANGE。
 西日を赤赤と反射して、エルヴィンは空を駆けた。
 そして、それと並ぶように宙を舞う白銀がもう一人。
「舞でお相手しましょう」
 エルフのスカイダンサー、ネージュ・ローラン(氷雪の綺羅星・f01285)。
 助っ人に駆け付けた彼女もまた、空中戦に長けた戦士である。
 光の騎士とエルフの踊り子が並び飛ぶ姿は、さながらフェアリーテールの一説を思わせた。
「あなたのような気高い騎士様と戦えるとは、光栄です」
「あ、ああ、そう?」
 でもネージュさん騙されないで。その男、さっきまで酷いペテンで怪人達を爆葬してましたよ。
「やはりあなた達が邪魔立てしたのですね! キング様の覇道を阻む奴ぶっ殺す!!」
 対するピスティは尚もパペットからの放つ光線で対空砲火。
 しかし二人は巧みな飛行能力でそれらを躱し、空からピスティを挟みこむように剣と蹴りの一撃を叩きこむ。
「はー! そうですか! はー! コンビネーション魅せつけようってんですか! キング・ブレイン様とのコンビネーションなら私だって負けてませんから! 私達の超絶美麗な連携を前にしたら、あなたの付け焼刃の同時攻撃なんてカスです! カス!」
「うっせえバーカ!!」
 罵詈雑言、というよりも子供の負け惜しみのようなソレをエルヴィンは意にも返さない。
 反撃とばかりにこちらも悪態をつけば、赤い血通わぬ筈のピスティの顔が怒りで真っ赤に燃え上がった。
「愛ゆえに、というものなのでしょうか。私には理解できませんが……」
 そしてピスティの意識が上空に向くその隙を狙っていた者が1人。
 物陰に身を潜めていた水鏡・怜悧は、服の裾から呼び出した流体金属で脚と背を覆い、それぞれをブーツとローブの形で固定した。
 あらゆる属性を内包する液体金属。今回選択した加護は脚力を高める『風』と、光線を乱反射させる『光』。
「貴女は私より『ヒト』なのですね」
 どこか寂し気な一言をその場に置き去りにして、怜悧は韋駄天の如く地を駆ける。
 追加で生み出した水属性のナイフを手にピスティの懐へと潜り込めば、狙い定めるは彼女が光線を放つたびに怪しく輝く左胸のバッチ。
 恐らくはそこが彼女の力の源だ。
 しかし。
「っ! させません!」
 ピスティは上空に向けていたパペットを恐ろしい反射速度で地に引き戻し、目前まで迫っていた怜悧に光線を乱射する。
 1度ならず、2度、3度……合計9発。命を削って放つ最高出力の連撃を、零距離で。
 当然、その反動と余波は彼女自身の体も蝕み、残されたクレーターの上に立っていたプレステル・ピスティは、その体を大きく損壊させていた。
「光のローブで反射させてもこの威力……。自損覚悟の攻撃を躊躇なくしてくるとは、予想外でした」
 当然、怜悧の方も無傷では済まない。
 液体金属のローブは度重なる被弾で融解し、その体にも所々に火傷の跡が見える。
 しかし一瞬の攻防の中、怜悧もまた一矢報いていた。
「お、お前、ブレイン様からいただいたバッチを……」
 ピスティが光線を放つその刹那。怜悧が握るナイフから射出された水刃は真っすぐ、ピスティの左胸へと放たれていた。

 カツン……。
 静寂の中、硬い物が地面に落ちる音が響く。
 そこに目をやれば、転がっているのは、機械と配線の断面を露にした人の左手首。
「ブレイン様のバッチを狙ったわね……許さない! 許しません!」
「身を挺して防がれましたか。やはり、理解できませんね」
 隻腕となったピスティだったが、その力はむしろ前よりも増していた。
 乱射される破壊光線を、残された風のブーツを駆使して紙一重で躱す怜悧。
 とその時、彼の背後から一筋の光が疾駆する。
 そしてその光は鞭のようにしなりながら、ピスティの右手のパペットを縛り上げた。
「皆さんはわたしが守ります!」
 光の根源―ネージュが握る『旅のコンパス』から放たれたそれは、持ち主が望む物の在処を示し、またある時は悪しき者を縛る鎖ともなる。
 ネージュは即座に光の鎖を手繰り寄せると、ピスティの腕を明後日の方向へと向けさせた。
「エルヴィンさん、今です!」
「ごめんくださーーい!!」
 そして、声の主は天空より来る。
「今日のお届け物は……キツいお仕置きだぜ!」
 仲間たちが生んだ好機を逃すまいと、剣を大上段に構え急降下するのはエルヴィン。
 彼の自力での最高速度は時速435km。それに重力を味方につけて更に加速。
 ついでにありったけの力を込めて、エルヴィンは愛剣【ALUETTE】を振り下ろした。
「ブレイン……様……」
 超重量の唐竹割りが叩き込まれ、ピスティの脳天から勢いよく火花が散る。
 そして返す刀を振えば、青い軍服の少女は勢いよく彼方へと吹き飛ばされた。
「ふっ、ハンコもサインもいらねえよ」
「それ、キメ台詞のつもりですか?」
「……悪いかよ」
 怜悧の無感情な瞳にバツの悪そうに頭をかきつつ、エルヴィンはALUETTEを鞘に納める。
 鍔鳴りの音と共に静寂を取り戻す園内。
 しかしピスティが吹き飛ばされた先、その瓦礫の下では、未だに微かな駆動音が響いていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ナイ・デス
猟書家がいるときいて、きてみましたが……
あ。まだ生きている、ですか
では……

ふむ

世界を滅ぼすオブリビオン、骸の海へ、かえってもらいます!

「ダイウルゴス」はまだ召喚しない
生身で、背から光を放って【推力移動ダッシュ】
【第六感】で破壊光線は【見切り】避け
られなくても【覚悟、継戦能力】仮初の肉体は、どれほど壊れても死には繋がらない。時間が、聖者の光が再生もさせるから【激痛耐性】慣れているから、止まらない
【生命力吸収】する光を、光剣のように両手から放ち【なぎ払い切断】にかかる
罵詈雑言きたら

私達が、キングの敵なら
あなたは、世界を敵にまわしたのです

『文明守護領域』
世界を、竜にかえて
【レーザー射撃、一斉発射】



 日も落ち切り、ワクワク☆わんぱく遊園地に電飾の明かりが彩られる頃。
 銀色の長髪に色とりどりの光を反射させながら、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)はキマイラフューチャーに降り立った。
「猟書家がいるときいて、きてみましたが……」
 見つめるのはプレステル・ピスティが吹き飛ばされた先。
 その瓦礫の下で微かな駆動音が響く。それは少しずつ音量を増していき、遂には瓦礫を跳ね除け、ピスティは再起動を果たした。
「状態確認……中破。作戦行動は継続可能」
 自己修復能力があるのか、頭部から真一文字に刻まれた創傷も、火花が飛び散らない程度には回復している。
 しかし失われた左腕の方は、完全再生とまでは至らなかったようだ。
「問題ありません。この右腕とブレイン様から頂いたバッチがある限り……」
「あ。まだ生きている、ですか」
 と、その時。まだあどけなさの残る声がピスティの耳に届いた。
 見上げれば、そこに見たのは光を背負った少年の姿。
「ふむ、報告の通りだいぶ手負いのようですね」
「だったら手加減してくれるとでも?」
 皮肉交じりに言葉を交わし、右腕にはめたパペットを少年―ナイに向けるピスティ。
 光の収束は一瞬。
 次の瞬間にはパペットの口から破壊光線が撃ち出された。
「まさか、です」
 しかし、ナイは一直線に向かってくる光線を難なく回避。
 背負った光を一気に放出してブースター代わりに、その体を加速させる。
「世界を滅ぼすオブリビオン、骸の海へ、かえってもらいます!」
 瞬時に距離を詰めたナイは、手刀をピスティに向けて振う。
 加速に用いた光を、今度は破壊の力に転じ、両の手は刃の如く研ぎ澄まされていた。
「回避不能。迎撃により対処します」
 対するピスティもまた捨て身の反撃に出る。
 先の戦闘でも見せた反射神経を活かし、パペットの砲口を修正。
 そして発射。
「くはっ!」
「損傷アリ……だが継戦可能!」
 ゼロ距離での光の交錯は両者の痛み分けとなった。
 いや、負傷の重さで言えばナイの方が上か。
 光線により吹き飛ばされた小さな体は、その大部分に重度の火傷を負っている。
 一方のピスティも光の残滓を体に刻んではいるものの、浅い。
「同じ捨て身でも、私の方が覚悟の重みが違います。キング・ブレイン様のため命を賭する覚悟が!」
 剥き出しの殺意を込めて、再び光線を放つピスティ。
「キング・ブレイン様の歩む道を阻む奴は、私が粛清する!」
 光線はナイの体を穿ち、再びその体を大きく吹き飛ばした。
 しかし、それでもナイは膝を着くことはしない。
 ふらり、と足取りは揺らげども、決して止まることなく歩き続ける。
「私達が、キングの敵なら。あなたは、世界を敵にまわしたのです」
 一歩また一歩と歩を進めるたびに、ナイの背から溢れる光は強く、激しく、昂っていく。
 ナイ・デス―彼はヤドリガミにして聖者。
 本体を破壊されない限り、彼の光の加護は何度でもその仮初の体を再生する。
 それは死を阻む最強の鎧であると共に、生との戦いを強いる枷でもあった。
 だが、ナイは迷わない。
「私は、私達は世界を守るという、覚悟を胸に戦っています。覚悟で劣っているというその言葉、撤回してもらいます!」
「私の忠誠は絶対! 敵うはずがない!」
 そしてまたも放たれる破壊光線。
 しかしナイは発射口が輝いた瞬間、その軌道を見切り素早くその場に身を伏せる。
 紙一重で光の奔流から身を逸らすと、そのまま彼は静かに地を撫でた。
「距離、地形、『良し』です。見極めるのに時間がかかってしまいました」
 撫でた地面から黒曜石の輝きを思わせる光があふれ、ナイはその場に一抱え程の大きさの黒龍の彫像が召喚する。
 瞬間、闇色の光が大地を、空間を侵食していく。
「今を守る力を、この場所に。世界を、守りましょう……」
 黒に侵食された地面は鱗状に隆起し硬質化。
 電飾が巻かれた植木は竜の爪。
 光を放つアトラクション群は、怒りの瞳を宿した竜の首へと変じていく。
「こ、これは……!?」
 気づけばプレステル・ピスティは、その周囲を無数の黒竜に囲まれていた。
「今この場所、あなた達は、文明を守護する竜、ダイウルゴスです……!」
 かつてアックス&ウィザーズに於いて群体を成し、統合意志の元で自ら文明を称した帝竜・ダイウルゴス。
 ナイはその在り様をユーベルコードとしてその身に取り込み、今ここに顕現させたのだ。
「過去からの侵略は、ここで食い止めます。今、ここが、私達の文明守護領域(フロンティア・ライン)です!」
 空間の中枢と同化したナイの一声で、ダイウルゴス達は一斉に咢を開く。
 そして吐き出されるは地を砕くドラゴンブレス。
 発動地点を計算し、プレステル・ピスティを取り囲む全ての地点にダイウルゴスの首を配置したことで、その一斉放射は不可避のものとなる。
 そして回避の余地を失ったプレステル・ピスティは、瞬く間に闇に飲まれていくのであった。

 左胸のバッチだけは守りぬこうと、身を屈めながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

クレア・フォースフェンサー
オブリビオンということは、かつてその若さで亡くなったのであろう
なんとも不憫なことじゃのう

――などと思っておったのじゃが
その身体は、わしと同じく人の手により作られたものであったか
なるほど、それならばその美しさにも納得がいくのう

じゃが、一つ疑問もあってな
おぬしの慕うキング・ブレインに会うたことがあるが、随分と個性的な姿をしておった
果たして、おぬしの姿を美しいと感じるのかのう?

と、そんなことを今のおぬしに問うても仕方のないことじゃな
何せ、これからおぬしは骸の海に還るのじゃから

光剣にUCの力を込め、ビームを捌きつつ接近
パペットを斬り払った後に身体を貫こうぞ

かつてわしらが還したキングと一緒になるのじゃな


黒瀬・ナナ
うんうん、好きな人の為に頑張っちゃう乙女心。わかるわぁ。
……え?独り身の寂しいアラサーに何がわかるですって?
ううううるせーばーかばーか!
とにかく、キングの覇道も貴女の計画もここで終了なのよ!

可能であれば周りの猟兵さん達と共闘。邪魔にならないよう援護するわ。
破壊光線を舞の動きで受け流しつつ、
神霊体に変身して薙刀から放つ『衝撃波』で一気に仕留める!
ついでに『マヒ攻撃』のオマケも付けちゃうわ!
罵詈雑言で心にダメージを受けても、『気合い』で頑張る。
接近されたら『咄嗟の一撃』で『カウンター』を叩き込むつもり。


わたしもこんな遊園地で素敵なデートをしてみたいなぁ……え?相手がいない?うるせーばーかばーか!


ナイ・デス
それを、守ったのですか
……少し、羨ましい、ですね

命を、賭せることが
どこかの世界、どこかの本体が壊れることでしか、死ねないのだろうヤドリガミには
守って、意識を失って、再生し目覚めた時には、守った筈の命が死んでいた経験がある身には

……大丈夫。わかっています
世界に害なすオブリビオンは、骸の海に還す
私は『猟兵』です

傷が癒える。否、新しい仮初の肉体に変わって
ビーム乱射も【見切り】避け
体内の、全身どこからでも放てる聖なる光を使った【推力移動】に【怪力ダッシュ】で距離をつめて

おやすみなさい

【零距離】で【生命力吸収】する光を放つ
せめて最期は、苦しくないように、と



「オブリビオンということは、かつてその若さで亡くなったのであろう。なんとも不憫なことじゃのう――などと思っておったのじゃが」
 黒竜のブレスが嵐の如く吹き荒れた、その後。
 現場に駆け付けたクレア・フォースフェンサー(UDCエージェント・f09175)が見たのは、うずくまり全身から火花を散らせるプレステル・ピスティの姿であった。
「その身体は、わしと同じく人の手により作られたものであったか。なるほど、それならばその美しさにも納得がいくのう」
 全身をくまなく損傷し、頬から剥がれ落ちた合成皮状シリコンの下からは剥き出しの金属パーツが覗いている。
「まあ、今は別の意味で不憫なことになっておるようじゃし、苦しみなく骸の海に還れるよう介錯してやろうかのう」
「好き放題、言ってくれますね。状態確認……大破。作戦行動は困難。しかし、キング・ブレイン様のため、ここで止まるわけには、いきません」
 フォースセイバーを手に歩み寄るクレア。
 それを視認したピスティは、最後の力を振り絞り三度目の臨戦態勢をとった。
「うんうん、好きな人の為に頑張っちゃう乙女心。わかるわぁ」
 そんな、いたいけとも言える姿を見て瞳を潤ませるのは黒瀬・ナナ。
 同情か共感か。はたまたその両方か。薙刀を握る手から思わず力が抜けそうになるのを、ナナは必死に堪えていた。
「す、好きだなんてっ、そんなのではありません! 私はあくまで忠誠心という意味であの方をお慕いしているのであって恋愛感情などという定義不明瞭な感情など機械である私は持ち合わせてない! ないもん!」
 対するピスティ。すごい早口。
 重度の負傷にも関わらずこれほどの長台詞を一息に紡げるのは、さすがは(?)機械人形といったところか。
 しかし恋愛脳であるナナは、ピスティの残っている方の頬に紅が差す瞬間を見逃さない。
「うんうんうんうん、そうだね。素直になれないのも乙女心よね。お姉さん、言わなくてもちゃんと分かってるよ?」
「だ・か・ら! ……いえ、きっとこれは心理的揺さぶり。正面から相手取ることなどありません。ええ、あなたに私の気持ちなど分かるはずがない!」
「……え? 独り身の寂しいアラサーに何がわかるですって? (※そこまで言ってない)ううううるせーばーかばーか!」
 唐突にナナのコメカミに青筋が浮かぶ。
 恐らくは28歳と8か月の年月が積み重ねた負い目と焦りが、知らず知らずのうちに彼女の導火線をすり減らしていたのだろう。
「うるっさーい! とにかく、キングの覇道も貴女の計画もここで終了なのよ!」
 緩みかけた闘志を引き締め、ナナは万力の如き握力で薙刀を握り直した。
「終わったかの? とにかくあちらもやる気のようじゃし、ここは共闘で一気に片を付けようぞ」
 ピスティの最後の言葉を聞き届けるため歩みを止めていたクレアも、再びフォースセイバーを構える。
 そして訪れる刹那の静寂。
 先に動いたのはピスティであった。
「キング様の前にひれ伏しなさい!」
 海より深く連峰よりも厚い忠義の心。それを一点に集約した光線は、あらゆる物理的防御もすり抜け、心を塗りつぶす奥義。
 対するナナは静々とした足運びで洗脳光線を受け流すと、その動きを八百万の神へ奉納する舞へと昇華させた。
 そしてクレアもまた、背に舞巫女の口ずさむ祝詞を聞きながら、夜の遊園地を駆ける。卓越した眼力を持つ彼女にとって、二次元的な動きしか成さない光線など脅威ではなかった。
「大した忠義。敵ながら天晴! じゃが、一つ疑問もあってな」
 牽制の連撃を繰り出しながら、クレアは問う。
「おぬしの慕うキング・ブレインに会うたことがあるが、随分と個性的な姿をしておった。果たして、おぬしの姿を美しいと感じるのかのう?」
「っ!……だ、黙れっ!」
 そう、キング・ブレインとプレステル・ピスティは同じオブリビオンといえど、種族には明確な隔たりがある。それはピスティが電子頭脳の奥底に隠していたしこりでもあった。
(ブレイン様は私の想い、受け取ってくれるのかな……)
 ほんの一瞬、ピスティの忠義に揺らぎが生じる。しかし、その一瞬は勝負においては致命的な隙。
「と、そんなことを今のおぬしに問うても仕方のないことじゃったな」
 クレアはピスティが浮かべた機微すらも見切ると、その場で深く腰を落とし、渾身の力で剣を突き出す。
「何せ、これからおぬしは骸の海に還るのじゃから!」
 光の刀身はクレアの意志に応じ、矢の如き勢いで伸び。
「ああっ!」
 貫かれたピスティは小さな叫びと共に吹き飛び、遊歩道を横切った所で動きを止める。
 ……否、その体は見えざる力によって拘束されていた。
「あなたはそれを、そのバッチを守ったのですね」
 小さな呟きの後、ピスティの眼前に白色の粒子が収束する。
 それは次第に形を成し、先ほどまで対峙していた少年猟兵―ナイ・デスの姿を形どった。
「あなたは! ……っ、このバッチだけは傷つけさせません! これは、私とあの方との繋がりそのもの!」
「ええ、それをどうこうするつもりは、ありません。むしろ……少し、羨ましい、です」
 先の戦いの後、肉体の限界を迎えナイは一度その肉体を手放していた。
 しかしヤドリガミである彼にとって、その消滅は仮初のもの。暫しの時間をかけて肉体を再構成。そして出現と同時に、クレアの刺突により吹き飛んできたピスティを念動力で絡めとったのだ。
「どこかの世界の、どこかにある本体が壊れることでしか、死ねないのだろうヤドリガミには、命を賭して最期まで何かを守る、その事がたまらなく羨ましい、です」
(守って、意識を失って、再生し目覚めた時には、守った筈の命が死んでいたなんて経験、しなくて済むのですから)
 ピスティの左胸のバッチは、三度の戦闘を経て尚傷一つない。
 その輝きをナイは眩し気に見つめ。
「ああ、ああ……私はなんて愚かな。一瞬でもあのお方への想いを揺らいでしまったなんて!」
 しかし対するプレステル・ピスティには、そんなナイの内心を慮る余裕も義理もなかった。
 自戒の念に体を戦慄かせた彼女は、パペットに残る力を集中。関節の限界を超えた動きで右手首を回すと、ナイへ向け光線を撃ち放つ。
 思わぬ反撃に咄嗟に推進移動で回避するナイであったが、その隙にピスティは拘束を逃れてしまう。
 そして、まずは目前の少年を今度こそ屠ろうとパペットを構え。
 瞬間、ピスティは見えざる壁にぶつかったかのように再び跳ね飛ばされた。
「―――かしこみかしこみ、ここにてましますは」
 空を藻掻くピスティが見たのは、振りぬいた薙刀を構え直すナナの姿。
 先ほどまでは溌溂としていた舞巫女。しかし今、その体は朧に霞んでいる。
 祝詞により八百万の神の力を借り受けて、神のおわす座に近づくべく自らを幽けき存在に変えるユーベルコード【巫覡載霊の舞】。
 感情をも禊いだかのような悠然たる所作で薙刀を振えば、刃の先端から吹き荒れた見えざる力はピスティを更に吹き飛ばし、損耗の激しい回路をショートさせた。
「お主、よもや」
 一方で、僅かとはいえ窮地に陥ったナイの盾となるべく駆け付けたクレアが、彼に鋭い目を向ける。
「大丈夫。わかっています。世界に害なすオブリビオンは、骸の海に還す。私は『猟兵』です」
 対してナイは静かに頷き、まっすぐに見つめ返す。
「……ああ、そのようじゃの」
 ナイの赤く煌めく瞳の奥、そこに覚悟を確と見た。
 思わず綻びそうになった相貌を引き締めると、クレアは尚も立ち上がるピスティに光剣を突きつける。
「然らば、そろそろ終わらせてやるとするかの」
「そう簡単に終わってやるとでも思ってます?」
「いやまさか。そのしぶとさは散々見せつけられたからのう」
 軽口を叩ける程度には余力を残している。そんな素振りを見せるピスティであったが、誰しもが分かっていた。
 次の攻防が最後になると。
 そして、火蓋は切って落とされた。
「……参る!」
「全ては、キング・ブレイン様の為に!」

 色とりどりの光が溢れる遊園地に、新たな閃光が刻まれる。
 バッチが輝くたび勢いを増す流星。
 しかし終ぞ何かを射抜くことはなく、星は流れ消えていく。
 そして一夜限りの流星群は、ひと際大きい軌跡がパペットを斬り飛ばしたことで唐突に終わりを告げた。
「…………」
 反撃の手段を失い、膝を着くピスティ。
 いや、元より力は尽きていたのだろう。反動を顧みないユーベルコードの連続使用がその証左。
 項垂れているため表情を伺い知ることは出来ないが、ナイは彼女が泣いているように感じられた。
「結局、苦しませてしまいました。ごめんなさい。でも、あなたが最期まで、命を燃やすことを選んだのなら、きっとこれが最善だったのでしょうね」
 ナイは歩み寄ると、手のひらに誘眠灯のような淡い明かりを灯し、その中にそっとピスティを包み込む。
「おやすみなさい」
「骸の海で、かつてわしらが還したキングと一緒になるのじゃな」
 プレステル・ピスティが少しずつ輪郭を霞ませる。温かな光に照らされ揺蕩うその時間は、もしかしたら愛する者の腕に包まれているかのような、そんな優しい幻想を抱かせたかもしれない。
 やがて。
 その体は溶けるように消えていった。

「お疲れ様―!」
 溌溂としたナナが返ってきた。
 神霊体となっていた体を現に戻し、腕をぶんぶんと振って仲間たちを労う。その底抜けな明るさは、賑やかな遊園地によく似合っていた。
「でもあの子の気持ち、やっぱり分かっちゃうなぁ。わたしもこんな遊園地で素敵なデートをしてみたいし……え? 相手がいない? うるせーばーかばーか!」
 誰に言うでもなく一人で怒り狂うナナ。
 もしかして、十八番の自虐ネタ?
 そんなことを考えながら、クレアとナイがその後に続く。どうやらこの先導者殿は折角だからと少しだけ観光してから帰還するつもりらしい。
 戦いの後だ。少しくらいは賑々しくしても罰は当たらないだろう。
 とそんな時、ふと脳裏をよぎったのは消え行く間際のピスティの姿。
 左胸からバッチを外し胸に抱きしめる彼女は、少しだけ微笑んでいたような気がした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月28日


挿絵イラスト