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フレンド・イズ・マネー 友は金なり(作者 灰色梟
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#デビルキングワールド 


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#デビルキングワールド


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「また、月が変わったわ」

 冷たい声が頭上から響く。透き通ったその声は、まさしく、階下の悪魔たちが待ち望んでいたものだった。
 悪魔たちの視線が一斉に持ち上がる。大理石の円柱がシンメトリーに配置された豪奢なロビーから続く、赤絨毯の大階段。その頂点に、『彼女』が佇んでいる。

「アナタたち、わかっているわよね?」

 蠱惑的な『彼女』が頬に掌を当てて首をかしげる。青みがかった白髪の、オッドアイの少女だ。ツギハギだらけのドレスを履いて、ボロボロのぬいぐるみを抱きかかえている。しかし、その姿をみすぼらしいと思う悪魔は、誰ひとりとしていなかった。

 悪魔たちは知っているのだ。
 『つぎはぎの魔女』の正体が、唸るほどの資産を持つ大富豪であるということを。

 見上げる悪魔たちの視線を一身に浴びて、『魔女』は呟く。

「お友達料」

 鈴のような声が、ロビーにはっきりと響いた。
 『魔女』のために集まっていた、金髪褐色ミニスカルーズソックスの悪魔たち――、デビルギャルズの背筋がぞくりと震える。

「今月も! さすが、ってか、容赦なさすぎっしょ!」
「マジヤバにワルいヤツじゃん、これ!」
「でもでも、お金あるのにずっとあのぬいぐるみ抱っこしてるとか、エモくない?」
「つまり」
「エモワルじゃね?」
「エモくてワルい! サイコーじゃん!」

 デビルギャルズがキャピキャピと盛り上がる。エモいものもワルいものも、JK悪魔たちの大好物なのだ。
 姦しい階下を眺めながら『つぎはぎの魔女』はくすりと笑みを零し、髪を掻き上げながら宣言した。

「それじゃ、今月分のお友達料、耳を揃えて持ってきてね」



「とまぁ、そんな感じで、『お友達料』で大儲けしているオブリビオンがいるんだ」

 グリモアベースの一角で、京奈院・伏籠(K9.2960・f03707)は頬を引き攣らせながらそう説明した。こころなしかメガネも傾いているように見える。

「『お友達料』、つまり、『友達として扱って欲しかったらお金を払ってね』ってヤツだ。なんでそんなモノで大儲けできるのかといえば、そこはほら、デビルキングワールドの文化というか……」

 友情を金銭で買う。あるいは、売る。それも、強制的に。
 実にワルである。ワルであるから、悪魔たちはそれをリスペクトしてしまう。

 しかも、オブリビオンは友達になった悪魔たちをパシりに使っている。
 とんでもないワルである。ゆえに、さらにリスペクトされる。

 ワルなオブリビオンはたちまち一部のJK悪魔たちの間で人気者になってしまった。
 人気者になった彼女と友達になりたい悪魔たちは、さらに『友達料』を納めて……。

 以下、ループである。

「で、だ。実は、魔界の通貨『D』には魔力が籠められているんだ。『D』を大量に集めれば『カタストロフ級の儀式魔術』も行使できてしまう、とグリモアは予知した」

 ずれたメガネを直して、伏籠が言う。とぼけた事件だが、間違いなく世界の危機でもあるのだ。

「みんなには、オブリビオンを倒して、彼女が集めた財貨を奪い取ってもらいたいんだ」

 それが今回の依頼だね、と伏籠は猟兵たちを見回しながら言う。
 猟兵たちの表情を確認してから、彼は指を三本立てた。

「作戦は三段階。まずはオブリビオンの拠点である洋館に潜入すること。洋館にはオブリビオンの『友達』である悪魔たちが大量に入り浸っている。とにかく数が多いから、戦って突破するのは現実的ではないかな。上手く彼女たち、『デビルギャルズ』の目を盗みながら、オブリビオンの居室を目指すんだ」

 二つ目、と伏籠が続ける。

「オブリビオンの居室で、『つぎはぎの魔女』を撃破すること。どうもターゲットは集めたお金を全部、自分の部屋に運び込んでいるらしい。オブリビオンを退治したら、ワルらしく、そのままお金を根こそぎ奪い取ってやろう」

 そして三つ目が、今回の事件の後始末となる。

「それで、奪ったお金についてだけど、一箇所に集めておくとまたオブリビオンに利用されかねないから、ここはひとつ、パァーっと使い切っちゃって欲しいんだ。街に出て派手に遊んだり、最悪、燃やしちゃったり……、あ、そうそう」

 ぽん、と伏籠が手を叩く。

「洋館に出入りしてるデビルギャルズは、『異世界のワル』に興味津々らしいよ。どうせなら武勇伝がてらに語ってあげるのもいいかもね」

 前二つの作戦を成功させれば、『ワル』な猟兵たちは自然と悪魔たちの人気者になれるだろう。派手にお金を使いつつ、デビルキングワールドの住人たちと親交を深めれば、ミッション・コンプリートだ。

「郷に入っては郷に従え。ワルよワルよも作戦の内。悪魔たちの世界を守るためにも、頼んだよ、イェーガー!」





第3章 日常 『異世界ってどんなワルい奴がいたっス?』

POW●『あんまりワルいやついなかったよ』
SPD●『まあ、普通にワルいやついたよ』
WIZ●『(聞くも無残な内容)(凄惨な過去)』
👑5

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちの活躍により、『つぎはぎの魔女』ラフメアは斃された。
 オブリビオンは骸の海に送り還され、主を失った洋館には集められた金貨が残るのみ。

 あくどい手段で集められた財貨である。本来であれば持ち主に送り届けるべきなのかもしれないが……、なにしろここはデビルキングワールドだ。
 悪事こそが『素晴らしい』と称賛される世界において、元の持ち主に配慮する『良い子ちゃん』は、むしろNGだろう。被害者であるはずのデビルギャルズさえも、猟兵たちのことを『ラフメアより強い、とんでもないワル』と認めて、諸手を挙げて歓迎しているほどである。

 ……というわけで、猟兵たちは残された金貨を袋に詰めて、揃って街に繰り出した。
 集めた金貨をそのままにして、別のオブリビオンに利用されるわけにもいかない。どうせはあぶく銭、パァーっと使い切ってしまうのも乙というものだ。

 金貨の詰まった袋を担ぎ、デビルギャルズたちを引き連れて、猟兵たちは中世ヨーロッパ風の市街に到着した。レンガ敷きの街路に沿って、レトロな雰囲気の店舗がずらりと並んでいる。レストランやカフェ、雑貨や土産物のショップ、果ては現代的な遊興施設まで、探してみればありとあらゆるジャンルの店が見つかりそうだ。
 デビルギャルズだけでなく街に住む悪魔たちも興味津々に猟兵たちの様子を窺っている。どうやら『異世界のワル』の武勇伝を聞きたがっている者もいるらしい。

 軍資金はたっぷりある。遊ぶも語るも、猟兵たちの自由だ。
 騒がしい悪魔たちとともに、ほんのひととき、勝利の余韻に浸るとしよう。