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ひゃっは~~~!!! 悪だ~~~っ!!!!!(作者 拳骨
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#デビルキングワールド 


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#デビルキングワールド


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 ここは良い子が泣き悪い子が笑うデビルキングワールド。悪な奴らが年中無休で悪事を働いているのだが、皆元旦くらいは休みを取っていた。
 二十四時間働く為には休息も必要なのだ。それに勤勉な態度は悪じゃない気がするので堂々とサボります。罪悪感は結構湧くものの、せめて三日間くらいはゆっくりしてもいいよねと悪魔を自称する良民たちは正月を満喫して餅をもりもりみかんをむきむき酒ごぼぼぼぼおえーーーっと食っちゃ寝していた。
 そんな中でも悪事をブチかまそうと現金輸送車を灯油の巡回販売をするくらいの速度で走らせる集団が、パラリパッパとラッパを吹かせて周りに泡を吹かせてやろうとしてやがるッ!! 果たしてこいつらはちゃんと悪いやつなのか!?

「ひゃあ! お餅屋さんのお通りだーー!! ワルだからお餅を食いすぎて夕飯を食えなくしてやるぜ〜っ?!」
「俺は天使だったが今は堕ちてるワルだからよォ〜……お餅ちゃんたちの間にベーコンとチーズを挟んでパリッパリに焼いちゃうンダよーーんっ!!」

 わあ、アレはもう直ぐ夕飯であろう民家の前でおもむろに現金輸送車改め餅輸送車を止め、七輪で焼く餅の匂いを民家の方向けて団扇を仰ぎ飯テロを行うデビキッザピーポーズ!
 奴等、ご家庭で作り過ぎた餅たちを回収するだけに飽き足らず、貰ったものは返さないと胃に収めて消化してしまうらしいなんて……なんて悪いやつなんだ!!

「ひゃひゃひゃ! 兄貴ィ見てみろよ。まだ1Dよりもちっちゃなおててをした可愛いベイビーが羨望の眼差しを向けているぜェ……?」
「……羨望ぅ? ソイツはオレたちにか? 違えな。餅にだ。オマエよりは餅の方がワルってこった!」
「そっそっっっっそんな!? いやでも餅ってじいちゃんの喉に詰まるヤベーやつだし、そうか……そうかも……」
「そ〜〜〜〜やって流されるからオマエはいつまで経っても巣立ちできねェんだブラーヴォ!! アイツを見てみろ!!」

 餅輸送車から降り立った今日もイマイチバッドボーイ、ひょろ長ブギーモンスターを叱咤するリーダー格の骸骨男は車の運転席から離れずに、痩せすぎて肉のない指先を別のブギーモンスターへと向けた。対象は他の怪物たちと違って体格が一回り大きく見える。

「あ、おばちゃーん!! ……へっへっへ。余った餅を寄越しなあ〜〜っ!! 俺たちが食ってやっからよ〜〜!!
 ……ナンダぁこんだけか? 遠慮せずにまだまだ持ってこいや!! 餅つき機で楽しく作りすぎちまって、冷凍庫を圧迫しているんだろ~~?? 太るのは嫌だろ~~?? 寄越しな~~??!」

 ゆ、強請りだ!!! 野郎っ保存食としては半年は持つであろう元つきたて餅を言葉は強くあれど態度は低姿勢プラス孫みオーラを発揮させてどこぞのママさんを懐柔しようとしている!! すごく悪いやつだ!!!!!

「わ、流石強請りのファットマン。ワルだなあ~っ」
「ボケっとすんなよブラーヴォ!! いい子呼ばわりされたくなかったら、さっさと隣のお宅を訪問して食いきれない餅を回収してこい!!」
「ひゃわわ!! わ、わかったぜ。頑張ってくるぜぇ~~い!」

 青白い炎を燃やす骸骨ニキはひょろ長ブギーモンスターを見届けた後、ホットサンドメーカーで餅とあんこを挟み悪事を働く助手席の堕天使と共にブギーモンスターたちを信じて待つ。
 因みに太っちょブギーモンスターに強請られていたどこぞのママさんは、「食べ物を粗末にするの、悪だと思ってたけど勿体ないものね~。悪に懐柔するのも悪よね、悪ー」と雑に処理して家庭の餅を全部帰らぬ餅へと泣く泣くせざるを得なかった。なんてこったい。やっぱデブって強キャラなんすわ。

「へっへっへ……ありがとうだぜぇ~~~??!」

 や、野郎!! 傷口に塩を塗るかのようにお礼まで言いやがって!!! こんな極悪非道が従うリーダーってのも相当な悪なんだろうな。だって部下に激励を送っているし、大型車を運転するんだもの。絶対ツヨイコワイ。

「ひゃーっひゃひゃひゃ! 俺だってやれたよぅ兄貴ぃ~~! 褒めてくれるかな~~っ?!?」
「あー。お餅屋さーん、コレも持って行ってくださいー」
「はあーいって、んん!? 待てキサマ~~! なんだぁこれは。ケーキにクッキーに、ミルク! サンタさんじゃあるめえしよ~~!!」
「あらー、実はサンタさんですよー! メリークリスマスですー」

 ひょろ長ブギーモンスターが目撃したソレは、ミニマムサイズであれど絶対的な悪を放つツワモノだった。
 微睡んだ緑眼はのぞき込む者を堕落させ、思いやり香る鮮赤花は摘む者の退廃を望んでいる。サンタを名乗るソレは真っ赤な衣装に身を包み、小麦肌の小さき人等を従えてはいるものの危害を加える様子は一切ないようで、戸惑う怪物に向けて優しく笑む。
 兄貴よりも1Dくらい強そうだなと呑気を思っていたひょろ長。そんなダメっこかいぶつの異変に気付いたスパリダのデビスケニキは乱暴に二人の間に割って入る。

「おいおいおいおいおいおい眠り姫かよ。春を待たずに目が覚めたのか? 気が早すぎるぜ、うちのシマじゃあサンタは深海から這い出てくるんだ」
「ふふー、冬眠なんて勿体無いことしてませんよー。それにクリスマスはまだ終わっていないし、終わらせませんー。
 集めるの、餅だけでいいんですかー? 餅だけじゃあなく。クリスマスもまだ家に残っているかもしれませんよー」
「……何が目的だ」
「へへへ、国を作りますー。巨大なクリスマスツリーの国。私はそれが欲しいのです。そうしたら、みんな嫌でもクリスマスを思い出してくれるでしょうからー!」
「へえ……いいぜ、その話乗ってやるよ!!」
「えええ!? 本気かよ兄貴ぃ!」

 ピり付いた空気が解かれたと同時に慌てるひょろ長の懐疑な視線を受け入れ流す骸骨男の燃える青火は大層愉快そうに燃え盛り、知恵の布を焼き焦がす勢いだ。
 弧を描く口元から放たれた言葉は、

「なんか悪っぽいからついてってみよ?」

 そうかな……そうかも……。ひょろ長は案外柔い素の口調で話す兄貴の言葉に納得したのだった。


「ハロウィーンやクリスマス、そういった一日限りの行事を長く楽しもうとする気持ちは誰にでもあるのではないでしょうか?
 事前に開催されるマーケットや準備期間は長いのに、本番はやたら短く儚いものです」

 グリモアベースにて。
 一日限りの個展に行けなかった日とかマジで病みますよねえと、ソルドイラ・アイルー(土塊怪獣・f19468)はうんうんと深く頷いてみせるが、そのエピソードに共感できるのかは人それぞれだろう。

「予知を語りましょうか。オブリビオンである聖夜精、クリス・ベルがデビルキングワールドに『モチノキ』という新たな国を作りました。
 塔のような造形をした国は緑に染色した餅でできており、到る所にオーナメントが散らばっています。地面も壁も全てが餅ですので、実に厄介な地形ですね。
 道中では悪魔たちが邪魔をしてきますが、戦わずとも説得すれば味方になり得る者たちです。悪っぽい事をすれば付いてきてくれますが、その逆をすれば離れていきます。
 ですが、善行であれど堂々としていればいいのですよ。悪と言い張ればそれは悪なのですから。うまく活用してください」

 それでは、お気を付けていってらっしゃい。グリモアを展開させたソルドイラは、猟兵たちを転送させるのであった。





第2章 集団戦 『デビルスケルトン』

POW ●デビルスピア
【槍の穂先】が命中した対象を燃やす。放たれた【槍から伸びる】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD ●ボーンフレイム
対象の【骨】に【炎】を生やし、戦闘能力を増加する。また、効果発動中は対象の[骨]を自在に操作できる。
WIZ ●デビルファイア
レベル×1個の【青色に輝く魔】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●!!BONUSDDD!!
 年を越しても帰らないサンタクロースに塩をまいて悪霊退散すべく、ワルな猟兵たちはブラックローブを従えて餅の肌を駆け上る。
 ブラックローブたちはとんでもねえワルさを秘めた猟兵たちの力にバビりバズってロックンロール。クリスマスパーティーを乗っ取ろうと、カラーギャングは緑色の地面を紅白めでたい二色へと塗り替えんとペイントしまくっていた。相変わらず悪いやつらだ。
 そんな悪い事をしているワルは必ず悪い事をしているワルとひかれ合う。パーーパパパッパパーパパパパッッとラッパだけでなく、アルトサックスとテナーサックスとトロンボーンの四つの管楽器でアンサンブルを吹かす、時速二十キロの現金輸送車が前からも後ろからもやってきた。国のパトロール中だった現金輸送車と、外回りから帰ってきた現金輸送車。つまり挟み撃ちの形になるな。
 モチノキの領地は狭い為、ご近所付き合いを怠ると高速で噂が回ってしまうのだ。なんと恐ろしい国か。猟兵たちのおいでなすったもブラックローブたちの推し変もバレた結果、転売見習いの四天王が直々に勝負を仕掛けてきたぞ!

「おいおいおいおいおいおいおいおいおいおいブラックローブブラックローブブラックローブ!! お使いも満足にできないのか? このブラーヴォども!!」
「ひあははは。おーおーボンちゃんよ、お説教とかスル暇ないってェ。オレたちはサンタ様にD届けるのが目的よ? も・く・て・き」
「そーそー。オレたち転売のおかげでモリモリパワー溜めちゃってるから勝ち目はあるけどサ、逆に負けたら集めた資金ぜぇ~~~ンぶ横流し!
 与えられたお仕事全うできないソコのシャバ僧と同列、それ以下! 捨て置くのが最善ってモンよ~~~~~っ」

 意外とインテリジェンスの高いデビルスケルトン。その中には嘗てブラックローブたちが慕っていたデビスケ兄貴もいるようだが、皆同じ顔で四天王をしているので見分けはつきそうになかった。
 無暗な争いを避けるべく骸骨たちは猟兵たちを避けようとするも、こっちはそうはいかんもち。喧嘩っ早いブラックローブたちが、現金輸送車のタイヤに餅を滑り込ませ足止めさせてしまったからだ!

「へっへっへ……『Dを積んでる』だって情報。落っことさなきゃあよかったのにな~~~っ!?」
「同胞ーーーー! アレを奪えばオイラたちゃワル! お姉さんやお兄さんはツヨくなってもっとワルだ~~~! 盗れ、盗れ~~~い!」
「ひゃっは~~~!!!!! ごめん、じゃなくてありがとうだぜ~~~~~~い!?!?」

 はしゃぐブラックローブに対し、デビルスケルトンは青火混じりのため息をついた。その淡い火元は温度を上昇させ、みるみる大きく広がっては己だけでなく現金輸送車をも燃え上がらせる。
 火に溶けた餅はあっけないもので、再び現金輸送車のタイヤは回り始めた。

「よっわ。オマエたちの餅ってツマらねえのなあ……? 杵に張り付く根性もねえし、粒は荒くて美味そうじゃあない。だから焼き直してキレイにしてやったワケ」
「負けてオレたちに再びついたら救いようのないシャバ憎だぜ~~~? おウチに帰ってチャンネル争奪でもしてた方がまだマシってもンだ。
 教えてアゲないとわかンないのカナ~~~~? しょ~~~がねェな~~~折檻だ。成長したトコロみせてくれや」

 ブラックローブの継ぎ接ぎのワルっぽさと違ってデビルスケルトンのワルは実にこなれている様子である。四天王の名は伊達ではないようだ。
 四天王を仲間にすることは難しいかもしれないが、ドロップアイテムたるDは現金輸送車一台だけでもかなりの額。魔界の通貨であるDには魔力が籠められており、持っているだけで強くなれるという。オブリビオンであるサンタさんもこれを狙っていたから悪魔たちにDを集めさせていた。
 しかし、それを奪ってしまえば? ……もしかしたら、この場は最高の稼ぎ場なのかもしれない。
ハンナ・レドウィッチ
不採用含めて全て歓迎よ!
餅を燃やすなんて…貴方たちの餅って醜くない?え、燃やすのが普通?

デビスケ兄貴に餅つきで勝負を挑むわ。相手は槍、しかし私は箒!
面積的にも私の方が餅を突くのに適した…何、兄貴は貴方じゃない?いえ貴方よ。違う?違わないわ。骨違い?そう。

前言撤回、皆まとめて吹き飛ばしてやる!
同じ顔をした奴らが集まって四天王だなんだとこじゃれちゃって!おでこに名前を書いておきなさい!
UC発動、大天才邪竜神様の名をその身に刻むといいわ!
なに、マイケルくん。現金輸送車から離れろですって?
私が魔法に失敗する訳ないじゃない。…ちょっと、押さないでよ!


●HEY! SAY! WABISABI!
 餅がめでたく空を飛んでは青白い炎が水を差す。モチノキの中部あたりにて、突発的に起きた大抗争の中心に居る猟兵の一人であるハンナ・レドウィッチ(天災級自爆魔法使い・f31001)は、聖夜という道を綺麗に舗装し直してやろうと群れた骸骨たちに言葉を投げた。

「餅を燃やすなんて……貴方たちの餅って醜くない? まるでコゲコゲで、アクリルアミドだらけの砂利道ね」
「醜いだあ? おォ~~~い待ちなよ。待てってンだ。餅ってのは……苦~~~~~~い焦げ目にシタツヅミを打つくらいがちょうどよくて、乙なもンなのよ」
「それにそれに? 体に悪いものを好んで摂取するってーのは……ハ・イ・ト・ク・テ・キ。
 食べ方に美醜を求めるなんて、な~~~~んて、お嬢様ったらァ。頭でっかちゃんの箱入り娘ちゃんなのかしら~~!??」

 なんたる狼藉。お言葉をかけてくださった邪竜神様に無礼を働くなんて、デビルスケルトンズはワルいやつらだ!
 しかしハンナは口角を上げたまま上機嫌に餅道を歩き出す。懐から取り出したるは先刻完成してしまった戦略兵器、山葵餅。モチノキロードとはまた違った緑色をしたソレは和を感じさせると同時に悪を放っていた。

「え、燃やすのが普通? 貴方たちってそれ以外の方法で餅を食したことはないのかしら……。
 でも、そんな湯たんぽファイアーでぬくぬく育ったお坊ちゃんたちには、この業火に焼かれた闇の餅なんて食せないわよね。残念だわあ……」
「な、なにをう?! ……食べられらァ!!」
「あら強がらなくていいのよ? だってこれ、ブラックローブくんたちが気絶しても尚もがき苦しんだ最高傑作だもの!
 それとも、耐える耐えられる以前に美味しいと言える自信があるのかしら。そりゃあそうよね! 四天王を名乗っているのだから」
「は~~~~~~~~~!!?? 黙って聞いてりゃあ言いたい放題言ってくれるじゃねェのお姉さんよォ~~~~~~~?!?」
「私としては食べるか食べないかをハッキリしてほしいわね!」
「食べるに決まってるじゃねえか!! 寄越しなア!!!!!!!!!」
「ええ寄越してあげるわ! でもその前に私と餅つき勝負よ。私に勝てたら賞品として山葵餅をお見舞いしちゃうから、精々頑張りなさいな!」
「うぐぐぅ! 一方的に話を進めるゴーイングマイウェイさ……オマエ、なかなかの悪じゃねえの……っ!!」

 釣れた。
 楽しくなる表情を眉間にしわ寄せて緩和するハンナは手に持つ箒を手首のスナップを効かせて回す。主によく似た鋸刃のような線を、マイケルくんは平行にすることなく音のない笑声を唄う。
 勝負が始まる前から悪に魅入られかけたのかダメージを少し受けてしまったデビルスケルトンの得物は槍。対してハンナは箒を杵変わりに餅つきを行う様子。
 面積的にもハンナの方が餅を突くのに適しており、更には勝っても負けても相手は大損なこの勝負。圧倒的に彼女の方が有利なのである!! 言葉巧みにデビルスケルトンを翻弄し、自分の土俵に上がらせた大天才は紛うことなきワルいお方だ!!!

「ひゃっは~~~!!!!! 餅と臼の用意ができちまったぜぇ~~~~い!!?」
「ひょひょひょひょお!! 両者揃いに揃って……見合え、見合え~い。
 オイラがはっけよいの後を言う前に動いたら、即座に失格させるから泣いて慄くがいい~~!!」

 いつの間にかブラックローブたちが用意してくれていた臼らしき箱はどう見てもクリスマスプレゼントを取り出した後の空き箱だが、何層も箱が重ねられているのか耐久力は申し分ないようだ。中には茹ったモチ米が待ちわびており、つきたてのお餅を食べようと味方のブラックローブや敵のデビルスケルトンが観客として周囲にわらわらと集い始めていた。これも抗争の一種である。
 臼の傍に立ったハンナ選手とデビルスケルトン選手の間には返し手兼審判たるブラックローブが居る。冷たい手を持つ彼は冷気で餅が驚かないようにとデビルスケルトンの青白い炎で手を温めてきたらしい。協力を惜しまないのは、勝負に抜かりがあってはならないからだ。決して良い子なわけではない!

「さあ、勝負よデビスケ兄貴!」
「え。オレ、デビスケ兄貴じゃないんだけど」
「えっ?」
「え?」

 えっ。このデビルスケルトンは、嘗てブラックローブたちが慕っていたスパリダデビスケ兄貴かと思っていたがそうではない?
 そんな馬鹿なとハンナは灰色を瞬きする。どこからどう見てもデビルスケルトン、まるで見分けのつかない量産型。
 ……もしかすると、もしかして? でももしかしないかもしれないからもしもしドライビングスクール?

「え。……何、兄貴は貴方じゃない? いえ貴方よ」
「えっ。えっ、違うよ?」
「違う? 違わないわ」
「骨違いだよ?」
「骨違い? そう。え、デビスケ兄貴じゃないなら貴方に用はないわ」
「えっ」
「はい山葵餅。もう帰っていいわよ」
「えっ」
「そうそう、デビスケ兄貴に私が探していたってことは伝えておいてね?」
「え……ひどくない?」
「ノーカン!!!! ノーカン!!!! 不戦勝でもなンでもねえ、審判審判審判審判審判審判審判審判審判よォ~~どォ~~~~見ても……あっちが棄権してるだろ~~!?」
「エエ~~!? タダで山葵餅貰えたのって……悪だろォ……?」
「悪なわけあるかよ!!!!! とにかくやり直せ~~~~!!!!!!!??」
「ヒャ、ヒャア~~~!?!?」

 ハンナの悪っぷりに言葉を失うデビルスケルトンの素の声。それはシャバ憎の情けない悲鳴だったが同じ種族であるデビルスケルトンたちの骨に強く響き、同調は一つとなり憤怒の炎を焚きあがらせる。
 一方でブラックローブたちは賞品が受け渡ったことに素直に拍手していた。されど非難囂々は止まずのさばり、蔓延るのも時間の問題かデビルスケルトンたちは各々不満を垂れていた。猛烈にヒートアップしていく口論は遂には胸ぐらを掴み掴み合う始末。ワルいやつらどもだ!!!!

「仕掛けておいてなンだよそれ~~~~!?!? 引くレベルで悪だわ、ないわ!!!」
「あるわよ!! 同じ顔をした奴らが集まって四天王だなんだとこじゃれちゃって! おでこに名前を書いておきなさい!」
「へっへっへ……お姉さんよォ……オレ名前筆の魔っ記ー持ってるぜ~~~!? 使いな~~~!!?」
「でかした! 貴方、名前は!?」
「誰が教えるか!!」
「兄貴じゃないその一、兄貴じゃないその二! 兄貴と見せかけて?」
「俺アニキ違うよ?」
「その三ね!」
「デコに書くなデコに!!! チクショーーーーーーーーーーっこうなったら実力行使の暴力だ!!!
 暴力は全てを解決する。つまりそういうこった。もう許さねーーーーーーーーーーーっ!!!」
「許さなくて結構! こっちだって前言撤回、皆まとめて吹き飛ばしてやる! 大天才邪竜神様の名をその身に刻むといいわ!」

 ユーベルコード【大天才ウィザード・ミサイル】。射程五メートルぽっちしかない魔法の矢だが、つかみ合いが殴り合いに発展しかけるほどに至近距離であったデビルスケルトンへの着弾はほぼ確実であった。

「あっちあ?! あちああたたぼあっ!!」
「ば、爆発が連鎖してオレたちの火が消し飛ぶ勢いの風圧とか煙がすごっぼあやばびゃば!!!!」
「げっほ、げほ!? 不味ったわ!? 矢と近すぎて私も被弾す……とたばばっ!?」
「ひゃ、ひゃ~~~~!!?!? 知恵の布がまた汚れちゃうよォ~~~!??! っひゃばーーーーーーーっ!!!」

 接触することによって爆発する炎矢は自爆することなく花火を咲かせるも、至近距離故かハンナも多少は火の粉を浴びてしまう煙も吸っちゃうし、ブギウギズだって結構燃えてる。放置されていた臼はほぼ形を残していないし、中に入っていた餅はすっごい燃えて膨らんでいる!! すごい美味しそう!! 美味しいからワルに違いない!!!!
 慌ただしい餅つき会場の中、あたふたとハンナの相棒であるマイケルくんが身振り手振りで大変だ大変だと主に必死に物を伝え飛んでいる。一体どうしたんだいマイケルくん!

「ん……なに、マイケルくん。……現金輸送車から離れろですって? なにそれ」

 腕らしい枝をしならせた先には青と赤の二色に燃え盛る二台の現金輸送車。溶けかけた鉄の中から除かれる金貨はまるでクリスマスに見かけるイルミネーションをのように光って綺麗。
 そういえばとハンナはデビルキングワールドの文化について思い出す。Dという金貨には魔力が籠められており、持っているだけで強くなれるブーストアイテム。

「なるほどね? アレを回収しろってことね!? って、ちょっと、押さないでよ! どうして現金輸送車から私を遠ざけようとするの!
 ……自爆するかも? 私が魔法に失敗する訳ないじゃない」

 未だ止まぬ火雨を懸念するマイケルくんは言わぬ口でハンナに言うのだ。せめて魔法を止めてからDを回収しないかと提案するも、己を信じるハンナは己を貫き回収に至る。

「ふふふ……ほら! なんともないじゃない。現金輸送車の車内だからか、随分と熱いけど。
 ……それにしてもDったらスゴイわね。魔力が溢れる感覚があるわ」

 今なら魔法の成功率も上がっているし、大召喚をしなくても大魔法を使えたりするのではとハンナは考えるも行わない。こんな狭い空間に土地を一部でも召喚したら圧し潰されるだろうと思えたからだ。
 だが、知らず知らずにあふれ出ていた魔力は無意識の願いを読み取り叶えようと暗躍し、そして対価を求める。

「あら、金貨だけでなく紙幣もあるし、燃えているわ。燃えているわ!?」

 土地こそ召喚されていないものの、先ほどの炎矢がピンポイントにドアの隙間を縫って車内へと飛び込んできていた。車内のDから魔力を吸収して爆発の威力を増そうと膨らむ魔法の矢から逃れようとするも、刹那の一瞬。

「……わばぎゃーーーーーーーー!??!?!」

 外で待機していたマイケルくんは彼方へ吹っ飛ぶハンナを空洞の目に映す。己が受け止められる距離よりも遠く遠くへ消える彼女を、それでも受け止める為に箒は急ぎ足で持ち主の元へと駆けていくのであった。
大成功 🔵🔵🔵

ガンズ・ハルモニア
ガンキューブに搭乗操縦
メーリーー!
空中浮遊、カッ飛びながらミサイル発射
クルシミマス!!(クリスマスの否定)
現金輸送車と衝突。交通事故だ!損害賠償を払ってもらう!?
遅れて絨毯爆撃で自分ごと範囲攻撃ぐわー『重機兵召喚』発動
現金輸送車に合せ巨大ガンソルジャーに搭乗

ウィーウィッシュアメリクルシミマス!(大質量の拳で殴る殴る)
私から奪ったものを返してもらう!!(現金輸送車をひっくり返す)
大型遠距離武器・単発式爆弾発射カタパルトを展開
貴様らのせいで、私はクリスマスに独り寂しくチキンとケーキを
貪ったんだ!!ぜったいにゆるさねぇ!(八つ当たり)あ、こんにちは!!
ハッピーニューヤー!!?!!(大型爆弾発射)


●餅時々D
 二台の現金輸送車の爆発は青白い火の粉と赤い煙とともに、Dをふんだんにまき散らす。風に乗り空を舞う紙幣に、重力と共に餅地に落ちる金貨。その後者にぶつかったガンズ・ハルモニア(ガンガンガン・f17793)は痛、と声を漏らしていた。

「……Dだ。お金だ! 貰っておこう。強くなれるから」

 頑丈なガンキューブに搭乗していても思わず音声を発してしまったその原因を拾い上げ、ポリスメンへ届けることなくガンキューブの内部へしまい込んだガンズの選択はとんでも強烈なワルだった。
その様子を後方から見ていたブラックローブたちも戦慄する程に、Dを拾う動作は自然と流れるように美しい。
 今までも数多くの金貨をああやって戸惑いなく拾っていたのだろうかと空想するブラックローブたちをよそに、ガンズはDを所持したことによって身体能力が上がっていることを実感した。
 現に、電子データを確認してみても数値は向上中。過度な異常も見当たらず、シンプルにDを拾えば拾うほどに伸びるステータスに対して楽しみを見出したガンズは、ひょひょいと餅地をスキャンしてヒカリモノがないかを確認する。
 時折クリスマスオーナメントが引っかかるのは仕方がなしか。しかし、モチノキの頂点に君臨するサンタさんがDを回収して来いと命令しなければ、こちらもボーナスタイムに突入することは叶わなかったのだろうとガンズはちょっぴり感謝しつつもガンキューブを操縦してどんどんDを回収していく。塵も積もれば山となり、レベルキャップが解放されるのだ。
 しかし、Dを回収する行動を取っている者、それはガンズだけではない。新たに目についたDを蓄積しようと球体のガンキューブが向かおうとした矢先、現金輸送車から降りたデビルスケルトンがDを回収しようとしているではないか! 横取りである!! なんたるアウトロー野郎が!!
 だがガンズだってアウトローには負けちゃいない。横取りされたなら奪い返せばいいだけのこと。それに自ら道端でDを拾いてちまちま稼ぐよりは、ボランティア活動を終えた魔界の住民をユスった方が上手に稼げてしまう。とてもデビルワルい考えだ……!!!!

「だが……このガンズ・ハルモニア、容赦せん! 要するに待てない。待つのはまどろっこしいのです。それにDで強化されたガンキューブを味合わせたいし、私も味わいたい!!
 強請るなら今だ!! 寄越せええーーーーーーーーーーーー!!!!」
「ひゃっは~~~~~!!! ガンズの姉貴に続こうぜ野郎ども~~~~~~~!!!!!!!!!」
「「「「「「ひーーーーーーーーーーーはーーーーーーーーーー!!!」」」」」

 ゆったりと空中浮遊していた球体はブースターを一斉発射。後ろにいたブラックローブたちは風圧を受けて体勢を崩す者も居れば吹っ飛んでいった者も居たらしい。
 後方の隊列確認はブラックローブたちに任せたガンズはガンキューブをカッ飛ばしてはそのままミサイルを発射させる。自動追尾機能が備わっているミサイルは標的であるデビルスケルトンをゆらりと探して爆発せんと各々飛び交い始めた。着弾を待たずしてガンズは現金輸送車の前に降り立ち、そのまま勢いを殺さず活かして突撃する!! 急な障害物にデビルスケルトンは慌てざるを得なかった!!

「メーーーリーーーーーーーー!!!!! クルシミマス!!!!!!!」
「うわーーーーーーーーー?!?!? 急ブレーキ!!!!!!!!」
「ふはは、あなた、いい子だな!? いい子がブレーキを踏むのは想定済みだ!! クルシミマス!!!!!!!!!!」
「うわーーーーーーーーーーーーーー?!??! 助けて?!?!?!」

 すごい、交通事故の恐怖体験だ! こんなの教習所でもめったに味わえないしデビルキング法スレスレの悪事である!! 悪いお方ですこと!!!!!!!!
 ベテランドライバーも泣きたくなる受動的交通事故。ブレーキを踏んでも慈悲なく突撃してくる球体は恐怖の象徴にふさわしい。

「クルシミマス!!!!!!!!」
「さ、三回も言う?!?! あ、危ないだろうがよォ!!!!!!!!!!!!!」
「そう、危なかった……私は現金輸送車と衝突。すなわち交通事故だ!! 損害賠償を払ってもらう!?」
「アタリヤスピーチ……!! オマエ、悪だな……!?」

 アタリヤとは邪悪である。それは故意に事故を起こして損害賠償を請求する者のことを指し、そして相手に十割負担を求めるのがアタリヤスピーチだ。これらの行為はデビルキングワールドだからギリ許されているのであり、他世界だとこんなスムーズに話は進まないだろう!

「そうだ、悪だ。悪だから損害賠償を払ってもらわないと……」
「も、もらわないと……?」
「ミサイルが飛んでくグワーーーーーーーーーーーーーーッ?!!??!」
「ウ、ウワーーーーーーーーーーーーーー!??!?!?!」

 着弾確認、おかえりミサイル!! 先ほどガンズが放つだけ放って放置していたミサイルの第一波、続けて第二波が発射した当人ごと絨毯爆撃しにやってきたぞ!!! デビルスケルトンがあたふた慌てて現金輸送車から降り飛び出た瞬間をガンズは見逃さない。
 ユーベルコード【重機兵召喚】を発動させた彼女はミサイルの被弾によって穴ぼこになっている無人車の現金輸送車を己に取り込み、巨大ガンソルジャーへと変身する!!

「クルシミマアアアアアアアアス!!!!!!!!」
「ロ、ロボだアレ~~~~~~~~~~!?!?」
「でっけ~~~~~~!!!!!!! かっちょえ~~~~~!!!」
「おいぃ見ろよ、黒いボディにDの金ぴかが光って超……ワルっぽい。ワルっぽくない?」
「スケールがでかすぎてオレたちじゃあ対処できなくなってきたぞ、どうする……!?」
「ピッカンきたワ。オレたちも合体すればいーンじゃないのォ~~!!? Dの蓄積量は勝っているんだし、ワンチャンつかみ取ろうや」
「ア~~~。じゃァついで、ついでによ。少人数にDをありったけ渡して、こっそり運搬してもらおうじゃないの。オレたちが負けてもサンタ様が勝てるようにするのが大事じゃない?」

 コール・ガンズ。それは転送機能を使用することで大型遠距離武器を生やした三百五十メートル弱の人型兵器に変身するロマンあふれるドリームテクニックである。
 クリスマスを否定する雄たけびを放つ巨大ガンソルジャーの足元ではブラックローブたちがきゃっきゃと巨大ガンソルジャーの格好良さにはしゃいでいたし、一方でデビルスケルトンたちはどうしたものかと頭を悩ませている様子が見て取れた。そんな会話に耳を傾けてみるも、ガンズはデビルスケルトンに暴力で訴えでも損害賠償を払ってもらわないといけない状況にある。
 
「ウィーウィッシュアメリクルシミマス」
「「「「え。わ、わぎゃあああああああああああああ!!!?」」」」

 デビルスケルトンズに降りかかるは大きな大きな拳の雨。一粒がデカすぎるってのに沢山降ってくるものだから恐怖しかありません。歌を歌いながら大質量の拳で殴り殴る姿はまさしく悪。悪は許可以下すると負けフラグは言うが……果たして?!!?

「私から奪ったものを返してもらう!!」

 現金輸送車を一台一台ひっくり返して中身を確認するガンズ。そんな彼女にデビルスケルトンズは自身の得物である槍に炎を点してやり投げを行いて攻撃を行う。が、命中して延焼し続けているにも関わらず気づく気配のない様子にデビルスケルトンズたちはマジでどうやって対処すンのと未だ考えていた。そして考え付いたのか彼らは青白い炎を燃え滾られ影を作る。やがて人型へと至ったソレはデビルスケルトンを模倣して作られた炎骸骨だ! でも武器まではついてこなかったのか、槍で攻撃しない代わりに口から火を吐いてきた!!
 炎をモロに浴びるガンズの視界は青白く染まる。巨大ガンソルジャーは決してくじけないが、現金輸送車は火に弱いのか関節フレームに違和感を与えてくれた。早急に対処せねばと巨大ガンソルジャーが展開させたのは、大型遠距離武器である単発式爆弾発射カタパルト。そこに八つ当たりの心を添えれば新しい年の幕開けです。世界を掴んでDの海を泳ぐんだ。
 再度、巨大炎骸骨の口元から火が吹かれた。だがそれは単発式爆弾発射カタパルトに燃料を与えたと同じ事! 爆発寸前の高圧蒸気はガンズの怒りの感情とよく似ていた。
 そう、クリスマス。本来のクリスマスの日のことだ。ガンズ・ハルモニアは一人でクリスマスを過ごしたのだ。かなしみが怒りに代わる時、そのエネルギー変換の熱量は巨大炎骸骨を理不尽レベルに上回る!!

「……貴様らのせいで!!  私はクリスマスに独り寂しくチキンとケーキを貪ったんだ!! ぜったいにゆるさねぇ……。
 ゆるさねぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」

 咆哮。びりびりとモチノキを震え揺らす人間兵器の電子音はドスが効いた威圧感のある重低音を轟かせる。一つ、息をついたようにうなだれた巨大ガンソルジャーの瞳が薄暗くなって、また明るい青を点した時、子供のような甲高い音が周囲に響き渡った。

「あ、こんにちは!! ハッピーニューヤー!!?!!」

 巨大炎骸骨に向けられた挨拶からの大型爆弾発射。気持ちを切り替えた巨大ガンソルジャーは吐き出した感情に引きずられたりなどしないのだ。
 しかしそれは一種の不気味さを感じさせるもので、巨大炎骸骨を操るデビルスケルトンズは悪ではなく畏怖を感じ取ってすっかり動きが鈍くなっていた。その結果は直撃でありついでに現金輸送車もバチバチに破壊され、青白い炎と共にバラバラと雨吹雪のようにDが舞い落ち巨大ガンソルジャーに当たって跳ねた。

「痛。……痛くないけど、当たると痛いって言っちゃうねぇ」

 どうやってDを回収しようか。できれば楽な方法がいい。巨大ガンソルジャーから降りたガンズ・ハルモニアの頭上にはDが落ちてきたもんだから、今日はDがよく被弾する日なんだなあと彼女は頷くことにした。
大成功 🔵🔵🔵