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掠奪者への矛になりし愛の島

#グリードオーシャン #七大海嘯 #鉄甲船『伊州丸』 #マリアージュ島

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#鉄甲船『伊州丸』
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●グリードオーシャン・マリアージュ島
 ――透き通った蒼と冷気が空を覆う、断崖絶壁に囲まれた島の片隅で。
 マリアージュ島の民たちは、日々土を耕し、趣味を楽しみながら、慎ましく幸せに暮らしていた。
 季節は冬。肌寒いとはいえ、ここまで穏やかな冬を過ごすのは、島民たちも初めて。
 昨年の春にコンキスタドールの圧政から解放された後、圧政に喘いでいた島は豊かな実りを主産業にする島へと転じつつあった。

 ……だが。

「あ、あれは何だ……!!」
 農作業の傍ら、ふと目を上げた若い島民たちが何かを目撃したのか、口々に叫びながら水平線の彼方を指差す。
 他の島民たちが視線を向けた先に「いた」のは、海賊船の大艦隊。
「海賊船か!?」
「な、なんじゃありゃ!?」
 大艦隊の船首に備えられた巨大な牙を見て、絶句する島民たち。
 それは、島民……否、島そのものを貪欲に食らうべく、カチカチと打ち鳴らされていた。

 ――大艦隊の船尾には、「鮫牙」の旗がはためいていた。

●グリモアベース
「皆、一大事だ。集まってくれ」
 切迫したグリモア猟兵館野・敬輔の招集に応じ、集まった猟兵達。
 集まった猟兵達を前に、敬輔は前置きなしで用件を切り出す。
「かつて皆が解放したグリードオーシャンのマリアージュ島を、『七大海嘯』の大艦隊が襲撃しようとしていることが判明した」
 猟兵達が『七大海嘯』と呼ばれる強大なコンキスタドールの縄張りに侵入しつつ島を解放し続けたことで、『七大海嘯』からも反撃が行われるようになっていた。
 マリアージュ島に接近している『七大海嘯』が一『鮫牙』の目的も、不埒な猟兵どもとそれを支持する島民に制裁を加え、再び島を支配下に置くことにある。
 ……そう語る敬輔の表情は、真剣そのもの。
「コンキスタドールの脅威から解放された島を再度蹂躙させるわけにはいかない。皆には『鮫牙』の配下たちを撃退してほしい。頼めるだろうか」
 頭を下げる敬輔に、猟兵達はそれぞれの想いを胸に頷いた。

「マリアージュ島に接近している大艦隊だが……上陸前に迎撃してほしい」
 敵は大群ゆえ、少人数で島で待ち受けるのは現実的ではなく、無理やり迎え撃てば守りの薄いところから島を蹂躙されるのは必至。
 少しでも島への被害を抑えるためには、海上で戦うしかないのだが……。
「マリアージュ島は断崖絶壁に囲まれているから、鉄甲船『伊州丸』以外の船がない。だから『伊州丸』で迎え撃つしかない」
 サムライエンパイアから持ち込んだ全長200mの鉄甲船『伊州丸』は、マリアージュ島の断崖に接岸されたまま。
 すぐに動かすことも可能だが、問題は『伊州丸』には船首の衝角と分厚い装甲以外、武装らしきものが一切ないこと。
 対する『七大海嘯』側の船は、前面に備えられた巨大な牙が相手の船に食らいつき沈めてくる。
 ――双方が真っ向から衝突すれば、沈められるのは『伊州丸』のほうだろう。
「そこで、出航までのわずかな時間に、大砲や銃など、考えられる限りの武装を取り付けてほしいんだ」
 なお、取り付けた武装は、共に戦うことを志願した島民が船に乗り込み使ってくれる。
 事前に島民に武装の使い方を教えておくのはもちろんのこと、慣れぬ海戦に戸惑う島民を励まし、士気を高めるためには有効だろう。

「武装の準備が整い次第、出港し、先んじて『七大海嘯』の海賊船を襲撃してほしい」
『鮫牙』側は先んじて強襲されるとは思っていないため、先手を取るのは容易だが、船首に備えられた巨大な牙が待ち受けている。
「船首の牙に食らわれれば、皆はもちろん、『伊州丸』もひとたまりもないから、絶対近づかないでほしい」
 一方、海賊船に備えられた武装は牙だけなので、接近しすぎなければ問題ないとも言える。
『伊州丸』に取り付けた武装による攻撃やユーベルコードによる遠距離攻撃、あるいは空からの強襲等で船を片っ端から制圧し、沈めていけば、いずれこの大艦隊を率いるコンキスタドールに辿り着くはずだ。
「大艦隊を統率する海賊船を見つけたら、全員で乗り込み、船長を撃破してほしい」
 大艦隊を率いるのは、右目にメガリスを宿す女賞金稼ぎ。
 メガリスの義眼を強奪し右目に宿したことで悪に堕ちた賞金稼ぎは、異形化した右腕で平和に暮らす人々を虐殺する為に戦斧を振るおうとするだろう。
 大艦隊をひとつ任せられるだけあり、『伊州丸』からの援護がなければ苦戦は免れない。
 だが、『伊州丸』の守りを突破され、賞金稼ぎの上陸を許せば、島は再びコンキスタドールの支配下に置かれてしまうだろう。

 ――それだけは、何としてでも阻止せねばならないのだ。

「これ以上、『七大海嘯』に好き放題されるわけにはいかない。だから……頼んだ」
 丸盾のグリモアを大きく展開し転送ゲートを形成しながら再び頭を下げる敬輔に。
 猟兵達は皆、頷きながらゲートを潜り、マリアージュ島へと赴いた。

 ――愛の島を、悪辣なコンキスタドールに蹂躙させぬために。


北瀬沙希
 北瀬沙希(きたせ・さき)と申します。
 よろしくお願い致します。

 グリードオーシャン・マリアージュ島に『七大海嘯』の掠奪の手が迫っております。
 猟兵の皆様には、彼の者共の撃退をお願い致します。

●本シナリオの構造
 日常→集団戦→ボス戦です。

 第1章では、迫りくる『七大海嘯』の脅威に対抗すべく、鉄甲船『伊州丸』に武装を備え付けたり、島民に武装の使い方をレクチャーするなどして、海戦の準備をお願い致します。
 取り付ける武装は、現地で作っても、猟兵自身が持ち込んでも構いません。
 海戦の準備以外に、戦に不安を覚える島民たちを鼓舞したり、猟兵達の英気を養ったりするのも良いかもしれません。
 この章で準備された内容は、2章以降のプレイングボーナスに影響します。

 第2章は集団戦です。
 敵の船を鉄甲船に近づけさせないようにしつつ、片っ端から沈めて下さい。
 接近すると船首の咢に食らわれ沈められるため、遠距離戦ないしは空中戦推奨ですが、プレイング次第で接近戦も可能です。

 第3章はボス戦です。
 この海賊船団を率いるだけあって、かなりの強敵です。
 猟兵が船に乗り込むのはもちろん、鉄甲船からの援護も必要になるかもしれません。

●マリアージュ島(座標:S02E00)
 ダークセイヴァーから落ちてきた、緑豊かな農業が主産業の島。
 島の周囲は絶壁で囲まれているため、遠洋に漕ぎ出せる船はありません。

 拙作「愛を引き裂きし掠奪者の島」で解放された島となります。
 https://tw6.jp/scenario/show?scenario_id=22107
 こちら、未読でも支障ございません。

●本シナリオの運営について
 全章、冒頭に断章を追記した後、プレイング受付開始。
 受付締切はマスターページ及びTwitter、タグにて告知致します。

 なお、本シナリオは必要最小限のプレイングのみ採用し、早めの進行を心がけます。
 そのため、サポートプレイングは適宜採用していきます。

 全章通しての参加も、気になる章のみの参加も大歓迎です。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 日常 『七大海嘯迎撃準備』

POW   :    港や海岸に防衛陣地を築いたり、鉄甲船を強化したり、島の商船や漁船を戦闘に耐えうるように改造します。

SPD   :    島の周辺の潮の流れや岩礁などの地形を把握したり、島民の戦闘訓練や避難訓練をを行って練度を上げます。

WIZ   :    海戦前に演説で戦意を高揚させたり、酒を飲んだり、宴会を開くなどして島民と猟兵の連帯感を高めます。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●グリードオーシャン・マリアージュ島
 転送された猟兵達を出迎えてくれたのは、マリアージュ島の島民たち。
「あ、あなたたちは……あの時の!」
「あんたたちのおかげで、今は楽しく暮らせるようになっているぜ。ありがとな!」
 口々に感謝の言葉を述べる島民たちを見て、一部の猟兵がほっと胸をなでおろしていた。
 猟兵達が最初に訪れた時、島民たちは「花嫁を無理やり選定し連れ去る」コンキスタドールの暴虐に抗えず、怒りのはけ口すらない無力感に苛まれていた。
 コンキスタドールが討たれた今、島民たちの表情は見違えるほど明るくなっていたが、今はやや焦りの色が濃くなっている。
「それよりあれを見てくれ。海賊……だよな?」
 島民が指差した先を、猟兵達も目を凝らしながら確認すると、島に迫っているのは確かに海賊の大艦隊。
 望遠鏡越しにより詳細に確認すると、各々の船の船尾には「鮫牙」の紋様があしらわれた旗がはためいていた。

 ――間違いなく、『七大海嘯』が一『鮫牙』の大艦隊だ。

「あれだけの船に接岸されたらひとたまりもない、どうしたらいい?」
 焦る島民たちに、猟兵達は係留してある鉄甲船『伊州丸』に武装を取りつけ、こちらから攻め入る作戦を説明する。
「それなら俺たちにも手伝わせてくれ」
「ああ、俺たちの島は俺たちも守る。何か出来ることがあれば言ってくれ」
 次々に協力を申し出る島民を見て、猟兵達は持ち込んだ武装を並べたり、新たに武装を作る準備を始めた。

 ……さて。

 今、猟兵達が最優先で行うべきことは「『伊州丸』の武装を強化し、島民に武装の使い方を教えて」迎撃準備を整えることだ。
 船首の衝角と分厚い装甲以外、武装らしきものが全くない『伊州丸』が、船をかみ砕く「鮫牙」の船に太刀打ちできないのは明白。
 よって、猟兵達が用意した武装を『伊州丸』に取りつけて攻撃手段を増やし、さらに島民たちに武装の使い方を教える必要がある。

 一方、海戦に戸惑う島民も決して少なくない。彼らを励ましたり、親睦を深めるのも良いかもしれない。
 初の海戦を経験することになる猟兵がいれば、猟兵同士で会話を交わし、経験を共有すれば、きっと役に立つはず。

 猟兵達は、各々が出来ることを為すために、行動を開始する。
 ――マリアージュ島を、もとの圧政に喘ぐ島に戻さぬために。 

※マスターより補足
 第1章では、鉄甲船『伊州丸』に武装を取りつけ、島民たちに使用方法を教えるのがメインとなります。
 POW/SPD/WIZは一例ですので、どうぞ皆様、思い思いの行動をとって下さいませ。
 マスターコメントにも記しましたが、『伊州丸』に取り付ける武装は持ち込んでもこの場で製作しても、どちらでも構いません。ただし、製作する場合の材料は持ち込むことを推奨します。

 マリアージュ島の文明水準はダークセイヴァーとほぼ同水準となりますので、武器のメインは剣や弓となり、鉄砲や火薬はかろうじて見た事がある程度となります。大砲の存在は知りません。
 島民たちは猟兵に協力的ですので、何か手伝ってほしいことがございましたら、プレイングでご用命くださいませ。
 ※グリモア猟兵は登場できません。ご注意ください。

 第1章は必要成功数が少ないため、プレイングの受付締切は【2名様に参加いただいたその日の23:59】となります。
 締め切りが決定次第、改めて告知致します。

 ――それでは、最善の結果を齎すためにできることを。
 
※業務連絡(1/27 0:00)
 諸般の事情により、1章プレイング受付締切を【1月27日 23:59】とさせていただきます。
 受付締め切り後に到着したプレイングは全てお返しとなりますので、ご了承願います。
北条・優希斗
【SPD】
フィーナ(f31642)さんと
連アド可
戦争も近い以上看過できないな、これは
出来る限りの準備か…
一先ず住民には皆さんの恩人の知り合いだと自己紹介し、少しでも信用を勝ち取れる様にするよ
フィーナさんが人々の士気を高めている間に【レプリカクラフト】
大砲や火薬の模造品を作って敵に備える
その上でこれらの使い方は【戦闘知識】の無い人、例えば戦う意志のある女性・子供に最低限の使い方を教えて後方から撃ち続けて欲しいと依頼
武術の心得がある人には遠距離攻撃…弓術及び火矢等による援護射撃の方法…徹底的に相手を狙い撃つ術や、護身術を指南するよ
前衛については他に策があるから命を大事にして欲しい、とお願いするね 


フィーナ・エメラルディア
【WIZ】
優希斗(f02283)君と
他の方との連携・アドリブOK
愛の島ですか
そんな温もりに包まれた島をオブリビオンの皆様の好きにはさせられませんよね、優希斗君?
とは言え、私も優希斗君も海戦は初めてです
でもこの島を守りたい想いも本当です
その為に必要なのは皆様のより強い結束力だと思います
そこで島の皆様の心を一つにする為に、【宴会】を開き皆様を【お誘い】します
食事は勿論、戦いの直前ですから酔い潰れない程度に薄めた特製の蜂蜜酒も皆様にご提供
戦いの前の宴は士気向上に役立ちますからね
そうやって皆様との友好を深め、士気を高めて
私達猟兵が対策を練っているので私達と一緒に戦って下さい
と改めて皆様にお願いします



●温もりの島を蹂躙させぬために
「愛の島ですか」
 マリアージュ島に降り立ったフィーナ・エメラルディア(フェアリーの精霊術士・f31642)の声は、どこか楽しそう。
「そんな温もりに包まれた島をオブリビオンの皆様の好きにはさせられませんよね、優希斗君?」
 フィーナは傍らにいる北条・優希斗(人間の妖剣士・f02283)に同意を求めるが。
「戦争も近い以上看過できないな、これは……」
 難しそうな表情を浮かべながら思考にふける優希斗の耳には、その声は届いていない。
 ――つい先日、猟兵達に齎された『予兆』。
 それが示唆したのは、グリードオーシャンに近づく大きな戦の足音。
 そのタイミングでの『七大海嘯』の襲撃は、何らかの前触れに気づき、先んじて攻めてきた可能性もある以上、到底看過できない。
 ――もちろん、単なる偶然の可能性もあるが……。
「優希斗君?」
 フィーナに頬をつつかれながら耳元で呼びかけられ、ようやく優希斗は呼びかけに気づき。
 一端思考を振り払うように軽く頭を振ってから、フィーナに同意した。
「ああ、フィーナさん。確かに好きにはさせられないですね」

 優希斗とフィーナの姿を見て、島民たちが集まってくる。
 信頼を勝ち得るため、優希斗とフィーナは島を解放した恩人の知り合いだと自己紹介するが、島民たちは優希斗の言をあっさり信じ、歓迎してくれた。
 余りにも簡単に信頼を得たため拍子抜けした優希斗だが、それには理由があった。
(「……ああ、島民たちには俺ら猟兵を疑う理由がないのか」)
 多数の島々が点在するグリードオーシャンは、船すら呑み込む異常な潮流が随所に存在するため、コンキスタドールや猟兵以外の覚醒者は航海を行わない。
 他の島との往来は極端に制限されており、交流もほぼないため、島の外から訪れる人物は、まずコンキスタドールか猟兵のいずれかだ。
 来島者に侵略の意思がない時点で島民たちが猟兵と断じて信じるのは、ある意味自然とも言えた。
 優希斗が内心胸をなで下ろす一方、島民たちの視線は、空を飛ぶ小柄なフィーナに注がれていた。
 マリアージュ島の島民にとって、フェアリーは初めて目撃する種族なのだろう。
「おねえさん、こんにちは。かわいい~」
「あら、ありがとう」
 子供たちにふふっと微笑みかけつつ、フィーナはそのまま島民たちに呼びかける。
「私も優希斗君も海戦は初めてです。でもこの島を守りたい想いも本当です」
 島民たちがあげる同意の声を聞きながら、フィーナは呼びかけを続ける。
「その為に必要なのは、皆様のより強い結束力だと思います」
 そこで、とフィーナが切り出したのは……。
「皆さんで宴会、しましょう」

●戦前の宴は結束を固めるために
 宴会のためにフィーナが用意したのは、軽い食事と、酔い潰れない程度に薄めた特製の蜂蜜酒。
「戦いの前の宴は士気向上に役立ちますからね」
 海賊旗の下で他の猟兵が振る舞っていた料理を片手に、フィーナは島民たちに蜂蜜酒を振る舞う。
 初めて見る蜂蜜酒に、島民たちは興味と不安の表情を浮かべていたが、一口含んだ途端、美味さと酒精の効果で笑顔へと変わっていた。
 美味しい酒と料理、そして会話が弾むにつれ、島民たちの結束を固め士気は高まり、猟兵たちとの友好も深まる。
 フィーナは蜂蜜酒を片手に、島民たちの間を飛びながらお願いに回っていた。
「私達猟兵が対策を練っているので、どうか私達と一緒に戦って下さい」
 その願いを断る島民は、いなかった。

●島をあげて迎撃するために
 フィーナが宴会を開き、人々の士気を高めている頃。
「じゃあ、俺は……」
 そっと宴会場を離れた優希斗は【レプリカクラフト】を発動。
(「普段は『壊す』ことが多い俺が、『造る』ユーベルコードを使うとはね……」)
 ふと脳裏をかすめた事実に、思わず苦笑いする、優希斗。
 気を取り直し、優希斗は己の知識と記憶を頼りに、大砲や火薬の模造品を次々と作成し、地面に置く。
 ユーベルコードの特性で仕掛け罠以外はどうしても造りが荒くなってしまうため、作成された大砲はどこか歪さが目立った。
(「数発も撃てば壊れるかもしれないけど、数があるに越したことはないだろう」)
 火薬も爆発力が安定しないような気がするが、それでも武装の足しになるだろう。

 宴会が終わったのか、島民と他の猟兵達も迎撃の準備にとりかかっていた。
 優希斗は鉄甲船に乗る意思があり、なおかつ戦の知識がないと思われる女性や子供たちを集め、用意した大砲と火薬の使い方を指南する。
 子供たちに教えてほしい、と懇願されたのは、正直優希斗も驚いたが。
 ――島を守りたい気持ちに、性別も年齢も関係ない、ということなのだろうか。
 とはいえ、本来なら火薬も大砲も、扱いには繊細さが要求される。
 ゆえに優希斗は、最低限の撃ち方と安全な立ち位置を教えつつ、後方から撃ち続けるようお願いした。
 その後、武術や剣術の嗜みがある男性を集め、弓矢の使い方を教えようとするが、弓矢に触れる彼らの手つきを見て、その必要がないことを悟った。
(「この季節、おそらく狩猟や採集で生計を立てているのかな」)
 弓矢は狩猟のために必要な武器ゆえ、それなりに習熟しているのだろう。
 一方、島民を蹂躙する意思を持つコンキスタドール相手の戦闘は、狩猟とはまた異なるのも事実。
 ゆえに優希斗は、彼らに火矢の扱い方や徹底的に相手を狙い撃ちする術、そして護身術を指南した。

 一通りの訓練を終えた後、優希斗は特に前衛を志願した島民たちに呼びかける。
「命を大事にしてほしい」
 ……と。
「何故だい兄ちゃん?」
 首を傾げる島民たちに、優希斗は「他に策があるからね」とだけ告げて曖昧な笑いで誤魔化していた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アンノウン・シー
【ダッチマン】
一人称は当艦、三人称にはミスターorミス+苗字、愛称はウノ
「ではプログラムのテスト運用に向けて調節いたしましょう」
鉄甲船やダッチマン号に対しAAA、BBB、CCCが使えるように自前の実験調査船に閉じこもってプログラミングをします。
調整と並行して各強化データのマニュアルを作ってミスフォルトゥナーテを中心に船に残りそうな人に目を通していただきましょう。


一一・一一
【ダッチマン】で参加
マリアのみせんちょー呼び、他の方は名字+さんづけ

みんなが強化方向にうごいてくれてるっすし、僕は士気を上げる方向でいくっすかね
「フライングダッチマン号の海賊旗」を掲げて、その下で【料理】を作って配るっすよ
照り焼きチキンにおにぎり、鮭のバターホイル焼きにガーリックバケット
酒がほしい人にはアルコール軽めのオレンジ系カクテルもあるっすよー
ただしせんちょーは仕事(依頼)が終わってから飲むっすよ
腹が減っては戦はできぬ、ほどほどに食べてみんなの士気向上を狙うっす

アドリブ等歓迎です


アーク・ハインド
【ダッチマン】で参加
基本的に他の人は名前で呼び捨て
アドリブ、絡み大歓迎です

「物を運ぶのは本職っすからね、いやぁ〜海を走るってのはやっぱ気分がいいっすね」

本体のガレオン船に島民でも使えそうな武具や大砲の弾などを満載して島へ、必要に応じて海岸へ荷下ろしします。

荷下ろしが終わってから
「あんたがもう沈まないようにちゃんと守ってやるっすからね」と『伊州丸』へ声を掛けながら技能:拠点防御で『伊州丸』の装甲を強化したり武装を追加したりします。
その際島民やダッチマンクルー、他の猟兵を手伝ったり手伝ってもらったりしたいです


マリア・フォルトゥナーテ
アドリブ、連携、大歓迎

「敵を一発で仕留めるには大砲が一番!当たらなくても怯ませる事ができますからね!なので、これから皆さんには、グリードオーシャンの支配者にして最強の海賊であるこの私が、大砲の指導にあたります!!」

ラム酒の瓶片手にそう宣う。

海岸沿いにはアン女王の復讐号から降ろした練習用の30門の大砲が並べられており、その横に大砲の弾を山と積んである。

「さぁ!後は練習あるのみ!素早い装弾、素早い照準、魂込めた砲撃、良いところでCM、そして伝説へ!!見ていなさい、皆さん!私が見本を見せてあげます!」

火種の付いた棒を手に持ち、着火!発射!すごい衝撃!

「うひあーー泣!!!」

衝撃で後方にふっ飛んでいく。



●【ダッチマン】クルーのマリアージュ島防衛戦迎撃準備
 丸盾のグリモアに導かれ、マリアージュ島の近海に現れたのは、ガレオン船と海賊船、そして小型の船舶。
 それらに乗船している【海賊船フライングダッチマン号】のクルー4人は、船を鉄甲船『伊州丸』が係留されている場にほど近い崖下に係留させ、各々の準備にとりかかっていた。

●腹が減っては戦はできぬ
 島民たちが他の猟兵の呼びかけで集まりつつあるそばで、クルーのひとり、一一・一一(都市伝説と歩む者・f12570)が広げ始めたのは、自前の調理器具一式。
「みんなが強化方向にうごいてくれてるっすし、僕は士気を上げる方向でいくっすかね」
 そのために一一が持ち込んだのは、大量の食材。
 フライングダッチマン号の海賊旗の下に、アウトドア用のテーブルと調理器具を並べたら、調理開始。
 慣れた手つきでてきぱきと鶏と鮭を下ごしらえし、バケットを切り分けて米を炊き。
 鶏は特製のタレをつけ、鮭はホイルに包んで、ガーリックバターを塗ったバケットとともにオーブンへ。
 じっくり焼いている間に、炊きあがった米はおにぎりに。
 やがてテーブルにずらりと並べられたのは、照り焼きチキンにおにぎり、鮭のバターホイル焼きにガーリックバケット。
 照り焼きとバター、ガーリックの香りが潮風に乗って島に広がり、島民たちの鼻をくすぐった。
「せっかくですし、宴会、しましょう」
 フェアリーの猟兵が呼びかけたのが効いたのか、島民たちが次々と海賊旗を目印に集まり始め。
 一一は料理を受け取りに来た島民たちひとりひとりに声をかけつつ、料理を振る舞う。
「腹が減っては戦はできぬ、ほどほどに食べてほしいっす」
 ――そうすれば島民たちも皆、士気は高まるだろうから。
「おぉ、これは……」
「こんな料理、初めて見たー!」
 子供たちが目を輝かせながら、初めて見るおにぎりに手を伸ばし。
 男性たちは、別の猟兵が振舞った蜂蜜酒片手に、豪快に照り焼きチキンを頬張っていた。
 一方、女性たちは、ガーリックトーストに感激しつつも、初めて見る鮭のバターホイル焼きに興味津々。
 マリアージュ島では鮭は採れないが、川魚に応用できるかも……と、一一に作り方を聞く女性の姿もあった。
 そして、蜂蜜酒だけでは飽き足らない男性たちには、そっとカクテルを。
「アルコール軽めのオレンジ系カクテルもあるっすよ」
 子供たちとアルコールに弱そうな方には、カクテルの代わりにオレンジジュースを勧める気配りも忘れずに。
 一一の横からそっとマリア・フォルトゥナーテ(何かを包んだ聖躯・f18077)がオレンジ系カクテルに手を伸ばすのを、にっこり笑って牽制するのも忘れません。
「あ、せんちょーは仕事が終わってから飲むっすよ」
「えええええ……」
 酔っぱらって粗相を働かないように、今は我慢してくださいね!

●ガレオン船の主は鉄甲船を守るために
 宴会で十分に士気や戦意を高めた後、いよいよ島をあげての迎撃準備にとりかかる。
 鉄甲船『伊州丸』のほか、ダッチマンクルーの船が係留された海岸には、どうしても身体が動かせない島民と、彼らの面倒を見る女性以外、ほぼ全員が集まっていた。
 そのうちの一隻、ガレオン船の前で、アーク・ハインド(魔改造ガレオン船・f03433)は口に両手をメガホンのように当てて大声で呼びかける。
「お~い、ちょっと下ろすのを手伝ってくれるかい?」
 手持無沙汰にしている島民たちを呼び集め、アークは自らの本体でもあるガレオン船内へ皆さんをご案内。
 船の中に初めて入るためか、物珍し気な視線を彷徨わせる島民たちが案内された船倉にあるのは、大量の武器と大砲、そして弾薬!
「使えそうなものがあったら持ち出してほしいっす」
「おお、有難い!!」
 アークに感謝しながら、次々に大砲と銃、弓矢と剣を持ち出していく、島民たち。
 マリアージュ島でも一応,鍛冶の技術はあるのだが、日用品の鋳造が中心。
 武器を作ることはめったになく、あったとしても狩猟用の弓矢や剣、ナイフくらい。
 一方、ガレオン船に揃えられていた武器は、マリアージュ島のそれより遥かに高い品質。
 これなら万が一、海賊たちと斬り合いになっても、十分耐えられるはず。
「あんちゃんありがとう! ……でもよくこんなに大量に持ってきてくれたな」
「物を運ぶのは本職っすからね」
 ――いやぁ〜、海を走るってのはやっぱ気分がいいっすね。
 たとえ航海可能な海域が限られていたとしても、未知の海を走る爽快感はまた、格別ですよね!

 下ろした武具の配分を島民たちに任せ、アークは鉄甲船『伊州丸』に。
「あんたがもう沈まないようにちゃんと守ってやるっすからね」
 サムライエンパイアの「外」の荒波を潜り抜け、グリードオーシャンに辿り着き、猟兵たちへの道しるべとなった船をいたわるように。
 アークは鍛冶の心得がある島民と『伊州丸』の船員の手を借りながら、装甲が薄いと思わしき箇所に丁寧に追加の装甲板を貼りつつ、その一部をくりぬき、望遠鏡や銃身、砲身を船の外に出せるように改造。
 装甲の強化が終わったら、手の空いた一一や他の猟兵の手をも借りて、大砲を一定間隔で設置していき。
 最後に弓矢や剣を持ち込み、出港準備完了です!

●マリア先生の大砲教室(?)
 一方、マリアはというと。
「敵を一発で仕留めるには大砲が一番! 当たらなくても怯ませることができますからね!」
 集まった若い男性の島民たちに対し、ラム酒の瓶片手にそう宣っていた。
 少し離れたところで女性と子供たちに大砲の使い方を教えている他の猟兵に、ちらちらっと横目を向けつつも。
 彼には負けない! と密かに気合を入れ直し、男性たちに熱弁を振るいます。
「なので、これから皆さんには、グリードオーシャンの支配者にして最強の海賊であるこの私が、大砲の指導に当たります!!」
「海賊」という言葉を聞いて、ノリ良い男性がマリアを指差し号令!
「よし、じゃあまず目の前の海賊で練習だー!!」
「ちょ、ちょっと待って下さい違いますからー!!」
 もちろん練習は冗談ですが、海賊退治に向かうのに海賊って自己紹介するから……。

 閑話休題。

 男性たちの目の前に並ぶのは、『アン女王の復讐号』の名を持つ海賊船から降ろした練習用の30門の大砲。
 その横には弾が大量に積まれており、時間まで思う存分練習できそう。
「さあ、後は練習あるのみ!」
 ラム酒の瓶を決して手放さないマリアが、大砲射撃に必要な五か条(?)を力説。
 五か条とは、素早い装弾、素早い照準、魂籠めた砲撃、良いところでCM、そして伝説へ!
 ……あの、最後はフラグでしょうか?
「見ていなさい、皆さん! 私が見本を見せてあげます!」
 天のツッコミを聞き流したマリアは、しっかりと見て学ぼう(?)と目を輝かせてみている男性たちの前で、手慣れた手つきで砲口から火薬と弾を装填し、海に照準を合わせ、火種を片手に大砲の真後ろに立つ。
 そして、火種を導火線に移し、そのまま待つこと数秒。

 ――どっか――――――ん!!

 轟音を立てながら、海へ向かって発射される大砲の弾!
「うひゃあ――――――――――!!」
 そしてマリアは、発射時のバックファイアに巻き込まれ、衝撃ではるか後方に吹っ飛ばされる!
 ……って大砲は真後ろに立ったらこうなりますって!
「ま、マリア先生―っ!?」
「あーれー!!」
 吹き飛ばされたマリアは、なす術なく断崖絶壁から海面に落下!
 フラグを立てた通り、今まさに伝説になろうとしています……!!

 ――ドンッ!

 激しい衝突音と共に、小舟の甲板に背中から叩きつけられる、マリア。
「助かりました……しかしここはどこでしょう?」
 マリアが背中を押さえながら身を起こすと、船の外部スピーカーを通して響く声。
『ミスフォルトゥナーテ、ご無事でしたか』
「アンノウンさん!?」

●キャバリアのデータを船に生かせ
 ――少しだけ、時は遡る。

 マリアージュ島を囲む崖下に浮かぶ、1隻の小型の実験調査船。
 アンノウン・シー(所属不明の船・f26269)は、その実験調査船の船室に閉じこもり、黙々とプログラミングにいそしんでいた。
 鉄甲船『伊州丸』と、アークの本体であるガレオン船。
 そして、マリアが今回乗って来た『アン女王の復讐号』の3隻。
 それら全てに、アンノウン自身が操縦する凡用量産型キャバリア【キール】が持つ強化データを付与するためのプログラムを作成していた。
 アンノウンが各船に付与しようとしているデータは、3種。
 加速力と強襲能力に長け、青色の装甲にバースト射撃とブレードが特徴の「AAA」。
 大型クローと咆哮により起爆する榴弾をばら撒く血の色の装甲「BBB」。
 そして、複数の特殊弾を使い分ける大型砲数門と城のような銅色の重装甲が特徴の「CCC」。
 これら3種の強化データを、極力船の総重量やバランスを変えないよう配慮しながら誘導弾を通して付与し、活用してもらうために。
 アンノウンはひたすら端末と向き合い、シミュレーションを何度も繰り返し、実験調査船に撃ち込みテストを繰り返し、プログラムの完成度を高めていく。
 調整と並行して、各船に残る人々でも扱えるようにするために、マニュアル作成も忘れない。
 全ての準備が完了し、そろそろ【キール】に乗り込んで崖上へと移動しようかとアンノウンが考え始めていたところで……。
「あーれー!」
 ……マリアが崖上から落ちて来るのを目撃した、というわけ。

 落ちてきたマリアを実験調査船の甲板で受け止めた後、アンノウン自身も甲板へ出る。
 どうやら、マリアは背中を強打したものの、ほぼ無傷のようだ。
 ……顔面に軽い火傷の跡があるのは気になるが。
「ミスフォルトゥナーテ、なぜ崖上から?」
「大砲を発射する時の衝撃で吹っ飛ばされたんですー」
「……なるほど」
 何とも頭が痛くなるような理由だが、とりあえずミスフォルトゥナーテが無事なら……と思い直すアンノウン。
 崖上からは、島民たちが他の猟兵の指導を受けながら練習しているのか、大砲の発射音が何度も何度も響いていた。

 マリアの背中の痛みが引くのを待ち、アンノウンは【キール】の掌にマリアを乗せ、崖上へ移動。
 崖下から姿を見せた【キール】を見た島民たちは、巨人より背の高いキャバリアを見て驚き、腰を抜かした。
「のわぁっ、なんだ!?」
「鉄の……いやこれ鉄か!?」
 各世界から落ちてきた島が点在するグリードオーシャンだが、クロムキャバリアから落ちてきた島はない。全長5mの量産型キャバリアを見て驚くのも無理はないですね。
『安心してください。当艦も皆様の支援に参りました』
 外部スピーカーを通して響いたアンノウンの声を聞いた一一とアークが「仲間っす」と島民に説明し、ようやく島民たちは落ち着きを取り戻した。

【キール】から降りたアンノウンは、作成したマニュアルを、船に残るであろう『伊州丸』の船員とマリア、アークに手渡し、目を通してもらう。
 その中でマリアとアークが着目したのは、CCCの銅色の超装甲。
 実際にアンノウンに起動してもらい、確かめたところ、伊州丸の装甲の外側を銅色の装甲が分厚く覆い隠した。
「これは……凄い」
「1度だけならあの牙を防げるかもしれないっすね」
 完全に防いだ後はおそらくデータごと破壊されるが、1度だけでも噛みつきを防げるようになったのは大きいだろう。

 3種の強化データを各船舶に施し、青赤銅の3色が船を覆うのを確認し、アンノウンがひとつ頷く。
「ミスハインド、ミスフォルトゥナーテ、ミスター一一。そして他の皆様」

 ――これで準備は、整いました。

●そして海原へ
 猟兵達が持ち込んだ武装を全て積み込み。
 さらに強化データで追加の装備を施し。
 鉄甲船『伊州丸』は、万全とも言える迎撃準備を整えた。

 猟兵達と共に戦うことを志願したマリアージュ島の島民たちは、最低限の人数を残し、鉄甲船『伊州丸』へ乗り込み。
 猟兵たちも『伊州丸』や他の船舶に分かれて乗り込み、出港する。

 ――遥か遠くから迫る「鮫牙」の大艦隊を、迎撃するために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『武装商船団・雇われ船員』

POW   :    姑息なる武装「商品使用」
装備中のアイテム「【湾曲刀(商品)】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
SPD   :    偶然なる連携「十字砲火」
【好き勝手に動く船員達が銃撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    強欲なる叫び「士気高揚」
【誰よりも強い】という願いを【船員達】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●マリアージュ島 vs 『鮫牙』大艦隊
 マリアージュ島を出港し、迫りくる『鮫牙』の大艦隊に向けて進む、鉄甲船『伊州丸』と他の猟兵達が操る船舶。
 やがて猟兵や島民たちがはっきりと目にした『鮫牙』の大艦隊の正体は、かつて商船を護衛していたと思われる武装商船団だった。
 武装商船団の乗組員たちは、奪ったメガリスを手にしコンキスタドールへと堕ち、今や『七大海嘯』に属し船の改造をも厭わぬ身。
 そんな彼らが、『七大海嘯』の縄張りに足を踏み入れた不届き者の成敗に乗り出し……逆に驚いていた。

「なにぃ!? 奴ら、船はないはずじゃ……!」
 全長200mの巨大な鉄甲船と数隻の船を見て、明らかに動揺している武装商船団の雇われ船員たち。
 そもそも、島民が船に乗り、迎撃に来ること自体、予想外。
 しかも、船にずらりと並ぶ大砲や最新武装などは、明らかにたった数隻でも一艦隊を余裕で相手どれるほどの火力を持っているだろうと、容易に予測がつく。
 ――真っ当な海賊なら、この時点で回れ右して帰っていただろう。
 だが、仮にも『七大海嘯』が一『鮫牙』に属する彼らは、決して引き返さない。
 なぜなら彼らは……不届き者を全てを破壊し尽くすつもりで来た、オブリビオンだから。
「な、なめんじゃねえぞてめえら!! このあたりの島は全て俺らのものになるんだからな!!」
「俺たち『鮫牙』の前で、てめえらなんぞゴミクズ同然だからな!?」
 しかし、相手がメガリスすら持たぬただのニンゲンとタカをくくり、ガハハと高笑いする雇われ船員たちに、負けじと言い返すマリアージュ島の島民たち。
「あんたたちこそここから出て行ってもらう!!」
「もうあの暴虐の日々に戻る気はねーからな!!」
「そうだーでていけー!!」
 島民たちからの思わぬ強気の口撃に、一瞬たじろぐ船員たち。
 だが、船員のひとりが上空向けて銃を1発撃ち、島民たちを黙らせると、大声で言い放った。
「上等だ。ならばてめえら全員、この船に全部喰らわれやがれ!!」
 船員たちの檄に応えるように、船首の巨大な牙が大きな咢を開け、哀れな餌が飛び込むのを待ち構え始めていた。

 さあ、猟兵達よ。
 相手は『七大海嘯』が一『鮫牙』の大艦隊。
 巨大な咢に注意を払いつつ、島民らと一致団結し、マリアージュ島を蹂躙せんとす艦隊を駆逐せよ。

 ――健闘を、祈る。

※マスターより補足
 第1章の判定の結果、鉄甲船『伊州丸』に以下の武装が搭載されました。

・【レプリカクラフト】製大砲
 (数度発射すれば壊れますが、たくさんあります)
・【レプリカクラフト】製弾薬
 (爆発力が不安定ですが、たくさんあります)
・十分な数の大砲と弾薬
 (必要な数はそろっております)
・十分な数の弓矢と銃、剣
 (必要な数はそろっております)
・追加装甲
 (噛みつきには無力ですが、敵の小銃と湾曲刀はある程度防いでくれます)
・AAA
 (青色装甲、バースト射撃とブレードを備える追加データ)
・BBB
 (血の色の装甲、大型クロー、咆哮により起爆する榴弾)
・CCC
 (噛みつきを阻む銅色の重装甲、複数の特殊弾を使い分ける大型砲数門)

 1章で使用した練習用の大砲は、マリアージュ島に置いてきています。
 もし船に搭載されるのであれば、プレイングで改めてご指定お願い致します。

 第2章は、集団敵が操る船を片っ端から沈めてもらいます。
 島民たちからの支援射撃を受けつつ、空中から、ないしはロープ等をつたって「鮫牙」の船に攻め入り、あるいは直接ユーベルコードで攻撃して、船を沈めて下さい。
『鮫牙』の船の攻撃手段は、船首の巨大な牙と、雇われ船員のユーベルコードのみとなります。

 第2章プレイングボーナスは【マリアージュ島の島民の支援を受ける】となりますが、『伊州丸』に搭載された武装と猟兵達が持ち込んだ船の装備が十分なことと、島民たちの士気が極めて高いことから、特に指示がなくとも十分な支援を行ってくれます。よって、特にプレイングに支援を受けると明記がなくとも、自動的にプレイングボーナスをつけて判定致します。
 特に島民たちにしてほしい支援行動がございましたら、プレイングに明記お願い致します。内容次第でさらにプレイングボーナスが増えるかもしれません。

 1章に登場した鉄甲船『伊州丸』と『アン女王の復讐号』、ガレオン船の3隻につきましては、「鮫牙」の船団と接敵しても、CCCの重装甲が1度だけ船首の牙の噛みつきを阻んでくれます。
 ただし、噛みつきを阻んだ後、CCCは完全に破壊されます。破壊された場合、この章の間は再度付与できませんのでご注意ください。(3章で再付与するのは支障ありません)
 また、(もしついて来ていた場合)実験調査船もCCCが展開されておりますが、こちらは双方の船のサイズに差があるため、噛みつかれると同時に丸飲みされてしまいます。接近はお勧めいたしません。
 なお、持ち込まれる船を変更する場合、もしくはマリアージュ島に置いて行く場合は、別途プレイングで指定お願い致します。

 第2章は、基本的に「プレイングをお預かりする都度判定し、遅くとも翌日中に返却する」方針で運営致します。
 そのため、プレイング受付締切は【必要成功数到達が確定したその日の23:59】となります。

 ――それでは、道を切り開くための最善の一手を。
 
※業務連絡(1/31 2:34)
 戦争開始が迫っておりますので、サポート様をお呼びさせていただきました。
 これに伴い、2章プレイング受付の締め切りを【1月31日 23:59】とさせていただきます。
 受付締め切り後に到着したプレイングは全てお返しとなります。ご了承願います。
ラング・カエルム(サポート)
「なんだ、さては楽しいことをしているな!よし、私も混ぜるといい!」
何かと首を突っ込みたがる。とても偉そうだけど人類みな友達だと思っている毎日ご機嫌ハイカラさん。
別に男に間違われてもなんら気にしない。そもそも自分の性別を意識していない。
とてもポジティブ。人類みな友達だけど、悪いことした奴に叱るのも友達。なので誰にだって容赦もしない。容赦なく殴る。容赦なくUCも使う。だって友達だからな!



●友達だから悪事は見逃さない
「なんだ、さては楽しいことをしているな! よし、私も混ぜるといい!」
 突然、鉄甲船『伊州丸』の甲板に現れたラング・カエルム(ハイカラさんの力持ち・f29868)を見て、マリアージュ島の島民たちは目を丸くした。
 何かと首を突っ込みたがる性質ゆえ、グリモア猟兵に無理やり頼み込んで転送させてはもらったが。
 いざ転送されてみると、目の前に広がる光景は、無数の船舶が浮かぶグリードオーシャンの大海原!
「おお……これは楽しそうだ!」
 これでラングの気分が高まらないわけがなく。
「そこの殿方、是非ご助力いただけないでしょうか?」
「ん? まあ、良いぞ」
 島民からの懇願を、二つ返事で快く引き受けていた。
 ちなみにラングは女性ですが、男性に間違えられても気にしません。そもそも自分の性別を意識していないから。

 ラングにとって人類は善人だろうが悪人だろうが「みな友達」。
 だが、船首の巨大な牙で威嚇する武装商船に乗る「友達」は、明らかにこの船に敵意を向けている様子。
 やれやれ、とラングは大仰に肩をすくめた。
「悪いことをしている奴に叱るのも友達だからな」
 そしてラングは、おもむろに武装商船に向かって呼びかけた。
「おーいお友達、ここはひとつ、大人しく帰ってくれたまえ」
 勝手に友達認定された挙句、偉そうな態度を取られた雇われ船員たちの怒りが、瞬時に沸騰した。
「てめぇら猟兵を友達認定した覚えはねえ!!」
「じゃあ、私はお前たちに怒っている友達を応援するために歌おう!」
「話が全然噛み合わねえぞこいつ!!」
 船員たちの怒号を無視し、ラングは人々を励ます歌を歌い始める。
 それは『伊州丸』にて必死に大砲を撃っている女性たちの耳に心地よく響き、子供たちの恐怖心を和らげた。
 一方、マリアージュ島を蹂躙しようとしている雇われ船員たちにとって、ラングの歌は共感できる内容ではない。
 ――故に、歌による戦闘力増強効果は、島民にのみ齎された。
「今だ、撃てーっ!!」
 歌に勇気づけられた島民たちは、合図とともに、一斉に大砲を発射。
 轟音と共に撃ち出された弾は、目の前の武装商船に雨あられと降り注ぎ、容赦なく甲板や船腹に穴を空けてゆく。
 こうも集中砲火を浴びると、頑丈な船でもひとたまりもない。
「まずい、沈没するぞ!」
「てめえらそれでも『鮫牙』の一員か!? なら……」
 反撃しやがれ! と怒鳴ろうとした雇われ船員の声が、突然途切れる。
 そして。

 ――どかーーーん!!

 言葉尻に被せられるように盛大な爆発音が轟き、濃い硝煙が甲板に立ち込めた。

 煙が晴れた後に残ったのは、大砲の弾に無数の大穴を空けられた甲板のみ。
 怒鳴っていた雇われ船員は弾の直撃を受け、他の船員も爆発に巻き込まれ消滅していた。

成功 🔵​🔵​🔴​

北条・優希斗
【風グリ】
…食われるのはお前達の方だよ、海賊達
先制攻撃+早業でUC発動
骸の海の魂達を召喚
現れた蒼穹の船にエリスさんと亡霊達と搭乗し海賊船に向けて肉薄
住民の指揮はフィーナさんに任せ
戦場に辿り着いたら亡者達と
【2回攻撃】+【見切り】+【薙ぎ払い】+【範囲攻撃】+【鎧無視攻撃】+【早業】+【串刺し】+【戦闘知識】+【傷口を抉る】+【切断】で鎧袖一触を狙う
敵を制圧したら精霊船に乗って【地形の利用】+【情報収集】で周囲の状況を確認しつつ、一気に海賊達と船を沈没させる
エリスさんとは状況に応じて連携を
防御は【オーラ防御】+【残像】+【見切り】+【ダッシュ】による防御回避で
…悪いな
これでも俺達は急いでいるんだ


フィーナ・エメラルディア
【風グリ】
【空中浮遊】し続けています
あらあらまあまあ、何とも猛々しい海賊さん達ですね
ですが…この海賊達を見たらどうでしょう?
【高速詠唱】+【属性攻撃】+【範囲攻撃】+UCで敵海賊達にUC発動
優希斗君のUCに合わせて、大津波を起こして危険を演出優希斗君達がより攻勢に出やすくなる様援護します
優希斗君達が乗り込んだところを確認し
島民の皆様今ですよ!
と、指示を出して優希斗君やフリちゃんの援護に大砲と弓矢で一斉射撃
大砲による攻撃が出鱈目でも優希斗君とフリちゃんなら其々の力で何とか出来ますからね
私の方は島民の皆様を指揮しつつ
UCで優希斗君達を援護します
…だから、優希斗君は言っていたんですよ
『策はある』、と


エリス・フリーウインド
【風グリ】
連アド可(風グリ共通)
…フィーナ殿から呼び出されて来てみれば
どうやら『攻め手』が足りない様ですね
ならば仕方ありませぬ
主のためにその剣を振るうは騎士の本懐
優希斗殿と共に精霊船に乗り込み、敵船に乗り込んだところでUC発動
【援護射撃】で優希斗殿の援護をしつつ
私自身も【呪詛】+【シールドバッシュ】+【破魔】で黒羽の力を最大限発揮
海賊達の殲滅を狙います
島民達に万が一被害が及ばないよう精霊船に乗り込む前に、島民達の前に【拠点防御】+【オーラ防御】で結界を張り巡らしますが…
…誰よりも強い、ですか
優希斗殿とフィーナ殿のそれこそ荒唐無稽な連携を見て、それに賛同できる方はどの位いるのでしょうね?



●【風グリ】の戦う意味
 鉄甲船『伊州丸』に乗り、『七大海嘯』が一『鮫牙』の大艦隊を目にしていた北条・優希斗とフィーナ・エメラルディアの元に、新たにグリモア猟兵に転送してもらったエリス・フリーウインド(夜影の銀騎士・f10650)が優雅に歩いて近寄る。
 エリスに気づいた優希斗が軽く手を上げると、エリスはほっと一息ついた後、優希斗の傍らを飛ぶフィーナに声をかけた。
「フィーナ殿から呼び出されて来てみれば、どうやら攻め手が足りない様ですね」
「ええ、フリちゃん、よろしくね」
 にっこり笑ったフィーナに呼び出された理由を肯定され、エリスは大きくため息をついた。
 護り手として呼ばれたと思っていたら、頼まれたのは『攻め手』。
 守護の誓いを立てているエリスの武具は、本来誰かを守るためにあるものであり、誰かを駆逐するためのものではないのだが。
 フィーナが望んだということは、主である優希斗もまた、望んだということになる。
 エリスの推測を肯定するかのように、優希斗が軽く頷くのを見て、エリスは渋々承知した。
「ならば仕方ありませぬ」
 エリスは再度大きくため息をつきながらも、己を強引に納得させる。
 ……主のためにその剣を振るうは、騎士の本懐なのだから。

●フェアリーと島民たちの大津波と大砲のマーチ
 鉄甲船『伊州丸』に迫る武装商船の大艦隊を、船の上から観察する優希斗とフィーナ、そしてエリス。
 乗組員であり、『七大海嘯』が一『鮫牙』の一員でもあるオブリビオンの雇われ船員たちは、先ほど別の猟兵が煽りに煽ったからか、怒り心頭に達していた。
「あらあらまあまあ、何とも猛々しい海賊さん達ですね」
 しかし、喚き罵る船員たちを見ても、フィーナはおっとりとした口調を崩さず。
「ですが……この海賊達を見たらどうでしょう?」
「ああ。……食われるのはお前達の方だよ、海賊達」
「海賊たち」とひとまとめにされた雇われ船員らが何か言い返すより先に、優希斗は虚空に向けて呼びかける。
「罪に溺れし亡霊達よ。汝等の想いと罪を、我が下に」
 呼びかけに応じ、鉄甲船『伊州丸』と武装商船の間に割り込むように現れたのは、460体の妖刀や魔刃等で武装した骸の海で眠る魂たちを乗せた、蒼穹の精霊船。
 贖罪の願いを胸に抱いた儘に眠り続けていた魂たちは、同じく贖罪を抱える優希斗に共感し、彼の力となるべく現れた。
「ウオォォォォ……」
 亡霊たちが一斉に雄叫びを上げ、船員たちを威圧する隙に。
「エリスさん!」
 素早く精霊船に乗り込む優希斗に続き、エリスも漆黒の結界を鉄甲船『伊州丸』に張ってから乗り込んだ。
「優希斗君、フリちゃん、島民の皆さんの指揮は任せてくださいね」
 フィーナが手を振りつつ精霊船が動き出すのを見届け、島民たちが砲撃と弓矢で支援し始めるのを確認し。
 さて、と一呼吸置きながらフィーナが軽く右手をひらひらさせると、たちまち海が荒れ始め、海面が盛り上がる。
 それは大津波となり、敵味方の船に等しく押し寄せる。
 激しい波が双方の船に打ちつけ、波しぶきが大量に甲板に降りかかった。
「どわああああああ!?」
「ゆ、ゆれ……ぐえぇぇ!?」
 突然至近距離で発生した大津波は、全長200mの鉄甲船『伊州丸』をも揺らす。 
 船そのものが武装商船より大きく、さらに乗船前にエリスが万が一にも被害が及ばぬ様漆黒の結界を張り巡らせていたおかげで、揺れそのものは小さく済んだが、乗船すら初めてのマリアージュ島の島民たちは突然の揺れに驚くとともに、三半規管を揺さぶられ、バランスを崩した。
「ゆ、ゆれてるぅぅぅぅ!!」
「き、気持ち、悪……うっぷ」
 止む無く砲撃を止め、慌てて大砲や柱にしがみ付き、事なきを得る島民たち。
 中には船酔いしたか、その場にうずくまり嘔吐し始める島民もいるが、『伊州丸』の船員たちが慣れた手つきで介抱に回っていた。
 結果的に一時的に『伊州丸』からの砲撃が途切れ、大きな隙を晒すことになるが、武装商船側からの反撃はない。
 ――少し離れた武装商船から、剣戟の音が無数に響き渡っている。
 ならば、武装商船側からの反撃は、しばらくないだろう。
 ……おそらく、優希斗とエリスが船に攻め入っただろうから。
「皆さん、大丈夫ですか?」
 背中の羽根を羽ばたかせ宙に浮いているため、揺れとは無縁のフィーナが、島民たちの間を回って様子見しつつ島民を励ます。
 海賊たちが優希斗たちと斬り結んでいる今が、絶好のチャンス。
「島民の皆様、今ですよ!」
「しかし、間の船は……!!」
 揺れる船から砲撃しても精度が落ちるため、下手に撃つと精霊船を巻き込みかねない。
 不安視した島民たちから声があがるが、フィーナが大丈夫ですよ、と宥めた。
「攻撃が出鱈目でも、優希斗君とフリちゃんなら其々の力で何とか出来ますからね」
 ――それは、既に武装商船に乗り込んだ仲間達を信頼するが故の一言。
 その言葉に鼓舞されたか、島民たちが戦意を取り戻す。
「よーし、あの人たちを援護するわよ!」
「撃てる者だけでいい! とにかく撃ちまくれ!」
「てぇーっ!!」
 島民による大砲と弓矢の援護射撃が再開された。
 その数こそ大津波の前より減ってはいたものの、大砲の性能差による威力や飛距離の出鱈目さと、揺れる大波からの砲撃と言う不確定要素が重なり、武装商船側は着弾点が極めて予測しづらくなっている。
 着弾点の目測を誤った武装商船が、大砲の弾の直撃を何度も喰らい、船員ごと海の藻屑と消える。
 さらに追い打ちをかけるように、フィーナが何度も何度も大津波を起こし、武装商船の一団にぶつけ、より多くの船を波に呑み込んでいった。

 ――戦場は、暴走気味の大波によって混乱の一途をたどるばかりだった。

●贖罪の妖剣士と漆黒の聖騎士の殲滅のワルツ
 一方、蒼穹の精霊船に乗り込んだ優希斗とエリスは、手近な武装商船に接近する。
「黒き翼を持つ例え、下賎なる異端の聖騎士にも、神は等しく大切な者を守る力を下賜下さいます」
 エリスの祈りは、己が信じる神より授けられた敵の攻撃から身を守り魔を払う漆黒の聖衣を呼び寄せ、身につける。
 漆黒の聖騎士は、柄に黒い羽の装飾が施された呪剣・呪詛剣黒羽を掲げながら、竜を象った全てを呪い、腐らせる呪詛を手近な船に振りまき始めた。
 呪詛は的確に「竜を象った」とみなした巨大な牙に宿り、その表面から少しずつ腐らせ始める。
「おい、牙が!?」
「なんで腐り落ちているんだ!?」
 腐り落ちる牙を見て船員たちが慌てるが、それでも目の前の精霊船を喰らおうと大きく咢を空けさせた瞬間。
 ――フィーナが起こした大津波が、大艦隊を襲った。
「落ち着け! 帆を下ろせ!!」
「しっかりつかまれ!!」
「ダメだ間に合わない!!」
『鮫牙』の武装商船は、船を転覆させかねない勢いで押し寄せる大津波に何度も呑まれ、打たれ。
 船の大きな揺れに耐えきれなくなった船員たちが、次々に大海原に投げ出される。
「行け!」
 かろうじて転覆を免れた船には、優希斗の合図で武装した亡霊たちが一気に殺到。
「うわあああああ!!」
「何なんだこいつら!?」
 不意を突かれて狼狽える船員たちは、亡霊の刃に斬られ、海へ落下。
 ……まさか、猟兵側が亡霊を大量に召喚するとは、考えもしなかったのだろう。
 それでも、かろうじて湾曲刀で反撃し、亡霊たちを撃退する船員もいたが。
「甘いな」
 神速で斬り込んだ優希斗が、鏡花水月・真打と蒼月・零式を四方八方に振るい、船員たちを纏めてなぎ払い、心臓を一突きし、胴を両断してゆく。
 一方、船員たちの湾曲刀は、太刀筋を見切り、残像を残しながら走り回る優希斗には、かすりすらしない。
 鎧袖一触の強さを誇る二刀の妖剣士に次々と斬られ、吹き飛ばされて海に落ちてゆく船員たちを見て、別の船員が声を震わせつつも叫んだ。
「狼狽えるな! こんな状況、何度も経験して来ただろうよ」
「俺たちは誰よりも強い、そうだろ?」
 心を奮い立たせた雇われ船員が、必死に他の船員に呼びかける。
 しかし亡霊と二刀の妖剣士に徹底的に蹴散らされ、巨大な咢に腐食の呪詛を施され、止めにピンポイントな大津波を何度も浴びせかけられた船員たちの心は、それだけでは奮い立たない。
「……それに賛同できる方はどのくらいいるのでしょうね?」
 別の船に乗り移り、呪詛を宿した黒羽で船員たちを殲滅していくエリスがぽつり、と零した疑問の言の葉は、雇われ船員たちには届かないけど。
 それでも、優希斗と亡霊たちとの一斉攻撃とフィーナの大津波という、あまりにも荒唐無稽にも程がある連携を見せつけられれば。
 ――いくら賛同者が増えようが、その願いが叶うことは、ない。
「何故だ!? 俺らはてめえらより強いはずだ!」
「……悪いな。これでも俺達は急いでいるんだ」
 己が弱さを認め切れず喚きながらも、悪あがきするかのようにフリントロック式の銃を抜いた雇われ船員たちを、一気に間を詰めた優希斗の二刀が瞬時に斬り伏せた。

●感謝こそすれど心配で
「……驚いたな」
 優希斗の一騎当千振りを見た、彼に「命を大事にしてほしい」と諭された島民が唸る。
 フィーナは、微笑みつつも「言ったでしょう?」と囁いた。
「だから優希斗君は言っていたんですよ。『策はある』って」
「でも俺はあの兄ちゃんが心配だぜ? ……戦の最中に早死にしそうでな」
 島民たちの目には、優希斗の行動が己の命を顧みていないように見えたのだろうか。
 心底心配しているような目で優希斗を見る島民の問いに、フィーナは曖昧に微笑むだけで何も答えなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アンノウン・シー
【ダッチマン】
呼び方は継続
「ミスレーパーはそのような言動する方だったでしょうか……」
フェイズ2から行動
ミスター一一と共に合体させたアンカーを使い、海に逃げる落ちる敵を確実に仕留めます。
補助として【天動説】と【ラプラスの悪魔】を発動して漏れがないようにします。
住民の手によって伊州丸からAAAの武装で敵船のマストへ攻撃しているでしょう。
フェイズ3
潜水するダッチマンに乗り込み、引き続き敵を撃っていきます。
海上では伊州丸からBBBとCCCの武装によって榴弾と煙幕をばら撒いていますが、ダッチマンは水中ですし装甲もありますから大丈夫なはずです。


ラモート・レーパー
【ダッチマン】
 お姉さんの姿で海賊風のアイドル衣装
フェイズ1
「粋がっているチンピラのみなさーん。こーんにーちはー! 海の偶像のお姉さんだよー!」
伊州丸の船首で???で生成したマイク片手に敵を煽る。UC【胸に刺さる言葉】は発動、味方の総ツッコミは想定済
「牙の衝角は立派だけど……船の武装がそれだけってわけじゃないよねー? 西の無敵艦隊じゃあるまいてー、本気で? いかにもって武装でどうやって海賊してきたんだろ……あ、海戦したこともなくロマンで付けたのか。 いや馬鹿でしょ。etc」
散々煽った後UC【大量絶滅】を発動。敵船団の海面を凍らせて動きを封じる。仕事が終わったらスピリ樽と魚の串焼きで一人酒盛り!


アーク・ハインド
【ダッチマン】
フェイズ3
「凍ったらあいつらはもう動けないっすね!いや、自分も砕氷船みたいなことしたくないんでたんないっすけど」
「と言うわけでぇ…野郎ども!乗り込むぞ!」
UCで船員を呼び出し凍った海の上を敵船へ向けて進軍
その際自身のガレオン船に砲手と操舵手は残し【属性攻撃】の氷属性で海をさらに凍らせる援護と伊州丸の周辺防護を任せます。

自身は接敵したら敵の攻撃を【見切り】【二回攻撃】【クイックドロウ】【制圧攻撃】を交えて敵船員を攻撃していきます


一一・一一
【ダッチマン】で参加
他者の呼び方は一章通り

フェイズ2から行動開始(フェイズ1はレーパーさんが担当)
さてさて、弱いなりにお仕事するっすかねぇ
僕のお仕事は海へ落ちた敵の狙撃っすか
【狙撃手の誇り】にかけて、逃がすわけにはいかないっすね
『第六感』で大体の場所を把握『視力』で確認「ライトニング」と「イーグレット」で敵を『スナイパー』していくっすよ
平行していい感じに敵の船を撃って、踏み込むと落ちるような罠を『罠使い』して作っておくっす
フェイズ3は同じように行動しながら住民に攻撃がきたら「スパイダー」で敵を『捕縛』して助けるっすよ



※お詫び
 1章において、【ダッチマン】の皆様が所属する旅団の名前を誤って記載しておりました。
 正しくは【幽霊船 フライングダッチマン号】となります。
 これはひとえにMSの確認ミスによるものです。

 可能であれば修正したいところですが、現状、リプレイ修正機能がございませんので、このままとなります。
 この場をお借りしまして、団長様、及び団員の皆様に深くお詫び申し上げます。

 大変申し訳ございませんでした。

●【ダッチマン】クルーの乾坤一擲の殲滅戦
 先んじた猟兵達からわずかに遅れる形で海域に辿り着いた【ダッチマン】クルーたちもまた、自分たちの船と共に大艦隊と接触していた。
 しかし、一緒に出航したはずの船が1隻、何らかのトラブルに巻き込まれたか、未だ戦場に到着していない。
 多少の不安が残るが、他の猟兵の鎧袖一触の猛攻により、既に大艦隊は半壊している。
 ならば、残りを一掃するのが【ダッチマン】クルーの役割だろう。

 クルーは素早く打ち合わせを済ませ、残り半数を全て駆逐するために動き出した。
 ――それがある意味、大惨事を招くことを知らずに。

●フェイズ1:アイドルを襲う(自業自得な)大惨事
「粋がっているチンピラのみなさーん。こーんにーちはー! 海の偶像のお姉さんだよー!」
 鉄甲船『伊州丸』の船首に立ち、自前で生成したマイクを手にした「お姉さん」と自称する怪しい海賊風アイドルに、武装商船に乗り込んだ雇われ船員たちは一瞬だけ呆気に取られる。
 お姉さんの姿を取り、海賊風のアイドル衣装に身を包み、自前のマイクを手にしているのは、応援に駆け付けたラモート・レーパー(生きた概念・f03606)。
 しかし、アイドルの口から紡がれるのは……聞くに堪えない煽り文句。
「牙の衝角は立派だけど……船の武装がそれだけってわけじゃないよねー?」
 楽しそうにきゃっきゃとはしゃぎながら煽るラモートだが、果たしてその煽り文句は雇われ船員らに届いているだろうか?
「西の無敵艦隊じゃあるまいてー、本気で? いかにもって武装でどうやって海賊してきたんだろ……あ、海戦したこともなくロマンで付けたのか。いや馬鹿でしょ」
 ラモートがあることない事並べ立てて徹底的に雇われ船員たちを挑発すると、煽られた雇われ船員たちは、徐々に怒りと憎悪のオーラを滾らせ始めている。
 しかし、立ち上るオーラを感じ取ったラモートは、逆に首を傾げた。
 本来ならここで何気ない言葉で雇われ船員らの心をぽっきり折るつもりだったが、なぜか折れていない。
「あれ、全く心、折られてない……?」
 武装商船からは怒りと憎悪の籠った視線を向けられ、ダッチマンクルーは総じて頭を抱え。
 島民含む『伊州丸』の乗員がラモートに注ぐ視線は……何か痛いものを見るようなそれ。
 ――しばし漂う、針の筵のような沈黙。
「ミスレーパー……致命的なことを忘れています」
 沈黙を破り、指摘したのはアンノウン・シー。
「マイクを生成するなら、スピーカーを生成し通さないと相手には声が聞こえづらいかと」
 広範囲に声が届くよう然るべき準備を行い、敵の煽動のみに集中していれば、ラモートの煽動に含まれる何気ない言葉が雇われ船員たちの心を抉り、折り取ったかもしれない。
 そうなれば怒涛の火力を持って一気に攻め込めるのだが、肝心のラモートの言葉は大海原全体に広がることはなく、結果的に雇われ船員たちの心は折れなかった。
 致命的なミスに気づくラモートだが、てへっ、と誤魔化しても時すでに遅し。
 船腹から多数の櫂を出した武装商船の一隻が、怒りに駆られ船首の巨大な咢を大きく開けつつ『伊州丸』に迫るが、止められない。
「舐めくさった船首にいるあのアマを食っちまえ!」
 船首ごとラモートを喰らうべく、巨大な牙が打ち鳴らされ、漆黒の咢がラモートの視界を奪う。
「きゃー!!」
 ――バグッ!!
 船首という狭い場ゆえ逃げられず、ラモートは哀れ巨大な咢の中に。
 船首はCCCの銅色の超装甲でかろうじて守られ、ラモートも呑み込まれる直前でなんとか海面を凍らせはしたが、無作為に凍った海は、敵味方関係なく全ての船の動きを封じてしまっていた。

●フェイズ2:狙撃は膨大な弾幕と援護射撃に紛れて
「ミスレーパーはそのような言動する方だったでしょうか……」
 大型二丁自動拳銃【アンカー】を合体させた狙撃用大型洋弓銃を用意つつ、ラモートが巨大な牙に呑み込まれるのを目にしたアンノウンは、内心頭を抱えたくなっていた。
 雇われ船員たちの心を折るどころか逆に火をつけてしまったため、武装商船からの反撃は必至。
 呑み込まれる前に海面を凍らせ、多数の武装商船の動きを封じはしたものの、心が折れていない以上、銃撃も鼓舞も止められない。
 しかし、武装商船は凍らされた海を突破する術を持たぬ故、しばらく移動はできないはず。
 ……ならば、やるべきことは変わりないだろう。
「少々予定と変わりましたが、当艦が為すことは変わりません」
「そうっすね。さてさて、弱いなりにお仕事するっすかねぇ」
 アンノウンが狙撃用大型洋弓銃の姿を見せたアンカーを構える横で、一一・一一が二丁のスナイパーライフルを用意し、構えた。
『伊州丸』の周囲も凍り付いていたが、船が全く揺れないのは、狙撃するにあたって好都合。
「【狙撃手の誇り】に賭けて、逃がすわけにはいかないっすね」
 戦場全てを見通すような一一の瞳とスナイパーとしての勘が、船から無作為に銃を撃ちまくろうとしている船員を探し当て。
 遠く離れた船員は、射程距離の長いスナイパーライフル「イーグレット」で。
 接近しつつある船員は、多少の速射性を持つスナイパーライフル「ライトニング」で。
 射程と速射性能が異なる二丁のスナイパーライフルを巧みに使い分けながら、一一は次々と銃を手にした船員の頭を撃ち抜いていく。
「やることは変わらないぞ。撃てー!!」
「AAAも展開しましょう!!」
『伊州丸』の船員が展開したAAAのバースト射撃と、マリアージュ島の島民による大砲の波状攻撃が、身動きとれぬ武装商船のマストを悉く破壊するのに紛れる形で、一一はこっそり敵の船を取り囲む氷を、割れない程度に撃ち抜き、罅を入れる。
「海面を凍らせたら、有利になるのはこっちだろうよ!!」
「野郎ども、船から降りて直接奴らの船に攻め入りやがれ!!」
 雇われ船員たちは『伊州丸』や他の船を襲撃すべく、甲板から凍り付いた海面に飛び降りる。
 船の数が半減したとはいえ、未だ地の利も数の利も「鮫牙」側にある。『伊州丸』を生き残りの船員全員で取り囲めば、逆転も不可能ではない。
 しかし、船員たちが飛び降りた先の氷は、一一の狙撃で無数の罅が入れられていた。
 ――バキッ!
 着氷の衝撃で派手に氷が割れ、船員たちは即席の罠と化した氷に足を取られ身動きが取れなくなった。
「くそっ、どういうことだ!!」
 一一の精確な射撃により仕掛けられた罠にかかり移動を封じられた船員たちに、アンノウンのアンカーから次々と太矢が放たれる。
 全ての物質の力学的状態と力を知ることで得られる演算能力を多少犠牲にしつつも、アンノウンは船員の四肢を、頭を、次々とアンカーで撃ち抜き、一網打尽にした。

●フェイズ3:船の総力を結集した猛攻で駆逐せよ!
「凍ったらあいつらはもう動けないっすね!」
 凍った海と援護射撃や狙撃で次々に撃破されゆく雇われ船員を見て、アーク・ハインドは拍手喝采。
 待ちに待った出番ではあるが、自分の本体たるガレオン船に砕氷船のような真似はさせたくないのが本音だ。
「かつて自分とともに海に散った亡霊の海賊共! 略奪の時間っす!」
 そこでアークは、ガレオン船の甲板に、かつてこのガレオン船に乗っていた船員たちを召喚する。
「武器を持て! 勝鬨の声を上げろ! 今、再び、略奪を開始するぞ!!」
「「「「ウオオオオオオオ――!!」」」」
 武具を手にした船員たちが勝鬨の声を上げるのを見て、アークは懐かしそうに目を細めるが、今は感傷に浸っている場合ではないと気を取り直す。
 アークはガレオン船に砲手と操舵手のみ残し、残り全員を連れて船外へ打って出た。
 砲手に命じて極低温の氷の弾を海面に撃ち込ませ、海面の氷をさらに広げて足場を確保しながら前進し。
「砲手! そのまま『伊州丸』の防護支援を頼むっす!」
『ラジャー!!』
『伊州丸』を甲板から狙い撃とうとする雇われ船員たちを、アークは砲手に命じて先に砲撃し、武装商船ごと撃破した。
 それでも別方向から『伊州丸』を狙う別集団が現れるのは、止められない。
「俺たちが奴らに負けるわけがない! 攻めろー!!」
 誰よりも強くなるとの願いを胸に、一斉に強化された船員たちが、『伊州丸』に殺到しようとした、その時。
「行かせないっすよー」
 突然虚空から撃ち込まれたキューブから放出されたワイヤーに、船員たちは全員まとめて絡め取られ、一気に転倒。
「わああっ!?」
「足止めだけでも時間稼ぎになるっすからね」
 アークが射線上に目をやると、そこにいたのはスナイパーライフルを「スパイダー」に持ち替えた一一。
「助かったっす!」
 アークが仲間たちと共に転倒した雇われ船員に止めを刺すのを見つつ、一一は別の船員の足元にキューブを打ち込み、放出されたワイヤーで全身を捕縛する。
「今のうちにラモートを助けるっす!」
 さらにガレオン船の主砲が、アークの指示でラモートを呑み込んだ武装商船に向けられた。
 主砲を向けられた武装商船は、慌てて回避しようとするが、海上が凍結している今、動くことはできない。
「撃てーっ!!」
 主砲の一斉射撃で、武装商船は木っ端みじんになった。
 咢の中でかろうじて踏ん張っていたラモートが海上に投げ出されたが、回収は後回し。

 マストを狙い撃ちされた武装商船から煙が立ち込め、甲板や船腹を撃ち抜かれた船が沈みゆく中、アークたちは一気に武装商船から飛び降りた雇われ船員たちと接敵する。
「そこをどくっす!!」
 たちまち乱戦となるが、アークは至近距離からの抜き撃ちで雇われ船員より早くその眉間を撃ち抜き。
 背後から斬りかかろうとする雇われ船員には、素早くその鼻先に銃を突きつけ、一撃。
 見れば、ガレオン船の船員たちも、己が得物で雇われ船員らに斬りかかっていた。
 かつて心を共にし、絆をはぐくんだ船員たちの行為を、アークが疑うことは決してない。
 それはガレオン船の船員たちにとっては確かな力となり、雇われ船員たちを押し返し、斬り倒していた。
 その間も、絶えず『伊州丸』からは大砲の援護射撃が行われていた。
『伊州丸』が展開したBBBからばら撒かれた榴弾は、氷の上でアーク達を狙う雇われ船員たちの足元に転がり。

 ――GYAOOOOOOOOOOOO!!
 ――ドドドドドドドドドドドドン!!!

 BBB付属のスピーカーから響く咆哮により誘爆、氷ごと大爆発を起こし、氷上の雇われ船員たちを海へと還す。
 だが、CCCの大型砲は、発射されるどころか展開される様子もない。
(「『伊州丸』のCCCが起動せず……ミスレーパーが呑まれた時に破壊されましたか」)
 それでも、氷上の雇われ船員たちが爆発に巻き込まれ海の藻屑となるのを目視で確認したアンノウンは、氷上の爆発で浮足立つ生き残った雇われ船員たちを狙撃。
 本来ならこの海域への到着が遅れている船に乗り込み、海中から援護射撃を行う予定だったので、多少段取りは狂ってはいる。
 だが、海中から攻めようとする船員は存在せず、もし海中にいたとしても、それは既に大砲やガレオン船の主砲、BBBの榴弾で撃破された者達。
 海中を警戒する必要がほぼない今、アンノウンの射撃は、船に残った船員に集中する。
「くそっ! どこから撃って来やがる!!」
 雇われ船員の銃の射程外から飛び交う太矢に悪態をついた雇われ船員が、眉間をアンノウンのアンカーに撃ち抜かれ、甲板に斃れた。

 その後も、アンノウンと一一の狙撃、アークと船員たちの吶喊、『伊州丸』やガレオン船からの援護射撃により、次々と雇われ船員たちは骸の海に還され、武装商船は破壊され。
「よーし、これで終わりっすよー」
 一一の「ライトニング」による狙撃が、最後の雇われ船員の一団を撃ち抜き、武装商船の姿を借りた海賊の大艦隊は全て駆逐された。

●「鮫牙」一員との邂逅
 大艦隊を全て駆逐した後、海面の氷をガレオン船の主砲とBBBで全て砕き、『伊州丸』とガレオン船は自由を取り戻した。
 猟兵側の猛攻により、現在海域に残るのは、この大艦隊を率いるボスの船のみになっている。

 海中に投げ出されたラモートを急いで『伊州丸』に引き上げた、その時。
「へえ、ちっぽけな人間どもがやってくれるじゃないか」
『伊州丸』に接近する帆船から、海風に乗って高飛車な女性の声が流れてくる。

『伊州丸』とガレオン船に徐々に近づく帆船の甲板に立つのは、巨大な斧を手にした女賞金稼ぎ。
 ――彼女の瞳は、虐殺の嵐への期待と愉悦で、酷く歪んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『女賞金稼ぎ』

POW   :    ハンタータイム
全身を【右目の義眼(メガリス)から放たれた青い光】で覆い、自身の【これまで殺した賞金首の賞金合計額】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    殺戮斧旋風
自身の【右目の義眼(メガリス)】が輝く間、【呪われた戦斧】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    カースバウンティ
【自分が過去に殺した賞金首】の霊を召喚する。これは【手にした武器】や【怨嗟の呻き声】で攻撃する能力を持つ。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●マリアージュ島 vs 女賞金稼ぎ
「まったく、ここまで反抗してくれるとはねえ……」
 右目にメガリスの義眼をはめ込み、呪われた戦斧を担いだ女賞金稼ぎは、己が海賊船の甲板から、心底楽しそうに『伊州丸』とマリアージュ島の島民、そして猟兵たちを見回す。
「まっ、それくらいじゃないと狩りがいがないってもんよ」
 部下たちの仇は取らなきゃねぇ……と囁く声に籠るのは、なぜか愉悦。
 女賞金稼ぎの表情も、心の底から徹底的に虐殺と掠奪を望む者が浮かべる笑みだった。
「さーて、『鮫牙』に反抗した不届き者たちは、アタシ自らの手で狩るかねぇ」
 覚悟はいいかい? と猟兵や島民を見回すその瞳は、虐殺への期待に満ち溢れていた。

 さあ、猟兵たちよ。
 今回の侵攻を企てた『鮫牙』の一員は、今目の前にいる女賞金稼ぎだ。
 右目のメガリスとともに悪に堕ち、かつては海賊相手に振るった斧でマリアージュ島の平和を蹂躙しようとする彼女をここで討ち取り、『七大海嘯』の侵攻を阻止せよ。

 ――健闘を、祈る。

※マスターより補足
 第3章は、女賞金稼ぎとの純戦です。
 この章から参加される方は、開戦直前に『伊州丸』ないしは同一グループの猟兵の船舶に転送された、あるいは自身の船で開戦に間に合わせたものとします。
 女賞金稼ぎが乗る海賊船に乗り移るか否かは、任意です。

 ただし、女賞金稼ぎは「鮫牙」の大艦隊を任せられるだけあり、強敵です。
『伊州丸』からの援護射撃を受けなければ、苦戦は免れないでしょう。
 よって、第3章のプレイングボーナスも【マリアージュ島の島民の支援を受ける】となります。
 具体的に受けたい支援がございましたら、プレイングに記載お願い致します。

 なお、『伊州丸』に付与されていたCCCは、2章の判定の結果、破壊されております。
 戦闘開始までに再付与する時間は十分ありますので、付与可能な方がプレイングに「CCC再付与」と記せば、戦闘開始前に再度付与されたとします(UCの指定不要)。
 その他の船舶の強化データ3種は、1章ないしは2章から持ち越しです。

 シナリオ早期完結を目指すため、3章は以下の概要で運営致します。

・3名様参加の時点で、プレイング受付締切を「翌日の23:59」に設定。
 決定次第、タグとMSページ、Twitterで告知します。
 (1・2章と異なり、断章では告知致しません)
・1章、ないしは2章の参加者を優先して採用致します。
・サポートは必要となった場合のみ、最低限の人数だけ採用。
・グループで参加される場合は、プレイングの1行目に【グループ名】の記載をお願いします。
 その上で全員のプレイングに不備がない場合に限り、採用を検討致します。

 ――それでは、海戦に終止符を打つべく、最善の戦いを。
マリア・フォルトゥナーテ
ダッチマンで参加。アドリブ連携歓迎

「よぉーし!いよいよ大将のお出ましです!プチのめしてあげましょう!」

仲間達を乗せた幽霊船フライングダッチマン号で、敵艦隊に向けて接近!

「さぁ、皆さん!我々の結束の力を知らしめてやろうではありませんか!我らの力で、海の平和を取り戻すのです!!」

UCで仲間を強化しつつ、自身は船の砲門を開き、砲弾を雨霰と浴びせかけます!

私の役目は囮!神の呪いで不死となっているダッチマン号で絶え間なく砲撃を加えることで、さんざっぱら嫌がらせをし、ヘイトを高めます。
集中砲火を受けてもすぐに船は直るので、遠慮なくいけます。
その隙に、仲間達に敵を撃滅してもらうという計画でございます!


一一・一一
【ダッチマン】で参加
呼び方は前回とかわらず

本命が登場したというのならばこちらも本気といこうか
『フライングダッチマン号の海賊旗』を掲げて、それに破魔を込めよう
「立てるものは立て、この旗がある限り、あのような海賊もどきなぞの悪意なぞ貴殿らに与えない。…ゆえに思う存分やり返しができるぞ」
そういいながら毛玉に赤いマント姿のモフマントに変身
島民に援護をたのみながら【無限増殖モフマントの怪】を起動
相手の攻撃を「見切り」ながら亡霊にモフタックル(『破魔』入り)しつつ
ダッチマンメンバーの攻撃をモフタックルで援護します
「本気を出すといったがおちょくらないとは言ってない」
アドリブなど歓迎です


ラモート・レーパー
【ダッチマン】
「6、7割巫山戯たら海に落ちたんだけど! それに水温ひっくいし!」
 スピリタスを大樽で一杯がぶ飲みしてから敵船に乗り込む。常人なら死ぬけど、お姉さんくらいなら素面で済む
黒剣をボーラや槍、ヨーヨーと自在に変化させて派手に立ち回り応戦する。殺気を殺して動きを読まない。
水面下を通り越して海底では溶岩を操ってガラス膜をそして火山性ガスでエアドーム形成。時期を見て崩壊させ周囲の海水ごと船を飲み込ませる!
他のメンツは危ないけどお姉さんは概念だからね。巻き込まれても問題ないわ


アンノウン・シー
【ダッチマン】
「これで大締めですね」
 UCで敵味方の動きを把握し、ダッチマン号から狙撃モードのアンカーでフォローに回ります。
当てることではなく動きを制限することに重点に置いて狙撃します。
味方の船に危険が迫ることを察知すれば即座に連絡して被害を抑えるように指示します


アーク・ハインド
【ダッチマン】
「割とみんな前に出るみたいっすし自分は援護に回るっすかね」
「鮫牙が喧嘩売ったのはかつて天下の一角にいたアーク・ハインド海賊団の生き残りっすけどね!」

UCを使い本体と融合
技能の【見切り】で相手の攻撃を読み、本体に備え付けられているガトリングや15.5cm砲などで【属性攻撃】と【制圧射撃】を乗せた【援護射撃】をします。
手数が足りなければ【クイックドロウ】で素早く装填を行います。
伊州丸へ攻撃が飛ぶようならそれも【見切り】相手の攻撃を【盗み】【かばう】を使いCCCの増加装甲や自分自身の装甲の厚い場所で受け止めます。



●我らが船長と船の登場
 ――海賊船と接敵する、少し前。
「6、7割巫山戯たら海に落ちたんだけど! それに水温ひっくいし!」
 6、7割どころか9割ふざけていたのでは……と『伊州丸』の乗組員が心の中でツッコミを入れる中、ずぶ濡れのラモート・レーパーが大樽に入ったスピリタスを一気に煽ろうしてマリアージュ島の島民に阻止されていた。
 齢百を超える死の概念であったとしても、実年齢を知らない島民から見れば、ラモートは人間のお姉さん。アルコール度数が高いスピリットの一気飲みを止めるのは、むしろ自然な行為。
「お姉さん大丈夫なんだけど……仕方ないなあ……」
 冷えた身体を温めるために1杯だけ、と断り、ジョッキ1杯分のスピリットを一気にあおるラモートの耳に、突然『伊州丸』の船員の慌てる声が届いた。
「別の船舶が接近……ゆ、幽霊船!?」
 新たな船舶、それも幽霊船に警戒を強める『伊州丸』の船員たち。
 しかし、彼らと共に接近する幽霊船を見た一一・一一の表情が緩んだ。
 なぜならそれは……
「あれはせんちょーの船……味方っす!」
 ……我らがクルーのために馳せ参じた【幽霊船 フライングダッチマン号】なのだから!
「皆さん、お待たせしました!」
 マリアージュ島に停泊していた『アン女王の復讐号』に何らかのトラブルがあったのか、急ぎフライングダッチマン号に乗り換え海域に急行し、大将戦に間に合わせたマリア・フォルトゥナーテの声が響いた。
「せんちょー!」
「ミスフォルトゥナーテ、間に合いましたか」
 出迎えるアンノウン・シーに誘導され、『伊州丸』に横付けになったフライングダッチマン号に、アーク・ハインドを始めとしたクルーたちは次々に乗り移る。
「本命が登場したというのならばこちらも本気といこうか」
 クルーたちが集まったその場に、一一はフライングダッチマン号の海賊旗を掲げ、それに破魔を込めた。
「立てるものは立て、この旗がある限り、あのような海賊もどきなぞの悪意なぞ貴殿らに与えない。……ゆえに思う存分やり返しができるぞ」
 仲間たちを鼓舞しつつ、一一は毛玉に赤いマント姿のモフマントに変身。
「さあ、皆であの海賊船を沈めようではないか」
「おー!!」
 モフモフした毛玉姿の一一に頼まれたマリアージュ島の島民たちの士気は、一気に高まった。やはりモフモフは正義!
 続けてマリアも、両の拳を振り上げ、クルーたちを鼓舞する。
「さぁ、皆さん! 我々の結束の力を知らしめてやろうではありませんか! 我らの力で、海の平和を取り戻すのです!!」
 マリアの鼓舞が、ダッチマンクルーの士気を高めつつ力を与え。
「よぉーし! いよいよ大将のお出ましです! プチのめしてあげましょう!」
「「「おーーーーっ!!」」」
 マリアージュ島の島民たちと共に心をひとつにした【ダッチマン】クルーたちは、海賊船の甲板で待ち構える女賞金稼ぎの元へ向かった。

 ――かくして、女賞金稼ぎとの戦いの火ぶたが、切って落とされた。

●クルーたちの連携はコンキスタドールを追いつめ
『伊州丸』の援護を受けながら、フライングダッチマン号は海賊船の側面から接近し、無理やり接舷。
 接舷と同時に、黒剣を携えたラモートと赤マントモフ怪人に変身した一一が、海賊船に吶喊した。
 なお、アンノウンはあえてフライングダッチマン号に残り、アークは自分のガレオン船に戻り援護に専念する手はずになっている。
 ラモートと一一を降ろした後、フライングダッチマン号は全力で海賊船から距離を置き、全砲門を開門。
「さんざっぱら嫌がらせをし、ヘイトを高めるのです!」
 マリアの号令と共に、砲弾を雨霰と海賊船に集中させ、あえて女賞金稼ぎの注目を引き続ける。
(「その間に仲間たちに撃滅してもらえれば!」)
 マリアの祈りは絶え間ない砲撃となって現れ、女賞金稼ぎの行動を徹底的に制約し、確実に苛立たせていた。

 一方、甲板では、『伊州丸』からの援護射撃を効果音としながら、2対1の近接戦が繰り広げられていた。
 殺気が漏れぬよう隠し続けるラモートの変幻自在の黒剣の剣戟を、女賞金稼ぎは義眼のメガリスを激しく輝かせながらの呪いの戦斧の9連撃でいなす。
 女賞金稼ぎの背後から一一が迫り、その背にモフタックルをぶちかまそうとしたその時、曲刀を手にした賞金首の亡霊が現れ、受け止めた。
「ウオ、オオオオオオ……」
 怨嗟の声を上げつつタックルを受け止めた亡霊の胴は、しかし憑き物を祓われたかのように消滅する。
 ――モフタックルには、魔を祓い霊を消滅させる意が籠められていたのだ。
「ちっ、そこの毛玉、おちょくっているのかい?」
「本気を出すといったがおちょくらないとは言ってない」
「詭弁を!」
 赤モフマント怪人と化した一一は、女賞金稼ぎの戦斧の軌道を見切りつつ、800本ものモフの毛を生み出し、複雑な軌道を描きつつ周囲を飛び回らせる。
「邪魔な毛だねえ」
 女賞金稼ぎが呪われた戦斧を大きく振り回し、毛を吹き飛ばそうとした時。
「世界が俺の存在を認識する限り、俺は無数に存在する。それすなわち都市伝説の理。さぁ世界中の俺達よ、ここに集まれ!」
 にやりと笑った一一の呼びかけと共に、モフの毛は一斉に黒いケセラン・パサランへと変化。
 あっという間に体積を増したそれは、わらわらわらわらと女賞金稼ぎと亡霊の動きを制約するようにじゃれつき始めた。
「ウ、ウオオオオオ!」
「この黒い毛玉ども!!」
 動きを止められ怨嗟の声を上げる亡霊に対し、女賞金稼ぎは呪われた戦斧を大きく振り回しながらケセラン・パサランたちを吹き飛ばしつつ、なおも殺気を隠し肉薄するラモートの黒剣を呪われた戦斧で捌き続けていた。

●船の守りは手厚いとは言えず
 2対1で激しい剣戟とモフタックルを繰り返す中、ふと、女賞金稼ぎの視線が、フライングダッチマン号と『伊州丸』に向く。
「へーぇ……」
 何かに気づいたか、女賞金稼ぎの顔が、愉悦に満ちた。
「アンタたち、アタシに構っていていいのかい?」
「どういうことよ?」
「今、アンタらの船はお留守だぜ?」
「!?」
 一瞬、ラモートの手が止まった隙に、女賞金稼ぎは右目の義眼から発せられた光で全身を覆いつつ、空に飛びあがる。
 島と島の間を飛翔効果で行き来することはできないが、近海程度ならば飛翔での移動は何ら問題はない。
「行かさないって!」
 ラモートが咄嗟にヨーヨーに変化させた黒剣を投げつけるが、女賞金稼ぎはひらりと躱し、空高く飛び去る。
「そこで見ているがいいさ!」
 空を飛べぬラモートと一一は、そのまま笑いながら飛び去る女賞金稼ぎを見送るしかできなかった。
 止む無くその場に残った亡霊を、一一の魔を祓うモフタックルで一掃するが。
「これは参った……」
 ケセラン・パサランたちも悉く吹き飛ばされた今、ラモートと一一は海賊船の甲板で事の成り行きを見守るしかできない。

 これまで無数の賞金首を殺して得た賞金の記憶を呪われた戦斧を振り回す膂力へと変換し、戦斧を大きく振り回しながら、女賞金稼ぎは音速でフライングダッチマン号に接近。
「ミスフォルトゥナーテ!」
 女賞金稼ぎの接近を察したアンノウンがマリアに連絡するが、音速で接近する相手への迎撃は間に合わない。
 それでも、なんとか大砲を一斉射し、少しでも女賞金稼ぎをけん制するが。
「まずはそこの幽霊船からだよ!」
 フライングダッチマン号からの大砲の斉射を戦斧の一振りで跳ね返し、返す一振りで船のマストや甲板を悉く斬り裂き、大砲を吹き飛ばした。
「次にあのデカブツだ!」
 フライングダッチマン号の大砲を無力化した女賞金稼ぎは、『伊州丸』へと飛び移るべく、再度空へ。
「行かせません」
 女賞金稼ぎの目的を察したアンノウンが咄嗟に肩を狙い撃つが、寸前に躱され空へ逃れられた。
 マッハを超える速度で飛翔する女賞金稼ぎを、アンノウンもマリアも目で追いかけられない。
 破壊された大砲は、フライングダッチマンに宿る神の呪いですぐ修復されるとしても、ここまで派手に壊されたら一瞬でと言うわけにはいかない。
 そして、『伊州丸』が沈められるということは、マリアージュ島の島民たちがほぼ全滅することを意味しているが、フライングダッチマン号から打つ手はない。

 ……万事休す。

 そう思われた、その時。
 ――ゴウウウッ!!
 突然、最新鋭の武装を搭載した1隻のガレオン船が、空を飛びながら女賞金稼ぎの行く手を遮った。
『おおっと、自分たちを忘れてもらっちゃ困るっす!』
「アークさん!!」
 空飛ぶガレオン船の外部スピーカーから響く声は、アークのそれ。
 様々な世界の技師により「やりすぎだ」と言われるほどの魔改造を受けたガレオン船は、ヤドリカミたるアークと超融合することで、海賊から空賊にジョブチェンジし、空を自在に駆け巡る能力を得ていた。
 みんなが前に出ると判断したアークは、援護に回ることにして戦況を観察していたのだが、結果的にこの行動が『伊州丸』の危機を救った。
 アークはガレオン船にCCCの銅色の超装甲を展開しながら、『伊州丸』に突入しようとした女賞金稼ぎを真正面から受け止める。
「空飛ぶ帆船!?」
 突然割り込んできた空飛ぶガレオン船を、飛翔していた女賞金稼ぎは避けられず。
 ――ドゴオオオオオン!!
 爆発したと聞き間違うばかりの轟音が、ガレオン船から響いた。
 大破したCCCの銅色の超装甲から這い出してきた女賞金稼ぎは、頭を含む全身を強打して一時的に意識が飛んだのか、視線を虚ろに彷徨わせながら力なく宙に浮かんでいた。
『「鮫牙」が喧嘩売ったのは、かつて天下の一角にいたアーク・ハインド海賊団の生き残りっすけどね!』
 アークは女賞金稼ぎを一喝しながら、ガレオン船のガトリング砲と15.5cm砲を女賞金稼ぎに向ける。
「ちっ、面倒な!」
 明晰にならぬ意識のまま、尚も飛び続けようとする女賞金稼ぎを、ガレオン船のガトリング砲と15.5cm砲が目まぐるしく追いかけ。
『撃て―っ!!』
 全速力で追いかけるガレオン船の15.5cm砲が火を噴き、ガトリング砲の弾丸が無数に吐き出された。
 女賞金稼ぎの行く手を遮るように、砲弾と無数の弾丸が急接近するのを見て、やむなく女賞金稼ぎは急ブレーキをかける。
 たとえコンキスタドールとて、最新鋭の兵器の一斉射を喰らえばひとたまりもないのだろう。
 ガトリング砲の一斉射と15.5cmの砲弾をやり過ごし、再度飛翔しようとした女賞金稼ぎの目前を、さらに1本の太矢が横切った。
 アンノウンが女賞金稼ぎの挙動をさらに制限すべく、フライングダッチマン号から狙撃したのだ。
「小癪な!!」
 激しい痛みを訴える身体を無理やり叱咤しつつ、女海賊がアンノウンを狙うために再度フライングダッチマン号に戻ろうとした、その時。

 ――ドオオオオオオオオン!!

 海賊船の真下で大爆発が発生し、船が激しく揺さぶられた。
 ラモートが己が権能で海底に溶岩で形成したガラス状のドームが内外からの圧力で崩壊し、ドーム内に充満していた高温の火山性ガスと海水が接触して水蒸気爆発を起こしたのだ。
 ガラス状のドームの真上に停泊していた海賊船は、爆発でマストが吹き飛ばされ、激しく揺れる海面に翻弄される。
「わわっ!」
 海賊船の甲板に残っていたラモートと一一が、激しく揺れる甲板から海に投げ出された。
 概念であるラモートが死ぬことはなく、モフモフの毛玉に変身していた一一も沈むことはないが、ふたりの救助は後回しにせざるを得ない。
 なぜなら、水蒸気爆発の衝撃は、海賊船の周囲に停泊していた『伊州丸』とフライングダッチマン号にも及び、大波に激しく揺らされていたからだ。
 特に船に慣れていないマリアージュ島の島民が乗る『伊州丸』は、船そのものの損傷こそ軽度だが、波にもまれた島民たちのダメージは計り知れない。
「うううぅ……」
「い、痛い……」
 大波に翻弄される船内で全身をぶつけ、さらに船酔いでグロッキーになる島民が続出し、『伊州丸』は全ての支援攻撃を一時中断せざるを得なかった。
 一方、空を飛ぶガレオン船は爆発と大波の影響を受けなかったため、女賞金稼ぎの姿を追い続けようとするが、爆発音で一瞬女賞金稼ぎから意識を逸らしてしまう。
「これはチャンスだね。1度立て直すよ!」
 女賞金稼ぎは、激しい波の隙間を縫うように飛翔し、ガレオン船の目から逃れつつ海賊船に戻る。
 船のマストにすら届きかねない大波に隠れられれば、アンノウンの目も予測も届かず、太矢は波に遮られ届かない。

『伊州丸』とフライングダッチマン号が波に翻弄されている間に、女賞金稼ぎと海賊船はその海域から姿を消していた。

●決着は他者の手に委ね
 練度の高い船員の手ですぐに追撃態勢に入った『伊州丸』に対し、フライングダッチマン号は、海に落ちたラモートと一一の捜索を優先する。
 幸い、ふたりともすぐに発見され、甲板に引き上げられるが、その頃には『伊州丸』も遠く離れていた。
「すっかり見失いましたね」
「まあ、仕方ないっす。後は他の猟兵がどうにかしてくれると信じるっす」
 無念そうな声とともに肩を落とすマリアを、ガレオン船との超融合を解除しフライングダッチマン号に戻って来たアークが慰める。
 本来であれば、この手でグリードオーシャンを荒らす輩を討ち取りたかったが、仕方ない。
 しかし、仮に逃げられたとしても、女賞金稼ぎはかなり追い詰められているのは確かだろう。爆発と大波に紛れてクルーたちを討ち取る機会があったにも関わらず、仕切り直しを優先したのが何よりの証拠だ。
 ……今は、これで良しとするしかないだろう。

【ダッチマン】クルーたちは、一頻りお互いをねぎらった後、大海原へと漕ぎ出し撤退した。
 ――悪辣な女賞金稼ぎとの決着を、他の猟兵に託して。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

北条・優希斗
【風グリ】
後はアンタを俺達の手で倒すのみ、か
一応、聞いておこう
アンタがこの島を狙ったのは、その虐殺欲を満たす為だけか?
…まあ、良い
俺はただ、アンタがどうして俺達に挑んだのかの理由を聞きたかっただけだしな
フィーナさんと島民からの援護射撃で亡霊達を駆逐して貰い
情報収集+戦闘知識+見切りで、彼女の目が光る瞬間を見極め
状況を見切ってエリスさんに合図して
早業でUC発動
初手のエリスさんへの攻撃をフェイントに
ダッシュ+地形の利用+残像+見切りで肉薄
蒼月+月下美人を居合いの要領で抜刀し
2回攻撃+騙し討ち+鎧無視攻撃+串刺し+切断+薙ぎ払い+早業を組み込んだ17連撃を叩き込む
…悪いな
これが俺達の戦い方、なんだよ


エリス・フリーウインド
【風グリ】
…成程
貴女様が此度の海賊達の主でございましたか
であれば、私達が手加減する理由もございませんね
『伊州丸』からの支援及び指揮はフィーナ殿にお任せした上で
後の先ではございますが拠点防御+庇う+武器受け+盾受け+UC発動
巨大な破邪の結界を形成して、伊州丸とマリアージュ島の皆様をお守りし
その青い瞳の光を見切る、優希斗殿の最初の一発を我が身に受けましょう
何、何の問題もございませぬ
我が漆黒の聖鎧は、如何なる攻撃も受けつけぬ力を持ちます故に
即ち其れは守る覚悟
元々、私は此方こそが本分です
貴女如きの攻撃では打ち砕けませぬ
加えて優希斗殿の攻撃をランス・オブ・ダークを念動力で操り、破魔+援護射撃致します


フィーナ・エメラルディア
【風グリ】
共通:連アド・却下可
【空中浮遊】しています
漸く黒幕様が出現しましたね
その周囲に召喚される霊達も厄介そうです
ならば決着を付けましょうか
お生憎様です
優希斗君とフリちゃんの連携を霊である貴女達が邪魔出来る機会を私達が与える謂れはありませんよ?
そうでしょう、皆様?
と、島民の皆様をお誘いし、高速詠唱+属性攻撃+範囲攻撃+UC発動
炎矢を島民の皆様の火矢と火薬と一緒に一斉射撃し霊を一掃します
私達が周りの敵を掃討すれば
フリちゃんと優希斗君があの黒幕様に遅れは取らないでしょう
ああ、そうそう
先程は曖昧に誤魔化しましたが
ああ見えて、優希斗君は『無理はしない程度の無茶』を知っている子ですから、心配は無用です



●「鮫牙」大艦隊に引導を渡し、目的を阻む
「ちっ……やってくれるねえ」
 海賊船を操る女賞金稼ぎは、全身を走る痛みに顔を顰めつつ、大波に紛れて置き去りにした幽霊船のクルーたちに悪態をつきつつも、焦っていた。
 幽霊船が追ってくる気配はないが、鉄甲船『伊州丸』の気配が徐々に迫りつつあるからだ。
 ここは振り切って再起を図りたいところだが、海賊船も大砲の一斉射でマストを大きく損傷しているため、速度が出ない。
 やがて追いついた鉄甲船『伊州丸』が、なぜか速度を落とさず海賊船と並ぶように航行し続けるの見て、女賞金稼ぎが舌打ちひとつ。
「ちっ、無理やり接舷して乗り移るつもりかい!?」
 舵を切って急ぎ『伊州丸』から離れようとするが、舵が鈍くそれもかなわない。
 衝突するギリギリの距離まで迫った『伊州丸』の縁を蹴り、ふたつの人影が海賊船に飛び移るのを、女賞金稼ぎは痛みを堪えて眺めているしかできなかった。

「……成程。貴女様が此度の海賊達の主でございましたか」
 飛び移った猟兵のひとり、エリス・フリーウインドは、舵から手を離し呪われた戦斧を手にする女賞金稼ぎを一瞥する。
「後はアンタを俺達の手で倒すのみ、か」
 一方、エリスの横に並ぶように立つもう一人の猟兵、北条・優希斗の言の葉は、確認だけにとどまらない。
「一応、聞いておこう。アンタがこの島を狙ったのは、その虐殺欲を満たす為だけか?」
「へえ、猟兵サマがいちいちそれを気にするのかい?」
 愉快なことを聞く猟兵だ、と女賞金稼ぎが笑うが、その笑いもどこか痛々しい。
「アンタは既に気づいているんじゃないのかい? アタシたちはそこの島を占領するために来たってことに」
 何も答えぬ優希斗に、女賞金稼ぎは全身の痛みを紛らわすかのように饒舌に喋り続ける。
「そもそも、我らが『七大海嘯』の縄張りを、コンキスタドールからの解放と称して先に荒らしたのはアンタたちだろ? アタシたちはただ反撃しただけさね」
「鮫牙」の配下たる女賞金稼ぎの目的は、猟兵たちへの反撃の一環としてマリアージュ島を占拠し『七大海嘯』の支配下に置くこと。
 一方、後顧の憂いを断つために、島民は女賞金稼ぎの手で皆殺しにする手はずだった。
 ……女賞金稼ぎにとっては、目的と虐殺欲を一気に満たせる、一挙両得の作戦。
 それを耳にして何か思案する優希斗に、女賞金稼ぎはそういえば、ともったいぶらせながら告げる。
「アンタたちはあの大渦を通ってこの世界に来たんだよねえ? じゃあ壊せばどうなる?」
「……っ!!」
 その行く末を予想したエリスが、息を呑んだ。
 そもそも、グリードオーシャンはグリモアの予知や転移を阻む、特殊な世界。
 現在、猟兵がグリモアの転移である程度自由に行き来できるのは、サムライエンパイアにつながる大渦に近い島から少しずつ探索を重ねたから。
 一方、猟兵にとって重要な拠点たる大渦を閉じられれば、猟兵は最早この世界に来ることは叶わなくなる。
 その事実に気が付いた優希斗は、大きく息をついて首を横に振った。
「……まあ、良い。俺はただ、アンタがどうして俺達に挑んだのかの理由を聞きたかっただけだしな」
 ここで女賞金稼ぎを討ち取るべく、優希斗が腰の二刀に手を賭けようとした、その時。
「アタシがアンタたちを素直に生かして返すと思うかい?」
 不敵な笑みを浮かべた女賞金稼ぎが大きく手を振ると、二丁のマスケット銃を携えた賞金首の霊が召喚される。
 過去に女賞金稼ぎに殺され、死してなお利用される賞金首の霊は、得物の狙いを優希斗とエリスの頭にぴたりとつけた。
「おっと、ふたりともそのまま動くなよ? 少しでも動けばブチ抜くからな?」
 頭にぴたりと銃の狙いをつけられ、息を呑む優希斗とエリス。
 だが、『伊州丸』で島民の指揮を取るフィーナ・エメラルディアが、なぜかふふっと笑った。
「優希斗君とフリちゃんの連携を、霊であるあなた達が邪魔できる機会を、私たちが与える謂れはありませんよ?」
 ――そうでしょう、皆様?
 フィーナに信頼を寄せる島民たちが頷き同意する一方、優希斗の様子を見た島民のひとりが不安げな表情を浮かべる。
「それでも、俺はあの兄ちゃんが無理をしているように見えるんだが……」
 命を無碍にするなと諭した若者が、己が命を顧みない矛盾。
 ちぐはぐした何かを感じ取る島民に、しかしフィーナは優しく微笑みかける。
「先程は曖昧に誤魔化しましたが、ああ見えて、優希斗君は『無理はしない程度の無茶』を知っている子ですから、心配は無用です」
「そうか……ならいいのだが」
 釈然としないまま引き下がる島民を横目に捉えつつ、フィーナが軽く手を振ると、345本の炎の矢が現れ、虚空に浮かんだまま次の命を待つ。
 同時に、マリアージュ島の島民たちが大砲を一斉射。
 砲弾の雨は霊のマスケット銃を叩き落として破壊すると同時に、女賞金稼ぎの動きをけん制する。
「ちいっ!! まだ砲弾が残っているのかい!?」
 女賞金稼ぎが悪態をついている間に、フィーナの意を受けた火矢の豪雨が賞金首の霊に降り注ぐ。
 賞金首の霊は怨嗟の声を上げることなく業火となって燃え上がり、消滅した。
「これで、フリちゃんと優希斗君があの黒幕様に遅れを取ることはないでしょう」
「全く、ほんっと役に立たないねえ!」
 目の前で瞬時に霊を燃やされた女賞金稼ぎが舌打ちし唾を吐き捨てると、淡い光を帯びている右目の義眼のメガリスが強く輝き、呪われた戦斧を掴む手に力がこもる。
 優希斗が二刀を抜くより早く、呪われた戦斧を豪快に頭上から叩き込めば、まだ挽回の目はある。
 ――行動を見切った優希斗とエリスの間に交わされた目配せに、女賞金稼ぎは気づかない。
「まずはそこの剣士から血祭りにあげてやるさ!!」
 女賞金稼ぎが、大上段に振り上げた斧を一気に振り下ろそうとした、その時。
「我は闇にして影なる騎士。故に守るべき者は心得ている」
 エリスが漆黒の聖鎧を纏うと、優希斗とエリス、『伊州丸』を覆う広大な破邪の結界が展開され。
 それに合わせるように、優希斗の月下美人がエリスの漆黒の聖鎧を薙いだ。
「何っ?」
 味方であるはずの騎士に向けられた予期せぬ太刀筋に、女賞金稼ぎは一瞬気を取られ、戦斧を振り上げた姿勢のまま硬直。
 唐竹割りにする絶好の機を逃した女賞金稼ぎに、優希斗が真正面からフェイントを織り交ぜながら急接近。
「その罪は……全て、俺が背負うよ」
 贖罪を示す呟きと共に、その両手が腰に伸びた、その瞬間。

 ――斬ッ!!

「…………っ!!」
 突然、胴に走る痛みに、大きく顔を顰める女賞金稼ぎ。
 バックステップで下がりつつ目にした優希斗の両手には、いつの間にか二刀――蒼月・零式と月下美人が握られていた。
 至近距離から居合の要領で振り抜いた二刀は、女賞金稼ぎにとっては不可視の斬撃に等しく。
 見えぬ二振りで胴をバツの字に斬り裂かれた女賞金稼ぎに、優希斗がさらに斬り込んだ。
「戦神」の呪詛で鈍い銀に輝く月下美人と、銀が蒼を侵蝕するように輝く蒼月・零式……己が背負うさだめを表す二刀が縦横無尽に振るわれ、叩き込まれる。
 月下美人が腕の腱を断ち、帽子を吹き飛ばし、コートを大きく斬り裂くと。
 蒼月・零式は四肢を深々と斬り裂き、脚に突き立ち、確実に女賞金稼ぎのいのちを削ぐ。
「やられっぱなしでいられるかよ!」
 息つく間もない怒涛の15連撃を受けた女賞金稼ぎは、それでも執念で腱を断たれた腕を動かし、呪われた戦斧を無理やり横薙ぎに振るい、優希斗の胴を両断しようとするが。
 ――キィインッ!!
 呪われた戦斧は、音叉のごとく澄んだ音を立てる不可視の結界で受け止められた。
「なっ……!!」
 女賞金稼ぎが驚きと共に硬直するのを見た優希斗が、左手の月下美人を一気に突き出す。
 無防備となった女賞金稼ぎに、致命的な一太刀を避ける術は、ない。

 ――呪詛を帯びし銀の輝きは、女賞金稼ぎの胸を深々と貫いていた。

「アン、タ……」
 月下美人に貫かれ、口端から血を流しながら、驚愕の目で優希斗を見つめる、女賞金稼ぎ。
 己が胸を貫いているのは、先ほど味方である異端の聖騎士を斬った刀。
 しかし、目の前の剣士の漆黒の瞳には、憎悪や愉悦の炎は揺らめいていない。
「さっき、みか、た、を……」
 ――味方を斬ったのは、何故?
 目でそう訴える女賞金稼ぎに、しかし優希斗は目を閉じ軽く首を横に振る。
「……悪いな。これが俺たちの戦い方なんだ」
 ちらり、と優希斗が横目で見やったエリスは、無敵の漆黒の聖鎧の効果で無傷。
「戦神」の呪詛を武器に宿す優希斗の連撃は、味方を斬らねば己が寿命を縮める。
 だからこそ、エリスは無敵の聖鎧を纏い、己が主の代償たる一太刀を受け入れた。
 ――主の命を守ることこそが、己が本分なのだから。
「我が漆黒の聖鎧は、如何なる攻撃も受けつけぬ力を持ちます故に」
 ――即ちそれは、エリスの覚悟と誓いがあって初めて発揮する力。
「元々、私は此方こそが本分です。……貴女如きの攻撃では、我が鎧は打ち砕けませぬ」
 静かに諭すエリスに、女賞金稼ぎが向けたのは、力ない笑み。
 ――このふたりの連携には敵わぬと、悟ったそれ。
「まい、った……アタ、シの、ま……」
「骸の海に還れ」
 優希斗が有無を言わさず蒼月・零式を横薙ぎに振るい、至近距離から胴を切断する。
 胴を分かたれた女賞金稼ぎは、力ない笑みを浮かべたまま消滅した。

 女賞金稼ぎの消滅と共に、海賊船は推進力と浮力を失い、止まっていた時が動き出したかのように一気に朽ち、沈み始める。
 急ぎ『伊州丸』に飛び移った優希斗とエリスの前で、船主を失った海賊船はゆっくりと海へ沈んでいった。

 かくして、マリアージュ島を襲撃し、占拠しようとした大艦隊は、猟兵の手で一掃された。
 だが、グリードオーシャン全てを包まんとする戦乱の嵐は、すぐ傍にまで迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年02月06日


挿絵イラスト