銀河帝国攻略戦④~帝国の威光を打ち砕け
「緊急事態発生です。リムは猟兵に出撃を要請します」
グリモアベースに招かれた猟兵たちの前で、リミティア・スカイクラッド(人間の精霊術士・f08099)は淡々とした口調で語りだした。
「遺失技術『ワープドライブ』の復活に伴い、銀河帝国との本格的な戦端が開かれました。現在、スペースシップワールドの戦力は『解放軍』として集結しつつあります」
しかし、その動きを黙って見ている銀河帝国ではない。
解放軍に合流せんとする宇宙船に対し、帝国は潜入させていた工作員に働きかけて、テロを強行しようとしている。
そのテロの対象となった宇宙船のひとつを、リミティアは予知していた。
「事件が発生するのは宇宙船『ヘリオトロープ』。この船内に潜入していた帝国騎士は、この船のコアマシンの破壊すべく活動を開始しています」
コアマシンは宇宙船の生活を支える最重要機関。そして宇宙船に『ワープドライブ』を搭載するのに必要な機関でもある。
これを破壊されてしまえば、『ヘリオトロープ』が解放軍に加わることは不可能になる。
「帝国騎士の目的はもうひとつ。『帝国の威光と力を示し、人々から抵抗の意志を砕く』ことです。そのために騎士は、あえて自らの力を誇示するように派手な立ち回りを行いながら、コアマシンルームへと進撃を行っています」
たとえコアマシンの破壊を阻止できたとしても、帝国騎士の力に恐怖した人々が「帝国には勝てない」と思ってしまったら、やはり彼らが解放軍に加わることは無いだろう。
「皆様は『ワープドライブ』の使い手であるミディアさんと共に『ヘリオトロープ』に転移。ミディアさんを護衛しながらテロを行う帝国騎士を撃破してください」
無事に帝国騎士を撃破できれば、ミディアの手によって『ヘリオトロープ』のコアマシンにはワープ機能が搭載され、解放軍への合流が可能となる。
「この戦いは銀河帝国との戦いの緒戦に過ぎません。リムはあえて皆様に要求します――圧倒してください、と」
帝国に立ち向かう解放軍の――猟兵の力を、『ヘリオトロープ』の人々に知らしめて欲しいと。
猟兵たちならばそれが可能であると信じて、リミティアは手のひらにグリモアを浮かべる。
「転送準備完了です。リムは武運を祈っています」
戌
こんにちは、戌です。
銀河帝国との戦い、第六猟兵初の戦争イベント開幕ですね。私も手探りですが頑張ります。
本シナリオの攻略対象は「④帝国工作員のテロを阻止せよ」です。
宇宙船ヘリオトロープのコアマシンを帝国騎士のテロから守り、無事に宇宙船を解放軍に合流させてください。
そのついでに、猟兵の力を是非とも知らしめてやってくだされば幸いです。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『帝国騎士』
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POW : インペリアルブレイド
【念動力を宿した「飛ぶ斬撃」】が命中した対象を爆破し、更に互いを【念動力の鎖】で繋ぐ。
SPD : ダークフォースバリア
自身に【鮮血の如きオーラ】をまとい、高速移動と【赤黒い電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : インペリアルフラッグ
【念動力で形成した帝国の旗】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『帝国の領土』であると見る者に認識させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
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メンカル・プルモーサ
……ん。圧倒、圧倒…この手で行こう……任されたー……(いつもの調子で)
……ワープアウトしたら、まずは帝国騎士を探す……とはいえ、誇示してるなら見つけやすい…かな……
見つけたら【現実を侵せし狩猟団】を召喚……帝国騎士の動きや視線から工作員をみつけてそっちには制圧のためにガジェットを向かわせる……
……本命の帝国騎士は…一度戦った相手だけど…念のためまずは情報を集めてUCを解析……
……騎士が●インペリアフラッグを使ったら【崩壊せし邪悪なる符号】で相殺・塗り替え……『帝国の領土』であると認識させることを逆手に取って……帝国の領土が絶対では無い事、あっさり消えるものである事を証明してみせる……
フィロメーラ・アステール
「いっちょド派手に決めてやるかー!」
帝国騎士って案外たいした事ない? みたいな流れにすりゃいいんだよな!
だったらコイツで一気にやっつけるぞ!
【スーパー流れ星キック】を発動するぜ!
【破魔】の光の【属性攻撃】の魔力を身にまとい、【ダッシュ】!
そして【気合い】とともに【ジャンプ】!
そこから【全力魔法】によって【残像】を放つ加速【スライディング】!
【空中戦】のテクで華麗な【パフォーマンス】を見せ付けて、【踏みつけ】だー!
こいつが決まれば宇宙船の人々に【勇気】を与えて【鼓舞】できるはずだぜ!
「帝国の威光がなんだー! お星様の偉大な光の前にはこんなもんだぞ!」
「……ん。圧倒、圧倒……この手で行こう……任されたー……」
いつもと変わらぬ調子でグリモア猟兵の要請に応じたのはメンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)。
護衛対象のミディアと仲間の猟兵たちと共に『ヘリオトロープ』にワープアウトした彼女はまず、テロの実行犯である帝国騎士を探す。
そして、それは探すまでもなく見つかった。
「帝国の威光を知らぬ者達よ。恐怖と共に知るがいい、貴様らは無力であると!!」
威圧的なサイキックオーラを放って周囲を破壊しながら、コアマシンルームへ向けて悠然と進撃する帝国騎士。その頭上には、念動力で形成された帝国の旗がはためく。
突如として船内に姿を見せた暴力の嵐に、一般市民はただ逃げ惑うばかり。
解放軍結成の報に沸き立っていたはずの彼らの心は、恐怖に支配されかけていた。
「……見つけやすくて、助かる……」
敵を発見したメンカルは【現実を侵せし狩猟団】――戦闘用プログラムを実体化させたガジェット部隊を召喚する。
目的はまだ船内に潜伏している可能性のある他の工作員の捜索・制圧。そして一般市民の護衛を指示し、狩猟団を出撃させる。
「帝国騎士って案外たいした事ない? みたいな流れにすりゃいいんだよな! だったら一気にやっつけるぞ!」
同じく敵を見つけてそう言うや否や、先陣を切ったのはフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)。
その身を取り巻く星の燐光がキラキラと尾を引いて、流星のように妖精の娘は帝国騎士に向かっていく。
「何者だ、貴様は!!」
「出会えたらラッキーな激レア妖精だぞー!」
フォースセイバーを構えた帝国騎士の誰何に、フィロメーラは胸張ってそう答え。
「ただしお前じゃなくて、この船の人々にとっての、だけどな!」
逃げ惑う人々にもはっきりと聞こえるように、そう宣言する。
過去の絶望を打ち砕き、未来を切り拓くために、彼女たちはここに来たのだ。
破魔の光をその身に纏ったフィロメーラは、船内の床を力強く蹴って助走をつけて。
「いっちょド派手に決めてやるかー!」
気合の入った叫びとともに、跳躍。帝国騎士の頭上高くまで舞い上がる。
「小癪な!」
帝国騎士の旗から念動力のオーラが放たれても、フィロメーラはひょいひょいと華麗な空中軌道で避けていく。
その表情は輝くような笑顔。まるで舞い踊るような余裕のあるパフォーマンスを見せつけて、帝国騎士には動揺を、市民には勇気を与えていく。
船内の限界高度まで舞い上がったフィロメーラは、眼下の帝国騎士を見下ろして。
「いくぞー!」
妖精の羽を広げ、まるでロケットのような急加速。
星の引力さえも振り切る速度で、輝く残像の尾を引いて。
「スーパー! 流れ星!! キーーーック!!!」
フィロメーラの全魔力を込めた一撃が、帝国騎士の胸を穿つ。
「ガハ……ッ
?!?!?!」
隕石落下にも匹敵する衝撃によって、騎士の象徴たる漆黒の機械鎧にビシリと亀裂が走る。
叩き付けられた騎士の周囲の床が、クレーターのように陥没した。
「帝国の威光がなんだー! お星様の偉大な光の前にはこんなもんだぞ!」
倒れた帝国騎士の胸の上でふんぞり返って、フィロメーラは堂々と宣言する。
その勇姿と、眩い星のきらめきが、人々を勇気付けていく。
「お、おのれ……っ!」
乗っかるフィロメーラを払いのけて、立ち上がる帝国騎士。
「星クズの輝きがなんだというのだ! 帝国の威光に比べれば、そんなもの――!!」
騎士が誇示せんとするは帝国の御旗。銀河帝国に属する者にとっては絶対の象徴であり、帝国に仇名す者にとっては恐怖の象徴であるはずの。
だが――。
「……解析……完了した……」
過去の戦闘経験と照らし合わせ、敵のユーベルコードの情報を解析したメンカルは、その象徴を打ち砕く一手を放つ。
「邪なる力よ、解れ、壊れよ。汝は雲散、汝は霧消。魔女が望むは乱れ散じて潰えし理」
紡がれる【崩壊せし邪悪なる符号】。情報を分解しユーベルコードを相殺する魔術。
帝国騎士の頭上に翻る帝国旗が、まるで幻だったかのように揺らぎ、消えていく。
「馬鹿な
……?!」
驚愕する騎士に対して、メンカルは淡々と語る。
「……帝国の支配は、絶対ではない……その旗のように、あっさり消えるもの……」
その旗を見た者に、そこが帝国の領土であるという認識を強制する帝国騎士のインペリアルフラッグ。
その力を逆手に取って、彼女は証明してみせた。帝国の支配の儚さを。その威光が絶対ではないことを。
一度は絶望に沈みかけた人々の瞳に、再び希望の光が宿っていく。
成功
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神宮寺・絵里香
タンケイ・オスマンサス(f08051)と連携
〈心情〉
自分の力を誇示したいだけの馬鹿共に負けてやる道理はない
さあ、オレ達の力を魅せつけてやろうじゃねーか
〈戦闘〉
薙刀に【雷属性】を付与。痺れる雷による【麻痺攻撃】で戦う
【世界知識】と【戦闘知識】を基にこの世界の敵は念動力を使うことを想定。飛ぶ斬撃等念動力を使った攻撃を警戒して見切り、躱す
躱せない攻撃は【武器受け】
タンケイがUCで敵のUCを封じている間に短槍に持ち替え【力溜め】をしてからの【雷属性】を付与した【槍投げ】による【麻痺攻撃】 動きを封じている間に条件を満たした【全力魔法】のUCをタンケイの大樹の怒りと一緒に発動水と木の槍で【串刺し】にする
タンケイ・オスマンサス
【神宮寺さんと連携】
(隙だらけの動き…威圧して戦意を喪失させようなんて小賢しいです!)
【目立たない】特性を活かして敵が神宮寺さんや他の猟兵に気を取られている隙に両掌を重ねて構えそこからUCを照射します
「ちょっとそこの騎士さん!力の誇示なんてカッコ悪いですよ!」
UCを封じている間に神宮寺さんの攻撃を受け、弱った敵に大樹の怒りによって出来た木の根の槍を叩き込んでおしまいです。
帝国騎士に怯え戦意喪失してしまった人々がいれば、【優しさ】と【礼儀作法】を心がけ、【手をつなぐ】ことで安心感を与えます。
「力の誇示は弱い者の証拠です。怯えなくても大丈夫、私たちもついていますよ。」と語りかけます。
「自分の力を誇示したいだけの馬鹿共に負けてやる道理はない」
帝国旗の消失に動揺する騎士に向けて薙刀を突き付け、神宮寺・絵里香(雨冠乃巫女・f03667)は告げる。
その刃に宿るは雷。流星の如く舞った仲間に続き、雷光の如く彼女は駆ける。
「抜かせ! 貴様らこそ帝国を敵として勝てるとでも思ったか!」
接近する絵里香に向けて帝国騎士はフォースセイバーを振り下ろすと、赤黒い念動力の斬撃を飛ばす。
だが、事前に収集した知識からその攻撃を予測していた絵里香は、飛ぶ斬撃を最小限の動作で見切り、躱す。
そのまま敵に肉迫し、薙刀の刺突を放つ。雷を纏ったその刃を直に受ければ感電は免れないと判断した騎士は、全身に鮮血の如きオーラを纏う。
「見せてやろう、帝国騎士の真の力を!」
騎士の身体が急加速し、絵里香の刺突を避ける。自らの生命を代償に力を引き出した騎士は、そのまま赤黒い電撃とフォースセイバーの併せ技で絵里香を攻め立てていく。
「チッ……」
「どうしたどうした、その程度か!!」
超高速の猛攻を薙刀で受け流し、防戦の態勢となる絵里香。だが、それは決して劣勢ではない。
彼女は待っているのだ。防御から攻勢に転じるタイミングを。
(隙だらけの動き……威圧して戦意を喪失させようなんて小賢しいです!)
絵里香が敵の攻撃を引き付けている隙に、その「タイミング」の仕込みを行うのはタンケイ・オスマンサス(魅惑のシンフォニア・f08051)。
攻撃に集中する余り防御が疎かとなった敵の姿をそう評しながら、両掌を重ねて構え、ユーベルコードを発動させる。
「自然の恵みよ、太陽よ、私の力となり悪を滅ぼせ……!」
寄る辺となる星を喪いしスペースシップワールドにも、太陽――恒星の恵みは与えられる。
タンケイの掌に凝縮された陽だまりの恩恵は一条の光線となって、帝国騎士を貫いた。
「グ……ッ、何だと?!」
不意を突かれた帝国騎士が苦悶の声を上げ、その直後に驚愕する。
その身に纏っていた鮮血のオーラが消えていく。悪を滅ぼす太陽の力が、騎士のユーベルコードを強制解除したのだ。
「さあ、オレ"達"の力を魅せつけてやろうじゃねーか」
急激にスピードダウンした騎士に、この時を待っていた絵里香は攻勢に転じる。
バックステップで距離を取りながら得物を短槍に持ち替え、穂先に再び雷を宿す。
すぅっと息を吸い、弓のように身体をしならせ。溜め込んだ力を解き放ち、投じられる雷槍――その名は「因達羅」。
投槍は狙い過たず騎士の鎧を貫き、穂先から雷撃を迸らせる。
「ガァ……ッ!!」
体内に直接電流を浴びた騎士の身体は麻痺し、その動きが一時的に止まる。
「力の誇示なんてカッコ悪いですよ!」
びしり、と指を突き付けながら追撃のユーベルコードを構えるタンケイは、ふと自分たちの戦いを不安げに見守る人々の視線に気付く。
猟兵ほどの戦う力を持たぬがゆえに、帝国の力を目の当たりにして恐怖を拭えない『ヘリオトロープ』の住人たち。
そんな彼らに、タンケイは優しい微笑みと礼儀正しい態度で語りかける。
「力の誇示は弱い者の証拠です。怯えなくても大丈夫、私たちもついていますよ」
自分たちは一人ではない。手と手をつなぎ、心と心を結べば、銀河帝国にも打ち克てる。
彼女たちには、それを証明できる力があった。
「行くぞタンケイ」
「はい、神宮寺さん!」
動きを封じられた帝国騎士に、絵里香とタンケイは同時にユーベルコードを発動させる。
「大いなる水を司り白蛇の神よ! その身を激流の槍と為し、仇なすものを刺し貫き給え――」
絵里香が召喚するは蛇神の力を宿せし八本の水槍。まるで八ツ首の大蛇が鎌首をもたげるように、その穂先は騎士へと向けられ。
「悪いことばかりするあなたは――」
タンケイの怒りに呼応するは自然の力を宿せし樹槍。幾本もの木の根を束ね、より太く鋭い槍と化して。
「急急如律令!」
「串刺しです!」
一斉に放たれた水と樹の槍が、次々と帝国騎士を貫いていく。
「な、何だこの力は――グアアアアアアアッ?!」
スペースシップワールドでは稀有な神霊と自然の力に打ちのめされる帝国騎士。
そう。この世界には今、あらゆる世界からの力が集い、帝国打倒のため動き出しているのだ。
成功
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神元・眞白
【SPD/アドリブOK/絡みOK】
いつもと違う場所。少し新鮮。周りも気になるけど、やる事はやらないと。
相手も初めて見るし、周りに合わせて少しサポートもとい情報収集。
符雨(人形)にはまた役割を変わってもらって、こっちは変装して目立たない様に。
乱戦になるなら、魅医を出そう。符雨に攻撃が来るのに合わせて使えば
カモフラージュになるし、皆楽になるはず。……代償はばれない様我慢。
一段落ついたら潜入してたのが1体だったのかちゃんと確認。
船の人も安心させるまでが一仕事……だし。戦いは数。
ゼイル・パックルード
騎士サマね、いかにも強そうで叩き潰しがいのありそうだ。
乗り込んできたってことは、大層自信があるんだろうが...壊されるのはこの船じゃなくてあんただぜ。
【POW】
基本は【第六感】や【見切り】を働かせて攻撃を避けながらルーンソードやサムライブレイドで戦う。
敵の攻撃が当たったら当たったでそれでいい。傷口や爆破されたところから【ブレイズフレイム】を出して攻撃兼目眩まし。
隙ができたら...さすがに痛いだろうし【気合い】いれて【捨て身の一撃】でもするかね。
後は鎖で繋がれちまうんだし【2回攻撃】とか手数で攻める。相手は燃えるわけだし時間かければこっちのもんだ。
(いつもと違う場所。少し新鮮)
見慣れぬスペースシップの風景を、物珍しげに神元・眞白(真白のキャンパス・f00949)は見回す。
星の海を漂う宇宙船での生活とはどのようなものか。どんな人々が暮らしているのか。思いを馳せられることは尽きないが。
(周りも気になるけど、やる事はやらないと)
人形遣いの娘は目立たないように変装し、戦いを見守る群衆に紛れ込む。
主人に代わって戦場に立つのは戦術器「符雨」――人形であることを悟られぬよう、主人のような振る舞いを演じさせ。
傷ついた帝国騎士に向かって、符と銃弾の雨を浴びせる。
「まだだ……帝国騎士に敗北は許されぬ!!」
傷ついた騎士は、その身に再び鮮血の如きオーラを纏うと、超加速によって符雨の弾幕から逃れる。
そのまま一気に距離を詰め、人形を叩き斬ろうとする騎士――だが、その前にゼイル・パックルード(火裂・f02162)が皮肉げな笑みと共に立ち塞がる。
「俺とも遊んでくれよ、騎士サマ」
「ええい、次から次へと!」
怒りと共に振り下ろされるフォースセイバーを、ゼイルは左手のルーンソードで受け止める。
すかさず右手の刀「冥夜」で反撃の一太刀を放てば、騎士の鎧の隙間から血飛沫が舞う。
「乗り込んできたってことは、大層自信があるんだろうが……壊されるのはこの船じゃなくてあんただぜ」
「ほざけ! 先ずは貴様から沈めてくれるわ!」
更に加速しながら振るわれるフォースの刃。しかしゼイルはそれを二刀を巧みに操り捌き続ける。
その後方からは符雨が援護射撃を行い、騎士の動きを牽制していく。
「いったい……何者なんだ、あの人たちは」
その戦いを見ていた『ヘリオトロープ』の船員の一人が疑問を口にする。
一騎当千の帝国騎士を相手に、少人数で互角以上に戦う彼らは何者なのかと。
「あの人たちは、猟兵」
その問いに答えたのは、群集に紛れながら符雨を操っていた眞白だった。
「解放軍再結成の、立役者。銀河帝国と、世界の敵と、戦う者たち」
「猟兵……彼らが……」
「彼らは今、大きな戦いの最中。この宇宙を帝国から救うための」
静かな眞白の言葉が、船員たちの不安を拭い去り、その心を鼓舞していく。
「頑張れ、猟兵!」
「帝国に負けるな!」
次第に人々の間からは、戦う猟兵たちに対する声援が上がるようになった。
その光景をどこか満足げに眺めながら、眞白はひとつの確信を得る。
(この船内に、まだ潜入している工作員はいない)
群集の中を探しても、怪しい動きをしている人物はいなかった。帝国騎士が劣勢である現状なら何かしら動きがあっても良い筈だが、それもない。
すなわちこのテロは帝国騎士単独の犯行であり――それで如何にかなると解放軍と猟兵を侮った、銀河帝国の失策と言える。
「脆弱な反逆者どもを蹴散らし、コアマシンを破壊する。ただそれだけの簡単な任務だったはずだ。それが何故こうも――!」
「慢心が過ぎれば我が身を滅ぼすってことさ」
忌々しそうに呟く騎士に、ゼイルは口の端を吊り上げる。
その態度に激昂した騎士は、フォースセイバーに鮮血のオーラと雷撃を纏わせて。
「舐めるなァッ!!!」
飛翔する念動力の斬撃と共に放たれる渾身の一太刀。流石にこれは見切れないかと判断すると、ゼイルは急所だけを避けてその攻撃を体で受け止める。
鮮血が舞い上がり、声援を送る船員たちから悲鳴が上がる。だがその直後、舞い散った血は紅蓮の炎と化して、帝国騎士に襲い掛かった。
「何だとッ!?」
炎に包まれる帝国騎士。ブレイズキャリバーの操る地獄の炎は、容易なことでは消えはしない。
業火が騎士の視界を眩ませた隙に、ゼイルは傷の痛みを堪えながら剣を構え直し。
「お返しだ……!」
「グ、ァッ?!」
裂帛の気合を込めた、防御を捨てた一撃が騎士の体を貫き、膝をつかせる。
「どうだ、効くだろ?」
ぽたぽたと炎血を滴らせながらも、笑みを崩さないゼイル。
そんな彼の元に一体の人形が駆け寄り、傷口に手をかざす。すると、そこから溢れ出た治癒の力が傷を塞いでいく。
それは眞白の呼び出した戦術器「魅医」。代償と引き換えに主の力を治癒の力に変換する能力を持つ人形である。
「ありがとよ」
人形と、どこからか見ている主人に向かって短くゼイルは礼を言う。流血の代償を引き換えに負った眞白は、痛みを堪えながら頷きを返す。
負傷を重ねていく騎士に対し、猟兵の戦力はまだまだ十全であった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
須藤・莉亜
「攻めるのは守るのと同じ意味だよね?たぶん」
守るのは苦手だからどんどん攻めていこう。
時喰らいを使って隙を作りつつ、大鎌で攻撃。
2秒あれば、ギリ回避も…出来たら良いな。
【吸血】と【生命力吸収】で自分の回復も忘れずに。
「圧倒って言われてもなぁ。どう思う?帝国騎士さん」
アドリブ、他の人との連携歓迎
ガウナガルム・カール
…てい国のい光と力を示す、か……存在しない力の、何を示すつもりだ?
むしろ、お前達こそが、きょうふしろ。ほろぼされるのは、お前達てい国軍だ…!
ミディアの護衛は、オレがうけ負おう。
常にかの女に、手の届くきょりで、[野生の勘],[第六感]を使用し気を張り…危機がせまれば[かばう]で、敵のこうげきをかた代わりする。
【ブラッド・ガイスト】
…オレのツメは、オレが傷付く度に、強くなるから…かばいながら戦うのに、向いているはずだ。
痛みには慣れているし…[激痛耐性]もある。
敵につかれがみえてきたら[挑発]し、[カウンター],[鎧無視攻撃]を使い、強くなったツメでこうげきだ。
「……認めよう。貴様らは強い。我ら帝国の脅威と成り得る程に……」
罅割れた機械鎧の隙間から流血しつつ、帝国騎士は語る。だが、その目から今だ戦意は失われてはいない。
「しかし我も帝国騎士として、この命にかえても任務は遂行する!!」
サイキックオーラを振り絞って、振り上げられたフォースセイバー。その刃が狙う先にいる者は――。
「ワープドライブの簒奪者よ。貴様さえ討てば、この戦いの勝敗は決する!」
「っ!!」
紅い念動力の斬撃が、後方にいた『ワープドライブ』の担い手たるミディアに襲い掛かる。
彼女の死は、猟兵たち解放軍にとって最悪の結末を意味する。
――だからこそ、その護衛を担う猟兵がいないはずがない。
ミディアの危機を察知し、即座に動いたのはガウナガルム・カール(腐落の番犬・f05861)。人狼の俊敏性を以って飛来する斬撃の前に飛び出すと、その身を挺してミディアを庇う。
「あ、ありがとうございます……! でも、お怪我が」
「だい丈夫だ」
引き換えに受けた胸の傷に手を当てながら、ガウナガルムは答える。
この程度の傷なら、まだ戦える。痛みにも慣れている。だから何も問題はない、と。
「チッ。ならばもう一撃――」
「やらせないよ、そう何度も」
再びミディアを狙おうとした、帝国騎士の背後からゆらりと迫ったのは須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)。
獲物の血を啜る白い大鎌が振り下ろされ、騎士の背中を抉る。
「が……ッ!」
「不味いね、あんたの血」
古くなった機械油みたいだ――そんな感想を呟きながら、莉亜は弧を描く大鎌の刃を振り回す。
彼は守るのが苦手だった。だからそれは仲間に任せる。自分は、自分の得意とする方法で目的を果たせばいい。
「攻めるのは守るのと同じ意味だよね? たぶん」
マイペースな言動とは裏腹な猛攻。次々と騎士に刻まれていく死の傷痕。
「お、のれぇぇぇぇぇぇ……!」
大鎌の乱舞から逃れるため、騎士はまたダークフォースバリアを発動させる。
全身からオーラと電撃を迸らせ、敵の猛攻を上回る速度を得る。その代償として失う自らの命を厭う様子は微塵もなく。
「調子に乗るなよ、猟へ――――」
稲妻の如き俊足で刃を掻い潜り、フォースセイバーを莉亜の喉首に突き立てんとした騎士。
だが、切っ先が莉亜に触れるあと数ミリの位置で、その動きがピタリ、と停止する。
騎士だけではない。この戦場の、すべての対象の時間が、停まる。
「ちょっとした悪戯ってとこかな」
莉亜のユーベルコード【時喰らい】。周囲の「時間」を喰らい、自らだけが自由に動ける一瞬を生み出す秘儀。
ピクリとも動かない帝国騎士の横をスタスタと通り過ぎながら、彼は大鎌を一閃させ。
「圧倒って言われてもなぁ。どう思う? 帝国騎士さん」
そう呟いた直後、喰らわれた「時間」が戻ってくる。
同時に胸を深々と斬り裂かれ、血飛沫を迸らせる帝国騎士。
「――?! 何、が
……?!」
理解不能だろう。殺ったと確信したはずの敵の姿が目の前から消え、気が付かないうちに自分が斬られていたのだから。
帝国騎士を手玉に取るが如きその戦いぶりは、端から見れば「圧倒」と呼ぶに相応しい。
「……てい国のい光と力を示す、か……存在しない力の、何を示すつもりだ?」
膝を突いた騎士に、ガウナガルムは挑発の言葉をぶつける。
銀河帝国は既に過ぎ去った過去。それを恐れる理由など微塵もないと。
「むしろ、お前達こそが、きょうふしろ。ほろぼされるのは、お前達てい国軍だ……!」
自らの血を吸った両手のツメでクイ、と手招きし、騎士の攻撃を誘う。
「帝国は……滅びぬ。皇帝陛下がおわすかぎり、何度でも蘇る!!」
露骨な挑発だとしても、乗らねばならぬ。それが騎士の矜持に触れることならば。
鮮血のオーラで加速し、一気にガウナガルムとの距離を詰めた帝国騎士は、怒りのままにフォースセイバーを振り下ろす。
「今度こそ斬り捨ててくれる。その女ごとッ!」
「それは、ふ可能だ」
赤黒いフォースの刃を、ガウナガルムは右腕のツメで受け流し。同時に、左腕のツメでカウンターを仕掛ける。
殺戮捕食態へと変化したガウナガルムのツメは、血の匂いを嗅ぎ付ける猟犬の如く、莉亜が刻み付けた傷口を深々と抉る。
「この女には、手を出させないし、お前はオレ達がほろぼすからだ……!」
「ガアッ!?」
番犬のツメが、騎士の鎧と肉体をズタズタに引き裂いていく。
今度は貴様が狩られる番なのだ、と。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
リグレース・ロディット
敵が多いし、強いね……!けどまだまだ負けてない。頑張るよ!そしてもっともっと強い敵を倒しに行くんだ!!
【POW】やっぱりあの鎖は邪魔だよねぇ。斬撃をUCの『サイコキネシス』で打ち消せないか試してダメだったら、鎖が切れるかどうか試してみるね。時間が惜しいから最初っから装備の『束縛する黒』でサイキックエナジー強化して攻撃するよ。
攻撃技能をめいいっぱい使って頑張るよ。こんなところで負けるわけにはいかないもんね!!
(絡み・アドリブ大歓迎)
英・明夜
敵の騎士は、とにかく派手に戦うみたいだし、隙を見せることも多いのかな、やっぱり。
例えば、大見得を切ってるところで攻撃したら卑怯っぽいけど、言い終わった直後、とかなら、明夜たちが卑怯には見えないかなあ?
短い隙でも得られたら、まず霊符をサッと投げ付けて(クイックドロウ)、七星七縛符。
技を封じられたら、こっちのもの!
この船は、帝国の領土なんかじゃない。この船を愛する人達のもの、なんだからね!
あとは、なぎなたで攻撃しつつ、移動を妨害したり。
解放軍の皆の側に行けたら(コミュ力)、大丈夫だよ!って、手を握って、笑顔で言うね。
今までずっと、挫けずに頑張ってくれて有り難う。
だから、明夜たちが間に合ったんだよ。
満身創痍――もはや騎士はそう形容するに相応しい状態だった。
当初の悠然とも傲慢とも取れる振る舞いは消えうせ、威圧的な漆黒の機械鎧もボロボロの有様。
されど、その鎧の内に秘める騎士の魂は健在である――それが歪み果てた邪悪なものであったとしても。
「帝国は……滅びぬ。過去も、現在も、そして未来も! この宇宙のあまねく全ては、帝国の支配する領土なのだ!!」
血塗れの腕を振りかざし、念動力を振り絞った騎士の頭上に翻るはインペリアルフラッグ。その荘厳にして邪悪なるオーラは、見る者に強制的な畏怖と威圧を与える。
この御旗が翻る所が、すなわち帝国の領土なのだ――と。
「大見得切った直後に悪いけど」
だが、そこにすかさず英・明夜(啓明・f03393)が霊符を投げ付ける。
騎士の胸に霊符が張り付いた瞬間、発動させるのは七星七縛符。明夜の命を代償として霊符の力が騎士を束縛し、そのユーベルコードを封印する。
「な――我らの旗が! 我らの帝国旗が!」
消えていくインペリアルフラッグを愕然とした表情で見上げる騎士に、明夜は宣言する。
「この船は、帝国の領土なんかじゃない。この船を愛する人達のもの、なんだからね!」
民に恐怖と涙を強いるような帝国の支配など、彼女は決して認めない。
彼女が戦う理由は、涙を流す誰かが、未来で笑顔になるためなのだから。
符に捕縛された騎士に追撃を仕掛けるのはリグレース・ロディット(夢みる虚・f03337)。
「悪いけどこっちも、こんなところで負けるわけにはいかないもんね!!」
かざした掌から放たれるのはサイコキネシス。不可視のサイキックエナジーの衝撃が、騎士の身体を壁に叩き付ける。
「グ、ゥ……これはサイキックか……笑止!!」
帝国騎士もまた練達のフォースナイト。闇に染まったサイキックエナジーの念動力が、リグレースのエナジーを押し返していく。
「やっぱり、強いね……!」
サイキックを振り絞るリグレースの額に汗が流れる。
この戦いは銀河帝国攻略戦のまだ緒戦に過ぎない。敵の戦力は強大であり、この騎士よりも強い敵も控えていることだろう。
だからこそ、こんなところで足踏みをしてやるつもりは、リグレースには微塵もなかった。
「まだまだ負けてない。頑張るよ! そしてもっともっと強い敵を倒しに行くんだ!!」
「ほざけ! ここが貴様らの終着点よ!!」
霊符を力尽くで引き剥がした帝国騎士が、解放されたユーベルコードを発動する。
真一文字に振るわれたフォースセイバーから放たれる念動力の斬撃。それはリグレースのサイキックを切り裂いて彼の喉首へと迫り――。
「負けるもんかっ!!」
瞬間、リグレースの腕に嵌められた腕輪――「束縛する黒」が起動する。
それは彼のサイキックエナジーを強化する増幅器。腕輪に埋め込まれた黒曜石のバラが輝き、リグレースのサイコキネシスが何倍にも増幅される。
「ば、馬鹿なっ!? この私がサイキックの勝負で負けるだと……っ!!」
渾身のインペリアルブレイドを弾き返され、押し寄せたサイキックの奔流に吹き飛ばされる帝国騎士。
「みんな、もう大丈夫だよ!」
彼方に飛ばされていった騎士を見届けた明夜は、『ヘリオトロープ』の人々に告げる。
「今までずっと、挫けずに頑張ってくれて有り難う。だから、明夜たちが間に合ったんだよ」
もしもこの船の人々が早々に帝国騎士の恐怖に屈していれば、既にコアマシンは破壊されていただろう。
儚くとも、辛くとも、ギリギリの所で彼らは希望を捨てなかった。そんな人々の手を順番に握って、明夜は笑顔で健闘を讃える。
「とんでもない、俺たちの力なんて僅かなもので……」
「この船を救ってくれたのは、あなたたちのお陰だ」
「これからは我々も解放軍として、微力ながら力になる。共に戦わせてくれ!」
「うんっ!」
船員たちの力強い言葉に、明夜もまた、満面の笑顔で応え。
「それじゃあ、そのためにはまず――決着をつけないとね!」
薙刀を手にして、帝国騎士が吹き飛ばされていった方角を見やる。
これ以上、あの騎士に何もさせはしない。追撃し、骸の海へと送り返すのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
デナイル・ヒステリカル
圧勝をのぞまれました。
ならば、心得ましたよ、と返します。
元より火蓋は切って落とされているのです。
ここでミディアさんを失い、コアマシンを破壊されるようでは、遠からずSSWはオブリビオンの手に落ちる事でしょう。
そんなことはさせません。
僕は僕の信念(プログラム)に従い、帝国勢力を撃滅します。
ホルスターからスマートガンを抜き撃ち、他の猟兵の攻撃の隙を無くす援護射撃とします。
装填された弾丸を撃ち尽くした後はUC:ラスト・ワン・ショットを使用。
武器を掻い潜って本体を狙い撃ち、勝敗を決しましょう。
カーニンヒェン・ボーゲン
【UC:手足】を召喚。
マシンガン装備の人型にトランスフォームさせ、迎撃致します。
散開させ、各々反撃にあたらせましょう。
動きが派手だということは、探す手間はいりませんね。
撃ち合いの音や閃光を頼りに前線へと参ります。
手足達への指示は下記に。
一団体を取り囲み、全方位からの掃射を行ってください。
テロということであれば、戦艦の損傷を目的とした武器や兵器もあるのでしょうか…。
爆発物等を未然に防げるのであれば、身を呈して被害を抑えましょう。
私自身は見定めねば。
戦場の敵の数や位置を把握し、難易をみて機体の合計値を調整します。
他の猟兵どののサポートが出来れば尚良いでしょうか。
我らの団結力をアピールしますぞ。
ファン・ティンタン
宇宙を救うなんて柄じゃないけど、気に入らない奴らを叩き斬るついでと思っておけば良いかな
戦闘は積極的攻勢に出る
現状が防衛戦であろうとも、“自分達が敵を駆逐し戦況を切り開く”という姿勢こそが士気を保つ秘訣だよ
【刀心習合】で近接戦に特化
【殺気】を孕んだ【残像】で敵の意識を撹乱しながら接近
【オーラ防御】で急所(【天華】本体)を守りつつ、殴り合いへ
騎士を名乗るなら、斬り結びにおいで
私はこの身一つで、あなたを殴り斬り、蹴り断ってみせるから
敵インペリアルフラッグでの帝国領認識だけは、【オーラ防御】なりで防御を固めつつ、身を挺して阻止する
猟兵の人はともかく、普通の人々の士気を削がれる事だけは、防がないと…ね?
「クッ……この傷、致命傷か……」
胸の傷を押さえ、よろめきながら船内を歩く帝国騎士。
「申し訳ありません皇帝陛下、私は任務を遂行できませんでした……」
すべては敵の戦力を――猟兵の力を侮った己のミス。
彼らの力は間違いなく銀河帝国の脅威となる。その刃は、あるいは皇帝陛下にさえ届き得るやも――と、不敬なる考えを捨て切れないほどに、その力と連携は凄まじいものだった。
「一人の武人としては認めざるを得ぬ。我が敗北と、汝らの力を――だが」
背後から追ってくる足音を聞きつけて、騎士は振り返る。
「騎士としては潔く散ってやるわけにはいかぬ。皇帝陛下の御為に、この船に少しでも損害を与え――貴様らを一人でも多く道連れにしてくれよう!!」
その瞳に宿るのは決死の意思。その背後には不退転の覚悟を示すかのように、帝国の旗が翻る。
「皇帝陛下のため――主のため、か」
その決意の言葉に思うところがあったか、追撃に現れたファン・ティンタン(天津華・f07547)は軽く目を細め。
柄から刃までが真白き妖刀「天華」を鞘に納めると、騎士に呼びかける。
「騎士を名乗るなら、斬り結びにおいで。私はこの身一つで、あなたを殴り斬り、蹴り断ってみせるから」
「よかろう。手合わせ願おう!!」
もはや任務は失敗したも同然。故に騎士は傲慢を捨て、命を捨て、唯この一戦に全てを賭けるべく鮮血のオーラを纏う。
対峙するファンは刀心習合を発動。天華の切れ味と強度を、自らの肉体に合一させる。
(宇宙を救うなんて柄じゃないけど、気に入らない奴らを叩き斬るついでと思っておけば良いかな)
その紅い瞳に、静かな殺意を乗せて。
「行くよ」
宣言は静かに、先手を取ったのはファン。
この戦いの様子は今も船内に中継されて、多くの人々が見ていることだろう。彼らの前で引け腰な戦いは見せられない。
"自分達が敵を駆逐し戦況を切り開く"という姿勢こそが士気向上に繋がるのだと、彼女はよく理解していた。
「殴り斬る」
一息に徒手空拳の間合いまで踏み込んだファンの手刀が騎士を斬り裂く。
「グッ……なんの!」
鮮血を上げながらも騎士は反撃のフォースセイバーを振るう。だが、間合いが近すぎる。振り遅れたフォースの刃が捉えたのは、殺気を孕んだファンの残像のみ。
ファンはその隙に騎士の側面をすり抜けると、オーラで保護された拳をインペリアルフラッグに叩き付ける。
中心から亀裂が走り、パリン、と硝子のような音を立てて砕け散る帝国旗。
「猟兵の人はともかく、普通の人々の士気を削がれる事だけは、防がないと……ね?」
「どこまでも、我らの支配を受け容れるつもりは無いということか……!」
当然、と頷きながら、ファンは再び拳を構える。
「どうあってもこの船と貴様らが従わぬとあれば……こうするのみよ!!」
接近戦では分が悪いと認めた騎士は戦法を変え、全身から赤黒い電撃を放つ。
それは対峙するファンを狙ったものではなく、完全に無差別。勝利の為ではなく『ヘリオトロープ』に被害を与えるためのものだ。
しかしそこに、物陰から飛び出した人型の機械の群れが、盾となって電撃を受け止め、船の被害を抑える。
「新手か……? しかしこれだけの数、一体いつの間に……!」
「到着が遅くなりましたな」
人型機械の後から姿を現したのはカーニンヒェン・ボーゲン(或いは一介のジジイ・f05393)。
老紳士は優雅に一礼すると、ここに来るまでに施した仕込みを開帳する。
「この戦場の包囲は完了しております。何処にも逃げ場はございませんし、他の猟兵どのをサポートする体制も万全ですぞ」
「つまり、この私は袋のネズミ、ということか」
如何にも、と頷くカーニンヒェン。それを肯定するように、彼の「手足」たる人型機械たちがマシンガンを構える。
「我らの団結力、いかがですかな。帝国の結束にも努々劣らぬものと自負しております」
その言葉は騎士だけでなく『ヘリオトロープ』の船員にも向けられたものだ。これが猟兵の――解放軍の結束が生み出す力なのだと。
「ふん……最初から逃げるつもりもない。言ったはずだぞ、貴様らを一人でも多く道連れにしてくれよう、とな!!」
絶体絶命の状況でも、騎士の決意は揺らがない。
一斉に放たれるマシンガンの弾幕を、ダークフォースバリアの超加速で回避し、電撃と念動力の斬撃を放って人型機械を蹴散らしてゆく。
その戦いぶりはまさに獅子奮迅――あるいは窮鼠猫を噛む、と言ったところか。
「これは良くありませんな」
カーニンヒェンは落ち着いた態度を崩さずに、健在の「手足」たちを合体させ、より強力な機体へとリビルドする。
照準システムの精度もより正確に。だが、それでも赤黒い雷光の如く戦場を駆け巡る騎士の動きを、あと一手捉えきれない。
「どうした、猟兵よ! この私を止められなければ、帝国妥当など稚児の夢にも劣るぞ!!」
「――ならば止めてみせましょう」
タァン。一発の銃声と共に放たれた弾丸が、騎士の片脚を撃ち抜いた。
「何……っ!」
帝国騎士の動きがガクンと鈍る。その隙を逃さずに、カーニンヒェンの「手足」が一斉に弾幕を張る。
「うおおおおおっ
!!!?」
必死にフォースセイバーを振るい弾丸を切り払う。それでも全て捌き切れる量ではない。
蜂の巣になっていく帝国騎士に、弾丸の主――デナイル・ヒステリカル(架空存在の電脳魔術士・f03357)は告げる。
「僕らは圧勝を望まれました」
そして彼はそれに、心得ましたよ、と返した。
「ここでミディアさんを失い、コアマシンを破壊されるようでは、遠からずSSWはオブリビオンの手に落ちる事でしょう。そんなことはさせません」
既に火蓋は切って落とされている。ならばこの先、進むべき道は勝利のみ。
「僕は僕の信念(プログラム)に従い、帝国勢力を撃滅します」
デナイルの視線とリンクしたスマートガンが再び火を噴き、帝国騎士を撃ち抜いていく。
「信念――ハハ、信念か。ならばこちらも負ける訳にはいかんな!!」
デナイルに標的を変更した帝国騎士は、二重の弾幕を浴びせられながらも距離を詰めていく。鎧を砕かれ、血塗れになろうとも。信念が折れぬ限りこの身は不屈だと言わんばかりに。
広いとは言えない船内での戦闘。後退しながら牽制射撃を続けようにも限界はある。
やがてカチン、と軽い音を立ててデナイルのスマートガンが沈黙する。
弾切れ――それと同時に、カーニンヒェンの「手足」からの射撃も停止する。
必殺の好機と見た帝国騎士は、念動力を纏ったフォースセイバーを振り上げる。
「殺った――
!!!!」
「――ううん、殺らせないよ」
インペリアルブレイドが放たれる寸前、再び徒手の間合いに踏み込んだのはファン。
二者が同時に射撃を止めたのは、彼女の接近を阻害しないため。
「蹴り断つ」
高々と蹴り上げられた足刀が、騎士の右腕を切断する。それは騎士のフォースセイバーが握られた手でもあった。
「が、ああああああああっ?!」
片腕と武器を失った帝国騎士が絶叫する。
旗を砕かれ、剣を失い――彼は今、騎士として拠って立つ全てを失ったのだ。
勝敗を決する時は今。そう判断したデナイルが再びスマートガンを構える。
残弾はすべて撃ち尽くした。だがまだ取って置きの一発が――ラスト・ワン・ショットが残っている。
電子の精霊を弾丸として装填し、限界出力を超えた電力を充填。銃口内に納まりきらない電圧が、紫電となって迸る。
「う、おぉぉぉぉぉぉぉぉっ
!!!!」
危機を察知した帝国騎士は、最後に残された力を振り絞って電撃を放つ。
だが、それはデナイルに届く前に、カーニンヒェンの「手足」が盾となって受け止める。
「終わらせましょう」
「感謝します」
老紳士の言葉にデナイルは頷き、その銃口を仮面に覆われた騎士の頭部へと向けて。
「これで終わりです」
雷鳴の如き銃声と共に放たれた銃弾は狙い過たず、騎士の眉間を貫いた。
「見事、だ……だが、我が敗れようと、帝国は滅びぬ……皇帝陛下、万歳
!!!!!」
その言葉を最後に、消滅していく帝国騎士。
かくして猟兵たちは銀河帝国によるテロを阻止し、『ヘリオトロープ』を解放軍に加えることに成功したのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵