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銀河帝国攻略戦⑦～ギャラクシー・エクスペディション

作者：鹿崎シーカー

「いやー……大変なことになったなァ……」
　シーカー・ワンダーはぼやきつつ、顔の画面にスライドを浮かべた。
　『ヘロドトスの戦い』の結果、銀河皇帝によって封印されていた遺失技術『ワープドライブ』が復活した。ワープドライブは、フォースナイト・ミディアのユーベルコードによって、宇宙船のコアマシンに付与されるもの。これが為された宇宙船は、スペースシップワールド内でのワープが可能となるという。
　これによってスペースシップワールドの全戦力を糾合し、銀河帝国に対抗する事が可能になった。これはまさに、銀河帝国に対抗する伝説の『解放軍』の再来となるだろう。
　しかし、ワープドライブが復活したといっても、万能ではない。遺失技術によって建造された帝国大要塞『エンペラーズマインド』がある限り、その周辺地域へのワープは不可能。つまり、解放軍の艦艇は、『エンペラーズマインド』周辺宙域にワープした後、通常航法によって、銀河帝国の本拠地に攻め込まなければならない。
　この通常航法で移動を強制される、解放軍艦隊を撃滅すべく銀河帝国が用意したのが集積型反射鏡『カイザー・レイ』だ。これは、巨大特殊ミラーから構成される戦略防衛兵器です、エンペラーズマインドから照射されるエネルギーを反射し、対象の艦艇を破壊するという代物だ。
　このカイザー・レイが機能すれば、集結する解放軍の艦が次々に破壊されてしまう為、カイザー・レイを構成するミラー一つ一つを、猟兵の手で破壊しなければならない。
　反射衛星砲のミラーには、ミラーを守るオブリビオンが常駐しているので、グリモアベースからカイザー・レイのミラーに直接転移し、防衛オブリビオンを撃破の上、ミラーを破壊してほしい。

第1章 ボス戦 『餓狼無道』

POW   :    ライクアヒュドラ 自身の身体部位ひとつを【ドラゴン】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。 SPD   :    キリングイカロス 【高速演算による正確な未来予測】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【急所を撃ち抜くレーザー】で攻撃する。 WIZ   :    デウス・エクス・マキナ 見えない【遠隔操作型ナノマシン】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。 👑11 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

　集積型反射鏡『カイザー・レイ』！　巨大な鏡の集合体たる大地に、デジタルノイズがかかった竜人の影がひとつ佇む。ローブを着用し、カイザー・レイの上で微動だにせぬ餓狼無道は、前触れなく背後を振り向いた。やや離れた箇所に六つそびえ立つ光の柱。そのうちの一本から、デナイル・ヒステリカル（架空存在の電脳魔術士・f03357）が飛び出す！　一拍遅れて現れたアトシュ・スカーレット（銀目の放浪者・f00811）がぎょっとして声を上げた。
「お、おい！　もう突っ込むのかよ!?」
「危険は重々承知です！　しかし時間がありませんので……」
　疾走しながら叫び返すデナイルの両手を雷が包む。両拳を握り込んだデナイルは、片手を上げた餓狼無道へ特攻！
「行きますッ！　はぁッ！」
　雷鳴轟くダブルパンチに、餓狼無道は上げた片手の平を突き出した。デナイルの拳を命中寸前で停止させ、餓狼無道はもう片方の腕をドラゴンヘッドに変形させて殴りかかる！　腕を引けず目を見開くデナイルの前に、継ぎ接ぎだらけの人形が割り込みドラゴンヘッドをブロック！　蜂蜜院・紫髪（怠惰な蜂蜜屋・f00356）は指二本を鼻先に立てる。
「護り給え、清め給え。悪しき竜の似姿を、祓い給えヒトガタよ！」
　紫髪が手を人形の背にかざした瞬間、人形の左腕が餓狼無道のそれより巨大なドラゴンヘッドに変身！　咆哮しながら噛みかかる竜の頭部を餓狼無道は滑るような後退で回避する。そこへ遠呂智・景明（さむらいおろち・f00220）が低姿勢ダッシュで肉迫！　餓狼無道は両目を光らせ、両手指先からビームを連射した。景明は口の端を吊り上げ、加速とブレーキを繰り返しながら複数の残像を引いて突撃を敢行！　残像の眉間や胸をすり抜ける光線に構わず、一足跳びに懐へ！
「ひゅどらってことは蛇だなてめぇ。速きこと風の如くだ。迅速にぶった切ってやる」
　神速抜刀！　景明が一瞬で餓狼無道の背後に移動すると同時、竜人の胸が斜めに裂かれた。激しいノイズに覆われるから離れた位置で、尻餅をついたデナイルの隣に紫髪が立つ。
「ええい、馬鹿者。一人で先走るでないわ」
「す、すみません……」
　申し訳なさそうな顔で後ろ髪をかくデナイルに、カレーライスが差し出される。久世浦・穗積（戦争論・f01538）はスプーンを口に加えつつ、
「ま、カレー食べて落ち着こう。そんで、食べたカレーの分だけ頑張ろう。食べなよ」
　穗積が新たに取り出したカレーをもらい、アトシュとリグレース・ロディット（夢みる虚・f03337）は勢い込んで一気にかき込む。唇についたルーを舐め取ったアトシュは引き抜いた刀に炎をまとわせ、リグレースは両の瞳を真っ赤に染める。ロケットスタートを決めて飛び出した二人の前で、ノイズの輪郭を戻した餓狼無道は両手をドラゴンヘッドに変化させて殴りに突撃！　身を低くしたアトシュの手中で、刀の炎が赤から毒々しい緑に変色。
「お先もらうぜ！」
「うん」
　足を速めたアトシュに向かって餓狼無道が右のドラゴンヘッドを繰り出す！　これを屈んでかわしたアトシュは竜頭の顎を下から斬り上げ、追撃の左ドラゴンヘッドを紅色の魔力防壁でガード。上から振り下ろされる右ドラゴンヘッドを、アトシュは右に斬り払い、逆手に持ち替えて左に斬り裂く！　斬られたドラゴンの鱗が焼けて不敗し、黒い砂嵐じみたノイズに侵食される。魔力防壁で左竜頭を押しのけ、片足を引いた姿勢から渾身の斬撃！
「ぜあッ！」
　口を縦に割られた竜が悲鳴を上げた。目蓋をわずかに動かした餓狼無道は後方回転跳躍で距離を取る。だが滞空する餓狼無道に、同じく跳躍したリグレースが接近！　餓狼無道は空中で緑の煙を噴き上げる両のドラゴンヘッドでのパンチ！　両肩に食らいつかれたリグレースは赤い瞳を鋭く細めた。
「ドレイン勝負？　……こう見えてもダンピール。舐めないでね？」
　リグレースは口を割られた左ドラゴンヘッドに噛みつき、勢いよく吸息！　すぐさま左ドラゴンヘッドの輪郭が崩れて砂嵐と化し、リグレースの口に吸いこまれていった。危機感に目を見開いた餓狼無道は両腕をパージして後方の地面に着地。残ったもう片方も噛みついて吸収したリグレースは顔をしかめつつ、片手を餓狼無道にかざしてみせる。
「……やっぱり美味しくない。美味しいカレー食べた後だし、なおさらね」
　リグレースの腕にはまった腕輪の、薔薇を模った黒曜石が漆黒の光を放つ。リグレースが力強く手を握ると共に、餓狼無道が黒い大蛇じみた霧に縛り上げられた。リグレースの背後から穗積が声をかけた。
「んーそろそろカレーパワー溜まるから待ってー。そのままそのままー」
　カレーを口に押し込み、隣に積み上げたカレー皿の山に一枚重ねる。立ち上がった穗積の全身からカレー色のオーラが業火の如く燃え上がり、手にしたカレースプーンが巨大化。身の丈以上になったスプーンを肩に担ぎ、穗積は屈む！
「カレーパワー、フルチャージ。よし、行くぞっ」
　オーラを足に集中してハイジャンプ！　リグレースを飛び越え、餓狼無道の真上に到達した穂積はカレースプーンを大上段に振り上げる！　そして縛られた餓狼無道めがけて落下し、カレースプーンを振り下ろした！
「そーらよっ」
　竜人の脳天にカレースプーンが叩きつけられ、足元の鏡の大地に放射状の亀裂が走った。穂積はそのままカレースプーンで餓狼無道を連打、連打、連打！　一撃ごとに亀裂が広がり深まっていく。その光景を遠目に、景明は抜き身の刀で肩を叩いた。
「さーてと……んじゃあ、派手にみらぁぶっ壊すかぁ！」
「は、はいっ！」
　慌てて立ち上がったデナイルが再度両手に雷を宿し、ひび割れていく足元の鏡を思い切り殴打！　一方景明とアトシュは姿勢を低くして飛び出し、鏡に入った亀裂に刀を差し込んで抉るように斬り抜いていく。紫髪はふっと笑い、周囲に狐火を浮かべてリグレースへ飛ばす。腕輪に片手を当て、懸命に餓狼無道を縛り続けるリグレースを狐火が包み、肩の歯型を綺麗さっぱり消していく。鏡のヒビは程なくして全体に達し、耳障りな軋みを上げた。穂積はたたらを踏みながら巨大カレースプーンを振り上げ、下半身を残してノイズ化した餓狼無道に狙いを定める。カレーオーラ全集中！
「ぃよいしょーっ」
　殴打の衝撃と共にカレーオーラが周囲に拡散。その時、ビキッと一際大きな破砕音が響き、鏡の大地は硝子のような音を立てて砕け散った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

最終結果：成功 完成日:2019年02月01日 宿敵 『餓狼無道』 を撃破！