志羽
お目通しありがとうございます、志羽です。
プレイング締め切り、受付方法などはお手数ですがマスターページの【簡易連絡】をご確認ください。
プレイング受付は冒頭公開後からとなります。
●シナリオについて
第一章:冒険『ようこそ、クイーンオブハートの庭園へ!』
第二章:ボス戦『マーダー・ラビット』
以上の流れとなっております。
●プレイングボーナス
『アリス御一行にも手伝ってもらう』
どのような状況かは冒頭にて。
アリス一行の面々はご自由に。こういう子を助けるという体でどうぞ。
特に指定なければこちらでランダムに。
●お願い
複数人数でのご参加の場合は、ご一緒する方がわかるように互いに【ID】は【チームタグ】を記入していただけると助かります。また、失効日が同じになるように調整していただけると非常に助かります。(続けて二章参加の場合、IDについては必要ありません)
ご協力よろしくお願いします。
以上です。
ご参加お待ちしております。
第1章 冒険
『ようこそ、クイーンオブハートの庭園へ!』
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POW | 白薔薇を赤く塗り替えて。赤く赤く塗りかえて、赤薔薇を咲かせましょう |
SPD | 白兎を追いかけて、トランプの森を駆けぬける |
WIZ | さぁ!赤と白、花の歌う「お茶会」を楽しみましょう! |
👑7 |
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵 |
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
広がるのは、白と赤の薔薇さく迷路。その迷路では、開けた空間が何か所かありそのどこでもお茶会が開催されていた。
足を踏み入れるお茶会は、一体どんなお茶会か。
ようこそ! ここは瞳三日月にしてたのしそに笑う首だけ猫のお茶会。
カラフルでポップな椅子。テーブルに並ぶ菓子はクリームたっぷりのマフィンだろうか。ミルククラウンのような形の皿に山盛りのそれは紅茶のお供。
器に注がれる紅茶は――紅茶の色とピンクのしましま模様。
『さァ、飲むとイイ。そのお茶は不思議ナ夢のオ味』
きっと君の見たい夢をみせてクレルとにんまり笑顔で紡ぐのだ。
『デモちゃあんトぜぇんぶ飲んデ、それは約束ダヨ』
首だけ猫の茶会は始終誰かに見られているような、そんな気持ちになってしまう。
それとも、帽子が特徴的な紳士と、おおはしゃぎのウサギとねむそうな――というよりむにゃむにゃ心地のネズミのお茶会に足を運ぶか。
ネズミはふかふかソファで眠っているけれど、紳士とウサギはテーブルの上で踊っている。いや、踊り狂っているといった方が、正しいだろう。
『ああお客様! お茶は如何! そのへんのカップをどうぞお好きに! はい、高いとこから注ぎますよ!』
頑張ってそのカップで受け取って。零したりしないでと笑いながら。
その紅茶は気分をハイにさせる紅茶。
飲めば今までで一番楽しかったことを話し始めてしまうから。
でも注意して、そのお茶はしゃいで零したり、残したりしてはいけないよ! と彼らは言う。
それはここでの礼儀と彼らは零さず紅茶をあおる。
私達の楽しい話? 今が一番楽しいから語ることはなにも無い!
大はしゃぎのお茶会があれば、とても厳かで規律正しいお茶会もある。
お茶会開いたのは気位高いとても美しい女王様。黒と赤のドレスを纏う女王様は美味しい紅茶を振る舞ってくれるが、マナーに厳しい。
彼女が差出す紅茶は、真赤な紅茶。
『私の振る舞うお茶をさぁお飲みなさい。いいですか、カップの持ち方にも気を付けて』
赤いお砂糖? それとも白いお砂糖?
紅いお砂糖入れればあなたの一番大好きな人の幸せを、白いお砂糖入れればあなたの一番大好きな人の死にざまを目にすることができるのよ、と笑う女王。
それからミルクを入れたら、あなたを拒絶する姿――じゃあそのまま飲んだら何が見えるのかって?
『それはあなたを殺す姿!』
私はそれをみたあなたの顔を、お茶菓子代わりにしながらこのお茶を飲むの! と笑う女王。
そして最後までちゃぁんと全部飲まなきゃだめよと笑う。
そうでなければ――と、女王は笑って、開いた扇で生垣を示す。
そこの薔薇になってしまうのよ、と。
どこのお茶会に招かれても、紅茶は全部飲まねばならない。
それが何を見せようとも。
そうじゃないと――ほら、ちゃぁんとみてごらん。
首だけ猫の前――お皿につまれたカップケーキは泣いていた。
元の姿に戻りたいと、全て飲めなかった子はその姿に変わってしまったのだ。
ハイなお茶会では、踊ってる彼らの足元を見て。
そのスプーンとフォークは震えてている。彼等にいつ踏まれてしまうだろうかと。
そして女王様のところでは――咲き誇る薔薇のいくつかが小さな声をあげた。
薔薇になってしまったと。助けてと。
紅茶を全部飲まなければ、あなたもそうなってしまう。
姿が変わった彼等は元に戻らないの? と尋ねれば彼らはこのお茶会を出ればいいだけ! という。
連れていくかどうかもどうぞご自由に。
だぁれも邪魔しない、止めもしないから。
エンジ・カラカ
アァ……カップの持ち方が悪い…?
知らないしーらない。
コレはルールもマナーも教えてもらってない
コレがルール!コレがマナー!
ダメなら教えて教えて女王サマ。
好きなイロは赤ー!
赤い紅茶だけでイイ。
ミルクも砂糖もいらないいらなーい。
アァ……純粋な赤い色がイイのサ…。
キレイなキレイな君の色。
コレを殺す賢い君は昔々に見たコトがある。
牢獄を出る時、人の姿の君と一緒に遊んだ日!
ねぇ、ねぇねぇねぇ女王サマ
コレに見せたかったのはコノ光景?コレだけ?
紅茶を全部飲んだらもーっとスゴイ光景が見れるカ?
賢い君に殺されるなら本望サ!
アッチの薔薇よりも真っ赤に染まるンだ
賢い君とコレの色ー!キレイな赤ー!
まだまだ、あーそーぼ
●赤い、赤い、キレイな
さぁ最初のお客様、こちらをどうぞ――と。空を舞うカップにとくとくと注がれる赤い色。
エンジ・カラカ(六月・f06959)の前にカップが置かれる。
それはこの場の主、女王からのふるまい。
そのカップを何も考えずエンジは持ち上げる。
すると、女王がカップの持ち方が悪いとぴしゃりと言われる。つまむようにもちますのよ、と。
「アァ……カップの持ち方が悪い……?」
しかし、エンジはその言葉に従うつもりはもちろんない。
そうしなければいけないなんてこともないのだから。
「知らないしーらない」
コレはルールもマナーも教えてもらってない、とカップに口近づける。
「もう、カップはつまむように」
「コレがルール! コレがマナー!」
ダメなら教えて教えて女王サマ、とオネガイひとつ。
女王はこう、と見せるのを真似してみるけれど女王は違うとまた言う。
何度見せて、何度なおしてもエンジは自分自身の持ち方だ。
やがて根負けしたのは女王のほう。もうお好きにお飲みというのを、そうするー! とエンジは笑う。
「白いお砂糖、赤いお砂糖、ミルク。どれかいる?」
「好きなイロは赤ー!」
だから赤い紅茶だけでイイ。
ミルクも砂糖もいらないいらなーいとエンジは言う。
カップで揺れる赤い紅茶。その色に、エンジは金の瞳は細められる。
その色に吸い込まれそうになるけれど、それは喉に注がれるのだ。
「アァ……純粋な赤い色がイイのサ……」
キレイなキレイな君の色。
一口、運んで喉を通って――見えてくる。
エンジの目に見えてくるのは赤い色か。
それは――ああ。
(「コレを殺す賢い君は昔々に見たコトがある」)
牢獄を出る時、人の姿の君と一緒に遊んだ日!
それは記憶の中にある光景か、それとも――つくられた幻か。
さァ、どっちだろうか。
「ねぇ、ねぇねぇねぇ女王サマ」
呼びかける、その口はにぃと弓なり、楽し気だ。
「コレに見せたかったのはコノ光景? コレだけ?」
「まぁ、一口だけではまだ何も見てないも同じじゃなあい?」
だから全部飲んでから、足りないならお替りもいくらでもと女王は言う。
成程、それは一理ある。
「紅茶を全部飲んだらもーっとスゴイ光景が見れるカ?」
賢い君に殺されるなら本望サ! とエンジは一気に煽る。
賢い君、賢い君――持っているのはそこにあったナイフ。
そんなもので殺しに来るなんて野暮だけれど、そういうのもありかもしれない。
それをざっくり振り下ろす。エンジの身にむけて。
痛みはあったのか、それともなかったのか。
赤い色は噴き出して、降り注ぐ。
「アッチの薔薇よりも真っ赤に染まるンだ。賢い君とコレの色ー! キレイな赤ー!」
エンジは笑って――けれど、それはぱっと消え去った。
紅茶一杯の、それは幻なのだから。
「あなたとっても嬉しそう。ふふ、こういう紅茶もとても良いわ」
もう一杯いかが、とくすぐるような声におかわりとカップを差し出す。
まだまだ、あーそーぼ――笑いかけるその姿も共に真っ赤に。
大成功
🔵🔵🔵
月舘・夜彦
【華禱】女王のお茶会
本来白いはずの砂糖は赤
珍しそうに眺め、溶かす
お茶の作法はある程度分かりますが
紅茶にも活用できそうならば活用しましょう
砂糖が溶けたら頂きます
見せられたものは、いつものように笑う彼の姿
彼の幸せは共に居られること、私を置いていかないこと
つまりは同じ時を過ごせるということ
『これでずっと一緒だ』
幸せそうに笑う顔に迷いはない
そう……貴方の最期に、共に逝くよりも
命の終わりに気付いた貴方が、私を命を奪うよりも
貴方が、私と同じになればいい
そうした未来が在ればいいと願いながら最後まで紅茶を味わう
私と同じく果てのない時を過ごすのが本当に正しいのか
少し苦さを感じながら夢を描いた
薔薇の救出も忘れずに
篝・倫太郎
【華禱】女王のお茶会
赤い砂糖は少し毒々しく
けど紅茶の色を邪魔しない
こんな綺麗な赤は珍しいから
作法を守って静かにお茶を楽しむ
赤い砂糖がしっかり溶けたのを確認して
ゆっくり静かに味わって
視るのは最愛の唯一無二が少し困ったように笑う姿
困ったようでいて、だけど嬉しそうな……
酷く幸せなんだろうと思わせる
今と寸部変わらぬ姿
『ずっとずっと一緒ですよ』
甘やかにそう告げてくるのは
奇跡と思える可能性が実ったからだろうか
端から見たら歪でも、俺とこの人が『幸せ』ならば
それは幸福の形だから
ずっとずっと視ていたい幸せそうな夜彦のその表情を
最後の一滴と一緒に飲み干して
それは現実でいつかきっと――
そう思いながら薔薇を連れて暇を
●幸せの一杯になる
その場の時間はまるで、ゆっくりと流れているようでもあった。
さぁ召し上がれと、ふるまわれる女王の紅茶。
赤い赤い、その色が揺れる。
そうっと摘まんだ砂糖ひとつ。
赤いそれは少し毒々しく見える。
篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)は、それを赤い紅茶の中へと落した。
赤い紅茶はゆらゆら揺れて、赤い砂糖を溶かしていく。くるくる、スプーン回せば崩れて、溶けて。
紅茶の色を邪魔しない。こんな綺麗な赤は珍しいからとひと混ぜ。
そして月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)も、その赤い砂糖を珍しそうに眺め、紅茶へと。
どうやって色がついているのか。それはここが不思議の世界だから色づいている。
本来白いはずのそれが見せるのは――一番大好きな人の、幸せな姿。
「どうぞ、お茶を楽しんで?」
女王の言葉に頷いて、夜彦はくるりと砂糖を溶かし混ぜるスプーンを置いて、カップを持ち上げた。
甘い香りは――この紅茶の香りだろうか。
お茶の作法はある程度分かるところ。紅茶にも活用できそうならば活用する心づもり。
溶けた砂糖。甘い一口が広がれば――隣にいる、倫太郎がいつものように笑った。
隣に居る彼が今、笑っているのか。それとも幻だろうか。
ああ、どちらでもいいかもしれない。
倫太郎の幸せは――知っている。
共に居られること。それは。
(「私を置いていかないこと」)
つまりは夜彦と同じ時を過ごせるということだ。
『これでずっと一緒だ』
その声は耳を擽るものだ。
幸せそうに笑う顔に迷いはない。
夜彦の表情は、緩んでしまう。
(「そう……貴方の最期に、共に逝くよりも」)
命の終わりに気付いた貴方が、私を命を奪うよりも――貴方が、私と同じになればいい。
そんな幸せが、そんな未来が在ればいいと願いながら夜彦も飲んでいく。
一口ずつ、その様が鮮やかになっていくような。
笑みが深くなる、一層嬉しそうに、幸せそうに。
そして倫太郎も作法を守り静かに茶を楽しんでいた。
ゆっくり静かに味わっていく。ひとくち、ふたくち。
最愛の唯一無二が少し困ったように笑う姿が見えてくる。
その笑みは、幻であってもやはり夜彦のものだと思う。
困ったようでいて、だけど嬉しそうな――酷く、幸せなんだろう。
今と寸分変わらぬ姿でその唇が動く。
『ずっとずっと一緒ですよ』
甘やかな声だった。耳にしんしんとしみこんでくる。
そう告げてくるのは、奇跡と思える可能性が実ったからだろうかと。
倫太郎は思う。
端から見たら歪でも、俺とこの人が『幸せ』ならば――それは幸福の形だから。
眩しいくらいだ。瞳細めて、ずっとずっと視ていたい幸せそうな夜彦のその表情。
けれど最後の一滴と一緒に倫太郎は飲み干した。
(「それは現実でいつかきっと――」)
夜彦も、最後の一口を喉へ。
私と同じく果てのない時を過ごすのが本当に正しいのか――少し苦さを感じながら夢を描いた。
この未来が、お互いに訪れるのかどうかはわからない。
だってこれは、幸せな姿が見せてくれるものだったのだから。
現実がそうなるのかは、いまはまだ分からぬこと。
女王に礼を告げて、薔薇をそれぞれ連れていく。
その薔薇は茶会の場を抜け出たら元の姿を取り戻した。
薔薇の花弁がほどけるように広がって、元のアリスの姿へと変わっていく。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
楠木・万音
騒がしい茶会は御免なの
厳かで静やかなひと時を始めましょう。
あなた、紅茶をいただいても?
砂糖もミルクも結構。必要ないわ。
甘いも濃いも気分ではないのよ
真赤な紅茶のままで、まずはひと口を
あたしが殺される姿ですって?
あたしには大切な“人”なんて存在しないのよ。
ほら、見える景色だって同じ
顔が見えなければ男か女かだって分からない
それにね、女王サマ
魔女は死ねないのよ。
ゆらりと揺れた紅茶を呷る
マナー違反だなんて知らないわ
残さずに最後まで飲み干したでしょ。
ご馳走様。
特別好きではないけど、悪くない味だったわ。
ねえ、あなたたち
元の姿に戻って、生きたい?
ならば着いて来なさいな
この手で抱えられる限りなら、連れてゆくわ。
●魔女の一口
騒がしい茶会は御免なの、と楠木・万音(万采ヘレティカル・f31573)が足を向けたのは女王の茶会。
花々咲き誇るその庭は、とても優雅な場所だった。
厳かで静やかなひと時を始めましょう、とふわり髪をなびかせ席に着く。
万音は正面、この場の主である女王へと笑いかけた。
「あなた、紅茶をいただいても?」
いらっしゃい、どうぞ楽しんで。もてなしましょうと女王がポットを操る。
ふわり空を踊るポットから、万音の前へと置かれたカップへと注がれる――真っ赤な紅茶。
とくとく注がれた赤い色。
「お砂糖とミルクはいかが?」
シュガーポットとミルクポットを示しながらの女王の問いかけに、万音はゆるりと首を振る。
「砂糖もミルクも結構。必要ないわ。甘いも濃いも気分ではないのよ」
真赤な紅茶のままで、まずはひと口。
近づくカップの中でその色が揺らめいた。
これを飲めば――見えるのは、自分を殺す大切な人の姿だという。
けれど、万音は一口飲んで、笑い零す。なぁんにも、現れないのだから。
「あたしが殺される姿ですって?」
そんなものはみえる筈がないのだ。
だって――
「あたしには大切な“人”なんて存在しないのよ」
ほら、見える景色だって同じという。
もう一口飲んでも何も変わりはしない。
「顔が見えなければ男か女かだって分からない」
「あなた、大切な人がいないの? それはそれでさびしくなぁい?」
どうかしら、と万音は言う。そしてそっと、カップの中を見て。
そして女王に笑いかけた。
「それにね、女王サマ」
魔女は死ねないのよ。
その一言は重く。万音はゆらりと揺れた紅茶をそのまま一気に呷った。
不作法ね! マナー違反よと女王が言う。
だが万音はその声に取り合わない。ただただ、笑うだけだ。
「マナー違反だなんて知らないわ」
残さずに最後まで飲み干したでしょ、と空になったカップを見せる。
「ご馳走様。特別好きではないけど、悪くない味だったわ」
そう言って、万音はざわざわ、助けてという薔薇たちへと視線を向ける。
「ねえ、あなたたち。元の姿に戻って、生きたい?」
ならば着いて来なさいな、と声をあげた薔薇たちを掬い上げていく。
この手で抱えられる限りなら、連れてゆくわと一輪ずつ丁寧に。
声を上げた子たちをつれて、万音は茶会の場を後にする。
すると、薔薇たちは元の姿を取り戻して、あとはこの世界を脱するだけ。
大成功
🔵🔵🔵
アニー・ピュニシオン
美しい女王様。
どうか、紅茶を一つ頂けるかしら?
夢が渇いてしまったのよ。
幸せな赤や、辛い白砂糖はいらないわ
甘いミルクなんて以ての外よ
差し出された侭の紅茶を頂きましょう。
湯気立つ真赤な紅茶を味わえば
昏い表情で、
煌めく凶刃を持った貴女がいて
「呪われろ」
嗚呼、この心に残り続ける言葉。
それと同時に、胸に突き刺さる凶器
拒絶される最期
とても理想のシーンだわ。
――でも、違う。貴女じゃないの
それに、この死に方じゃぁ
貴女を含めて、私達が納得出来ないはずだわ
私の代わりに犠牲になってしまった親友
明るい行進曲みたいな貴女が生きて
ずっと呪われれば良かったのに
……、女王様。素敵な紅茶をありがとね
記念にお土産も貰っていくわ。
●心に突き刺さるその
迷路を抜けて――視界が開ける。
其処は女王の催すお茶会の場だ。
アニー・ピュニシオン(小さな継ぎ接ぎの国・f20021)は小さく礼をひとつ。
その挨拶に女王はようこそ、いらっしゃいと微笑んでさぁどうぞ、中へとアニーを招く。
「美しい女王様。どうか、紅茶を一つ頂けるかしら?」
夢が渇いてしまったのよ、とアニーは自分の喉をそうっと触れる。
それなら美味しい紅茶をどうぞと女王が歌うように紡ぐ。
アニーの前に置かれたカップにとくとく注がれる、赤い色の紅茶。
「お砂糖とミルクはいかが?」
赤いお砂糖は大好きな人の幸せを、白いお砂糖は死にざまを。
ミルクをいれたなら拒絶する姿を。
「そのままストレートで味わえば、大切な人が殺しにきてくれるのよ」
さぁ、あなたはどれを選ぶのかしら? そんな楽し気な視線にアニーは答える。
「幸せな赤や、辛い白砂糖はいらないわ」
甘いミルクなんて以ての外よとそのままカップに手を伸ばす。
差し出された侭の紅茶を頂きましょう、と揺れる赤い色を見詰める。
ほわり、あたたかな湯気。
その真赤を口へ運んでこくり、一口――アニーの前に現れる姿。
昏い表情で、煌めくものだけが際立つ。
その煌めきだけが鮮烈。それは凶刃の輝きで――それを持つのは。
『呪われろ』
紡がれる言葉。紡ぐ貴方。
(「嗚呼」)
アニーの心に残り続ける言葉。
その言葉と同時に、胸に突き刺さる刃がある。
拒絶して、振り下ろした刃が命を奪う。
拒絶される最後――これは。
「とても理想のシーンだわ」
殺される、殺された。でもそれは幻でこの場の現実ではない。
アニーは紅茶をもう一口。再度同じ光景が広がるのだ。
「――でも、違う。貴女じゃないの」
また、刃が胸に突き刺さる。でも、これではだめなのだ。
「この死に方じゃぁ――貴女を含めて、私達が納得出来ないはずだわ」
私の代わりに犠牲になってしまった親友、とアニーは睫を震わせる。
明るい行進曲みたいな貴女が生きて――ずっと呪われれば良かったのに。
そう思いながら飲み干した。カップの中はもう空だ。
アニーはそのカップの底を見詰めて、そして女王へと視線向ける。
「……、女王様。素敵な紅茶をありがとね」
記念にお土産も貰っていくわと薔薇を一輪頂いて、アニーは茶会を後にする。
大成功
🔵🔵🔵
ニノマエ・アラタ
ノゾミ【f19439】と
……俺は紅い砂糖を。
一番大好きだった女性を想う。
アンタの幸せ。
強化人間の研究なんかに関わらずに、幸せな道を。
そう、研究以外。
恋愛でもショッピングでもカフェ巡りでも 旅行でも何でも。
……研究の道へ進まず他の事を楽しんで、……。
なんでおまえは幸せそうにフラスコを振ってるんだ!
電子顕微鏡を覗いてるんだ!
「新しい薬ができたの。試していいかしら?」
もっと強くなって。もっと殺してきて。
幸せそうに笑う、アンタ。
いいとも、俺の身体を好きに弄るがいいさ。
切り刻むがいいさ。
……全てはアンタの望むままに。
ふと眼に入った泣いてるフォークとスプーン。
こいつらを道連れに。
いや、助けて出口へ向かう。
青霧・ノゾミ
ニノマエ【f17341】と
おーし! 殺しに来るの上等!
最高の愛情表現だよね!
というわけで、一気にストレートティーを飲み干すよ!
よーしニノマエ。
殺し合おう。
僕とおまえが対峙したら、どっちが勝つだろうって。
いつも考えてる。
僕がニノマエに負けるとしたら。
踏み込みが足りないから?
覚悟が足りず判断が鈍るから?
技術では絶対負けないけどね!
おまえの動きなんて予測済みなんだよ!
あ。
……一番大好きな人が殺しに来るんだっけ?!
って、つまり、その、僕の一番大好きな人って……。
嘘! 嘘でしょー!
感情が揺れて負ける?
いや、ありえないから。
絶対に俺が殺してみせる!
俺が!
そこのケーキナイフ、僕に力を貸して! 一緒に出口へ!
●そのことを知る
「あら、次のお客様。どうぞいらっしゃい」
女王は笑ってニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)と青霧・ノゾミ(氷嵐の王子・f19439)を迎える。
どうぞ空いてる好きなお席に。紅茶をふるまいましょう。
素敵なお砂糖は赤と白。ミルクもあるわと告げられる。
「……俺は紅い砂糖を」
そう告げたニノマエに女王は赤い砂糖のシュガーポットを。
一番大好きだった女性を想って、ニノマエは砂糖をひとつ、紅茶に溶かす。
この赤い砂糖は、幸せな姿を見せてくれるという。
(「アンタの幸せ――強化人間の研究なんかに関わらずに、幸せな道を」)
そう思いながら、砂糖を溶かし込む。
そしてノゾミは、ストレートでいただくと告げる。
「ストレートで飲めば、あなたの大好きな人が殺しにくるわ」
「おーし! 殺しに来るの上等! 最高の愛情表現だよね!」
ノゾミは笑って、それでいいと。それがいいと選ぶ。
女王はその様に、じゃあストレートでどうぞと告げる。
一気にその紅茶を飲み干すノゾミ。
すると目の前に現れたのは――ニノマエだった。
ニノマエはまっすぐ、ノゾミを見詰めている。
『よーしニノマエ。殺し合おう』
そう声に出したつもりで響かなくて。
そうかこれは幻かとも思うのだ。
けれど。
(「僕とおまえが対峙したら、どっちが勝つだろうって。いつも考えてる」)
僕がニノマエに負けるとしたら。踏み込みが足りないから?
覚悟が足りず判断が鈍るから?
この幻で、夢で。それがわかるかもしれない。
(「技術では絶対負けないけどね! おまえの動きなんて予測済みなんだよ!」)
ニノマエが向かってきて、その得物を振り下ろす。
それを一度は躱して、その次は――どうくるのか、良そうして。
「あ」
そして、思わず声が零れた。
(「……一番大好きな人が殺しに来るんだっけ?! って、つまり、その、僕の一番大好きな人って……」)
感情が揺らぐ。その瞬間に幻は踏み込んできて、刃をふるった。ノゾミはそれを正面から受けてしまう。
「嘘! 嘘でしょー!」
思わず叫ぶ。その様子を女王は楽しそうに笑ってみていた。
(「感情が揺れて負ける? いや、ありえないから。絶対に俺が殺してみせる! 俺が!」)
叫びは声にならなくて。けれどノゾミの心には響いている。
(「そこのケーキナイフ、僕に力を貸して!」)
と――掴んだところで、その幻は消え去った。
はっとする。ここはお茶会で今見ていたのは――幻と。
今まで殺しにきていたニノマエは、隣で紅茶を飲み干したところ。
ニノマエは――幸せを想って。
研究以外の、幸せな道。
それは恋愛でもショッピングでもカフェ巡りでも 旅行でも何でも。
なんでもいいのだ。
(「……研究の道へ進まず他の事を楽しんで、……」)
そう、思うのに。
目の前に浮かぶその姿は。
(「なんでおまえは幸せそうにフラスコを振ってるんだ! 電子顕微鏡を覗いてるんだ!」)
ニノマエの願いとは裏腹に、研究に没頭している姿だ。
嬉しそうに楽しそうに。
そしてニノマエに視線が向いたかと思えば――
『新しい薬ができたの。試していいかしら?』
もっと強くなって。もっと殺してきて――囁く。
幸せそうに笑っている。
ニノマエは、嗚呼と零していた。
(「いいとも、俺の身体を好きに弄るがいいさ。切り刻むがいいさ」)
それで、幸せなら。それでいいと、受け入れるかのように。
(「……全てはアンタの望むままに」)
ニノマエは目を閉じる。そして開いて――目に入ったものを手に。
それは泣いているフォークとスプーンだ。
道ずれに――いや、助けてと手にして。
二人は女王に礼を告げて、外へと向かう。
外に出れば、連れだしたものたちは元の姿を取り戻し、共に出口へと、向かう。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アハト・アリスズナンバー
やれ、なんですかこのお茶会は。
狂ってますね。端的に言えば。ならば狂ったように茶を飲んでやりましょうか。
その先で赤い薔薇が欲しいのなら、咲かせて見せましょう。
とりあえずお茶会としてお茶を飲むとしましょう。礼儀作法でここのマナー通りふるまうとします。
ええ、紅茶ならいくらでも。環境耐性で耐えつつ、どちらの砂糖も入れつつミルクも入れます。
ああ、ついでにアリスを見ませんでしたか?会話の中で情報取集もしておきます。
それで限界まで飲んだのならユーベルコード起動。自爆してご要望の赤い薔薇を咲かせましょう。
……さてアリス、行きましょうか。お茶会は楽しみましたので。
●お茶会にて
「やれ、なんですかこのお茶会は」
アハト・アリスズナンバー(8番目のアリス・f28285)はこの世界を見回す。
どこでもお茶会が開かれている、そんな世界。
アハトはそれを見つつ――足を進める。
「狂ってますね。端的に言えば」
ならば狂ったように茶を飲んでやりましょうかとアハトは思う。
庭に咲く、赤い薔薇がよく目につく。
その先で赤い薔薇が欲しいのなら、咲かせて見せましょうとアハトが足を踏み入れたのは女王のお茶会だった。
この場にあう振る舞いで席に着く。
すると女王は尋ねるのだ。
赤い砂糖、白い砂糖、それにミルクは必要? と。
「ええ、全部いただきます」
紅茶ならいくらでも。どちらの砂糖も居れ、ミルクを入れて――一口。
この紅茶に耐えながら、もうひとくち。
「ああ、ついでにアリスを見ませんでしたか?」
「アリス? そこらで綺麗に咲いてるんじゃないかしら」
女王が示す先には薔薇が咲いている。
その中のひとつが、小さな声で鳴いているようだった。
そうですか、とアハトは頷いて――ユーベルコードを起動する。
限界までその紅茶を飲んで自爆してご要望の赤い薔薇を――と、爆発したはずなのに。
己の身は爆発していない。
それは、自分が見ていた幻での中でのことか。女王はただにっこり笑ってお帰りかしら、と告げる。
アハトは頷き、席をたつ。けれどその前に。
「……さてアリス、行きましょうか。お茶会は楽しみましたので」
泣いていた薔薇を連れ出すのだ。
その一輪は茶会を出れば元の姿を取り戻す。
成功
🔵🔵🔴
葬・祝
あら、厳かなお茶会もたのしそうですねぇ
お砂糖は結構
ミルクも要りませんよ
どうせ見るなら、絶対に有り得なさそうな姿の方がたのしいでしょう?
あの子、私のこと大好きですから
あの子の紅の髪と赤い翼が鮮やかに翻る
天狗の羽団扇が真っ直ぐに己へと向けられて
金の隻眼が、憎しみを込めて此方を見ている
渦巻く神通力、殺意、敵意
血飛沫
くふふ、とたのしそうに含んでわらう
だって、有り得なさすぎて面白くて、つい
私の愛い子、可愛い子
こんな顔も、本当にするならそれはそれで愛おしいけれど
ま、私はもう死んでるんですけど
たのしんだら、そのままカップを傾けて最後まで
ご馳走になりました
さ、行きましょう
泣く薔薇を適当に一輪摘んで、場を辞した
●そんなことは起こらないから
そこかしこでお茶会が開かれているけれど、葬・祝( ・f27942)が訪れたのは女王の茶会だった。
「あら、厳かなお茶会もたのしそうですねぇ」
その言葉にいらっしゃいと女王が微笑む。
「さぁ、好きな席にお座りになって。お茶をご馳走して差し上げる」
祝はお言葉に甘えて、と席に着く。
ティーカップが前に置かれて、注がれるのは真っ赤な紅茶。
お砂糖は、とシュガーポットを手に取る女王。祝はいいえ、と首を横に振る。
「お砂糖は結構。ミルクも要りませんよ」
どうせ見るなら、と祝は笑い零す。
どうせ見るなら――絶対に有り得なさそうな姿の方がたのしいでしょう? と。
「あの子、私のこと大好きですから」
この真っ赤な紅茶がどんなものを見せてくれるのか。
この赤い色も――あの子の髪色と似ていなくもない。
その色を口に含んで喉へ落とせば――あの子の紅の髪と赤い翼が鮮やかに翻るのが見えた。
その色を見詰めていると、天狗の羽団扇が真っすぐに、祝へと向けられた。
そこから。視線は手に、肩に――あの子の顔に、その表情に。
金の隻眼が、憎しみの色をもって祝を捉えていた。
渦巻く神通力がある。それに乗せられた殺意、敵意――それが、祝自身に向けられて。
血飛沫が――撥ねる。
その色は己から噴き出したものだが、傷も何もない。
それは見ただけで実際に起こったことではないのだから。
「――くふふ」
けれど、それでも。たのしそうに祝は含んでわらう。
「ふふ、くふ」
喉奥鳴らして飲み込んで。
「どうしたの? 何か、おかしなことでもあった?」
「だって、有り得なさすぎて面白くて、つい」
私の愛い子、可愛い子――祝は見たことの無いその表情に笑み零す。
「こんな顔も、本当にするならそれはそれで愛おしいけれど」
でも、見せられたもののようになることはきっとない。
だってもう、祝は――
「ま、私はもう死んでるんですけど」
ああ、一口残っていると祝はカップの中の紅茶をすべて飲み干した。
最後の最後まで、その表情を楽しんで、空になったカップをソーサーへと戻す。
「ご馳走になりました」
とっても楽しいお茶でした、と笑って祝は泣いていた薔薇を一輪摘み取った。
「さ、行きましょう」
その言葉に薔薇は泣くのをやめて、祝と共に茶会の場所から外へと向かう。
大成功
🔵🔵🔵
姫城・京杜
またあの殺戮兎か
アイツと目が合うと、何か鳥肌立つんだよな…
でも何度でも、目論見は阻止するぞ!
主に褒めて貰えるよう頑張る(ぐっ
女王の茶会
真赤な紅茶…自分に馴染み深い色
カップはちゃんと持って
砂糖は赤を
絶対に白は入れないように!絶対無理だから!!
ミルクも…いれない
勿論、全部飲み干すぞ
…ああ、幸せそうな主の姿
俺がその隣にいなくても全然構わねぇ
主が幸せなら、すげー嬉しいから
それに怒られるから黙ってるけど…
何で俺は死ねないんだ、何で生きてる、って今でも思う時あるから
俺の為に死ね、って
主の手で殺されるとか、幸せでしかない
…何で俺泣いてるんだろ
その理由は分かんねぇけど
ごちそうさま、って
薔薇達連れて、今は出口へ
●幸せ
またあの殺戮兎か、と姫城・京杜(紅い焔神・f17071)は歩む。
ここはどこだろうかと、茶会の開かれている庭園の中を。
「アイツと目が合うと、何か鳥肌立つんだよな……」
でも何度でも、目論見は阻止するぞ! と京杜は気を引き締める。
主に褒めて貰えるよう頑張る、とぐっと拳握って――視界の先が広がったのに気付く。
「あら、お客様ね。どうぞこちらへ」
手招くのは女王だ。
ここは女王の茶会。手招かれるままに、京杜は中へ。そしてどうぞこちらにと席を進められる。
紅茶はお好き? という声。目の前に注がれたのは真っ赤な紅茶だ。
その色は――京杜に馴染み深い色だ。
「お砂糖は? 赤は大切な人の幸せな姿を、白いのは死に様を――ミルク入れれば拒絶を。そのままなら、あなたを殺しにくる姿よ」
それを聞いて、京杜は赤い砂糖をひとつ。
「白じゃなくていいの?」
「絶対に白は入れないように! 絶対無理だから!!」
「あら、残念」
そんなに慌てるなら、見ればきっと素敵な顔をするだろうにと女王は笑う。
砂糖は赤をミルクも、入れない。
幸せな姿だ、大丈夫。
そう思いながら、全部一気に京杜は飲み干した。
それと同時に目の前に主の姿が浮かぶ。花浅葱の瞳を細め、期限良さそうだ。
(「……ああ、幸せそうな主の姿」)
その隣に、己がいなくても全然構わないのだ。
主が幸せなら、それで。
(「すげー嬉しいから。それに」)
これを言うと怒られるだろうから、黙っているのだけれど――思ってしまうのだ。
何で俺は死ねないんだ、何で生きてる、って今でも思う時ある。
それを主が快く思っていないことも知っている。
知っているけれど。
死ぬのなら。
(「俺の為に死ね、って」)
その言葉を待っている。そして、その手で殺されるならば。
幸せでしかない――そう思うと、幻が終わってしまう。
「ねぇ、泣くほど幸せなの?」
その幻の終わりは、女王の声だった。
「ん……? ……何で俺泣いてるんだろ」
その理由はわからなくて。雑に涙を払ってごちそうさま、と女王に告げる。
そして京杜も薔薇を連れて、茶会を後にするのだ。
今は出口へ、向かうだけ。茶会の場を離れると薔薇たちはアリスとなって共に進み始める。
大成功
🔵🔵🔵
宵雛花・十雉
【双月】
赤白の薔薇に出迎えられて
まるで御伽の国に迷い込んだみたいだ
さすがユェー
オレはマナーには詳しくないから
言われた通り見様見真似で一礼して
ど、どうかな、変じゃなかった?
と耳打ちし返す
紅茶に紅い砂糖とミルクを入れて
ひと思いに飲み干すよ
大好きだった、そして今でも大好きなお父さん
子供の頃に亡くしたお父さんが、お母さんや弟妹たちと幸せそうに笑ってる
拒絶されるのは悲しいけど、お父さんが死んだのはオレのせいだから仕方ないのかもしれない
忍び刀で急所を一突きにされれば
不思議と安心してしまった
きっとこれが本来あるべき形だったんだ
手の温度が意識を現実に引き戻す
ユェーの淹れた紅茶なら
もっといい夢が見られるかな
朧・ユェー
【双月】
彼を迷わさせ無いように手を繋ぎお茶会へ
女王様のお茶会
気品溢れる彼女に一礼し
素敵なお茶会御招き有難う御座います
紅茶の作法は知っている方だ
そっと彼に
僕に合わせてと耳打ちをする
えぇ、大丈夫。素敵ですよと優しく微笑んで
用意された紅茶に赤い砂糖とミルク
十雉くんは何を入れますか?
それをゆっくり優雅に飲み干す
大切な人の幸せ
君が幸せなら僕はどうでも良い
死ぬ事など怖くない
それが残酷なモノでも
片手はテーブルの下で
君はそのままで良いかもしれませんが囚われはさせない。大丈夫ですよと彼の手を握る
次はもっと残酷な紅茶を頂きたいですねと女王に微笑んで
薔薇は記念に戴きます
十雉くん帰ったら美味しい紅茶を淹れましょうねぇ
●その手
赤と白の薔薇が咲く。庭園はまるで迷路のようだ。
「まるで御伽の国に迷い込んだみたいだ」
その花に宵雛花・十雉(奇々傀々・f23050)の視線は捕まって、けれど朧・ユェー(零月ノ鬼・f06712)に引き戻される。
迷わないように、その手を繋いで。
二人の足は――女王の茶会へと向いていた。
「おふたりさまね、どうぞこちらにいらっしゃい」
女王は手招く。どうぞ好きに座ってと、でも二人並ぶならこの席かしら、なんて示して。
この招きに、最初にすべきことはとユェーは動く。どうすればいいのかとちょっと不安を、わずかに滲ませている傍らの彼に小さく笑い零して。
きっとその逡巡は自分にしかわからぬものだろう。
「僕に合わせて」
と、ユェーは十雉へと小さく耳打ちして。そして彼女へと、一礼。
「素敵なお茶会御招き有難う御座います」
さすがユェーと思いながら十雉も見様見真似で一礼を共に。
女王は礼儀正しい方、とご機嫌の様子。
「ど、どうかな、変じゃなかった?」
「えぇ、大丈夫。素敵ですよ」
そっと耳打ちし返せば優しい微笑みと共に向けられた言葉。それに十雉は安堵して、あとも大丈夫と思う。
ユェーが一緒にいるのだから。
女王に招かれ席に着き、カップに注がれる紅茶を見詰める。
「赤いお砂糖、白いお砂糖、それにミルクはいかが?」
赤い砂糖は、大切な人の幸せな姿を。白いお砂糖入れれば、死ぬ姿。ミルクは、拒絶の姿を。そのまま飲めばその人が殺しに来るという。
ユェーは女王に赤い砂糖とミルクをと微笑む。
「十雉くんは何を入れますか?」
「同じ、かな」
砂糖を紅茶に溶かして――ひと思いに飲み干す十雉。
その姿を微笑み、見詰めてユェーもゆっくり優雅に飲み干す。
カップの中を空にすると十雉の前に現れたのは――大好きだった、そして今でも大好きなお父さん。
子供の頃に亡くしたお父さんが、お母さんや弟妹たちと幸せそうに笑っている。
このあと、どうなるのかもわかっている。
拒絶されるのだ。でもそれは、仕方ないとも思えた。
(「拒絶されるのは悲しいけど」)
お父さんが死んだのはオレのせいだから仕方ないのかもしれないと。
自分の方へ近づいてくる。けれどその手には忍び刀だ。
それが己に向けられて、急所を貫く。
不思議と、安心してしまった。きっとこれが本来あるべき形だったんだと――けれど。
なんだろうか。何かが己の意識を引っ張っている。
それは手のぬくもり。ユェーから伝わる温度だ。
大切な人の幸せ。君が幸せなら、とユェーは思うのだ。
君が幸せなら、僕はどうでも良いと。
死ぬ事など、怖くはない。
(「それが残酷なモノでも」)
テーブルの下、その手を僅かに強く握って。
君はそのままで良いかもしれませんが囚われはさせないと。
大丈夫ですよ、とその手のぬくもりで呼ぶのだ。
ぱちりと瞬いて、十雉はユェーへとゆっくり視線向ける。
おかえりなさい、と彼の唇は動いて視線は女王へと向けられた。
「次はもっと残酷な紅茶を頂きたいですね」
では行きましょう、と席を立つ。ユェーは記念に戴きますねと薔薇を一輪手にし、十雉へと笑いかける。
「十雉くん帰ったら美味しい紅茶を淹れましょうねぇ」
「ユェーの淹れた紅茶なら、もっといい夢が見られるかな」
もちろんと笑って返す。
もっと美味しい紅茶を、美味しいお菓子と共にと。
連れてきた薔薇は茶会を抜ければアリスに戻り、共に庭園の外を目指す。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
朱赫七・カムイ
⛩神歌
そなたが女王様かな
ご招待を有難う
恭しく礼をする
紅茶に何方をいれるか
…私達に見える存在はきっと同じ
リルに辛い光景はみさせたくない
私の紅茶に、白い砂糖をいれて
リルの紅茶には紅を
リル?!
私の紅茶を飲み干した君に驚く
されど吃驚し過ぎて零れたミルクが紅茶に混じるのに気づけない
笑ってる
満開に咲いた桜に幸せそうに染まる頬
ねぇサヨ
ずっと一緒に
永い永い旅路を共に生きよう
決めた
いとしい君に永遠を約結ぼうと
差し伸べた手が拒絶され
どうして?
一緒にいたいって言ってくれたのに
指が止まる
拒絶の言葉まで聴こえそうで怖い
リルの声にハッとする
之は、偽物だ
本当のきみはそんな事いわない
苦い言葉ごと飲み干す
そうだよね?
…私の巫女
リル・ルリ
🐟神歌
赤と白の薔薇も好きだよ
女王様こんにちは
カムイにならってご挨拶
勿論お茶会を楽しもう
…女王様の絶望には負けない
君はとっても優しい神様だから
僕に幸せなかれの姿を見せるほうを選ぶだろうから
…だめだよ
カムイは幸せにならなきゃ
驚く君を後目に
カムイの紅茶を、一気に飲む
――ああ、真っ赤な桜が舞っている
桜の樹の下には……みたくないな
眠るように、生命を散らせた――
僕の大好きな人
起きて、と揺すっても起きない
眠ったお姫様に王子様がそうするようにキスをしたって
目覚めない
胸の奥が冷たくなって沈んでいくかのよう
……こんな未来は認めない
負けないって言っただろ!
飲み干して、カムイと神をよぶ
大丈夫だよ
こんなのはまやかしだ
●紅と白
赤と白の薔薇も好きだよ、と笑ってリル・ルリ(『櫻沫の匣舟』・f10762)は先を往く。
その後を朱赫七・カムイ(約彩ノ赫・f30062)がゆるりと追って、二人は庭園の一角、お茶会の場所へとたどり着いた。
「そなたが女王様かな」
ご招待を有難うと、カムイは恭しく礼をする。
「女王様こんにちは」
リルもカムイにならって挨拶を。
「ええ、どうぞいらっしゃいませ。ささ、お茶会を楽しんでいって頂戴」
うん、楽しもうととリルは頷く。
(「……女王様の絶望には負けない」)
頷きながらその心にひとつ、抱いて。
カップに注がれた真赤な紅茶。
女王は微笑んで、お砂糖は、ミルクはと訊ねてくる。
何方をいれようか――ふ、とカムイは口端に笑みのせてリルをそうっと見つめる。
(「……私達に見える存在はきっと同じ」)
それはリルもわかっているのだろう。
カムイはリルに辛い光景はみさせたくないと思う。
「私の紅茶に、白い砂糖をいれて、リルの紅茶には紅を」
カムイ、とリルはその言葉に視線向ける。
やっぱり、そう。
君はとっても優しい神様だから――僕に幸せなかれの姿を見せるほうを選ぶだろうからと思っていたのだ。
「……だめだよ、カムイは幸せにならなきゃ」
リルは、紅茶運ぶ女王の手がカムイの前に紅茶を置いた瞬間。行儀は悪いと思いつつも、それに手を伸ばし白い砂糖の入った紅茶を貰う。
そうしなければ、これをカムイが飲んでしまうから。そしてその紅茶を一気に、飲み干した。
「リル?!」
その行動にカムイは驚く。己の前に置かれた紅茶。
驚愕して、思わずテーブル揺らして――ミルクが僅かに零れて跳ねた。
赤い色に僅かに混じる白に、カムイは気付かない。
けれど女王はそれに気づいて、あらと零すもののどうぞというだけだ。
紅茶を飲み干したリルは、かれの姿を見ていた。
(「――ああ、真っ赤な桜が舞っている」)
桜の樹の下には、と思う。でもそれを、そこになにがあるのか、みたくないなと思うのだ。
そこには、眠るように、生命を散らせた――
(「僕の大好きな人」)
ほらやっぱり、と思う。傍に蹲り、起きてと身をゆすっても起きはしない。
御伽噺のように、眠ったお姫様に王子様がそうするようにキスをしたとしても。
「――」
それから、小さくその名前を呼んでも目覚めない。
冷えていく。全てのものが熱を失って冷えて、沈んでいくかのようだ。
けれど、最初に強く思ったのだ。
「……こんな未来は認めない」
負けないって言っただろ! とリルは己に言い聞かせて全てを飲み切った。
飲み切って――同じように紅茶を飲んだカムイの名を呼ぶ。
「カムイ」
カムイは神だ。カムイもまた、紅茶の見せるものに捕らわれる。
笑っているのだ。
満開に咲いた桜に幸せそうに染まる頬に指先を添わせて。
「ねぇサヨ」
ずっと一緒に、永い永い旅路を共に生きようと紡ぐ願い。
なんだ、簡単なことではないかとカムイは到るのだ。
決めた、と呟き浮かべるのは幸せそうな笑み。
いとしい君に永遠を約結ぼうと――手を伸ばす。
けれどその手が取られることはなかった。
拒絶だ。その手を取ることはないのだと。
「どうして?」
一緒にいたいって言ってくれたのに――と、カムイは瞳を揺らす。
指が止まってしまう。拒絶の言葉まで、聞こえそうで怖い。
けれど――カムイ、と。
響いた声は、傍らから。その声にハッとする。
そう、これは――
(「之は、偽物だ」)
本当のきみはそんな事いわないと、苦い言葉ごと全てを飲み干した。
(「そうだよね? ……私の巫女」)
ふ、とひとつ息を吐く。そしてリルがカムイへと真っすぐに視線を向けているのを受け止める。
「大丈夫だよ、こんなのはまやかしだ」
その言葉に頷く。
紅茶の見せたものは幻、まやかし。
そんなことは起こらないのだと――心に沈めて。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
神埜・常盤
招待状も無いのに
突然の来訪失礼を、女王陛下
寛大な対応に感謝しつつ紅茶を戴こう
あァ、赤くて美味しそうだねェ
其の儘、喉奥に流し込めば、――
うつくしい母の姿が見える
見たことのないような
優しい微笑みを口許に湛えて
僕の方に歩み寄って来る
白いゆびさきが、伸ばされて――
僕の頸を、締め付けた
敬愛する母をいつか見殺しにしたんだ
当然の報いだろう
甘んじて受け入れようとは思う
嗚呼、でも、
こんなに関心を惹けたのは、初めてだから
悪くは無い最期、か
ふと我に帰れば、カップはもう空だった
あァ…ご馳走さま
ほんのすこぅし、僕には苦かったみたいだ
其処の赤い砂糖を入れれば良かったかなァ
土産に薔薇を一輪、丁重に連れて行こう
●ゆびさき
美しく整えてある庭の中を神埜・常盤(宵色ガイヤルド・f04783)は進む。
つらつらと続く薔薇の垣根。その先からふわりと紅茶の香りが漂ってきた。
そちらへと常盤が足向けると、茶会の主が気づいて。
「お客様ね、どうぞいらっしゃい」
「招待状も無いのに突然の来訪失礼を、女王陛下」
常盤がゆるりと礼すれば、礼儀正しい方は好きよところりと笑って見せる。
さぁさぁどうぞお座りになって。
このカップでよろしいかしらと真っ白なカップを持ち上げる。
常盤の前に置かれたカップへ注がれる真っ赤な紅茶。
召し上がって、と紡ぐ女王の唇は笑みをかたどっている。
「あァ、赤くて美味しそうだねェ」
女王はお砂糖は、ミルクはと問う。赤いのも、白いのも、ミルクも素敵よと笑って。
けれど、常盤はそのどれも手にすることはなく其の儘、喉奥へと流し込む。
そして瞬く、その先に見えたのは――常盤の、うつくしい母の姿。
けれどそれは、その表情は。
(「見たことの、ない」)
優しい微笑みを口許に湛えて、常盤の方に歩み寄って来る。
もう手を伸ばせば触れられる距離だ。
その肩が動く、腕が上がる、白いゆびさきが、伸ばされて――触れるか触れないか。
いや、触れたのだ。
頸へと。
そして、締め付ける。細く白いゆびさきに籠る力は強く。
常盤はそのゆびさきを受け入れる。
敬愛するこの花を、いつか見殺しにしたのだ。
これは当然の報いだろうと。
甘んじて受け入れようと――
(「嗚呼、でも、」)
こんなに関心を惹けたのは、初めてだから――締められているというのに、くつりと喉が鳴る心地がする。
(「悪くは無い最期、か」)
そう思うと同時に視界が弾けるように掻き消えた。
ふと、我に返れば、カップはもう空。
カップを置いて、そっと頸に触れてみる。現実として締められてはいない。それは解っているが、そこに感覚があったような気がして。
「紅茶、美味しかったかしら?」
「あァ……ご馳走さま」
ほんのすこぅし、僕には苦かったみたいだと常盤は返す。
「其処の赤い砂糖を入れれば良かったかなァ」
「あら、もう一杯召し上がってもいいのよ?」
今度は赤いお砂糖と一緒にと女王が笑う。その笑みをそれは遠慮しておくよと常盤は柔らかに断って手を伸ばす。
そこにあるのは薔薇だ。土産に一輪、丁重に連れていく。
それを連れていく己の指先を、常盤は見詰めていた。
あのゆびさきとは――違うと、薄く笑み零して。
大成功
🔵🔵🔵
歌獣・藍
ごきげんよう、女王様
(礼儀正しく一礼)
素敵なお茶会に
お呼び頂き光栄だわ
すてきな真赤の紅茶
普段は砂糖を入れるのだけれど
何かを混ぜるのは勿体ない
このまま頂くわ
こくり、こくり
喉を鳴らす度に
私を殺そうと近づく姿が見える
ーーーねぇさま。
そうよね
わたしはねぇさまの全てを
奪ったのだもの
殺されて当然よ
さぁ、刺して
刺して刺して刺して
ーーゆるさないで。
…こくり。
全てを飲めば
優しくコップを置き
ご馳走様、
とっても美味しかったわ
…あのねぇさまは偽物ね
だって私のねえさまは
恐ろしい程に
ーーゆるしてくれる。
…ねぇ
この薔薇頂いてもいいかしら
赤色…好きなの
(ねえさまの、いろ。)
ありがとう
それではごきげんよう
また、お茶会しましょう
●あかいいろ
「ごきげんよう、女王様」
礼儀正しく一礼して、歌獣・藍(歪んだ奇跡の白兎・f28958)は女王へと笑み向ける。
「ごきげんよう。ようこそ、お茶会へ」
「素敵なお茶会にお呼び頂き光栄だわ」
さぁ座って頂戴と席に手招かれる。
藍は言われるままに導かれた席について目の前にカップが置かれるのを見詰めていた。
カップに注がれる真っ赤な、紅茶。
「すてきな真赤の紅茶」
ゆらり、カップの中で揺らめくいろに藍は瞳細める。
「赤いお砂糖かしら、それとも白いお砂糖? ミルクは必要かしら」
女王の問いかけに、藍はありがとうと告げるも首を横に。
普段は砂糖を入れるのだけれど、何かを混ぜるのは勿体なくて。
「このまま頂くわ」
カップを手にし口許へ。
こくり、こくりと一口ずつ。
喉を鳴らす度に――近づいてくる姿が見えた。
それがだれかといえば。
(「――ねぇさま」)
そうよね、と思う。
そう、現れるのなら、ねぇさましかいないと。
(「わたしはねぇさまの全てを奪ったのだもの」)
殺されて当然よ、と思う。
その手に鈍く光るものがある。ああ、それでとうっとりと。
(「さぁ、刺して」)
刺して刺して刺してと、藍は願う。
刺して――ゆるさないで。
鈍く光るものが振り下ろされる。それが、突き刺さる――その瞬間、こくり、と。
最後の一口が喉を落ちた。
藍はそのまま、カップを優しく置く。
「お味はどうだったかしら」
「ご馳走様、とっても美味しかったわ」
藍は微笑み、そして。
「……あのねぇさまは偽物ね」
だって私のねえさまは恐ろしい程に――ゆるしてくれる。
小さな声を落として、藍はとても柔らかに微笑んで見せた。
そしてふと、視界の端に捉えた赤を見詰める。
「……ねぇ、この薔薇頂いてもいいかしら」
それは赤い薔薇だ。薔薇は泣いて、助けてと細く紡ぐ。
「赤色……好きなの」
その色は――ねえさまの、いろ。
愛おし気に撫でる。女王はどうぞ、お持ちになってとその薔薇を藍へと渡す。
「ありがとう。それではごきげんよう」
また、お茶会しましょうと最後に紡ぐ。女王はいつでもよろしくてよと微笑み、藍を見送った。
手の中の赤い薔薇を見詰めつつ、藍は進む。
その薔薇はお茶会の場所を出ると――ふわりと解けて人の姿を取り戻した。
それはアリス。この世界に置き去りにされたアリスと共に、この茶会の行われる世界を藍は抜けた。
此処は通り道――終着点ではない場所なのだから。
大成功
🔵🔵🔵