それに、冒険者達は、財宝を探したり逃げ回ったりで、天空城の内部構造には詳しくなっているようだから。その協力を得れば、敵を罠にかけたり、逃げ場を奪ったりと、有利に戦いを進めることができるかもしれない。
佐和
こんにちは。サワです。
宝探しには危険がいっぱい?
天空城の中では3人の冒険者がばらばらに逃げています。
リーダーのヴァン。
ちょっと頭脳派のニュアージュ。
身軽なエール。
彼らを助け、また協力することでプレイングボーナスが発生します。
第1章は、犠牲となった冒険者『ゴールドゴーレム』との集団戦。
触れると黄金化する呪いを持ち、侵入者を黄金像にしています。
猟兵であっても黄金像にされてしまうので、注意が必要です。
天空城内には既に黄金像にされてしまった冒険者(先述の3人とは別)もいます。
黄金像を創り出したゴールドゴーレムを倒すことで、元に戻すことができます。
第2章は幹部猟書家『財宝妖精ブラクテ』とのボス戦です。
金ぴか大好きなのでこの天空城にやってきた模様。
冒険者達の実力では全く歯が立たない相手ですが、作戦によっては役立ってもらうことができるかもしれません。
それでは、冒険の欠片を、どうぞ。
第1章 集団戦
『犠牲となった冒険者『ゴールドゴーレム』』
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POW |
●黄金の打撃
単純で重い【黄金化の呪いが込められた拳】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
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SPD |
●黄金の抱擁
【相手へ抱き着く行為】が命中した対象に対し、高威力高命中の【黄金化の呪い】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
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WIZ |
●黄金の咆哮
【黄金化の呪いが込められた助けを求める叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
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👑11 |
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴 |
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
斬り結ぶ剣の音が響く。
大剣でヴァンが受け払ったのは、金属の音を響かせる、拳だった。
金属製の武具をつけているわけではない。
その拳が……いや、ゴールドゴーレムの全身が黄金なのだ。
「触れられなければ何とかなる、か……」
呟いて、ヴァンはぎりっと奥歯を噛む。
ゴールドゴーレムの攻撃を弾くことは何とかできる。
だが、ヴァンの腕では、ゴールドゴーレムに傷を負わせることができない。
そして、ゴールドゴーレムの攻撃を一度でも受ければ。
「……ああはなりたくないな」
ちらりと視線を流した先には、殴り倒された体勢のまま黄金像となった、別の冒険者の姿があった。
「額に宝石があるものが敵、だな」
柱の影からゴールドゴーレムの様子を伺いながら、ニュアージュは確認する。
動いてこちらを襲ってくる黄金像……ゴールドゴーレムには、どれも額に赤い宝石が輝いていた。
動かない黄金像は、恐らくはこの天空城の財宝を狙ってやってきた別の冒険者達。
ゴールドゴーレムの被害者だろう。
その動かない黄金像には触れても何の影響もなかった。
ゆえに、気を付けなければならないのは。
赤い宝石を額に抱いた黄金像、のみ。
それが分かったところで、まだ勝機は見えないけれども。
「……おっと、この先は行き止まりだったか」
ニュアージュは天空城の構造をしっかり羊皮紙に描き足し、確認しながら。
ゴールドゴーレムを避けつつ、移動していった。
そして最後の1人、エールはというと。
「うおおおおお! ヤベえヤベえヤベえってマジで!」
ゴールドゴーレムに追いかけられながら、天空城を走り回っていた。
「気が付いたら1人きりだし捕まったら黄金像だしタガーじゃ歯が立たねぇし!
もうどうしたらいいんだよオレはあぁぁ!」
半分涙目で走り行くその後を、疲れすら見せずに追いかけるゴールドゴーレム。
ちらりとエールが振り返ると、1体だけだったはずのそれが3体に増えていて。
「どうにかしてくれよヴァン! ニュアージュ!」
エールは走る脚にさらに力を込めた。
込めるしかなかった。
「誰か助けてくれー!」
セシル・バーナード
黄金かぁ。領地経営の予算に繰り入れられたら楽になるんだけど……。
持ち帰っても呪われそうだし、真面目にゴールドゴーレムを討滅していこう。
分かりやすいパワーファイターだね。次元障壁でその打撃を受け止めよう。
「カウンター」に空間断裂をお見舞いするよ。物理的防御力は意味が無いからそのつもりで。
空間断裂で割って裂いて砕いて潰して磨り潰して。
ゴールドゴーレムの数が増えたら、空間裁断でまとめて片付ける。
終始余裕を持って口笛を吹きながら。口笛に気付いた人がやって来ないかな?
やあ、こんにちは。冒険者さん。丁度今作業中なんだけど、数が増えてきてね。もっと効率的に討滅出来る方法ってない?
ま、時間かければ問題ないか。
群竜大陸へ至るために古に造られた天空城。
ところどころに破損が見られ、寂れた雰囲気もあるそこを、セシル・バーナード(セイレーン・f01207)は適当に眺めながら歩いていた。
その足取りは軽く、ただ散歩しているだけに見えるほど。
「黄金かぁ」
そしてその思考は、城の中にある財宝へと向いていて。
「領地経営の予算に繰り入れられたら楽になるんだけど……
まあ、持ち帰っても呪われそうだから無理かな」
未だ幼いながらも荘園領主であるセシルは、ひょいと肩を竦めて見せた。
「ねえ? 一緒に来てくれないかな?」
そのまま気軽に声をかけた相手は、ゴールドゴーレム。
冒険者の姿をした黄金像は、額の赤い宝石を輝かせながら、瞳は動かせずに顔だけをセシルに向けて。
拳を握りしめると床を蹴り、一気にセシルへと肉薄した。
だがセシルは余裕でその拳を避け。そのまま振り下ろされ、重い拳を叩きつけられることとなった床に大きなひびが刻み込まれたのを見下ろすと、気楽に口笛を吹いて笑う。
「分かりやすいパワーファイターだね」
妖艶な笑みを浮かべるセシルだが、その身体は小柄で、まだ成長途中の、女の子と見紛う程に華奢で非力な姿だったから。
床を割り砕く怪力を持ち、黄金に覆われ見るからに頑丈そうなゴールドゴーレムとの真っ向勝負では不利に思えるけれども。
セシルは口笛を吹き続けながら、そっと手を伸ばすとゴールドゴーレムを指し示した。
「切り裂く」
その念に応じて、不可視無音の空間断裂が走る。
物理的防御を全て無効化すると言っても過言ではない威力を持つ、空間の裂け目を生み出し作り上げた刃は、まるでバターのようにあっさりとゴールドゴーレムを切った。
さらにその力を応用して、様々な形でゴールドゴーレムに向かわせれば。
割って、裂いて、砕いて、潰して、磨り潰して。
黄金の欠片にまでなったところで、その姿が消えていった。
「まあ、こんなところかな」
セシルは、全然汚れていない手をぱんぱんっと払って笑う。
しかしすぐに、その手を口元に当てて考える仕草を見せ。
「でも1体相手に時間をかけ過ぎかな。
もっと効率的に討滅できる方法があるといいけど……」
顔を上げて振り返ると、こちらに走り込んでくる人影が見えた。
必死の形相をした冒険者らしき男は、全力でセシルの元に駆け寄ってきて。
「やあ、こんにちは……」
「誰か助けてくれー!」
声をかけたセシルに気づいたのかどうなのか、それすら分からないままにそのまま走り抜けていく。
男の後ろを追いかける3体のゴールドゴーレムも、そのままセシルの前を通過して。
おおー、とセシルは4つの背中を気楽に見送る。
そのまましばし、小さくなっていく足音を聞いて……
「ま、問題ないか」
セシルはまた口笛を吹きながら、軽い足取りで城を進んでいった。
成功
🔵🔵🔴
黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
とりあえずまずは合流からか。
あまり人が来ない場所なら痕跡から辿れそうだが…難しいかな。
伽羅と陸奥の手を借りて、人の痕跡、ゴーレムたちの動きから目的の冒険者たちを探そう。
もちろん俺達も目立たないように、時に影の闇に紛れUC水月で道の先の情報を得、不要な戦闘を避けながら先に進む。
合流出来たらわかってる範囲での探索状況を教えてもらう。
ゴーレムとの戦闘では奇襲からの暗殺をしかけるようにし、なるべく反撃が来ないうちに倒しきる。数が多い時は伽羅の雷撃や陸奥の風で足止めを狙い、なるべく1対1になるようにする。
敵の物理攻撃はなるべく武器で受けるようにし、声は伽羅の雷撃の音で相殺を狙う。
城の柱の陰から陰へ、黒鵺・瑞樹(界渡・f17491)は静かに天空城を進んでいた。
そっと床にしゃがみ込み、壁に目を凝らし、その痕跡を見るけれども。
「……それなりに出入りがある、か。
あまり人が来ない場所なら辿れるかと思ったが……」
侵入者である冒険者達の足跡は、びっしりと多いわけではないけれども、新旧様々にそこそこの数があったから。
これらから、今逃げ回っている者達を辿るのは難しそうだった。
「やはり手を借りるよ。伽羅。陸奥」
呼びかければ、水神の黒竜が瑞樹の周囲をくるりと泳ぐように回り、風を纏った白虎がこちらを見上げてきゅっと目を瞑って見せる。
そのままくるりと踵を返した白虎・陸奥は、しなやかで素早い動きで、もちろん静かに城を駆けていき。
黒竜・伽羅もと促すように見つめると、だが逆に金の双眸に見つめ返された。
ふと首を傾げた瑞樹は、でもすぐに思い至って。
「怠けはしないさ。俺はこっちで探す」
言って苦笑すると、自身の足元を指差した。
そこに広がるのは黒い影。
城内の灯りに照らし出され、ぼんやりと足元に溜まっているだけだった黒は、瑞樹の声に応えるかのようにその色を濃くし、瑞樹と同じくらいの大きさにまで伸びて。
「行け!」
指示に従い、影は瑞樹を先導するかのように進みだした。
納得したかのように、伽羅も先へと空を泳ぎ出す。
五感を共有した影から情報を得ながら、伽羅と陸奥の動きを見ながら。
瑞樹はそっと城内を巡り。
まずは迷っているという冒険者達の誰かとの合流を目指す。
途中で見つけたゴールドゴーレムとは戦わずに回避しつつ、その動きから探す相手の居場所を推測しながら、影の闇にも紛れながら道行けば。
陸奥がどこか嬉しそうにこちらへ駆け戻ってきた。
「見つけたか」
よくやったとその頭を撫でれば、陸奥は心地よさげに目を細めて。
そしてすぐに、瑞樹と伽羅を導くように歩き出す。
さらに念のために影で警戒しながらも進んだ先には。
「味方だ。助けに来た」
細身の剣を必死に構えた背の高い冒険者が、かけた声にほっと息を吐いた。
「黒鵺・瑞樹。こっちは伽羅と陸奥」
「あ、ああ……猟兵、か。俺はニュアージュという」
驚きながらもすぐにこちらの素性に思い至る判断力に、へえ、と瑞樹は感心して。
すぐに、その手に握られた羊皮紙に気付く。
「それは地図か?」
「そうだ。完全ではないが、この辺りは網羅した」
素早く情報交換すると同時に作戦を立てて。
すぐさま瑞樹は動き出した。
狙うのは、1体で動くゴールドゴーレム。
情報をもとに奇襲をかけつつ陸奥の風で動きを抑えると、黄金化の呪いを込めた叫びすら伽羅の雷撃で打ち消して、反撃を許さないまま倒していく。
その間にも影で索敵を続け、額に赤い宝石を埋め込まれたゴールドゴーレムの位置と地図に起こした情報から動きを予測すれば、次のターゲットを絞り込んで。
また1体、瑞樹の刃がゴールドゴーレムを斬り伏せ、倒す。
「……すごいな」
1対1の状況を作り出した上で不意打ちからの戦いを仕掛けているとはいえ、苦も無く刃を振るい着実に敵の数を減らしていく瑞樹に、思わずニュアージュが感嘆の声を零し。
それを聞き留めたらしい伽羅が、どこか嬉しそうにくるりと宙を回った。
大成功
🔵🔵🔵
木霊・ウタ
心情
冒険者なら自己責任だけど
相手がオブリビオンなら話は別だ
三人を助けるぜ
行動
三人の発見・保護優先
飛行し移動
戦闘や逃走の物音(剣戟や足音
を聞き取り探す
俺はサウンドSだ
途中ゴーレムに出会ったなら
行きがけの駄賃で
獄炎纏う焔摩天で薙ぎ払い
高熱で溶かしながら突っ切る
誰か一人を見つけたら
火力を挙げて
一瞬、大焔摩天へと変化させ
巨大化させて振り抜き
その質量も乗じて砕き
その周囲の敵を薙ぎ払う
冒険者は勿論
黄金像を壊さないよう注意する
敵の咆哮を
炎が生む気流で音の伝播阻害
&紅蓮が叫びそのものを喰らい灰に還す
ああ今助けるぜ
海へ還してやる
事後
鎮魂曲
安らかにな
黄金像から回復した冒険者らを救助
三人>
ダチにあんま心配かけんなよ
「さあ、嵐のお通りだ。……焔摩天、転生!」
天空城に足を踏み入れた木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は、早速ユーベルコードを発動させると、その身を地獄の炎で覆った。
そのままふわりと浮かんだかと思うと、一気に空中を駆ける。
まるで翼を広げた不死鳥のように。
空を裂く火矢のように。
高速で城内を飛び回った。
とはいえ、ただ飛んでいるだけではない。
近づくウタに気付いて振り向いたゴールドゴーレムを、行きがけの駄賃とばかりに、刃に焔摩天の梵字を刻んだ巨大剣・焔摩天で薙ぎ払う。
ウタ自身と同じように、獄炎に覆われた刀身は、その高熱により強化されて、硬い金属のはずのゴーレムを溶かすようにして斬り伏せた。
1体。また進む先に見つけて、もう1体。
そして次はと見つけた金色の像は、だが近づくウタに振り向くことはなく。
ウタも焔摩天を収めて、避けるように通り過ぎる。
すれ違いざまに見た黄金像の額には、先ほどまで倒したゴールドゴーレムのような赤い宝石はなかった。
(「オブリビオンの仕業、か」)
それがこの天空城に挑んだ冒険者の成れの果てであることを察して、ウタは苦笑する。
冒険には危険がつきもので、それを覚悟で挑んではいただろうけれども。
(「冒険者なら自己責任だけど、相手がオブリビオンなら話は別だ」)
助けなければ、とウタはまた、進む先に注意を向けた。
視界だけでなく、耳を澄ませて。
高速飛翔をしていても、手掛かりとなる音を聞き逃すまいと。
(「俺はサウンドソルジャーだからな」)
自身のジョブに誇りを以って、未だゴールドゴーレムから逃れているはずの冒険者達を探していく。
そんなウタに、微かな金属音が届いた。
それは甲高く鈍い音。
まるで、金属に金属を打ちつけたかのような。
黄金を剣で切りつけ、弾かれたかのような。
(「剣戟の音!」)
察したウタは、その音が聞こえた方向へ進路を取った。
程なくして見えたのは、ゴールドゴーレムと切り結ぶ、大剣を構えた男の姿。
轟音と共に近づくウタに、男は目を見開いて。
背を向けていたゴーレムもこちらを振り向く。
「見つけたぜ」
好戦的な笑みを浮かべたウタは、一気に地獄の炎の火力を上げると、手にした焔摩天をさらに炙って進化させる。
大焔摩天となった大剣は、巨大剣と化して。
振り抜いたその巨大質量で、ゴールドゴーレムを薙ぎ払った。
通常の剣戟では傷1つつけられなかった相手が、あっさりと斬り伏せられたのを見て、男がぽかんとした表情で立ち尽くす。
その前に降り立ったウタは、男ににやりと笑って見せて。
「ダチにあんま心配かけんなよ」
「ダチ……?」
かけた言葉に、男が眉を寄せた。
「猟兵、ということは『白鷺』……? アルのことか!」
ようやく思い至ったらしい男が口にしたのは、恐らく酒場の主の名だろう。
納得したらしい男に、ウタは頷いて見せて。
そして、近づいてくる足音に耳ざとく気付いて振り返った。
新たに姿を見せたゴールドゴーレムに、ウタはまた、纏った地獄の炎を燃やし、男をその背に庇うように、大焔摩天を構えて見せる。
ゴールドゴーレムは嘆くような表情でその口を開き、助けを求めるかのように黄金化の呪いが込められた叫び声を放つけれども。
「ああ、今助けるぜ」
同時にウタは大焔摩天を振るい、紅蓮の光刃で、そして光刃が纏う炎が生む気流で、伝わる音すらも喰らいながら黄金を斬り裂く。
「海へ還してやる」
深い傷を刻まれたゴールドゴーレムは、地獄の炎に包まれて。
灰となって崩れながら、ウタの紡ぐ鎮魂歌の中で、その姿を消した。
大成功
🔵🔵🔵
フリル・インレアン
ふええ、また天空城に行くんですか?
ふえ?今回は直接天空城に転送するから登らなくていいんですか。
それは良かったです、さすがにあの道のりは険しすぎです。
あの、転送されていきなりピンチってどういうことですか。
ふええ、触ったら黄金像になってしまうというのにアヒルさんは触って黄金のアヒル像になっちゃってますし、こちらのエールさんも私と同じ状況ですし、どうしたらいいんですか。
えっと、触らなければいいということはサイコキネシスで受け止めればいいんですね。
・・・えっと、受け止めた後はどうすればいいのですか?
「ふええ。あの、転送されていきなりピンチってどういうことですか」
天空城の一角で、逃げ惑うフリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)の嘆きのような悲鳴が響き渡っていた。
必死で足に力を込め、走り回って逃げるのは。
ゴールドゴーレムが追いかけてきているからで。
「アヒルさんは黄金のアヒル像になっちゃってますし」
その手に抱えたアヒルちゃん型のガジェットは、白い身体も黄色いくちばしもフリルと意匠を合わせた前掛けも、全てが金色に輝いていて。
ゴールドゴーレムに捕まったらどうなるかを見事に示していた。
「直接転送してもらえるから、あの険しい道のりをまた登らなくていいと、安心していたんですよ。それなのに……」
以前、フリルが別の天空城へ向かった時は、まだ群竜大陸が発見される前で。天空城の存在がようやく判明した頃のこと。ゆえに、周囲を漂う巨石群を飛び渡って、天空城に入る必要があったのだが。
群竜大陸までもが攻略された今ならば、天空城へ直接、グリモアによる転送を行うことができるようになっていた。
便利になったと感心して、ほっとしたのも束の間。
「いきなり目の前にゴールドゴーレムさんがいるなんて、聞いてないです」
不意の遭遇に慌てたフリルの手から、ガジェットが飛び出し。
ゴールドゴーレムに体当たりをした、と思った瞬間、黄金のアヒル像が出来上がり。
訳が分からないまま、とりあえず金色になったガジェットを拾い上げたフリルは、咄嗟にその場を逃げ出して。
追いかけられ続けて今に至る。
「ふええ。いつまで逃げればいいんですか」
「いやホントそれな」
独り言だったはずの声に、不意に返事のような言葉が返ってきて。
ふえ? とフリルが横を見ると、いつの間にか男が1人、並走していた。
引きつった笑みを浮かべる男も、フリルと同じ境遇に陥っているのだろう。
いつの間にか合流していた逃亡仲間に、少しだけ親近感を覚える。
それでも、極度の人見知りなフリルにとっては、見知らぬ男に声をかけられた、その衝撃は大きく。微かな親近感はあっという間に吹き飛んで。
「ふえええ!?」
思わず、被っていた大きな帽子の広いつばを引き寄せて、その場にしゃがみ込んだ。
「おいおいおい!?」
慌てる男も、つられるように足を止め。
その愚策に気付いて、はっと顔を上げたその目前に。
ゴールドゴーレムの拳が迫ってきていた。
恐怖に染まる男の顔と。
そこに迫る、金色の一撃。
帽子のつば越しに見上げるフリルの赤い瞳に、その光景がやけにゆっくり映って。
(「えっと、触ったら黄金像になる、ということは、触らなければいいということですから……」)
反射的に思考が回って。
フリルは、男に当たる直前の拳を、サイコキネシスで受け止めていた。
「やるじゃねぇか嬢ちゃん」
男が笑顔を取り戻し、フリルに称賛の声を送る。
フリルも、おずおずとその様子を見ながら、その場に立ち上がって。
ふと、首を傾げた。
「……えっと、この後はどうすればいいのですか?」
「え?」
固まる男。
反対側にもう一度首を傾げるフリル。
2人は無言のまま視線を交わして。
ゆっくりと、どこかぎこちなく振り向いて。
サイコキネシスで動きを止めたゴールドゴーレムの向こうから、さらに4体のゴールドゴーレムが迫って来ているのを見て。
「逃げろおぉぉぉ」
「ふええぇぇ」
再び、天空城内を走りだした。
成功
🔵🔵🔴
ポーラリア・ベル
天空のお城でお宝、お宝♪なおなお(f01298)と一緒だよー!
黄金の雪って、綺麗かしら?じゃなかった。冒険者さんを冬に導いて、黄金をやっつけるのね。助けるー!
なおなおの頭に乗ってしゅっぱーつ!黄金像は【フリーズコレクション】にご回収してくよ!
物理攻撃はなおなお、お願い!飛んでくる咆哮は【呪詛耐性】で我慢できるけど…
そうだ、あたしのベルの【楽器演奏】なら音波相殺できるかも!
それも人間さんなら強い音出るかも。冒険者さん強く鳴らして!(ベル渡し)
音でかき消しながら【属性攻撃】の雪玉でどかんどかんしていくよ!
日野・尚人
ポーラ(f06947)と天空城へ!
そういえば前もお前と一緒に冒険者気分で乗り込んだんだっけ・・・
とはいえ今回は財宝探しじゃなく冒険者の救出だ! 頼りにしてるぜ、相棒!
まずは<索敵>で敵を避けつつ、<聞き耳><追跡>で救助対象を探さないとな?
あ、道すがら見つけた黄金像(冒険者)は回収してくか。
元に戻った直後に俺たちの居ない所でブラクテと遭遇したらマズイし。
救助対象を発見したら即援護! 助けに来たぜ!
黄金化の呪いには<呪詛耐性><オーラ防御><幸運>で対抗。
当然ヴァンたちとポーラは<かばう>。
ゴールドゴーレムの叫びを凌ぎつつ反撃だ!
すべてを凍てつかせる氷の警鐘・・・ぶちかましてやるっ!(UC発動)
「天空のお城でお宝、お宝♪」
にこにこ笑顔で声を弾ませながら、ポーラリア・ベル(冬告精・f06947)は天空城の中をきょろきょろ楽し気に見回していた。
傷がついたり少し壊れていたりもして、古く寂れた、でもどこかわくわくする雰囲気の景観に、青い瞳は輝いて。
「黄金の雪って、綺麗かしら?」
空から降り降りて来る金色の結晶を想像しながら、冬の妖精はまた微笑み。
しかしすぐに、はっとして、その白い両頬に雪影色の手袋を当てた。
「……じゃなかった。冒険者さんを冬に導いて、黄金をやっつけるのね」
そのまま両手を上に掲げ、助けるー! と明るく宣言すれば。
ポーラリアの下から、吹き出したような笑い声が漏れた。
「そうだな。今回は財宝探しじゃなく冒険者の救出だ!」
日野・尚人(あーちゃんの早朝襲撃に断固抵抗する会終身(?)会長・f01298)は、以前訪れた別の天空城を思い出しながら、こちらも楽しそうに笑う。
あの時も一緒に、宝探しな冒険者の気分で乗り込んだんだっけ、と変わらぬポーラリアに笑みを深めながら。
でもしっかり今回の役割を思い出して、気合いを入れる様子を感じ、尚人は、顔を上げないようにしながら、見えないけれども頭上へ視線を向けた。
「頼りにしてるぜ、相棒!」
「うんっ。それじゃ、なおなお号、しゅっぱーつ!」
短い茶髪の中で、ポーラリアがびしっと前を指差すと、はいはい、と尚人は何となく止まってしまっていた歩みを再開する。
そう。ポーラリアが居るのは、尚人の頭の上。
透き通った氷のように綺麗な羽根を背中に持ちながら、ポーラリアは自分で飛ぶことなく、尚人の頭に乗って天空城を進んでいたのだった。
小さなフェアリーであるポーラリアなら、別に頭が重くなることはないし。
ちょっと興奮して髪を引っ張られたり、ぺしぺし叩かれたりするのはご愛敬。
むしろ尚人はそんな感覚を楽しみながら、早速見つけた黄金へと近づいていった。
「なおなお、これはお宝?」
「お宝……まあ、回収するべきもの、って意味ではお宝、か?」
頭の上でポーラリアが首を傾げた気配に、尚人は苦笑してその金色を見やる。
両腕を顔の前に重ねて怯えた顔を反らした、冒険者の服装をした男の人の黄金像。
細かいところまで作り込まれた、今にも動き出しそうな像は、本物の冒険者がオブリビオンによって黄金化されてしまったものだと聞いていたから。
尚人は黄金像を指差して、頼むな、と頭上に声をかけた。
「元に戻った直後に俺たちの居ない所でブラクテと遭遇したらマズイしな」
「かいしゅーかいしゅー!」
ふっと少しだけ頭が軽くなったと思うと、ポーラリアがふわりと黄金像の前に飛び。
差し出したのは、小さなスノードーム。
「ずっと溶けない、真冬の世界へようこそ♪」
すると、そのスノードームの中に吸い込まれるかのように、黄金像が消えて。
ポーラリアが覗き込むと、ドームの中にきらりと光る黄金が1つ、立っていた。
それはポーラリアのユーベルコード。
スノードームの中は、ポーラリアが作り上げた極寒の氷雪世界だから。
これなら何体でも回収して持ち運べると、尚人も小さなスノードームを見て頷いた。
そしてポーラリアはまた尚人の頭上に戻り。
再び2人は天空城を歩き出し、そしてまた黄金像を回収する。
そうして進んで行くうちに、その行く手に見えたのは、輝く炎に照らされた黄金。
今度の黄金像は数いる上に、額に赤い宝石を輝かせ、その拳を振るっていて。
そして炎を纏った少年が、巨大剣を構えて対峙していたから。
あれがゴールドゴーレムか、と尚人は駆け出した。
近づけば、剣を構えた少年の後ろに、体格のいい冒険者らしき男がいたから。
「助けに来たぜ!」
これが探していた遭難者かと判断して、尚人は声をかけた。
そのままゴールドゴーレムに相対するように、男を背にして立ちはだかれば。
頭の上のポーラリアが、くるりと身体ごと後ろを振り向いた。
「ごきげんよう。あたしポーラ。一緒なのは、なおなおね。冬を告げに来たよ」
「え? あ……俺はヴァンだ」
話しかけられるまで頭上に居ると気づいていなかったらしい小さな妖精に、急に、しかも普通に挨拶されて、男は……ヴァンは戸惑いながらも名乗る。
どこかぽかんとしたその様子に、でもポーラリアは返事が来たことに満足して。
またくるりと回って前へと向き直ると。
「さ、なおなお、がんばれー!」
気楽な応援に、大鷲の短剣を構えていた尚人が苦笑した。
そこに、ゴールドゴーレムが嘆くように口を開く。
放たれた黄金化の呪いを込めた叫びに、炎の少年は剣を振るい、そして尚人とポーラリアは呪詛耐性で何とか耐える。
(「我慢、できるけど……」)
どうにかしなきゃ、と対抗手段を探したポーラリアは。
「そうだ」
ぱんっと両手を打って、顔を輝かせると、冬告げのベルを取り出した。
(「これなら音波相殺できるかも」)
そしてさらに、また振り向いてヴァンを見上げると、ふわりとその目の前に飛び。
「冒険者さん、強く鳴らして!」
「あ、ああ……」
手にしたベルをずいっと差し出し、半ば押し付けるようにして渡す。
訳が分からないまま、ヴァンはそれでも、言われるがままに力任せにベルを振り。
その怪力で、大きな大きな音が響く。
強く振れば強く鳴る。
当たり前のことだけれども、その音に力があるのなら。
強く振れば強くなる。
ポーラリアが狙った通り、冬告げの響きはゴールドゴーレムの叫びをかき消した。
「反撃だ、ポーラ! ぶちかましてやるっ!」
「うんっ。なおなお♪」
それを好機と尚人が飛び出せば、援護するようにポーラリアは雪玉を放ち。
雪合戦かと思う最中に、さらにポーラリアは尚人へ氷属性のその力を分け与える。
終焉を齎す清冽なる氷鐘。
冬の妖精の力を纏った大鷲の短剣は、秘められた氷の魔力も強化して。
ゴールドゴーレムを切り裂くと同時にその傷口を凍らせる。
さらにそこに尚人が撃ち込んだ弾丸も、氷属性を得ていたから。
氷の警鐘を鳴らすような銃声が響くと同時に、ゴールドゴーレムの全てを凍てつかせてその動きを封じていく。
そこにさらに、尚人は止めの銃弾を撃ち込んで。
「……へへ。俺たちを敵に回したことを後悔しながら冬眠(ねむ)るんだな!」
氷と共に砕け散った黄金は、消えゆく間際に一瞬、細かくきらきらと瞬いたから。
「わあっ。黄金の雪~♪」
ぱちぱちとポーラリアが拍手を送った。
大成功
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シリン・カービン
【WIZ】
あれだけの数に追われてまだやられないとは、
お調子者とは言え、さすが名うての冒険者ですね。
まあ、このままではいずれ危なくなりそうですが。
【スプライト・ハイド】で姿を消して通路で待機。
発射音を悟られない様に風の精霊弾を装填します。
姿を隠したまま、ゴーレムを引き連れたエールが来るのを待ち、
彼が通り過ぎたらゴーレムの宝石を狙撃。
ゴーレムに気づかれたら叫びを上げる前に風の精霊に呼びかけ、
音を消して叫びを封じます。
エールが騒ぎながら逃げてくれれば、
またゴーレムが集まってくるでしょう。
申し訳ありませんが、もう少し頑張って下さいね。
「帰ったら、一杯奢らせてもらいましょう」
彼らの冒険譚を肴にして。
「うおおおおお!」
「ふえぇぇぇ」
シリン・カービン(緑の狩り人・f04146)が遠目に見つけたのは、城内を逃げ回る、軽装備で身軽そうな冒険者の男と大きな帽子を被った少女だった。
必死の形相で、半泣きの困った顔で、それぞれに悲鳴のような声を上げながら、通路を全力で走り抜けていく。
それを追うのは、動く黄金像……ゴールドゴーレム。
額に赤い宝石をつけた、黄金に輝くゴーレムは、むしろこちらの方が悲鳴を上げていそうな悲痛な表情で、だが逃げる2人を執拗に追いかけていた。
その数、5体。
数の差があるからか、単純に実力不足を感じてか、2人は反撃の素振りすら見せず、ただただ逃げ回るばかりだったけれども。
(「あれだけの数に追われてまだやられないとは……さすが名うての冒険者ですね」)
それを眺めるシリンの胸中にあるのは感嘆だった。
確かに、広いとはいえ建物内。障害物や遮蔽物があるとはいえ、こうしてシリンが様子を見れる程には開けた場所で。逃げ続けるだけでも称賛に値する。
(「確か……エール、といいましたね」)
シリンは、今回の件の依頼元である酒場を訪れたことがあり、逃げ回る男を見かけたこともあった。仲間2人と楽し気に酒を飲み交わし、陽気に軽い口調でその場を盛り上げるどこかお調子者の彼の様子が思い出された。
どちらかといえば、仲間に助けられていそうな彼でさえこの実力。
そこそこ名の知れた冒険者、と酒を片手に語っていたのは、伊達ではないようだ。
とはいえ。
(「まあ、このままではいずれ危なくなりそうですが」)
オブリビオン相手に、猟兵ではない冒険者が逃げ続けるのはやはり難しいことだから。
シリンはそっと、その手に精霊猟銃を構えた。
精霊の力を宿したボトルアクションライフルを、慣れた様子で、特になるべく音を立てないように気を付けながら操作して。装填するのは風の精霊弾。
「いたずら妖精いたずら妖精、その手を繋げ」
それを構えながら、シリンはユーベルコードを紡ぎ。
こちらへと進路を変えた2人と6体のゴールドゴーレムを見据えた。
あ、増えてる。
「うおおおおお!」
「ふえぇぇぇ」
必死な男と半泣きの少女は、そんなシリンに気付くことなくその横を通過して。
追いかけるゴーレムも、シリンに一瞥すらくれることなく近づいてくる。
それもそのはず。
シリンはユーベルコードでその身を透明にして隠していたのだから。
かなり接近した距離で、それでも相手に気付かれぬまま、シリンはトリガを引く。
狩人としても、アーチャーとしても、容易い距離で放たれた弾丸は、狙い通り、一番後ろを走っていたゴールドゴーレムの額にある赤い宝石を撃ち抜いた。
ゴーレムは、走り込んできた勢いのまま、数歩は先に進んだけれども。
すぐにその脚が力なく折れ、倒れ伏すとその姿を消した。
そして、仕留めた獲物をちらりと確認してすぐ、シリンは動く。
逃げる2人の進路を予測し、またシリンの方へと戻ってくる動きを確認して。
同様に、また最後尾の1体を仕留めた。
さすがに、続く不審な動きに気付いたか。倒れたゴールドゴーレムのすぐ前にいた者が足を止め振り返り、シリンがいる辺りを探るように眺める。
透明化したままのシリンを、その黄金の瞳が捉えることはなかったけれども。
何かを感じたのか。それとも念のための無差別な対応なのか。
黄金化の叫びを上げようと口を開いた。
「風の精霊、お願いします」
けれども、囁くシリンの声に応え、ゴールドゴーレムの周囲を風の精霊が舞い。
包み込むような風の流れが、叫び声の伝播を、そして黄金化の呪いを防ぐ。
そして、大きな口を開けたまま、その額の赤い宝石が砕けた。
倒れ消えるゴールドゴーレムを見下ろして、シリンは銃弾を撃ち込んだその姿勢からゆっくりと立ち上がる。
「うおおおおお!」
「ふえぇぇぇ」
そしてまた、逃げる2人の様子を眺めて。
(「程よくゴーレムを集めてくれているようです」)
また増えて4体のゴールドゴーレムに追われるその様子に小さく微笑む。
(「申し訳ありませんが、もう少し頑張って下さいね」)
そしてまた、シリンは姿を消したままで猟銃の狙いを定め。
「帰ったら、一杯奢らせてもらいましょう」
彼らの冒険譚もいい肴になりそうだと楽しみにしながら。
必死に逃げ続けるエールの知らぬところで、そっと呟いた。
大成功
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