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HPをゼロにさせるな

#アックス&ウィザーズ #猟書家の侵攻 #猟書家 #眠りの森の魔女ターリア #クレリック #言葉の神シャルムーン

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●生死司るもの
 目が覚めると、私はまるでベッドのようなキノコの上にいた。周りは鬱蒼と茂った森だ。ここはどこだろう。ヴェルニスの迷宮街だろうか。そもそも何故私はこんなところに――そうだ、棺ごと浮遊する女性が現れて、彼女の言葉を聞いているうちに、眠気と黒い渦が――。
「……群竜大陸!?」
 薄れゆく意識の中で聞こえた彼女の言葉が真実なら、私は群竜大陸に転移させられたことになる。その名の通り、数多の竜住まう――2020年5月の「帝竜戦役」により殆どが討伐され統治されたと聞くが――大陸。私のような信徒が一人で生き残れる場所ではない。
(「群竜大陸で死んで欲しい」と申し上げています)
 それでも私はシャルムーンに仕える身だ。何としてでも生き延びるんだ。キノコから身を起こし、歩き始める。よく見ると、この身を横たえていたキノコも、他のも、目に見えるほどの胞子を飛ばしている。私が目を覚ましたことから即座に死に至るものではなさそうだが、気分としていいものではない。
 それに、私の視界の斜め前には、切り出された石のような直方体の何かが浮かんでいる。青色で、天辺が若干赤い。私が動いても、周囲を見回しても、常に視界の定位置にいようと動いている。これは一体――。
「見つけたぞ、シャルムーンのクレリック! 貴様はここで終わりだ!」
「貴様を殺し、その武勲により故郷に残した女と国を興すのだ!」
「逃げるか? 諦めよ! 絶対不敗の我々から逃れられる者などいない!」
 背後からの声に振り返った。その騎士達は救助部隊ではなく、私の命を狙う彼女の手の者ということになる。そして彼らも傍に直方体の何かを浮かべている。それは私のものより遙かに長く、そして青と赤の割合がそれぞれ違っていた。何故か傷を負っている者の傍のものほど赤色の割合が多いように見えたが、今の私には「それ」が何なのかを考える余裕はない。彼女の言葉通りに死ぬのだけは、何としても免れなくては――!

●あるはずのないもの
「よし、時間だな。じゃあ俺の予知を聴かせるぜ。『そこ』の『月の陣取りゲーム』の話だ」
 グリモアベースに集った猟兵達へ、カグラ・ルーラー(バスバリス・f21754)は、背後に突き立てている己のバトルアックス――「アックス&ウィザーズ」の武器――を肩越しに親指で差して語り始める。
「仕掛けて来やがった猟書家(ビブリオマニア)は『眠りの森の魔女ターリア』。あのスッポンポンに仕える幹部だ。こいつが『言葉の神・シャルムーン』のクレリックを群竜大陸で死なせるために浚ったんで、ボコって助け出せっつう話さ。敵のツラも場所も見えてる……ちょっと見えすぎかもしれねェけどな、今回は」
 カグラの右手の上に浮かぶグリモアには、キノコが生い茂る森を斜め上から俯瞰するように、法衣姿の女性と、鎧に身を包み槍と盾を構える男達。そして、人数分の直方体。法衣の傍のものは短く、鎧の傍のものは長い。
「このクレリックを助けるために騎士をボコるところからだが……場所は『万毒の群生地』っつう毒キノコの群生地だ。クレリックが飛ばされたところのキノコの胞子は『カシカヒトポイズン』っつう毒で、近くの生命体やウォーマシンとかの近い機能を持つ存在の近くに、直方体の形状に集まって浮かぶ特性がある。直方体に集まった時点で菌糸は宿主に伸びていて、宿主の生命力に応じて大きさは様々、生命力の最大に対する割合に応じて青か赤の二色に変色するんだ。ビデオゲームに明るい奴には『ヒットポイント・ゲージ』が出るって言えば解り易いかもな」
 グリモアの映像は騎士を大きく映し、その視線が「ゲージ」に向いている様子を見せる。
「ヒットポイントだけあって、真っ赤になった時には戦闘不能なほどのダメージを負っているはずだ。そしてこいつが重要な特性なんだが、この胞子は強烈な刺激を受けると赤くなる。つまり『ヒットポイント・ゲージそのもの』へのダメージが宿主へのダメージになる。恐らく直方体状の胞子を散らせれば戦闘不能にもできるはずだ。なんたってヒットポイントが『無くなる』んだからな。その特性を知らされているからか、騎士の連中は積極的に『ゲージ』を狙うだろう。クレリックの『ゲージ』は大きくはないが、その分、当たりゃ終わりだ。絶対にやらせんなよ」
 グリモアの視点は毒キノコへ。
「毒キノコの無力化は考えない方がいい。この場所に突っ込んだ時点であんたらも毒にさらされて『ゲージ』を持たされるんだ。そんな余裕は無ェはずさ」
 グリモアは再び騎士を映す。
「自分とクレリックの『ヒットポイント』を守りながら、堅さが取り柄の騎士の『ヒットポイント』を叩き潰せ。そうすりゃ寝るのに飽きた魔女も顔を出すから、倒してエンディングだ。間もなく旅立ちの門が開くぜ。勇者ご一行様の出発だ」
 口でピコピコ言いながら、カグラはグリモアを門に変えこじ開けた。


鷹橋高希
 第六猟兵TRPGにはHPどころかPOW,SPD,WIZも青丸赤丸も無いので、第六猟兵PBWに無理矢理HPを作りました(?)

 本シナリオは、「猟書家の侵略」に影響する幹部シナリオで、全2章となります。
 オープニングが公開され次第プレイングを受け付けますが、金~日曜日(リプレイ執筆に割ける時間が多くなる)以外では、システム上、不受理として返却される可能性が高くなります。また、必要に応じてプレイングを採用せずリプレイ文章を提出する可能性(幕間等)があります。
 リプレイの進捗(特に、完成させられずの不受理)はマスターページで随時更新します。

 プレイングボーナス(全章共通)……襲われるクレリックを守る。

 第1章:集団戦 Vs. 『絶対不敗・負けナイト』
 圧倒的な堅牢性を誇る(故にHPゲージが大きく良い的と化した)彼らの防御力(なんか気にせず傍のHPゲージ)を打ち砕いて下さい。
 また、守るべきクレリックと猟兵自身のHPゲージも彼らに狙われます。猟兵のHPゲージの大きさは自己申告制(鷹橋へ一任可能。書かれてないなら一任と判断)としますが、展開を有利にしたいためだけの(キャラクター設定と齟齬が著しく説得力もない)申告は苦戦~失敗の結果となる可能性があります。
 クレリックのHPゲージはカグラの言葉通り「当たりゃ終わり」の小ささです。クレリックはオープニングに女性が一人登場していますが、他に居てもいいものとします(「アックス&ウィザーズ」の種族であれば性別年齢任意。ただし一人も死なせてはなりません)。

 第2章:ボス戦 Vs. 『眠りの森の魔女ターリア』
 彼女のHPゲージについては幕間での説明を考えています。

 猟書家の侵攻を食い止める勇者様方のご参加をお待ちしております。
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第1章 集団戦 『絶対不敗・負けナイト』

POW   :    我が盾は無敵!誰にも破れない!
対象の攻撃を軽減する【盾を構えた防御型の姿】に変身しつつ、【盾による殴打や槍】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    完全に見切った!同じ手は通用しない!
【槍と旗の攻撃】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    この戦いが終わったら
【故郷の恋人の話をしながら限界突破モード】に変形し、自身の【生存フラグ】を代償に、自身の【攻撃速度と攻撃力】を強化する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

黒玻璃・ミコ
※スライム形態(HPゲージお任せ)

◆行動
はろーご機嫌いかがですかー何かお困りのことはありませんか?
本日は星回りも良くご機嫌な『万毒の群生地』を統べるミコさんが
責任を持って貴女を助けてあげますよ?

あぁ、騎士崩れは故郷ではなく骸の海送りです
私の領地を荒らす愚か者は処罰しないと

大切なのはクレリックさんの安全です
【毒使い】の本領発揮し甘い毒の香りで騎士達の判断を惑わせ
私へと【誘き寄せ】攻撃から【かばう】としましょう

【黒竜の逆襲】による【カウンター】で飛び散る
私の返り血がヤバいのは一目瞭然ですよねー
魔力も帯びてるので【生命力吸収】の媒介経路にもなり攻防一体ですよ

◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブOK



●万毒を統べるもの
 時は2020年5月。帝竜ヴァルギリオスの企てた世界滅亡は、それを阻止するための猟兵達により、ヴァルギリオスと配下の帝竜が討ち滅ぼされ潰えた。帝竜を失った群竜大陸は、猟兵達に分割統治されることとなり、各地で、上げた戦果によりその地を最も知る者が領主として治めることとなった。
 そして――。

「はろーご機嫌いかがですかー何かお困りのことはありませんか?」
 群竜大陸で「万毒の群生地」と呼ばれる毒キノコの群生地では、騎士達に追い詰められたクレリックに、どこからともなく現れた黒いスライム――黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)がふよふよと話し掛けていた。命のやり取りの場が、スライムに浮かんだ笑顔と美少女らしい声の弾みで一瞬の弛緩を見せる。
「本日は星回りも良くご機嫌な『万毒の群生地』を統べるミコさんが、責任を持って貴女を助けてあげますよ?」
「……なんだと?」
 続くスライムの声は、騎士達の空気を再度張り詰めさせた。このスライムはこの地を統べる者で、クレリックを助けると言った。つまり敵だ。こいつの「ヒットポイント・ゲージ」は……顔を持つスライムにしては大きい。だが、この一体だけ。
「はっはっは! たかがスライムが、随分と大きく出たな!」
「絶対不敗の我々相手に、一匹で何ができる!」
 既に勝ち誇る騎士達――その名は「絶対不敗・負けナイト」。はためくは「絶対不敗」の負けフラグ。
「あぁ、そこの騎士崩れ。あなた方は還りなさい」
「帰れと言われて誰が帰るか。故郷に残した女の元へ帰るには手柄が」
「故郷ではなく骸の海送りです。私の領地を荒らす愚か者は処罰しないと」
 フラグの向こう、既にスライムは顔を消し自らを泡立てさせていた。クレリックへの歩みを阻む毒沼と化したミコは甘い毒の香りを騎士達に放っており、毒の回った騎士達の視界からは、クレリックの姿も、ミコの「ゲージ」も消える。
「視界を奪う神経毒か、だが肝心の貴様が見えているぞ!」
「そんなに倒されたいのなら、我々が倒してくれよう! かかれ!」
 花の蜜に虫が群がるように、盾を構えながらミコに殺到する騎士達。ガシャガシャと金属音を響かせ、いあいあはすたあ……と呟く少女の声を自分達で掻き消して、ミコに槍を突き刺し……弾け飛んだミコ――のユーベルコード「黒竜の逆襲」を浴びた。
「はっはっは! 呆気ない領主様だな!」
「さあ、今度こそ貴様だ! シャルムーンの――」
『浴びちゃいましたねー。私の返り血』
 スライムが飛び散ってなお響く美少女の声。騎士達とクレリックの視線を集めたスライムの残滓は、土に還ることなくふよふよ揺れている。その声を合図に、騎士達の浴びたスライムの毒は、盾・槍・鎧とあらゆるものを浸食しつつ、肉体に至ればそこから生命力を吸いながら本体へ戻っていく。
「やったと思ったのにぃぃ!」
「ダメだったぁー!」
 視界を奪う毒を効かせる意味もなくなった阿鼻叫喚の騎士達は、自らの「ゲージ」にもスライムが取り付いたのを見たものの、その中の色を確かめる力すら振り絞れぬまま、赤色の菌糸に分解されて風に散っていく。
「処罰完了。あ、騎士崩れがお見苦しくお聞き苦しいものでしたがご容赦下さいー」
 ミコは元の丸い体積を取り戻し、異世界で「顔文字」と呼ばれるようなほんわかとした笑顔をクレリックに向ける。
「もてなす用意もなく申し訳ありませんね。貴女の帰るべき街へとお返しすることで、領主としてのもてなしに替えさせて下さい」
 ほんわか笑顔の救いの手にクレリックの緊張も解れ、大きい方の「ゲージ」は小さい方を案内し始める。

成功 🔵​🔵​🔴​

城田・紗希
【HP一任】
こんなちっちゃい子を集団で襲うとか、なんてひどい闇騎士なの!
という訳で、ユーベルコードで変幻自在の剣戟を見舞うよ!
あとついでに、範囲攻撃で防御させ続けて(寿命消費の)自滅を狙うよ!

とはいえ、数が多すぎるとそのうちやられるから、クレリックの子を連れて
安全地帯か、他の猟兵が見える場所まで逃げるよ!(ロープワークやら物を隠すやら、使えそうな技能は使って逃げて、少なくなったら応戦)



●無敵の守りに溺れるもの
「ふぇぇ……ここどこ……? しんぷさまぁ……しすたー……!」
 毒キノコの森をとぼとぼと涙目で歩く、年端もいかぬ子供がいる。シャルムーンの神官服を子供用に仕立てたような衣と、その神の聖印とを身に着けており、信者の子か孤児か出自は判らぬが、シャルムーンのクレリックとしてこの地に転移させられたことが窺える。
「おっと、迷子のクレリックちゃんを見つけたぞ」
「ここは絶対不敗の騎士の我々が送り届けなければな……死の国へ!」
 シャルムーンのクレリックを捜す騎士達、その名は「絶対不敗・負けナイト」。彼らを不敗たらしめる槍が、彼らを負かす術も抗う術もなく、脅かされていることにも気付かぬ小さな神官服と傍の小さな「ゲージ」を貫く――よりも速い一閃が槍をまとめて弾き返した。
 槍を手放すまいと騎士達が身体を捻り、再び幼子に向き直ると、その僅かな時間に生命力溢れる少女へと成長……したわけではなく、一振の刀を抜いた「女子高生」――城田・紗希(人間の探索者・f01927)が幼子の前に立ちはだかっていた。
「こんなちっちゃい子を集団で襲うとか、なんてひどい闇騎士なの!」
「我々は絶対不敗! 絶対に勝てる相手を選べば、絶対に負けぬ!」
「そのような細腕と変わった服で我々に刃向かったこと、後悔させてやろう!」
「危ないから下がってて!」
 紗希は虫酸走るような言い分には耳を貸さず、クレリックの子に退避を呼び掛けて、同時に騎士に斬撃――ユーベルコード「流水撃」――を浴びせていた。
「うおっ!? だが重くはない! 防御体勢だ!」
 一撃目を受けた騎士が呼び掛け、騎士達は一斉に盾を構える。しかし、構えるまでの間にも紗希は全ての騎士達に何度も撃ち込んでいた。
「我々の無敵の守りは破れんぞ!」
「あまりにも速く反撃の隙もないが、小娘との根比べに負ける我々ではないぞ!」
 防戦一方にも関わらず勝ち誇る負けフラグ騎士達。彼らの守りは強力で、紗希の放つ流水のような変幻自在の剣戟をもってしても崩れることはない。しかし、彼らを無敵たらしめる守りは寿命……即ち、存在できる時間の長さを代償にしている。
 寿命が尽きれば死ぬのだから、彼らの代償は――圧倒的だったはずの「ゲージ」の長さだ。
「ま、まずい! 我々の『最大ヒットポイント』が!」
「ゼロになる前にどうにか反撃を!」
「そのための変幻自在の不可避の剣戟! やらせないよ!」
「我々の無敵の守りも『ヒットポイント』無きゃ意味なーい!」
「ゼロになるー! もう駄目だー……ぁ……」
 紗希のものより遙かに大きかったはずの「ゲージ」は、絶え間ない流水のような剣戟に削り取られて消えていき、騎士達は次々に朽ちていく。
「はぁ……はぁ……。危ないの、終わったよ」
 動ける騎士がいなくなったことを確認し、紗希は刀を鞘に収め、クレリックの子に向いてしゃがみ込み、両手を伸ばす。キノコの陰に隠れていたクレリックは、青色に満ちた小さな「ゲージ」と共に紗希の手の中に駆け込んだ。
「お姉ちゃんが帰してあげるから、一緒に行こうね」
「うん……おねがいします」
(クレリックも騎士も今のが全てじゃないはず。私だって無敵じゃない。他の猟兵と合流できれば……)
 守るべき小さな命と手を繋ぎ、紗希は歩き出した。

成功 🔵​🔵​🔴​

フォルク・リア
ヒットポイント・ゲージを見て
「毒キノコ…随分変わった物があるんだな。
何とかしたいけど。今はどうしようもないか。」

クレリックと合流し状況を説明。敵迎撃に当る。
「此処は下手に動かない方が良い。
なに、弱点が晒されているのは相手も同じ。
それを狙うなら恐らく俺の方に分がある。」
真羅天掌を発動し、電撃属性の竜巻を発生させて
ゲージを狙い攻撃。
敵がゲージを庇おうとしても
四方から吹き付ける竜巻と電撃でそれを許さず。
無理にゲージを庇おうと気を取られたら
自ら呪装銃「カオスエンペラー」で無防備な本体を狙って攻撃。
敵が自分とクレリックやそのゲージを狙ってきたら
ファントムレギオンを使用、死霊を実体化、
盾として攻撃を防ぐ。



●生死究めるもの
「このような毒を持つキノコか……随分変わった物があるんだな」
 フォルク・リア(黄泉への導・f05375)の眼差しは、白いローブの中から傍の青い直方体に向けられていた。
 この直方体は毒キノコの胞子の集合体であり、かつ宿主である自身の生命力を表しているという。言うなればビデオゲームにおける「ヒットポイント・ゲージ」だ。そしてこの胞子自体も傷付くと赤色に変色、全てが赤色に変わってしまえば「ヒットポイント」を全て失ったため、死ぬという。多くの時間を生死に関する呪術の研究に費やしたフォルクにとって興味深いものだが、今はそれ以前に剥き出しの弱点である。
「何とかしたいけど、今はどうしようもないか」
 最初の呟きが示すように、今までの研究の範疇にない以上、対処法は判らない。比較対象がないものの、術士らしく大きくないであろう「ゲージ」と共にフォルクは進む。この事態を予知したグリモア猟兵のテレポートで転移した場所である以上、救助対象は遠くないはず――。
「だっ、誰かっ!」
 息を切らして走る女性のクレリックが前方から現れ、彼女だな、とフォルクは歩み寄る。目元をローブのフードで覆った男性ということで訝しまれたが、状況を丁寧に説明することで信頼を得る。
「とにかく、此処は下手に動かない方が良い。なに、弱点が晒されているのは相手も同じ。それを狙うなら恐らく俺の方に分がある」
 クレリックを庇うように腕を伸ばし、フード越しに見据えるのは――術士のフォルクよりも遥かに大きいゲージを持つ――金属音を鳴らす鎧の騎士達。
「死にたくなければ退け、そこの術士。我々はその女に用がある」
「俺を殺せる気でいるようだが、俺も彼女に用がある。退けないな」
「ならば貴様も故郷に残したあいつと興す国の礎となれ!」
「『大海の渦。天空の槌。琥珀の轟き――』」
「俺もこの戦いを終えてあの子の手料理を!」
「『――十指に集いて道行きを拓く一杖となれ』」
 急に恋人の話をしながらフォルク達に殺到する騎士達。生存フラグを投げ捨てたかのように全身鎧を物ともせぬ速度で槍を突き出す。しかし、フォルクは臆することなく詠唱と同時に両腕を前に突き出す。詠唱通り十指の先から迸る魔力――ユーベルコード「真羅天掌」――は電撃の竜巻と化して騎士達を取り巻いた。
「負けぬぞ! この程度の雷など、寝坊した俺を起こしに来る幼馴染の雷と比べれば!」
「あっ! こいつ『ゲージ』に直接雷を落としぎゃあぁぁぁ!」
 まるで避雷針のような縦長の「ゲージ」を稲妻が貫くと、上から一気に青色から赤色に変色する。それはまさに「ヒットポイント」が一撃で消し飛ぶ様相であり、その「ゲージ」の宿主はほぼ無傷にも関わらず倒れ伏した。
「まずいぞ! 『ゲージ』を守れ!」
「大きすぎて盾では覆い切れぬが、まだ八割は」
 騎士の言葉を遮るように、フォルクは片方の手で呪装銃「カオスエンペラー」の引き金を引いた。盾を「ゲージ」に翳した騎士の鎧に弾痕が穿たれ、弾痕から死霊が湧き上がる。
「なるほどな。今の死霊では『ゲージ』はそう削れるのか。では次はこの死霊を実験させてもらおうか」
 電撃の竜巻から守らざるを得ない「ゲージ」を抱え、守り切れない四方からの雷光と呪装銃の銃撃を浴びて「ゲージ」を削り切られ、次々と倒れては菌糸に崩れ行く騎士達。
「こうなったら、刺し違えてでも!」
 ある騎士は竜巻を抜け出て槍を突き出したが、その槍頭はフォルクが操る死霊の集合体――ファントムレギオンの実体化に絡め取られ、貫けば真っ赤にできていたはずの術士とクレリックの「ゲージ」に届くことなく、「絶対不敗」の旗と共に朽ちていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネミ・ミミーニーズ
いろいろおまかせ

なるほど状況はよくわかった!
【HPゲージは一任します】

……、……。
一任しますってなんだ!
見えてるし触れるなら使うよ!
行け!【全ては鹿】!!
ネミさんはHPゲージで戦うぞーー!!
(自分のHPゲージを鹿にして突撃させる)

被弾してダメージ?
ああん?
うちのユーベルコードは回復効果があるんだぞ!
ガチムチダメージレースだ!
歯ぁ食いしばれ!
違った! HPゲージ食いしばれー!



●HPをSにさせるもの
「なるほど状況はよくわかった!」
 ドン! という太鼓の擬音の付いた漫画の一コマのように高らかに宣言したのはネミ・ミミーニーズ(蒸気打ちの妖精・f00595)。傍らには自身の身長を遙かに越える長さの「ヒットポイント・ゲージ」が浮かび、見た目からは想像できぬほどの屈強さが窺える。
 だが、ネミを映したカメラがズームアウトしていく(?)と、ネミはフェアリー――身長24センチメートル――であり、「ゲージ」の大きさが両サイドで面食らっている人間型の騎士達やクレリックと比較してそれなりの大きさであることが判る。そして彼らの足元には太鼓――獣奏器「リスの巣」――が転がっており、それをリスが撥で打ち冒頭の擬音が実際に響いたことも判る。演出ご協力ありがとうございます。
「何だかよく分からんが、妨害ならば諸共葬るまで!」
「させない! 行け! 【全ては鹿】!!」
 ネミはガジェットから自身の「ゲージ」に向けて光線を放つ。光線を浴びた「ゲージ」は体積を増しながら変形し、緑色のオーラを放つ巨大な鹿へと変わった。
「ネミさんはHPゲージで戦うぞー!!」
 ネミの「全ては鹿」は、その名の通り全てを鹿に変える光線を放つユーベルコード。そしてそれを浴びた「ゲージ」は可視化された自身の生命力。つまりこの鹿、ネミさんの全身全霊の力を宿した鹿である。
「はっはっは! 鹿に何が出来る! 鹿狩りなど我々には朝飯前だ!」
「故郷一鹿料理の上手い俺の女と美味しく頂いてやろう!」
 そんな都合の良い故郷の恋人に想いを馳せ、騎士達は鹿に迫り――角のかち上げを叩き込まれ放物線を描いて地面に倒れ伏した。騎士達の「ゲージ」は一気に青色を失い朽ちていく。
「ちょっと待って鹿強くない!?」
「これは削り合い! ヒットポイントと鹿ポイントのダメージレース! 歯ぁ食いしばれ! 違った! HPゲージ食いしばれー!」
「鹿ポイントって何ぐはぁぁ!」
 ネミさん自身の生命力を代償にした力と化した鹿が強くないはずがなく、ダメージレースにならないほど一方的に、鹿が騎士達を圧倒して暴れ回る。緑色のオーラを纏う鹿の荒ぶる様は、クレリックの脳裏に改宗の二文字が一瞬よぎるほど神々しくもあった。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・仄々
命を玩具のように扱うとは何たる非道
お助けします

お陰はありませんか?
私達が守ります
ご安心ください
と肉球ハンドで握手し勇気づけ

クレリックさんや自分の
体やHPゲージをペロ

これでどんな攻撃もつるっと滑らせて
ノーダメージです

女性の命を卑劣に奪おうとは
騎士とは名ばかりの方々のようです
海へお帰りいただきます

空気抵抗殆ど0の高速滑走でナイトさんの間を滑り抜け
すれ違いざまペロ
将棋倒しになったり武器を落としたり
鎧が脱げたりしてもらいます

動きや武具を封じた上で
竪琴爪弾き練り上げた
風炎水の魔力を放ち
ぷかぷか浮かぶゲージを粉砕します

終幕として
ナイトさん方の安らかを願い鎮魂の調べ

それはまた魔女さんを倒すとの誓いの旋律です



●尊び守護者たるもの
 次々と猟兵達がクレリックを助け出す中、箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)もクレリックの女性を見つけ出していた。
「お怪我はありませんか? 私の他にも皆さんをお助けしている者がおります。私達が守ります。ご安心ください」
 仄々はクレリックを見上げながら、手袋を脱いで握手を交わそうと手を差し伸べる。仄々はケットシー――違う世界の猫の妖精の一種であり、その手は紛れもなく猫の肉球ハンド。交わした握手は必然的にプニプニとした触感で、クレリックの表情は綻んだ。
「それでは、下がっていてください。――女性の命を卑劣に奪おうとは、騎士とは名ばかりの方々のようですね」
 仄々はその猫の耳が捉えた音――金属音の方へと、カッツェンナーゲルを突き付けながら振り返る。切っ先に見据えるは、絶対不敗の騎士達。
「我々はシャルムーンのクレリックをこの地で殺す命を受けたのだ。邪魔をするならば容赦せんぞ」
「そのような非道は許しません。海へお帰りいただきます」
 奪う騎士は槍を、守る騎士は細身の魔法剣を向け――仄々は自身の傍に浮かぶ「ゲージ」をペロッと舐め上げた。
「は?」
 想定外の行動に、ぽかんと口を開ける騎士達。その間に仄々は自身の体も毛づくろいのように――ユーベルコード「猫の毛づくろい」として――ペロペロと舐める。すると、仄々はまるで氷上にいるように、雑草の生い茂る土の上を滑り出す。
「浮遊魔法か!? そのような策を弄したところで!」
 迫る仄々を迎え撃つように騎士は槍を突き出す。しかし、摩擦抵抗がほぼゼロとなった仄々の身体はいとも容易く槍を躱し、すれ違いざまに槍をペロリと舐める。すると槍は騎士の手からすっぽ抜け、騎士の「ゲージ」を下から串刺しに突き上げ、騎士の「ヒットポイント」は失われた。
「なるほどな! 完全に見切った! 同じ手は通用しない!」
 別の騎士は高らかに宣言し、槍を仄々の「ゲージ」に向けて突き出し、さらに槍の旗で仄々を絡め捕ろうと翻した。だが既に仄々も「ゲージ」も摩擦抵抗を無くしており、「ゲージ」はつるんと槍を滑らせ、仄々はいとも簡単に旗をくぐり抜けてそのままの勢いで騎士の股を抜け、足元と背中を舐める。その瞬間にあまりにも古典的なズッコケを繰り出し宙に浮いた騎士の鎧は、土を掘り起こすことはなく、背中で回転する独楽として他の騎士を弾き飛ばしながら森の奥へ。
「それでは、終幕です」
 仄々が蒸気を噴き出す竪琴・カッツェンリートを奏でると、風・炎・水の魔力が立ち上がれぬままの騎士達の「ゲージ」を吹き散らし、燃やし、切り裂いていった。
 クレリックを守り抜いた「騎士」は、騎士達への鎮魂の調べに元凶たる魔女を討つ誓いを乗せて歌う。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『眠りの森の魔女ターリア』

POW   :    ようこそ眠りの森へ
戦場全体に、【「眠りの森」 】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    醒めざる夢の茨
【棺の中から伸びる「眠りの茨」 】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    忘却の眠り
【記憶を一時的に奪う呪詛 】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【過去の記憶】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠リミティア・スカイクラッドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●毒を盛ったもの
 猟兵達は自身も生命力を外部から攻撃可能な形の「ヒットポイント・ゲージ」として可視化されながらも、彼らより遙かに弱小な「ゲージ」のシャルムーンのクレリックを負けフラグ騎士達から守り抜いた。

「あなた達には『群竜大陸で死んで欲しい』と申し上げたのですが、今の群竜大陸は『帝竜戦役』後の統治が行き届き過ぎているようですね」

 猟兵達もクレリックも、空間に響き渡るその声を聞く。そして空間に黒い渦が巻き起こり、その渦が戻るように現れる「棺」。棺は茨に満たされ、その茨の中には金色の髪の女性が「本」を抱いて眠っている。
 この場にいる誰もが彼女を知っている。「眠りの森の魔女ターリア」。クレリックをこの地に転移させた者。そしてこの世界の「月」に「毒」を盛った仮初の侵略者。

「わたし達は書架の王が探し求めた『天上界』を探さなければなりません。そのためにあなた達にはここで毒に塗れて死の眠りに就いていただきます」

 ターリアにもこの地の毒は等しく牙を剥き、彼女の「ヒットポイント」が形成される。その「ゲージ」は先程の騎士達をも凌ぐ長さに伸び――棺から放射線状に11本もの「ゲージ」が現れた。その11本には棺の中から溢れ出るように茨が絡み付き、「ゲージ」を完全に覆い隠してしまう。
 茨の総量が棺の容積を遙かに超えていることは一目で判り、それでいて尚も棺からは茨が相対する命を貫かんと沸き上がっている。

「おやすみなさい。次に目覚めることはありませんが」

 万毒の群生地で、「世界を殺す毒」と「仮初の侵略者を殺す毒」が喰らい合う。
黒玻璃・ミコ
※スライム形態

◆行動
ほうほう、ゲージが複数存在する辺りボスの風格がありますねー
まぁ、此方としてはその棺で永遠に眠りに付いたままで全然結構なのですが

眠りの森は厄介ですけど【医術】に秀でた私なら
特製の薬で【ドーピング】し三日三晩起き放しでも居られます
ヤバ目の成分なので【毒耐性】がある人にしか仕えませんけどねー(鼻血を垂らし)

寝落ちを防いだら眠りの森を攻略しましょう
大丈夫です、私は護りの術を幾つも心得てます
クレリックさんに害が及ばぬ様に傍で護衛したまま
【黒竜の遊戯】を手探りの様に扱い正解の道筋を物量で探って行きますよ
襲い来る茨など【生命力吸収】の要領で丁度良い糧としましょう

◆補足
連携&アドリブOK



●魔女であるもの
「それはもうしっかり統治していますよー。少なくとも、こんな森が出来ない程度には手入れしてますがね」
 ターリアの作り出した「眠りの森」の迷宮をふよふよと見渡しながら呟く黒いスライム――黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)。森の木々には茨が絡み付いており、眠らせた上で「永遠の眠り」に就かせるつもりであろうことは明白だ。
「さて、私も眠ってしまう前に」
 既に寝息を立てて横たわるクレリックの傍で、ミコはスライム状の自らの体内で特製の薬を精製し、それにより眠りに抗う。彼女もまた魔女であり、その医術知識を以てすれば造作もないことだ。
(ただ、ヤバ目の成分なので毒耐性のない彼女には眠ったままでいてもらいましょう)
 黒いスライムに浮かぶ、異世界で「顔文字」と呼ばれるほんわか笑顔の鼻に当たる箇所から血を流すミコ。それほどのドーピングにより意識を保つスライムをクレリック諸共葬らんと、木々に絡み付いた茨は二人と二本の「ゲージ」に向かって伸び迫る。
「いあいあはすたあ……拘束制御術式解放」
 薬師としての魔女に留まらない、寧ろここからが本領といった風に詠唱を始めたミコ。
「黒き混沌より目覚めなさい、第玖の竜よ!」
 詠唱の完結に向けて強まる語気。目覚めよと呼び掛けられ喚ばれたそれは空気を震わせ、茨が跡形もなく弾け飛ぶ。その後に残されたのは――ミコとクレリックだけ。しかしミコにだけは、空間に満ちる9000個もの魔力の塊が見えていた。「黒竜の遊戯」。屠竜の魔女と呼ばれるミコに宿る魔力を、彼女だけに見える形で多数に分け解放するユーベルコードである。
 眠りの森の第一波を難無く防いだミコは、魔力の塊を操り、横たわり寝息を立てるクレリックの身体を持ち上げる。運ぶためだけでなく護るためでもあり、ミコはクレリックを「ゲージ」ごと魔力の泡の中に包んでいるのだ。当面の守護が完成すれば、残りは眠りの森の攻略に充てられていく。分かれ道や茨に閉ざされた壁を圧倒的な魔力の物量で道筋を選び取り、こじ開け、あるいは襲い来る茨を敢えて受けては逆に喰らって糧として、ミコもクレリックも万全なまま迷宮は踏破されていく。
 やがて分かれ道は無くなり、襲い来る茨の厚みが増してくる。それはつまり、出口が近い――意地でも逃すまいとする最後の抵抗だろう。迷宮が総力を挙げるのに対し、ミコも総力を結集して――などいなかった。最初から最後まで万全の状態である以上、主導権はミコにあり、最大を繰り出すタイミングは既に決まっていた。
 急激に高まる「屠竜の魔女」の魔力に、迷宮の出口で待ち構えていた「眠りの森の魔女」ターリアは茨の全てを自身の防御に回す。しかしミコの万全の魔力は、迷宮の最後の茨壁を撃ち破った勢いのままにターリアに炸裂する。見えない魔力は茨を喰らい、露わになった「ゲージ」をも喰らっていく。
「ここを治めるために寝る間も惜しんで働きましたからねー。『ゲージ』がいくつあろうと、棺でお眠りの魔女には負けません。あぁ、そのまま眠っていて結構ですよ」
 ターリアの「ゲージ」を3本喰らい尽くしたミコの「ゲージ」は、傍で浮かぶ眠れるクレリックのものよりも長く伸びていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
命を道具として消費しようだなんて酷いです
海へお還ししましょう

引き続き
自分やクレリックさんの体やゲージへUC

クレリックさん
どうぞ下がっていて下さいね

風の魔力で飛行
摩擦0の機動で茨を躱し
或いはつるっとすり抜けたり
炎の魔力の高熱の刃の
摩擦0の鋭い斬撃で
切り払ったり焼き払ったりしながら接敵

ゲージを包む茨の棘のない所をベロ
むき出しとなったゲージへ刃一閃

更にそのまま魔女さんもぺろ
棺からずり落ちたり
本を取り落としたり
目隠しが取れたりします

終幕に鎮魂の調べ
私たちはこれからも
命と
命が作り出していく未来を守り抜きます
どうか穏やかな眠りを

指笛でランさんを召喚
クレリックさん方を送り届けます
どうぞお乗り下さいね~



●誓いの口付けを捧ぐもの
「命を道具として消費しようだなんて酷いです。海へお還ししましょう」
 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、先刻の騎士達に向けたようにカッツェンナーゲルの切っ先をターリアに向けていた。
「抵抗は無意味です。あなたもお眠りになってください」
 ターリアの眠る棺から茨が伸びる。棺の中に収まるはずのない体積の緑の洪水を目にした仄々とクレリックだが、動じることはない。彼らは戦い方を既に決めているからだ。
「それでは、失礼します」
 仄々はクレリックの傍に浮かぶ「ゲージ」を舌で舐め上げ、続いて自身の「ゲージ」を、そしてクレリックの手の甲に――騎士が婦人に誓うように――ペロリと舌を這わせた。
「これであとは私が引き受けます。どうぞ下がっていてくださいね」
 頷いたクレリックは仄々を背に駆け出す。仄々は自身の身体をペロリと一舐めして、細身の剣を振るう。刀身が赤い残像を残すように駆け巡ると、自身の周囲とクレリックを追った茨は寸断され、断面から炎を上げて灰も残さず燃え尽きた。しかし斬り捨てた茨の上げる炎の向こうから次々と茨が押し寄せる。物量に任せた茨は仄々を呑み込んで――。
「それっ」
 あぶくのように茨の水面に仄々は浮かび上がる。殺到した茨は――ユーベルコード「猫の毛づくろい」で――摩擦抵抗を無くした仄々を捕らえて眠らせることは叶わず、風の魔力で浮遊しながら炎を纏った魔法剣で茨を焼き払うと、更に襲い来る茨に飛び込みながら焼き払い、切り払い、茨の緑の洪水を押し返していく。
「……!」
 まさに猫のように茨をすり抜けて迫る仄々は、ターリアの「ゲージ」の茨に辿り着くと、棘を避けて茨に舌を這わせる。すると茨は蛸の足のように暴れ、抱え込んだ真っ青な「ゲージ」を吐き出した。その青い直方体を赤い線が一閃し、胞子の色が変わるのを待たずして真っ赤な炎を上げて燃え落ちる。同じように二本目の「ゲージ」も既に火が点いており、ターリアは三本はやらせまいと棺から茨を溢れさせ、仄々の目線の先にある「ゲージ」に差し向ける。
「残念ですが、お休み中のところ失礼します」
 しかし仄々は「ゲージ」に手を付けず、ターリアの棺に向けて飛び込んでいた。失礼と宣言した通り、仄々はターリアの本を抱く手をペロッと舐める。
「っ……!?」
 摩擦抵抗を失う感覚に、ターリアは思わず魔女らしからぬ驚きを見せる。棺を横たえて茨をぐるぐると巻き付けて自身が滑り出ないように蓋をし、腕の中からすっぽ抜けた本は茨で絡め取る。
(私たちはこれからも命と、命が作り出していく未来を守り抜きます。私たちがあなたにもたらす眠りが、どうか穏やかであるよう……)
 仄々は指笛を吹き、「ランさん」こと雌の目旗魚・カッツェンランツェを呼ぶ。5メートルのその体躯は、クレリックを帰すのにも、ターリアを還すのにも使え得るだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城田・紗希
貴様が犯人かー!(ブチギレ)
こんな…あんなちっちゃい子を連れ込むだけでも許しがたいけど、何人も連れ込むとか!それでも人間かー!
(クレリックの子はキノコの茂みに隠したせいで、「あんなちっちゃい子」を見失って適当に示した)

ゲージは10本全部壊す勢いで叩きのめすよ!(数え間違いに気付かず全損狙い)
クレリックの子を怖がらせた怒り、宥めるためのお菓子が足りない恨み!
あと途中で道に迷った恨みも込めて、2回攻撃とか鎧破壊とか、持てる技能を注ぎ込んだ斬撃を打ち込むよ!(後半は逆恨みだけど自覚していない)



●八つ当たるもの
「貴様が犯人かー!」
 城田・紗希(人間の探索者・f01927)は激高と共にターリアに人差し指を突き付ける。
「こんな……あんなちっちゃい子を連れ込むだけでも許しがたいけど、何人も連れ込むとか! それでも人間かー!」
 幼き命を己の野望のための生贄としようとした悪党を前に紗希のヒートアップは止まらない。大振りの身振り手振りで自身が助けた幼いクレリックを指し示すが、その方向にクレリックの姿はない。
「……失礼ですが、うるさいのでお休みになってください」
 どうやら頭にガンガン響いているらしく、本を抱く腕の片方を額に当てて宣言するターリア。棺から溢れる茨が紗希を取り囲み、その姿が「眠りの森」の中に消えたことで静寂が訪れた――のはほんの束の間だった。
「出口だー! どこだ魔女ー!」
 紗希は――紗希と呼ぶには大柄な身体だが――片腕ですやすや眠るクレリックを抱え、寝る子を抱えているにしては遠慮なく叫ぶ。
「『眠りの森』を抜けてきた……!?」
「確かにこの子は寝ちゃったけど、この子を怖がらせ、宥めるためのお菓子が足りなくて泣き止んでくれなかった恨み! あと結構迷わされた恨み! 許すわけにはいかない!」
「お、お菓子……?」
 ターリアを置いてけぼりでテンションを上げていく紗希の怒りは最早八つ当たりであり、故に紗希の身体と「ゲージ」は感情の高まりに合わせて大きくなる。これが紗希のユーベルコード「食べ物の逆恨み」である。なお、これだけ叫んでも紗希の腕の中のクレリックの子は起きる気配が無く、むしろ寝かし付けた形になるターリアは少しくらい感謝されてもよかったかもしれない。
「と、とにかくクレリックの命は頂きます」
 これ以上付き合うと紗希のペースに呑み込まれると思い、ターリアは紗希の抱えるクレリックを狙って茨を放つ。しかし紗希の刀――紅時雨が茨を斬り伏せる。
「これはこの子が怖がった分!」
 更なる茨が物量に任せて伸びていくが、返す刀が斬り飛ばす。
「これは宥めるためのお菓子が足りなくて泣き止んでくれなかった分!」
 どれだけの茨をけしかけても通じないほどに戦闘能力が増大した紗希はもう止められない。ターリアは自身と「ゲージ」を守ろうと茨を這わせ、紗希の間合いから「ゲージ」を離そうと茨で引っ張る。
「これは結構迷わされた分!」
 紗希の一閃は剣圧を帯び、近い「ゲージ」は茨ごと横一文字に薙ぎ払われ、上側が赤く染まって消えていく。遠いものも茨を断たれ、ターリアが新たな茨を差し向ける。それよりも速く紗希は身を翻しながら紅時雨を振り上げ、
「そしてこれが私の怒りだぁー!」
 最も近い位置のターリアの「ゲージ」を叩き斬った。
「全てあなたの怒りではないですか……!」
 紗希が「ゲージ」を斬った瞬間、ターリアを収める棺が、一瞬だけ渦巻くように歪む。魔女の「ヒットポイント」は、着実に削れていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ネミ・ミミーニーズ
いろいろおまかせ

引き続き鹿にしたHPゲージに乗って登場

出たわね猟書家!
ネミさんと鹿が来たからにはシャルムーンの何とかさんには指一本触れさせない!

さあいけ! 【全ては鹿】!
鹿さまは草食だから茨とかめっちゃ食べるぞ!
呪詛が何だ知らないし!

さあいけ! 【全ては鹿】!
鹿さまは草食だから茨とかめっちゃ食べるぞ!
呪詛が何だ知らないし!
ハッ! ネミさんユーベルコードによる攻撃を受けてる気がする!
まあいいか。
さあいけ鹿さま! さっきも茨食べた気がするけどきっときのせいだ!
このまま全てを蹂躙しろー!



●だって鹿が迫って来るのだもの
 ターリアの前に現れたのは、緑色のオーラを放つ巨大な鹿だった。その鹿の胴に乗るのはシャルムーンのクレリック。そしてその鹿の角に乗るネミ・ミミーニーズ(蒸気打ちの妖精・f00595)。クレリックの「ゲージ」は鹿のオーラに守られるように紛れており、ネミの「ゲージ」は――見当たらなかった。何故なら、彼女達の乗るこの鹿が、全てを鹿に変える光線を放つユーベルコード「全ては鹿」を浴びたネミの「ゲージ」だからだ。
「出たわね猟書家! ネミさんと鹿が来たからにはシャルムーンの何とかさんには指一本触れさせない!」
「何をしたかは知りませんが、その鹿もろとも眠っていただきます」
 ターリアの棺から溢れる茨が、鹿に、鹿に乗る彼女達に伸びていく。
「気をつけてください。あの茨には何らかの呪詛が込めら……」
「さあいけ鹿さま! 鹿さまは草食だから茨とかめっちゃ食べるぞ! 呪詛が何だ知らないし!」
 クレリックはターリアの茨に何かを感じ取りネミに注意を促す。しかしネミは知ったことかと言わんばかりに鹿――つまり自身の「ゲージ」に茨を食わせる。鹿の角に乗るネミはフェアリーであり、身長わずか24センチメートルの体躯と自らを飛ばす薄いトンボ羽の雰囲気は一般的にマジカルな種族なのだが、「殴れば解決する」を豪語するだけはあるフィジカルムーブである。当然、茨を食らう鹿を通じて記憶を奪う呪詛がネミを蝕み、ネミはハッとした顔で遠い一点を見つめ、動かなくなる。それに伴って術者の意思を失った鹿のオーラは弱まって――いかなかった。
「さあいけ鹿さま! 鹿さまは草食だから茨とかめっちゃ食べるぞ! 呪詛が何だ知らないし!」
 まるでチャプター頭出しのように何事も無くネミさん再起動。鹿さまも元気に茨を食らう。
「あなたの過去の記憶が見えます……見えますが、あなたはとんでもないことをしていますね……。『鹿ポイント』とは何なのですか……」
「何故『鹿ポイント』を……ハッ! ネミさんユーベルコードによる攻撃を食らってる!?」
 食らっています。二重の意味で。
「まあいいか。さあいけ鹿さま! さっきも茨食べた気がするけどきっときのせいだ! このまま全てを蹂躙しろー!」
「ですからその茨には呪詛がですね?」
 言葉の神・シャルムーンを信仰するクレリックの言葉も、呪詛により記憶を奪われては再起動するネミさんには届かない。無視しているわけではなく届かない。届かないのだが、ネミ自身の全ての生命力を代償にした鹿はモリモリと茨を食らいながら突き進み、ついにはターリアの「ゲージ」を包む茨にも食らい付く。
「本当に、何なのですか……!」
 このままだと棺の中に顔を突っ込んで来そうな鹿の勢いに、ターリアは「ゲージ」を餌に鹿と距離を取り、鹿は「ゲージ」の粉っぽさにむせながらも茨と共に食らい、その体躯を大きくしていく。
 圧倒的だったはずのターリアの「ヒットポイント」は、僅かに一本を残すのみとなっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

フォルク・リア
冥雷顕迅唱を発動。
自分とレクリック、ゲージを雷で守り
敵の使う【呪詛】を【見切り】
レクリックに話しかけ
「奴の力は眠りや記憶に関するもの。
俺の記憶が奪われたら、君が思い出させてくれ。
俺が誰なのか、戦うべき敵が何なのか。」
意思を強く持ちレクリックを守ると言う
一点の目的だけは失わない【覚悟】で
展開した雷を防御と攻撃に使用。
呪装銃「カオスエンペラー」の死霊による呪詛で
敵の呪詛を迎撃。

記憶を奪われたら
「俺は一体何故ここに?
しかし、君は守らなければいけない気がする。」

記憶を取り戻したら
レクリックに礼を言い
「さあ、仕切り直しだ。
死の眠りにつくのはどちらか教えてやろう。」
雷を掌一点に凝縮し敵に向けて一気に放つ。



●守り抜いたもの
「俺は一体、何故こんなところに?」
 フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は、気付くとキノコが生い茂る森の中にいた。そして、目の前では神官らしい服の女性が、浮かぶ棺から伸びる茨から逃げ惑っている。神官の女性の傍に青色の直方体が浮かんでおり、彼女はそれごと雷のようなオーラで茨から「守られて」いるようだ。そのオーラは弱々しく、破られるのも時間の問題だろう。
「……!」
 フォルクは無意識のうちに懐から銃を抜き、茨を撃ち抜く。神官と棺がこちらに向く。棺には茨の中に本を抱いた女性。
「君は守らなければいけない気がするんだ。もし君が俺を知っているのなら、教えてくれないか」
「あなたは……」
「知る必要はありません。お二方ともここで死ぬのですから」
 自身の感じている目的は間違いなさそうだ。だが、フォルクは抗う術を見出せない。あの棺の女性に、何故か持っているこの銃だけで敵うとは思えない――。
(あなたはフォルク・リア様。この地で私達、言葉の神・シャルムーンのクレリックを死なせたい者から、私達を守りに来られたと仰っていました)
 神官の女性の声がフォルクの頭の中に響くと、フォルクの視界の時間は白く渦を巻いて巻き戻っていく。

「――上天に在りし幽世の門。秘めたる力を雷と成し。その荒ぶる閃光、我が意のままに獣の如く牙を剥け」
 俺はユーベルコード「冥雷顕迅唱」で、いくつもの雷弾を俺自身に纏わせる。そのうちのいくつかは弾けるように拡がり、雷の泡となってクレリックと俺自身を、そしてそれぞれの「ゲージ」を包む。その泡に突き刺さっては炭化して崩れ落ちていくのは、ターリアの放った茨。泡と茨がぶつかった瞬間の雷の反応から、俺は茨に込められた呪詛を読み取った。
「奴のこの茨には記憶を奪う呪詛が込められている」
「記憶を……?」
「記憶を奪えば、俺は君を守ろうとしたことどころか、ここに来た理由すら失うということだろう。そうはさせないつもりだが、もし俺の記憶が奪われたら、君が思い出させてくれ――」
 あの猟書家幹部「眠りの森の魔女ターリア」は、俺達の猛攻により最早虫の息だ。それ故に、捨て身の攻勢にも出られる。万一凌げなければ記憶を――クレリックを守る理由を失い、俺達は敗北する。
 意思を強く持ちクレリックを守る――その一点の目的だけは失わない覚悟を込め、俺は呪装銃「カオスエンペラー」の引き金を引き続けた。死霊と茨と雷の飛び交う空間での撃ち合いは、死線に近い者が僅かに優勢で――。

 フォルクは引き金を引いた。
「『俺が誰なのか、戦うべき敵が何なのか』。思い出したよ」
 銃口の向こうでは、既に自身の「冥雷顕迅唱」によるオーラを失って茨に絡め捕られたクレリックが、新たな雷の泡に包まれ、茨が黒く焦げ落ちていく。
「少し恐ろしい目に遭わせてしまったが、シャルムーンに仕える君の『言葉』が俺の記憶を取り戻してくれたよ。ありがとう」
 ギチッ、と魔女の歯軋りのような音を立て、なおも茨は迫る。しかし、記憶の死線を越えたフォルクは呪装銃と雷弾で茨を一掃し、銃口の先に魔女が抱く本を見る。
「さあ、仕切り直しだ。死の眠りにつくのはどちらか教えてやろう」
「……!」
 ターリアは言葉もなく、棺から茨を溢れさせる。死線に近しい者の死力を尽くした猛攻と呼ぶに相応しい圧倒的な緑だが、フォルクの纏う雷の泡に触れて黒に変わっては風に崩れていく。記憶の死線を超えてきたフォルクを包む雷の泡は、魔力が吹き込まれるように拡がり、ターリアの棺をも呑み込んだ。ターリアの「ゲージ」を守る茨も焦げ落ち、その最後の一本の直方体が姿を表す。
「――終わりだ」
 フォルクの掌が翳された先には、ターリアの抱える本。フォルクは拡げた雷の泡を掌に向けて凝縮させ、泡が全て掌に収まった瞬間、掌から鋭い轟音を響かせ、ターリアの本へ疾った雷光が棺をも貫いて空の彼方へ駆け抜ける。その「落雷」を観測したかのように一拍遅れて、ターリアの「ゲージ」は上部から赤色に変色し――最下部に至るまで一点の青色も残さず赤く変わる。それとほぼ同時に棺に空いた穴を中心に黒い渦が巻き起こり、その渦が戻ると、棺も「ゲージ」も消えてなくなっていた。
 ターリアの「ヒットポイント」は、ゼロになったのだ。

 猟兵達は、領主の案内を得て万毒の群生地を後にする。ヴェルニスのシャルムーン神殿までの道のりは、群竜大陸をも踏破し統治してみせた猟兵達にとっては容易いものだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月31日
宿敵 『眠りの森の魔女ターリア』 を撃破!


挿絵イラスト