シャドウ・ロマン(作者
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#デビルキングワールド 


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#デビルキングワールド


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●娯楽産業王国シャドウ・ロマン
 夜に閉ざされた影の王国、全てを夜に塗り替えるのと引き換えに、魔王は徹底した防戦を主張し、建築物のライトアップを推奨した。終わらぬ夜と言うワードが、悪魔心を鷲掴み、簡単な悪事として、夜も眠らぬ商業施設を築く。
 国内にはゲームセンター、ディスコ、ライブハウス、カジノ、カラオケボックス、ネットカフェ、漫画喫茶、小説喫茶、映画館、プラネタリウム、天文台、ボウリング場と、あらゆるアミューズメント施設が立ち並び、其れ等のアクセスを簡易化する交通網が整備され、魔王の予測を遙かに超える経済圏を作り上げた。
 然し魔王は、農業地が少ないことを憂い、急遽、余った土地を地の四天王に見回らせ、税として還元されたデビルを惜しみなく遣い、農業プラントの敷設及び、プラント内土壌の改良と賦活を行わせ、人材発掘によって農家の役職を与え、規律を作る。
 結果、農家として任命された者達は四天王の仕掛けた善行と規律に反する様に、品質改良、遺伝子改良、無許可交配という悪事を行い、そう言った改良食品を公的機関に公にせず、商業施設での裏取引を敢行する。現地視察を終えた地の四天王は計画通りとほくそ笑む。
「大衆など所詮、多少の悪事に群がる優しき民よ」
 今も昔も皆、心根までは変わっておらず、民を信頼してこその結果だと、地の四天王は長く共に居る、影の魔王へ酒の席で本音を漏らし、魔王は心から感謝の旨を伝えた。魔王は時折、四天王にだけ、制定された法を逸脱し、本音で話す。
 流通する品質は悪事と共に大々的に改善され、常夜の国、シャドウ・ロマンは近隣諸国へ一大娯楽産業国家としての存在感を示した。
 そんな中で、魔王は大規模な悪事を為す。私財を投じ、極秘裏に工業地帯を作り上げ、自動車を組み上げ、立ち上げた専門商社を通して売り捌く。シャドウ・ロマンにカースポーツ・ブームを意図的に作り上げる。瞬く間に常夜の国で、騒音排気ゼロ、自然魔力還元率100%の魔力エンジン搭載車による暴走行為が流行し、魔王は計画の成功に唇を釣り上げた。また、現地視察と偽って有名ドライバーの参加する走行会に出張り、折を見て、スカウトを試みる。魔王の目論見通り、常夜の国での自動車産業は休息に発展、念願の国営レースを開催する事に成功した。尚、四天王には計画はバレバレであり、魔王様の趣味であると密かに見守ると言う悪事を遂行していた。
 魔王の趣味によって開催された公道レースに、侵略者の魔の手が忍び寄る。

●シャドウ・ロマン公道レース
 会場は整備された公道だ。無数の一般車両が今も道を行き交っている。
 ルールとして一般車両、参加車両問わず妨害行為推奨。破損した一般車両は、魔王が後ほど、全面的なアフターケアを施す様だ。
 コースはこの国の公道全て、何処を通ろうと自由だが、公道を外れた場合は、如何なる理由でもコースアウトとして扱い、失格。但し、全ては審判に委ねられている。主催である影の魔王も、不正には寛大だ。
 チケットを購入した観客は、連動している使い魔の目を借りて、各々好きな場所で観戦を楽しめる。好きな車両に乗って巻き添え覚悟で追従しても良い。また、超高額優待券を所有している者は、魔王の指定した有名ドライバーの助手席に乗る。
 開催前に、公道の一角に、大型トラックが停留し、コンテナが開く。響き渡る完成度の高いロックサウンドに、住民はすぐさま機器を用意し始め、周囲はあらゆる音楽ジャンルで満たされて行く。

●グリモアベース
「新しゅう見つかった世界で何か起きるらしいけー、興味が有ったら、ちょっと手を貸してくれんかなあ……」
 資料を読みながら、海神・鎮(ヤドリガミ・f01026)は痛む頭を抑えるように、額に掌を当て、心を落ち着ける様に緑茶を半ば程飲み干し、資料を配る。
「済まん、もう行った人も多いと思うけー、分かっとるとは思うが、うん、独特でなあ……世界の名前はデビルキングワールド、概要を説明するけー、もう知っとる人は本題に入るまで、適当に聞き流しといて」
 デビルキングワールドは悪魔を自称する、善良過ぎる種族が住む、魔界とも呼ばれる場所だ。その善良さから滅亡の危機に陥った為、デビルキング法という特殊な法律が制定された世界だ。
「デビルキング法は悪や欲望を是とする法じゃな。極端から極端に走り過ぎじゃなとは思うが、ある程度、仕方無えんかな……」
 住民は悪魔の道徳を纏められたデビルキング法を忠実に守り、悪事に励んでいる。但し、根が善良、素直なので、住民の大半は大した悪事を思い付かず、悪戯レベルの者、統治者が見逃せる程度の物ばかりだ。
「ただ、住民は皆と同じくらいに強えし、ユーベル・コードも扱える事は覚えておいて。文明も進んどって、科学技術への理解もそこそこ有るよ。貨幣はデビル。1デビルは1円。これには魔力が宿っとって、集めると結構な魔力量になる。今回は関係無えけど、一応覚えておいて」
 住民が猟兵レベルのユーベル・コード使いである事から、侵略者であるオブリビオンはこの世界では慎重な立ち回りを余儀なくされている。但し、デビルキング法の浸透によって躊躇無く悪事を行う事の出来るオブリビオンは住民達にとって憧れの存在であり、積極的に協力する、という別の方向から滅亡へとひた走ると言う、頭の痛む事態を引き起こしている状況だ。
「極端から極端に走った弊害じゃな。まあ善良なのは、これだけでも分かると思う。皆が大きな悪事をすりゃあ、皆付いてきてくれるし、住民は強えから、オブリビオンに協力しとるのを程々に殴ってやりゃあ、喜ばれるし、それだけで呆気無く改心するよ」
 滅亡の危機に瀕しながら、全体的にノリが軽く明るいのは、悪魔達が善良で有る事と、その能力の高さから来ているのだろうと、鎮は語る。
「概要はこんな所かな。ああ、多分力が強うて、大体何でも自分達で作れるからじゃろうけど、デビル通貨に頓着しとる住民は居らん。貨幣の多寡で如何に悪事を行っとるかを測っとるだけよ」
 鎮は概要を説明し終えると、残った半分の緑茶をゆっくりと飲み干してから、本題に移る。
「長うなったけど、本題に入るよ。デビルキングワールドの一国家、シャドウ・ロマンで開催されるカーレースに、オブリビオンが乱入して、住民の支持を統治者から奪おうと画策しとる。これを止めて欲しい」
 つまり、レースに参加し、オブリビオンよりも早くゴールする事が、猟兵への依頼になると、鎮は説明した。
「場所は公道、一般車両も走っとる中で、ゴール目指して妨害しながら走行が大まかな内容じゃな。道路は良う整備されとるし幅も広え。ただ、コースアウトには厳しいよ。堂々とルール違反すりゃあ良えだけじゃけー、実質、車両を破壊し合うレースになるな」
 因みに一般車両を破壊しながら進んでもルール上は構わない様だ。損害の一切は統治者が全て負うらしい。
「ルート選択も自由じゃし、色々こう、フリーダムなレースよ。今は前イベントとして音楽好きが集まってライブやっとるけー、自分も参加したりしても良えし、他参加者の情報集めたり、交流しても良え。やり方は皆に任せるよ。今回は、うん、手を貸してくれるなら、何時もは出来ん様な悪事を、此所で気楽に楽しんでみてな。信頼しとるよ」
 最後に鎮は丁寧に頭を下げ、猟兵を送る準備をし始めた。



●挨拶
 紫と申します。
 新年明けましておめでとうございます。
 昨年は大変お世話になりました。今年も宜しければ、お願い致します。
 今回は新世界、デビルキングワールドとなります。

●シナリオについて
・章構成
 日常→集団戦→ボス戦です。

・シナリオ目的
1:あらゆる手段を用いて、シャドウ・ロマンで開催されるカーレースで、オブリビオンに勝利すること、が目的となります。

2:1章は日常です。PSWや推奨行為の他にやりたいことがあるなら何でもどうぞ。アミューズメント施設は一通り揃っていますし、何をしていてもOKです。参加用車両を作っていても構いません。勿論、真面目にルート選定も楽しいと思います。

・ギミック
1:2章からレース開始です。戦闘=レースです。
2:一般車両も容赦なく走っている公道でのレースとなります。
3:コースアウトは失格(審判を何らかの方法で抱き込むだけで復帰可能)
4:一般車両、参加車両を含め、妨害推奨のレース
5:車体やエンジン規格のレギュレーションは無し。

●その他
・1章毎にオープニングを制作致します。
・PSW気にせず、好きに動いてみて下さい。
・途中参加:歓迎。
・車知識や機械知識皆無でもお気になさらず。

●最後に
 なるべく一所懸命にシナリオ運営したいと思っております。
 宜しくお願い致します。
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第1章 日常 『魔界ライブオンステージ』

POW爆音パフォーマンスでステージを盛り上げる
SPDスタッフになって裏方を細やかに支える
WIZ奇抜なパフォーマンスで観客の度肝を抜く
👑5 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


忌月・カルタ
※アドリブ歓迎・

「運転はカルタに任せたよ!」
「え、私…運転なんてしたこと…」
『このレースに関しては楽よ、真ん中を問答無用で走り抜けばいいのだから』
「他の人の迷惑じゃあ…」
「この世界なら問題ないから気にしたらダメだよ♪」
『他の猟兵も問答無用で来るから仕方ないわ…正当防衛よ』

3人そろって会場近くのカフェで作戦会議してます

色々案を出し合った結果
ワタシが運転に集中してる間に車が走れないようにタイヤを狙って攻撃することに…

けど、いくら何でも物騒過ぎないかなぁ…この作戦


シーザー・ゴールドマン
さて、何があったのだろうね。
その滅びを避ける為にデビルキング法が制定されたらしいが。
ハハハ、欲望を肯定することは良い事さ。だが、法に従う為に悪事を為すというのは欲望に従っているといえるのかね?
そう言う意味では法に反逆している勇者こそ、真に己の欲望に従っているともいえるね。
まあ、これからの世界だ。今日はこの常夜の国を楽しむことにしよう。
レースかね?
後で君に合わせたマシンを創っておくよ。希望があれば言いたまえ。
(シドンの栄華『創造の魔力』)

シャドウ・ロマンの常夜をステラと楽しみます。

◎/ステラと


ステラ・リデル
随分と混沌とした世界ですね。
悪魔達は良い子過ぎて絶滅寸前に陥ったと聞きますが、何があったのでしょうか?

レースに使う車は二人乗り、カラーは赤でお願いします。
特等席でレースをご覧ください。
地図、そして空中からシャドウ・ロマンを俯瞰して地理を頭に入れておきます。

あとはシャドウ・ロマンの常夜をシーザーと楽しみます。

◎/シーザーと


レティシア・ヘネシー
こんな所で公道レースに舞い戻る機会が来るなんて!
折角だし能力で出せる複製じゃなくて、本物のレティ(Rat Rod)を会場へ持ち込むね!

レティとパーツを積んだトレーラーを会場まで運転して、到着したらスクラップギャング達に各種チェックをさせようかな?その間にレティは会場内の格好良い車を探しに行く!

いい車を見つけたら、それ借りて試乗(=サウジドリフト的な事)してギャラリーを湧かせに行こう!ギャラリーのテンションも大事だしね!

満足したら自分の車に戻って最終チェックするかな。チェックの為にエンジンをかけて、地響きみたいな生ガス混じりのV8サウンドを会場を響かせる!

このレース、絶対に勝ってやる!


ヤムヤム・グリード


シャドウ・ロマンと言やァ、一般的には車やら娯楽産業やらが連想される国ではあるが……オレにとっちゃ、結構スゴめの農業プラントがある所、ってイメージだな。あそこ産の食材を何度か使わせて貰った覚えもある。
ま、国の危機ってンなら放っとけないわな。

レース開始までまだ時間があるし、その辺にキッチンカー停めて営業すっか。
ライブには出店が付き物!それにワルいことも出来てお得ってモンだ。(無許可営業)

そういや、追従してレース観戦する気合の入った観客とかが居るんだっけか?
お客サンらの中にもそういう奴は居そうだし、ちょっと妨害とか手伝って貰えねェか頼んでみよう。
食の未来を救うのも兼ねて、一緒にワルいことしようぜ?


ビッグ・サン
「ふむ、悪事なら任せておいてくださいな」

海神ににこりと笑みを浮かべ自信たっぷりに出発する

自動車レースで勝利するのが目的だが、正直車の運転の仕方はわからないので、悪魔のレーサーに手を貸し彼を勝たせることにする

「悪魔のグレムリンさん、勝負は戦う前から決まっているのですよ。何事も準備が大切です。いまみんなライブで浮かれているでしょ。今のうちに他の参加者の車に細工をしますよ」

悪魔と一緒に悪だくみ
「五番の車は走っている途中でハンドルが抜けます」
「そうですか、3番の車のシートをミミックに変えましたので、座ったら挟まれるでしょう」

などとミミックや細工を他の車に仕掛けていきますよ

勝つための努力は惜しみませんよ


●血塗れショコラとインモラルブラッド
 常夜の国の空は季節の差こそ有れど、満点の星と月光が煌めき、星座の輪郭が確りと描かれている。遊興施設のネオンと、街道の魔力照明、目映い光が無くとも、この国を歩くのに不自由は無さそうだと、呼ばれた演奏家と、ゲリラ的に参加した有志による、様々なジャンルの音楽を、特に時折聞こえてくるゆったりとしたクラシックを楽しみながら、一人のな少女は考えた。
 年相応の幼気な顔付に、人目を引く赤と金色のオッドアイ、袖抜きの白黒のワンピースから覗く白磁の肌、青い髪は首元と同色の黒いリボンで両サイドに纏めても尚余り、フリルの遇われたミニスカートが揺れる度に、細い髪質が軽く触れる。
 済ました顔をしていれば、どの様な種族で有ろうと、悪魔達が如何にもな風貌にざわめいた事だろう。残念ながら彼女、忌月・カルタ(優しき殺人姫・f30657)が赴いたのは、白黒で彩られたゴシック且つコミカルホラーな会場近くのカフェで有り、対応した店員も、例に漏れず、余裕の無い表情に口を開くまで、悪魔心をときめかせた。
「えっと……その……これと、これを……お願い、します」
 伏し目がちに指差されたのは、血塗れショコラとインモラルブラッド。前者はラズベリーソースをふんだんに使ったチョコレートケーキで、ビターな味わいである事を説明しないと言う些細な悪事が仕掛けられている。後者は只の果実飲料だ。
 気弱な少女の注文に、店員は普通の良い子である事を認識し、見た目がそうだからと、期待してしまった自分を恥じ入って、オーダーを厨房に滞り無く伝えた。
「エントリーが終わったら、レースだけど……どうしようか」
 誰も居ないテーブルで、膝に乗せた両手で確りと小振りな得物の柄を握り、誰かに話し掛けるように言葉を紡ぐ。
(運転はカルタに任せたよ!)
「え、でも、私……運転なんてしたこと」
『このレースに関しては楽よ。真ん中を問答無用で走り抜ければいいのだから』
 心の中からの返事、聞こえてくる明るい声音、ミヅキが平然と無茶を振り、反論すると手に持った得物が、対照的に怜悧な声音でレースのやり方を指摘した。
「でも……他の人に迷惑じゃあ……?」
(そういう所、カルタらしくて大好きだよ! でも、ワタシ達へのさ、さっきの店員や周囲の皆の態度見たよね? そーゆー事だよ♪ この世界なら問題ないし、気にしたら負けだね♪)
「え、えっと……その……」
『他の猟兵も問答無用で来るから仕方ないわ…正当防衛ね』
 若干期待されていた様な目線を今更ながら自覚して、自身に悪を見出す要素が何処に有ったのだろうかと服装を慌てて確認するカルタを、ミヅキは思念だけで抱きしめたくなった。
 注文が運ばれ、丁寧な言葉遣いで置かれた血色のジュースを一口。酸味の有るすっきりした味わいが少しだけ心を落ち着けた。因みに一人で誰かと会話しているのは丸聞こえで、店員は其処に悪の波動を感じ取り、僅かに、羨望の眼差しが宿る。
  特に気付かず、カルタは構わず、ラズベリーソースがたっぷり掛かったチョコレートケーキに、黒塗りのフォークで切り分け、口に運ぶ。ソースの酸味とチョコレートの甘味、そしてふんわりと舌を刺激するブランデーの苦味に顔を綻ばせた。
「美味しい……!」
 軽く調べれば店の評判はズタボロだが、この世界で注目すべきは、書き込み数と内容だ。人気で評判な店ほど見た目はズタボロに書かれ、実際はこれでもかと褒め千切っているのがこの世界の常であり、悪魔達による定番の、些細な悪事の一つだ。運営サイト側は何処も悪銭としてデビルを勝手に送りつける悪事を推奨している。つまり、実体は浄財である。
(カルタは運転未経験だし、集中させてあげないとね☆ ワタシ達が妨害役だね)
『そうね。走る前に姿を遠距離武器に固定しましょう。カーレースなら、素材は硬質ゴムよね。足を銃で撃ち抜くのは、何で有ってもセオリーでしょう?』
「……レースって、猛スピードで駆け抜けるんだよね、こう」
 両手で車体のイメージの四角を作り、それを90度から180度程反転させながら、移動させる。一般的なドリフトの動作イメージだ。
『ええ。車体を滑らせている所を狙えば、そのままコースアウト間違いなしよ。流石私の主ね。とても効率的よ』
「いや、逆……なん、だけど……ええっと、ええ……?」
(意義なーし! 食べ終わったら、会場で運転練習出来る車を見繕わないとね♪)
「それって……」
 何もかもが暴力的で物騒な発想だが、この世界では歓迎され、嬉々として受け入れられてしまう。気弱な少女が慣れるのには、もう少し時間が必要そうだ。

●主従の下準備
 会場近くの気に入った演奏者に赤いスーツを着た偉丈夫が、多額の金銭を支払い、一時のプライベートコンサートとして買い取ったのを目の当たりにし、観衆は何者かとどよめいた。シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は、それを気にした素振りも無く、ジャズ・カルテットのゆったりとした演奏曲を聞きながら、エントリーに赴いた、一人の従者の帰りを待っていた。見慣れた青い長髪と、怜悧を宿す青い瞳、ステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)が此方に向かってくるのを確認し、曲の切れ間に奏者を下がらせた。
「良い演奏だった様ですね。シーザー。エントリーは滞り無く。車体を見せない事や、偽装をする方が喜ばれる様です」
「聞きたいのなら、また後で呼ぶとしようか。誰もレース用の車体を持って来ないと悟られている訳だね。この世界で人を収める側として立ち回るのは、少々面倒だとは思うが、良くやっているね」
「随分と混沌とした世界ですよね。悪魔達は善良が行き過ぎて絶滅寸前に陥ったと聞きますが、何があったのでしょうか?」
「さて、何があったのだろうね。その滅びを避ける為にデビルキング法が制定されたらしいが」
 人の欲と悪を簡単に上げるなら、三大欲求と称される、生存や自己保存に直結した制御の難しい欲望が不足していた場合、色欲の欠乏による人口不足、睡眠欲の不足から来る不摂生、ワーカーホリック症状、食欲の不足から来る健全な育成の阻害や、栄養失調から来る体力不足。また研究欲や学習意欲が不足すれば、当然、医療や技術の発達も遅れ、種族への興味も薄れ、医学の発達を阻害し、細菌や未知の脅威への対抗施策も発生し辛い。
 主に発生する弊害はこの辺りだろうかと、ステラは考えを纏め終えた。この内、悪魔と言う種族と無縁な物があったとしても、致命的となるのは恐らく、色欲の不足から来る人口減少だ。
「欲望を肯定する事は良い事さ。だが、法に従う為に悪事を為すというのは、欲望に従っていると、果たして言えるのかな?」
「それが善良、誠実な証だと言えてしまいますからね。かと言って、法に逆らって善行を為すと言うのが、悪事であると言われれば、疑問視してしまいますが」
「そうかな? 結果的に破滅を引き起こすのだから、法に反逆している勇者こそ、真に己の欲望に従っているとも言えるね」
「オブリビオンによる滅亡以外は自己責任ですか。シーザーらしい考え方です」
「人の選択によって起こり得る滅亡は、個人で見ても全体で見ても、面白い物だからね。さて、後で君に合わせたマシンを創っておくよ。希望があれば言いたまえ」 
「レースに使う車は不当たり乗り、カラーは赤でお願いします。特等席でレースをご覧下さい」
「地図と見合わせて、どうかな?」
「農業プラントを含め、僻地勤務との公平性を考え、立地を分散している様です。これによる僻地の照明不足等の問題を同時に改善している様でした。公道に関しては、公的に設置された大規模な環状道路と主要道路のみ。他は全て個人所有と言って差し支え有りません。ルートと言っても、インターでのレーン変更を考えるだけでしょう」
 ゴール位置は丁度、スタート地点からシャドウ・ロマンを包囲するように敷かれた環状道路から、国を一望し終える位置となっている。追走する客への配慮を兼ねた、観光向けのドライブ・マップと言った所だろうか。
「宜しい、では、もう少しこの国を見回るとしよう。丁度、近場で何か起きているようだしね。先ずは其方に足を運んでみようか」
「キッチンカー……でしょうか? お供致します」

●光速のグラットン
「シャドウ・ロマンと言やァ、一般的には車やら娯楽産業やらが連想される国ではあるが……オレにとっちゃ、結構スゴめの農業プラントがある所、ってイメージだな。実際こうやって来て見ても、そのイメージは覆らねなァ」
 此所の食材を何度か使ったことが有るし、実際に踏み入れた今日では、その農業プラントに足を踏み入れた。作られた規律に反する事が悪事だと、農家に選ばれた者達は真面目に物作りに励み、特に知識人となっている者達は、日夜、効率、耐病性、味、それぞれの観点から、研究に勤しんでおり、ヤムヤム・グリード(特急厨師・f31534)はその活気に、品質維持の秘訣を垣間見た。
 一方で、非合法品である其れ等を取り扱う裏市場に赴ければ、盗賊による予告状が届き、取り扱う業者は、何故か訳知り顔で頷いていた。
「あの子さあ、盗賊やってるのに、質の悪い偽装品使ってるからさあ、魔力波長誤魔化し切れてねえの。んで、この間こっそり後追ってみたらさあ。盗んだ食品を教会に寄付しててさあ……孤児のガキ共が美味しい、美味しい、お姉ちゃん有難う! って感謝しててさあ……だからオレは今回、名声を浚う為に、先んじて教会に横流ししてやったんだ。ついでにお勧めの食べ方とレシピもな! 計画はおじゃん。数年後には肥え太ったガキ共も付いて来るおまけ付きってヤツさ!」
「あー、そう言う……んじゃいっちょ、オレも加担しますよ! 子分Aで良いんで!」
 要約すると孤児の子供達と怪盗の境遇を知って見て見ぬ振りが出来ないので、業者に黙って教会に寄付しているだけである。やっている事は怪盗と同じで、規則に従っていないという事を除けば、何方も只の善行である。この世界の社会的弱者は、こうした手厚い悪事的介護によって救われている事が多い。
 話を聞きながら食材を吟味し終わったグリードは、より一層自身の料理活動に熱を入れる事を誓い、キッチンカーを率いてレース会場へと赴いた。一応、この国のストリート・チルドレンや教会の位置も聞いて把握し、炊き出しのスケジュールを頭の中に作る。
 ゲリラ的なストリート・ライブが開催されているレース会場に、暴食を謳う改造キッチンカーを乱入させ、素材を刻む。
「先ずは振る舞いだァ! デビルは要らねェ! 食ってきな!」
 特殊な圧力鍋によって内部の時空間を歪め、白米を僅か数分で炊き起こし、グリードは良質な食物油を敷いて鍋を振るう。ネギと溶き卵に塩胡椒、仕込んだ角切り叉焼を投入、振る度に、投入された素材が宙空で踊る。火が通れば液状だった卵がふんわりと焼け、程良い焼き加減で白米に混ざり、顔を出す。調理器具で盛り付ければ炒飯の出来上がりだ。
 周囲が香ばしい匂いで満たされ、空腹を刺激され、盛り上がっていたゲリラ・ライブが一時中断され、グリードは無許可営業に加えた、悪事の成功に人知れず唇を釣り上げた。
 最初の一品は金を取らないと言いながら、その元値はタダ同然と言えるほどに安く、彼の手際は異様な程に良い。
「味はそこそこだね。速度と価格を考えれば十分過ぎるのは確かだ。書かれたメニュー全て、よろしく頼む」
「私はデザートを頂きましょうか。杏仁豆腐を一つ」
「そりゃあオレへの挑戦状かァ!? 良いぜ。そのスタイル、気に入った。オレも人のこと言えた肌色じゃねェが、えらく目立つ服装だな。そっちの嬢ちゃんもイカしてんなあ」
 訪れた赤いスーツを着た長身の偉丈夫と、黒い制服姿の女性を認め、オーダーを了承し、メニューを片端から頼まれても居ないのに大盛りで提供するが、提供速度を上回る速度で、しかも品良く食べていく姿を見て、グリードは絶句した。後、杏仁豆腐は戸惑いながらも即作って提供した。
(上等ォ……ッ!)
 料理悪魔魂に火が付いたヤムヤムは久し振りに本気が出せる客だと感じ、元々異様に早い調理速度が飛躍的に上昇し、捌き、焼き、盛り付けに居たるまで全てが光速と化していく。
「ほう、ステラでも流石にそこまでは出来ないね」
「杏仁豆腐、有難う御座いました。シーザーの食欲に、ほぼ一から調理して、リアルタイムで追随する現状、素直に感心していますよ。パフォーマンスだとしても、追える方は少ないと思いますが……料理人としての矜持、と言った所でしょうか」
 明らかに常軌を逸した速度で平らげていくシーザーとそれに食い付き、全て大盛りで提供するコック、一風変わった光速のフードファイトは、何時しかギャラリーを引き付け、野良賭け事にまで発展していた。全てを出し切ったグリードの最後の一品を、シーザーは平らげた。
「最後の一品は僅かに品質が下がっていた。気付く者は少ないだろうけどね。非常に高い技術だった。御陰で良い腹拵えが出来たよ」
「……嫌な野郎だ。毎度ありィ! 今度は綻び無く満腹にしてやるからなァ!」
「楽しみにしているよ」
 最後の一品に差し掛かったところで、速度と品質で、一瞬の迷いが生じ、速度を取り、品質を落としてしまった事は、誰よりもグリードが自覚している。思わぬゲリライベントにギャラリーの熱気は大きく高まっていき、暴食のキッチンカーは瞬く間に電子媒体とクチコミと魔術媒体によって広まり、更に多くの観客を呼ぶことに成功した。

●Ratroad
「こんな所で公道レースに舞い戻る機会が来るなんて!」
 赤い瞳を野望と歓喜に輝かせ、レティシア・ヘネシー(ギャング仕込のスクラップド・フラッパー・f31486)は白いつば有り帽子を、二指でピンと弾く。常夜のネオンに金色の長い髪が反射する。
 テンションの上がったボスの合図に、古いリボルバーを仕込んだコートを着込んだ人型スクラップ達が、間接部が擦れ合う甲高い悲鳴を上げながら、少女を護衛する様に取り囲み、宙空から召喚される。
「皆、最初の狙いはトレーラー、本物を持ち込むよ! この世界は、やり過ぎなければ悪事は名誉、悪名は名声! ギャングの名を響かせるにはうってつけ! 旗上げは派手に行くよ!」
 少女の命令に総勢70に及ぶスクラップの軍勢は、敬礼の後に強奪行為をレティシアと共にを遂行する。出荷中の食料品を載せたトレーラーへ、レティシアがモロトフ・カクテルを投擲し、急停止した所で、スクラップが包囲する。抵抗する前に運転手に銃口を突き付けると、大胆な手口による悪事に魅了された運転手が自主的に投降し、協力を申し出た。
「OK、協力してくれるなら、積み荷はそのまま運んで良いからね!」
 側頭部に銃を突き付けたままにするのは、支持を固めるためのポーズだ。この世界ではこう言った行為が喜ばれるし、実際運転手は銃を突き付けられる状況でレティシアを羨望を抱いていた。
(この子、公道で平然と火炎瓶投擲したり、事ある毎に銃突き付けたり、やべえワルを平然と……キレてる。姉御ってこう言う感じなんだろうな。マジカッケェ……)
 滞り無く配送を終えた後、運転手は快活な少女を姉御と煽って業務を蹴り、全面的な協力を申し出るが、車体だけ有れば良いし、仕事を全うして欲しいと言うレティシアの言葉に、素直に従った。
 目立たない場所で本体のRatroadをトレーラー内に召喚し、スクラップギャングを使ってパーツを半ば強奪する形で仕入れ、少女が用いていたギャングと、それに伴うギャング・スタイルは、国内で小さな話題となった。会場まで運転して、その静音性と、相反するような力強い燃焼機関は、レティを感心させるのに十分だった。試しにとアクセルを限界まで入れ、レッドゾーンに計器を突入させてみても、まだまだ余裕があった。カーブで軽く車体を滑らせ、遊んでみると、タイヤが摩擦熱で摩耗する音が懐かしく、心地良い。貨物トラックでこれならば、レースに使用する車は恐らくもっと良い物が有るだろう。
 会場に到着し、ギャング達に本体とパーツのチェックを任せ、エントリーを終え、配布された地図を頭に叩き込み、最短ルートを描いた所で、丁度、美味しそうな匂いが鼻腔を擽った。
 濃いピンク肌にコック服を来た男が切り盛りしている、暴食の看板を掲げたキッチンカーで、何故か勝った負けたの言葉が響き、値段設定が間違っているような格安で提供されるメニューに、レティシアは目を丸くしながらも、メニュー欄の半分を指定して、人並みの速度で平らげた。
「ありがと。美味しかった! でも本当に良いの?」
「値段に二言は無ェ。美味かったなら精々、ウチの虜にならねえ様に気を付けるこった!」
 得意気に笑った店主に手を振って、会場内を物色する。ギャラリーのテンションは高く、モーター・ショウの前には丁度良い温まり具合だ。もう少し火を付けようと、感性に響く車を見付け、持ち主と話を付け、強引に借りて行く。受け取ったキーを差し込み、エンジンを起動させると、貨物トラックと同一、極限域の静音エンジンが、稼働を運転手に計器と振動のみが伝え、積載されたそれが、怪物で有る事を小さな声で開示する。聞き漏らす事無く、レティシアは、躊躇いなく、アクセルを限界まで踏み込んだ。
 減速等起こさせない急速なシフトアップ。タイヤが急回転に悲鳴を上げ、瞬く間に計器がレッドゾーンに突入し、針が限度一杯で僅かに触れる。荷重を調整し、車体の片側を持ち上げ、高速域での片輪走行、すぐさま車体を戻し、サイドブレーキを思い切り引いて、車体を270度程振り回し、更にハンドルを急速に反対側に切る。直線上で振り回されるような軌道を描き、繊細且つ豪快にハンドルを捌き、公道を走る車両や歩く人、ギャラリー一切を躱し、すり抜けなが360度回転を3度決め、腕は鈍っていない事を確信した。超絶技巧と命知らず、果て無しの迷惑行為という悪逆に、ギャラリーから凄まじい熱気の籠もった声援が、レティシアに送られた。
「何で……盛り上がってるの……」
 作戦会議を終え、会場の様子見ついで、スポーツカータイプの車を奪ったカルタの常識は、奪われた持ち主の反応と、今の観衆のテンションで早々に揺らぎ、この世界の物騒ハードルが徐々に修正されていく。
「会場を見回るだけで飽きないね。出来るかな?」
「他の場所も回りたい所ですが……確かに目を引く方が多いですね。用意して頂いた車両ならば問題無く」
 トレーラーに戻ったレティシアを追い掛け、シーザーが創造の魔力によって誂えた赤い車に乗り込み、公道で彼女を待つ。程なく響く地響きの様なV8サウンドの威嚇音、躊躇いなく生ガスを排出し、空気を汚染する姿勢に悪魔達は目を加賀痩せ、挑発的なそれに呼応して、ステラもキーを回し、エンジンを始動させる。魔力と機械混じり特有の排気音、高吸気特有のエグゾーストを響かせれば、レティシアは挑戦状を受け取った何者かで有るのだろうと、経験から察し、受けて立つと更に回転域を上げ、3度程響かせる。
 赤い車と年季の入った改造車が同時に並び、合図も無しにスタートを切り、互いにレッドゾーンを振り切る勢いで加速しながら、合わせたように通行者を躱しながら、車体を270度、左右対称に振り回す。右に振れば当然左、脂肪域の高速領域でメリーゴーラウンドの様に2台がアスファルトにタイヤの跡を残しながら、鼻先が擦れ合うギリギリで平然と戯れ、最後はミリの感覚を空けながら同一方向に360度回転を6度決め、きっちりと止まる。
「酔ってはいないね?」
「この程度で酔っていると、アルブスに笑われてしまいますよ」
(このレース……絶対に勝ってやる!)
 超絶技巧に付き合った青い髪の少女、その姿と運転技術を認め、レティシアは更にレースへの闘志を滾らせる。

●ワルい事
「良い感じに温まってんなァ。そろそろか」
 目前で実行された2台による超絶技巧、追走を検討していたファン達が、拡散された動画とネットの噂で、公道レースによる追走に踏み切り、その手の車両が集まり、グリードのキッチンカーを利用する者にもちらほらと、その手の話が聞こえてくる。
「よ。お客サン。此所だけの話、オレもあれに出るんだがよ。ちょっと妨害とか手伝って貰えねェか? すっ飛んでも平気な奴等ばかりだろうしな、一緒にワルい事しようぜ?」
 食の未来を救う為と言う本音だけを隠し、グリードは概ねこの様に、追走希望の客を数人抱き込んだ。見返りは、巷で少々話題になった光速調理を見せて欲しいと言う所だ。
「ふむ、悪事と言うなら私の出番です。悪魔達に負けてはいられませんね」
 丁度、キッチンカーで食事をしていた正規参加者のグレムリンを見付け、ビッグ・サン(永遠を求める研究者・f06449)は取引を持ち掛ける。
「貴方の勝利を応援しますよ。グレムリンさん。何事も準備が肝心です。他の参加者を分かる範囲でお伝え願えますか? ライブと突発的なイベントの目白押しです。浮かれている今が好機ですよ。他の参加者の車に細工をしていきます」
 とは言え、猟兵に仕掛けるのは難しいとビッグは考えた。特に赤いスーツを着た男、先程錆びた車を走らせていた少女、ひっそりと車両を盗んでいたオッドアイの少女は一見、気弱で有りながらその有り様が歪で、実際は難しいと見る。キッチンカーの男は此方と同じ手口だが、そもそもキッチンカーから離れる時間が少なく、違和感にも気付きやすいだろう。一先ず、猟兵以外の参加者を篩い落とす為に、グレムリンと案を考える。ほいほいとえげつない手口を考えるビッグに、グレムリンは尊敬の眼差しを向けた。
「あの車は走っている途中にハンドルが抜けます」
 あっちのドライバーは運転技術が高く車も速い上に、追走を願い出る支持者も多いと、グレムリンが零すと、ビッグはすぐさま仕掛けを作る。
「そうですか、早速シートをミミックに変えておきました。これでスタートも侭ならないでしょう。グレムリンさんの車体は魔力で動くのでしたね。私が中身を弄って出力を上げておきます。勝つ為の努力は惜しみませんが、最後は貴方の地力に頼る事になりそうですしね」
 残された時間が少なくなると、周囲にアナウンスが響き渡り、正規登録の車両が定位置へと動かされ、追従者も彼等の邪魔をしないように指定された位置へ愛車を動かしていく。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第2章 集団戦 『幼き氷狼』

POW ●魔狼の氷爪
【氷で出来た爪を作り出す】事で【狩りを行う魔狼】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD ●封じの氷塊
【口】から【猛吹雪】を放ち、【氷塊に閉じ込めること】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ ●吹き荒れる氷刃
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル✕10本の【氷の刃】で包囲攻撃する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●熱狂に溶ける甘美な誘惑と、ワルい罰(兵糧攻め)
 各車の整列が始まると、実況がマイクパフォーマンスで観客達を思い切り煽り立てる。ライブの他に猟兵達が事前に行ったパフォーマンスによって、テンションが最高潮に達している会場に注がれた絶妙なワード・チョイス。彼等は思わず声を上げ、拳を握り、空へ向かって一斉に突き上げる。
「良く盛り上がっておるのじゃ。妾が名声と悪名を得るには丁度良い。著名人となり、支配の足がかりとしてやるのじゃ! マシンの準備は出来ておるな?」
 上機嫌な様子でペンシルチョコを銜えた小さな少女が、一人の氷狼を連れ立って、熱狂に包まれた会場に姿を現した。彼女達二人を何処か生暖かい目で見守るチョコの悪魔達が、連れ立った少女、氷狼の為に誂えた車両を主に見せ、彼女は満足そうに頷き、氷狼の肩を叩く。
「妾の代走、任せたぞ。成功の暁には国の予算で毎日沢山のチョコをやるのじゃ! 脱落したら毎日、主の目の前で美味しく頂く刑を執行するのじゃ。勿論飯抜きなのじゃ!」
 食事のお預けと、毎日、目の前で甘味を食されると言う刑罰を提示され、人型の小さな氷狼は、無表情な顔のまま、瞳に真剣な光を宿し、無言でこくりと頷いた。
 内心では平然とえげつない悪事を思い付き、今も何かを企んでいそうな彼女に、それなりに心酔し、割と優しい一面も多く、懐いている様だ。
 エントリーを済ませた思念操作式車両に乗り込み、すり替えられた座席の罠ごと、自らの魔力で凍らせる。
 一風変わった煌びやかな車体が夜のネオンに照らされると同時、実況のスタートの合図が響き渡り、各車両が一斉にアクセルを踏み込んでいく。

●状況説明
 レースの火蓋は切って落とされた。
 コースは一般車両が容赦無く通行する、主要公道をなぞっての国内一周、此方に頭を使う要素は特に無い。変わりに、苛烈な妨害合戦が想定される。また、魔力舗装された道路は、力の強い者達や操作が得意な者達にとっては、どの様にでも扱える、とても都合の良い魔力資源だ。
 この妨害札を真っ先に切ったのは猟兵の一人だ。先程、各車両に仕掛けられたトラップが作動し、魔力や能力、ユーベル・コードで対処出来なかった参加者は軒並み脱落。優勝候補に挙げられている様な強豪が残る形となる。オブリビオンに従う悪魔、幼き氷狼は、難なくトラップを躱し、走行を続行している。
 レースに紛れたのは彼女一人のみだ。車両は氷で出来たボディを使用し、非常に分かり易い。運転は訓練もされておらず、今回が初回で、技術には乏しいが、それを補って余り有る氷操作魔力と、思念操作式の車両を与えられている。
 彼女に下された命令はどうやら代走だ。車両に乗っていなければならないと言う制約から、POWのユーベル・コードは、車両を失うまで使用出来ない。車両を失えば、躊躇いなく氷狼に化け、苛烈な妨害を行うだろう。
 この場合、猟兵は車両に乗ったまま、手強いユーベル・コード使いの対処に追われることになる。代走を許すにしろ、車両を破壊するにしろ、オブリビオンにとっては都合の良い展開だ。
 猟兵達の仕事は、この氷狼の扱いを考え、死なない程度に昏倒させ改心させる事と、残ったドライバーを追い抜くか、死なない程度に車両を壊し、脱落させる事の2つとなる。追走者や一般車両は遠慮無く巻き込んで構わない。勿論、猟兵の妨害を視野に入れたり、レース自体に傾注するのも1つの手だ。
 追走者と、罠をくぐり抜けた車両を見比べ、猟兵は各々のアプローチを行っていく。
忌月・カルタ
「やり過ぎだけは注意してね」
りょーかい!カルタに言われたから人は狙わないであげるね

狙撃銃になったティラムで、ダイヤを撃ってコースアウトを狙うよー、勿論カルタの耳に配慮して消音だよ?

あ、周囲に魅了の呪衣をかけて事故も起こしてあげるよ、ほら脇見運転って悪いことっぽいし
やっぱりミヅキは可愛いから、魅了かけやすいね

あー、運転上手な奴ならカルタ抜かして先行っちゃうね…、うんカルタに1位あげたいし
「ティラムー、派手にいこ?ミサイルランチャーに変形して♪」
「え、それは流石にやり過ぎじゃ」
『いいわ、照準と追尾はコッチで勝手にやってあげるわ』
「たまやー♡」
設置式にしたミサイルランチャーで撃ち放題!

楽しいなぁ☆


ビッグ・サン


他の車のエンジンが取れたり、ハンドルが取れたりするのをしり目に車を走らせる
「次は14番のタイヤが取れます」
「14番は気の毒ですね、ははは」
などと話していると、タイヤが取れて車が止まる

「14番はこの車でしたね」
「・・・」

「まあ、焦る必要はないですよ。昨日のうちに仕掛けた迷宮化の魔法で迷宮と化したレース場、仕掛けたミミックは数知れず。信号もマンホールもガードレールも邪魔してくるのですから、簡単にはゴールできませんよ。他の猟兵がオブリビオンを倒して疲弊しているところを悠々とゴールすればいいのです」

タイヤを直しながらビッグがのほほんと言った

依頼内容は敵を勝利させないことであり、討伐が目的ではない


シーザー・ゴールドマン
ステラの助手席に座ってレースを見物
それではレースを楽しみたまえ。褒美かね?ハハハ、ああ勿論だとも。

助手席に座り、レースを楽しみます。
オブリビオンや他からのUCによる妨害は届く前に『オージンの言詞』により消失させます。
※助手席に乗った者の協力は禁止されていないので当然の様に

『幼き氷狼』に対しては接触、接近した場合は灼熱の衝撃波(属性攻撃:炎×衝撃波)で車を大破させ、その後、氷狼になって追ってきたところを『オージンの言詞』で変身を解除させます。

ハハハ、君の主はあくどさが足りない。このレースの結末を見て身の振り方を考えることだね。

ステラと/◎


ステラ・リデル
シーザーを助手席に乗せてレースに参加
レースを楽しめというシーザーの命を受諾することで『魔王の契約』を発動。承りました。ご褒美は期待しても?

レースでは『魔王の契約』で上昇した技能を活用
UC以外の妨害はこの技能とシーザーが創り出したモンスターカーの馬力で正面突破します。
※UCはシーザーが対応

コースは把握しています。後は最短距離を最速で駆けるだけですね。

『幼き氷狼』への対応は完全にシーザーにお任せ。
もともとオブリビオンではない悪魔。レースの終りには彼女の主のオブリビオンは消えている(ステラ的には確定事項)ので問題になりえず、特に気にせずレースに注力します。

シーザーと/◎


レティシア・ヘネシー
基本的に自分の腕だけで妨害を掻い潜ってトップを目指す!

ただしレティに妨害を仕掛けてきた奴は別!後でいっぱい痛い目見てもらうから!

1番長い直線に差し掛かったタイミングでトレーラーをギャングに運転させて乱入させるよ!
乱入したら荷台に乗ったギャング達に攻撃させる!

その間に、トラックに乗るギャング達に拉致らせてきたさっきの車のオーナーを自分の車に乗せて、とりあえず真っ直ぐ走ってとだけ伝えて、車外に出るよ!

車の上に立って直接狙ってきた相手の車達を見つけたら、飛び移って運転手を強制下車させたり馬鹿力でパーツもぎ取って壊したりして直々にお仕置きしてから車に戻るよ!

氷狼?多分どこかで巻き込まれてるんじゃない?


ヤムヤム・グリード
さて、オレは当然このグラットンで参加するワケだが……
猟兵の参加者はさておき、問題はあの氷狼だな。路面やらタイヤやらが凍らされたらコトだ。
他の奴らの妨害もあるからどれだけ残ってるかは知らんが、協力者共に援護頼むか。

出番だぜお前らァ!近くの車に〝特攻(ブッコミ)〟かませェ!
あの氷の車を仕留めた奴には追加報酬もくれてやる!一台でも多く足止めしてやれッ!

金貨(デビル)袋を掲げて振って見せて、と。
オブリビオンとやらはマジ殺し狙ってくるかも判んねェし、氷狼以外の奴(追走者含む)にもなるたけこの辺で脱落しといて欲しい所だ。

オレ自身も何発かキャノン撃って妨害しとこう。数秒程度ならAIに操縦任せても大丈夫だろ。


●仕込みは上々
「それじゃあ皆、手筈通りに!」
 試合開始前、自身の本体から顔を出し、トレーラーに待機させた、スクラップ・ギャングに指示を出し、レティシア・ヘネシー(ギャング仕込のスクラップド・フラッパー・f31486)は小さく手を振って、スタート地点へ車両を動かしていく。
 スクラップ・ギャングは、錆びた間接を軋ませながら、事前に伝えておいた待ち合わせ場所で、キッチンカーの料理を頬張っていたオーナーを半ば無理矢理トレーラーに乗せる。容赦の無い行動に、オーナーは益々、ファミリーへの憧れを募らせていく。

●イミテーション・ミミック
 スタート直前、観客が歓声を上げると同時、優勝候補の一角と思しきマシンから悲鳴が上がる。座席に仕掛けられ、偽装したミミックが容赦なく噛み付き、痛みで思わず降車する。しつこく追ってくるミミックに罵倒を浴びせながら逃げる様は、コミカルで思わず観客席から笑いの声が漏れる。
 また他の車両からハンドルが飛び出し、走行不能からの早期棄権等、大量のミミックに追い回される参加者の構図が出来上がり、主催側は、スタートのタイミング調整を余儀なくされた。
「おおっと、早速の妨害行為によって、スタートが仕切り直しとなりました。波乱の展開に胸が躍ります。仕掛けたのは果たして誰なのか! カートゥーンの様なコミカルさからの仕切り直し! 改めて、各車一斉スタートとなりました!」
 強い魔力の持ち主、変化に適性を持つ力の所持者は仕込まれたトラップを解除ないし、ミミック自体を元の形に戻し、難なくスタートを切る。猟兵の車体には仕込まれておらず、これ幸いと自分のマシンのエンジンを会場に響かせていく。
「次はタイヤが飛びます」
「それは気の毒ですね」
 上機嫌に笑っていると自分のマシンのタイヤが飛び出し、グレムリンは思わず無言になった。助手席に乗っていた髭の目立つ色黒の男性、ビッグ・サン(永遠を求める研究者・f06449)は、特に気にした様子も無く、ああ、と何かを思い出したように相槌を打つ。
「そう言えば、調子に乗って、この車にも仕掛けていたのを忘れていました」
 運転席からグレムリンが訴えるような目を向けて絶句するのを、ビッグは焦る必要は無いと穏やかに諭していく。
「もう一つ手は打ってありますからね。昨日のうちに仕掛けた迷宮化の魔法で迷宮と化したレース場、仕掛けたミミックは数知れず。信号もマンホールもガードレールも邪魔してくるのですから、簡単にはゴールできませんよ。他が足を取られて、疲弊しているのを見ながら、悠々とゴールすればいいのです」
 トランクに積まれた停止表示板を路面に設置し、ビッグとグレムリンは共に飛び出た車輪を填め直していく。
「おっと、1台の車が此所でアクシデント、同じ者による妨害か! この公道レースにピット等という上等な物は有りません! 皆様お気を付け下さい!」
 修復可能で有ればレース復帰に重い制限はないようだ。但し、他の参加者による妨害の対応を、ビッグは強いられていく。タイヤ修理中の魔力爆撃、物理爆撃双方を、男が受け止め、骨肉を晒しながらも、フレッシュゴーレムに仕込まれた虫が片端から再生し、のんびりと車両修理をこなしていく。

●リード
「それでは、レースを楽しみたまえ」
「承りました。ご褒美は期待しても?」
 サイドシートに乗った赤いスーツ姿の偉丈夫、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)の命に、ステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)のオドが活性化し、身体に刻まれた契約の証、シジルが強い輝きを宿す。主の制作した赤色のモンスター・マシンのハンドルに触れ、仕切り直されたスタートの合図と共に、迷い無くアクセルを限界まで踏み込む。
「褒美かね? ああ、勿論だとも」
 彼女の期待に、シーザーは破顔し、気前の良い回答を示すと、口元を小さく綻ばせ、ステラは想定したルートを思い描く。
「最短距離を駆け抜けるだけですね」
「そうは行かないようだ。ただ、此方にとっても都合が良い。放っておくよ」
「了解致しました」
 活性化した魔力を操作し、術式を把握。魔力舗装を利用した迷宮化。良く練られた術式に相殺は不可能と判断、各種計器がレッドゾーンを示すのを把握しながら、顔色1つ変えず、的確に車体を操作する。
「迷宮の出口は把握しました。コース取りは、この完成度となると、術者側が好きに出来てしまいますし、意味が有りませんね」
 星夜のネオンに照らされる公道迷宮、大規模な術式は一般車を巻き添えにし、流れていく景色で戸惑いと、一部から怒号が響く。
「術者にやる気がある様には見えないがね。自在変化する迷宮でのドライブ、私は楽しみしているよ。ああ、彼女は随分と、このレースに惚れ込んでいるね」
 助手席の声に、バックミラーに映る、やけに年季の入った車体を認め、ステラは、何処かはしゃいでいるような闘気を、歓迎した。
「首位を譲るつもりはありません。心ゆくまで、お相手致しましょう」
 恐らく、その方が、主好みの展開となる筈だ。

●追走
(……後でいっぱい痛い目見てもらうから! 今は追い上げ!) 
 ほぼ同時にスタートを切りながら、先頭を悠々と走る、あの赤い車に闘志を剥き出しにし、レティはハンドルを切り、速度を落とすこと無く対向車を躱し、。命知らずの加速を行っていく。妨害をする無機物には容赦なく火炎瓶を投擲し、愛用のサブ・マシンガンの引き鉄を引く。まずる/フラッシュと共に軽妙な音を立て、フルオートで掃射された数百の弾丸が、蠢く信号、マンホール諸々を蜂の巣にし、挙動を止める。
 銃身に残る硝煙を軽く吹き消し、サイドシートへ立て掛け、首位を狙う。先程の見せるようなドリフトとは違い、派手さの無い、確実なグリップ走行でリードを稼ぐ赤い車へ、レティは着実に迫って行く。

●後続
「出遅れちゃったけど……やり過ぎだけは注意してね。お願いね、ミヅキ」
(りょーかい! カルタに言われたから、人は狙わないであげるね♪)
 一方で、辛くも妨害を掻い潜った後続はやや縺れ込みの様相を呈していた。忌月・カルタ(優しき殺人姫・f30657)は無免許でありながら、始まる前までに一応基本の挙動と機能だけは把握し、キーを差し込んで、エンジンを始動させ、戸惑いながら、サイドブレーキを解除、ゆっくりとペダルを踏み込む。奪う前に車の変速機を確認し、とオートマチックな物を選んだ様で、スタートはレースに適していないながらも、順調に切れたと言って良い。自身の中に居るミヅキが、外に出て実体化する。短剣姿のティラムを渡すと、打ち合わせ通り、その姿をロングバレル・ライフルへと変化させた。
『後ろの方が都合が良いわ。』
(NAXシステム起動、流石にブレてる運転手は少ないけど、変わりに狙いやすいね☆)
 カルタと同じく、演算機能が仕込まれたコンタクトレンズの機能を使用し、前を走る車両の機動を見定めながら、ミヅキがブレなく、ティラムのトリガーを引く。響く筈の轟音と眩光を魔力で強引に掻き消し、車内に硝煙が僅かに煙る。
 速度が十分に乗った状態で後部動輪を打ち抜かれ、グリップを失った車両が盛大にスピンし、通りがかった対向車に縺れ、巻き添えにしながらのコース・アウト。危うさを感じた車両だとマークされた所で、ミヅキが車両から身を乗り出して、可愛らしく片目を瞑り、人差し指で胸元から首、顎の順でなぞり、形の良い口唇に触れた所で、指を軽く吸い、軽やかに離す。投げられた接吻と、一連の動作全てに魅了の呪詛が込められ、耐性の無い物は釘付けになり、一般車や参加者同士との追突事故により、再起不能なクラッシュを引き起こす。
「トップの2車は益々ヒートアップ。ですが、出遅れた後続も見逃せない展開となっております。ドライバー・カルタがライフルを使用して狙撃、囲まれた所で小悪魔的アクションによるチャーム・マジックでノック・ダウン! レースで効果覿面なワルさを発揮しております。ファンクラブは何処にあるかと各所で話題になっております!」
(やっぱりミヅキは可愛いから、魅了かけやすいね♪)

●虎視眈々(或いは単なる目的違い)
(問題はあの氷狼だな。路面やらタイヤやらが凍らされたらコトだ)
「どの位残ってる。返事は短く頼むぜ!」
 急なコース様相の変化、仕掛けられていたトラップの発動を、改造キッチンカー、グラットンの中で、ヤムヤム・グリード(特急厨師・f31534)は抱き込んだ追走者の状況を確認する。どうやら追走車に罠は仕掛けられておらず、ほぼ全員そのまま居る様だ。報告を聞いてから、あえて最後続を選び、グリードは追走車と合流する。実況の声から中堅の多くは既に脱落している様だ。
「よっしゃ、俺達の出番だぜ、お前らァ! 追い上げて特攻(ブッコミ)かますぜェ! 氷の車を仕留めた奴には追加報酬もくれてやる! 1台でも多く足止めしてやれッ!」
 デビルで満たされた革袋を振り上げてみせると、抱き込んだ追走者達が、やる気を見せる。
「ついでにグラットンのサービス営業も頼むぜ!」
「ああ、そりゃいい! 後でまた食わせてくれよな!」
「あァ!? んなもん言われなくてもやってやらァ! 今から飯の心配をしてんじゃねェ!」
 寧ろデビルよりもそっちにやる気を出す面々にグリードは不覚にも少し感激してしまい、自分を叱咤するのも含めて、彼等に檄を飛ばす。グラットンは彼等の後方から様子を見つつ、中速域で確実に変化し、妨害に出る迷宮公道を着実に捌いていく。
「思惑通りに事は進んでんだよな。一安心ってトコだな。車両には魔王様が補填出すらしいしな」
 オブリビオンと認定された者達は、本物の悪だ。住民を躊躇無く殺す可能性がある。今の内に脱落して貰えば、被害は最小で済むだろう。
 暫し運転を積まれたAIに任せ、グラットンの屋根に取り付けた二門の大型鉋台から、前方に見えてきた参加車両に向かって、やや品質の悪い根菜を片端から射出する。命中した車両に、根菜が発芽し、蔓となって車両へと絡み付く。動作不能になった所で、メンバーが単純な魔力弾による追撃を敢行。車体が続行不能レベルまで破壊されていく。
「さァ、この調子で行くぜェ!」

●抜きん出る
(ティラムー、派手にいこ? ミサイルランチャーに変形して♪)
『いいわよ。照準と追尾はコッチで受け持つわ』
(あっりがと!)
 何台か散らしたとは言え、前を走る技量の高いグループはまだまだ尽きない。カルタを1位にする為に、ミヅキはティラムの姿を更に変化させる。
「え、それは流石にやり過ぎじゃ」
 運転中のカルタがちらと横目を遣って静止した時には、6連装のミサイルランチャーが車体横に設置され、ミヅキが発射スイッチを押した後だ。発射口から放たれた小型誘導弾が、フルスピード走行を続ける車両を押し潰し、動力、燃焼機関に至ったそれが、黒煙を上げて爆発し、吹き飛んで燃え上がる。
(たーまやー♪ 楽しいなぁ、どんどんいっくよー☆)
 綺麗な花火を見たと言うように、一つ口笛を吹く。悪魔は平気だし、平気で誘導弾ぶっぱして悪びれるどころか、明るい顔をして次を撃つミヅキの姿を見て、マジでワルカッケェ等と漏らしていた。
 絶え間の無い爆撃と砲撃の続く迷宮公道で、勘と魔力波長を頼りに、氷狼は掻い潜り、使ったことの無い車両を思念だけで操り、操作する。案外と楽しい車両操作に思わず具現化した尻尾が揺れて、首を振る。後方の砲撃は何方も距離が遠く、氷塊に閉じ込めるのは無理だと判断、勢い良く周囲を埋めてくる誰かの取り巻きに、氷の車体の魔力を利用し、ひゅうと一息、囲んできた車体を氷塊に閉じ込め、前を見据えていく。

●デッド・ヒート
 公道で首位争いを繰り広げる2車は、時にぶつけ合い、時に車線を入れ替えながら、一般車両を躱し、2車を僅かな隙間を広げ、併走させる。相手が車体を滑らせれば、呼応する様に車体を同角度に傾け、車輪の悲鳴を響かせる。闘志を燃やすレティシアと、競い合う事を僅かに楽しみながら、飽くまで冷静に対処するステラ、運転技術は同等でありながら、その趣は全く対照的で、何方も首位を譲るつもりは欠片も無い。
 珍しく熱が入って行くステラを見て、シーザーは良い物が見れたと、僅かに首肯する。技術を張り合いながら、一般車両を警戒しつつ、次の曲がり角のインコースを取り合い、大凡、理想的なラインをテールランプが星夜に描く。
 後方の爆撃誘導を掻い潜り、氷狼が二人との距離を詰め、とうとう、三つ巴へと縺れ込む。氷の車両が氷雪の気配を纏い、二車両を纏めて凍結させようと仕掛けるも、膨大な魔力量の圧縮と凝縮を感知、すかさず車体を操作し、自身の車体を氷で覆い、防御に注力する。すぐさま、灼熱の衝撃波が氷を瞬く間に溶かし、氷で出来た車体を半ば溶解させる。
「流石に勘が良いね。魔力量も質も中々の物だ。まだまだ未熟だがね」
 氷狼は自身に向けられた優しい賛辞に、何故か、ぴくりと背筋を跳ねさせた。無意識の恐怖を振り払い、車両を操作する。
 長い直線に差し掛かった所で、レティシアが合図、スクラップ・ギャングが運転するトレーラーが乱入し、一般車両、参加車両の区別無く、銃弾の雨が降り注ぐ。
「感謝するよ。こっち乗って! 暫くハンドルは任せるね!」
 トレイラーにラットロードを寄せ、拉致したオーナーにハンドルを任せ、自身は良い所を邪魔された氷狼の車体に飛び移り、窓の無い車に浮遊する水晶を砕くと、さっと引き返して、オーナーと席を交代し、ハンドルを握る。
 コントローラーを失い、制御不能に陥った車体がスピンし始めた所で、代走は失敗したと判断し、氷狼は車から飛び降り、喉を唸らせて遠吠えを響かせる。同時に練られ、具現化する氷の魔力が氷爪を形作り、銀の体毛を靡かせ、人型の身体を巨大な狼へと姿を変化させていく。
「絵画にするには良い場面だが、所詮、その程度の価値だとも」
 無価値だと静かにシーザーが否定と共にオドを練り上げ、襟を正す。大方済んだと誰かが作り出した迷宮道路に罅が入り、甲高い音を立てて歪みが入り、はらはらと舞う魔力の雪華が、ネオンに照らされて反射する。強制解除された氷狼は、景色にぽつりと、素直な感想を漏らした。
「君の主には、あくどさが足りない。このレースの結末を見て身の振り方を考えることだね」
 迷宮を出た崎は7割を走破した状況、レースは終盤、苛烈な妨害合戦によって参加者は極端な減少を見せている。現在の状況は首位をレティシアとステラが争い、その後ろをカルタ、更に後方をグリード、かなり遅れて、タイヤ修理を終えたビッグが最後尾を走っている状況だ。
「おや、呆気無く破られてしまいましたね。相当の使い手が居るようです。これは予想外ですね。後は貴方の力に掛かっています。任せましたよ。グレムリンさん」
「この状況で逆転は望めませんけどねえ……」
 グレムリンは悪びれもせず、全てを自分に任せて行くビッグを見て、余りの難易度にハンドルへもたれ掛かった。
「へこたれるにはまだ早いですよ。アクシデントはまだまだ起きるはずですからね」
「そうだと良いんですが……」
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第3章 ボス戦 『チョコレートの魔王アマイモン』

POW ●チョコレートの魔王軍
レベル✕1体の【チョコレートで出来た悪魔(オブリビオン)】を召喚する。[チョコレートで出来た悪魔(オブリビオン)]は【ロリッ娘萌えー!】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
SPD ●チョコレート・レイン
レベル×100km/hで飛翔しながら、自身の【両手】から【チョコレートの槍の雨】を放つ。
WIZ ●チョコレート・キャッスル
単純で重い【空から降ってくるチョコレートで出来た城】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠シスカ・ブラックウィドーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●チョコレートの魔王・乱入す
「レースを掻き回す程度はしてくれたようじゃな。然し、死者も居らんとは、分かってはおったが、悪魔達は流石にタフじゃ」
 迷宮化の解除、氷狼の失敗を感知し、オブリビオンはパラソル型のチョコレートを噛み砕き、片唇を釣り上げた。
「彼奴の処遇は伝えた通りとするが、いや……斯様な結果になったので有れば、寝返るじゃろうかのう。少々寂しくもあるが、派手に暴れた御陰で注目は集まっておろう。乱入はレースの華。名声と栄誉は妾の物じゃ!」
 首位争いを繰り広げる2車へと割り込むように、チョコレート・ボディの車両が、跳躍して強引にラスト・スパートへと参戦する。
「そして何れはこの国もな! プラント全てにカカオ栽培、てん菜栽培を義務付け、食品工場は全て甘味に統一し、建造物は全てスイーツデフォルメとし、お菓子の国としてやろうぞ! ていうか此所の食品プラント連中が有能過ぎるんじゃ、妾もこんな国民欲しいんじゃ!」
 虫歯も糖質過多も、飽きも食の娯楽の多様性も過去の物とし、全てを甘味に染め上げようと言う、己の野望と、僅かな僻みを語る。トレーラーが道を塞ぎ、196のチョコレートの悪魔はコンテナの中で主人の平常運転に和みながら、統率の取れた動きで部隊を展開する。周囲をバリケードで塞ぎながら、チョコ弾頭のアサルト・ライフルを構え、号令に従い、トリガーに指を掛ける。
 与えられた役割の通り、部隊はすぐさま4つに統括される。
 トップ二人を追い、魔王を援護する機動部隊、前方に対して足を止めて妨害する大型砲撃部隊、後方を警戒し、銃火器を構える掃射、妨害部隊。バリケードを築き、補給等を担当する支援部隊。
 突然の乱入とその手際、その勢いの良いマイク・パフォーマンス、遠大な野望に、観衆の反応は上々の様だった。

●状況進行
 首位走行中の2車には、邪魔になる位置へ、横からトレーラーが出現し、オブリビオンのチョコレート・マシンが強引に首位争いに参列する。
 後方からは自動二輪車が追走し、小銃火器及び、大型火砲による放物線射撃。部隊単位による大規模な妨害行為の横行に、2車は対応を迫られるだろう。
 これに加えて、魔力で作られ、再生の容易な車両に乗った、チョコレートの魔王アマイモンのユーベル・コードによる妨害が発生する、と言うのが首位2車の現況となる。
 アマイモンの目的は、名声と、そこから生じるコネクションだ。気の長い征服行為では有るが、その為には手段を選ばない暴虐な一面や強かさも持ち合わせており、国難で有る事に変わりは無い。
 それ以降の車両は、トレーラーやその辺りの資材、魔力を用いて作られたバリケード、同じく、足を止めての銃撃態勢を整えた部隊への対応が必要となる。
 何方にも共通している事は、チョコレートの悪魔の軍勢は、例外なく、外見年齢が14歳以下の、見た目が女児である者達に弱い。
 該当する外見であれば、純真な仕草や大人びた誘惑、そう言った場面を収めたフォトグラフや、紙面媒体。果てはライブ・パフォーマンスまで、彼等の心を揺らがせるには十分だ。
 そして、周囲への安全確保に気を配る必要は無い。参加者、追走者は迷宮化した道路の中で、苛烈な妨害合戦が行われると言う、非常識な事態を乗り切れる筈も無く、殆どはクラッシュし、脱落している。
 起こった乱入に猟兵は思考する。ゴールまではまだ長い。逆転の目は残されている。逃げ切るにはまだ集中する必要がある。
 それぞれの思惑を抱えながら、公道に幾つもの排気音が響き渡る。
忌月・カルタ
はぁ、いきなり乱入してバリケードとかムカつく
しかも、ロリコンばっかとか…
一番可愛いのはカルタなのに💢

(カルタ体借りるよ♪、あとさっさと起きろニート)
「わ、分かった。あとメアリに優しくね」
〈ふぁぁ、何か用溺愛者〉
「ブレス準備」
〈メンドイ〉
「さっさとヤレ」
「あとティラムは、一瞬だけ人型になったあとブースターに変形…飛び越えるよ」
『この子ブチギレモードね、余程主に銃撃したのに怒ってるのね、分かったやってあげる』

人型のティラムの姿で一瞬油断させて、メアリのブレスの勢いでバリケードを飛び越えます。その後、ティラムのブースターとUCで生やした羽で飛行しゴールを目指すわ

別に飛んじゃダメなんて言われてないし


ビッグ・サン

前の方でまたアクシデントのようですね~

タイヤを直し終えて再び走り始めるビッグとグレムリン
だが、車の様子がおかしい

妙に大きい

クラッシュした他の車をビッグがゴーレムの材料にして、自分の車と合体させているのだ
なので妙にごちゃごちゃしている

ハウなんちゃらの動く城のようだ

一応車輪では走っている
いっぱいあるけど

どんどん抜いていきますよグレムリンさん

ロリコンたちには少女のフレッシュゴーレムを盾にしてやり過ごします
ゴーレムカーは重量もありますので思いっきり相手の車にぶつけながら進みましょう

「さあ、どんどん行きましょう。勝てなければ勝てなけれで良い(悪い?)走りをしてトップよりも目立ってしまいましょう」


レティシア・ヘネシー

何あの装備、戦争でもする気!?
上等!やってやろうじゃないの!

後方の火砲が厄介そうだし、トレーラーに乗ったギャング達に自爆特攻させて後続の道を作ると共に親玉倒すまでの時間稼ぎしてもらおう!

迫るバイク集団には横に乗せっぱなしのオーナーに火炎瓶を投げ付けてもらいつつ、親玉に接近する!

適当なスクラップをバンパー代わりにくっつけて、親玉の車のバンプドラフト仕掛けて相手の挙動が乱れるまでスピードを無理矢理押し上げてくよ!

直接妨害してこようとしたら【ラッドロッド・スカルズ】でチョコレートカーを食べ尽くそう!食べ物なら美味しく頂かないとね?

ゴールが迫ればNOS使ってさらに加速!最後まで絶対手は抜かないから!


ヤムヤム・グリード
すげェ数の狂信者(ファン)連れてやがるな……あんなちまいのの何処がいいのやら。
辺りに甘い匂いが漂い始めたが、それも奴らの仕業かね──あ、奴ら自身がチョコレートで出来てんのか。
じゃ、アレ、食えるんだな。食おう。

妨害部隊がいる地点目掛け車で突撃、そして勢いよく窓から飛び出て強襲!チョコの魔物を片端から斬り刻んで食うッ!
多少遅れはするが、〝食材〟との出会いは一期一会ッ!それに食わないことにゃ味が解んねェからな!いただきますッ!!

……おっと、ゆっくり味わってる暇は無ェか。レースに参加した以上、上位を目指すのも礼儀ってモンだ。
食って得た分の魔力は全部グラットンの動力源に注ぎ込む!全力で追い上げるぜェッ!


シーザー・ゴールドマン
やっと出てきたね。ステラはこのままレースに集中したまえ。なに、ゴール前には戻るよ。
(と車内から消え、オブリビオンに『ウルクの黎明』を発動して対峙)

やあ、お嬢さん、何やら甘い夢を見ている様だが君のゴールは此処だ。そして、悪魔諸君、大志を抱く少女が悪い大人に阻まれて絶望と共に散る、諸君等のお気に召すかな?
(とパフォしつつ空中から光剣を振るって発した衝撃波でチョコ車の破壊を)

敵POWUC対策
悪魔の「オブリビオン」だね。ならば遠慮はいらないか。
と灼熱の衝撃波で溶かして骸の海へ

大技は瞬間移動に等しい神速による接近からの光剣の薙ぎ払い

討伐後は『ヘルメースの鞋』によりステラの隣、助手席に。

ステラと/◎


ステラ・リデル
ご武運を、そして、勝利を貴方に。
(オブリビオンはシーザーに任せてレースに集中します)
先程、発動した『魔王の契約』の効果時間は切れていないのでそのままに『魔力解放Ⅲ』を発動。車の周囲に魔法陣を展開。
ゴールを目指して進む途中にあるバリケードや本来存在しない壁などは全てそれぞれに有効な属性魔弾で破壊し、吹き飛ばして一直線に進みます。
チョコ悪魔のオブリビオンには容赦なく。猟兵からの妨害がもしあれば無効化を。

ご褒美が掛かってるので今日は少々、本気ですよ。

シーザーと/◎


●着地寸前
「ようやくお出ましの様だね」
 首位争奪の2車を押し潰すかどうかの絶妙な距離を、大型トレーラーが塞ぎに掛かる。レティシア・ヘネシー(ギャング仕込のスクラップド・フラッパー・f31486)は一瞬赤瞳を見開きながら、ステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)は心中で僅かに舌打ちをし、浮遊する車体に数瞬だけ生じる安全地帯へ、躊躇いなくアクセルを踏み、車体を捻じ込ませ、まるでそれが当然で有るかの様に、トレーラーをすり抜ける。

●主従の会話
「ステラはこのままレースに集中したまえ。なに、ゴール前には戻るよ」
「ご武運を。そして……勝利を貴方に」
「期待しているよ」
 シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は、部下にそう言い残し、元から居なかったかの様に、サイド・シートから姿を消した。
「やあ、お嬢さん、何やら甘い夢を見ている様だね」
「夢ではないのじゃ、遠くない現実じゃ。猟兵の参加は予想外じゃったがな」
「何にせよ、君のゴールは此所だ。チェッカーフラグを切って上げよう」
 宙空に一瞬描かれる光剣の軌跡と、血色の光輝。残光の先にチョコレートマシンが分断され、切れ目が即座に縫い合わされる。
「無駄じゃ無駄じゃ、妾のマシンはそれしきの剣撃では通用せん!」
「ふむ、言うだけ有って耐久性は確かな様だ」
 宙空から見下ろし、一つ首肯した後、シーザーは宙空へと視線を向ける。
「さて、悪魔諸君、これから催されるのは、大志を抱いた少女が悪い大人に阻まれ、絶望と共に散る。そんなバッドエンドの筋書きとなるが、如何かな?」
 細められた金瞳に宿る、悪魔じみた愉悦の笑み、女性悪魔が背徳に身を震わせ、男性が背筋に走る悪寒は本能的な危機感であると、理解しながらも昂揚と振り切って、宿る真性に一般人の悪魔達から、歓声が沸く。
「おのれ……妾をダシにするとは何たる無礼……」
 車両を操作しながら歯軋りをする彼女を無視し、シーザーは指を弾く。
「悪魔のオブリビオンならば、遠慮はいらないね。程々に数を減らしておこうか」
 地上に瞬間降り注いだ熱波が、彼女の軍勢を溶かし、程々に数を削ぐ。
「レースは不確定要素が多いほど、面白いからね」

●法陣構築
「ご褒美が掛かっていますので、今日は少々、本気ですよ」
 展開される自動二輪の部隊に編成される火力支援部隊を捉えた青い瞳に、仄かな魔力光を揺らめかせ、形の良い口唇が、言の葉を紡ぐ。
 車体周辺に展開されるオクタグラムを基礎とした膨大な魔法陣。少女の口から紡がれる言の葉が重なる度に、車体周辺のアスファルトを92の幾何学模様が埋め尽くす。

●抗争慣れ
「何あの装備、戦争でもする気!? 上等! やってやろうじゃないの!」
 やる気を出すレティシアへ、助手席に乗った運転手は、神懸かったすり抜けを始め、公道で豪快に車両を振り回す姿に、膝を震わせながら、惚れ込んでいた。
「皆、悪いけど今回は荒っぽく行って! それと近付いてきたら、これで迎撃してね。さっきはハンドルありがと!」
 無くなればまだまだ有ると伝え、モロトフカクテルとライターを助手席へ渡すと、その意図を理解し、火を付け、展開された自動二輪目掛けて投擲する。
 瓶が軽妙な高音を残して割れ、軽度の爆発と燃え広がる炎に、何車かがたたらを踏むように後退し、勢いの儘、オーナーが火瓶を次々に後方へ投擲する。
 幾つかが車両へ命中し、燃料に引火、爆発と共に悪魔が火達磨になり、熱で徐々に溶解していく。メルト・チョコレートの甘い香りが周囲にふわりと漂っていく。
「甘い物が食べたくなるね! このまま、敵のボス目掛けて突っ込むよ!」
 手に入れたスクラップ・パーツを本体の前方にバンパー代わりに備え付け、横から割り込み、首位に立ったオブリビオンの後方をゆっくりとマークする。

●スクラップ・バースト
 トレーラーで付き従っていたスクラップ・ギャングは、レティシアの命令を聞いて豪快に笑い、向けられた銃口へ応える様に部隊を展開する。総勢76の小部隊が命を擲つように関節を軋ませ、両腕に持ったアサルト・ライフルを的確に乱射しながら進軍する。
 隊列を組み、起爆状態に陥った同胞は構わず敵陣に放り投げ、生き残った同胞と錆びた背中を合わせながら、葉巻でも吸いたい気分だと、シニカルに笑って見せる。
 トレーラーや大型火器の支援部隊を含めた中枢で、残ったギャングスタが、敵のトレーラーまでの道を作り、道を塞いでいたそれを巻き込む形で自爆装置を起動する。小規模な連鎖爆発の後、大型車の動力を巻き込み、大規模な爆煙が公道に巻き上がる。
 
●弾幕結界
「後方での爆煙を確認、先程のトレーラーでしょうか。彼女の信頼も厚いようですね」
 広がりきった魔法陣から生じる炎の魔力誘導弾が、側面、後方に迫る自動二輪部隊を、容赦なく蹂躙し、その身体に穴を空け、溶解させる。
 弾道自在、出現位置すらステラの掌中、無限に跳弾を繰り返す他属性魔力弾頭の結界は、視認外のあらゆる目標を自動追尾し、的確に目標の急所を撃ち落とす。2台が連なればその1台のタイヤを風の弾頭が裂き、後方ごとクラッシュさせ、小銃火器をいち早く抜けば、砂の魔力弾頭が砲身に蛇のように絡みつき、入り込み、暴発を引き起こす。
「チョコレートの操作能力自体は、物珍しくは有りますね」
 今暫くは補助の立ち位置に居るべきか、後ろに密着する軌道に、オブリビオンの逃走経路を塞ぐように、ハンドルを切る。

●三角形の溺愛集束 
(はぁ? いきなり乱入してバリケードとかマジムカつく! しかも、ロリコンばっかとか……一番可愛いのはカルタなのに??)
 大半が壊滅状態に陥りながら、支援部隊が消火作業を続け、少数がバリケードを築く。少数から、自身の全てとも言える存在へ向けられた銃口に、ミヅキは怒りの心情を吐露し、その上で、カルタの魅力を何一つ理解しない存在を、彼女は理解出来なかった。
(カルタ、体借りるよ♪)
「わ、分かった。あとメアリに優しくね」
 忌月・カルタ(優しき殺人姫・f30657)はミヅキにお願いし、彼女と入れ替わる。
「それは……カルタのお願いでもちょっと聞けないお願いだね♪ さっさと起きろニート」
〈何か用……溺愛者?〉
 影の中で小さな欠伸、目を擦る仕草の度に長い黒髪が揺れる。目元に僅かな隈が滲むのは、影中の生活空間に散らばるゲーム機とスマートフォンが原因だろう。表に出て来たミヅキを蔑む様な別称で気怠げに呼び、影の小さな竜人は、再度、小さく欠伸をする。
「ブレス準備」
〈……メンドイ〉
「さっさとヤレ」
 一言で切って捨て、蓄積された睡眠欲求に従うように、敷かれた布団に入ろうとするのをミヅキが強制的に思念で引き留めると、メアリは眉を顰めて溜め息を吐き、渋々承諾した。
〈分かった……じゃあ代わりに、今日のご飯多めで、一緒にお風呂入って、寝るときに添い寝してくれるなら……やるよ〉
「ワタシのカルタに図々しいぞ。この隠れヤンデレ♪」
 口を噤む。後でカルタにもう一度言えばこの程度は容認してくれる。
〈……だけ……れば……のに〉
 誰にも聞こえないように呟き、彼女が溺愛者を容認している理由が、メアリには未だに理解出来ない。どうせ譲らないのは変わらない。影中から顔を出し、車中でカルタの指先に見蕩れながら、それを甘く、優しく噛んで、ゆっくりと5滴、鉄錆の味が舌先を潤わし、至福の時を味わう様に嚥下し、喉を鳴らす。
「キモい。あ、ティラムは一瞬だけ人型になったあと、ブースターに変形! 飛び越えるよ!」
『この子、ブチギレモードね。主へ引き金を引いた、その事実が余程、許し難いのね。分かったわ。お望み通りにしてあげる』
〈……終わる頃に、この車で迎えに行くからね〉
 ミヅキでは無く、カルタへ向けた独り事をメアリがぽつりと呟いた。

●実行
「それじゃあ行くね♪ 女神エリニュス、あなたにこの身全ての殺意を捧げるわ……力をよこしなさいッ」
 何故かハンドルを握ったメアリの思考回路は気にせず、刑罰と復讐を司る三相一体の女神へ、殺意を捧げる祈りを紡ぐ。身に降りるのは血色のフードと対照的な、胸元を開いたデザインの黒のドレス。そして女神の身体の一部である、コウモリの翼が現出する。
 ハンドルを持つメアリが唸りと咆吼を掛け合わせた様な、竜の古代言語を響かせ、カルタの血液を元に魔力を口腔内で瞬時に練り上げ、放出する。
 練り上げられた魔力は心身を汚す紅の閃光、空気を裂く僅かな音の後、着弾し、耳障りなノイズが周囲へと響く。
 身体が魔力に汚染され、悪魔の軍勢の皮膚が俄に泡立ち、爛れ、心が血色に染まり困惑する。燃え上がるトレーラーを忘れ、心の間隙に一瞬、宙空を舞うゴシックドレスを纏った冷たい雰囲気の少女を幻視した。
 何時の間にか掻き消えた幻想の後に残るのは、ブースターパックから生じる飛行機雲と、ネオンに靡く長い髪の毛と、コウモリの翼のみだ。
 
●食材との出会い
「すげェ数の狂信者(ファン)連れてやがるな……あんなちまいのの何処がいいのやら」
 ヤムヤム・グリード(特急厨師・f31534)は彼等の趣味嗜好を疑いながらも、鼻腔を擽る甘い匂いと、目前で起きている事態を把握した。俄に泡立つ皮膚とは別に、炎にあぶられ、身体が若干溶解しているのが、遠目でも把握できた。
「……あ、奴ら自身がチョコレートで出来てんのか。じゃ、アレ、食えるんだな。食おう」
 何の疑いも無く、絶対の自信を持って、首肯する。行動方針を決めた。
 人の形をしていようが、怪獣の形をしていようが、それが食材の要素を持つならば、試してみなければ、この湧き出る料理への探究心と好奇心が収まる筈も無い。
「多少遅れはするが、〝食材〟との出会いは一期一会ッ! それに食わないことにゃ味が解んねェからな!いただきますッ!!」
 炎に炙られ、心身をブレスと一瞬見えた美少女にかき乱された所に、改造されたキッチンカーが突撃。窓から影が飛び出たと気付いた時には、鉄塊のような唾無しの大刀が上空から飛来し、一閃。固まった軍勢を圧し斬り、飛び散る半固体の身体を更に大雑把に刻む。チョコレートの悪魔を構成していた身体要素を手頃な大きさに刻んだ所で徐々に口に含む。
「カカオ37%って所か。こいつァスイートだな! 品質はまぁまぁ、砂糖も可も不可も無く。魔力含有量が高めのが特徴ってトコかァ?」
 不味くは無いが、美味くも無い。並の品質であるが故に扱い自体は簡単だ。失敗も無い。丁度、その手の時期も近い等と考えながら、豪快に包丁を振り下ろし、彼等を刻んで魔力ごと吸収し、腹に入れる。
 手早く必要以上の魔力量を補給している最中に、やけに大きい地響きが鳴り響く。
「……おっと、ゆっくり味わってる暇は無ェか。レースに参加した以上、上位を目指すのも礼儀ってモンだ」
 背後を振り返ればキメラのような巨大装甲車、アレも参加者だとするならば、このトラックも時間の問題だ。
「頼むぜ、グラットン。全力で追い上げるぜェッ!」
 変換した魔力を炎の動力源に注ぎ込み、改造キッチンカーのタイヤが急激な加速に甲高い悲鳴を上げ、粉塵を巻き上げる。

●継いで接いだゴーレム・マシン
「前の方でまたアクシデントのようですね~」
「何だか色々起こりますねえ。この車も何だか乗り心地が随分変わっているような」
 タイヤの填め直しを終えて、走行を再開していたビッグが遠目で確認する。運転しているグレムリンは半ばレースを諦めている様だが、段々見える景色の幅が変わっていたり、座席から伝わる振動がやけに減少していたりと、妙な感覚を覚え、ふと気になって周囲を見渡して、グレムリンは絶句した。
 走行を始めた頃の愛車とは全く違う、多輪走行車。最早履帯をはめさせても良い程のタイヤ総数、必要の無い手足に無駄なマフラー、継ぎ接ぎの剛性や空力を無視したボディ。最早、移動する家とも言えるような外見に変貌し、思わず口がぱくぱくと開き、ビッグに訴えかける。
「クラッシュした車を適当にかき集めるよう、機能を追加してみたんですが、予想以上に上手く行きましたね。どんどん抜いてきますよ、グレムリンさん」
「こんのクソ野郎! オレの車返しやがれェェッ!」
 とうとう我慢できなくなったグレムリンの叫びがネオンの街並みに吸い込まれていく。人に迷惑を掛ける事は確かに格好良いのだが、流石に真面目にレースをしている者に対するこの所業には、悪魔も憧れよりも怒りの感情が先に来た様である。
「これを終えればそのまま、思う存分ワルが出来ますよ。ああ、成る程、前で起きたのはそう言うことだったんですね」
「人の話聞けよオイィィ!」
 風船を持った少女が矢面に立ち、ふわりとその身を浮かせて、丁寧に頭を下げて挨拶をする。呼び方は全員に対してお兄様である。可愛らしい見た目、オレンジ色の髪をふわふわに両サイドで纏めていながら、体温のしない冷たい少女というギャップは、残っていた彼等の趣味嗜好に大いに影響を与え、気を取られている間に通過し始めた規格外のゴーレム・マシンが炎上するトレーラーを吹き飛ばし、それを素材として、更に巨大化していく。
「さあ、どんどん行きましょう。勝てなければ勝てなけれで良い(悪い?) 走りをしてトップよりも目立ってしまいましょう」

●バンプ・ドリフト
 シーザーへ気を取られている隙に、レティシアがチョコレート・マシンに追従し、車体を押しながら、アクセルペダルを踏み込んでいく。追走よりも過激な、前の車を押し上げる2車の協力技術を、レッドゾーン一杯の回転域のオーバースピードで実現すれば、車体の安定性は徐々に徐々に下がっていく。
「ええい……鬱陶しい!」
「逃げる所など有りませんよ」
 横に逃げようとすればステラの車両がぴったりとマークしており、いよいよアマイモンは余裕を無くし、上空へチョコレートの雨を降らせ始めるが、ステラの魔力弾頭が違い無く全てを撃ち落とし、序でと言わんばかりに車体へと穴を空ける。
「貴方の所為でレティはちょっとお腹が空いて来てるの! 食べ物なら美味しく頂いて良いね?」
 密着した車体から少しだけ身を乗り出し、片腕を伸ばす。パイプと配線、錆びた車両のドア、マフラー、車のジャンクパーツの寄せ集めで出来た髑髏の頭部が、無限に再生する車両へと食らい付き、チョコレートマシンの車体を直接食らう。得た魔力で活性化した機械髑髏の頭が巨大化し、チョコレートマシンを食い付くそうと顎を開く。
「頃合だね。おや……マシンでないと恐らく表彰は受けられないと思うけどね、まあ良いだろう」
 一瞬で通り縋る真紅の残光。感知できたのは恐らくステラだけだろう。極限域の神速で繰り出された光剣の薙ぎ払いが、チョコレート・マシンを見事に両断する。
 漆黒のドレスが飛行機雲を描き、その頭上を通過していき、2車と一人の後改造されたキッチンカーと1台のマシンが後を追い、クラッシュしたチョコレートマシンを最後にやってきたゴーレム・マシンが組み込み、更に巨大化する。
「マシンを失い、夢が潰えた気分はどうかな? 是非聞いてみたいね」
「……泣き叫びたいに決まっておろう」
「そんな暇は与えないがね。さて、ああは言ったものの、此所から先はカットとしよう。当たり前だが、悪逆には遠く、兵士とすら言い難い者ばかりだからね」
 残った魔力で練り上げたチョコレート・ソードで斬りかかったのをシーザーは難なく切り伏せ、飛び散ったスイートチョコレートを払うように、スーツの埃を軽く払う。次の瞬間には、誰の人影も映っていなかった。
「少し待たせてしまったね。ステラ」
「お帰りなさいませ。シーザー、後はゆっくりと、お楽しみ下さい」

●ラスト・スパート
 首位争いをした2車は突如の間近な飛行機雲に発想を切り替えたのだろうと踏み、更に白熱させ、そこにチョコレートの悪魔の魔力を得たことにより、グリードが目覚ましい伸びを見せ、トップ争いを目と鼻の先へと捉えた。その直ぐ後方で、カルタから離れ、単独行動中のメアリは、あらゆるカーアクション・ゲームのノウハウと、制限下に有るとは言え、使用できる範囲での竜人の魔力、マシンの可能性と自身との親和性に気付き、メキメキと速度を伸ばし、その後方。
 チョコレートマシンすら取り込んだゴーレム・マシンは複数の動力を持ち、再生力を増加させたが、その総重量や、常に対向車とぶつかり僅かな原則を強いられている為、速度の伸びは芳しくない。
 何度目かの曲がり角を抜け、大凡1割となった所で、レティシアが機体を操作し、ナイトラス・オキサイド・システムを起動。エンジン内部の各シリンダに亜酸化窒素を噴射させ、エンジン出力を一時的に上昇させ、臨界の機体が更に爆音を響かせる。
 後を追うように魔力を注ぎ、レティシアの後を追い、何時の間にやらグリードを抜かしていたメアリが、トップ集団に更に食らい付いていく。
 然し、グリードも負けじと食らい付き、トップ争いは見る間に団子と鳴っていく。

●決着の時
(レティとしたことが……張り合える人が居るからって、楽しくってテンション上げ過ぎた……)
 本当に最後の最後でレティのブーストが切れ、瞬間の失速、レースの世界では致命的だ。ステラ以外が失速を狙っていたかのように他車が突出する。
(ゲームと違うけど、変わらない。不思議な感じ……カルタ、今行くよ)
 中でも、飛行機雲を描くカルタを追い掛けていたメアリが最後に伸びを見せ、安定した走りをしていたステラを押し退けた。
(目覚ましい、成長ですね……)
 事ここに至っては不本意だが認める他無いとステラは心中で歯噛みした。
(持たねェか……! イケそうだったのによォ!)
 グリードは追い上げの為の馬力が足りず、正直に舌打ちをした。
「こう言ったゴーレムも面白いですね。取り込み型としてもう少し進化させてみるのも面白いかも知れません」
 最下位だったビッグはゴールに辿り着いても、ゴーレムマシンを止める気配が無く、大会進行役によって無理矢理解体された。途中からビッグに対して罵詈雑言の嵐を向けていたグレムリンは、愛車が戻ってきてホッとしていたようだ。
 ゴールに辿り着いた所で入れ替わったカルタは無事、メアリの運転する車に拾われ、メアリは改めてカルタに条件を呑んで貰い、ついでに表彰式の後のデートまで取り付け、ミヅキを大いに不愉快にさせ、ティルも少しだけ唇を尖らせた。

●表彰
 栄えある第1回はトラブル続きだった、だからこそ、この過酷な大会を走り抜け、且つ盛り上げた6名は全てが偉大なレーサーであると、影の魔王は猟兵全てを称え、表彰した。通常の賞金とは別に、この国内で叶えられる事なら、何でも望みを一つ聞き入れると破格の報酬を申し出た。迷宮化し、常に変化する公道を、どの様な走行方法であれ、走破した事実を、影の魔王は特に評価していた様だ。
 真面目に参加していた者ならば、誰が勝っても可笑しくないレースで有り、既に各猟兵に出来たファン層が、論争を繰り広げている。天運が少々傾くだけで、レース結果は幾らでも変わる。それ程、優れた参加者だったと誰もが口にし、常代の紙面とネットを浚う。
 レースの熱は暫く、冷める事は無さそうだ。

●終幕
 カルタはメアリの条件を呑む為にも1日程、此所へ滞在し、皆で観光に洒落込んだ。奪った車を返しに行くと公道レースの記事や動画を見たらしく、寧ろ受け取ってくれと言われたので、遠慮するカルタを見かねて、入れ替わったミヅキが礼を言って受け取った。
 シーザーは2位と言う事で報酬を半分とした。運転技術の見直しを課題に、ステラは短期間、シャドウ・ロマンを走り込み、この国の、その手の界隈で有名となった。
 グリードは希望通り、レースの熱が尾を引くシャドウ・ロマンで違法駐車、無断営業で暴食の看板を掲げ、料理を振る舞った。メニューにチョコレート味のデザートレパートリーが増えたかもしれない。
 レティシアは不覚を取った事を悔しがりながらも暴食の看板を掲げたキッチンカーで腹拵えを終えた後、ステラにもう一度勝負を挑み、結果が何方であれ、吹っ切れた後、常夜の国で少しだけ鍛え直すように走り込み、ギャングという概念を深く、シャドウ・ロマンに根付かせた。
 ビッグは、今回のゴーレム制作手順を更に効率化、自動化する手順を戯れに研究テーマとし、彼方此方で試しては迷惑を振り撒いた……かもしれない。
 熱狂の常夜は過ぎ去り、熱帯の轍を残し、猟兵は何時もの日常へと戻っていく。


【第1回シャドウ・ロマン公道レース】
優勝:忌月・カルタ(優しき殺人姫・f30657)
2位:ステラ・リデル(ウルブス・ノウムの管理者・f13273)
   &シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)
3位:ヤムヤム・グリード(特急厨師・f31534)
4位:レティシア・ヘネシー(ギャング仕込のスクラップド・フラッパー・f31486)
5位:ビッグ・サン(永遠を求める研究者・f06449)
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2021年01月23日
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