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れっつ義賊!悪い乳をしばいて軽率にカネをばらまこうの巻

#デビルキングワールド

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#デビルキングワールド


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「みんな、あけましておめでとう!新年早々だけど予知をみちゃったから、みんなに義賊になってもらいたいの!」

 グリモアベースで猟兵達にそのように告げたのは、グリモア猟兵の一人である紅月・知夏であった。
 彼女は自身の声に耳を傾けた者がいるのを確認し、説明を始めた。

「場所はいまここにうつしだされているとおり、デビルキングワールドよ。
 もうこの世界に行った人は知ってるかもだけど、デビルキングワールドの通貨の『D(デビル)』には少量の魔力が込められていて……オブリビオンがめっちゃ大量に集めると、その魔力を使ってカタストロフ級の事を起こせる儀式魔術ができちゃうみたいなの。
 そしてねー、私の予知に一人のオブリビオンがそれをやろうとしているのが引っ掛かっちゃったの。
 だから、みんなにはそのオブリビオンの屋敷に潜入して、オブリビオンを倒してお金を全部奪って、他のオブリビオンに簡単に回収されないように盛大にばら撒いて欲しいのよ」

 悪い金持ちから金を盗み取り、世にばら撒く。
 いわゆる”義賊”そのものに成れて楽しそうね、といって笑った知夏は、すぐに表情を引き締める。

「でも、集められたお金がある部屋……オブリビオンの私室の位置はわかっているけど、直接猟兵の皆が到着するまで、私がみんなを送れるのは屋敷の周囲までなの。
 だからみんなには、オブリビオンの私室まで忍び込んでもらう必要があるわ」

 今回猟兵達が送られる屋敷には、大量の悪魔のボディーガード達がいる。
 猟兵達は彼らの目を欺き、金を集めているオブリビオンの部屋に到達する必要がある。
 力技で正面突破も出来なくはないだろうが、ボディーガード達は際限なく増援がやってくるので、戦闘で強引に押しとおるのは得策ではないだろう。

「えーっとね、ボディーガードさんたちはただの現地の悪魔さんなのよ。
 一方でオブリビオンの方は本当に悪いやつだから、たーっくさんのボディーガードさんを無給で雇ってるの。
 で、悪魔さん達って滅茶苦茶頑丈だしユーベルコードも強いから……際限がない上に強いって事ね。
 だから、戦うよりも欺くなりの工夫をするのをおすすめするわ」

 ある程度の猟兵達がボディーガード達の監視を抜けてしまえば、オブリビオンの私室に知夏が直接猟兵を送れるようになるためオブリビオンの退治に全力を傾ける事が出来る。
 己の力は、そこで発揮すると良いだろう。

「それでも足りないって人は、お金のばら撒き場所として目をつけてる『いたずら地獄』に参加すると良いかもしれないわね。魔界の闘技場でやってる、悪のセンスを競い合う大会よ。
 参加して準備やイタズラ内容にお金を使うもよし、観戦中の食事や飲み物に使うもよし、他の参加者にいいねのかわりに投げ銭してもよし!って言う感じね。
 オブリビオンが沢山溜めこんでるから、特等席を作らせたりなんて言う無茶位なら通っちゃうと思うわよ!」

 楽しげに話していた知夏に、どこからか敵の情報を聞く声が上がる。
 それに気づいた彼女は、少し首をかしげて予知の中にあったオブリビオンの事を語った。

「オブリビオンの情報……は、ちょっとしか見えなかったからあんまり詳しく言えないんだけど……見た目は、お胸がとても大きいお姉さんって感じだったわ。
 戦闘の姿は私には見えなかったんだけど、滅茶苦茶な法を作って、違反金をとることでお金を集めてたわね。
 なんか、こう、男は胸が無いから罰金とか、筋肉による偽物の胸は大罪とか、女の子でもお胸が小さかったら罰金とか、巨乳と貧乳の間で喧嘩が起これば貧乳が罰金とか……」

 オブリビオンの悪事をあげながらも、知夏は己の身体に目を向ける。
 未成長の平原がそこにはあった。

「うん、いろんな意味で生かしておけない感じだから!みんな、頑張ってね!!」

 明かな私怨が乗っているが故のいい笑顔で、知夏は準備の出来た猟兵から現地に送っていった。


碧依
 こんにちは。碧依と申します。
 今回は、デビルキングワールドで悪い金持ちをぶったおしてお金をばらまくシナリオになります。

 一章でボディーガード達を出しぬき、二章でオブリビオンをしばき倒してお金をぶんどり、三章でばら撒く感じとなっています。
 断章などで案内を入れる予定は特にありませんので、プレイングはお好きな時に投げていただければと思います。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 集団戦 『悪魔のボディガード』

POW   :    ガードキャノン
自身の【デビルキャノン】から、戦場の仲間が受けた【攻撃の合計回数】に比例した威力と攻撃範囲の【暗黒の砲撃】を放つ。
SPD   :    護衛契約
他者からの命令を承諾すると【契約書】が出現し、命令の完遂か24時間後まで全技能が「100レベル」になる。
WIZ   :    トリモチシュート
【デビルキャノン】から【トリモチ弾】を放ち、【強烈な粘着力】により対象の動きを一時的に封じる。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

波山・ヒクイ
チチのでかさで優劣つけるとかトンでもねー奴じゃなそのオブリビオンは!
わっちがしばいて有り金ぜぇーんぶばらまいてくれるわ!
(何か怨念を感じたので転送後に啖呵を切るわっち)

…と、言うことでまずはボディーガード君を出し抜かなきゃいけない訳じゃが…
実際タダ働きでしかも警備とか…超しんどいし飽きて来ん?
いくらオブリビオンのワルさに憧れがあったとしても、いつまでも耐えれる境遇じゃあないじゃろう。

わっちはそんな皆様の心の隙間につけこんで、サボりの誘惑に誘う者です。
タダ働きなんざくそくらえ!武器なんか捨て置いてサボろう!サボタージュも立派なワルじゃぜ!
わっちはサボってる間に素通りしますんで。



 デビルキングワールドに存在する、とある国の一等地。国の者が住んでみたいなと思う土地の駅近付近を無駄に占拠する、高い塀に囲われた大きな屋敷。
 この屋敷こそが、悪法を布き金をかき集めるオブリビオンの棲家であった。

 最初に送り届けられた猟兵、波山・ヒクイは塀の近くに降り立つと同時にその向こうの屋敷に向けて啖呵を切る!

「チチのでかさで優劣つけるとかトンでもねー奴じゃなそのオブリビオンは!わっちがしばいて有り金ぜぇーんぶばらまいてくれるわ!」

 ヒクイの胸は豊満である。が、それで優劣をつける事は許されるべきではないと彼女は強く言い切った!
 オブリビオンを許す気は無いという意思の顕れ!けして、召喚直前にちょっと怨念を感じたから言っておこう、という保身ではない!

 吐き切った息を整えて、ヒクイは改めて塀を見やる。

「ひとまず、中にいるやつらをさくっと誘惑させてもらうのじゃ」

 空中戦の心得があるヒクイは多少の塀などなんのそのと言わんばかりに跳び上がり、そのまま髪をなびかせ塀の中へと降り立った。

「侵入者だ!」

 侵入に気づいた悪魔のボディーガードの一人が声を上げたが、ヒクイは臆すことなく彼らが集まってくるのを待つ。

「……ぐ、ぐへへ!姉ちゃんよ、ここは議員のユーステミシア様のお屋敷だぜ!」
「へっへっ……迷い込んじまったなら、お外まで案内してやろうか?」
「あっ、待てその前にだ……金を回収するんだったか?」
「そ、そうだ!迷惑料!迷惑料をきっちりおいて行きやがれ!」

 ヒクイに抱えたバズーカを向ける彼らを見て、ヒクイは己の策が成功する事を確信する。

「ふふっ、それは一旦置いといて……のう、おぬしら?ほれ、わっちを見てみい。年明けにふさわしい晴れ姿じゃろ?うらやましいじゃろ?」
「う、うん?」
「じゃろ~?暇なのに休めない上に実入りの無い仕事なんて、新年早々する事ではないのじゃ。わっちには、言わずとも皆の本心がよ~~っくわかるのじゃよ」

 侵入者に対処し慣れない彼らの様子を見れば、侵入者退治の機会が殆ど無い事が伺える。
 常日頃から実質タダ働きの上、動きのない警備の仕事。
 そこに身を置く彼らに、ヒクイはユーベルコードの下準備としてサボリへ誘う言葉をどんどんと重ねていく。

「そんな皆に、わっちがOKをだしてやるのじゃ!!タダ働きなんざくそくらえ!武器なんか捨て置いてサボろう!サボタージュも立派なワルじゃぜ!」

 "疲れた"という気持ちの蓋をこじ開けるように言葉を続け、ボディーガード達の視線を集めている事を目だけで軽く確認する。

「どうせ他にも警備おるんじゃろ?じゃから、のぅ?ここにいる皆がちょっとぐらいサボっても、いいじゃろう~?」

 誘う言葉の終わりと共に、ヒクイはユーベルコードを発動させる!
 この場のボディーガード全員を対象にしたそれは、戦闘をサボりたいという感情を強く呼び起こす!
 事前の言葉で心の隙間にがっつりと付け込まれていたボディーガード達は、仕事を全うする気が暫く一切湧いてこない精神状態に陥った!

「……それも、そうかもな」
「立ちっぱなしでしんどいし、少し座って休憩したっていいよな」

 ある者は重い武器を置き、ある者は防具の重みで凝った肩を回す。
 ボディーガード達がそれぞれに辛さから逃れるようにサボっていく中、ヒクイは笑みを浮かべて悠々と屋敷の奥へと歩いて行った。

成功 🔵​🔵​🔴​

緋神・美麗
アドリブ・絡み歓迎

無給で大量にボディガードを雇う、ねぇ。給料払ってないから雇うとは言わない気がするけどなかなかの悪党っぷりね。これは潰し甲斐がありそうだわ。でもまずはボディガードを何とかしてボス部屋まで行かないとね。

「そこのお兄さん。ちょっとそこを通して欲しいなぁ。」
「もちろんタダでとは言わないわ。私の事をちょっと見逃してくれれば存分にお礼するわよ。」
「賄賂を受け取り雇い主を裏切りながらもしっかり給金は貰う。これってなかなかの悪党じゃない?」
言いくるめ等を駆使して切り抜ける



「無給で大量にボディガードを雇う、ねぇ。給料払ってないから雇うとは言わない気がするけどなかなかの悪党っぷりね」

 緋神・美麗は出現地点である正門から、広く大きな屋敷を見る。ほとんどは儀式用だろうが、それを差し引いても羽振りがよさそうに見える。
 その一方で護衛に給金を出さずにいるあたり、オブリビオンの悪辣さが伺える。

「これは潰し甲斐がありそうだわ……でもまずはボディガードを何とかしてボス部屋まで行かないとね」

 まずは見つからない様に存在感を小さく抑え、忍び足で門に近寄り聞き耳を立てて情報を探る。
 聞き取れる足音や会話はどこか慌ただしく、猟兵の侵入があったことを如実に表していた。

「西側塀警戒が全滅??一体なにがあったんだ」
「わからん。戦闘があった風でもないし、様子を見に行くぞ」

 美麗は先んじた猟兵の行動で混乱が広がっている事と、そのおおよその内容を把握すると己の方針を定めた。

(利用しない手はないわね。この隙に奥に進んで、どうしても抜けられない場所は相手を言いくるめようっと)

 美麗は足音が遠ざかるのを確認すると、鋭い感覚を利用しながら手薄なルートを辿って屋敷の奥へと侵入していく。

「装飾も豪華ね……そうだ、ちょっと拝借しちゃおっと」

 思い立って、シャンデリアにとりつけられていた宝石をサイコキネシスで奪う。
 目についた豪奢な装飾の一部を回収しながら進む美麗だったが、やがてすり抜けるのが難しい場所に行きあたった。

 一際丁寧に飾られた階段の脇を護衛が固めている。
 美麗が侵入している間も他の猟兵達によっていくらか騒ぎが起きているはずなのだが、ここの護衛は持ち場を離れずにいたようだ。

(護衛場所の要所の一つなのかな?なら、別の場所を通るよりも……)

 美麗は先程までとは逆に、敢えて目立つようにボディーガードの前に出る。
 そして、しなをつくり誘惑するような笑みを浮かべて見せた。

「ねぇ、そこのお兄さん。ちょっとそこを通して欲しいなぁ」
「なんだ、おまえは。客人の話は聞いていないぞ?」
「うふふ……ちょっと大きな悪事をしようと思ってきたの。でも、それを責めたりしないわよね?だって、悪いコトはみんなの義務。そうでしょ?」

 妖艶に誘惑するさまを演じながら、美麗は渡すべき賄賂を用意する。

「もちろんタダでとは言わないわ。私の事をちょっと見逃してくれれば、存分にお礼するわよ?」

 近づき、囁くような声とともに、きらりと光る宝石を見せつける。
 この屋敷で護衛をしているからか、ボディーガードはその正体にすぐに気づいたようだった。

「そ、それは!!」
「ふふ、わかる?……あなたの雇い主の持ち物を壊しちゃったワルの証、欲しいと思わない?それに――」

 美麗はとどめとばかりに、ボディーガードを悪へ誘った。

「賄賂を受け取り雇い主を裏切りながらもしっかり給金は貰う。これって、なかなかの悪党じゃない?」

 ボディーガードは戸惑いながらも、手の中に宝石をおさめる。
 不慣れな悪への興奮で固まってしまった彼の横をするりと通り抜けて、美麗は目的地へと近づいて行った。

成功 🔵​🔵​🔴​

鳶沢・成美
それにしても何というか素直なんでしょうね、この世界の悪魔たちって
じゃあ、わりと単純な手が効くかもしれません

”目立たない”様に【欺ク光ノ術】で姿を消して”情報収集”して隙を伺いましょう
疲れは〔元気ガンガンドリンク〕で誤魔化すとして……この空き瓶も利用できるかも
ポイっと瓶を投げて音を立てて、そっちの方に”おびき寄せ”る位は出来るでしょう
後は”忍び足”でこっそりこっそりすり抜けて行けば

アドリブ・絡み・可 ””内技能



 猟兵の一人である鳶沢・成美は調理場の陰に潜むと、己の額に張り付けていた呪符を取ってユーベルコードを解除し姿をあらわした。

「ここなら、少し休めそうだ」

 持ち込んでいた元気ガンガンドリンクなる強力な栄養ドリンクで疲労を誤魔化し、息を整える。
 成美もまた、初手の猟兵が作り出した状況による混乱の隙を突いて屋敷の中への潜入を果たしていた。

「この近くにある使用人用のエレベーターを使えたら、そのままオブリビオンの部屋の手前ぐらいまで行けそうなんだけど」

 成美が移動方法として目を付けたそこも、悪魔のボディーガードがしっかりと見張っている場所の一つだ。
 調理場近くのエレベーター、おそらくは作った食事を崩さず届けるための設備だろう。
 屋敷の作りも雰囲気も古く見えるが、文明の利器もしっかり導入しているようだ。

「だから突入ルートがいくつかある、というのは良い事だけどね……それにしても何というか、素直でしたね。聞いていた通り」

 ユーベルコードの欺ク光ノ術による透明化。
 それを使って潜入するというシンプルな方法をとったのも、素直な相手には素直な方法が最も通じるのではないかという予測を成美が事前にしていたからである。
 そして、ただ潜入するのではなく可能な限り情報を集めながらきていた成美は、相手方が素直な行動をとる素直な人々であるという実例を見て来ていた。

 たとえば、機能不全に陥った仲間を心配して様子を見に行く姿。
 たとえば、特別に言いつけられた職務からは心配していても離れられない姿。
 たとえば……直接オブリビオンに状況報告すれば早いのをわかっていながら、私室に近づく事が許されていないので混乱した連絡系統に頼らざるを得ない姿。

「……今の状況にも、単純な手が効くかも」

 飲み終わったドリンクの瓶をジャージのポケットにしまいなおし、再び己に呪符を張って透明化すると調理場を出る。
 調理場に面した廊下に護衛の姿はない。だが、近くの角を曲がれば護衛がいるはずだ。
 今出た場所のドアを敢えて開け放したまま、成美は護衛とドアの両方が見えるギリギリの位置に陣取る。

 一人だけ動けない退屈さ故かボディーガードが欠伸をした瞬間を狙い、成美は調理場の方に向けてドリンクの瓶を投げる。
 軽く投げたつもりの瓶は、開けられていたドアの取っ手に当たって思いの外派手な音を立てて壊れた。

「?! 何の音だ」

 音でおびき寄せられた護衛が、開け放された調理場のドアと、見慣れない破片に引きつけられる。
 作り上げた大きな隙を殺さぬよう、成美は忍び足でエレベーターに近づき、乗り込む。
 そうしてすぐさま、オブリビオンの私室がある階のボタンを押してエレベーターのドアを閉じた。

「……情報、出来るだけ探っててよかった」

 オブリビオンが私室に護衛を近づけさせないという情報は得ている。
 それはつまり、エレベーターが動かされたことにさっきのボディーガードが気付いたところで成美を直接追えないということだ。

 成美は呪符を取り疲労回復用のドリンクを飲むと、戦いに向けてゆっくりと息を整えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

マニ・モニ
放送するには悪の度合いが足りてねェな
何よりバラエティが足らねェ。役者はいるんダ。オイラがもっと演出してやろウ

メタニTV制作班を呼び出し、カメラを構えボディーガードの所へ
「なんだオメェラ、そのぐらいでワル気取ってんのカ?」
悪人の部下やってりゃ悪。確かにそうだがそれじゃ悪としては格下ダ。
ビッグなワル気取るってんなら格上驚かしてこそのワルだロ。
安心しなオメェラ、今ならこの敏腕監督でプロデューサーなオイラと徹夜もいとわない(いとわせない)スタッフたちの番組に出れるんだ。ワルとしての知名度もうなぎ上りダロ。
さあ、オメェラの主にビックなワルをしてやろうぜ
今回の番組名はそうだな『ビッグなワルへの大革命』ダナ



 召喚後、塀を伝って門までやってきたマニ・モニは、屋敷が騒がしくなっているのに気が付いて声を上げた。

「先行ったやつら、やってるみてェだな。ってコトは、オイラは仕上げ担当ってトコか――オマエら集合だ。さっさと番組準備始めンぞ」

 その声と共にユーベルコードが発動し、彼の作る番組であるメタニTVの番組スタッフを召喚!
 召喚できる人数がきちんと揃っている事を確認すると、彼自身も撮影用ビデオカメラを構える。

「今の状態じゃ、放送するには悪の度合いが足りてねェし、何よりバラエティが足らねェ。役者はいるんダ。オイラ達がもっと演出してやろウ。さァ、行くゼ」

 強気な言葉と共に、番組スタッフ達を引き連れて堂々と正面の門から屋敷に突入!
 当然、即座にボディーガード達と遭遇!思い切り彼らから武器を向けられる!

「止まれ!何の用だ?」
「メタニTVダ。悪人どもの悪事を面白おかしく取材しに来たゼ。この屋敷には荒くれ連中が山ほど居るらしいじゃねェか? そいつらの派手な悪事を撮りに来たんダ」

 そう言いながら、マニはカメラをボディーガードに向ける。
 自分たちの撮影らしい、と気付いた護衛達は少々たじろぎ、それでも追い返そうと敢えて大きな声を出す。

「……今は忙しいんだ、用事があるなら後にしろ!」
「ほォーん……なんだオメェラ、そのぐらいでワル気取ってんのカ?」
「なっ?!」

 マニは大げさに肩をすくめて首を振って見せる。 
 相手方はそれに激昂……できるほどワルが根付いていない!あまりに本質が素直で真面目なために、悪の度合いが足りないという指摘にショックを受けている!

「悪人の部下やってりゃ悪。確かにそうだがそれじゃ悪としては格下ダ。ビッグなワル気取るってんなら格上驚かしてこそのワルだロ?」

 ざわめき、困惑するボディーガード達。
 その素直すぎる様子に内心で苦笑しながらも、マニはより面白くするために彼らを煽る。

「安心しなオメェラ、今ならこの敏腕監督でプロデューサーなオイラと徹夜もいとわないスタッフたちの番組に出れるんだ。ワルとしての知名度もうなぎ上りダロ」 

 それぞれが悪を磨くこの世界の住人たちにとって、その誘いはとても魅力的だった。

「……できるのか、俺達に?」
「ああ。オイラについてくるなら、オメェラを派手に演出してやる。もちろん、この先にいる連中もダ」

 詠唱を重ね効果を高めるのと同じように、ボディーガード達へ言葉を重ねて彼らの気分を盛り上げる!
 とどめに彼らの戸惑いの色を消すために、あえて大きな声で呼びかけた!

「さあ、オメェラの主にビッグなワルをしてやろうぜ!」

 番組スタッフたちが「オー!!」と拳を突き上げる!
 それに乗せられ、ボディーガード達も声を上げ、拳を突き上げる!

「今回の番組名はそうだな『ビッグなワルへの大革命』ダナ」

 最初の決起の様子をうまく撮れた事と、この先もこの調子で引き込めそうだという手ごたえに満足しながら、マニは最終的に上がる映像を想像して笑みを浮かべた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『『豚房流半棒術士』子豚・ユーステミシア』

POW   :    豚房流半棒術・国王といえども乳と法の下にある
予め【乳によって天秤の均衡を保っておく】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    豚房流半棒術・目には目を、歯には歯を、乳には乳を
対象のユーベルコードを防御すると、それを【武器、角、乳の各部位からそれぞれ一発ずつ】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
WIZ   :    豚房流半棒術・法と乳はこれを許さず
レベル×1体の【自らの法に忠実な爆乳陪審員】を召喚する。[自らの法に忠実な爆乳陪審員]は【乳】属性の戦闘能力を持ち、十分な時間があれば城や街を築く。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠子豚・オーロラです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 外周の使用人が通る廊下以外は、丸々自室となっている階。
 一周するのになかなか骨が折れるはずの外周に対して中の空間は学校の教室程度しかない。なぜか?
 ……そう、内側の壁にみえるものは、すべて積み上げられたD通貨!!
 世界への悪意を為すためにかき集めたそれらを、オブリビオンは全て自分の部屋に集めていたのだ!!

 今回の守銭奴、この屋敷の主である子豚・ユーステミシアはそのような部屋の中央部で、儀式に必要な通貨の残りを引っ張ってくるロクでもない法案を考えるのに夢中だった。

 だが、その時間は不意に邪魔される。
 壁に沿ってにみっしりと積み上げられたD通貨の唯一の空白部分――出入り口となる扉が乱暴に叩かれだしたのだ!

「――何だ?」

 ここではじめて異常に気付いた彼女は、音と振動をオフにしていた連絡端末にようやく目を向ける。
 大量の通知。ざっとそれらに目を通すだけでも、護衛達がサボりで使えなくなっていたり、侵入者の痕跡を発見していたり、重要箇所の護衛達が揃って知らんぷりしていたり、あげくの果てには反旗を翻しているのを何とか抑えているという連絡が山のように入ってきていた。

「……猟兵、か」

 難なく進んできた計画を崩す可能性がある、最大の警戒要素。その存在の名を呟くと同時に、扉が止めを刺されその役目を終えた。

「この国では、胸の大きい者に対して損害を与えるほど罰金が高くなり、払えない場合は残る金額から判定して懲役刑もしくは死刑となる」

 猟兵達に相対しながら、ユーステミシアは椅子から立ち上がり、己の乳を天秤で支えた。

「私の部屋まで無礼にも侵入してきたという一点。これだけで、おまえたちにはすでに、払えない額の罰金が発生している――以上だ。この場で、死刑を執行する!」
波山・ヒクイ
ふーん…いいよ、キミのルールに従った上で勝ってやろうじゃん?
っと、刑が執行される前に…わっちの翼を対価に、あなたが望む御姿の術!
キミの望む姿がどんなのかはわっちには分かりません。…一部分を除いて。
散々巨乳を盾に暴利を貪ってきたヤツが、「ぺったんこになりてぇー」なんて望む訳無いもんな!寧ろサイズアップを望むじゃろう!
あ、わっちに向けてこのUCしても無駄じゃよ?わっちは普段の姿が完璧じゃと思っとるしー

今この瞬間、サイズ逆転でわっちの方が正義となった。揉め事は貧乳側が罰金、程度によっては死刑!
数々の悪行…特に巨乳に対するイメージダウンは許すまじ。いでよ叡智のバット!わっちが正義の鉄槌を下しちゃるっ!


鳶沢・成美
さあ、どうしましょうね
【人形行進】で部屋の中の備品を木製人形に変えて
D(デビル)を運び出しちゃいましょうか
ボスの言葉を無視してこっちのやりたい事をやらせてもらいます
じゃあ、いただいていきますね

Dが少なくなれば儀式の邪魔もできるし、陽動にもなりますからね

パイオツカイデーなチャンネーは好きだけど
微妙に好みから外れるんだよなーこのオブリビオン
でも一応拝んでおきましょう「ありがたやー」



 対峙する猟兵とオブリビオンの間に、張り詰めた空気が漂う。
 ある者は間合いをとり、ある者はユーベルコードの準備を整える。
 その最初の一手までの僅かな時間に、鳶沢・成美は討伐すべきオブリビオンと室内の様子を確認していた。

(廊下の長さに対して部屋が狭いというか、壁の厚みが異様なのは、つみあげられたD(デビル)のせいか。多少の事では動かなさそうだけど、思い切り衝撃を与えたらその周辺ぐらいはごそっと崩れ落ちそうだ)

 行うべき行動を考えつつも、その対象を外壁の通貨とするのは、通貨に埋もれる自殺行為になりそうだと結論付ける。
 成美は空間の中央、オブリビオンがさきほどまでついていた執務机と椅子に目を向ける。そして、この空間の物体にアプローチを仕掛けるのならば、あれが最適だろうと結論付けた。

(だいたい把握できたかな。あとは、最初に動いた人の行動にあわせていこう。……にしても、パイオツカイデーなチャンネーは好きだけど微妙に好みから外れるんだよなー。でも一応拝んでおこう)

 仲間の動きを待つ事にした成美が内心でユーステミシアの乳のみを拝んでいる最中に、波山・ヒクイが前に進み出た。

「ふーん……いいよ、キミのルールに従った上で勝ってやろうじゃん?」

 挑発的な言葉とともに、ヒクイは中央に向かう歩みを止めぬままユーベルコードを起動する!

「わっちに対して物足りない……なぁんて言葉、言わせんからな?!」

 ヒクイが起動したのは"あなたが望む御姿の術"!
 己の身体の一部を弱体化させる代わりに、相手の理想の姿を取るユーベルコード!
 今回は翼を対価とし、ヒクイの全身を"ユーステミシアが自分自身に望む"最高のものに変異させる!

「キミの望む姿がどんなのかは、一部位以外わっちには分かりません……が、やっぱりじゃな!散々巨乳を盾に暴利を貪ってきたヤツが、『ぺったんこになりてぇー』なんて望む訳無いもんな!」

 元々大きいヒクイの胸が、さらに実りを増やす!
 それだけではない!サイズアップした胸が邪魔にならぬほどの脅威的な身体能力も、ヒクイは相手の理想を写し取ることで手にしていた!

「……なっ?!」
「今この瞬間、サイズ逆転でわっちの方が正義となった。そうじゃな?!」

 ユーステミシアの返事はない。だが、胸部を見比べての苦虫をかみつぶしたような表情ばかりは隠せない!
 精神的な優位を、ヒクイは初手でもぎ取ることに成功したのだ!!

「揉め事は貧乳側が罰金、程度によっては死刑!数々の悪行……特に巨乳に対するイメージダウンは許すまじ。いでよ叡智のバット!わっちが正義の鉄槌を下しちゃるっ!」

 オブリビオンの理想の状態という、普通であれば到達できないほどの身体能力!
 この力を活かすため、ヒクイは手にしたバットを大きく振りかぶり……おもいきり、振り抜く!

「そりゃぁああああああああ!!!!!」
「うぐぁっ!!??」

 派手な打音とともに、オブリビオンの体が後方に吹っ飛び壁に激突する!
 そして打音以上に大きな音を立て、壁だったもの……積み上げられたD通貨の一部が部屋の中へと崩れ落ちる!
 一部とはいえ、当たり所が悪ければ大けがをしかねない質量が降り注ぐ――が、その質量が猟兵達を襲う前に、目立たぬように執務机付近に移動していた成美のユーベルコードが発動する!

「さあ、カーニバルの始まり始まり」

 一定の範囲内の無機物を木製の人形に変えて操作するユーベルコード、人形行進!
 机や椅子といった備品とともに、塊となっておちてきていたD通貨も木製人形へと変換する!

「猟兵の皆の事は避けて着地させて――っと」

 成美の思うままに操作された木製人形たちは、室内にいる猟兵達を傷つけないように床へと着地していく。
 そして着地が成功した人形から順に、崩れた周辺からどんどんD通貨を部屋の外へと運び出しはじめた!

「倒すのもそうだけど、回収もお仕事ですからね。どんどん運び出しちゃいましょうか」

 成美のその言葉に反応したのか、通貨の中に埋まる形になっていたユーステミシアがD通貨の中から飛びだし凄まじい勢いで成美に迫る!

「男ならばそもそも胸で判断する必要はない。死ね」

 突撃の勢いを乗せるかのように突きの動きを繰り出したオブリビオンの手には、いつのまにやら短棍が握られている!そして正確無比に成美の頭を狙った突きが――ヒクイの振ったバットによって、軌道を変えられる!

「埋もれてしまった以上は手が出せぬゆえ、退くしかないかと思っておったか――陽動感謝じゃぞ!」
「いえいえ。攻撃の方は、お願いしますね」
「任せるのじゃ!」

 ヒクイは続けてバットを振る!
 バットの重さに任せた二打目!きりかえすように軌道を変えた三打目!
 敵もされるがままを避けようと、金色の小さな盾で防御をはさむが勢いを殺しきれてはいない!

――ガシャン!!

 打撃と防御の応酬の最中、D通貨の壁が木製人形たちに崩される音が響いた。

「!?」

 己の成果を害すその音に思わず反応したユーステミシアのそばで、バットがこれまでよりも強く激しく空気を切り裂いた。

「よそ見、厳禁じゃっ!!」

 ヒクイの短い言葉と共に放たれる、二度目の全力のフルスイング!
 最初の一撃と変わらぬ威力がユーテミシアとD通貨の壁を再び襲う!!

 弾きとばされたオブリビオンは再び壁に叩きつけられ、木製人形が崩した音とは比較にならぬほどの音を立てて崩れ落ちたD通貨の中に、再度埋められた。

「……わっちらがこれ以上深追いするのは危険そうじゃな」
「うん。続けて戦うにしろ、ユーベルコードを別のにしたりと動きを変えた方がよさそうだ」
「うむ。  というわけじゃ。続きを頼むのじゃよ!」

 オブリビオンが埋まっている隙を突き、ヒクイと成美は待機していた猟兵と入れ替わるように部屋を出た。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルミナール・セピアネス
天秤に乗るほどだなんて思わず圧倒されちゃうけどどうしたものかな?

ここは一つ相手の気を引いて注意を逸らさせる作戦でいこうかな?
胸に絶対の自信があると見た。そこを突いてみるかな。

「なんてバストサイズなんだ……ボクも結構自信あったんだけど参ったこれは勝てない……」
「ねぇ良ければどうやったらそんなに立派な胸になるのか教えて欲しいなぁ」
と【言いくるめ】てみるさ。胸にこうプライド持ってそうだもんね。

無論これは注意を引くための一手。本命は建物の外に待機させてたボクのキャバリアバレットストーム!
【コード・フォローパートナー】でAI操作されたキャバリアで外から狙い撃ってもらうって作戦だよ!

(アドリブ大歓迎です)



 戦闘準備が整っていた猟兵の一人、ルミナール・セピアネスはユーベルコードを発動させると、オブリビオンの埋まっている方向へと慎重に歩みを進める。
 起動したサイバーアイで室内外の様子を探り、より適切な立ち位置を求めて部屋の中央部へと歩きつつ情報と状況を整理していたルミナールだったが、D通貨の崩れる音を耳にしてそちらに視線を向ける。

 硬貨のぶつかり合う音とともに立ち上がったユーステミシアの胸は、再び天秤に支えられている。
 先ほど戦いの途中で分解されて短棍と小さな金色の盾となっていたものを、再び天秤として組み直してから立ち上がったようだ。

 互いが互いの姿を視認した直後、ルミナールは己の目的を悟らせないようにすぐさま悲しげな声色で声を上げた。

「……なんてバストサイズなんだ……ボクも結構自信あったんだけど参ったこれは勝てない……」

 胸元でぎゅっと拳を握りしめるルミナール。
 対して、ユーステミシアは彼女がわかりやすい武器を用意していない事がひっかかったのか、攻撃型のユーベルコードを警戒して防御姿勢を取る。

 本命には気づかれていないみたい要だと判断したルミナールは、気を引くための演技を続ける事にした。
 ぴったりと体のラインを出すスーツが示す胸部の丸みを、恥ずかしい物を隠すように軽く抑える。
 コンプレックスを持っている、と言わんばかりの仕草と共に、ルミナールは敵に向けて声をかけた。

「ねぇ、良ければどうやったらそんなに立派な胸になるのか教えて欲しいなぁ?」
「お前もまた死刑の対象。知ったところでどうにもなるまい……が、折角だ。冥土の土産をくれてやろう」
「……うん。おねがい」
「乳の育成の最大要因は遺伝になるが、それ以外で重要なのは食生活とトレーニング、さらにストレッチだ。筋肉と靭帯という土台を育てねば乳腺と脂肪がよりよく乗った豊かな乳房は生み出せな――」

 突如、激しい爆発音と射撃音が、唐突に響きわたる!
 壁の外から内に向けて大量の火薬式銃器による狙撃が行われ、屋敷の自前の壁とD通貨の壁が吹き飛び、それらがユーステミシアに襲い掛かった!

「ナイスだよ、バレットストーム!」

 育乳の基礎知識を遮るように起こったその出来事の原因は、ルミナールが初手で発動していたユーベルコード……コード・フォローパートナー!
 ルミナールはユーベルコードで、屋敷の外に待機させていたクロムキャバリアのバレットストームに内部情報を送り続けていた!
 その上で、オブリビオンの注意を引き、攻撃が通るタイミングを見計らって狙撃命令を出したのだ!

「折角教えてくれてたけど、ゴメンね!ボクはまだ死んじゃう気は無いから、冥土の土産は拒否らせてもらうよ!」

 オブリビオンに十分なダメージを与えたと判断したルミナールは軽く詫びると、バレットストームのあけた風穴から屋敷の外へ脱出していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

緋神・美麗
絡み・アドリブ歓迎

さて、黒幕の登場ね。なるほど、本当にただただ無駄にでかいわね。もうただの駄肉よね、それ。まぁさっさと倒して派手に豪遊しましょうか。

「そんな駄肉二つも抱えてたら避けれるものも避けられないでしょ」
見切り・野生の勘・第六感・学習力・戦闘知識で相手の行動を先読みし、フェイント・誘導弾で命中補正、二回攻撃・鎧無視攻撃・気合い・力溜め・限界突破・覇気・捨て身の一撃でダメージ補正を掛けた乾坤一擲の超巨大電磁砲を叩き込む



 室内に残っていた猟兵、緋神・美麗は衝撃で崩れて床を覆うD通貨の上に立ち、足場としての感触を確かめる。
 行儀のいい行いでないことはわかっているが、美麗は勝負を仕掛けるためにこれを利用する事にした。

「他の皆がここまでやってくれたんだもの。さっさと倒して派手に豪遊しましょうか」

 崩れたD通貨の中に点在する小山の一つからユーステミシアが這い出してきた。その目は、今まで以上に攻撃的で余裕のない色を滲ませている。
 最初に与えられた打撃による内部への痛みの蓄積、砲撃による外傷……そして文字通り積み上げてきた成果が崩れ、失われている現実。
 猟兵の取った行動のすべてが、ユーステミシアを心身ともに追い詰めていた。

「……国王といえども乳と法の下にある。いわんや、猟兵。貴様らもだ」

 攻撃性に満ちた目をしながらも、天秤で胸を支えている事に気づいた美麗は、それが強化型のユーベルコードであると見抜いてユーステミシアに言葉を投げる。

「改めてみると……なるほど、本当にただただ無駄にでかいわね。もうただの駄肉よね、それ」

 軽い挑発の言葉。しかし、ユーステミシアはそれに強く反応する。

「持たぬ者が、私を侮辱する気かっ?!」

 彼女の焦りには、これまでの猟兵から受けた胸部に対する優越性の侵害も多大に含まれている。
 故にそれをつつく美麗の言動に思わず反応してしまったのだが……落ち着けばよかったと思うも後の祭り。ユーステミシアは、強化に必要な天秤の均衡が、己の動きのせいで崩れたことに気づき顔色を悪くする!

「そんな不安定な駄肉を二つも抱えてたら……避けれるものも、避けられないでしょ!」

 こじ広げた精神の隙を突くべく、美麗が駆ける!
 さらに、雷を迸らせるライトニングセイバーを大きく振り上げて見せる!!

「そのような、大ぶりな動きなどっ!!」

 十分な天秤による強化時間を稼げていないままでも対応可能だと侮ったのか、ユーステミシアは天秤を分解し反撃を狙って短棍での突きを繰り出す……が、美麗の行動は反撃を誘発するためのフェイント!
 突きが届くよりわずかに早く、美麗はシールドビットを割り込ませてそれを防ぐ!

「なっ?!」

 攻撃を防がれたユーステミシアは、反動と不安定な足場に対応できず大きく姿勢を崩し――シールドビットの奥で本命の動きに素早く移行する美麗の姿を目撃する。

 雷を圧縮したライトニングセイバーで足元を薙ぎ払い、周辺にあるだけの硬貨を引き寄せながら溶かして一塊に仕立て上げる!
 そうして出来上がった物をサイキックエナジーで宙に留め、美麗は己の限界まで力を込めてユーベルコードを発動させた!

「行くわよ!超巨大電磁砲っ!!  チャージ、セット   いっせーのっ!!」
 
 即興で作り上げた巨大な金属塊が、ユーベルコードの力を受けて電磁加速して射出される!!
 姿勢を崩し、無防備な状態を晒さざるを得なかったユーステミシアは、全身でそれを受け入れるしかない!!

「――――!!」

 狂いなく、明確に金属塊がオブリビオンの身体を捉える!
 圧倒的な破壊音が響き渡り、声にならない断末魔を上げるオブリビオンはその存在を打ち砕かれていった。

「……よし、一仕事おわったわね」

 攻撃の衝撃で床に開いた大穴の先を覗いて、美麗が一息つく。
 先ほどまで戦っていた気配はもう感じられなかった。

 かくして悪徳議員ユーステミシアによる儀式魔術の危機を回避した猟兵達は、残ったD通貨を回収して屋敷を後にしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『魔界のいたずら地獄』

POW   :    正々堂々えげつないいたずらで優勝を狙う

SPD   :    他の参加者と組んで賢くワルく優勝を狙う

WIZ   :    観客席からいたずら地獄を眺め、訳知り顔で解説する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達がオブリビオンを倒したのと同日。
 オブリビオンが猛威を振るっていた国の首都にある闘技場に、猟兵達は再召喚されていた。

 目的は、イタズラの腕を競い合う『いたずら地獄』。
 ちなみに今回の開催目的は、この国の悪魔たちを元気づけるためである。

 オブリビオンが流通するD(デビル)をあくどく吸い上げ続けていたせいで、通貨の価値は低いとはいえこの国には閉塞感があった。
 特に、何をするにもDを吸い上げ続けられることになる男性や胸の豊かではない女性の中には、別の国への移住を検討している者も少なくはなかった。

 無論、この国の魔王や他の議員はそれをよしとはしていない。
 だが、オブリビオンは自分の配下を大量に召喚して票数を操作していたので法律の成立阻止や削除がままならず、悪魔たちはトンチキ乳法律各種を運用せざるを得ない状況にあったのだ。

 そんな中で行われる今回の『いたずら地獄』は、この日、闘技場と周辺であれば、主に胸まわりの法律を無視してよいという特例で国が企画したものだ。
 つまるところ、胸囲の格差を気にせずにぎやかに過ごしてもらうための楽しいお祭りという面が強いのだ。

 それ故か、猟兵達が闘技場についた時には既に悪魔たちでにぎわっていた。


「参加希望者は、こちらでエントリーをお願いしますー!備品の貸し出しもおこなっておりますー!」

「らっしゃい!観戦のおともに一つどうだい?!」

「デビル工務店出張所っす!イタズラの仕掛けのご依頼あればぜひどうぞっす!!」

「ルール解説パンフレットあるよー!今回はエントリーした人にバッジが配られて、エントリー順でブロックわけして、制限時間内に一番他の参加者のバッジを奪えた人が次の試合に進出っていうルールだよー!見どころ知っておきたいなら一つあるといいよー!」


 さまざまな声が届く中、猟兵達は大量のDをばらまくために思い思いの方向へと向かって行った。
鳶沢・成美
うーん、何やっていいかわからん。いっその事、文字通りバラまきますか
【日曜大工ノ術】で木製投石器をつくって適当に包んだD(デビル)を飛ばしちゃいましょう
空からお金が降ってくるっていうのも、イタズラといえばイタズラでしょうし
お金が降ってくるのは危険が危ないけど、この世界の悪魔さんたちは頑丈だし大丈夫……だと思う
胸まわりの法律を作ったオブリビオンが居なくなった事を書いたビラもついでにまいておけば
この国の魔王さんや他の議員さんたちが、後はなんかいい感じにしてくれるでしょう……たぶん


波山・ヒクイ
ふふふ…さて、やるか…豪遊!
たんまりとせしめたDで急遽VIP席を用意!お付きの人も雇っちゃったりしてー
あーキミ良いね?うちわの扇ぎ方が上手い!チップたんまり弾んじゃう!

…キマイラフューチャーって大体コンコンコンで手に入っちゃうから、お金もこれほど存在感無くてさ。
あっちでこんな事したってそんなにウケないしねー。いやーいいね羨望の視線!1度やってみたかった…ん?
あの競技参加者、とてもウケそうな感じじゃないけど…こう、なんか目がギラギラしててさぁ、まるで在りし日のわっちみたい…
……ちょっと、あるんでしょ?誰が優勝するかで賭ける賭博。
…あの11番の子にDを全ツッパ。全部賭ける!オッズ?勝率?しらねー!


緋神・美麗
絡み・アドリブ歓迎

とりあえずあぶく銭を大量に手に入れたことだし派手に使ってしまいましょうか。

見晴らしのいい観客席を確保し飲み物と食べ物を十分に用意して、いたずら地獄を観戦して楽しむ。
「偶にはこういうバカ騒ぎを見るのも楽しいわねぇ。」



「ちょーっといいかのぅ?」
「はい、いらっしゃいっす!!デビル工務店出張所に御用っすか?!」

 威勢のいい接客に対して、悪魔たちが寄りついていないデビル工務店出張所。
 ユーベルコードを使用するため仕事は早いが、複数人の職人を動員して大型の仕掛けを作るような仕掛けを考える悪魔は少ない。ついでに言えば民間のD(デビル)保有が乳法律のせいでガタ落ちの現状で、少々お高めの値段設定である工務店出張所を挨拶以外に覗く者などいない。
 その状況をわかっているからこそ、威勢のいい受付も、今日のために待機している職人たちも『仕事があればラッキーだけど早々に店じまいして観客の一人になるのだろうなあ』と思っていた。

 が、そうはならなかった。
 この店は、猟兵にバッチリと目を付けられたのである。

「いっちばん闘技場の中が良く見える場所に、安全かつ座り心地が最高のVIP席が欲しいんじゃよね!お金なら山ほどあるから、今すぐ作ってくれんかの?」

 波山・ヒクイはそう言うと、受付机においたトランクを開け、最も額面の高いD紙幣が並んでいるのを見せる。

「前金じゃ。実際に座った時の見晴と座り心地がよければ、もっと払ってあげちゃうのじゃよ」
「あ、はいっす!確認させてもらうっすね~」

 明るく対応した受付は適当に手に取った札束の中にカサ増しの紙が無い事で首をかしげ、他の札束もそうらしいというあたりで困惑顔になり、トランクにも札束にもカサ増しの仕掛けが何もないとわかると控えていた職人たちに向けて声を上げた。

「みんなーーーー!!!すんげぇワルのお姉さんからお仕事っす!!ほ、本物っす!!この人、ホンモノっすよ!!休憩モード終了っす!!お仕事開始ーーー!!」

 基本的に、悪魔はカネをそこまで重視していない。していないが、それ故に大量にカネを集められるのはとんでもない悪事を行える者ぐらいだと認識されている。
 つまり、これだけのDをかき集めて思い切りよく支払えるヒクイは、超スゴい悪党だと認識されたのだ!

「わっちの格を周りに見せつけるための、最高の仕事を頼むのじゃよ♪」
「勿論っす!ここにいる一同、しっかりお手伝いさせていただくっすよ!!」


「――と、いうことがあっての」
「なるほどねぇ……明らかに工事中の場所があってどうしたのかと思ったら、そういう事だったのね」

 闘技場の様子が良く見える絶好の場所に作られつつある、VIP席のそばで猟兵達が話し込む。
 良い席を取ろうという思惑がかちあい、ヒクイのほかにも緋神・美麗が近い場所に目をつけていたのだった。

「キミはここにくるまではどんな感じじゃったの?」
「まずは試合時間の予定を知るためにパンフレットを買って、それで調べた予定をもとに食べ物や飲み物を丁度いい時間に持ってきてもらう事にしたの。で、いろんな出店に顔を出して交渉……というよりはDを積み上げていた感じよ」

 試合と試合の合間や、試合の開始直後に出来たての料理を届けさせるという注文を、美麗は各出店につけてきていた。
 少々無茶を言ってしまってはいないか?と、当初は美麗も心配した。
 だが、せっかくだからとやってみた多少の無茶をカネを積んで黙らせるムーヴは悪魔たちから尊敬の視線をばっちり集め、むしろ喜ばれていた。

「ゆっくり観戦するためにっていう思い付きだったけど……思っていた以上に尊敬されちゃったから、後に引けなくなっちゃってイロイロな店にそういう注文をしてきちゃったわ」
「なるほど、わっちも今のうちに出店を回って……いや、お付き雇ってその子に買い物行かせちゃうか!」

 ノリノリのヒクイに、美麗は少し唇を尖らせる。

「思い切りがいいのはいいけど……いいなー、VIP席。わたしも特等席確保したのに、近くにVIP席があるとちょっと味気なく感じちゃうかも」
「作っちゃう?もう場所確保してるんじゃろ?だったらわっちの席みたく広さ決めるのでかかる時間無いし、ここに職人たちもいるし、スグじゃよ?」
「そうね、作っちゃおっかな」
「オッケー! 職人の皆~!この子の席もついでに一つ!」

 さらっというヒクイに、周囲の職人たちが「えっ」と驚きの表情を見せる。

「食べ物や飲み物が置けるようにサイドテーブルを用意してね。もう注文していて、出来たてを持ってきてもらう手はずになってるからそこは絶対はずしちゃダメよ?……あ、追加料金いるわよね?これでどう?」

 そう言って美麗が提示するのは、ヒクイがデビル工務店出張所に最初に提示した額に迫る大金。
 職人たちは震えあがり、その申し出に首をブンブンと縦に振った。


 客席側の猟兵達が開始前から存在感を発揮する中、鳶沢・成美はいたずら地獄に参加者としてエントリーしていた。

「予選第1ブロックか……かなり前の方で戦う事になりましたね」

 何をすべきかうまく思いつかなかった成美は、とてもシンプルなイタズラ一本で戦う事を決めていた。
 そのために使う木材と、大きな布で軽く包んだ"弾"を大きめの手押し車に乗せ、控室で自分の出番が来るのを待つ。

(悪魔たちは……紳士的ですね。本当に素直というか、心優しい人達ばかりなんでしょうね)

 準備の内容があきらかに目立つ成美は、待機中からちょっかいを出される事も覚悟していた……が、周囲にいる悪魔は見事なまでに己の道具や、悪戯をうまくできるかの緊張に向けて意識が向いていた。

(この様子なら、中にしこんだものも"イタズラの一環"としてすぐさま問い詰められることは無いでしょうね。いい具合に後々、この国のえらい方々が何とかしてくれるでしょう……たぶん)

「第1ブロックの選手、入場準備をお願いします!」

 思考を遮るように、係員の声が響く。
 ほどなく、放送による選手入場アナウンスとともに成美が戦う第一ブロックの選手が入場を果たした。

『はたして、第一ブロック8名の中で、第2回戦への切符を手に入れるのは誰なのか――試合、開始ッ!!』

 実況も兼ねている熱量の高いアナウンサーが開始を宣言する!
 それにあわせて悪魔たちが一斉に動き、そのうちの一人が会場全体にスパークを発生させるユーベルコードで猫だまし的悪戯を仕掛ける!

「おっと、危なっ――!!」

 電撃をやり過ごす心得を持っていた成美は無事に初撃を耐えると、手押し車のかげに隠れて目立たないように息をひそめた。

「無茶するなあ……けど、これがいけるなら僕のやつも大丈夫でしょうね」


「なるほど。皆頑丈で怪我もないから、光と音で驚かせるドッキリイタズラの範疇に収まっちゃうのね」

 感心した声を漏らすのは、急遽つくられたVIP席でドリンクと軽食を楽しむ美麗である。
 初手からカオスをひき起こすイタズラが発動したが、会場全体を良く見る事の出来る席と、美麗の情報収集力が合わされば十分に状況を楽しむことができた。

「偶にはこういうバカ騒ぎを見るのも楽しいわねぇ。そしてあれは……やってるわね」

 会場内でいたずら地獄に参加している面々からの注意が向いていない成美だが、上から見下ろす形の美麗はしっかりと気付いていた。
 そもそも、ここに来る前も戦闘中に"やってる"のを見ているので、美麗からすれば見つけやすい状態だったというのもある。

「あの木、どうするのかしら――あ、動いた」


「我、大工也、我、名工也  日曜大工ノ術(サンデーカーペンター)!!」

 悪魔たちのいたずらによる戦いの中心が、自分の位置からそれなりに離れた瞬間を見極めて成美はユーベルコードを発動!
 手押し車に乗せていた木材から、巨大投石器を作り上げる!

『お、おおーっと!!存在感を消していた7番!ここで武器を作り出したぁ!!』

 突如現れた投石器と、実況の声で悪魔たちの視線が成美に向く!
 だが、即座に成美を邪魔できる者はいない!用意していた"弾"を、成美は思い切り空へと投げ飛ばす!!

『7番、何かを発射――こ、これは!! D(デビル)です!!大量のD硬貨と紙が宙を舞っています!!』

 布で包んだだけの大量のDが、放り投げられたことで布が取れ空中で飛散!
 大量の硬貨は灯りを受けて、最初のスパークとはまた違う輝きを会場中に魅せつける!

『これは芸術点が高ぁーーい!痛いけど良いモノだから怒るに怒れない!!イタズラとしての芸術度が高い一手です!』

 硬貨は輝きながら観客席と闘技場内に降り注ぎ、共に放たれた紙は闘技場内では悪魔たちのイタズラに巻き込まれて燃えていく。

「うーん……燃えちゃうか。でも、観客席の方には届いているみたいだからよしとしましょうか」

 思いつきをそのまま形にしたイタズラは大成功。
 成美は落ちたDを踏むのをためらった悪魔たちのバッジをガンガン狩りとっていくことで無事に一回戦を突破した。


 一方、観客席側。

「こ、これは――!!」

 次のブロックの試合を行うための清掃時間に入った途端、男性の驚く声が美麗の耳に届いた。
 ヒクイも、声の主が慌てて席を立った事が気になって臨時付き人に声をかける。

「あ、キミキミ、さっきの人が驚いてた紙もってきてー   お、行動が早い!うちわであおぐのも上手だし、チップたんまり弾んじゃう!  どれどれ~?ふんふん……」
「何が書いてあるの?」

 ビラの内容を読み進めてうなづくヒクイに、美麗が尋ねた。

「あの乳議員が居なくなったよ~って書いてあるのじゃ。そういやこの国の皆さん、今日は完全にコッチに注目してるから、奴の消滅を知らなくてもおかしくないのじゃな」
「あら、じゃあ今出て行った人ってもしかしてお偉いさんなのかもしれないわね。他の人たちは焦ってないから、びっくり情報書いたイタズラって思われてそうね」

 そうしてどこか楽しげに語らう二人の姿に、気付けば周囲からの視線が集中していた。
 会話内容までは聞きとれていないはずだが、とかく派手な事をしているのでどうしても気になるようだ。

「……結構見られているわね。席以外そこまで派手にしてないつもりだったけど」
「そうじゃな!」
「あなたの居心地が悪かったら人払いしてもいいかなと思ったけど、楽しそうね?」

 心配していた美麗に対して、ヒクイは楽しげな笑みのまま返事をする。

「めっちゃ楽しい!……キマイラフューチャーって大体コンコンコンで手に入っちゃうから、お金もこれほど存在感無くてさ。あっちでこんな事したってそんなにウケないしねー。いやーいいね羨望の視線!1度やってみたかった……ん?」

 気づけば清掃が終わり、第2ブロックの選手が入場してきていた。
 選手たちの様子を見ていたヒクイは、思わず前のめりになる。

「(あの競技参加者、とてもウケそうな感じじゃないけど……こう、なんか目がギラギラしててさぁ、まるで在りし日のわっちみたい)……付き人くーん?素直に答えてほしいんじゃけど……ちょっと、あるんでしょ?誰が優勝するかで賭ける賭博」

 付き人はヒクイの言葉にうなづいた――ワルの遊戯、賭博。この世界でも堂々と賭博が許されている場所は限られており、闘技場は公式には賭博が許可されているわけではない。
 だがデビルキング法をまもろうとする悪魔たちは、非公式な賭けをワルの行動として受け入れているのである!

「よし、じゃあ……あの11番の子にDを全ツッパ!」
「ねぇ、そういうのっていろいろ情報調べてからやるんじゃないの?」

 美麗の少し心配そうな声を、ヒクイは思い切り振りきるように宣言する。

「ピンときた。理由はそれで十分じゃ!わっちは手持ちのDを全部賭ける!オッズ?勝率?しらねー!」

 ただでさえ注目を浴びる振る舞いをしているヒクイのその宣言に、周囲でこっそり賭けに乗っていた悪魔たちがざわつく。
 資金が無かった悪魔たちにも、先ほどの成美の"イタズラ"で臨時収入が入っている――この賭博の波に乗るなら、今なのだ!

「わたしは乗らないけど……この熱狂もまた、見てて面白いバカ騒ぎの一つかもね」

 試合そのものと、それに対する観客の反応。
 全てをのんびり楽しむと決め込んでいた美麗は、どんどんと湧き上がる熱狂を味わうように目を細めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイカ・ヴァンスタイン
アドリブ・協力歓迎

「イタズラと聞いてやってきましたの!」
いやいや、たのしそーなの。皆の困ってる笑顔がそーぞーできちゃうの。
POWで勝ちに行きますの。

武器の人形達やUCのお友達たちで攪乱しながらバッジを奪ってやるの
イタズラなんですから相手の靴紐をほどいて靴同士で結んでおいたり
胸を主張するよーな人には、『胸板潰しさらし巻き五重の刑』にしてやるの


ルミナール・セピアネス
WIZで参加

いたずら地獄かぁ。私はパスして観客席で高みの見物といこうかな。
折角Dがほらたんまりあるわけだしね。こいつをばら撒かないといけないみたいだし。
そんでもってここは一つ賞金稼ぎ時代の憧れの一つでもやっちゃおうかな?

「皆盛り上がってる?ここらでボクからサプライズプレゼント!おだいじんだ!お代は気にせずドンドン飲み食いしてくれたまえ!」

そうおだいじん、お大尽だ。腕利きの賞金稼ぎが知名度や名声を上げるために酒場にやってきてはこうやって大盤振る舞いしたなんて話聞いてたからね。ボクも一度やってみたかったんだよねー
流石に皆の分払いきれないってことは無いと思うけど……大丈夫だよね?

(アドリブ大歓迎)



 第5ブロックの戦いに備えて控室に集まる参加者の中に、一際小柄な可愛らしいフェアリーがいた。

「お?お嬢ちゃん一人で参加か?危なくないか?」

 ライバルを潰しておくというワル行動を言い訳にした心配をしてくる悪魔の一人に、猟兵の一人であるレイカ・ヴァンスタインは余裕の表情で胸を張って返した。

「ウチは、イタズラと聞いてやってきましたの!」

 猟兵達の回収したカネのばら撒き、という点の策はレイカには無い。
 だが、いたずら地獄が盛り上がれば、それに伴って気が大きくなり流通するD(デビル)の総量が増える。
 つまり、レイカが活躍してみんなを楽しませれば楽しませるほど、猟兵が周囲にDを撒く機会も増えるのだ!

「いやいや、たのしそーなの。皆の困ってる笑顔がそーぞーできちゃうの!」
「へぇ、そいつぁ楽しみだ」

 余裕そうな言葉と裏腹に安堵の表情を浮かべる悪魔を見て、レイカはなんとなく彼らの気質を察する。

(本質が真面目とか優しいって本当みたい……だったら尚更、ホンモノのイタズラ心を出場者にも観客にも見せてあげなくっちゃなの!)

 レイカが気合いを入れたところで、入場が促される。
 これまでの試合とそれで盛り上がった賭博で暖まっていた観客席から、次の戦いに期待する歓声が響いていた。


「おっと、この回は猟兵が参加しているんだね」

 VIP席が作られているのとは対岸側の良く見える位置に陣取っていたルミナール・セピアネスは、入場したフェアリーから感じる力量をもって猟兵だと判断する。

「猟兵の腕前と発想なら、勝つのは確実かな?一瞬で勝負がつくにしても、長時間魅せるにしても盛り上がりそうだね……まわりの様子は……?」

 ルミナールは周囲の様子を伺う。
 対岸側から加熱しだした賭けの流れは、ルミナールのいる方にまで広がってきており、彼女の近くでも第5ブロックの勝利予想や、誰にどれだけ賭けるかの声があがっている。

「猟兵の子……レイカさんに関する予想もちょくちょくあるみたいだね。じゃあ、この試合が終わってからかな」

 レイカは考えていたDの使用タイミングを、この試合の直後と決める。
 その布石として、彼女はわかりやすく声を上げた。

「ボクはあの37番の妖精さんを応援するよ!」
『白熱する試合を第5ブロックも見せてくれ!それでは――試合、開始ッ!!』

 丁度良い事に、ルミナールの声の直後に開始の合図が叫ばれる!

(よし、これで後は本当に勝ってくれれば……!)

 遠慮なくDを振る舞える状況となることを願って、ルミナールは試合を見守った。


 初手に大型ユーベルコードによるドッキリ系イタズラが展開される中、これまでの試合で傾向を掴んでいた大半の悪魔は気合でそれを乗り切る!
 レイカも軽い結界術で爆音の波を乗り切って、己のユーベルコードを発動する!

「さぁみんなでお手伝いしましょうなの――そう、この世界のみんなに、本気のイタズラをおしえてあげるお手伝いを!」

 レイカの詠唱に合わせて召喚される、戦闘力のない多数の妖精達!
 加えて、レイカの武器である和装人形たちが悪魔たちにイタズラのため襲いかかる!

『おーっと37番!大量の手数を召喚!! そして……おおっと!対抗する面々の結べるところを片っ端から結んでいく!』

 近くにいた参加者どうしの服の裾と裾を結び、靴紐を解いたのちに左右の靴を一つにするように結び、武器と髪を結ぶ!
 体格を生かした不意打ち!あちこちで転倒が発生!その隙にバッジを奪っていくレイカ!

「何よ!全員ぺったんこのクセして!!」
「そんなふうに胸を主張するよーな人には……『胸板潰しさらし巻き五重の刑』なのっ!」

 胸の大きい悪魔がままならない状況にあげた苛立ちの声を、レイカは聞き逃さなかった。
 散らばっていた妖精達が胸を主張する悪魔の元にワッと集まり、その胸元をぎっちぎちにさらしを巻いて、しめあげる!

「きゃぁあああっ??!!」
「キッチリ反省するがいいの!」

 そうして、小柄さを活かして導線を遮るように飛び出す妖精や人形の素早いイタズラの数々でレイカは参加者を圧倒していった。
 悪魔たちは驚き、困惑し――最終的には、降参の意を込めた笑みを浮かべていた。


『第5ブロック勝者は37番!!小さい身体を活かした撹乱と素早いイタズラの数々で堂々の勝利だァーーー!!』

 観客席も大いに盛り上がり、あちこちで「勝った!」「負けた!」の声がしている。
 この機を逃さぬように、ルミナールは思い切り息を吸い込んで、周囲に聞かせるために声を張り上げる!

「皆、盛り上がってる?ここらでボクからサプライズプレゼント!おだいじんだ!お代は気にせずドンドン飲み食いしてくれたまえ!」

 お大尽――金持ちのように振る舞う事を指す。たとえば、腕利きの賞金稼ぎが、己の成果を皆に振る舞って知名度や名声を知らしめるように大盤振る舞いする話などがある。
 ルミナールにとってそのように振る舞うという話は、賞金稼ぎ時代の憧れの一つ。
 出来る機会でおまけに役立つのならば、やらない理由は無い!

「なぁに"勝って"気分がいいし、思いっきり使いたい気分なんだ!欲しい物がある人はジャンジャン頼んで、売り子はボクに請求を持って来る、それだけでいいのさ!」

 ルミナールの勝利は、オブリビオンに勝ったことを指している。
 が、この場にいる面々は賭博の事だと思い込む。賭け事という遊びの延長だと悪魔たちに認識させることとなり、彼らの心理的な抵抗をグッと引き下げる事となった。

「もちろん、ボクも美味しそうなものはどんどん食べるし飲むし――それをみんなで一緒にやれば、このあとの試合や決勝も楽しく見られるだろう? さぁ、遠慮はナシだよ!勝敗関係なく、皆で楽しもうじゃないか!」

 あちこちから、観客席へと売り込みに来ていた者達に注文の声が上がりだした。
 悔しい顔もにこやかになり、楽しい顔はもっと楽しげになり、売り子たちの嬉しい悲鳴があちこちでおこっては、ルミナールの所に料金の徴収に来る。

(流石に皆の分払いきれないってことは無いと思うけど……大丈夫だよね?)

 想像以上に盛り上がってしまった様子を見て少し心配になるルミナールだったが、気を使わせないように顔には出さず、求められるままにどんどんDを支払っていった。


 かくして猟兵達の参加したお祭りは、景気よく、盛大に、過去一番の盛り上がりを見せた。
 世界を壊すために悪魔たちを搾取していた存在はいなくなり、憂鬱な空気も祭りの場で猟兵達が思い切り開けた風穴で吹き飛んだ。
 明日からのこの国の日常はきっと、より素敵なものになっていくことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月21日


挿絵イラスト