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Happy New Burn!

#アポカリプスヘル #ヴォーテックス・シティ

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#アポカリプスヘル
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#ヴォーテックス・シティ


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「「ハッピーニューイヤー!」」
「ヒャッハー!!」
 ギラギラと目が眩むほど煌びやかな、超・超・巨大都市『ヴォーテックス・シティ』では花火が上がり、広場には食べきれないほどの豪華な食事が並ぶ。
「飲め飲め! 吐くまで飲め!」
「俺の酒が飲めねえってのか!? ああん?」
 広場を埋め尽くすほどに集まった荒くれ者のレイダー達は、好き放題に肉を喰らい酒を飲み干す。それは獣の群れのような様だった。
 人々の住まう拠点は飢えと寒さと戦っているというのに、ヴォーテックス・シティではその富を見せびらかすように盛大に新年の祭りが行われていた。
「さぁて、お待ちかね! 新年の祭りの時間だ! ニンゲン狩りゲームを開始するぞ!!」
 マイクを手にした司会が集まったレイダー達を盛り上げるようにハイテンションで喋り出す。
「誰が一番多く人間を狩れるか競争だーー! 一番人間どもを狩ったヤツは今年一番の幸せもの! ハッピーレイダーになれるぞ!!」
「ヒャッハー!!」
「人間を狩りまくってハッピー!!」
「へへっ、俺の新調したマシンが唸りを上げるぜ!」
 異様な熱気で会場が盛り上がり、レイダー達は自慢のトゲトゲの付いたバギーや、巨大な砲塔を積んだ戦車など、血と油で汚れた多くの犠牲者を生んで来たマシンを嗤いながら見せ合う。場の空気が暖まると、司会は会場の中で唯一ゆったりとした人のいない一角で、椅子に座っている白い軍服の少年に声をかけた。
「キング、始めてもよろしいですか?」
「ああ、構わない。上からの命だ。派手にやれ」
 鷹揚にレイダー・キング『クリッサ・マティア』が頷く。その目は人もレイダーも等しく手駒としか見ていない冷たいものだった。
「よーし! それじゃあ野郎ども準備はいいか!? 今年のハッピーレイダーを目指して人間を狩りまくれ!! ゲームスタート!!!」
 司会の合図と共にゴーーーンッと鐘が打ち鳴らされ、凶悪なマシンに飛び乗ったレイダー達が一斉に飛び出した。

●グリモアベース
「新年あけましておめでとう」
 ギラギラと輝く都市を映すグリモアベースで、バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が猟兵と新年の挨拶を交わす。
「新年早々なのだが、騒ぎを起こす輩はどこにでもいる。アポカリプスヘルで人間狩りが祭りとして行われるようだ」
 目出度い新年からの事件に申し訳なさそうにバルモアが眉間にしわを寄せた。
「どうやらヴォーテックス一族が大規模な人間狩りを命じているようだ。このままでは大勢の犠牲者が出てしまう」
 お祭り仕立てにしてより多くのレイダーを参加させて、数多くの人間を狩ろうとしている。

「そこで諸君には、祭りに乗じてレイダーとしてヴォーテックス・シティに潜入し、集まったレイダー達のマシンに爆弾を仕掛けてもらう」
 バルモアが大量に用意した手の平サイズの爆弾の見本をテーブルに置く。
「これを大量に仕掛け、一斉に起爆して大爆発を起こしレイダーどもを混乱させてもらいたい。その混乱に乗じて人間狩りの指揮官であるレイダー・キングを暗殺するのが今回の任務だ」
 敵が集まっているのはヴォーテックス・シティのど真ん中だ。まともに攻め込めば袋叩きとなってしまう。爆発の混乱に乗じて短期決戦で仕留めなくてはならない。
「レイダー・キングを暗殺したならば、早急にシティを脱出しなくてならない。混乱が収まればレイダー達はキングを殺した諸君を狩ろうとする。その追撃から逃れシティの出口まで逃走するのだ」
 あらかじめ逃走用のマシンを用意し、それに乗って都市内を激走し、邪魔な敵を蹴散らして出口まで逃げることとなる。

「新年から迷惑な話だが、オブリビオンに道理を説いても仕方がない」
 やれやれと溜息をついたバルモアは、レイダー達がひしめくお祭り会場へとゲートを開いた。
「祭りだというのなら、精々派手に爆発させてやれ」


天木一
 あけましておめでとうございます。天木一です。今年もよろしくお願いします。
 新年最初の依頼はアポカリプスヘルでレイダーの祭りに紛れ込み、爆発炎上! 暗殺作戦となります!

 第一章はレイダーのフリをして、新年の祭りで飲み食いしているレイダー達に紛れ、無数にあるマシンに爆弾を仕掛けることになります。

 第二章は仕掛けた爆弾を爆発させ、その混乱に乗じてレイダー・キングを暗殺することになります。素早く倒さなくてはレイダー達が加勢に現れます。

 第三章ではシティからの脱出を行います。用意しておいた好みのマシンに乗り、敵の追撃を振り切ったり強引に突破して出口を目指します。敵は無限に湧くので全滅させることはできません。

 複数人で参加する方は最初にグループ名などをご記入ください。
 プレイングの締め切り日などは決まり次第マスターページにて。
 新年をドーンッとド派手な大爆発で初めてみましょう!
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第1章 冒険 『人狩りマシンに爆弾を』

POW   :    喧嘩騒ぎを起こすなどして注意をそらしている隙に、他の誰かに爆弾を仕掛けてもらう

SPD   :    レイダー達に見つからないように隠密行動を行い、秘密裏に爆弾を仕掛ける

WIZ   :    怪しまれないように他のレイダー達から情報を得て、効率的に爆弾を仕掛ける

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●レイダーの正月祭り
「こっちにも酒を寄越せ!」
「こっちは肉だ!!」
 賑やかな広場は正月の祭り会場となり、人を轢き殺したり撃ち殺せる凶悪な武装が施された殺人マシンから降りたレイダー達が飲み食いを楽しんでいる。
「今日は人間狩りだってよ」
「へへっ正月早々楽しめそうじゃねえかっ」
 嗤いながらレイダーは酒を浴びるほど飲み、肉を噛み千切る。それらの物資も全て人々が暮らす拠点から奪い獲ってきたものだった。
「どっちがたくさん狩れるか賭けようぜ」
「乗った! じゃあ負けた方が奴隷100でどうだ」
「いいぜ! 派手に暴れてやる!」
 レイダーからすれば人など物と同じ。無くなれば奪って来ればいいのだ。生かすも殺すも気分次第。人狩りなど祭りの余興でしかない。

 そんな怒りを覚えるような会話が飛び交うレイダー達の祭りに、その仲間の振りをして怒りを秘めた猟兵が紛れ込む。
 狙いは無防備に放置されているバギーやバイクに戦車と多種多様な武装マシン群。すぐにもっと祭りを派手にしてやると爆弾を仕掛けに動き出した。
グロリア・グルッグ
作戦内容は潜入して破壊工作。
なるほど、つまりはソーシャルハッキングの一環ですね。
華麗なる魔界盗賊に目覚めた私にとってはイージーなミッションですよ。
ふふふ、お祭りを盛り上げる裏方としてサプライズに徹しましょう!

まずはレイダーの行動を観察して目線などの行動情報を入手。
しかる後に電脳魔術で計算し、電脳ゴーグルをかけて見つからないルートを表示しながらこっそりと通ります。
こういうのは下手にびびると裏目なので、度胸と覚悟を決めてささっと早業でこなすのが一番楽。

首尾よく爆弾を仕掛けたら手早く撤収。
車輛を盾にするようにレイダーの目線を遮り、騎兵走法で超低空を駆け抜けて離脱しましょう。

アドリブなどご自由に



●潜入ミッション
「作戦内容は潜入して破壊工作ですか」
 グロリア・グルッグ(はお金が好き・f00603)は作戦内容を確認して頷く。
「なるほど、つまりはソーシャルハッキングの一環ですね」
 それならば自分の得意分野だとグロリアは不敵に笑みを浮かべる。
「華麗なる魔界盗賊に目覚めた私にとってはイージーなミッションですよ。ふふふ、お祭りを盛り上げる裏方としてサプライズに徹しましょう!」
 派手にお祭りを盛り上げてみせようと、その為の準備に取り掛かる。
「まずは情報収集ですね」
 見つからないように騒がしいレイダー達のどんちゃん騒ぎを観察し、人の流れや地形を調べ上げる。
「かぁっ年明けの一杯はたまらねぇな!」
「オメェはいっつも飲んでるだろうが!」
 レイダー達はレイダーの集う大都市の内部で安心しきり、完全に油断して酒をかっくらっていた。
「人は多いですが、安全だと思って警戒は緩いようですね」
 それらのデータを元に電脳魔術で人目に付かないルートを計算し、グロリアは電脳ゴーグルをかけて立体的に進むべき道とタイミングを表示する。
「この程度の警戒では魔界盗賊の影も捉えることはできません」
 するりと音もなくグロリアは動き出し、堂々と道を進み出す。
「それでよぉ――」
「だから言っただろ、あいつのホラだって――」
 騒がしい雑音も情報として捉え、人の視界や意識の隙間を縫うように進む。敵地のど真ん中を度胸と覚悟で以って堂々と歩き、無造作に向きも位置もバラバラに停車しているバギーの群れに近づいた。

「やはりイージーなものです。後は爆弾を仕掛けるだけ――」
「……でよぉ」
「いいからオラ、さっさと酒を探せ」
 そこで酔っぱらった声が響く。それと同時にグロリアは車の陰に身を隠した。
「んー確か載せてたはず……あったあった! これだよ、この前に襲った拠点でいいワインがあったんだ!」
「たくっ、賭けの負けを酒で払うっつっといて酒を忘れるんだからよぉ」
「車に忘れてただけじゃねぇか、ほら、戻って飲もうぜ!」
 騒々しくレイダー達は血糊の付いた酒瓶を手に戻っていった。
「正月早々奪ったお酒で酒盛りですか、レイダーというのは本当に度し難い生き物ですね」
 姿を現したグロリアの声に鋭さが混じる。それでも冷静に行動を再開し、素早く爆弾を並ぶバギーに仕掛けていき、先のレイダーのバギーには一つ追加で爆弾を設置する。そして目的を達するとすぐさま離脱する。
「今のうちに楽しんでおくことです。すぐに酔いを醒ましてあげましょう」
 グロリアはユーベルコード『騎兵走法』を発動して宙を駆け、車輛や建物を盾にしてレイダー達の目線を遮り、超低空を駆け抜けて祭り広場から一時離脱した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

フン…年明けの祭りがマンハントか
聞いてるだけで不愉快になる話だな

爆弾を仕掛けるならば、大量のマシンが一か所に固まっている駐車場のような施設の方が効率は良いだろう
自分のマシンを自慢しているレイダー達に聞いてみるか

ねぇ、アンタ達の自慢のマシンを私にも見せておくれよ
「お礼」なら好きなだけしてあげるからさ…フフッ

と言って奴らを誘惑しつつ駐車場まで案内させて到着したらUCを発動
今殺すと騒ぎになるので、強い酩酊作用のある非致死性の毒ガスを浴びせてレイダー達を無力化
奴らが酔っぱらって夢を見てる間に爆弾を設置していく

今のうちに夢の世界を楽しんでいろ
お前達に、幸せな眠りは二度と訪れないのだからな


霧島・絶奈
◆心情
ワルと悪党の違いなのでしょうけれど…
最近見つかったデビルキングワールドよりも遥かに悪徳が栄えていますね

◆行動
[WIZ]

矢張「木を隠すには森」でしょうね
仲間の振りをして効率的に立ち回ります

喧騒に紛れ【目立たない】様に行動
其の過程で酔いが回って口が軽くなっているレイダーに狙いを絞り情報を引き出します

「大層な自信ですね。私も肖りたいものです。
 因みにどの様なマシンで参加されるのでしょう?
 叶うならば是非其の威風を拝ませて頂きたいですね。」

車両に辿り着いたら【目立たない】様に注意しつつ爆弾を設置
設置の隙がなければ場所だけ覚えておき、後で他のレイダーを介抱する振りをしながら訪れ改めて設置しましょう



●爆弾設置
「へへっ新年早々人狩りか、俺の戦車砲で景気よく花火を上げてやるぜ!」
「はっ、調子に乗ってドジるなよ」
 レイダー達が酒を飲み交わし、凶悪なマシンの自慢話を始め、時にはヒートアップして殴り合いになったりと騒ぎが起きるが、いつもの事と誰も気にしない。それどころか囃し立てて喧嘩を楽しんでいた。
「フン……年明けの祭りがマンハントか。聞いてるだけで不愉快になる話だな」
 眉を寄せてキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)が祭りに盛り上がるレイダー達を見回した。その顔は誰も彼もが他者から奪い獲ることを当たり前と思う醜悪なものだった。
「ワルと悪党の違いなのでしょうけれど……最近見つかったデビルキングワールドよりも遥かに悪徳が栄えていますね」
 向こうはまだ可愛げがあるが、こちらには醜悪さしか見つからないと、隣で霧島・絶奈(暗き獣・f20096)も同じように不快そうにしていた。
「『木を隠すには森』と言いますが、余り仲間だと思われたくない相手ですね」
 絶奈はレイダーの仲間の振りをして祭り会場に入ったが、あれらと同類には思われたくないと軽く肩をすくめた。
「ならばさっさと仕事を終わらせよう。爆弾を仕掛けるならば、大量のマシンが一か所に固まっている駐車場のような施設の方が効率は良いだろう」
「そうですね。これだけの人数が集まればマシンを置く場所も複数用意してあるはずです」
 キリカと絶奈は効率を考え、まずは手分けして情報収集をしようと酔っぱらったレイダーに視線を向けた。
「自分のマシンを自慢しているレイダー達に聞いてみるか」
「では私も口の軽くなったレイダーから情報を集めることにしましょう」
 二人は別れて情報収集に動き出し、キリカが女性らしい柔らかな表情を作り、口の軽そうなレイダーに歩み寄る。

「ねぇ、アンタ達の自慢のマシンを私にも見せておくれよ」
「ああん? おっ、イイ女じゃねぇか!」
「ねえちゃん、俺らのイケてるマシンが見てぇのか? まあいいけどよぉ、タダってわけにゃあいかねぇなあ……」
 キリカの顔を見た瞬間レイダー達はでれでれと好色そうに相好を崩し、その視線を下げて胸元の露出の高い服を着た身体の方へと向けた。
「『お礼』なら好きなだけしてあげるからさ……フフッ」
 胸を強調するようにキリカは腕を組み、流し目で魅惑的に笑う。
「へへへっ、それなら見せてやるぜ!」
「俺のマシンの方がスゲェからよ! こっちから見てくれよ!」
「ああ? じゃあどっちがイケてるかで勝負だ。勝った方が先に相手をしてもらうってことでいいな!」
「いいぜ! 受けて立ってやる!」
 何事もすぐに勝負に持っていくレイダーが言い争いながら席を立ち、マシンを駐車している場所へとキリカを案内して歩き出した。キリカはこちらは上手くいったと絶奈にウインクを送って付いて行った。
「見事なものです」
 その慣れた手口に感心しながら、絶奈もターゲットを決め行動を開始した。

「がははっ! 人狩りなら俺様のマシンが一番だ!」
「また自慢話かよ! オレのマシンの方がスゲーぞ!!」
「なら勝負だ! 俺様のバイクに付いてこれるヤツはいねぇ!」
「はんっ、殺すならデカイ方が有利だ。オレの戦闘バギーなら纏めて轢き殺せるし、機銃で蜂の巣にできる!」
 手掴みで骨付き肉を喰らい、脂ぎった手で酒杯を傾ける。レイダー達は好き勝手に奪い獲った富でいい気分になりながらマシンを自慢し合う。
「大層な自信ですね。私も肖りたいものです」
 そこへふらっと立ち寄った風で絶奈が煽てるように話しかけた。
「因みにどの様なマシンで参加されるのでしょう?」
「なんだ俺様のマシンが知りてぇのか? なら教えてやろう! 俺様のマシンは大型バイクよ! どんな難所だろうと踏破して、隠れた人間どもを逃がさねぇ!」
「そんなちまちま殺してどうするよ、オレみたいにバギーに載せた機銃をぶっ放したほうが楽に大勢殺せるっての!」
 どちらが上かと言い争うところに絶奈がまた言葉を挟む。
「叶うならば是非其の威風を拝ませて頂きたいですね。其れに実物を見た方が何方が上位なのかも判定が下し易いでしょう」
「なら俺様のバイクの方が上だってことを証明してやる!」
「ああっ!? オレのバギーが上だっつの!」
 煽てられるままにレイダー達は自らのマシンを止めてある場所へと歩き出した。


 祭り会場の外れにある広い場所にはずらっと戦車のような大型のマシンが並べられている。そこへレイダーに案内されたキリカは足を踏み入れた。
「こいつが俺の自慢の戦車だぜ! このドデケェ戦車砲をぶっぱなせば、あっという間に人間を吹き飛ばせるんだぜ!」
「こっちのがオレのマシンだ! この足回りに付けたトゲで人を焼き鳥みてぇに串刺しにしていけるんだ! 壮観だぜ!!」
 今まで多くの犠牲者を生み出してきた、泥と油と血に汚れた凶悪マシンをレイダー達は自慢げに見せびらかす。
「どちらも素敵じゃない。二人にお礼をしないとね……天国を視せてあげる」
 笑みを浮かべたキリカがユーベルコード『プワゾン』を発動し、ふっと吐息を吐いて強い酩酊作用のある非致死性の毒ガスを浴びせる。するとふらふらと酔っぱらったレイダー達はマシンにもたれるように崩れ落ちて眠ってしまった。
「んん……俺の方が人を狩ったぞぉ……」
 夢の中で人狩りを楽しんでいるレイダーの横で、キリカは並ぶマシンに爆弾を設置していく。
「今のうちに夢の世界を楽しんでいろ。お前達に、幸せな眠りは二度と訪れないのだからな」
 冷たく言い捨て、爆弾の設置を終えたキリカはその場を後にした。


 大きな倉庫の錆びた扉を開けると、バイクやバギーの群れが並んでいる。盗まれないように見張りが立ち、マシンを大事にしている者が預ける場所となっているようだった。
「ひっく、こっちだこっち!」
「もう酔っぱらってんじゃねえか、そんなんでこの後人狩りに出れるのかよ!」
「こんなもん酔ったうちに入らねぇ!」
 千鳥足でレイダーが一台のバイクの前で止まる。
「こいつが俺様の相棒よ!」
 それは全長3mはあろうかという大きなバイクだった。そのタイヤには人すらも貫くような鋭いスパイクが付いていた。
「そんでもってこっちのバギーがオレんだ!」
 その隣には四方に機銃が載せられたバギーが置かれている。
「何方も甲乙付け難いマシンですね」
「はんっ、こんな機銃ばっか載せてっからコイツのバギーは足が遅いんだぜ」
「ああ!? テメェのバイクだってデカくし過ぎて結局小回りが悪くなってんだろ!」
 二人の言い争いが白熱し殴り合いにまで進展する。すると騒ぎを聞きつけたやじ馬が集まって賭け始めた。その中には見張りまで混じっている。
「仲間内で争うとは悪党というのは救いがありませんね。しかし好機です……」
 絶奈は目立たぬように視界から外れ、マシンに爆弾を設置していくと、そのまま倉庫から姿を消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神宮時・蒼
…なんとも、まあ…。…決戦、前夜、とは、斯様に、浮かれる、物、なの、でしょうか…。
…その方が、やりやすくて、大変、助かる、の、です、けれども…。

【SPD】
周囲を警戒しながら「忍び足」で移動。「結界術」で己の身を霞ませながら進みましょうか。
なるべく、人の声がするところは避けて、「第六感」の力も借りて、相手に見つからないよう行動しましょう。
目的を果たしたら即撤収します。

もし見つかってしまった場合は、狐花恩寵ノ陣で相手を麻痺毒に侵して、逃げます。
此の酒盛りの喧騒なら、酔って寝たものだと勘違いされる筈です。

…此れが、最後の、祝杯、に、なる、事、でしょう。



●最後の祝杯
「ハッピーニューイヤー! オラオラ!! もっと酒持ってこい!」
「ヒャッハー! 正月だぞ! 倒れるまで飲め飲め!」
 レイダー達が乱痴気騒ぎで飲み食いし、酔い潰れて路上で寝る者までいて街中は混沌としていた。
「……なんとも、まあ………。……決戦、前夜、とは、斯様に、浮かれる、物、なの、でしょうか………」
 その喧騒を神宮時・蒼(終極の花雨・f03681)は見渡し、表情は動かないが少々呆れたように嘆息をもらした。
「……その方が、やりやすくて、大変、助かる、の、です、けれども………」
 これからする事を考えれば都合が良いと、蒼はちらりと周囲を確認し、音を立てずに忍んで動き出す。人のできるだけ少ない場所を選んで進み、マシンが置かれている場所を探る。しかしどこもかしこも人が居て、その全てを避けるのは困難だった。
「ん? 今誰か……気のせいか。それよりも今回は俺の勝ちだ! フルハウス!」
「残念だったな。こっちはフォーカードだ!」
「テメェさっきからイカサマだろう!!」
「バレなきゃイカサマじゃねぇ!」
 賭けポーカーをしていたレイダー達の殴り合いが始まる。
(……発見、され、なかった、よう、です………)
 結界術で己が身を霞ませて難を逃れた蒼は、敵の意識が逸れたところでまた歩き出す。

(……乗り物、の、置いて、ある、ところは………。……なにか、音が、聞こえ、ます………)
 探していると、猛々しい轟音が聞こえる。気になってそちらに足を向けてみると、そこには何台ものマシンがエンジンを全開にして騒音を立てていた。
「どうだオレのマシンの音色は!!」
「ああん!? ワシのマシンを舐めんなよ!」
 獣のように唸るエンジン。それに呼応して改造マフラーから爆発するような音が鳴り響く。
 祭り会場の外れに集まったマシンを、酒瓶を手に酔っぱらったレイダー達が楽器のように扱って、空気が震えるほどの騒音を撒き散らしていた。
「…………頭が、痛く、なりそう、です……………」
 あまりの爆音にくらっとふらついたような錯覚を覚えた蒼は、敵の人数を把握すると即座に『星の空に瞬く夜香花』を持って地面に陣を描き、ユーベルコード『狐花恩寵ノ陣』を発動する。すると朱き天上ノ花弁が舞飛び、騒ぐレイダー達を包み込む。
「オラ! もっともっ……」
「なんだぁ、飲み過ぎたかぁ………うーん……」
 ばたばたとレイダー達が麻痺毒で動けなくなり、そのままアルコールが回って眠りに落ちていく。
(……全員、酔って、います……。……此れなら、酔って、眠った、と、思われる、でしょう………)
 静かになった広場に蒼が入り込み、爆弾をマシンに設置していった。そして用が済むと爆発に巻き込まれぬよう素早く撤収する。
「ウェーイッ! やっぱ奪いたての酒は最高だぜ!」
 爆弾が仕掛けられているなど夢にも思わず、レイダー達はどんちゃん騒ぎを楽しんでいる。
「……此れが、最後の、祝杯、に、なる、事、でしょう………」
 醜い欲のままに生きるレイダーから視線を逸らし、蒼はお祭り騒ぎに背を向け、本当の祭りが始まる時まで姿を晦ました。


 仮初の祭りはもうすぐ終わる。欲望のままに奪う者は自らも誰かに奪われることとなる――裁きの刻が迫っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『クリッサ・マティア』

POW   :    戦術パターン・アルファ
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【球体ドローンα 】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD   :    戦術パターン・ベータ
【右眼に埋め込まれた照準システム 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【球体ドローンβが放つ高エネルギー砲】で攻撃する。
WIZ   :    戦術パターン・オメガ
演説や説得を行い、同意した全ての対象(非戦闘員も含む)に、対象の戦闘力を増加する【と同時に自我を放棄させ、忠誠心と任務 】を与える。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はタリアルド・キャバルステッドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●大爆破!
「よーし、そろそろ人狩りゲームの時間だ! 祝砲の花火を上げろ!」
「ヒャッハー! 花火だ花火!! ハッピーニューイヤー!!!」
 レイダーが用意されていた打上花火に火をつけ、ひゅるるるるっと空に打ち上がった玉がバーンと空に満開の花を咲かす――はずだった。

 バンッ! バンッ! バババンッ!!

 空で鳴る筈の花火の音に先んじて、地上で爆発音が響く。その音はドンッと地を揺らす音に変化し、やがて連鎖するように激しくなっていく。
「なんだ!? 何が起きてる!」
「マシンが! マシンが爆発してやがる!!」
「なんだと!!!」
 見ればマシンが置かれている場所で火の手が上がっている。燃料に引火し並んだマシンは連鎖的に爆発を起こしていく。その衝撃はマシンをあちこちに吹き飛ばし、レイダー達を巻き込む。さらには調理の油や蒸留酒などの強い酒にも火をつけ炎上し、やがてマシンの燃料貯蔵庫にまで火の手が届く――。

 バーーン! ドンッドドドドドンッッ!! バンッバーーーーーーンッ!!!

 ド派手な爆発音が都市中に響き、炎が周囲を包み込む。引火した花火が四方に飛び散り、砲弾のように地上で花を咲かせた。
「お、、オレのマシンが………」
 突然の大惨事にレイダー達は右往左往して、酔いが醒めたように呆然と炎を見ていた。
「何をしている。火を消しに行け」
 そんな混乱の中、一人冷静なレイダー・キング『クリッサ・マティア』が指示を飛ばす。
「はっはい! おい! 火を消しにいくぞ! 動ける奴は全員使え!!」
 命を受けた部下がすぐさま駆け出し、レイダー達は火を消そうと駆け回る。
「僕の計画した祭りでこんな真似をしでかすとはね。誰だろうが必ず見つけ出して相応の罰を受けてもらうとしようか」
 ぐっと手を強く握り血が滲む。表面上は冷静に表情を繕っているが、内心は顔に泥を塗られて怒り心頭だった。


 レイダー・キングの周囲に配下達が居なくなる。普段の冷静な時ならそんな隙を晒すことはないだろう。大爆破によって千載一遇のチャンスが生み出された。
 ここでレイダー・キングを討ち、人間狩りゲームを阻止しようと、猟兵達は大炎上する都市の混乱に乗じ、人の命を弄ぶクリッサ・マティアへと殺到した。
グロリア・グルッグ
打ち上げ花火を背に華麗なる電脳怪盗ここに見参!
要人暗殺とか本職じゃないんですけど、訓練はしているのでさくっとこなしてみせますよ。
まぁそういうわけでお命頂戴しますね?

部下が出払って手薄になった本陣にするりと入り込みます。
敵将は弁の立つ軍師タイプっぽいので、まともに会話なんてせずさっさと直接的問題解決(暴力)に移行しましょう。

UCを使い電脳魔術を展開、問答無用で敵将をマルチロックオン。
持っている鉄球型プラズマグレネードに雷魔術をかけ、手の中でぎゅるぎゅると超電磁回転させながら速度を高めます。
あとは全力魔法で威力を高め、レーザービームを放つように投擲!
命中したら起爆させてダメージを加速させましょう!


キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

始まったか…
フッ、年明けの花火にしては中々悪くはないな

アイテムのパーソナルディフレクターを起動
周囲に気付かれぬように光学迷彩で姿を消し、忍び足で行動する
大爆発で混乱している今ならクリッサの周辺にも隙が出来るはずだ
気付かれぬように周囲の警戒も充分に行う

まずは、その厄介な眼を塞がせてもらおう

クリッサをUCの射程圏に捉えたら、オーヴァル・レイを念動力で目の前まで飛ばす
敵がそれを発見し、対応しようと騒ぐ前に死角からUCを発動
クリッサの頭や胸と言った急所に狙いを付け、デゼス・ポアの刃で抉る
その後はオーヴァル・レイを回収しつつ素早く会場から脱出

祭りはこれで終わりだ
そして、お前達の栄華もな


神宮時・蒼
…悪漢たちの、ボス、と、聞いて、いたので、とんでも、ないのを、想像、して、いたの、ですけれど…。
…意外と、普通、ですね。…まあ、人は、見た目で、判断すると、痛い目に、合うので、侮りは、しません、けれども…。

【WIZ】
…お祭り、ですか。…やはり、内面は、醜い、様子。
…此処で、その、計画は、頓挫、して、もらい、ましょう、か。
先手必勝、「先制攻撃」で先手を取りましょう
相手の動きは「見切り」や「読心術」で避けましょう
とはいえ、あの演説や説得は厄介、ですね
大きな音を出して妨害してしまいましょうか
隙が出来たら、徒花惨烈ノ陣を。
「全力魔法」を乗せて、全部燃やし尽くしてしまいましょう

…これで、終わり、です。


霧島・絶奈
◆心情
…愉しみましょう、この『逢瀬』を

◆行動
『二つの三日月』を召喚

私も【Evolution】に搭乗し戦闘
彼方は合体、此方は搭乗ですが似た様なものでしょう

ですが、此方は其々が独立しているが故に自由が利きます
【限界突破】した【集団戦術】、其の真骨頂をお見せしましょう

私は【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】

戦闘しつつ【罠使い】の技を活かし「魔法で敵を識別するサーメート」を【目立たない】様に複数設置
私達の連携だけに気を取られていると痛い目を見ますよ

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復

…先程の地上の花火も見ものでしたが、今度は貴方の咲かす徒花を見たいものですね



●断罪
 バーーーンッ! ババババッドンドンッ!!!

「始まったか……フッ、年明けの花火にしては中々悪くはないな」
 腹に響く盛大な火薬の爆発と花火の誘爆を見上げたキリカは、獰猛な笑みを浮かべる。
「ではこちらも始めるとしよう」
 『パーソナルディフレクター』を起動し、エネルギーシールドで身を包むと光学迷彩となって姿が消える。
「大爆発で混乱している今ならクリッサの周辺にも隙が出来るはずだ」
 敵の本拠地にいるレイダー・キングはこのタイミングでしか仕留められないと、誰にも気づかれることなく警戒しながら忍び足で動き出した。

「どこかに首謀者がいるはずだ。必ず見つけ出して、生かして僕の元へ連れてこい。いいか、必ず生かしてだぞ」
 自らの手でこの騒ぎの罰を与えると強く言い聞かせ、クリッサ・マティアは四方に配下のレイダー達を走り出させた。
「……悪漢たちの、ボス、と、聞いて、いたので、とんでも、ないのを、想像、して、いたの、ですけれど………」
 騒ぎに乗じて近づいた蒼はレイダー・キングを視認し、思っていたのとは違う姿に僅かに首を傾げた。
「……意外と、普通、ですね。……まあ、人は、見た目で、判断すると、痛い目に、合うので、侮りは、しません、けれども………」
 オブリビオンを見た目で判断したりはしないと、蒼は気取られないように慎重に動く。
「これでは人狩り計画に支障が出る。上にどう説明したものか……」
「……お祭り、ですか。……やはり、内面は、醜い、様子。……此処で、その、計画は、頓挫、して、もらい、ましょう、か」
 決して人狩りなどさせないと、苦悩する敵に忍び寄った。

「むっ?」
 クリッサ・マティアの右眼の義眼が動き、周囲に浮かぶ球体ドローンαとβがくるっと何かに反応して回転した。そちらへ視線を向けると、手薄になった本陣にするりと入り込んだ人影が建物の上から跳躍し、地上に着地する姿が映った。
「打ち上げ花火を背に華麗なる電脳怪盗ここに見参!」
 狂い飛ぶ花火を背にしたグロリアが、派手に登場して敵と相対する。
「要人暗殺とか本職じゃないんですけど、訓練はしているのでさくっとこなしてみせますよ。まぁそういうわけでお命頂戴しますね?」
「ふんっ、自ら罰を受けにくるとはな、だが罪は軽くならん。僕自らの手で死刑を執行してやろう」
 両者が殺気を纏う壮絶な笑みを交わし、共に動き出す。
「都市を爆破して被害を出すなどという暴挙は許されるべきではない。罪人は裁かれるべきだと思わないか?」
 先んじたのはクリッサ・マティア。口を動かし演説をぶって精神攻撃を仕掛ける。
「問答無用、直接的問題解決に移行します」
 聞く耳を持たずにグロリアがユーベルコード『超電磁雷撃砲』を発動し、電脳魔術を展開し敵をマルチロックオンした。
「電脳怪盗の秘技をお見せしましょう!」
 手にした鉄球型プラズマグレネードに雷魔術をかけ、手の中でぎゅるぎゅると超電磁回転させて速度を高める。
「超電磁砲か」
 その恐るべき火力を察したクリッサ・マティアは身を守るようにバリアを張った球体ドローンを展開する。

「まずは、その厄介な眼を塞がせてもらおう」
 敵に気付かれていない状態でキリカが射程圏内に入ると、卵状の浮遊砲台『オーヴァル・レイ』を念動力で敵の元へと飛ばした。
「攻撃ドローンの類か」
 オーヴァル・レイが粒子ビームを放つと、クリッサ・マティアはバリアを張った球体ドローンで防ぐ。そして球体ドローンβからエネルギー砲を発射させて撃墜しようとする。
「密やかに噤め、デゼス・ポア。奴らへの死は、沈黙の中で与える事が相応しい」
 今だとキリカはユーベルコード『メルトゥ・ド・シレンス』を使用する。人形のデゼス・ポアが虚空から敵の頭上に現れ、全身を飾る錆びた刃で切りつけた。帽子が両断され頭から血が流れ落ち、顔が鮮血に染まる。
「なんだ、人形? マリオネットによる遠隔攻撃か」
 混乱を一瞬で収め、クリッサ・マティアは追撃を恐れてすぐに後退する。そこへデゼス・ポアがもう一度斬撃を放ち、胸を浅く切り裂いた。そこで球体ドローンαを戻して防御する。

「十分に加速させました。海に散りなさい!」
 ブン――と回転しているのかすら分からないほどの速度となった鉄球を振りかぶり、グロリアが思い切り投擲する。手元を離れた鉄球型プラズマグレネードはまるでレーザービームのように放たれ、ドローンのバリアを貫き、身を捻る敵の左肩に直撃した。それと同時に鉄球が起爆し、左腕を肩から引き千切って吹き飛ばした。
「なっ! くぅっ――」
 右眼が状況を解析し、クリッサ・マティアは左腕の痛覚をカットしてすぐに戦闘継続へとドローンを動かす。
「キミたちの行為は犯罪だ。この都市は我々ヴォーテックス一族傘下のレイダー・キングによって統治されている。その秩序を乱すことは都市の運営を破壊し、無秩序な世界を生み出すことになる。まして正月の祭りを台無しにするなんて、キミたちに人の心はないのか?」
 身体は動かずとも口は動くと、扇動するように猟兵達の心に無断で踏み込もうとする。

(……あの、演説や、説得は、厄介、です、ね………)
 隠れていても言葉は届き、蒼は心に無造作に踏み込もうとする声に不快な気分となり、まずはそれを止めようと辺りを見回した。すると転がっている花火玉を見つけた。
(……大きな、音、で、妨害、して、しまい、ましょう……)
 蒼が花火玉に魔力をぶつけて爆発させ、結界を張って自らは音を遮断する。

 パーーーーーーーーンッ!!!!

 間近で破裂した花火は盛大な音を立てて爆発し、カラフルな火が周囲に飛び交う。
「花火!?」
 クリッサ・マティアの演説が途切れ、僅かな間意識が花火へと向けられた。
「……儚き色彩、無垢なる白。……されど、纏うは、死の香り。……劫火よ、燃え尽くせ」
 その隙に『月の夜に瞬く月下香』を手にしてユーベルコード『徒花惨烈ノ陣』を放ち、ひらりと儚さを帯びた白き花が舞飛ぶ。それが敵に触れた瞬間――体温に反応してぼうっと発火すると猛々しく火柱が上がり燃え盛る。そんな白い花が次々とクリッサ・マティアを覆い尽くすように降り注いだ。
「っ避けられんか――」
 炎がその身を包み込むと、火が合わさり高々と伸びた炎の柱が天を突く。
「……そろそろ、燃え尽きる、はず、です……」
 普通ならが人など消し炭になるだけの火力は保っている。だが炎はまだ消えずに柱を作り出している。その炎の中から大きな影がぬうっと現れた。
『危ないところだった……』
 それは3m程のロボット。胸部にドローンαを埋め込み、右腕にはドローンβが、その他のボディを周囲に転がっていたマシンの残骸を利用して形成した人型兵器だった。
『よくもやってくれたな。キミたちは全員死刑だ。ここに刑を執行する』
 ロボットが拳を振り上げ、猟兵達に叩き込もうとする。しかしその拳を突如として現れた二つの三日月の如き光の巨人が受け止めた。さらにその背から一機のキャバリアが姿を見せる。

「彼方もキャバリアのようなものを使うようですね。彼方は合体、此方は搭乗ですが似た様なものでしょう……愉しみましょう、この『逢瀬』を」
 ユーベルコード『二つの三日月』によって呼び出した巨人と共に現れた絶奈が、搭乗する量産型キャバリア『Evolution』を前進させる。
『そちらもロボットを用意していたか、だが僕のマシンには勝てない』
 クリッサ・マティアは右腕のドローンβから高エネルギービームが放たれる。しかしその一撃は光の巨人がその身で受け止めた。大きな穴が穿たれ光が散る。
『どうだ、僕のマシンの力は』
「光に形はありません。砕けてもまた違う姿形となるだけです」
 巨人の空いた穴から、光が漏れて小さな無数の小さな二つの三日月が舞う。その三日月がクリッサ・マティアのロボットを切り裂いていく。
『何っ?』
「此方は其々が独立しているが故に自由が利きます。限界突破した集団戦術、其の真骨頂をお見せしましょう」
 敵の気が取られている隙に背後に回った絶奈が、拾い上げた数メートルある鉄筋を槍のように使って背中を貫いた。
『おのれ!』
 振り向きながらクリッサ・マティアがビームを放つがそこに既に絶奈の姿はなく、横から光の巨人が殴りつけた。
「私達の連携だけに気を取られていると痛い目を見ますよ」
 登場する前に仕掛けて置いたサーメートが足元で爆発し、敵の機動力を奪う。
『僕を舐めるな……』
 クリッサ・マティアがロボットをもたれかかるように建物を背にして囲まれないように位置取る。そして右腕のビーム砲を構えた。

「武器としても厄介だな。潰しておこう」
 正面の建物の上で片膝をついたキリカが『VDz-C24神聖式自動小銃”シルコン・シジョン”』を構え、タイミングを計って引き金を引く。放たれる大口径弾がエネルギーを集めるビーム砲の銃口の中に飛び込んだ。すると火薬に引火したようにエネルギーが膨れ上がり、右腕が大爆発を起こして粉々に吹き飛んだ。
『右腕使用不可……これは拙いな。人狩り祭りも失敗、賊の撃退も失敗では言い訳のしようがない』
 最大の攻撃手段を失い、クリッサ・マティアの顔に焦りが浮かぶ。
「……先程の地上の花火も見ものでしたが、今度は貴方の咲かす徒花を見たいものですね」
 そこへ絶奈がEvolutionで殴り掛かり、残った左腕も引き千切った。電気系統から火花が散る。
「そろそろ観念して出て来てもらいましょう」
 また鉄球を高速回転させていたグロリアが、見事な投球フォームで真っ直ぐレーザービームの如く閃光を放つ。それはど真ん中ストライク、腕を失い無防備な胸の中央にあったドローンαを撃ち抜いた。

『莫迦なっ』
 ロボットが花火の如く大爆発を起こし、元のガラクタへと戻って崩れ落ちた。
「信じられない。僕がここまで一方的に――」
 瓦礫の中から白い服を血で赤く染めたクリッサ・マティアが姿を見せる。その眼前には蒼が立っていた。
「……これで、終わり、です」
 蒼が敵に月の夜に瞬く月下香を向けると、辺りに残っていた白い花がふわりと浮かんで集う。
「嘘だ! こんな結末は僕の予定にはない! 僕は予定通りに仕事をこなすだけのはずだったのに!」
 逃げようとしたクリッサ・マティアを雪のように降り注ぐ花が包み、一瞬にして業火となって燃え上がった。
「がぁああっ、あっ、炎に焼かれるのは……罪人のキミたちの方だろう?」
 理解できないと頭を振って悶え苦しみ、やがて動かなくなると声も聞こえなくなった。やがて炎の柱が消えると、そこには雪が溶けたように何も残ってはいなかった。
「……罪を、罪とも、思わない。……そんな、悪漢に、救いは、ありません…………」
 最後まで自己中心的だった罪人を骸の海に送り返し、冷たい表情で蒼は踵を返した。

「そろそろ此方の騒動に気付いたレイダーが駆けつけて来る頃でしょう」
 絶奈が逃亡の準備に移ろうと、仲間達に声をかける。
「では脱出しましょう!」
「……はい、もう、此処に、用は、ありません、から………」
 頷くグロリアと蒼も都市から脱出する準備を始めた。
「祭りはこれで終わりだ。そして、お前達の栄華もな」
 キリカはオーヴァル・レイを回収し、見るも無残に荒れ果てた祭り会場を後にした。


 レイダー・キングの暗殺に成功した猟兵達は、もうこの場に用はないと素早く脱出を開始した。しかしここは敵拠点の内部。それを阻むレイダー達の魔の手もすぐに動き出そうとしていた――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『『対物突撃兵』スクラップメーカー』

POW   :    対物剣術「斬撃による解体」
【ヒートブレード】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    ディスマントルアタック
【ヒートブレードを用いた連続攻撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を更地にするまで破壊し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    対人剣術「怒涛の連撃」
自身の【背負っているバッテリーパックのランプ】が輝く間、【ヒートブレード】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●追手
「ボスが殺された!!」
「下手人を探せ! 絶対に逃がすな!」
 爆発のどさくさに紛れてボスを暗殺され、配下のレイダー達は慌てて動き出していた。
「このまま下手人を逃がしたら、俺達の命もないぞ!」
「そうだ! みすみすボスだけを殺されたなんぞ、そんなマヌケがこの都市で生きていけるかよ!!」
 レイダーは暴力が支配する世界に生きている。ボスだけあっさり殺されるような間の抜けた者に生きる場所はないのだ。
「だけどよう、ボスを殺した連中をこの戦力で殺れるのか?」
「殺すのは専門家がいるだろう。おい! 出番だぞスクラップメーカー!」
 ぬうっと陰から姿を現したのは、マスクで表情が見えず、爛々と輝く赤い目だけが覗く兵士の部隊だった。
「ボスを殺ったヤツを俺らが探す! アンタらはそいつを殺ってくれ!」
「………任せろ」
 マスク越しに感情の無い声が響き、寒気を覚える殺気が放たれる。
「よし! 見つけ次第何としても下手人の足を止めろ!」
「行くぞ! 失敗したら俺達の命はないぞ! 死んでも賊を探し出して殺せ!!」
 エンジンを猛々しく唸らせ、バイクやバギーの小回りが利いて機動力が高いマシンが、都市内部とは思えぬ速度で走り出す。


 猟犬の如くレイダー達が解き放たれた。地の利はレイダーにある。そして数の利で以って押し包むように迫って来る。
 その追撃を躱しながら猟兵達は都市の外を目指して逃走劇を始めた――。
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

さて、仕事は終わりだ
とっととこの街を離れるとしよう

まずは逃走用に適当な車両を探そう
運転手がいたら装備武器で排除して奪取
そのまま悪路走破と運転を駆使し、道路以外の場所を走り抜けて最短で都市の外を目指す
邪魔する奴は車両に搭載されている武器か装備武器を使ってなぎ払おう

フン、随分と熱烈な歓迎だな
ではこちらも新年祝いをたっぷりとくれてやろう

敵が襲って来たらUCを発動
相手のアタックに合わせて顔か片腕を火炎放射器に変えてカウンターで発射
各種化学剤をたっぷり配合した特殊燃料だ
一気に燃え広がり身体にへばりつく炎は連中の足止めには最適だろう

全員仲良く骸の海へ行くと良い
ボスも寂しがってるだろうからな



●カーチェイス
「さて、仕事は終わりだ。とっととこの街を離れるとしよう」
 キリカはちらりと周囲を見渡し、レイダーの乗っている足回りの良さそうなバギーを目にした。
「おい! 行くぞ!」
「ああ! 絶対に賊を見つけ出すぞ!」
 猟兵を探しに2台のバギーがエンジンを唸らせて街中のゴミを吹き飛ばしながら走り出す。
「あれを借りていくとするか」
 車のスピードが上がる前に素早く接近したキリカは、片方の車に飛び乗って助手席に着地する。
「な!? なんだテ――」
 誰何する間もなく、レイダーは蹴り落とされて運転席にするりとキリカが座り込む。
「テメェが賊だな! ぶっ殺す!」
 並走するレイダーがバギーをぶつけてくると、キリカもバギーをぶつけ返して応戦する。
「ブッ潰れろ!」
 レイダーが大きく車体を膨らませて勢いよくぶつけてくると、キリカはアクセルを踏んで車を加速させてギリギリで回避する。勢いをつけ過ぎたレイダーのバギーは横に突っ込み、建物にぶつかって横転した。
「潰れたのは自分だったな」
 ミラーでそれを確認し、キリカは街の外に向かってバギーを走らせる。
「逃がすな! 追え追え!」
 こちらに気付き追いかけてくるバイクやバギーを、道とも呼べぬ人や物で溢れる悪路を強引に走り、車輛の機銃を使って迎撃する。

「このまま逃げ切りたいところだが、そうもいかないか」
 ミラーを見ると、背後に迫るバイクの集団が映る。
「……標的を発見」
「……攻撃を開始する」
 そのバイクに乗ったマスクの兵士『スクラップメーカー』が赤く目を輝かせ、横につけると片手にヒートブレードを構えて襲い掛かる。
「フン、随分と熱烈な歓迎だな。ではこちらも新年祝いをたっぷりとくれてやろう」
 キリカはそちらに片手を伸ばしてユーベルコード『ラ・ミラージュ』を発動し、腕を火炎放射器に変えて炎を放った。
「ぐっがぁあっ!!」
 一瞬にして炎が全身を覆い、スクラップメーカーが転倒してもだえ苦しむように地面を転がった。
「各種化学剤をたっぷり配合した特殊燃料だ。一瞬で炎がへばりつくぞ」
 脅すように火炎放射器の腕を敵に向けると、その射線に入らぬようにバイクが後退した。

「……一斉に仕掛ける」
「……了解」
 バイクが散開してバギーを後方から囲むように展開すると、一斉にヒートブレードを光らせて襲い掛かってきた。
「連携の取れた兵士か、だがそれが徒となったな」
 ハンドルを手離したキリカは立ち上がって腕を横の敵に向け、炎を放ちながらぐるっと半回転した。
「うがっ熱いィイイッ!!」
 燃料を浴びたスクラップメーカーが燃え上がり、バイクのタンクにまで引火して爆発を起こす。
「……殺す!」
 それでも決死で突っ込んで来る敵を、キリカは『強化型魔導機関拳銃"シガールQ1210"』で撃ち抜いた。
「全員仲良く骸の海へ行くと良い。ボスも寂しがってるだろうからな」
 キリカは座ってハンドルを握ると、ミラー越しに背後を一瞥して火葬されるスクラップメーカーに別れを告げ、バギーの速度を上げて街の外に向かって疾走した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

グロリア・グルッグ
用が済んだら即撤収!
事前の計画通りにコトを進めるのが一番成功率高いんですよね~。

というわけで目をつけていた赤いバギーを拝借して離脱しましょう。
バギーにはお手製のハッキングツールを搭載し、電脳魔術による自動操縦で走らせます。
これで私自身の手が空くので追跡者への反撃もばっちり!
我ながら惚れ惚れする完璧なプラン…やはり天才か…。

邪魔な敵にはグレネードを投げつけて爆撃します。
強そうな敵にはUCを使い、より的確に爆破してやりましょう。
直線的な銃弾とは違い鉄球型グレネードには任意の回転がかけられる、もしくは無回転という特殊な投擲技術もあるので、変幻自在な変化球で翻弄してやりますよ!



●ド派手な逃走劇!
「用が済んだら即撤収!」
 暗殺を終えるとグロリアはすぐに次のフェーズに移って逃走を開始する。
「事前の計画通りにコトを進めるのが一番成功率高いんですよね~」
 事前に目をつけていた赤いバギーを拝借しようと乗り込み、お手製のハッキングツールを設置して電脳魔術を展開する。すると自動操縦でバギーが走り出した。
「これで私自身の手が空くので追跡者への反撃もばっちり! 我ながら惚れ惚れする完璧なプラン……やはり天才か……」
 その手際の良さに自画自賛していると、激しいエンジン音が聞こえて来た。
「テメェ! それは俺のマシンだぞ! 待ちやがれ!!」
 赤いバギーの持ち主が、顔を赤くして仲間のバイクを奪って追いかけてきた。
「お借りしてます! 代金はこれで!」
 そう返事をしながらグロリアがプラズマグレネードをパスするように投げ、反射的にキャッチしたレイダーがあっという顔をして爆発した。
「奴だ! ボスを殺った下手人だ! 絶対に逃がすなよ!」
 レイダー達が次々とマシンに乗って追いかけてくる。
「これは爆破のし甲斐がありますね!」
 グロリアがまたグレネードを投げて戦闘のバギーを横転させると、それにぶつかって次々と玉突き事故を起こして爆発炎上する。

「……あれが目標か」
「……これより攻撃を仕掛ける」
 そこへスクラップメーカーの部隊がバイクで追いつき、高熱を放つヒートブレードを構えて接近し始めた。
「強そうな敵が現れましたね。ではこちらもユーベルコードを使いましょう」
 ユーベルコード『騎兵投法 騎士殺し』を発動し、バギーの上で振りかぶってグレネードを投げつける。
「……外れる」
 軌道を読んで外れると判断したスクラップメーカーは無視して進もうとする。しかしぐぐっと回転の掛かったグレネードは曲がってコースを変更し、スクラップメーカーに直撃して表面外装から無数の針が飛び出して突き刺さり、密着して爆発を起こしてバイクごと吹き飛ばした。
「直線的な銃弾とは違い鉄球型グレネードには任意の回転がかけられるんです!」
 野球の変化球のように曲がる球を駆使して、グロリアはグレネードをスクラップメーカーに叩き込んで撃破していく。

「……斬る」
 先頭のスクラップメーカーがヒートブレードで切り裂こうと振り抜く。しかしグレネードは不規則に揺れて刃を躱し、胸に直撃して爆発した。
「無回転という特殊な投擲技術もあるのです! 変幻自在な変化球で翻弄してやりますよ!」
 変化する軌道を描くグレネードに、スクラップメーカー達はヒートブレードでの迎撃に苦戦する。
「……攻撃は一球ずつだ。一気に突っ込む」
 スクラップメーカーは一度に一つしか投げられないと見て、展開して一気にバイクを加速する。
「グレネードにばかり気を取られていると、運転が疎かになりますよ!」
 立っていたグロリアが屈んでバギーに掴まると、自動操縦による急旋回で角を曲がる。
「なに!?」
 加速して曲がり切れなかったバイクが壁にぶつかり、仲間同士で衝突して転倒していく。
「ダメ押しです!」
 そこへグロリアがグレネードを投げ込み、纏めて吹き飛ばした。
「このまま街の外まで駆け抜けますよ!」
 バギーを疾走させ、グロリアはあちこちでド派手に爆発を起こしながら逃げ続けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイカ・ヴァンスタイン(サポート)
フェアリーの聖者×プリンセス、8歳の女です。

戦闘は苦手で援護や救助、支援など中心です。
武器は人間大の人形(銃火器持)ですので、運搬作業も可能です。
普段は悪戯(許せる範囲)で遊ぶ※戦闘とは別です。

普段の口調は「マイペース(ウチ、相手の名前+ちゃん、なの、なの?)」
苦しい時は「愛想笑い(ウチ、相手の名前+ちゃん、なの、なの?)」です
幼いので殆どひらがなで喋ってます。

・ユーベルコードは必要に応じて、多少の怪我は厭わず積極的に行動(支援中心)します。
・他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
・あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


サーシャ・ペンローズ(サポート)
 バーチャルキャラクターの電脳魔術士×バトルゲーマー、18歳の女です。
 普段の口調は「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」、敵には「丁寧(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
エッチな描写もNGです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●逃走支援
「このわるそうな人たちのいるまちから、みんながにげるおてつだいをするですのー♪」
 レイダーに追われ街の外を目指して逃げ回る猟兵を見て、建物の屋根の上に降り立った。レイカ・ヴァンスタイン(銀光精・f00419)はその手伝いをしようとぐっとフェアリーの小さな体で可愛らしく気合を入れた。

「どこに行きやがった!」
「左だ! あっちの方が騒がしいぞっ」
 街中を人を轢いても構わないという速度と乱暴さでバギーが駆け抜ける。
「そっちにはいかせないの」
 レイカはユーベルコード『思念繰糸操作』を発動し、自分は屋根で動かぬまま人間サイズの【和装人形】達を遠隔操作してこっそりと近づかせる。
「せまいみちをはしったらあぶないですの」
 人形の籐黄が立てかけられてあった木材を倒してバギーの進路を塞ぎ、乗り上げた車体が引っ繰り返る。
「ぐあっ!?」
「何してるマヌケ! 先に行くぞ!」
 悪態を吐いた後続が木材を乗り越えて道を強引に進んだ。

「世紀末の悪役たちですね。マンガのお助けキャラのように皆さんの逃走をサポートします!」
 いつか読んだマンガのワンシーンのようだと思いながら、サーシャ・ペンローズ(バーチャルキャラクターの電脳魔術士・f26054)はテンションを上げて都市からの逃走劇に参加する。
「レイダーの数は多いみたいですから、こっちも数を用意した方がよさそうです」
 敵に気付かれぬよう身を潜めたサーシャはユーベルコード『エレクトロレギオン』によって無数の機械兵器を召喚する。
「一台でも多くの乗り物を破壊します」
 レギオンが通路に待ち構え、迫るバギーやバイクのタイヤに攻撃を仕掛ける。タイヤが傷つきパンクするとバギーは進路が曲がって壁にぶつかる。
「なんだこいつら!?」
「賊の仕掛けたトラップかぁ! ぶっこわせ!!」
 レイダー達は銃をぶっぱなし、グレネードを投げてレギオンを吹き飛ばす。

「よーし! 今のうちに突破するぞ!」
 レイダー達がマシンを立て直して乱雑な道を突き進む。
「こっちはいきどまりですの」
 すると人形による激しい銃撃による弾幕で行く手を塞がれた。
「チッ、曲がるぞ!」
 マシンが角を曲がって脇道を通り抜けようとする。しかしそこにはレギオンが待ち構えていた。
「こっちもか!」
「クソがッ! 突っ込め!」
 レイダーが突進すると、レギオンは踏み潰され粉砕される。
「この場での数はこちらが圧倒しています。一気に押し包みます」
 サーシャはレギオンを操作し、全方向から突っ込ませてマシンを破壊していった。
「……妨害か……我々が排除する」
 そこへスクラップメーカーの部隊が現れ、二刀のヒートブレードを構えてレギオンの群れを一斉に切り捨てる。
「あれが追手の本命ですね。何とか時間稼ぎを……」
 サーシャはレギオンで一気に囲んで押し潰そうとするが、スクラップメーカーは互いの背後を守り攻め込ませない。
「みんな、てつだうの」
 そこへレイカの人形達が一斉に銃撃を行い、スクラップメーカーを撃ち抜き怯ませる。
「いまなの」
「一気に押し返します!」
 人形と連携してレギオンが動き、銃撃に気を取られた敵に突撃して押し潰していく。
「……一旦下がって態勢を立て直す」
 このままでは不利とみるとスクラップメーカーはすぐに退いて崩れた部隊を立て直した。
「……切り崩すぞ」
 スクラップメーカーは背負っているバッテリーパックのランプを輝かせ、加速すると高速連撃でレギオンを切り刻む。それに続いて一斉に部隊が動き出し、レギオンの群れに穴が穿たれる。

「これ以上の時間稼ぎは難しそうです」
 サーシャが周りを見ると、レイダー達が増えてきているのに気付いた。
「そろそろこちらも退却しましょう」
 残ったレギオンを暴れさせ、その間に見つからないようにそっとサーシャは動き出した。
「だいぶじかんはかせげたの。これでおてつだいはかんりょうなの」
 仲間が退くのを見下ろして、レイカも小さな体を活かしてこそこそとその場を後にした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

神宮時・蒼
…意外と、忠誠は、あった、みたい、ですね…
…けれど、此処で、捕まる、訳には、いきません、ので
…全力で、抵抗、しま、しょうか…

【WIZ】
…あの剣、何やら、面妖、ですね…
相手の手数が増えるのは厄介です。早々に何とかしたいところ
「先制攻撃」で相手よりも先に行動しましょう
「全力魔法」「高速詠唱」で手元を狙い、白花繚乱ノ陣を描きましょう
命中率が高いなら、いずれかは当たる筈…
手元が難しいならば、背中のばってりぃを破壊しましょう
相手の攻撃は「見切り」で回避

…其れに、しても、えんじん音が、大きくて、何処にいるか、すぐ、分かり、ますね…。音の、少ない方に、逃げましょう、か…。



●静かな逃走
「あいつらなにしてやがる!」
「逃がすな! 賊を仕留めなきゃ俺達も正月早々から路頭に迷うことになるぞ!!」
 猟兵達に翻弄され、追撃部隊は成果を上げられずに苛立っていた。
「……見つけ出せ……報酬分の働きはする」
 レイダーの中でも一際存在感を放つのスクラップメーカーの部隊が落ち着いた声で指示を出す。
「そうだ! 見つけてぶっ殺しちまえば帳消しだ!」
 レイダーが声を張り、レイダーキングを殺した猟兵を探して街中をマシンで駆け回る。

「……意外と、忠誠は、あった、みたい、ですね………」
 そんな様子を眺めて蒼は意外だと目をしばたたかせる。
「……けれど、此処で、捕まる、訳には、いきません、ので。……全力で、抵抗、しま、しょうか………」
 街の外に随分と近づいているが、敵の魔の手もすぐ背後にまで迫っていた。激しいエンジンの音がどんどんと近づいてくる。
「……戦わずに、逃げ切る、のは、難しい、みたい、です………」
 戦う覚悟を決めて蒼は振り向く。すると角を曲がってバギーが現れた。
「居た――」
 叫び終える前に、蒼は手にした『天へ祈る幽霊花』を向けて魔力弾を撃ち込みバギーを吹き飛ばした。
「こっちで何か音がしたぞ!」
「あそこだ! 賊がいやがったぞ!」
 ぞろぞろと猛々しい音を響かせてレイダーが集まってくる。
「……見つかって、しまった、ようです………」
 蒼は狭い路地に入り、射線に入った敵に魔力弾を撃ち込んで吹き飛ばす。そうして敵を近づかせないようにしながら、道を進んで出口を目指す。

「……そこまでだ」
 しかしその行く手を塞ぐように、通路を出た開けた場所でスクラップメーカー達が待ち構えていた。その左右の手には熱を放つヒートブレードが握られている。
「……あの剣、何やら、面妖、ですね………」
 蒼は敵が手にした武器を見て警戒し、先んじて仕掛けることにする。
「……何にも、染まらぬ、誠実なる、白。何にも、染まる、無垢なる、白。……舞え、吹き荒れろ」
 高速詠唱で素早くユーベルコード『白花繚乱ノ陣』を行使し、天へ祈る幽霊花で敵の手元に向かって陣を描く。すると淡く光る月花ノ吹雪が巻き起こり、手がズダズダに切り裂かれて剣が地面の落ちた。刀身はやすやすと石畳を貫き、さらに赤く熱っしていく。
「……触れた、だけでも、危ない、剣の、ようですね……」
 その切れ味を見て蒼は近づかせないように次々と月花ノ吹雪で敵の手を狙う。
「……回避は困難か、切り払え」
 スクラップメーカー達は背中のバッテリーパックのランプを輝かせ、加速して二刀のヒートブレードを縦横無尽に振るって舞飛ぶ月花を切り裂く。
「……背中の、ばってりぃで、強化、している、ようです………」
 それならばと、蒼はふわりと月花を頭上に舞わせて背後に送り込み、バッテリーを切断してボッと火を上げさせて破壊した。
「……背後にも飛んでいるっ」
「……背中合わせになって守れ」
 しかし花はどこからでも入り込み、バッテリーを爆発させて衝撃でスクラップメーカー達を薙ぎ払った。

「……此れで、暫くは、時間が、稼げそう、です………」
 近くの敵を倒した蒼はまた逃走を再開する。
「……其れに、しても、えんじん音が、大きくて、何処にいるか、すぐ、分かり、ますね……。音の、少ない方に、逃げましょう、か………」
 敵がわざわざ自分の居場所を教えてくれているのなら、音がしない安全な場所から逃げようと蒼は静かな路地裏に姿を消した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

霧島・絶奈
◆心情
撤退戦ですね
翻弄するとしましょう

◆行動
【Evolution】を利用

二次元的機動に関してならば、確かに地形に明るい者が駆るバギーやバイクに軍配が上がるでしょう
ですが、キャバリアも決して劣りはしません
建造物を蹴り上がる、屋上を跳躍する等、三次元的機動を駆使し撤退

追手には【罠使い】として持ち込んだ「魔法で敵を識別するサーメート」を散布
更に『涅槃寂静』にて「死」属性の「津波」を行使し【範囲攻撃】

追い縋る敵は【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】し迎撃

負傷は【各種耐性】と【オーラ防御】で軽減し【生命力吸収】で回復

最終的には【空中浮遊】を活用し離脱
この世界に殲禍炎剣はありませんので…



●飛翔
「撤退戦ですね。翻弄するとしましょう」
 キャバリア『Evolution』に搭乗したままの絶奈は動き出すレイダー達を観測し、こちらとの距離を着実に詰めていると冷静に判断した。
「見つけたぞ! あれがボスをやった賊のロボットだ!」
 Evolutionの姿を見つけたレイダーが照明弾を打ち上げ、仲間達を集め始める。バイクが建物の間の細い道を通り、ショートカットして一気に接近する。
「二次元的機動に関してならば、確かに地形に明るい者が駆るバギーやバイクに軍配が上がるでしょう」
 Evolutionで道を走りながら絶奈は建物を見上げた。
「ですが、キャバリアも決して劣りはしません」
 進路を変えて装甲車を踏み台にして跳び、建物に向かって爪先を突っ込み、蹴り上がって屋上へと一気に駆け上る。そして屋上で助走をつけると三次元的機動を駆使して建物から建物へと跳躍して移動を始めた。

「なっ!? 上に登りやがったぞ!」
「クソったれ! 追える奴は上から追え!」
 何とかバイクが建物を駆け上がり、絶奈と同じルートで後を追う。
「ここは俺らの庭だ! 舐めんな――」
 このまま後方から攻撃してやろうとバイクに乗りながらレイダーが銃を構える。しかし引き金を引く前に足元で爆発が起こり、何が起きたかも分からずに吹き飛ばされて屋上から落下した。
「此のような限定されたルートで追手を罠に嵌めるのは簡単な仕事です」
 絶奈は逃げながら罠を設置し、サーメートを起爆させて敵を吹き飛ばした。
「ちくしょう! 俺たちじゃ手が出せねぇ!」
「おい! こっちだ! 後は頼む!!」
 レイダー達が手を振って応援を呼ぶ。するとスクラップメーカーの部隊が現れた。

「……逃がさん」
「……狩りを始める」
 ヒートブレードを手にバイクに乗ったスクラップメーカーが建物を駆け上がって追跡を始める。
「さて、狩られるのは何方か、試してみましょう」
 絶奈は同じようにトラップを仕掛ける。しかしその爆発を躱してスクラップメーカーは距離を詰めた。
「……一度見れば罠は回避できる」
 追い縋るスクラップメーカーが輝くヒートブレードを振るい、Evolutionの背中に刃が掠める。
「成程、練度の高い兵士のようです。ですが初見の攻撃を対処できますか……」
 絶奈はユーベルコード『涅槃寂静』を発動し、屋上に突如として大量の黒い水を落とし、自らは跳躍して次の建物に移って回避する。
「ぬぅぐぅっ!」
 ヒートブレードで斬り裂き防ごうとするが、あっという間に吞み込まれて押し流される。さらに水が宿す死の特性が生命力を奪って追撃の力を削る。
「確かに此の街の地の利は其方にあります。しかし逃げる側には戦場を選択できる利があります」
 逃げ場のない屋上を戦場に選び範囲攻撃で敵を一掃し、絶奈は次に移れそうな建物が途切れたところで大きく跳躍した。

「跳んだぞ! 落ちたところを――?」
 下で待ち構えようとしたレイダー達が空をポカンと見上げる。そこには空に浮かぶロボットの姿があった。
「飛べないとは誰も言ってはいませんよ。この世界に殲禍炎剣はありませんので……此れで失礼させてもらいます」
 敵を搔き乱すだけ搔き乱した絶奈は、Evolutionを空に浮かせてその場を離脱した。


●大脱出
「そろそろ都市の外です」
 絶奈が上空から地上を見下ろすと、同じように都市から飛び出てくる仲間達の姿が目に入った。
「よし、街の外が見えたぞ」
「……足止め、します………」
 キリカが運転するバギーに途中で拾われた蒼も同乗して、後方に月花を飛ばして追手のマシンを破壊する。
「残り全部プレゼントしますよ!」
 続いてグロリアがグレネードをばら撒いて、道を塞ぐように建物を吹き飛ばした。
「街の外まできましたね、追手もまだ来ているようですが」
「ウチらもにげるの」
 マシンに乗る猟兵が派手に逃げる陰で、レイカとサーシャもこそこそと都市を脱出した。
「皆さんも無事に脱出できたようですね」
 それらを確認した絶奈は機体を飛ばして都市から離れる。

 バーーーーーーーーーンッ!!!!

 その背後で大きな爆音が響き、振り返れば街のあちこちでカラフルな爆発が起こっていた。逃走騒ぎによって祭りの為に用意していた街中の花火に引火したのだ。
「新年を祝うに相応しい光景ですね」
 悪徳の都市が大混乱する様に微笑み絶奈は前を向く。

 新年早々の悪党退治に成功し、良き一年になりそうだと猟兵達はお祭り騒ぎのように爆発する都市を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2021年01月15日


挿絵イラスト