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銀河帝国攻略戦⑤~戦争を知りたい子供たち

#スペースシップワールド #戦争 #銀河帝国攻略戦

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「……戦争、か。ある程度は覚悟もしてたし、もう開戦してから少し経ってはいるけど……正直、まだ実感湧かないよね」
 顔の半分弱を隠すマスクの位置を正しつつ、神妙な目つきで虚空を眺める少女──グリモア猟兵の一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)が、訥々と言葉を紡ぐ。

 気合いを入れるようにして、ぱん、と軽く両頬を叩き、彼女は再び口を開いた。
「ともかく、やれることはやっていかないと。先の遺跡船探索の時にミディアさんが手に入れたユーベルコードについて、流石にもう噂くらいは聞いてるよね?」
 ミディアが手に入れた力は、簡単に言えば“宇宙船にワープする機能を追加する”という能力である。
 これまで銀河帝国が独占していた遺失技術たる『ワープドライブ』の力を手に入れたことにより、これまで一方的に攻められていた宇宙船国家らはその全戦力を糾合して銀河帝国に応戦することが可能となった。
 銀河帝国に対抗する伝説の『解放軍』の再来──誰が最初に言い出したのかは知らないが、ともかく宇宙船の人々は解放軍の御旗のもとに今もなお集い続けている。

「当然、相手がそれを黙って見てる訳は無いよね、って話。銀河帝国の宇宙戦艦がこっちの宙域にばんばんワープして来てて、ワープドライブがまだ付けられてない戦艦を撃墜せんと目論んでるみたいでさ。皆にこれから行って貰う所も、そうやって戦ってる真っ最中の戦艦の中でね……しかも、敵の戦艦の方。超々ホットスタートになるから、転送前にちゃんと戦闘する準備整えておいてね」

 説明と皆の準備が終わったら即座に転送するから、と続けると、亞衿は猟兵たちの方へと向き直った。
「もちろん、これまでの全部が負けられない戦いであったとは思うんだけど……この戦争に負ければ、スペースシップワールドそのものが滅ぼされちゃう可能性があるからさ。言い方はアレかもだけど、重みが違う、って意識だけは持っておいて。まあ、あたし自身ちゃんと認識出来てるのかよく解んないんだけどね……」

 実感が湧かないし、戦争とかよくわからない。

 それは比較的最近まで普通にUDCアースで育ってきた彼女の、ある意味平和ボケとも取れるような言葉ではあったが──猟兵になるまで争いとは程遠い世界で育ってきた者たちの中には、似たような感情を抱いている者も居るかも知れない。
「……まあ、慣れて嬉しいものでも無いからね。平和なこと言ってられるだけの余裕がある世界を取り戻すべく、みんなで頑張っていきまっしょい!」
 猟兵たちの様子を見回すようにしながらそう言い、亞衿は拳を振り上げつつ、えいえいおー、と掛け声をあげた。



「例によって例の如く、予知したあたし自身は戦闘に参加出来ないけどさ。応援してるから、くれぐれも気をつけて……『長寿と繁栄を』!」
 片手でハンドサインを作ってみせつつ、彼女は転送を開始するべく四角錐型をしたグリモアを出現させ、それを起動する。

「それじゃ、転送するよ! 目標、敵勢力の撃滅および敵宇宙戦艦の撃墜! 敵勢力、小型歩行戦車多数! 転送先は敵宇宙戦艦内、敵陣ど真ん中! ……スタンバイ、レディ──」


生倉かたな
 このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
 1フラグメントで完結し、「銀河帝国攻略戦」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。



 はじめましての方ははじめまして、生倉かたなと申します。
 ついに戦争ですね。過去作とは趣が全然違うので、私もドキドキです。ひとまずは敵戦力を地道に減らしていく気概でやっていきましょう……とか言ってたら数分の差で第一陣のオープニング申請間に合わなかったんですけども、それはさておき。

 “帝国戦線Ⅱ”突破のための前哨戦、『⑤帝国戦艦迎撃指令』に属する集団戦シナリオです。
 転送により敵戦艦に直接乗り込み、小型歩行戦車を倒しつつ戦艦の破壊を目指す……という流れのシナリオとなります。破壊した戦艦から離脱する際にはミディア嬢がワープドライブ搭載艦で近くまで助けに来てくれるため、逃げる際のことはあまり深く考えず容赦無く敵戦艦をぶっ潰してください(もちろん、自前で逃げる方法が用意出来るのであればその方法で逃げて頂いて構いません)。

 それでは、よろしくお願いいたします。
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第1章 集団戦 『小型歩行戦車』

POW   :    インペリアルキャノン
【機体上部に装備されたビームキャノン】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    タンクデサント
【完全武装した銀河帝国歩兵部隊】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    サイキックナパーム
【機体後部から投射する特殊焼夷弾】が命中した対象を燃やす。放たれた【搭乗者の念動力で操作できる】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アンノット・リアルハート
敵を倒して、コアに辿り着いて攻撃……は、ちょっと回りくどいわね。やるならそのまま貫いてあげましょう!

コアへと続くルート開拓を狙います
【王家の星よ、我が身を燃やして命を救え】と【ゴッドスピードライド】を同時に発動。突撃槍に変形させた【ノイギーア・シャッテン】を正面に構えて、自分の出せる全速力で転移地点からコアに向かって一直線に突撃。道中にいる小型歩行戦車を吹き飛ばしつつ、壁や隔壁に穴を空けて他の猟兵が続くことのできる道を切り開きます

道中の攻撃や瓦礫は光のベールで防御。またコア接近しての直接攻撃を狙う味方が入れば、一緒にバイクに乗せます。


エミリィ・ジゼル
今回の相手は小型歩行戦車の集団ですか。

メカにはメカ。
こちらも≪暴れ回るメイドロボの術で≫巨大ロボットへ変身し、
かじできないロボの集団で小型戦車集団を一網打尽にしてやりましょう。

相手はそれなりに数が多いようですし、こちらも手数を重視。
マルチミサイルの一斉射で並み居る敵を粉砕していきます。
どうせ戦場は敵地のど真ん中ですからね。
周囲の損傷は気にせずに、むしろ壊す勢いで暴れまわってやります。

もし相手がビームキャノンで攻撃してきたら
ビームシールドで跳ね返して逆に相手にあててやりましょう。

また随伴兵を呼ばれた場合はこちらも≪増えるメイドの術≫でかじできないさんズを呼び出し、返り討ちにいたします。


ムルヘルベル・アーキロギア
孫子に曰く、"激水の疾くして石を漂わすに至るは勢いなり"と云う
また"鷙鳥の撃ちて毀折に至る者は節なり"とも続けている
ようは「一瞬に怒涛の勢いを叩き込むのが上策」といったところよ
相手が大群であろうがこれは同じ 一気呵成を以て蹴散らしてくれよう

……という話を仲間たちにしたうえで、可能であればタイミングを合わせて攻撃を仕掛けたいところだ
ワガハイのユーベルコードに共感してくれた者ならば、その力は十分に強化されているだろう
ワガハイ自身は……そうさな、この魔法の羽根ペン『コズミック・フォージ』で魔力の文字を描き、彼奴らに稲妻の雨でも降らせるとしようか
近づいてきた敵への対処は仲間に任せるとするのである


ロクガツ・クロッカス
【UC、技能、アイテムは〈〉で囲む】

よいしょっと(一郷にテレポートして貰う前に、元は艦装であろう〈六連装ミサイルポッド〉を担いで、清々しい笑み)
敵地!周り壊してもOK!退路確保済み!特殊な戦闘目標無し!
これはホワイト戦場……!
行ってきまーす!

【POWを使用】
開幕〈面制圧戦術〉で小型歩行戦車に〈先制攻撃+一斉発射〉!
ミサイルの噴煙に紛れて距離を詰めたら〈対物重狙撃銃・徹甲型〉でゼロ距離射撃だ!

今回は派手な攻撃を控える必要もない
真正面から戦車と殴り合える重装備だよ!

得体の知れない帝国の末端じゃなく、帝国本体を!叩きに行ける!
確かに激しい戦争になるだろうけどさ!
心踊らない訳がない!



「……こんな言葉を知っておるか?」
 転送の準備が整いつつあるグリモアベースにて、少し癖のついた乳白色の髪を持つ猟兵が口を開いた。
「孫子に曰く、“激水の疾くして石を漂わすに至るは勢いなり”と云う。また、“鷙鳥の撃ちて毀折に至る者は節なり”とも続けており──」
 滔々と話す彼の名は、ムルヘルベル・アーキロギア(宝石賢者・f09868)。一見すると少年のようにも見えるその幼げな外見に見合わずかなりの長寿である彼は、少々尊大とも思えるような口調で弁舌を振るう。
 無論、ただの趣味でやっている訳では無い。ムルヘルベルの持つユーベルコード『賢者の箴言』は、彼の話す“偉人の格言や書物から引用した言葉”に共感した対象の戦闘力を増強する能力を持つ。故に、事前準備の一環として彼は兵法について講義をするようにして語っていたのだ。

 そろそろ転送が始まろうかという頃合になった頃、愛用の乗機たる機械式の空飛ぶ箒“メタルハート・ベーゼン”に腰掛けるようにしていたアンノット・リアルハート(忘国虚肯のお姫さま・f00851)が、ムルヘルベルに問いかける。
「えっと、つまり……?」
「──要は、一瞬に怒涛の勢いを叩き込むのが上策、といったところよ。相手が大群であろうがこれは同じ、一気呵成を以って蹴散らしてくれよう!」
 胸を張るようにしながらそう総括したムルヘルベルの背後から、メイド服を身に纏った女猟兵──エミリィ・ジゼル(かじできないさん・f01678)が声を掛けた。
「ふむ、一理ありますね。相手の数も多いようですし、幸いにして戦場は敵地のど真ん中ですから──」
「派手な攻撃を控える必要も無いよね! 周り壊してもOK! 退路確保済み! 特殊な戦闘目標無し! これはホワイト戦場……!」
 エミリィに続くようにして言葉を続けたのは、仰々しいミサイルポッドを担いだロクガツ・クロッカス(スペースベトコン・f06933)。猟兵であると同時に傭兵でもある彼女は、状況の説明を受けた直後からずっと喜色満面といった様子を見せていた。
「──その通りです。思い切り暴れまわってやりましょう。我らの武器は二つ! 突然の登場、恐怖、そして冷酷さ!」
「……それ、三つでは無いか?」
「おっと、これは失礼。数の覚えが曖昧なものでして」

 いつの間にか分裂するようにしてその数を三人に増やしていたメイドたちが瀟洒にお辞儀をしたのとほぼ同じタイミングで、転送開始の号令が掛かる。
「皆さん、雑談はそこまで。エミリィさんにロクガツさん、露払いよろしくね!」
「まっかせてー! もう開幕から全員やっつけるくらいの気で行くから!」

 アンノットの言葉にロクガツが快活に返答をし──そして、転送が始まった。



 解放軍の宇宙戦艦と激しい艦隊戦を繰り広げている真っ最中の銀河帝国戦艦の一室、広々とした空間──ハンガーベイらしきその場所の中央付近に、燐光が発生した。

 一体何事か、とばかりに、小型艦の出撃準備を行っていた帝国兵たちは慌てつつも身構える……が、その判断が誤りであった。
 防御を固めつつ迎撃態勢を取っていた帝国兵たちの元へ、弾丸らしきものが飛来した。ごくごく小さな衝撃と共にそれを受けつつ、その衝撃の軽さに少し不審を抱いた一兵士は己が遮蔽としていた物理シールドの表面をちらりと確認し──マーカー弾らしきものが命中した痕跡を認めると同時に、その発射元たる燐光の中に浮かぶ巨大な影の姿を視界の端に捉える。

「先手必勝! まとめて吹き飛ばすっ!」
 影が蠢き、威勢のいい声が上がった──そこでようやく、兵士はその巨大な影が巨大なミサイルポッドを担いでいる人間の影であることに気付く。そして、それに続くようにして光の中に続々と人影が出現していることについても。
 ……しかし、何もかも遅い。転送直前からミサイルポッドの発射態勢を整えていたらしき女猟兵──ロクガツは、先程放った誘導マーカー弾に続いて今まさに反物質ミサイルを発射せんとしていた。

「て、敵襲! 敵影、猟兵多数! 増援を頼──」
 いち早く異常に気付いた兵士は周辺の通信機越しに状況を伝えるべく大声をあげたが、その半ば叫ぶような声は対消滅反応により発生した爆発的なエネルギーに飲まれ途中で断ち切られた。



 ロクガツが『面制圧戦術』による六連装ミサイルの一斉発射を行ったのに合わせ、彼女に背を向けるようにして位置取っていたエミリィが何やらポーズを取った。
「かじできないさん! 拡ぅーーー、大っ! とうっ!」
 そう叫ぶと同時に、彼女の体はみるみるうちに巨大化していく──『暴れまわるメイドロボの術』という名を持つそのユーベルコードにより“巨大メイドロボモード”なる姿へと変貌するや否や、エミリィはその巨大な体躯の各所を展開してマルチミサイルを発射する。

 二人の猟兵がお互いの死角を補い合うようにして放ったミサイル群により巻き上がった噴煙にむせつつも、ムルヘルベルは敵の増援に備え愛用の武器たる魔筆を構えた。
「ぐぇっほ、ごっほ……た、確かにワガハイ一気呵成で行くべきだとは言ったがな! 物事には限度というものが──」
「回りくどい手段なんか取っていられないわ! どうせ一気にやるなら、そのまま貫いてあげましょう!」
 同じく武器を構えるようにしたアンノットは彼にそう声を掛けると、その手に持った黒々とした槍の形状を変化させていく──今は亡きリアルハート王国の守護竜の影、“ノイギーア・シャッテン”。現世において王国唯一の生き残りとも言える存在のアンノットの望み通りに形状を変貌させる性質を持つその装備は、この場において突撃槍の形状をとった。
「私はコアを目指すから、ここはお願い! 場所が判明し次第、連絡するから!」

 黒い突撃槍を構えたアンノットは事前に変形させていた機械式箒に姿勢を低くするようにして跨り直すと、立ち込める爆煙の中へと全速力で突貫していく。
 何とか体勢を立て直した帝国兵たちと先の増援要請を聞きつけてやってきたらしき小型歩行戦車数機が、それに追い縋る──だが、彼女の全身を包み込むようにして発生した光のヴェールがそれを許さない。『王家の星よ、我が身を燃やして命を救え(サルヴァツィオーネ・アンノット)』を発動することにより防御を保ちつつ高速移動することが可能となったアンノットは、戦艦内の壁や隔壁に大穴を空けることにより物理的に道を切り開きながらハンガーベイから遠ざかって行った。

「……おお、やりおる。ワガハイも負けてはおられんな!」
 アンノットの突撃に伴い少しだけ煙が晴れた周囲の様子を見回し、ムルヘルベルも攻撃を開始する。
 ムルヘルベルの持つ魔法の羽ペン、“コズミック・フォージ”。それは、記したことが全て現実になる禁断の魔筆……実際のところその真偽は定かではないのだが、ともかく彼はそのペンを振るい空中に文字らしきものを筆記する──すると、部屋の上方、新たに現れた敵の頭上付近に雷雲めいた影が発生した。

 上空から降り注ぐ稲妻の雨。それを振り払うかのようにして、増援たる小型歩行戦車はビームキャノンを発射する。
 猟兵たちの元にも飛来したその攻撃を、巨大化していない状態のエミリィが腕に装着した長手袋よりビームシールドを展開して弾いた。ちなみに、彼女は『増えるメイドの術』にて出現したエミリィのコピー体のうちの一人だ。転送前に使用していたのが功を奏したらしい。
 ミサイルを粗方撃ち終えひとまず用済みとなったポッドを肩から下ろしていたロクガツの姿を見、傍らに立っていた更に別のエミリィが声を掛ける。
「クロッカス様、随分と楽しそうなご様子ですね?」
「当然! この戦い、この戦争は、帝国本体を! 叩きに行ける!!」
「若干不謹慎とも取れる喜びようであるなあ……どう決着がつこうとも、双方に甚大な被害が出るのは間違いないであろうし……」

 此度の戦争に対して色々と思う所があるらしきムルヘルベルが少し息を吐くようにしながらそう応じるも、ロクガツは意に介さない様子。
「確かに激しい戦争になるだろうけどさ! 猟兵として、傭兵として──心踊らない訳がないっ! 」
 いっそ清々しくも感じられる笑みを浮かべつつ、彼女は身の丈程もある巨大な対物ライフルを担ぐと、爆炎と硝煙の舞う戦場へと突撃して行った。
 それに続き、転送されて来た猟兵たちが続々と戦線へと加わっていく──



 ──時を同じくして、別の場所にて。

 メタルハート・ベーゼンに跨り戦艦内を飛ぶアンノットが、その顔に苦悶の表情を浮かべた。
 彼女が今もなお使用しているユーベルコード、『王家の星よ、我が身を燃やして命を救え』。それは強力無比な効果を持つものの、使用するために寿命の消費という重い代償が必要となる技でもあった。
 周囲に立ち込めていた煙の影響もあり、先程は幸いにして難なく敵陣を突破することが出来たものの、いち早くコアの場所へと辿り着かねばならないことには違いない。

「誰かを救えるなら、自分なんて安いものっ……!」
 自身を鼓舞するように呟きつつ、彼女は“箒に乗せたもう一人の猟兵”の指示のもと、戦艦の弱点部位たるコアマシンが存在するであろう場所へと向かう──

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

桐崎・早苗
いくさ場こそ武士の華。
桐崎の早苗、参ります…!

●戦闘
可能な限り相手の隊列を乱して乱戦とし、得意な個の戦いに持ち込むのを試みたいところ。
【ダッシュ】や【気合い】の技能を活用し【合気ノ構え】の応用で敵の攻撃を弾き受け流しながら接近を試みます。
他の味方が作る隙があればそちらも活用を。
正面の傷は武士の誉れ…前へ、前へ!

可能なら他のユベコも。
隙があれば【狐火の舞】妨害し【霞朧】でまとめてダメージを与えたいところ。
戦艦の破壊は他の方にお任せします。

・アレンジOK
・使えそうな技能は活用希望
・【妖狐の血】は不使用

●様式
・右に刀、左に短刀の二刀流
・右を前に向ける半身の構え
・基本は片足を軸に円の動きで受け流す動き


神酒坂・恭二郎
「気楽には無理かもだが、力まず行こうや」
一郷さんに一声かけて戦場へ。
転移を終えたら険しい顔になる。あんな子にあんな決意をさせる辺り、銀帝もろくなものではない。
急ぎあるべき過去に送り返そう。

手早く決めると決めた。
開幕に掌の中の絵馬ホルダーをかざし星白鮫を転移させる。
背の鞍に足をかけ、手綱を引いて連中の上空に踊り上がりざま、手拭いを長く伸ばし大きく振り抜いて青い光の衝撃波で薙ぎ払う。

「今日の俺は機嫌が悪いぞ。死にたい奴から前に出な!!」

戦車の苦手な頭上から、衝撃波を纏った布操術で大いに憂さ晴らしさせてもらおう。


レン・ランフォード
【SPD】
戦争なんてない方がいいに決まっています
でも始まってしまった以上逃げられませんね…絶対に勝って生き残りましょう

転送前に人格をれんに交代
出たら化身法を使いながら敵に突っ込み錬に代る
後は全部ぶった斬る…速攻でな!

まずは戦車だ
進路上の歩兵だけ斬りながら戦車へと姿勢を低くして「ダッシュ」で接近
化身法で上がった力で装甲ごと…といきてぇが
ダメみてぇなら間接斬って転ばして動力か操縦席にザクリと行こう
「見切り」「第六感」「フェイント」「残像」「地形の利用」使える能力は全部使って止まらずに動く
代償の毒を「毒耐性」で抑えられている内に、な
終わったら血吐いて倒れるかもしれねぇな…

アドリブ・共闘歓迎


レッグ・ワート
逃げたい、って思う可能性のある生き物が無くなると俺の仕事無くなるだろ勘弁してくれ。まあ向こうは今や生体機械関係なく仕様上そう来るんだから、言っても仕方ないわな。例のハンドサインはお前らには宛てねえよ。

俺は先行組の退路確保を兼ねた敵戦力潰し。宇宙バイクで走りながら戦車の脚や後ろを鉄骨でぶん殴ったり、ビーム発射しそうなキャノンに糸絡めて他所向けたりさ。追跡や逃げ足で間縫う操縦して敵の注意をとっちらけたりしていきたい。装甲が丈夫なら、装備は自機の範囲かつ猟兵を例外指定したブレードエピダミスですれ違いに片手でスパッと撫で切るぜ。一度車内が見れたら、他のには制御盤諸々がある位置を狙って切り込んでいくわ。





 猟兵たちに強襲され、騒然とする帝国艦船内。
 増援要請を受け、小型歩行戦車に騎乗した帝国兵たちが続々とハンガーベイへと押し寄せて来る。しかし、増援が来るのは帝国兵たちばかりではない。ミサイル群による露払いが終わったのを皮切りに、控えていた猟兵たちが続々と出現した。

「いくさ場こそ武士の華──桐崎の早苗、参ります!」
 そう名乗りを上げると、二振りの刀を構えた桐崎・早苗(天然風味の狐娘・f10614)が敵陣へと切り込んでいく。
 視界の悪い中、自身に向けて放たれる特殊焼夷弾を紙一重で見切りながら、彼女は気合一閃とばかりに右手の刀を振るった。小型戦車の随伴歩兵たちが、辺りを包む噴煙ごと斬り裂かれる。

 それに続くのは、レン・ランフォード(近接忍術師・f00762)。普段彼女がその顔にかけている眼鏡は、転送前の時点で既に外されていた。
「いくよ。つっこむから、よろしく」
 三人の魂をその身に内包する多重人格者であり、そして化身忍者たる彼女は、早苗の後を追うようにして敵陣へと突っ込みながら『降魔化身法』を使用する──妖怪、悪鬼、そして幽鬼の力をその身に宿した彼女は、その人格を忍術担当の“れん”から荒事担当の“錬”へと変化させる。
「ああ、全部ぶった斬る……速攻でな!」
 人格の交代に伴うようにしてその顔に野性味のある表情を浮かべた彼女は、早苗によって随伴兵が倒された小型歩行戦車へとの関節部へと苦無を投げ放った。状況を把握しきれないまま振り向こうとした歩行戦車が大きく姿勢を崩した隙を狙い、錬は装甲もろとも操縦席を叩ききらんとするべくそれへ飛び掛かる。
 他の戦車の傍らに控えていた帝国歩兵が機敏に反応し、錬へと光弾を放つべくビームライフルの銃口を向ける──しかし、早苗がそれを許さない。円を描くような動きで歩兵の腕を絡め取りながらその勢いを生かして床へと転がすようにして投げた彼女は、兵に体勢を整えさせる隙を与えずそのまま止めを刺した。

「ち、流石に硬ぇな……っ!」
 日本刀での斬撃を放つも装甲を切り裂くまでには至らなかったのを確認し、錬は狙いを動力パイプへと切り替える。彼女が機体の下部から生えたパイプを叩き斬ると、戦車が掲げるようにしていたビームキャノンが力無く垂れ下がった。
 念のため戦車の関節へと斬撃を見舞い完全に破壊しつつ、錬は辺りを見回す。自身も早苗も乱戦は望む所ではあるものの、戦車相手に真正面から戦う義理は無い──煙に紛れて“別の何か”が立ち上っていたことに気付いた彼女は、戦車から飛び退りながら早苗の方へと声をあげる。
「パイプが弱点だ! そこを狙えっ!」
 
「委細承知いたしました! 我が一族に伝わりし退魔の秘剣――『霞朧』っ!」
 早苗がそう返答した直後、右半身の構えをとりながら帝国歩兵と相対していた彼女の姿が一瞬掻き消え──それと同時に、小型歩行戦車とその随伴兵たちを無数の斬撃が襲った。
 霊力から作った濃霧を通じ、その霧の一粒一粒が刃となったかのような無数の斬撃を放つ秘剣、『霞朧』。一撃の威力は小さくとも、その数は無数。事前準備たる濃霧が煙に紛れて仕込まれていたのもあり、帝国兵たちは全く反応出来ないままに打ち倒されていく。



 早苗が攻撃を放ったことにより、周囲に立ち込めていた濃霧と噴煙が晴れた。片手に何かを構えるようにしながら出現した神酒坂・恭二郎(スペース剣豪・f09970)が、すかさずそれに続く。
「頼むぜ、相棒!」
 そう言いながら彼が翳したものは、鮫印のスペース絵馬ホルダー。光と共に現れるは、彼が“星白鮫”と呼ぶ宇宙生物──飛行する鮫、スペースシャークだ。

 戦争など、ろくなものでは無い。あの銀帝を急ぎあるべき過去へと送り返さなければ。
 そう決意を胸に灯しつつ、彼は鞍を装着した鮫の背に飛び乗ると機械化箒が飛び去っていった方向を見やる。鐙に足を掛け、彼は刀──では無く、一枚の布を片手に構えた。
「……今日の俺は機嫌が悪いぞ。死にたい奴から前に出な!!」
 宣言と共に、彼は空飛ぶ鮫の手綱を引く。壁面に空けられた穴から新たに姿を現した小型戦車の上を飛び越えながら、彼は風桜子(フォース)を伝導させた手拭いを振るい衝撃波を放つ。
 砲塔を構えた歩行戦車が青い光により薙ぎ払われ、戦車と共に姿を現した歩兵は慌てて銃を構えた……が。

「──よそ見か? 随分余裕そうだな」
 空飛ぶ鮫の後を追うようにして現れた新たな猟兵──レッグ・ワート(其は脚・f02517)が、バイクですれ違いざまに兵士たちを撫で斬りにする。
 軽く掲げるようにした彼の片手から生える武装、『ブレードエピダミス』は、彼の外殻たる装甲に触れたものを両断する一種の自動兵器だ。先程の錬からの報告を思い返しつつ、彼はバイクを走行させながら半ば横たわった小型戦車の動力パイプ付近をすぱすぱと手早く両断していく。

「レグさん、だったか? やるねぇ、俺の剣に負けず劣らずの切れ味かも知れん」
 空飛ぶ鮫の速度を落としてバイクと並走するようにしながら、恭二郎がにやりと笑いつつ声を掛けた。
 展開していたブレードを格納し、レグことレッグ・ワートは手馴れた様子で強化鉄骨を片手に持ち直しながらそれに応じる。
「そりゃどうも。ま、俺は退路の確保要因なんでね……このままで辿り着いた時にゃ、ご自慢の剣技を見せて貰うとするさ──っと!」
 曲がり角から姿を現した新手たちへと、レグは続けざまに出会い頭の一撃を見舞う。がぃん、ごぃん、と音が鳴ると共に、彼の腕に衝撃が伝わり──最後の一撃の感触がほんの少し軽いものだったように感じ、彼は少し怪訝そうな声を漏らした。

「どうかしたのか?」
「いや、何となく感触が軽かったような気がしてな……」
「ふむ……ナパームを撃ってくる様子も無かったし、誰も搭乗者していなかったんじゃないか?」
「あー、AI操作になってた可能性はあるか。帝国兵の奴ら、もうここから逃げ出したりし始めてるのかもな……知ったこっちゃ無えけど。俺、流石にあいつらを救助する気は無いしさ」

 そんな軽口混じりの会話を交わしつつ、二人はアラートの鳴り響く艦内を邁進する。



 未だ敵の数は多いものの増援は現れなくなったハンガーベイにて、先程からずっと動きを止めずに飛び回っていた錬が軽く咳き込んだ。
 水気を感じて、彼女は軽く口を拭う──手の甲に付着した自身の血をちらりと見やり、錬は少し焦りを見せる。

 化身法の代償として受けた呪毒をここまで何とか耐え続けていたが、流石にそろそろまずい。
 そう判断した彼女は、残る力を振り絞って前線から離脱する。大勢は既に決していると言えるような状況であったものの、戦地のど真ん中で倒れる訳にはいかない──そう考えていた彼女の耳に、歌声のようなものが聞こえて来た。ほんの少しだけ体の負担が軽くなったように感じ、彼女はその音の発生源の方へと視線を向ける──

 ──そこには、巨大な異形が立っていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

ヴロス・ヴァルカー
帰る星を失ったとはいえ、スペースシップワールドは私の故郷。
滅ぼされるわけにはいきません。
どうやら、味方の活躍により少なくない数の敵が撃破済みの様子、ありがたいことです。

残骸となった敵を集めて【黒き心臓】を。
全て混ぜ合わせ、巨大兵器でも作りましょうか。
飛んでくるナパームは、巨大兵器が持っているビームキャノンで撃墜を。
巨大兵器が傷を負った場合は、【シンフォニック・キュア】での回復を狙います。

巨大兵器が呼び名じゃ少しかわいそうですね。
…『教導騎士』よ、貴方に機神の祝福があらんことを。


玖篠・迅
戦争も驚いたけど、銀河皇帝の目的にも驚いたなあ
邪魔するためにもまずこの戦艦壊すのがんばるか!

式符・青黒で2体呼び出して、小型歩行戦車の相手頼むな
亀蛇は守り中心の水攻めで、龍は風で吹き飛ばしたり鎌鼬で切り裂いていってな
他の猟兵がいたらそれ援護する形でどんどん攻めてくれ

俺はその間に戦艦壊しのに「ハッキング」で色々いじってみるか
近くのハッキングできそうなとこを「第六感」と「野生の勘」で探してみるな
なかったらこれでも電脳魔術師だし、ゴーグル使って無理矢理侵入やってみるか
狙いは動力部とか火器関係に負担かけて暴発させたり、隔壁落として帝国兵の邪魔したり
中々壊せそうにない時は…自爆の機能ないかな、この戦艦



 もはや大勢の決した戦場に駄目押しとばかりに現れた、巨大な異形。
猟兵たちに破壊された小型歩行戦車、そして先程まで地面に倒れ伏していた帝国歩兵部隊をも材料としているらしきその生体兵器は、ヴロス・ヴァルカー(テック・プリースト・f03932)によって造り出されたものだ。

「教導騎士よ、貴方に機神の祝福があらんことを……」
 彼はそう言うと、自らが生み出し“教導騎士”と名付けた生体兵器に力を与えんとすべく、機神を讃える賛美歌を演奏し始める──しかし、彼は楽器らしきものを手にしてはいない。金属製の触手にてその全身を構成している彼の躰、それそのものが楽器なのだ。彼は頭部の炉から己の躰たる金属管へと蒸気を送り込むことにより、全身で“歌う”。

 パイプオルガンのような音色が、戦場に響き渡る。
 それに呼応するようにして動き出した巨大な生体兵器へ向け、有人操作されているらしき歩行戦車が焼夷弾を放った。しかし、教導騎士は身体の各部から生やしたビームキャノンを発射することにより戦車ごとそれを薙ぎ払う。
 ゆっくりと歩を進める教導騎士の姿──より正確に言うならば、“異形に取り込まれ不明瞭な呻き声をあげるかつての同僚の姿”に臆したらしき兵士たちが逃げ出していく様子を眺め、傍らに黒い亀蛇の式を控えさせつつ戦艦のハッキングを試みていた少年の姿をしたヤドリガミの男猟兵──玖篠・迅(白龍爪花・f03758)が、うわあ、と少し引いたような声を上げた。

「すごいって言うか、ちょっとえげつない感じするな、あれ……」
 えげつない、との評にほんの少し首を傾げ、ああ相手を容赦なく薙ぎ倒していく様子がですか、と一人得心したヴロスは、彼に応じる。
「戦いに慈悲は無用です。帰る星を失ったとは言え、この世界は私の故郷……本来ならば救いは等しくあるべきですが、滅ぼされるわけにはいきませんからね」
 決意を込めて発されたその言葉を受け、ヴロスの頭部から放たれる赤い光を電脳ゴーグル越しに見つめていた迅は息を飲み──丁度その瞬間にゴーグル上へと艦内情報を伝える文字が流れ込んできたため、彼は慌てて姿勢を整えその内容を確認した。

「あ、帝国兵の奴ら、やっぱりもう逃げ始めてるみたいだ。戦艦の外に逃げた奴についてはひとまず放っておいていいかもなー……うん?」
「どうかされましたか?」
「いや、自動操縦状態になった戦車が一箇所に集まって行ってるっぽいんだけど……」
 全身で音楽を奏で続けつつ、ふむ、とヴロスは腕を組むようにしてみせる。
「恐らく、その場所にコアマシンがあるのでしょう。こちらの狙いが戦艦の無力化であることはあちらも承知しているはずですから、せめてもの嫌がらせ……と、言ったところかも知れません」
「コア向かってる人もいるみたいだし、戦力集中されると面倒かもな……隔壁落としたりしておくか」

 戦艦を自沈させる方法を探してみても良いかもな、と一瞬考えたものの、今の状況でそれをやるのは流石にまずいと思い直し、迅は軽く頭を振った。
「機関部に負荷かけて壊すくらいにしとくかなー……あれ、もう壊れてるっぽい。ごつい箒の人たちが壊したのかな?」
「コアを目指すとの話でしたが……まあ、そういうこともあるでしょう。私達は残存兵の討滅に専念しますので、情況に変化があれば教えて下さいね」
「ん、了解ー……あ、俺の龍は取り込まないでくれなー!」

 焦ったように言葉を付け足した迅に手を上げて応じ、ヴロスは戦場に向き直る。
 迅が先の亀蛇と共に放った青龍の式の働きもあり、今や敵の姿はまばら。並大抵の無人兵器如きなら教導騎士はものともしないであろうし、先に聞いていた“作戦”のことを考え艦内の安全を確保しておくべきかも知れない──そう判断した彼は、教導騎士と共に壁面に空いた大穴から艦内へと歩を進めて行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

明石・真多子
お!多脚メカだ格好良い!でも足は8本じゃないんだね残念…。

囲まれて焼かれるとアタシ焼きタコになっちゃうから派手に行くのはマズイよね?
まずは【タコフラージュ】で「迷彩」して姿を隠すよ。
そのまま小型歩行戦車の一台にこっそり張り付き機会を伺おう。
ガッチリと張りついたアタシは激しく動いても振りほどけないよ!
戦車の情報とかも盗み聞きするよ。

仲間が暴れ出したらチャンス!
戦車の主砲を無理やり曲げて敵集団に向けたり、後ろから出した焼夷手榴弾はキャッチしてポイポイ周りの敵にぶつけるよ!
戦闘兵に怪しまれたら、戦車ごと振り回して「なぎ払い」してトンズラしちゃおう!

協力、改変、アドリブ、何でも歓迎!自由にいじってね!


黒城・魅夜
戦車が相手ですか。まさにこれぞ「猟兵」の名にふさわしい戦場、ですね。
では、遠慮せずにまいりましょう。乱戦であってこそ私の鋼鎖も存分に振るえるというものです。

【先制攻撃】【範囲攻撃2】【なぎ払い3】【二回攻撃3】。出し惜しみはしません。すべての技能を使って、戦車群および随伴歩兵に向け、縦横に鎖を唸らせてあげましょう。

逃げ出す歩兵がいたら、一人はあえて見逃し、その後を追跡。敵艦中枢を見つけ出したなら、『緋色の弔花は悪夢の深淵に狂い咲く』を発動して完全破壊を試みます。
そう、この暗き宇宙に咲く一輪の美しい花、それは忌まわしき戦艦の断末魔の閃光です。

(アドリブ共闘歓迎です)


春日・釉乃
【アドリブ改変・連携歓迎】
芋煮艇なら、助け合いっしょ!
亞衿ちゃん…あとはあたしに任せて。

芋煮艇の仲間が既に様々な攻撃で敵を振り回している隙に、【獨孤究剣】で銀河帝国の戦艦の破綻――即ち『コアマシン』を左眼の魔眼の[第六感]でどうにか探して強烈な一撃を仕掛けるよ!
両腕を翳し、解き放った十字のエネルギー【無限光】で[鎧無視攻撃]を行い、命中さえすれば超光速の時間逆行により対象を「存在する前」の状態に戻し、存在そのものを虚無へと消し去ってあげるんだからっ

この攻撃なら余計なダメージを戦艦に与えることもないし、コアマシンを喪った船を鹵獲して解放軍の戦力に回せないかどうか戦闘後にミディアさんと相談するね。





 アラートの鳴り響く艦内の廊下を、AI操作される自立兵器と化した二足歩行戦車が駆けていく。
 その後ろ姿を追い、黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)は漆黒の髪を揺らしながら走る。

 先の乱戦の途中で逃げ出した敵を追えば、敵艦中枢へ辿り着けるはず──そう考え、彼女はいち早く逃げ出した歩兵を追って後続の仲間たちに先駆けハンガーベイから艦内へと侵入していたのだが、彼女にとって誤算だったのは敵の士気が思いのほか低かったことであった。件の逃亡歩兵はそのままの勢いで脱出ポッドらしきものに乗り込むと、艦外へと逃げていってしまったのだ。
 どうしたものか、と考えていた矢先、二足歩行戦車の姿を見かけた彼女はそのまま追跡対象を切り替えた。直後に受けた通信によれば、あの二足歩行戦車が向かう先はコアのある中枢部とのこと。コアを守るべく戦車が集結しているとの報を受けた彼女は、そのような場であれば私こそ適任である、と名乗りを上げ──そして、現在に至る。

 程なく後、果たして彼女はコアマシンの存在する一室へと辿り着いた。
「多数の敵相手であってこそ、私の鋼鎖も存分に振るえるというものです……!」
 戦車ひしめく戦場の様子を一瞥し、彼女は鈎付きの鎖をじゃらり、と構えると、そのまま敵陣へと突っ込んでいく。

 無人兵器化した戦車たちが一斉に砲塔を向け、光弾を発射する──が、遅い。光弾が飛来した先にあった魅夜の残像が掻き消えると同時に、戦車の群れの頭上へと飛んでいた彼女はユーベルコード『緋色の弔花は悪夢の深淵に狂い咲く』を使用する。
「……出し惜しみはしませんっ!」
 彼女の宣告するかのような言葉と共に現れたのは、忌まわしき鎖の群れ。六台いた小型戦車たちは各18本の鎖の直撃を受け、みしみしと装甲を軋らせる。
 動きは止められたものの破壊するまでには至らなかったのを確認し、魅夜は二回目の攻撃を放つべく構えを取り──瞬間、危険を察知した彼女はその場から飛び退った。

 自身が入ってきた場所とは別の出入口の方へ、魅夜は素早く視線を向ける。小型戦車、新たに二台。魂の宿らぬ無人機であれば物の数では無いとは言え、先に使った技を再び使うのであればその性質上放置する訳にもいかない。
 新たな敵を撃破する方針へと思考を切り替えた彼女は、武器を構え直す──その時、何処かから発された元気のいい声が室内に響いた。

「大丈夫、こっちは任せて!」

 突然、新たに姿を現した小型戦車の片方の体勢が大きく崩れた。
 戦車はそのまま何かに組みつかれるようにして倒れ、傍らのもう一台の戦車を巻き込みながら横たわり──直後、爆煙が巻き起こると共に戦車は機能を停止する。
 炎を背にして姿を現したのは、触腕と合わせて計8本の手足を持つキマイラの少女──明石・真多子(軟体魔忍マダコ・f00079)。彼女は先の乱戦の際に小型戦車へと張り付き、そして体色を変化させることよりずっとその姿を隠して攻撃の機会を伺っていたのだ。
 背後で起こった爆発を追い風にして高くジャンプし天井へと張り付いた彼女は、鎖に拘束されビームキャノンを振り回して蠢く二足歩行戦車たちへと向けタコスミを放つ。白い装甲がべしゃりと黒い墨で汚され、カメラが潰されたらしき戦車の蠢きはよりでたらめなものとなった。

 先の戦車から拝借したらしき焼夷弾を何処かから取り出して4本の触腕で掲げるようにして持ちつつ、真多子は再び魅夜へと声をかける。
「戦車はアタシがやっつけるから、魅夜ちゃんはコアの方に!」
「ええ、解りました……!」
 ぽいぽいと焼夷弾を投げる真多子に背を向け、魅夜はコアマシンへと向かい駆け出した。爆炎に包まれ続々と機能を停止する戦車群を横目に、彼女は再び構えを取る。

「……愚か者の骸を糧に咲き誇れ、鋼の血華──『緋色の弔花は悪夢の深淵に狂い咲く(フューネラリィ・クリムゾン)』ッ!」
 走る勢いを殺さぬまま、彼女は再び鎖を放つ。
 対象の数に反比例して集中する、108本の鎖。その全てが、コアマシンへと殺到し──ぴしり、と、音が鳴った。



 コアマシンの破壊に伴うようにして、室内の各所で小爆発が巻き起こる。
 エネルギーの行き場を失ったためか、コアマシンの中央部に嵌められたコアが激しく光り輝き始めた。このまま放置しておけば、程なくして爆散するだろう。
 止めの一撃を放つか、あるいは真多子と共にここを逃げ出すか。一瞬、魅夜は思いを巡らせ──

「……ちょっ、ちょーっと待ったーっ!!」

 ──突然現れた仲間の叫びによって、彼女の思考は中断される。

 猛然とした勢いで突っ込んできた機械仕掛けの箒。その上から慌てた様子で飛び降りた女猟兵──春日・釉乃(”CHIPIE”・f00006)は、今にも爆散し始めそうなコアマシンへと駆け寄ると、それに向け両腕を翳した。
 直後、彼女の両手から十字型のエネルギーが放たれたかと思うと、それを受けた壊れかけのコアマシンがあげていた唸りがぴたり、と止まる。

「え、えっ!? 何してるの!?」
 事情を把握しきれていない様子の真多子が声を上げるも、釉乃はそのまま腕を掲げ続ける。
 すると、まるで時間が巻き戻るかのようにしてコアマシンとコアの破損が元へと戻っていき──しかし戻り切った所でその時間逆行は止まらず、それどころかどんどん変化の速度は増していく。『無限光(トリプルオー)』という名のその能力は、存在そのものを虚無へと消し去る禁断の力を行使するユーベルコードだ。故に、今の釉乃には応答をしている余裕があまり無かった。
「──さあ、骸の海に帰れっ!」
 彼女の声に応じるようにして、時間逆行の速度は光速を超え──そして、空間の揺らぎが収まると共に、かつてコアマシンが鎮座していた場所には何も存在しなくなった。

 いつの間にか非常電源に切り替わっていたらしき艦内の天井を見やるようにしながら、ふう、と釉乃が息を吐く。
「いやー、魔眼で艦の弱点探ったらコアじゃなくて機関部の方に引っかかっちゃってさ。違うそうじゃない! っていう。参った参った」
「え、ええ……それは良いのですが、釉乃さん、先程は何を……?」
「うん? 何、って……爆発しそうだったから防いだだけだけど。この船鹵獲してこっちの戦力として流用しよう、って話、してなかったっけ?」

 そう問いかけられ、魅夜と真多子は顔を見合わせた。少なくとも、彼女たちはそのような話を聞いた覚えはない。
 転送直後に派手に攻撃をぶっ放していた何人かの仲間たちも、おそらくその件については知らぬ存ぜぬといった所であろうことは想像に難く無かった。

「……あー、最初の方に出て行った人達には言ってなかったかも。アンノットちゃんがコア狙うって言ったの聞いて、慌てて相乗りさせて貰ったりしてたから……色々抜けてたなぁ。最初の攻撃やけに派手だなーと思ってたけど、道理で……だ、大丈夫かな?」
「どうだろう……とりあえず、みんなに連絡した方がいいんじゃない?」
「そうだね、そうしよう。……みんなー! コアは止めたよー! 折角だしこの戦艦鹵獲したいから、派手な攻撃は一旦中止ーっ!!」

 通信機に向けて大声を上げた後、釉乃は戦艦の無力化が完了した旨をミディアを介し解放軍側へと連絡する──



 ──世界の存続を賭けた戦争は続く。例えこの争いが終結しようとも、オブリビオンと猟兵との戦いはまだまだ終わらない。
 だが、猟兵たちは一人では無い。頼れる仲間たちだけでなく、今は宇宙を存続させるため協力してくれる人々だって居るのだ。
 彼ら、そして彼女らと共に戦えば、負けることは無いだろう。きっと、恐らく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月08日


挿絵イラスト